以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1実施形態に係るディーゼル車用の電力分配システムの構成を模式的に示す説明図である。
図1に示す第1実施形態の電力分配システム1(請求項中の車両用電力分配システムに相当)は、ディーゼル車のバッテリ2(請求項中の電源に相当)の電力を不図示の負荷に分配するものである。
そして、本実施形態の電力分配システム1は、バッテリ直付けボックス3、電源ケーブル4、エンジンボックス5、ディーゼル専用ボックス6、スタータケーブル7及び中間端子10を有している。
バッテリ直付けボックス3は、バッテリヒューズターミナル(BFT)とも呼ばれるもので、バッテリ2の電極部に直付けされる。バッテリ直付けボックス3は、バッテリ2の電力を、電源ケーブル4、スタータケーブル7及びエンジンルームハーネス8等に分配する。
バッテリ直付けボックス3は、大電流用のヒュージブルリンク(以下、「大電流FL」と略記する。)31と、通常電流用のヒュージブルリンク(以下、「FL」と略記する。)32とを内蔵している。
バッテリ直付けボックス3は、バッテリ2の電力を、大電流FL31を介して電源ケーブル4に分配する。また、バッテリ直付けボックス3は、バッテリ2の電力を、FL32を介してエンジンルームハーネス8に分配する。さらに、バッテリ直付けボックス3は、バッテリ2の電力を、ヒュージブルリンクを介さずに、スタータケーブル7に直接分配する。スタータケーブル7は、バッテリ2の電力を不図示のスタータモータに供給する。
また、バッテリ直付けボックス3は、図示しない他のヒュージブルリンクも内蔵している。バッテリ直付けボックス3は、不図示のヒュージブルリンクを介して、電源ケーブル4、スタータケーブル7及びエンジンルームハーネス8を除く他のハーネスのケーブル(図示せず)にも、バッテリ2の電力を分配する。
大電流FL31、FL32及び不図示のヒュージブルリンクのバッテリ2側は、バッテリ直付けボックス3の不図示の入力端子に接続されている。
電源ケーブル4(請求項中のケーブルに相当)は、本実施形態の車両のような、内燃機関を推進源とするガソリン車、ディーゼル車等の車両では、車両のオルタネータ(ALT)に接続される。電源ケーブル4は、オルタネータで発電された電力に対応する電流容量を有している。本実施形態では、30sq(許容電流120A(アンペア))の太さの電線を電源ケーブル4に用いている。
なお、電動機を推進源とするハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)等の車両の場合、電源ケーブル4はDC-DCコンバータ(図示せず、請求項中の変圧器に相当)に接続される。
DC-DCコンバータは、電動機に作動用電力を供給する高圧バッテリ(図示せず)に供給された高圧の充電用電力の一部を、バッテリ2に対応する低圧の電力に変圧(降圧)して、電源ケーブル4によりバッテリ2に充電用電力として供給する。DC-DCコンバータが変圧する高圧バッテリの充電用電力は、回生時(制動時)の電動機が発電した電力や、商用電源等の外部電源から供給された電力である。
また、電動機を推進源とする車両の場合、電源ケーブル4は、DC-DCコンバータで変圧(降圧)された電力に対応する電流容量を有している。
エンジンルームハーネス8は、車両のエンジンルームの電装部品(図示せず)に接続される。この電装部品には、エンジンボックス5が含まれる。
エンジンルームハーネス8は、バッテリ直付けボックス3においてバッテリ2から分配された電力を伝送する電源ケーブル(図示せず)を含んでいる。この電源ケーブルは、エンジンルームの電装部品を流れる電流を総和した電流以上の電流容量を有している。本実施形態では、8sqの太さの電線を、エンジンルームハーネス8の電源ケーブルに用いている。エンジンルームハーネス8の電源ケーブルに用いる電線の太さは、8sq以外でも良い。
したがって、バッテリ直付けボックス3の大電流FL31の許容電流は、本実施形態では、電源ケーブル4の許容電流に対応して120A(アンペア)に設定されている。また、バッテリ直付けボックス3のFL32の許容電流は、本実施形態では、エンジンルームハーネス8の許容電流に対応して、大電流FL31の許容電流よりも低い50A(アンペア)に設定されている。大電流FL31及びFL32は、それぞれの通過電流が許容電流を超えると溶断する。
エンジンボックス5は、エンジンルームハーネス8の一部のコネクタ(図示せず)に接続される。エンジンボックス5は、エンジンルームハーネス8の電源ケーブルによって伝送されるバッテリ2の電力を、エンジンルームの電装部品(図示せず)に分配する。
エンジンルームの電装部品は、ディーゼル車だけに設けられる負荷と、ディーゼル車及びガソリン車に共通する負荷とを含んでいる。これらの負荷は、各負荷を同時に流れる電流の総和がエンジンルームハーネス8の電流容量以下となる消費電力の低い負荷である。
なお、ディーゼル車だけに設けられる負荷としては、例えば、黒煙(PM:粒子状物質)除去フィルタであるDPF(Diesel Particulate Filter 、図示せず)、窒素酸化物を除去する選択触媒還元システムであるSCR(Selective Catalytic Reduction 、図示せず)、燃料ヒータ等が挙げられる。
エンジンボックス5は、複数のヒュージブルリンク及びヒューズを内蔵している。これらのヒュージブルリンク及びヒューズのうち一部は、ディーゼル車だけに設けられる負荷に接続される(ディーゼル車用安全器)。また、エンジンボックス5のヒュージブルリンク及びヒューズのうち他の一部は、ディーゼル車及びガソリン車に共通する負荷に接続される(標準設定安全器)。
エンジンボックス5のヒュージブルリンク及びヒューズのバッテリ2側は、エンジンボックス5の不図示の入力端子に接続されている。
エンジンボックス5は、主に30A(アンペア)以上の電流が流れるエンジンルームの電装部品に、ヒュージブルリンクを介して電力を分配する。また、エンジンボックス5は、主に20A(アンペア)以下の電流が流れるエンジンルームの電装部品に、ヒューズを介して電力を分配する。
そして、エンジンボックス5のヒュージブルリンクの許容電流は、本実施形態では、バッテリ直付けボックス3のFL32よりも低い30~50A(アンペア)に設定されている。
また、エンジンボックス5のヒューズの許容電流は、本実施形態では、エンジンボックス5のヒュージブルリンクの許容電流よりも低い10~20A(アンペア)に設定されている。ヒュージブルリンク及びヒューズは、それぞれの通過電流が許容電流を超えると溶断する。
ディーゼル専用ボックス6(請求項中の電気接続箱に相当)は、ディーゼル車のエンジンルームに設けたディーゼル車固有の電装部品(図示せず)に電力を分配する。
ディーゼル車固有の電装部品は、消費電力の高い負荷を含んでいる。消費電力の高い負荷としては、例えば、DPFの作動により上昇するエンジンルーム内の温度をエンジン停止中に低下させる放熱用電動ファン(図示せず)等が挙げられる。
ディーゼル専用ボックス6は、複数のヒュージブルリンクを内蔵している。このうち一部の大電流FL(ディーゼル車専用大電流FL)61(以下、「大電流FL61」と略記する。)には、上述した放熱用電動ファン等の消費電力が高い負荷が接続される。また、他のディーゼル車専用FL62(以下、「FL62」と略記する。)には、ディーゼル車のエンジンルームの消費電力が高くない負荷が接続される。
ディーゼル専用ボックス6の大電流FL61及びFL62のバッテリ2側は、ディーゼル専用ボックス6の不図示の入力端子に接続されている。
ディーゼル専用ボックス6は、100A(アンペア)を超える大電流が流れる放熱用電動ファン等の消費電力が高い負荷に、大電流FL61を介して電力を分配する。また、ディーゼル専用ボックス6は、100A(アンペア)以下の電流が流れる消費電力が高くない負荷に、FL62を介して電力を分配する。
したがって、ディーゼル専用ボックス6の大電流FL61の許容電流は、本実施形態では、バッテリ直付けボックス3の大電流FL31の許容電流と同じ120A(アンペア)に設定されている。また、ディーゼル専用ボックス6のFL62の許容電流は、本実施形態では、大電流FL31の許容電流よりも低い30~100A(アンペア)に設定されている。大電流FL61及びFL62は、それぞれの通過電流が許容電流を超えると溶断する。
ところで、ディーゼル専用ボックス6において電力を分配するディーゼル車固有の電装部品(図示せず)は、上述した通り、ディーゼル車のエンジンルームに設けられている。このため、ディーゼル専用ボックス6には、エンジンルームに配策されるエンジンルームハーネス8を用いて、バッテリ2の電力をバッテリ直付けボックス3から供給するのが合理的である。
しかし、エンジンルームハーネス8では、必要な電流の電力をバッテリ直付けボックス3からディーゼル専用ボックス6に供給することができない。
その理由は、エンジンルームハーネス8の電源ケーブルが、許容電流が50A(アンペア)である8sqの太さの電線を用いており、放熱用電動ファン等の負荷に流れる大電流(100A(アンペア)超)を流せるだけの電流容量を有していないからである。
そこで、本実施形態の電力分配システム1では、バッテリ直付けボックス3とディーゼル専用ボックス6との接続にエンジンルームハーネス8を用いず、中間端子10を用いるようにしている。
中間端子10は、例えば、アルミ板等の打抜き加工、折曲げ加工等により成形される。
中間端子10は、図2の斜視図に示すように、矩形状の平板部10aと、平板部10aの長手方向中央部から略垂直方向に延設される固定部10bとを有している。固定部10bの先端側には固定ボルトを挿通する挿通孔10cが穿設されている。平板部10aの長手方向の両端部には、一対のカシメ片10dが立設されている。
中間端子10は、図1に示す電源ケーブル4の絶縁被覆を剥がして露出させた芯線部41を平板部10aの各カシメ片10dによりクランプすることで、芯線部41に固定される。固定部10bの挿通孔10cは、ディーゼル専用ボックス6の不図示の入力端子にボルト締めで固定される。
なお、カシメ片10dを省略して、電源ケーブル4の芯線部41を中間端子10の平板部10aでクランプしてもよい。
電源ケーブル4の芯線部41を中間端子10の平板部10aでクランプすることで、電源ケーブル4の芯線部41とディーゼル専用ボックス6の入力端子とが、図1に示すように電気的に接続される。なお、芯線部41をクランプした中間端子10(の平板部10a)は、絶縁材のチューブで構成された端子保護プロテクタ9によって絶縁被覆される。
ここで、中間端子10は、ディーゼル専用ボックス6において分配する、ディーゼル車のエンジンルームの負荷を流れる電流の総和以上の電流容量を有している。中間端子10の電流容量は、本実施形態では、電源ケーブル4の電流容量に合わせて120A(アンペア)に設定されている。
このため、ディーゼル専用ボックス6において電力を分配する負荷の中に、放熱用電動ファン等の消費電力が高い負荷が含まれていても、必要な大きさの電流容量の経路で、バッテリ2の電力を電源ケーブル4及び中間端子10を介してディーゼル専用ボックス6に供給することができる。
なお、ディーゼル車用の電力分配システム1の構成の多くは、図3の説明図に示すガソリン車用の電力分配システム11にも流用できる。
図3に示すガソリン車用の電力分配システム11は、図1に示すディーゼル専用ボックス6及び中間端子10を省略した構成となる。
ガソリン車用の電力分配システム11では、エンジンボックス5に内蔵されたヒュージブルリンク及びヒューズのうち一部が、ガソリン車だけに設けられる負荷に接続される(ガソリン車用安全器)。また、エンジンボックス5のヒュージブルリンク及びヒューズのうち他の一部は、ディーゼル車及びガソリン車に共通する負荷に接続される(標準設定安全器)。これらの負荷は、いずれも、ガソリン車のエンジンルームに設けられた消費電力の低い負荷である。
そして、エンジンボックス5では、主に30A(アンペア)以上の電流が流れるエンジンルームの電装部品に、ヒュージブルリンクを介して電力が分配される。また、エンジンボックス5では、主に20A(アンペア)以下の電流が流れるエンジンルームの電装部品に、ヒューズを介して電力が分配される。
したがって、ガソリン車用の電力分配システム11では、ディーゼル車固有の電装部品が存在しなくても、それに電力を分配するためのヒュージブルリンク用の空きキャビティが、エンジンボックス5に発生しない。このため、エンジンボックス5の設置スペースとして、空きキャビティの分だけ余分なスペースを車両に確保する必要がない。
また、ディーゼル専用ボックス6が省略されるので、不要なディーゼル専用ボックス6を設置するためのスペースを車両に確保する必要もない。
ここで、比較のために、図1の電力分配システム1と等価のディーゼル車用の電力分配システムを、ガソリン車と共用の電気接続箱を利用して実現する場合の構成を、図4の説明図を参照して説明する。
図4に示すディーゼル車用の電力分配システム12では、図1の電力分配システム1におけるディーゼル専用ボックス6の機能を、エンジンボックス5に持たせる。そして、ディーゼル専用ボックス6が電力を分配していたディーゼル車固有の電装部品に、エンジンボックス5によって電力を分配する。
そのために、エンジンボックス5には、ディーゼル車固有の電装部品に対応する大電流FL61及びFL62が追加して内蔵される。大電流FL61及びFL62は、図1の電力分配システム1において、ディーゼル専用ボックス6が内蔵していたものである。
また、電力分配システム12では、100A(アンペア)を超える大電流が流れる負荷に大電流FL61を介して分配する電力を、エンジンボックス5の入力端子に入力させる必要がある。
しかし、図1の電力分配システム1のように、エンジンルームハーネス8でエンジンボックス5をバッテリ直付けボックス3のFL32に接続するのでは、必要な電流の電力をエンジンボックス5の入力端子に入力させることができない。
その理由は、バッテリ直付けボックス3のFL32とエンジンルームハーネス8の電源ケーブルとがいずれも、エンジンボックス5の大電流FL61に接続された負荷に流れる大電流(100A(アンペア)超)を流せるだけの電流容量を有していないからである。
このため、図4に示す電力分配システム12では、バッテリ直付けボックス3のFL32(図1参照)を、大電流FL31に交換する。
そして、交換した大電流FL31とエンジンボックス5とを、電源ケーブル4と同じ30sqの太さの電線を電源ケーブルに用いたエンジンハーネス13(許容電流120A(アンペア))で接続する。
仮に、ディーゼル車用の電力分配システムを、図4に示す電力分配システム12のように構成すると、この構成を流用して構成するガソリン車用の電力分配システムは、図5の説明図に示すような構成となる。
図5に示すガソリン車用の電力分配システム14は、ディーゼル車固有の電装部品が存在しないガソリン車で利用される。このため、電力分配システム14のエンジンボックス5には、100A(アンペア)を超える大電流が流れるディーゼル車固有の電装部品(負荷)に電力を分配するための構成を設ける必要がない。そこで、電力分配システム14では、エンジンボックス5の大電流FL61及びFL62が省略される。
また、ガソリン車用の電力分配システム14では、ディーゼル車固有の電装部品(負荷)が存在しない。このため、エンジンボックス5に電力を供給するのに用いるハーネスは、電流容量が低いエンジンルームハーネス8でも十分である。
しかも、エンジンボックス5において電力を分配するのは、エンジンルームに設けられた負荷だけである。そこで、電力分配システム14では、エンジンルームに配策されるエンジンルームハーネス8を用いて、バッテリ2の電力をバッテリ直付けボックス3からエンジンボックス5に供給する。
図4及び図5の両電力分配システム12,14を比較すると分かるように、図4のディーゼル車用の電力分配システム12の構成を流用して図5のガソリン車用の電力分配システム14を構成し、部品の共通化を図ると、次のようなデメリットがある。
即ち、図5のガソリン車用の電力分配システム14では、図4のディーゼル車用の電力分配システム12で使用した大電流FL61及びFL62を省略することで、エンジンボックス5に空きキャビティが発生する。
このため、電力分配システム14では、エンジンボックス5が空きキャビティの分だけ無用に大型化し、エンジンボックス5の設置スペースとして、空きキャビティの分だけ余分なスペースを車両に確保する必要が生じてしまう。
なお、図6の説明図に示すディーゼル車用の電力分配システム12のように、ディーゼル車固有の電装部品に対する電力の分配を、図1の電力分配システム1と同じく、ディーゼル専用ボックス6で行うようにすることも考えられる。
その場合は、図6に示すように、図1の電力分配システム1のバッテリ直付けボックス3に大電流FL31を増設する。そして、ディーゼル専用ボックス6の入力端子を、電流容量の高いエンジンハーネス13によって、バッテリ直付けボックス3の増設した大電流FL31に接続する。
ここで、大電流FL61及びFL62は、ディーゼル専用ボックス6に内蔵されている。このため、エンジンボックス5には、大電流FL61及びFL62を追加で内蔵させる必要がなくなる。
また、エンジンボックス5が電力を分配する負荷は、エンジンルームの消費電力が高くない負荷のみとなる。よって、エンジンボックス5は、図4の電力分配システム12で用いたエンジンハーネス13でなく、それよりも電流容量が低く重量が軽いエンジンルームハーネス8によって、バッテリ直付けボックス3のFL32に接続すればよい。
このようにディーゼル車用の電力分配システム12を構成すれば、図7の説明図に示すように、ディーゼル専用ボックス6とエンジンハーネス13とを省略することで、その他の構成を流用してガソリン車用の電力分配システム14を構成することができる。
但し、ガソリン車用の電力分配システム14では、バッテリ直付けボックス3の増設した大電流FL31が使用されず無駄になってしまう。そこで、大電流FL31の無駄を避けるために、増設の大電流FL31がないガソリン車用のバッテリ直付けボックス3を新たに用いることも考えられる。
しかし、ガソリン車用のバッテリ直付けボックス3を新たに用いると、そのバッテリ直付けボックス3を、大電流FL31を増設する図6のディーゼル車用のバッテリ直付けボックス3とは別の品番で部品管理しなければならなくなる。
その上、バッテリ直付けボックス3とディーゼル専用ボックス6とを、電流容量の高いエンジンハーネス13によって接続することから、システム重量の増加を招いてしまう。
一方、図1に示す本実施形態のディーゼル車用の電力分配システム1では、電源ケーブル4を接続する大電流FL31の他に、ディーゼル専用ボックス6を接続するための大電流FL31をバッテリ直付けボックス3に増設する必要がない。
このため、ディーゼル車用の電力分配システム1のバッテリ直付けボックス3(大電流FL31及びFL32を含む)を、図3に示すように、ガソリン車用の電力分配システム11でもそのまま使用することができる。
したがって、図1に示す本実施形態のディーゼル車用の電力分配システム1では、ディーゼル専用ボックス6をエンジンハーネス13によりバッテリ直付けボックス3に接続しなくても、中間端子10を介して必要な電流の電力を電源ケーブル4からディーゼル専用ボックス6に供給することができる。
また、図4を参照して説明したディーゼル車用の電力分配システム12では、その構成を流用して図5に示すガソリン車用の電力分配システム14を構成したときに、エンジンボックス5に空きキャビティが生じて余分な設置スペースが必要になる。
しかし、図1に示す本実施形態の電力分配システム1では、そのような余分な設置スペースが発生しない。さらに、本実施形態の電力分配システム1では、バッテリ直付けボックス3の品番がディーゼル車用とガソリン車用とで別になって、管理する部品が増加することもない。
その上、バッテリ直付けボックス3とディーゼル専用ボックス6とを、電流容量の高いエンジンハーネス13によって接続する必要がないことから、システム重量の増加を抑制することができる。
このため、車両の負荷に分配する電力の電流を、ディーゼル車とガソリン車とで変えるときに、無用な重量増加やデッドスペースが発生するのを抑制することができる。
次に、本発明の第2実施形態に係るディーゼル車用の電力分配システムについて説明する。図8は本発明の第2実施形態に係るディーゼル車用の電力分配システムの構成を模式的に示す説明図である。
図8に示すディーゼル車用の電力分配システム15(請求項中の車両用電力分配システムに相当)では、図1に示す第1実施形態の電力分配システム1におけるバッテリ直付けボックス3を省略し、エンジンボックス5の入力端子を、電源ケーブル16を用いてバッテリ2の端子部に接続している。
そのため、エンジンボックス5には、電源ケーブル4にバッテリ2を接続するために、大電流FL31及びFL32が追加して内蔵される。大電流FL31及びFL32は、図1の電力分配システム1において、バッテリ直付けボックス3が内蔵していたものである。そして、エンジンボックス5の大電流FL31に電源ケーブル4が接続される。
ここで、バッテリ2とエンジンボックス5とを接続する電源ケーブル16は、電源ケーブル4と同じく、30sq(許容電流120A(アンペア))の太さの電線を用いている。
また、ディーゼル専用ボックス6を中間端子10により電源ケーブル4に接続する点は、図1の電力分配システム1と同様である。
そして、電力分配システム15の構成を流用してガソリン車用の電力分配システムを実現する場合は、図3に示すガソリン車用の電力分配システム11と同じく、図9の説明図に示すガソリン車用の電力分配システム17のように、図8に示すディーゼル専用ボックス6及び中間端子10を省略する。
このように構成されたガソリン車用の電力分配システム17では、ディーゼル車固有の電装部品が存在しなくても、それに電力を分配するためのヒュージブルリンク用の空きキャビティが、エンジンボックス5に発生しない。このため、エンジンボックス5の設置スペースとして、空きキャビティの分だけ余分なスペースを車両に確保する必要がない。
また、ディーゼル専用ボックス6が省略されるので、不要なディーゼル専用ボックス6を設置するためのスペースを車両に確保する必要もない。
仮に、図8の電力分配システム15と等価のディーゼル車用の電力分配システムを、ガソリン車と共用の電気接続箱を利用して実現すると、その構成は図10の説明図に示すようなものとなる。
即ち、図10に示すディーゼル車用の電力分配システム18では、図8の電力分配システム15におけるディーゼル専用ボックス6の機能を、エンジンボックス5に持たせる。そして、ディーゼル専用ボックス6が電力を分配していたディーゼル車固有の電装部品に、エンジンボックス5によって電力を分配する。
そのために、エンジンボックス5には、図8の電力分配システム15においてディーゼル専用ボックス6が内蔵していた、ディーゼル車固有の電装部品に対応する大電流FL61及びFL62が追加して内蔵される。
つまり、図10の電力分配システム18では、大電流FL31,61やFL32,62を含む全てのヒュージブルリンクやヒューズが、エンジンボックス5に集中して内蔵される。
このため、図10の電力分配システム18では、エンジンボックス5においてヒュージブルリンクやヒューズを流れる電流の総和が大きくなる。したがって、通電時にヒュージブルリンクやヒューズが放出する熱によるエンジンボックス5の入力端子部や内部の温度上昇が大きくなる。よって、エンジンルームの過剰な温度上昇を防ぐための対策が必要となる。
また、全てのヒュージブルリンクやヒューズをエンジンボックス5が内蔵するので、エンジンボックス5のサイズが大きくなり、エンジンボックス5の設置スペースをエンジンルームに広く確保する必要が生じる。
なお、図10の電力分配システム18の構成を流用してガソリン車用の電力分配システムを構成すると、図11の説明図に示すような構成になる。
即ち、図11に示すガソリン車用の電力分配システム19は、ディーゼル車固有の電装部品が存在しないガソリン車で利用される。このため、電力分配システム19のエンジンボックス5には、ディーゼル車固有の電装部品(負荷)に対応する大電流FL61及びFL62が不要となり、それらが省略される。
したがって、ガソリン車用の電力分配システム19では、大電流FL61及びFL62を省略することで、エンジンボックス5に空きキャビティが発生して、その分だけエンジンボックス5が無用に大型化する。よって、エンジンボックス5の設置スペースとして、空きキャビティの分だけ余分なスペースを車両に確保する必要が生じてしまう。
そこで、図12の説明図に示すディーゼル車用の電力分配システム18のように、ディーゼル車固有の電装部品に対する電力の分配を、図8の電力分配システム15と同じく、ディーゼル専用ボックス6で行うようにすることも考えられる。
その場合は、図12に示すように、エンジンボックス5に大電流FL31を増設し、ディーゼル専用ボックス6の入力端子を、電流容量の高いエンジンハーネス13によって、エンジンボックス5の増設した大電流FL31に接続する。
すると、図6に示すディーゼル車用の電力分配システム12と同じく、エンジンボックス5には、大電流FL61及びFL62を追加で内蔵させる必要がなくなる。このため、内蔵するヒュージブルリンクやヒューズを減らして、エンジンボックス5の小型化を図ることができる。また、エンジンボックス5の入力端子部や内部の温度上昇を抑制することができる。
なお、図12に示すようにディーゼル車用の電力分配システム18を構成した場合は、図13の説明図に示すように、ディーゼル専用ボックス6とエンジンハーネス13とを省略することで、その他の構成を流用してガソリン車用の電力分配システム19を構成することができる。
但し、ガソリン車用の電力分配システム19では、エンジンボックス5の増設した大電流FL31が使用されず無駄になってしまう。仮に、増設の大電流FL31をエンジンボックス5に実装しなくても、増設の大電流FL31用のキャビティは空きキャビティとして残るので、エンジンボックス5の設置のために余分なスペースが必要になってしまう。
しかし、図8に示す本実施形態の電力分配システム15では、そのような余分な設置スペースが発生しない。
このため、車両の負荷に分配する電力の電流を、ディーゼル車とガソリン車とで変えるときに、空きキャビティが生じたエンジンボックス5を設置するためにデッドスペースが発生するのを抑制することができる。
続いて、本発明の第3実施形態に係るディーゼル車用の電力分配システムについて説明する。図14は本発明の第3実施形態に係るディーゼル車用の電力分配システムの構成を模式的に示す説明図である。
図14に示すディーゼル車用の電力分配システム20(請求項中の車両用電力分配システムに相当)では、図1に示す第1実施形態の電力分配システム1におけるバッテリ直付けボックス3(の大電流FL31)に、エンジンハーネス13を接続している。そして、バッテリ2の電力を、エンジンブロック21のスタータモータ(ST)22に、バッテリ直付けボックス3及びエンジンハーネス13の電源ケーブルを介して供給している。
また、電力分配システム20では、図1に示すバッテリ直付けボックス3(のFL32)に、エンジンルームハーネス8を接続している。そして、バッテリ2の電力を、ディーゼル専用ボックス6及びエンジンボックス5に、バッテリ直付けボックス3及びエンジンルームハーネス8の電源ケーブルを介して供給している。
但し、エンジンルームハーネス8の電源ケーブルは、ディーゼル専用ボックス6の大電流FL61に接続された負荷を流れる電流に見合った電流容量を有していない。そこで、図14の電力分配システム20では、図1に示す中間端子10によって図14のエンジンハーネス13をクランプし、この中間端子10を、ディーゼル専用ボックス6の入力端子に接続している。
このため、図14の電力分配システム20では、バッテリ2の電力が、エンジンルームハーネス8の電源ケーブルよりも電流容量が高い、バッテリ直付けボックス3(の大電流FL31)、エンジンハーネス13の電源ケーブル及び中間端子10を介して、ディーゼル専用ボックス6に供給される。
なお、電力分配システム20の構成を流用してガソリン車用の電力分配システムを実現する場合は、ディーゼル専用ボックス6及び中間端子10を省略する。
また、仮に、図14の電力分配システム20と等価のディーゼル車用の電力分配システムを、ガソリン車と共用のエンジンボックス5を利用して実現すると、その構成は図15の説明図に示すようなものとなる。
即ち、図15に示すディーゼル車用の電力分配システム24では、図14のエンジンルームハーネス8に分岐部を追加する。エンジンルームハーネス8の分岐部は、コネクタを介して、エンジンハーネス13の分岐部に「ワイヤtoワイヤ」接続する。エンジンルームハーネス8の分岐部からディーゼル専用ボックス6に亘る部分には、電流容量が大きい電源ケーブル(図示せず)を配策する。
そして、電力分配システム24では、バッテリ2からエンジンハーネス13に供給された電力を、エンジンルームハーネス8の電流容量が大きい電源ケーブルを介してディーゼル専用ボックス6に供給する。これにより、エンジンルームハーネス8では直接供給できない十分な電流の電力を、ディーゼル専用ボックス6に供給することができる。
このように構成された電力分配システム24では、図14に示す第3実施形態の電力分配システム20よりも、エンジンハーネス13とエンジンルームハーネス8とを「ワイヤtoワイヤ」接続する分、多くのハーネスを必要とする。また、エンジンルームハーネス8の分岐部からディーゼル専用ボックス6に亘る部分に、電流容量が大きい電源ケーブル(図示せず)を配策する分、エンジンルームハーネス8が大径化する。
よって、図14に示す第3実施形態の電力分配システム20は、図15に示す比較例の電力分配システム24よりも、システム重量の増加を抑制することができる。
続いて、本発明の第4実施形態に係るディーゼル車用の電力分配システムについて説明する。図16は本発明の第4実施形態に係るディーゼル車用の電力分配システムの構成を模式的に示す説明図である。
図16に示すディーゼル車用の電力分配システム25(請求項中の車両用電力分配システムに相当)では、図1に示す第1実施形態の電力分配システム1におけるバッテリ直付けボックス3(の大電流FL31)に、エンジンハーネス13を接続している。
そして、バッテリ2の電力を、エンジンブロック21のスタータモータ(ST)22に、バッテリ直付けボックス3及びエンジンハーネス13の電源ケーブルを介して供給している。エンジンハーネス13はさらに、エンジンルームファン兼用のラジエータファン(RAD_FAN)26にも、バッテリ2の電力を供給している。
また、電力分配システム25では、図1に示すバッテリ直付けボックス3(のFL32)に、エンジンルームハーネス8を接続している。そして、バッテリ2の電力を、図1に示すディーゼル専用ボックス6及びエンジンボックス5に、バッテリ直付けボックス3及びエンジンルームハーネス8の電源ケーブルを介して供給している。エンジンルームハーネス8はさらに、消費電力が高い大電流負荷に電力を分配する電源ボックス27にも、バッテリ2の電力を供給している。
電源ボックス27(請求項中の電気接続箱に相当)は、複数のヒュージブルリンクを内蔵している。このうち一部の大電流FL(大電流負荷用専用大電流FL)28(以下、「大電流FL28」と略記する。)には、上述した消費電力が高い大電流負荷が接続される。大電流負荷としては、例えば、上述したラジエータファン26や、カーヒータ(PTC_HEATER)、フロントガラスの曇り取りヒータ(デフロスタ)等の熱源等が挙げられる。また、他のFL29には、ディーゼル車のエンジンルームの消費電力が高くない負荷が接続される。
電源ボックス27の大電流FL28及びFL29のバッテリ2側は、電源ボックス27の不図示の入力端子に接続されている。
なお、エンジンルームハーネス8の電源ケーブルは、ディーゼル専用ボックス6や電源ボックス27の大電流FL28,29に接続された負荷を流れる電流に見合った電流容量を有していない。そこで、図16の電力分配システム25では、図1に示す中間端子10によって図16のエンジンハーネス13を2箇所クランプし、各中間端子10を、ディーゼル専用ボックス6の入力端子に接続している。
このため、図16の電力分配システム25では、バッテリ2の電力が、エンジンルームハーネス8の電源ケーブルよりも電流容量が高い、バッテリ直付けボックス3(の大電流FL31)、エンジンハーネス13の電源ケーブル及び中間端子10を介して、ディーゼル専用ボックス6及び電源ボックス27にそれぞれ供給される。
また、電力分配システム25では、互いの電線径が異なるエンジンハーネス13の分岐部とエンジンルームハーネス8の分岐部とが、共通の構造を有するコネクタを介して「ワイヤtoワイヤ」接続されている。さらに、電力分配システム25では、電源ボックス27のFL29に、エンジンルームハーネス8が接続されている。これらの接続により、エンジンルームハーネス8には、バッテリ2の電力がエンジンハーネス13を経由するバックアップ経路からも供給される。
なお、電力分配システム25の構成を流用してガソリン車用の電力分配システムを実現する場合は、2つの中間端子10とディーゼル専用ボックス6とを省略する。そして、電源ボックス27に、エンジンルームハーネス8によりバッテリ2の電力を供給する。
また、仮に、図16の電力分配システム25と等価のディーゼル車用の電力分配システムを、ガソリン車と共用のエンジンボックス5を利用して実現すると、その構成は図17の説明図に示すようなものとなる。
即ち、図17に示すディーゼル車用の電力分配システム30では、図16のディーゼル専用ボックス6の大電流FL61及びFL62のバッテリ2側を、エンジンハーネス13に接続する。また、電源ボックス27の大電流FL28及びFL29のバッテリ2側を、エンジンルームハーネス8に接続する。エンジンルームハーネス8の分岐部から電源ボックス27に亘る部分には、電流容量が大きい電源ケーブル(図示せず)を配策する。
そして、図17の電力分配システム30では、バッテリ2からエンジンハーネス13に供給された電力を、ディーゼル専用ボックス6に供給する。また、電力分配システム30では、バッテリ2からエンジンハーネス13に供給された電力を、エンジンルームハーネス8の電流容量が大きい電源ケーブルを介して電源ボックス27に供給する。これにより、エンジンルームハーネス8では直接供給できない十分な電流の電力を、電源ボックス27に供給することができる。
このように構成された電力分配システム30では、図16に示す第4実施形態の電力分配システム25よりも、エンジンルームハーネス8の分岐部からディーゼル専用ボックス6に亘る部分に、電流容量が大きい電源ケーブル(図示せず)を配策する分、エンジンルームハーネス8が大径化する。
よって、図16に示す第4実施形態の電力分配システム25は、図17に示す比較例の電力分配システム30よりも、システム重量の増加を抑制することができる。
以上に、ガソリン車用の電力分配システムに構成を流用するディーゼル車用の電力分配システムの実施形態を、その比較例と共に説明した。続いて、異なる仕様の車両の電力分配システムに構成を流用する車両用の電力分配システムの実施形態を、以下に説明する。図18は本発明の第5実施形態に係る車両用の電力分配システムの構成を模式的に示す説明図である。
図18に示す第5実施形態の電力分配システム34(請求項中の車両用電力分配システムに相当)は、図1に示す第1実施形態の電力分配システム1におけるディーゼル専用ボックス6に代えて、2つの電源ボックス35,36を有している。
このうち、電源ボックス35(請求項中の電気接続箱に相当)は、図1に示すディーゼル専用ボックス6と同様に、エンジンルームの不図示の電装部品(負荷)に電力を分配する。この負荷は、標準仕様の車両には装備されていない、一部の仕様の車両のみに搭載される負荷である。この負荷には、100A(アンペア)を超える大電流が流れる消費電力の高い負荷が含まれる。
また、電源ボックス36(請求項中の電気接続箱に相当)は、エンジンボックス5と同様に、エンジンルームの不図示の電装部品(負荷)に分配する。この負荷は、標準仕様の車両には装備されていない、一部の仕様の車両のみに搭載される負荷である。この負荷には、バッテリ直付けボックス3のFL32よりも低い30~90A(アンペア)の電流が流れる負荷が含まれる。
そして、電源ボックス35,36において電力を分配する負荷は、上述した通り、車両のエンジンルームに設けられている。このため、電源ボックス35,36には、エンジンルームに配策されるエンジンルームハーネス8を用いて、バッテリ2の電力をバッテリ直付けボックス3から供給するのが合理的である。
しかし、エンジンルームハーネス8では、必要な電流の電力をバッテリ直付けボックス3からディーゼル専用ボックス6に供給することができない。
そこで、本実施形態の電力分配システム34では、バッテリ直付けボックス3と電源ボックス35との接続にエンジンハーネス13を用いず、中間端子10を用いるようにしている。また、バッテリ直付けボックス3と電源ボックス36との接続にも、エンジンルームハーネス8を用いず中間端子10を用いるようにしている。
バッテリ直付けボックス3と電源ボックス35とを接続する中間端子10は、電源ケーブル4の絶縁被覆を剥がして露出させた芯線部41を平板部10a(図2参照)でクランプしている。中間端子10の固定部10bの挿通孔10c(図2参照)は、電源ボックス35の不図示の入力端子にボルト締めで固定される。
また、バッテリ直付けボックス3と電源ボックス36とを接続する中間端子10は、電源ケーブル4の絶縁被覆を剥がして露出させた芯線部41を平板部10a(図2参照)でクランプしている。中間端子10の固定部10bの挿通孔10c(図2参照)は、電源ボックス36の不図示の入力端子にボルト締めで固定される。
なお、各中間端子10は、電源ボックス35,36において分配する、エンジンルームの負荷を流れる電流の総和以上の電流容量を有している。中間端子10の電流容量は、本実施形態では、エンジンハーネス13の電流容量に合わせて120A(アンペア)に設定されている。
このため、電源ボックス35,36において電力を分配する負荷を流れる電流の総和に対応する十分な大きさの電流容量の経路で、電源ケーブル4の電力を電源ボックス35,36にそれぞれ入力させることができる。
ここで、比較のために、バッテリ直付けボックス3と電源ボックス35,36との接続に、中間端子10でなくエンジンハーネス13やエンジンルームハーネス8を用いる場合の電力分配システムの構成を、図19の説明図を参照して説明する。
図19に示す電力分配システム45では、バッテリ直付けボックス3に、電源ケーブル4用の大電流FL31とは別に、エンジンハーネス13用の大電流FL31を増設し、増設した大電流FL31と電源ボックス35とをエンジンハーネス13で接続する必要がある。
また、電力分配システム45では、バッテリ直付けボックス3のFL32に電源ボックス36を、エンジンルームハーネス8で接続する必要がある。
これに対し、図18に示す本実施形態の電力分配システム34では、バッテリ直付けボックス3と電源ボックス35,36との接続に、エンジンハーネス13やエンジンルームハーネス8を用いず中間端子10を用いることで、システムの軽量化を図ることができる。
なお、図13に示す電力分配システム19を標準仕様の車両で使用する場合、標準仕様の車両には装備されていない負荷が追加された他の仕様の車両(ディーゼル車又はガソリン車)で使用する電力分配システムは、例えば、図20の説明図に示す電力分配システム46のように構成することができる。
図20に示す電力分配システム46では、追加装備の負荷に電力を分配する電源ボックスとして、図19に示す、エンジンハーネス13を入力端子に接続した電源ボックス35が追加される。
そして、図20に示す電力分配システム46では、電源ボックス35からのエンジンハーネス13に、コネクタ形状が一致するエンジンルームハーネス8を接続し、このエンジンルームハーネス8をエンジンボックス5の大電流FL31に接続している。即ち、エンジンハーネス13とエンジンルームハーネス8との「ワイヤtoワイヤ」接続により、エンジンボックス5と電源ボックス35とを接続している。
しかし、エンジンハーネス13とエンジンルームハーネス8とでは、電源ケーブルの電線径が異なるので、双方のコネクタ形状が一致せず接続できない場合もある。
その場合は、図21に示す電力分配システム47のように、エンジンボックス5と電源ボックス35との間を中継する電源ボックス48をさらに追加する。
そして、エンジンボックス5と電源ボックス48とをエンジンルームハーネス8によって接続し、電源ボックス48の出力側において、電源ボックス48の各FL49,50にそれぞれ接続したハーネスと電源ボックス35からのエンジンハーネス13等とをコネクタ接続(「ワイヤtoワイヤ」接続)する。
なお、電源ボックス35からのエンジンハーネス13をエンジンボックス5の大電流FL31に接続できる場合は、図22の説明図に示す電力分配システム51のように、エンジンボックス5と電源ボックス35とをエンジンハーネス13で直接接続する。
上述した図20乃至図22に示す電力分配システム46,47,51では、図13に示す電力分配システム19に、電源ボックス35とエンジンハーネス13(または、電源ボックス35,48とエンジンハーネス13及びエンジンルームハーネス8)を追加する。これにより、標準仕様車両用の電力分配システム19の構成を、他の仕様の車両用の電力分配システム46,47,51に流用することができる。
但し、エンジンボックス5と電源ボックス35とを接続するために、エンジンハーネス13及びエンジンルームハーネス8を追加しなければならず、場合によっては電源ボックス48もさらに追加しなければならないので、システムの重量が大幅に増加してしまう。
そこで、車両の仕様による負荷の数や内容の変化に対しても、図8及び図9の電力分配システム15,17における中間端子10を用いたディーゼル専用ボックス6の追加、省略の構成を適用する。
これにより、図19の電源ボックス35を、必要に応じて中間端子10により電源ケーブル4の芯線部41に接続し、電源ボックス35を電力分配システム19に対して追加、省略できる構成を実現することができる。そして、車両の負荷に分配する電力の電流を、車両の仕様等に応じて変えるときに、無用な重量増加が発生するのを抑制することができる。
なお、車両の仕様によっては、エンジンブロックの電装部品とエンジンルームの電装部品とのそれぞれに、標準仕様の車両には装備されていない負荷が発生する場合がある。その場合は、図18の電力分配システム34における、電源ボックス35,36を必要に応じて中間端子10により電源ケーブル4の芯線部41に接続する構成を、図9の電力分配システム17に適用する。
これにより、図23の説明図に示す本発明の第6実施形態に係る車両用の電力分配システム52(請求項中の車両用電力分配システムに相当)のように、電源ケーブル4の電力が、中間端子10を介して各電源ボックス35,36の入力端子に入力される。
このため、電源ボックス35,36において電力を分配する負荷を流れる電流の総和に対応する十分な大きさの電流容量の経路で、電源ケーブル4の電力を電源ボックス35,36にそれぞれ入力させることができる。
ここで、比較のために、エンジンボックス5と電源ボックス35,36との接続に、中間端子10でなくエンジンハーネス13やエンジンルームハーネス8を用いる場合の電力分配システムの構成を、図24の説明図を参照して説明する。
図24に示す電力分配システム53では、エンジンボックス5に、電源ケーブル4用の大電流FL31とは別に、エンジンハーネス13用の大電流FL31を増設し、増設した大電流FL31と電源ボックス35とをエンジンハーネス13で接続する必要がある。
また、電力分配システム30では、エンジンボックス5のFL32に電源ボックス36を、エンジンルームハーネス8で接続する必要がある。
これに対し、図23に示す本実施形態の電力分配システム52では、エンジンボックス5と電源ボックス35,36との接続に、エンジンハーネス13やエンジンルームハーネス8を用いず中間端子10を用いることで、システムの軽量化を図ることができる。
以上に説明したように、上述した各実施形態の電力分配システムでは、車両の負荷に分配する電力の電流を、車両の仕様や車種に応じて変えるときに、無用な重量増加やデッドスペースが発生するのを抑制することができる。
なお、上述した実施形態では、内燃機関を推進源とするガソリン車、ディーゼル車等の車両に本発明を適用した場合を主に説明したが、電動機を推進源とするハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)等の車両にも本発明が適用できることは、言うまでもない。