JP7186429B2 - キラルボラート塩及びその製造方法 - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 (その1) 発行日 平成30年5月28日 刊行物 第113回有機合成シンポジウム2018年〔春〕予稿集 (その2) 開催日 平成30年6月6日から平成30年6月7日 集会名、開催場所 第113回有機合成シンポジウム2018年〔春〕 名古屋大学坂田・平田ホール(愛知県名古屋市千種区不老町) (その3) 発行日 平成30年9月18日 刊行物 第35回有機合成化学セミナー要旨集 (その4) 開催日 平成30年9月18日から平成30年9月20日 集会名、開催場所 第35回有機合成化学セミナー ほほえみの宿 滝の湯(山形県天童市鎌田本町1-1-30) (その5) 発行日 平成30年11月3日 刊行物 第49回中部化学関係学協会支部連合秋季大会 要旨集 (その6) 開催日 平成30年11月3日から平成30年11月4日 集会名、開催場所 第49回中部化学関係学協会支部連合秋季大会 名古屋大学(愛知県名古屋市千種区不老町)
本発明は、キラルボラート塩及びその製造方法に関する。
イオン反応は有機合成化学における最も基本的な結合形成プロセスであり、これを自在に制御できる触媒の開発、特に光学活性化合物を与えるキラルな分子触媒の創製は重要な課題とされている。反応活性なイオン性化学種を制御するための戦略として、キラルな対イオンを用いるものは最も直接的な手法と位置付けられることから、キラルなアニオンは、カチオン性の対イオンのキラリティを認識する試剤として有用である。例えば、プロキラルなカチオン性の中間体を経る反応で対イオンとしてキラルなアニオンを用いれば、求核剤の接近方向を規定し、生成物の立体化学を制御できる。
これまでに種々のキラル酸分子の共役塩基がキラルアニオンとして利用されてきたが、これらは本質的に求核力を有するために対イオンとして比較的安定なカチオンしか利用できないという問題を有していた。この問題は、非配位性アニオンの利用により解決できると想定されるが、これまでにキラルな非配位性アニオンによるカチオン種のキラリティ制御の成功例はほとんど知られていない。例えば、ホウ素-ヘテロ原子結合を有するキラルなボラートイオンは、適当なキラルアルコール又はキラルアミンとホウ素試剤との反応により容易に合成される代表的な非配位性アニオンである。原理的に様々な構造のボラートアニオンが入手できるため、これらはキラル触媒又はキラルセレクターとしての有用性が期待され古くから研究対象とされてきた。しかしながら、既知のボラートイオンはほぼ全てが二価のアルコールやアミンを基本骨格とするものに限られていることに加え、キラル試剤として実用に耐え得るレベルの性能を有していなかった。例えば、カチオン性銅錯体の対イオンとして非特許文献1に記載のビス(ビナフトラート)ボランは、ほとんどエナンチオ選択性を示さない。
Organic Letters, 2000, 2, 4165
既存のキラルボラートアニオンが期待される性能を示さない理由の一つとして、ホウ素-ヘテロ原子結合の可逆性に起因する骨格の不安定性が挙げられる。つまり、ホウ素-ヘテロ原子結合が容易に開裂し中心ホウ素原子の空軌道が露わになることで、水等のルイス塩基のホウ素中心への求核攻撃が起こりボラートイオンが分解しやすいため、様々な条件下で安定して利用できない。このため、ボラートイオンには原理的に多様な分子構造を与え得るにも関わらず、カラムクロマトグラフィー等の一般的精製条件で分解してしまうことが障害となり、これまでは再沈法等により生成できるか反応系内で調製できるボラートイオンのみしか利用できていなかった。また、カチオンと塩を形成した状態でも求核的な溶媒や試剤が存在する溶媒中でボラートイオンの構造が容易に組み変わってしまうことが知られており、ボラートイオンの構造設計及び修飾を極めて難しくしている。
このため、多様な分子変換への展開を図るためには新たな分子構造を備えたキラルアニオンの創製が必要である。特に、高い反応性を備えたカチオン種と安定なイオン対を形成できるキラル非配位性アニオンの開発ではこれまで目立った成功例がなく、新たな発想に基づく分子構造設計が求められている。
本発明は、高い反応性を備えたカチオン種と安定なイオン対を形成できるキラル非配位性アニオンを提供することを目的とする。
本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意研究を行った。その結果、二つの二座配位子のホウ素中心との結合部の片方を連結した四座配位子を採用することで、高い反応性を備えたカチオン種と安定なイオン対を形成できることを見出した。本発明者らは、このような知見に基づき、さらに研究を重ね、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の構成を包含する。
項1.一般式(1):
Figure 0007186429000001
[式中、R1及びR4~R8は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換炭化水素基、又は置換若しくは非置換アルコキシ基を示す。R2及びR3は同一又は異なって、ハロゲン原子、置換若しくは非置換炭化水素基、又は置換若しくは非置換アルコキシ基を示す。R1及びR2は結合して隣接する2個の炭素原子とともに環を形成してもよい。R3及びR4は結合して隣接する2個の炭素原子とともに環を形成してもよい。R9~R12は同一又は異なって、置換若しくは非置換アリール基を示す。Yは1価のカチオンを示す。]
で表されるキラルボラート塩。
項2.一般式(1A):
Figure 0007186429000002
[式中、R5~R12及びYは前記に同じである。R13~R14は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換炭化水素基、又は置換若しくは非置換アルコキシ基を示す。]
で表される、項1に記載のキラルボラート塩。
項3.項1又は2に記載のキラルボラート塩を含有し、且つ、前記Yが酸性カチオンである、触媒。
項4.項1又は2に記載のキラルボラート塩又は項3に記載の触媒の存在下に、ビニルエーテル化合物を反応させる工程を備える、環化ビニルエーテル化合物の製造方法。
項5.一般式(2):
Figure 0007186429000003
[式中、R1及びR4~R8は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換炭化水素基、又は置換若しくは非置換アルコキシ基を示す。R2及びR3は同一又は異なって、ハロゲン原子、置換若しくは非置換炭化水素基、又は置換若しくは非置換アルコキシ基を示す。R1及びR2は結合して隣接する2個の炭素原子とともに環を形成してもよい。R3及びR4は結合して隣接する2個の炭素原子とともに環を形成してもよい。R9~R12は同一又は異なって、置換若しくは非置換アリール基を示す。]
で表される化合物。
項6.一般式(3):
Figure 0007186429000004
[式中、R1及びR4~R8は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換炭化水素基、又は置換若しくは非置換アルコキシ基を示す。R2及びR3は同一又は異なって、ハロゲン原子、置換若しくは非置換炭化水素基、又は置換若しくは非置換アルコキシ基を示す。R1及びR2は結合して隣接する2個の炭素原子とともに環を形成してもよい。R3及びR4は結合して隣接する2個の炭素原子とともに環を形成してもよい。R15~R16は同一又は異なって、置換若しくは非置換アルコキシ基を示す。]
で表される化合物。
本発明によれば、二つの二座配位子のホウ素中心との結合部の片方を連結した四座配位子を採用することで、高い反応性を備えたカチオン種と安定なイオン対を形成できるキラル非配位性アニオンが得られる。
本明細書において、「含有」は、「含む(comprise)」、「実質的にのみからなる(consist essentially of)」、及び「のみからなる(consist of)」のいずれも包含する概念である。また、本明細書において、数値範囲を「A~B」で示す場合、A以上B以下を意味する。
1.キラルボラート塩及びそれを用いた触媒
本発明のキラルボラート塩は、一般式(1):
Figure 0007186429000005
[式中、R1及びR4~R8は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換炭化水素基、又は置換若しくは非置換アルコキシ基を示す。R2及びR3は同一又は異なって、ハロゲン原子、置換若しくは非置換炭化水素基、又は置換若しくは非置換アルコキシ基を示す。R1及びR2は結合して隣接する2個の炭素原子とともに環を形成してもよい。R3及びR4は結合して隣接する2個の炭素原子とともに環を形成してもよい。R9~R12は同一又は異なって、置換若しくは非置換アリール基を示す。Yは1価のカチオンを示す。]
で表されるキラルボラート塩である。
本発明者らは、既存のボラートイオンの不安定の根源には、二座配位子が有する構造的柔軟性があると考え、二つの二座配位子のホウ素中心との結合部の片方を連結した四座配位子を採用した。本発明で設計した配位子構造を用いれば、4つのホウ素-ヘテロ原子結合の内の1つが乖離したとしても、配位子構造の剛直さのために残ったホウ素-ヘテロ原子結合を軸とした回転が起こらず、中心ホウ素原子の空軌道が露わになることを妨げることができる。これにより、ボラートイオン近傍に求核的な分子が存在してもホウ素中心に攻撃することはできず、結果としてボラートイオンの分解を防ぐことができる。
このような本発明のキラルボラート塩は、塩の状態で通常のカラムクロマトグラフィー精製に供することも可能であり、純粋な状態で単離することができる。また、従来法では困難であった、様々な置換基を有するボラート塩を統一的な手法で合成及び単離することが可能であり、当該ボラート塩の構造ライブラリを構築することも可能である。
本発明のキラルボラート塩の安定性については、カチオン部の交換を容易とし、対イオンの異なるボラート塩を種々調製し様々な条件下で安定に存在することが可能である。
一般式(1)において、R1~R8で示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
一般式(1)において、R1~R8で示される炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基等が挙げられる。
一般式(1)において、R1~R8で示される炭化水素基としてのアルキル基としては、特に制限はないが、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等の非環式脂肪族アルキル基(好ましくは炭素数1~6、特に炭素数1~4の非環式脂肪族アルキル基);シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基等の環式脂肪族アルキル基(好ましくは炭素数3~10、特に炭素数3~8の環式脂肪族アルキル基);ベンジル基、メチルベンジル基、フェネチル基、メチルフェネチル基、ナフチルメチル基、メチルナフチルメチル基等のアラルキル基(好ましくは炭素数7~20、特に炭素数7~14のアラルキル基)等が挙げられる。なお、非環式脂肪族アルキル基を採用する場合、直鎖非環式脂肪族アルキル基を採用してもよいし、分岐鎖非環式脂肪族アルキル基を採用してもよい。これらアルキル基は、前記のハロゲン原子、後述のアルケニル基、後述のアリール基、後述のアルコキシ基等の置換基を1~5個程度有していてもよい。
一般式(1)において、R1~R8で示される炭化水素基としてのアルケニル基としては、特に制限はないが、例えば、ビニル基、アリル基等のアルケニル基(好ましくは炭素数2~6、特に炭素数2~4のアルケニル基)等が挙げられる。これらアルケニル基は、前記のハロゲン原子、前記のアルキル基、前記のアルケニル基、後述のアリール基、後述のアルコキシ基等の置換基を1~5個程度有していてもよい。
一般式(1)において、R1~R8で示される炭化水素基としてのアリール基としては、特に制限はないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、フルオレニル基、フェナントレニル基等が挙げられる。これらアリール基は、前記のハロゲン原子、前記のアルキル基、前記のアルケニル基、前記のアリール基、後述のアルコキシ基等の置換基を1~5個程度有していてもよい。
一般式(1)において、R1~R8で示されるアルコキシ基としては、特に制限はないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基等の非環式脂肪族アルコキシ基(好ましくは炭素数1~6、特に炭素数1~4の非環式脂肪族アルコキシ基)等が挙げられる。なお、非環式脂肪族アルコキシ基を採用する場合、非環式直鎖脂肪族アルコキシ基を採用してもよいし、非環式分岐鎖脂肪族アルコキシ基を採用してもよい。これらアルコキシ基は、前記のハロゲン原子、前記のアルキル基、前記のアルケニル基、前記のアリール基、前記のアルコキシ基等の置換基を1~5個程度有していてもよい。
一般式(1)において、R1及びR2は結合して隣接する2個の炭素原子とともに環を形成してもよい。この場合、R1とR2と2個の炭素原子で構成される環としては、例えば、インデン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、フルオレン環、フェナントレン環等が挙げられる。これらの環は、前記のハロゲン原子、前記のアルキル基、前記のアルケニル基、前記のアリール基、前記のアルコキシ基等の置換基を1~5個程度有していてもよい。なかでも、本発明のキラルボレート塩を高い反応性を備えたカチオン種とより安定なイオン対を形成できるキラル非配位性アニオンとするとともに触媒反応におけるエナンチオ選択率により優れる観点からは、R1及びR2は結合して隣接する2個の炭素原子とともに環を形成していることが好ましい。
一般式(1)において、R3及びR4は結合して隣接する2個の炭素原子とともに環を形成してもよい。この場合、R3とR4と2個の炭素原子で構成される環としては、例えば、インデン環、ナフタレン環、オクタヒドロナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、フルオレン環、フェナントレン環等が挙げられる。これらの環は、前記のハロゲン原子、前記のアルキル基、前記のアルケニル基、前記のアリール基、前記のアルコキシ基等の置換基を1~5個程度有していてもよい。なかでも、本発明のキラルボレート塩を高い反応性を備えたカチオン種とより安定なイオン対を形成できるキラル非配位性アニオンとするとともに触媒反応におけるエナンチオ選択率により優れる観点からは、R3及びR4は結合して隣接する2個の炭素原子とともに環を形成していることが好ましい。
このように、R1及びR2は結合して隣接する2個の炭素原子とともに環を形成していることが好ましく、R3及びR4は結合して隣接する2個の炭素原子とともに環を形成していることが好ましい。そのうち形成される環がいずれも置換若しくは非置換ナフタレン環である場合は、本発明のキラルボラート塩は、一般式(1A):
Figure 0007186429000006
[式中、R5~R12及びYは前記に同じである。R13~R14は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換炭化水素基、又は置換若しくは非置換アルコキシ基を示す。]
で表されるキラルボラート塩とすることができる。
一方、R5~R8については、水素原子が好ましい。
一般式(1)において、R9~R12で示される炭化水素基としてのアリール基としては、特に制限はないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、フルオレニル基、フェナントレニル基等が挙げられる。これらアリール基は、前記のハロゲン原子、前記のアルキル基、前記のアルケニル基、前記のアリール基、前記のアルコキシ基等の置換基を1~5個程度有していてもよい。なかでも、本発明のキラルボレート塩を高い反応性を備えたカチオン種とより安定なイオン対を形成できるキラル非配位性アニオンとするとともに触媒反応におけるエナンチオ選択率により優れる観点からは、置換若しくは非置換フェニル基が好ましく、置換フェニル基がより好ましく、1~2個の前記アルキル基で置換されたフェニル基がさらに好ましい。
一般式(1)において、Yで示されるカチオンとしては特に制限されない。例えば、水素イオン(H+)、金属陽イオン、金属錯体陽イオン、アンモニウムイオン、含窒素有機化合物のオニウムカチオン等が挙げられる。金属陽イオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;銀イオン等が挙げられる。金属錯体陽イオンとしては、例えば、トリス(2,2'-ビピリジル)ルテニウム(II)クロリド(Ru(bpy)3Cl)、トリス(トリフェニルホスフィノ)ルテニウム(II)クロリド(Ru(PPh3)3Cl)等のルテニウム錯体や、ビス(2-フェニルピリジナト)イリジウム(III)(Ir(ppy)2)、(2,2’-ビピリジル)ビス(2-フェニルピリジナト)イリジウム(III)(Ir(ppy)2(bpy))、ビス[2-(p-トリル)ピリジナト]イリジウム(III)(Ir(mppy)2)、ビス(1-フェニルイソキノリン)イリジウム(III)(Ir(piq)2)等のイリジウム錯体等が挙げられる。含窒素有機化合物のオニウムカチオンとしては、例えば、(モノ-、ジ-、トリ-又はテトラ-)アルキルアンモニウム、ピリジニウム、ピペリジニウム、キノリニウム、イミダゾリウム、トリアゾリウム、アミジニウム、グアニジニウム、アニリニウム、アミノホスホニウム等が挙げられる。アルキルアンモニウム及びアルキルアミンにおけるアルキル基は上記したものを採用することができる。なかでも、水素イオン(H+)、ピリジニウム等の酸性カチオンとした場合には、後述のように触媒(ビニルエーテル化合物環化触媒等のキラル触媒)として使用することができる。
このような本発明のキラルボラート塩としては、具体的には、
Figure 0007186429000007
[式中、Phはフェニル基を示す。]
等が挙げられ、本発明のキラルボレート塩を高い反応性を備えたカチオン種とより安定なイオン対を形成できるキラル非配位性アニオンとするとともに触媒反応におけるエナンチオ選択率により優れる観点からは、
Figure 0007186429000008
が好ましい。
以上のとおり、本発明のキラルボラート塩は、高い反応性を備えたカチオン種と安定なイオン対を形成できるキラル非配位性アニオンとするとともに触媒反応におけるエナンチオ選択率に優れることから反応の触媒(ビニルエーテル化合物環化触媒等の特にキラル触媒)として使用することが可能である。
2.ビニルエーテル化合物の環化方法
本発明のキラルボラート塩を用いた触媒反応の一例として、本発明のビニルエーテル化合物の環化方法は、本発明のキラルボラート塩(特に、カウンターイオンとして酸性カチオンを有するキラルボラート塩)又は触媒の存在下に、ビニルエーテル化合物を反応させることができる。例えば、一般式(4):
Figure 0007186429000009
[式中、R18~R20は同一又は異なって、水素原子又は炭化水素基を示す。]
で表される化合物を本発明のキラルボラート塩(特に、カウンターイオンとして酸性カチオンを有するキラルボラート塩)又は触媒の存在下に反応させ、一般式(5A)及び(5B):
Figure 0007186429000010
[式中、R18~R20は前記に同じである。]
で表される化合物を得ることができ、特に、本発明のキラルボラート塩は一般式(5A)で表される化合物を選択的に得ることができる。
一般式(4)、一般式(5A)及び一般式(5B)において、R18~R20で示される炭化水素基としては上記したものを採用できる。
本発明のビニルエーテル化合物の環化方法において、本発明のキラルボラート塩又は触媒の使用量は、特に制限されないが、収率、立体選択性等の観点から、例えば、一般式(4)で表される化合物1モルに対し、通常、0.01~0.2モルが好ましく、0.02~0.1モルがより好ましい。
本発明のビニルエーテル化合物の環化方法は、通常、溶媒中で行うことができる。溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、メシチレン等の芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル等の鎖状エーテル;酢酸エチル、プロピオン酸エチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン等が挙げられる。これらは、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。なかでも、収率、立体選択性等の観点から、脂肪族ハロゲン化炭化水素が好ましく、クロロホルムがより好ましい。
本発明のビニルエーテル化合物の環化方法は、無水条件下で行うことが好ましく、より確実に無水条件下とするために、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、モレキュラーシーブス等の1種又は2種以上の脱水剤を使用することもできる。また、反応温度は、通常、-100℃~室温(25℃)、特に-80~0℃とすることができる。反応時間は、反応が十分に進行する時間とすればよく、通常、10分~240時間程度、特に1~72時間とすることができる。さらに、雰囲気は不活性ガス雰囲気(窒素ガス、アルゴンガス等)下とすることもできるし、空気雰囲気下とすることもできる。
反応終了後は、必要に応じて通常の単離及び精製工程を経て、目的化合物を得ることができる。本発明のビニルエーテル化合物の環化方法によれば、種々の有用な光学活性環化エーテル化合物を得ることができる。
3.キラルボラート塩の製造方法
本発明のキラルボラート塩の製造方法は特に制限されないが、例えば、以下の反応式1:
Figure 0007186429000011
[式中、R1~R12及びYは前記に同じである。R15~R16は同一又は異なって、置換若しくは非置換アルコキシ基を示す。R17は置換若しくは非置換アルコキシ基を示す。Xはハロゲン原子を示す。]
に沿って合成することができる。
(3-1)化合物(6)→化合物(3)
本工程では、一般式(6)で表される化合物と、一般式(7)で表される化合物とを、塩基の存在下で反応させることで、一般式(3)で表される化合物を得る。
一般式(6)において、R1~R8は前記と同様とすることができる。
一般式(6)及び(7)において、R15~R17で示されるアルコキシ基としては、特に制限はないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基等の非環式脂肪族アルコキシ基(好ましくは炭素数1~6、特に炭素数1~4の非環式脂肪族アルコキシ基)等が挙げられる。なお、非環式脂肪族アルコキシ基を採用する場合、非環式直鎖脂肪族アルコキシ基を採用してもよいし、非環式分岐鎖脂肪族アルコキシ基を採用してもよい。これらアルコキシ基は、前記のハロゲン原子、前記のアルキル基、前記のアルケニル基、前記のアリール基、前記のアルコキシ基等の置換基を1~5個程度有していてもよい。
一般式(7)において、Xで示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
一般式(6)で表される化合物及び一般式(7)で表される化合物については、公知又は市販品を採用することができる。
本工程において、一般式(7)で表される化合物の使用量は、特に制限されないが、収率等の観点から、例えば、一般式(6)で表される化合物1モルに対し、通常、1.5~10モルが好ましく、2~5モルがより好ましい。
塩基としては、例えば、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム、炭酸ルビジウム等のアルカリ金属炭酸塩;トリメチルアミン、トリエチルアミン等のアミン等が挙げられる。これらは、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。このうち、収率等の観点から、アルカリ金属炭酸塩が好ましく、炭酸水素ナトリウムがより好ましい。
本工程において、塩基の使用量は、特に制限されないが、収率等の観点から、一般式(6)で表される化合物1モルに対し、通常、2~20モルが好ましく、3~10モルがより好ましい。
本工程は、通常、溶媒中で行うことができる。溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、メシチレン等の芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル等の鎖状エーテル;酢酸エチル、プロピオン酸エチル等のエステル等が挙げられる。これらは、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。なかでも、収率、立体選択性等の観点から、脂肪族ハロゲン化炭化水素が好ましく、ジクロロメタンがより好ましい。
本工程は、無水条件下で行うことが好ましい。また、反応温度は、通常、-50℃~80℃、特に-20~50℃とすることができる。反応時間は、反応が十分に進行する時間とすればよく、通常、10分~48時間程度、特に1~24時間とすることができる。さらに、雰囲気は不活性ガス雰囲気(窒素ガス、アルゴンガス等)下とすることもできるし、空気雰囲気下とすることもできる。
反応終了後は、必要に応じて通常の単離及び精製工程を経て、目的化合物である一般式(3)で表される化合物を得ることができる。また、単離及び精製処理を施さずに次の工程を行ってもよい。
(3-2)化合物(3)→化合物(2)
本工程では、一般式(3)で表される化合物と有機金属化合物(有機リチウム化合物、グリニャール試薬等)とを反応させることで、一般式(2)で表される化合物を得る。
有機リチウム化合物としては、例えば、エチルリチウム、n-プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、n-ペンチルリチウム、n-ヘキシルリチウム等のアルキルリチウム;シクロヘキシルリチウム等のシクロアルキルリチウム;フェニルリチウム等のアリールリチウム等が挙げられる。
グリニャール試薬としては、一般式(2)で表される化合物において所望のR9~R12を導入できるものが好ましく、R9MgX1(R9は前記に同じである。X1はハロゲン原子を示す。)で表される有機マグネシウム化合物が好ましい。
X1で示されるハロゲン原子としては、上記したものを採用できる。
本工程において、有機金属化合物は、1種単独で用いることもでき、2種以上を組合せて使用することもできる。
本工程において、有機金属化合物の使用量は、特に制限はなく、収率等の観点から、一般式(3)で表される化合物1モルに対して、有機金属化合物を2~30モル(特に3~20モル)使用することが好ましい。
本工程は、通常、溶媒中で行うことができる。溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、メシチレン等の芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル等の鎖状エーテル;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル等が挙げられる。これらは、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。なかでも、収率等の観点から、環状エーテルが好ましく、テトラヒドロフランがより好ましい。
本工程は、無水条件下且つ不活性ガス雰囲気(窒素ガス、アルゴンガス等)下で行うことが好ましい。また、反応温度は、通常、-80℃~50℃、特に-20~30℃とすることができる。反応時間は、反応が十分に進行する時間とすればよく、通常、10分~24時間程度、特に1~12時間とすることができる。
反応終了後は、必要に応じて通常の単離及び精製工程を経て、目的化合物である一般式(2)で表される化合物を得ることができる。また、単離及び精製処理を施さずに次の工程を行ってもよい。
(3-3)化合物(2)→化合物(1)
本工程では、一般式(2)で表される化合物と、トリアルコキシボラン化合物とを、塩基の存在下で反応させることで、一般式(1)で表されるキラルボラート塩を得る。
トリアルコキシボラン化合物としては、一般式(2)で表される化合物に二つの二座配位子のホウ素中心との結合部の片方を連結した四座配位子を導入することができるものであれば特に制限はなく、上記したアルコキシ基を有するボランとすることができ、例えば、トリメトキシボラン、トリエトキシボラン、トリ(n-プロポキシ)ボラン、トリイソプロポキシボラン等が挙げられる。これらのトリアルコキシボラン化合物は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
本工程において、トリアルコキシボラン化合物の使用量は、特に制限はなく、収率等の観点から、一般式(2)で表される化合物1モルに対して、トリアルコキシボラン化合物を0.3~3モル(特に0.5~1.5モル)使用することが好ましい。
塩基としては、例えば、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム、炭酸ルビジウム等のアルカリ金属炭酸塩;トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等のアミン等が挙げられる。これらは、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。このうち、収率等の観点から、アミンが好ましく、トリエチルアミンがより好ましい。なお、採用する塩基の種類によって、得られる本発明のキラルボラート塩のカチオンが決定される。
本工程において、塩基の使用量は、特に制限されないが、収率等の観点から、一般式(2)で表される化合物1モルに対し、通常、0.5~5モルが好ましく、1~3モルがより好ましい。
本工程は、通常、溶媒中で行うことができる。溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、メシチレン等の芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル等の鎖状エーテル;酢酸エチル、プロピオン酸エチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;アセトニトリル等のニトリル等が挙げられる。これらは、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。なかでも、収率、立体選択性等の観点から、ニトリルが好ましく、アセトニトリルがより好ましい。
本工程は、無水条件下で行うことが好ましい。また、反応温度は、通常、20℃~150℃、特に50~100℃とすることができる。反応時間は、反応が十分に進行する時間とすればよく、通常、10分~48時間程度、特に1~24時間とすることができる。さらに、雰囲気は不活性ガス雰囲気(窒素ガス、アルゴンガス等)下とすることもできるし、空気雰囲気下とすることもできる。
反応終了後は、必要に応じて通常の単離及び精製工程を経て、目的化合物である一般式(1)で表される本発明のキラルボラート塩を得ることができる。
この後、アンバーライト等の陽イオン交換樹脂や分液操作等を用いたイオン交換反応により本発明のキラルボラート塩のカチオンを水素イオン(H+)等の酸性カチオンとし、一般式(1A)で表される本発明のキラルボラート塩とすることもできる。
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
[合成例1:化合物(3)の合成]
合成例1-1:ジエチル(R)-N,N’-[ビナフタレン]-ビス(オキサメート)の合成
Figure 0007186429000012
式中、Etはエチル基を示す。
アルゴン(Ar)雰囲気下、0℃において、CH2Cl2(5.0mL)中の(R)-1,1’-ビナフチル-2,2’-ジアミン(0.28g, 1.0mmol)及びNaHCO3(0.42g, 5.0mmol)の混合物に、クロログリオキシル酸エチル(0.27mL, 2.4mmol)を滴下した。混合物を室温まで昇温し12時間攪拌した。次いで、飽和NH4Cl水溶液を添加して反応をクエンチした。水相を酢酸エチル(EA)で2回抽出し、有機相をブラインで洗浄した。合わせた有機相をNa2SO4で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液としてH/EA= 4: 1~2: 1)で精製し、ジエチル(R)-N,N’-[ビナフタレン]-ビス(オキサメート)(0.49g, 1.0mmol, >99%)を白色固体として得た。
[合成例2:化合物(2)の合成]
合成例2-1:(R)-N,N’-[ビナフタレン]-ビス(ベンジルアミド)の合成
Figure 0007186429000013
式中、Etはエチル基を示す。Phはフェニル基を示す。
アルゴン(Ar)雰囲気下、0℃において、テトラヒドロフラン(THF; 約1M, 10mL, 10mmol)中のフェニルマグネシウムブロミド(PhMgBr)のスラリーに、テトラヒドロフラン(THF; 10mL)中のジエチル(R)-N,N’-[ビナフタレン]-ビス(オキサメート)(0.49g, 1.0mmol)の溶液を添加した。得られた混合物を0℃で2時間攪拌し、氷冷した飽和NH4Cl水溶液に注入した。水相を酢酸エチル(EA)で2回抽出し、有機相をブラインで洗浄した。合わせた有機相をNa2SO4で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液としてH/EA= 20: 1~4: 1)で精製し、(R)-N,N’-[ビナフタレン]-ビス(ベンジルアミド)(0.71g, 1.0mmol, >99%)を白色固体として得た。
合成例2-2
適切な有機金属化合物を用いたこと以外は合成例2-1と同様に、以下の目的化合物を得た。
Figure 0007186429000014
[実施例1:化合物(1)の合成]
実施例1-1:テトラデンテートトリエチルアンモニウムボラート1a・HNEt 3 の合成
Figure 0007186429000015
式中、Phはフェニル基を示す。Meはメチル基を示す。Etはエチル基を示す。
アセトニトリル(MeCN; 10mL)中の、(R)-N,N’-[ビナフタレン]-ビス(ベンジルアミド)(0.71g, 1.0mmol)、トリエチルアミン(NEt3; 0.21mL, 1.5mmol)、及びトリメトキシボラン(B(OMe)3; 0.12mL, 1.1mmol)の混合物を90℃で15時間攪拌した。得られた混合物を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液としてCH2Cl2/MeOH= 100: 1~10: 1)で精製し、目的化合物を得た。さらに、室温において、CH2Cl2/ヘキサン溶媒系からの再結晶により精製し、テトラデンテートトリエチルアンモニウムボラート1a・HNEt3(0.81g, 0.99mmol, 99%)を白色固体として得た。
1a・HNEt3: 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.94 (1H, br), 7.95 (2H, d, J = 7.7 Hz), 7.93 (4H, d, J = 7.7 Hz), 7.87 (2H, d, J = 7.7 Hz), 7.49 (2H, d, J = 7.7 Hz), 7.42 (2H, t, J = 7.7 Hz), 7.33 (4H, t, J = 7.7 Hz), 7.25 (2H, t, J = 7.7 Hz), 7.23 (2H, d, J = 7.7 Hz), 7.13 (2H, t, J = 7.7 Hz), 6.79 (2H, t, J = 7.7 Hz), 6.54 (4H, t, J = 7.7 Hz), 6.30 (4H, d, J = 7.7 Hz), 2.12 (6H, q, J = 7.3 Hz), 0.48 (9H, t, J = 7.3 Hz); 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 177.9, 146.0, 143.3, 138.4, 133.5, 132.5, 130.6, 129.1, 128.4, 127.8, 127.6, 127.54, 127.51, 127.4, 127.3, 126.9, 126.3, 125.7, 125.2, 85.5, 46.1, 8.3; 11B NMR (160 MHz, CDCl3) δ 11.3; IR (film): 3060, 2728, 1641, 1592, 1506, 1472, 1390, 1136, 1117, 1081, 1045, 1023, 910, 809 cm-1; HRMS (ESI) Calcd for C48H32N2O4B- ([M-H NEt3]-) 711.2450. Found 711.2436.; [α]D 27 -264.8 (c = 11.3, CHCl3)。
実施例1-2:テトラデンテートトリエチルアンモニウムボラート1b・HNEt 3 ~1e・HNEt 3 の合成
適切な基質を用いたこと以外は実施例1-1と同様に、以下の目的化合物を得た。
Figure 0007186429000016
1b・HNEt3 (Ar = 4-MeC6H4): 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 9.10 (1H, br), 7.95 (2H, d, J = 8.1 Hz), 7.87 (2H, d, J = 8.1 Hz), 7.79 (4H, d, J = 8.1 Hz), 7.49 (2H, d, J = 8.1 Hz), 7.42 (2H, t, J = 8.1 Hz), 7.22 (2H, d, J = 8.1 Hz), 7.17-7.09 (6H, m), 6.35 (4H, d, J = 8.1 Hz), 6.21 (4H, d, J = 8.1 Hz), 2.34 (6H, s), 2.13 (6H, qd, J = 7.5, 4.5 Hz), 2.03 (6H, s), 0.50 (9H, t, J = 7.5 Hz); 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 178.1, 143.1, 140.6, 138.6, 136.1, 135.6, 133.5, 132.5, 130.5, 129.0, 128.3, 128.2, 127.9, 127.50, 127.48, 125.6, 125.1, 85.3, 45.9, 21.3, 21.0, 8.2, two carbon atoms were not found probably due to overlapping.; 11B NMR (160 MHz, CDCl3) δ 10.9; IR (film): 2994, 1641, 1507, 1466, 1404, 1118, 1109, 1058, 1018, 814 cm-1; HRMS (ESI) Calcd for C52H40N2O4B-([M-H NEt3]-) 767.3076. Found 767.3092.; [α]D 27 -237.1 (c = 13.8, CHCl3).
1c・HNEt3 (Ar = 3-MeC6H4): 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 9.02 (1H, br), 7.93 (2H, d, J = 7.8 Hz), 7.91 (2H, d, J = 7.8 Hz), 7.87 (2H, s), 7.72 (2H, d, J = 7.8 Hz), 7.61 (2H, dd, J = 7.8, 3.0 Hz), 7.40 (2H, t, J = 7.8 Hz), 7.22 (2H, t, J = 7.8 Hz), 7.19 (2H, d, J = 7.8 Hz), 7.14-7.06 (4H, m), 6.61 (2H, d, J = 7.8 Hz), 6.49 (2H, t, J = 7.8 Hz), 6.16 (2H, d, J = 7.8 Hz), 6.15 (2H, s), 2.40 (6H, s), 2.17-2.05 (6H, m), 1.61 (6H, s), 0.57-0.47 (9H, m); 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 178.1, 146.1, 143.2, 138.4, 136.93, 136.85, 133.6, 132.5, 130.3, 129.1, 128.5, 128.4, 128.1, 127.9, 127.61, 127.57, 127.3, 127.2, 127.1, 125.6, 125.1, 125.0, 124.8, 85.5, 45.9, 22.0, 21.0, 8.2; 11B NMR (160 MHz, CDCl3) δ 10.8; IR (film): 3022, 2711, 1641, 1506, 1472, 1391, 1136, 1121, 1055, 1025, 906, 820 cm-1; HRMS (ESI) Calcd for C52H40N2O4B-([M-H NEt3]-) 767.3076. Found 767.3091.; [α]D 26 -312.1 (c = 10.3, CHCl3).
1d・HNEt3 (Ar =3,5-Me2C6H3): 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 9.29 (1H, brs), 7.89 (2H, d, J = 7.7 Hz), 7.88 (2H, d, J = 7.7 Hz), 7.60 (2H, d, J = 7.7 Hz), 7.59 (4H, s), 7.37 (2H, t, J = 7.7 Hz), 7.17 (2H, d, J = 7.7 Hz), 7.10 (2H, t, J = 7.7 Hz), 6.89 (2H, s), 6.44 (2H, s), 6.02 (4H, s), 2.34 (12H, s), 2.15 (6H, br), 1.64 (12H, s), 0.62-0.53 (9H, m); 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 178.3, 146.1, 143.5, 138.5, 136.5, 136.4, 133.6, 132.5, 130.3, 129.0, 128.5, 128.4, 128.2, 128.1, 127.8, 125.6, 125.5, 125.4, 125.0, 85.7, 45.9, 21.9, 21.0, 8.2; 11B NMR (160 MHz, CDCl3) δ 11.0; IR (film): 3005, 2912, 1639, 1592, 1506, 1470, 1392, 1203, 1120, 1048, 1026, 909, 853 cm-1; HRMS (ESI) Calcd for C56H48N2O4B-([M-H NEt3]-) 823.3702. Found 823.3711.; [α]D 27 -271.3 (c = 12.0, CHCl3).
1e・HNEt3 (Ar =3,5-nBu2C6H3): 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 9.58 (1H, br), 7.86 (2H, d, J = 7.6 Hz), 7.82 (2H, d, J = 7.6 Hz), 7.58 (4H, s), 7.57 (2H, d, J = 7.6 Hz), 7.36 (2H, t, J = 7.6 Hz), 7.13 (2H, d, J = 7.6 Hz), 7.07 (2H, t, J = 7.6 Hz), 6.88 (2H, s), 6.46 (2H, s), 6.13 (4H, s), 2.61 (8H, t, J = 7.3 Hz), 2.24-2.11 (6H, m), 1.95 (4H, ddd, J = 14.8, 9.3, 5.3 Hz), 1.85 (4H, ddd, J = 14.8, 9.3, 5.3 Hz), 1.59 (8H, quin, J = 7.3 Hz), 1.33 (8H, sex, J = 7.3 Hz), 1.24-1.08 (16H, m), 0.87 (12H, t, J = 7.3 Hz), 0.80 (12H, t, J = 7.3 Hz), 0.63-0.56 (9H, m); 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 178.4, 145.9, 143.7, 141.4, 141.3, 138.7, 133.6, 132.4, 130.4, 128.8, 128.4, 128.0, 127.9, 126.7, 126.2, 125.5, 125.3, 125.2, 124.9, 85.7, 45.8, 36.1, 35.5, 34.0, 33.6, 22.7, 22.6, 14.2, 14.1, 8.2; 11B NMR (160 MHz, CDCl3) δ 11.0; IR (film): 2929, 2886, 1640, 1593, 1505, 1466, 1393, 1230, 1103, 1072, 1026, 819 cm-1; HRMS (ESI) Calcd for C80H96N2O4B- ([M-H NEt3]-) 1159.7458. Found 1159.7446.; [α]D 26 -188.7 (c = 11.9, CHCl3)。
[実施例2:化合物(1A)の合成]
実施例2-1:テトラデンテートキラルハイドロジェンボラート1a・Hの合成
Figure 0007186429000017
式中、Phはフェニル基を示す。Etはエチル基を示す。Meはメチル基を示す。
エタノール(1mL)中のテトラデンテートトリエチルアンモニウムボラート1a・HNEt3(51mg, 0.062mmol)の溶液を、溶離液としてエタノールを用いたアンバーライトIR-120樹脂(H+型)のカラムで濾過した。室温で、溶出液を濃縮し、得られた固体をCH2Cl2/ヘキサン溶媒系から再結晶し、テトラデンテートキラルハイドロジェンボラート1a・H(37mg, 0.052mmol, 84%)を白色固体として得た。
1a・H: 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 8.03 (2H, d, J = 7.8 Hz), 7.96 (2H, d, J = 7.8 Hz), 7.84 (4H, d, J = 7.8 Hz), 7.44 (2H, t, J = 7.8 Hz), 7.38 (4H, t, J = 7.8 Hz), 7.29 (4H, t, J = 7.8 Hz), 7.21 (2H, t, J = 7.8 Hz), 7.00 (2H, d, J = 7.8 Hz), 6.82 (2H, t, J = 7.8 Hz), 6.55 (4H, t, J = 7.8 Hz), 6.30 (4H, d, J = 7.8 Hz), one proton was not found due to broadening.; 13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 175.6, 146.0, 144.4, 138.7, 132.9, 131.7, 130.0, 128.2, 128.0, 127.6, 127.1, 127.0, 126.9, 126.7, 126.5, 126.4, 125.7, 125.5, 124.7, 84.1; 11B NMR (160 MHz, DMSO-d6) δ 10.5; IR (film): 3340, 3059, 1714, 1658, 1592, 1489, 1395, 1264, 1187, 1023, 1003, 909, 814 cm-1; HRMS (ESI) Calcd for C48H32N2O4B-([M-H]-) 711.2450. Found 711.2468.; [α]D 28 -179.9 (c = 10.7, CH2Cl2)。
実施例2-2:テトラデンテートキラルハイドロジェンボラート1b・H~1e・Hの合成
適切な基質を用いたこと以外は実施例2-1と同様に、以下の目的化合物を得た。
Figure 0007186429000018
1b・H (Ar = 4-MeC6H4): 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 8.03 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.96 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.70 (4H, d, J = 8.3 Hz), 7.43 (2H, t, J = 8.3 Hz), 7.28 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.19 (2H, t, J = 8.3 Hz), 7.15 (4H, d, J = 8.3 Hz), 6.97 (2H, d, J = 8.3 Hz), 6.34 (4H, d, J = 8.3 Hz), 6.18 (4H, d, J = 8.3 Hz), 2.32 (6H, s), 2.00 (6H, s), one proton was not found due to broadening.; 13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 175.9, 143.3, 141.8, 138.8, 135.2, 134.4, 132.9, 131.6, 130.0, 128.1, 128.0, 127.6, 127.00, 126.96, 126.86, 126.7, 125.4, 124.7, 83.7, 20.7, 20.4, one carbon atom was not found probably due to overlapping.; 11B NMR (160 MHz, DMSO-d6) δ 10.5; IR (film): 3014, 2920, 1651, 1621, 1592, 1510, 1471, 1405, 1134, 1043, 1018, 812 cm-1; HRMS (ESI) Calcd for C52H40N2O4B- ([M-H]-) 767.3076. Found 767.3103.; [α]D 27 -311.7 (c = 12.0, CH2Cl2).
1c・H (Ar = 3-MeC6H4): 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 8.00 (2H, d, J = 7.9 Hz), 7.99 (2H, d, J = 7.9 Hz), 7.73 (2H, s), 7.62 (2H, d, J = 7.9 Hz), 7.42 (2H, t, J = 7.9 Hz), 7.36 (2H, d, J = 7.9 Hz), 7.24 (2H, t, J = 7.9 Hz), 7.18 (2H, t, J = 7.9 Hz), 7.10 (2H, d, J = 7.9 Hz), 6.95 (2H, d, J = 7.9 Hz), 6.61 (2H, d, J = 7.9 Hz), 6.53 (2H, t, J = 7.9 Hz), 6.15 (2H, d, J = 7.9 Hz), 6.11 (2H, s), 2.38 (6H, s), 1.60 (6H, s), one proton was not found due to broadening.; 13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 175.7, 146.1, 144.6, 138.6, 135.9, 135.7, 133.0, 131.7, 129.8, 128.3, 128.2, 127.64, 127.55, 127.5, 127.0, 126.9, 126.8, 126.4, 126.3, 125.4, 124.7, 124.44, 124.39, 84.0, 21.5, 20.5; 11B NMR (160 MHz, DMSO-d6) δ 10.4; IR (film): 3059, 2918, 1647, 1604, 1592, 1474, 1411, 1254, 1125, 1040, 817 cm-1; HRMS (ESI) Calcd for C52H40N2O4B-([M-H]-) 767.3076. Found 767.3107.; [α]D 27 -322.0 (c = 10.2, CH2Cl2).
1d・H (Ar = 3,5-Me2C6H3): 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 7.97 (2H, d, J = 7.9 Hz), 7.96 (2H, d, J = 7.9 Hz), 7.43 (4H, s), 7.39 (2H, t, J = 7.9 Hz), 7.34 (2H, d, J = 7.9 Hz), 7.16 (2H, t, J = 7.9 Hz), 6.93 (2H, d, J = 7.9 Hz), 6.89 (2H, s), 6.41 (2H, s), 5.96 (4H, s), 2.31 (12H, s), 1.64 (12H, s), one proton was not found due to broadening.; 13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 175.8, 146.3, 145.0, 138.7, 135.6, 135.3, 133.0, 131.7, 129.8, 128.2, 127.8, 127.7, 127.2, 126.9, 125.3, 125.0, 124.6, 84.3, 21.5, 20.6, two carbon atoms were not found probably due to overlapping.; 11B NMR (160 MHz, DMSO-d6) δ 11.2; IR (film): 2916, 1663, 1594, 1506, 1472, 1405, 1265, 1087, 1037, 852, 815 cm-1; HRMS (ESI) Calcd for C56H48N2O4B-([M-H]-) 823.3702. Found 823.3715.; [α]D 27 -153.3 (c = 10.1, CH2Cl2).
1e・H (Ar = 3,5-nBu2C6H3): 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 7.94 (2H, d, J = 8.1 Hz), 7.91 (2H, d, J = 8.1 Hz), 7.49 (4H, s), 7.39 (2H, t, J = 8.1 Hz), 7.29 (2H, d, J = 8.1 Hz), 7.14 (2H, t, J = 8.1 Hz), 6.90 (2H, d, J = 8.1 Hz), 6.89 (2H, s), 6.44 (2H, s), 6.01 (4H, s), 2.58 (8H, t, J = 7.3 Hz), 1.96-1.88 (4H, m), 1.87-1.80 (4H, m), 1.55 (8H, quin, J = 7.3 Hz), 1.29 (8H, sex, J = 7.3 Hz), 1.04-1.14 (16H, m), 0.84 (12H, t, J = 7.3 Hz), 0.77 (12H, t, J = 7.3 Hz), one proton was not found due to broadening.; 13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 176.3, 146.1, 144.8, 140.4, 140.2, 138.8, 133.0, 131.6, 129.9, 128.1, 128.0, 127.6, 127.0, 126.1, 125.6, 125.1, 124.94, 124.86, 124.6, 84.4, 35.3, 34.7, 33.5, 33.2, 21.83, 21.79, 13.9, 13.8; 11B NMR (160 MHz, DMSO-d6) δ 10.6; IR (film): 2956, 2929, 1653, 1596, 1507, 1457, 1396, 1149, 1074 cm-1; HRMS (ESI) Calcd for C80H96N2O4B-([M-H]-) 1159.7458. Found 1159.7478.; [α]D 28 -111.0 (c = 10.4, CH2Cl2)。
以上のように、本発明のキラルボラート塩は、堅牢な骨格を有しているために、プロトンを対イオンとして単離することができた。このため、高い反応性を備えたカチオン種と安定なイオン対を形成できるキラル非配位性アニオンが得られたことが理解できる。
Figure 0007186429000019
2a: 1H NMR (500 MHz CDCl3) δ 7.34 (2H, d, J = 7.4 Hz), 7.30 (2H, t, J =7.4 Hz), 7.23 (1H, t, J = 7.4 Hz), 6.42 (1H, dd, J = 14.0, 6.8 Hz), 5.88 (1H, q, J = 6.8 Hz), 4.12 (1H, dd, J = 14.0, 1.8 Hz), 3.95 (1H, t, J = 6.8, 1.8 Hz), 3.67 (2H, t, J = 7.4 Hz), 2.90 (2H, t, J = 7.4 Hz), 1.84 (3H, d, J = 6.8 Hz); 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 151.9, 142.8, 136.6, 128.5, 126.9, 126.3, 125.6, 86.7, 66.6, 29.7, 14.5; IR (film): 2916, 1612, 1496, 1444, 1371, 1319, 1195, 1072, 995, 963, 815 cm-1; HRMS (ESI) Calcd for C13H17O+([M+H]+) 189.1274. Found 189.1275。
[実施例3:ビニルエーテル化合物の環化反応]
実施例3-1:(E)-5-ビニルオキシ-3-フェニルペント-2-エンの不斉プリンス型反応
Figure 0007186429000020
式中、Phはフェニル基を示す。Meはメチル基を示す。
試験チューブに磁気攪拌子及びすりつぶしたドライエライト(登録商標)(50mg)を入れた。ドライエライト(登録商標)を減圧下にヒートガンで2分間乾燥し、試験チューブをアルゴン(Ar)で充填した。次いで、アルゴン(Ar)雰囲気下で、CHCl3(1.0mL)中のテトラデンテートキラルハイドロジェンボラート1e・H(5.8mg, 0.0050mmol)の溶液を試験チューブの中に準備し、-60℃に冷却した。この溶液にビニルエーテル2a(17.2mg, 0.091mmol)を添加した。この溶液を24時間攪拌した後、トリエチルアミン(NEt3; 14mL, 0.10mmol)を添加して反応をクエンチした。全ての揮発物質を減圧下に除去し、得られた粗残渣を1H NMR(500 MHz)で分析し、生成物のレジオアイソマー及びジアステレオマー比を決定した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液としてH/エーテル= 20: 1)で精製し、化合物3a(14.0mg, 0.074mmol, 81%)を無色オイルとして得た。化合物3aの主要ジアステレオマーのエナンチオマー過剰率をキラルステーショナリー相のHPLC分析によって決定し、95%以上のエナンチオ選択率と決定した。
3a: 1H NMR (500 MHz CDCl3) major diastereomer δ 7.40-7.30 (4H, m), 7.28-7.24 (1H, m), 5.96 (1H, t, J = 2.5 Hz), 4.39 (1H, ddd, J = 17.0, 2.9, 2.5 Hz), 4.35 (1H, ddd, J = 17.0, 2.9, 2.5 Hz), 3.83 (1H, qd, J = 6.8, 2.9 Hz), 2.60-2.52 (1H, m), 1.28 (3H, d, J = 6.8 Hz), 0.98 (3H, d, J = 6.8 Hz); 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 141.5, 140.0, 128.6, 127.3, 125.7, 122.2, 72.8, 67.0, 35.2, 18.5, 12.5; IR (film): 2972, 2808, 1496, 1445, 1383, 1142, 1123, 1079, 1017, 865 cm-1; HRMS (ESI) Calcd for C13H17O+([M+H]+) 189.1274. Found 189.1276. HPLC OJ3, H/EtOH = 99: 1, flow rate = 1.0 mL/min, 30℃, λ= 254 nm, 8.8 min (major enantiomer), 9.7 min (minor enantiomer)。

Claims (4)

  1. 一般式(1):
    Figure 0007186429000021
    [式中、R1及びR4~R8は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換炭化水素基、又は置換若しくは非置換アルコキシ基を示す。R2及びR3は同一又は異なって、ハロゲン原子、置換若しくは非置換炭化水素基、又は置換若しくは非置換アルコキシ基を示す。R1及びR2は結合して隣接する2個の炭素原子とともに環を形成してもよい。R3及びR4は結合して隣接する2個の炭素原子とともに環を形成してもよい。R9~R12は同一又は異なって、置換若しくは非置換アリール基を示す。Yは1価のカチオンを示す。]
    で表されるキラルボラート塩。
  2. 一般式(1A):
    Figure 0007186429000022
    [式中、R5~R12及びYは前記に同じである。R13~R14は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換炭化水素基、又は置換若しくは非置換アルコキシ基を示す。]
    で表される、請求項1に記載のキラルボラート塩。
  3. 請求項1又は2に記載のキラルボラート塩を含有し、且つ、前記Yが酸性カチオンである、触媒。
  4. 請求項1又は2に記載のキラルボラート塩又は請求項3に記載の触媒の存在下に、ビニルエーテル化合物を反応させる工程を備える、環化ビニルエーテル化合物の製造方法であって、
    前記ビニルエーテル化合物は、一般式(4):
    Figure 0007186429000023
    [式中、R 18 ~R 20 は同一又は異なって、水素原子又は炭化水素基を示す。]
    で表される化合物であり、
    前記環化ビニルエーテル化合物は、一般式(5A):
    Figure 0007186429000024
    [式中、R 18 ~R 20 は前記に同じである。]
    で表される化合物である、製造方法
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