JP7188169B2 - モーター制御装置、ローターの磁極の初期位置推定方法、および画像形成装置 - Google Patents

モーター制御装置、ローターの磁極の初期位置推定方法、および画像形成装置 Download PDF

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Description

この開示は、モーター制御装置、ローターの磁極の初期位置推定方法、および画像形成装置に関し、センサレス方式のブラシレスDCモーター(永久磁石同期モーターとも称する)などの交流モーターの制御に用いられるものである。
センサレス方式のブラシレスDCモーターでは、ステーターの各相コイルに対するローターの永久磁石の磁極位置を検出するセンサーがない。このため、モーターを起動させる前に、所定の電気角でステーターに通電を行い、通電した電気角(以下、通電角度とも称する)に応じた位置にローターの磁極を引き込んでからモーターの回転を開始させることが一般に行われる。
しかしながら、ローターの引き込みを行う際には、ローターは最大で±180°ずれた状態から引き込まれるため、ローターが大きく振動する場合がある。このような場合には、起動可能なレベルに振動が収まるまで待つ必要がある。
また、モーターを起動させる前にローターが動くのが許容できないアプリケーションでは、ローターの引き込みの方法は採用できない。たとえば、電子写真方式の画像形成装置において、用紙搬送用の給紙モーターにブラシレスDCモーターを採用する場合には、磁極の初期位置推定のためにローター引き込みの方法を採用することはできない。モーター起動前にローターが動いてしまうと、それに伴って用紙が送り出されるためにジャムの原因となるからである。
そこで、ローターの引き込みを行わずに、静止状態にあるローターの磁極位置を推定する方法として、インダクティブセンスの方法が知られている(たとえば、特許第2547778号公報(特許文献1)を参照)。この初期位置推定方法は、ローターが回転しないレベルの電圧を複数の電気角でステーター巻線に印加したとき、ローターの磁極位置とステーター巻線による電流磁界との位置関係に応じて、実効的なインダクタンスが微妙に変化する性質を利用している。具体的に特許文献1によれば、各電気角においてステーター巻線に電圧を一定の通電時間印加したとき、最も高い電流値を示す場合の通電角度がローターの磁極の位置を示している。
特許第2547778号公報
インダクティブセンスによる初期位置推定方法は、たとえば、磁気飽和現象を利用している。ローターの磁極の方向に対応するd軸方向にステーター電流を流した場合には、ローターの永久磁石による磁束と電流による磁束とが加算される。これにより、磁気飽和が生じるためにインダクタンスが低下し、インダクタンスの低下をステーター電流の変化によって検出することができる。また、永久磁石埋め込み型(IPM:Interior Permanent Magnet)モーターの場合には、q軸方向のインダクタンスがd軸方向のインダクタンスよりも大きくなる突極性が生じる。したがって、この場合には、磁気飽和が生じなくも、d軸電流の場合に実効的なインダクタンスが低下する。
上記の初期位置推定方法の問題点の1つは、モーターの構造および特性に大きく依存しているという点にある。モーターの構造によっては、実効的なインダクタンスの変化が小さいために、通電角度に応じてステーター電流がほとんど変化しなかったり、ステーター電流のピーク値が検出される場合の通電角度がローターの磁極位置を示していなかったりするからである(詳しくは、実施の形態で説明する)。
具体的に、磁気飽和現象を利用する場合には、少なくともd軸電流を流した場合に磁気飽和が発生するレベルに、印加電圧および印加時間を設定する必要がある。磁気飽和がほとんど発生しないレベルでは、最大の電流値が得られる通電角度が磁極位置からずれてしまったり、十分なSN(Signal-to-Noise)比が得られなかったりするからである。しかしながら、近年では、モーターの効率向上のために、磁気飽和し難いモーターが多くなってきているために精度良く初期位置推定を行うことが困難になっている。
一方、インダクタンスを顕著に低下させるために、印加電圧および印加時間を大きくしすぎると、ローターが動いてしまうという問題が生じる。この結果、検出誤差が生じたり、起動に失敗したりする場合があり得る。
この点で特に問題となるのは、インナーローター型モーターの場合である(ただし、本開示は、インナーローター型モーターに限定されるものではない)。インナーローター型モーターは、イナーシャが小さいために、頻繁にモーターの起動および停止を繰り返す用途などでは有利である。しかし、インダクティブセンス方式で初期位置推定を行う場合において、インナーローター型モーターのようにイナーシャが小さいと、初期位置推定の際にステーター巻線に流す電流によってローターが容易に動いてしまうという問題がある。
本開示は、インダクティブセンス方式における上記の問題点を考慮したものである。本開示の目的の1つは、複数相の電圧によって駆動されるセンサレス方式のモーターにおいてインダクティブセンス方式による磁極の初期位置推定を行う際に、比較的小さな印加電圧および印加時間であっても、ローター磁極の初期位置を精度良く推定することを可能にすることである。本開示のその他の課題および特徴は、実施の形態において明らかにする。
本開示の一局面によるモーター制御装置は、センサレス方式のモーターを制御するためのものであって、モーターの複数相のステーター巻線に電圧を印加するための駆動回路と、駆動回路を制御する制御部とを備える。制御部は、インダクティブセンス方式でモーターのローターの初期磁極位置を推定する際に、(i)複数の通電角度を順次変更しながら通電角度ごとに、ローターが回転しないレベルの電圧値および通電時間で、ステーター巻線に駆動回路によって連続的または間欠的に電圧を印加させ、(ii)通電角度ごとに得られたステーター巻線を流れる複数相の電流のピーク値を、通電角度と同じ電気角を有する第1の電流成分と、第1の電流成分と90度だけ電気角が異なる第2の電流成分とに変換し、(iii)複数の通電角度に対する第1の電流成分の変化量を三角関数曲線で近似した場合における三角関数曲線の位相角に基づいて、ローターの初期磁極位置を推定するように構成される。上記の三角関数曲線は、モーターの電気角の1周期に等しい周期を有する。
好ましくは、推定された初期磁極位置は、三角関数曲線が最大値を有するときの通電角度に対応する。
好ましくは、制御部は、初期磁極位置を推定する際に、通電角度ごとに、第1の電流成分の値と通電角度の余弦値とを乗算し、複数の通電角度に対して得られた乗算結果の総和を求めることによって第1の積算値を計算し、通電角度ごとに、第1の電流成分の値と通電角度の正弦値とを乗算し、複数の通電角度に対して得られた乗算結果の総和を求めることによって第2の積算値を計算し、第1の積算値と第2の積算値との比に基づいて、位相角を計算するように構成される。
好ましくは、制御部は、第1の積算値と第2の積算値との比の逆正接に基づいて位相角を計算する。
本開示の他の局面において、センサレス方式のモーターのローターの磁極の初期位置推定方法が提供される。ローターの磁極の初期位置推定方法は、複数の通電角度を順次変更しながら通電角度ごとに、ローターが回転しないレベルの電圧値および通電時間で、複数相のステーター巻線に連続的または間欠的に電圧を印加するステップと、通電角度ごとに、ステーター巻線を流れる複数相の電流のピーク値を、通電角度と同じ電気角を有する第1の電流成分と、第1の電流成分と90度だけ電気角が異なる第2の電流成分とに変換するステップと、複数の通電角度に対する第1の電流成分の変化量を三角関数曲線で近似した場合における三角関数曲線の位相角に基づいて、ローターの磁極の初期位置を推定するステップとを備える。上記の三角関数曲線は、モーターの電気角の1周期に等しい周期を有する。
好ましくは、推定された磁極の初期位置は、三角関数曲線が最大値を有するときの通電角度に対応する。
好ましくは、ローターの磁極の初期位置を推定するステップは、通電角度ごとに、第1の電流成分の値と通電角度の余弦値とを乗算し、複数の通電角度に対して得られた乗算結果の総和を求めることによって第1の積算値を計算するステップと、通電角度ごとに、第1の電流成分の値と通電角度の正弦値とを乗算し、複数の通電角度に対して得られた乗算結果の総和を求めることによって第2の積算値を計算するステップと、第1の積算値と第2の積算値との比に基づいて、位相角を計算するステップとを含む。
好ましくは、位相角を計算するステップは、第1の積算値と第2の積算値との比の逆正接にを計算するステップを含む。
好ましくは、ローターの磁極の初期位置推定方法は、複数の通電角度として、モーターの電気角の1周期をL個の区間に等分割した場合に相当するL個の通電角度を決定するステップをさらに備える。L個の通電角度を決定するステップは、推定された磁極の初期位置に含まれる折り返し歪みに基づく誤差の最大許容量[度]を決定するステップと、複数の通電角度に対する第1の電流成分の波形から求めたフーリエ級数成分のうち、第1次成分の振幅に対する第(L-1)次成分の振幅の割合[%]が、最大許容量の1.67倍以下となるようにLを決定するステップとを含む。
好ましくは、ローターの磁極の初期位置推定方法は、ステーター巻線に電流を流すことにより予め設定された複数のキャリブレーション用の電気角の各々にローターを引き込んだ状態で、ローターの磁極の初期位置を推定することによって、複数のキャリブレーション用の電気角とそれぞれ対応するローターの磁極の複数の推定初期位置との偏差を予め求めるステップと、予め求められた複数の推定初期位置とそれぞれ対応する偏差との関係に基づいて、新たに求めたローターの磁極の推定初期位置を補正するステップとをさらに備える。
好ましくは、推定初期位置を補正するステップは、予め求められた複数の推定初期位置とそれぞれ対応する偏差との関係を利用した補間処理によって、新たに求めたローターの磁極の推定初期位置に対応する偏差を計算するステップを含む。
もしくは、推定初期位置を補正するステップは、予め求められた複数の推定初期位置とそれぞれ対応する偏差とのとの関係に基づく多項式近似曲線を用いて、新たに求めたローターの磁極の推定初期位置に対応する偏差を計算するステップを含む。
好ましくは、偏差を予め求めるステップは、モーターが搭載された製品の製造時、製品のユーザー先への設置時、および、製品に搭載されたモーターが交換されたときのうち、少なくとも1つの時点において実行される。
好ましくは、モーターは、複数のローラー用いて用紙を給紙カセットから取り出して搬送し、搬送された用紙に画像を形成する画像形成装置において、複数のローラーの各々を駆動するために用いられる。複数のローラーは、用紙がローラーニップに挟まれた状態で停止する第1のローラーと、用紙がローラーニップの入口に突き当たれらた状態で停止する第2のローラーと、用紙がローラーニップに挟まれた状態および用紙がローラーニップに入口に突き当てられた状態のいずれでも停止しない複数の第3のローラーとを含む。推定初期位置を補正するステップは、第1のローラーおよび第2のローラーの各々を駆動するためのモーターに対して実行される。
好ましくは、推定初期位置を補正するステップは、複数の第3のローラーの各々を駆動するためのモーターに対して実行されない。
もしくは、複数の第3のローラーの各々を駆動するためのモーターに対して、推定初期位置を補正するステップは、各第3のローラーの直径、各第3のローラーとそれを駆動するモーターとの間の減速比、および各第3のローラーを駆動するモーターの極対数のうちの少なくとも1つに応じて、実行される場合と実行されない場合とがある。
好ましくは、推定初期位置を補正するステップは、減速比と極対数との積で第3のローラーの直径を除算した値が基準値以上となる場合にのみ実行される。
好ましくは、偏差を予め求めるステップは、画像形成装置の電源がオンされた後、用紙の搬送を行うためにモーターの起動を行うまでの間に実行される。
本開示のさらに他の局面において、複数のローラー用いて用紙を給紙カセットから搬送し、搬送された用紙に画像を形成する画像形成装置が提供される。画像形成装置は、複数のローラーの少なくとも1つを駆動するモーターを制御する上記のモーター制御装置を備える。
本開示のモーター制御装置およびローターの磁極の初期位置推定方法によれば、センサレス方式のモーターにおいてインダクティブセンス方式による磁極の初期位置推定を行う際に、比較的小さな印加電圧および印加時間であっても、精度良く磁極の初期位置を推定することができる。
モーター制御装置の全体構成を示すブロック図である。 定常運転中のモーターを停止させてから再起動するまでのモーター回転速度を示すタイミング図である。 センサレスベクトル制御における交流電流および磁極位置を表示するための座標軸について説明するための図である。 センサレスベクトル制御回路の動作を示す機能ブロック図である。 図4から、静止状態にあるローターの磁極の初期位置推定に関係する部分を抜き出して示した機能ブロック図である。 上式(5)で示されるU相電圧指令値、V相電圧指令値、およびW相電圧指令値と電気角との関係を示す図である。 γ軸電圧指令値Vγ*と検出されたγ軸電流Iγとの関係の一例を模式的に示すタイミング図である。 ローターの磁極位置と通電角度との相対的位置関係と、γ軸電流のピーク値との関係を示す図である。 インダクティブセンス方式によって検出されるγ軸電流のピーク値の実測例を示す図である。 インダクティブセンス方式によって検出されるγ軸電流のピーク値の他の実測例を示す図である。 図5の初期位置推定部57の動作を示す機能ブロック図である。 初期位置推定部で使用される三角関数テーブルの一例を示す図である。 図10(a)の実測例において、本実施の形態による初期位置推定の結果の一例を示す図である。 図5の初期位置推定部57の動作の一例を示すフローチャートである。 通電角度ならびに対応する余弦値および正弦値を格納するテーブルの一例を示す図である。 図10(a)に示すγ軸電流のピーク値の波形を、フーリエ級数展開した結果を示す図である。 第1次成分の振幅に対する第(L-1)次成分の振幅の割合と、初期磁極位置の誤差の絶対値との関係を示す図である。 磁極位置の推定結果の一例を示す図である。 実施の形態2のモーター制御方法において、ローターの磁極の初期位置を推定する手順を示すフローチャートである。 キャリブレーションデーターの作成手順を示すフローチャートである。 画像形成装置の構成の一例を示す断面図である。 図21の画像形成装置において、各種ローラーの駆動制御に用いられるモーターとその制御装置の構成を示すブロック図である。 キャリブレーションデーターを作成するタイミングを説明するためフローチャートである。 画像形成装置の電源をオンした後で、キャリブレーションデーターの作成を実行するタイミングを説明するためのフローチャートである。
以下、各実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。以下では、ブラシレスDCモーターを例に挙げて説明するが、本開示は、複数相の電圧によって駆動されるセンサレス方式の交流モーターに適用可能である(ブラシレスDCモーターも交流モーターの一種である)。なお、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰り返さない。
<実施の形態1>
[モーター制御装置の全体構成]
図1は、モーター制御装置の全体構成を示すブロック図である。モーター制御装置は、センサレス方式の3相ブラシレスDCモーター(BLDCM:Brushless DC Motor)30を駆動制御する。図1に示すように、モーター制御装置は、駆動回路40と、センサレスベクトル制御回路50と、上位制御回路60とを含む。センサレス方式であるため、ローターの回転位置を検出するためのホール素子またはエンコーダーは備えられていない。
駆動回路40は、PWM(Pulse Width Modulation)制御方式のインバーター回路であり、直流駆動電圧DVを3相交流電圧に変換して出力する。具体的に、駆動回路40は、センサレスベクトル制御回路50から受けたPWM信号であるインバーター駆動信号U+,U-,V+,V-,W+,W-に基づいて、ブラシレスDCモーター30にU相電圧U、V相電圧V、W相電圧Wを供給する。駆動回路40は、インバーター回路41と、U相電流検出回路43Uと、V相電流検出回路43Vと、プリドライブ回路44とを含む。
インバーター回路41は、U相アーム回路42Uと、V相アーム回路42Vと、W相アーム回路42Wとを含む。これらのアーム回路42U,42V,42Wは、直流駆動電圧DVが与えられたノードと、接地電圧GNDが与えられたノードとの間に互いに並列に接続される。以下、記載を簡潔にするため、直流駆動電圧DVが与えられたノードを駆動電圧ノードDVと記載し、接地電圧GNDが与えられたノードを接地ノードGNDと記載する場合がある。
U相アーム回路42Uは、互いに直列に接続された高電位側のU相トランジスタFU+および低電位側のU相トランジスタFU-を含む。U相トランジスタFU+およびFU-の接続ノードNuは、ブラシレスDCモーター30のU相巻線31Uの一端と接続される。U相巻線31Uの他端は中性点32に接続される。
なお、図1に示すように、ブラシレスDCモーター30のU相巻線31U、V相巻線31V、およびW相巻線31Wの結線はスター結線である。この明細書では、U相巻線31U、V相巻線31V、およびW相巻線31Wを総称して、ステーター巻線31と称する。
同様に、V相アーム回路42Vは、互いに直列に接続された高電位側のV相トランジスタFV+および低電位側のV相トランジスタFV-を含む。V相トランジスタFV+およびFV-の接続ノードNvは、ブラシレスDCモーター30のV相巻線31Vの一端と接続される。V相巻線31Vの他端は中性点32に接続される。
同様に、W相アーム回路42Wは、互いに直列に接続された高電位側のW相トランジスタFW+および低電位側のW相トランジスタFW-を含む。W相トランジスタFW+およびFW-の接続ノードNwは、ブラシレスDCモーター30のW相巻線31Wの一端と接続される。W相巻線31Wの他端は中性点32に接続される。
U相電流検出回路43UおよびV相電流検出回路43Vは、2シャント方式でモーター電流を検出するための回路である。具体的に、U相電流検出回路43Uは、低電位側のU相トランジスタFU-と接地ノードGNDとの間に接続される。V相電流検出回路43Vは、低電位側のV相トランジスタFV-と接地ノードGNDとの間に接続される。
U相電流検出回路43UおよびV相電流検出回路43Vは、シャント抵抗を含む。シャント抵抗の抵抗値は1/10Ωオーダーの小さい値である。このため、U相電流検出回路43Uによって検出されたU相電流Iuを表す信号およびV相電流検出回路43Vによって検出されたV相電流Ivを表す信号は、アンプ(不図示)によって増幅される。その後、U相電流Iuを表す信号およびV相電流Ivを表す信号は、AD(Analog-to-Digital)変換器(不図示)によってAD変換されてから、センサレスベクトル制御回路50に取り込まれる。
W相電流Iwは、U相電流IuとV相電流Ivとからキルヒホッフの電流則、すなわち、Iw=-Iu-Ivから求めることができるので、検出する必要はない。より一般的には、U相電流Iu、V相電流Iv、およびW相電流Iwのうち、いずれか2相の電流を検出すればよく、他の1相の電流値は検出した2相の電流値から計算することができる。
プリドライブ回路44は、センサレスベクトル制御回路50から受けたPWM信号であるインバーター駆動信号U+,U-,V+,V-,W+,W-を増幅して、トランジスタFU+,FU-,FV+,FV-,FW+,FW-のゲートにそれぞれ出力する。
トランジスタFU+,FU-,FV+,FV-,FW+,FW-の種類は特に限定されない。たとえば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であってもよいし、バイポーラトランジスタであってもよいし、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)であってもよい。
センサレスベクトル制御回路50は、ブラシレスDCモーター30をベクトル制御するための回路であり、インバーター駆動信号U+,U-,V+,V-,W+,W-を生成して駆動回路40に供給する。さらに、センサレスベクトル制御回路50は、ブラシレスDCモーター30を起動させる際には、静止状態にあるローターの磁極の初期位置をインダクティブセンス方式によって推定する。
センサレスベクトル制御回路50は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの専用回路として構成されていてもよいし、FPGA(Field Programmable Gate Array)および/またはマイクロコンピュータなどを利用してその機能を実現するように構成されていてもよい。
上位制御回路60は、CPU(Central Processing Unit)およびメモリなどを備えたコンピュータをベースに構成される。上位制御回路60は、センサレスベクトル制御回路50に起動指令、停止指令、および回転角速度指令値などを出力する。
なお、上記と異なり、センサレスベクトル制御回路50および上位制御回路60が1つの制御回路としてASICまたはFPGAなどによって構成されていてもよい。この開示では、駆動回路40を制御する主体を総称して制御部と称する。制御部は、センサレスベクトル制御回路50に対応すると考えてもよいし、センサレスベクトル制御回路50と上位制御回路60とを組み合わせた全体と考えてもよい。また、制御部は、ASICなどの専用回路によって構成されていてもよいし、FPGAまたはマイクロコンピュータなどによって構成されていてもよいし、それらのうちのいくつかを組み合わせて構成されていてもよい。
[モーター運転の概要について]
図2は、定常運転中のモーターを停止させてから再起動するまでのモーター回転速度を示すタイミング図である。横軸は時間を示し、縦軸はモーターの回転速度を示す。
図2を参照して、時刻t10から時刻t20までの間でモーターが減速され、時刻t20でモーターの回転は停止する。時刻t20から時刻t30までの間は、ステーターへの励磁電流の供給が停止されている。
時刻t40からのモーターの再起動に先立って、時刻t30から時刻t40までの間で、ローターの磁極の初期位置推定が実行される。ローターに回転方向のトルクを与えるためには、ローターの磁極の初期位置に応じた適切な電気角でステーター巻線31に三相交流電流を供給する必要がある。このために、ローターの磁極の初期位置が推定される。本開示では、ローターの磁極の初期位置推定の方法としてインダクティブセンス方式が用いられる。
時刻t40においてローターの回転が開始されると、以後、センサレスベクトル制御方式によってブラシレスDCモーターが制御される。時刻t50から回転速度が一定の定常運転に入る。
[センサレスベクトル制御方式の座標軸について]
図3は、センサレスベクトル制御における交流電流および磁極位置を表示するための座標軸について説明するための図である。角度は、駆動回路40の出力電圧および出力電流の位相である電気角で表示される。
図3を参照して、ベクトル制御では、3相ブラシレスDCモーター30のステーター巻線31に流れる3相交流(U相、V相、W相)を、ローターの永久磁石と同期して回転する2相の成分に変数変換する。具体的に、ローター35の磁極の方向をd軸としd軸から電気角で90°位相が進んだ方向をq軸とする。さらに、U相座標軸からのd軸の角度をθと定義する。
ここで、ローターの回転角度を検出する位置センサーを持たない制御方式である、センサレスベクトル制御方式の場合には、ローターの回転角度を表す位置情報を何らかの方法で推定する必要がある。推定された磁極方向をγ軸とし、γ軸から電気角で90°位相が進んだ方向をδ軸とする。U相座標軸からのγ軸の角度をθとする。θに対するθの遅れを、Δθと定義する。
モーターを起動させる際に、インダクティブセンス方式で静止状態にあるローターの磁極の初期位置を推定するときにも、図3の座標軸が用いられる。この場合、ローターの磁極の真の位置を電気角θで表す。磁極の初期位置を推定するために、ステーター巻線31に流す電流の電気角(通電角度または電圧印加角度とも称する)をθで表す。
[センサレスベクトル制御回路の構成]
図4は、センサレスベクトル制御回路の構成および動作を示す機能ブロック図である。図4を参照して、センサレスベクトル制御回路50は、座標変換部55と、回転速度制御部51と、電流制御部52と、座標変換部53と、PWM変換部54と、磁極位置推定部56と、初期位置推定部57と、接続切替スイッチ58,59とを含む。
図5は、図4から、静止状態にあるローターの磁極の初期位置推定に関係する部分を抜き出した示した機能ブロック図である。
図4を参照して、モーター運転中の場合には、接続切替スイッチ58がT1側に切り替えられることによって、電流制御部52と座標変換部53とが接続される。さらに、接続切替スイッチ59がT3側に切り替えられることによって、座標変換部55と磁極位置推定部56とが接続される。一方、モーター停止中におけるローターの初期磁極位置の推定時には、接続切替スイッチ58がT2側に切り替えられることによって、初期位置推定部57と座標変換部53とが接続される。さらに、接続切替スイッチ59がT4側に切り替えられることによって、座標変換部55と初期位置推定部57とが接続される。
以下では、まず、図4を参照して、モーター運転中におけるセンサレスベクトル制御回路50の動作について簡単に説明する。なお、接続切替スイッチ58,59の具体的な構成は特に限定されない。たとえば、接続切替スイッチ58,59の切替え機能を、半導体スイッチなどのハードウェアによって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
座標変換部55は、駆動回路40のU相電流検出回路43Uで検出されたU相電流Iuと、V相電流検出回路43Vで検出されたV相電流Ivとを表す信号を受け取る。座標変換部55は、U相電流IuとV相電流IvとからW相電流Iwを計算する。そして、座標変換部55は、U相電流Iu、V相電流Iv、およびW相電流Iwを座標変換することによって、γ軸電流Iγとδ軸電流Iδとを生成する。具体的には以下の手順による。
まず、次式(1)に従って、U相、V相、W相の3相電流をα軸電流Iαおよびβ軸電流Iβの2相電流に変換する。この変換はClarke変換と呼ばれる。
Figure 0007188169000001
次に、次式(2)に従って、α軸電流Iαおよびβ軸電流Iβを回転座標系であるγ軸電流Iγおよびδ軸電流Iδに変換する。この変換はPark変換と呼ばれる。次式(2)において、θは磁極位置推定部56によって推定された磁極方向の電気角、すなわち、U相座標軸からのγ軸の角度である。座標変換部55は、接続切替スイッチ59を介して、磁極位置推定部56から推定磁極位置θの情報を受け取る。
Figure 0007188169000002
回転速度制御部51は、上位制御回路60から起動命令、停止命令、目標回転角速度ω*を受け取る。回転速度制御部51は、目標回転角速度ω*と、磁極位置推定部56によって推定されたローター35の回転角速度ωとから、たとえば、PI制御(比例・積分制御)またはPID制御(比例・積分・微分制御)などにより、ブラシレスDCモーター30へのγ軸電流指令値Iγ*およびδ軸電流指令値Iδ*を決定する。
電流制御部52は、回転速度制御部51から与えられたγ軸電流指令値Iγ*およびδ軸電流指令値Iδ*と、座標変換部55から与えられた現時点のγ軸電流Iγおよびδ軸電流Iδとから、たとえば、PI制御またはPID制御などにより、γ軸電圧指令値Vγ*およびδ軸電圧指令値Vδ*を決定する。
座標変換部53は、電流制御部52からγ軸電圧指令値Vγ*およびδ軸電圧指令値Vδ*を受け取る。座標変換部53と電流制御部52とは、接続切替スイッチ58を介して接続される。座標変換部53は、γ軸電圧指令値Vγ*およびδ軸電圧指令値Vδ*を座標変換することにより、U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*、およびW相電圧指令値Vw*を生成する。具体的には以下の手順による。
まず、次式(3)に従って、γ軸電圧指令値Vγ*およびδ軸電圧指令値Vδ*を、α軸電圧指令値Vα*およびβ軸電圧指令値Vβ*に変換する。この変換は、逆Park変換と呼ばれる。次式(3)において、θは磁極位置推定部56によって推定された磁極方向の電気角、すなわち、U相座標軸からのγ軸の角度である。
Figure 0007188169000003
次に、次式(4)に従って、α軸電圧指令値Vα*およびβ軸電圧指令値Vβ*を、3相のU相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*、およびW相電圧指令値Vw*に変換する。この変換は逆Clarke変換と呼ばれる。なお、α,βの2相からU,V,Wの3相への変換は、逆Clarke変換に代えて空間ベクトル変換を用いることもできる。
Figure 0007188169000004
PWM変換部54は、U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*、およびW相電圧指令値Vw*に基づいて、トランジスタFU+,FU-,FV+,FV-,FW+,FW-のゲートをそれぞれ駆動するためのPWM信号であるインバーター駆動信号U+,U-,V+,V-,W+,W-を生成する。
磁極位置推定部56は、γ軸電流Iγおよびδ軸電流Iδとγ軸電圧指令値Vγ*およびδ軸電圧指令値Vδ*とから、ローター35の現時点の回転角速度ωと、磁極位置を表す電気角θとを推定する。具体的に、磁極位置推定部56は、γ軸誘起電圧を0にするような回転角速度ωを算出し、回転角速度ωから磁極位置を表す電気角θを推定する。磁極位置推定部56は、推定した回転角速度ωを上位制御回路60に出力するとともに回転速度制御部51に出力する。また、磁極位置推定部56は、推定した磁極位置を表す電気角θの情報を、座標変換部53,55に出力する。
[静止状態にあるローターの磁極の初期位置推定]
次に、図4および図5を参照して、静止状態にあるローターの磁極の初期位置推定手順について詳しく説明する。
図4の磁極位置推定部56は、ステーター巻線31に生じる誘起電圧を利用したものであるので、ローターが静止しているときには使用することができない。このため、磁極位置推定部56に代えて、インダクティブセンス方式でローター35の磁極の初期位置を推定する初期位置推定部57が用いられる。
ここで、インダクティブセンス方式では、複数の通電角度を順次変更しながらステーター巻線31に連続的またはPWMによって間欠的に定電圧を印加し、通電角度ごとにステーター巻線31に流れる電流の変化が検出される。ここで、ステーター巻線31への通電時間および印加電圧の大きさは、ローター35が回転しないレベルに設定される。ただし、通電時間が短すぎたり、印加電圧の大きさが小さすぎたりすると、磁極の初期位置を検出できなくなるので注意が必要である。
前述のように、インダクティブセンスによる初期位置推定方法は、ローターが回転しないレベルの電圧を複数の電気角でステーター巻線に印加したとき、ローターの磁極位置とステーター巻線による電流磁界との位置関係に応じて、実効的なインダクタンスが微妙に変化する性質を利用している。このインダクタンスの変化は、d軸電流の場合に顕著に生じる磁気飽和現象に基づいている。また、永久磁石埋め込み型(IPM:Interior Permanent Magnet)モーターの場合には、q軸方向のインダクタンスがd軸方向のインダクタンスよりも大きくなる突極性を有しているので、磁気飽和が生じなくてもインダクタンスの変化が検出できる場合がある。
具体的にローターの磁極の方向を検知するためにしばしば用いられる手法は、通電角度ごとの通電時間および印加電圧の指令値(具体的にはγ軸電圧の指令値)を一定にして、通電時間内でのγ軸電流のピーク値を検出し、最大のピーク値が得られた通電角度(すなわち、実効的なインダクタンスが最小となる通電角度)が磁極の方向であると判定するものである。
しかしながら、前述のように、モーターが回転しないレベルに通電時間および印加電圧の大きさを制限した場合、もしくは、モーターの構造および特性によっては、γ軸電流のピーク値が最大となる通電角度が磁極の方向に一致しない場合、またはピーク値が極大となる通電角度が複数見られる場合があり得る。本開示では、このような場合にでも正確にローターの磁極の初期位置を検出可能な方法を提示する。具体的な方法は、図11~図16を参照して後述する。
図5を参照して、センサレスベクトル制御回路50は、ローター35の磁極の初期位置を推定するための機能として、初期位置推定部57と、座標変換部53と、PWM変換部54と、座標変換部55とを含む。このように、ローターの磁極の初期位置推定では、図4で説明したベクトル制御の機能の一部が利用される。以下、各部の機能についてさらに詳しく説明する。
(1. 初期位置推定部によるγ軸電圧指令値、通電角度、および通電時間の設定)
初期位置推定部57は、γ軸電圧指令値Vγ*の大きさ、ステーター巻線31に印加する各相電圧の電気角θ(通電角度θとも称する)、および通電時間を設定する。初期位置推定部57は、δ軸電圧指令値Vδ*を0に設定する。
γ軸電圧指令値Vγ*の大きさおよび通電時間は、ローター35を回転させない範囲で十分なSN比のγ軸電流Iγが得られるような大きさに設定される。電気角θは、0度から360度の範囲で複数の角度に設定される。たとえば、初期位置推定部57は、電気角θを30度刻みで0度から330度まで変化させる。
(2. 座標変換部53)
座標変換部53は、γ軸電圧指令値Vγ*およびδ軸電圧指令値Vδ*(=0)を座標変換することにより、U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*、およびW相電圧指令値Vw*を生成する。この座標変換には、たとえば、前述の式(3)によって表される逆Park変換および前述の式(4)によって表される逆Clarke変換が用いられる。
具体的に、U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*、およびW相電圧指令値Vw*は、次式(5)で表される。次式(5)において、電圧指令値の振幅をVとしている。
Figure 0007188169000005
図6は、上式(5)で示されるU相電圧指令値、V相電圧指令値、およびW相電圧指令値と電気角との関係を示す図である。図6では、上式(5)における電圧指令値の振幅Vを1に規格化している。
図6を参照して、U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*、およびW相電圧指令値Vw*は、任意のθに対して定めることができる。たとえば、θ=0°のとき、Vu*=1、Vv*=Vw*=-0.5である。θ=30°のとき、Vu*=(√3)/2、Vv*=0、Vw*=-(√3)/2である。
(3. PWM変換部54)
再び図5を参照して、PWM変換部54は、U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*、およびW相電圧指令値Vw*に基づいて、トランジスタFU+,FU-,FV+,FV-,FW+,FW-のゲートをそれぞれ駆動するためのPWM信号であるインバーター駆動信号U+,U-,V+,V-,W+,W-を生成する。
生成されたインバーター駆動信号U+,U-,V+,V-,W+,W-に従って、駆動回路40は、ブラシレスDCモーター30のU相巻線31U、V相巻線31V、およびW相巻線31WにU相電圧U、V相電圧V、W相電圧Wを供給する。インバーター駆動信号のパルスの総数は、設定された通電時間に対応している。駆動回路40に設けられたU相電流検出回路43UおよびV相電流検出回路43Vは、U相電流IuおよびV相電流Ivをそれぞれ検出する。検出されたU相電流IuおよびV相電流Ivを表す信号は、座標変換部55に入力される。
(4. 座標変換部55)
座標変換部55は、U相電流IuとV相電流IvとからW相電流Iwを計算する。そして、座標変換部55は、U相電流Iu、V相電流Iv、およびW相電流Iwを座標変換することによって、γ軸電流Iγとδ軸電流Iδとを生成する。この座標変換には、前述の式(1)のClarke変換および式(2)のPark変換が用いられる。
ここで、γ軸電流Iγは通電角度と同じ電気角を有する電流成分に相当し、δ軸電流Iδは通電角度と90度だけ電気角が異なる電流成分に相当する。この明細書では、γ軸電流Iγを第1の電流成分とも称し、δ軸電流Iδを第2の電流成分とも称する。
なお、仮に、U相、V相、W相の電気特性および磁気特性が相互に違いがなく、さらに、ローター35の永久磁石の影響がなければ、U相電流Iu、V相電流Iv、W相電流Iwの相互の比率は電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*の相互の比率に等しくなるはずである。したがって、この仮想的な場合には、δ軸電流Iδは通電角度によらず0になり、γ軸電流Iγは通電角度によらず一定値になる。しかし、実際には、ローターの永久磁石の位置に応じてγ軸電流Iγの大きさが変化し、さらに、ステーターおよびローターの構造によって各相の電気特性および磁気特性に違いが生じるためにγ軸電流Iγの大きさが変化する。
図7は、γ軸電圧指令値Vγ*と検出されたγ軸電流Iγとの関係の一例を模式的に示すタイミング図である。
図7を参照して、まず、図5の初期位置推定部57は、時刻t1から時刻t2までの間、通電角度θを0度に設定するとともに、γ軸電圧指令値Vγ*を定められた設定値に設定する。これによって、ステーターのU相巻線31U、V相巻線31V、およびW相巻線31Wには、パルス幅変調されたU相電圧U、V相電圧V、およびW相電圧Wがそれぞれ印加される。この結果、γ軸電流Iγは、時刻t1から時刻t2までの間、0Aから徐々に増加し、時刻t2でピーク値Iγp1に達する。時刻t2以降、ステーター巻線31への電圧印加が停止するので、γ軸電流Iγは徐々に減少する。ステーター巻線31に次に電圧が印加される時刻t3までの間に、U相電流Iu,V相電流Iv,W相電流Iwの値が0に戻る結果、γ軸電流Iγの値も0まで戻る。
次に、初期位置推定部57は、時刻t3から時刻t4までの間、通電角度θを30度に設定するとともに、γ軸電圧指令値Vγ*を前回と同じ設定値に設定する。この結果、γ軸電流Iγは、時刻t3から時刻t4までの間、0Aから徐々に増加し、時刻t4でピーク値Iγp2に達する。時刻t4以降、ステーター巻線31への電圧印加が停止するので、γ軸電流Iγは徐々に減少する。
以下、同様に、通電角度θの設定角度を変更し、変更された通電角度θにおいて、パルス幅変調された一定電圧がステーター巻線31に印加される。γ軸電圧指令値Vγ*は各通電角度で同一であり、通電時間時間も各通電角度で同一である。そして、電圧印加の終了時におけるγ軸電流Iγのピーク値が検出される。
(5. 初期位置推定部によるローターの磁極位置の推定)
再び図5を参照して、初期位置推定部57は、複数の通電角度θに対してそれぞれ得られたγ軸電流Iγのピーク値に基づいて、ローター35の磁極の位置を推定する。図4に示すように、初期位置推定部57は、ローター35の初期磁極位置の推定結果を、磁極位置推定部56に出力する。磁極位置推定部56は、この初期磁極位置の推定結果を用いて、ブラシレスDCモーター30を起動する。
理想的には、γ軸電流Iγのピーク値の最大値が得られたときの通電角度θが、ローター35の初期磁極位置θにほぼ一致する。しかしながら、実際には、γ軸電流Iγのピーク値の最大値が得られたときの通電角度θと、ローター35の磁極の位置θとは、一致しない場合が多い。
図8は、ローターの磁極位置と通電角度との相対的位置関係と、γ軸電流のピーク値との関係を示す図である。まず、図8(A)を参照して、ローター35の磁極位置θと通電角度θとの相対的位置関係について説明する。
図8(A)の場合、ローター35の磁極位置θは0°に固定されている。したがって、d軸は電気角0°の方向に定められ、q軸は電気角90°の方向に定められる。一方、通電角度θは0°から330°まで30°刻みで変化する。図8(A)では、通電角度θが0°の場合のγ軸とδ軸が示されている。この場合、Δθ=0°である。
次に、図8(B)を参照して、磁極位置θと通電角度θとの角度差Δθとγ軸電流Iγのピーク値との関係を説明する。図8(B)の横軸は角度差Δθを表し、縦軸はγ軸電流Iγのピーク値を示す。縦軸の単位は任意単位である。
図8(B)に示すように、理想的には、磁極位置θと通電角度θとの角度差Δθが0°のとき、すなわち、磁極位置θと通電角度θとが一致するとき(図8(A)では、θ=θ=0°の場合)、γ軸電流Iγのピーク値が最大値を示す。しかしながら、実際上は、γ軸電流Iγのピーク値が最大値となる場合の通電角度θは磁極位置θに一致しない場合が多い。本実施の形態の初期位置推定部57は、このような場合でもローターの磁極位置θを正確に判定できるものである。具体的な初期位置推定部57の動作については後述する。
[インダクティブセンス方式の問題点の具体例]
前述のように、モーターが回転しないレベルに通電時間および印加電圧の大きさを制限した場合、もしくは、モーターの構造および特性によっては、γ軸電流のピーク値が最大となる通電角度が磁極の方向に一致しない場合があり得る。以下、そのような場合の具体例について説明する。
図9は、インダクティブセンス方式によって検出されるγ軸電流のピーク値の実測例を示す図である。図9(a)においてローターの磁極位置θが0°の場合を示し、図9(b)においてローターの磁極位置θが30°の場合を示す。
また、図10は、インダクティブセンス方式によって検出されるγ軸電流のピーク値の他の実測例を示す図である。図10(a)において、ローターの磁極位置θが60°の場合を示し、図10(b)において、ローターの磁極位置θが90°の場合を示す。図9(a)、図9(b)、図10(a)、および図10(b)において、横軸はステーター巻線の電圧印加角度θ(通電角度とも称する)を示し、縦軸は電圧印加角度θごとのγ軸電流Iγのピーク値を示す。
図9(a)に示す場合では、ローターの磁極位置θ=0°とγ軸電流Iγがピークとなる電圧印加角度θ=0°とが一致している。しかしながら、図9(b)に示す場合では、ローターの磁極位置θ=30°とγ軸電流Iγがピークとなる電圧印加角度θ=0°とは異なっている。同様に、図10(a)に示す場合では、ローターの磁極位置θ=60°とγ軸電流Iγがピークとなる電圧印加角度θ=0°とは異なっており、図10(b)に示す場合でも、ローターの磁極位置θ=90°とγ軸電流Iγがピークとなる電圧印加角度θ=0°とは異なっている。
本実施の形態の初期位置推定部57は、上記のような場合においても、正確にローターの磁極位置θを推定することが可能である。以下、初期位置推定部57における具体的な初期位置推定方法について説明する。
[初期位置推定部の動作の詳細]
(1. 機能ブロック図)
図11は、図5の初期位置推定部57の動作を示す機能ブロック図である。図11を参照して、初期位置推定部57は、余弦演算器72と、正弦演算器73と、乗算器74,75と、積算器76,77と、初期位置演算器78とを含む。
余弦演算器72および正弦演算器73には、設定された通電角度θが入力される。たとえば、通電角度θ[i]は、番号i(iは1以上12以下の整数)に応じて、(i-1)×30°と設定される。たとえば、i=0のとき通電角度θ=0°となり、i=12のとき通電角度θ=330°となる。
余弦演算器72は、入力された通電角度θの余弦関数値cos(θ[i])を算出する。正弦演算器73は、入力された通電角度θの正弦関数値sin(θ[i])を算出する。なお、三角関数値を実際に計算するのに代えて、三角関数値の計算結果をテーブルの形でメモリに予め格納し、メモリから通電角度θに対応する余弦関数値および正弦関数値を読み出すようにしてもよい。
図12は、初期位置推定部で使用される三角関数テーブルの一例を示す図である。図12に示すように、番号iごとに、通電角度θ[i]と、通電角度θに対応する余弦関数値cos(θ[i])と、通電角度θに対応する正弦関数値sin(θ[i])とが、三角関数テーブルとしてメモリに格納されている。初期位置推定部57は、番号iを順次更新しながら、番号iに対応する通電角度θ[i]、余弦関数値cos(θ[i])、および正弦関数値sin(θ[i])をメモリから読み出す。
再び図11を参照して、乗算器74は、通電角度θ[i]ごとに、通電角度θ[i]に対応するγ軸電流Iγのピーク値Iγp[i]と、通電角度θ[i]に対応する余弦関数値cos(θ[i])とを乗算する。この演算は、番号iを更新する度に実行される。積算器76は、通電角度θ[i]ごとに得られた乗算器74の演算結果を積算する。全ての通電角度θ[i]についての乗算器74の演算結果の積算値(すなわち、総和)を積算値S1とする。
同様に、乗算器75は、通電角度θ[i]ごとに、通電角度θ[i]に対応するγ軸電流Iγのピーク値Iγp[i]と、通電角度θ[i]に対応する正弦関数値sin(θ[i])とを乗算する。この演算は、番号iを更新する度に実行される。積算器77は、通電角度θ[i]ごとに得られた乗算器75の演算結果を積算する。全ての通電角度θ[i]についての乗算器75の演算結果の積算値(すなわち、総和)を積算値S2とする。
初期位置演算器78は、積算器76によって計算された積算値S1と、積算器77によって計算された積算値S2とに基づいて、具体的には、積算値S1,S2の比に基づいて、以下で詳しく述べるように三角関数による近似曲線の位相角φを計算する。位相角φは、通電角度θ=0のときの三角関数の位相、いわゆる初期位相に対応する。ただし、位相角φは、初期位相の符号を逆にした場合も含むものとする。初期位置演算器78は、この位相角φに基づいてローターの磁極の初期位置の推定値を計算する。より具体的には、三角関数による近似曲線をA+A・cos(θ-φ)と仮定した場合には、ローターの磁極の初期位置の推定値は、位相角φに等しくなる。そして位相角φは、積算値S1と積算値S2との比の逆正接、すなわち、tan-1(S2/S1)によって計算することができる。
(2. 推定計算の原理)
次に、上記の手順でローターの磁極の初期位置を推定できる原理について説明する。
通電角度θに応じて得られるγ軸電流のピーク値Iγpを、通電角度θの順に並べてグラフにする。得られたγ軸電流のピーク値Iγpの波形を、三角関数曲線で近似することを考える。具体的には、次式(6)で示すように、θの関数であるγ軸電流のピーク値Iγpを、異なる周期の複数の余弦関数で級数展開することを想定する。
Figure 0007188169000006
上式(6)において、A,A,A,…は係数を表し、φ,φ,φ,…は位相角を表す。上式(6)の右辺第1項はθによらずに一定の成分を表し、右辺第2項は周期が360°である第1次成分を表し、右辺第3項は周期が180°である第2次成分を表す。第4項以降はさらに高次の成分を表している。
上式(6)にcos(θ)を乗算し、θについて-πからπの積分区間で積分演算を行う。この演算を実行すると、前述の式(6)の右辺第1項についての演算結果は0になる。また、式(6)の右辺第3項以降の演算結果も0になる。したがって、右辺第2項に関する演算結果のみが残るので、最終的に次式(7)が得られる。なお、上記の積分計算は前述の積算値S1の計算に対応しているので、積分値をS1と表記している。
Figure 0007188169000007
同様に、上式(6)にsin(θ)を乗算し、θについて-πからπの積分区間で積分演算を行う。この演算を実行すると、前述の式(6)の右辺第1項についての演算結果は0になる。また、式(6)の右辺第3項以降の演算結果も0になる。したがって、右辺第2項に関する演算結果のみが残るので、最終的に次式(8)が得られる。なお、上記の積分計算は前述の積算値S2の計算に対応しているので、積分値をS2と表記している。
Figure 0007188169000008
上式(7)の積分値S1と上式(8)の積算値S2との比をとって逆正接を計算することにより、次式(9)で表されるように位相角φを計算することができる。
Figure 0007188169000009
上記の計算は、通電角度θに対するγ軸電流のピーク値Iγpの変化を、周期が360°(すなわち、電気角で1周期)の三角関数で近似したものと考えることができる。すなわち、通電角度θに対するγ軸電流のピーク値Iγpの変化を、A+A・cos(θ-φ)で近似する。この近似式は、θ=φのときに最大値A+Aを有する。したがって、近似式が最大となるときの電気角であるφをローターの磁極位置と推定することができる。
なお、三角関数曲線の近似式は、上記の表式に限定されない。たとえば、通電角度θに対するγ軸電流のピーク値Iγpの変化を、A+A・sin(θ+φ)で近似した場合について説明する。この場合、上記と同様に積算値S1,S2を計算すれば、位相角φは、tan-1(S1/S2)で計算することができる。積算値S1と積算値S2との比が(9)式とは逆になっている点に注意されたい。この近似式は、θ=90°-φのとき最大値A+Aを有する。したがって、近似式が最大となるときの電気角θである90°-φをローターの磁極位置と推定することができる。
なお、上記では、通電角度θが連続的に変化するものとして、積分計算を用いて説明した。通電角度θが離散的な場合には、次式(10)に示すように、積分計算は総和計算に変更されるが、基本的には同じである。なお、次式(10)では、30°ごとに12個の通電角度θの場合について記載しており、前述の図11の場合の計算と等価である。一般に、電気角1周期あたりの通電回数をL回とすれば、次式(10)に示すように、2π/Lの係数がかかる。
Figure 0007188169000010
(3. 初期位置推定の結果の一例)
図13は、図10(a)の実測例において、本実施の形態による初期位置推定の結果の一例を示す図である。
前述の図10(a)は、ローターの磁極位置θが60°の場合の各通電角度θにおけるγ軸電流のピーク値Iγpの測定結果を示すものである。このγ軸電流のピーク値Iγpの測定結果を、三角関数を用いてA+A・cos(n・θ-φ)の近似式で近似することを想定する。ただし、n=1、すなわち、周期が電気角の1周期に対応するものとする。この結果、図13の破線で示すように、φ=60°のとき最大値を有する近似曲線で近似できる。そして、この最大値が得られるとき通電角度θ、すなわち、φ=60°が、ローターの磁極の初期位置であると推定される。ここで、上記の電気角φの具体的な計算方法は図11で説明したとおりである。
(4.フローチャート)
図14は、図5の初期位置推定部57の動作の一例を示すフローチャートである。以下、図5および図14を主として参照して、これまでの説明を総括する。
図14のステップS100において、γ軸電圧指令値Vγ*がpに設定され、通電角度θごとのステーター巻線31への電圧印加時間(すなわち、通電時間)が設定され、全通電回数nが設定される。たとえば、30度ごとにステーター巻線31に電圧を印加する場合には全通電回数nは12に設定される。通電時間は、出力するPWMパルスの最大個数mで制御することができる。
通電回数をカウントするパラメーターをiとする。パラメーターiは、初期値0に初期化される。また、通電時間を表すパラメーターをjとする。パラメーターjは0からmまでカウントアップされる。さらに、積算値S1,S2が0に初期化される。
ここで、通電回数iに対応する通電角θ[i]は、たとえば、テーブルの形でメモリに予め格納されている。
図15は、通電角度ならびに対応する余弦値および正弦値を格納するテーブルの一例を示す図である。図15に示すように、パラメーターiに対応する通電角θ[i]と、その通電角度θ[i]での余弦値および正弦値とは予めテーブルの形式でメモリに格納されている。図15において、余弦値はA1[i]で表され、正弦値はA2[i]で表される。パラメーターiは、パルス電圧を印加する順番を表す。
図15に示されているように、必ずしも通電角度θを漸増または漸減するように変化させる必要がない点に注意すべきである。具体的に図15の場合、最初に通電角度θ=0°でパルス電圧をステーター巻線31に印加した後、次に通電角度θ=180°でパルス電圧をステーター巻線31に印加する。そして、その次に通電角度θ=30°でパルス電圧をステーター巻線31に印加する。このように、180°またはそれに近い角度だけ通電角度を変更する理由は、ローターに対して同一方向のトルクがかからないように、すなわち、ローターが回転しないようにするためである。
再び図14を参照して、次のステップS110において、初期位置推定部57は、通電回数を表すパラメーターiを1だけインクリメントする。さらに、初期位置推定部57は、通電時間を表すパラメーターjを初期値0に設定する。
その次のステップS111において、座標変換部53は、パラメーターiに対応する通電角θ[i]と、その通電角θ[i]での余弦値A1[i]および正弦値A2[i]とをテーブルから読み出す。座標変換部53は、読み出した余弦値A1[i]および正弦値A2[i]と予め設定したγ軸電圧指令値Vγ*とから、U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*、およびW相電圧指令値Vw*を算出する。さらに、PWM変換部54は、上記の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に基づいて、PWM信号であるインバーター駆動信号U+,U-,V+,V-,W+,W-を生成する。
その次のステップS112において、駆動回路40は、インバーター駆動信号U+,U-,V+,V-,W+,W-に基づいて、ブラシレスDCモーター30のステーター巻線31の各相に、パルス幅変調されたU相電圧U、V相電圧V、およびW相電圧Wの印加を開始する(通電ON)。
ステーター巻線31への通電時間は、パラメーターjで制御される。具体的に、PWM変換部54は、PWMパルスのパルス数を表すパラメーターjをインクリメントしながら(ステップS113)、パラメーターjが上限値であるmに達するまで、インバーター駆動信号U+,U-,V+,V-,W+,W-の出力を続ける。
パラメーターjが上限値であるmに達すると(すなわち、ステップS114でYES)、次のステップS115において、図1のU相電流検出回路43UおよびV相電流検出回路43Vは、U相電流IuおよびV相電流Ivを検出する。さらに、初期位置推定部57は、γ軸電圧指令値Vγ*を0にすることによって、駆動回路40から出力されるU相電圧U、V相電圧V、およびW相電圧Wを0にする(通電OFF)。上記のように、通電OFFと同時またはその直前に測定されたU相電流IuおよびV相電流Ivは、通電期間におけるピーク値に相当する。
その次のステップS116において、座標変換部55は、U相電流IuおよびV相電流IvからW相電流Iwを、Iw=-Iu-Ivに従って計算する。このW相電流Iwは、通電期間におけるピーク値に相当する。座標変換部55は、ステップS111で選択した通電角度θ[i]ならびに対応する余弦値A1[i]および正弦値A2[i]に基づいて、各相電流Iu,Iv,Iwからγ軸電流Iγおよびδ軸電流Iδを計算する。このγ軸電流Iγおよびδ軸電流Iδは、通電期間におけるピーク値(Iγp,Iδp)に相当する。
その次のステップS117において、初期位置推定部57は、γ軸電流Iγのピーク値に現在の通電角度θ[i]の余弦関数値A1[i]を乗算し、乗算結果を積算値S1に加算する。さらに、初期位置推定部57は、γ軸電流Iγのピーク値に通電角度θ[i]の正弦関数値A2[i]を乗算し、乗算結果を積算値S2に加算する。
以上で、現在のパラメーターiに対応する(したがって、現在の通電角度θ[i]に対応する)γ軸電流Iγのピーク値の検出と検出結果に基づく積算値S1,S2の更新とが終了する。パラメーターiが通電回数nに達していない場合には(ステップS118でNO)、ステップS110に戻り、上記のステップS110~S117の処理が繰り返される。
パラメーターiが通電回数nに達した場合、すなわち、全ての通電角度θ[i]についてγ軸電流Iγのピーク値の検出と検出結果に基づく積算値S1,S2の更新とが終了すると(ステップS118でYES)、初期位置推定部57は、前述の式(9)に従って、積算値S1,S2の比の逆正接を計算することにより、位相角φを算出する(ステップS120)。そして、次のステップS140において、初期位置推定部57は、ローターの磁極の推定初期位置としてφを設定する。以上により、初期位置の推定処理が終了する。
[実施の形態1の効果]
上記のとおり実施の形態1のモーター制御装置によれば、インダクティブセンス方式でローターの磁極の初期位置を推定する際に、通電角度ごとにγ軸電流のピーク値が検出される。そして、通電角度に対するγ軸電流のピーク値の変化を、モーターの電気角の1周期と同じ周期の三角関数曲線で近似したと想定したときの、三角関数曲線の位相角が計算される。この位相角の値に基づいて、ローターの初期磁極位置が推定される。ローターの初期磁極位置は、近似曲線が最大値を有するときの電気角に相当する。
上記の位相角の具体的な計算方法は次のとおりである。まず、通電角度ごとにγ軸電流のピーク値と当該通電角度の余弦値との積を計算し、通電角度ごとに得られた積の値の総和を第1の積算値として計算する。さらに、通電角度ごとにγ軸電流のピーク値と当該通電角度の積算値との積を計算し、通電角度ごとに得られた積の値の総和を第2の積算値として計算する。そして、第1の積算値と第2の積算値との比の逆正接が上記の位相角に相当する。
上記のローターの磁極の初期位置の推定方法によれば、ローターが回転しないように通電角度ごとの印加電圧の大きさおよび電圧印加時間を制限した場合であっても、精度良くローターの磁極の初期位置を推定することができる。さらに、通電角度ごとの電圧印加時間を短くすることができるので、初期位置推定に要する時間を短縮することができる。
[変形例]
上記では、三相ブラシレスDCモーターを例に挙げて説明したが、2相以上の電圧で駆動される交流モーターであれば同様の手順でローターの磁極の初期位置を推定することができる。具体的には、通電角度ごとに複数相の電流のピーク値を変数変換することによって、通電角度と同じ電気角を有する第1の電流成分(上記のγ軸電流に相当する)と通電角度と90度だけ電気角が異なる第2の電流成分(上記のδ軸電流成分に相当する)とに分解する。得られた第1の電流成分を用いることによって、上記と同様の手順でローターの磁極の初期位置を推定することができる。
また、上記では、モーターの電気角の1周期を30°ごとに等分割し、12個の通電角度の各々で得られたγ軸電流のピーク値を用いて、ローターの磁極の初期位置の推定を行った。原理的には、ローターに与えるトルクの方向が決まれば一応モーターの起動は可能であるので、モーターの電気角の1周期のうちの少なくとも異なる2個の通電角度において得られたγ軸電流のピーク値の情報があれば、モーターを起動させることができる。
以下、折り返し歪みによる初期磁束位置の推定誤差の観点から、電気角の1周期のうちで通電角度を何度ごとに設定すべきかについて説明する。
図16は、図10(a)に示すγ軸電流のピーク値の波形を、フーリエ級数展開した結果を示す図である。図16の横軸は、フーリエ級数成分の次数、すなわち、360°に含まれる波数を表す。具体的に、周期が360°の第1次成分の波数は1であり、周期が180°の第2次成分の波数は2である。周期が360°/Nである第N次成分の波数はNである。図16の縦軸は各成分の振幅値を表す。
ブラシレスDCモーターの電気角の1周期をL個に等分割してL回サンプリングした場合(すなわち、通電角度がL通りの場合)、サンプリング定理によって、L/2よりも波数が大きい成分は、L/2よりも波数が小さい成分に折り返されて重なる。したがって、ローターの磁極位置の推定に用いられる第1次成分(すなわち、周期が360°の成分)には、周期が360°/(L-1)である第(L-1)次成分が重なる。したがって、第1次成分の波形が折り返し歪みの影響を受けないように、第1次成分の振幅に対する第(L-1)次の折り返し成分の振幅の割合Rを制限する必要がある。
図17は、第1次成分の振幅に対する第(L-1)次成分の振幅の割合と、初期磁極位置の誤差の絶対値との関係を示す図である。
図17に示すように、第1次成分の振幅に対する第(L-1)次成分の振幅の割合R[%]と、折り返し歪みに起因する推定初期位置の誤差の絶対値θ[度]とは概ね比例関係にある。具体的に、誤差の絶対値θ[度]を用いるこのにより、上記の割合R[%]は、概ねθ×5/3(すなわち、約1.67×θ)で表される。したがって、電気角1周期あたりのサンプリング回数Lを決定する手順は次のようになる。
(i)まず、通電角度とγ軸電流のピーク値との関係を予め実験的に求める。この場合、電気角1周期あたりのサンプリング回数はできるだけ大きくする。さらに、実験結果に基づいて、各次数のフーリエ級数成分を計算する。(ii)次に、推定初期位置に含まれる折り返し歪みに基づく誤差の最大許容量θ[度]を決定する。(iii)その次に、上記(i)で求めた各次数のフーリエ級数成分に基づいて、第1次成分の振幅に対する第(L-1)次成分の振幅の割合[%]が、θの1.67倍以下となるようにLを決定する。
<実施の形態2>
実施の形態2では、実施の形態1の初期位置推定の誤差をさらに低減するために、推定結果を補正する方法について説明する。また、以下では、三角関数による近似曲線を、A+A・cos(θ-φ)とした場合について説明する。この場合、三角関数曲線は、θ=φのとき最大値となるので、位相角φをそのまま推定磁極位置とすることができる。既に説明したように、三角関数による近似曲線を他の関数形で与えた場合には、必ずしもθ=φのとき三角関数曲線は最大値にならない点に注意する必要がある。
[初期位置推定の誤差について]
図18は、磁極位置の推定結果の一例を示す図である。図18(a)は推定結果を表形式で示したものであり、図18(b)はローターの磁極位置θと推定初期位置の誤差との関係をグラフで示すものである。図18に示す表およびグラフの数値は以下の手順で取得している。
まず、ステーター巻線に印加する電圧および通電時間をある程度大きくすることによって、通電角度に応じた位置に予めローターの磁極を引き込む。これにより、ローターの磁極位置θを予め所望の位置に調整する。その上で、実施の形態1で説明した推定法に従ってローターの磁極位置の推定値としての位相角φを求める。以上の手順を複数のローターの磁極位置θに対して実施し、複数の磁極位置θに対する推定値φとその偏差(すなわち、φ-θ)とを算出する。この偏差(すなわち、φ-θ)は、推定初期位置の誤差を意味している。
図18(b)に示すように、このようにして求めた推定初期位置の誤差は、磁極位置θに対して概ね360°周期の三角関数に近い態様で変化している。このような推定初期位置の誤差の傾向は、基本的には個々のモーターごとに異なるが、同じ設計に基づいて製造された同じ型番のモーターであれば、ほぼ同じ誤差の傾向を有していることがわかっている。したがって、推定初期位置の誤差は、モーターの構造または特性に起因したものであり、同じモーターであれば再現性を有している。
よって、上記で説明した手順で、真の磁極位置θに応じた推定磁極位置φを求めてその偏差(すなわち、推定磁極位置の誤差)を算出し、この結果をキャリブレーションデーターとして図18(a)に示すように表形式でメモリに予め格納しておく。そして、磁極の初期位置推定の際には、新たに得られた推定磁極位置φを、キャリブレーションデーターを用いて補正するようにすれば、より正確にローターの磁極の初期位置を推定することができる。以下、図19および図20のフローチャートを参照して、具体的に初期位置推定方法を説明する。なお、モーター制御装置の構成自体は実施の形態1のものと同様である。
[ローターの磁極の初期位置推定方法]
図19は、実施の形態2のモーター制御方法において、ローターの磁極の初期位置を推定する手順を示すフローチャートである。図19では、実施の形態1の図14と同一または相当するステップには、同一の参照符号を付している。
図5および図19を参照して、ステップS90において、図18(a)に示すようなキャリブレーションデーターが作成され、キャリブレーションデーターは、テーブルの形でメモリに予め格納される。ステップS90のキャリブレーションデーターの作成はモーターの製造時、またはモーターの装置への組み込み後、または、当該装置においてモーターを交換した後などに実施すればよく、毎回行う必要はない。キャリブレーションデーターの作成手順の詳細は図20を参照して後述する。
その後、図14のステップS100~S118に示す手順で、初期位置推定部57は、通電角度θを変化させながら、γ軸電流のピーク値Iγpを検出し、検出したγ軸電流のピーク値Iγpを用いて積算値S1,S2を計算する。
次に図14のステップS120と同様に、初期位置推定部57は、前述の式(9)に従って、積算値S1,S2の比の逆正接を計算することにより、磁極位置の推定値として位相角φを算出する。
次のステップS130において、初期位置推定部57は、磁極位置の推定値φに対応する誤差θを、図18(a)に示すようなキャリブレーションデーターを用いた補間により求める。そして、初期位置推定部57は、φ-θによって、推定値φを補正する。
その次のステップS140において、初期位置推定部57は、補正後の推定値φをローターの磁極の初期位置に設定する。
図20は、キャリブレーションデーターの作成手順を示すフローチャートである。
図20を参照して、ステップS200において、γ軸電圧指令値Vγ*がp2に設定され、ローターの引き込みのための通電角度θごとのステーター巻線31への電圧印加時間(すなわち、通電時間)が設定され、全通電回数n2が設定される。たとえば、30度ごとにステーター巻線31に電圧を印加して、ローターの引き込みを行う場合には全通電回数nは12に設定される。通電時間は、出力するPWMパルスの最大個数m2で制御することができる。
ここで、ローターの引き込みを行う場合には、γ軸電圧指令値Vγ*の設定値p2は、図14の場合の設定値pよりも小さく設定され、電圧印加時間に相当する設定値m2は、図14の場合の設定値mよりも大きく設定される。通電角度ごとの全通電時間は、たとえば、数百ミリ秒から数秒のオーダーである。
通電回数をカウントするパラメーターをkとする。パラメーターkは、初期値0に初期化される。また、通電時間を表すパラメーターをjとする。パラメーターjは0からm2までカウントアップされる。
ここで、通電回数kに対応する通電角度θ[k]とその余弦値および正弦値とは、たとえば、図12に示すようなテーブルの形でメモリに予め格納されている。キャリブレーションデーターの作成では、引き込みの際のローターの移動量をできるだけ小さくするために、通電角度θは漸増または漸減するように変化させる。
次のステップS210において、初期位置推定部57は、通電回数を表すパラメーターkを1だけインクリメントする。さらに、初期位置推定部57は、通電時間を表すパラメーターjを初期値0に設定する。
その次のステップS211において、座標変換部53は、パラメーターkに対応する通電角θ[k]と、その通電角θ[k]での余弦値および正弦値とをテーブルから読み出す。座標変換部53は、読み出した余弦値および正弦値と予め設定したγ軸電圧指令値Vγ*とから、U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*、およびW相電圧指令値Vw*を算出する。さらに、PWM変換部54は、上記の電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に基づいて、PWM信号であるインバーター駆動信号U+,U-,V+,V-,W+,W-を生成する。
その次のステップS212において、駆動回路40は、インバーター駆動信号U+,U-,V+,V-,W+,W-に基づいて、ブラシレスDCモーター30のステーター巻線31の各相に、パルス幅変調されたU相電圧U、V相電圧V、およびW相電圧Wの印加を開始する(通電ON)。
ステーター巻線31への通電時間は、パラメーターjで制御される。具体的に、PWM変換部54は、PWMパルスのパルス数を表すパラメーターjをインクリメントしながら(ステップS213)、パラメーターjが上限値であるm2に達するまで、インバーター駆動信号U+,U-,V+,V-,W+,W-の出力を続ける。
パラメーターjが上限値であるm2に達すると(すなわち、ステップS214でYES)、次のステップS215において、初期位置推定部57は、γ軸電圧指令値Vγ*を0にすることによって、駆動回路40から出力されるU相電圧U、V相電圧V、およびW相電圧Wを0にする(通電OFF)。上記により、ローターの磁極位置θは、通電角度θに等しくなる。
その次のステップS216において、初期位置推定部57は、図14のステップS100~S120と同様の手順でローターの磁極位置の推定値としての位相角φを得る。
その次のステップS217において、初期位置推定部57は、真の磁極位置θに対する推定磁極位置φの誤差θ[k]を算出する。磁極位置θは通電角度θ[k]に等しいので、φ-θ[k]により、推定初期位置の誤差θ[k]を算出することができる。
以上で、現在のパラメーターkに対応するローターの磁極位置θ(すなわち、通電角度θ[k]に等しい)での、推定初期位置の誤差θ[k]の計算が完了する。パラメーターkが通電回数n2に達していない場合には(ステップS218でNO)、ステップS210に戻り、上記のステップS210~S217の処理が繰り返される。
パラメーターkが通電回数nに達した場合、すなわち、全ての通電角度θ[k]について、推定初期位置の誤差θ[k]の計算が完了すると(ステップS218でYES)、初期位置推定部57は、ローターの磁極位置の推定値φとその誤差θとの関係を示すキャリブレーソンデーターをメモリに保存する。以上により、キャリブレーションデーターの作成処理が完了する。
[実施の形態2の効果]
実施の形態2のモーター制御装置によれば、モーターごとに磁極位置の推定値の誤差(すなわち、真の磁極位置θと推定磁極位置φとの偏差)を予め検出しておく。そして、実施の形態1に示した手順に従って新たに推定した磁極の初期位置を、予め検出した初期位置の推定値の誤差を用いて補正することにより、さらに推定精度を高めることができる。
[変形例]
上記では、テーブルの形でキャリブレーションデーターを作成し、キャリブレーションデーターを利用した補間によって新たに検出した推定磁極位置としての位相角φに対応する誤差θを特定した。これに対して、既知の磁極位置θに対応する磁極位置の推定値φと誤差θとの関係を示す多項式近似式、もしくは既知の磁極位置θに対応する磁極位置の推定値φとそれを補正した推定値φとの関係を示す多項式近似式を予め導出してもよい。この場合、導出した多項式近似式を用いて、未知の磁極位置θに対して新たに検出した磁極位置の推定値φについて、対応する誤差θまたは補正後の推定磁極位置φを決定するようにしてもよい。
<実施の形態3>
実施の形態3では、実施の形態1,2で説明したモーター制御装置を、画像形成装置の給紙ローラー、タイミングローラー、および搬送ローラー等を駆動するモーターの制御に用いた例について説明する。以下、図面を参照して説明する。
[画像形成装置の構成例]
図21は、画像形成装置の構成の一例を示す断面図である。図21の断面図は模式的なものであって、図解を容易にするために一部を拡大して示したり、縦横比を変更したりしている点に注意されたい。
図21を参照して、画像形成装置180は、タンデムカラープリンターとして構成される作像部181と、給紙機構182と、原稿読み取り装置160とを備える。画像形成装置180は、ネットワークに接続されてプリンター、スキャナー、コピー機、ファクシミリなどの機能を兼ね備えた多機能周辺装置(MFP:Multifunction Peripheral)として構成されていてもよい。
作像部181は、4個の感光体カートリッジ191,192,193,194と、1次転写ローラー131と、転写ベルト132と、トナーボトル123と、2次転写ローラー133と、定着装置105とを備える。
感光体カートリッジ191,192,193,194は、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色のトナー像を形成する。感光体カートリッジ191,192,193,194の各々は、円筒の感光体110と、帯電器111と、光源を含む画像露光装置112と、現像ローラー121を含む現像装置102とを備える。
帯電器111は、感光体110の表面を一様に所定電位に帯電する。画像露光装置112は、感光体110の帯電域に、原稿画像に応じた画像を露光する。これによって、感光体110上に静電潜像が形成される。現像装置102は、現像バイアスが印加された現像ローラー121を利用して静電潜像にトナーを付着させることにより、可視トナー像を形成する。
なお、感光体カートリッジ191,192,193,194にそれぞれ対応して、4個のトナーボトル123が設けられる。トナーボトル123から対応の感光体カートリッジにトナーが供給される。トナーボトル123の内部には、トナーを攪拌するための攪拌羽124が設けられる。
4個の感光体110にそれぞれ対向して4個の1次転写ローラー131が設けられている。各感光体110と対応する1次転写ローラー131とで転写ベルト132を圧接する。さらに、1次転写ローラー131にはトナーを引き寄せるバイアスが印加されている。これによって、現像後の感光体110表面の可視トナー像は転写ベルト132に転写される。
転写ベルト132の上に転写された可視トナー像は、2次転写ローラー133の位置まで搬送される。2次転写ローラー133にも1次転写ローラーと同様に転写電圧が印加されている。これによって、転写ベルト132によって搬送された可視トナー像は、2次転写ローラー133と転写ベルト132とのニップ部で、記録媒体183である用紙に転写される。
記録媒体183に転写された可視トナー像は、定着装置105まで搬送される。定着装置105は、定着ローラー150を有し、定着ローラー150によって記録媒体183を加熱および加圧することによって記録媒体183上に可視トナー像を定着させる。定着後の記録媒体183は、排紙ローラー151によって排紙トレー152に排出される。
給紙機構182は、記録媒体183としての用紙を給紙カセット140,142から取り込んで2次転写ローラー133まで搬送する。給紙機構182は、給紙カセット140,142と、給紙ローラー141,143と、搬送ローラー144と、タイミングローラー145とを含む。
1段目の給紙カセット140に収容された記録媒体183は、給紙ローラー141によって1枚ずつ取り出され、タイミングローラー145まで搬送される。2段目の給紙カセット142に収容された記録媒体183は、給紙ローラー143によって1枚ずつ取り出され、搬送ローラー144を介してタイミングローラー145まで搬送される。
タイミングローラー145は、供給された記録媒体183を一旦停止させる。これによって、転写ベルト132上に転写された可視トナー像が2次転写ローラー133まで搬送されるタイミングと、記録媒体183が2次転写ローラー133に供給するタイミングとを調整する。
原稿読み取り装置160は、原稿用紙161上の原稿画像を読み取ることによって、画像データを生成する。図18に示す例では、原稿読み取り装置160は、作像部181の上部に設けられる。原稿読み取り装置160は、原稿台162と、給紙ローラー170と、原稿搬送ローラー163,171と、原稿排出ローラー172と、排紙トレー173と、光源164と、ミラー165と、レンズ166と、CCD(Charged-Coupled Devices)などのイメージセンサー167とを備える。
原稿台162に載置された原稿用紙161は、給紙ローラー170によって1枚ずつ取り込まれる。原稿用紙161は、原稿搬送ローラー163,171によって搬送されることにより、原稿読み取り位置に到達する。
原稿読み取り位置において、原稿用紙161上の原稿画像に、光源164からの光が照射される。原稿用紙161の表面で反射された光は、ミラー165で反射された後にレンズ166で集光されてイメージセンサー167に入射される。この結果、原稿用紙161の上の原稿画像がイメージセンサー167のセンサー面上に結像し、イメージセンサー167によって原稿画像の画像データが生成される。
原稿読み取り位置を通過した原稿用紙161は、原稿排出ローラー172によって排紙トレー173に排出される。
[ローラーの駆動源へのブラシレスDCモーターの適用]
上記の構成の画像形成装置180において、各種のローラーの駆動には、従来はステッピングモーターが多く使われていたが、現在ではブラシレスDCモーターが多く使われるようになっている。ステッピングモーターはブラシレスDCモーターに比べて騒音が大きく、消費電力が大きいために効率が悪いという問題があるからである。
ただし、通常のブラシレスDCモーターでは、クローズドループ制御を行うために、ローターの回転位置を検出するためのホール素子またはエンコーダーが設けられている。このようなセンサーを設けるためのコストが余分にかかるので、オープンループ制御が可能なステッピングモーターよりも高コストになるという新たな問題が生じる。この問題を解消するために、センサレス方式のブラシレスDCモーターを用いることが強く望まれている。
ここで、センサレス型のブラシレスDCモーターでは、停止状態のモーターを起動する際にローターの磁極の初期位置を推定する必要がある。この初期位置推定の方法として、一般には、所定の通電角度でステーターに通電を行い、通電角度に応じた位置にローターの磁極を引き込んでからモーターの回転を開始させることが行われる。
しかしながら、画像形成装置180の場合で、特に、給紙ローラー141,143,170およびタイミングローラー145を駆動するモーターでは、上述のようなローター引き込みの方法を用いることができない。給紙ローラー141,143,170の場合には、用紙がローラーニップに挟まれた状態になっており、タイミングローラー145の場合には、用紙の先端がローラーニップの入口に突き当てられた状態になっている。このため、ローター引き込みによってローラーが回転するため記録媒体183である用紙も一緒に動いてしまうからである。この結果、給紙ローラー141,143,170の場合にはジャムの原因になり、タイミングローラー145の場合には正確なタイミング制御が困難になる。
以上の理由から、既に説明したように、ローターが回転しない程度の電圧をステーター巻線に印加するインダクティブセンス方式によって、ローターの磁極の初期位置推定が行われる。この初期位置推定では、精度良くかつ短時間で初期位置推定を行うために、実施の形態1,2で説明したモーター制御装置および方法を適用することができる。
[ローラーの制御方法の詳細]
図22は、図21の画像形成装置において、各種ローラーの駆動制御に用いられるモーターとその制御装置の構成を示すブロック図である。
図22の画像形成装置180には、給紙ローラー141,143,170およびタイミングローラー145のいずれかを駆動するためのブラシレスDCモーター30Aと、搬送ローラーを駆動するためのブラシレスDCモーター30B,30Cとが代表的に示されている。さらに、ブラシレスDCモーター30A,30B,30Cにそれぞれ対応して駆動回路40A,40B,40Cと、センサレスベクトル制御回路50A,50B,50Cとが設けられる。さらに、画像形成装置180は、センサレスベクトル制御回路50A,50B,50Cを制御するための上位制御回路60を含む。
ここで、給紙ローラー141,143,170およびタイミングローラー145のいずれかを駆動するためのブラシレスDCモーター30Aを制御するためのセンサレスベクトル制御回路50Aは、実施の形態2で説明したように、キャリブレーションデーターを用いてローターの磁極の初期位置の推定値としての位相角φの補正を行うのが望ましい。これによって、さらに精度良くローターの磁極の初期位置を推定することができる。
搬送ローラーを駆動するためのブラシレスDCモーター30B,30Cについては、キャリブレーションデーターの作成およびそれに基づく推定磁極位置としての位相角φの補正を行わなくてもよい。ただし、ローラーおよびモーターの構成によっては、誤差抑制のため一部の搬送ローラーに関しては、キャリブレーションを実行したほうが望ましい場合がある。
具体的に、搬送ローラーの直径D、モーターから搬送ローラーまでの減速比G、モーターの極対数Pに着目し、これらの値の少なくとも1つと基準値との比較に基づいてキャリブレーションを実行するか否かを判定するようにしてもよい。搬送ローラーの直径Dが大きくなるほど誤差が大きくなるので、キャリブレーションを実行したほうが望ましい。モーターから搬送ローラーまでの減速比Gが小さくなるほど誤差が大きくなるので、キャリブレーションを実行したほうが望ましい。モーターの極対数Pが小さくなるほど誤差が大きくなるので、キャリブレーションを実行したほうが望ましい。
もしくは、上記のパラメーターD,P,Gに基づいて、判定値D/(G・P)を計算し、この判定値が基準値以上となる場合(すなわち、図22のブラシレスDCモーター30Bの場合)に、キャリブレーションを実行するようにしてもよい。逆に、この判定値が基準値未満となる場合(すなわち、図22のブラシレスDCモーター30Bの場合)に、センサレスベクトル制御回路50Cは、キャリブレーションを実行しない。
図23は、キャリブレーションデーターを作成するタイミングを説明するためフローチャートである。
図23を参照して、製品(画像形成装置)の製造開始(S300)の後、製品の製造終了(S302)までの間で、キャリブレーションデーターを作成する(S301)のが望ましい。さらに、ユーザー先への製品の設置を開始した(S303)後、設置を終了する(S305)までの間でキャリブレーションデーターを作成する(S304)のが望ましい。さらに、ユーザーによる製品の使用開始(S306)の後でモーターを交換した(S307)後、キャリブレーションデーターを作成する(S308)のが望ましい。
図24は、画像形成装置の電源をオンした後で、キャリブレーションデーターの作成を実行するタイミングを説明するためのフローチャートである。
図24を参照して、画像形成装置の電源をオンした(S400)後、センサレスベクトル制御回路50は、用紙搬送を行うためにブラシレスDCモーターの起動を行うまでの間にキャリブレーションデーターを作成する(S401)。
その後、センサレスベクトル制御回路50は、上位制御回路60から印刷指令を受信し(S402)、用紙搬送のためにブラシレスDCモーターを起動する(S403)。印刷が終了する(S404)と、上位制御回路60は、定められた待ち時間の経過後に、待機電源以外をオフにしてスタンバイモードに移行する(S406)。センサレスベクトル制御回路50は、スタンバイモードに移行する直前に、キャリブレーションデーターを作成する(S405)。これによって、上位制御回路60から印刷指令を受けて、スタンバイモードを解除したときに、キャリブレーションデーターを作成する必要がなく、直ちにブラシレスDCモーターを起動できるというメリットがある。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
0 初期値、30 ブラシレスDCモーター、31 ステーター巻線、35 ローター、40 駆動回路、41 インバーター回路、42U,42V,42W アーム回路、43U,43V 電流検出回路、50 センサレスベクトル制御回路、51 回転速度制御部、52 電流制御部、53,55 座標変換部、54 変換部、56 磁極位置推定部、57 初期位置推定部、60 上位制御回路、102 現像装置、105 定着装置、110 感光体、111 帯電器、112 画像露光装置、121 現像ローラー、123 トナーボトル、124 攪拌羽、131 1次転写ローラー、132 転写ベルト、133 2次転写ローラー、140,142 給紙カセット、141,143,170 給紙ローラー、144 搬送ローラー、145 タイミングローラー、150 定着ローラー、151 排紙ローラー、152,173 排紙トレー、160 原稿読み取り装置、161 原稿用紙、162 原稿台、163,171 原稿搬送ローラー、164 光源、165 ミラー、166 レンズ、167 イメージセンサー、172 原稿排出ローラー、180 画像形成装置、181 作像部、182 給紙機構、183 記録媒体、191,192,193,194 感光体カートリッジ。

Claims (19)

  1. センサレス方式のモーターを制御するモーター制御装置であって、
    前記モーターの複数相のステーター巻線に電圧を印加するための駆動回路と、
    前記駆動回路を制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、インダクティブセンス方式で前記モーターのローターの初期磁極位置を推定する際に、
    (i)複数の通電角度を順次変更しながら前記通電角度ごとに、前記ローターが回転しないレベルの電圧値および通電時間で、前記ステーター巻線に前記駆動回路によって連続的または間欠的に電圧を印加させ、
    (ii)前記通電角度ごとに得られた前記ステーター巻線を流れる前記複数相の電流のピーク値を、前記通電角度と同じ電気角を有する第1の電流成分と、前記第1の電流成分と90度だけ電気角が異なる第2の電流成分とに変換し、
    (iii)前記複数の通電角度に対する前記第1の電流成分の変化量を三角関数曲線で近似した場合における前記三角関数曲線の位相角に基づいて、前記ローターの初期磁極位置を推定するように構成され、
    前記三角関数曲線は、前記モーターの電気角の1周期に等しい周期を有する、モーター制御装置。
  2. 前記推定された初期磁極位置は、前記三角関数曲線が最大値を有するときの通電角度に対応する、請求項1に記載のモーター制御装置。
  3. 前記制御部は、前記初期磁極位置を推定する際に、
    前記通電角度ごとに、前記第1の電流成分の値と前記通電角度の余弦値とを乗算し、前記複数の通電角度に対して得られた乗算結果の総和を求めることによって第1の積算値を計算し、
    前記通電角度ごとに、前記第1の電流成分の値と前記通電角度の正弦値とを乗算し、前記複数の通電角度に対して得られた乗算結果の総和を求めることによって第2の積算値を計算し、
    前記第1の積算値と前記第2の積算値との比に基づいて、前記位相角を計算するように構成される、請求項1に記載のモーター制御装置。
  4. 前記制御部は、前記第1の積算値と前記第2の積算値との比の逆正接に基づいて前記位相角を計算する、請求項3に記載のモーター制御装置。
  5. センサレス方式のモーターのローターの磁極の初期位置推定方法であって、
    複数の通電角度を順次変更しながら前記通電角度ごとに、前記ローターが回転しないレベルの電圧値および通電時間で、複数相のステーター巻線に連続的または間欠的に電圧を印加するステップと、
    前記通電角度ごとに、前記ステーター巻線を流れる前記複数相の電流のピーク値を、前記通電角度と同じ電気角を有する第1の電流成分と、前記第1の電流成分と90度だけ電気角が異なる第2の電流成分とに変換するステップと、
    前記複数の通電角度に対する前記第1の電流成分の変化量を三角関数曲線で近似した場合における前記三角関数曲線の位相角に基づいて、前記ローターの磁極の初期位置を推定するステップとを備え、
    前記三角関数曲線は、前記モーターの電気角の1周期に等しい周期を有する、ローターの磁極の初期位置推定方法。
  6. 前記推定された磁極の初期位置は、前記三角関数曲線が最大値を有するときの通電角度に対応する、請求項5に記載のローターの磁極の初期位置推定方法。
  7. 前記ローターの磁極の初期位置を推定するステップは、
    前記通電角度ごとに、前記第1の電流成分の値と前記通電角度の余弦値とを乗算し、前記複数の通電角度に対して得られた乗算結果の総和を求めることによって第1の積算値を計算するステップと、
    前記通電角度ごとに、前記第1の電流成分の値と前記通電角度の正弦値とを乗算し、前記複数の通電角度に対して得られた乗算結果の総和を求めることによって第2の積算値を計算するステップと、
    前記第1の積算値と前記第2の積算値との比に基づいて、前記位相角を計算するステップとを含む、請求項5または6に記載のローターの磁極の初期位置推定方法。
  8. 前記位相角を計算するステップは、前記第1の積算値と前記第2の積算値との比の逆正接にを計算するステップを含む、請求項7に記載のローターの磁極の初期位置推定方法。
  9. 前記複数の通電角度として、前記モーターの電気角の1周期をL個の区間に等分割した場合に相当するL個の通電角度を決定するステップをさらに備え、
    前記L個の通電角度を決定するステップは、
    前記推定された磁極の初期位置に含まれる折り返し歪みに基づく誤差の最大許容量[度]を決定するステップと、
    前記複数の通電角度に対する前記第1の電流成分の波形から求めたフーリエ級数成分のうち、第1次成分の振幅に対する第(L-1)次成分の振幅の割合[%]が、前記最大許容量の1.67倍以下となるようにLを決定するステップとを含む、請求項5~8のいずれか1項に記載のローターの磁極の初期位置推定方法。
  10. 前記ステーター巻線に電流を流すことにより予め設定された複数のキャリブレーション用の電気角の各々にローターを引き込んだ状態で、ローターの磁極の初期位置を推定することによって、前記複数のキャリブレーション用の電気角とそれぞれ対応するローターの磁極の複数の推定初期位置との偏差を予め求めるステップと、
    前記予め求められた複数の推定初期位置とそれぞれ対応する偏差との関係に基づいて、新たに求めた前記ローターの磁極の推定初期位置を補正するステップとをさらに備える、請求項5~9のいずれか1項に記載のローターの磁極の初期位置推定方法。
  11. 前記推定初期位置を補正するステップは、前記予め求められた複数の推定初期位置とそれぞれ対応する偏差との関係を利用した補間処理によって、前記新たに求めた前記ローターの磁極の推定初期位置に対応する偏差を計算するステップを含む、請求項10に記載のローターの磁極の初期位置推定方法。
  12. 前記推定初期位置を補正するステップは、前記予め求められた複数の推定初期位置とそれぞれ対応する偏差とのとの関係に基づく多項式近似曲線を用いて、前記新たに求めた前記ローターの磁極の推定初期位置に対応する偏差を計算するステップを含む、請求項10に記載のローターの磁極の初期位置推定方法。
  13. 前記偏差を予め求めるステップは、前記モーターが搭載された製品の製造時、前記製品のユーザー先への設置時、および、前記製品に搭載された前記モーターが交換されたときのうち、少なくとも1つの時点において実行される、請求項10~12のいずれか1項に記載のローターの磁極の初期位置推定方法。
  14. 前記モーターは、複数のローラー用いて用紙を給紙カセットから取り出して搬送し、搬送された用紙に画像を形成する画像形成装置において、前記複数のローラーの各々を駆動するために用いられ、
    前記複数のローラーは、
    前記用紙がローラーニップに挟まれた状態で停止する第1のローラーと、
    前記用紙がローラーニップの入口に突き当たれらた状態で停止する第2のローラーと、
    前記用紙がローラーニップに挟まれた状態および前記用紙がローラーニップに入口に突き当てられた状態のいずれでも停止しない複数の第3のローラーとを含み、
    前記推定初期位置を補正するステップは、前記第1のローラーおよび前記第2のローラーの各々を駆動するためのモーターに対して実行される、請求項10~13のいずれか1項に記載のローターの磁極の初期位置推定方法。
  15. 前記推定初期位置を補正するステップは、前記複数の第3のローラーの各々を駆動するためのモーターに対して実行されない、請求項14に記載のローターの磁極の初期位置推定方法。
  16. 前記複数の第3のローラーの各々を駆動するためのモーターに対して、前記推定初期位置を補正するステップは、各前記第3のローラーの直径、各前記第3のローラーとそれを駆動するモーターとの間の減速比、および各前記第3のローラーを駆動するモーターの極対数のうちの少なくとも1つに応じて、実行される場合と実行されない場合とがある、請求項14に記載のローターの磁極の初期位置推定方法。
  17. 前記推定初期位置を補正するステップは、前記減速比と前記極対数との積で前記第3のローラーの直径を除算した値が基準値以上となる場合にのみ実行される、請求項16に記載のローターの磁極の初期位置推定方法。
  18. 前記偏差を予め求めるステップは、前記画像形成装置の電源がオンされた後、前記用紙の搬送を行うためにモーターの起動を行うまでの間に実行される、請求項14~17のいずれか1項に記載のローターの磁極の初期位置推定方法。
  19. 複数のローラー用いて用紙を給紙カセットから搬送し、搬送された用紙に画像を形成する画像形成装置であって、
    前記複数のローラーの少なくとも1つを駆動するモーターを制御する請求項1~4のいずれか1項に記載のモーター制御装置を備える、画像形成装置。
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