[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1~図10を用いて説明する。
本実施形態の画像表示装置は、使用者が頭部に装着して使用するヘッドマウントディスプレイの一例である。以下の説明では、ヘッドマウントディスプレイ(Head Mounted Display)を、HMDと略記する。
図1は、本実施形態のHMDを使用者が装着した状態を示す図である。図2は、HMDの斜視図である。
なお、以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
図1に示すように、本実施形態のHMD300(画像表示装置)は、使用者Mが眼鏡を掛ける感覚で頭部に装着して使用される。本実施形態のHMD300は、使用者の眼を覆う非透過型のHMDである。
図2に示すように、HMD300は、眼鏡に類似した形状を有する表示部100と、使用者Mが手で持つことが可能な程度の大きさを有する制御装置260と、を備えている。表示部100と制御装置260とは、有線または無線で通信可能に接続される。本実施形態において、表示部100を構成する左眼用画像表示部110Aおよび右眼用画像表示部110Bの各々と制御装置260とは、ケーブル290を介して有線で通信可能に接続され、画像信号や制御信号を通信する。
表示部100は、メインフレーム120と、左眼用画像表示部110Aと、右眼用画像表示部110Bと、を備えている。制御装置260は、表示画面270と、操作ボタン部280と、を備えている。
表示画面270は、例えば使用者Mに与える各種の情報や指示等を表示する。メインフレーム120は、使用者Mが耳に掛けるための一対のテンプル部122A,122Bを備えている。メインフレーム120は、左眼用画像表示部110Aと、右眼用画像表示部110Bと、を支持する。
右眼用画像表示部110Bと左眼用画像表示部110Aとは、同様の構成を有しており、双方の画像表示部110A,110B内の各構成要素は左右対称に配置されている。そのため、以下では、右眼用画像表示部110Bを単に画像表示部110として詳細に説明し、左眼用画像表示部110Aの説明を省略する。
図3は、画像表示部110の概略構成を示す図である。図3においては、使用者Mの眼MEの瞳の中心を通り、かつ、観察される画像の中心画角となる光線が通る経路を光軸AX1とする。
図3に示すように、画像表示部110は、画像表示モジュール10と、投射光学系12と、を備えている。画像表示モジュール10は、画像表示パネル20と、ホログラムレンズアレイ50と、を備えている。画像表示モジュール10は、画像情報を含む画像光を射出する。画像表示パネル20およびホログラムレンズアレイ50の詳細な構成については、後述する。
画像表示モジュール10から射出された光Lは、投射光学系12に入射する。投射光学系12は、第1レンズ121と、絞り123と、第2レンズ12bと、を有する。投射光学系12は、第1レンズ121によって射出光の中間像G1を生成し、第2レンズ122によって略平行光とした光Lを使用者Mの眼MEに導き、網膜上に結像させるように設計されている。
投射光学系12は、絞り123が第1レンズ121の後方焦点の位置に配置されることによって物体側テレセントリックの光学系として機能する。投射光学系12は、第2レンズ122によって絞り123の像を使用者Mの眼MEの瞳位置近傍に形成することにより、使用者Mに全画角を観察可能とする。
なお、本実施形態の投射光学系12は軸上色収差を補正しているため、画像光を構成する緑色光、赤色光および青色光は、投射光学系12によって色収差が生じない。なお、軸上色収差を補正した投射光学系12は、一般的には3枚以上のレンズを含む構成となるが、図3では説明を単純にするため、第1レンズ121および第2レンズ122のみを図示した。
図4は、画像表示モジュール10の平面図である。図5は、画像表示パネル20の光射出部21とホログラムレンズアレイ50の第1ホログラムレンズ511との位置関係を示す平面図である。図6は、画像表示パネル20の光射出部21とホログラムレンズアレイ50の第2ホログラムレンズ512との位置関係を示す平面図である。図7は、画像表示パネル20の光射出部21とホログラムレンズアレイ50の第3ホログラムレンズ513との位置関係を示す平面図である。
以下の説明において、図4~図7に示す画像表示パネル20の横方向は、発光領域E1においてアクティブマトリクス回路の走査線が延在する方向であり、水平方向Hと称する。これに対し、画像表示パネル20の縦方向は、発光領域E1においてアクティブマトリクス回路のデータ線が延在する方向であり、垂直方向Vと称する。
本実施形態の画像表示パネル20は、例えばトップエミッション型の有機ELパネルで構成されている。なお、画像表示パネル20は、例えば無機EL素子等の発光素子を備えた自発光型の画像表示パネルで構成されていてもよいし、液晶表示パネルで構成されていてもよい。
図4に示すように、画像表示パネル20は、矩形状の発光領域E1と、発光領域E1の周囲を囲む非発光領域E2と、を有している。発光領域E1は、水平方向Hおよび垂直方向Vにマトリクス状に配列され、アクティブマトリクス回路を構成する複数のサブ画素SP1,SP2,SP3を備えている。
具体的には、画像表示パネル20は、互いに交差する複数の走査線(図示略)および複数のデータ線(図示略)と、複数の走査線と複数のデータ線との交差位置の近傍に設けられた複数のスイッチング素子27(図5~図7参照)と、マトリクス状に配列された複数のサブ画素SP1,SP2,SP3と、を備えている。隣り合う走査線と隣り合うデータ線とによって囲まれた略正方形状の領域がサブ画素SP1,SP2,SP3であり、1つのサブ画素SP1,SP2,SP3は1つの光射出部を含んでいる。
本実施形態の場合、1個の画素PXは、マトリクス状に配列された複数のサブ画素SP1,SP2,SP3のうち、2行2列に配列された4個のサブ画素SP1,SP2,SP3によって構成されている。具体的には、画素PXは、画素PXの左上に位置する1個の第1サブ画素SP1と、画素PXの右下に位置する1個の第2サブ画素SP2と、画素PXの右上および左下に位置する2個の第3サブ画素SP3と、から構成されている。第1サブ画素SP1は、緑色光Gを射出する。第2サブ画素SP2は、赤色光Rを射出する。第3サブ画素SP3は、青色光Bを射出する。
複数のサブ画素SP1,SP2,SP3の各々は、有機EL素子からなる光射出部21を有している。隣り合うサブ画素SP1,SP2,SP3の有機EL素子の間には、これら有機EL素子を区画する隔壁が設けられている。したがって、各有機EL素子から発せられた光は、隔壁の開口部を通過して外部に射出される。本明細書では、有機EL素子からの光が射出される隔壁の開口部を光射出部21と定義する。このように、画像表示パネル20は、複数の光射出部21を有する。
図5~図8に示すように、本実施形態の光射出部21は、八角形の形状を有している。ただし、光射出部21の形状は、八角形に限らず、他の多角形であってもよいし、円形や楕円形であってもよい。発光領域E1に設けられた複数の有機EL素子は、封止膜257および保護基板255(図4参照)によって覆われている。発光領域E1の全体では、各サブ画素SP1,SP2,SP3の有機EL素子の発光/非発光が制御されることによって、画像が形成される。
複数の画素PXの各々は、1個の第1光射出部211と、1個の第2光射出部212と、2個の第3光射出部213と、を含んでいる。第1光射出部211は、第1サブ画素SP1に設けられ、例えば500nm~580nmの緑色波長域の光G(第1の色の光)を射出する。第2光射出部212は、第2サブ画素SP2に設けられ、例えば580nm~780nmの赤色波長域の光R(第2の色の光)を射出する。第3光射出部213は、第3サブ画素SP3に設けられ、例えば400nm~500nmの青色波長域の光B(第3の色の光)を射出する。
図4に示すように、非発光領域E2は、発光領域E1の周囲を囲む矩形枠状の領域である。つまり、非発光領域E2は、発光領域E1の外縁から画像表示パネル20の外縁20aまでの領域である。非発光領域E2は、画像表示パネル20の額縁領域に相当する。非発光領域E2は、実装領域E3を含んでいる。
実装領域E3には、複数の実装端子19が設けられている。制御信号および電源電位は、制御回路および電源回路等の各種の外部回路(図示せず)から各実装端子19に供給される。外部回路は、例えば実装領域E3に接合された可撓性の配線基板(図示せず)に実装される。
ホログラムレンズアレイ50は、複数のホログラムレンズ51を有し、画像表示パネル20から射出された光を回折させる。複数のホログラムレンズ51は、複数の第1ホログラムレンズ511と、複数の第2ホログラムレンズ512と、複数の第3ホログラムレンズ513と、を含んでいる。第1ホログラムレンズ511には、第1光射出部211から射出された緑色光Gが入射する。第2ホログラムレンズ512には、第2光射出部212から射出された赤色光Rが入射する。第3ホログラムレンズ513には、第3光射出部213から射出された青色光Bが入射する。このように、複数の光射出部21の各々から射出された光は、複数のホログラムレンズ51の各々に入射する。
図5に示すように、光の進行方向から見た平面視、すなわち画像表示パネル20の法線方向から見た平面視において、複数の第1ホログラムレンズ511は、水平方向Hおよび垂直方向Vにマトリクス状に配列されている。複数の第1ホログラムレンズ511の各々は、形状が略正方形状であり、一辺の寸法および面積が互いに略等しい。また、第1ホログラムレンズ511の面積は、第1光射出部211の面積よりも大きい。以下の説明では、光の進行方向から見た平面視、すなわち画像表示パネル20の法線方向から見た平面視を、平面視と称する。図5においては、図面を見やすくするため、4個の第1ホログラムレンズ511のみを図示するが、実際にはこの周囲にも複数の第1ホログラムレンズ511が設けられている。図6および図7についても同様である。
第1ホログラムレンズ511の中心位置は、第1光射出部211の中心位置と略一致している。水平方向Hもしくは垂直方向Vに互いに隣り合う2つの第1光射出部211の中心間の距離は、第1サブ画素SP1の1辺の長さの略2倍である。そのため、第1ホログラムレンズ511の1辺の長さは第1サブ画素SP1の1辺の長さの略2倍となり、第1ホログラムレンズ511の面積は第1サブ画素SP1の面積の略4倍となる。したがって、第1ホログラムレンズ511の面積は、画素PXの面積と略等しい。
同様に、図6に示すように、平面視において、複数の第2ホログラムレンズ512は、水平方向Hおよび垂直方向Vにマトリクス状に配列されている。複数の第2ホログラムレンズ512の各々は、形状が略正方形状であり、一辺の寸法および面積が互いに略等しい。第2ホログラムレンズ512の面積は、第2光射出部212の面積よりも大きい。
第2ホログラムレンズ512の中心位置は、第2光射出部212の中心位置と略一致している。また、第2ホログラムレンズ512の面積は、第1ホログラムレンズ511の面積と略等しく、画素PXの面積と略等しい。
図7に示すように、平面視において、複数の第3ホログラムレンズ513は、各サブ画素SP1,SP2,SP3の2本の対角線方向にマトリクス状に配列されている。つまり、第3ホログラムレンズ513の配列方向は、第1ホログラムレンズ511の配列方向および第2ホログラムレンズ512の配列方向に対して略45°の角度を有している。複数の第3ホログラムレンズ513の各々は、形状が略正方形状であり、一辺の寸法および面積が互いに略等しい。第3ホログラムレンズ513の面積は、第3光射出部213の面積よりも大きい。
第3ホログラムレンズ513の中心位置は、第3光射出部213の中心位置と略一致している。第3サブ画素SP3の対角線方向に互いに隣り合う2つの第3光射出部213の間の距離は、第3サブ画素SP3の対角線の長さに略等しい。そのため、第3ホログラムレンズ513の1辺の長さは第3サブ画素SP3の1辺の長さの略1.4倍となり、第3ホログラムレンズ513の面積は第3サブ画素SP3の面積の略2倍となる。したがって、第3ホログラムレンズ513の面積は、画素PXの面積の1/2と略等しい。
以上、各ホログラムレンズ51の配置を個別に説明したが、実際のホログラムレンズアレイ50においては、図8に示すように、平面視において、第1ホログラムレンズ511と第2ホログラムレンズ512と第3ホログラムレンズ513とは、互いに重畳している。すなわち、第1ホログラムレンズ511と第2ホログラムレンズ512とは互いに重畳し、第2ホログラムレンズ512と第3ホログラムレンズ513とは互いに重畳し、第3ホログラムレンズ513と第1ホログラムレンズ511とは互いに重畳している。
以下、画像表示モジュール10の断面構造について、図9および図10を用いて説明する。
図9は、図8のIX-IX線に沿う画像表示モジュール10の断面図である。
図9に示すように、画像表示モジュール10は、画像表示パネル20と、スペーサー層101と、ホログラムレンズ層102と、保護基板255と、を備えている。画像表示パネル20は、基板201と、有機EL素子202と、隔壁203と、封止膜257と、カラーフィルター204と、を備えている。
基板201の第1面201aに、有機EL素子202と、隔壁203と、が設けられている。有機EL素子202は、各サブ画素SP1,SP2,SP3に対応して設けられ、当該サブ画素SP1,SP2,SP3に対応した色の光を射出する。隔壁203は、隣り合う2つの有機EL素子202の間を区画する。上述したように、隔壁203の開口部が光射出部21となる。
有機EL素子202の詳細な構成の図示は省略するが、有機EL素子202は、反射層、画素電極(陽極)、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、および共通電極(陰極)等の構成要素が積層された構造を有している。また、画素電極と正孔輸送層との間に、正孔注入層が設けられることもある。
正孔輸送層の材料には、各種p型の高分子材料や、各種p型の低分子材料を単独または組み合わせて用いることができる。例えば、N,N’-ジ(1-ナフチル)-N,N’-ジフェニル-1,1’-ジフェニル-4,4’-ジアミン(NPD)、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-1,1’-ジフェニル-4,4’-ジアミン(TPD)等のテトラアリールベンジジン誘導体、テトラアリールジアミノフルオレン化合物またはその誘導体(アミン系化合物)等が用いられる。
電子輸送層の材料には、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(BCP)等のフェナントロリン誘導体、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(Alq3)等の8-キノリノールないしその誘導体を配位子とする有機金属錯体などのキノリン誘導体、アザインドリジン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体等が用いられる。
正孔注入層の材料には、銅フタロシアニン、4,4’,4’’-トリス(N,N-フェニル-3-メチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m-MTDATA)、N,N’-ビス-(4-ジフェニルアミノ-フェニル)-N、 N’-ジフェニル-ビフェニル-4-4’-ジアミン等が用いられる。
発光層において、ホストとしては、アントラセン誘導体、ナフタセン誘導体、ペリレン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアミン誘導体、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq3)等のキノリノラト系金属錯体、トリアリールアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、シロール誘導体、ジカルバゾール誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ベンゾピラン誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体等が用いられる。
発光層において、赤色光用のドーパントとして、テトラアリールジインデノペリレン誘導体等のペリレン誘導体、ユーロピウム錯体、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、ポルフィリン誘導体、ナイルレッド、2-(1,1-ジメチルエチル)-6-(2-(2,3,6,7-テトラヒドロ-1,1,7,7-テトラメチル-1H,5H-ベンゾ(ij)キノリジン-9-イル)エテニル)-4H-ピラン-4H-イリデン)プロパンジニトリル(DCJTB)、4-(ジシアノメチレン)-2-メチル-6-(p-ジメチルアミノスチリル)-4H-ピラン(DCM)等が用いられる。また、赤色燐光材料としては、赤色の燐光を発するものであれば特に限定されず、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウム等の金属錯体が挙げられ、これら金属錯体の配位子のうちの少なくとも一つがフェニルピリジン骨格、ビピリジル骨格、ポルフィリン骨格等を持つもの等が用いられる。
青色光用のドーパントとして、ジスチリルジアミン系化合物等のジスチリルアミン誘導体、フルオランテン誘導体、ピレン誘導体、ペリレンおよびペリレン誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、テトラフェニルブタジエン、4,4’-ビス(9-エチル-3-カルバゾビニレン)-1,1’-ビフェニル(BCzVBi)、ポリ[(9.9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジイル)-コ-(2,5-ジメトキシベンゼン-1,4-ジイル)]、ポリ[(9,9-ジヘキシルオキシフルオレン-2,7-ジイル)-オルト-コ-(2-メトキシ-5-{2-エトキシヘキシルオキシ}フェニレン-1,4-ジイル)]、ポリ[(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジイル)-コ-(エチルニルベンゼン)]等が用いられる。また、青色燐光材料として、青色の燐光を発するものであれば特に限定されず、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウム等の金属錯体等が用いられる。
緑色光用のドーパントとして、キナクリドン誘導体等のキナクリドンおよびその誘導体、9,10-ビス[(9-エチル-3-カルバゾール)-ビニレニル]-アントラセン、ポリ(9,9-ジヘキシル-2,7-ビニレンフルオレニレン)、ポリ[(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジイル)-コ-(1,4-ジフェニレン-ビニレン-2-メトキシ-5-{2-エチルヘキシルオキシ}ベンゼン)]、ポリ[(9,9-ジオクチル-2,7-ジビニレンフルオレニレン)-オルト-コ-(2-メトキシ-5-(2-エトキシルヘキシルオキシ)-1,4-フェニレン)]等が用いられる。また、緑色燐光材料として、緑色の燐光を発するものであれば特に限定されず、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウム等の金属錯体が挙げられる。中でも、これら金属錯体の配位子のうちの少なくとも一つが、フェニルピリジン骨格、ビピリジル骨格、ポルフィリン骨格等を持つものが好ましい。
共通電極は、一部の光を透過し、残りの光を反射する性質(半透過反射性)を有する半透過反射層として機能する。半透過反射性を有する共通電極は、例えば銀やマグネシウムを含有する合金などの光反射性の導電材料を充分に薄い膜厚に形成することで実現できる。発光層からの射出光は、反射層と共通電極との間で往復する間に特定の共振波長の成分が選択的に増幅され、共通電極を透過して観察側(基板とは反対側)に射出される。すなわち、反射層から共通電極までの複数の層によって光共振器が構成される。
有機EL素子202は、封止膜257によって覆われている。封止膜257は、外気や水分の侵入を防止するための膜であって、単層構造もしくは積層構造を有し、透光性を有する無機材料もしくは有機材料で構成されている。
カラーフィルター204は、各サブ画素SP1,SP2,SP3に対応して設けられ、第1光射出部211、第2光射出部212および第3光射出部213の各々から射出された光が入射する。第1サブ画素SP1のカラーフィルター204は、緑色波長域以外の波長域の光を吸収し、緑色波長域の光を透過する光吸収型のフィルター層で構成されている。同様に、第2サブ画素SP2のカラーフィルター204は、赤色波長域以外の波長域の光を吸収し、赤色波長域の光を透過する光吸収型のフィルター層で構成されている。第3サブ画素SP3のカラーフィルター204は、青色波長域以外の波長域の光を吸収し、青色波長域の光を透過する光吸収型のフィルター層で構成されている。
本実施形態においては、画像表示パネル20が光共振器を備えているため、共振波長での光の共振によって各色に対応した光が射出される。さらに、光共振器の光射出側にカラーフィルター204が設けられているため、有機EL素子202から射出される光の色純度がより高められる。
スペーサー層101は、カラーフィルター204とホログラムレンズ層102との間に設けられ、光射出部21とホログラムレンズ層102との間の距離を一定に保持する。スペーサー層101は、単層構造もしくは積層構造を有し、透光性を有する無機材料もしくは有機材料で構成されている。
図10は、ホログラムレンズアレイ50の模式図である。
図10については、基板201と光射出部21とホログラムレンズアレイ50以外の構成要素の図示を省略した。また、ホログラムレンズアレイ50は、3つのホログラムレンズ511,512,513がホログラムレンズ層102内の全領域で重畳された構成を有するが、3つのホログラムレンズ511,512,513の屈折率縞が立体的に重畳されている様子を図示するのは不可能である。そのため、図10では、2つのホログラムレンズ511,512の屈折率縞が重畳されている様子を図示した。
図10に示すように、本実施形態の画像表示モジュール10は、単層のホログラムレンズ層102を有している。第1ホログラムレンズ511は、ホログラムレンズ層102の内部に形成されている。すなわち、本実施形態のホログラムレンズは体積ホログラムによって構成されている。この種のホログラムレンズは、例えば干渉露光法によって製造することができる。ホログラムレンズアレイ50は、カラーフィルター204の光射出側に設けられている。
第1ホログラムレンズ511は、レンズ材料の屈折率が相対的に高い高屈折率領域と、レンズ材料の屈折率が相対的に低い低屈折率領域と、が交互に設けられた屈折率縞511sを有している。屈折率縞511sは、断面図で見た場合には単なる縞状に見えるが、実際には第1光射出部211の中心から立体的に形成された放物面状の複数の曲面から構成されている。また、屈折率縞511sの山谷のピッチは、第1光射出部211の中央側で広く、第1光射出部211の周縁側で狭くなっている。
第2ホログラムレンズ512は、ホログラムレンズ層102の内部に形成されている。第2ホログラムレンズ512は、第1ホログラムレンズ511と同様、高屈折率領域と低屈折率領域とが交互に設けられた屈折率縞512sを有している。屈折率縞512sのピッチは、第2光射出部212の中央側で広く、第2光射出部212の周縁側で狭くなっている。
第1ホログラムレンズ511と第2ホログラムレンズ512とは、単層のホログラムレンズ層102の内部において重畳された状態で形成されている。第1ホログラムレンズ511の屈折率縞511sの中心は、第1光射出部211の中心に略一致している。同様に、第2ホログラムレンズ512の屈折率縞512sの中心は、第2光射出部212の中心に略一致している。そのため、第1ホログラムレンズ511と第2ホログラムレンズ512とは、水平方向に位置がずれた状態で重畳されている。
第1ホログラムレンズ511の屈折率縞511sのピッチは、第1光射出部211から射出される緑色光Gの波長域に合わせて設定されている。第2ホログラムレンズ512の屈折率縞512sのピッチは、第2光射出部212から射出される赤色光Rの波長域に合わせて設定されている。したがって、第2ホログラムレンズ512の屈折率縞512sの平均的なピッチは、第1ホログラムレンズ511の屈折率縞511sの平均的なピッチよりも長い。これにより、第1光射出部211から射出された緑色光Gは、第1ホログラムレンズ511の屈折率縞511sに当たって屈折する。第2光射出部212から射出された赤色光Rは、第2ホログラムレンズ512の屈折率縞512sに当たって回折する。
図10に図示されていない第3ホログラムレンズ513についても、上記の第1ホログラムレンズ511および第2ホログラムレンズ512と同様である。すなわち、第3ホログラムレンズ513は、ホログラムレンズ層102の内部に形成されている。第3ホログラムレンズ513は、高屈折率領域と低屈折率領域とが交互に設けられた屈折率縞を有している。屈折率縞のピッチは、第3光射出部213の中央側で広く、第3光射出部213の周縁側で狭くなっている。第3ホログラムレンズ513の屈折率縞のピッチは、第3光射出部213から射出される青色光Bの波長域に合わせて設定されている。これにより、第3光射出部213から射出された青色光Bは、第3ホログラムレンズ513の屈折率縞に当たって回折する。
なお、図10から判るように、第1光射出部211から射出される緑色光Gは、第1ホログラムレンズ511だけでなく、第2ホログラムレンズ512にも入射する。しかしながら、第2ホログラムレンズ512の屈折率縞512sの位置が第1光射出部211に対応していないこと、また、第2ホログラムレンズ512の屈折率縞512sのピッチが緑色光Gの波長域に対応していないことによって、緑色光Gが第2ホログラムレンズ512によって回折することはほとんどない。同様に、緑色光Gが第3ホログラムレンズ513によって回折することはほとんどない。
他の光とホログラムレンズとの関係も同様である。すなわち、赤色光Rは、第2ホログラムレンズ512によって回折するが、第1ホログラムレンズ511および第3ホログラムレンズ513によってはほとんど回折しない。青色光Bは、第3ホログラムレンズ513によって回折するが、第1ホログラムレンズ511および第2ホログラムレンズ512によってはほとんど回折しない。
また、各光射出部21からホログラムレンズ層102までの距離は、各ホログラムレンズ51の焦点距離と略等しくなるように設定されることが望ましい。この構成によれば、光射出部21の各点から射出された光の主光線を平行化することができる。また、各光射出部21の端部から射出された光の射出角度は、後段の光学系の飲み込み角度と合わせることが望ましい。具体的には、光射出部21の幅が3μm、光学系の飲み込み角度がガラス内部で±7度の場合、ホログラムレンズ51の焦点距離を12μm近辺に設定すればよい。
図9に示すように、ホログラムレンズ層102は、保護基板255によって覆われている。保護基板255は、ホログラムレンズ層102への水分や塵埃の浸入を抑制する。保護基板255は、例えばガラスによって構成されている。
図15は、従来の画像表示モジュール90において、光射出部91とホログラムレンズ92との位置関係を示す平面図である。
図15に示すように、従来の画像表示モジュール90においては、特許文献1に記載されているように、画像表示パネルの各サブ画素SP11,SP12,SP13と略同じ面積のホログラムレンズ921,922,923が各光射出部911,912,913に対応して配置されている。この場合、画像表示パネルの各サブ画素SP11,SP12,SP13から射出された光のうち、当該サブ画素に対応するホログラムレンズ921,922,923の外側に進む光は当該ホログラムレンズに入射されないため、画像表示に寄与することはできない。したがって、従来の画像表示モジュール90においては、光利用効率が低いという問題があった。特にこの問題は、射出角度範囲が広い有機ELパネル等の自発光型パネルにおいて顕著となる。
この問題に対し、本発明者らは、ホログラムレンズを用いる場合、各サブ画素に対応するホログラムレンズを隣り合うサブ画素の領域にまではみ出して形成しても、各ホログラムレンズが支障なく機能できることに想到し、本発明に至った。すなわち、本実施形態の画像表示モジュールにおいては、各ホログラムレンズの面積は当該ホログラムレンズに対応する各光射出部の面積よりも大きく、各ホログラムレンズが隣り合うホログラムレンズと互いに重畳している。
これにより、大きな射出角で射出され、従来の構成ではホログラムレンズに入射されなかった光、例えば図9に示すように、第1サブ画素SP1から射出され、ホログラムレンズ層102の位置で隣の第2サブ画素SP2にはみ出す領域にまで進んだ緑色光Gが、本実施形態の構成によって第1ホログラムレンズ511に入射されるようになる。すなわち、各サブ画素SP1,SP2,SP3から射出された光のうち、ホログラムレンズ51に入射する光の割合を従来よりも増やすことができる。その結果、本実施形態の画像表示モジュール10によれば、光利用効率を従来よりも高めることができ、明るい表示を得ることができる。
本実施形態の場合、各ホログラムレンズ51の中心位置が各光射出部21の中心位置と略一致しているため、各光射出部21からの光を各ホログラムレンズ51によって効率良く回折させることができる。その結果、光利用効率を効果的に高めることができる。
本実施形態の場合、画像表示パネル20が各光射出部21からの射出角度範囲が広い有機ELパネルで構成されているため、表示に寄与できない光の割合が減少し、光利用効率の向上効果がより有効である。
また、ホログラムレンズアレイ50がカラーフィルター204の光射出側に設けられているため、各有機EL素子202から射出された光の波長帯が光共振器とカラーフィルター204とによって狭帯域に絞られる。そのため、各サブ画素SP1,SP2,SP3からの色光が当該サブ画素に対応するホログラムレンズ51によって回折し、当該サブ画素SP1,SP2,SP3に対応しない他のホログラムレンズ51によっては回折しない作用が高められる。これにより、隣り合う画素PX間のクロストークを低減し、解像感の低下を抑えることができる。
本実施形態の場合、第1ホログラムレンズ511、第2ホログラムレンズ512および第3ホログラムレンズ513がホログラムレンズ層102の内部で重畳されているため、ホログラムレンズ層102が1層で済み、画像表示モジュール10の薄型化を図ることができる。
一般に青色光用の発光層材料は、緑色光用の発光層材料および赤色光用の発光層材料に比べて寿命が短いという傾向がある。したがって、各発光層材料に対して同じ電流密度で駆動電流を供給した場合、青色光用の発光層材料では、緑色光用もしくは赤色光用の発光層材料に比べて発光効率の低下が早く生じる、という問題を有している。
上記の観点から、画像表示パネル20の1つの画素PXは、寿命が相対的に短い青色光用発光層材料を用いた第3サブ画素SP3が2個、寿命が相対的に長い緑色光用発光層材料を用いた第1サブ画素SP1および赤色光用発光層材料を用いた第2サブ画素SP2がそれぞれ1個で構成されている。そのため、第3サブ画素SP3における単位面積当たりの電流密度を、第1サブ画素SP1および第2サブ画素SP2における単位面積当たりの電流密度に比べて小さくすることができる。これにより、第3サブ画素SP3の発光層材料の寿命を延ばすことができ、画像表示モジュール10として、明るい表示を保ちつつ寿命を確保することができる。
さらに、2個の第3サブ画素SP3が1つの画素PXの中で斜めに配置され、それに対応して第3ホログラムレンズ513の配列方向が第1ホログラムレンズ511の配列方向および第2ホログラムレンズ512の配列方向に対して45°傾いているため、各ホログラムレンズ511,512,513を効率良く配置することができる。また、1個の画素PXが2個の第3サブ画素SP3と1個の第1サブ画素SP1と1個の第2サブ画素SP2とで構成されていても、第3ホログラムレンズ513の面積が第1ホログラムレンズ511および第2ホログラムレンズ512の各面積の1/2になっているため、画素PXのホワイトバランスが取りやすい設計を実現することができる。
本実施形態のホログラムレンズアレイ50によれば、明るい表示が可能な画像表示モジュール10を実現することができる。
本実施形態のHMD300は、上記画像表示モジュール10を備えているため、明るい表示を実現することができる。
なお、本実施形態の画像表示モジュール10は、上記実施形態の構成に代えて、以下に示す変形例の構成を有していてもよい。
(第1変形例)
図11は、第1変形例の画像表示モジュール14の断面図である。
図11において、第1実施形態の図9と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
図11に示すように、第1変形例の画像表示モジュール14は、基板201と、有機EL素子202と、隔壁203と、封止膜257と、カラーフィルター204と、第1スペーサー層103と、第1ホログラムレンズ層104と、第2スペーサー層105と、第2ホログラムレンズ層106と、保護基板255と、を備えている。
第3ホログラムレンズ513は、第1ホログラムレンズ層104に設けられている。第1ホログラムレンズ511および第2ホログラムレンズ512(図11では図示せず)は、第2ホログラムレンズ層106の内部において重畳された状態で設けられている。したがって、第3サブ画素SP3から射出された青色光Bは、第1ホログラムレンズ層104の第3ホログラムレンズ513によって回折される。第1サブ画素SP1から射出された緑色光Gは、第2ホログラムレンズ層106の第1ホログラムレンズ511によって回折される。第2サブ画素SP2から射出された赤色光Rは、第2ホログラムレンズ層106の第2ホログラムレンズ512によって回折される。
第1スペーサー層103および第2スペーサー層105は、第1実施形態のスペーサー層101と同様の有機材料もしくは無機材料によって構成されている。
画像表示モジュール14のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
なお、第1ホログラムレンズ511、第2ホログラムレンズ512および第3ホログラムレンズ513を2層のホログラムレンズ層104,106に振り分けて形成する場合の組合せは、特に限定されるものではない。例えば第1ホログラムレンズ511が第1ホログラムレンズ層104に設けられ、第2ホログラムレンズ512および第3ホログラムレンズ513が第2ホログラムレンズ層106に設けられていてもよい。また、画像表示モジュールが3層のホログラムレンズ層を備え、第1ホログラムレンズ511、第2ホログラムレンズ512および第3ホログラムレンズ513の各々が3層のホログラムレンズ層の各々に設けられていてもよい。
このように、第1ホログラムレンズ511、第2ホログラムレンズ512および第3ホログラムレンズ513を2層のホログラムレンズ層104,106に振り分けることによって、全てのホログラムレンズ511,512,513を単層のホログラムレンズ層に重畳させる場合に比べて、ホログラムレンズアレイを形成しやすくなる。
(第2変形例)
図12は、第2変形例の画像表示モジュール15において、画像表示パネルとホログラムレンズアレイとの位置関係を示す平面図である。ここでは、第2ホログラムレンズの配置の例を挙げて説明する。
図12において、第1実施形態の図6と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
図12に示すように、第2変形例の画像表示モジュール15の場合、平面視において、複数の第2ホログラムレンズ522は、水平方向Hおよび垂直方向Vに配列されている。複数の第2ホログラムレンズ522の各々は、形状が略円形状であり、円の直径および面積が互いに略等しい。第2ホログラムレンズ522の面積は、第2光射出部212の面積よりも大きい。このように、ホログラムレンズの形状は、四角形に限らず、円形であってもよい。
また、第1実施形態において、第1ホログラムレンズ511、第2ホログラムレンズ512および第3ホログラムレンズ513は相互に重畳していたが、同じレンズ同士、すなわち、第1ホログラムレンズ511同士、第2ホログラムレンズ512同士、および第3ホログラムレンズ513同士は重畳していなかった。
これに対し、第2変形例の画像表示モジュール15においては、隣り合う第2ホログラムレンズ522同士は、互いに重畳している。図示しない第1ホログラムレンズ同士および第3ホログラムレンズ同士についても、互いに重畳している。さらに、図示しないが、第1ホログラムレンズ、第2ホログラムレンズおよび第3ホログラムレンズは相互に重畳している。
第2変形例においては、同じピッチの屈折率縞を有するホログラムレンズ同士が重畳しているため、特定の光射出部21から射出された光が隣の光射出部21に対応したホログラムレンズに入射することが考えられる。しかしながら、隣り合うホログラムレンズ同士は、屈折率縞のピッチが同じとは言え、屈折率縞の位置や方向が異なるため、特定の光射出部からの光が隣のホログラムレンズに入射しても、そのホログラムレンズによって回折されることはほとんどない。したがって、隣り合う画素間のクロストークが低減され、解像感の低下が抑えられる。
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、図13を用いて説明する。
第2実施形態の画像表示モジュールおよび画像表示装置の基本構成は第1実施形態と同様であり、1つの画素を構成するサブ画素の構成が第1実施形態と異なる。そのため、画像表示モジュールおよび画像表示装置の全体構成の説明は省略する。
図13は、第2実施形態の画像表示モジュール16において、画像表示パネルとホログラムレンズアレイとの位置関係を示す平面図である。
図13に示すように、第2実施形態の画像表示モジュール16において、1個の画素PX1は、垂直方向Vに配列された3個のサブ画素SP4,SP5,SP6によって構成されている。具体的には、画素PX1は、画素PX1の上部に位置する第1サブ画素SP4と、画素PX1の中央に位置する第2サブ画素SP5と、画素PX1の下部に位置する第3サブ画素SP6と、から構成されている。第1サブ画素SP4は、赤色光Rを射出する。第2サブ画素SP5は、緑色光Gを射出する。第3サブ画素SP6は、青色光Bを射出する。画素PX1は、略正方形状の形状を有している。
本実施形態の光射出部23は、長方形の形状を有している。画素PX1は、第1サブ画素SP4に設けられた第1光射出部231と、第2サブ画素SP5に設けられた第2光射出部232と、第3サブ画素SP6に設けられた第3光射出部233と、を含んでいる。第3光射出部233の面積は、第1光射出部231の面積および第2光射出部232の面積の略2倍である。
図13においては、図面を見やすくするため、1個の画素PX1(3個のサブ画素SP4,SP5,SP6)に対応する3個のホログラムレンズ53のみを図示するが、実際にはこの周囲にも複数のホログラムレンズ53が設けられている。
平面視において、複数の第1ホログラムレンズ531の各々は、形状が略正方形状であり、一辺の寸法および面積が互いに略等しい。また、第1ホログラムレンズ531の面積は、第1光射出部231の面積よりも大きく、画素PX1の面積に略等しい。第1ホログラムレンズ531の中心位置は、第1光射出部231の中心位置と略一致している。
第1ホログラムレンズ531と同様に、複数の第2ホログラムレンズ532の各々は、形状が略正方形状であり、一辺の寸法および面積が互いに略等しい。第2ホログラムレンズ532の面積は、第2光射出部232の面積よりも大きく、画素PX1の面積に略等しい。第2ホログラムレンズ532の中心位置は、第2光射出部232の中心位置と略一致している。
第1ホログラムレンズ531と同様に、複数の第3ホログラムレンズ533の各々は、形状が略正方形状であり、一辺の寸法および面積が互いに略等しい。第3ホログラムレンズ533の面積は、第3光射出部233の面積よりも大きく、画素PX1の面積に略等しい。第3ホログラムレンズ533の中心位置は、第3光射出部233の中心位置と略一致している。
ホログラムレンズアレイ54においては、平面視において、第1ホログラムレンズ531と第2ホログラムレンズ532と第3ホログラムレンズ533とは、互いに重畳している。すなわち、第1ホログラムレンズ531と第2ホログラムレンズ532とは互いに重畳し、第2ホログラムレンズ532と第3ホログラムレンズ533とは互いに重畳し、第3ホログラムレンズ533と第1ホログラムレンズ531とは互いに重畳している。ただし、本実施形態の場合、第1ホログラムレンズ531と第2ホログラムレンズ532と第3ホログラムレンズ533とは、垂直方向Vにおいて互いに重畳しており、水平方向Hにおいては互いに重畳していない。
画像表示モジュール16のその他の構成については、第1実施形態と同様である。
例えばホログラムレンズアレイ54は、単層のホログラムレンズ層で構成されていてもよいし、2層もしくは3層のホログラムレンズ層で構成されていてもよい。
このように、本実施形態の画像表示モジュール16においては、各ホログラムレンズ53の面積は当該ホログラムレンズ53に対応する各光射出部23の面積よりも大きく、各ホログラムレンズ53が垂直方向Vに隣り合うホログラムレンズ53と互いに重畳している。
本実施形態の画像表示モジュール16においても、各サブ画素SP4,SP5,SP6から射出された光のうち、ホログラムレンズ53に入射する光の割合を従来よりも増やすことができるため、光利用効率を従来よりも高めることができ、明るい表示を得ることができる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態について、図14を用いて説明する。
第3実施形態の画像表示モジュールおよび画像表示装置の基本構成は第1実施形態と同様であり、画像表示パネルの構成が第1実施形態とは異なる。そのため、画像表示モジュールおよび画像表示装置の全体構成の説明は省略する。
図14は、第3実施形態の画像表示モジュール17において、画像表示パネルとホログラムレンズアレイとの位置関係を示す平面図である。
第1、第2実施形態では、フルカラー表示が可能な画像表示モジュールの例を挙げたのに対し、第3実施形態では、単色表示が可能な画像表示モジュール17の例を挙げる。
図14に示すように、第3実施形態の画像表示パネルは、水平方向Hおよび垂直方向Vにマトリクス状に配列された複数の画素PX2を備えている。画素PX2は、略正方形状の領域によって構成され、1つの画素PX2は1つの光射出部24を含んでいる。複数の画素PX2の各々は、有機EL素子を有している。本実施形態の光射出部24は、八角形の形状を有しているが、他の形状を有していてもよい。光射出部24から射出される光の波長域は、特に限定されず、射出される光の色は何色であってもよい。
ホログラムレンズアレイ55は、複数のホログラムレンズ56を有している。光射出部24から射出された光は、ホログラムレンズ56に入射することによって回折される。複数のホログラムレンズ56の各々は、形状が略円形であり、円の直径および面積が互いに略等しい。また、ホログラムレンズ56の面積は、光射出部24の面積よりも大きく、かつ、1つの画素PX2に対応する領域の面積よりも大きい。図14においては、図面を見やすくするため、5個のホログラムレンズ56のみを図示するが、実際にはこの周囲にも複数のホログラムレンズ56が設けられている。
各ホログラムレンズ56の中心位置は、各光射出部24の中心位置と略一致している。本実施形態の場合、各画素PX2から射出される光の波長帯は互いに等しいため、第1、第2実施形態と異なり、各ホログラムレンズ56が有する屈折率縞のピッチも互いに等しい。
ここで、任意の1個のホログラムレンズ56を第1ホログラムレンズ56Aとし、第1ホログラムレンズ56Aに対して水平方向Hもしくは垂直方向Vにおいて隣り合うホログラムレンズ56を第2ホログラムレンズ56Bとする。このとき、平面視において、第1ホログラムレンズ56Aと第2ホログラムレンズ56Bとは、互いに重畳している。本実施形態において、複数のホログラムレンズ56は、全て同じ構成を有しているため、単層のホログラムレンズ層に設けられることが望ましい。
画像表示モジュール17のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
本実施形態の画像表示モジュール17においても、各光射出部24から射出された光のうち、ホログラムレンズ56に入射する光の割合を従来よりも増やすことができるため、光利用効率を従来よりも高めることができ、明るい表示を得ることができる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
ただし、厳密に言えば、本実施形態の場合、隣り合うホログラムレンズ56同士の屈折率縞のピッチが互いに等しいため、隣り合うホログラムレンズ56同士の重なりが大きくなる程、隣のホログラムレンズ56に入射した光が回折される割合が増加する。そのため、隣り合う画素PX2間のクロストークが増えることによって解像感が低下する、という欠点もある。しかしながら、本実施形態の画像表示モジュール17は、多少の解像感の低下を犠牲にしても、表示の明るさが求められる用途に好適に用いることができる。
また、光射出部24の面積を小さくするとともにホログラムレンズ56の焦点距離を短くすれば、ホログラムレンズ56はより大きな射出角度で射出された光を取り込むことができる。そのため、表示の明るさをより高められるとともに、有機EL素子に投入する電力を削減することができ、消費電力を削減することができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば上記実施形態では、ホログラムレンズが体積ホログラムで構成されている例を示したが、ホログラムレンズが他のホログラム素子、例えば表面レリーフホログラム、ブレーズドホログラムなどで構成されていてもよい。これらのホログラム素子を用いた場合、屈折率縞の屈折率差を大きくできるため、薄型で回折効率が高いホログラムレンズアレイが得られる。
また、ホログラムレンズアレイの製造方法として、干渉露光を用いて製造されたホログラムの他、計算機ホログラムとフォトリソグラフィー技術によって製造されたホログラムであってもよい。
また、必ずしも画像表示パネルの3色全ての色に対応するサブ画素に対してホログラムレンズアレイを組み合わせなくてもよく、例えば効率向上を必要とする1色もしくは2色のサブ画素のみに対応したホログラムレンズアレイを画像表示パネルに組み合わせてもよい。
また、画像表示パネルは、有機ELパネルに限らず、無機ELパネル、マイクロLEDパネル等の自発光型パネルであってもよい。あるいは、画像表示パネルは、自発光型パネルに限らず、液晶パネル等、照明装置と空間光変調素子とを備えた表示パネルであってもよい。
また、上記実施形態で例示したホログラムレンズアレイ、画像表示モジュールおよび画像表示装置の各構成要素の材料、数、配置、形状等の具体的構成は、適宜変更が可能である。
また、上記実施形態で例示した画像表示モジュールを備えた画像表示装置として、プロジェクター、ビデオカメラやスチルカメラなどの撮像装置に利用される電子式ビューファインダー(EVF:Electronic View Finder)、信号機、電子掲示板等を挙げることができる。