JP7186312B2 - ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物及び成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物及び成形品に関する。
ポリフェニレンエーテル系樹脂は通常、ポリフェニレンエーテルとスチレン系樹脂とを必要とされる耐熱性や成形流動性のレベルに応じて任意の割合で併用配合したものであり、更に必要に応じてエラストマー成分や、難燃剤、無機フィラー、熱安定剤等の添加剤成分を配合して樹脂組成物としたものである。ポリフェニレンエーテル系樹脂は、耐熱性、機械的物性、成形加工性、耐酸アルカリ性、寸法安定性、電気特性等に優れるため、家電OA、事務機、情報機器、自動車分野等に広く用いられている。これらの用途の中には、火災検知器のカバー部品等、特に薄肉の成形体として極めて高い成形外観と共に、曲げ弾性率(剛性)と引張伸度(靭性)とのバランスの取れた材料が要求されており、このような材料として、ポリフェニレンエーテルに、カオリンクレーとスチレン系水添ブロック共重合体とを多量に配合したポリフェニレンエーテル系樹脂組成物が使用されている。
例えば、ポリフェニレンエーテルに、官能基を有するスチレン系熱可塑性エラストマーと、シラン化合物で表面処理されたカオリンクレー等の無機質充填剤と、芳香族リン酸エステル系難燃剤とを配合した樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、ポリフェニレンエーテル樹脂と、液体ポリジオルガノシロキサン及びカオリンクレー等の無機質充填剤の配合物とからなる難燃性樹脂組成物も知られている(例えば、特許文献2参照)。
国際公開第2004/016692号 特開平5-262977号公報
一方、こうした用途には同時に、極めて高い難燃レベルも要求されることが多く、一般的にはこのようなポリフェニレンエーテル系樹脂組成物に、有機リン酸エステル系等の難燃剤を配合することである程度の難燃化は可能であることが知られている。
しかし、無機質充填剤としてカオリンクレーが多量に配合されている樹脂組成物においては、燃焼時にカオリンクレー表面に局在化したエラストマー成分が燃焼持続性を促進するため、難燃剤を配合しても高度なレベルまで難燃化することは困難であった。
特許文献1に開示されたような樹脂組成物においても、厚肉成形体においては十分な難燃性を有するものの、特に2.0~0.5mm厚みのような薄肉試験片でUL94に準拠した燃焼試験を行なった場合、試験片間における燃焼時間のバラツキが大きくなって要求される難燃レベルをクリアできない場合もあり、難燃性が必ずしも十分ではない場合があった。
また、特許文献2に開示された技術においても、成形外観、剛性、及び靭性の性能バランスを維持したまま、薄肉試験片における難燃性のバラツキを改善するには不十分であった。
そこで、本発明は、剛性と靭性との性能バランスが要求されるような使用環境下においても有効に使用可能であり、良好な成形外観を有し、薄肉成形品での難燃性にも優れる、カオリンクレーを含むポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ポリフェニレンエーテル樹脂に、エラストマー成分とカオリンクレーとを配合したポリフェニレンエーテル系樹脂組成物において、特定の種類の縮合型リン酸エステル系難燃剤を併用配合して難燃化することにより、良好な成形外観、及び剛性と靭性とのバランスを有し、且つ、薄肉成形品においても優れた難燃性を示す樹脂組成物が得られることを見出して、本発明を提供するに至った。
即ち、本発明は、以下のとおりである。
[1]
ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物であり、
ポリフェニレンエーテル(A)、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)、難燃剤(C)、及びカオリンクレー(D)を含有し、前記(A)、(B)、(C)、及び(D)成分の合計量100質量%に対する各成分の含有量が、(A)成分25~84質量%、(B)成分1~20質量%、(C)成分4~25質量%、(D)成分11~30質量%であり、
前記(C)成分は、前記(C)成分100質量%中に、下記の測定方法で測定したときの10質量%減少温度が380~430℃の範囲内である有機リン系難燃剤(C-1)0~97質量%と、下記の測定方法で測定したときの10質量%減少温度が330~360℃の範囲内である有機リン系難燃剤(C-2)100~3質量%とを含有し、
前記(A)、(B)、(C)、及び(D)成分の合計含有量が、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物全体の90質量%以上を占める
ことを特徴とする、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
<前記(C-1)成分及び(C-2)成分の10質量%減少温度の測定方法>
前記(C-1)成分及び(C-2)成分をそれぞれ約10mg秤量し、TGA測定装置にて、窒素雰囲気下、30℃から昇温速度10℃/minで800℃まで昇温して得られた加熱減量曲線から、10質量%減少温度を求めた。
[2]
前記(C-1)成分がビスフェノールAビスジフェニルホスフェートであり、前記(C-2)成分が下記化学式(1)で表される縮合型リン酸エステル系難燃剤である、[1]に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
Figure 0007186312000001
(式中、R~Rは、2,6-キシリル基であり、nは1~3である)
[3]
記(B)成分が、アミノ化合物又はカルボニル化合物で変性されたスチレン系熱可塑性エラストマーを含む、[1]又は[2]に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[]
前記(C)成分が、前記(C-1)と前記(C-2)との混合物であり、前記(C)成分100質量%中に、前記(C-1)50~95質量%及び前記(C-2)50~5質量%を含有する、[1]~[]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[]
前記(D)成分が、シラン化合物で表面処理したカオリンクレーを含む、[1]~[]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[]
前記ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物100質量%中におけるポリオレフィン系樹脂及びスチレン系樹脂の合計含有量が5質量%以下である、[1]~[]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[]
前記ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物100質量%中における前記(D)成分以外の無機質充填剤の含有量が3質量%以下である、[1]~[]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[]
UL94に準拠して、厚み1.5mmの試験片で燃焼試験を実施したときの難燃レベルがV-0である、[1]~[]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[]
厚み1.5mm以下の部分を有し、[1]~[]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を含むことを特徴とする、成形品。
本発明によれば、剛性と靭性との性能バランスが要求されるような使用環境下でも有効に使用が可能であり、良好な成形外観を有し、薄肉成形品での難燃性にも優れる、カオリンクレーを含むポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明する。本発明は、以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
〔樹脂組成物〕
本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル(A)、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)、難燃剤(C)、及びカオリンクレー(D)を含有し、前記(A)、(B)、(C)、及び(D)成分の合計量100質量%に対する各成分の含有量が、(A)成分25~84質量%、(B)成分1~20質量%、(C)成分4~25質量%、(D)成分11~30質量%であり、前記(C)成分は、前記(C)成分100質量%中に、下記の測定方法で測定したときの10質量%減少温度が380~430℃の範囲内である有機リン系難燃剤(C-1)0~97質量%と、下記の測定方法で測定したときの10質量%減少温度が330~360℃の範囲内である有機リン系難燃剤(C-2)100~3質量%とを含有する。
<前記(C-1)成分及び(C-2)成分の10質量%減少温度の測定方法>
前記(C-1)成分及び(C-2)成分をそれぞれ約10mg秤量し、TGA測定装置にて、窒素雰囲気下、30℃から昇温速度10℃/minで800℃まで昇温して得られた加熱減量曲線から、10質量%減少温度を求めた。
(ポリフェニレンエーテル(A))
本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物に含まれるポリフェニレンエーテル(A)(以下、ポリフェニレンエーテル(A)を単に「(A)成分」とも称す)は、下記化学式(2)及び/又は化学式(3)で表される繰り返し単位(構造のユニット)を有する、単独重合体(ホモポリマー)あるいは共重合体(コポリマー)であることが好ましい。
Figure 0007186312000002
Figure 0007186312000003
但し、上記化学式(2)及び(3)中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数6~9のアリール基、又はハロゲン原子を表す。但し、R及びRは同時に水素原子ではない。
また、前記アルキル基の好ましい炭素数は1~3であり、前記アリール基の好ましい炭素数は6~8であり、前記一価の残基の中でも水素原子が好ましい。
尚、上記化学式(2)、(3)で表される繰り返し単位の数については、ポリフェニレンエーテル(A)の分子量分布により様々であるため、特に制限されることはない。
ポリフェニレンエーテルの単独重合体の代表例としては、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-エチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジエチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-エチル-6-n-プロピル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジ-n-プロピル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-n-ブチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-エチル-6-イソプロピル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-クロロエチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-ヒドロキシエチル-1,4-フェニレン)エーテル及びポリ(2-メチル-6-クロロエチル-1,4-フェニレン)エーテル等が挙げられる。
ポリフェニレンエーテルの共重合体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、2,6-ジメチルフェノールと2,3,6-トリメチルフェノールとの共重合体、2,6-ジメチルフェノールとo-クレゾールとの共重合体、及び2,3,6-トリメチルフェノールとo-クレゾールとの共重合体といった、化学式(2)及び/又は化学式(3)で表されるポリフェニレンエーテル構造を主たる繰り返し単位とするものが挙げられる。
尚、本実施形態では、ポリフェニレンエーテル鎖中には、化学式(2)においてR、Rがそれぞれメチル基である構造(及び、後述のように、当該構造から導かれる構造)が少なくとも一部含まれていることが好ましい。その中でも、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレン)エーテルが好ましい。
上述した各種ポリフェニレンエーテル(A)は、一種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
上記ポリフェニレンエーテル(A)では、(D)成分であるカオリンクレーとの十分な密着性の観点から、末端OH基濃度が、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、0.4~2.0個であることが好ましく、0.6~1.3個であることがより好ましい。
尚、ポリフェニレンエーテル(A)の末端OH基濃度は、NMR測定により算出することができる。
ポリフェニレンエーテル(A)は、樹脂組成物の耐熱性が低下しすぎない程度であれば、上記化学式(2)、(3)以外の他の種々のフェニレンエーテル単位を部分構造として含むポリフェニレンエーテルを含んでいてもよい。
上記化学式(2)、(3)以外の他の種々のフェニレンエーテル単位としては、以下に限定されるものではないが、例えば、特開平01-297428号公報及び特開昭63-301222号公報に記載されている、2-(ジアルキルアミノメチル)-6-メチルフェニレンエーテル単位や、2-(N-アルキル-N-フェニルアミノメチル)-6-メチルフェニレンエーテル単位等が挙げられる。
ポリフェニレンエーテル(A)は、ポリフェニレンエーテルの主鎖中にジフェノキノン等に由来する繰り返し単位が少量結合していてもよい。
更に、ポリフェニレンエーテル(A)は、ポリフェニレンエーテルを構成する構成単位の一部又は全部をカルボキシル基、酸無水物基、酸アミド基、イミド基、アミノ基、オルトエステル基、ヒドロキシ基、及びカルボン酸アンモニウム塩に由来する基からなる群から選択される1種以上の官能基を含む官能化剤と反応(変性)させることによって、官能化ポリフェニレンエーテルに置き換えた構成を有することが可能である。
特に、本願(D)成分であるカオリンクレーとの密着性向上や、耐熱性、機械物性等の改良の観点から、ポリフェニレンエーテルを無水マレイン酸等の酸無水物やリンゴ酸、クエン酸、フマル酸等のカルボン酸類と反応させて官能化した官能化ポリフェニレンエーテルがポリフェニレンエーテル(A)の一部又は全部であることが好ましい。
上記ポリフェニレンエーテル(A)では、(D)成分であるカオリンクレーとの更なる密着性改良の観点から、官能化された変性末端の濃度が、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、0.1~10個であることが好ましく、より好ましくは0.1~3.0個であり、更に好ましくは0.1個~1.0個である。
尚、ポリフェニレンエーテル(A)の変性末端濃度は、NMR測定により算出することができる。
ポリフェニレンエーテル(A)の重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn値)は、好ましくは2.0~5.5であり、より好ましくは2.5~4.5、更に好ましくは3.0~4.5である。
当該Mw/Mn値は、樹脂組成物の成形加工性の観点から2.0以上が好ましく、樹脂組成物の機械的物性の観点から5.5以下が好ましい。
また、ポリフェニレンエーテル(A)の数平均分子量Mnは、成形加工性と機械的物性の観点から、8000~28000であることが好ましく、より好ましくは12000~24000、更に好ましくは14000~22000である。
ここで、重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定による、ポリスチレン換算分子量から得られる。
ポリフェニレンエーテル(A)の還元粘度は、0.25~0.65dL/gの範囲が好ましい。より好ましくは0.30~0.55dL/gで、更に好ましくは0.33~0.42dL/gの範囲である。
ポリフェニレンエーテル(A)の還元粘度は、十分な機械的物性の観点から0.25dL/g以上であることが好ましく、成形加工性の観点から0.65dL/g以下であることが好ましい。
尚、還元粘度は、ウベローデ粘度計を用いて、0.5g/dLクロロホルム溶液、30℃で測定できる。
ポリフェニレンエーテル(A)は一般に粉体として入手でき、その好ましい粒子サイズは平均粒子径1~1000μmであり、より好ましくは10~700μm、特に好ましくは100~500μmである。加工時の取り扱い性の観点から1μm以上が好ましく、溶融混練時に未溶融物の発生を抑制するためには1000μm以下が好ましい。
本実施形態の樹脂組成物において、ポリフェニレンエーテル(A)と、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)と、難燃剤(C)と、カオリンクレー(D)との合計量100質量%中における、ポリフェニレンエーテル(A)の含有量は、25~84質量%の範囲内である。好ましくは35~70質量%、より好ましくは40~60質量%の範囲内である。
ポリフェニレンエーテル(A)の含有量は、十分な耐熱性、難燃性付与の観点から25質量%以上が好ましく、成形加工性と成形外観保持の観点から84質量%以下が好ましい。
(スチレン系熱可塑性エラストマー(B))
本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、成形品の耐衝撃性や靭性、成形外観を向上させる観点から、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)(以下、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)を単に「(B)成分」とも称す)を含有する。
本実施形態に用いられるスチレン系熱可塑性エラストマー(B)とは、スチレン系樹脂とは異なり、ポリスチレンブロックと共役ジエン化合物重合体ブロックとを有するブロック共重合体である。
前記共役ジエン化合物重合体ブロックは、熱安定性の観点から、共役ジエン化合物由来の不飽和結合が少なくとも水素添加率50%以上で水素添加されたものであることが好ましい。水素添加率は、より好ましくは80%以上、更に好ましくは95%以上である。
尚、水素添加率は、例えば、核磁気共鳴装置(NMR)により求めることができる。
前記共役ジエン化合物重合体ブロックとしては、以下に制限されないが、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(エチレン・ブチレン)、ポリ(エチレン・プロピレン)、及びビニル-ポリイソプレン等が挙げられる。
前記共役ジエン化合物重合体ブロックは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ブロック共重合体を構成する繰り返し単位の配列の様式は、リニアタイプでもラジアルタイプでもよい。また、ポリスチレンブロック及び共役ジエン化合物重合体ブロックにより構成されるブロック構造は、二型、三型、及び四型のいずれであってもよい。中でも、本実施形態に所望の効果を十分に発揮し得る観点から、好ましくは、ポリスチレン-ポリ(エチレン・ブチレン)-ポリスチレン構造で構成される三型のリニアタイプのブロック共重合体である。尚、共役ジエン化合物重合体ブロック中に30質量%を超えない範囲でブタジエン単位が含まれていてもよい。
スチレン系熱可塑性エラストマー(B)の製造方法としては、特に限定されることなく、公知の製造方法を用いることができる。公知の製造方法の具体例としては、例えば、米国特許第4501857号明細書に記載の方法が挙げられる。
また、本実施形態の樹脂組成物において、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)は、その一部又は全部をアミノ化合物又はカルボニル化合物で変性したスチレン系熱可塑性エラストマーを含むことが靭性、耐衝撃性改良、及び成形品表面外観保持の観点から好ましい。
カルボニル化合物による変性では、スチレン系熱可塑性エラストマーに、不飽和カルボン酸又はその官能的誘導体等のカルボニル化合物を反応させることによって、スチレン系熱可塑性エラストマーにカルボニル基が導入される。
不飽和カルボン酸又はその官能的誘導体としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ハロゲン化マレイン酸、シス-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、エンド-シス-ビシクロ〔2,2,1〕-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸等や、これらジカルボン酸の無水物、エステル、アミド、イミド等、更に、アクリル酸、メタクリル酸等や、これらのモノカルボン酸のエステル、アミド等が挙げられる。
これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カルボニル化合物で変性したスチレン系熱可塑性エラストマーにおいて、カルボニル化合物の付加量は、(D)成分であるカオリンクレーとの十分な密着性の観点から、スチレン系熱可塑性エラストマー100質量部に対して、0.01~2質量部であることが好ましく、より好ましくは0.05~1質量部であり、更に好ましくは0.1~1質量部である。
カルボニル化合物で変性したスチレン系熱可塑性エラストマーの製造方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で、スチレン系熱可塑性エラストマーにカルボニル化合物を溶融混練して反応させることが挙げられる。
アミノ化合物による変性では、スチレン系熱可塑性エラストマーに、イミダゾリジノン化合物又はピロリドン化合物等のアミノ化合物を反応させることによって、スチレン系熱可塑性エラストマーにアミノ基が導入される。
イミダゾリジノン化合物としては、例えば、1,3-ジエチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジプロピル-2-イミダゾリジノン、1-メチル-3-エチル-2-イミダゾリジノン、1-メチル-3-(2-エトキシエチル)-2-イミダゾリジノン、1,3-ジ-(2-エトキシエチル)-2-イミダゾリジノン、1,3-ジメチルエチレンチオウレア、N,N‘-ジエチルプロピレンウレア、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン等が挙げられ、中でも1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンが好ましい。
ピロリドン化合物としては、例えば、1-シクロヘキシル-2-ピロリドン、1-ブチル-2-ピロリドン、1-エチル-2-ピロリドン、1-プロピル-2-ピロリドン、1-ブチル-2-ピロリドン、1-イソプロピル-2-ピロリドン、1,5-ジメチル-2-ピロリドン、1-メトキシメチル-2-ピロリドン、1-メチル-2-ピペリドン、1,4-ジメチル-2-ピペリドン、1-エチル-2-ピペリドン、1-イソプロピル-2-ピペリドン、1-イソプロピル-5,5-ジメチル-2-ピペリドン等が挙げられ、中でも1-メチル-2-ピロリドン、1-メチル-2-ピペリドンが好ましく、1-メチル-2-ピペリドンが特に好ましい。
これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アミノ化合物で変性したスチレン系熱可塑性エラストマーにおいて、アミノ化合物の付加量は、(D)成分であるカオリンクレーとの十分な密着性の観点から、スチレン系熱可塑性エラストマー100質量部に対して0.01~2質量部であることが好ましく、より好ましくは0.05~1質量部であり、更に好ましくは0.1~1質量部である。
アミノ化合物で変性したスチレン系熱可塑性エラストマーの製造方法としては、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマーにアミノ化合物を加えて70~120℃で反応させることが挙げられる。
これらアミノ化合物又はカルボニル化合物で変性したスチレン系熱可塑性エラストマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
また、(B)成分のすべてがアミノ化合物又はカルボニル化合物で変性したスチレン系熱可塑性エラストマーであってもよいし、(B)成分としてアミノ化合物又はカルボニル化合物で変性したスチレン系熱可塑性エラストマーと共に、アミノ化合物又はカルボニル化合物で変性していないスチレン系熱可塑性エラストマーを併用してもよい。(B)成分100質量%中のアミノ化合物又はカルボニル化合物で変性したスチレン系熱可塑性エラストマーの含有量は、50~100質量%であることが好ましい。
本実施形態のスチレン系熱可塑性エラストマー(B)の結合スチレン量は、10~90質量%の範囲が好ましく、より好ましくは20~80質量%、更に好ましくは30~70質量%、更により好ましくは40~65質量%の範囲である。前記(A)成分及び前記(B)成分との混和性の観点から10質量%以上が好ましく、十分な耐衝撃性付与の観点から90質量%以下が好ましい。
本実施形態のスチレン系熱可塑性エラストマー(B)の数平均分子量は、30,000~500,000が好ましく、より好ましくは40,000~300,000、更に好ましくは45,000~250,000の範囲である。成形品における十分な靭性付与の観点から、30,000~500,000の範囲が好ましい。
本実施形態のスチレン系熱可塑性エラストマー(B)の、ポリスチレン換算分子量から得られる重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn値)は、好ましくは1.0~3.0、より好ましくは1.0~2.0、更に好ましくは1.0~1.5の範囲内である。機械特性の観点から、1.0~3.0の範囲内が好ましい。
本実施形態の樹脂組成物において、ポリフェニレンエーテル(A)と、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)と、難燃剤(C)と、カオリンクレー(D)との合計量100質量%中における、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)の含有量は、1~20質量%の範囲内である。好ましくは3~15質量%、より好ましくは4~10質量%の範囲内である。スチレン系熱可塑性エラストマー(B)の含有量は、靭性及び成形外観の改良の観点から、1質量%以上の含有が好ましく、難燃性と機械特性保持の観点から、20質量%以下の含有が好ましい。
(難燃剤(C))
本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物において用いられる難燃剤(C)は、環境負荷低減及び難燃性能の観点から、(C)成分100質量%中に、下記の測定方法で測定したときの10質量%減少温度が380~430℃の範囲内である有機リン系難燃剤(C-1)0~97質量%と、下記の測定方法で測定したときの10質量%減少温度が330~360℃の範囲内である有機リン系難燃剤(C-2)100~3質量%とを含有する難燃剤である。
<前記(C-1)成分及び(C-2)成分の10質量%減少温度の測定方法>
前記(C-1)成分及び(C-2)成分をそれぞれ約10mg秤量し、熱重量分析(TGA)測定装置にて、窒素雰囲気下、30℃から昇温速度10℃/minで800℃まで昇温して得られた加熱減量曲線から、10質量%減少温度(質量が10質量%減少したときの温度)を求めた。
前記(C-1)成分としては、ビスフェノールAビスジフェニルホスフェートが好ましく、また、前記(C-2)成分としては、下記化学式(1)で表される縮合型リン酸エステル系難燃剤が好ましい。
Figure 0007186312000004

・・・・(1)
式中、R~Rは、2,6-キシリル基であり、nは1~3から選ばれる。nは1又は2が好ましく、nは1がより好ましい。
難燃剤(C)として、(C)成分100質量%中に、(C-1)0~97質量%及び(C-2)100~3質量%を含む混合物を用いることにより、後述の垂直燃焼試験(UL94に準拠)を実施したときの試験片間における燃焼時間のバラツキを改善することができる。
本実施形態の樹脂組成物において、前記難燃剤(C)は、前記(C-1)と前記(C-2)とを併用して用いることが、十分な難燃性付与と金型へのMD(モールドデポジット)付着防止の観点から好ましい。(C)成分を100質量%として、好ましくは(C-1)97~30質量%と(C-2)3~70質量%との併用であり、より好ましくは(C-1)97~50質量%と(C-2)3~50質量%との併用であり、更に好ましくは(C-1)96~50質量%と(C-2)4~50質量%との併用であり、より更に好ましくは(C-1)95~50質量%と(C-2)5~50質量%との併用であり、特に好ましくは(C-1)95~70質量%と(C-2)5~30質量%との併用である。
本実施形態の樹脂組成物において、ポリフェニレンエーテル(A)と、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)と、難燃剤(C)と、カオリンクレー(D)との合計量100質量%中における、難燃剤(C)の含有量は、4~25質量%の範囲内である。好ましくは8~20質量%の範囲内で、より好ましくは12~18質量%の範囲内である。難燃剤(C)は、本実施形態の樹脂組成物の難燃性改良、成形外観改良の観点から4質量%以上の含有が好ましく、十分な機械的物性及び耐熱性保持の観点から25質量%以下の配合であることが好ましい。
尚、本実施形態の樹脂組成物は、溶剤を用いて、ろ過、濃縮、遠心分離等の操作を行なうことで、樹脂組成物中の各成分の分離が可能である。
更に、分離した難燃剤(C)は、GC-MSやNMR等の解析機器を用いて解析操作を行なうことで、難燃剤(C)成分の定性、定量が可能である。
(カオリンクレー(D))
カオリンクレー(D)は、本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物において、成形外観を保持して機械的強度を向上させる目的で配合される。
カオリンクレー(D)の種類としては、公知のものが使用でき、例えば、水簸カオリンクレーや焼成カオリンクレー等が挙げられる。中でも水簸カオリンクレーが、本発明の目的のために好適である。
カオリンクレー(D)の一次粒子の粒子径サイズは、平均一次粒子径0.01~1μmが好ましく、より好ましくは0.05~0.8μmであり、特に好ましくは0.1~0.5μmである。十分な剛性付与の観点から0.01μm以上が好ましく、成形品の表面外観保持と靭性付与の観点から1μm以下であることが好ましい。
カオリンクレー(D)の加熱減量(ここで言う加熱減量とは、200℃設定のオーブン中で、2時間加熱した後の質量の、加熱前の質量に対する減少割合である)は、10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは2質量%以下であり、特に好ましくは1質量%以下である。樹脂組成物の量産性、生産安定性の観点から、10質量%以下であることが好ましい。
本実施の形態に用いられるカオリンクレー(D)は、シラン化合物等の処理剤で予め表面処理したものを含むことが、樹脂組成物中での分散性向上、樹脂との密着性向上の観点から好ましい。
カオリンクレー(D)の表面処理に用いられるシラン化合物の具体例としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン化合物、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシシラン化合物、ビスー(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイド等の硫黄系シラン化合物、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン化合物、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-ユレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン化合物等が挙げられる。本発明の目的のために特に好ましいシラン化合物は、樹脂組成物への分散性及び、取扱性の観点から、メルカプトシラン化合物及びアミノシラン化合物であり、特にメルカプトシラン化合物が好ましい。
これらのシラン化合物は、1種単独で用いてもよく、2種類以上を併用して用いてもよい。
また、(D)成分のすべてがこれらシラン化合物で表面処理したカオリンクレーであってもよいし、(D)成分としてこれらシラン化合物で表面処理したカオリンクレーと共に、シラン化合物以外の表面処理剤で表面処理したカオリンクレーや、表面処理していないカオリンクレーを併用してもよい。(D)成分100質量%中のシラン化合物で表面処理したカオリンクレーの含有量は、50~100質量%であることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物において、ポリフェニレンエーテル(A)と、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)と、難燃剤(C)と、カオリンクレー(D)との合計量100質量%中における、カオリンクレー(D)の含有量は、11~30質量%の範囲内である。好ましくは15~25質量%の範囲内で、より好ましくは17~20質量%の範囲内である。難燃剤(C)の含有量は、十分な剛性付与の観点から11質量%以上であることが好ましく、成形品の表面外観、耐衝撃性、及び靭性保持の観点から30質量%以下であることが好ましい。
本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、耐熱性、機械的物性、難燃性、成形品の表面外観をより良好なものとする観点から、前記(A)、(B)、(C)、及び(D)成分の合計含有量が、樹脂組成物全体の90質量%以上を占めることが好ましい。当該含有量は、95質量%以上であることがより好ましく、100質量%であってもよい。
(その他の材料)
本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物においては、更にポリオレフィン系樹脂及び/又はスチレン系樹脂を含有することが可能である。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂や、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-オクテン共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-エチルメタクリレート共重合体等のポリオレフィン系共重合体等が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂は、1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
スチレン系樹脂は、スチレン系化合物、又はスチレン系化合物とスチレン系化合物に共重合可能な化合物とを、ゴム質重合体存在下又は非存在下に重合して得られる重合体である。
スチレン系樹脂は、1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
前記スチレン系化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、p-メチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、エチルスチレン等が挙げられる。特に原材料の実用性の観点から、スチレンが好ましい。
前記スチレン系化合物と共重合可能な化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル化合物類;無水マレイン酸等の酸無水物等が挙げられる。
スチレン系化合物と共重合可能な化合物の使用量は、スチレン系化合物とスチレン系化合物と共重合可能な化合物との合計量100質量%に対して、30質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
また、ゴム質重合体としては、以下に制限されないが、例えば、共役ジエン系ゴム、共役ジエンと芳香族ビニル化合物との共重合体、エチレン-プロピレン共重合体系ゴムが挙げられ、より詳細には、ポリブタジエン、スチレン-ブタジエンランダム共重合体及びスチレン-ブタジエンブロック共重合体、並びにこれらを部分的に又はほぼ完全に水素添加した重合体が挙げられる。
尚、上述のスチレン系樹脂の内、ゴム質重合体の存在下で重合又は共重合して得られる重合体又は共重合体をゴム強化されたスチレン系樹脂といい、ゴム質重合体の非存在下で重合又は共重合して得られる重合体又は共重合体をゴム強化されていないスチレン系樹脂という。
スチレン系樹脂としては、ゴム強化されていないスチレン系樹脂が、成形品の外観保持の観点から好ましい。
本実施形態の樹脂組成物中における、ポリオレフィン系樹脂及び/又はスチレン系樹脂の含有量は、ポリオレフィン系樹脂及びスチレン系樹脂の合計含有量として、樹脂組成物100質量%に対して5質量%以下であることが好ましい。より好ましくは3質量%以下であり、更に好ましくは2質量%以下である。ポリオレフィン系樹脂及びスチレン系樹脂の合計含有量は、樹脂組成物の機械特性及び難燃性の観点から5質量%以下であることが好ましい。
また、本実施形態の樹脂組成物中におけるポリオレフィン系樹脂の含有量は、樹脂組成物100質量%に対して5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは2質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以下である。
また、本実施形態の樹脂組成物中におけるスチレン系樹脂の含有量は、樹脂組成物100質量%に対して5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは3質量%以下であり、更に好ましくは2質量%以下である。
また、本実施形態の樹脂組成物においては、耐熱性、機械的物性、難燃性、成形品の表面外観を著しく低下させない範囲において、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の安定剤類や着色剤、離型剤等を、本願樹脂組成物中に、0.001~3質量%の割合で含有することが可能である。好ましくは0.01~2質量%であり、より好ましくは0.2~1質量%の範囲内である。
十分な添加効果発現の観点から、0.001質量%以上とすることが好ましく、物性保持の観点から3質量%以下とすることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物においては、靭性、耐衝撃性、難燃性等の物性を著しく低下させない範囲において、カオリンクレー(D)以外の無機質充填剤を、本願樹脂組成物中に、3質量%以下含有することが好ましい。より好ましくは1質量%以下であり、更に好ましくは0.5質量%以下である。
尚、カオリンクレー(D)以外の無機質充填剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、ガラスフレーク、タルク、ガラスミルドファイバー、クロライト、有機化クレー等が挙げられる。
〔樹脂組成物の製造方法〕
本実施形態の樹脂組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び必要に応じてその他の材料を溶融混練することによって、製造することができる。
本実施形態の樹脂組成物の調製方法は、以下に限定されるものではないが、樹脂組成物を大量に安定して製造するには、製造効率の観点から二軸押出機が好適に用いられる。
二軸押出機のスクリュー径は25~90mmの範囲内が好ましい。より好ましくは40~70mmの範囲内である。例えば、ZSK40MC二軸押出機(独国Werner&Pfleiderer社製、バレル数13、スクリュー径40mm、L/D=50;ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:6個、及びニーディングディスクN:4個を有するスクリューパターン)を用いた場合に、シリンダー温度270~330℃、スクリュー回転数150~600rpm、押出レート40~300kg/hの条件で溶融混練する方法や、TEM58SS二軸押出機(東芝機械社製、バレル数13、スクリュー径58mm、L/D=53;ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:14個、及びニーディングディスクN:2個を有するスクリューパターン)を用いた場合に、シリンダー温度270~330℃、スクリュー回転数150~600rpm、押出レート250~700kg/hの条件で溶融混練する方法が好適な方法として挙げられる。
ここで、前記「L」は、押出機の「スクリューバレル長さ」であり、前記「D」は「スクリューバレルの直径」である。
本実施形態の樹脂組成物を製造するための条件については、以下に限定されるものではないが、例えば、本願(A)、(B)、(C)、(D)成分、及び必要に応じてその他の材料のすべてを一括して溶融混練して、樹脂組成物を製造することも可能である。
また、本実施形態の樹脂組成物を二軸押出機を用いて製造するに際して、予め、(A)成分、(B)成分、(C-2)成分、及び(D)成分と、必要に応じてその他の材料とを押出機の最上流部の供給口(トップフィード)から供給して溶融混練した後、途中の押出機バレルから液添設備で(C-1)成分を配合し、十分に溶融混練して樹脂組成物を製造することが、機械物性向上及び十分な本発明の効果達成の観点から好ましい。
また、耐熱性及び機械的物性付与の観点から、(A)成分、(C-2)成分、及び(D)成分は押出機の最上流部の供給口(トップフィード)から供給し、(C-1)成分は押出機途中に設けた供給口(液添ノズル)から、また、(B)成分は押出機途中に設けた原料押込み供給口(サイドフィード)から供給することが好ましい。
〔樹脂組成物の物性〕
本実施形態の樹脂組成物の難燃性レベル(UL94に準拠)は、火災等の発火による延焼防止の観点から、1.5mmの厚みを有するタンザク試験片でUL94に準拠して垂直燃焼試験を実施した際にV-0であることが好ましい。
また、試験片5本でUL94に準拠して垂直燃焼試験した場合の、第一接炎時及び第二接炎時(5本×2回の合計10回の接炎)に測定した燃焼秒数における最小燃焼秒数と最大燃焼秒数との燃焼時間の時間差が5秒以内であることが好ましい。
尚、樹脂組成物の難燃性レベル、最小燃焼秒数、及び最大燃焼秒数は、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態の樹脂組成物の引張強度(ISO527に準拠。23℃測定)は、使用時の形状保持及び割れ発生防止の観点から、50MPa以上であることが好ましい。より好ましくは60MPa以上であり、更に好ましくは65MPa以上である。
尚、樹脂組成物の引張強度は、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態の樹脂組成物の引張伸度(ISO527に準拠。23℃測定)は、使用時の形状保持及び割れ発生防止の観点から、10%以上であることが好ましい。より好ましくは14%以上であり、更に好ましくは20%以上である。上記範囲であることで、樹脂組成物を、火災検知器カバー用途により好適に用いることができる傾向にある。
尚、樹脂組成物の引張伸度は、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態の樹脂組成物の曲げ強度(ISO178に準拠。23℃測定)は、薄肉成形品の使用時の形状保持の観点から、80MPa以上であることが好ましい。より好ましくは90MPa以上であり、更に好ましくは100MPa以上である。
尚、樹脂組成物の曲げ強度は、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態の樹脂組成物の曲げ弾性率(ISO178に準拠。23℃測定)は、薄肉成形品の使用時の形状保持の観点から、3000MPa以上であることが好ましい。より好ましくは3400MPa以上であり、更に好ましくは3700MPa以上である。
尚、樹脂組成物の曲げ弾性率は、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態の樹脂組成物のシャルピー衝撃強度(ISO179に準拠。23℃で測定)は、使用時の割れ発生防止の観点から、2kJ/m以上であることが好ましい。より好ましくは4kJ/m以上であり、更に好ましくは5kJ/m以上である。
尚、樹脂組成物のシャルピー衝撃強度は、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態の樹脂組成物の荷重たわみ温度(DTUL)(ISO75に準拠。フラットワイズ法、0.45MPa荷重で測定)は、薄肉成形品の高温使用時の熱変形防止の観点から、100℃以上であることが好ましい。より好ましくは115℃以上であり、更に好ましくは125℃以上である。
尚、樹脂組成物のDTULは、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
〔成形品〕
本実施形態の樹脂組成物からなる成形品は、上述の樹脂組成物を成形することにより得ることができる。
本実施形態の成形品は、厚みが薄い(例えば、1.5mm以下)部分を有していても、シルバーストリーク(シルバー)のような成形不良が発生せず、良好な外観を有し、かつ難燃性に優れたものとすることができる。
本実施形態の成形品は、特に、厚みが2.0~0.5mmの薄肉成形体であり、且つUL94に準拠して垂直燃焼試験を実施したときの難燃レベルがV-0であることが好ましい。この場合、薄肉成形体の装置内部等での発火による延焼を防止することができる。
樹脂組成物の成形方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、射出成形、押出成形、真空成形、及び圧空成形等の方法が好適に挙げられ、特に成形品の外観特性及び量産性の観点から、射出成形が好ましい。
好適な成形品としては、剛性と靭性との性能バランスに優れ、良好な成形外観を有し、更には難燃性、特に薄肉成形片での難燃性に優れるため、火災検知器カバー用部品等が挙げられる。
以下、本発明について、具体的な実施例及び比較例を挙げて説明する。本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例及び比較例に用いた物性の測定方法及び原材料を以下に示す。
(1.荷重たわみ温度(DTUL))
実施例及び比較例により製造した樹脂組成物のペレットを、90℃の熱風乾燥機中で1時間乾燥した。
乾燥後の樹脂組成物を用いて、ISO物性試験片金型を備え付けた射出成形機(IS-80EPN、東芝機械社製)により、シリンダー温度300℃、金型温度90℃、射出圧力50MPa(ゲージ圧)、射出速度200mm/sec、射出時間/冷却時間=20sec/20secに設定し、ISO3167、多目的試験片A型のダンベル成形片を成形した。得られた多目的試験片A型のダンベル成形片を切断して、80mm×10mm×4mmの試験片を作製した。当該試験片を用いて、ISO75に準拠し、フラットワイズ法、0.45MPaで荷重たわみ温度(DTUL)(℃)を測定し、測定本数3本の平均値を求めた。
評価基準としては、測定値の平均値が高い値であるほど、耐熱性が優れていると判定した。
(2.シャルピー衝撃強度)
上記1.で製造したISO3167、多目的試験片A型ダンベル成形片を切断して、80mm×10mm×4mmの試験片を作製した。当該試験片を用いて、ISO179に準拠し、シャルピー衝撃強度(ノッチ有)(kJ/m)を23℃で測定し、測定本数5本の平均値を求めた。
評価基準としては、測定値の平均値が高い値であるほど、耐衝撃性に優れていると判定した。
(3.引張強度、引張伸度)
上記1.で製造したISO3167、多目的試験片A型ダンベル成形片を用いてISO527に準拠し、引張強度(MPa)及び引張伸度(引張呼び歪み)(%)を23℃で、試験速度5mm/minで測定し、測定本数5本の平均値を求めた。
評価基準としては、引張伸度の測定値の平均値が高い値であるほど、靭性に優れていると判定し、特に10%以上の場合に、本実施形態の樹脂組成物として望ましいと判定した。また、引張強度の測定値の平均値が高い値であるほど、機械的物性に優れていると判定し、特に50MPa以上の場合に、本実施形態の樹脂組成物として望ましいと判定した。
(4.曲げ強度、曲げ弾性率)
上記1.で製造したISO3167、多目的試験片A型ダンベル成形片を切断して、80mm×10mm×4mmの試験片を作製した。当該試験片を用いて、ISO178に準拠し、曲げ強度(MPa)及び曲げ弾性率(MPa)を23℃で測定し、測定本数3本の平均値を求めた。
評価基準としては、曲げ弾性率の測定値の平均値が高い値であるほど、剛性に優れていると判定し、特に3000MPa以上の場合に、本実施形態の樹脂組成物として望ましいと判定した。また、曲げ強度の測定値の平均値が高い値であるほど、機械的物性に優れていると判定し、特に80MPa以上の場合に、本実施形態の樹脂組成物として望ましいと判定した。
(5.成形品外観(シルバー発生))
実施例及び比較例により製造した樹脂組成物のペレットを、90℃の熱風乾燥機中で1時間乾燥した。
乾燥後の樹脂組成物を用いて、1.5mm厚みのUL試験片金型を備え付けた射出成形機(IS-80EPN、東芝機械社製)により、比較例1~3及び実施例1~14、実施例18~22ではシリンダー温度300℃、金型温度80℃に、実施例15及び比較例4ではシリンダー温度320℃、金型温度90℃に、実施例16、17及び比較例5ではシリンダー温度260℃、金型温度60℃に設定し、それぞれ射出速度25%(パネル設定値)、射出時間/冷却時間=10sec/30secの条件にて、射出圧力をSSP(ショートショットプレッシャー)+5MPa(ゲージ圧)に調整して、1.5mm厚みのUL試験片を成形した。
1.5mm厚みのUL試験片20本について、試験片表面に発生した長さ2mm以上のシルバーの合計個数を目視ですべてカウントして、成形外観のレベルを判定した。
シルバーのカウント数が0~2個を◎、3~5個を〇、6~9個を△、10個以上を×と評価し、〇以上を薄肉成形外観に優れると判定し、◎の場合は本実施形態の樹脂組成物として特に好ましいと判定した。
(6.金型MD評価)
実施例及び比較例により製造した樹脂組成物のペレットを、90℃の熱風乾燥機中で1時間乾燥した。乾燥後の樹脂組成物を、寸法150mm×150mm×2mm厚みのピンゲート平板金型を備え付けた射出成形機(IS-80EPN、東芝機械社製)により、比較例1~3及び実施例1~14、実施例18~22ではシリンダー温度300℃、金型温度80℃に、実施例15及び比較例4ではシリンダー温度320℃、金型温度90℃に、実施例16、17及び比較例5ではシリンダー温度260℃、金型温度60℃に設定し、それぞれ射出圧力(ゲージ圧70MPa)、射出速度(パネル設定値)85%、射出時間/冷却時間=10sec/30secに設定して、成形平板の連続成形を行なった。
200ショット以下の連続成形で、目視で金型にMD付着が認められた場合を×、200ショットの連続成形後には目視で金型にMD付着が認められず、300ショットの連続成形後には目視で金型にMD付着が認められた場合を〇、300ショットの連続成形後も目視で金型にMD付着が認められない場合を◎と評価した。
評価基準としては、〇以上でMD防止性に優れていると判定し、◎の場合は本実施形態の樹脂組成物として特に好ましいと判定した。
(7.薄肉難燃性)
上記5.で得られた1.5mm厚みのタンザク試験片5本を用いて、UL94垂直燃焼試験法に基づいて測定を行ない、難燃レベルを判定した。また、タンザク試験片それぞれの第一接炎時及び第二接炎時の燃焼秒数を測定し(5本×2回の合計10回の接炎)、最小燃焼秒数と最大燃焼秒数との差を算出した。
難燃レベルがV-0の場合を難燃性に優れると判定した。特に、難燃レベルがV-0判定で、最小燃焼秒数と最大燃焼秒数との時間差が5秒以内である場合に、本実施形態の樹脂組成物として特に好ましいと判定した。
〔原材料〕
<ポリフェニレンエーテル(PPE)(A)>
(A-1)還元粘度0.50dL/g(0.5g/dLクロロホルム溶液、30℃、ウベローデ粘度計で測定)、数平均分子量18300、100ユニットあたりの末端OH基:0.71個、100ユニットあたりのN,N-ジブチルアミノメチル基:0.39個のポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレン)エーテル粉体(A-1)を溶液重合により作製した(以下、単に「(A-1)」ということもある)。
<スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)(B)>
(B-1)無変性スチレン系熱可塑性エラストマー。商品名:タフテックH1041〔登録商標〕、旭化成社製(以下、「(B-1)」ということもある)。
(B-2)カルボニル変性スチレン系熱可塑性エラストマー。上記の(B-1)100質量部に、無水マレイン酸1.0質量部及び日本油脂(株)製パーブチルD0.5質量部を均一に混合した後、二軸押出機を用いて260℃にて溶融混練することで、無水マレイン酸変性熱可塑性エラストマー(B-2)を得た(以下、「(B-2)」ということもある)。ナトリウムメチラートを用いた滴定法によって求めた(B-1)100質量部に対する無水マレイン酸の付加量は、約0.3質量部であった。
(B-3)アミノ変性スチレン系熱可塑性エラストマー。窒素ガスで置換した撹拌機付きリアクターのシクロヘキサン溶剤中で、n-ブチルリチウムを重合開始剤として用い、数平均分子量が40,000、結合スチレン量30質量%、ブタジエンの1,2-ビニル結合量が38%のポリスチレン-ポリブタジエン-ポリスチレンの構造で、ポリマー鎖末端がリビングリチウムイオン構造を示すブロック共重合体を重合した。重合終了後、使用したn-ブチルリチウム量から重合体溶液中に存在するリチウムイオンに対して1.5倍モルの1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンを加え、95℃にて10分間反応させた後、米国特許第4501857号明細書に記載された方法にて水素添加反応をポリブタジエン部分のエチレン不飽和結合量が20%未満になるまで定量的に継続して実施し、水素添加率81.6%のポリマーを得た。この水添反応後のポリマー溶液に熱劣化安定剤として2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールをポリマー100gに対して0.3g添加して、溶剤であるシクロヘキサンを加熱除去し、ポリスチレン-水素添加されたポリブタジエン-ポリスチレンの構造を有し、該ポリスチレン鎖末端に2級アミンが付加したスチレン系熱可塑性エラストマー(B-3)を得た(以下、「(B-3)」ということもある)。
<難燃剤(C)>
難燃剤(C)の10質量%減少温度の測定は、いずれも以下の装置、条件で測定した。
測定サンプル量:約10mg
測定装置:BRUKERコントロールMTC1000SA
炉:TGA-DTA2000SR
測定条件:窒素雰囲気下、30℃から昇温速度10℃/minで、800℃まで昇温。
(C-1)ビスフェノールAビスジフェニルホスフェート(芳香族リン酸エステル系難燃剤、商品名:CR741〔登録商標〕、大八化学社製。10質量%減少温度:417℃)(以下、「(C-1)」ということもある)。
(C-2-1)下記の化学式(5)で表される化合物(常温(23℃)で固体性状。商品名:PX-200〔登録商標〕、大八化学社製。10質量%減少温度:348℃)(以下、「(C-2-1)」ということもある)。
Figure 0007186312000005

・・・・(5)
(C-2-2)フォスファゼン系難燃剤(商品名:ラビトルFP-110〔登録商標〕、伏見製薬所社製。10質量%減少温度:355℃)(以下、「(C-2-2)」ということもある)。
(C-2-3)10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド(商品名:HCA-HQ〔登録商標〕、三光社製。10質量%減少温度;348℃)(以下、「(C-2-3)」ということもある)。
<カオリンクレー(D)>
(D-1)表面処理していない平均一次粒子径0.2μmのカオリンクレー(商品名:ポリフィルHG90〔登録商標〕、米国J.M.フーバー社製)(以下、「(D-1)」ということもある)。
(D-2)メルカプトシラン化合物で表面処理した平均一次粒子径0.2μmのカオリンクレー(商品名:ニューキャップ290〔登録商標〕、米国J.M.フーバー社製)(以下、「(D-2)」ということもある)。
(D-3)ビニルシラン化合物で表面処理した平均一次粒子径0.2μmのカオリンクレー(商品名:ポリキャップCS〔登録商標〕、米国J.M.フーバー社製)(以下、「(D-3)」ということもある)。
(D-4)アミノシラン化合物で表面処理した平均一次粒子径0.2μmのカオリンクレー(商品名:ニューロック390〔登録商標〕、米国J.M.フーバー社製)(以下、「(D-4)」ということもある)。
<その他の材料>
(TPP)芳香族リン酸エステル系難燃剤(大八化学社製、商品名:TPP〔登録商標〕。10質量%減少温度:226℃)。
(CR733S)芳香族縮合リン酸エステル系難燃剤(大八化学社製、商品名:CR-733S〔登録商標〕。10質量%減少温度:323℃)。
(TAFMER)エチレン-プロピレン共重合体(三井化学社製:商品名:TAFMER P0680J〔登録商標〕)。
(PS)ハイインパクトポリスチレン(PSジャパン社製、商品名:ポリスチレンH9302〔登録商標〕)。
[比較例1]
(A-1)60質量部と、(B-3)4質量部と、(D-2)20質量部とを、独国Werner&Pfleiderer社製、バレル数13、スクリュー径40mmのZSK40MC二軸押出機(ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:6個、ニーディングディスクN:4個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給し、途中のバレル5から(C-1)16質量部を、液添ノズルを用いて添加して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数450rpm、押出レート150kg/hで溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-1に示す。
[比較例2]
(C-1)16質量部を(TPP)16質量部に置き換えて、最上流部(トップフィード)から供給した以外は、比較例1と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-1に示す。
[比較例3]
(C-1)16質量部を(CR733S)16質量部に置き換えて、バレル5から液添ノズルを用いて添加した以外は、比較例1と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-1に示す。
[実施例1]
(C-1)16質量部の内、0.5質量部を(C-2-1)に置き換えて、最上流部(トップフィード)から供給した以外は、比較例1と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-1に示す。
[実施例2]
(C-1)16質量部の内、0.7質量部を(C-2-1)に置き換えて、最上流部(トップフィード)から供給した以外は、比較例1と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-1に示す。
[実施例3]
(C-1)16質量部の内、1質量部を(C-2-1)に置き換えて、最上流部(トップフィード)から供給した以外は、比較例1と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-1に示す。
[実施例4]
(C-1)16質量部の内、2質量部を(C-2-1)に置き換えて、最上流部(トップフィード)から供給した以外は、比較例1と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-1に示す。
[実施例5]
(C-1)16質量部の内、4質量部を(C-2-1)に置き換えて、最上流部(トップフィード)から供給した以外は、比較例1と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-1に示す。
[実施例6]
(C-1)16質量部の内、8質量部を(C-2-1)に置き換えて、最上流部(トップフィード)から供給した以外は、比較例1と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-1に示す。
[実施例7]
(C-1)16質量部の内、12質量部を(C-2-1)に置き換えて、最上流部(トップフィード)から供給した以外は、比較例1と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-1に示す。
[実施例8]
(C-1)16質量部を全量、(C-2-1)16質量部に置き換えて、最上流部(トップフィード)から供給した以外は、比較例1と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-1に示す。
[実施例9]
実施例5の(B-3)を(B-1)に置き換えて、(D-2)を(D-1)に置き換えた以外は、実施例5と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-1に示す。
[実施例10]
実施例5の(D-2)を(D-1)に置き換えた以外は、実施例5と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-1に示す。
[実施例11]
実施例9の(B-1)を(B-3)に置き換えた以外は、実施例9と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-1に示す。
[実施例12]
実施例5の(B-3)を(B-2)に置き換えて、(D-2)を(D-3)に置き換えた以外は、実施例5と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-1に示す。
[実施例13]
実施例5の(D-2)を(D-4)に置き換えた以外は、実施例5と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-1に示す。
[実施例14]
(A-1)70質量部と、(C-2-1)4質量部と、(B-3)4質量部と、(D-2)15質量部とを、独国Werner&Pfleiderer社製、バレル数13、スクリュー径40mmのZSK40MC二軸押出機(ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:6個、ニーディングディスクN:4個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給し、途中のバレル5から(C-1)7質量部を、液添ノズルを用いて添加して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数450rpm、押出レート150kg/hで溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-2に示す。
[実施例15]
(A-1)80質量部と、(C-2-1)2質量部と、(B-3)2質量部と、(D-2)11質量部とを、独国Werner&Pfleiderer社製、バレル数13、スクリュー径40mmのZSK40MC二軸押出機(ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:6個、ニーディングディスクN:4個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給し、途中のバレル5から(C-1)5質量部を、液添ノズルを用いて添加して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数450rpm、押出レート150kg/hで溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-2に示す。
[比較例4]
(A-1)85質量部と、(C-1)2質量部と、(C-2-1)1質量部と、(B-3)1質量部と、(D-2)11質量部とを、独国Werner&Pfleiderer社製、バレル数13、スクリュー径40mmのZSK40MC二軸押出機(ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:6個、ニーディングディスクN:4個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数450rpm、押出レート150kg/hで溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-2に示す。
[実施例16]
(A-1)40質量部と、(C-2-1)3質量部と、(B-3)10質量部と、(D-2)25質量部とを、独国Werner&Pfleiderer社製、バレル数13、スクリュー径40mmのZSK40MC二軸押出機(ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:6個、ニーディングディスクN:4個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給し、途中のバレル5から(C-1)22質量部を、液添ノズルを用いて添加して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数450rpm、押出レート150kg/hで溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-2に示す。
[実施例17]
(A-1)25質量部と、(C-2-1)4質量部と、(B-3)20質量部と、(D-2)30質量部とを、独国Werner&Pfleiderer社製、バレル数13、スクリュー径40mmのZSK40MC二軸押出機(ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:6個、ニーディングディスクN:4個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給し、途中のバレル5から(C-1)21質量部を、液添ノズルを用いて添加して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数450rpm、押出レート150kg/hで溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-2に示す。
[比較例5]
(A-1)20質量部と、(C-2-1)6質量部と、(B-3)20質量部と、(D-2)30質量部とを、独国Werner&Pfleiderer社製、バレル数13、スクリュー径40mmのZSK40MC二軸押出機(ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:6個、ニーディングディスクN:4個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給し、途中のバレル5から(C-1)24質量部を、液添ノズルを用いて添加して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数450rpm、押出レート150kg/hで溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-2に示す。
尚、DTULは測定値が著しく低いことが予測されるため、敢えて測定はしなかった。
[実施例18]
(A-1)57質量部と、(C-2-1)4質量部と、(B-3)4質量部と、(D-2)17質量部と、(TAFMER)5質量部とを、独国Werner&Pfleiderer社製、バレル数13、スクリュー径40mmのZSK40MC二軸押出機(ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:6個、ニーディングディスクN:4個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給し、途中のバレル5から(C-1)13質量部を、液添ノズルを用いて添加して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数450rpm、押出レート150kg/hで溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-2に示す。
[実施例19]
実施例18の(TAFMER)5質量部を(PS)5質量部に置き換えた以外は、実施例18と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-2に示す。
[実施例20]
実施例18の(TAFMER)5質量部を用いず、(B-3)を9質量部とした以外は、実施例18と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-2に示す。
[実施例21]
実施例5の(C-2-1)4質量部を(C-2-2)に置き換えた以外は、実施例5と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-2に示す。
[実施例22]
実施例5の(C-2-1)4質量部を(C-2-3)に置き換えた以外は、実施例5と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-2に示す。
Figure 0007186312000006
Figure 0007186312000007
表1より、比較例1の樹脂組成物は、難燃剤の使用が本願(C-1)成分のみのため、難燃性が十分では無い。
比較例2と比較例3の樹脂組成物は、難燃剤の種類が、本願(C)成分と異なるため、比較例2は薄肉成形品外観とMD付着防止性が十分では無く、比較例3は薄肉成形品外観と難燃性が十分では無い。
実施例1~22の樹脂組成物は、(A)、(B)、(C)、及び(D)成分の配合量がいずれも本願の規定範囲内であるため、難燃性、薄肉成形品外観、MD付着防止性及び、その他の物性が良好であった。特に、実施例2~5、実施例9~16、実施例18、実施例20の樹脂組成物は、難燃性、薄肉成形品外観、MD付着防止性、及びその他の物性バランスが良好な傾向が見られた。
また、実施例1~8において、実施例2~5は薄肉成形品の成形時に発生しやすいシルバー発生が認められず、300ショット連続成形実施後の金型MD(モールドデポジット)の付着も認められなかった。即ち(C-1)と(C-2-1)とを特定の比率で併用することによって、薄肉成形品の外観と金型へのMD付着防止性が明らかに改良される傾向が認められた。原因は定かではないが、(C-1)と(C-2-1)とが組成物中に特定比率で存在することで、薄肉成形時にシルバー発生起因となる(C-2-1)成分由来の分解ガス成分が、(C-1)成分に取り込まれることでシルバーが発生しにくくなると推測され、一方、MD付着防止性の改良に関しては、MD成分が金型表面よりも成形品表層部の側に付着し易くなり、金型にMDが堆積し難くなるためと推測される。
比較例4は(A)成分が本願上限範囲外であり、(C)成分が本願下限範囲外であるため、薄肉成形外観及び、難燃性が十分では無い。
比較例5は(A)成分が本願規定の下限の範囲外であり、(C)成分が本願規定の上限の範囲外であるため、薄肉成形外観とMD付着防止性が十分では無く、また難燃性も十分では無い。
本発明の、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、剛性と靭性との性能バランスが要求されるような使用環境下において有効に使用可能であり、良好な成形外観を有し、難燃性、特に薄肉成形片での難燃性に優れ、また、薄肉成形時の金型MDやガスの発生も極めて少ないため、火災検知器のカバー部品等の成形品の製造に有効に使用することが可能である。

Claims (9)

  1. ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物であり、
    ポリフェニレンエーテル(A)、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)、難燃剤(C)、及びカオリンクレー(D)を含有し、前記(A)、(B)、(C)、及び(D)成分の合計量100質量%に対する各成分の含有量が、(A)成分25~84質量%、(B)成分1~20質量%、(C)成分4~25質量%、(D)成分11~30質量%であり、
    前記(C)成分は、前記(C)成分100質量%中に、下記の測定方法で測定したときの10質量%減少温度が380~430℃の範囲内である有機リン系難燃剤(C-1)0~97質量%と、下記の測定方法で測定したときの10質量%減少温度が330~360℃の範囲内である有機リン系難燃剤(C-2)100~3質量%とを含有し、
    前記(A)、(B)、(C)、及び(D)成分の合計含有量が、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物全体の90質量%以上を占める
    ことを特徴とする、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
    <前記(C-1)成分及び(C-2)成分の10質量%減少温度の測定方法>
    前記(C-1)成分及び(C-2)成分をそれぞれ約10mg秤量し、TGA測定装置にて、窒素雰囲気下、30℃から昇温速度10℃/minで800℃まで昇温して得られた加熱減量曲線から、10質量%減少温度を求めた。
  2. 前記(C-1)成分がビスフェノールAビスジフェニルホスフェートであり、前記(C-2)成分が下記化学式(1)で表される縮合型リン酸エステル系難燃剤である、請求項1に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
    Figure 0007186312000008
    (式中、R~Rは、2,6-キシリル基であり、nは1~3である。)
  3. 前記(B)成分が、アミノ化合物又はカルボニル化合物で変性されたスチレン系熱可塑性エラストマーを含む、請求項1又は2に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  4. 前記(C)成分が、前記(C-1)と前記(C-2)との混合物であり、前記(C)成分100質量%中に、前記(C-1)50~95質量%及び前記(C-2)50~5質量%を含有する、請求項1~のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  5. 前記(D)成分が、シラン化合物で表面処理したカオリンクレーを含む、請求項1~のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  6. 前記ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物100質量%中におけるポリオレフィン系樹脂及びスチレン系樹脂の合計含有量が5質量%以下である、請求項1~のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  7. 前記ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物100質量%中における前記(D)成分以外の無機質充填剤の含有量が3質量%以下である、請求項1~のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  8. UL94に準拠して、厚み1.5mmの試験片で燃焼試験を実施したときの難燃レベルがV-0である、請求項1~のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  9. 厚み1.5mm以下の部分を有し、請求項1~のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を含むことを特徴とする、成形品。
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