JP7183965B2 - ハーフプレキャストコンクリートを用いた基礎構築方法 - Google Patents
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そこで、例えば特許文献1に示されるような、工場で製作するプレキャストコンクリートを適用して既設の鉄筋コンクリート造の既設構造物に接続する方法が知られている。
すなわち、既設の鉄筋コンクリート造の構造物(以下、RC造既設構造物という)を改造して新たに基礎を構築する場合には、そのRC造既設構造物とプレキャストコンクリートを接続して応力伝達させ、一体化させる必要がある。例えば、RC造既設構造物が底盤の場合には、その底盤に縦筋アンカーを打設しておき、予め製作工場でプレキャストコンクリートに設けた挿入孔に縦筋アンカーを挿入する構造が一般的である。この場合には、プレキャストコンクリートの製作前に縦筋アンカー及び挿入孔の位置が一致するように決めておく必要がある。
そのため、施工の簡略化を図って、工期の短縮と工事費の低減が求められており、その点で改善の余地があった。
さらに、本発明では、縦筋アンカーの設置位置に自由度をもたせることが可能となるので、底盤に埋設される既存鉄筋の位置を例えば非破壊配筋調査等により確認して縦筋アンカーをハーフプレキャストコンクリートの設計に反映する必要がなくなる。そのため、前記調査の結果を待たずにハーフプレキャストコンクリートの製作を開始することが可能となることから、工期の短縮とコストの低減を図ることができる。
ここで、「ハーフプレキャストコンクリート」とは、ハーフプレキャスト基礎構造体1において、プレキャストコンクリートが配置される水平断面において、部分的にプレキャストコンクリートが設けられたものと定義する。つまり、他の断面部分は、現場打設によるコンクリート部等により構成される。
縦筋アンカー11は、現場打設コンクリート部4のコンクリートが打設される前であって、好ましくはハーフプレキャストコンクリート3が設置領域20Aに載置される前に、底盤20に挿入されて設けられる。
なお、以下の説明では、底盤20上に直接載置される下段のハーフプレキャストコンクリートを1段目として符号3Aを付し、1段目のハーフプレキャストコンクリート3A上に接続されるハーフプレキャストコンクリートを2段目として符号3Bを付す。
そして、ハーフプレキャストコンクリート3は、長壁部31の長辺方向Y1を地下空間2Aの幅方向X2(図1参照)に向け、かつ第2短壁部32Bを既設構造物2の第1既設側壁21Aの内壁面21aに接した状態で、底盤20に載置されている。
2段目のハーフプレキャストコンクリート3Bには、図6(b)及び図7に示すように、1段目のハーフプレキャストコンクリート3Aの縦主筋33の上端部33aと、2段目のハーフプレキャストコンクリート3Bの縦主筋33の下端部33bとを同軸に接続するための接合継手37が設けられている。
なお、挿入孔35の上下方向の配置間隔は、とくに限定されることはなく、現場の条件に合わせて適宜設定することができる。
横筋アンカー36は、複数設けられる挿入孔35のうち任意の挿入孔35に装着することが可能である。
先ず、図4及び図5に示すハーフプレキャストコンクリート3A、3Bは、予め工場等で製作しておく。
そして、図1及び図3に示すように、施工現場となる既設構造物2の底盤20において、底盤20の内領域20Bに複数の縦筋アンカー11を打設する。縦筋アンカー11は、底盤20内に埋設されている既設鉄筋(図示省略)に干渉しない位置に設ける。
このように、構造的に必要な横筋アンカー36の本数以上の挿入孔35を例えば50mm以上の間隔でハーフプレキャストコンクリート3Aに仕込んでおくことで、必要な横筋アンカー36の本数を満たすことができる。
また、図6(b)に示すように、2段目のハーフプレキャストコンクリート3Bの内面3aも全周にわたって目粗しMをしておく。
さらに、地上部1Bにおいても同様に順次上方に向けて型枠(図示省略)を設置し、その型枠内に適宜な鉄筋51を組み立てた後にコンクリートを打設して、地上部1Bにおける鉄筋コンクリート造のコンクリート壁部5Bが構築される。これにより本実施形態の ハーフプレキャスト基礎構造体1が構築されることになる。
さらに、挿入孔35が水平方向に50mm以上の間隔で設けられているので、効果的に必要な横筋アンカー36の本数を満たすことができる。
さらに、本実施形態では、ハーフプレキャストコンクリート3A、3Bが上面視で長方形状となっているが、正方形であってもかまわい。
1A 地下部
1B 地上部
2 既設構造物
2A 地下空間
3、3A、3B ハーフプレキャストコンクリート
3a 内面
4 現場打設コンクリート部
5A、5B コンクリート壁部
11 縦筋アンカー
20 底盤
20A 設置領域
20B 内領域
21、21A、21B 既設側壁
31 長壁部
32 短壁部
32a 内面
33 縦主筋
34 せん断補強筋
35 挿入孔
36 横筋アンカー
37 接合継手
M 目粗し
X1 延在方向
X2 幅方向
Y1 長辺方向
Y2 短辺方向
Claims (6)
- 既設構造物の底盤に上面視で枠状に形成されたハーフプレキャストコンクリートが載置され、前記底盤における前記ハーフプレキャストコンクリートの設置領域の内側の内領域にコンクリートが現場打設されることにより構築される基礎構造を、前記底盤に接続する基礎構築方法であって、
前記底盤の前記内領域に縦筋アンカーを打設する工程と、
前記設置領域に前記ハーフプレキャストコンクリートを載置する工程と、
前記ハーフプレキャストコンクリートに囲まれる前記内領域にコンクリートを打設する工程と、
を有することを特徴とするハーフプレキャストコンクリートを用いた基礎構築方法。 - 前記コンクリートを打設する工程の前に、前記ハーフプレキャストコンクリートに横筋アンカーを設けるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のハーフプレキャストコンクリートを用いた基礎構築方法。
- 前記ハーフプレキャストコンクリートの内面には、前記横筋アンカーが挿入可能な複数の挿入孔が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のハーフプレキャストコンクリートを用いた基礎構築方法。
- 前記挿入孔は、配置される前記ハーフプレキャストコンクリートの内面における水平方向に50mm以上の間隔で設けられていることを特徴とする請求項3に記載のハーフプレキャストコンクリートを用いた基礎構築方法。
- 前記コンクリートを打設する工程の前に、前記ハーフプレキャストコンクリートの内面の少なくとも一部に目粗しをするようにしたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のハーフプレキャストコンクリートを用いた基礎構築方法。
- 前記ハーフプレキャストコンクリートには、上方に突出する縦主筋が埋設され、
前記ハーフプレキャストコンクリートの上方に型枠が設置され、
前記ハーフプレキャストコンクリートの内側にコンクリートが打設された後、前記型枠内にコンクリートを打設するようにしたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のハーフプレキャストコンクリートを用いた基礎構築方法。
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