JP7188111B2 - 架空地線用架設具および架空地線架設方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄塔に2条の架空地線を架設するための架空地線用架設具と、この架空地線用架設具を使用した架空地線架設方法に関する。
送電鉄塔には、落雷から送電線を保護することを主たる目的として、架空地線が架設されている。例えば、図6に示すように、変電所110から第1の鉄塔111の頂部に架空地線100を架設し、さらに、第1の鉄塔111鉄塔から第2の鉄塔(図示せず)の頂部に架空地線100を架設する、というようにして順次、鉄塔間に架空地線100を架設する。この際、図4に示すように、鉄塔111の頂部111aに取付プレート(耐張プレート)112が取り付けられ、この取付プレート112の一端部に設けられた取付孔112aを利用してUクレビスを取り付け、このUクレビスに架空地線100を接続している(例えば、特許文献1参照。)。なお、このような取付プレート112は、すべての鉄塔111に予め取り付けられている。
特開2013-141381号公報
ところで、変電所の鉄構の構造変更などにより、変電所から第1の鉄塔に架設される架空地線の数を、1条から2条に変更、増設する場合がある。このような場合、従来、次のような2つの方法が採られていた。
第1に、取付プレートを一端部に2つの取付孔が設けられた取付プレートに取り替える方法があるが、大規模な工事となり、多大な時間と費用を要するばかりでなく、作業が複雑なため危険性が高い。第2に、取付プレートと2つの架空地線との間に架線プレートを配設する方法があるが、2つの架空地線が架線プレートによって連動してしまうため、各架空地線の弛度(架空地線の垂れ下がり量)を調整することが困難になるとともに、専用の金具を複数要するため、費用が嵩んでしまう。
そこで本発明は、2条の架空地線を鉄塔に容易に架設可能にする、架空地線用架設具および架空地線架設方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、取付孔を有する取付プレートが鉄塔に配設され、前記取付プレートを介して2条の架空地線を架設するための架空地線用架設具であって、略U字状で両自由端部にボルト挿入孔が形成された第1のU字体と、略U字状で両自由端部にボルト挿入孔が形成され、該両自由端部が前記第1のU字体の両自由端部間に配置される第2のU字体と、前記取付孔と前記ボルト挿入孔に挿入可能なボルトと、前記ボルトに螺合するナットと、を備え、前記第2のU字体の両自由端部を前記第1のU字体の両自由端部間に配置し、前記第2のU字体の両自由端部間に前記取付プレートを配置して、すべての前記ボルト挿入孔と前記取付孔に前記ボルトを挿入して該ボルトに前記ナットを螺合することで、前記取付プレートに取り付けられ、該取付状態で前記第1のU字体と前記第2のU字体とが個別に前記取付孔周りに回転自在である、ことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載の架空地線用架設具において、前記第2のU字体の両自由端部が前記第1のU字体の両自由端部間に配置され、かつ、前記第1のU字体のボルト挿入孔と前記第2のU字体のボルト挿入孔とが同心に配置された状態で、前記ボルト挿入孔の軸心を中心に前記第1のU字体と前記第2のU字体とが回転自在に連結されている、ことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の架空地線用架設具において、前記第2のU字体が前記第1のU字体の内側に挿入自在となっている、ことを特徴とする。
請求項4の発明は、取付孔を有する取付プレートが鉄塔に配設され、前記取付プレートを介して2条の架空地線を架設する架空地線架設方法であって、請求項1から3のいずれか1項に記載の架空地線用架設具を前記取付プレートに取り付け、前記架空地線用架設具の第1のU字体を介して一方の架空地線を架設し、前記架空地線用架設具の第2のU字体を介して他方の架空地線を架設する、ことを特徴とする。
請求項1および請求項4に記載の発明によれば、架空地線用架設具を取付プレートに取り付けることで、取付プレートに第1のU字体と第2のU字体とが取り付けられた状態になるため、この2つのU字体を介して2条の架空地線を鉄塔に架設することができる。すなわち、取付プレートを取り替えたりすることなく、既存の取付プレートに取り付けた2つのU字体のそれぞれに架空地線を接続するだけで、2条の架空地線を容易に架設することが可能となる。
しかも、既存の取付プレートの取付孔と、2つのU字体のボルト挿入孔にボルトを挿入してナットを螺合するだけで、架空地線用架設具を取付プレートに取り付けることができる。つまり、大規模な工事や複雑な作業が不要なため、容易、安全かつ迅速に架空地線用架設具を取り付けることができる。
また、架空地線用架設具を取付プレートに取り付けた状態で、第1のU字体と第2のU字体とが個別に取付孔周りに回転自在なため、第1のU字体を介して架設した一方の架空地線と、第2のU字体を介して架設した他方の架空地線とを個別に動かして、それぞれの架設方向や弛度などを適正かつ容易に調整することが可能となる。このようにして、2条の架空地線の架設や各架空地線の弛度調整などを適正かつ容易に行うことが可能となり、作業時間や労力、費用を大きく軽減することが可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、ボルト挿入孔の軸心を中心に第1のU字体と第2のU字体とが回転自在に連結されているため、2つのU字体を一体的に取り扱うことができ、架空地線用架設具をより容易に取付プレートに取り付けることが可能となる。しかも、2つのU字体が連結されているため、間違った2つのU字体を使用したり、一方のU字体を紛失したりするのを防止することが可能となる。
請求項3に記載の発明によれば、第2のU字体が第1のU字体の内側に挿入自在となっているため、2つのU字体の回転自由度つまり取り扱いの自由度が高まる。この結果、架空地線用架設具をより容易に取付プレートに取り付けたり、各架空地線の弛度調整などをより適正かつ容易に行ったりすることが可能となる。
この発明の実施の形態に係る架空地線用架設具を示す平面図(a)と、正面図(b)である。 図1の架空地線用架設具のボルト挿入孔を示す拡大断面図である。 図1の架空地線用架設具の使用状態を示す斜視図である。 この発明の実施の形態に係る取付プレートの配設状態を示す斜視図である。 この発明の実施の形態に係る他の架空地線用架設具を示す平面図(a)と、正面図(b)である。 この発明の実施の形態において、1条の架空地線を変電所から鉄塔に架設する状態を示す模式図である。
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
図1~図4は、この発明の実施の形態を示し、図1は、この実施の形態に係る架空地線用架設具1を示す平面図(a)と、正面図(b)である。この架空地線用架設具1は、鉄塔111に配設された取付プレート112を介して、2条の架空地線102、103を架設するための金具である。
まず、図4に示すように、鉄塔111の頂部111aに取付プレート112がボルト(図示せず)で取り付けられている。この取付プレート112は、例えば、略長方形状(略小判状)で、一方の端部に耐張クランプ113を介して第1の架空地線101が架設され、他方の端部に1つの取付孔112aが形成されている。ここで、この実施の形態では、第1の架空地線101は、鉄塔111から隣接する鉄塔に架設される架空地線であり、後述する2条の架空地線102、103は、変電所から鉄塔111に架設される架空地線である。
架空地線用架設具1は、図1に示すように、主として、第1のU字体2と、第2のU字体3と、ボルト4と、ナット5と、を備える。
第1のU字体2は、略U字状で両自由端部23にボルト挿入孔23aが形成された金具である。すなわち、Uクレビスと同様に、棒状材を略U字状に形成した金具で、具体的には、湾曲状(半円弧状)の湾曲部21と、この湾曲部21の両端から真っ直ぐ平行に延びる平行部22と、この平行部22の端部を潰した自由端部23とを有する。このようなU字形状(平行部22の内面間距離D1等)と線径(棒断面積)は、架空地線を適正に支持、架設できる強度、大きさが得られるように設定されている。また、両自由端部23は、略円盤状に形成され、図2に示すように、その中央部にボルト挿入孔23aが形成されている。
第2のU字体3は、略U字状で両自由端部33にボルト挿入孔33aが形成され、この両自由端部33が第1のU字体2の両自由端部23間に配置される金具である。すなわち、Uクレビスと同様に、棒状材を略U字状に形成した金具で、具体的には、湾曲状(半円弧状)の湾曲部31と、この湾曲部31の両端から真っ直ぐ平行に延びる平行部32と、この平行部32の端部を潰した自由端部33とを有する。このようなU字形状(平行部32の内面間距離D2等)と線径は、架空地線を適正に支持、架設できる強度、大きさが得られるように設定されている。また、両自由端部33は、略円盤状に形成され、その中央部にボルト挿入孔23aと同径のボルト挿入孔33aが形成されている。
また、両自由端部33の外面間距離(外側の面同士の距離)は、第1のU字体2の両自由端部23の内面間距離(内側の面同士の距離)よりも小さく設定され、両自由端部33が第1のU字体2の両自由端部23間に配置されている。さらに、第1のU字体2のボルト挿入孔23aと第2のU字体3のボルト挿入孔33aとが同心に配置された状態で、ボルト挿入孔23a、33aの軸心を中心に第1のU字体2と第2のU字体3とが回転自在に連結されている。
すなわち、図2に示すように、第1のU字体2のボルト挿入孔23aの第2のU字体3側の端縁が、かしめられてカシメ部23bが形成され、このカシメ部23bがボルト挿入孔33aの第1のU字体2側の端縁に係止することで、第1のU字体2と第2のU字体3とが回転自在に連結されている。ここで、カシメ部23bをボルト挿入孔23aの全周に形成してもよいが、数か所に点在的に形成してもよい。
一方、両自由端部33の内面間距離D4は、取付プレート112の厚みよりも大きく設定されている。
また、第2のU字体3が第1のU字体2の内側に挿入自在となっている。すなわち、第2のU字体3の外形状は、第1のU字体2の内形状(内部2a)よりも小さく形成されている。例えば、第2のU字体3の平行部32の外面間距離D3が、第1のU字体2の平行部22の内面間距離D1よりも小さく設定されている。従って、第2のU字体3の両自由端部33が第1のU字体2の両自由端部23間に配置され、第1のU字体2のボルト挿入孔23aと第2のU字体3のボルト挿入孔33aとが同心に配置された状態で、ボルト挿入孔23a、33aの軸心を中心にU字体2、3を回転させることで、第2のU字体3が第1のU字体2の内側に挿入自在となる。つまり、第1のU字体2と第2のU字体3とが干渉することがなく、2つのU字体2、3を360度自由に回転させることができるものである。
ボルト4は、取付プレート112の取付孔112aと2つのU字体2、3のボルト挿入孔23a、33aに挿入可能なボルトであり、ナット5は、ボルト4に螺合するナットである。また、図示していないが、ボルト4の先端部には、軸線と略直交する貫通孔が形成され、この貫通孔に割りピンが挿入されることで、ボルト4の緩みが防止されるようになっている。
次に、このような構成の架空地線用架設具1の使用方法および、2条の架空地線102、103を鉄塔111に架設する架空地線架設方法について説明する。
第1に、架空地線用架設具1を取付プレート102に取り付ける。すなわち、まず、第2のU字体3の両自由端部33を第1のU字体2の両自由端部23間に配置し、第2のU字体3の両自由端部33間に取付プレート102の取付孔112a周辺(他端部)を配置する。この実施の形態では、上記のように、第1のU字体2のボルト挿入孔23aと第2のU字体3のボルト挿入孔33aとが同心に配置された状態で、2つのU字体2、3が連結されているため、第2のU字体3の両自由端部33間で取付プレート102の取付孔112a周辺を挟めばよい。
次に、すべてのボルト挿入孔23a、33aと取付孔112aにボルト4を挿入して、このボルト4にナット5を螺合することで、取付プレート102に架空地線用架設具1が取り付けられる。このとき、この実施の形態では、第1のU字体2のボルト挿入孔23aと第2のU字体3のボルト挿入孔33aとが同心に配置された状態で、2つのU字体2、3が連結されているため、一体的であるボルト挿入孔23a、33aを取付孔112aに合わせてボルト4を挿入すればよい。この取付状態では、第1のU字体2と第2のU字体3とが個別に取付孔112aの軸心周りに回転自在となっている。具体的には、第1のU字体2がボルト4と一体となって取付孔112a周りに回転し、第2のU字体3がボルト4周りに回転することで取付孔112a周りに回転する。
第2に、図3に示すように、第1のU字体2を介して第2の架空地線(一方の架空地線)102を架設し、第2のU字体3を介して第3の架空地線(他方の架空地線)103を架設する。このとき、第1のU字体2と第2のU字体3とを個別に取付孔112a周りに回転させながら、各架空地線102、103の架設方向や弛度などを調整する。また、実際には、U字体2、3と架空地線102、103との間に、耐張クランプ113などを介して接続する。
以上のように、この架空地線用架設具1および架空地線架設方法によれば、架空地線用架設具1を取付プレート112に取り付けることで、取付プレート112に第1のU字体2と第2のU字体3とが取り付けられた状態になるため、この2つのU字体2、3を介して2条の架空地線102、103を鉄塔111に架設することができる。すなわち、取付プレート112を取り替えたりすることなく、既存の取付プレート112に取り付けた2つのU字体2、3のそれぞれに架空地線102、103を接続するだけで、2条の架空地線102、103を容易に架設することが可能となる。
しかも、既存の取付プレート112の取付孔112aと、2つのU字体2、3のボルト挿入孔23a、33aにボルト4を挿入してナット5を螺合するだけで、架空地線用架設具1を取付プレート112に取り付けることができる。つまり、大規模な工事や複雑な作業が不要なため、容易、安全かつ迅速に架空地線用架設具1を取り付けることができる。
また、架空地線用架設具1を取付プレート112に取り付けた状態で、第1のU字体2と第2のU字体3とが個別に取付孔112a周りに回転自在なため、第1のU字体2を介して架設した第2の架空地線102と、第2のU字体3を介して架設した第3の架空地線103とを個別に動かして、それぞれの架設方向や弛度などを適正かつ容易に調整することが可能となる。このようにして、2条の架空地線102、103の架設や各架空地線102、103の弛度調整などを適正かつ容易に行うことが可能となり、作業時間や労力、費用を大きく軽減することが可能となる。
しかも、ボルト挿入孔23a、33aの軸心を中心に第1のU字体2と第2のU字体3とが回転自在に連結されているため、2つのU字体2、3を一体的に取り扱うことができ、架空地線用架設具1をより容易に取付プレート112に取り付けることが可能となる。さらに、2つのU字体2、3が連結されているため、間違った2つのU字体2、3を使用したり、一方のU字体2、3を紛失したりするのを防止することが可能となる。
また、第2のU字体3が第1のU字体2の内側に挿入自在となっているため、2つのU字体2、3の回転自由度つまり取り扱いの自由度が高まる。この結果、架空地線用架設具1をより容易に取付プレート102に取り付けたり、各架空地線102、103の弛度調整などをより適正かつ容易に行ったりすることが可能となる。
以上、この発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、第2のU字体3が第1のU字体2よりも小さく形成されているが、図5に示すように、第2のU字体5を第1のU字体2と同等の大きさにして、同等の強度が得られるようにしてもよい。この場合、湾曲部51から延びる平行部52の内面間距離D5は、第1のU字体2の平行部22の内面間距離D1と同値であり、両自由端部53の内面間距離D6は、取付プレート112の厚みよりも大きく設定される。また、上記の実施の形態では、カシメ部23bによって第1のU字体2と第2のU字体3とを連結しているが、その他の機構(例えば、ボルト挿入孔23a、33aに装着される円筒状の連結部)で連結するようにしてもよい。
1、10 架空地線用架設具
2 第1のU字体
23 自由端部
23a ボルト挿入孔
3 第2のU字体
33 自由端部
33a ボルト挿入孔
4 ボルト
5 ナット
101 第1の架空地線
102 第2の架空地線(一方の架空地線)
103 第3の架空地線(他方の架空地線)
111 鉄塔
112 取付プレート
112a 取付孔

Claims (4)

  1. 取付孔を有する取付プレートが鉄塔に配設され、前記取付プレートを介して2条の架空地線を架設するための架空地線用架設具であって、
    略U字状で両自由端部にボルト挿入孔が形成された第1のU字体と、
    略U字状で両自由端部にボルト挿入孔が形成され、該両自由端部が前記第1のU字体の両自由端部間に配置される第2のU字体と、
    前記取付孔と前記ボルト挿入孔に挿入可能なボルトと、
    前記ボルトに螺合するナットと、
    を備え、前記第2のU字体の両自由端部を前記第1のU字体の両自由端部間に配置し、前記第2のU字体の両自由端部間に前記取付プレートを配置して、すべての前記ボルト挿入孔と前記取付孔に前記ボルトを挿入して該ボルトに前記ナットを螺合することで、前記取付プレートに取り付けられ、該取付状態で前記第1のU字体と前記第2のU字体とが個別に前記取付孔周りに回転自在である、
    ことを特徴とする架空地線用架設具。
  2. 前記第2のU字体の両自由端部が前記第1のU字体の両自由端部間に配置され、かつ、前記第1のU字体のボルト挿入孔と前記第2のU字体のボルト挿入孔とが同心に配置された状態で、前記ボルト挿入孔の軸心を中心に前記第1のU字体と前記第2のU字体とが回転自在に連結されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の架空地線用架設具。
  3. 前記第2のU字体が前記第1のU字体の内側に挿入自在となっている、
    ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の架空地線用架設具。
  4. 取付孔を有する取付プレートが鉄塔に配設され、前記取付プレートを介して2条の架空地線を架設する架空地線架設方法であって、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の架空地線用架設具を前記取付プレートに取り付け、前記架空地線用架設具の第1のU字体を介して一方の架空地線を架設し、前記架空地線用架設具の第2のU字体を介して他方の架空地線を架設する、
    ことを特徴とする架空地線架設方法。
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