JP7191634B2 - 害虫検出装置および害虫検出システム - Google Patents

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Description

本発明は、害虫検出装置および害虫検出システムに関する。
特許文献1には、蚊の羽音または反射波を検知して音波または超音波で撃退する電子蚊取器が記載されている。特許文献2には、検出された音情報と予め記憶された環境音を示す音情報との差分をとり、その差分情報と予め記憶された特定の虫の羽音を示す音情報との比較結果に応じて警報を発生させる虫警報装置が記載されている。特許文献3には、コウモリが発する超音波の波長域の超音波を発生させて害虫の防除を行う害虫防除システムが記載されている。
特開昭63-181940号公報 特開2007-289039号公報 特開2011-205981号公報
昨今の住宅は気密性が高いため、例えばゴキブリやムカデなどの害虫は、一度室内に侵入すると室内に居続ける。こうした害虫が家具の裏などの死角に居ないかどうかの不安を解消するためには、害虫の居場所を検出可能な装置が望まれる。また、例えば食品工場や大型食堂などでは、食品の加工機材や食材の汚染の危険性があるため薫蒸剤による害虫駆除を行い辛く、害虫対策としては、害虫が発生しそうな場所に誘引剤を設置し、誘き寄せて捕獲するものが中心となっている。しかしながら、加工機材などの隙間に居る害虫の居場所を特定することは困難であり、害虫の居場所を検出可能な装置が望まれる。
そこで、本発明は、使用者の死角に居る這う害虫を検出することを目的とする。
検出対象域に向けて害虫への刺激を発生させる刺激発生部と、刺激に応じて害虫が這うことにより生じる超音波を検出する検出部と、刺激の発生から一定期間内に検出された超音波に基づいて、検出対象域における害虫の有無を判定する判定部と、判定部による判定結果を出力する出力部とを有することを特徴とする害虫検出装置が提供される。
判定部は、さらに、検出された超音波の波形におけるパルスが発生している期間と発生していない期間との比率に応じて害虫の種類を判定することが好ましい。
刺激発生部は、刺激として、検出対象域に向けて微風を発生させることが好ましい。刺激発生部は、刺激として、さらに、検出対象の害虫が嫌う臭気を微風に載せて放出することが好ましい。刺激発生部は、刺激として検出対象域に光を照射することが好ましい。
刺激発生部は、刺激の発生を開始から第1の期間の経過後に停止し、判定部は、刺激の発生の開始から第1の期間よりも長い第2の期間内に超音波が検出されるか否かに応じて、害虫の有無を判定することが好ましい。
検出された超音波を可聴帯域の音声信号に変換する可聴変換部をさらに有し、出力部は、さらに、検出された超音波から得られる音声信号を出力することが好ましい。
また、検出対象域に向けて害虫への刺激を発生させる刺激発生器と、検出対象域内に設置され、刺激に応じて害虫が這うことにより生じる超音波を検出する検出器と、刺激発生器に対して刺激を発生させる指示を送信し、検出器から超音波の検出信号を受信する端末装置であって、刺激の発生から一定期間内に検出された超音波に基づいて、検出対象域における害虫の有無を判定する判定部、および判定部による判定結果を出力する出力部を有する端末装置とを有することを特徴とする害虫検出システムが提供される。
刺激発生器は空調機または送風機であり、刺激として、検出対象域に向けて微風を発生させることが好ましい。刺激発生器は空調機であり、刺激として、さらに、検出対象域の温度を検出対象の害虫にとっての適温範囲外に上昇または下降させることが好ましい。刺激発生器は照明器具であり、刺激として検出対象域に光を照射することが好ましい。
上記の害虫検出装置および害虫検出システムは、使用者の死角に居る這う害虫を検出することができる。
害虫検出装置1の外観を示す模式図である。 害虫検出装置1のブロック図である。 ゴキブリとムカデが這うことで発生する超音波の波形の例を示すグラフである。 制御部30の動作例を示すフローチャートである。 害虫検出システム2の全体構成図である。
以下、図面を参照しつつ、害虫検出装置および害虫検出システムを説明する。ただし、本発明は図面または以下に記載される実施形態には限定されないことを理解されたい。
人間に何らかの害をもたらす害虫には、例えば、ゴキブリや毛虫、ムカデ、蜘蛛、蚊、シロアリ、ダニなど、色々なものがいるが、本明細書では、そのうちで這って移動するものを対象とする。以下では、特に、室内に侵入し得るゴキブリとムカデを例として説明する。こうした害虫は、這うときに、壁や床などの乾燥体との擦れにより、人間には聴こえない20kHz~70kHz程度の周波数の超音波(非可聴音波)を発生させながら移動する。また、こうした害虫には、人間などの外敵が近付くときに発生する微風を触覚で感知して外敵から逃げる性質がある。
図1は、害虫検出装置1の外観を示す模式図であり、図2は、害虫検出装置1のブロック図である。害虫検出装置1は、使用者が家庭などで携帯して使用可能な小型の装置であり、箱型の本体10内に微風ファン12、超音波検出部20および制御部30を有する。
害虫検出装置1は、這う害虫が這って移動するときに発生させる超音波を猫のように検出することで、害虫を探知する。害虫が動かないと超音波は発生しないので、検出対象の害虫を動かすために、使用者は、家具同士または家具と壁や床との隙間、あるいは鴨居といった使用者にとっての死角である検出対象域に害虫検出装置1を向けて、害虫への刺激として微風81を発生させる。害虫には触覚が揺れると動く性質があるため、検出対象域に害虫が居る場合には、その害虫82は、微風81を感知して移動し、そのときに超音波83を発生させる。害虫検出装置1は、与えた刺激に応じて発生する超音波の検出の有無および超音波の波形のパターンに基づいて、検出対象域における害虫の有無、および害虫が居る場合にはその種類を判定して、判定結果を使用者に報知する。
図示した例では、本体10の正面には操作部11と表示部14が、本体10の先端面には微風送出口12Aとパイプ状フード13がそれぞれ設けられており、本体10にはイヤホン15が接続されている。操作部11は、使用者が電源のオン/オフや検出の開始/停止を指示するための押しボタンスイッチである。
微風ファン12は、刺激発生部の一例であり、微風送出口12Aから、害虫への刺激として、例えば1m程度先まで届く微風を送る。したがって、害虫検出装置1では、微風送出口12Aからその前方1m程度先までの空間が検出対象域になる。ただし、微風を送り続けると害虫は逃げてしまうので、微風ファン12は、微風の発生開始から例えば2秒間などの一定期間(第1の期間)の経過後に停止する。なお、微風ファン12は、本体10との間で通信制御される本体10とは別体の送風機(小型ファン)であってもよい。パイプ状フード13は、超音波検出部20の指向性を制限し、かつ微風送出口12Aから送出される微風81により生じる風切り音が超音波検出部20に直接入り込むのを防ぐための筒型の覆いである。
表示部14は、例えば液晶表示パネル(LCD)で構成される。表示部14は、出力部の一例であり、害虫検出装置1による判定結果、すなわち、検出対象域における害虫の有無、および害虫が居る場合にはその種類を文字などで表示する。イヤホン15は、出力部の一例であり、超音波検出部20で検出された超音波を可聴変換して得られる音声信号を出力する。このように、判定結果の表示だけでなく、検出された超音波を可聴変換して使用者に聴かせれば、使用者がイヤホン15を耳に装着した状態で害虫検出装置1をあちこち動かしながら害虫の有無を音で判断できるため、使用者にとって分かり易い。なお、判定結果を出力する出力部は、外部機器へデータ出力するための通信部や接続端子であってもよい。
超音波検出部20は、超音波センサ21、増幅器22、可聴変換部23、閾値設定部24およびAD変換部25を有する。超音波センサ21は、検出部の一例であり、微風81の刺激に応じて害虫が這うことにより生じる20kHz~70kHz程度の周波数の超音波を検出して、それを電気的な超音波信号に変換する。本体10にパイプ状フード13が設けられていることで、超音波センサ21は、指向性が例えば猫の音源定位能力と同程度の0.5度に制限されており、例えば、使用者がパイプ状フード13を向けた先の数m以内で発生した超音波を検出する。増幅器22は、超音波センサ21が生成した超音波信号を増幅する。
可聴変換部23は、増幅器22により増幅された超音波信号を周波数変換して、可聴帯域の音声信号に変換(可聴変換)する。この周波数変換は、例えば1/16の分周処理である。また、可聴変換部23は、例えば照明器具や家電製品が発する超音波などのノイズ信号を遮断する。例えば、可聴変換部23は、周波数変換の分周処理の際に、周波数70kHz以上またはP-P電圧50mV未満の超音波を除去する。したがって、可聴変換部23は、P-P電圧が50mV以上で、周波数が20kHz以上かつ70kHz未満の超音波信号だけを、可聴帯域の音声信号に周波数変換する。
閾値設定部24は、可聴変換部23が遮断する周波数および振幅(P-P電圧)の閾値の大きさを設定する。閾値設定部24には、例えば、周波数70kHzおよびP-P電圧50mVが初期的に設定されている。AD変換部25は、可聴変換部23での周波数変換により得られたアナログの音声信号をデジタルの音声信号に変換して、制御部30に出力する。
可聴変換部23および閾値設定部24は、予め設定された上限値以上の周波数のノイズ信号を遮断するノイズフイルタとしても動作するが、害虫検出装置1の使用時にノイズ信号を除去する必要がない場合には、閾値設定部24は省略してもよい。また、可聴変換部23が超音波信号を低い周波数の音声信号に変換することで、使用者が超音波を耳で聴けるようになるだけでなく、制御部30が回路処理を低速で行えるようになり、回路構成が単純化して動作の信頼性を高めることも可能になる。以下では、制御部30が可聴変換後の音声信号を処理する場合の例を説明するが、制御部30は、処理スピードが十分高ければ、可聴変換前の超音波信号に対して同様の処理を行ってもよい。
制御部30は、CPU、RAMおよびROMを含むマイクロコンピュータの制御回路として構成され、害虫検出装置1の動作を制御する。制御部30は、そのマイクロコンピュータにより実現される機能ブロックとして、同期制御部31、害虫有無判定部32および害虫種類判定部33を有する。
同期制御部31は、使用者により操作部11が操作されると検出処理を開始して、例えば、微風ファン12を2秒間(第1の期間)動作させて停止させるとともに、その時点からそれよりも長い5秒間(第2の期間)だけ、超音波検出部20に超音波を検出させる。あるいは、同期制御部31は、微風ファン12の停止時または停止後に超音波検出部20に超音波の検出を開始させ、例えば5秒間(第2の期間)だけ超音波検出部20に超音波を検出させてもよい。送風の停止時以降に検出を開始する場合には、送風停止と検出開始の間をなるべく空けない方が好ましい。上記の2秒間と5秒間は一例であり、微風ファン12の動作期間と超音波検出部20の検出期間の長さは特に限定されない。ただし、害虫の超音波を確実に検出するためには、超音波検出部20の検出停止は微風ファン12の動作停止後である(すなわち、第1の期間よりも第2の期間の方が長い)ことが好ましい。
特にゴキブリは動きが俊敏であり、送風開始直後から動き出して送風停止とともに動きを止めることがあるため、ゴキブリを検出したい場合には、送風中に検出を開始するとよい。送風中の検出を行うことで、送風中の害虫の動きを捉えることができる。これに対し、ムカデのように反応が比較的動きが遅い害虫を検出するには、送風停止時または停止後に検出を開始してもよい。このため、同期制御部31は、微風ファン12による送風の開始時と停止時のどちらを起点として超音波検出部20に検出を開始させるかを、検出したい害虫の種類に応じて選択してもよい。
害虫による超音波は、害虫に刺激を与えて移動させることで発生するため、同期制御部31は、超音波検出部20を、電源がオンになっている間に常時動作させる必要はない。超音波検出部20は、微風(刺激)の発生開始前に動作を開始してもよいが、送風の開始時や停止時を起点として一定期間内のみ動作すればよい。一般的な微風ファンの回転は500~1500回転/秒程度なので、送風中に検出しても、微風ファン12の回転自体による超音波ノイズの問題はない。このように検出期間を制限することで、超音波検出部20は、微風に応じて移動する害虫の超音波以外のものを検出し難くなるため、ノイズの影響を受け難くなる。
また、同期制御部31は、検出された超音波を可聴変換して得られる音声信号をイヤホン15から出力させるとともに、害虫有無判定部32と害虫種類判定部33に、その音声信号に基づいて害虫の有無および種類を判定させる。
害虫有無判定部32は、判定部の一例であり、超音波検出部20からデジタルの音声信号を取得して、検出対象域における害虫の有無を判定する。その際、害虫有無判定部32は、微風ファン12による微風の発生時または停止時から一定期間内、例えば5秒以内(第2の期間内)に超音波検出部20が超音波を検出したか否かを判定する。超音波が検出されていない場合には、害虫有無判定部32は、検出対象域には害虫は存在しないと判定して、表示部14にその旨の情報を表示させる。その際、害虫有無判定部32は、例えば、イヤホン15を介して使用者にアラームを聴かせてもよい。超音波が検出された場合には、害虫有無判定部32は、検出対象域に害虫が存在すると判定してもよいが、発生源が害虫以外である可能性もあるため、その超音波が害虫によるものか否かと害虫の種類を判定するように害虫種類判定部33に指示する。
図3(A)および図3(B)は、それぞれ、ゴキブリとムカデが這うことで発生する超音波の波形の例を示すグラフである。グラフの横軸は時間tであり、図中の「ON」と「OFF」は、それぞれ、微風ファン12が動作している期間と停止している期間を表す。矢印T1は、微風ファン12が動作している期間(第1の期間)を表す。矢印T2は、微風ファン12の動作開始時に超音波検出部20が検出を開始する場合の検出期間(第2の期間)を表し、矢印T2’は、微風ファン12の停止時に超音波検出部20が検出を開始する場合の検出期間(第2の期間)を表す。
これらの害虫が発生させる超音波の周波数は、40kHz~50kHz程度である。ゴキブリには、微風を感知して断続的に高速移動する性質があるため、図3(A)に示すように、超音波の波形もそれを反映してバースト状になる。すなわち、ゴキブリの超音波の波形では、一塊のパルスが連続して発生している期間とパルスが発生していない期間とが交互に繰り返される。これに対し、ムカデには、微風を受けて連続的にゆっくり移動し続ける性質があるため、図3(B)に示すように、ムカデの超音波の波形では、多数のパルスが比較的長時間、連続して発生し続ける。
害虫種類判定部33は、判定部の一例であり、超音波が検出されたと害虫有無判定部32が判定した場合に、超音波の波形におけるパルスが発生している期間と発生していない期間との比率に応じて、その超音波が害虫によるものか否かと害虫の種類を判定する。その際、害虫種類判定部33は、例えば、超音波検出部20の検出期間を100msごとに分割して、各期間でパルスが発生しているか否かを判定し、パルスの発生率r=(パルスが発生している期間の長さの合計)/(検出期間の長さ)を算出する。その上で、害虫種類判定部33は、例えば、Th1を適当なしきい値として、超音波の発生源は
・Th1≦rの場合(連続的な波形の場合)にはムカデであり、
・r<Th1の場合(断続的な波形の場合)にはゴキブリである
と判定し、その結果を表示部14に表示させる。
あるいは、害虫種類判定部33は、Th2(<Th1)を第2のしきい値として、Th2≦r<Th1の場合にゴキブリであると判定し、r<Th2の場合(パルスがほとんどない場合)には、害虫の種類を特定できない旨を表示部14に表示させてもよい。
音量調整部40は、超音波検出部20で可聴変換されイヤホン15に出力される音声信号の音量を、使用者に聴かせるのに適当な大きさに調整する。
害虫への刺激には、微風の他に、光、温度変化、臭気などもある。ただし、検出対象域に臭気を送ったり、検出対象域の温度を変化させたりするには空気の流れが必要なため、害虫への刺激は、臭気および温度変化を含む空気の流れ(微風)と光に大別される。これらの刺激については、以下のことが知られている。
(1)光:ゴキブリとムカデは、ともに習性的に光を嫌い、光が照射されると隙間に隠れようとして逃げる。
(2)臭気:ゴキブリはコーヒー臭を嫌い、ムカデはハッカ臭を嫌い、それらを感知すると逃げる。
(3)温度変化:ゴキブリは18℃~32℃が適温であり、10℃以下または40℃以上になると逃げる。ムカデは18℃以上で活発化し、10℃以下で鈍化する。
そこで、害虫検出装置1は、検出処理の開始時に、微風ファン12による微風の発生に替えて、あるいは微風の発生に加えて、害虫への刺激として、光の照射、臭気の放出および温度変化のうちの1つまたは複数を行ってもよい。光刺激の場合には、害虫検出装置1の本体10にLED(発光ダイオード)などの発光部を設けておき、使用者が操作部11を操作したことに応じて、その発光部から検出対象域に光を照射すればよい。臭気刺激の場合には、検出対象の害虫が嫌う臭気を(例えば、ゴキブリの場合にはコーヒー臭を、ムカデの場合にはハッカ臭を)、微風ファン12による微風に載せて放出すればよい。
図4は、制御部30の動作例を示すフローチャートである。図示した動作フローは、制御部30のROMに予め記録されているプログラムに従って、制御部30のCPUにより実行される。
使用者が操作部11の押しボタンスイッチをオンにすると、同期制御部31は、微風ファン12に微風の発生を開始させ(S1)、2秒後にそれを停止させる(S1A)。また、同期制御部31は、超音波検出部20に超音波の検出を開始させ(S2)、超音波センサ21での検出により得られた超音波信号を可聴変換部23に可聴変換させて(S3)、検出期間の終了(S6)までイヤホン15へ音響出力させる(S3A)。それと並行して、害虫有無判定部32は、可聴変換後の音声信号を取得して、超音波の検出の有無に基づいて検出対象域における害虫の有無を判定する(S4)。
さらに、害虫種類判定部33は、超音波信号(可聴変換後の音声信号)の波形のパターンに基づいて、害虫の種類を判定する(S5)。その際、害虫種類判定部33は、連続的な波形の場合には害虫はムカデであり、断続的な(バースト状の)波形の場合には害虫はゴキブリであると判定する。その後、S1での微風の発生開始から5秒間が経過すると、同期制御部31は、超音波検出部20による超音波の検出を停止させる(S6)。また、害虫有無判定部32と害虫種類判定部33は、S4,S5における判定結果、すなわち、害虫の有無と種類を表示部14に表示させて使用者に報知する(S7)。その後、使用者が操作部11の押しボタンスイッチをオフにすると、制御部30は動作を終了する。
図5は、害虫検出システム2の全体構成図である。害虫検出システム2は、集中管理端末3、サーキュレータ12’および超音波センサ20A,20Bで構成され、例えば食品工場や食堂などの建物100内に設置される。集中管理端末3は、例えば建物100内のPCで実現され、サーキュレータ12’および超音波センサ20A,20Bと、有線または無線で通信可能に接続されている。集中管理端末3は、端末装置の一例であり、サーキュレータ12’に対して動作の指示を送信し、超音波センサ20A,20Bから超音波の検出信号(超音波信号またはそれを可聴変換した後の音声信号)を受信する。
サーキュレータ12’(送風機)は、害虫検出システム2専用のものでもよいが、室内の空気を循環させるために建物100内に元々設置されているものを害虫検出システム2の刺激発生器として兼用で使用するとよい。サーキュレータ12’は、集中管理端末3から動作を指示されると、害虫への刺激として室内に微風81を発生させる。したがって、害虫検出システム2では、サーキュレータ12’の微風81が届く範囲内の空間が検出対象域になる。
微風81を発生させるには、サーキュレータ12’に替えて、空調機(エアコン、冷暖房装置)を使用してもよい。刺激発生器として空調機を使用する場合には、集中管理端末3からの動作指示に応じて、害虫への刺激として、さらに、建物100内の温度を検出対象の害虫にとっての適温範囲外に上昇または下降させてもよい。例えば、ゴキブリを検出したい場合には、室温を10℃以下に下げてもよい。また、微風の発生に替えて、あるいは微風の発生に加えて、害虫への刺激として、光の照射を行ってもよい。この場合、害虫検出システム2専用の照明器具を設置してもよいが、建物100内に元々設置されている照明器具を集中管理端末3で制御して室内に光を照射させるとよい。
超音波センサ20A,20Bは、例えば、建物100内で薫蒸剤による害虫駆除が行い辛い食材加工機械90の周辺に設置されている。超音波センサ20A,20Bは、検出器の一例であり、害虫検出装置1の超音波検出部20と同様に、微風(刺激)の発生開始時または停止時を起点として一定期間内に動作し、害虫が這うことにより生じる超音波を検出すると、超音波信号(またはそれを可聴変換した後の音声信号)を集中管理端末3に送信する。超音波センサ20A,20Bにはそれぞれ固有の識別子(ID)が割り当てられており、各超音波センサは、超音波信号とともにその識別子も集中管理端末3に送信する。超音波センサの個数は、図示した例では2個であるが、特に限定されず、1個でも3個以上でもよい。
集中管理端末3の制御部は、害虫検出装置1の制御部30と同じ機能ブロックを有する。集中管理端末3は、サーキュレータ12’を一定期間(第1の期間)動作させて停止させるとともに、例えばその動作開始時または停止時を起点として、サーキュレータ12’の動作期間よりも長い期間(第2の期間)だけ、超音波センサ20A,20Bに超音波を検出させる。そして、集中管理端末3は、受信した超音波信号に付されている識別子を参照して、いずれの超音波センサからの信号であるかを識別するとともに、その超音波信号に基づいて、害虫検出装置1と同様に害虫の有無および種類を判定する。例えば、超音波センサ20A,20Bが建物100内のエリアA,Bにそれぞれ設置されており、超音波センサ20Aでゴキブリによる超音波信号が検出されたと判定した場合には、集中管理端末3は、エリアAでゴキブリが検出された旨を表示部に表示させる。
害虫検出システム2は、害虫の検出処理を、使用者による集中管理端末3の操作に応じて行ってもよいし、使用者の操作によらず、例えば夜間に自動で行ってもよい。
害虫検出装置1および害虫検出システム2は、簡易な構成で、使用者の死角に居る這う害虫を検出することができる。特に、害虫検出システム2によれば、食材加工機械90の陰などの隠れた場所に居る害虫を検出できるので、薫蒸剤を使用し辛い環境でも、殺虫剤により確実に害虫を駆除することが可能になる。また、害虫検出システム2では、害虫への刺激を集中管理端末3とは別装置で発生させるため、使用者は、害虫が隠れている場所から離れて刺激発生器を操作することができる。このため、使用者が害虫に悟られ難く、害虫を逃がして駆除に失敗する可能性が低くなる。また、元々室内にあるサーキュレータ、エアコンまたは照明器具などを害虫への刺激発生器として使用すれば、害虫検出システム2を低コストで実現することができる。
1 害虫検出装置
2 害虫検出システム
3 集中管理端末
10 本体
11 操作部
12 微風ファン
12’ サーキュレータ
20 超音波検出部
20A,20B,21 超音波センサ
22 増幅器
23 可聴変換部
24 閾値設定部
25 AD変換部
30 制御部
31 同期制御部
32 害虫有無判定部
33 害虫種類判定部
40 音量調整部

Claims (11)

  1. 検出対象域に向けて害虫への刺激を発生させる刺激発生部と、
    前記刺激に応じて害虫が這うことにより生じる超音波を検出する検出部と、
    前記刺激の発生から一定期間内に超音波が検出されるか否かに応じて、前記検出対象域における害虫の有無を判定する判定部と、
    前記判定部による判定結果を出力する出力部と、
    を有することを特徴とする害虫検出装置。
  2. 前記判定部は、さらに、検出された超音波の波形におけるパルスが発生している期間と発生していない期間との比率に応じて害虫の種類を判定する、請求項1に記載の害虫検出装置。
  3. 前記刺激発生部は、前記刺激として、前記検出対象域に向けて微風を発生させる、請求項1または2に記載の害虫検出装置。
  4. 前記刺激発生部は、前記刺激として、さらに、検出対象の害虫が嫌う臭気を前記微風に載せて放出する、請求項3に記載の害虫検出装置。
  5. 前記刺激発生部は、前記刺激として前記検出対象域に光を照射する、請求項1~4のいずれか一項に記載の害虫検出装置。
  6. 前記刺激発生部は、前記刺激の発生を開始から第1の期間の経過後に停止し、
    前記判定部は、前記刺激の発生の開始から前記第1の期間よりも長い第2の期間内に超音波が検出されるか否かに応じて、害虫の有無を判定する、請求項1~5のいずれか一項に記載の害虫検出装置。
  7. 検出された超音波を可聴帯域の音声信号に変換する可聴変換部をさらに有し、
    前記出力部は、さらに、検出された超音波から得られる音声信号を出力する、請求項1~6のいずれか一項に記載の害虫検出装置。
  8. 検出対象域に向けて害虫への刺激を発生させる刺激発生器と、
    前記検出対象域内に設置され、前記刺激に応じて害虫が這うことにより生じる超音波を検出する検出器と、
    前記刺激発生器に対して前記刺激を発生させる指示を送信し、前記検出器から超音波の検出信号を受信する端末装置であって、
    前記刺激の発生から一定期間内に超音波が検出されるか否かに応じて、前記検出対象域における害虫の有無を判定する判定部、および
    前記判定部による判定結果を出力する出力部、を有する端末装置と、
    を有することを特徴とする害虫検出システム。
  9. 前記刺激発生器は空調機または送風機であり、前記刺激として、前記検出対象域に向けて微風を発生させる、請求項8に記載の害虫検出システム。
  10. 前記刺激発生器は空調機であり、前記刺激として、さらに、前記検出対象域の温度を検出対象の害虫にとっての適温範囲外に上昇または下降させる、請求項9に記載の害虫検出システム。
  11. 前記刺激発生器は照明器具であり、前記刺激として前記検出対象域に光を照射する、請求項8に記載の害虫検出システム。
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