JP7188040B2 - アスファルト用施工性改善剤 - Google Patents
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Description
また、特許文献2における方法では、アスファルト混合物を加熱混合してから施工するまでは、長時間加熱した状態で保管しなければならず、アスファルトの軟化効果が得られないという問題があった。
よって、アスファルトを軟化させる効果を有すると共に、白化等の外観不良が生じることなく、更に長時間加熱しても軟化効果の低下を抑制することができるアスファルト用施工性改善剤が求められている。
本発明のアスファルト用施工性改善剤は、トリアルカノールアミンと炭素数16~22の脂肪酸とのエステルであって、エステル化度が0.3~1.0であるエステルからなることを特徴とするものである。
本発明のアスファルト用施工性改善剤に用いるエステルは、下記トリアルカノールアミンと下記炭素数16~22の脂肪酸とを反応させることにより得られるものである。
〔トリアルカノールアミン〕
前記エステルを構成するトリアルカノールアミンとしては、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリブタノールアミン、トリイソブタノールアミン等が挙げられる。これらの中でも、反応性、汎用性の観点から、炭素数2または3のアルカノール基を有するトリアルカノールアミンが好ましく、炭素数2のトリエタノールアミンがより好ましい。また、これらのトリアルカノールアミンはそれぞれ単独で使用可能であるが、2種類以上を混合して使用してもよい。
前記エステルを構成する脂肪酸は炭素数16~22の脂肪酸である。脂肪酸の炭素数が15以下の場合、長時間加熱した状態で保管した際に軟化効果の低下を生じる可能性がある。また、脂肪酸の炭素数が23以上になるとアスファルトを軟化させる効果が小さくなる。これらの観点から、脂肪酸の炭素数は16~22であり、好ましくは16~18である。
トリアルカノールアミンと脂肪酸とが反応して得られたエステルのエステル化度は、0.3~1.0である。エステル化度が0.3未満の場合、長時間加熱した状態で保管した際に軟化効果が低下する可能性がある。したがって、エステル化度は0.4以上が好ましい。また、アスファルトを軟化させる効果の観点から、エステル化度は0.7以下が好ましく、0.6以下がより好ましく、0.5であるものが特に好ましい。
エステル化度=(測定したエステル価)/(フルエステルの理論エステル価)・・・(1)
本発明のアスファルト用施工性改善剤の対象となるアスファルトとしては、特に制限はないが、例えば、ストレートアスファルト、セミブローンアスファルト、石油アスファルトに改質剤としてSBS等のポリマーを加えた改質アスファルト、排水性舗装用高粘度アスファルト等が挙げられる。また、古くなったり傷んだアスファルト舗装を破砕して利用した再生アスファルトにも使用できる。
〔実施例1~6及び比較例1~4〕
実施例1~6では、トリアルカノールアミンと炭素数16~22の脂肪酸とを反応して得られたエステルを本発明のアスファルト用施工性改善剤として用いた。表1に実施例1~6及び比較例1~2に使用したエステルの原料及びエステル化度を示す。なお、比較例3としては、本発明のアスファルト用施工性改善剤の代わりにステアリン酸モノアミドを用い、比較例4としては、本発明のアスファルト用施工性改善剤の代わりにミリスチン酸メチルをそれぞれ用いた。
軟化性の評価は、アスファルトの粘度を測定することにより行った。粘度はレオメータMCR302(Anton Paar社製)を使用して測定した。測定サンプルは、50mLのガラス容器に150℃で1時間加熱した改質II型アスファルト(昭和シェル石油(株)製グランファルトHD)を20g入れ、そこへ実施例及び比較例の改善剤を改質II型アスファルト100質量部に対して1質量部加えて混合し、150℃で2時間加熱後、110℃まで冷却して調製した。
<評価基準>
◎:粘度が10.5Pa・s未満
○:粘度が10.5Pa・s以上、11.5Pa・s未満
△:粘度が11.5Pa・s以上、12.5Pa・s未満
×:粘度が12.5Pa・s以上
実施例及び比較例の改善剤を含まない改質II型アスファルトと、実施例及び比較例の改善剤を含む改質II型アスファルトについて、それぞれ110℃における粘度(加熱前の粘度I)を測定した。次いで、それぞれの改質II型アスファルトを150℃で18時間加熱した後に110℃まで冷却した。そして、再度110℃における粘度(加熱後の粘度II)を測定し、加熱前後での粘度から変化率を算出することで軟化効果の低下抑制を評価した。変化率は以下の式(2)から算出した。
変化率=|((加熱後の粘度II-加熱前の粘度I)/加熱前の粘度I)×100|・・・(2)
<評価基準>
◎:変化率が5.0%未満
○:変化率が5.0%以上、10.0%未満
△:変化率が10.0%以上、15.0%未満
×:変化率が15.0%以上
外観の評価は、目視により外観の変化を確認することで行った。
具体的には、50mLのガラス容器に150℃で加熱した改質II型アスファルトを20g入れ、そこへ実施例及び比較例の改善剤を改質II型アスファルト100質量部に対して1質量部加え、150℃で2時間加熱混合した後に室温まで冷却し、24時間放置後の外観を目視により確認し、以下の基準にしたがって評価した。
<評価基準>
○:外観に変化は見られない
×:白化し、外観に変化が見られる
比較例2では、エステル化率が0.3未満であり、添加直後の軟化効果はあるものの、長時間加熱後の軟化効果が劣る結果となった。
比較例3では、本発明で用いるエステルではなくアミド化合物を用いているため、長時間加熱後の軟化効果低下及び白化が生じた。
比較例4では、本発明で用いるエステルの構造とは異なる脂肪酸アルキルエステルを用いたことから、長時間加熱後の軟化効果低下を生じた。
Claims (3)
- トリアルカノールアミンと炭素数16~22の脂肪酸とのエステルであって、エステル化度が0.3~1.0であるエステルのみからなることを特徴とする、アスファルト用施工性改善剤。
- アスファルトを軟化させることにより施工性を改善する方法であって、アスファルト100質量部に対して、請求項1に記載のアスファルト用施工性改善剤を0.1~20質量部添加する、方法。
- アスファルトと、前記アスファルト100質量部に対して0.1~20質量部の請求項1に記載のアスファルト用施工性改善剤を含み、熱可塑性エラストマーを含まない、アスファルト混合物。
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