JP7183093B2 - ガス検量装置 - Google Patents

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Description

本発明は、いわゆる気体熱伝導式(正確には「熱伝達式」と称するべき。以下同じ)のガスセンサに関し、対象ガスの濃度測定に影響を及ぼす温度及び湿度の影響を補正するガスセンサに関する。
近年化石燃料の代替エネルギーとして水素エネルギーが期待されている。水素エネルギーの広範な普及には燃焼及び爆発しやすい水素の取扱いにおける安全性の向上が必須であり、水素ガスを検知するガスセンサはそのための重要な役割を果たす。
現在用いられている主なガスセンサの方式として、接触燃焼式の化学センサと気体熱伝導式の物理センサが存在する。前者は可燃性ガスのPt、Pd触媒による接触燃焼に際して発生する燃焼熱を利用するセンサである。そして、後者は冷接点(近接したヒーター等によって常に同一温度に制御される)と、ガスにさらされる温接点の温度差を反映した抵抗値又は電圧値を利用してガス濃度を計測しようとするものである。
特許文献1に示すような気体熱伝導式の水素センサは、被毒による触媒劣化がもたらす感度低下や検知精度低下が生じない点で化学センサに対して優れており、高耐久性や長期安定性といった利点がある。
特開平8-101156号公報
気体熱伝導式のガスセンサは以上のような構成のために、測定環境の温度の影響を受ける。ガスセンサは特定のガスを検出したり、特定のガスの濃度を測定するものである。しかし一般的には測定目的ガスを含む背景ガスが存在し、その背景ガスの変化の影響を気体熱伝導式のガスセンサは受ける。
分子量が小さいガスはその影響力が大きいが、大気中に一般に背景ガスに含まれる要素として影響力が大きいものは水蒸気ガスである。水蒸気ガスの背景ガスに含まれる量、すなわち水蒸気量は湿度として把握される。
従って水蒸気量による測定ばらつきを減少させようとすれば温度と湿度をガスセンシング時に測定しておき検量線に基づいてガス濃度を算出する構成が考えられる。しかしながらガスセンサには小型軽量であることの要請も大きく、湿度と温度を測定する機能を付加しようとすれば小型軽量の要請にこたえることが難しくなる。
湿度の変動によって測定結果に与えるばらつきを小型軽量の簡単な構成でどのように小さくすればよいかが課題であった。
そこで、上記課題を解決するために本発明において、基板エッチングによって形成されたカンチレバーと、カンチレバーの根元近傍に配置されるマイクロヒーターと、熱電対であって、前記マイクロヒーターによって昇温されるカンチレバーの先端付近に配置される測温接点と、カンチレバーの根本付近に配置される冷接点と、からなる熱電対と、測温接点近傍に検量対象ガスを流すガス流路と、ガス流路に流したガスによって測温接点と冷接点との間の温度差によって生じる熱起電力を取得する熱起電力取得部と、測定環境温度を取得する測定環境温度取得部と、測定環境温度に応じて測温接点に生じるバックグラウンド熱起電力情報を保持するバックグラウンド熱起電力情報保持部と、測定環境温度での熱起電力取得部で取得した熱起電力と、保持されている測定環境温度でのバックグラウンド熱起電力との差分値を取得する差分値取得部と、取得した差分値を出力する差分値出力部と、を有するガス検量装置を提供する。
また、上記構成を備えるガス検量装置であって、バックグラウンド熱起電力情報は、測定環境温度として想定される温度範囲の下限近傍と上限近傍における測定環境湿度として想定される下限湿度と上限湿度の四環境での起電力情報に基づいて生成される情報であるガス検量装置を提供する。
また、上記構成を備えるガス検量装置であって、バックグラウンド熱起電力情報は、前記下限温度での下限湿度での起電力と、下限温度での上限湿度での起電力の央点値と、前記上限温度での下限湿度での起電力と、上限温度での上限湿度の起電力の央点値とを結ぶ直線上の値によって構成されているガス検量装置を提供する。
また、上記構成を備えるガス検量装置であって、検量対象ガスは水素であるガス検量装置を提供する。
また、上記構成を備えるガス検量装置であって、測定環境温度取得部は、カンチレバー根元近傍のマイクロヒーターの熱影響を十分軽減した位置に設置されるサーミスタであるガス検量装置を提供する。
本発明により、湿度の変動によって測定結果に与えるばらつきを小型軽量の簡単な構成で低減することのできるガス検量装置を提供することができる。
ガス検量装置の機能的構成の一例を示す概念図 カンチレバー、マイクロヒーター、熱電対などを基板上に形成した一例を示す概念図 カンチレバーと接触する空気中の水素ガスの濃度を検量する概念を示す図 29℃の周囲温度において段階的に相対湿度を上げた水素ガスを含まない空気を導入した場合におけるガス濃度指示値を示す図 測定環境温度がガス濃度指示値に与える影響を示す図 実施形態1のガス検量装置のハードウェア構成の一例を示す概念図 実施形態1のガス検量装置によるガス検量の処理の流れを示すフロー図 四環境の温度と湿度とが水素ガス濃度指示値に及ぼす影響を示す図 四環境の温度と湿度とが水素ガス濃度指示値に及ぼす影響と央点値を結ぶ直線を示す図
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。なお、本発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
<実施形態1>
<実施形態1 概要>
実施形態1の発明では、定められた湿度に対する所定の温度範囲の検量線ないしは背景出力値を用いることでガス濃度を湿度に依存しないで算出するように構成した。
<実施形態1 構成>
図1は、本実施形態のガス検量装置の機能的構成の一例を示す概念図である。図示するように、本実施形態の「ガス検量装置」0100は、基板エッチングによって形成された「カンチレバー」0101と、カンチレバーの根本近傍に配置される「マイクロヒーター」0102と、カンチレバーの根本付近に配置される「冷接点」0104と前記マイクロヒーターによって昇温されるカンチレバーの先端付近に配置される「測温接点」0103とからなる熱電対と、測温接点近傍に検量対象ガスを流す「ガス流路」0105と、からなる。そして、カンチレバーの近傍には測定環境温度を取得するための検知素子として、例えば「サーミスタ」0106が配置される。
そして、ガス検量装置は、「熱起電力取得部」0107と、「測定環境温度取得部」0108と、「バックグラウンド熱起電力情報保持部」0109と、「差分値取得部」0110と、「差分値出力部」0111とを有する。
なお、以下に記載する各機能的構成は、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせとして実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPUや主メモリ、バス、あるいは二次記憶装置(フラッシュメモリやSSDなどの不揮発性メモリ、CDやDVDなどの記憶メディアとそれらメディアの読取ドライブなど)、情報入力に利用される入力デバイス、印刷機器や表示装置、その他の外部周辺装置などのハードウェア構成部、またその外部周辺装置用のインターフェース、通信用インターフェース、それらハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラム、ユーザインターフェース用アプリケーションなどが挙げられる。そして主メモリ上に展開したプログラムに従ったCPUの演算処理によって、入力デバイスやその他インターフェースなどから入力され、メモリやハードディスク上に保持されているデータなどが加工、蓄積されたり、上記各ハードウェアやソフトウェアを制御するための命令が生成されたりする。あるいは本装置の機能ブロックは専用ハードウェアによって実現されてもよい。また気体導入機構、センサの設置構造体、測定用のチャンバ又は測定用のガス流路が必要である。さらに、検量対象ガスに含まれる水蒸気ガスは比重に応じて分離する可能性があるので、均一に混合した状態でカンチレバーに接触するように構成する必要があり、検量対象ガスの流速を利用して水蒸気ガスが均一に混ざるようにする構成(例えば流路内に設けられるらせん状気体撹拌機構)や、検量対象ガスを積極的に混合するファンやフィンのようなものがあってもよい。
また、本明細書に記載の各実施形態は装置として実現できるのみでなく、その一部または全部を方法としても実現可能である。また、このような装置の一部をソフトウェアとして構成することができる。さらに、そのようなソフトウェアをコンピュータに実行させるために用いるソフトウェア製品、及び同製品を固定した記録媒体も、当然に本明細書に記載の各実施形態の技術的な範囲に含まれる(本明細書の全体を通じて同様である)。
また、図2は本実施形態のガス検量装置における「カンチレバー」と、「マイクロヒーター」と、「測温接点」及び「冷接点」を有する熱電対と、「ガス流路」、とをシリコン基板上に形成した一例を示す概念図である。
図2において、「薄い灰色の領域」0201がシリコン基板そのものであり、「濃い灰色の領域」0202がシリコン基板上に導体を配置した配線であり、「白色の領域」0203、0208はシリコン基板を抜いて除去した領域となっている。そして、点線で囲んだ領域内に位置する基板が「カンチレバー」0204を形成している。
カンチレバーの根本近傍には「マイクロヒーター」0205が配置され、このマイクロヒーターによって昇温されるカンチレバーの先端付近に「測温接点」0206が配置される。また、カンチレバーの根本付近に「冷接点」0207が配置され、この冷接点と測温接点とで熱電対を構成する。測温接点と冷接点は、いずれも配置箇所にて異種金属が上下に積層されている。この熱電対は、低温から高温まで広い範囲(概ね-200℃~1200℃)にわたって熱起電力が安定しているn型(ナイクロシル/ナイシル)が好ましい。
マイクロヒーターは、カンチレバーに配設した電熱線(Ni-Cr)に通電することによりカンチレバーを昇温する。昇温する温度は200℃から300℃の範囲内での所定の温度とする。なお、符号0205で示す配線のすべてが電熱線で構成されている訳ではなく、カンチレバーの先端側に相対的に近い部分に電熱線が配設されることが好ましい。後述するが、冷接点をマイクロヒーターと熱的に隔離し、マイクロヒーターによる依存度を低下させるためである。カンチレバーの根本近傍において、電熱線部分と冷接点との間に設けられている穴(基板を抜いて形成)0208も、冷接点のマイクロヒーターによる依存度を低下させるために設けられている。
また、図示する通り、カンチレバーの周囲は基板が抜かれて除去されているため周囲の空間に浮いた状態となり、検量対象ガスを含むガスとの接触が図られることとなり、このような接触を促す構造がガス流路を形成することになる。なお、ガスは本図の紙面に対して主に垂直方向に流れる。また、カンチレバーの先端側は、根本側からいったん幅が狭くなってから鰓を張るように幅広に形成されているが、これは流通するガスとの接触面積を広くし、検知感度を高めることを図るためである。カンチレバーの先端側は薄く構成するなどして熱容量が小さくなるようにすることが、ガスとの接触による温度変化が顕著になり感度向上に寄与し好ましい。
ガス検知は埃などにより悪影響を受けるため、何らかの筐体内にカンチレバー、マイクロヒーターなどを収めることが好ましく、その上で検量対象ガスが測温接点と接触するよう筐体内にガスを導入するためのガス流路として通気孔などを設ける。通気孔には検量対象ガスを含むガスとともに埃や塵が流入しにくくなるようフィルターなどを設けることが好ましい。なお、このような筐体は、この種のガス濃度センサにおいて従来から用いられているもの、例えばメッシュ付きのセンサ用パッケージなどを用いればよい。
図3に、カンチレバーを検知素子とし、カンチレバーと接触する空気に含まれる検量対象ガスとしての水素ガスの濃度を検量する概念について示す。なお、本図は上方視にて示した図2に対して、カンチレバー部分を側方視した概念図になる。「カンチレバー」0301に重ねて記しているグラフは縦軸が温度、横軸が「冷接点」0304からの距離を表している。グラフにおいて実線で示しているのは水素ガス濃度が0%の空気雰囲気中において、「マイクロヒーター」0302からの距離に応じて低下するカンチレバーの温度を示している。これはカンチレバーの熱伝導における熱損失と、カンチレバーと空気との熱伝達により生じる。また、上述したように、冷接点はマイクロヒーターと熱的に隔離されるように構成されているため、マイクロヒーターの加熱による昇温はほとんどなく、温接点との十分な温度差が得られるようになっている。
そして、破線で示しているのは空気に水素ガスが含まれる場合のカンチレバーのマイクロヒーターからの距離に応じた温度を示している。図示するように、水素ガスを含む空気と接触した場合の方が水素ガスを含まない空気の場合よりも大きく温度が低下する。これは、水素ガスを含む空気の方がカンチレバーからの熱伝達率が高いためである。また、水素ガスの濃度が高いほど、その熱伝達率は高くなり、カンチレバーの温度はより低下する。
このようにマイクロヒーターにより昇温された温度が同じ(より正確にはマイクロヒーターへの印加電力が同じ)であっても、接触する空気に含まれる水素ガスの濃度によって「測温接点」0303の温度は変わる。したがって、この測温接点と冷接点とで構成される熱電対の熱起電力に差異が生じる。熱起電力の差異は水素ガス濃度に略比例するため、この熱起電力差ΔVに基づいて水素ガスの濃度を求めることができる。
測温接点をマイクロヒーターにより高温にすることで、接触するガスとの温度差を大きくして測温接点からガスへの熱伝達率を高めるとともに、冷接点をマイクロヒーターの影響を受けにくくすることで、冷接点と測温接点との温度差を広くして熱起電力差ΔVの検出感度の向上を図っている。
再度図1を用いて説明を続ける。「熱起電力取得部」0107は、ガス流路に流したガスによって熱電対に生じる熱起電力を取得する機能を有する。
「測定環境温度取得部」0108は、測定環境温度を取得する機能を有する。測定環境温度は、本ガス検量装置においてカンチレバー、熱電対などのガスを検知するための直接的な構成の周囲温度をいう。後述するが、測定環境温度の取得はカンチレバーの根本近傍に配置されるマイクロヒーターによる発熱の影響を受けにくいように行うことが好ましい。測定環境温度の取得は、例えば図1や図3に示したサーミスタ0106、0305などの温度検知素子により行う。
なお、温度検知素子となるサーミスタは、カンチレバー根元近傍のマイクロヒーターの熱影響を十分軽減した位置に設置されることが好ましい。サーミスタとマイクロヒーターとがあまりに近接した位置関係になる場合には、取得する測定環境温度がマイクロヒーターの熱影響を受けることでガス検量精度の低下をもたらすおそれがあるからである。一方、離し過ぎた位置関係では、測定実態に即した環境温度を取得できないおそれもあるためである。熱影響を軽減させるために、例えば、図3で示したようなカンチレバーが配置される基板を収めるパッケージ内であって、基板からの熱伝導を断絶した部材にサーミスタを設置することが好ましい。
「バックグラウンド熱起電力情報保持部」0109は、測定環境温度に応じて測温接点に生じるバックグラウンド熱起電力情報を保持する機能を有する。バックグラウンドとは、測定環境の背景ガスとして想定される所定のガス雰囲気環境である。以下の説明では測定環境の背景ガスが空気であるとしているが、熱処理を行う加熱炉内で用いる場合にはアルゴンや窒素などの不活性ガスを背景ガスとした所定のガス雰囲気環境がバックグラウンドとなる。
バックグラウンド熱起電力情報は、所定湿度の背景ガスにおいて所定範囲の温度に応じた熱起電力の情報である。つまり、水素ガス濃度に略比例する上述した熱起電力差Δに影響を及ぼす湿度と温度に起因する熱起電力の情報である。
図4は、本ガス検量装置のガス検量に係る構成と同一構成のガス検量装置において、センサ指示値(ppm)に対する温度と湿度の影響を試験により得たものを示す図である。ここで、センサ指示値は、熱電対の熱起電力差をガス濃度に換算して示す値である。
図4は、29℃の環境温度において段階的に相対湿度(RH: relative humidity)を上げた水素ガスを含まない空気を導入した場合におけるセンサ指示値を示している。図示するように、乾燥した空気(dry air)と相対湿度90%RHの空気(90% RH air)とを比較すると、センサ指示値において3000ppm程度の差が生じている。これはガスに含まれる相対湿度が高いほどガス濃度指示値が大きくなることを示している。したがって、相対湿度が高いほど側温接点の温度をより低下させ、基準ガス状態と湿度含有ガス状態との熱起電力差を大きくさせることになる。
また、測定環境温度は、水素ガスを含まないガスと水素ガスを含むガスとの熱起電力差ΔVに影響を及ぼし、具体的には測定環境温度が高いほど熱起電力差ΔVを大きくする。これは上述したように、測温接点の熱容量が冷接点の熱容量に対して小さいため、測定環境温度の上昇によりもたらされる温度上昇の幅が測温接点の方が大きいからである。
図5は、測定環境温度がガス濃度指示値に与える影響を示す図である。この図は、水素ガス濃度0%で相対湿度40パーセントで測定環境温度10℃の環境において、水素ガス濃度を0%と表示するように熱起電力と水素ガス濃度との関係を示す検量線を設定した場合において、測定環境温度のみを40℃まで上昇させたときのガス濃度指示値の変化を示す図である。図示するように、測定環境温度の上昇に伴い、あたかも水素ガス濃度が上昇しているような指示値となる。このような指示値の上昇をもたらす測定環境温度に起因する熱起電力を測定環境温度と対応付けてバックグラウンド熱起電力情報として保持する。
バックグラウンド熱起電力情報は、熱電対の出力特性やガス流路などのガス検量を行うための具体的な構造に特有のものである。したがって、予め試験等を行うことにより、保持するバックグラウンド熱起電力情報を生成ないし取得する。また、バックグラウンド熱起電力情報は、測定環境温度と熱起電力値との関係を示す関数として保持してもよいし、測定環境温度と熱起電力値とを対応付けた離散的な情報として保持してもよい。例えば、測定環境温度Tが、10℃≦T<12℃の場合の熱起電力値をVa (mV)とし、12℃≦T<14℃の場合の熱起電力値をVb(mV)として保持する、といった具合である。
また、バックグラウンド熱起電力情報として、測定環境温度と湿度が測定対象ガス濃度指示値に与える濃度値(ppm)を保持してもよい。例えば、図4や図5で示したように、その温度や湿度によってガス濃度指示値に変動を及ぼす。そのような濃度値としての変動分をバックグラウンド熱起電力情報として保持してもよい。
「差分値取得部」0110は、測定環境温度での熱起電力取得部で取得した熱起電力と、保持されている測定環境温度でのバックグラウンド熱起電力との差分値を取得する機能を有する。上述した例によれば、測定環境温度が13.5℃である場合には、熱起電力取得部にて取得した熱起電力と、測定環境温度13.5℃と対応付けて保持されているバックグラウンド熱起電力Vb(mV)との差分値を取得する。
「差分値出力部」0111は、取得した差分値を出力する。差分値出力部は、取得した差分値を検量対象ガスの濃度に換算して出力してもよい。また、差分値の出力は換算したガス濃度をディスプレイに表示したり、他のサーバ装置などに送出したりする態様であってもよい。
<実施形態1 ハードウェア>
図6は、本実施形態のガス検量装置のハードウェア構成の一例を示す概念図である。図示するように、ガス検量装置は、CPU0601と、不揮発性メモリ(例えば、ROM、SSDなど)0602と、主メモリ0603と、インターフェースI/F0604と、I/Fを介してカンチレバーを昇温するためのマイクロヒーター0605、カンチレバーの先端付近に配置される測温接点とカンチレバーの根本付近に配置される冷接点とからなる熱電対0606、測定環境温度を取得するためのサーミスタ0607、差分値の表示等に供されるディスプレイ0608を備え、それらの間で信号の授受等を行うためのシステムバス0609を備える。また、ガス流路により熱電対の測温接点の近傍に検量対象ガスが流れるように構成されている。
不揮発性メモリには、ガス流路に流したガスによって測温接点と冷接点との間の温度差によって生じる熱起電力を取得する熱起電力取得プログラムと、測定環境温度を取得する測定環境温度取得プログラムと、測定環境温度での熱起電力取得部で取得した熱起電力と、保持されている測定環境温度でのバックグラウンド熱起電力との差分値を取得する差分値取得プログラムと、取得した差分値を出力する差分値取得プログラムなどの各種プログラムと、測定環境温度に応じて測温接点に生じるバックグラウンド熱起電力情報などの情報が予め保持されている。また、不揮発性メモリには、上述の各プログラムの実行により取得される熱起電力、測定環境温度、差分値などが保持される。そして、主メモリは、不揮発性メモリに蓄積されている上述の各プログラムを展開及び実行し、取得した差分値を出力する。
<実施形態1 処理の流れ>
図7は、ガス検量装置によるガス検量の処理の流れを示すフロー図である。図示するように、まず、ガス流路に流したガスによって測温接点と冷接点との間の温度差によって生じる熱起電力を取得する(S0701)。そして、測定環境温度を取得する(S0702)。そして、取得した測定環境温度でのバックグラウンド熱起電力を取得する(S0703)。そして、測定環境温度での熱起電力取得部で取得した熱起電力と、取得したバックグラウンド熱起電力との差分値を取得する(S0704)。そして、取得した差分値を出力する(S0705)。
<実施形態1 効果>
本実施形態により、測定環境温度に応じた所定の湿度による影響を除去し得るガス検量装置を簡易な構成で実現することができる。
<実施形態2>
<実施形態2 概要>
本実施形態は、実施形態1を基本とし、測定環境として想定される四つの環境における熱起電力の情報をバックグラウンド熱起電力情報として保持するものである。
<実施形態2 構成>
本実施形態は、バックグラウンド熱起電力情報保持部が保持するバックグラウンド熱起電力情報に特徴を有するものであり、構成としては実施形態1のガス検量装置と同様である。したがって、ここではバックグラウンド熱起電力情報について説明し、他の構成についての説明は省略する。
本実施形態において、バックグラウンド熱起電力情報は、測定環境温度として想定される温度範囲の下限近傍と上限近傍における測定環境湿度として想定される下限湿度と上限湿度の四環境での起電力情報に基づいて生成される情報である。
図8は、上記の四環境(水素ガス0ppm)の温度と湿度とが水素ガス濃度指示値に及ぼす影響を例示する図である。本例では、四環境(温度・湿度)として、(5℃・30%RH)、(5℃・90%RH)、(40℃・30%RH)、(40℃・90%RH)と規定した場合である。
グラフにおける斜線領域が四環境の範囲で濃度指示値に対して温度と湿度による影響範囲になる。したがって、この影響範囲内での濃度指示値の基となる熱起電力をバックグラウンド熱起電力情報とし、差分値出力部にて係るバックグラウンド熱起電力情報に基づいて差分値を取得することで、想定される四環境により生じ得る濃度指示値への影響を除去することができる。
本実施形態のハードウェア構成は、実施形態1のハードウェア構成に準じて実現することができ、バックグラウンド熱起電力情報に上述の特徴を有する。また、本実施形態のガス検量装置における処理の流れについても、実施形態1における処理の流れと同様である。
<実施形態2 効果>
本実施形態によれば、想定される測定環境における温度と湿度の影響を除去したガス検量を行うことができる。
<実施形態3>
<実施形態3 概要>
本実施形態は、実施形態2を基本とし、四環境に基づいて想定される環境のなかで中間的な環境における熱起電力情報をバックグラウンド熱起電力情報として保持するものである。
<実施形態3 構成>
本実施形態は、バックグラウンド熱起電力情報保持部が保持するバックグラウンド熱起電力情報に特徴を有するものであり、構成としては実施形態1及び2のガス検量装置と同様である。したがって、ここではバックグラウンド熱起電力情報について説明し、他の構成についての説明は省略する。
本実施形態のバックグラウンド熱起電力情報は、実施形態2に述べた下限温度での下限湿度での起電力と、下限温度での上限湿度での起電力の央点値と、上述の上限温度での下限湿度での起電力と、上限温度での上限湿度の起電力の央点値とを結ぶ直線状の値によって構成する。
図9(a)は、実施形態2で例示した四環境の温度と湿度とが水素ガス濃度指示値に及ぼす影響と央点値を結ぶ直線を示す図である。図示するように、下限温度での下限湿度(5℃・30%RH)での起電力と、下限温度での上限湿度(5℃・90%RH)での起電力の央点値(図中矢印)と、上限温度での下限湿度(40℃・30%RH)での起電力と、上限温度での上限湿度(40℃・90%RH)の起電力の央点値(図中矢印)とを結ぶ直線上の値の基となる熱起電力は、概ね60%RHの測定環境(5℃~40℃)における湿度により生じる熱起電力として考えることができる。なお、両央点値を結ぶ直線は厳密な直線ではなくある程度の幅(±数%)を持っていてもよい。
このように想定する湿度の下限と上限との概ね中間程度の湿度により生じる熱起電力をバックグラウンド熱起電力情報とすることにより、実際の測定環境における湿度と想定範囲内の中間の湿度とにずれが生じる場合であっても、図9(b)に示すように、生じたずれが高湿度側と低湿度側のいずれの側であってもずれ幅を最小にとどめることができ、ガス検量装置の検量誤差を小さくすることができる。
本実施形態のハードウェア構成は、実施形態1及び2のハードウェア構成に準じて実現することができ、バックグラウンド熱起電力情報に上述の特徴を有する。また、本実施形態のガス検量装置における処理の流れについても、実施形態1及び2における処理の流れと同様である。
<効果>
本実施形態のガス検量装置により、想定されるガス検量の実態に沿う湿度補正を行えるガス検量装置を提供することができる。
0100 ガス検量装置
0101 カンチレバー
0102 マイクロヒーター
0103 測温接点
0104 冷接点
0105 ガス流路
0106 サーミスタ
0107 熱起電力取得部
0108 測定環境温度取得部
0109 バックグラウンド熱起電力情報保持部
0110 差分取得部
0111 差分値出力部

Claims (2)

  1. 基板エッチングによって形成されたカンチレバーと、
    カンチレバーの根元近傍に配置されるマイクロヒーターと、
    熱電対であって、前記マイクロヒーターによって昇温されるカンチレバーの先端付近に配置される測温接点と、カンチレバーの根本付近に配置される冷接点と、
    測温接点近傍に検量対象ガスを流すガス流路と、
    からなるガス検量装置であって、
    ガス流路に流したガスによって測温接点と冷接点との間の温度差によって生じる熱起電力を取得する熱起電力取得部と、
    測定環境温度を取得する測定環境温度取得部と、
    測定環境温度に応じて測温接点に生じるバックグラウンド熱起電力情報を保持するバックグラウンド熱起電力情報保持部と、
    測定環境温度での熱起電力取得部で取得した熱起電力と、保持されている測定環境温度でのバックグラウンド熱起電力との差分値を取得する差分値取得部と、
    取得した差分値を出力する差分値出力部と、
    を有し、
    バックグラウンド熱起電力情報は、測定環境温度として想定される温度範囲の下限近傍と上限近傍における測定環境湿度として想定される下限湿度と上限湿度の四環境での起電力情報に基づいて生成される情報であって、
    前記バックグラウンド熱起電力情報は測定環境温度とガス濃度指示値からなる座標平面内において、前記下限温度での下限湿度での起電力と、下限温度での上限湿度での起電力の央点値と、前記上限温度での下限湿度での起電力と、上限温度での上限湿度の起電力の央点値とを結ぶ直線上の値によって構成されている、
    ガス検量装置。
  2. 検量対象ガスは、水素である請求項1に記載のガス検量装置。
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