JP7186654B2 - 橋梁防炎装置および橋梁防炎装置の設置方法 - Google Patents
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Description
近年、橋梁での火災による被害を抑制する技術が開発されている。例えば、下段の橋梁で車両火災が生じた際に、上段の橋梁が火炎により損傷されることを防止するために、橋梁の下面から側面までを遮炎パネルで覆う構造が提案されている(特許文献1参照)。
このような特許文献1の橋梁防炎構造においては、下段の橋梁での車両火災のほか、沿線火災から橋梁を防護する効果も得られる。
なお、橋梁における防炎装置で考慮すべき点として、橋梁を通行する車両が火災を生じた際に、乗員が脱出できること、または乗員を救出できること、言いかえれば出入りを妨げないことが求められる。また、既存の橋梁に追加的に設置する場合など、通行の一時抑止状態を最小限にすることも求められる。
本発明の他の目的は、橋梁とその周囲との間で出入りを妨げない橋梁防炎装置および橋梁防炎装置の設置方法を提供することにある。
橋梁を通行する車両などに火災が生じた場合、遮蔽体により火炎が遮蔽され、沿線への火災拡大を防止できる。また、沿線に火災が生じた場合、遮蔽体により火炎が遮蔽され、橋梁を通行する車両などへの火災被害を防止できる。
このような本発明では、複数の遮蔽体ユニットを連結する際に、相互のラップ部を重ね合わせることで、内外の遮蔽性能を高めることができる。
なお、ラップ部を用いずに、例えば遮蔽体ユニットの端縁どうしを突き合わせ、接続したうえシールしてもよい。
このような本発明では、内側遮蔽体ユニットが外側遮蔽体ユニットの内側に収容可能であるため、互いに対向する端縁どうしを重ね合わせてラップ部を形成することができる。
さらに、一連の遮蔽体とされている状態から、内側遮蔽体ユニットまたは外側遮蔽体ユニットの一方を移動させることで、遮蔽体の一部を開放することができ、そこから人の出入りが可能である。例えば、橋梁上での事故の際の救助用出入口や排煙用換気口とすることができ、定期点検などの際には保守用出入口とすることができる。
また、内側遮蔽体ユニットと外側遮蔽体ユニットとを重ね合わせた状態で、一括して輸送することもでき、作業の効率化が図れる。
このような本発明では、橋梁に常用される壁高欄を利用してガイド機構を設置することができ、空間を有効利用することができる。このうち、ガイド機構を壁高欄の外側に設置する場合、壁高欄の内側の通行スペースを減少させることがない。ガイド機構を壁高欄の内側に設置する場合、壁高欄の外側に設備スペースが張り出すことを防止できる。ガイド機構を壁高欄の上面に設置する場合、壁高欄の内外の設備スペースを省略できる。
このような本発明では、遮蔽体ユニットは、スライダを介してレールにガイドされ、橋梁に沿って移動可能である。スライダとしては、金属製のブロックを用いることができ、表面に低摩擦性のコーティング(4フッ化エチレン樹脂など)を形成することが好ましい。なお、ガイド機構としては、レールに摺動するスライダではなく、レールに転動する車輪を用いてもよい。
このような本発明では、遮蔽体ユニットを幅方向の中間位置で分割することで小型化が可能であり、搬送を容易にできる。とくに、幅方向の中央で2分割することで各側を同じ形状とすることができ、半割りのユニットを逆向きに向かい合わせて接続することで、橋梁の全幅にわたり掛け渡される遮蔽体ユニットを形成できる。
このような本発明では、開口部を保守用出入口あるいは救助用出入口や排煙用換気口として利用できる。幅方向に分割された遮蔽体ユニットを用いる場合、各側の間に開口部が残るように形成してもよい。
このような本発明では、前述した本発明の橋梁防炎装置の通りの効果を得ることができる。
図1において、橋梁1は、地盤上に高架支持されたものであり、所定間隔で配置された図示しない橋脚に掛け渡された主桁2を有する。主桁2には、コンクリート製の路面3が形成され、その両側には連続して壁高欄4が形成されている。
複数の遮蔽体ユニット20は、それぞれ橋梁1を幅方向に跨ぐように配置され、隣接する遮蔽体ユニット20どうしが連結されている。
連結された複数の遮蔽体ユニット20により、橋梁1に沿って一連の遮蔽体9が形成され、橋梁1の上面側は遮蔽体9で覆われている。
これらの遮蔽体9およびガイド機構10により、橋梁防炎装置8が構成される。
遮蔽体ユニット20を形成するパネルは、耐火性を有するとともに、透明または透光性であることが好ましい。全体が透明または透光性である必要はなく、一部が不透明であってもよい。
半割のユニット20L,20Rは、それぞれ片側分の屋根部21および壁部22を有する。半割のユニット20L,20Rは、製造工場で製造され、橋梁1の近傍の組立て現場まで搬送されたのち、一対を対向させて結合することで遮蔽体ユニット20とされる。
半割のユニット20L,20Rは、各々同じものを向かい合わせにしたものであってもよい。
外側遮蔽体ユニット20Aは、内側遮蔽体ユニット20Bよりも高さおよび幅が一回り大きく形成され、各々を同じ位置に配置した場合でも、外側遮蔽体ユニット20Aの内側形状と内側遮蔽体ユニット20Bの外側形状とが互いに干渉することがなく、内側遮蔽体ユニット20Bを外側遮蔽体ユニット20Aの内側に収容可能である。
外側のラップ部23Aの内面と内側のラップ部23Bの外面との隙間には、耐火性のシール材などが充填される。
開口部24としては、屋根部21に開けられた開口が用いられるほか、半割のユニット20L,20R(図2参照)を組立てる際に、屋根部21の棟部どうしの間隔を残したものとしてもよい(図1参照)。
開口部24としては、人が出入りできる程度の大きさを有することが好ましい。開口部24には、適宜ドアを設けて通常は閉じられていてもよい。開口部24のドアを透明パネルとしてもよい。
このような開口部24は、遮蔽体ユニット20が複数連結されることで、遮蔽体9とされた際には橋梁1の連続方向に所定間隔で配列されることになる。
図4において、ガイドウェイ11は、断面L型の鋼製部材またはコンクリート製部材で形成され、壁高欄4の底面に固定されかつ壁高欄4の外側面に沿って立ち上がっている。
ガイドウェイ11の底部上面には凹溝状のレール12(12A,12B)が設置されている。本実施形態では、断面E字状の部材を用いることで、レール12A,12Bが一体に形成されている。
レール12A,12Bは、それぞれ橋梁1に沿って連続しており、橋梁1の両側のレール12Aどうしの軌間およびレール12Bどうしの軌間は、長手方向のどの部位でも互いに一定とされている。
このうち、外側遮蔽体ユニット20Aの壁部22の下縁のスライダ13は、外側のレール12Aを走行可能である。また、内側遮蔽体ユニット20Bの壁部22の下縁のスライダ13は、内側のレール12Bを走行可能である。
これらのスライダ13、レール12およびガイドウェイ11により、ガイド機構10が構成されている。
すなわち、外側遮蔽体ユニット20Aは外側のレール12Aに沿って移動可能であり、内側遮蔽体ユニット20Bは内側のレール12Bに沿って移動可能である。そして、レール12A,12Bが分離されているため、内側遮蔽体ユニット20Bはレール12B上を移動することで、レール12Aで支持される外側遮蔽体ユニット20Aの内側を通り抜けることも可能である。
図5において、橋梁1に沿った所定位置に搬入位置31を設定する。搬入位置31は、橋梁1の橋梁防炎装置8の設置範囲内であって、周囲に組立て現場32が確保できる位置が好ましい。
組立て現場32には、工場生産された半割のユニット20L,20Rをトラックなどで搬入する荷揚げスペースを確保しておく。組立て現場32では、搬入されたユニット20L,20Rを順次組立てて遮蔽体ユニット20(外側遮蔽体ユニット20Aおよび内側遮蔽体ユニット20B)とする作業を行う。さらに、組み立てた遮蔽体ユニット20を吊り上げ、橋梁1に設置されたガイド機構10に載せ替えるためのクレーン33などが設置される。
橋梁防炎装置8の設置範囲にガイド機構10が設置できたら、組立て現場32で組み立てられた遮蔽体ユニット20(外側遮蔽体ユニット20Aおよび内側遮蔽体ユニット20B)を、順次ガイド機構10の搬入位置31に搬入してゆく。搬入時には、外側遮蔽体ユニット20Aおよび内側遮蔽体ユニット20Bが交互に搬送される。
レール12上を走行可能な状態になったら、ワイヤなどを介してウインチなどで駆動することで、遮蔽体ユニット20を橋梁1のガイド機構10に沿って移動させる。
ガイド機構10においては,最初に搬入された遮蔽体ユニット20が、設置位置34の奥側(図5右側)から順に配置され、続いて搬入される遮蔽体ユニット20は、既に設置位置34に設置されている遮蔽体ユニット20との連結位置まで移動され、橋梁1またはガイド機構10に対して固定される。
このような外側遮蔽体ユニット20Aおよび内側遮蔽体ユニット20Bを、交互に連結してゆくことで橋梁1に沿って一連の遮蔽体9が形成され、橋梁1の上面側を覆う橋梁防炎装置8が形成される。
本実施形態では、橋梁1の連続方向に配列された複数の遮蔽体ユニット20(外側遮蔽体ユニット20Aおよび内側遮蔽体ユニット20B)により一連の遮蔽体9が形成され、長い区間にわたって橋梁1の上面側を覆うことができる。遮蔽体ユニット20は、橋梁1の壁高欄4に設置されたガイド機構10で支持され、橋梁1を通行する車両などを妨げない。
橋梁1を通行する車両などに火災が生じた場合、遮蔽体9により火炎が遮蔽され、沿線への火災拡大を防止できる。また、橋梁1の沿線に火災が生じた場合、遮蔽体9により火炎が遮蔽され、橋梁1を通行する車両などへの火災被害を防止できる。
さらに、一連の遮蔽体9とされている状態から、内側遮蔽体ユニット20Bまたは外側遮蔽体ユニット20Aの一方を、固定を外してガイド機構10に沿って移動させることで、遮蔽体9の一部を開放し、内外を連通させることができ、そこから人の出入りが可能である。例えば、橋梁1上での事故の際の救助用出入口や排煙用換気口とすることができ、定期点検などの際には保守用出入口とすることができる。
また、内側遮蔽体ユニット20Bと外側遮蔽体ユニット20Aとを重ね合わせた状態で、一括して輸送することもでき、作業の効率化が図れる。
さらに、本実施形態では、外側遮蔽体ユニット20Aおよび内側遮蔽体ユニット20Bに応じた外側のレール12Aおよび内側のレール12Bを用いたので、内側遮蔽体ユニット20Bが外側遮蔽体ユニット20Aの内側を通り抜けること、あるいは外側遮蔽体ユニット20Aが内側遮蔽体ユニット20Bの外側を通り抜けることが支障なく行え、搬入時の作業の自由度を高めること、あるいは非常時の遮蔽体9の開放の範囲の拡大にも有効である。
このような遮蔽体ユニット20では、逆向きに向かい合わせて接続することで遮蔽体ユニット20となる半割のユニット20L,20Rを用いたので、搬送時に小型化が可能であり、搬送を容易にできる。そして、逆向きに向かい合わせて接続することで遮蔽体ユニット20を簡単に組み立てることができる。
このようなユニット20L,20Rは、同じ形状とすることができ、2種類を製造するのではなく、一方のみを共用化することができる。
ガイド機構10は、前述した壁高欄4の外側面に設置されるもの(図4参照)に限らず、壁高欄4の内側面または上面に構成してもよい。
このようなガイド機構10Cにおいても、スライダ13がレール12Cでガイドされ、遮蔽体ユニット20が橋梁1に沿って移動できる。そして、ガイド機構10Cが壁高欄4の内側に設置されるため、壁高欄4の外側への設備スペースの張り出しを防止できる。
このようなガイド機構10Dにおいても、スライダ13がレール12Dでガイドされ、遮蔽体ユニット20が橋梁1に沿って移動できる。そして、ガイド機構10Dが壁高欄4の上面に設置されるため、壁高欄4の内外の設備スペースを省略できる。
図8において、遮蔽体ユニット20Eは、円筒状の屋根部21Eと、その両側の壁部22Eとで形成されている。このような遮蔽体ユニット20Eを順次連結することで、図1の実施形態と同様な一連の遮蔽体9を形成することができる。
前述した図1の遮蔽体ユニット20では、遮蔽体ユニット20Eの隣接する部分にラップ部23A,23Bを形成して一部を重ね合わせたが、図8の遮蔽体ユニット20Eのように、各々の対向端縁を突き合わせてシールする構造としてもよい。一方、図8の遮蔽体ユニット20Eにおいて、端縁に沿って段差を形成することで、同じ形状(つまり外側遮蔽体ユニット20Aおよび内側遮蔽体ユニット20Bのような2種類を準備しない)でありながら、互いの辺縁にラップ部を形成することもできる。
Claims (9)
- 橋梁の壁高欄に沿って設置されたガイド機構と、前記ガイド機構に支持されかつ前記橋梁の上面側を覆い、火炎を遮断する複数の遮蔽体ユニットと、を有し、
前記遮蔽体ユニットは、前記橋梁の連続方向へ相互に連結されて、前記橋梁に沿った、火炎を遮断する遮蔽体を形成することを特徴とする橋梁防炎装置。 - 請求項1に記載された橋梁防炎装置において、
前記遮蔽体ユニットは、連結される他の前記遮蔽体ユニットと互いに重ね合わせ可能なラップ部を有することを特徴とする橋梁防炎装置。 - 請求項2に記載された橋梁防炎装置において、
前記遮蔽体ユニットとして、外側遮蔽体ユニットと、前記外側遮蔽体ユニットの内側に収容可能な内側遮蔽体ユニットとを有することを特徴とする橋梁防炎装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載された橋梁防炎装置において、
前記ガイド機構は、前記壁高欄の外側面、前記壁高欄の内側面、または前記壁高欄の上面に設置されることを特徴とする橋梁防炎装置。 - 請求項4に記載された橋梁防炎装置において、
前記ガイド機構は、前記橋梁に沿って設置されたレールと、前記遮蔽体ユニットに設置されて前記レールでガイドされるスライダと、を有することを特徴とする橋梁防炎装置。 - 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載された橋梁防炎装置において、
前記遮蔽体ユニットは、前記橋梁の幅方向の中間位置で分割可能であることを特徴とする橋梁防炎装置。 - 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載された橋梁防炎装置において、
前記遮蔽体ユニットは、前記遮蔽体ユニットの内外を連通する開口部を有することを特徴とする橋梁防炎装置。 - 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載された橋梁防炎装置において、
前記遮蔽体ユニットは、前記橋梁の連続方向に沿って移動することを特徴とする橋梁防炎装置。 - 橋梁の壁高欄に沿って設置されたガイド機構と、前記ガイド機構に支持されかつ前記橋梁の上面側を覆い、火炎を遮断する複数の遮蔽体ユニットと、を有する橋梁防炎装置の設置方法であって、
前記壁高欄に沿って前記ガイド機構を設置しておき、
複数の前記遮蔽体ユニットを順次前記ガイド機構の所定の搬入位置に搬入しつつ、搬入された前記遮蔽体ユニットを順次前記ガイド機構に沿って移動させ、所定の設置位置に配置された前記遮蔽体ユニットを相互に連結して、前記橋梁に沿った、火炎を遮断する遮蔽体を形成することを特徴とする橋梁防炎装置の設置方法。
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