JP7184730B2 - アルミニウム材の接合方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アルミニウム材の接合方法に関する。
複数の金属材を面接合する技術として、クラッド圧延がある。クラッド圧延は、複数の金属材を圧延ロールに圧下して、金属材同士を熱間又は冷間で圧着させる技術である。クラッド圧延では、圧着面の変形により酸化被膜が破壊されるため、アルミニウム合金等の、表面に酸化被膜が形成されやすい材料であっても良好な圧着面を得ることができる。
このようなクラッド圧延で金属材を圧着する場合、酸化被膜を確実に破壊するために圧下率を高くする必要があり、複数回の圧延が必要となることもある。このため、複数の金属材の間に中間層を配置し、中間層の一部を液相化して圧延することにより圧下率を低減させる技術が提案されている(特許文献1)。
国際公開第2013/065160号公報
これらの技術は、平坦な板の接合しか行うことができず、接合体も必然的に板状となるため、自動車部品のプレス成型品などの三次元形状を有する部材の接合には採用できない。
ところで、さまざまな形状を有する部材を、形状の制約を受けずに面接合する技術として、ろう付け接合や固相拡散接合が考えられる。ろう付けは、接合面全体に満遍なくろう材を広げる必要があるため、施工が難しく、更に専用のろう材や熱処理炉の準備が必要となる。また、固相拡散接合技術は、アルミニウム合金のような酸化被膜が形成されやすい金属材料には、拡散による原子の移動を酸化被膜がブロックするため適用できなかった。
そして、近年、鋼材に代わる軽量な構造材としてアルミニウム材の適用が積極的に進められている。このアルミニウム材に対しては、上記した面接合する技術の場合よりも更に高い接合強度を実現させる要望が高い。例えば、接合面に突起部を設けることで、接合面での滑りが抑止されて接合強度を向上させることができるが、加工が煩雑となり、施工性やコストの面で課題が多い。
そこで本発明は、酸化被膜を生じやすいアルミニウム材を、複雑な三次元形状にして接合する場合であっても、加工を煩雑にすることなく接合強度を向上できるアルミニウム材の接合方法を提供することを目的とする。
本発明は下記の構成からなる。
(1) 第1治具と、前記第1治具に対向して配置されて給湯口を有する第2治具と、の間に画成される内部空間に、第1アルミニウム展伸材を前記第1治具に沿わせて配置する工程と、
アルミニウム溶湯を、前記給湯口から前記第1アルミニウム展伸材に向けて加圧して注入し、前記第1アルミニウム展伸材の表面に衝突させて、前記第1アルミニウム展伸材の前記アルミニウム溶湯との衝突位置を掘り下げる工程と、
前記アルミニウム溶湯を、前記第1アルミニウム展伸材の掘り下げによる除去分と共に、前記衝突位置の周囲の前記第1アルミニウム展伸材の表面に沿って前記内部空間に流動させる工程と、
をこの順で実施するアルミニウム材の接合方法。
(2) 第1治具と、前記第1治具に対向して配置されて給湯口を有する第2治具と、の間に画成される内部空間に、第1アルミニウム展伸材を前記第1治具に沿わせて配置し、第2アルミニウム展伸材を前記第1アルミニウム展伸材から離間させて前記第2治具に沿わせて配置する工程と、
アルミニウム溶湯を、前記給湯口から前記内部空間に向けて加圧して注入し、前記第2アルミニウム展伸材に貫通孔を形成する工程と、
前記アルミニウム溶湯を、前記貫通孔を通じて前記内部空間に加圧して注入して、前記第1アルミニウム展伸材の表面に衝突させて、前記第1アルミニウム展伸材の前記アルミニウム溶湯との衝突位置を掘り下げる工程と、
前記アルミニウム溶湯を、前記第1アルミニウム展伸材の掘り下げによる除去分と共に、前記衝突位置の周囲の前記第1アルミニウム展伸材及び前記第2アルミニウム展伸材の表面に沿って前記内部空間に流動させる工程と、
をこの順で実施するアルミニウム材の接合方法。
本発明によれば、酸化被膜が生じやすいアルミニウム材を、複雑な三次元形状にして接合する場合であっても、加工を煩雑にすることなく接合強度を向上できる。
図1は、アルミニウム材を接合する治具を模式的に示す要部構成図である。 図2Aは、治具の内部空間に第1アルミニウム展伸材を配置した様子を示す工程説明図である。 図2Bは、図2Aに示す内部空間にアルミニウム溶湯を注入した様子を示す工程説明図である。 図3Aは、アルミニウム溶湯が内部空間に充填され、凝固するまでの様子を段階的に示す工程説明図である。 図3Bは、アルミニウム溶湯が内部空間に充填され、凝固するまでの様子を段階的に示す工程説明図である。 図3Cは、アルミニウム溶湯が内部空間に充填され、凝固するまでの様子を段階的に示す工程説明図である。 図3Dは、アルミニウム溶湯が内部空間に充填され、凝固するまでの様子を段階的に示す工程説明図である。 図3Eは、アルミニウム溶湯が内部空間に充填され、凝固するまでの様子を段階的に示す工程説明図である。 図4Aは、治具内の内部空間にアルミニウム展伸材を配置した様子を示す工程説明図である。 図4Bは、図4Aに示す内部空間にアルミニウム溶湯を注入した様子を示す工程説明図である。 図5Aは、治具内の内部空間に複数の貫通孔と凹部を設けた様子を示す工程説明図である。 図5Bは、図5Aに示す内部空間にアルミニウム溶湯を注入した様子を示す工程説明図である。 図6Aは、治具内の内部空間に一対のアルミニウム展伸材を配置した様子を示す工程説明図である。 図6Bは、図6Aに示す内部空間にアルミニウム溶湯を注入した様子を示す工程説明図である。 図7Aは、治具内の内部空間に下孔を有するアルミニウム展伸材を配置した様子を示す工程説明図である。 図7Bは、図7Aに示す内部空間にアルミニウム溶湯を注入した様子を示す工程説明図である。 図8Aは、治具内の内部空間に一対の管状のアルミニウム展伸材を配置した様子を示す工程説明図である。 図8Bは、図8Aに示す内部空間にアルミニウム溶湯を注入した様子を示す工程説明図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、アルミニウム材を接合する治具100を模式的に示す要部構成図である。
治具100は、互いに対向して配置される第1治具11と、第2治具13と、を備える。第1治具11と第2治具13とは、不図示の移動機構によって、互いに離反及び接近する方向に移動自在となっている。第1治具11と第2治具13との間に画成される内部空間には、第1治具11に沿わせて板状の第1アルミニウム展伸材15が配置される。第1アルミニウム展伸材15と第2治具13との間には隙間19が設けられる。第2治具13は、内部空間に連通する給湯口21を有する。
第1治具11は、第1アルミニウム展伸材15の一方の面(外側面)15aに当接する当接面11aを有し、第1アルミニウム展伸材15を支持する。第1アルミニウム展伸材15は、第1治具11の当接面11aに載置した形態であってもよく、不図示の固定手段を用いて当接面11aに固定する形態であってもよい。第2治具13は、第1アルミニウム展伸材15の他方の面(内側面)15bとの間に隙間19を有して、第1アルミニウム展伸材15に対向して配置される。
第2治具13の給湯口21は、不図示のアルミニウム溶湯17の供給源に接続され、アルミニウム溶湯17を隙間19に供給する。給湯口21は、少なくとも隙間19と接続される出口部21aで、第1アルミニウム展伸材15の内側面15bの垂直方向に沿って形成されていることが好ましい。また、給湯口21の軸線方向は、第1アルミニウム展伸材15の内側面15bの垂直方向から傾斜していてもよい。この給湯口21の開口形状は、円形、楕円形、正方向、長方形、三角形等の種々の形状にすることができる。
矢印F1で示すように、給湯口21から内部空間の隙間19にアルミニウム溶湯17を注入すると、アルミニウム溶湯17は、まず、第1アルミニウム展伸材15の表面(内側面15b)に衝突する。次いで、流動方向を変更して第1アルミニウム展伸材15の内側面15bに沿って流動する。
これにより、第1アルミニウム展伸材の内側面15bと第2治具13との間の隙間19にアルミニウム溶湯17が充填される。アルミニウム溶湯17が凝固すると、第1アルミニウム展伸材15とアルミニウム溶湯17とが一体にされた接合体が得られる。
上記した治具100は、第1治具11と第2治具13とが鉛直方向に重なる縦型の構成であるが、水平方向に重なる横型の構成であってもよい。治具100の各部のレイアウトは、図示を省略している、第1治具11及び第2治具13の各支持機構、第1アルミニウム展伸材15を型内に固定する固定部材、アルミニウム溶湯を給湯口21に供給する供給部、型温度を制御する温度制御部、等の各部の配置形態に応じて適宜選択できる。
第1アルミニウム展伸材15には、2000系、3000系、4000系、5000系、6000系、7000系のアルミニウム合金、又は1000系の純アルミニウムの展伸材が利用できる。溶接性の観点から、特に5000系、6000系、7000系のアルミニウム合金であることが好ましい。
第1アルミニウム展伸材15は、板材に限らず、押出形材(パイプ材や、中空、中実、異形断面の形材)、鍛造材(板材、リブ付材)であってもよい。さらに、第1アルミニウム展伸材15の表面に、予備処理としてブラスト処理、エッチング処理、ブラシ研磨処理等の各種表面処理を施してもよい。その場合には、第1アルミニウム展伸材15の表面の有機物が除去され、第1アルミニウム展伸材15と、アルミニウム溶湯17が凝固したアルミニウム鋳物との接合品質が向上する。
アルミニウム溶湯17の材料としては、例えば、AC4C、AC4CH、AC2B(JIS H 5202)、又はADC12(JIS H 5302)等が挙げられる。以下、第1アルミニウム展伸材15等のアルミニウム展伸材、及びアルミニウム溶湯17を「アルミニウム材」と呼ぶこともある。
また、ここでいう内部空間とは、第1アルミニウム展伸材15及びアルミニウム溶湯17よりも融点の高い素材からなる治具100(第1治具11、第2治具13)によって形成され、アルミニウム溶湯17が流動する流路である。この流路は、治具100に形成された空洞や溝と第1アルミニウム展伸材15とで画成される空間であってもよい。第1治具11と第2治具13により画成される内部空間の形状は任意であり、使用する第1アルミニウム展伸材15の形状、及びその接合面の形状等に応じた適宜な形状に設定される。
<アルミニウム材の接合方法の基本手順>
以下に説明するアルミニウム材の接合方法は、アルミニウム展伸材とアルミニウム溶湯とを簡単、かつ高強度に接合する方法であって、基本的に以下の工程(1)、(2)をこの順で実施するものである。
(1)アルミニウム溶湯17を、給湯口21から第1アルミニウム展伸材15に向けて加圧して注入し、第1アルミニウム展伸材15の表面(内側面)15bに衝突させて、第1アルミニウム展伸材15のアルミニウム溶湯17との衝突位置を掘り下げる工程。
(2)アルミニウム溶湯17を、第1アルミニウム展伸材15の掘り下げによる除去分と共に、衝突位置の周囲の第1アルミニウム展伸材15の表面(内側面)15bに沿って内部空間に流動させる工程。
上記の工程によれば、アルミニウム溶湯を、図1に矢印F1で示すように、治具100内の内部空間に配置された第1アルミニウム展伸材15に向けて加圧して注入することで、アルミニウム溶湯17が第1アルミニウム展伸材15の内側面15bに勢いよく衝突する。このとき、第1アルミニウム展伸材15の衝突位置では、アルミニウム溶湯17の衝突による外力が第1アルミニウム展伸材15に作用して、第1アルミニウム展伸材15の衝突位置が掘り下げられる。つまり、アルミニウム溶湯17によって衝突位置の材料表層が徐々に除去されて、衝突位置に減肉部が形成される。減肉部は、アルミニウム溶湯17の衝突が続けられることで、その衝突エネルギーによって第1アルミニウム展伸材15の厚さ方向へ更に成長(減肉)する。アルミニウム溶湯17の衝突方向は、第1アルミニウム展伸材15の内側面15bの垂直方向であるのが好ましいが、内部空間の形状等に応じて適宜変更してもよい。この衝突方向は、給湯口21の軸線方向を変更することや、給湯口21に適宜な形状のゲートを設けること等により調整可能である。
衝突後のアルミニウム溶湯17は、第1アルミニウム展伸材15の衝突位置から内側面15bに沿って広がり、接合面となる内側面15bを覆う。これにより、第1アルミニウム展伸材15の内側面15bと、アルミニウム溶湯17が凝固したアルミニウム鋳物とが固相拡散接合された、高強度な接合状態が得られる。上記したアルミニウム溶湯17の供給開始から内部空間の充填完了までの時間は、内部空間の容積にもよるが、1秒以下、好ましくは0.8秒以下、さらに好ましくは0.5秒以下である。このような短時間で、第1アルミニウム展伸材15とアルミニウム鋳物33とが高強度に接合された接合体が得られる。
また、治具100は、図1に矢印F2で示すように、隙間19から溢れ出たアルミニウム溶湯17を貯留するオーバーフロー(不図示)を備えることが好ましい。オーバーフローは、一般的な射出成形技術で使用される構造のものが利用できる。
治具100の内部空間にオーバーフローを接続した場合には、給湯口21へアルミニウム溶湯17を供給する際、まず、アルミニウム溶湯17を給湯口21から隙間19に充填させる。そして、アルミニウム溶湯17が隙間19から溢れ出し、オーバーフローへ流れ着いてオーバーフローに貯留された後、アルミニウム溶湯17の供給を停止する。これによれば、アルミニウム溶湯17は隙間19内を淀むことなく流動する。
治具100は、第1治具11,第2治具13の少なくともいずれかを加熱・保温するヒータを備えることが好ましい。その場合、ヒータを制御する不図示の温度コントローラは、隙間19にアルミニウム溶湯17が注入される前に予めヒータを加熱しておき、第1アルミニウム展伸材15、第2治具13を400℃~500℃に保持する。これによれば、アルミニウム溶湯17の流路となる隙間19が、例えば3mm以下の薄肉であっても、隙間19を流動するアルミニウム溶湯17が流動途中で凝固せず、淀みのないスムーズな湯流れとなる。
隙間19内に流動するアルミニウム溶湯17が、隙間19内に充填された後、冷却されて凝固したら、第1治具11と第2治具13とを相互に離間する。そして、第1アルミニウム展伸材15とアルミニウム鋳物とが接合された接合体を治具100から取り出す。この接合体においては、第1アルミニウム展伸材15の接合面がアルミニウム鋳物と固相拡散接合されている。なお、アルミニウム鋳物は、給湯口21により成形される部分等の不要箇所(オーバーフロー等)が、適宜に切断される。
以下、上記したアルミニウム溶湯17を隙間19へ注入して、第1アルミニウム展伸材15とアルミニウム鋳物33とを接合する工程を、それぞれ異なる接合形態を有する第1~第6の接合形態を例に説明する。なお、接合形態はこれらの形態に限らず、互いの形態を組み合わせることもできる。
<第1の接合形態>
図2Aは、治具の内部空間に第1アルミニウム展伸材を配置した様子を示す工程説明図である。図2Bは、図2Aに示す内部空間にアルミニウム溶湯を注入した様子を示す工程説明図である。
(突起部の形成)
図2Aに示すように、第1治具11と第2治具13とを離間させ、平板状の第1アルミニウム展伸材15を治具間に挿入し、第1アルミニウム展伸材15を第1治具11に沿わせて設置する。そして、第1治具11と第2治具13とを、所定の位置まで接近させて固定する。この状態で給湯口21からアルミニウム溶湯17を注入する。すると、図2Bに示すように、第1アルミニウム展伸材15のアルミニウム溶湯17の衝突位置の表層が徐々に除去されて、衝突位置に減肉部31が形成される。また、衝突後のアルミニウム溶湯は、第1アルミニウム展伸材15の内部空間に表出した内側面15bに沿って流動して、アルミニウム溶湯17を覆う。
そして、治具を冷却してアルミニウム溶湯17が凝固した後は、第1アルミニウム展伸材15の接合面となる内側面15bがアルミニウム鋳物33で覆われる。また、アルミニウム鋳物33には、上記の減肉部31でアルミニウム溶湯17が凝固した突起部35が一体に形成される。突起部35は、第1アルミニウム展伸材15を厚さ方向に凹ませた領域に形成され、給湯口21の軸方向に沿って突出している。本構成の突起部35は、第1アルミニウム展伸材15の厚さ内に形成される。
突起部35は、第1アルミニウム展伸材15とアルミニウム鋳物33との接合面積を増加させ、面外に突出することによって、接合面での滑り止め効果を発揮する。例えば、第1アルミニウム展伸材15とアルミニウム鋳物33との接合体に、接合面と平行な向きの外力や、接合面内のねじり力が作用した場合に、突起部35が、第1アルミニウム展伸材15とアルミニウム鋳物33との係合部となって、接合面での剥離が生じにくくなる。突起部35が形成されることで、第1アルミニウム展伸材15とアルミニウム鋳物33とを平坦面同士の面接続した場合と比較して、接合強度を大きく向上できる。
(固相拡散接合)
また、第1アルミニウム展伸材15の接合面とアルミニウム鋳物33とは、互いに固相拡散接合され、高い接合強度が得られる。このように、第1アルミニウム展伸材15とアルミニウム鋳物33とが固相拡散接合されることについては、次のように推測できる。
図3A~図3Eは、アルミニウム溶湯が流路に充填され、凝固するまでの様子を段階的に示す工程説明図である。
図3Aに示すように、アルミニウム溶湯の流路となる隙間19に、第1アルミニウム展伸材15を、その内側面15b(接合面)を露出させて配置する。一般に、金属材である第1アルミニウム展伸材15の内側面15bには、酸化膜や油分等の有機物、塵埃等の異物を含む表層37が形成されており、金属母材がそのまま表出していることはない。
次に、アルミニウム溶湯を、図2Aに示す給湯口21から高圧で隙間19に向けて噴射する。すると、給湯口21及び隙間19には時系列的に2つの流れが発生する。すなわち、アルミニウム溶湯17の液滴を含む先行流と、先行流に続いて隙間19内を流動するアルミニウム溶湯からなる後行流とが発生する。
つまり、図3Bに示すように、隙間19内で第1アルミニウム展伸材15に沿って溶滴41を含む先行流が移動すると、先行流に含まれる溶滴41は、その移動途中で隙間19の内壁面との接触や、流路内の周囲雰囲気によって抜熱されて一部が凝固し、微粒子43となる。
発生した微粒子43は、先行流の中で第1アルミニウム展伸材15との衝突を繰り返し、図3Cに示すように第1アルミニウム展伸材15の表層37を削り取る。すると、第1アルミニウム展伸材15には、表層37が除去された新生面45が露出する。
そして、図3Dに示すように、上記した先行流に次いでアルミニウム溶湯17である後行流が第1アルミニウム展伸材15の位置に到達すると、図3Eに示すように新生面45がアルミニウム溶湯17によって覆われる。第1アルミニウム展伸材15に新生面45が露出してから、その新生面45がアルミニウム溶湯17で覆われるまでの時間は極めて短い。したがって、新生面45には、アルミニウム鋳物33との接合強度に影響を及ぼす厚さの酸化膜が形成されることない。
そして、第1アルミニウム展伸材15の新生面45を、アルミニウムの融点より低い固相接合温度にしてアルミニウム溶湯17で覆い、隙間19のアルミニウム溶湯17を所定の圧力と時間で保持する。この工程により、第1アルミニウム展伸材15の新生面45と、アルミニウム溶湯17が凝固したアルミニウム鋳物33との間に固相拡散が生じ、双方が固相拡散接合される。こうして、第1アルミニウム展伸材15の接合面(新生面45)は、高強度な固相拡散接合状態でアルミニウム鋳物33と接合される。
上記のように、第1アルミニウム展伸材15を治具100の内部空間に接合面を露出させて配置し、隙間19にアルミニウム溶湯17を高圧で注入することで、第1アルミニウム展伸材15の接合面に新生面を形成する。形成した新生面は、直ちにアルミニウム溶湯17で覆われる。そのため、第1アルミニウム展伸材15とアルミニウム鋳物33とは容易に固相拡散接合され、高強度に接合される。
ここでのアルミニウムの溶滴は、圧力をかけたアルミニウム溶湯を噴射した際に生じる溶湯の飛沫であるが、これに限らない。アルミニウムの溶滴は、他の公知の手段により生成した溶滴であってもよい。また、溶滴の生成、新生面の形成、新生面を溶湯で覆う各工程は、大気中で行うことができるが、真空中や不活性ガス雰囲気中で実施してもよい。その場合、新生面での酸化膜の形成をより確実に防止できる。
また、隙間19へのアルミニウム溶湯17の注入時に、不図示のヒータにより第1アルミニウム展伸材15、第1治具11、第2治具13を加熱、保温した場合には、例えば、厚さが3mm以下の薄肉部を形成する際、この薄肉部となる領域にアルミニウム溶湯17をスムーズに流動させることができる。これにより、アルミニウム鋳物33を、欠肉やブローホールが殆ど存在しない高品質な状態にできる。
また、隙間19から溢れ出るアルミニウム溶湯17の一部を、不図示のオーバーフローに排出することで、隙間19内のアルミニウム溶湯17の流れをスムーズにできる。これによって、流路内でのアルミニウム溶湯17の淀みが抑制される。
第1アルミニウム展伸材15とアルミニウム鋳物33との固相拡散接合に関しては、以下に説明する他の接合形態についても同様の効果が得られる。そのため、以降の各接合形態については、固相拡散接合に関しての説明は省略する。
<第2の接合形態>
図4Aは、治具内の内部空間にアルミニウム展伸材を配置した様子を示す工程説明図である。図4Bは、図4Aに示す内部空間にアルミニウム溶湯を注入した様子を示す工程説明図である。
本接合形態の第1治具11Aには、図4Aに示すように、第1アルミニウム展伸材15との当接面11aにおける給湯口21に対向する位置に、凹部51を設けている。凹部51は、給湯口21の軸線Lを中心に、給湯口21の開口面積より大きい開口面積であることが好ましい。給湯口21の開口が円形である場合、凹部51の内径は、給湯口21の内径よりも大径にするのが好ましい。
図4Bに示すように、アルミニウム溶湯17を給湯口21から第1アルミニウム展伸材15に向けて注入すると、前述の第1の接合形態の場合と同様に、第1アルミニウム展伸材15のアルミニウム溶湯17との衝突位置に減肉部31(図2B参照)が形成される。この減肉部が軸線Lに沿って成長し、第1アルミニウム展伸材15を厚さ方向に貫通して湯道15cを形成する。減肉部が薄くなりアルミニウム溶湯17が第1アルミニウム展伸材15を貫通すると、給湯口21と凹部51とが連通して、アルミニウム溶湯17が湯道15cを通じて凹部51に充填される。
隙間19及び凹部51がアルミニウム溶湯17で充填され、アルミニウム溶湯17が凝固すると、給湯口21から第1アルミニウム展伸材15の湯道15cまでの間、及び凹部51には、第1アルミニウム展伸材15の外側面15aと内側面15bとを厚さ方向に挟む係止部53が形成される。係止部53は、給湯口21から湯道15cまでの間に形成される軸部55と、凹部51により形成されて軸部55に接続される頭部56と、を有する。この係止部53は、第1アルミニウム展伸材15を、湯道15cから外側にはみ出た頭部56が、隙間19(図4(A)参照)に形成されたアルミニウム鋳物33との間で挟み込む。つまり、第1アルミニウム展伸材15とアルミニウム鋳物33とをリベット止めするように接合する。これにより、第1アルミニウム展伸材15とアルミニウム鋳物33との接合強度が向上する。
<第3の接合形態>
図5Aは、治具内の内部空間に複数の貫通孔と凹部を設けた様子を示す工程説明図である。図5Bは、図5Aに示す内部空間にアルミニウム溶湯を注入した様子を示す工程説明図である。
本接合形態の第1治具11Bと第2治具13Aは、前述した図4Bに示す係止部53が複数箇所に形成されるように構成される。図5Aに示すように、第2治具13Aには、複数(一例として3個)の給湯口21が設けてある。また、第1治具11Bには、それぞれの給湯口21に対向する位置に、前述した凹部51をそれぞれ設けている。
図5Bに示すように、アルミニウム溶湯17を複数の給湯口21から、それぞれ第1アルミニウム展伸材15に向けて注入すると、第1アルミニウム展伸材15の互いに異なる位置に、複数の係止部53が形成される。この構成によれば、第1アルミニウム展伸材15とアルミニウム鋳物33との接合強度を更に向上できる。また、係止部53を等間隔に配置して、均等な接合強度にすることや、場所によって配置間隔を広く又は狭くして、所望の接合強度分布にすることもできる。例えば、周囲と比較して高い接合強度が必要となる箇所が予めわかっている場合には、その箇所の係止部53の配置密度を周囲より高めることで、接合体の機械的強度を効率よく向上できる。
<第4の接合形態>
図6Aは、治具内の内部空間に一対のアルミニウム展伸材を配置した様子を示す工程説明図である。図6Bは、図6Aに示す内部空間にアルミニウム溶湯を注入した様子を示す工程説明図である。
本接合形態では、図6Aに示すように、第1治具11と第2治具13との間の内部空間の第1治具11側に配置された第1アルミニウム展伸材15に対向して、第2アルミニウム展伸材63を配置している。第2アルミニウム展伸材63は、第1アルミニウム展伸材15の内側面15bとの間に隙間19を有して、第2治具13の当接面13aに沿わせて配置される。第2アルミニウム展伸材63は、図示しない適宜の固定手段によって第2治具13に固定される。その他の構成は、前述の図2Aに示す構成と同様である。
この構成では、第2治具13に形成された給湯口21の出口側が、第2アルミニウム展伸材63によって塞がれている。
上記構成で給湯口21からアルミニウム溶湯17を加圧して注入すると、アルミニウム溶湯17は、給湯口21に対向する第2アルミニウム展伸材63に衝突すると共に、この衝突位置の第2アルミニウム展伸材63を圧力によって開孔させる。これにより、第2アルミニウム展伸材63には、図6Bに示すように、給湯口21に対応する形状の貫通孔63cが形成される。
第2アルミニウム展伸材63に貫通孔63cが形成されると、アルミニウム溶湯17が給湯口21から貫通孔63cを通って隙間19に注入される。
このとき注入されるアルミニウム溶湯17は、給湯口21と貫通孔63cを通って第1アルミニウム展伸材15に衝突する。そして、図2Bに示す場合と同様に、この衝突位置に減肉部31が形成される。減肉部31は、第1アルミニウム展伸材15の厚さ方向に成長して、アルミニウム溶湯17の凝固後に、アルミニウム鋳物33による突起部35を形成する。
本接合形態によれば、厚さ方向に重なる第1アルミニウム展伸材15と第2アルミニウム展伸材63とは、アルミニウム鋳物33により内側面15同士が接合されることで、一体にされる。また、給湯口21の位置では、アルミニウム鋳物33に、第1アルミニウム展伸材15の厚さ方向に突出する突起部35が形成される。そして、第2アルミニウム展伸材63には貫通孔63cが形成され、貫通孔63cの内周面がアルミニウム鋳物33と接合する。このように、突起部35と貫通孔63cが形成されることで、アルミニウム鋳物33の第1アルミニウム展伸材15と第2アルミニウム展伸材63との接合強度を向上できる。また、アルミニウム溶湯17の注入時に第2アルミニウム展伸材63に貫通孔63cを形成するため、例えば、予め下孔を加工する場合と比較して工数を低減でき、施工性を向上できる。
<第5の接合形態>
図7Aは、治具内の内部空間に下孔を有するアルミニウム展伸材を配置した様子を示す工程説明図である。図7Bは、図7Aに示す内部空間にアルミニウム溶湯を注入した様子を示す工程説明図である。
本接合形態では、図7Aに示すように、前述した図6Aに示す第2アルミニウム展伸材63における給湯口21と対向する位置に、予め下孔63dを設けている。その他の構成は第4の接合形態と同様である。下孔63dは、ドリル等により加工した貫通孔であってもよいが、板材の一部を除去した切り欠きであってもよい。つまり、ここでいう下孔63dは、給湯口21が隙間19と連通すればよく、その形態は問わない。
上記構成で給湯口21からアルミニウム溶湯17を注入すると、図7Bに示すように、アルミニウム溶湯17は、第2アルミニウム展伸材63の下孔63dを通って隙間19に充填される。また、注入されたアルミニウム溶湯17は、第1アルミニウム展伸材15の内側面15bに衝突し、第1アルミニウム展伸材15に減肉部31を形成する。減肉部31は、第1アルミニウム展伸材15の厚さ方向に成長する。そして、図2Bに示す場合と同様に、アルミニウム溶湯17の凝固後に、アルミニウム鋳物33の突起部35を形成する。
本構成によれば、アルミニウム溶湯17の注入前に第2アルミニウム展伸材63に下孔63dが設けられているため、給湯口21に注入するアルミニウム溶湯17が隙間19に直接注入できる。これにより、隙間19へのアルミニウム溶湯17の充填をいち早く完了でき、タクトタイムを短縮できる。
図7A,図7Bにおいては、下孔63dを給湯口21と略等しい大きさで示しているが、例えば、給湯口21よりも開口面積を大きくしてもよい。その場合には、第2アルミニウム展伸材63の第2治具13に対する位置決め精度を軽減でき、施工性を向上できる。また、下孔63dを給湯口21よりも開口面積の小さい孔にする場合には、隙間19内に供給されるアルミニウム溶湯17の流速が速くなる。これにより、第1アルミニウム展伸材15への衝突速度が増加して減肉部31の形成を促進できる。また、第1アルミニウム展伸材15の内側面15bと、第2アルミニウム展伸材63Aの内側面63bに沿って流動するアルミニウム溶湯17の流速が速められ、前述した新生面の形成を更に促進できる。
<第6の接合形態>
次に、一対の管状のアルミニウム展伸材同士を接合する場合を説明する。
図8Aは、治具内の内部空間に一対の管状のアルミニウム展伸材を配置した様子を示す工程説明図である。図8Bは、図8Aに示す内部空間にアルミニウム溶湯を注入した様子を示す工程説明図である。
図8Aに示すように、ここで用いる一対のアルミニウム展伸材は、互いに径寸法の異なる管形状(円筒形状)である第1アルミニウム展伸材65と第2アルミニウム展伸材67である。第1アルミニウム展伸材65と第2アルミニウム展伸材67は、前述の第1治具として機能する略円柱状の中子71に支持される。中子71は、軸方向に沿って小径部71aと、小径部71aより大径な大径部71bとを有する。小径部71aの外周面73には、第1アルミニウム展伸材65が内周面65aを当接させて支持される。大径部71bの外周面75には、第2アルミニウム展伸材67が、内周面67aを当接させて支持される。中子71は、小径部71aの外径が第1アルミニウム展伸材65の内径と等しいか、わずかに小さく、大径部71bの外径が第2アルミニウム展伸材67の内径と等しいか、わずかに小さい。
また、中子71に支持された第1アルミニウム展伸材65と第2アルミニウム展伸材67は、管端部が軸方向に関して互いに径方向に重なる重ね部77を有する。重ね部77においては、第1アルミニウム展伸材65の外周面65bと、第2アルミニウム展伸材67の内周面67aとの間に径方向の隙間19が形成される。
上記のように中子71に支持された第1アルミニウム展伸材65と第2アルミニウム展伸材67と、中子71の端面71cとを覆って、前述の第2治具として機能する筒状割り型79が配置される。筒状割り型79は、図8Aの上側に配置される一方の割り型79Aと、下方に配置される他方の割り型79Bとを有する。
一方の割り型79A、他方の割り型79Bには、それぞれ給湯口21が設けられている。給湯口21は、割り型79A,79Bのそれぞれに1箇所設けてもよく、複数箇所に設けてもよい。また、一方の割り型79Aと他方の割り型79Bのいずれか一方にのみ、給湯口21を設けた構成であってもよい。給湯口21の内周側は、第2アルミニウム展伸材67によって塞がれる。
本構成によれば、給湯口21からアルミニウム溶湯17を注入すると、図8Bに示すように、給湯口21に対向する第2アルミニウム展伸材63の部分が開口して、貫通孔67bが形成される。そして、アルミニウム溶湯17は、形成された貫通孔67bを通じて第1アルミニウム展伸材65に衝突する。これにより、第1アルミニウム展伸材65に減肉部31が形成され、アルミニウム溶湯17が隙間19に充填される。
アルミニウム溶湯17の凝固後は、第1アルミニウム展伸材65の減肉部31の位置に、アルミニウム鋳物33の突起部35が形成される。
本接合形態によれば、管状のアルミニウム展伸材の場合でも、アルミニウム鋳物33によって、互いの重ね部77を高強度に接合できる。また、突起部35と貫通孔67bが形成されることで、アルミニウム鋳物33の第1アルミニウム展伸材15と第2アルミニウム展伸材63との接合強度を更に向上できる。
また、本接合形態においても、前述した図7Bに示すように、第2アルミニウム展伸材67の給湯口21に対向する部位に、前述した下孔を予め形成してもよい。その場合、アルミニウム溶湯17を隙間19に直接注入できるため、隙間19へのアルミニウム溶湯17の充填をいち早く完了でき、タクトタイムを短縮できる。
このように、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 第1治具と、前記第1治具に対向して配置されて給湯口を有する第2治具と、の間に画成される内部空間に、第1アルミニウム展伸材を前記第1治具に沿わせて配置する工程と、
アルミニウム溶湯を、前記給湯口から前記第1アルミニウム展伸材に向けて加圧して注入し、前記第1アルミニウム展伸材の表面に衝突させて、前記第1アルミニウム展伸材の前記アルミニウム溶湯との衝突位置を掘り下げる工程と、
前記アルミニウム溶湯を、前記第1アルミニウム展伸材の掘り下げによる除去分と共に、前記衝突位置の周囲の前記第1アルミニウム展伸材の表面に沿って前記内部空間に流動させる工程と、
をこの順で実施するアルミニウム材の接合方法。
このアルミニウム材の接合方法によれば、第1アルミニウム展伸材とアルミニウム鋳物との接合を、アルミニウム溶湯の供給によって瞬時に行うことができ、しかも互いの接合強度を向上できる。
(2) 前記第1アルミニウム展伸材の前記衝突位置を貫通しない深さまで掘り下げる(1)に記載のアルミニウム材の接合方法。
このアルミニウム材の接合方法によれば、アルミニウム展伸材にアルミニウム鋳物による突起部が形成されるため、突起部とアルミニウム展伸材との接合面積が増加して、接合強度を向上できる。
(3) 前記第1アルミニウム展伸材の前記衝突位置を、前記アルミニウム溶湯の衝突により貫通させる(1)に記載のアルミニウム材の接合方法。
このアルミニウム材の接合方法によれば、第1アルミニウム展伸材の全厚にわたってアルミニウム鋳物による突起部が形成されるため、アルミニウム展伸材とアルミニウム鋳物との接合強度をより向上できる。
(4) 前記第1治具は、前記第2治具に形成された前記給湯口に対向する位置に、前記給湯口の開口面積より広い開口面積を有する凹部を有し、
前記第1アルミニウム展伸材が貫通して形成される湯道を通じて、前記凹部に前記アルミニウム溶湯を充填する(3)に記載のアルミニウム材の接合方法。
このアルミニウム材の接合方法によれば、アルミニウム溶湯が充填された凹部には、アルミニウム溶湯の凝固後に、アルミニウム展伸材を厚さ方向に挟む係止部が形成される。この係止部がアルミニウム展伸材を挟み込むことで、アルミニウム展伸材とアルミニウム鋳物との接合強度を向上できる。
(5) 前記第2治具の複数箇所に前記給湯口が設けられ、
前記第1治具の前記給湯口に対向する位置それぞれに前記凹部が設けられ、
それぞれの前記凹部に前記アルミニウム溶湯を充填する(4)に記載のアルミニウム材の接合方法。
このアルミニウム材の接合方法によれば、アルミニウム鋳物が第1アルミニウム展伸材を貫通して凹部にまで至る箇所を複数形成することで、第1アルミニウム展伸材とアルミニウム鋳物との接合強度を更に向上できる。また、強度が必要な箇所に給湯口と凹部とを周囲と比較して多く設けることで、その箇所の接合強度を向上できる。
(6) 前記第1アルミニウム展伸材を配置する工程は、切り欠き又は貫通孔を有する第2アルミニウム展伸材を、前記切り欠き又は貫通孔によって前記給湯口が前記内部空間に露出される位置で、前記第1アルミニウム展伸材から離間させて前記第1治具に沿わせて設ける工程を更に有する(1)~(5)のいずれか1つに記載のアルミニウム材の接合方法。
このアルミニウム材の接合方法によれば、第1アルミニウム展伸材と第2アルミニウム展伸材の内側面同士の間にアルミニウム鋳物が形成され、第1アルミニウム展伸材と第2アルミニウム展伸材との接合強度が向上する。
(7) 前記アルミニウム展伸材は、平板形状である(1)~(6)のいずれか1つに記載のアルミニウム材の接合方法。
このアルミニウム材の接合方法によれば、平板状のアルミニウム展伸材を高強度にアルミニウム鋳物と接合できる。
(8) 前記アルミニウム展伸材は、管形状である(1)~(6)のいずれか1つに記載のアルミニウム材の接合方法。
このアルミニウム材の接合方法によれば、管状のアルミニウム展伸材を高強度にアルミニウム鋳物と接合できる。
(9) 第1治具と、前記第1治具に対向して配置されて給湯口を有する第2治具と、の間に画成される内部空間に、第1アルミニウム展伸材を前記第1治具に沿わせて配置し、第2アルミニウム展伸材を前記第1アルミニウム展伸材から離間させて前記第2治具に沿わせて配置する工程と、
アルミニウム溶湯を、前記給湯口から前記内部空間に向けて加圧して注入し、前記第2アルミニウム展伸材に貫通孔を形成する工程と、
前記アルミニウム溶湯を、前記貫通孔を通じて前記内部空間に加圧して注入して、前記第1アルミニウム展伸材の表面に衝突させて、前記第1アルミニウム展伸材の前記アルミニウム溶湯との衝突位置を掘り下げる工程と、
前記アルミニウム溶湯を、前記第1アルミニウム展伸材の掘り下げによる除去分と共に、前記衝突位置の周囲の前記第1アルミニウム展伸材及び前記第2アルミニウム展伸材の表面に沿って前記内部空間に流動させる工程と、
をこの順で実施するアルミニウム材の接合方法。
このアルミニウム材の接合方法によれば、第2アルミニウム展伸材に形成する貫通孔を通じて、アルミニウム溶湯が第1アルミニウム展伸材との隙間に注入され、第1アルミニウム展伸材と第2アルミニウム展伸材とを、瞬時に高強度で接合できる。
(10) 前記第1治具は、前記第2治具に形成された前記給湯口に対向する位置に、前記給湯口の開口面積より広い開口面積を有する凹部を有し、
前記第1アルミニウム展伸材が貫通して形成される湯道を通じて、前記凹部に前記アルミニウム溶湯を充填する(9)に記載のアルミニウム材の接合方法。
このアルミニウム材の接合方法によれば、アルミニウム溶湯が充填された凹部には、アルミニウム溶湯の凝固後に、アルミニウム展伸材を厚さ方向に挟む係止部が形成される。この係止部がアルミニウム展伸材を挟み込むことで、アルミニウム展伸材とアルミニウム鋳物との接合強度を向上できる。
(11) 前記第2治具の複数箇所に前記給湯口が設けられ、
前記第1治具の前記給湯口に対向する位置それぞれに前記凹部が設けられ、
それぞれの前記凹部に前記アルミニウム溶湯を充填する(10)に記載のアルミニウム材の接合方法。
このアルミニウム材の接合方法によれば、アルミニウム鋳物が第1アルミニウム展伸材を貫通して凹部にまで至る箇所を複数形成することで、第1アルミニウム展伸材とアルミニウム鋳物との接合強度を更に向上できる。また、給湯口と凹部との配置密度を局所的に高めることで、接合強度をより向上できる。これによれば、特に強度が必要な箇所の接合強度を、周囲よりも簡単に高められる。
(12) 前記第1アルミニウム展伸材と前記第2アルミニウム展伸材は、それぞれ平板形状である(9)~(11)のいずれか1つに記載のアルミニウム材の接合方法。
このアルミニウム材の接合方法によれば、平板状のアルミニウム展伸材を高強度にアルミニウム鋳物と接合できる。
(13) 前記第1アルミニウム展伸材と前記第2アルミニウム展伸材は、互いに径寸法の異なる管形状である(9)~(11)のいずれか1つに記載のアルミニウム材の接合方法。
このアルミニウム材の接合方法によれば、管状のアルミニウム展伸材を高強度にアルミニウム鋳物と接合できる。
11,11A,11B 第1治具
13,13A 第2治具
15,65 第1アルミニウム展伸材
15a 外側面
15b 内側面(表面)
17 アルミニウム溶湯
19 隙間
21 給湯口
31 アルミニウム展伸材の減肉部
33 アルミニウム鋳物
35 突起部
51 凹部
53 係止部
63b 内側面
63c 貫通孔
63d 下孔
63,63A,67 第2アルミニウム展伸材
65b 外周面(表面)
67b 貫通孔
71 中子(第1治具)
79 筒状割り型(第2治具)
100 治具

Claims (11)

  1. 第1治具と、前記第1治具に対向して配置されて給湯口を有する第2治具と、の間に画成される内部空間に、平板形状の第1アルミニウム展伸材の一方の面を前記第1治具に当接させて配置する工程と、
    アルミニウム溶湯を、前記給湯口から前記第1アルミニウム展伸材に向けて加圧して注入し、前記第1アルミニウム展伸材の他方の面に衝突させて、前記第1アルミニウム展伸材の前記アルミニウム溶湯との衝突位置を掘り下げる工程と、
    前記アルミニウム溶湯を、前記第1アルミニウム展伸材の掘り下げによる除去分と共に、前記衝突位置から、前記第1アルミニウム展伸材の表面に沿って前記内部空間に広げて充填させる工程と、
    をこの順で実施するアルミニウム材の接合方法。
  2. 円柱状の第1治具と、前記第1治具の外周面を覆って配置さ給湯口を有する円筒状の第2治具と、の間で径方向の隙間として画成される内部空間に、管形状の第1アルミニウム展伸材の内周面を前記第1治具の外周面に当接させて配置する工程と、
    アルミニウム溶湯を、前記給湯口から前記第1アルミニウム展伸材に向けて加圧して注入し、前記第1アルミニウム展伸材の外周面に衝突させて、前記第1アルミニウム展伸材の前記アルミニウム溶湯との衝突位置を掘り下げる工程と、
    前記アルミニウム溶湯を、前記第1アルミニウム展伸材の掘り下げによる除去分と共に、前記衝突位置から、前記第1アルミニウム展伸材の前記外周面に沿って前記内部空間に広げて充填させる工程と、
    をこの順で実施するアルミニウム材の接合方法。
  3. 前記第1アルミニウム展伸材の前記衝突位置を貫通しない深さまで掘り下げる請求項1又は2に記載のアルミニウム材の接合方法。
  4. 前記第1アルミニウム展伸材の前記衝突位置を、前記アルミニウム溶湯の衝突により貫通させる請求項1又は2に記載のアルミニウム材の接合方法。
  5. 前記第1治具は、前記第2治具に形成された前記給湯口に対向する位置に、前記給湯口の開口面積より広い開口面積を有する凹部を有し、
    前記第1アルミニウム展伸材が貫通して形成される湯道を通じて、前記凹部に前記アルミニウム溶湯を充填する請求項に記載のアルミニウム材の接合方法。
  6. 前記第2治具の複数箇所に前記給湯口が設けられ、
    前記第1治具の前記給湯口に対向する位置それぞれに前記凹部が設けられ、
    それぞれの前記凹部に前記アルミニウム溶湯を充填する請求項に記載のアルミニウム材の接合方法。
  7. 前記第1アルミニウム展伸材を配置する工程は、前記給湯口と前記内部空間とを連通する切り欠き又は貫通孔を有する第2アルミニウム展伸材を、前記内部空間の前記第1治具側に配置された前記第1アルミニウム展伸材から離間させ、且つ前記第2治具に当接させて、前記貫通孔によって前記給湯口が前記内部空間に露出される位置設ける工程を更に有する請求項1~のいずれか1項に記載のアルミニウム材の接合方法。
  8. 第1治具と、前記第1治具に対向して配置されて給湯口を有する第2治具と、の間に画成される内部空間に、平板形状の第1アルミニウム展伸材の一方の面を前記第1治具に当接させて配置し、平板形状の第2アルミニウム展伸材を前記第1アルミニウム展伸材から離間させ、且つ前記第2治具に当接させて配置する工程と、
    アルミニウム溶湯を、前記給湯口から前記内部空間に向けて加圧して注入し、前記第2アルミニウム展伸材に貫通孔を形成する工程と、
    前記アルミニウム溶湯を、前記給湯口と前記貫通孔を通じて前記内部空間に加圧して注入して、前記第1アルミニウム展伸材の他方の面に衝突させて、前記第1アルミニウム展伸材の前記アルミニウム溶湯との衝突位置を掘り下げる工程と、
    前記アルミニウム溶湯を、前記第1アルミニウム展伸材の掘り下げによる除去分と共に、前記衝突位置から、前記第1アルミニウム展伸材及び前記第2アルミニウム展伸材の接合面となる内側面同士に沿って前記内部空間に広げて前記内部空間に充填させる工程と、
    をこの順で実施するアルミニウム材の接合方法。
  9. 円柱状の第1治具と、前記第1治具の外周面を覆って配置さ給湯口を有する円筒状の第2治具と、の間で径方向の隙間として画成される内部空間に、管形状の第1アルミニウム展伸材の内周面を前記第1治具の前記外周面に当接させて配置するとともに前記第1アルミニウム展伸材よりも大径の第2アルミニウム展伸材を前記第1アルミニウム展伸材から径方向に離間させ、且つ前記第2治具に当接させて配置する工程と、
    アルミニウム溶湯を、前記給湯口から前記内部空間に向けて加圧して注入し、前記第2アルミニウム展伸材に貫通孔を形成する工程と、
    前記アルミニウム溶湯を、前記貫通孔を通じて前記内部空間に加圧して注入して、前記第1アルミニウム展伸材の表面に衝突させて、前記第1アルミニウム展伸材の前記アルミニウム溶湯との衝突位置を掘り下げる工程と、
    前記アルミニウム溶湯を、前記第1アルミニウム展伸材の掘り下げによる除去分と共に、前記衝突位置から、前記内部空間に広げて前記内部空間に充填させる工程と、
    をこの順で実施するアルミニウム材の接合方法。
  10. 前記第1治具は、前記第2治具に形成された前記給湯口に対向する位置に、前記給湯口の開口面積より広い開口面積を有する凹部を有し、
    前記第1アルミニウム展伸材が貫通して形成される湯道を通じて、前記凹部に前記アルミニウム溶湯を充填する請求項8又は9に記載のアルミニウム材の接合方法。
  11. 前記第2治具の複数箇所に前記給湯口が設けられ、
    前記第1治具の前記給湯口に対向する位置それぞれに前記凹部が設けられ、
    それぞれの前記凹部に前記アルミニウム溶湯を充填する請求項10に記載のアルミニウム材の接合方法。
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WO2007051652A1 (de) 2005-11-07 2007-05-10 Friedrich-Alexander-Universität Erlangen-Nürnberg Umgeformtes flächiges halbzeug, struktur- bzw. hybridbauteil und verfahren zur herstellung eines derartigen halbzeugs bzw. bauteils
DE102010015426A1 (de) 2010-04-19 2011-10-20 Audi Ag Verfahren zum Herstellen eines Verbundbauteils
DE102014014969A1 (de) 2013-10-14 2015-04-16 Imperia Gesellschaft für angewandte Fahrzeugentwicklung mbH Hybridbauteil-Gusswerkzeug und Verfahren zur Herstellung eines Hybridbauteils

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