JP7194596B2 - ホログラム記録再生装置 - Google Patents
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Description
また再生時には、記録したときと同一条件の参照光を、好ましくは記録時の参照光照射方向とは逆側から記録媒体へ照射する(位相共役再生)と、記録媒体の内部のホログラムにより光が回折し、再生光が得られる。これを撮像素子等で撮像し、読み取られた2次元画像データを復調することで元の情報を読み出すことが可能である。
この手法において使用される変調コードの例としては、隣り合うピクセルの回折光強度の引き算を行い、その結果がマイナスであれば“0”、プラスであれば“1”にそれぞれ対応付ける差分コードや、図4(a)に示す5:9変調方式等がある。
パターンの組み合わせが最適となるように選択する手法としては、例えば、本願発明者等が提案した手法が知られている(非特許文献1)。この手法は、全ての変調パターンについてユークリッド距離和を計算し、相互距離が短いパターンを不採用とし、ビット間の距離との組み合わせからパターンを選択する。
所望の信号の変調パターンを複数個配列してなるページデータを記録するホログラム記録再生装置において、
複数個の該変調パターン同士は、互いに同一数の画素を同一形状に配列したものからなり、
該変調パターン同士が復調時に互いに誤りとなる確率が最も小さくなるように、所望の数の前記変調パターンを生成する変調パターン生成手段を備え、
該変調パターン生成手段は、機械学習法を用いて前記変調パターンの生成を行うように構成されていることを特徴とするものである。
前記ニューラルネットワークは、生成ニューラルネットワーク部分と復調ニューラルネットワーク部分が組み合わされてなり、該生成ニューラルネットワーク部分による生成ニューラルネットワーク処理と、該復調ニューラルネットワーク部分による復調ニューラルネットワーク処理とを交互に行うことにより、該復調ニューラルネットワーク部分の特性に応じて該生成ニューラルネットワーク部分を最適化して、生成する前記変調パターンを最適化することが好ましい。
前記尤度出力部から出力された、前記復調データに対する尤度情報に基づき、前記変調パターン生成部のパラメータおよび前記変調パターン復調部のパラメータを調整することが可能である。
なお、前記ノイズ付加変調パターン生成手段はオートエンコーダーを用いることも可能である。
すなわち、本実施形態に係るホログラム記録再生装置は、所望の信号の変調パターンを複数個配列してなるページデータを記録するものであり、このように記録に資する複数個の変調パターンについて復調時の誤り率が小さくなるよう所望の数の変調パターンを生成するものである。その際に、その変調パターンの生成の処理を機械学習法を用いて行う変調パターン生成手段を備えている。
<畳み込みニューラルネットワークの概要>
まず、図1および図2を用いて、本実施形態に係る畳み込みニューラルネットワークの概要を説明する。
すなわち、生成処理においては、信号ビット列が入力層11に入力され、次に、逆畳み込み層12および全結合層13での処理によって、記録すべき変調パターンの生成が変調パターン生成(部)14においてなされる。
次に、上記畳み込みニューラルネットワークからなる変調パターン生成手段10が搭載された本実施形態のホログラム記録再生装置について、その光学系を中心とした構成を図3を用いて説明する。
なお、ホログラム記録媒体110はフォトポリマーで構成され、位相共役型に対応した構成とされている。
ここで、記録する信号データ列を5ビット区切りで変調し、3×3の変調ブロックを敷き詰めて並べることでページデータを形成した場合には、例えば、1,740画素×1,044画素のページデータであれば、1740×1044÷(3×3)=201,840個の変調ブロックが配列されることになる。
図3に示すように、ホログラム記録媒体110に記録されたページデータ情報を再生する場合には、半波長板122の光軸に対する角度を調整することで、参照光の偏光方向を(s偏光からp偏光に)変換する。この参照光は、ミラー123で反射された後、PBS124に到達するが、半波長板122によってp偏光とされているので、このPBS124を直進することになる。
このように、記録媒体110へ入射された再生用の参照光は、記録媒体110中の信号光が照射された場所へ、その裏面側から記録用参照光の入射方向とは対向するような方向から照射される。
射出された再生光は、レンズ118を介してPBS117に照射される。このとき再生光はp偏光とされているのでPBS117を透過し、再生光に担持されたページデータ情報はカメラ120に入射して撮像される。
以下、図1および図2を用いて、本実施形態に係る畳み込みニューラルネットワークによる変調パターン生成方法についてさらに詳しく説明する。
ビット列入力部1から、変調パターン生成部2に信号ビット列が入力されると、生成NN7により任意の変調パターンが生成される。入力される信号ビット列は、例えば10:9変調の場合であれば1,024種類の1-of-k 表記(またはone-hot 表現と称される)の行列である。例えば、信号ビット列が0000000011(10進数で“3”)ならば、1-of-k 表記の行列は[0, 0, 0, 1, 0, …, 0]となる。
ここで、10:9変調など、輝点数が一意に決まっている変調パターンを生成する場合には、活性化関数やバイアス値に制約を加えることで、任意の数のシンボルのみが輝点となるようにする。これにより、全てのビット列(10:9変調であれば、0から1,023まで)に対応する変調パターンの初期値を生成することができる。
ここで、復調を行う変調パターン復調部4においては、復調アルゴリズムを学習するために大量のデータが必要となるので、生成されたパターンにデータオーギュメンテーション(データ拡張:全体の輝度レベルを変えたデータや、ノイズを加えたデータによる水増し処理)を施し、学習データを増加させる。
特に、事前にホログラム記録再生装置のモアレや汚れの面内分布情報を取得する、例えば特許第4863913号公報(以下特許文献2と称する)に記載された技術や、事前にホログラム記録再生装置の符号間干渉特性を取得する、例えば、“Neural Network Equalizer Matched to Recording Code in Holographic Data Storage,” H. Osawa et al., Jpn. J. Appl. Phys., 50, 09MB05, 2011年(以下非特許文献2と称する)に記載された技術を応用した手法により、生成された変調パターンにそれらのノイズ成分を加えたものを学習データとすることが可能であるが、この場合には変調パターン生成手段10内に配置したノイズ付加変調パターン生成手段を設けることにより、実際のホログラム記録再生装置の光学特性を勘案した復調検証が可能となり、ひいては実機のノイズ特性を考慮した変調パターンを生成することができる。
ここで、各パラメータの調整について具体的に説明する。変調パターン生成部2で生成された変調パターン、あるいはデータ水増し/ノイズ付加部3によってノイズが付加された変調パターンを逆畳み込み層22に入力する。ランダムに初期化されたパラメータを有する畳み込み層22と出力層23により、入力されたパターンの復調結果として尤もらしいビット列が推定され、10:9変調であれば1,024通りの尤度が出力される。尤度は、出力層23の活性化関数にReLU関数を用いることで、合計が1となる分布に規格化される。この出力された尤度と、入力された信号ビット列の誤差関数を定義する。例えば、交差エントロピーが一般的に用いられる。これを、確率的勾配降下法などの手法を用いて最小化し、それに合わせて畳み込み層22と出力層23のパラメータが更新される。誤差関数が最小化されたとき、あるいは事前に設定した任意の繰り返し数(エポック数)の学習を終えたとき、復調NN8の最適化がなされることになる。
変調パターン生成部2のパラメータ調整がされた後に変調パターン生成部2に再度信号ビット列を入力すれば、学習によりパラメータ調整がなされた変調パターン生成部2により新たな変調パターンが生成できる。この後、この変調パターン、あるいはノイズ付加やデータ水増しがされた変調パターンと、変調パターン生成部2に入力した信号ビット列を教師データとして使用して、変調パターン復調部4を学習させ、復調側を最適化させる。すると、例えば、[0, 0, 0, 1, 0, …, 0]という信号ビット列を変調パターン生成部2に入力すると、[0, 0.001, 0.001, 0.967, 0.0001, …, 0.0001]という復調結果が出力層23より出力され、変調パターン生成部2の学習により、学習前と比べて変調パターン生成部2に入力した信号ビット列により近い分布をもった復調ビット列が得られるようになる。この例では、復調NN8では、“2”である確率が0.1%、“3”である確率が96.7%、“4”である確率が0.01%と判定しており、学習前と比べると復調誤りが低減していることがわかる。
このように、変調パターン復調部4と変調パターン生成部2の学習プロセスを繰り返すことで、復調NN8の復調精度が向上するように、生成NN7の変調パターン生成部2が最適化されることになる。すなわち、復調結果に基づいて復調誤りが生じにくいような変調パターンの生成が自動的に最適化されることになる。
なお、本発明のホログラム記録再生装置としては上記実施形態のものに限られるものではなく、その他の種々の変更の態様をとることが可能である。
例えば、変調パターン復調部4と変調パターン生成部2の学習プロセスの繰り返し数は適宜選択することができる。
また、本実施形態のホログラム記録再生装置に係る変調パターン生成手段としては、畳み込みニューラルネットワーク以外の態様により構成してもよく、多層パーセプトロン等の順伝播型のニューラルネットワーク等を用いて構成してもよい。
また、ニューラルネットワークに替えて、「回帰」や「木」等の他の教師データありの機械学習法を用いることが可能である。
前述した、ノイズ特性を付加した変調パターンの生成に係る手法に関し、さらに付記的に説明する。上記特許文献2では、データの無い全面が白(またはグレー)のシンボルで構成されたページデータをサンプルデータとしてホログラムメモリーに記録する。理想的には、再生されたページデータも全面が白(またはグレー)のシンボルで構成されるはずであるが、実際には光学系中のモアレパターンや、レンズに付着した塵埃等の汚れ等に起因する、記録再生光学系のノイズが重畳されたページデータが再生される。この再生ページデータと、記録時に表示したページデータの差分をとれば、記録再生光学系のノイズ情報を取得できる(図5を参照)。この取得したノイズ情報を生成パターンに重畳することで、ノイズ付加変調パターンを作成することができるが、ノイズ成分はページデータ面内で分布を有している。生成される変調ブロックがページデータ面内のどの位置に配置されてもノイズ耐性を有するよう、取得したノイズ情報を変調ブロックのサイズ単位で分割し、それぞれのノイズ情報を変調ブロックに重畳させたものをノイズ付加変調パターンとする(図5を参照)。
次に、非特許文献2では、ページデータ内のシンボルごとに、カメラで取得した再生ページデータにおける、対象シンボルとその周囲2シンボル分を合わせた合計25シンボルの情報を入力情報とするとともに、記録時にSLMに表示したページデータにおける対象シンボルを出力情報とし、ニューラルネットワークに学習をさせている。これにより、ニューラルネットワークは記録再生光学系の符号間干渉情報を学習し、対象シンボルが周囲のシンボルから影響されて生じる符号間干渉を除去することができるイコライザーとして機能している。本実施形態ではこのニューラルネットワークをオートエンコーダーとし、さらに、ホログラムメモリーに記録するサンプルのページデータを入力情報とし、ホログラムメモリーから再生されたページデータを出力情報として学習する(図6を参照)。非特許文献2と異なり、ニューラルネットワークへの入力情報と出力情報を逆にすることで、符号間干渉によるノイズ成分を入力情報に逆に付加することができるオートエンコーダーとなる。同様に、ノイズ成分はページデータ面内で異なり、所定の分布を有することから、オートエンコーダーもページデータを領域ごとに分割した数の分を用意し、それぞれ学習させる。その際、領域のサイズは、シンボルのサイズ、変調パターンのサイズ、ページデータのサイズ(ページデータを分割せず、ページデータ全面をオートエンコーダーへの入出力情報とする場合)など、任意に設定して良い。なお、図6では変調パターンのサイズごとに領域を分割した場合の例を示している。生成された変調パターンを、学習を終えた各オートエンコーダーに入力すれば、オートエンコーダーの出力として、ページデータ面内の任意の位置におけるノイズが付加された変調パターンが得られる。
2 変調パターン生成部
3 データ水増し/ノイズ付加部
4 変調パターン復調部
5 尤度出力部
6 変調パターン出力部
7 生成ニューラルネットワーク(生成NN)
8 復調ニューラルネットワーク(復調NN)
10 変調パターン生成手段
11 入力層
12 逆畳み込み層
13 全結合層
14 変調パターン生成
21 ノイズ付加
22 畳み込み層
23 出力層(全結合層)
101 ホログラム記録再生装置
109 空間フィルタ
110 記録媒体
111 レーザ
112 発散レンズ
113 コリメートレンズ
114、122 半波長板
115、123、132 ミラー
116、117、124 偏光ビームスプリッタ(PBS)
118、126、136 レンズ
120 カメラ
125、150 ガルバノミラー
160 SLM(空間光変調器)
Claims (6)
- 所望の信号の変調パターンを複数個配列してなるページデータを記録するホログラム記録再生装置において、
複数個の該変調パターン同士は、互いに同一数の画素を同一形状に配列したものからなり、
該変調パターン同士が復調時に互いに誤りとなる確率が最も小さくなるように、所望の数の前記変調パターンを生成する変調パターン生成手段を備え、
該変調パターン生成手段は、機械学習法を用いて前記変調パターンの生成を行うように構成されていることを特徴とするホログラム記録再生装置。 - 前記変調パターン生成手段による機械学習が畳み込みニューラルネットワークを用いてなされることを特徴とする請求項1に記載のホログラム記録再生装置。
- 前記ニューラルネットワークは、生成ニューラルネットワーク部分と復調ニューラルネットワーク部分が組み合わされてなり、該生成ニューラルネットワーク部分による生成ニューラルネットワーク処理と、該復調ニューラルネットワーク部分による復調ニューラルネットワーク処理とを交互に行うことにより、該復調ニューラルネットワーク部分の特性に応じて該生成ニューラルネットワーク部分を最適化して、生成する前記変調パターンを最適化することを特徴とする請求項2に記載のホログラム記録再生装置。
- 前記生成ニューラルネットワーク部分は、少なくとも変調パターンを生成する変調パターン生成部を備え、前記復調ニューラルネットワーク部分は、少なくとも変調パターンを復調する変調パターン復調部および復調データの尤度を出力する尤度出力部を備え、
前記尤度出力部から出力された、該復調データに対する尤度情報に基づき、前記変調パターン生成部のパラメータおよび前記変調パターン復調部のパラメータを調整することを特徴とする請求項3に記載のホログラム記録再生装置。 - 前記変調パターン生成手段において生成された前記変調パターンに対し、装置光学系で生じたノイズの特性を加味してノイズ付加変調パターンを生成するノイズ付加変調パターン生成手段を備えたことを特徴とする請求項1~4のうちいずれか1項に記載のホログラム記録再生装置。
- 前記ノイズ付加変調パターン生成手段がオートエンコーダーからなることを特徴とする請求項5に記載のホログラム記録再生装置。
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