JP7191447B2 - 流動化砂の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、砂材料に含水比調整用水と共に流動化剤及び遅効性塑性化剤を混入して粘性を持ち、地盤中に圧入されたり空洞充填用として好適な流動化砂の製造方法関する。
対象の流動化砂は、砂材料が含水比調整用水、流動化剤、遅効性塑性化剤の混入により、例えば圧送ポンプにて圧送可能な粘性を持つ状態に処理されて、圧入式砂杭造成工法において地盤中に圧入されたり空洞充填され、圧入や充填後は遅効性塑性化剤及び時間経過により摩擦回復した非流動化砂つまり元の砂材料とほぼ同じ状態に戻される。
図6は特許文献1に開示された流動化砂を用いた圧入式砂杭造成工法を示している。この工法では、中空管23を地盤中に設計深度まで貫入した後、中空管23を通して流動化砂を圧送ポンプ4により地表から地中に圧入し、地中に該流動化砂を残置し、この上に次のステップ分の流動化砂を圧入し、これを繰り返すことで所定長さの改良体25を造成する。ここで、流動化砂は、砂材料の選定及び含水比調整、流動化剤と遅効性塑性化剤の標準配合により混合され製造される。符号10は流動化砂製造プラント、1は流動化砂供給手段、2は砂材料供給手段、3は流動化剤供給手段、4は圧送ポンプ、5は遅効性塑性化剤供給手段である。
図7は流動化砂の状態変化を示した模式図である。(a)は圧入前の流動化砂を示す。流動化砂は、中空管から地盤中に圧入されるまでは流動化剤(例えば、アニオン系高分子材料)が砂の粒子同士の間隙水の粘性を高め、粒子同士の摩擦をなくし砂と水との分離を抑制して高い流動性を維持している。(b)は圧入中の流動化砂を示す。圧入中は、流動化砂が脱水し密な状態に締固められる。流動化剤は網状で残る。(c)は塑性化終了状態である。この状態では、遅効性塑性化剤が電気的に流動化剤を中和して流動化剤の網状構造を保持できなくなり粒子同士の摩擦を回復している。
特許第5188894号公報
以上の流動化砂において、例えば、液状対策としての流動化砂圧入による締固め改良では、強制的に流動化砂を地中に圧入することで、流動化砂が脱水され締め固められることにより、周囲地盤と同程度以上の強度を保有することができる。その場合、造成した杭自体により高い強度が求められることがある。一方で、粘土層等のごとく排水条件の悪い地盤に流動化砂を圧入したり、空洞に大きな圧力を加えず投入充填するような場合では、流動化砂の投入時に十分な脱水が期待できず、所定の強度を得ることが困難である。なお、本出願人らは、流動化砂の品質向上や適用拡大を目的として、例えば、適用困難と考えられていた粗い砂でも使用可能にするため高吸収性樹脂(好ましくはポリアクリル酸ナトリウム系高吸収性樹脂、以下これを『SAP』と称する)を流動化剤と共に添加すると共に、該高吸収性樹脂の添加量を増減することで流動化状態を保っている流動化維持時間を調整可能にした構成(特許第6188081号公報、以下、これを参考文献1という)、流動性を喪失させる要因を砂材料や含水比調整用水に有している場合、砂材料に流動化剤を添加する前段階で、砂材料又は含水比調整用水に対し流動化保持剤(好ましくは非イオン性界面活性剤)を添加する構成(特願2017-152091、以下、これを参考文献2という)などを開発している。
ところで、流動化砂は、地盤中に圧入されると加えられた圧力の作用により、流動化砂中から、砂粒子間にある流動化剤などを含む水が排水されることにより、摩擦回復した非流動化砂となる。一方、空洞充填の場合は、流動化砂に排水を起こすほどの大きな圧力が加わらないため、遅効性塑性化剤及び時間経過による摩擦回復を待つ必要があり、圧入締め固めに比べ強度回復に長時間必要となる。このため、施工現場では、流動化砂の粘性消失時間が長引くことで次工事などを行う時期が制限される等、色々な不具合が生じる。
本発明は以上のような背景から創意工夫されたものであり、その目的は圧入式砂杭造成又は空洞充填に用いられる流動化砂として、流動化砂を地盤中に吐出したり空洞充填するまでは粘性を持つ流動性を維持しているが、圧入や充填を行った後は、流動化砂を構成している砂粒子の摩擦を短時間で回復できるようにすることにある。他の目的は以下の内容説明のなかで明らかにする。
上記目的を達成するため請求項1の発明は、砂材料が含水比調整用水、流動化剤、遅効性塑性化剤の混入により粘性を持つ流動化砂に処理されると共に、前記流動化砂が地盤中に圧入されたり空洞充填された後に前記遅効性塑性化剤及び時間経過により砂粒子の摩擦を回復して非流動化砂となる流動化砂の製造方法において、前記流動化剤を構成している高分子が前記砂材料の砂粒子間(これは図5に模式化したごとく土(砂)ないしは土(砂)粒子同士の間の間隙と同じ)に収まり該砂粒子と接合している粘着部の性能を低下ないしは消失されることにより、前記回復されるまでの時間を前記遅効性塑性化剤単独の場合に比べ短縮可能にする粘性消失剤を、前記含水比調整用水、流動化剤、遅効性塑性化剤と共に前記砂材料に添加しており、また、前記流動化砂として前記粘性消失剤の添加率を変えた複数の試料を作製し、各試料の作製後の物性値として貫入応力又は/及びテーブルフロー値の経時変化を予め調べておき、それを参照して前記流動化砂の製造に際し流動化砂を地盤中に圧入したり空洞充填した後に前記回復までの時間が所定時間内に収まるよう前記粘性消失剤の添加率を決めることを特徴としている。なお、図5中、『土粒子』は砂粒子を含む広義なものとして使用している。
以上の本発明の考え方ないしは技術的特徴を明らかにする。本発明者らは、上記した課題に対し検討を重ねてきた結果、既存の流動化砂に水溶性塩化物である粘性消失剤を添加することにより、早期に摩擦力を発揮することを見出した。但し、この構成は、上記参考文献1の高吸収性樹脂を加えた流動化砂だと、粘性消失剤を添加してもそのような効果が得られなかった。ここで、粘性消失剤が効果を発揮するメカニズムとして次のように推定される。すなわち、図5において、大きな黒丸は水分子を示し、小さな黒丸は流動化剤の高分子(アニオン系高分子)を示している。まず、砂粒子間の間隙が同(b)のごとく縮小する方向に弱い力を加えても、流動化剤を構成している高分子の網状構造の端部が砂粒子に固着し架橋しているため、網状構造の反発により砂粒子同士が直接接触することができず、十分な摩擦力を発揮することができない。このような現象は、充填時に小さな力で締め固めようとしても、締め固めることができないことを意味しており、施工後に強度不足などの問題を引き起こす。
一方、本発明の粘性消失剤を加えた流動化砂では、粘性消失剤がイオン化した陰イオンの影響によって、同(a)のごとく高分子の網状構造の端部の砂粒子への固着力が弱まり、砂粒子より外れると共に、網状構造体の高分子間の接触部の粘性も低下し、十分な反発力を発揮できなくなるので砂粒子同士が直接接触することが可能となり、摩擦力を発揮することができるようになる。また同時に密度も増加する。併せて、高分子の網状構造が砂粒子から外れることにより移動し易くなるため、砂粒子間より排水がスムーズに行われるという利点も作用することとなる。以上の点は、例えば従来だと遅効性塑性化剤により高分子の網状構造から水が分離し、摩擦回復した砂に戻るのに1ヶ月程度の時間を要するのに対し、粘性消失剤の効果は早いもので数十分で得ることができ、条件に合わせて効果の発揮時間をコントロールすることが可能である。但し、粘性消失剤を加えた場合でも、遅効性塑性化剤が作用するには1ヶ月程度の時間を要することは変わりがない。液状化対策においても、粘性消失剤により造成した杭の摩擦がより早期に増大されることが期待される。
以上の本発明は、以下のように更に具体化されることがより好ましい。すなわち、
(ア)、前記流動化剤はアニオン系高分子凝縮剤、前記遅効性塑性化剤はカチオン系高分子剤、前記粘性消失剤は水に溶けて遊離する塩素物イオンを有している無機塩化物である(請求項2)。この粘性消失剤としては、例えば、無機塩化物のうち安価で取扱性に優れているものとして塩化カルシウムなどが好適である。
(イ)、前記無機塩化物は2価以上の陽イオンを有している構成である(請求項3)。この無機塩化物としては、2価以上の陽イオン、例えばカルシウムイオンやマグネシウムイオンを有していることが好ましい。
請求項1と5の発明では、新たに追加した粘性消失剤により流動化剤を構成している高分子が砂材料の砂粒子と接合している部分である粘着部の性能を低下させたり消失させて、流動化砂を構成している砂粒子の摩擦を従来よりも短時間で摩擦を回復させて強度を上げることができる。この結果、課題に挙げたような施工後に流動化砂の圧入や空洞充填部が流動性に富んで柔らかくなっていることに起因し、次に行われる仕事を遅らせるような不具合を緩和できる。
また、この発明では、具体例を挙げて説明すると、図1に示すような流動化砂として粘性消失剤(無機塩化物)の添加率を変えた多数の試料を作製し、各試料の作製後の物性値として、貫入応力又は/及びテーブルフロー値の経時変化を予め調べておく。そして、例えば、施工条件として流動化砂を作製した後に砂粒子の摩擦が回復(例えば、貫入応力で100,000Pa以上)されるまで48時間(2日以内)に収まるよう要求される場合は、48時間内に収まるよう粘性消失剤の添加率を0.4%として設定する。すなわち、この構成では、粘性消失剤の添加率を調整したり制御することで経時変化的な要求性能にも対応できるようになる。
請求項2の発明では、粘性消失剤として安価で入手容易な塩化物イオンを有する無機塩化物を用いる。
請求項3の発明では、2価以上の陽イオンを持つ塩化カルシウムや塩化マグネシウムなどを用いると、作業性を損なうことなく経費増を極力抑えて実施できる。
なお、各発明において、流動化砂が既設杭や矢板の引抜きにより形成される孔や空洞を埋める充填用、又は、地盤改良のうち圧入式砂杭造成用であると、施工後に従来より短時間で回復され、その結果、後の工事等を遅らせることなく行うことができる等の利点がある。
本発明方法において、流動化砂として粘性消失剤の添加率を変えた比較例と実施例1-4を作製し、作製後の物性値としてテクスチャー試験により貫入応力と経過時間との関係を調べた結果を示したグラフである。 前記比較例と前記実施例1-4の作製後の物性値として、フロー試験によりテーブルフロー値と経過時間の関係を調べた結果を示したグラフである。 本発明方法において、流動化砂としてSAP(高吸収性樹脂)を含有した実施例5と含有しない実施例6を作製し、作製後の物性値として、テクスチャー試験により貫入応力と経過時間との関係を調べた結果を示したグラフである。 前記実施例5,6の作製後の物性値として、フロー試験によりテーブルフロー値と経過時間の関係を調べた結果を示したグラフである。 (a)は本発明の流動化砂の状態変化を示す模式図、(b)は従来流動化砂の状態変化を(a)との対比で示した模式図である。 特許文献1に開示されている砂杭造成装置を示す説明図である。 (a)~(c)は施工時における流動化砂の状態変化を示す模式図である。
以下、本発明の形態例を図面を参照して説明する。この説明では、本発明の製造方法を明らかにした後、実施例を挙げて本発明の利点を明らかにする。
(流動化砂の製造方法)この製造方法では、図6の流動化製造プラントから推察されるごとく、混合槽に対し砂材料供給手段と、含水比調整用水供給手段と、流動化剤供給手段と、遅効性塑性化剤供給手段と、粘性消失剤供給手段とが関連付けられて配設されている。このうち、混合槽は、パドルミキサー等の攪拌機構と、投入される砂材料の重さを計測するロードセル等の計測器などを有している。混合槽の槽内には、砂供給手段であるバックホウ等により1バッチ量に対応する所定量の砂材料が投入される。その後、槽内の砂材料(乾燥砂質量)に対し、含水比調整用の水が水供給手段により目的の含水比に対応する所定水量だけ供給される。その後、槽内には、流動化剤が流動化剤供給手段により、遅効性塑性化剤が塑性化剤供給手段により、粘性消失剤が粘性消失剤供給手段によりそれぞれ所定量だけ供給される。
その場合、好ましくは、槽内に投入された砂材料の質量に基づき、含水比調整用水、流動化剤、遅効性塑性剤、粘性消失剤の使用量を自動的に計算して供給することである。混合槽では、それらが均一になるよう攪拌機構により混合攪拌される。また、砂供給手段で投入される砂材料、水供給手段で供給される水、流動化剤供給手段で投入される流動化剤、塑性化剤供給手段で供給される塑性化剤、粘性消失剤供給手段で供給される粘性消失剤について、次にその選択基準などを明らかにする。
(1)、砂材料は、従来の流動化砂製造に用いられてきたものであればよく、純粋な砂に限られず、シルトや礫を含む砂、砂類似のスラグなどを含む広義な意味で使用している。また、この砂材料には、例えば、砂材料の適用範囲を拡大するため上記参考文献2のような流動化保持剤を含ませる構成でもよい。
(2)、水は、含水比調整用であり、流動化剤等に影響する成分、特に金属イオン等の陽イオンを含む工業用水や海水は避けて中性の水道水を用いることが好ましい。水の使用量は通常、製造される流動化砂の含水比23%から40%の範囲で調整されるよう算出される。この含水比は、高くなると地中空洞への充填用や圧入式砂杭造成用の投入容量も比例して多くなり地盤変位を生じ易くなるためその点も考慮される。
(3)、流動化剤は、砂の粒子間の間隙水の粘性を高め、飽和状態で砂と水の分離を抑制してポンプ圧送性を向上させる添加剤である。好ましくは、粘性を高め砂粒子の沈降分離を抑制するアニオン系高分子剤である。これは、高分子の親水基が水分を保持する性能に優れ、また、砂粒子ないしは土粒子を高分子の端部にある粘着部を介して接合する。流動化剤の配合割合は、砂材料(乾燥砂の質量)に対し、外割配合で0.01~2.0質量%、好ましくは0.1~1.0質量%である。この配合割合は、少な過ぎると砂材料が流動化せず、配管内で分離したり目詰まりしたりして圧送できなくなり、逆に多過ぎても流動化効果は変わらずコスト上昇要因となる。

(4)、遅効性塑性化剤は、流動化剤を電気的に中和して流動化剤の高分子を保持不能にし砂粒子ないしは土粒子同士の摩擦を回復させるもので、分子量10~10のカチオン系高分子剤が好適である。このカチオン系高分子剤としては、ポリエチレンポリアミン・ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物等等である。塑性化剤の使用量は、製造される流動化砂中の砂材料に対し、外割配合で0.001~2質量%、好ましくは0.01~1.0質量%である。この添加率は、少な過ぎると、流動化物が塑性化せず設計通りの充填体や改良体が造成できなくなり、添加が多過ぎると塑性化が早く起こりポンプ圧送に支障をきたす。
(5)、粘性消失剤は、塩化物イオンを有しその陰イオンにより流動化剤を構成している高分子が砂材料の砂粒子と接合している粘着部の性能を低下ないしは消失させることにより非流動化砂となるまでの時間を短縮可能にする添加剤である。このため、粘性消失剤としては、水に溶けたときに電離する塩化物イオンを有しかつ取扱容易なこと、安価で入手容易なこと等の要件を満たすことが重要である。本発明者らの各種試験からは、無機塩化物として、2価以上の陽イオンを持つ塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化第二鉄などが好適であった。これらは、作業性を損なうことなく経費増を極力抑えて実施できる。また、添加する際の性状は粉末又は10~50%濃度の水溶液が好ましい。
粘性消失剤の主な作用は図5及び段落0010,0011で述べた通りである。換言すると、流動化砂において、砂粒子ないしは土粒子同士は、間隙水等による粘性が流動化剤のアニオン系高分子により高められ、砂粒子ないしは砂粒子同士の摩擦をなくし砂と水との分離を抑制して高い流動性を維持している。同時に、本発明の流動化砂は、新たに加えた粘性消失剤により、流動化剤のアニオン系高分子が砂材料である砂粒子と接合している部分である粘着部の性能を低下させたり消失させるよう作用する。この結果、従来の流動化砂では遅効性塑性化剤によりアニオン系高分子の網状構造から水が分離し、摩擦回復した砂に戻るのに1ヶ月程度の時間を要するのに対し、本発明の粘性消失剤を含む流動化砂では極短時間つまり早いもので数十分で摩擦を回復することができる。
以上の砂材料、含水比調整用水、流動化剤、塑性化剤の最適な配合比は、砂材料として乾燥砂質量1000gを用いて含水比23%から40%の何れかに調整したものに対し、流動化保持剤1.0g、流動化剤の原液量6.4g及び溶解水量100g、遅効性塑性化剤0.5g、の割合で加える。この標準配合は、これまで最適配合とされていた各薬剤の添加割合である。更に、本発明では、粘性消失剤を乾燥砂質量1000gに対し0.1g~10g(添加率で0.1%~1%)程度の割合で加える。この添加量(添加率)は、各種試験から、少な過ぎると流動化物が粘性消失剤の添加による砂粒子間の早期回復効果が得られず、添加が多過ぎると塑性化剤と同様に塑性化が早く起こりポンプ圧送に支障をきたすためである。
(第1実施例)この実施例では、流動化砂として粘性消失剤を含まない比較例と、粘性消失剤の添加率を変えた複数の実施例1-4を作製し、作製後の物性値の経時変化として、テクスチャー試験、フロー試験、湿潤試験を行ったときのものである。表1には比較例と実施例1-4の配合を示し、表2にはそれらの物性試験結果を示している。
すなわち、比較例及び実施例1-4は、表1に示す組成と配合量で同じ混合方法で作製された流動化砂(各流動化砂の含水比wは25.0%)である。比較例は粘性消失剤を含まない流動化砂(上記参考文献2の流動化砂と同じ)、実施例1-4は粘性消失剤(無機塩化物として塩化カルシウム)を含む本発明の流動化砂である。使用した砂材料(砕砂)、含水比調整用水、流動化剤(アニオン系高分子剤)、遅効性塑性化剤(カチオン系高分子剤)は比較例及び実施例共に同じものである。
各流動化砂の作製要領は、各砂材料を同じ含水比となるよう調整すると共に、参考文献2の流動化保持剤(商品名ダイヤノールCDE)を添加量0.1%となるよう混入し、5種類の砂材料試料を作製した。その後、比較例では、砂材料試料に流動化剤と遅効性塑性化剤を決められた割合で混入した。実施例1-4では、砂材料試料に流動化剤と遅効性塑性化剤及び粘性消失剤を決められた割合で混入した。そして、比較例及びじ実施例1-4の各流動化砂について、テクスチャー試験、テーブルフロー試験を行った。
(表1)
Figure 0007191447000001

以下の表2は試験結果を一覧したものである。なお、テクスチャー試験では、所定容器に流動化砂(試料)を充填し、市販のテクスチャー試験装置として株式会社山電製の卓上式物性測定器にセットした後、シリンダーを一定速度で上下させ、試料上面から20mmの貫入及び引抜を行う。貫入応力は、貫入時の最大荷重haを応力に換算した値である。また、フロー(テーブルフロー)試験は、セメントの物性試験方法(JIS R5201-1997)に準拠して行った。
(表2)
Figure 0007191447000002

図1は以上の比較例と実施例1-4の各流動化砂について、作製後の物性値としてテクスチャー試験により貫入応力と経過時間との関係を調べたグラフである。図2は前記比較例と実施例1-4を作製した後の物性値として、フロー試験によりテーブルフロー値と経過時間の関係を調べたグラフである。各試験結果からは以下のことが分かる。
まず、比較例及び実施例1-4の各流動化砂は共に作製後、10時間経過するまでは加工ないしは施工に好適とされる貫入応力が約50,000Pa以下、テーブルフロー値が165mm以上に収まっている。また、比較例の流動化砂では作製後、200時間経過しても貫入応力が約75,000Paでありさほど摩擦回復されていない。これに対し、粘性消失剤(塩化カルシウム)を添加した実施例1-4の各流動化砂では100時間経過しただけでも貫入応力が少なくとも120,000Paであり、摩擦回復がかなり進み、比較例の2倍以上の値となる。一方、テーブルフロー値は流動化砂の作製後、20時間経過すると、比較例を除き徐々に小さくなり、摩擦回復が進んでいることが分かる。
(第2実施例)この実施例では、粘性消失剤を添加した流動化砂において、参考文献1の高吸収性樹脂を含まない実施例5の流動化砂と、高吸収性樹脂として上記したSAPを含む実施例6の流動化砂を作製し、作製後の物性値の経時変化として、テクスチャー試験、フロー試験を行ったときの一例である。各流動化砂の含水比wは32.5%である。表3には実施例5と6の配合を示し、表4にはそれらの物性試験結果を示している。
(表3)
Figure 0007191447000003

以下の表4は試験結果を一覧したものである。テクスチャー試験、フロー(テーブルフロー)試験は第1実施例と同じである。










(表4)
Figure 0007191447000004
図3は実施例5と6の各流動化砂について、作製後の物性値としてテクスチャー試験により貫入応力と経過時間との関係を調べたグラフである。図4は実施例5と6の流動化砂を作製した後の物性値として、フロー試験によりテーブルフロー値と経過時間の関係を調べたグラフである。各試験結果からは以下のことが分かる。
実施例5の高吸収性樹脂を含まない流動化砂において、貫入応力は作製後、0.1時間経過時で約1,500Paと最小となり、その後は少なくとも72時間経過時で約34,000Paと急激に高くなる。テーブルフロー値は作製後、0.1時間経過時で約217mmと最大となり、その後は72時間経過時で約188mmと低くなる。これに対し、実施例6の高吸収性樹脂を含む流動化砂において、貫入応力は作製後、0.1時間経過時で約1,000Paと最小となり、その後は3時間経過時で約9,000Pa、168時間経過時で約14,000Paと多少高くなるものの、実施例5に比べかなり小さい状態となる。また、テーブルフロー値は作製後、0.1時間経過時で約236mmと最大となり、その後は72時間経過時で約226mmとなる。
以上の試験結果から、本発明の流動化砂としては、砂材料に含水比調整用水、流動化剤、塑性化剤、粘性消失剤を混入している構成A、砂材料に含水比調整用水、流動化保持剤、流動化剤、塑性化剤、粘性消失剤を混入している構成Bが最適なものとなる。また、実施例5の高吸収性樹脂を添加する構成でもよいが、その際は例えば添加率による変位をより詳しく調べる等、更なる試験を行うことが好ましい。
なお、以上の形態例や実施例は本発明を何ら制約するものではない。本発明は、請求項で特定される技術要素を備えておればよく、細部は必要に応じて種々変更可能なものである。
1・・・・流動化物供給手段
2・・・・砂材料(材料砂)供給手段
3・・・・流動化剤供給手段
4・・・・圧送ポンプ
5・・・・塑性化剤供給装置
23・・・・中空管
34・・・・配管

Claims (3)

  1. 砂材料が含水比調整用水、流動化剤、遅効性塑性化剤の混入により粘性を持つ流動化砂に処理されると共に、前記流動化砂が地盤中に圧入されたり空洞充填された後に前記遅効性塑性化剤及び時間経過により砂粒子の摩擦を回復して非流動化砂となる流動化砂の製造方法において、
    前記流動化剤を構成している高分子が前記砂材料の砂粒子間に収まり該砂粒子と接合している粘着部の性能を低下ないしは消失されることにより、前記回復されるまでの時間を前記遅効性塑性化剤単独の場合に比べ短縮可能にする粘性消失剤を、前記含水比調整用水、流動化剤、遅効性塑性化剤と共に前記砂材料に添加しており、
    また、前記流動化砂として前記粘性消失剤の添加率を変えた複数の試料を作製し、各試料の作製後の物性値として貫入応力又は/及びテーブルフロー値の経時変化を予め調べておき、それを参照して前記流動化砂の製造に際し流動化砂を地盤中に圧入したり空洞充填した後に前記回復までの時間が所定時間内に収まるよう前記粘性消失剤の添加率を決めることを特徴とする流動化砂の製造方法。
  2. 前記流動化剤はアニオン系高分子凝縮剤、前記遅効性塑性化剤はカチオン系高分子剤、前記粘性消失剤は水に溶けて遊離する塩化物イオンを有している無機塩化物であることを特徴とする請求項1に記載の流動化砂の製造方法。
  3. 前記無機塩化物は2価以上の陽イオンを有していることを特徴とする請求項2に記載の流動化砂の製造方法。
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