JP7186312B2 - ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物及び成形品 - Google Patents
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Description
また、ポリフェニレンエーテル樹脂と、液体ポリジオルガノシロキサン及びカオリンクレー等の無機質充填剤の配合物とからなる難燃性樹脂組成物も知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、無機質充填剤としてカオリンクレーが多量に配合されている樹脂組成物においては、燃焼時にカオリンクレー表面に局在化したエラストマー成分が燃焼持続性を促進するため、難燃剤を配合しても高度なレベルまで難燃化することは困難であった。
また、特許文献2に開示された技術においても、成形外観、剛性、及び靭性の性能バランスを維持したまま、薄肉試験片における難燃性のバラツキを改善するには不十分であった。
[1]
ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物であり、
ポリフェニレンエーテル(A)、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)、難燃剤(C)、及びカオリンクレー(D)を含有し、前記(A)、(B)、(C)、及び(D)成分の合計量100質量%に対する各成分の含有量が、(A)成分25~84質量%、(B)成分1~20質量%、(C)成分4~25質量%、(D)成分11~30質量%であり、
前記(C)成分は、前記(C)成分100質量%中に、下記の測定方法で測定したときの10質量%減少温度が380~430℃の範囲内である有機リン系難燃剤(C-1)0~97質量%と、下記の測定方法で測定したときの10質量%減少温度が330~360℃の範囲内である有機リン系難燃剤(C-2)100~3質量%とを含有し、
前記(A)、(B)、(C)、及び(D)成分の合計含有量が、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物全体の90質量%以上を占める
ことを特徴とする、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
<前記(C-1)成分及び(C-2)成分の10質量%減少温度の測定方法>
前記(C-1)成分及び(C-2)成分をそれぞれ約10mg秤量し、TGA測定装置にて、窒素雰囲気下、30℃から昇温速度10℃/minで800℃まで昇温して得られた加熱減量曲線から、10質量%減少温度を求めた。
[2]
前記(C-1)成分がビスフェノールAビスジフェニルホスフェートであり、前記(C-2)成分が下記化学式(1)で表される縮合型リン酸エステル系難燃剤である、[1]に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[3]
前記(B)成分が、アミノ化合物又はカルボニル化合物で変性されたスチレン系熱可塑性エラストマーを含む、[1]又は[2]に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[4]
前記(C)成分が、前記(C-1)と前記(C-2)との混合物であり、前記(C)成分100質量%中に、前記(C-1)50~95質量%及び前記(C-2)50~5質量%を含有する、[1]~[3]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[5]
前記(D)成分が、シラン化合物で表面処理したカオリンクレーを含む、[1]~[4]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[6]
前記ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物100質量%中におけるポリオレフィン系樹脂及びスチレン系樹脂の合計含有量が5質量%以下である、[1]~[5]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[7]
前記ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物100質量%中における前記(D)成分以外の無機質充填剤の含有量が3質量%以下である、[1]~[6]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[8]
UL94に準拠して、厚み1.5mmの試験片で燃焼試験を実施したときの難燃レベルがV-0である、[1]~[7]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[9]
厚み1.5mm以下の部分を有し、[1]~[8]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を含むことを特徴とする、成形品。
本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル(A)、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)、難燃剤(C)、及びカオリンクレー(D)を含有し、前記(A)、(B)、(C)、及び(D)成分の合計量100質量%に対する各成分の含有量が、(A)成分25~84質量%、(B)成分1~20質量%、(C)成分4~25質量%、(D)成分11~30質量%であり、前記(C)成分は、前記(C)成分100質量%中に、下記の測定方法で測定したときの10質量%減少温度が380~430℃の範囲内である有機リン系難燃剤(C-1)0~97質量%と、下記の測定方法で測定したときの10質量%減少温度が330~360℃の範囲内である有機リン系難燃剤(C-2)100~3質量%とを含有する。
<前記(C-1)成分及び(C-2)成分の10質量%減少温度の測定方法>
前記(C-1)成分及び(C-2)成分をそれぞれ約10mg秤量し、TGA測定装置にて、窒素雰囲気下、30℃から昇温速度10℃/minで800℃まで昇温して得られた加熱減量曲線から、10質量%減少温度を求めた。
本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物に含まれるポリフェニレンエーテル(A)(以下、ポリフェニレンエーテル(A)を単に「(A)成分」とも称す)は、下記化学式(2)及び/又は化学式(3)で表される繰り返し単位(構造のユニット)を有する、単独重合体(ホモポリマー)あるいは共重合体(コポリマー)であることが好ましい。
また、前記アルキル基の好ましい炭素数は1~3であり、前記アリール基の好ましい炭素数は6~8であり、前記一価の残基の中でも水素原子が好ましい。
尚、上記化学式(2)、(3)で表される繰り返し単位の数については、ポリフェニレンエーテル(A)の分子量分布により様々であるため、特に制限されることはない。
尚、ポリフェニレンエーテル(A)の末端OH基濃度は、NMR測定により算出することができる。
上記化学式(2)、(3)以外の他の種々のフェニレンエーテル単位としては、以下に限定されるものではないが、例えば、特開平01-297428号公報及び特開昭63-301222号公報に記載されている、2-(ジアルキルアミノメチル)-6-メチルフェニレンエーテル単位や、2-(N-アルキル-N-フェニルアミノメチル)-6-メチルフェニレンエーテル単位等が挙げられる。
ポリフェニレンエーテル(A)は、ポリフェニレンエーテルの主鎖中にジフェノキノン等に由来する繰り返し単位が少量結合していてもよい。
特に、本願(D)成分であるカオリンクレーとの密着性向上や、耐熱性、機械物性等の改良の観点から、ポリフェニレンエーテルを無水マレイン酸等の酸無水物やリンゴ酸、クエン酸、フマル酸等のカルボン酸類と反応させて官能化した官能化ポリフェニレンエーテルがポリフェニレンエーテル(A)の一部又は全部であることが好ましい。
尚、ポリフェニレンエーテル(A)の変性末端濃度は、NMR測定により算出することができる。
当該Mw/Mn値は、樹脂組成物の成形加工性の観点から2.0以上が好ましく、樹脂組成物の機械的物性の観点から5.5以下が好ましい。
また、ポリフェニレンエーテル(A)の数平均分子量Mnは、成形加工性と機械的物性の観点から、8000~28000であることが好ましく、より好ましくは12000~24000、更に好ましくは14000~22000である。
ここで、重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定による、ポリスチレン換算分子量から得られる。
ポリフェニレンエーテル(A)の還元粘度は、十分な機械的物性の観点から0.25dL/g以上であることが好ましく、成形加工性の観点から0.65dL/g以下であることが好ましい。
尚、還元粘度は、ウベローデ粘度計を用いて、0.5g/dLクロロホルム溶液、30℃で測定できる。
ポリフェニレンエーテル(A)の含有量は、十分な耐熱性、難燃性付与の観点から25質量%以上が好ましく、成形加工性と成形外観保持の観点から84質量%以下が好ましい。
本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、成形品の耐衝撃性や靭性、成形外観を向上させる観点から、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)(以下、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)を単に「(B)成分」とも称す)を含有する。
尚、水素添加率は、例えば、核磁気共鳴装置(NMR)により求めることができる。
前記共役ジエン化合物重合体ブロックは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
不飽和カルボン酸又はその官能的誘導体としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ハロゲン化マレイン酸、シス-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、エンド-シス-ビシクロ〔2,2,1〕-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸等や、これらジカルボン酸の無水物、エステル、アミド、イミド等、更に、アクリル酸、メタクリル酸等や、これらのモノカルボン酸のエステル、アミド等が挙げられる。
これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
イミダゾリジノン化合物としては、例えば、1,3-ジエチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジプロピル-2-イミダゾリジノン、1-メチル-3-エチル-2-イミダゾリジノン、1-メチル-3-(2-エトキシエチル)-2-イミダゾリジノン、1,3-ジ-(2-エトキシエチル)-2-イミダゾリジノン、1,3-ジメチルエチレンチオウレア、N,N‘-ジエチルプロピレンウレア、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン等が挙げられ、中でも1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンが好ましい。
ピロリドン化合物としては、例えば、1-シクロヘキシル-2-ピロリドン、1-ブチル-2-ピロリドン、1-エチル-2-ピロリドン、1-プロピル-2-ピロリドン、1-ブチル-2-ピロリドン、1-イソプロピル-2-ピロリドン、1,5-ジメチル-2-ピロリドン、1-メトキシメチル-2-ピロリドン、1-メチル-2-ピペリドン、1,4-ジメチル-2-ピペリドン、1-エチル-2-ピペリドン、1-イソプロピル-2-ピペリドン、1-イソプロピル-5,5-ジメチル-2-ピペリドン等が挙げられ、中でも1-メチル-2-ピロリドン、1-メチル-2-ピペリドンが好ましく、1-メチル-2-ピペリドンが特に好ましい。
これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、(B)成分のすべてがアミノ化合物又はカルボニル化合物で変性したスチレン系熱可塑性エラストマーであってもよいし、(B)成分としてアミノ化合物又はカルボニル化合物で変性したスチレン系熱可塑性エラストマーと共に、アミノ化合物又はカルボニル化合物で変性していないスチレン系熱可塑性エラストマーを併用してもよい。(B)成分100質量%中のアミノ化合物又はカルボニル化合物で変性したスチレン系熱可塑性エラストマーの含有量は、50~100質量%であることが好ましい。
本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物において用いられる難燃剤(C)は、環境負荷低減及び難燃性能の観点から、(C)成分100質量%中に、下記の測定方法で測定したときの10質量%減少温度が380~430℃の範囲内である有機リン系難燃剤(C-1)0~97質量%と、下記の測定方法で測定したときの10質量%減少温度が330~360℃の範囲内である有機リン系難燃剤(C-2)100~3質量%とを含有する難燃剤である。
<前記(C-1)成分及び(C-2)成分の10質量%減少温度の測定方法>
前記(C-1)成分及び(C-2)成分をそれぞれ約10mg秤量し、熱重量分析(TGA)測定装置にて、窒素雰囲気下、30℃から昇温速度10℃/minで800℃まで昇温して得られた加熱減量曲線から、10質量%減少温度(質量が10質量%減少したときの温度)を求めた。
・・・・(1)
式中、R1~R4は、2,6-キシリル基であり、nは1~3から選ばれる。nは1又は2が好ましく、nは1がより好ましい。
難燃剤(C)として、(C)成分100質量%中に、(C-1)0~97質量%及び(C-2)100~3質量%を含む混合物を用いることにより、後述の垂直燃焼試験(UL94に準拠)を実施したときの試験片間における燃焼時間のバラツキを改善することができる。
尚、本実施形態の樹脂組成物は、溶剤を用いて、ろ過、濃縮、遠心分離等の操作を行なうことで、樹脂組成物中の各成分の分離が可能である。
更に、分離した難燃剤(C)は、GC-MSやNMR等の解析機器を用いて解析操作を行なうことで、難燃剤(C)成分の定性、定量が可能である。
カオリンクレー(D)は、本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物において、成形外観を保持して機械的強度を向上させる目的で配合される。
カオリンクレー(D)の表面処理に用いられるシラン化合物の具体例としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン化合物、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシシラン化合物、ビスー(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイド等の硫黄系シラン化合物、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン化合物、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-ユレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン化合物等が挙げられる。本発明の目的のために特に好ましいシラン化合物は、樹脂組成物への分散性及び、取扱性の観点から、メルカプトシラン化合物及びアミノシラン化合物であり、特にメルカプトシラン化合物が好ましい。
これらのシラン化合物は、1種単独で用いてもよく、2種類以上を併用して用いてもよい。
また、(D)成分のすべてがこれらシラン化合物で表面処理したカオリンクレーであってもよいし、(D)成分としてこれらシラン化合物で表面処理したカオリンクレーと共に、シラン化合物以外の表面処理剤で表面処理したカオリンクレーや、表面処理していないカオリンクレーを併用してもよい。(D)成分100質量%中のシラン化合物で表面処理したカオリンクレーの含有量は、50~100質量%であることが好ましい。
本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物においては、更にポリオレフィン系樹脂及び/又はスチレン系樹脂を含有することが可能である。
ポリオレフィン系樹脂は、1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
スチレン系樹脂は、1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
前記スチレン系化合物と共重合可能な化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル化合物類;無水マレイン酸等の酸無水物等が挙げられる。
スチレン系化合物と共重合可能な化合物の使用量は、スチレン系化合物とスチレン系化合物と共重合可能な化合物との合計量100質量%に対して、30質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
スチレン系樹脂としては、ゴム強化されていないスチレン系樹脂が、成形品の外観保持の観点から好ましい。
また、本実施形態の樹脂組成物中におけるポリオレフィン系樹脂の含有量は、樹脂組成物100質量%に対して5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは2質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以下である。
また、本実施形態の樹脂組成物中におけるスチレン系樹脂の含有量は、樹脂組成物100質量%に対して5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは3質量%以下であり、更に好ましくは2質量%以下である。
十分な添加効果発現の観点から、0.001質量%以上とすることが好ましく、物性保持の観点から3質量%以下とすることが好ましい。
尚、カオリンクレー(D)以外の無機質充填剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、ガラスフレーク、タルク、ガラスミルドファイバー、クロライト、有機化クレー等が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び必要に応じてその他の材料を溶融混練することによって、製造することができる。
二軸押出機のスクリュー径は25~90mmの範囲内が好ましい。より好ましくは40~70mmの範囲内である。例えば、ZSK40MC二軸押出機(独国Werner&Pfleiderer社製、バレル数13、スクリュー径40mm、L/D=50;ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:6個、及びニーディングディスクN:4個を有するスクリューパターン)を用いた場合に、シリンダー温度270~330℃、スクリュー回転数150~600rpm、押出レート40~300kg/hの条件で溶融混練する方法や、TEM58SS二軸押出機(東芝機械社製、バレル数13、スクリュー径58mm、L/D=53;ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:14個、及びニーディングディスクN:2個を有するスクリューパターン)を用いた場合に、シリンダー温度270~330℃、スクリュー回転数150~600rpm、押出レート250~700kg/hの条件で溶融混練する方法が好適な方法として挙げられる。
ここで、前記「L」は、押出機の「スクリューバレル長さ」であり、前記「D」は「スクリューバレルの直径」である。
また、本実施形態の樹脂組成物を二軸押出機を用いて製造するに際して、予め、(A)成分、(B)成分、(C-2)成分、及び(D)成分と、必要に応じてその他の材料とを押出機の最上流部の供給口(トップフィード)から供給して溶融混練した後、途中の押出機バレルから液添設備で(C-1)成分を配合し、十分に溶融混練して樹脂組成物を製造することが、機械物性向上及び十分な本発明の効果達成の観点から好ましい。
また、耐熱性及び機械的物性付与の観点から、(A)成分、(C-2)成分、及び(D)成分は押出機の最上流部の供給口(トップフィード)から供給し、(C-1)成分は押出機途中に設けた供給口(液添ノズル)から、また、(B)成分は押出機途中に設けた原料押込み供給口(サイドフィード)から供給することが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物の難燃性レベル(UL94に準拠)は、火災等の発火による延焼防止の観点から、1.5mmの厚みを有するタンザク試験片でUL94に準拠して垂直燃焼試験を実施した際にV-0であることが好ましい。
また、試験片5本でUL94に準拠して垂直燃焼試験した場合の、第一接炎時及び第二接炎時(5本×2回の合計10回の接炎)に測定した燃焼秒数における最小燃焼秒数と最大燃焼秒数との燃焼時間の時間差が5秒以内であることが好ましい。
尚、樹脂組成物の難燃性レベル、最小燃焼秒数、及び最大燃焼秒数は、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
尚、樹脂組成物の引張強度は、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
尚、樹脂組成物の引張伸度は、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
尚、樹脂組成物の曲げ強度は、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
尚、樹脂組成物の曲げ弾性率は、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
尚、樹脂組成物のシャルピー衝撃強度は、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
尚、樹脂組成物のDTULは、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態の樹脂組成物からなる成形品は、上述の樹脂組成物を成形することにより得ることができる。
実施例及び比較例により製造した樹脂組成物のペレットを、90℃の熱風乾燥機中で1時間乾燥した。
乾燥後の樹脂組成物を用いて、ISO物性試験片金型を備え付けた射出成形機(IS-80EPN、東芝機械社製)により、シリンダー温度300℃、金型温度90℃、射出圧力50MPa(ゲージ圧)、射出速度200mm/sec、射出時間/冷却時間=20sec/20secに設定し、ISO3167、多目的試験片A型のダンベル成形片を成形した。得られた多目的試験片A型のダンベル成形片を切断して、80mm×10mm×4mmの試験片を作製した。当該試験片を用いて、ISO75に準拠し、フラットワイズ法、0.45MPaで荷重たわみ温度(DTUL)(℃)を測定し、測定本数3本の平均値を求めた。
評価基準としては、測定値の平均値が高い値であるほど、耐熱性が優れていると判定した。
上記1.で製造したISO3167、多目的試験片A型ダンベル成形片を切断して、80mm×10mm×4mmの試験片を作製した。当該試験片を用いて、ISO179に準拠し、シャルピー衝撃強度(ノッチ有)(kJ/m2)を23℃で測定し、測定本数5本の平均値を求めた。
評価基準としては、測定値の平均値が高い値であるほど、耐衝撃性に優れていると判定した。
上記1.で製造したISO3167、多目的試験片A型ダンベル成形片を用いてISO527に準拠し、引張強度(MPa)及び引張伸度(引張呼び歪み)(%)を23℃で、試験速度5mm/minで測定し、測定本数5本の平均値を求めた。
評価基準としては、引張伸度の測定値の平均値が高い値であるほど、靭性に優れていると判定し、特に10%以上の場合に、本実施形態の樹脂組成物として望ましいと判定した。また、引張強度の測定値の平均値が高い値であるほど、機械的物性に優れていると判定し、特に50MPa以上の場合に、本実施形態の樹脂組成物として望ましいと判定した。
上記1.で製造したISO3167、多目的試験片A型ダンベル成形片を切断して、80mm×10mm×4mmの試験片を作製した。当該試験片を用いて、ISO178に準拠し、曲げ強度(MPa)及び曲げ弾性率(MPa)を23℃で測定し、測定本数3本の平均値を求めた。
評価基準としては、曲げ弾性率の測定値の平均値が高い値であるほど、剛性に優れていると判定し、特に3000MPa以上の場合に、本実施形態の樹脂組成物として望ましいと判定した。また、曲げ強度の測定値の平均値が高い値であるほど、機械的物性に優れていると判定し、特に80MPa以上の場合に、本実施形態の樹脂組成物として望ましいと判定した。
実施例及び比較例により製造した樹脂組成物のペレットを、90℃の熱風乾燥機中で1時間乾燥した。
乾燥後の樹脂組成物を用いて、1.5mm厚みのUL試験片金型を備え付けた射出成形機(IS-80EPN、東芝機械社製)により、比較例1~3及び実施例1~14、実施例18~22ではシリンダー温度300℃、金型温度80℃に、実施例15及び比較例4ではシリンダー温度320℃、金型温度90℃に、実施例16、17及び比較例5ではシリンダー温度260℃、金型温度60℃に設定し、それぞれ射出速度25%(パネル設定値)、射出時間/冷却時間=10sec/30secの条件にて、射出圧力をSSP(ショートショットプレッシャー)+5MPa(ゲージ圧)に調整して、1.5mm厚みのUL試験片を成形した。
1.5mm厚みのUL試験片20本について、試験片表面に発生した長さ2mm以上のシルバーの合計個数を目視ですべてカウントして、成形外観のレベルを判定した。
シルバーのカウント数が0~2個を◎、3~5個を〇、6~9個を△、10個以上を×と評価し、〇以上を薄肉成形外観に優れると判定し、◎の場合は本実施形態の樹脂組成物として特に好ましいと判定した。
実施例及び比較例により製造した樹脂組成物のペレットを、90℃の熱風乾燥機中で1時間乾燥した。乾燥後の樹脂組成物を、寸法150mm×150mm×2mm厚みのピンゲート平板金型を備え付けた射出成形機(IS-80EPN、東芝機械社製)により、比較例1~3及び実施例1~14、実施例18~22ではシリンダー温度300℃、金型温度80℃に、実施例15及び比較例4ではシリンダー温度320℃、金型温度90℃に、実施例16、17及び比較例5ではシリンダー温度260℃、金型温度60℃に設定し、それぞれ射出圧力(ゲージ圧70MPa)、射出速度(パネル設定値)85%、射出時間/冷却時間=10sec/30secに設定して、成形平板の連続成形を行なった。
200ショット以下の連続成形で、目視で金型にMD付着が認められた場合を×、200ショットの連続成形後には目視で金型にMD付着が認められず、300ショットの連続成形後には目視で金型にMD付着が認められた場合を〇、300ショットの連続成形後も目視で金型にMD付着が認められない場合を◎と評価した。
評価基準としては、〇以上でMD防止性に優れていると判定し、◎の場合は本実施形態の樹脂組成物として特に好ましいと判定した。
上記5.で得られた1.5mm厚みのタンザク試験片5本を用いて、UL94垂直燃焼試験法に基づいて測定を行ない、難燃レベルを判定した。また、タンザク試験片それぞれの第一接炎時及び第二接炎時の燃焼秒数を測定し(5本×2回の合計10回の接炎)、最小燃焼秒数と最大燃焼秒数との差を算出した。
難燃レベルがV-0の場合を難燃性に優れると判定した。特に、難燃レベルがV-0判定で、最小燃焼秒数と最大燃焼秒数との時間差が5秒以内である場合に、本実施形態の樹脂組成物として特に好ましいと判定した。
<ポリフェニレンエーテル(PPE)(A)>
(A-1)還元粘度0.50dL/g(0.5g/dLクロロホルム溶液、30℃、ウベローデ粘度計で測定)、数平均分子量18300、100ユニットあたりの末端OH基:0.71個、100ユニットあたりのN,N-ジブチルアミノメチル基:0.39個のポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレン)エーテル粉体(A-1)を溶液重合により作製した(以下、単に「(A-1)」ということもある)。
(B-1)無変性スチレン系熱可塑性エラストマー。商品名:タフテックH1041〔登録商標〕、旭化成社製(以下、「(B-1)」ということもある)。
(B-2)カルボニル変性スチレン系熱可塑性エラストマー。上記の(B-1)100質量部に、無水マレイン酸1.0質量部及び日本油脂(株)製パーブチルD0.5質量部を均一に混合した後、二軸押出機を用いて260℃にて溶融混練することで、無水マレイン酸変性熱可塑性エラストマー(B-2)を得た(以下、「(B-2)」ということもある)。ナトリウムメチラートを用いた滴定法によって求めた(B-1)100質量部に対する無水マレイン酸の付加量は、約0.3質量部であった。
(B-3)アミノ変性スチレン系熱可塑性エラストマー。窒素ガスで置換した撹拌機付きリアクターのシクロヘキサン溶剤中で、n-ブチルリチウムを重合開始剤として用い、数平均分子量が40,000、結合スチレン量30質量%、ブタジエンの1,2-ビニル結合量が38%のポリスチレン-ポリブタジエン-ポリスチレンの構造で、ポリマー鎖末端がリビングリチウムイオン構造を示すブロック共重合体を重合した。重合終了後、使用したn-ブチルリチウム量から重合体溶液中に存在するリチウムイオンに対して1.5倍モルの1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンを加え、95℃にて10分間反応させた後、米国特許第4501857号明細書に記載された方法にて水素添加反応をポリブタジエン部分のエチレン不飽和結合量が20%未満になるまで定量的に継続して実施し、水素添加率81.6%のポリマーを得た。この水添反応後のポリマー溶液に熱劣化安定剤として2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールをポリマー100gに対して0.3g添加して、溶剤であるシクロヘキサンを加熱除去し、ポリスチレン-水素添加されたポリブタジエン-ポリスチレンの構造を有し、該ポリスチレン鎖末端に2級アミンが付加したスチレン系熱可塑性エラストマー(B-3)を得た(以下、「(B-3)」ということもある)。
難燃剤(C)の10質量%減少温度の測定は、いずれも以下の装置、条件で測定した。
測定サンプル量:約10mg
測定装置:BRUKERコントロールMTC1000SA
炉:TGA-DTA2000SR
測定条件:窒素雰囲気下、30℃から昇温速度10℃/minで、800℃まで昇温。
(C-1)ビスフェノールAビスジフェニルホスフェート(芳香族リン酸エステル系難燃剤、商品名:CR741〔登録商標〕、大八化学社製。10質量%減少温度:417℃)(以下、「(C-1)」ということもある)。
(C-2-1)下記の化学式(5)で表される化合物(常温(23℃)で固体性状。商品名:PX-200〔登録商標〕、大八化学社製。10質量%減少温度:348℃)(以下、「(C-2-1)」ということもある)。
・・・・(5)
(C-2-2)フォスファゼン系難燃剤(商品名:ラビトルFP-110〔登録商標〕、伏見製薬所社製。10質量%減少温度:355℃)(以下、「(C-2-2)」ということもある)。
(C-2-3)10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド(商品名:HCA-HQ〔登録商標〕、三光社製。10質量%減少温度;348℃)(以下、「(C-2-3)」ということもある)。
(D-1)表面処理していない平均一次粒子径0.2μmのカオリンクレー(商品名:ポリフィルHG90〔登録商標〕、米国J.M.フーバー社製)(以下、「(D-1)」ということもある)。
(D-2)メルカプトシラン化合物で表面処理した平均一次粒子径0.2μmのカオリンクレー(商品名:ニューキャップ290〔登録商標〕、米国J.M.フーバー社製)(以下、「(D-2)」ということもある)。
(D-3)ビニルシラン化合物で表面処理した平均一次粒子径0.2μmのカオリンクレー(商品名:ポリキャップCS〔登録商標〕、米国J.M.フーバー社製)(以下、「(D-3)」ということもある)。
(D-4)アミノシラン化合物で表面処理した平均一次粒子径0.2μmのカオリンクレー(商品名:ニューロック390〔登録商標〕、米国J.M.フーバー社製)(以下、「(D-4)」ということもある)。
(TPP)芳香族リン酸エステル系難燃剤(大八化学社製、商品名:TPP〔登録商標〕。10質量%減少温度:226℃)。
(CR733S)芳香族縮合リン酸エステル系難燃剤(大八化学社製、商品名:CR-733S〔登録商標〕。10質量%減少温度:323℃)。
(TAFMER)エチレン-プロピレン共重合体(三井化学社製:商品名:TAFMER P0680J〔登録商標〕)。
(PS)ハイインパクトポリスチレン(PSジャパン社製、商品名:ポリスチレンH9302〔登録商標〕)。
(A-1)60質量部と、(B-3)4質量部と、(D-2)20質量部とを、独国Werner&Pfleiderer社製、バレル数13、スクリュー径40mmのZSK40MC二軸押出機(ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:6個、ニーディングディスクN:4個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給し、途中のバレル5から(C-1)16質量部を、液添ノズルを用いて添加して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数450rpm、押出レート150kg/hで溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-1に示す。
(C-1)16質量部を(TPP)16質量部に置き換えて、最上流部(トップフィード)から供給した以外は、比較例1と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-1に示す。
(C-1)16質量部を(CR733S)16質量部に置き換えて、バレル5から液添ノズルを用いて添加した以外は、比較例1と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-1に示す。
(C-1)16質量部の内、0.5質量部を(C-2-1)に置き換えて、最上流部(トップフィード)から供給した以外は、比較例1と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-1に示す。
(C-1)16質量部の内、0.7質量部を(C-2-1)に置き換えて、最上流部(トップフィード)から供給した以外は、比較例1と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-1に示す。
(C-1)16質量部の内、1質量部を(C-2-1)に置き換えて、最上流部(トップフィード)から供給した以外は、比較例1と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-1に示す。
(C-1)16質量部の内、2質量部を(C-2-1)に置き換えて、最上流部(トップフィード)から供給した以外は、比較例1と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-1に示す。
(C-1)16質量部の内、4質量部を(C-2-1)に置き換えて、最上流部(トップフィード)から供給した以外は、比較例1と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-1に示す。
(C-1)16質量部の内、8質量部を(C-2-1)に置き換えて、最上流部(トップフィード)から供給した以外は、比較例1と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-1に示す。
(C-1)16質量部の内、12質量部を(C-2-1)に置き換えて、最上流部(トップフィード)から供給した以外は、比較例1と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-1に示す。
(C-1)16質量部を全量、(C-2-1)16質量部に置き換えて、最上流部(トップフィード)から供給した以外は、比較例1と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-1に示す。
実施例5の(B-3)を(B-1)に置き換えて、(D-2)を(D-1)に置き換えた以外は、実施例5と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-1に示す。
実施例5の(D-2)を(D-1)に置き換えた以外は、実施例5と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-1に示す。
実施例9の(B-1)を(B-3)に置き換えた以外は、実施例9と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-1に示す。
実施例5の(B-3)を(B-2)に置き換えて、(D-2)を(D-3)に置き換えた以外は、実施例5と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-1に示す。
実施例5の(D-2)を(D-4)に置き換えた以外は、実施例5と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-1に示す。
(A-1)70質量部と、(C-2-1)4質量部と、(B-3)4質量部と、(D-2)15質量部とを、独国Werner&Pfleiderer社製、バレル数13、スクリュー径40mmのZSK40MC二軸押出機(ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:6個、ニーディングディスクN:4個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給し、途中のバレル5から(C-1)7質量部を、液添ノズルを用いて添加して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数450rpm、押出レート150kg/hで溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-2に示す。
(A-1)80質量部と、(C-2-1)2質量部と、(B-3)2質量部と、(D-2)11質量部とを、独国Werner&Pfleiderer社製、バレル数13、スクリュー径40mmのZSK40MC二軸押出機(ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:6個、ニーディングディスクN:4個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給し、途中のバレル5から(C-1)5質量部を、液添ノズルを用いて添加して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数450rpm、押出レート150kg/hで溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-2に示す。
(A-1)85質量部と、(C-1)2質量部と、(C-2-1)1質量部と、(B-3)1質量部と、(D-2)11質量部とを、独国Werner&Pfleiderer社製、バレル数13、スクリュー径40mmのZSK40MC二軸押出機(ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:6個、ニーディングディスクN:4個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数450rpm、押出レート150kg/hで溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-2に示す。
(A-1)40質量部と、(C-2-1)3質量部と、(B-3)10質量部と、(D-2)25質量部とを、独国Werner&Pfleiderer社製、バレル数13、スクリュー径40mmのZSK40MC二軸押出機(ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:6個、ニーディングディスクN:4個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給し、途中のバレル5から(C-1)22質量部を、液添ノズルを用いて添加して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数450rpm、押出レート150kg/hで溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-2に示す。
(A-1)25質量部と、(C-2-1)4質量部と、(B-3)20質量部と、(D-2)30質量部とを、独国Werner&Pfleiderer社製、バレル数13、スクリュー径40mmのZSK40MC二軸押出機(ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:6個、ニーディングディスクN:4個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給し、途中のバレル5から(C-1)21質量部を、液添ノズルを用いて添加して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数450rpm、押出レート150kg/hで溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-2に示す。
(A-1)20質量部と、(C-2-1)6質量部と、(B-3)20質量部と、(D-2)30質量部とを、独国Werner&Pfleiderer社製、バレル数13、スクリュー径40mmのZSK40MC二軸押出機(ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:6個、ニーディングディスクN:4個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給し、途中のバレル5から(C-1)24質量部を、液添ノズルを用いて添加して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数450rpm、押出レート150kg/hで溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-2に示す。
尚、DTULは測定値が著しく低いことが予測されるため、敢えて測定はしなかった。
(A-1)57質量部と、(C-2-1)4質量部と、(B-3)4質量部と、(D-2)17質量部と、(TAFMER)5質量部とを、独国Werner&Pfleiderer社製、バレル数13、スクリュー径40mmのZSK40MC二軸押出機(ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:6個、ニーディングディスクN:4個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給し、途中のバレル5から(C-1)13質量部を、液添ノズルを用いて添加して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数450rpm、押出レート150kg/hで溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-2に示す。
実施例18の(TAFMER)5質量部を(PS)5質量部に置き換えた以外は、実施例18と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-2に示す。
実施例18の(TAFMER)5質量部を用いず、(B-3)を9質量部とした以外は、実施例18と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-2に示す。
実施例5の(C-2-1)4質量部を(C-2-2)に置き換えた以外は、実施例5と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-2に示す。
実施例5の(C-2-1)4質量部を(C-2-3)に置き換えた以外は、実施例5と同様な条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1-2に示す。
比較例2と比較例3の樹脂組成物は、難燃剤の種類が、本願(C)成分と異なるため、比較例2は薄肉成形品外観とMD付着防止性が十分では無く、比較例3は薄肉成形品外観と難燃性が十分では無い。
また、実施例1~8において、実施例2~5は薄肉成形品の成形時に発生しやすいシルバー発生が認められず、300ショット連続成形実施後の金型MD(モールドデポジット)の付着も認められなかった。即ち(C-1)と(C-2-1)とを特定の比率で併用することによって、薄肉成形品の外観と金型へのMD付着防止性が明らかに改良される傾向が認められた。原因は定かではないが、(C-1)と(C-2-1)とが組成物中に特定比率で存在することで、薄肉成形時にシルバー発生起因となる(C-2-1)成分由来の分解ガス成分が、(C-1)成分に取り込まれることでシルバーが発生しにくくなると推測され、一方、MD付着防止性の改良に関しては、MD成分が金型表面よりも成形品表層部の側に付着し易くなり、金型にMDが堆積し難くなるためと推測される。
比較例5は(A)成分が本願規定の下限の範囲外であり、(C)成分が本願規定の上限の範囲外であるため、薄肉成形外観とMD付着防止性が十分では無く、また難燃性も十分では無い。
Claims (9)
- ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物であり、
ポリフェニレンエーテル(A)、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)、難燃剤(C)、及びカオリンクレー(D)を含有し、前記(A)、(B)、(C)、及び(D)成分の合計量100質量%に対する各成分の含有量が、(A)成分25~84質量%、(B)成分1~20質量%、(C)成分4~25質量%、(D)成分11~30質量%であり、
前記(C)成分は、前記(C)成分100質量%中に、下記の測定方法で測定したときの10質量%減少温度が380~430℃の範囲内である有機リン系難燃剤(C-1)0~97質量%と、下記の測定方法で測定したときの10質量%減少温度が330~360℃の範囲内である有機リン系難燃剤(C-2)100~3質量%とを含有し、
前記(A)、(B)、(C)、及び(D)成分の合計含有量が、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物全体の90質量%以上を占める
ことを特徴とする、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
<前記(C-1)成分及び(C-2)成分の10質量%減少温度の測定方法>
前記(C-1)成分及び(C-2)成分をそれぞれ約10mg秤量し、TGA測定装置にて、窒素雰囲気下、30℃から昇温速度10℃/minで800℃まで昇温して得られた加熱減量曲線から、10質量%減少温度を求めた。 - 前記(B)成分が、アミノ化合物又はカルボニル化合物で変性されたスチレン系熱可塑性エラストマーを含む、請求項1又は2に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
- 前記(C)成分が、前記(C-1)と前記(C-2)との混合物であり、前記(C)成分100質量%中に、前記(C-1)50~95質量%及び前記(C-2)50~5質量%を含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
- 前記(D)成分が、シラン化合物で表面処理したカオリンクレーを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
- 前記ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物100質量%中におけるポリオレフィン系樹脂及びスチレン系樹脂の合計含有量が5質量%以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
- 前記ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物100質量%中における前記(D)成分以外の無機質充填剤の含有量が3質量%以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
- UL94に準拠して、厚み1.5mmの試験片で燃焼試験を実施したときの難燃レベルがV-0である、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
- 厚み1.5mm以下の部分を有し、請求項1~8のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を含むことを特徴とする、成形品。
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