(第1実施形態)
以下、本開示の第1実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態のワイヤー駆動装置1を示している。ワイヤー駆動装置1は、物体を搬送する搬送装置に備えられて、該搬送装置を駆動する装置である。ワイヤー駆動装置1は、ワイヤー2と、駆動プーリ3と、補助プーリ4と、従動プーリ5と、中間プーリ6、7、8、9と、運動体10と、駆動源11と、位置調整部12とを備えている。
ワイヤー2は、駆動プーリ3と従動プーリ5との間に掛けまわされている。ワイヤー2の両端は、ワイヤー2がループ状となるよう運動体10に固定されている。ワイヤー2は、駆動プーリ3及び2つの補助プーリ4との間で交互に掛けまわされた後、駆動プーリ3から出て、中間プーリ6、7及び運動体10を経て、従動プーリ5に至る。ワイヤー2は、従動プーリ5から、中間プーリ8、9を経て、駆動プーリ3に戻る。
また、ワイヤー2は、運動体10を直線運動させるように設けられる。すなわち、ワイヤー2の、従動プーリ5と中間プーリ6の間の部分は直線状である。また、ワイヤー2は、駆動プーリ3と従動プーリ5との間で真っすぐ(直線状)に設けられている。
駆動プーリ3は、円筒状又は円柱状に形成されて、図示しない支持部により、中心線L1周りに回転可能に設けられる。また、駆動プーリ3は、図示しない支持部により、中心線L1周りの回転方向以外は移動不可能に設けられる。駆動プーリ3は、駆動源11に連結されており、駆動源11からの駆動力を受けて、中心線L1周りに回転する。
駆動プーリ3は、中心線L1周りに円を描く外周面を有する。その外周面には、ワイヤー2を掛けるための複数の環状溝3a、3b、3cが形成されている(図2、図4参照)。複数の環状溝3a、3b、3cにワイヤー2が巻かれることで、ワイヤー2と駆動プーリ3との接触面積を大きくでき、駆動プーリ3の回転に伴い駆動されるワイヤー2の駆動力を大きくできる。本実施形態では3つの環状溝3a、3b、3cが形成されている。各環状溝3a、3b、3cは、回転中心線L1を中心とした円を描くように(すなわち環状に)形成される。
複数の環状溝3a、3b、3cは互いに平行に設けられる。また、図4に示すように、環状溝3a、3b、3cは、回転中心線L1の方向に等間隔に配列されている。第1の環状溝3aは、中心線L1方向の一端側に位置する。第2の環状溝3bは、第1の環状溝3aと、第3の環状溝3cの間に位置する。第3の環状溝3cは、中心線L1方向の他端側に位置する。なお、駆動プーリ3の外周面には、複数の環状溝3a、3b、3cの間を繋ぐ溝は形成されていない。すなわち、各環状溝3a、3b、3cは互いに分離して形成されており、換言すれば環状溝3a、3b、3cは螺旋溝ではない。
また、各環状溝3a、3b、3cとワイヤー2との接触範囲は、環状溝3a、3b、3cの1周未満である。なお、駆動プーリ3が本開示の回転体に相当する。
補助プーリ4は、駆動プーリ3に近接した位置に設けられて、駆動プーリ3に巻かれるワイヤー2のうちの、一の環状溝3a、3b、3cから隣りの環状溝3a、3b、3cへの乗り越え部分2a、2b(図2、図4参照)が掛けられる。具体的には、補助プーリ4は、環状溝3a、3b、3cの数より1少ない個数、すなわち2個設けられる。第1の補助プーリ4aは、ワイヤー2のうち、第1の環状溝3aとその隣りの第2の環状溝3bとの間の乗り越え部分2aが掛けられている。第2の補助プーリ4bは、ワイヤー2のうち、第2の環状溝3bとその隣りの第3の環状溝3cとの間の乗り越え部分2bが掛けられている。
より具体的には、補助プーリ4a、4bは円筒状又は円柱状に形成されて、中心線L2、L3(図4参照)周りに回転自在に設けられる。なお、補助プーリ4a、4bにはモータ等の駆動源が接続されていない。すなわち、補助プーリ4a、4bは、駆動プーリ3の回転に伴い駆動するワイヤー2の摩擦により回転する従動プーリとして構成されている。
補助プーリ4a、4bの外周にはワイヤー2を掛けるための単一の環状溝4c(図2、図4参照)が形成されている。環状溝4cは、補助プーリ4a、4bの回転中心線L2、L3を中心した円を描くように形成される。
補助プーリ4a、4bの環状溝4cへのワイヤー2の巻数は1周未満(具体的には1/2周程度)である。ワイヤー2(乗り越え部分2a、2b)は、環状溝4cのうち、駆動プーリ3が位置する側の反対側の部分に掛けられている。
図4の方向(駆動プーリ3の回転中心線L1に直角な方向かつ補助プーリ4a、4bの環状溝4cが駆動プーリ3に重なる方向)(図3のA方向)から見て、第1の補助プーリ4aの環状溝4c(ワイヤー2が掛けられる部分)は、第1、第2の環状溝3a、3bのうちの一の環状溝から隣りの環状溝へと向かうように、環状溝3a、3bの延設方向に対して斜めに延びている(向いている)。第1の補助プーリ4aの環状溝4cのうちのワイヤー2が掛けられる部分の一端は第1の環状溝3aの直上に位置し、該部分の他端は第2の環状溝3bの直上に位置する。
図4の方向から見て、第2の補助プーリ4bの環状溝4c(ワイヤー2が掛けられる部分)は、第2、第3の環状溝3b、3cのうちの一の環状溝から隣りの環状溝へと向かうように、環状溝3b、3cの延設方向に対して斜めに延びている(向いている)。第2の補助プーリ4bの環状溝4cのうちのワイヤー2が掛けられる部分の一端は第2の環状溝3bの直上に位置し、該部分の他端は第3の環状溝3cの直上に位置する。
補助プーリ4a、4b(環状溝4c)の向きについてさらに詳しく説明する。図5は、図4における、駆動プーリ3の3つの環状溝3a、3b、3cと、補助プーリ4a、4bの環状溝4cとを抜き出した図である。図5は、換言すれば、環状溝3a、3b、3cを駆動プーリ3の回転中心線L1に平行な平面内に示すとともに、その平面内に、補助プーリ4a、4bの環状溝4cのうちワイヤー2が掛けられる部分を投影させた図である。また、図5では、環状溝3a、3b、3c、4cへのワイヤー2の巻き方向を矢印で示している。
図5に示すように、ワイヤー2は、第3の環状溝3cの下部3c1から図5の紙面の裏側にまわった後、環状溝3cの上部3c2に出る。その後、ワイヤー2は、第3の環状溝3c内の矢印に沿って掛けられた後、第2の補助プーリ4bの環状溝4cに掛けられる。その後、ワイヤー2は、第2の環状溝3bに進んで、環状溝3bの下部3b1から図5の紙面の裏側にまわった後、環状溝3bの上部3b2に出る。その後、ワイヤー2は、第2の環状溝3bから、第1の補助プーリ4aの環状溝4cに掛けられる。その後、ワイヤー2は、第1の環状溝3aに進んで、環状溝3aの下部3a1から図5の紙面の裏側にまわった後、環状溝3aの上部3a2から駆動プーリ3の外側に出る。
補助プーリ4a、4bの環状溝4cは、図5の紙面上で直線状又は略直線状に延びる。図5の紙面上で、第1の補助プーリ4aの環状溝4cの一端4c1は、第1の環状溝3aの上に重なる。第1の補助プーリ4aの環状溝4cの他端4c2は、上記一端4c1よりも図5の紙面の上側の位置で、第2の環状溝3bの上に重なる。また、第2の補助プーリ4bの環状溝4cの一端4c3は、第2の環状溝3bの上に重なる。さらに、その一端4c3は、第1の補助プーリ4aの環状溝4cの一端4c1よりも図5の紙面で下側に位置する。第2の補助プーリ4bの環状溝4cの他端4c4は、上記一端4c3よりも図5の紙面の上側の位置で、第3の環状溝3cの上に重なる。さらに、その他端4c4は、第1の補助プーリ4aの環状溝3cの他端4c2よりも図5の紙面で下側に位置する。
また、図5の紙面上で、第1の補助プーリ4aの環状溝4cと、第1の環状溝3aのうちの、第1の補助プーリ4aからのワイヤー2を受け取らない部分3a3(ワイヤー2に接触しない部分)との成す角度θ1は45°以下(好ましくは45°より小さい角度)に設定されている。同様に、第1の補助プーリ4aの環状溝4cと、第2の環状溝3bとの成す角度θ2も45°以下(好ましくは45°より小さい角度)に設定されている。同様に、第2の補助プーリ4bの環状溝4cと、第2の環状溝3bとの成す角度θ3も45°以下(好ましくは45°より小さい角度)に設定されている。同様に、第2の補助プーリ4bの環状溝4cと、第3の環状溝3cとの成す角度θ4も45°以下(好ましくは45°より小さい角度)に設定されている。
また、第1の補助プーリ4aの回転中心線L2(図4参照)は、駆動プーリ3の回転中心線L1に対してねじれの位置にある。第2の補助プーリ4bの回転中心線L3(図4参照)は、駆動プーリ3の回転中心線L1に対してねじれの位置にある。
補助プーリ4a、4bは互いに同一の形状に形成されている。補助プーリ4a、4bの直径(回転中心線L2、L3に直角な方向の幅)は、駆動プーリ3の直径(回転中心線L1に直角な方向の幅)よりも小さい。補助プーリ4a、4bの、回転中心線L2、L3の方向における幅は、駆動プーリ3の、回転中心線L1の方向における幅よりも小さい。
図3に示すように、複数の補助プーリ4a、4bは、駆動プーリ3の回転中心線L1周りの回転方向に沿った位置のうちの互いに異なる位置に設けられている。また、複数の補助プーリ4a、4bは、図3の方向(駆動プーリ3の回転中心線L1の方向)から見て、ワイヤー2のうちの駆動プーリ3から出た第1部分2cと第2部分2dの間に領域に設けられ、該領域からはみ出ていない。換言すれば、複数の補助プーリ4a、4bは駆動プーリ3の直径(回転中心線L1に直角な方向の幅)内に収まるように設けられる。
さらに、複数の補助プーリ4a、4bは、図4に示すように、駆動プーリ3の回転中心線L1の方向に沿った位置のうちの互いに異なる位置に設けられている。また、複数の補助プーリ4a、4bは、図4の方向から見て、全体が駆動プーリ3に重なるように設けられ、駆動プーリ3からはみ出ていない。換言すえば、複数の補助プーリ4a、4bは、駆動プーリ3の中心線L1方向の幅内に収まるように設けられる。
なお、駆動プーリ3から補助プーリ4a、4bに掛けられるワイヤー2は、他のプーリを介さずに駆動プーリ3に戻る。つまり、駆動プーリ3と補助プーリ4a、4bの間には他のプーリが介在していない。また、第1の補助プーリ4aから第1の環状溝3aに向かうワイヤー2と、第1の補助プーリ4aから第2の環状溝3bに向かうワイヤー2とはクロス(交差)しない。同様に、第2の補助プーリ4bから第2の環状溝3bに向かうワイヤー2と、第2の補助プーリ4bから第3の環状溝3cに向かうワイヤー2とはクロス(交差)しない。すなわち、駆動プーリ3と補助プーリ4a、4bとの間で、たすき掛けにならないようにワイヤー2が掛けられる。
補助プーリ4a、4bは、複数の環状溝3a、3b、3cのうちの一の環状溝から隣りの環状溝へとワイヤー2を誘導するとともに、駆動プーリ3及び補助プーリ4a、4bに巻かれたワイヤー2に張力(テンション)を付与(換言すれば調整)するテンションプーリとして構成されている。具体的には、各補助プーリ4a、4bは、位置調整部12(図1参照)により、駆動プーリ3に対する位置が調整可能に支持されている。より具体的には、各補助プーリ4a、4bは、駆動プーリ3の回転中心線L1に直角な方向(駆動プーリ3の径方向)における位置(駆動プーリ3からの距離)が調整可能に支持されている。なお、補助プーリ4a、4bは、ワイヤー2の駆動により中心線L2、L3(図4参照)周りに回転しながら、ワイヤー2を一の環状溝から隣りの環状溝へと誘導する。
図1に示すように、位置調整部12は、補助プーリ4a、4b毎に個別に設けられる。図6は位置調整部12の構成を例示している。なお、図6においては、第1の補助プーリ4aを支持する位置調整部12aを図示しており、第2の補助プーリ4b及びそれを支持する位置調整部12bの図示を省略している。また、図6ではワイヤー2の図示も省略している。また、図6では、駆動プーリ3及び補助プーリ4aを簡略化して図示している。位置調整部12aは、支持部13と棒状部14とフレーム15とナット16とバネ17とを備えている。支持部13は、補助プーリ4aに接続されて、補助プーリ4aをその中心線L2周りに回転可能に支持する。
棒状部14は丸棒状に形成されて、一端側が支持部13に固定されている。棒状部14は、支持部13から、駆動プーリ3の回転中心線L1に直角な方向に延びるように設けられる。棒状部14は支持部13から駆動プーリ3が位置する側の反対側に延びるように設けられる。棒状部14の外周はネジ溝が形成されている。つまり、棒状部14は雄ネジ部として構成されている。
棒状部14は、フレーム15に、棒状棒14の軸線L7方向に移動可能に支持されている。棒状部14は、フレーム15により、棒状部14の軸線L7に直角な方向(径方向)には移動不可能に設けられてよい。また、棒状棒14は、その軸線L7周りの方向に回転自在に設けられてもよいし、回転不可能に設けられてもよい。また、軸線L7を駆動プーリ3の方に延長させた延長線は、例えば駆動プーリ3の、第1の環状溝3aと第2の環状溝3bの間の部分に交差(例えば直角に交差)する。
フレーム15は棒状部14を支持する部分である。具体的には、フレーム15には貫通穴15aが形成されている。この貫通穴15aに棒状部14がその軸方向に移動可能に挿通されている。また、貫通穴15aは、棒状部14の軸線L7周りの回転を許容する形状に形成されてもよいし、その回転を禁止する形状に形成されてもよい。
ナット16の内側に棒状部14が挿入されて、ナット16の内周面に形成されたネジ溝と、棒状部14の外周に形成されたネジ溝とが嵌合している。ナット16は、フレーム15を間に挟んで、支持部13及び補助プーリ4aとは反対側に位置する。
バネ17は例えばコイルバネである。バネ17の内側に棒状部14が挿入されている。バネ17は、ナット16とフレーム15の間に設けられる。バネ17は、補助プーリ4aにワイヤー2が掛けられた状態で、自然状態(バネ17に負荷がかかっていない状態)よりも圧縮した状態に設けられてよい。つまり、バネ17は、補助プーリ4aに掛けられたワイヤー2の張力で圧縮状態となり、その弾性反発力で補助プーリ4aを駆動プーリ3から離れる方向R1(図6参照)に付勢した状態にする。
棒状部14におけるナット16の位置(言い換えれば、ナット16への棒状部14の挿入量)が手動又は電動で調整されることで、補助プーリ4aの位置が変化する。具体的には、ナット16と棒状部14との嵌合量を大きくして、ナット16とフレーム15との距離を小さくすると、バネ17が縮む。このとき、バネ17は、弾性反発力で元の状態に復帰しようとする。このバネ17の弾性反発力で、棒状部14、支持部13、及び補助プーリ4aは、駆動プーリ3から離れる方向R1に変位する。反対に、ナット16と棒状部14との嵌合量を小さくすると、棒状部14、支持部13、及び補助プーリ4aは、駆動プーリ3に近づく方向R2に変位する。方向R1、R2は駆動プーリ3の回転中心線L1に直角な方向としてよい。
第2の補助プーリ4bを支持する位置調整部12b(図1参照)も、図6の位置調整部12aと同様に構成されている。位置調整部12bの棒状部(図6の棒状部14に対応)の軸線を駆動プーリ3の方に延長させた延長線は、例えば駆動プーリ3の、第2の環状溝3bと第3の環状溝3cの間の部分に交差(例えば直角に交差)する。なお、補助プーリ4a、4bが本開示の張力付与部に相当する。
上述したように、ワイヤー2は、駆動プーリ3及び複数の補助プーリ4a、4bとの間で交互に掛けまわされている。具体的には、ワイヤー2は、駆動プーリ3の第1の環状溝3a、第1の補助プーリ4a、第2の環状溝3b、第2の補助プーリ4b、第3の環状溝3cの順に掛けまわされる。
図1に戻って、従動プーリ5は、その中心線L4周りに回転自在に設けられる。回転中心線L4は、駆動プーリ3の回転中心線L1と平行であってよい。従動プーリ5は、回転中心線L4周りに円を描く外周部を有する。その外周部に単一の環状溝が形成されている。その環状溝にワイヤー2が1周未満(具体的には1/2周程度)の接触をもって掛けられている。従動プーリ5にはモータ等の駆動源が接続されていない。すなわち、従動プーリ5は、駆動プーリ3の回転に伴い駆動するワイヤー2の摩擦により回転する。また、従動プーリ5は、駆動プーリ3と同一径に形成されているが、駆動プーリ3より小径又は大径に形成されてもよい。また、従動プーリ5の環状溝の、回転中心線L4に平行な方向における位置は、駆動プーリ3の第2の環状溝3bの、回転中心線L4に平行な方向における位置と同じであってよい。
中間プーリ6、7、8、9は、駆動プーリ3と従動プーリ5の間に設けられて、駆動プーリ3から従動プーリ5に向けて延びるワイヤー2を所定方向(具体的には回転中心線L1、L4に平行な方向)に変位させるガイドプーリである。具体的には、中間プーリ6、7は、駆動プーリ3と従動プーリ5との間の2つのワイヤー経路のうちの一方の経路上に設けられる。中間プーリ6、7は、駆動プーリ3の環状溝3cから出るワイヤー2d(図3参照)の、回転中心線L1に平行な方向における位置を、環状溝3b及び従動プーリ5の環状溝と同じ位置に変位させるように設けられる。中間プーリ8、9は、駆動プーリ3と従動プーリ5との間の2つのワイヤー経路のうちの他方(中間プーリ6、7が設けられない方)の経路上に設けられる。中間プーリ8、9は、駆動プーリ3の環状溝3aから出るワイヤー2c(図3参照)の、回転中心線L1に平行な方向における位置を、環状溝3b及び従動プーリ5の環状溝と同じ位置に変位させるように設けられる。ワイヤー2は、中間プーリ6、7の間、及び中間プーリ8、9の間を通るように設けられる。
中間プーリ6、7、8、9は、各中心線周りに回転自在に設けられる。中間プーリ6、7、8、9の回転中心線は駆動プーリ3の回転中止線L1に直角な方向を向いてよい。中間プーリ6、7、8、9には駆動源が接続されていない。中間プーリ6、7、8、9は、ワイヤー2の駆動に伴い回転する。
運動体10は、ワイヤー2の駆動により直線運動する。運動体10は、図示しない支持部により、ワイヤー2の長手方向(直線運動の方向)には移動可能に、それ以外の方向には規制された状態に設けられる。運動体10は、例えば搬送対象物を支持して、運動体10の直線運動に伴い、搬送対象物を直線状に搬送する。
さらに、運動体10は、駆動プーリ3から従動プーリ5の方に向かう方向と、従動プーリ5から駆動プーリ3の方に向かう方向の両方向に往復運動が可能に設けられてよい。すなわち、運動体10は、駆動プーリ3が図3の紙面で時計周りに回転した場合には、従動プーリ5の方に向かうように移動する。運動体10は、駆動プーリ3が図3の紙面で反時計周りに回転した場合には、駆動プーリ3の方に向かうように移動する。
また、運動体10は例えば水平方向(鉛直方向に直角な方向)に移動するように設けられる。なお、運動体10の移動方向は水平方向以外の方向(例えば、鉛直方向、又は斜め方向)であってもよい。
駆動源11は、駆動プーリ3をその中心線L1周りに回転させる。駆動源11は例えばステッピングモータとしてよい。駆動源11は、第1方向及びその逆の第2方向の双方に駆動可能に構成されている。駆動源11が第1方向に駆動した場合には、駆動プーリ3を例えば図3の紙面で時計周りに回転させる。駆動源11が第2方向に駆動した場合には、駆動プーリ3を例えば図3の紙面で反時計周りに回転させる。
なお、ワイヤー2は、駆動プーリ3の回転に伴い、駆動プーリ3の中心線L1方向(複数の環状溝3a、3b、3cの配列方向)における一端側から送り出され、中心線L1方向の他端側から巻き戻される。具体的には、駆動プーリ3が図3の紙面で時計周りに回転すると、ワイヤー2は、第3の環状溝3cから送り出され、第1の環状溝3aへと巻き戻される。駆動プーリ3が図3の紙面で反時計周りに回転すると、ワイヤー2は、第1の環状溝3aから送り出され、第3の環状溝3cへと巻き戻される。
以下、本実施形態の効果を説明する。本実施形態では、複数の環状溝3a、3b、3c間の乗り越え毎に個別の補助プーリ4a、4bが設けられるので、駆動プーリ3及び補助プーリ4a、4bに巻かれたワイヤー2の張力(テンション)を部分的に管理(制御)できる。例えば、駆動プーリ3に巻かれたワイヤー2のうち、第1の補助プーリ4aに近い部分(例えば第1の環状溝3aに掛けられた部分、又は第2の環状溝3bに掛けられた部分、又は第1の補助プーリ4aに掛けられた部分)の張力が弱くなった場合には、バネ17(図6参照)の弾性反発力により補助プーリ4aは駆動プーリ3から離れる方向R1(図6参照)に自動的に変位する。これにより、第1の補助プーリ4a付近でのワイヤー2の緩みを抑制できる。また、例えば、ワイヤー2のうち、第1の補助プーリ4aに近い部分の張力が大きくなった場合には、補助プーリ4aは、バネ17(図6参照)の弾性反発力に抗して、駆動プーリ3に接近する方向R2(図6参照)に自動的に変位する。これにより、第1の補助プーリ4a付近でのワイヤー2の張力が過大となるのを抑制できる。
また例えば、駆動プーリ3に巻かれたワイヤー2のうち、第2の補助プーリ4bに近い部分(例えば第2の環状溝3bに掛けられた部分、又は第3の環状溝3cに掛けられた部分、又は第2の補助プーリ4bに掛けられた部分)の張力が弱くなった場合には、バネ17(図6参照)の弾性反発力により補助プーリ4bは駆動プーリ3から離れる方向R1(図6参照)に自動的に変位する。これにより、第2の補助プーリ4b付近でのワイヤー2の緩みを抑制できる。また、例えば、ワイヤー2のうち、第2の補助プーリ4bに近い部分の張力が大きくなった場合には、補助プーリ4bは、バネ17(図6参照)の弾性反発力に抗して、駆動プーリ3に接近する方向R2(図6参照)に自動的に変位する。これにより、第2の補助プーリ4b付近でのワイヤー2の張力が過大となるのを抑制できる。
さらに、図6に示すナット16と棒状部14との嵌合量を調整することによっても、駆動プーリ3に巻かれたワイヤー2の張力を部分的に管理(制御)できる。例えば、ワイヤー2のうち、第1の補助プーリ4aに近い部分が緩んだ場合には、位置調整部12aのナット16と棒状部14との嵌合量を大きくすることで、第1の補助プーリ4aを駆動プーリ3から離す方向R1に変位させることができる。これにより、第1の補助プーリ4a付近でのワイヤー2の緩みを小さくできる。反対に、ワイヤー2のうち、第1の補助プーリ4aに近い部分の張力が強すぎる場合には、位置調整部12aのナット16と棒状部14との嵌合量を小さくすることで、第1の補助プーリ4aを駆動プーリ3に接近する方向R2に変位させることができる。これにより、第1の補助プーリ4a付近でのワイヤー2の張力が過大となるのを抑制できる。
また例えば、ワイヤー2のうち、第2の補助プーリ4bに近い部分が緩んだ場合には、位置調整部12bのナット16と棒状部14との嵌合量を大きくすることで、第2の補助プーリ4bを駆動プーリ3から離す方向R1に変位させることができる。これにより、第2の補助プーリ4b付近でのワイヤー2の緩みを小さくできる。反対に、ワイヤー2のうち、第2の補助プーリ4bに近い部分の張力が強すぎる場合には、位置調整部12bのナット16と棒状部14との嵌合量を小さくすることで、第2の補助プーリ4bを駆動プーリ3に接近する方向R2に変位させることができる。これにより、第2の補助プーリ4b付近でのワイヤー2の張力が過大となるのを抑制できる。
このように、駆動プーリ3に巻かれるワイヤー2を適切な張力に制御でき、部分的に緩んだり、部分的に張力が過大となるのを抑制できる。ワイヤー2を適切な張力にできることで、駆動プーリ3により駆動されるワイヤー2の駆動量(送り出し量、巻き戻し量)を高精度に制御でき、ひいてはワイヤー2の駆動により駆動する運動体10の移動量を高精度に制御できる。
また、補助プーリ4a、4bは、図4、図5の方向から見て、複数の環状溝3a、3b、3cのうちの一の環状溝から隣りの環状溝の方に環状溝4cが向くように設けられるので、駆動プーリ3を中心線L1方向に移動させなくても、ワイヤー2を一の環状溝から隣りの環状溝へと誘導できる。これにより、ワイヤー2が環状溝3a、3b、3cから外れてしまうのを抑制できる。また、一の環状溝にワイヤー2が複数層に重なってしまうのを抑制できる。また、駆動プーリ3を中心線L1方向に移動させなくてもよいので、装置1が大型化するのを抑制できる。また、図5に示すように、補助プーリ4a、4bの環状溝4cと、駆動プーリ3の環状溝3a、3b、3cとの成す角度θ1~θ4は45°以下に設定されるので、一の環状溝から隣りの環状溝への乗り越えの際に、ワイヤー2が過度に曲がったり、ねじれてしまったりするの抑制でき、ワイヤー2を一の環状溝から隣りの環状溝へと効果的に誘導できる。
また、複数の補助プーリ4a、4bは、駆動プーリ3の回転中心線L1周りの周方向においてずれた位置に設けられ(図3参照)、なおかつ、回転中心線L1の方向においてもずれた位置に設けられるので(図4参照)、複数の補助プーリ4a、4bが互いに干渉してしまうのを抑制できる。
また、複数の補助プーリ4a、4bは、図3の方向から見て、駆動プーリ3から出た2つのワイヤー部分2c、2dの間の領域に設けられ、なおかつ、図4の方向から見て、駆動プーリ3に補助プーリ4a、4bの全部が重なるように設けられるので、ワイヤー駆動装置1の駆動側(駆動プーリ3及び補助プーリ4a、4b)の構成をコンパクトにできる。
(第2実施形態)
次に、本開示の第2実施形態を第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。本実施形態は、第1実施形態のワイヤー駆動装置1と同様の構成からなる駆動機構を複数連ねた実施形態である。図7、図8は本実施形態のワイヤー駆動装置20を示している。ワイヤー駆動装置20は、第1実施形態と同様に例えば搬送装置用の駆動力を発生させる装置である。
ワイヤー駆動装置20は、複数(具体的には3つ)の駆動機構21A、21B、21Cを備えている。各駆動機構21A、21B、21Cは、第1実施形態のワイヤー駆動装置1と同様に構成されている。すなわち、第1駆動機構21Aは、ワイヤー22Aと、駆動プーリ23Aと、補助プーリ24Aと、従動プーリ25Aと、中間プーリ26Aと、運動体27Aと、駆動源28Aと、位置調整部29Aとを備えている。第2駆動機構21Bは、ワイヤー22Bと、駆動プーリ23Bと、補助プーリ24Bと、従動プーリ25Bと、中間プーリ26Bと、運動体27Bと、駆動源28Bと、位置調整部29Bとを備えている。第3駆動機構21Cは、ワイヤー22Cと、駆動プーリ23Cと、補助プーリ24Cと、従動プーリ25Cと、中間プーリ26Cと、運動体27Cと、駆動源28Cと、位置調整部29Cとを備えている。
各駆動プーリ23A、23B、23Cは、第1実施形態の駆動プーリ3と同様に構成されている。また、各駆動プーリ23A、23B、23Cは互いに同一の形状に形成されている。
各補助プーリ24A、24B、24Cは、第1実施形態の補助プーリ4a、4bと同様に構成されている。すなわち、補助プーリ24A、24B、24Cは、それぞれ、駆動プーリ23A、23B、23Cの環状溝の数より1少ない個数(つまり2個)設けられている。また、各補助プーリ24A、24B、24Cは互いに同一の形状に形成されている。
従動プーリ25A、25B、25Cは第1実施形態の従動プーリ5と同様に構成されている。また、各従動プーリ25A、25B、25Cは互いに同一の形状に形成されている。
中間プーリ26A、26B、26Cは第1実施形態の中間プーリ6、7、8、9と同様に構成されている。すなわち、中間プーリ26A、26B、26Cは、駆動プーリ23A、23B、23Cと従動プーリ25A、25B、25Cの間のワイヤー22A、22B、22Cを所定方向に変位させるガイドプーリとして構成されている。
運動体27A、27B、27Cは第1実施形態の運動体10と同様に構成されている。また、図8に示すように、運動体27A、27B、27Cは、従動プーリ25A、25B、25Cに最接近した状態で、ワイヤー22A、22B、22Cの延設方向(運動体27A、27B、27Cの移動経路)に直角な方向に並ぶように設けられる。各運動体27A、27B、27Cには、互いに異なる搬送対象物(図示外)が支持されてもよいし、同じ搬送対象物(図示外)が支持されてもよい。
駆動源28A、28B、28Cは第1実施形態の駆動源11と同様に構成されている。各駆動源28A、28B、28Cは、互いに独立に各駆動プーリ23A、23B、23Cを駆動してよい。各駆動源28A、28B、28Cは、各駆動プーリ23A、23B、23Cを同期させて駆動してもよいし、タイミングをずらして駆動してもよい。また、各駆動源28A、28B、28Cは、各駆動プーリ23A、23B、23Cを同時に同一方向に回転させるように駆動してもよいし、同時に異なる方向に回転させるように駆動してもよい。また、各駆動源28A、28B、28Cは、各運動体27A、27B、27Cを所定方向(ワイヤー22A、22B、22Cの延設方向に直角な方向)に整列した状態に移動させるように各駆動プーリ23A、23B、23Cを駆動してもよいし、各運動体27A、27B、27Cを非整列の状態に移動させるように各駆動プーリ23A、23B、23Cを駆動してもよい。
位置調整部29A、29B、29Cは第1実施形態の位置調整部12と同様に構成されている。
また、ワイヤー22A、22B、22Cは第1実施形態のワイヤー2と同様にループ状に構成されている。すなわち、各ワイヤー22A、22B、22Cは、駆動プーリ23A、23B、23Cと補助プーリ24A、24B、24Cとの間で交互に掛けまわされた後、駆動プーリ23A、23B、23Cから出される。そして、ワイヤー22A、22B、22Cは、従動プーリ25A、25B、25Cに掛けられた後、再び駆動プーリ23A、23B、23Cに戻る。また、ワイヤー22A、22B、22Cは、運動体27A、27B、27Cの移動経路(直線経路)が互いに同一長となり、かつ平行に並ぶように、設けられる。また、運動体27A、27B、27Cの各移動経路の始点は、該移動経路の方向における互いに同一位置に設定されてよい。また、各移動経路の終点は、該移動経路の方向における互いに同一位置に設定されてよい。
複数の駆動機構21A、21B、21Cは、運動体27A、27B、27Cの移動経路が平行に並ぶように、かつ、互いに干渉しないように設けられる。図8に示すように、第1駆動機構21Aの駆動プーリ23A及び補助プーリ24Aと、第2駆動機構21Bの駆動プーリ23B及び補助プーリ24Bと、第3駆動機構21Cの駆動プーリ23C及び補助プーリ24Cとは、図8の紙面で上下方向(運動体27A、27B、27Cの移動経路に直角な方向)に互いにずれた位置に設けられる。
また、図7に示すように、第1駆動機構21Aの駆動側(駆動プーリ23A、補助プーリ24A、中間プーリ26A、及び位置調整部29A)と、第2駆動機構21Bの駆動側(駆動プーリ23B、補助プーリ24B、中間プーリ26B、及び位置調整部29B)と、第3駆動機構21Cの駆動側(駆動プーリ23C、補助プーリ24C、中間プーリ26C、及び位置調整部29C)とは、図7の紙面で上下方向(運動体27A、27B、27Cの移動経路に直角な方向)に互いにずれた位置に設けられる。具体的には、第1駆動機構21Aの駆動側は、第2駆動機構21Bの駆動側よりも図7の紙面で上側に設けられる。換言すれば、第1駆動機構21Aの駆動側は、運動体27Aの移動経路に対して図7の紙面で上側にずれた位置に設けられる。
第3駆動機構21Cの駆動側は、第2駆動機構21Bの駆動側よりも図7の紙面で下側に設けられる。換言すれば、第3駆動機構21Cの駆動側は、運動体27Cの移動経路に対して図7の紙面で下側にずれた位置に設けられる。
第2駆動機構21Bの駆動側から従動プーリ25Bに向かう方向は、運動体27Bの移動経路に平行な方向となっている。
第1駆動機構21Aは、中間プーリ26Aと従動プーリ25Aの間に、ワイヤー22Aの移動方向を変更するプーリ30Aを備える。プーリ30Aは2つ設けられる。一方のプーリ30Aは、駆動プーリ23Aから送り出されるワイヤー22Aの経路上に設けられる。他方のプーリ30Aは、駆動プーリ23Aへ巻き戻されるワイヤー22Aの経路上に設けられる。
第3駆動機構21Cは、中間プーリ26Cと従動プーリ25Cの間に、ワイヤー22Cの移動方向を変更するプーリ30Cを備える。プーリ30Cは2つ設けられる。一方のプーリ30Cは、駆動プーリ23Cから送り出されるワイヤー22Cの経路上に設けられる。他方のプーリ30Cは、駆動プーリ23Cへ巻き戻されるワイヤー22Cの経路上に設けられる。
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。加えて、本実施形態のワイヤー駆動装置20は、第1実施形態のワイヤー駆動装置1と同様の駆動機構21A、21B、21Cを複数(具体的には3つ)連ねた構成なので、装置20が大型化になるのを抑制しつつ、複数の搬送対象物を同時に又はタイミングをずらして搬送できる。また、複数のワイヤー22A、22B、22C(言い換えれば運動体27A、27B、27C)で同一の搬送対象物を搬送させる場合には、その搬送力を大きくできる。
(第3実施形態)
次に、本開示の第3実施形態を上記実施形態と異なる部分を中心に説明する。図9は本実施形態のワイヤー駆動装置40を示している。ワイヤー駆動装置40は、第1、第2実施形態と同様に例えば搬送装置用の駆動力を発生させる装置である。
ワイヤー駆動装置40は、ワイヤー41と、駆動プーリ42と、補助プーリ43と、中間プーリ44、45と、運動体側プーリ46、47と、運動体としての回転盤48と、駆動源49と、位置調整部50とを備えている。駆動プーリ42は第1実施形態の駆動プーリ3と同様に構成されている。補助プーリ43は、第1実施形態の補助プーリ4a、4bと同様に構成されている。すなわち、補助プーリ43は、駆動プーリ42の環状溝の数より1少ない個数(つまり2個)設けられている。
中間プーリ44、45は、駆動プーリ42と運動体側プーリ46、47との間に設けられて、それら間のワイヤー41を所定方向に変位させるガイドプーリである。具体的には、中間プーリ44、45は、駆動プーリ42から出るワイヤー41を、回転盤48の回転中心線L6に平行な方向における、回転盤48の高さ位置まで変位させる。中間プーリ44、45は、その中心線周りに回転自在に設けられる。図9の例では、中間プーリ44、45の回転中心線は、駆動プーリ42の回転中心線L5に平行な方向を向いている。中間プーリ44は、駆動プーリ42と一方の運動体側プーリ46の間において2つ設けられる。中間プーリ45は、駆動プーリ42と他方の運動体側プーリ47の間において2つ設けられる。
運動体側プーリ46、47は、運動体としての回転盤48の手前に設けられる。すなわち、一方の運動体側プーリ46は、回転盤48と中間プーリ44の間において、中間プーリ44よりも回転盤48に近い位置に設けられる。他方の運動体側プーリ47は、回転盤48と中間プーリ45の間において、中間プーリ45よりも回転盤48に近い位置に設けられる。
運動体側プーリ46、47は、その中心線周りに回転自在に設けられる。図9の例では、運動体側プーリ46、47の回転中心線は、駆動プーリ42の回転中心線L5に直角な方向を向いている。また、運動体側プーリ46、47の回転中心線は回転盤48の回転中心線L6に平行な方向を向いている。
2つの運動体側プーリ46、47は、回転盤48の外周に沿った方向に間隔をあけて並ぶように設けられる。その間隔は、回転盤48の直径よりも小さく、より具体的には回転盤48の半径よりも小さい。各運動体側プーリ46、47の外周には単一の環状溝が形成されている。ワイヤー41は、2つの運動体側プーリ46、47の間を通るとともに、各運動体側プーリ46、47の環状溝に掛けられている。
回転盤48は、円盤状に形成されて、その中心線L6周りに回転自在に設けられる。図9の例では、回転中心線L6は駆動プーリ42の回転中心線L5に直角な方向を向いているが、平行な方向を向いてもよい。また、回転中心線L6は鉛直方向を向いてもよいし、水平方向を向いてもよい。なお、回転盤48は、中心線L6周りの方向以外の方向には移動不可能に設けられる。また、回転盤48の直径は駆動プーリ42の直径よりも大きい。
回転盤48はその回転中心線L6周りに円を描く外周部を有する。その外周部に単一の環状溝48aが形成されている。その環状溝48aにワイヤー41が1/2周より大きく、かつ1周未満の接触をもって掛けられている。図9の例では、ワイヤー41と環状溝48aとの接触面積は、環状溝48aの3/4周以上、1周未満に設定されている。
回転盤48にはモータ等の駆動源が接続されていない。すなわち、回転盤48は、駆動プーリ42の回転に伴い駆動するワイヤー41の摩擦により回転する従動プーリとして構成されている。
また、回転盤48は、搬送対象物(図示外)を支持して、その搬送対象物を回転中心線L6周りの回転方向に搬送する。回転中心線L6が鉛直方向を向く場合には、回転盤48の上に搬送対象物が載せられてよい。なお、回転盤48が本開示の円形体に相当する。
駆動源49は第1実施形態の駆動源11と同様に構成されている。駆動源49は、回転盤48を、回転中心線L6周りの第1方向及びその逆の第2方向の双方に回転させるように構成されてよい。位置調整部50は第1実施形態の位置調整部12と同様に構成される。
ワイヤー41はループ状に設けられる。具体的には、ワイヤー41は、駆動プーリ42及び2つの補助プーリ50との間で交互に掛けまわされた後、駆動プーリ42から出て、中間プーリ44及び運動体側プーリ46を経て、回転盤48に至る。ワイヤー41は、回転盤48から、運動体側プーリ47及び中間プーリ45を経て、駆動プーリ42に戻る。
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。加えて、本実施形態では、運動体としての回転盤48及びこれに支持される搬送対象物を旋回(回転)させることができる。また、回転盤48の手前に設けられる運動体側プーリ46、47により、回転盤48の環状溝48aとワイヤー41との接触面積を大きくできる。これにより、駆動プーリ42より大径の回転盤48を効果的に駆動できる。
(第4実施形態)
次に本開示の第4実施形態を上記実施形態と異なる部分を中心に説明する。図10は本実施形態のワイヤー駆動装置60を示している。ワイヤー駆動装置60は、第1~第3実施形態と同様に例えば搬送装置用の駆動力を発生させる装置である。
ワイヤー駆動装置60は、ワイヤー61と、駆動プーリ62と、補助プーリ63と、中間プーリ64と、方向変更プーリ65、66と、フレーム67と、駆動源68と、位置調整部69とを備えている。
駆動プーリ62は第1実施形態の駆動プーリ3と同様に構成されている。駆動プーリ62の回転中心線は鉛直方向を向いてもよいし、水平方向を向いてもよいし、鉛直方向及び水平方向の両方に対して斜め方向を向いてもよい。補助プーリ63は、、第1実施形態の補助プーリ4a、4bと同様に構成されている。すなわち、補助プーリ63は、駆動プーリ62の環状溝の数より1少ない個数(つまり2個)設けられている。
中間プーリ64は2つ設けられる。2つの中間プーリ64は、駆動プーリ62と、一方の方向変更プーリ66との間に設けられて、その間のワイヤー61を所定方向に変位させるガイドプーリである。具体的には、中間プーリ64は、駆動プーリ62から出るワイヤー61dを、駆動プーリ62の回転中心線に平行な方向における、方向変更プーリ66の高さ位置まで変位させる。中間プーリ64はその中心線周りに回転自在に設けられる。また、中間プーリ64の回転中心線は駆動プーリ62の回転中心線に直角な方向(図10の紙面の左右方向)を向いている。
方向変更プーリ65、66は、ワイヤー61の延設方向を変更するプーリである。図10の例では、方向変更プーリ65、66の前後でワイヤー61の延設方向が90°変わっている。一方の方向変更プーリ65は、駆動プーリ63から出る2つのワイヤー部分61c、61dのうち一方61cを掛けるように設けられる。他方の方向変更プーリ66は、駆動プーリ63から出る2つのワイヤー部分61c、61dのうち他方61dを掛けるように設けられる。
方向変更プーリ65、66はその中心線周りに回転自在に設けられる。方向変更プーリ65、66の回転中心線は駆動プーリ62の回転中心線に平行な方向を向いている。
フレーム67は、ワイヤー61の両端61a、61bを動かないよう支持する。駆動源68は第1実施形態の駆動源11と同様に構成されている。位置調整部69は第1実施形態の位置調整部12と同様に構成されている。
ワイヤー61は非ループ状に設けられる。具体的には、ワイヤー61の両端61a、61bは、互いに離れた位置でフレーム67に固定されている。より具体的には、ワイヤー61は、駆動プーリ62及び2つの補助プーリ63との間で交互に掛けまわされた後、駆動プーリ62の回転中心線の方向における一端側及び他端側から出される。ワイヤー61の、駆動プーリ62から出た部分61c、61dのうちの一方61cは、一方の方向変更プーリ65を経て、一方の固定端61aまで延びる。ワイヤー61の、駆動プーリ62から出た部分61c、61dのうちの他方61dは、他方の方向変更プーリ66を経て、他方の固定端61bまで延びる。
さらに、本実施形態の駆動プーリ62は、駆動プーリ62の回転(駆動プーリ62からのワイヤー61の送り出し及び巻き戻し)に伴い所定方向F1、F2(図10参照)に移動可能に設けられる。方向F1、F2は、駆動プーリ62の回転中心線に直角な方向(図10の紙面の面内方向)である。より具体的には、方向F1は図10の紙面の左方向であり、方向F2は図10の右方向(方向F1の反対方向)である。
駆動プーリ62は、図10の紙面で反時計周りの方向E1に回転すると方向F1に移動する。駆動プーリ62は、図10の紙面で時計周りの方向E2に回転すると方向F2に移動する。
また、位置調整部69のバネ(図示外)(図6のバネ17に相当)の作用で、駆動プーリ62の移動中に、一方の補助プーリ63又は他方の補助プーリ63の位置(駆動プーリ62との距離)が自動的に調整されてよい。これによれば、駆動プーリ62の移動に伴い、ワイヤー2が部分的に緩んだり、ワイヤー2の張力が部分的に過大となるのを抑制できる。
なお、駆動プーリ62の移動経路は、水平方向に延びるように設定されてもよいし、鉛直方向に延びるように設定されてもよいし、水平方向と鉛直方向の両方に対して斜め方向に延びるように設定されてもよい。
補助プーリ63、中間プーリ64、方向変更プーリ65、66、駆動源68、及び位置調整部69は、駆動プーリ62との位置関係を保持するように、駆動プーリ62の移動に伴い方向F1、F2に移動可能に設けられる。すなわち、補助プーリ63、中間プーリ64、方向変更プーリ65、66、駆動源68、及び位置調整部69は、駆動プーリ62の移動に伴い、駆動プーリ62との位置関係を保持するように移動する。
ワイヤー駆動装置60は、駆動プーリ62の回転に伴い、駆動プーリ62、補助プーリ63、中間プーリ64、方向変更プーリ65、66、駆動源68、及び位置調整部69を方向F1、F2に沿って案内するガイド部70を備えている。
駆動プーリ62は、ワイヤー61を駆動する(送り出す及び巻き戻す)駆動部として機能するとともに、ワイヤー61の駆動に伴い自身が移動する運動体としても機能する。駆動プーリ62は、例えば搬送対象物を支持して、駆動プーリ62の回転に伴い搬送対象物を方向F1、F2に沿って搬送する。
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。加えて、本実施形態では、駆動プーリ62を運動体に兼用できる。
なお、本開示は上記実施形態に限定されず種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、駆動プーリに形成される環状溝の数が3個の例を示したが、2個、又は4個以上でもよい。駆動プーリの環状溝の数が2個の場合には、1つの駆動プーリ当たりの補助プーリの数は1個となる。また、第2実施形態では、駆動機構を3個連ねた例を示したが、駆動機構を連ねる数は2個又は4個以上でもよい。
また、上記実施形態では、駆動プーリ(駆動回転体)に付帯させて補助プーリを設ける例を示したが、駆動源が連結されない従動回転体に付帯させて補助プーリを設けてもよい。具体的には、例えば上記第3実施形態(図9)において、従動回転体としての回転盤48の外周に複数の環状溝が形成され、回転盤48に付帯するように、回転盤48の環状溝の数より1少ない個数の補助プーリが設けられてよい。そして、ワイヤー41は、回転盤48の複数の環状溝と、補助プーリとの間を交互に掛けまわされてよい。回転盤48に付帯する補助プーリは、駆動プーリ42の補助プーリ43と同様に、回転盤48の複数の環状溝のうちの一の環状溝から隣りの環状溝へとワイヤー41を誘導するとともに、一の環状溝から隣りの環状溝への乗り越え毎にワイヤー41に張力を付与する。また、回転盤48に付帯する補助プーリの位置を調整する位置調整部が設けられる。この位置調整部は図6の位置調整部12aと同様に構成されてよい。これによれば、回転盤48とワイヤー41との接触面積を大きくできるので、回転盤48の回転力を大きくできる。また、補助プーリにより、回転盤48に巻かれるワイヤー41が部分的に緩んだり、部分的に張力が過大となったりするのを抑制できる。