JP7187800B2 - 導電延伸フィルム、及びこれを備えた二次電池 - Google Patents

導電延伸フィルム、及びこれを備えた二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、導電フィルムに関し、具体的には導電性フィラーが高分子材料中に分散した導電フィルムに関する。
エレクトロニクス分野において、高分子材料に求められる主要特性は製品や用途によって様々であるが、成形性、耐熱性、耐久性、高導電性、高強度、耐薬品性、耐蝕性等が挙げられる。これらの要求を満たす樹脂として、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリイミド等の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられている。
しかしながら、上記に挙げた各機能を総合的に有する材料に対する要望は強いものがあるが、技術的に困難であり、価格面で不利になることが多い。そのような技術課題の一つに導電性があり、一般的に絶縁性である高分子材料に導電性を付与することが求められている。さらに電子部品の小型化及び薄型化に伴い、これらに使用する導電性材料にも薄膜の材料が要求されている。またハンドリングの観点から強度も要求され、薄膜であり、かつ強度を有する導電性材料の開発が求められている。
高分子材料へ導電性材料を添加することで導電性を付与することができ、その手段として溶液キャスト法や溶融成形法等が知られている。
溶液キャスト法を用いた導電性樹脂材料の製造方法は、フィルム基材上に導電性材料を含む塗工液をキャストすることによりフィルム状に成形する方法である。溶液キャスト法では、溶剤に樹脂成分や導電性材料を溶解させるため塗工液の粘度を低くしやすく薄膜を得やすい利点があるが、ピンホールや塗工ムラの懸念があり、品質が不安定になりやすい問題が存在する。
これに対して、特許文献1では、キャスト時の塗工性及び製膜性に優れ、またピンホール等の発生が抑制され、耐水蒸気透過性に優れたフィルムの提供を目的として、(A)特定の芳香族ビニル-共役ジエンブロック共重合体水素添加物、(B)導電性物質、(C)特定の芳香族炭化水素系溶媒、並びに(D)ケトン系溶剤、エステル系溶媒及びエーテル系溶媒から選ばれる少なくとも1種の特定の溶媒を含有する集電体用導電性フィルム用塗料を開示している。
しかし、溶液キャスト法では、溶剤を乾燥させる工程が必要であるため生産性が低いことや溶剤を使用するため環境負荷がかかること、結晶性樹脂等の耐溶剤性に優れる高分子材料を使用することができず使用できる材料が制限される等の課題が残っている。
一方、溶融成形法を用いた導電性樹脂材料の製造方法は、導電性材料を分散させた高分子材料を溶融押出や延伸によりフィルム状に成形する方法である。溶融成形法は、溶液キャスト法に比べて製造工程が比較的簡便でありかつ製造コストが安価であるという利点があるが、体積抵抗値10Ω・cm以下の高い導電性を得るために導電性材料を大量に添加する必要があり、ドローレゾナンス等により薄膜フィルムを得ることが困難である。
これに対して、特許文献2では、導電性フィラーの配合量が少なくても、高い導電性を示す導電性フィルムを押出し法にて連続的に製造する目的で、中間層に導電性材料を添加したポリアミド樹脂を使用し、ポリアミド樹脂に対して剥離性が良好なポリオレフィン樹脂を表裏層に用いた2種3層積層フィルムとし製膜後に表裏層を剥離し中間層のみを導電性フィルムとし、またドラフト比とリップギャップLの比率D/Lを11以下とする方法を開示しており、その実施例において体積抵抗値が10~10Ω・cm程度かつ厚み25~50μmの導電性フィルムを得ている。しかしながら、この方法では積層構成であるため各層の厚み制御が困難であることや表裏層の剥離時に中間層の表面が荒れる可能性がある。
また、特許文献3では、結晶性樹脂とカーボン系フィラーとを含み、実質的にエラストマーを含まない導電性フィルムを開示しており、その製造方法として、延伸又は圧延処理を行う工程の温度を(結晶性材料の融点-40℃)~(結晶性材料の融点-5℃)とする方法を開示しており、その実施例において体積抵抗値が10~10Ω・cm程度かつ厚み35~120μmの導電性フィルムを得ている。しかしながら、この方法ではカーボン系フィラーの添加量が少ない場合に、導電性フィルムをより薄膜でかつ強度の高いフィルムとするため延伸倍率を高くすると、体積抵抗値が高くなる可能性があり、望ましい高導電性フィルムを得ることができない可能性がある。
特開2005-243438号公報 特許第5975777号公報 特開2012-204292号公報
したがって、本発明が解決しようとする課題は、高い導電性を有し、かつ製膜後の加工過程で使用するにあたり十分な引張破断伸びを有する導電フィルムであって、延伸加工したときに高い導電性を維持しながら、薄膜で良好な引張特性を示す導電フィルムを提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、結晶性オレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーと導電性フィラーとを含む樹脂組成物からなる導電フィルムが、高い導電性を有し、かつ製膜後の加工過程で使用するにあたり十分な引張破断伸びを有し、このフィルムを延伸加工すると、高い導電性を維持しながら、薄膜で良好な引張特性を示すことを見出した。すなわち、本発明は下記のとおりである。
<1>結晶性オレフィン系樹脂(A)と熱可塑性エラストマー(B)と導電性フィラー(C)とを含み、結晶融解熱量(ΔHm)が50~85J/gである樹脂組成物からなり、引張破断伸びが6%以上であり、体積抵抗値が15Ω・cm以下である、導電フィルム。
<2>前記結晶性オレフィン系樹脂(A)がホモポリプロピレン樹脂である、上記<1>に記載の導電フィルム。
<3>前記熱可塑性エラストマー(B)がオレフィン系エラストマーである、上記<1>又は<2>に記載の導電フィルム。
<4>前記導電性フィラー(C)がカーボンブラックである、上記<1>~<3>のいずれか1項に記載の導電フィルム。
<5>上記<1>~<4>のいずれか1項に記載の導電フィルムを延伸してなる導電延伸フィルム。
<6>体積抵抗値が500Ω・cm以下である、上記<5>に記載の導電延伸フィルム。
<7>上記<1>~<4>のいずれか1項に記載の導電フィルム又は上記<5>又は<6>に記載の導電延伸フィルムを備えた集電体。
<8>上記<7>に記載の集電体を備えた二次電池。
本発明の導電フィルムは、高い導電性を有し、かつ製膜後の加工過程で使用するにあたり十分な引張破断伸びを有する。この導電フィルムを延伸加工して得られる導電延伸フィルムは、高い導電性を維持しながら、薄膜であり、かつ良好な引張特性を示す。
以下、本発明を詳しく説明する。ただし、本発明の内容が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
[導電フィルム]
本発明の導電フィルムは、結晶性オレフィン系樹脂(A)と熱可塑性エラストマー(B)と導電性フィラー(C)とを含み、結晶融解熱量(ΔHm)が50~85J/gである樹脂組成物からなり、引張破断伸びが6%以上であり、かつ体積抵抗値が15Ω・cm以下である。本発明の導電フィルムは、好ましくは未延伸導電フィルムである。
本発明の導電フィルムを延伸加工して得られる導電延伸フィルムが、高い導電性を有し、薄膜であり、かつ良好な引張特性を示す理由は必ずしも定かではないが、以下のように推定される。
特許文献3に開示された技術では、押出し成形シートの導電性は優れるものの、これを延伸して得られる導電性フィルムは導電性が低下し、所望の導電性を有する導電性フィルムを得ることができない。これは、樹脂中に分散している導電性フィラーが形成する導電ネットワーク構造が、延伸することによって破壊されるためと考えられる。すなわち、導電性フィラーがカーボンブラック等のカーボン系フィラーである場合、カーボン系フィラーは凝集しやすく、アグリゲートやストラクチャーと呼ばれる一次粒子が凝集した構造を形成する。樹脂中にカーボン系フィラーを分散させた場合、ストラクチャー同士が樹脂中で接触することで導電ネットワーク構造ができ導電性を示す。しかし、延伸するとストラクチャー間に間隙が生じ、導電ネットワーク構造が破壊されるため、望ましい導電性を示すことができないと考えられる。
これに対して、本発明の導電フィルムでは、マトリックス樹脂となる結晶性オレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーとが非相溶であると海島構造を形成する。本発明においては良好な引張特性を必要とすることから、延伸加工により良好な引張強度を得ることができる結晶性オレフィン系樹脂の比率を熱可塑性エラストマーよりも多くすることが好ましい。この場合、海島構造において結晶性オレフィン系樹脂が海、熱可塑性エラストマーが島となる。本発明のように結晶性オレフィン系樹脂及び熱可塑性エラストマーの組み合わせであると、導電性フィラーは熱可塑性エラストマー中に偏在する。すなわち、海島構造の島部分に導電性フィラーが存在することになり、マトリックス樹脂が1成分である場合と比較して、延伸しても導電ネットワーク構造が破壊されにくく、高い導電性を維持することができると推定される。
(樹脂組成物)
本発明の導電フィルムを構成する樹脂組成物は、結晶性オレフィン系樹脂(A)と熱可塑性エラストマー(B)と導電性フィラー(C)とを含む。
(結晶性オレフィン系樹脂(A))
結晶性オレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン等の炭素数2~8程度のα-オレフィンの単独重合体;それらのα-オレフィンと、エチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン等の炭素数2~12程度の他のα-オレフィンや、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、塩化ビニル等のビニル化合物等との共重合体;前記α-オレフィンの単独重合体や共重合体に前記ビニル化合物等をグラフトさせたグラフト重合体等が挙げられる。これらの中でも、機械特性及び成形性の観点から、好ましくはポリプロピレン系樹脂又はポリエチレン系樹脂であり、より好ましくはポリプロピレン系樹脂である。
ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体(ホモポリプロピレン樹脂)であってもよく、プロピレンと炭素数2~20のオレフィンとの共重合体であってもよい。プロピレンと共重合されるオレフィンは1種類でも2種類以上用いてもよい。プロピレン共重合体の具体例としては、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体等が挙げられる。これらの中でも、機械特性及び成形性の観点から、好ましくはホモポリプロピレン樹脂である。
ポリエチレン系樹脂は、エチレンの単独重合体であってもよく、エチレンとα-オレフィンやビニルモノマー等のコモノマー成分と共重合されていてもよい。エチレン共重合体の具体例としては、エチレン-1-ブテン共重合体、エチレン-4-メチル-1-ペンテン共重合体、エチレン-1-ヘキセン共重合体、エチレン-1-オクテン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタアクリル酸メチル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体等が挙げられる。
結晶性オレフィン系樹脂の分子量の指標であるメルトマスフローレート(MFR)については特に制限を設けないが、混練、ラミネート成形等が安定して行われるものであることが必要である。
ポリプロピレン系樹脂のMFR(230℃、21.2N荷重)は、好ましくは1g/10min以上、より好ましくは5g/10min以上、更に好ましくは10g/10min以上であり、そして、好ましくは100g/10min以下、より好ましくは75g/10min以下、更に好ましくは50g/10min以下である。
ポリエチレン系樹脂のMFR(190℃、21.2N荷重)は、好ましくは1g/10min以上、より好ましくは2g/10min以上、更に好ましくは5g/10min以上であり、そして、好ましくは50g/10min以下、より好ましくは35g/10min以下、更に好ましくは25g/10min以下である。
ここでMFRは、JIS K7210(1999)の「プラスチック-熱可塑性プラスチックのメルトフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に準拠して測定された値である。
結晶性オレフィン系樹脂の製造方法は特に限定されるものではなく、公知の重合方法、例えば、ラジカル重合法や、チーグラー触媒、メタロセン触媒、フィリップス触媒等を用いたイオン重合法を採用することができる。
(熱可塑性エラストマー(B))
熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等を挙げることができ、これらのうちの一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
オレフィン系エラストマーとしては、例えば、ポリプロピレンとエチレン-プロピレン共重合体ゴムとのブレンド物又はその架橋物、ポリエチレンとエチレン-プロピレン共重合体ゴムとのブレンド物又はその架橋物、ポリプロピレンとエチレン-プロピレン-非共役ポリエン共重合体ゴムとのブレンド物又はその架橋物、ポリエチレンとエチレン-プロピレン-非共役ポリエン共重合体ゴムとのブレンド物又はその架橋物、ポリプロピレンとエチレン-1-オクテン共重合体ゴムとのブレンド物又はその架橋物、ポリエチレンとエチレン-1-オクテン共重合体ゴムとのブレンド物又はその架橋物等が挙げられる。架橋は公知の方法で行うことができるが、その中でも有機過酸化物による架橋が好ましい。
オレフィン系エラストマーの市販品としては、例えば、「ミラストマー」、「タフマー」(三井化学株式会社製)、「サントプレーン」、「ビスタマックス」(エクソンモービル・ジャパン合同会社製)、「エスプレンEPDM」、「エスポレックスTPE」(住友化学株式会社製)、「エンゲージ」(ダウケミカル社製)、「サーモラン」(三菱ケミカル株式会社製)、「プライムTPO」(株式会社プライムポリマー製)等が挙げられる。
スチレン系エラストマーとしては、例えば、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体(SIS)、スチレン-イソプレン・ブタジエン-スチレン共重合体(SIBS)、スチレン-エチレン・ブテン-スチレン共重合体(SEBS)、スチレン-エチレン・プロピレン-スチレン共重合体(SEPS)、スチレン-エチレン・エチレン・プロピレン-スチレン共重合体(SEEPS)、部分水添スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBBS)等が挙げられる。
スチレン系エラストマーの市販品としては、例えば、「タフテック」(旭化成株式会社製)、「エラストマーAR」(アロン化成株式会社製)、「セプトン」(株式会社クラレ製)、「クレイトン」(クレイトンポリマージャパン社製)、「JSR TR」(JSR株式会社製)などが挙げられる。
熱可塑性エラストマー(B)としては、結晶性オレフィン系樹脂(A)中に微細に分散させる観点から、オレフィン系エラストマーが好ましい。
オレフィン系エラストマーは、スチレン系エラストマーに比べて結晶性オレフィン系樹脂(A)に対する相溶性が高い。そのため、オレフィン系エラストマーからなる島相は、スチレン系エラストマーからなる島相に比べて、結晶性オレフィン系樹脂(A)からなる海相中で微細に分散することができる。本発明においては、分散性と導電性とは関連し、微細に分散する方が高い導電性が得られると推測している。
本発明の導電フィルムを構成する樹脂組成物において、結晶性オレフィン系樹脂(A)及び熱可塑性エラストマー(B)の質量比(結晶性オレフィン系樹脂(A)/熱可塑性エラストマー(B))は、機械強度の観点及び海島構造による導電ネットワーク構造の形成の観点から、好ましくは55/45以上、より好ましくは65/35以上であり、そして、好ましくは80/20以下、より好ましくは75/25以下である。本発明においては良好な引張特性を必要とすることから、延伸加工により良好な引張強度を得ることができる結晶性オレフィン系樹脂(A)の比率を熱可塑性エラストマー(B)よりも多くすることが好ましい。その一方で、熱可塑性エラストマー(B)の量が少なすぎると、海島構造の島部分が少なくなるため、延伸によって島同士の距離が離れて導電ネットワーク構造が破壊されやすくなり、高い導電性を維持することが困難になると考えられる。
本発明の導電フィルムを構成する樹脂組成物は、高分子材料として結晶性オレフィン系樹脂(A)及び熱可塑性エラストマー(B)を含む。高分子材料における結晶性オレフィン系樹脂(A)及び熱可塑性エラストマー(B)の合計の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは100質量%である。
高分子材料としては、本発明の効果を阻害しない範囲内であれば、結晶性オレフィン系樹脂(A)及び熱可塑性エラストマー(B)以外の熱可塑性樹脂を含んでもよい。そのような熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂(結晶性オレフィン系樹脂(A)を除く)、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
(導電性フィラー(C))
導電性フィラーは、カーボン系フィラーであることが好ましい。カーボン系フィラーとしては、黒鉛粉、膨張黒鉛及びカーボンブラック等の粒子状炭素系材料、カーボン繊維及びカーボンナノファイバー等の繊維状(微細な繊維を含む)炭素系材料を挙げることができ、これらのうちの一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
黒鉛粉には、人造黒鉛や天然黒鉛等が含まれる。膨張黒鉛は、黒鉛粉を酸等で化学処理することによって製造されたものであり、これを高温で加熱処理した膨張化黒鉛も含まれる。カーボンブラックは、オイルファーネス法(液状炭化水素を部分燃焼反応で生成する方法)やサーマル法(天然ガスや液状炭化水素の熱分解により生成する方法)等により製造されたものが含まれる。また、カーボン繊維は、ピッチ系カーボン繊維やPAN系カーボン繊維等がこれに含まれ、長繊維、短繊維いずれも含まれる。
カーボンナノファイバーは、繊維径が好ましくは0.001~0.5μm、より好ましくは0.003~0.2μmであり、繊維長が好ましくは1~100μm、より好ましくは1~30μmのもので、いわゆるカーボンナノチューブが含まれる。カーボンナノファイバーには、炭素のチューブ構造が単一チューブであるシングル型、チューブ構造が二重のチューブであるダブル型、及びチューブ構造が三重以上となっているマルチ型構造を含み、さらに、チューブの一方の端が閉じて他方の端が開いているナノホーン型、一方の端の開口が他方の端の開口よりも大きいカップ型等の形態も含まれる。
導電性フィラー(C)としては、コスト及び導電性の観点から、カーボンブラックが好ましい。
本発明のフィルムを構成する樹脂組成物において、高分子材料に対する導電性フィラー(C)の質量比(導電性フィラー(C)/高分子材料)は、導電性の観点から、好ましくは5/95以上、より好ましくは10/90以上、更に好ましくは12/88以上、より更に好ましくは15/85以上であり、そして、フィルム成形性の観点から、好ましくは25/75以下、より好ましくは20/80以下である。導電性の観点からは、導電性フィラー(C)を多く含有することが好ましいが、導電性フィラー(C)が多すぎるとフィルムの機械強度が低下してフィルムが脆くなってしまい、フィルムを延伸して薄くすることが困難になる。
(添加剤)
本発明のフィルムを構成する樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内であれば、添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、核剤、中和剤、滑剤、ブロッキング防止剤、分散剤、帯電防止剤、可塑剤、難燃剤、架橋剤、着色剤等が挙げられる。
(樹脂組成物の物性)
本発明の導電フィルムを構成する樹脂組成物の結晶融解熱量(ΔHm)は、50~85J/gである。結晶融解熱量(ΔHm)が上記範囲内であれば、フィルム成形性に優れ、フィルムを延伸して薄くすることができる。樹脂組成物の結晶融解熱量(ΔHm)は、樹脂組成物中の熱可塑性エラストマー(B)の含有量を変更することにより適宜調節することができる。すなわち、結晶性オレフィン系樹脂(A)の高い結晶性を熱可塑性エラストマー(B)によって緩和することで樹脂組成物の結晶融解熱量(ΔHm)を上記範囲内とすることができ、フィルム成形性を向上することができる。樹脂組成物の結晶融解熱量(ΔHm)は、フィルム成形性の観点から、好ましくは80J/g以下、より好ましくは75J/g以下であり、そして、機械強度の観点から、好ましくは55J/g以上、より好ましくは58J/g以上である。なお、結晶融解熱量(ΔHm)は、示差走査型熱量測定(DSC)によって測定される。
(導電フィルムの製造方法)
本発明の導電フィルムは、使用する原料を混合し、得られた混合物を押出混練して製膜することで製造することができる。それぞれの原料を混合する際、これらの原料を、例えばタンブラーミキサー、オムニミキサー等の混合機でプレブレンドした後、必要に応じて、得られた混合物を押出混練して、調製することができる。また、それぞれの原料を事前にコンパウンドしてもよい。それぞれの原料を、それぞれ別々に、もしくは混合された状態で、オーブンや真空乾燥機などで加熱乾燥してもよい。乾燥の際には、成分の変質や融着が起こらない条件とすることが好ましい。
混錬する際に用いられる機械は特に限定されない。例えば単軸押出機、二軸押出機、多軸押出機等、公知の押出機を用いることができる。また、設備構造及び必要性に応じて、ベント口に減圧機を接続し、水分や分低分子量物質を除去してもよい。上記のように混練した樹脂混合物を加熱溶融する方法として、例えばTダイ法、プレス法、カレンダー法、インフレーション法等を挙げることができ、特に限定されるものではない。中でもTダイ法を採用するのが好ましい。実用的には、Tダイから材料樹脂を溶融押出してキャストロールによりキャスト成形するのが好ましい。
シート状に製膜する具体的方法としてTダイ法を採用する場合、Tダイから押出されたシート状の溶融樹脂を、回転するキャストロール(チルロール、キャストドラム)上に密着させながら引き取り、シート状物に成形する方法を挙げることができる。キャストロールにシート状物を密着させるために、タッチロール、エアナイフ、電気密着装置等をキャストロールに付けてもよい。
Tダイキャスト法によって導電フィルムを作製する方法としては、前記の結晶性オレフィン系樹脂(A)、熱可塑性エラストマー(B)及び導電性フィラー(C)、並びに必要に応じてその他の樹脂や添加剤等の原料を直接混合し、押出機に投入して溶融し、Tダイからキャストロール上に押し出して冷却しながら成形する方法や、前記原料を二軸押出機を用いて溶融混合し、ストランド形状に押出してペレットを作製した後、このペレットを押出機に投入して溶融し、Tダイからキャストロール上に押し出して冷却しながら成形する方法を挙げることができる。
Tダイからキャストロール上に押し出して冷却しながら無延伸フィルムを成形する際の溶融押出温度は、好ましくは200℃以上、より好ましくは220℃以上、更に好ましくは240℃以上であり、そして、好ましくは340℃以下、より好ましくは320℃以下、更に好ましくは300℃以下である。また、キャストロールの温度は、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上、更に好ましくは30℃以上であり、そして、好ましくは170℃以下、より好ましくは150℃以下、更に好ましくは130℃以下である。
(導電フィルムの厚み)
導電フィルムにおいて、両端部を除いた有効部分の厚みは10~1000μmであるのが好ましく、中でも25μm以上或いは800μm以下、その中でも50μm以上或いは600μm以下であるのが更に好ましい。機械強度の観点から導電フィルムの厚さが10μm以上であればよく、導電フィルムを延伸加工する場合厚さが1000μm以下であれば、シートが剛直になり過ぎて延伸を行い難くなるのを防ぐことができるばかりか、延伸後のシートの厚みを薄くすることができる。
(導電フィルムの物性)
本発明の導電フィルムの体積抵抗値は、15Ω・cm以下である。本発明の導電フィルムは金属箔代替材料としての用途を目指しており、体積抵抗値が低く導電性に優れることが好ましい。このような観点から、本発明の導電フィルムの体積抵抗値は、好ましくは12Ω・cm以下、より好ましくは10Ω・cm以下、更に好ましくは5Ω・cm以下である。
また、本発明の導電フィルムの引張破断伸びは、機械強度向上の観点から、好ましくは6%以上、より好ましくは7%以上、更に好ましくは8%以上である。
[導電延伸フィルム]
本発明の導電延伸フィルムは、本発明の導電フィルムを延伸してなる。
本発明の導電延伸フィルムは、高い導電性を有し、薄膜であり、かつ良好な引張特性を示す。上述したように、本発明の導電フィルムでは、マトリックス樹脂となる結晶性オレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーとが形成する海島構造において、結晶性オレフィン系樹脂が海、熱可塑性エラストマーが島となり、海島構造の島部分に導電性フィラーが存在すると推定される。そのため、本発明の導電フィルムを延伸してなる本発明の導電延伸フィルムは、マトリックス樹脂が1成分である場合と比較して、延伸しても導電ネットワーク構造が破壊されにくく、高い導電性を維持することができると推定される。
(導電延伸フィルムの製造方法)
本発明の導電延伸フィルムは、本発明の導電フィルムを延伸成形することで製造することができる。延伸成形方法としては、ロール延伸法、テンター延伸法等により延伸成形する方法や、インフレーション法、チューブラー法等により、溶融押出及び延伸成形を一体的に行う方法を挙げることができ、特に限定されるものではない。延伸倍率を制御し均一な厚みのフィルムを得ることができるため、ロール延伸法及びテンター延伸法を組み合わせて製造する方法を採用することが好ましい。
延伸成形は一軸延伸成形、二軸延伸成形のいずれでもよいが、薄膜化して機械強度を向上させる観点から、二軸延伸成形を行うことが好ましい。延伸方法はロール延伸法でもテンター延伸法でもよく、両者を組み合わせて二軸延伸成形を行ってもよい。
二軸延伸成形を行う場合、より具体的には、本発明の導電フィルム(未延伸フィルム)を、フィルムの流れ方向(縦方向、MD)、及びこれと直角な方向(横方向、TD)で、縦横二軸方向に延伸する。二軸延伸の方法としては、逐次二軸延伸、同時二軸延伸のいずれを用いてもよい。
一般に、逐次二軸延伸は設備が簡便で、生産性が高いという利点があるが、結晶性樹脂の場合、縦方向に延伸した際に配向結晶化が進んでしまい、その後の横方向への延伸が困難となる場合があるため、結晶化速度が速い樹脂にはあまり向かないという欠点がある。一方、同時二軸延伸は縦横方向に均一に延伸されたフィルムが得られるが、設備が大型化しコストがかかるという欠点がある。従って、樹脂の特性を鑑みてどちらかを選択する必要があるが、本発明の導電フィルムはどちらの延伸法を用いても問題なく延伸が可能である。
延伸成形を行う場合、延伸倍率としては、縦方向に1.5倍~10倍及び/又は横方向に1.5倍~10倍延伸することが好ましい。延伸倍率が1.5倍以上であれば、延伸によるフィルムの機械強度の向上効果が十分に発揮される。また、延伸倍率が10倍以下であれば、破断やネッキングといった不具合が生じにくくなり、生産性が低下するおそれが小さい。
また、延伸成形を行う場合の延伸温度としては、縦方向については、120℃以上、250℃以下が好ましく、125℃以上、230℃以下が更に好ましく、130℃以上、200℃以下が特に好ましい。一方、横方向については、125℃以上、260℃以下が好ましく、130℃以上、240℃以下が更に好ましく、140℃以上、210℃以下が特に好ましい。
なお、逐次二軸延伸の場合、縦方向に配向したフィルムは、未延伸フィルムに比べてガラス転移温度が高くなるため、横延伸を行う際は縦延伸時の延伸温度よりも高い温度で行うことが一般的である。
(導電延伸フィルムの厚み)
本発明の導電延伸フィルムの厚みは、使用時における小型化・軽量化の観点から、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、更に好ましくは15μm以下である。下限は特に限定されないが、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは5μm以上である。
(導電延伸フィルムの物性)
本発明の導電延伸フィルムの体積抵抗値は、好ましくは500Ω・cm以下である。本発明の導電延伸フィルムは金属箔代替材料としての用途を目指しており、体積抵抗値が低く導電性に優れることが好ましい。なお、縦10cm、横10cm、厚み10μmのサイズと仮定した場合、導電性フィラーがカーボンブラック等のカーボン系フィラーである導電延伸フィルムの体積抵抗値は170Ω・cmであると金属銅箔と同程度の抵抗を示すと推測している。このような観点から、本発明の導電延伸フィルムの体積抵抗値は、より好ましくは250Ω・cm以下、更に好ましくは150Ω・cm以下、更に好ましくは100Ω・cm以下、更に好ましくは50Ω・cm以下である。
本発明の導電延伸フィルムの延伸方向の引張強度は、機械強度向上の観点から、好ましくは20MPa以上、より好ましくは40MPa以上、更に好ましくは50MPa以上である。
また、本発明の導電延伸フィルムの延伸方向の引張破断伸びは、機械強度向上の観点から、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上、更に好ましくは20%以上である。
本発明の導電フィルム及び導電延伸フィルムは、各種装置の導電材料として用いることができる。本発明の導電フィルム及び導電延伸フィルムの好ましい用途としては、バイポーラ電池(双極型電池)の集電体及び当該集電体を有する二次電池(特にリチウムイオン二次電池)等が挙げられる。バイポーラ全固体電池における導電材料を金属箔から本発明の導電延伸フィルムを用いた樹脂集電体に置き換えることでバイポーラ全固体電池を軽量化することができる。
<用語の説明>
一般的に「シート」とは、日本工業規格(JIS)における定義上、薄く、一般にその厚さが長さと幅の割には小さく平らな製品をいい、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(JIS K6900)。例えば厚さに関して言えば、狭義では100μm以上のものをシートと称し、100μm未満のものをフィルムと称すことがある。しかし、シートとフィルムとの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとし、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとする。
本発明において、「X~Y」(X,Yは任意の数字)と表現した場合、特に断らない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含する。また、「X以上」(Xは任意の数字)と表現した場合、特に断らない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、特に断らない限り「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
次に、実施例及び比較例を示し、本発明の導電フィルム及び導電延伸フィルムについて詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、フィルムの引き取り(流れ)方向を「MD」、その直角方向を「TD」と記載する。
(結晶性オレフィン系樹脂(A))
・A-1:ホモポリプロピレン(MFR:1.9g/10分、Mn:1.10E05、Mw/Mn:4.43)
(熱可塑性エラストマー(B))
・B-1:オレフィン系熱可塑性エラストマー(エチレン-プロピレン共重合体、MFR:1.5g/10分、組成比:プロピレン77wt%、エチレン23wt%)
(導電性フィラー(C))
・C-1:導電性カーボンブラック
「ケッチェンブラックEC300J」(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、ジブチルフタレート(DBP)吸油量:360cm/100g)
(樹脂組成物の結晶融解熱量(ΔHm))
パーキンエルマー社製「DSC-7」を用いて、JIS K7121及びJIS K7122に準じて、測定サンプルを10℃/分の昇温速度で250℃まで昇温し、1分間保持した後、10℃/分の降温速度で-40℃まで冷却し、再度10℃/分の昇温速度で250℃まで昇温し、得られたデータに基づき結晶融解熱量(ΔHm)を求めた。
(シート及びフィルムの厚み)
得られた未延伸シート及び延伸フィルムを1/1000mmのダイアルゲージにて、面内を不特定に5箇所測定しその平均を厚みとした。
(シート及びフィルムの体積抵抗値)
得られた未延伸シート及び延伸フィルムの体積抵抗値は、JIS K7194に準じて、以下のように測定し、単位はΩ・cmで表した。
測定装置:「Loresta EP MCP-T360」(株式会社三菱ケミカルアナリテック製)
測定方式:四端子四探針法(ASPタイププローブ)
測定印可電流:100mA
(未延伸シートの引張強度)
得られた未延伸シートの引張強度は、JIS K7161に準じて、TD又はMDが長軸となるように幅10mm、長さ150mmの短冊状に切り出し、室温下にて200mm/minの条件でシートが破壊されるまで測定した。これをTD及びMDが長軸となるそれぞれのシートについて5回測定し、その平均を引張強度とした。
(延伸フィルムの引張強度)
得られた延伸フィルムの引張強度は、JIS K7161に準じて、延伸フィルムの延伸方向であるTDが長軸となるように幅10mm、長さ150mmの短冊状に切り出し、室温下にて200mm/minの条件でフィルムが破壊されるまで測定した。これを5回測定し、その平均を引張強度とした。
(未延伸シートの引張破断伸び)
得られた未延伸シートの引張破断伸びは、JIS K7161に準じて、TD又はMDが長軸となるように幅10mm、長さ150mmの短冊状に切り出し、室温下にて200mm/minの条件でシートが破壊されるまで測定した。シート破壊時の引張破壊応力に対応する引張ひずみが引張破断伸びである。これをTD及びMDが長軸となるそれぞれのシートについて5回測定し、その平均を引張破断伸びとした。
(延伸フィルムの引張破断伸び)
得られた延伸フィルムの引張強度は、JIS K7161に準じて、延伸フィルムの延伸方向であるTDが長軸となるように幅10mm、長さ150mmの短冊状に切り出し、室温下にて200mm/minの条件でフィルムが破壊されるまで測定した。フィルム破壊時の引張破壊応力に対応する引張ひずみが引張破断伸びである。これを5回測定し、その平均を引張破断伸びとした。
実施例1
結晶性オレフィン系樹脂(A-1)60質量%、オレフィン系熱可塑性エラストマー(B-1)25質量%及び導電性フィラー(C-1)15質量%を配合し、2軸押出機に投入し、設定温度240℃で溶融混合後、リップギャップ1mmのTダイで押出成形し、120℃のキャストロールに導いて、厚み約250μmの未延伸シートを得た。このシートの体積抵抗値は4.10Ω・cm、引張強度27MPa、引張破断伸びは10%であった。
次いで、クリップ式テンター設備にて槽内温度150℃にてTDを6倍に延伸し、厚み約43μmの延伸フィルムを得た。このフィルムの体積抵抗値は21.31Ω・cmであり、引張強度156MPa、引張破断伸びは45%であった。
実施例2
実施例1にて得た未延伸シートをクリップ式テンター設備にて槽内温度150℃にてTDを7倍に延伸し、厚み約35μmの延伸フィルムを得た。このフィルムの体積抵抗値は29.04Ω・cmであり、引張強度134MPa、引張破断伸びは25%であった。
実施例3
結晶性オレフィン系樹脂(A-1)50質量%、オレフィン系熱可塑性エラストマー(B-1)37.5質量%及び導電性フィラー(C-1)12.5質量%を配合し、2軸押出機に投入し、設定温度240℃で溶融混合後、リップギャップ1mmのTダイで押出成形し、120℃のキャストロールに導いて、厚み約100μmの未延伸シートを得た。このシートの体積抵抗値は10.55Ω・cm、引張強度22MPa、引張破断伸びは65%であった。
次いで、クリップ式テンター設備にて槽内温度150℃にてTDを6倍に延伸し、厚み約17μmの延伸フィルムを得た。このフィルムの体積抵抗値は82.50Ω・cmであり、引張強度101MPa、引張破断伸びは18%であった。
実施例4
実施例3にて得た未延伸シートをクリップ式テンター設備にて槽内温度150℃にてTDを7倍に延伸し、厚み約15μmの延伸フィルムを得た。このフィルムの体積抵抗値は135.15Ω・cmであり、引張強度147MPa、引張破断伸びは19%であった。
比較例1
結晶性オレフィン系樹脂(A-1)85質量%及び導電性フィラー(C-1)15質量%を配合し、2軸押出機に投入し、設定温度250℃で溶融混合後、リップギャップ1mmのTダイで押出成形し、120℃のキャストロールに導いて、厚み約150μmの未延伸シートを得た。このシートの体積抵抗値は5.23Ω・cm、引張強度37MPa、引張破断伸びは5%であった。
次いで、クリップ式テンター設備にて槽内温度150℃にてTDを6倍に延伸し、厚み約25μmの延伸フィルムを得た。このフィルムの体積抵抗値は651.20Ω・cmであり、引張強度191MPa、引張破断伸びは31%であった。
比較例2
比較例1にて得た未延伸シートをクリップ式テンター設備にて槽内温度150℃にてTDを7倍に延伸し、厚み約22μmの延伸フィルムを得た。このフィルムの体積抵抗値は624.20Ω・cmであり、引張強度265MPa、引張破断伸びは19%であった。
比較例3
結晶性オレフィン系樹脂(A-1)87.5質量%及び導電性フィラー(C-1)12.5質量%を配合し、2軸押出機に投入し、設定温度250℃で溶融混合後、リップギャップ1mmのTダイで押出成形し、120℃のキャストロールに導いて、厚み約100μmの未延伸シートを得た。このシートの体積抵抗値は12.39Ω・cm、引張強度44MPa、引張破断伸びは4%であった。
次いで、クリップ式テンター設備にて槽内温度150℃にてTDを6倍に延伸し、厚み約17μmの延伸フィルムを得た。このフィルムの体積抵抗値は高くレンジオーバーのためロレスターで測定することはできなかった。また、引張強度141MPa、引張破断伸びは36%であった。
Figure 0007187800000001
表1の結果から明らかなように、熱可塑性エラストマー(B)を含まない比較例1~3では、未延伸シートの状態では体積抵抗値が低く、すなわち高い導電性を示したが、このシートを延伸して得られた延伸フィルムでは、体積抵抗値が著しく上昇し、導電性に劣るものであった。これに対し、本発明の導電フィルム(未延伸シート)は、高い導電性を有し、かつ製膜後の加工過程で使用するにあたり十分な引張破断伸びを有しており、そして、この導電フィルムを延伸加工して得られる導電延伸フィルム(延伸フィルム)は、良好な高い導電性を示しながら、薄膜であり、かつ良好な引張特性を示した。
本発明の導電フィルムは、高い導電性を有し、かつ製膜後の加工過程で使用するにあたり十分な引張破断伸びを有する。この導電フィルムを延伸加工して得られる導電延伸フィルムは、高い導電性を維持しながら、薄膜であり、かつ良好な引張特性を示すため、導電性が要求される分野にて使用することができ、金属箔代替材料として有用である。本発明の導電フィルム及び導電延伸フィルムは、各種装置の導電材料として用いることができる。本発明の導電フィルム及び導電延伸フィルムの好ましい用途としては、バイポーラ電池(双極型電池)の集電体及び当該集電体を有する二次電池(特にリチウムイオン二次電池)等が挙げられる。バイポーラ全固体電池における導電材料を金属箔から本発明の導電延伸フィルムを用いた樹脂集電体に置き換えることでバイポーラ全固体電池を軽量化することができる。

Claims (8)

  1. 導電フィルムを延伸してなる導電延伸フィルムであって、
    前記導電フィルムが、結晶性オレフィン系樹脂(A)と熱可塑性エラストマー(B)と導電性フィラー(C)とを含み、前記結晶性オレフィン系樹脂(A)の質量比率が前記熱可塑性エラストマー(B)の質量比率よりも高く、結晶融解熱量(ΔHm)が50~85J/gである樹脂組成物からなり、引張破断伸びが6%以上であり、体積抵抗値が15Ω・cm以下であ
    該導電延伸フィルムの体積抵抗値が500Ω・cm以下である、
    導電延伸フィルム
  2. 前記結晶性オレフィン系樹脂(A)がホモポリプロピレン樹脂である、請求項1に記載の導電延伸フィルム。
  3. 前記熱可塑性エラストマー(B)がオレフィン系エラストマーである、請求項1又は2に記載の導電延伸フィルム。
  4. 前記導電性フィラー(C)がカーボンブラックである、請求項1~3のいずれか1項に記載の導電延伸フィルム。
  5. 結晶性オレフィン系樹脂(A)及び熱可塑性エラストマー(B)の質量比(結晶性オレフィン系樹脂(A)/熱可塑性エラストマー(B))が55/45以上80/20以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の導電延伸フィルム。
  6. 高分子材料に対する導電性フィラー(C)の質量比(導電性フィラー(C)/高分子材料)が5/95以上25/75以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の導電延伸フィルム。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の導電延伸フィルムを備えた集電体。
  8. 請求項7に記載の集電体を備えた二次電池。
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