JP7185178B2 - 発電予備力測定装置及び発電予備力測定方法 - Google Patents

発電予備力測定装置及び発電予備力測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、発電予備力測定装置及び発電予備力測定方法に関し、例えば、太陽光発電設備に好適に用いられる発電予備力測定装置及び発電予備力測定方法に関する。
近年、分散型電源を電力系統に接続した電力供給システムの実用化が進んでいる。この電力供給システムでは、各需要家に設置された太陽光発電設備及び蓄電設備などの分散型電源がパワーコンディショニングシステム(PCS:Power Conditioning System)を介して電力系統に接続されている(例えば、特許文献1参照)。パワーコンディショニングシステムは、太陽光発電設備や蓄電設備から出力される直流電力を制御すると共に、直流電力を交流電力に変換して配電線へ供給する制御を行っている。
特開2017-200286号公報
近年、太陽光発電設備の増加に伴い火力発電などによる電力系統の発電予備力の確保が必要となっており、太陽光発電設備自体の発電予備力の確保も重要視されている。太陽光発電は、最大電力点追従制御(MPPT:Maximun Power Point Tracking)により最大電力点で通常運転を行っているために発電予備力はないに等しい。一方で、太陽光発電では、出力抑制運転を行うこともあり、出力抑制運転中には一定の発電予備力(発電量の上げ余力)を確保して運転している。しかしながら、太陽光発電では、日射量及び温度の変化によって出力が大きく変化するので、出力抑制運転中に日射量及び温度などが変化した際には、実際の発電予備力がどの程度確保されているかは不明となる。
太陽光発電設備の発電出力抑制中に発電予備力を求めるためには、太陽光発電設備の太陽光パネルを発電出力抑制状態から最大電力発生状態まで出力電圧を変化させることが行われている。しかしながら、電力系統の電圧の状況によっては、太陽光パネルの出力電圧を最大電力発生状態まで変化させることができず、発電予備力を任意に測定できない場合があった。また、日射計及び温度計などを用いて太陽光発電設備の太陽光パネルの出力電圧を算出することも検討されているが、太陽光発電設備毎に個別に日射計及び温度計を設置する必要があり、実際には実現が困難であった。このように、従来の発電予備力測定方法では、日射計及び温度計を用いることなく、電力系統の電圧状態によらずに任意に発電予備力を測定することは困難であった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、日射計及び温度計などを用いることがなく、しかも、電力系統の電圧状態によらずに発電予備力を測定可能な発電予備力測定装置及び発電予備力測定方法を提供することを目的とする。
本発明に係る発電予備力測定装置は、光エネルギーにより発電する少なくとも1つの太陽光パネルを備えた太陽光発電部と、前記電力系統に接続され、前記太陽光発電部に属する前記少なくとも1つの前記太陽光パネルの出力電圧を変化させる電力制御部と、前記少なくとも1つの太陽光パネルの出力電圧に基づいて、前記太陽光発電部の発電予備力を算出する発電予備力算出部とを備えたことを特徴とする。
上記発電予備力測定装置によれば、日射計及び温度計などを用いることなく、しかも、電力系統への悪影響を低減して出力抑制運転時の太陽光発電部の発電予備力を測定できる。これにより、太陽光発電部の従来より正確な発電予備力の把握が可能となり、太陽光発電部による貫性力確保も可能となる。この結果、太陽光発電の慣性力を確保できると共に、太陽光発電の発電予備力を用いたビジネスも可能となり、太陽光発電部の運転時の出力抑制量の計算も可能となるだけでなく、太陽光発電時に生じうる保証金などの計算も容易となる。
本発明に係る発電予備力測定装置においては、前記太陽光発電部を複数備え、前記発電予備力算出部が算出した前記発電予備力に基づいて、複数の前記太陽光発電部の発電予備力を算出することが好ましい。この構成により、複数の太陽光発電部の発電予備力をそれぞれ測定することが可能となる。
本発明に係る発電予備力測定装置においては、前記発電予備力算出部は、前記太陽光発電部に属する複数の太陽光パネルの中で最大出力の太陽光パネルの出力電圧に基づいて前記太陽光発電部の発電予備力を算出することが好ましい。この構成により、太陽光発電部に属する太陽光パネルの出力電圧を変化させずに発電予備力を測定することが可能となる。
本発明に係る発電予備力測定装置においては、前記電力制御部は、前記太陽光発電部に属する太陽光パネルの中で最大出力の太陽光パネルの出力電圧を変化させて前記太陽光発電部の発電予備力を算出することが好ましい。この構成により、太陽光発電部に属する出力変化させる太陽光パネルを減少させることができるので、発電予備力を容易に測定することが可能となる。
本発明に係る発電予備力測定装置においては、前記電力制御部は、前記太陽光パネルの設置方向、角度及び容量を変化させることにより、前記太陽光パネルの出力電圧を変化させることが好ましい。この構成により、太陽光パネルの出力電圧を容易に変化させることができるので、発電予備力を容易に測定することが可能となる。
本発明に係る発電予備力測定装置においては、前記電力制御部は、電力系統の電圧が低い方から順に前記電力系統に接続された前記太陽光パネルの出力電圧を変化させることが好ましい。この構成により、電力系統に対する電圧変化を低減することが可能となる。
本発明に係る発電予備力測定装置においては、前記電力制御部は、前記出力電圧を増加させた増加分を他の太陽光パネルで相殺することが好ましい。この構成により、電力系統に対する電圧変化を低減することが可能となる。
本発明に係る発電予備力測定装置においては、前記電力制御部は、前記出力電圧を増加させた太陽光パネルと同じ電力系統に接続された太陽光パネルの無効電力を制御することにより、電圧変動を低減することが好ましい。この構成により、電力系統に対する電圧変化を低減することが可能となる。
本発明に係る発電予備力測定装置においては、前記発電予備力算出部は、個別の太陽光パネルの発電予備力を計算した後、無効電力により電圧変動を抑制しながら最大限出力可能な発電予備力を算出することが好ましい。
本発明に係る発電予備力測定装置においては、前記電力制御部は、複数の太陽光発電部の出力の差を低減することが好ましい。
本発明に係る発電予備力測定方法は、電力系統に接続された太陽光発電部に属する少なくとも1つの太陽光パネルの出力電圧を変化させる電力制御工程と、前記少なくとも1つの太陽光パネルの出力電圧に基づいて、前記太陽光発電部の発電予備力を算出する発電予備力算出工程とを含むことを特徴とする。
上記発電予備力測定方法によれば、日射計及び温度計などを用いることなく、しかも、電力系統への悪影響を低減して出力抑制運転時の太陽光発電部の発電予備力を測定できる。これにより、太陽光発電部の従来より正確な発電予備力の把握が可能となり、太陽光発電部による貫性力確保も可能となる。この結果、太陽光発電の慣性力を確保できると共に、太陽光発電の発電予備力を用いたビジネスも可能となり、太陽光発電部の運転時の出力抑制量の計算も可能となるだけでなく、太陽光発電時に生じうる保証金などの計算も容易となる。
本発明によれば、日射計及び温度計などを用いることがなく、しかも、電力系統の電圧状態によらずに発電予備力を測定可能な発電予備力測定装置及び発電予備力測定方法を実現できる。
図1は、太陽光パネルの電流と電圧との関係を示す図である。 図2は、太陽光パネルの日射強度と電圧及び電流との関係を示す図である。 図3は、太陽光パネルの温度と電圧及び電流との関係を示す図である。 図4は、複数の太陽光パネルを直列接続した場合の太陽光パネルの数と電流及び電圧との関係を示す図である。 図5は、複数の太陽光パネルを並列接続した場合の太陽光パネルの数と電流及び電圧との関係を示す図である。 図6は、本発明の実施の形態に係る発電予備力測定装置の一例を示す機能ブロック図である。 図7は、本発明の実施の形態に係る電力制御部の機能ブロック図である。 図8は、本発明の実施の形態に係る発電予備力制御方法の一例を示すフロー図である。 図9は、本発明の実施の形態に係る発電予備力制御方法の他の例を示すフロー図である。 図10は、本発明の実施の形態に係る電力系統の電圧を考慮した発電予備力の説明図である。 図11は、本発明の実施の形態に係る発電予備力測定装置による発電予備力制御の説明図である。
以下、本発明の一実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態によって何ら限定されるものではない。
まず、本実施の形態に係る太陽光パネルの出力特性について簡単に説明する。図1は、太陽光パネルの電流と電圧との関係を示す図である。図1に示すように、太陽光パネルでは、外部にかかる電圧が0Vのときの電流が短絡電流(Isc)となり、外部に流す電流が0Aのときの電圧が開放電圧(Voc)となる。太陽光パネルでは、電極間の付加が大きくなるにつれて電流が減少すると共に電圧が増大する(IV曲線L1参照)。そのため、太陽光パネルでは、IV曲線L1上で電力が最大となる最大電力(Pmax:点P1参照)の際の電流が最適動作電流(Ipm)となり、電圧が最適動作電圧(Vpm)となる。太陽光パネルが通常運転をする場合には、最大電力点追従制御(MPPT)が行われる。この最大電力点追従制御では、太陽光パネルが、日射量及び温度などによって変化する最適動作点で常に運転できるように、電圧を変化させながら電力最大となる最大動作点で運転できるように制御する。また、太陽光パネルでは、電力系統の電力量に余裕がある場合には、最大電力点追従制御を行わず、最大電力点より低い電力点P2で運転する出力抑制運転も行われている。
図2は、太陽光パネルの日射強度と電圧及び電流との関係を示す図である。図2に示すように、太陽光パネルでは、日照強度によって発電電力が大きく変動する。図2に示す例では、日射量が0kW/mとなる暗状態に対して、日射量が0.2kW/m~1kW/m~に増えるにつれて電流値が大幅に増大している。したがって、太陽光パネルでは、日射量に応じて最大電力点が随時変更し、これによって出力抑制運転を行っている際には太陽光パネルの発電予備力が大きく変動する。例えば、出力抑制により定格出力の半分の発電量(点P3参照)で運転している際の日射量が、1kW/mから0.5kW/mに減少して最適電力点が低下した場合には、太陽光パネルの発電量(点P4参照)に大幅な変化はない。しかしながら、日射量の減少後には、太陽光パネルが定格出力近傍での運転となるので、日射量の減少前に約50%(点P3参照)確保されていた太陽光パネルの発電予備力は、日射量の減少後にはほぼ0(点P4参照)となる。これに対して、定格出力近傍の発電量(点P5参照)で運転している太陽光パネルの日射量が、0.2kW/mから1kW/mに増大して最大電力点が増大した場合には、太陽光パネルの発電量(点6参照)自体に大きな変化はないが、発電予備力はほぼ0%(点P5)から約70%(点P6)の発電予備力に増大する。
図3は、太陽光パネルの温度と電圧及び電流との関係を示す図である。図3に示すように、太陽光パネルでは、温度によって発電電力が変動する。図3に示す例では、温度が低温状態(点P7参照)から高温状態(点P8参照)に変化した際には、発電量が増大して太陽光パネルの発電予備力が約10%減少する。これに対して、温度が高温状態(点P9参照)から低音状態(点P10参照)に変化した際には、発電量が増大して太陽光パネルの発電予備力が約10%増大する。
図4は、複数の太陽光パネルを直列接続した場合の太陽光パネルの数と電流及び電圧との関係を示す図である。図4に示すように、太陽光パネルでは、直列接続した太陽光パネルの数に応じて発電量が変化する。図4に示す例では、直列接続した太陽光パネルの数が1枚から10枚に増えるにつれて最大電力が増大している。この結果から、太陽電池発電部では、直列接続する太陽光パネルが増えるにしたがって、発電予備力が発生しやすい状況となることがわかる。
図5は、複数の太陽光パネルを並列接続した場合の太陽光パネルの数と電流及び電圧との関係を示す図である。図5に示すように、太陽光パネルでは、並列接続した太陽光パネルの数に応じて発電量が変化する。図5に示す例では、並列接続した太陽光パネルの数が1枚から10枚に増えるにつれて最大電力が増大している。この結果から、太陽電池発電部では、並列接続する太陽光パネルが増えるにしたがって、発電予備力が発生しやすい状況となることがわかる。
本発明者は、上述したような太陽光発電部が出力抑制運転を行っている状態での日射量及び温度、並びに、太陽光発電部の太陽光パネルの数によって変化する発電予備量に着目した。そして、本発明者は、太陽電池発電部の電力系統に接続された電力制御部を用いて各太陽電池発電部に属する太陽光パネルの発電予備力を測定することを着想した。これにより、本発明者らは、日射計及び温度計などを用いることがなく、しかも、電力系統の電圧状態によらずに発電予備力を測定可能な発電予備力測定装置及び発電予備力測定方法を実現できることを見出し、本発明を完成させるに至った。以下、本発明の一実施の形態に係る発電予備力測定装置について詳細に説明する。
図6は、本実施の形態に係る発電予備力測定装置の一例を示す機能ブロック図である。図6に示すように、本実施の形態に係る発電予備力測定装置1は、日射量及び温度などによって変化する太陽光パネルの発電予備力を測定するものである。本実施の形態に係る発電予備力測定装置1は、複数の太陽光発電部11-1,11-2・・・11-nと、複数の太陽光発電部11-1,11-2・・・11-nが接続される電力系統12と、外部ネットワーク13と、外部サーバ14とを備える。なお、本実施の形態では、発電予備力測定装置1は、複数の太陽光発電部11-1,11-2・・・11-n(以下、単に、「太陽光発電部11」ともいう)を備える例について説明するが、太陽光発電部11は少なくとも1つ備えていればよい。また、以下においては、太陽光発電部11が太陽光パネルを備える例について説明するが、本実施の形態は、フィルム型太陽電池にも適用可能である。
太陽光発電部11は、光エネルギーにより発電する複数の太陽光パネル15と、複数の太陽光パネル15に接続された電力制御部(PCS)16とを備える。電力制御部16は、電力系統12に接続され、太陽光パネル15の発電電力を制御する。なお、本実施の形態では、太陽光発電部11が複数の太陽光パネル15を備えた例について説明するが、太陽光発電部11は、太陽光パネル15を少なくとも1つ備えていればよい。
電力制御部16は、太陽光パネル15から出力される直流電力を制御すると共に、直流電力を交流電力に変換して電力系統12へ供給する制御を行う。電力制御部16は、電力系統12と太陽光パネル15との間で相互に電力を変換する。また、電力制御部16は、電力系統12と太陽光パネル15との間で電力の授受を制御する。電力制御部16は、交流電力(AC)及び直流電力(DC)の間で双方向に変換し、太陽光パネル15と電力系統12との間で電力の授受を行う。電力制御部16は、例えば、DC/DCコンバータ(DC/DC)及びAC/DCコンバータ(AC/DC)などにより上記制御を行う。
また、電力制御部16は、通信ネットワーク13を介して外部サーバ14と通信可能となっている。通信ネットワーク13としては、例えば、無線LANなどの各種無線通信ネットワーク及び光ファイバを利用した光通信および電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)などの各種有線通信ネットワークが上げられる。電力制御部16は、通信ネットワーク13を介して、外部サーバ14に対して各太陽光発電部11の発電予備力の情報を送信すると共に、外部サーバ14からの各種指令を受信する。外部サーバ14は、通信ネットワーク13を介して、各太陽光発電部11の電力制御部16に対して各太陽光発電部11の発電予備力を所望の範囲とするように指令する。
図7は、電力制御部16の機能ブロック図である。図7に示すように、電力制御部16は、出力電圧測定部161と、出力電圧制御部162と、発電予備力算出部163と、発電予備力制御164とを備える。出力電圧測定部161、出力電圧制御部162、発電予備力算出部163及び発電予備力制御164は、マイクロコントローラ及び周辺回路を有するコンピュータシステムによって実現される。出力電圧測定部161、出力電圧制御部162、発電予備力算出部163及び発電予備力制御164は、CPUなどのプロセッサが、RAM及びROMなどの記憶装置に記憶されたプログラムに従って各種演算を実行して周辺回路を制御することにより実現される。
上記プログラムは、本実施の形態に係る発電予備力測定装置を実現するためのプログラムであって、例えば、予め電力制御部16内の記憶図(不図示)にインストールされている。なお、上記プログラムは、ネットワークを介して流通可能であってもよいし、CD-ROMなどのコンピュータが読み取り可能な記憶媒体(Non-transitory computer readable medium)に書き込まれて流通可能であってもよい。また、電力制御部16は、内部に設けられた記憶部に機能の実現するために必要なプログラム及びパラメータなどの各種データを記憶している。
出力電圧測定部161は、太陽光発電部11内の少なくとも1つの太陽光パネル15の発電出力を測定する。出力電圧測定部161は、例えば、太陽光発電部11内の複数の太陽光パネル15の全ての出力電圧を測定してもよく、一部の太陽光パネル15の出力電圧を測定してもよい。また、出力電圧測定部161は、複数の太陽光パネル15が接続された電力系統12を流れる出力電圧を測定してもよい。
出力電圧制御部162は、出力電圧測定部161によって測定された太陽光パネル15の発電出力に基づいて、太陽光発電部11内の少なくとも1つの太陽光パネル15の発電出力を制御する。出力電圧測定部161は、例えば、太陽光発電部11内の複数の太陽光パネル15の全ての出力電圧を変化させてもよく、一部の太陽光パネル15の出力電圧を変化させてもよい。
発電予備力算出部163は、太陽光発電部11内の少なくとも1つの太陽光パネル15の発電予備力を測定する。発電予備力算出部163は、例えば、太陽光発電部11内の複数の太陽光パネル15の全ての発電予備力を算出してもよく、一部の太陽光パネル15の発電予備力を算出してもよい。発電予備力算出部163は、出力電圧測定部161によって測定された出力電圧及び出力電圧制御部162によってさせた太陽光パネル14の出力電圧に基づいて発電予備力を測定する。
発電予備力制御部164は、発電予備力算出部163によって算出された太陽電池発電部11の発電予備力が所望の値となるように、発電予備力を制御する。発電予備力制御部164は、発電予備力算出部163によって算出された発電予備力に基づいて、太陽光パネル15の発電出力を調整することにより、太陽電池発電部11の発電予備力を制御する。
次に、図8及び図9を参照して、本実施の形態に係る発電予備力制御装置1を用いた発電予備力制御方法について詳細に説明する。図8は、本実施の形態に係る発電予備力制御方法の一例を示すフロー図であり、図9は、本実施の形態に係る発電予備力制御方法の他の例を示すフロー図である。
図8に示す例は、例えば、発電予備力の算出対象となる太陽光発電部11内に最大出力で運転している太陽光パネル15が存在する場合に用いられる。この場合、図8に示すように、まず、発電予備力算出部163は、太陽光発電部11内の最大出力で運転している太陽光パネル15を特定する(ステップST11)。次に、発電予備力算出部163は、特定した最大出力の太陽光パネル15の出力電圧と太陽光発電部11内の他の太陽光パネル15の出力電圧とを対比する(ステップST12)。ここでは、発電予備力算出部163は、他の太陽光パネル15として出力電圧が相互に異なる複数の太陽光パネル15の出力電圧を用いてもよい。次に、発電予備力算出部163は、最大出力の太陽光パネル15を100%のとし、最大出力の太陽光パネル15の出力電圧に対する他の太陽光パネル15の出力電圧の不足分を発電予備力として算出する。この結果、太陽光発電部11内の太陽光パネル15の出力電圧を変化させることなく発電予備力を測定できるので、発電予備力を容易に算出することが可能となる。
図9に示す例は、例えば、太陽光発電部11内の全ての太陽光パネル15が最大出力未満で運転される場合に用いられる。この場合、図9に示すように、まず、発電予備力算出部163は、太陽光発電部11内の出力電圧を変化させる太陽光パネル15を特定する。そして、出力電圧制御部162が特定した太陽光パネル15の出力電圧を最大出力まで変化させる。そして、発電予備力算出部163は、最大出力まで変化させた太陽光パネル15の最大電力点を算出する(ステップST21)。次に、発電予備力算出部163は、最大出力点の出力電圧と太陽光発電部11内の他の太陽光パネル15の出力電圧とを対比する(ステップST22)。ここでは、発電予備力算出部163は、他の太陽光パネル15として出力電圧が相互に異なる複数の太陽光パネル15の出力電圧を用いてもよい。次に、発電予備力算出部163は、最大出力点を100%の出力電圧とし、最大出力の太陽光パネル15の出力電圧に対する他の太陽光パネル15の出力電圧の不足分を発電予備力として算出する。この結果、太陽光発電部11内の全ての太陽光パネル15が最大出力未満で運転される場合であっても、発電予備力を容易に算出することが可能となる。
また、発電予備力算出部163は、電力系統の電圧を考慮して算出してもよい。図10は、電力系統の電圧を考慮した発電予備力の説明図である。図10に示すように、上述した発電予備力測定方法では、測定対象となる太陽電池パネル15の運転出力(矢印L1参照)に対する最大出力点との差分が発電予備力(矢印L2参照)として算出される。一方で、電力系統12に接続された太陽光パネル15では、太陽光パネル15と負荷との間を周期的に往復する無効電力が系統電圧として存在する。そこで、この無効電力の影響(矢印L3参照)を予め算出し、測定対象となる太陽電池パネル15の運転出力(矢印L1参照)及び計算された発電予備力(矢印L2参照)との差分を求めることにより、系統電圧の影響を考慮した発電予備力(矢印L4参照)を算出することが可能となる。これにより、系統電圧の影響を排除した発電予備力を算出できるので、太陽光発電部11をより正確に抑制運転することが可能となる。
次に、図11を参照して、本実施の形態に係る発電予備力測定装置1における発電予備力の制御について詳細に説明する。図11は、本実施の形態に係る発電予備力測定装置1による発電予備力制御の説明図である。なお、図11においては、説明の便宜上、電力制御部16を省略して示している。
発電予備力測定装置1においては、発電予備力の制御は、発電予備力測定装置1に属する複数の太陽光発電部11の全体で行ってもよく、一部の太陽光発電部11を対象として行ってもよく、特定の太陽光発電部11に属する一部の太陽光パネル15内で行ってもよい。図11に示す例では、発電予備力測定部1に属する3つの太陽光発電部11-1(最大発電電力:40kW),11-2(最大発電電力:70kW),11-3(最大発電電力:30kW)のそれぞれについて、発電予備力50%を確保し、全体で70kWの発電予備力を確保して運転を行っている例を示している。この場合、電力制御部16は、日射量、温度、電力系統のなどによって変化する太陽光発電部11-1,11-2,11-3のそれぞれについて、発電予備力を随時計算し、発電予備力を50%確保して運転している。
例えば、電力制御部16は、出力電圧測定部161によって電力系統の電圧などから、発電予備力算出部163によって算出された発電予備力が最大となる太陽光発電部11を選択する(例えば、太陽光発電部11-2)。次に、電力制御部16は、発電予備力算出部163によって測定された発電予備力に基づいて、出力電圧制御部162によって太陽光発電部11-2の発電量を変化させる。そして、電力制御部16は、発電予備力制御部164によって、上記制御を太陽光発電部11-1,11-3に対して上述した発電予備力の制御及び発電量の制御を順次繰り返すことにより、太陽光発電部11-1~11-3の発電予備力の合計が50%となるように運転する。ここでは、発電予備力算出部163は、太陽光発電部11-2全体のエリア内において、最大出力で運転している太陽光パネル15が特定できる場合には、当該太陽光パネル15の発電予備力を算出して太陽光発電部11-2の発電予備力を算出してもよい。また、発電予備力測定部163は、太陽光発電部11-2の一部のエリアA1内において、最大出力で運転している太陽光パネル15が特定できる場合には、当該太陽光パネル15の発電予備力を算出して太陽光発電部11-2の発電予備力を算出してもよい。
また、電力制御部16は、太陽光発電部11-1~11-3の全てが発電電力抑制運転されている場合には、少なくとも1つの太陽光発電部11を選択して、発電予備力を測定してもよい。この場合、電力制御部は、特定の太陽光発電部11(例えば、太陽光発電部11-2)を選択し、出力電圧制御部162を介して選択した太陽光発電部11-2に属する太陽光パネル15(例えば、太陽光パネル15A)の出力電圧を最大出力まで増大させて最大電力点を算出する。そして、発電予備力測定部163は、最大電力点と出力直流電圧の増大前の出力電圧とを対比して発電予備力を算出し、算出した発電予備力に基づいて太陽光発電部11-2の発電予備力を推定してもよい。ここでは、電力制御部16は、太陽光パネル15の設置方向、角度及び容量に基づいて発電予備力の算出精度を向上させてもよい。また、上述した最大出力まで出力直流電流を増大させる太陽光パネル15は、出力電圧の増大に伴う電圧上昇の影響が少なる電力系統12の電圧が低い箇所に接続されているものを選定することが好ましい。
また、電力制御部16は、太陽光発電部11に属する真南に向いている太陽光パネル15の発電電力を100%とし、この太陽光パネル15を基準として太陽光発電部11内の他の太陽光パネル15の発電予備力を算出してもよい。この場合には、発電予備力算出用の計測用太陽光パネルを真南に配置して用いてもよい。なお、ここでの真南とは必ずしも真南に一致している必要はなく、多少の誤差を含むものとする。
また、電力制御部16は、発電予備力の測定の際に、出力電流制御部162によって増大させた太陽光パネル15の発電電力を、太陽光発電部11に属する他の太陽光パネル15によって相殺させてもよい。この場合、発電電力を相殺させる太陽光パネル15は、発電電力の現象に伴う電力系統12の電圧低下の影響が少ない電力系統12の電圧が高い箇所に接続されたものとしてもよい。また、発電電力を相殺させる太陽光パネル15は、発電電力を増大させた太陽光パネル11と同じ電力系統12に接続されているものであってもよく、複数の太陽光パネル11の出力電圧を一律に下げてもよい。
また、電力制御部16は、発電予備力の測定の際に、出力電流制御部162によって増大させた太陽光パネル15の発電電力を、同じ電力系統12に接続された太陽光パネル15の無効電力を制御して電圧変動を抑制してもよい。この場合、電力制御部16は、各個別の太陽光パネル15の発電予備力を計算した後、無効電力により電圧変動を抑制しながら最大限出力可能な発電予備力を計算してもよい。
さらに、電力制御部16は、太陽光発電部11毎に発電予備力を測定し、発電予備力を最大限確保できる太陽光発電部11の発電出力を主に下げ、他の太陽光発電部11の発電出力を上げて太陽光発電部11全体の出力の差を低減してもよい。また、電力制御部16は、特定の太陽光発電部11に属する太陽光パネル15毎に発電予備力を測定し、発電予備力を最大限確保できる太陽光発電部11の発電出力を主に下げ、他の太陽光発電部11の発電出力を上げて太陽光発電部11全体の出力を一定としてもよい。
電力制御部16は、太陽光発電部11毎に出力抑制の比率を変えて発電予備力を一定に制御してもよい。また、電力制御部16は、発電予備力確保による収益と太陽光発電部11の売電価格によって、発電予備力確保の比率を変えてもよい。さらに、電力制御部16は、太陽光発電部11の出力抑制量が同一になるように調整して発電予備力を確保してもよい。
以上説明したように、上記実施の形態によれば、日射計及び温度計などを用いることなく、しかも、電力系統への悪影響を低減して出力抑制運転時の太陽光発電部11の発電予備力を測定できる。これにより、太陽光発電部の従来より正確な発電予備力の把握が可能となり、太陽光発電部による貫性力確保も可能となる。この結果、太陽光発電の慣性力を確保できると共に、太陽光発電の発電予備力を用いたビジネスも可能となり、太陽光発電部の運転時の出力抑制量の計算も可能となるだけでなく、太陽光発電時に生じうる保証金などの計算も容易となる。
本発明は、日射計及び温度計などを用いることがなく、しかも、電力系統の電圧状態によらずに発電予備力を測定可能な発電予備力測定装置及び発電予備力測定方法を実現できるという効果を有し、特に、太陽光パネル及びフィルム型太陽電池を用いた太陽電池発電に有効に活用可能である。
1 発電予備力測定装置
11,11-1,11-2,11-3 太陽光発電部
12 電力系統
13 ネットワーク
14 外部サーバ
15 太陽光パネル
16 電力制御部
161 出力電圧測定部
162 出力電圧制御部
163 発電予備力算出部
164 発電予備力制御部

Claims (7)

  1. 光エネルギーにより発電する複数の太陽光パネルを備えた太陽光発電部と、
    力系統に接続され、前記太陽光発電部に属する少なくとも1つの前記太陽光パネルの出力電圧を変化させる電力制御部と、
    前記複数の太陽光パネルの出力電圧に基づいて、前記太陽光発電部の発電予備力を算出する発電予備力算出部とを備え
    前記太陽光発電部内に最大出力で運転している前記太陽光パネルが存在する場合、前記発電予備力算出部は、最大出力の前記太陽光パネルの出力電圧に対する前記太陽光発電部内の他の前記太陽光パネルの出力電圧の不足分を発電予備力として算出し、
    前記太陽光発電部内の全ての前記太陽光パネルが最大出力未満で運転される場合、前記電力制御部は、前記太陽光発電部に属する前記複数の太陽光パネル内の少なくとも1つの太陽光パネルの出力電圧を最大出力まで変化させ、前記発電予備力算出部は、最大出力まで変化させた前記太陽光パネルの出力電圧に対する前記太陽光発電部内の他の前記太陽光パネルの出力電圧の不足分を発電予備力として算出することを特徴とする、発電予備力測定装置。
  2. 前記太陽光発電部を複数備え、前記発電予備力算出部は、算出した前記発電予備力に基づいて、複数の前記太陽光発電部の発電予備力を算出する、請求項1に記載の発電予備力測定装置。
  3. 前記電力制御部は、前記出力電圧を増加させた増加分を他の太陽光パネルで相殺する、請求項1又は2に記載の発電予備力測定装置。
  4. 前記電力制御部は、前記出力電圧を増加させた太陽光パネルと同じ電力系統に接続された太陽光パネルの無効電力を制御することにより、電圧変動を低減する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の発電予備力測定装置。
  5. 前記発電予備力算出部は、個別の太陽光パネルの発電予備力を計算した後、無効電力により電圧変動を抑制しながら最大限出力可能な発電予備力を算出する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の発電予備力測定装置。
  6. 前記電力制御部は、発電予備力を最大限確保できる前記太陽光発電部の発電出力を下げ、他の前記太陽光発電部の発電出力を上げることにより、複数の太陽光発電部の出力の差を低減する、請求項2に記載の発電予備力測定装置。
  7. 電力系統に接続されるとともに複数の太陽光パネルを備えた太陽光発電部において、該太陽光発電部に属する少なくとも1つの前記太陽光パネルの出力電圧を変化させる電力制御工程と、
    前記複数の太陽光パネルの出力電圧に基づいて、前記太陽光発電部の発電予備力を算出する発電予備力算出工程とを含み、
    前記太陽光発電部内に最大出力で運転している前記太陽光パネルが存在する場合、前記発電予備力算出工程において、最大出力の前記太陽光パネルの出力電圧に対する前記太陽光発電部内の他の前記太陽光パネルの出力電圧の不足分を発電予備力として算出し、
    前記太陽光発電部内の全ての前記太陽光パネルが最大出力未満で運転される場合、前記電力制御工程において、前記太陽光発電部に属する前記複数の太陽光パネル内の少なくとも1つの太陽光パネルの出力電圧を最大出力まで変化させ、前記発電予備力算出工程において、最大出力まで変化させた前記太陽光パネルの出力電圧に対する前記太陽光発電部内の他の前記太陽光パネルの出力電圧の不足分を発電予備力として算出することを特徴とする、発電予備力測定方法。
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