[第一の実施形態]
(改装方法)
以下、図面を参照して、本発明の第一の実施形態について詳しく説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
本実施形態に係る改装方法の対象となる従来の自動洗浄装置2(2B)、2(2C)をそれぞれ図4、図5に示す。いずれも、使用者を感知するセンサ16、およびその感知に基づく信号によって主流路の開閉を行う開閉動作がなされるピストンバルブを有する本体部11が壁内に配設された壁埋め込み型ユニット3を備える構成である。前述の通り、壁外の配管Pが十分な長さを有していない構成(2B)、あるいは、壁外の配管自体が設けられていない構成(2C)であるために、センサ故障時に外部型ユニットに取換えて自動洗浄機能を復帰させる改装が不可能である。
そこで、壁埋め込み型ユニット3の本体部11を活用しつつ、自動洗浄機能を復帰させるために、本実施形態に係る改装方法は以下の工程を備えることを特徴とする。
先ず、図6に示すように、従来の自動洗浄装置2(2A)から、壁埋め込み型ユニット3のセンサ窓を有する前面プレート12を取外す工程を実施する(工程S1)。この前面プレート12は、金属製であって中央にセンサ窓14を有し、当該センサ窓14の裏面(壁内側)に使用者を感知するためのセンサ16が設置されている。また、符号17は、センサの感知信号により後述の副電磁弁の駆動制御等を行う駆動制御部である。なお、前面プレート12は、通常、壁面WLに固定されている枠部材18に対して、マグネット22を用いて固定されている。
工程S1よりも後に、同図6に示すように、壁埋め込み型ユニット3の駆動制御部17に接続された制御配線24、および電源配線26を取外して、壁埋め込み型ユニット3から、前面プレート12、センサ16、および駆動制御部17を縁切りして取外す工程を実施する(工程S2)。ここで、電源配線26に供給される電源としては、AC100Vの商用電源(100Vタイプ)、もしくは電池による直流電源(電池タイプ)が用いられる。なお、本実施形態においては、100Vタイプの例で図示をして説明する。
また、工程S1よりも後に(好適には工程S2よりも後に)、図7に示すように、壁埋め込み型ユニット3の主流路28の止水栓30を閉め噴水防止措置を取った後、本体部11からシリンダ室31の開口端部31aを密閉している密閉蓋27を取外し、次いで、シリンダ室31内を移動して主流路28の通水・止水を行う差圧移動式のピストンバルブ32を当該シリンダ室31から取外す工程を実施する(工程S3)。ここで、主流路28は、給水管34に連結された取水口35から取水し、本体部11内を通り、送水口37に連結された排水管36に送水する作用をなす流路である。本体部11内において、主流路28は開口28aからシリンダ室31内を経て開口28bへと通流させる流路となっている。したがって、ピストンバルブ32が奥側(開口端部31aとは逆側)に移動し、ピストンバルブ32の先端部32aに設けられた弁体33がシリンダ室31の奥側の内壁(弁座となる)31bに密着することで主流路28が閉じられて洗浄水が止水される。一方、ピストンバルブ32が開口端部31a側に移動し、ピストンバルブ32の先端部32aの弁体33がシリンダ室31の奥側の内壁(弁座)31bから離れることで、主流路28が開かれて開口28aから開口28bへと洗浄水が通水される。このように、ピストンバルブ32がシリンダ室31内を移動することによって、給水管34から排水管36を介して便器1へ通流させる洗浄水の通水・止水作用が得られる。
次に、工程S3よりも後に、図8に示すように、壁埋め込み型ユニット3のピストンバルブ32の後端部32bに作用する圧力を変化させて当該ピストンバルブ32を動作させる副流路38(構造に応じて全部もしくは一部)および当該副流路38を開閉する副電磁弁42をそれぞれ取外し、後述の第2開口孔15を露出させる工程を実施する(工程S4)。なお、副電磁弁42は、電源のオン・オフにより内部のピストン(不図示)が動作して副流路38を開閉可能なように構成されている。ちなみに、副電磁弁42は、内部の流路が副流路38の一部を兼ねている(本体部19を対象とする実施形態においても同様)。
ここで、図8、および図9(本体部11の概略図)を用いて壁埋め込み型ユニット3が備える副流路38の構成について説明する。副流路38は、一端が主流路28(ここではシリンダ室31)においてピストンバルブ32の後端部32b側となる位置(すなわちシリンダ室31において開口端部31a側となる位置)に開口形成された第1開口孔13を介して当該主流路28に連通している。また、他端が主流路28においてピストンバルブ32が配設される位置(すなわち開口28bが設けられる位置)よりも下流側となる位置に開口形成された第2開口孔15を介して当該主流路28に連通している。本実施形態においては、シリンダ室31の外壁に突設されて外周にネジ部を有する突起部39が設けられており、当該突起部39の中心(径方向の中心)に第1開口孔13が形成されている。一例として、副流路38は、ユニオンナット40を用いて突起部39のネジ部に固定される構成である。
なお、上記構成を有する副流路38の本来の作用としては、センサ16が使用者を感知すると、その感知信号により駆動制御部17が副電磁弁42を駆動(励磁)させると、副流路38が開かれた状態となる。このとき、副流路38は第2開口孔15を介して主流路28さらには送水口37および排水管36に連通しているため、副流路38内の圧力が大気解放された状態となる。したがって、第1開口孔13を介してピストンバルブ32の後端部32b側の圧力が減圧されるため、当該ピストンバルブ32がシリンダ室31内において奥側(内壁31b側)から開口端部31a側へと移動する。これによって、主流路28が開いた状態となるため、前述の説明のように主流路28を洗浄水が流れることとなる。ちなみに、その後の動作としては、副電磁弁42が消磁すると、副流路38が閉じられた状態となる。ここで、ピストンバルブ32は先端部32a側と後端部32b側とを連通する小孔(不図示)を備えており、開口28aから当該小穴を通じて徐々にピストンバルブ32の後端部32b側へと洗浄水が満ちてくる。さらにピストンバルブ32の後端部32bにはリターンスプリング(不図示)が設けられており、それらの作用によって、ピストンバルブ32の先端部32aの弁体33がシリンダ室31の奥側の内壁(弁座)31bに当接する状態となるため、主流路28が閉じられて、洗浄水の通水が停止することとなる。以上の作用により、差圧移動式のピストンバルブ32が動作する。
また、工程S3よりも後に(好適には工程S4よりも後に)、図10に示すように、副流路38を取外して第2開口孔15を露出させた箇所に対する処置として、第2開口孔15に止水プラグ46を取付けて、第2開口孔15の封止を行う工程を実施する(工程S5)。これによれば、主流路28に連通する第2開口孔15の封水を行うことが可能となる。なお、止水プラグ46の詳細な構成については後述する。
次に、工程S4よりも後に、固定用プレート90を本体部に固定する工程を実施する(工程S6)。本実施形態においては、図11に示すように、突起部39に対して、固定用プレート90を外嵌した状態でナット41を締め込むことによって、固定用プレート90を本体部11(シリンダ室31の外壁)に固定する工程を備えて実施される。なお、固定用プレート90の詳細な構成については後述する。
次に、工程S6よりも後に、図12に示すように、主流路28の開閉を行う電磁弁70(第一例)をシリンダ室31に挿入して当該シリンダ室31の開口端部31aおよび第1開口孔13を封止した状態で、電磁弁70を固定用プレート90に固定する工程を実施する(工程S7)。当該電磁弁70は、電源のオン・オフにより内部のピストン(不図示)が動作して主流路28を開閉可能なように構成されている。したがって、取外した差圧移動式のピストンバルブ32に代えて、主流路28の開閉動作を生じさせることができる。なお、変形例として、電磁弁70の外径が、シリンダ室31の内径よりも小さい場合には、間にアダプタ(不図示)を介在させて、電磁弁70をシリンダ室31に挿入して固定する工程としてもよい。
ここで、シリンダ室31の開口端部31aおよび第1開口孔13を封止する手順は、以下のように実施される。本実施形態においては、電磁弁70(第一例)の構成として、図33に示すように、シリンダ室31に挿入される部分の所定位置に封止部材(一例として、ゴム材料を用いたOリング)102が設けられている。当該所定位置は、シリンダ室31内において第1開口孔13よりも奥側(開口端部31aと逆側)の位置となるように設定されている。したがって、電磁弁70がその先端70c側からシリンダ室31内に挿入され、封止部材102が所定位置に到達した状態で固定用プレート90に固定されることによって、第1開口孔13よりも奥側となる位置でシリンダ室31の封止が行われるため、シリンダ室31の開口端部31aおよび第1開口孔13の両方が封止された状態となる。
あるいは、変形例として、電磁弁70の封止部材102が設けられる所定位置をシリンダ室31内において第1開口孔13よりも手前側(開口端部31a側)の位置となるように設定する構成としてもよい(不図示)。その場合は、電磁弁70がその先端70c側からシリンダ室31内に挿入され、封止部材102が所定位置に到達した状態で固定用プレート90に固定されることによって、シリンダ室31の開口端部31aが封止された状態となる。一方、第1開口孔13は封止されていない状態となるため、別途、突起部39に例えば袋ナットのような封止部材(不図示)を外嵌させることによって、第1開口孔13が封止された状態とすればよい。
ところで、図4、図5に例示されるように、本体部11、センサ16および駆動制御部17が壁内に設置される構造において、図12に示す状態となったときに、シリンダ室31に一端が挿入されて固定した電磁弁70の他端70aが、壁面WLから壁外へ突出してしまい、前面プレート(およびこれに固定するセンサ等)の取付けができないという問題が生じた場合には、以下の工程を備えることによって、その解決が可能となる。
具体的には、前述の工程S1よりも後に(好適には工程S7よりも後に)、図13に示すように、一端がシリンダ室31に挿入された状態の電磁弁70の他端70aが壁面WLから壁外へ突出する寸法よりも同方向の寸法が大きく形成されると共に壁面WL側に係合部84が設けられた延長枠部材80を、枠部材18に固定する工程を実施する(工程S8)。なお、延長枠部材80の詳細な構成については後述する。
次に、工程S8よりも後に、図14に示すように、使用者を感知する第2センサ72および当該第2センサ72の感知信号により電磁弁70の駆動を行う第2駆動制御部74を、延長枠部材80に取付ける工程を実施する(工程S9)。一例として、第2センサ72および第2駆動制御部74(ここでは、一体型である)が裏面側(背面側)に固定された金属製の第2前面プレート76を用意して、先に、電源配線26をソケット60に接続し、当該ソケット60にACアダプタ62を介して第2駆動制御部74を接続すると共に、電磁弁70の配線64を第2駆動制御部74に接続する(なお、変形例として、電源配線26を直接、第2駆動制御部74に接続する構成も考えられる)。次いで、第2前面プレート76を、延長枠部材80に設けられたマグネット82に吸着させて取付ける構成としている。当該工程S9迄が完了した状態を図15に示す。
なお、シリンダ室31に一端が挿入されて固定した電磁弁70の他端70aが壁面WLから壁外へ突出せず、空間的な余裕がある場合には、延長枠部材80を取付ける工程S8を省略したうえで、工程S9に代えて、上記の状態で用意した第2前面プレート76を枠部材18のマグネット22に吸着させて取付ける方法も採用し得る(工程S9a)。
ところで、上記のS8、S9工程を備える改装方法は、図1に例示されるような正方形(略正方形を含む)の枠部材18および前面プレート12を備える従来の自動洗浄装置2(2A)に対して好適な方法となる。一方、変形例として、図39に例示されるような長方形の枠部材18および前面プレート12を備える従来の自動洗浄装置2(2D)の場合には、枠部材18および前面プレート12が固定されるケース部材の内部空間が比較的大きいため、延長枠部材80を用いることなく、電磁弁70の他端70aとの干渉を回避可能な前面プレート(第3前面プレート77)を用いることによって、上記のS8工程を省略し得る以下の方法を適用することができる。
ここで、当該第3前面プレート77の構成例を図40に示す。具体的には、枠部材18に対して所定の固定状態(図41に示す状態である)となるときに正面視において電磁弁70と対応する位置に、シリンダ室31に所定に挿入された状態の電磁弁70の他端70aが壁面WLから壁外へ突出する寸法よりも、同方向に突出する寸法が大きく形成され、且つ幅方向においても他端70aと当接しない寸法に形成されて、当該電磁弁70の他端70aが干渉することなく内部に収容可能となる空間を有するドーム部78が設けられている。一例として、ドーム部78は、頂面を有する角錐台形状に形成されているが、これに限定されるものではなく、円錐台形状に形成される構成としてもよい。いずれの場合にも、周面(傾斜面)78aの傾斜角度は第3前面プレート77の板面に対して45[°]以下となるように構成することが好適である。このように緩やかな傾斜面とすることによって、使用者によるドーム部78の把持を困難とし、前面プレート77が取外されてしまう等のいたずらを防ぐことができる。
なお、第3前面プレート77は、前述の第2前面プレート76と同様に、第2センサ72および第2駆動制御部74(ここでは、一体型である)が裏面側(背面側)に固定された状態として用意すればよい。
上記の第3前面プレート77を用いる改装方法を具体的に説明すると、前述の工程S7よりも後に、前述の工程S8、S9に代えて、図40に示すように、電磁弁70の他端70aをドーム部78の内部に収容させるようにしながら、第3前面プレート77の端部(裏面側)を枠部材18に設けられたマグネット22に吸着させることによって、当該第3前面プレート77を枠部材18に固定する工程を実施する(工程S9a)。なお、当該工程において、第3前面プレート77に取付けられている第2センサ72および第2駆動制御部74を電気的に接続させる方法については、前述の第2前面プレート76の場合と同様であるため、説明を省略する。
この変形例に係る改装方法によれば、延長枠部材80が不要となり、その取付け工程も省略できるため、部品コストの低減と、作業工程の簡略化を図ることが可能となる。
以上説明した通り、壁内(もしくは壁近傍部)にセンサ16およびピストンバルブ32が配設される壁埋め込み型ユニット3を備え、且つ、便器1に接続される壁外の配管が十分な長さを有していない、もしくは、便器1に接続される壁外の配管自体が設けられていないことによって、改装用の外部型ユニットを壁外の配管に取付けることができない自動洗浄装置2(一例として、図4に示す2B、図5に示す2C)に関し、例えば壁内のセンサ16が故障した場合等において、壁埋め込み型ユニット3の本体部11を活用しつつ、主流路28の開閉を行う機構を、差圧移動式のピストンバルブ32から電磁弁70に切替えることができるため、便器自体を特許文献1、2に例示される構成のものに交換する等の改修を行うことなく、自動洗浄機能を復帰させる改装方法を実現することが可能となる。当該改装方法実施後の構成に関して、概略図を図16(斜視図)、図17(側面方向の図)に示す。
上記のように、壁埋め込み型ユニット3における枠部材18、本体部11(特に主流路28)、給水管34、排水管36等をそのまま流用できるため、便器の交換や、壁を取壊しての機器・配管類の交換・新設が必要なく、改装のための作業を簡素にすることができる。したがって、部品コストおよび作業コストを大幅に低減することができる。
(止水プラグ)
続いて、上記の改装方法に用いる止水プラグについて詳しく説明する。
本実施形態に係る止水プラグ46の平面図を図18Aに、正面図(半断面図)を図18Bに、底面図を図18Cにそれぞれ示す。この止水プラグ46は、先端部46aを第2開口孔15内に嵌合させることによって当該箇所の封水を行う部材である。そのため、先端部46a側の位置(部位)に外嵌されて第2開口孔15の内壁面15aに密着して封止を行う封止部材47を有している。一例として、封止部材47はゴム製のOリングである。
これによれば、主流路28に連通する第2開口孔15の封水を行うことができる。しかしながら、主流路28を通流する洗浄水の圧力(水圧)によって、止水プラグ46が第2開口孔15から抜け出して、噴水する問題が生じ得る。
そこで、止水プラグ46は、封止部材47の配設位置よりも後端部46b側となる位置において、軸方向に隣接する部位よりも相対的に小径の第1小径部46cを有している。
これによれば、本体部11が第2開口孔15の内壁面15aに貫通するように形成されたネジ孔11aと、当該ネジ孔11aに挿通される押しネジ43とを備えている場合において、押しネジ43を締め込んでその先端を第1小径部46cに当接させることによって、止水プラグ46の先端部46aに主流路28からの水圧が作用しても、第2開口孔15から抜け出してしまうことが防止できる。このような目的から、第1小径部46cの形成位置は、止水プラグ46が第2開口孔15内に嵌合された状態において、押しネジ43の先端と当接可能となる位置に設定する必要がある。
しかしながら、本体部11がネジ孔11aおよび押しネジ43を備えていない場合や、備えていても不具合等により使用不能となっている場合においては、上記のように押しネジ43の先端を第1小径部46cに当接させる構成を用いた止水プラグ46の抜け出し防止方法を採ることができない。
そこで、止水プラグ46は、後端部46bにおいて、本体部11が収納されるケース部材10の上部内面に当接可能な長さに形成された突っ張り棒48が固定可能な固定孔46dを有している。なお、突っ張り棒48を止水プラグ46の固定孔46dに固定(ここでは螺合)させた状態を図19に示す。
これによれば、本体部11がネジ孔11aおよび押しネジ43を備えていない場合や、備えていても不具合等により使用不能となっている場合であっても、図20に示すように、突っ張り棒48を固定させた状態の止水プラグ46を第2開口孔15内に嵌合させ、次いで突っ張り棒48に固定されている調整つまみ49を回転させることにより、突っ張り棒48が回転して止水プラグ46の先端部46aから突っ張り棒48の後端部(上端部)48aまでの長さを変化させて、突っ張り棒48の後端部(上端部)48aがケース部材10の上部内面に当接するまで延伸させることによって、止水プラグ46の先端部46aに主流路28からの水圧が作用しても、第2開口孔15から抜け出してしまうことが防止できる。
このように、本実施形態に係る止水プラグ46によれば、本体部11がネジ孔11aおよび押しネジ43を備えている場合と、本体部11がネジ孔11aおよび押しネジ43を備えていない場合もしくは備えていても不具合等により使用不能となっている場合と、のいずれの場合に対しても、それぞれ別々の専用品を設けることなく第2開口孔15の封水を行うことができる。したがって、部品コストを低減できると共に、改装作業における部品の取違えや施工不良を防止することが可能となる。
(固定用プレート)
続いて、上記の改装方法に用いる固定用プレート90について詳しく説明する。
先ず、本実施形態に係る固定用プレート90(第一例:90A)の斜視図(概略図)を図21に示す。この固定用プレート90(90A)は、金属材料からなる板材を用いて形成されており、シリンダ室31の突起部39に外嵌可能な内径を有する嵌合孔90aが形成された固定部92と、固定部92から分岐しつつ折曲(湾曲)し、シリンダ室31の開口端部31aを正面視で径方向に挟み込む配置でそれぞれ延設された第1腕部94および第2腕部96とを備えている。さらに、第1腕部94および第2腕部94には、シリンダ室31に挿入された状態の電磁弁70を固定する固定孔90bが板面を貫通して設けられている。なお、固定孔90bの数は適宜設定すればよい。また、変形例として、固定孔の代わりに固定ネジを設けて当該固定ネジに電磁弁70を固定する構成としてもよい(不図示)。
この構成によれば、固定用プレート90によって、電磁弁70をシリンダ室31(開口端部31a)に挿入した状態で固定することが可能となる。このように、本体部11に加工を加えることなく、差圧移動式のピストンバルブ32に代える電磁弁70を本体部11に固定することが可能となる。したがって、簡易な改装方法の実現が可能となる。
次に、本実施形態に係る固定用プレート90(第二例:90B)の斜視図(概略図)を図22に示す。この固定用プレート90(90B)は、本体部11に代えて本体部19(図23に斜視図を示す)が用いられる壁埋め込み型ユニットの場合において、電磁弁の固定を行うものである。ここで、本体部19は、前述の本体部11と比較して形状や副電磁弁の取付構造等が相違するものの、基本的な構成および作用は同様である。当該図23は、前述の図9に相当する図であって、本体部19からシリンダ室31を密閉する密閉蓋と、副流路の一部および当該副流路を開閉する副電磁弁とを取外した状態である。ここで、符号19a(4箇所)は、副流路開閉用の副電磁弁を本体部19に固定するためのネジ孔である。
本実施形態に係る固定用プレート90(90B)は、前記シリンダ室の外壁に突設されて内部に第1開口孔(図23中では不図示)が形成された突起部19bを、正面側から背面側へ包み込む配置で係止可能に折曲もしくは湾曲形成された鉤状部98を備えている。
したがって、本体部11に代えて本体部19が用いられる壁埋め込み型ユニットの場合においては、固定用プレート90Bを本体部11に固定する工程は、前述の工程S6に代えて、以下に示す工程S6aとなる。
具体的には、図24に示すように、一端90cに鉤状部98を有する固定用プレート90(90B)を、当該鉤状部98を本体部19の外周部(一例として上端の突起部19b)に係止させた状態で他端90dを副電磁弁の固定用のネジ孔19aに中間部材20を介してネジ留めすることにより固定する工程として実施される(工程S6a)。なお、中間部材を介さずに直接ネジ留めして固定してもよい(不図示)。
ちなみに、本体部19が用いられる場合においては、例えば図25に示す止水プラグ50を用いて、第2開口孔15の封止を行えばよい。
(延長枠部材)
続いて、上記の改装方法に用いる延長枠部材80について詳しく説明する。
本実施形態に係る延長枠部材80の背面図を図26に示す。この延長枠部材80は、一端がシリンダ室31に挿入された状態の電磁弁70の他端70aが壁面WLから壁外へ突出する寸法よりも同方向の寸法が大きく形成されると共に、壁面WL側に係合部84が設けられている。
この構成によれば、電磁弁70の他端70aが壁面WLから壁外へ突出した場合において、枠部材18に延長枠部材80を取付けることによって、当該電磁弁70を動作させるための第2センサ72および第2駆動制御部74が固定された金属製の第2前面プレート76を延長枠部材80に取付けることが可能となる。したがって、差圧移動式のピストンバルブ32に代えて、シリンダ室31に固定された電磁弁70によって主流路28の開閉動作を生じさせる改装方法が実現できる。
ここで、係合部84は、一例として、一対の固定板86A、86Bが左右もしくは上下の位置に二組設けられている。さらに、一対の固定板86A、86Bは一対の先端部86a、86bが正面視で枠部材18の内周と重なる位置(図中、実線で示す)と、重ならない位置(図中、破線で示す)との間で回動可能に配設されると共に、一対の先端部86a、86bが常時は正面視で枠部材18の内周と重なる位置となるように付勢する付勢部材88が一対の後端部86c、86d同士を繋いで設けられている。なお、付勢部材88は、一組の一対の固定板86A、86Bに設けてもよく、あるいは、二組の一対の固定板86A、86Bに設けてもよい。
この構成によれば、先端部86a、86bが回動して、枠部材18の内周と重なる位置からずれてしまい、延長枠部材80が枠部材18から脱落してしまうことが防止できる。したがって、付勢部材88を少なくとも上部位置の一組に対して設けることが好適である。上部位置の固定板86A、86Bにおいては、先端部86a、86bが重力で降下した場合に、枠部材18との重なりが解除されてしまうためである。
[第二の実施形態]
続いて、本発明の第二の実施形態について説明する。本実施形態に関しては、前述の第一の実施形態と基本的な構成は同様であるが、幾つかの構成において相違点を有する。以下、当該相違点を中心に図を用いて本実施形態について説明する。
(改装方法)
本実施形態に係る改装方法は、前述の第一の実施形態と基本的な構成は同様であるが、工程S6の構成において相違点を有する。すなわち、前述の工程S6に代えて、以下に示す工程S6bとなる。
本実施形態に係る固定用プレート90を本体部11に固定する工程(S6b)は、図27、図28の説明図に示すように、密閉蓋27の螺合用としてシリンダ室31の内壁に設けられる雌ネジ部31cに対して螺合可能な雄ネジ部52cを外周に有する円筒状であって且つ第1端部52aに径方向外方に突設される鍔状部54を有する固定リング52(詳細は図30参照)を用いて、固定用プレート90(詳細は図29参照)を本体部11(詳細は図9参照)に固定する工程として実施される。なお、図27中の二点鎖線は、ケース部材10の概略位置を示している。
より具体的には、固定リング52の第2端部52b側を固定用プレート90に開口形成された挿通孔90eに挿通した状態で、固定リング52(雄ネジ部52c)をシリンダ室31の内壁(雌ネジ部31c)に螺合させて固定することによって、鍔状部54とシリンダ室31の開口端部31aとで固定用プレート90を挟み込んで固定する構成である。
これによれば、前述の第一の実施形態に係る固定方法が、固定用プレート90を突起部39に固定する片持ち支持構造であったのに対して、固定リング52によって、固定用プレート90を開口端部31aの全周に亘って押し付けて固定する構造が実現できるため、電磁弁70が固定される固定用プレート90の変形を防止でき、長期に亘って漏水を防いで安定的に使用することが可能となる。なお、固定用プレート90、固定リング52の詳細な構成については後述する。
本実施形態において、工程S6に続く後の工程は、前述の第一の実施形態と基本的に同様である。ただし、電磁弁70をシリンダ室31に挿入させて該シリンダ室31の開口端部31aおよび第1開口孔13を封止した状態で、電磁弁70を固定用プレート90に固定する工程S7に関して、第一の実施形態では、電磁弁70の一端(先端)70cを固定用プレート90の第1腕部94と第2腕部94との間を通過させてシリンダ室31に挿入させる手順であった。一方、本実施形態では、電磁弁70の一端(先端)70cを、固定用プレート90の挿通孔90eに挿通された状態の固定リング52の中空部52hを通過させてシリンダ室31に挿入させる手順となる。
また、工程S7に関して、前述の第一の実施形態と同様に、図33に例示される電磁弁70を用いて、第1開口孔13よりも奥側となる位置でシリンダ室31の封止を行うことで、シリンダ室31の開口端部31aおよび第1開口孔13の両方の封止を行う手順とすればよい。あるいは、前述の変形例と同様に、封止部材102の所定位置が第1開口孔13よりも手前側に設けられた電磁弁(不図示)を用いて、第1開口孔13よりも手前側となる位置でシリンダ室31の封止を行うことで、シリンダ室31の開口端部31aの封止を行い、別途、突起部39に例えば袋ナットのような封止部材(不図示)を外嵌させることによって、第1開口孔13の封止を行う手順としてもよい。
なお、本実施形態に係る改装方法は、図9に示す本体部11(副流路38がシリンダ室31の外壁(突起部39)のネジ部にユニオンナット40を用いて固定される構成の場合)のみならず、図23に示す本体部19(副流路38がシリンダ室31の外壁に溶接等により直付け固定される構成の場合)に対しても適用可能である。
ここで、本体部19に対して改装方法を適用する場合の特徴点について説明する。図36に示すように、電磁弁70を固定するための固定用プレート90(本体部19用として好適な固定用プレート90E)を、固定リング52によって本体部19に固定する工程は、本体部11に対する改装方法の場合と同様である。
しかしながら、本体部19は本体部11と比較して、シリンダ室31がケース部材10の内面(天井面)に近い位置に設けられる構成であるため、図37に示すように、固定用プレート90を鉛直方向から左向きに所定角度傾けた状態としなければ、ケース部材10内に設置されている本体部19のシリンダ室31に固定することが不可能である。なお、本体部19用として好適な固定用プレート90(90E)の詳細については後述する。
上記の状態で、本体部19を固定用プレート90に固定することによって、内部空間の制約があるケース部材10内においても、図38に示すように固定用プレート90を本体部19(シリンダ室31)に固定することが可能となるため、当該固定用プレート90を介して電磁弁70を本体部19に固定することが可能となる。
(固定用プレート)
続いて、本実施形態に係る改装方法に用いる固定用プレート90について詳しく説明する。
本実施形態に係る固定用プレート90(第三例:90C)の斜視図(概略図)を図29に示す。この固定用プレート90(90C)は、金属材料(一例として、ステンレス合金)からなる板材を用いて形成されており、板面の中央部に固定リング52(および電磁弁70)を所定位置まで挿通可能に形成された円形孔である挿通孔90eが設けられている。さらに、板面には、挿通孔90eを挟み込む配置で(すなわち、図28に示す所定の設置状態において挿通孔90eよりも上方となる位置および下方となる位置に)、シリンダ室31に挿入された状態の電磁弁70を固定する固定孔90bが板面を貫通して設けられている。なお、本実施形態においては、固定孔90bは挿通孔90eよりも上方となる位置に1箇所、下方となる位置に2箇所設けられているが、これに限定されるものではない。また、変形例として、固定孔の代わりに固定ネジを設けて当該固定ネジに電磁弁70を固定する構成としてもよい(不図示)。
また、固定用プレート90(90C)は、上記の固定孔90bを有する構成の場合において、固定リング52の鍔状部54の軸方向の厚さL1と同一の厚さL2に形成されたかさ上げ部材99が、固定孔90bを取り囲む外縁位置に固定された構成を備えている。一例として、かさ上げ部材99は、リング状(もしくは枠状)に形成されているが、これに限定されるものではない。この構成によれば、電磁弁70を固定用プレート90に固定する際に、電磁弁70における鍔状部54と当接していない部位(具体的には、固定孔90bに対応する固定用フランジ70b)が固定用プレート90から浮いた状態となってしまうことに起因して、固定用ネジ71を締めつけた際に当該部位が折損してしまう問題の解消が可能となる。なお、変形例として、かさ上げ部材を備えない構成としてもよい(不図示)。
また、固定用プレート90(90C)は、電磁弁70が固定される前面と逆側の裏面の所定位置において、板面と直交する方向に突設された回り止め部材100を備えている。一例として、回り止め部材100(100A)は、金属製の円柱部材をネジにより固定した構成となっている。ただし、これに限定されるものではなく、棒状等の突起状に形成された構成であればよい。
回り止め部材100の他の例として、図34に示す固定用プレート90(第四例:90D)のように、固定用プレート90(90D)と一体で打ち抜き加工された突起状の部分をプレス加工により裏面方向に折り曲げることによって、回り止め部材100(100B)とする構成も考えられる。
上記の構成によれば、固定リング52(雄ネジ部52c)をシリンダ室31の内壁(雌ネジ部31c)に螺合させて固定する際に、固定用プレート90の供回りが発生し得るが、所定位置に設けられた回り止め部材100が本体部11に当接したところで供回りを停止させて、固定用プレート90を適切な位置に保持することが可能となる。より具体的には、回り止め部材100Aの場合であれば、当該回り止め部材100Aが本体部11の壁部11bに当接して固定用プレート90の供回りが停止することになり、一方、回り止め部材100Bの場合であれば、当該回り止め部材100Bが本体部11の突起部39に当接して固定用プレート90の供回りが停止することになる。
また、固定用プレート90(90C、90D)は、図28に示す所定の設置状態において下辺となる位置に、本体部11の止水栓30の開閉を行う開閉工具(不図示)が進入可能な溝幅に形成された溝部90fを備えている。この構成によれば、正面視において固定用プレート90(90C、90D)と止水栓30とが干渉する配置となる場合に、開閉工具による止水栓30の開閉を行うことが可能となる。なお、干渉しない配置の場合には、溝部を設けない構成とすることができる(不図示)。
固定用プレート90(90C、90D)は、図28に示す所定の設置状態において右上端部となる位置に、斜めに切欠かれた第1切欠き部90gを備えている。この構成によれば、本体部11の近傍に配設される配線類(電源配線26等)およびその取付け金具(不図示)等との干渉を回避して、固定用プレート90(90C、90D)を本体部11に固定することが可能となる。
次に、本実施形態に係る固定用プレート90(第五例:90E)の斜視図(概略図)を図35に示す。この固定用プレート90(90E)は、図23に示す本体部19に対して好適に用いることができる構成を有している。
図23に示す本体部19の場合、取水口35からシリンダ室31へ向けて流れる洗浄水内の異物除去を目的とするストレーナ(不図示)が収納されるストレーナ収納室44を備えている。さらに、必要の都度、ストレーナの清掃や交換を行うために、ストレーナ収納室44には、開閉可能な封止蓋45が設けられている。
ここで、本体部19に対して、前述の図29に示す固定用プレート90(第三例:90C)や、図34に示す固定用プレート90(第四例:90D)と同様の正面視形状を有する固定用プレートを取付けることも不可能ではない。ただし、前述の通り、本体部19の場合には、ケース部材10の内部空間に制約があるため、固定用プレート90を傾けなければ、ケース部材10の内部に収まるようにして本体部19に固定することが不可能となる。
しかし、本体部19は、シリンダ室31に隣接してストレーナ収納室44および封止蓋45を有しているため、仮に、固定用プレート90C、90Dと同様の正面視形状を有する固定用プレートを傾けて固定しようとすると、正面視において封止蓋45と干渉してしまう、すなわち、固定用プレートが封止蓋45の面上に乗ってしまう状態となるため、シリンダ室31の開口端部31aに密着させて固定することができないという問題が生じる。これは、封止蓋45の面(正面)位置が、シリンダ室31の開口端部31aの位置よりも、手前寄り(正面寄り)に設定されている構造に起因するものである。
そこで、図35に示す固定用プレート90(第五例:90E)のように、本体部19に対する所定の設置状態(傾けて取付けた状態)において正面視で封止蓋45と干渉しない形状で切欠かれた第2切欠き部90hを有する構成を備えることにより、上記問題の解決を図っている。
さらに、固定用プレート90Eによれば、当該固定用プレート90Eを介して電磁弁70を本体部19に固定した状態のままで、封止蓋45の開閉が可能となり、ストレーナの清掃や交換を行うことが可能となる。
(固定リング)
続いて、上記の改装方法に用いる固定リング52について詳しく説明する。
本実施形態に係る固定リング52の斜視図(概略図)を図30に示し、そのX-X線断面図(概略図)を図31に示す。この固定リング52は、金属材料(一例として、黄銅)を用いて形成されている。具体的な構成として、シリンダ室31の内壁に設けられる雌ネジ部31cに対して螺合可能な雄ネジ部52cを外周に有する円筒状に形成されており、第1端部52aにおいて径方向外方に突設される鍔状部54を備えている。
この構成によれば、固定リング52の第2端部52b側を固定用プレート90(90C)の挿通孔90eに挿通した状態で、固定リング52(雄ネジ部52c)をシリンダ室の内壁(雌ネジ部31c)に螺合させて固定することにより、鍔状部54(第2端部52b側の面)とシリンダ室31の開口端部31a(端面)とで固定用プレート90(90C)を挟み込んで本体部11へ固定することが可能となる。
ここで、固定リング52は、鍔状部54に隣接する位置(第2端部52b側の隣接位置)に、雄ネジ部52cよりも大きい外径に形成されて、挿通孔90eに隙間無く嵌合される大径部52gを有する構成となっている。これによれば、固定用プレート90(90C)を、鍔状部54(第2端部52b側の面)とシリンダ室31の開口端部31a(端面)とで挟み込んで本体部11へ固定したときに、固定リング52の大径部52gが固定用プレート90(90C)の挿通孔90eの内周に隙間無く嵌合された状態となるため、固定用プレート90(90C)が板面と平行の方向に移動することによるガタつきの発生を防ぐことが可能となる。したがって、固定用プレート90(90C)の固定孔90bと、電磁弁70の固定用フランジ70bとの位置合わせを正確に行うことができるため、固定用プレート90(90C)が本体部11(シリンダ室31)に対して位置ずれをして取付け不能となってしまう事態の発生を防ぐことが可能となる。
また、固定リング52は、第1端部52a側の内周面に、後述する回動工具58を係止させる係止溝56を備えている。一例として、係止溝56は、軸方向に平行な溝形状で、軸心を挟んで対向する位置に2箇所設けられているが、これに限定されるものではない。この構成によれば、係止溝56に回動工具58を係止させて回動させることによって、固定リング52を回動させることが可能となる。
回動工具58の例として、図32に示すように、金属材料からなる板状部材の両端部に上記係止溝56に係止可能な係止突起59を有する工具を用意し、市販のプライヤーを用いて回動させる構成等が考えられる。ただし、係止溝56および回動工具58の構成は上記に限定されるものではない。
また、固定リング52は、第1端部52a側に内径が相対的に大きい薄肉部52eを備え、第2端部52b側に内径が相対的に小さい厚肉部52fを備えている。なお、薄肉部52e、厚肉部52f共に外周には雄ネジ部52cが設けられるため、内径のみが相違し、外径は同一である。ここで、固定リング52を用いて本体部11に固定用プレート90(90C)を固定する工程の実施において、電磁弁70を固定用プレート90(90C)に固定するために、電磁弁70の先端70cを固定リング52(中空部52h)を通過させて本体部11(シリンダ室31)に進入させる手順を取る。しかし、この手順のときに、建築物の壁面にケース部材10が取付けられて、その内部に本体部11が収納された状態の実際の現場においては、壁面やケース部材10に取付けられる枠部材18等との干渉が生じて、電磁弁70を本体部11(シリンダ室31)に対して直進させて進入させることができず、斜め方向(先端を左側に、後端を右側に傾けた状態)としなければ進入させることができない場合が少なからず発生し得る。
この問題に対して、上記の構成によれば、電磁弁70の先端70cを本体部11(シリンダ室31)に進入させる手順においては、先ず、電磁弁70の先端70cを固定リング52の中空部52hに進入させることとなるため、上記のように斜め方向に傾けた状態で進入させた際に、第1端部52a側の内径が相対的に大きい薄肉部52eを備えることによって、電磁弁70の先端70cが固定リング52の内側に当接して進入が不可能もしくは困難となってしまうことを防ぐことができる。特に、電磁弁70に取付けられるOリングが固定リング52の内側に当接してずれてしまうと、漏水等の不具合を生じ得るため、電磁弁70を固定リング52の内側に当接させずに所定位置まで進入させることができることによって、改装後の安定的な使用が可能となる。ただし、固定リング52の筒状部全体を薄肉部と同一厚さに形成してしまうと、取付け強度が確保できないおそれがある。そこで、本実施形態においては、第1端部52a側に薄肉部52eを設け、第2端部52b側に厚肉部52fを設けることによって、その解決をも図っている。
さらに、上記の問題を解決するもう一つの構成として、固定リング52は、鍔状部54の端面(第1端部52a側の端面)の内周部(内縁部)が角取りされた傾斜面52dに形成された構成となっている。この構成によっても、上記と同様に、電磁弁70の先端70cが固定リング52の内側に当接して進入が不可能もしくは困難となってしまうことを防ぐことができる。
[第三の実施形態]
続いて、本発明の第三の実施形態について説明する。本実施形態に関しては、前述の第一、第二の実施形態と基本的な構成は同様であるが、幾つかの構成において相違点を有する。以下、当該相違点を中心に図を用いて本実施形態について説明する。ここでは、本実施形態に係る改装方法として、図23に示す本体部19に対して適用する場合を例に挙げて説明する。なお、図9に示す本体部11に対しても適用可能である。また、本実施形態に係る改装方法に用いられる電磁弁120の詳細な構成については後述する。
(改装方法)
本実施形態に係る改装方法は、前述の第一の実施形態と比較して、工程S5(本体部19の例では、止水プラグ50を本体部19に固定し、当該止水プラグ50によって第2開口孔15の封止を行う工程)までは同様の構成となり、その後の工程が以下の構成となる。工程の概略を説明するために図42を用いる。
本実施形態において、工程S5に続く後の工程として、主流路28の開閉を行うための電磁弁120(第二例)をシリンダ室31に挿入しつつ、本体部19に固定する工程(工程S10)と、電磁弁120によって、シリンダ室31(開口端部31a)および第1開口孔13の封止を行う工程(工程S11)とを実施する。
ここで、上記工程S10は、次のように実施される。具体的には、回動工具Tの回動力を電磁弁120に伝達する着脱可能な工具連結治具110を電磁弁120に取付けた後、回動工具Tを工具連結治具110に連結して回動することにより電磁弁120を回動させて、電磁弁120の外周部に設けられる雄ネジ部128を、シリンダ室31の内壁に設けられる雌ネジ部31cに直接、螺合させることにより固定する。このとき、電磁弁120の先端部に設けられる先端シール部174がシリンダ室31の奥側の内壁31bに密着した状態となる。なお、変形例として、電磁弁120(雄ネジ部128)の外径が、シリンダ室31(雌ネジ部31c)の内径よりも小さい場合には、間にアダプタ180(後述)を介在させて、電磁弁120をシリンダ室31に挿入しつつ螺合させて固定する工程としてもよい。
これによれば、電磁弁120を固定する際に、前述の実施形態における固定用プレート90、固定リング52等を用いる必要がないため、部品点数の削減や工程の簡素化が可能となる。
なお、工程S11に関して、図9に示す本体部11に適用する場合には、シリンダ室31(開口端部31a)の封止を電磁弁120によって行い、第1開口孔13の封止を袋ナットのような封止部材(不図示)によって行う方法としてもよい。
次に、工程S11よりも後に、第2前面プレート76を用意して、電磁弁120の配線170および電源配線26と、第2駆動制御部74とを配線接続(電気的に接続)したうえで、第2前面プレート76を枠部材18に取付ける工程を実施する(工程S12)。ここで、当該工程S12は、前述の工程S9aと同様であるため、図示および繰り返しの説明を省略する。当該工程S12までが完了した状態を図43に示す。なお、工程S11を実施した時点において、シリンダ室31に第2端部12aが挿入されて固定した電磁弁120の第1端部120aが壁面WLから壁外へ突出する場合には、上記工程S12に代えて、前述の工程S8およびS9を実施すればよい。
以上説明した工程を備えて、前述の実施形態と同様に、主流路28の開閉を行う機構を、差圧移動式のピストンバルブを用いる方法から、電磁弁120を用いる方法に切替えることが可能となる。
(電磁弁)
続いて、本実施形態に係る改装方法に用いる電磁弁120(第二例)について詳しく説明する。
本実施形態に係る電磁弁120の斜視図(概略図)を図44に、平面図(概略図)を図45に、正面断面図(概略図)を図46にそれぞれ示す。電磁弁120の概略構成として、中央に配置されるベース部122と、ベース部122の第1端部122aに固定キャップ132を介して固定されるソレノイド部124と、ベース部122の内部に保持されると共に第2端部122bから突出させて設けられる弁部126と、を備えて構成されている。
先ず、ベース部122は、金属材料(一例として、黄銅)を用いて形成されている。具体的な構成として、シリンダ室31の内壁に設けられる雌ネジ部31cに対して螺合可能な雄ネジ部128を外周に有する円筒状に形成されており、第1端部122aにおいて径方向外方に突設される鍔状部130を備えている。
この構成によれば、ベース部122の雄ネジ部128をシリンダ室31の内壁の雌ネジ部31cに螺合させて固定することにより、電磁弁120を本体部11へ固定することが可能となる。特に、この部分に金属材料を用いることで、漏水を防止した確実な固定が可能となる。
次に、固定キャップ132は、樹脂材料(一例として、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂等)を用いて形成されている。具体的な構成として、ソレノイド部124を中心として挟み込む配置で、工具連結治具110を着脱可能に取付ける治具取付け部136が複数個所設けられている。一例として、ソレノイド部124を挟み込んで対向する二つの位置に設けられている。なお、本実施形態に係る治具取付け部136は、ソレノイド部124(具体的にはステー140が固定される固定板142)を固定キャップ132に固定する固定溝部134と兼用で設けられている。また、本実施形態に係る改装方法に用いられる工具連結治具110の詳細な構成については後述する。
治具取付け部136すなわち固定溝部134は、周方向の両端において軸方向に沿って形成される壁部134aが、回動工具Tによって回動される工具連結治具110の回動力を受ける回動力作用部となる。
次に、弁部126は、コイルスプリング150等の金属部分を除いて基本的に樹脂材料(一例として、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂等であり、シール部はエラストマ材料)を用いて形成されている。弁部126の概略構成として、ベース部122の第2端部122bから遠い側の先端部126aにおいて、外周に流入口152、径方向中心に流出口154がそれぞれ開口形成されている。さらに、流入口152から流出口154へ連通して洗浄水を通流させる通流路156と、通流路156の開閉を行う差圧移動式のダイヤフラム弁158(弁体158a、弁座158b)と、一端がダイヤフラム弁158の移動空間となる弁箱158cに連通すると共に他端がダイヤフラム弁158の配設される位置よりも下流側となる位置で通流路156に連通する排圧ドレン流路160と、ソレノイド部124の可動鉄芯148に弁体162aが連結されて排圧ドレン流路160を開閉するパイロット弁162(弁体162a、弁座162b)とが設けられている。また、先端部126aにおける流出口154の周囲に、シリンダ室31の奥側の内壁31bに密着させる先端シール部174(一例として、エラストマ材料を用いた環状に形成されている)が設けられている。
これによれば、以下の作用が得られる。具体的には、第2センサ72が使用者を感知すると、その感知信号により第2駆動制御部74が電磁弁120のソレノイド部124(コイル144)に通電を行い、固定鉄芯146等が励磁されることによって、可動鉄芯148が固定鉄芯146に吸引される方向に動作し、パイロット弁162の弁体162aが弁座162bから離れるため、排圧ドレン流路160が開かれた状態となる(一例として、数秒程度に設定される)。このとき、排圧ドレン流路160は、ダイヤフラム弁158の配設される位置よりも下流側となる位置で通流路156に連通しているため、排圧ドレン流路160内の圧力が大気解放された状態となる。したがって、排圧ドレン流路160と連通しているダイヤフラム弁158の弁箱158cの部分(弁体158aに対して弁座158bが設けられる側と逆側の部分)の圧力が減圧されるため、弁体158aが弁箱158c内において弁座158bが設けられる側から弁座158bが設けられる側と逆側へと移動する。これによって、通流路156が開いた状態となるため、流入口152から流出口154へ洗浄水が流れることとなる。一方、その後の動作としては、電磁弁120が消磁すると、可動鉄芯148が固定鉄芯146に吸引された状態が解消し、リターンスプリング(コイルスプリング)172の作用によって、パイロット弁162の弁体162aが弁座162bに密着して排圧ドレン流路160が閉じられた状態となる。ここで、ダイヤフラム弁158の弁体158aは、弁座158bが設けられる側と弁座158bが設けられる側と逆側とを連通する小孔158dを備えているため、ダイヤフラム弁158の弁箱158c内は、流入口152側から当該小孔158dを通じて徐々に弁体158aの裏側(弁座158bが設けられる側と逆側)へと洗浄水が満ちてくる。さらに弁体158aの裏側にはリターンスプリング(コイルスプリング)150が設けられており、それらの作用によって、弁体158aが弁座158bに当接する状態となるため、通流路156、すなわち主流路28が閉じられて、洗浄水の通水が停止する。
ここで、本実施形態に特徴的な構成として、弁部126は、外周部において、シリンダ室31の内壁との間でシールを行う部材として、ベース部122(第2端部122b)に対して近い位置に第1シール部164が嵌設されており、ベース部122(第2端部122b)に対して遠い位置に第2シール部166が嵌設されている。一例として、第1シール部164には、エラストマ材料を用いたOリングが使用されている。また、第2シール部166には、エラストマ材料を用いたセルフシール型のUパッキンが使用されており、主流路28(28a)からの流体圧力によって密閉性が確保される作用が得られる。
また、第1シール部164は、電磁弁120が本体部19の所定位置に固定された状態となったときに、本体部19の第1開口孔13の位置に対して、シリンダ室31の奥側となる位置すなわち電磁弁120の第2端部120b寄り(弁部126の先端部126a寄り)となる位置に配置されている。
さらに、排圧ドレン流路160は、弁部126における第1シール部164と第2シール部166との間の外周部に形成された外周流路168を有している。この外周流路168は、パイロット弁162を間に介在させて、ダイヤフラム弁158の弁箱158c内の所定位置(弁体158aに対して弁座158bが設けられる側と逆側の位置)に連通し、且つ、ダイヤフラム弁158が配設される位置よりも下流側となる位置で通流路156に連通する構成となっている。
上記の構成によれば、所望の作用をなす排圧ドレン流路160を備える弁部126を金属材料ではなく樹脂材料で形成することが可能となる。その結果、電磁弁120の軽量化、材料費の低減、製造工程の簡素化・容易化、信頼性の向上を図ることが可能となる。特に、排圧ドレン流路160が金型を用いた成形によって全てもしくはほとんどが形成できるため、機械加工が不要となるもしくは極めて簡素となる。より具体的には、仮に、弁部126を金属材料で形成した場合には機械加工上の制約から、例えば排圧ドレン流路160をなす流路の一部を外周部から穿設した後に球状金属材料で穴埋めする必要が生じる等、製造工程の複雑化や流路(穴埋め部分)の信頼性低下(漏水リスク)といった課題が生じ得るが、上記の構成によればその解決を図ることが可能となる。
(工具連結治具)
続いて、本実施形態に係る改装方法に用いる工具連結治具110について詳しく説明する。
本実施形態に係る工具連結治具110の斜視図(概略図)を図47に示す。工具連結治具110は、電磁弁120のソレノイド部124を中心として挟み込む配置で電磁弁120の固定キャップ132に設けられた治具取付け部136に着脱可能に取付ける脚部112を備えると共に、当該脚部112を固定キャップ132(治具取付け部136)に取付けた状態で電磁弁120の軸心と回動工具Tの軸心とが一致するように回動工具Tを連結させることができる連結部116を備えて構成されている。一例として、連結部116は、中心(軸心)が電磁弁120の軸心と一致する位置に設けられている。
本実施形態に係る工具連結治具110は、図47に示すように、金属材料(一例として、鉄)を用いた板状部材を曲折させたコ字状(U字状)すなわち基部110aの両端から同一方向に延設された二つの側壁部110b、110cを有する形状に形成されている。ここで、二つの側壁部110b、110cの先端部に脚部112が設けられている。これによって、電磁弁120のソレノイド部124を挟み込む、すなわちソレノイド部124を跨ぐように被嵌させる配置で(ソレノイド部124に当接する必要はない)、当該脚部112を、治具取付け部136(すなわち、固定溝部134と兼用される溝)に着脱可能に取付ける(係合させる)ことが可能となる。そのため、脚部112の幅寸法(側壁部110b、110cの先端部の幅寸法)は、治具取付け部136(固定溝部134)の周方向寸法と係合可能な同一寸法に形成されている。
また、本実施形態に係る工具連結治具110に特徴的な構成として、側壁部(一例として、それぞれの側壁部110b、110c)において、連結部116を中心として点対称となる位置)から径方向内方に向かって突設される傾斜防止ストッパ114が設けられている。なお、変形例として、一つの側壁部110b(もしくは110c)において、または二つの側壁部110b、110cにおいて、幅方向の両端に傾斜防止ストッパ114を設ける構成としてもよい(不図示)。
特に、傾斜防止ストッパ114は、連結部116が電磁弁120の軸心に一致している際に当接せず、連結部116が電磁弁120の軸心から所定量ずれるように傾いた際に当接可能となるように構成されている。したがって、連結部116に回動工具Tを連結して、工具連結治具110を介して電磁弁120を回動させる際に、万一、工具連結治具110が所定の係合位置(連結部116の軸心が電磁弁120の軸心と一致する位置)から、それぞれの軸心が相互にずれて傾いた場合であっても、所定量の傾きが生じた時点で、傾斜防止ストッパ114が、電磁弁120のステー140と当接して、それ以上の傾きが生じることが防止できる。したがって、電磁弁120をシリンダ室31に取付ける作業を確実且つ容易に行うことが可能となる。ここで、前述の通り、工具連結治具110を治具取付け部136の所定位置に取付けた状態において、傾斜防止ストッパ114がソレノイド部124(ステー140)と当接しない構成としている。これは、電磁弁120のステー140は、回動力を受ける回動力作用部として用いられることが想定されていないため、傾斜防止ストッパ114が当接することによって作用力が伝達してしまうことを回避する目的である。
なお、工具連結治具110を回動させる回動工具Tの例として、汎用の六角レンチが用いられる。したがって、連結部116は、回動工具T(ここでは、六角レンチ)が連結可能な六角形状の連結孔(もしくは連結溝であってもよい)を備えて構成されている。ただし、回動工具Tは、六角レンチに限定されるものではなく、ソケットレンチ、ドライバー等を用いてもよく、その場合には、連結部を当該工具形状に対して連結可能な形状として構成すればよい。
(アダプタ)
続いて、本実施形態に係る改装方法(前述の変形例)に用いるアダプタ180について詳しく説明する。
本実施形態に係るアダプタ180の概略図として、第1端部180a側の斜視図を図48に、第2端部180b側の斜視図を図49に、正面断面図を図50にそれぞれ示す。
このアダプタ180は、金属材料(一例として、黄銅)を用いて異径円筒状に形成されている。具体的な構成として、シリンダ室31内壁の雌ネジ部31cに対して螺合可能な雄ネジ部182を外周部に有し、且つ、電磁弁120外壁の雄ネジ部128に対して螺合可能な雌ネジ部184を内周部に有している。また、第1端部180aにおいて径方向外方に突設される鍔状部186を有している。なお、鍔状部186の外周部は、汎用の回動工具(スパナ等)を係止して回動させる工具係止部として構成されている。また、第2端部180bにおいて、径方向に貫通する通水口188が開口形成されている。ここで、第2端部180bの径方向中心に設けられる開口部194は、電磁弁120の弁部126の先端部126aを挿通させて突出した状態で配設させるための開口である。
また、アダプタ180は、外周部において、シリンダ室31の内壁との間でシールを行う部材として、シール部190が嵌設されている。一例として、シール部190には、エラストマ材料を用いたOリングが使用されている。ここで、シール部190は、アダプタ180が本体部19の所定位置に固定された状態となったときに、本体部19の第1開口孔13の位置に対して、シリンダ室31の奥側となる位置すなわちアダプタ180の第2端部180b寄りとなる位置に配置されている。
また、アダプタ180は、内周部において、電磁弁120が当該アダプタ180の所定位置に固定された状態となったときに、電磁弁120に設けられた第1シール部164および第2シール部166の両方を密接させてシールを行うシール面192が設けられている。また、その状態において、アダプタ180の通水口188の軸方向位置と、電磁弁120の流入口152の軸方向位置とが、一致するように構成されている。したがって、本体部19の主流路28(28a)から、通水口188を介して、流入口152へ洗浄水が通水される。
上記の構成を備えるアダプタ180によれば、前述の工程S10(変形例)の実施が可能となる。すなわち、電磁弁120(雄ネジ部128)の外径が、シリンダ室31(雌ネジ部31c)の内径より小さい場合であっても、電磁弁120をシリンダ室31に挿入して固定することができる。より具体的には、電磁弁120をアダプタ180に挿入して螺合し、次いで、アダプタ180をシリンダ室31に挿入して螺合(後述)することにより、電磁弁120をシリンダ室31に挿入して固定する工程が実現される。その結果、アダプタ180を介在させない状態において得られる電磁弁120の作用効果を、アダプタ180を介在させた状態においても同様に得ることができる。このように、アダプタ180を用いることで、小径の電磁弁120を大径のシリンダ室31に固定することが可能となるため、シリンダ室31の形状毎に電磁弁を専用設計で製造する必要が無く、量産品を適用することができるため、装置コストの低減を図ることが可能となる。
[第四の実施形態]
続いて、本発明の第四の実施形態について説明する。本実施形態に関しては、前述の第一~第三の実施形態と基本的な構成は同様であるが、幾つかの構成において相違点を有する。以下、当該相違点を中心に本実施形態について説明する。なお、本実施形態に係る改装方法は、前述の実施形態と同様に、図9に示す本体部11、図23に示す本体部19に対して適用可能である。ここで、本実施形態に係る改装方法に用いられる電磁弁には、前述の第三の実施形態と同様の電磁弁120(第二例)が適用される。
(改装方法)
本実施形態に係る改装方法は、前述の第一の実施形態と比較して、工程S3(本体部11、19の密閉蓋27を取外し、シリンダ室31からピストンバルブ32を取外す工程)までは同様の構成となり、その後の工程が以下の構成となる。
本実施形態では、前述の第一の実施形態における工程S3に続く後の工程である工程S4、S5を実施しない構成となる。すなわち、副流路38(構造に応じて全部もしくは一部)および副電磁弁42を取外さずに、本体部11、19に残したままの状態とする。そのうえで、工程S3に続く後の工程として、前述の第三の実施形態と同様の工程S10~S12を実施する。なお、工程S10~S12は前述の第三の実施形態と同様であるため、繰り返しの説明を省略する。
ここで、前述の第三の実施形態との相違点としては、副流路38や副電磁弁42の取外しによる第1開口孔13の露出が生じないため、図9に示す本体部11に適用する場合において第1開口孔13の封止を袋ナットのような封止部材によって行う変形例の適用は無い。
このように、本実施形態においては、工程S4、S5を省略することが可能となるため、工数の削減による作業の簡素化が可能となる。これは、電磁弁120(第二例)を用いることによって実現される作用効果である。すなわち、当該電磁弁120は、弁部126の外周部において、シリンダ室31の内壁との間でシールを行う部材として、ベース部122(第2端部122b)に対して近い位置に第1シール部164が嵌設されており、ベース部122(第2端部122b)に対して遠い位置に第2シール部166が嵌設されている。さらに、第1シール部164は、電磁弁120が本体部11、19の所定位置に固定された状態となったときに、本体部11、19の第1開口孔13の位置に対して、シリンダ室31の奥側となる位置すなわち電磁弁120の第2端部120b寄り(弁部126の先端部126a寄り)となる位置に配置される構成を備えるためである。これに加えて、主流路28の開口28aから受ける強い水圧に対して直接的にシールを行う第2シール部166(セルフシール型パッキンの構成も有効に作用する)が第1シール部164よりもシリンダ室31の奥側となる位置すなわち電磁弁120の第2端部120b寄り(弁部126の先端部126a寄り)となる位置に配置される構成も当該効果をより高めるために作用する。したがって、副流路38の開閉用として設けられている副電磁弁42の弁構造が経年により漏水リスクを生じている場合でも、それらを残した状態で上記の改装を行うことが可能となる。
なお、変形例として、本体部11、19において副流路38を残したまま副電磁弁42のみ取外して、例えば、止水プラグ46、50あるいはさらに簡易なキャップ部材(不図示)を取付ける方法として実施することも考えられる。
以上説明した工程を備えて、前述の実施形態と同様に、主流路28の開閉を行う機構を、差圧移動式のピストンバルブを用いる方法から、電磁弁120を用いる方法に切替えることが可能となる。
なお、本実施形態に係る電磁弁120および工具連結治具110の構成は、前述の第三の実施形態と同様であるため、繰り返しの説明を省略する。ただし、第四の実施形態に関しては、電磁弁120における治具取付け部136を設けずに、電磁弁120に汎用工具を直接係合させる係合部(不図示)を設けて回動させる構成を採用することも考えられる。
また、前述の第三の実施形態と同様にアダプタ180を用いる変形例も適用可能である。
以上説明した通り、開示の改装方法、および当該改装方法に用いられる電磁弁、工具連結治具、アダプタによれば、前述の課題解決が可能となり、男性用小便器に例示される便器の自動洗浄を行う自動洗浄装置において、壁内もしくは壁近傍部に使用者を感知するセンサを備え、差圧移動式のピストンバルブによって主流路の開閉を行う自動洗浄装置のセンサが故障した際に、当該自動洗浄装置における壁外の配管が十分な長さを有していない場合や、壁外の配管自体が設けられていない場合に、壁埋め込み型ユニットの本体部を活用しつつ、自動洗浄機能を復帰させる改装を実現することができる。したがって、センサの故障時等において、便器自体を取換えなければならないような大規模な改修と多大な経費の発生を抑制することが可能となり、簡易に、且つ、低コストでの改装が実現可能となる。
また、本発明は、以上説明した実施形態に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、以上の実施形態においては、使用者を感知するセンサおよび駆動制御部を有するユニットが壁内に設けられる構成に対する適用例を主に説明を行った。しかし、本発明は、前述の通り、センサおよび駆動制御部を有するユニットが壁内のみならず、壁近傍部(例えば、便器の上方であって、壁面の前方となる位置等)に設けられる構成に対しても同様に適用し得るものである(いずれの構成においても、便宜的に「壁埋め込み型ユニット」と記載して説明)。
さらに、本発明は、本体部が便器の本体の上部に設けられると共に、センサおよび駆動制御部を有するユニットが便器の本体の上部もしくは便器の本体の上部に嵌設される蓋に設けられる構成(不図示)に対しても同様に適用し得るものである。その場合、前述のセンサおよび駆動制御部を取外す工程をそのまま実施してもよく、あるいは当該工程に代えて、センサおよび駆動制御部への配線を切離してそれらの機能を停止する工程を実施してもよい。その際には、前記ユニットに代わる第2センサおよび第2駆動制御部を外部(本体の上、蓋の上等)に設置すればよい(不図示)。また、このような構成に対しても、前述の電磁弁および工具連結治具(必要に応じてアダプタ)を適用することができる。
なお、以上説明した電磁弁および工具連結治具(必要に応じてアダプタ)をセットにし、「本改装方法に用いられる改装器具」として構成してもよい。