JP7182109B2 - 気相式加熱方法及び気相式加熱装置 - Google Patents

気相式加熱方法及び気相式加熱装置 Download PDF

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Description

本発明は、熱転移液の蒸気の凝縮潜熱を利用して被加熱物を加熱する気相式加熱方法及び気相式加熱装置に関するものである。
近年、様々な工業製品もしくは家電の組み立て製造工程、又はそれらの製品の構成部品となる各種電子部品、各種の電池、もしくは、電子部品が実装された基板などのデバイス製造工程において、各種熱処理装置で処理される被加熱物の形状が複雑化している。例えば、前記電子部品が実装された基板においても、平面基板だけでなく、立体的な基板の水平面以外の部分に、はんだペーストを塗布して電子部品を配置しただけの保持力が弱い状態で、はんだペーストを溶融して接合するための加熱処理が行われている。また、立体となることで、被加熱物の熱容量そのものも、増加する傾向にある。ここで、各種熱処理装置とは、例えば乾燥炉、キュア炉、もしくは電子部品の実装工程などではんだ付けに使用されるリフロー炉などである。
これらの被加熱物の加熱工程では、不均一な加熱能力による被加熱物の各箇所における温度上昇のばらつきがある。このような場合は、加熱工程の所望の所要時間を得るために、全ての部分が所望の温度に昇温した状態から、さらに所望の時間を保持する必要がある。このとき、昇温の遅い部分を所望の時間保持するためには、昇温の早い部分は、必要以上の熱にさらされることになる。その場合、特に熱影響の大きい場合は、品質への影響が懸念される。また、熱風の衝突による熱伝達を利用した加熱工程の場合、被加熱物の熱容量が大きい場合は、所望の昇温速度を得るために、熱風の被加熱物への衝突速度を速めることで、熱伝達率を高くすることが出来る。しかしながら、例えば、前記立体的な基板の水平面以外の部分に、はんだペーストを塗布して電子部品を配置しただけの保持力が弱い状態で加熱処理をする必要がある場合、はんだの溶融、その後の冷却によるはんだの凝固が完了する以前に、熱風を高速で衝突させることで、部品が基板から剥離してしまう可能性が大きくなる。そこで、熱容量の大きい基板についても熱風の衝突による部品の剥離などを回避し、高い熱伝達率を利用して被加熱物を効率良く加熱する方法として、熱転移液の蒸気が有する凝縮潜熱を利用して加熱する方法で、かつ、被加熱物の昇温速度を任意に設定する方法として、例えば特許文献1の方式が知られている。
図10は、特許文献1の従来の気相式はんだ付け装置の説明図である。特許文献1で開示されている構成は、以下の構成である。従来の気相式はんだ付け装置は、容器101と、ヒータ103と、凝縮器104と、搬入機構107と、制御機構108とを備えている。
容器101は上部に開口を有している。熱転移液102は、容器101の下部の液部101bに貯溜されている。ヒータ103は、容器101の下部の液部101b内に設けられて、熱転移液102を加熱するヒータである。凝縮器104は、熱転移液102の上面と所定の間隔を有して設けられている。熱転移液102の飽和蒸気105は、熱転移液102の上面と凝縮器104との間に形成されている。搬入機構107は、被加熱物106を容器101の開口から搬入し飽和蒸気105内に挿入されている。制御機構108は、被加熱物106が70℃を越えて、100℃から150℃の間の温度に昇温する範囲で、被加熱物106の挿入速度を15mm/sec未満に制御する。ここで、従来の気相式はんだ付け装置は、容器101として蒸気層101aの底部に熱転移液102の液部101bが形成され、この液部101bに収容された熱転移液102をヒータ103によって加熱する。加熱された熱転移液102は蒸発し、液部101bの上方の蒸気層101a内に、その温度での飽和蒸気105が形成される。この飽和蒸気105に、被加熱物106、例えば基板上にはんだペーストを介して電子部品を搭載した電子回路基板等、を浸漬して、飽和蒸気105の蒸気に接触させる。このように構成することで、温度の下がった飽和蒸気105が熱転移液102に液化し、この際に飽和蒸気105の持つ凝縮潜熱を被加熱物106に与えて被加熱物106を加熱する。この加熱により、被加熱物106の温度がはんだ付け温度に到達することで、はんだが溶融し、溶融はんだの冷却後に、はんだ付けが完了する。この際、飽和蒸気105内に一度に被加熱物106を投入すると、凝縮潜熱による熱伝達率は非常に高いため、被加熱物106の熱容量によっては、昇温速度が速すぎる場合が多い。そのため、特許文献1の構成においては、所望の昇温速度を実現するために、被加熱物106の温度を測定しながら、所望の昇温速度となるように飽和蒸気105への投入速度を調節しつつ投入し、最終的には、飽和蒸気105に被加熱物106全体が浸漬する状態にすることで、熱転移液102の沸点に至るまで被加熱物106は加熱されることになる。
また、熱転移液の飽和蒸気105の濃度を均一化するための方法として、特許文献2の方式が知られている。図11は特許文献2の説明図である。特許文献2で開示されている構成は、以下のような構成である。電子部品などの物品がその一部に配置されてなる基体111を、これらの物品及び基体111を溶着する溶着剤の溶融温度以上の沸点を有する不活性液体112の蒸気113内に配置している。そして、蒸気113の凝縮潜熱を利用して溶着剤を加熱溶融し、物品と基体111とを溶着するようにしている。このような気相式溶着装置において、蒸気113内に、蒸気113を破壊しない程度の緩やかな対流を起こさせる撹拌装置114を設けている。特許文献2の構成によると、不活性液体112の液面に垂直な方向に高さのある被加熱物としての物品と基体111とに対しても蒸気113を略均等に接触させることが出来る。
特開平2-112871号公報 特開平2-80168号公報
しかしながら、前記特許文献1の構成では、被加熱物106が搬入機構107によって下方に移動し、熱転移液102の蒸気105に浸漬して凝縮潜熱で加熱される際に、被加熱物106より上方に存在していた熱転移液102が被加熱物106に凝縮潜熱を付与して一旦全て液化し、被加熱物106より上方の熱転移液102の蒸気105が無い状態となる。そのため、容器101の下部に貯留され、加熱されている熱転移液102が蒸気となって再び上方に押し上げられ、蒸気層101aの上端が凝縮器104の高さに到達するまでは加熱能力が一定とならず、安定した加熱が出来ないという課題を有している。
また、前記特許文献2の構成では、攪拌装置114によって熱転移液112の蒸気113内の蒸気濃度の均一化を図るために、蒸気113内の高さ方向の蒸気濃度を一定とする効果は見込めるが、被加熱物である基体111の投入によって基体111に接触して蒸気113が凝縮潜熱を付与して液化することで蒸気量そのものが不足し、加熱能力が不安定になるという課題を有している。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、被加熱物に対して供給される熱転移液の蒸気量を所定の量に制御して加熱能力が一定とすることができ、安定した加熱が行える、気相式加熱方法及び気相式加熱装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の1つの態様にかかる気相式加熱方法は、
熱転移液の蒸気を加熱炉に供給し、供給された前記蒸気の凝縮潜熱を利用して被加熱物の加熱を前記加熱炉内で行う気相式加熱方法であって、
熱転移液加熱槽内の前記熱転移液を加熱源で加熱して所定の量の蒸気とし、前記加熱炉の上面の、前記加熱源と前記加熱炉とを接続する蒸気供給部との連通部に配置され、前記加熱源からの前記熱転移液の前記蒸気が前記蒸気供給部を介して供給されかつ略均一に分布された蒸気開口部を有する噴出部材の前記蒸気開口部から、前記熱転移液を蒸気とすることによる前記熱転移液加熱槽及び前記蒸気供給部での圧力上昇によって前記蒸気を下向きに噴出して、前記蒸気を前記加熱炉の上方から下方に向けて前記加熱炉内に供給し、
前記加熱炉内で前記蒸気で前記被加熱物を加熱し、
前記加熱炉内で、前記蒸気が前記被加熱物に接触して冷却されて液化し、前記蒸気の凝縮潜熱を相変化により前記被加熱物に与えたのち、液化した前記熱転移液を前記加熱炉の下方で回収し、
さらに、前記加熱炉内で前記蒸気を前記被加熱物よりも下方で冷却して液化した前記熱転移液を前記加熱炉の下方で回収し、
前記加熱源で加熱して発生した前記蒸気を、前記加熱炉内で液化して回収することにより、
前記熱転移液の所定の量の前記蒸気を前記加熱炉の上方から下方に向けて供給して、前記加熱炉内に設置されている前記被加熱物を所定の昇温速度で加熱する。
また、前記目的を達成するために、本発明の別の態様にかかる気相式加熱装置は、
被加熱物を内部の保持位置に保持し、熱転移液の蒸気を前記被加熱物に接触させて前記蒸気の凝縮潜熱を利用して前記被加熱物の加熱を行う加熱炉と、
熱転移液加熱槽内の前記熱転移液を加熱して前記蒸気とする加熱源と、
前記加熱炉の上面の、前記加熱源と前記加熱炉とを接続する蒸気供給部との連通部に配置され、前記熱転移液を蒸気とすることによる前記熱転移液加熱槽及び前記蒸気供給部での圧力上昇によって前記加熱源からの前記蒸気を前記蒸気供給部を介して前記加熱炉内に前記加熱炉の上方から下方に向けて噴出する蒸気開口部が略均一に分布された噴出部材と、
前記加熱炉内で前記被加熱物の前記保持位置よりも下方に設置され、前記加熱炉を通過した前記蒸気を液化する冷却部と、
前記加熱炉の下方で前記熱転移液を回収する熱転移液回収槽と、
前記熱転移液の前記加熱源を制御し、前記加熱炉に供給される前記熱転移液の前記蒸気の供給量を制御して、前記加熱炉内に供給する前記蒸気を所定の量に調節する制御部と、
を備える。
以上のように、本発明の前記態様にかかる気相式加熱方法及び気相式加熱装置によれば、被加熱物に対して供給される熱転移液の蒸気量を所定の量に制御して加熱能力を一定とすることができ、安定した加熱が行える。すなわち、被加熱物の有無、熱容量、又は大きさに関わらず、被加熱物の上方から常に所定量の熱転移液の蒸気を加熱炉に供給することにより、加熱炉内で被加熱物に熱転移液の蒸気が接触して凝縮潜熱を付与して液化することで、蒸気量が不足することによる加熱能力の低下を回避し、加熱炉内に保持されている被加熱物を所定の昇温速度で安定して加熱することができる。また、熱転移液の加熱能力の増減によって熱転移液の蒸気の発生量を制御することが可能であるため、加熱炉に供給されて被加熱物に接触する蒸気量を変化させることが出来る。この結果、前記供給を調節するとき、被加熱物への熱伝達を行う熱転移液の蒸気量の増減を調節して均等にすることができ、被加熱物の昇温速度を加減することが可能となり、被加熱物の加熱の際に場所及び時間による加熱能力の差が生じず、均等な熱伝達による均一加熱を行うことが出来る。
本発明の実施の形態における気相式加熱方法を実施する気相式加熱装置の説明図 本発明の実施の形態における気相式加熱装置において蒸気濃度の高い状態を表す説明図 図2Aの構成における温度プロファイルの説明図 本発明の実施の形態における気相式加熱装置において蒸気濃度の低い状態を表す説明図 図3Aの構成における温度プロファイルの説明図 本発明の実施の形態の気相式加熱装置の熱転移液供給による被加熱物が搬入されていない状態の説明図 本発明の実施の形態の第1変形例における気相式加熱装置の説明図 図5の気相式加熱装置の昇温ゾーンの断面図 図5の気相式加熱装置の保温ゾーンの断面図 本発明の実施の形態の第1変形例における気相式加熱装置の温度プロファイルの説明図 本発明の実施の形態の第2変形例における気相式加熱装置の説明図 図8の気相式加熱装置の構成における温度プロファイルの説明図 従来の気相式加熱装置を示す説明図 従来の気相式加熱装置を示す説明図
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態における気相式加熱方法の説明図である。気相式加熱方法を実施可能な気相式加熱装置51は、加熱炉1と、加熱源を有する熱転移液加熱槽3と、噴出部材と、熱転移液回収槽8と、制御部40とを少なくとも備えている。気相式加熱装置51は、さらに、熱転移液加熱槽3と加熱炉1との間に蒸気供給部2を備えてもよい。
加熱炉1は、気相式加熱装置ケーシング50内に配置されて、被加熱物7を内部の保持位置Bに保持し、熱転移液6の蒸気を被加熱物7に接触させて蒸気の凝縮潜熱を利用して被加熱物7を所定の昇温速度で加熱処理する。被加熱物7を加熱炉内部の保持位置Bに保持する方法の一例としては、加熱炉1に対して被加熱物7を搬送する搬送装置30で保持する。
熱転移液加熱槽3は、熱転移液6を加熱して蒸気にする加熱源を有しており、気相式加熱装置ケーシング50の一端部内に加熱炉1に隣接して配置されている。熱転移液加熱槽3の上部は、加熱炉1に、具体的には例えば、蒸気供給部2に連通し、熱転移液加熱槽3から加熱炉1、具体的には蒸気供給部2を介して加熱炉1に所定の量の熱転移液6の蒸気を矢印A1及び矢印A2のように供給する。
蒸気供給部2は、気相式加熱装置ケーシング50内の上部に配置されて、一端部が熱転移液加熱槽3の上部に連通し、下面が加熱炉1に連通しており、蒸気供給部2から加熱炉1内に、熱転移液加熱槽3からの熱転移液6の蒸気を矢印A2のように供給する。
蒸気供給部2の下面には、後述する噴出部材が配置されている。
熱転移液回収槽8は、加熱炉1の下方の気相式加熱装置ケーシング50の下端部に配置され、加熱炉1内で蒸気が被加熱物7に接触して冷却されて液化し、蒸気の凝縮潜熱を相変化により被加熱物7に与えたのち、液化して滴下する熱転移液6を、加熱炉1の下方で液体として回収して保持する。
なお、熱転移液6としては、液体から気体へ相変化した際の蒸気、いわゆる気相の状態で大気の比重よりも比重の大きいものを使用することで、蒸気の状態で加熱炉1の上方から自重で落下する。熱転移液6の一例としては、電気絶縁性のフッ素系不活性液体である。
熱転移液加熱槽3には熱転移液供給槽10が接続されており、熱転移液加熱槽3及び熱転移液供給槽10は、蒸気供給部2を介して加熱炉1に熱転移液6を供給する熱転移液供給装置の一例として機能する。
加熱炉1の上面には、例えば、蒸気供給部2との連通部に、多数の開口4a付きの整流板4が、被加熱物7の投影面積以上の部分を覆うように配置されている。開口4aは、同じ大きさと同じ円などの形状で、略均一に分布するように配置されている。整流板4は、加熱源からの蒸気を加熱炉内に加熱炉1の上方から下方に向けて噴出する噴出部材の一例として機能する。熱転移液加熱槽3で熱転移液6を後述する加熱ヒータ5により蒸気とすることによる熱転移液加熱槽3及び蒸気供給部2での圧力上昇によって、整流板4の蒸気開口部4aから蒸気を下向きに加熱炉1内に噴出させることができる。この結果、熱転移液6の蒸気は、加熱炉1の上面の整流板4の多数の開口4aから加熱炉1内に噴出されて供給されて、加熱炉1で被加熱物7を加熱したのち、被加熱物7などに接触して冷却されて液化した熱転移液6は、加熱炉1の下方の熱転移液回収槽8に滴下する。整流板4の詳細については、後述する。
一方、加熱炉1で、被加熱物7に接触することなく加熱に使用されなかった熱転移液6の蒸気は、被加熱物7よりも下方の熱転移液回収槽8の上部に設置されている冷却部の一例としての冷却器9で冷却されて液化され、加熱炉1の下方の熱転移液回収槽8に滴下されて回収される。すなわち、冷却器9は、加熱炉1内で被加熱物7の保持位置Bよりも下方に設置され、加熱炉1を通過した蒸気を液化するものである。
熱転移液加熱槽3の中には、熱転移液6を加熱して蒸気とする加熱源の一例としての加熱ヒータ5が設置されている。加熱ヒータ5は、熱転移液加熱槽3の中の熱転移液6に熱エネルギーを供給して加熱し、熱転移液6の蒸気を発生させる。加熱ヒータ5は、ヒータ制御部5aで加熱制御を行うことができ、加熱ヒータ5での熱転移液6に対する加熱量をヒータ制御部5aで設定し、ヒータ制御部5aの制御の下に、熱転移液6を加熱し、熱転移液6に気化潜熱を与えることにより、蒸気供給部2を介して加熱炉1に所定の量の熱転移液6の蒸気の供給を可能としている。
熱転移液供給槽10は、熱転移液加熱槽3に接続された電磁弁22などを備えている。また、熱転移液加熱槽3の中の熱転移液6の量は、気相式加熱装置ケーシング50に配置した熱転移液液面検出装置12等によって検出される。これにより、熱転移液槽制御部11の制御の下に、熱転移液供給槽10が駆動され、熱転移液加熱槽3内の熱転移液6の量の減少などを熱転移液液面検出装置12で検出すると、電磁弁22を開いて熱転移液6を熱転移液加熱槽3に供給する。熱転移液液面検出装置の一例としては、フロート液面計などが使用できる。熱転移液液面検出装置の別の例としては、透明体の位置検出が可能な共焦点方式によるレーザ同軸変位計を使って、レンズ部分を遮熱して非接触で液面を検出することも可能である。
さらには、制御部40による後述するポンプ41aの制御の下に、加熱炉1内の熱転移液回収槽8から熱転移液供給槽10に、加熱炉1の下方の熱転移液回収槽8で回収した熱転移液6を供給する供給量を制御することができる。
熱転移液加熱槽3から蒸気供給部2に熱転移液6の蒸気が供給される際、初期段階では、蒸気供給部2の壁面温度が熱転移液6の沸点よりも低いため、まずは、蒸気から蒸気供給部2の壁面すなわち気相式加熱装置ケーシング50の内壁面に凝縮潜熱を付与して液化する。さらには、整流板4についても同様に、初期段階では、凝縮潜熱を蒸気から付与して、これを加熱することになる。これを継続することで、蒸気供給部2の壁面の温度及び整流板4の温度が上昇し、蒸気供給部2及び整流板4に蒸気が接触しても液化することなく、加熱炉1に蒸気の状態で供給することが可能となる。
また、加熱炉1についても同様に、整流板4を介して供給される蒸気が、加熱炉1の壁面すなわち気相式加熱装置ケーシング50の内壁面などに接触して凝縮潜熱を付与して液化する。が、壁面温度が熱転移液6の沸点まで上昇することで、加熱炉1内においても蒸気の状態で供給することが可能となる。
なお、熱転移液6が蒸気となることで液体から気体への相変化に基づく体積膨張による圧力上昇で蒸気供給部2内に供給された蒸気は、整流板4の開口4aから矢印A2に示すように噴出する。
また、熱転移液加熱槽3における加熱ヒータ5の加熱量によって蒸気発生量の増減がヒータ制御部5aで制御できるため、整流板4からの噴出量もヒータ制御部5aで制御することが可能である。ただし、相変化による液体から気体への体積膨張が非常に大きい場合、整流板4の開口4aの面積が小さいとき、整流板4の開口4aから噴出する際の蒸気の流速が大きくなり、被加熱物7への衝突噴流によって被加熱物7に悪影響を与える可能性もある。このため、加熱ヒータ5による加熱量に応じて整流板4の開口4aの開口面積を決定して蒸気の流速を変更する。
加熱炉1では、熱転移液6の蒸気が被加熱物7に衝突して接触することで、蒸気が持つ熱エネルギーを被加熱物7に熱伝達される。が、蒸気が被加熱物7に接触することによって冷却されて液化することで、蒸気の液化への相変化による凝縮潜熱を、被加熱物7に与える。このため、被加熱物7に対して加熱気体の衝突だけの場合と比較して、この実施の形態では、非常に高い熱伝達率によって被加熱物7の温度を高効率に昇温することができる。
ここで、加熱炉1は、被加熱物7に熱転移液6の蒸気を均一に接触させることができるように、加熱炉1の上方に、略均一に分布配置されかつ多数の微小な開口4aを有する整流板4を設置することで、各微小な開口4aから略均等な噴流で、被加熱物7に対して熱転移液6の蒸気を吹き付ける。整流板4は、開口4aからの噴流が被加熱物全体に均一に当たるように被加熱物7の投影面積よりも大きいエリアに、開口4aを配置する。加熱炉1内では、蒸気が被加熱物7に接触して、蒸気が持っていた凝縮潜熱を被加熱物7に与えた熱転移液6の蒸気は、被加熱物7の表面で相変化により液化し、被加熱物7の表面から加熱炉1の下方に向かって熱転移液6が滴下する。この際、発生した熱転移液6の蒸気の一部が、気相式加熱装置ケーシング50内の蒸気供給部2、整流板4、加熱炉1、及び搬送装置30及び被加熱物7に接触して液化することなく、蒸気の状態で存在する場合、連続して供給される蒸気が余剰状態になってしまうことから、加熱炉1内で被加熱物7の配置位置すなわち搬送装置30よりも下方に冷却器9を設置し、この領域まで蒸気の状態で到達した蒸気を、冷却器9で冷却して液化することで、発生した蒸気をほぼ全て液化して熱転移液回収槽8に回収する。
なお、被加熱物7の凹部に液化した熱転移液6が、凹部に溜まったまま又は被加熱物7自体に付着したまま、被加熱物7の搬出時に被加熱物7とともに加熱炉1外に持ち出されてしまう可能性がある。このため、気相式加熱装置ケーシング50内から失われた量の熱転移液6は、適宜、図示しない外部から、気相式加熱装置ケーシング50内のいずれかの場所に追加及び補充される。補充される場所の一例としては、熱転移液供給槽10が挙げられる。
また、熱転移液回収槽8と熱転移液供給槽10とを繋ぐ回収経路42上に回収装置41を備えるようにしてもよい。回収装置41としては、熱転移液回収槽8に回収された熱転移液6を、熱転移液供給槽10に汲み上げるためにポンプ41aを少なくとも備えている。このポンプ41aにより、加熱炉1の下方に滴下して熱転移液回収槽8で回収した熱転移液6を加熱炉1から強制的に排出するようにしてもよい。回収装置41で熱転移液回収槽8から熱転移液供給槽10に汲み上げる熱転移液6の量は、例えば、流量計41bなどで直接測定して求めることができる。又は、熱転移液回収槽8に回収した熱転移液6を熱転移液供給槽10に保持し、その熱転移液供給槽10での液面の位置を液面計(図示せず)で計測して、汲み上げた熱転移液6の量を検出することもできる。
被加熱物7の熱容量等に対応した加熱炉1における加熱能力の調節は、熱転移液6の蒸気の供給量を増減させることで可能となる。
例えば、加熱炉1における加熱能力を高める際には、熱転移液加熱槽3内の加熱ヒータ5の出力を大きくして、発生する蒸気量を増加させることで加熱炉1内に供給される蒸気量が増加するため、蒸気から被加熱物7に与える凝縮潜熱を増加させることが出来る。
逆に、加熱炉1における加熱能力を低下させるためには、熱転移液加熱槽3内の加熱ヒータ5の出力を低下させ、発生する蒸気量を減少させることで加熱炉1内に供給される蒸気量が減少するため、加熱炉1における加熱能力を低下させることが可能となる。
必要に応じて、この実施の形態では、図1に示すように、制御部40が備えられている。制御部40は、熱転移液6の加熱ヒータ5を制御し、加熱炉1に供給される熱転移液6の蒸気の供給量を制御して、加熱炉1内に供給する蒸気を所定の量に調節する。具体的には、制御部40により、加熱ヒータ5のヒータ制御部5aの加熱出力設定、及び熱転移液槽制御部11を介して、熱転移液加熱槽3の熱転移液液面検出装置12の検出結果に基づく熱転移液6の熱転移液加熱槽3への供給タイミング及び供給量、及び流量計41bの測定結果に基づくポンプ41aの駆動制御による回収装置41での熱転移液供給槽10への汲み上げる熱転移液6の量などをそれぞれ独立して制御可能としている。回収装置41での熱転移液供給槽10への汲み上げる熱転移液6の量は、制御部40で制御しなくてもよい。なお、図を簡略化するため、制御部40などは、図1など一部の図にのみ図示して、他の図では省略している。
前記実施の形態の構成の気相式加熱装置を使用する気相式加熱方法では、熱転移液6を加熱して形成された蒸気は整流板4を介して加熱炉1に供給し、供給された蒸気の凝縮潜熱を利用して被加熱物7の加熱を行うとき、一例として、以下のような動作が行われている。
加熱炉1では、熱転移液6の蒸気で被加熱物7を加熱し、蒸気が、被加熱物7に接触し冷却されて液化し、蒸気の凝縮潜熱を相変化により被加熱物7に与えたのち、被加熱物7の表面から、加熱炉1の下方に配置された熱転移液回収槽8に向かって、熱転移液6が滴下して熱転移液6が熱転移液回収槽8に回収される。また、被加熱物7に接触せずに加熱炉1を通過した熱転移液6の蒸気は、冷却器9で冷却して液化して熱転移液回収槽8に回収する。なお、被加熱物7の昇温が熱転移液6の沸点まで到達して被加熱物7の加熱が完了した場合についても、被加熱物7に接触して液化せずに蒸気として加熱炉1を通過する熱転移液6は、冷却器9で冷却して熱転移液回収槽8に回収される。回収された熱転移液6は、回収装置41及び熱転移液供給槽10を介して、熱転移液加熱槽3に供給される。
このような回収及び供給を制御部40で制御することにより、熱転移液6の蒸気を、加熱炉1において所定の量を供給し続けることで、熱転移液6の蒸気の供給量と分布とを均一にして、加熱炉1内に設置されている被加熱物7を所定の昇温速度で加熱することができる。
ここで、図2A及び図3Aは、本発明の前記実施の形態における、熱転移液加熱槽3からの熱転移液6の蒸気の供給量による加熱炉1内の熱転移液6の蒸気濃度の影響を説明する図である。図2Aは、加熱炉1に供給される熱転移液6の蒸気量が多い状態を示している。図3Aは、加熱炉1に供給される熱転移液6の蒸気量が少ない状態を示している。図2Aの状態と図3Aの状態との間には、中間的な移行状態が存在する。図2Aの状態と図3Aの状態とでは、加熱能力が互いに異なるために昇温能力が互いに異なり、それぞれの場合の被加熱物7の昇温速度は、図2B及び図3Bのように互いに異なる。しかしながら、どちらの場合も、凝縮潜熱による昇温では、原理的に熱転移液6の沸点以上には加熱されない。そのために、被加熱物7全体が熱転移液6の沸点温度になると、それ以上の温度に加熱されることは無い。
図2Aの場合は、時間t1で所定の昇温温度Tに到達することから、昇温速度が速く、図3Aの場合は、時間t2で所定の昇温温度Tに到達することから、昇温速度が遅い。このため、それぞれ、図2B及び図3Bのような温度プロファイルの昇温となる。なお、ここでは、時間t2>時間t1となっている。
図4は、本発明の前記実施の形態における、被加熱物7が搬入されていない状態の説明図である。被加熱物7が加熱炉1内に搬入されていない場合、熱転移液6の蒸気が被加熱物7に接触して液化することは無いため、加熱炉1を蒸気のまま通過して冷却器9まで到達し、冷却器9で冷却し液化し、滴下して熱転移液回収槽8に回収される。
前記実施の形態にかかる気相式加熱方法及び気相式加熱装置51によれば、被加熱物7の有無、熱容量、又は大きさに関わらず、被加熱物7の上方から常に所定量の熱転移液6の蒸気を加熱炉1に供給することにより、加熱炉1内で被加熱物7に熱転移液6の蒸気が接触して凝縮潜熱を付与して液化することで、蒸気量が不足することによる加熱能力の低下を回避し、加熱炉1内に保持されている被加熱物7を所定の昇温速度で安定して加熱することができる。
また、熱転移液6の加熱能力の増減によって熱転移液6の蒸気の発生量を制御することが可能であるため、加熱炉1に供給されて被加熱物7に接触する蒸気量を変化させることが出来る。
この結果、前記供給を調節するとき、被加熱物7への熱伝達を行う熱転移液6の蒸気量の増減を調節して均等にすることができ、被加熱物7の昇温速度を加減することが可能となり、被加熱物7の加熱の際に場所及び時間による加熱能力の差が生じず、均等な熱伝達による均一加熱を行うことが出来る。言い換えれば、被加熱物7に所定の量の熱転移液6の蒸気を上方から連続して供給し続けることで、被加熱物7に蒸気が接触して凝縮潜熱を付与して液化することによる蒸気の減少に伴う一時的な加熱能力の低下を回避でき、所望の加熱能力を維持することができる。
図5は、本発明の前記実施の形態の第1変形例における、前記気相式加熱装置を含む気相式加熱システム52の説明図である。この気相式加熱システム52は、被加熱物7の搬入ゾーン13と、搬入ゾーン13に一側部が隣接する昇温ゾーン14と、昇温ゾーン14の他側部に隣接する保温ゾーン15と、さらに保温ゾーン15の他側部に隣接する昇温ゾーン16と、昇温ゾーン16の他側部に隣接する搬出ゾーン17とを備えて構成される。
図6Aは図5の昇温ゾーン14の断面図である。図6Bは図5の保温ゾーン15の断面図を示す。搬入ゾーン13と、昇温ゾーン14と、保温ゾーン15と、昇温ゾーン16と、搬出ゾーン17とにわたって、コンベヤベルトのような搬送装置30が配置されて、5つのゾーン13、14、15、16、17に渡って被加熱物7を搬送可能となっている。
第1の昇温ゾーン14は、図6Aに示すように、図1の気相式加熱装置51で構成されて、図7に示す温度プロファイルの最初の昇温ゾーンのような温度プロファイルを実施可能に構成している。第2の昇温ゾーン16も、図6Aと同様に、図1の気相式加熱装置51で構成されて、図7に示す温度プロファイルの二回目の昇温ゾーンのような温度プロファイルを実施可能に構成している。一例として、第1の昇温ゾーン14は図3Bの温度プロファイルを持つ気相式加熱装置51で構成され、第2の昇温ゾーン16は図2Bの温度プロファイルを持つ気相式加熱装置51で構成されている。又は、別の例として、第1の昇温ゾーン14と第2の昇温ゾーン16とは同じ気相式加熱装置51で構成され、かつ、第2の昇温ゾーン16の気相式加熱装置51の熱転移液6の沸点が第1の昇温ゾーン14の気相式加熱装置の熱転移液6の沸点よりも高いものを使用するようにしてもよい。
保温ゾーン15は、図6Bに示すように、図1の気相式加熱装置において、加熱炉1の代わりに、ケーシング50aで囲まれた保温室1Cに対して、加熱ヒータ18と、循環ファン20と、循環ファン20を駆動する循環ファンモータ19とが配置された保温装置53で構成されて、図7に示す温度プロファイルの保温ゾーンのような温度プロファイルを実施可能に構成している。
このような図5の構成は、図7に示す温度プロファイルのような、2段階の昇温を必要とする温度プロファイルを再現するための構成となっている。
搬入ゾーン13から第1の昇温ゾーン14に被加熱物7を供給し、第1の昇温ゾーン14で所望の昇温速度で被加熱物7を加熱する。
次いで、第1の昇温ゾーン14で被加熱物7が所望の温度に到達した後に、搬送装置30によって第1の昇温ゾーン14から保温ゾーン15に被加熱物7を移送して、保温ゾーン15において、所望の時間、一定温度で被加熱物7を保持する。
その後、保温ゾーン15で被加熱物7が所望の時間経過後に、保温ゾーン15から、第2の昇温ゾーン16に被加熱物7を移送して、第2の昇温ゾーン16で被加熱物7を所望の昇温速度で加熱する。
その後、第2の昇温ゾーン16で被加熱物7が所望の温度に到達した後に、搬送装置30によって第2の昇温ゾーン16から搬出ゾーン17に搬出して、一連の熱処理完了となる。
図6Bの保温ゾーン15では、被加熱物7の保温条件での温度設定で保持すれば良いので、積極的な加熱をする必要が無く、よって、凝縮潜熱などの熱伝達率の高い加熱方式を用いる必要が無い。本実施の形態の第1変形例の場合の保温ゾーン15では、熱風循環の構成を取っており、循環する加熱気体の温度を一定に保ち、被加熱物7の温度が低下しないように、循環ファン20で保温室1C内に加熱気体の気流を発生させて被加熱物7に加熱気体を吹き付ける。このとき、加熱気体の温度を所定の温度とするための加熱ヒータ5を循環ダクト21に設置している。
なお、搬送装置30については、各ゾーンで所望の時間停止して加熱処理を行う場合と、搬送装置30によって各ゾーンで停止せずに連続的に移動を続ける場合とがある。この場合においても、第1の昇温ゾーン14、及び、第2の昇温ゾーン16で図1の構成をそれぞれ用いることにより、常に一定の加熱能力が保持されるため安定した加熱処理が可能となる。
また、3段階以上のより多段階の加熱が必要な場合は、図8に、前記実施の形態の第2変形例として示すように、装置の構成として、搬入ゾーン13と搬出ゾーン17との間に昇温ゾーンと保温ゾーンとを複数、適宜配置した装置構成とする。例えば、1番目の昇温ゾーン14と、2番目の保温ゾーン15と、3番目の昇温ゾーン16と、その後、n番目の昇温ゾーンまで(ただし、nは4以上の整数。)を配置してもよい。
搬送装置30による移送で、昇温ゾーン14での被加熱物7の加熱と保温ゾーン15での被加熱物7の保温とを繰り返すことにより、図9に示すように、多段階の昇温加熱が可能となる。
なお、図7は、一例として、一般的な温度プロファイルを実現するために、本発明の実施の形態の第1変形例におけるリフローはんだ付けの場合の温度プロファイルを従来方法との比較で説明する図である。第1変形例における気相式加熱システム52の一例として電子部品を実装した基板のはんだ付けに用いるリフロー炉の場合の一般的な温度プロファイルを、実線で示す。従来の気相式加熱方式のリフロー炉の場合の温度プロファイルを、点線で示す。従来の気相式加熱方式のリフロー炉の場合では、赤外線加熱等により予熱を行い、その後に、はんだ付け温度まで昇温させるために熱転移液の蒸気に基板を投入し、昇温速度が一定で、多くの場合、急激な昇温となってしまっている。この一般的な温度プロファイルを実現するために、第2変形例においては、予熱のための昇温は、所望の昇温速度になるように熱転移液6の蒸気供給量を調整した状態で第1の昇温ゾーン14で加熱を行い、予熱温度に到達した後に、保温ゾーン15に基板を移送するように設定し、保温ゾーン15で所定の時間だけ予熱温度を保持する。その後、本加熱のために、第2の昇温ゾーン16に基板を移送して、再度、昇温を始め、熱転移液6の沸点を基板の所望のピーク温度としておく。このようにすることで、基板の温度も熱転移液6の沸点まで上昇してそのまま保持される。その後、第2の昇温ゾーン16に続く保温ゾーン15で所望の時間だけピーク温度に保持してはんだが十分に溶融して濡れ広がった後に、搬出ゾーン17に基板を搬出する。このようにすることで、所望の温度プロファイルを実現することができる。
なお、被加熱物7の均一加熱を考慮すると、噴出風量(すなわち風速)はできるだけ大きい方が有利であるが、部品形状又は部品実装方法などにより、部品が欠品となる衝突風速が異なる。このため、風速を一律に設定することは困難ではあるが、一例として、供給する蒸気量と整流板4の開口4aの面積とによって、被加熱物7への衝突風速を最大1m/sec程度とすることができる。
なお、特許文献1及び特許文献2のように下方から蒸気を供給するような場合においても、微小開口を有する筐体で被加熱物を覆って略全方向から蒸気を供給する方式も考えられるが、循環ブロアなどによって強制的に蒸気を送風する必要があるために、衝突風速によっては、前記のように部品の転倒する恐れもある。そのため、被加熱物が平面方向だけでなく高さ方向もあるような立体的な形状の場合は、有利な点も考えられるが、平面の被加熱物の場合であれば、図1の方式のように蒸気が自重で落下して被加熱物に接触する方式によって、より均一な加熱が可能となる。
なお、前記様々な実施の形態又は変形例のうちの任意の実施の形態又は変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。また、実施の形態同士の組み合わせ又は実施例同士の組み合わせ又は実施の形態と実施例との組み合わせが可能であると共に、異なる実施の形態又は実施例の中の特徴同士の組み合わせも可能である。
本発明の前記態様にかかる気相式加熱方法及び気相式加熱装置は、被加熱物への熱伝達を行う熱転移液の蒸気の量を増減して調節しかつ均等にすることができ、昇温速度を加減することが可能となり、被加熱物の加熱の際に場所及び時間による加熱能力の差が生じず被加熱物に対して均一な熱伝達による加熱を行うことが可能となる。このため、本発明の前記態様は、被加熱物を均一に加熱する加熱方法及び装置として、工業製品又は家電製品の製造工程又は各種電子部品の製造工程における乾燥炉、キュア炉、又はリフロー炉などの各種熱処理を行う熱処理方法及び装置に適用できる。
1 加熱炉
1C 保温室
2 蒸気供給部
3 熱転移液加熱槽
4 整流板
4a 開口
5 加熱ヒータ
5a ヒータ制御部
6 熱転移液
7 被加熱物
8 熱転移液回収槽
9 冷却器
10 熱転移液供給槽
11 熱転移液槽制御部
12 熱転移液液面検出装置
13 搬入ゾーン
14 昇温ゾーン
15 保温ゾーン
16 昇温ゾーン
17 搬出ゾーン
18 加熱ヒータ
19 循環ファンモータ
20 循環ファン
21 循環ダクト
22 電磁弁
30 搬送装置
40 制御部
41 回収装置
41a ポンプ
41b 流量計
42 回収経路
50 気相式加熱装置ケーシング
50a ケーシング
51 気相式加熱装置
52 気相式加熱システム
53 保温装置
A1,A2 蒸気の移動方向の矢印
B 保持位置

Claims (4)

  1. 熱転移液の蒸気を加熱炉に供給し、供給された前記蒸気の凝縮潜熱を利用して被加熱物の加熱を前記加熱炉内で行う気相式加熱方法であって、
    熱転移液加熱槽内の前記熱転移液を加熱源で加熱して所定の量の蒸気とし、前記加熱炉の上面の、前記加熱源と前記加熱炉とを接続する蒸気供給部との連通部に配置され、前記加熱源からの前記熱転移液の前記蒸気が前記蒸気供給部を介して供給されかつ略均一に分布された蒸気開口部を有する噴出部材の前記蒸気開口部から、前記熱転移液を蒸気とすることによる前記熱転移液加熱槽及び前記蒸気供給部での圧力上昇によって前記蒸気を下向きに噴出して、前記蒸気を前記加熱炉の上方から下方に向けて前記加熱炉内に供給し、
    前記加熱炉内で前記蒸気で前記被加熱物を加熱し、
    前記加熱炉内で、前記蒸気が前記被加熱物に接触して冷却されて液化し、前記蒸気の凝縮潜熱を相変化により前記被加熱物に与えたのち、液化した前記熱転移液を前記加熱炉の下方で回収し、
    さらに、前記加熱炉内で前記蒸気を前記被加熱物よりも下方で冷却して液化した前記熱転移液を前記加熱炉の下方で回収し、
    前記加熱源で加熱して発生した前記蒸気を、前記加熱炉内で液化して回収することにより、
    前記熱転移液の所定の量の前記蒸気を前記加熱炉の上方から下方に向けて供給して、前記加熱炉内に設置されている前記被加熱物を所定の昇温速度で加熱する気相式加熱方法。
  2. 前記熱転移液を前記加熱源で加熱するとき、前記加熱炉の下方で前記熱転移液を回収する熱転移液回収槽から、前記加熱源に接続された熱転移液供給槽に、前記加熱炉の下方の前記熱転移液回収槽で回収した前記熱転移液を供給する供給量をポンプにより制御する、請求項1に記載の気相式加熱方法。
  3. 被加熱物を内部の保持位置に保持し、熱転移液の蒸気を前記被加熱物に接触させて前記蒸気の凝縮潜熱を利用して前記被加熱物の加熱を行う加熱炉と、
    熱転移液加熱槽内の前記熱転移液を加熱して前記蒸気とする加熱源と、
    前記加熱炉の上面の、前記加熱源と前記加熱炉とを接続する蒸気供給部との連通部に配置され、前記熱転移液を蒸気とすることによる前記熱転移液加熱槽及び前記蒸気供給部での圧力上昇によって前記加熱源からの前記蒸気を前記蒸気供給部を介して前記加熱炉内に前記加熱炉の上方から下方に向けて噴出する蒸気開口部が略均一に分布された噴出部材と、
    前記加熱炉内で前記被加熱物の前記保持位置よりも下方に設置され、前記加熱炉を通過した前記蒸気を液化する冷却部と、
    前記加熱炉の下方で前記熱転移液を回収する熱転移液回収槽と、
    前記熱転移液の前記加熱源を制御し、前記加熱炉に供給される前記熱転移液の前記蒸気の供給量を制御して、前記加熱炉内に供給する前記蒸気を所定の量に調節する制御部と、
    を備える気相式加熱装置。
  4. 前記制御部による制御の下に、前記熱転移液回収槽から、前記加熱源に接続された熱転移液供給槽に、前記加熱炉の下方の前記熱転移液回収槽で回収した熱転移液を供給する供給量を制御するポンプをさらに備える、請求項3に記載の気相式加熱装置。
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