JP7182003B2 - 荷電粒子ビームシステム - Google Patents

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Description

本開示は、荷電粒子ビームシステムに関し、特に半導体デバイスの計測・検査・観察・分析を行う高分解能の走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)に関する。
SEMでは一般的に、電子ビームの量の調整、通過制限、収差の抑制、或いは、ビーム形状の成型等の目的で、電子源から放出された電子ビームの経路上に、絞り孔を有する絞り板を配置する(以下、電子ビームに対して、このような目的の作用を及ぼす光学要素を「絞り」と称する)。この際、絞り板上へ照射される電子ビームの加速電圧が高いと、電子ビームが絞り板を透過してしまう場合がある(特許文献1)。また、絞り板へ照射された電子ビームが、絞り孔のエッジで散乱される現象が知られている(特許文献2)。これらの透過電子(ビーム)や散乱電子(ビーム)は、絞り孔を通過した電子ビーム(以下「メインビーム」とも称する)とは異なるエネルギーと角度分布を持つため、メインビームの電子軌道と異なる軌道で試料上に収束されるといった現象が発生する(以下、当該現象を「フレア」とも称する)。このフレアは、SEM像の分解能を劣化させる原因となる。
特開2011-243540号公報 特開平6-5499号公報 特開平6-163371号公報
絞り板および絞り孔近傍へ電子ビームが照射されることによって生じる透過電子や散乱電子は、電子ビームの加速電圧によって異なる態様を示す。即ち、使用する電子ビームの加速電圧に応じて発生するフレアの状態も異なってくるため、加速電圧毎に当該フレアの影響を最小化できる適切な手法が必要となる。しかしながら、特許文献1乃至3を含む従来技術においては、この加速電圧毎に状態が異なるフレアが発生するという課題に対して、適切に対処できる解決手段は開示されていない。
上記課題の解決手段の一態様として、以下に、荷電粒子源から放出された荷電粒子ビームの加速電圧を制御するコンピュータシステムを備えた荷電粒子ビームシステムであって、荷電粒子ビームに作用する絞りであって、厚さが異なる第1及び第2の絞りを含む第1の絞り群と、第1の絞り群における絞りを切り替える第1の絞り切り替え機構と、を備え、コンピュータシステムは、加速電圧の増減に応じて第1の絞りから第2の絞りに切り替えるように、第1の絞り切り替え機構を制御する荷電粒子ビームシステムを提案する。
上記方法または構成によれば、電子ビームの加速電圧毎に状態が異なるフレアの影響を最小化することができるため、フレアによるSEM像の分解能劣化を抑制することが可能である。
実施例1に係るSEM式測長システム(荷電粒子ビームシステム)の概略構成図 絞り板を透過する電子数と電子ビームの加速電圧及び絞り板の板厚との関係図 絞り孔の側壁部で散乱する電子数と電子ビームの加速電圧及び絞り板の板厚との関係図 加速電圧、絞り板の板厚、透過電子と散乱電子の総数の関係図 ビーム調整絞り板に照射される電子ビームの模式図 絞り板の板厚に対する透過電子により生じる電流量と散乱電子により生じる電流量および透過電子と散乱電子の総量の計算結果を示した図 ビーム調整絞り板ユニットに係る一実施態様を示した図 実施例1に係る別のSEM式測長システム(荷電粒子ビームシステム)の概略構成図 絞り板選択テーブルを作成するためのフローチャート 最適な板厚のビーム調整絞り板の決定および絞り孔の位置決め調整を実行するためのフローチャート ビーム調整絞り板ユニットに係る別の実施態様を示した図 実施例2に係るSEM式測長システム(荷電粒子ビームシステム)の概略構成図 ビームカット絞りユニットに係る一実施態様を示した図 ビーム調整絞り板とビームカット絞り板と電子ビームとの関係を示した図 ビームカット絞り孔選択テーブルを作成するためのフローチャート 最適なビームカット絞り孔の孔径の決定および絞り孔の位置決め調整を実行するためのフローチャート 絞り板選択テーブルおよびビームカット絞り孔選択テーブルを使用した場合におけるフローチャート 実施例3に係るSEM式測長システム(荷電粒子ビームシステム)の概略構成図 ビーム調整絞り板とエネルギーフィルタの周辺の詳細図 絞り板選択テーブル、ビームカット絞り孔選択テーブルおよびエネルギーフィルタ印加電圧テーブルを使用した場合におけるフローチャート 絞り板選択テーブルの一例を示した図 絞り板選択テーブルの他の例を示した図 ビームカット絞り孔選択テーブルの一例を示した図 エネルギーフィルタ印加電圧テーブルの一例を示した図
以下、添付図面を参照して本実施形態について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号又は対応する番号で表示される場合もある。また、以下の実施の形態で用いる図面においては、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。なお、添付図面は本開示の原理に則った実施形態と実装例を示しているが、これらは本開示の理解のためのものであり、決して本開示を限定的に解釈するために用いられるものではない。本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味においても限定するものではない。
本実施形態では、当業者が本開示を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本開示の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。従って、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。
以下に説明する実施形態では、荷電粒子ビームシステムの一例として、電子ビームを用いて半導体ウェーハ上のパターンを計測するSEM式測長システム(測長SEMともいう)を例にとって説明するが、「SEM:Scanning Electron Microscope(走査型電子顕微鏡)」とは、電子ビームを用いて試料の画像を撮像する装置を広く含むものとする。荷電粒子ビームシステムのその他の例としては、試料を観察する走査イオン顕微鏡、試料を加工する集束イオンビームシステム等が挙げられる。また、走査型電子顕微鏡のその他の例としては、走査型電子顕微鏡を用いた検査装置、レビュー装置、汎用の走査型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡を備えた試料加工装置や試料解析装置等が挙げられ、本開示はこれらの装置にも適用が可能である。また、以下に説明する実施例において走査型電子顕微鏡とは、上記走査型電子顕微鏡がネットワークで接続されたシステムや上記走査型電子顕微鏡を複数組み合わせた複合装置をも含むものとする。
また、以下に説明する実施形態において「試料」とは、パターンが形成された半導体ウェーハを一例として説明するが、これに限られるものではなく、金属、セラミックス、生体試料等であっても良い。
近年の半導体デバイスは、構造の微細化と三次元化が進んでいる。例えば、ロジックICの集積回路技術はEUV露光技術の進歩によって線幅10nm以下の微細化が進んでおり、特に半導体等のウェーハ上に形成された微細パターンの寸法計測用SEMには、より高い測長精度と装置間機差低減が要求されている。一方、DRAMやNANDといったメモリデバイスは構造の三次元化が進み、深穴・深溝パターン等の計測ニーズが高まっている。この測長SEMに代表されるように、近年、半導体デバイスの計測・検査・観察・分析を行うSEMにおいては、様々なニーズに対応するために、電子ビームの加速電圧を数100V~数10kVの幅広い範囲で変化させて、高分解能のSEM像を取得できる性能が必要となっている。また、併せて、装置性能の経時変化や装置間の機差が少ないSEMが求められている。
以下、特に、高分解能のSEM像を長期間に渡って安定的に取得でき、また性能機差の少ない走査型電子顕微鏡について、図面を参照して詳述する。
図1に、実施例1に係るSEM式測長システム(荷電粒子ビームシステム)の概略構成を示す。
SEM式測長システム100は、ビーム照射システム(撮像ツールともいう)101およびコンピュータシステム133で構成されている。コンピュータシステム133は、全体制御部102、信号処理部103、入出力部104および記憶部105を備えている。
ビーム照射システム101内の電子銃106から放出された電子は、図示しない加速電極によって加速され、一次電子ビーム107(電子ビームともいう)として試料112(例えばパターンが形成されたウェーハ)に照射される。ビーム照射システム101は、電子ビーム107を集束する第1集束レンズ108、及び集束レンズ108を通過した電子ビームを更に集束する第2集束レンズ109を備えている。ビーム照射システム101は更に、電子ビーム107を偏向する偏向器110 、電子ビーム107の集束点(焦点)を制御する対物レンズ111を備えている。 ビーム照射システム101内に設けられた各光学素子を通過した電子ビーム107は、ステージ113上に載せられた試料112に照射される。電子ビーム107の照射によって試料から放出される二次電子(Secondary Electron:SE)や後方散乱電子(Backscattered Electron:BSE)等の放出電子114は、放出電子偏向用の偏向器115(第1の二次電子アライナ)によって所定の方向に導かれる。偏向器115は所謂ウィーンフィルタであり、電子ビームを偏向させることなく、放出電子114を所定の方向に選択的に偏向させる。また、電子ビーム107の加速電圧は、対象となる試料112に合わせて、幅広い範囲で切り替えて使用することができる。
検出絞り116は、放出電子114を角度弁別することが可能である。検出絞り116を通過した放出電子114は、偏向器123(第2の二次電子アライナ)によって、軸外に配置された検出器119に導かれる。検出器119は、放出電子114が衝突する位置に検出面を持ち、例えば、検出面に入射した放出電子は、検出面に設けられたシンチレータによって光信号に変換される。この光信号はフォトマルチプライヤによって増幅されると共に電気信号に変換され、検出器の出力となる。また、検出器119の直前に設けられたエネルギーフィルタ122により、光軸近傍に通過軌道を持つ放出電子114を、エネルギー弁別することができる。一方、検出器121は、放出電子114が検出絞り116の壁面に衝突することによって発生する三次電子120(放出電子114の二次電子)を検出する。
また、図1に例示する走査電子顕微鏡には、電子ビームの通過を一部制限するとともに電子ビームを成型する機能を持つビーム調整絞り板130、電子ビーム107を光軸外に偏向することによって、試料112への電子ビームの到達を制限するブランキング偏向器131が設けられている。ビーム調整絞り板130は、電子ビーム107が通過する絞り孔134が設けられている。ファラデーカップ132は、ブランキング偏向器131によって偏向された電子ビーム107を遮断するとともに、ファラデーカップ132に流れ込む電流を測ることで、ファラデーカップ132に入射した電子の単位時間あたりの数を求めることができる。ファラデーカップ132の信号出力から、試料に照射する電子ビーム107のプローブ電流をモニタリングすることが可能である。
上記したような走査電子顕微鏡内に設けられた光学素子は、全体制御部102によって制御される。
信号処理部103では、検出器119、121の出力に基づいてSEM画像を生成する。信号処理部103では、図示しない走査偏向器の走査と同期して、フレームメモリ等に検出信号を記憶させることで画像データを生成する。フレームメモリに検出信号を記憶する際、フレームメモリの走査位置に対応する位置に検出信号を記憶させることで、信号プロファイル(一次元情報)、SEM画像(二次元情報)を生成する。
次に、本実施例で用いるビーム調整絞り板130について説明する。
一般的に、ビーム調整絞り板は、絞り孔以外の絞り板部分に照射された電子ビームを遮断するため、原子数の大きな金属材料で形成される。或いは、絞り孔の形状を均一にするため、シリコン(Si)を母材として半導体プロセスにより形成した絞り板に重金属のコーティング膜を施したものを、ビーム調整絞り板として使用する場合もある。しかし、このような従来のビーム調整絞り板を用いた技術においては、電子ビームの加速電圧を数100V~数10kVの幅広い範囲で変化させて高分解能のSEM像を取得しようとした場合、加速電圧の切り替えに伴って、以下のような問題が生じていた。
ビーム調整に用いられる調整絞り板に照射される電子ビームのエネルギーが高い場合(電子ビームの加速電圧が高い場合)、絞り板の母材部分(絞り孔以外の絞り板部分)を透過してしまう電子が生じることである。この絞り板の母材部分を透過した電子は、絞り孔を通過する電子よりも低いエネルギーを持ち、調整絞り板の下面からランダムな方向へ出射する。図2は、絞り板の母材が同一の金属材料で形成されている場合において、絞り板を透過する電子数と電子ビームの加速電圧及び絞り板の板厚との関係について示したグラフである。絞り板の母材部分を透過する電子の数は、絞り板の板厚が薄くなるほど増加し、また、電子ビームの加速電圧が高くなるほど増加する。
一方で、絞り板の母材部分を透過する電子とは別に、絞り孔の側壁部(内壁部)で散乱する電子も存在する。ここで言う「散乱」には、絞り孔の側壁部で進行方向が変えられた電子や、絞り孔の側壁部で反射してビーム照射システムの光軸側(或いは、絞り孔の中心軸側)に進行する電子が含まれる。この絞り孔の側壁部で散乱した電子は、絞り孔を通過する電子よりも低いエネルギーを持ち、絞り孔の側壁部からランダムな方向へ飛行する。 図3は、絞り板の母材が同一の金属材料で形成されている場合において、絞り孔の側壁部で散乱する電子数と電子ビームの加速電圧及び絞り板の板厚との関係について示したグラフである。絞り孔の側壁部で散乱する電子の数は、絞り板の板厚が厚くなるほど、即ち絞り孔の側壁部の高さが高くなるほど増加し、また、電子ビームの加速電圧が高くなるほど増加する。
このような絞り板の母材部分を透過した電子や絞り孔の側壁部で散乱した電子は、前述したフレアを生じさせ、SEM像の分解能を劣化させる原因となる。また、絞り板の母材部分を透過した電子がファラデーカップに到達してしまった場合、電子ビームのプローブ電流値の誤検出を引き起こすおそれがあった。
本開示に示した実施例の態様により、上記の課題を解決することが可能となる。
発明者らは、上述した通り、透過電子数及び散乱電子数と、電子ビームの加速電圧及び絞り板の板厚との関係性について詳細に解析した結果、図4に示すように、各加速電圧において、ビーム調整絞り板を透過する電子数と、ビーム調整絞り板の絞り孔側壁部で散乱する電子数との総量(透過電子と散乱電子の総量)が、最小となる板厚(例えば、図4中のt、t、tなど)が存在することを新たに見出した。また、発明者らは、図4に示す関係性から、電子ビームの加速電圧を増加させた場合はビーム調整絞り板の板厚も併せて増加させ、電子ビームの加速電圧を減少させた場合はビーム調整絞り板の板厚も併せて減少させることで、透過電子と散乱電子の総量を最小にできることを新たに見出した。
以下、ビーム調整絞り板の最適な板厚に関する具体的な計算方法について説明する。
図5は、ビーム調整絞り板130に照射される電子ビーム107の模式図を示している。電子ビーム107は、第1集束レンズ108によって、第1集束レンズ108と絞り板130との間(絞り板130の上方)のある点において、集束される。以下、この集束点を、クロスオーバーとも称する。ここで、クロスオーバー(集束点)502に集束された電子ビーム107は、放出角αで広がってビーム調整絞り板130に照射されるものとし、クロスオーバー502から絞り上面までの距離をh、絞り板130の板厚(厚み)をt、絞り孔134の半径をr、ビーム調整絞り板130の上面に照射される電子ビームの最大半径をr’とする。このとき、絞り板130の絞り孔134の側壁部に照射される電子ビーム(絞り孔134の側壁部で散乱する電子ビーム)の電流量Isは、放射角電流密度J、図5中に示す角度βおよびγを用いて、数式1のように表すことができる。
[数1]
Is=Jπ(β-γ2
r、h、tを用いて変形すると、下記の数式2となる。
[数2]
Is=Jπ〔{tan-1(r/h)}-{tan-1(r/(h+t))}
また、絞り板130の上面に照射される電子ビームの電流値Iuは、放射角電流密度J、図5中に示す角度αおよびβを用いて、数式3のように表すことができる。
[数3]
Iu=Jπ(α-β2
r、r´、hを用いて変形すると、下記の数式4となる。
[数4]
Iu=Jπ〔{tan-1(r´/h)}-{tan-1(r/h)}
一方、絞り板130の上面に照射された電子ビームは、絞り板130内部で板厚tに対して指数関数的に減衰し、絞り板130の下面から透過電子として出射する。このとき、絞り板130を透過してくる電子ビームの電流量Itは、絞り板130の上面に照射される電子ビームの電流値Iu、崩壊定数λを用いて、数式5のように表すことができる。なお、崩壊定数λは、絞り板130の材質と電子ビームの加速電圧によって決まるパラメータである。
[数5]
It=Iu×exp(-λt)
上述した数式1~5の関係から、絞り孔134の側壁部で散乱する電子ビームの電流量Isと絞り板130を透過してくる電子ビームの電流量Itとの交点を求めることで、最適な板厚tを決定することができる。なお、数式1~5中に記載される各種のパラメータは、実験及び計算により求められるパラメータである。
図6は、上記関係式を用いて、ビーム調整絞り板130の最適な板厚tを求めたグラフの一例である。図6のグラフは、特定の加速電圧条件を用いた実験から求められるパラメータの一例として、放射角電流密度J=250[A/Sr]、絞り孔134の半径r=10[μm]、ビーム調整絞り板130の上面に照射される電子ビームの中心軸からの半径r’=15[μm]、クロスオーバー502から絞り上面までの距離を100[μm]、崩壊定数λ=0.5としたときの計算結果を示している。図6の計算結果より、透過電子により生じる電流量と散乱電子により生じる電流量との総量が最小となるような絞り板厚を求めることが出来る。本条件における最適な絞り板の板厚は、7 μm程度であることが分かる。
図7に、ビーム調整絞り板に係る一実施態様を示す。
図7に示すビーム調整絞り板ユニット700は、異なる板厚の絞り板を複数枚搭載したXY2軸電動ステージによって構成される。ステージベース703には、Yステージ702が取り付けられている。Yステージ702上には、当該Yステージと直行方向に動作するXステージ501が取り付けられている。Xステージ701上には、絞り板ベース709を介して、3種類の板厚t、t、tから成る3枚の絞り板704、705、706が取り付けられている。絞り板704~706には、各々、孔径が異なる複数個の絞り孔が設けられている。ビーム調整絞り板ユニット700は、Xステージ701およびYステージ702によって、絞り板704~706をX方向707およびY方向708の任意の位置に移動することが可能である。また、絞り板ベース709、Xステージ701、Yステージ702およびステージベース703は、絞り板704~706の各絞り孔を通過した電子ビーム107が試料112に到達するまでの経路を確保するため、絞り板704~706の下側に空間が出来るように構成されている(図示なし)。また、Xステージ701およびYステージ702は、ステージ駆動のためのアクチュエータ(図示なし)と位置モニタのためのエンコーダ(図示なし)によって動作する。
図8に、図7に示すビーム調整絞り板ユニット700を搭載したSEM式測長システム(荷電粒子ビームシステム)800の概略構成を示す。荷電粒子ビームシステム800におけるビーム調整絞り板ユニット700以外の各構成要素は、図1と同様であるため、ここでの詳細説明は省略する。
図9に、図8の荷電粒子ビームシステム800において、絞り板選択テーブルを作成するためのフローチャートを示す。
なお、以下では「コンピュータシステム」を主語(動作主体)として各ステップの処理について説明を行うが、全体制御部102(あるいはプロセッサ)を主語(動作主体)とした説明としてもよいし、コンピュータシステムが実行する「各種プログラム」を主語(動作主体)とした説明としてもよい。プログラムの一部または全ては専用ハードウェアで実現してもよく、また、モジュール化されていても良い。各種プログラムはプログラム配布サーバや記憶メディアによってコンピュータシステムにインストールされてもよい。
コンピュータシステム133は、予め、前述した数式1~5を用いて、使用可能な電子ビーム107の加速電圧範囲における最適な絞り板の板厚を計算する(901)。コンピュータシステム133は、当該計算結果から、加速電圧と各絞り板との最適な対応関係を示す絞り板選択テーブル904を作成し(902)、当該絞り板選択テーブル904を記憶部105に保存する(903)。当該絞り板選択テーブル904は、図4で説明した通り、電子ビームの加速電圧を増加させた場合はビーム調整絞り板の板厚も併せて増加させ、電子ビームの加速電圧を減少させた場合はビーム調整絞り板の板厚も併せて減少させるような対応関係を有する形で作成される。図9に示すフローチャートにおいては、別のコンピュータシステムが、最適な絞り板の板厚を計算するステップ(901)と絞り板選択テーブル904を作成するステップ(902)を実行し、コンピュータシステム133が、当該絞り板選択テーブル904を記憶部105に保存するようにしてもよい(903)。
図21は、絞り板選択テーブルの一例を示す図である。
絞り板選択テーブル904は、3種類の加速電圧25、35、45[kV]に対して各々、t、t、tの最適な板厚の絞り板が対応するように構成されている。例えば、コンピュータシステム133は、入出力部104から45[kV]の加速電圧が入力(設定)された場合、板厚tの絞り板を選択する。
図22は、他の一例の絞り板選択テーブル905を示す図である。
絞り板選択テーブル905は、加速電圧が30[kV]未満(V<30[kV])のときは板厚tの絞り板、加速電圧が30[kV]以上40[kV]未満(30≦V<40[kV])のときは板厚tの絞り板、加速電圧が40[kV]以上(V≧40[kV])のときは板厚tの絞り板が、各々、対応するように構成されている。例えば、コンピュータシステム133は、入出力部104から40[kV]の加速電圧が入力(設定)された場合、板厚tの絞り板を選択する。
図10に、図8の荷電粒子ビームシステム800において、最適な板厚のビーム調整絞り板の決定および絞り孔の位置決め調整を実行するためのフローチャートを示す。コンピュータシステム133は、入出力部104で(例えば、グラフィカルユーザーインターフェースから)設定(変更)された加速電圧に応じて(1001)、記憶部105に保存された絞り板選択テーブルを参照し(1002)、絞り板704~706の中から最適な板厚の絞り板を決定する(1003)。当該100~1003のステップで実行されるプロセスは、別の言い方をすれば、コンピュータシステム133が、加速電圧が現在値に対して増加する方向で変更された場合は板厚の厚いビーム調整絞り板を選択し、加速電圧が現在値に対して減少する方向で変更された場合は板厚の薄いビーム調整絞り板を選択するように制御しているとも言い換えることができる。或いは、コンピュータシステム133は、入力(設定)された加速電圧の増減に応じて、板厚の薄い絞り板から板厚の厚い絞り板を(または、板厚の厚い絞り板から板厚の薄い絞り板を)選択するように制御しているとも言い換えることができる。その後、コンピュータシステム133は、ビーム調整絞り板ユニット700におけるXステージ701、Yステージ702を制御し、決定した絞り板における所望の絞り孔の位置決め調整を行う(1004)。絞り孔の位置決め調整後、光軸ずれが仕様内であるか否かを確認し(1005)、仕様内であればフローを終了し、仕様外であれば絞り孔の位置決めの再調整を行う(1004)。
図11に、ビーム調整絞り板に係る別の実施態様を示す。
図11に示すビーム調整絞り板ユニット1100は、複数個の絞り孔1107を有する円盤状(ディスク状)ビーム調整絞り板1101が、回転軸1102を介してモーター1103と接続された構造となっている。また、モーター1103は、r軸電動ステージ1104に取り付けられている。円盤状ビーム調整絞り板1101は、θ方向1106の所定の回転角度毎に厚さの異なる(例えば、厚さt1、t2、t3)複数の領域を有しており、各々厚さの異なる領域毎に孔径の異なる複数個の絞り孔1107が形成されている。円盤状ビーム調整絞り板1101は、モーター1103によってθ方向1106に回転可能であり、rステージ1104は、ステージ駆動のためのアクチュエータ(図示なし)と位置モニタのためのエンコーダ(図示なし)によってr方向1105に動作する。
図8のSEM式測長システム(荷電粒子ビームシステム)800において、図7に示したビーム調整絞り板ユニット700の代わりに、図11に示すビーム調整絞り板ユニット1100を採用した場合においても、図9で説明したフローチャートに従って、絞り板厚選択テーブル1110を作成することが可能である。同様に、図10で説明したフローチャートに従って、最適な板厚の絞り孔を決定することも可能である(1003)。最適な板厚の絞り孔を決定後、コンピュータシステム133は、ビーム調整絞り板ユニット1100におけるモーター1103、rステージ1104を制御して、光軸1108に対して決定した絞り孔の位置決め調整を行い(1004)、光軸ずれの確認を行う(1005)。
本実施例1によれば、数100V~数10kVの幅広い加速電圧範囲で電子ビームを変化させた場合であっても、加速電圧毎に状態が異なるフレアの影響を抑制し、各加速電圧において高分解能の画像(SEM像)を取得することが可能となる。
従来のビーム調整絞り板を用いた技術においては、電子ビームの加速電圧を数100V~数10kVの幅広い範囲で変化させて高分解能の画像(SEM像)を取得しようとした場合、加速電圧の切り替えに伴って、次のような二つ目の問題も生じていた。
即ち、電子ビームの加速電圧の切り替えに伴い、ビーム調整絞り板に照射される電子ビームの電流量が変化することで、ビーム調整絞り板に温度変化が生じ、絞り板の経時変化(ドリフト)が発生するという問題である。特に電子ビームの加速電圧を大きく変更した場合は、絞り板上へ照射される電子ビームによる熱エネルギーが大きく変化し、絞り板の膨張や収縮が顕著に発生する(例えば、特許文献3に、そのような問題が記載されている)。例えば、加速電圧をΔVだけ上昇させた場合、ビーム調整絞り板において単位時間あたりに発生する熱量ΔQは、絞り板上へ照射される電子ビームの電流量をIとすると、数式6のように表される。
[数6]ΔQ=I・ΔV
この場合、当該熱量ΔQの発生によって、ビーム調整絞り板の温度が上昇して、絞り板が熱膨張する。このようなビーム調整絞り板の経時変化(ドリフト)が生じると、メインビームの状態が変化し、撮像ツール101の光軸が変化する、といった事象が発生するため、装置性能の経時変化や装置間の機差が発生してしまうという問題があった。
上記の課題に対しては、本開示に示した実施例2の態様により、解決することが可能である。
図12に、実施例2に係るSEM式測長システム(荷電粒子ビームシステム)の概略構成を示す。
上述した二つ目の問題を解決するために、図12に示すSEM式測長システム1200は、先に説明した図11のビーム調整絞り板ユニット1100の上方に、新たに電子ビーム107の一部を遮断するビームカット絞りユニット1300を配置している。図12に、ビーム調整絞り板ユニット1100とビームカット絞りユニット1300を示し、図13に、ビームカット絞りユニット1300の構造概略図を示す。
図13に示すビームカット絞りユニット1300は、複数個の絞り孔1307を有する円盤状(ディスク状)ビームカット絞り板1301が、回転軸1302を介してモーター1303と接続された構造となっている。また、モーター1303は、r軸電動ステージ1304に取り付けられている。円盤状ビームカット絞り板1301は、一様な板厚を有し、孔径の異なる複数個の絞り孔1307が形成されている。円盤状ビームカット絞り板1301は、モーター1303によってθ方向1306に回転可能であり、rステージ1304は、ステージ駆動のためのアクチュエータ(図示なし)と位置モニタのためのエンコーダ(図示なし)によってr方向1305に動作する。複数個の絞り孔1307の形状は、各々、円形である。
図14は、ビーム調整絞り板ユニット1100のビーム調整絞り板1101と、ビームカット絞りユニット1300のームカット絞り板1301と、電子ビーム107との関係を示した図である。ここで、第1集束レンズ108で所定のクロスオーバー(集束点)1401に集束された電子ビーム107は、放出角ψで広がって試料112側に進行するものとする。このとき、絞り板1301の絞り孔1307の孔径φ2が、絞り板1101の絞り孔1107の孔径φ3よりも大きくなるように(φ2>φ3となるように)、絞り孔1307と絞り孔1107を組み合わせることによって、電子ビーム107の一部をカットし(遮断し)、絞り板1101の上面に照射される電子ビーム107の電流量を減らすことができる。即ち、ビームカット絞り板1301が無い構成においては、絞り孔1107を通過しない電子ビームは全てビーム調整絞り板1101でカットする必要があるため、電子ビームの加速電圧変更に伴う熱エネルギー変化(電流量の変化)の影響を受け易く、ビーム調整絞り板1101の膨張や収縮が顕著に発生する。これに対し、新たに追加したビームカット絞り板1301によって、ビーム調整絞り板1101の上面に照射されていた電子ビーム(絞り孔1107以外の領域に照射されていた電子ビーム)を極力カット(遮断)することで、電子ビームの加速電圧変更に伴う熱エネルギー変化の影響を極力減らし、ビーム調整絞り板1101の膨張や収縮を低減することが可能となる。
ビームカット絞り板1301では、ビーム調整絞り板1101の絞り孔1107以外の領域(ビーム調整絞り板1101の上面)に照射される電子ビームを極力カットすることで、絞り板1101の上面に照射される電子ビーム107の電流量(熱エネルギー)を極力減らすことができる。使用したいビーム調整絞り板1101の絞り孔1107の孔径φが決まれば、ビームカット絞り板1301の最適な孔径φは、例えば次のように求めることができる。クロスオーバー1402からビームカット絞り板1301上面までの距離をL、クロスオーバー1402からビーム調整絞り板1101上面までの距離をHとすると、最適な孔径φは、数式7のように表すことができる。
[数7]
φ=φ×(L/H)
数式7を用いれば、選択可能な絞り孔1107の孔径φに合わせて、最適となる絞り孔1307の孔径φを予め求め、φとφの最適な組合せをビームカット絞り孔選択テーブル1504として、記憶部105に保存しておくことが可能である。
図15に、図12のSEM式測長システム(荷電粒子ビームシステム)1200において、ビームカット絞り孔選択テーブルを作成するためのフローチャートを示す。コンピュータシステム133は、予め、前述した数式7を用いて、使用可能なビーム調整絞り板1101の絞り孔1107の孔径φに対して、最適なビームカット絞り板1301の絞り孔1307の孔径φを計算する(1501)。コンピュータシステム133は、当該計算結果から、孔径φと孔径φとの最適な対応関係を示すビームカット絞り孔選択テーブル1504を作成し(1502)、当該ビームカット絞り孔選択テーブル1504を記憶部105に保存する(1503)。或いは、別のコンピュータシステムが、最適な絞り孔1307の孔径φを計算するステップ(1501)とビームカット絞り孔選択テーブル1504を作成するステップ(1502)を実行し、コンピュータシステム133が、当該ビームカット絞り孔選択テーブル1504を記憶部105に保存するようにしてもよい(1503)。
図23は、ビームカット絞り孔選択テーブル1504の一例を示す図である。
ビームカット絞り孔選択テーブル1504は、3種類のビーム調整絞り孔1107の孔径A、B、Cに対して、各々、X、Y、Zの最適な孔径のビームカット絞り孔1307が対応するように構成されている。例えば、コンピュータシステム133は、入出力部104から孔径Aのビーム調整絞り孔1107が入力(設定)された場合、孔径Xのビームカット絞り孔1307を選択する。
図16に、図12のSEM式測長システム(荷電粒子ビームシステム)1200において、最適なビームカット絞り孔の孔径の決定および絞り孔の位置決め調整を実行するためのフローチャートを示す。コンピュータシステム133は、入出力部104で設定(選択)されたビーム調整絞り孔の孔径φに対して(1601)、記憶部105に保存されたビームカット絞り孔選択テーブル1504を参照し(1602)、ビームカット絞り板1301に形成された複数個の絞り孔1307の中から最適な孔径φの絞り孔を決定する(1603)。コンピュータシステム133は、ビーム調整絞り板ユニット1100とビームカット絞りユニット1300におけるモーター1103、rステージ1104、モーター1303およびrステージ1304を制御し、設定したビーム調整絞り孔および決定したビームカット絞り孔の位置決め調整を行う(1604)。両絞り孔の位置決め調整後、光軸ずれが仕様内であるか否かを確認し(1605)、仕様内であればフローを終了し、仕様外であれば絞り孔の位置決めの再調整を行う(1604)。
上記開示の実施形態によれば、電子ビームの加速電圧を変更した場合であっても、ビーム調整絞り板の膨張や収縮による経時変化を低減することできるため、装置性能の経時変化や装置間の機差が少ないSEMが実現可能となる。
上述した実施形態のビームカット絞り孔選択テーブル1504においては、設定したビーム調整絞り孔の孔径に対して最適なビームカット絞り孔の孔径が決定されるようなテーブルを、事前に作成しておく例を示した。
ビームカット絞り孔選択テーブルの別な実施形態としては、SEM式測長システム1200の光学条件の設定に対して最適なビームカット絞り孔の孔径が決定されるようなテーブルを、事前に作成しておくことが考えられる。例えば、電子ビーム107の加速電圧の設定(変更)に対して、ビーム調整絞り板1101の上壁面に照射される電子ビームの電流量(熱エネルギー)が常に一定となるようなビームカット絞り孔の孔径を事前に計算によって求め、ビームカット絞り孔選択テーブル1700として記憶部105に保存しておけば、電子ビーム107の加速電圧設定を変更した場合であっても、ビーム調整絞り板1101の膨張や収縮といった変形を低減することが可能となる。ビームカット絞り孔選択テーブル1700は、図15と同様のフローチャートによって作成できる。
図17に、図12のSEM式測長システム(荷電粒子ビームシステム)1200において、絞り板選択テーブル1110およびビームカット絞り孔選択テーブル1700を使用した場合におけるフローチャートを示す。コンピュータシステム133は、入出力部104で設定(変更)された加速電圧に応じて(1701)、記憶部105に保存された絞り板厚選択テーブル1110を参照し(1702)、絞り板1101に複数個形成された絞り孔1107の中から最適な板厚の絞り孔を決定する(1703)。同様に、コンピュータシステム133は、入出力部104で設定(変更)された電子ビームの加速電圧に応じて、記憶部105に保存されたビームカット絞り孔選択テーブル1700を参照し(1704)、ビームカット絞り板1301に形成された複数個の絞り孔1307の中から最適な孔径φの絞り孔を決定する(1705)。その後のステップは、図16と同様なので、ここでの詳細説明は省略する。
本実施例2によれば、電子ビームの加速電圧を変更した(切替えた)場合であっても、ビーム調整絞り板の熱量の変化による経時ドリフトを抑制することが可能となり、装置性能の経時変化や装置間の機差が少ない測長SEMが実現できる。
実施例1に係る開示においては、所望の電子ビームの加速電圧に対し、最適な板厚のビーム調整絞り板を組み合わせて使用することで、ビーム調整絞り板を透過する電子数と、ビーム調整絞り板の絞り孔側壁部で散乱する電子数との総量を、最小化することが出来ることを示した。しかしながら、実施例1に係る開示では、これらの透過電子と散乱電子とを完全に排除することはできないため、フレアによるSEM像の分解能への影響を零にすることできない。
そこで、本実施例においては、図18に示すように、ビーム調整絞り板の下方に、透過電子や散乱電子をカットするためのエネルギーフィルタ1801を配置する。図18のSEM式測長システム(荷電粒子ビームシステム)1800は、図12に示したSEM式測長システムにおいて、エネルギーフィルタ1801を追加した例である。
図19に、ビーム調整絞り板1101とエネルギーフィルタ1801の周辺の詳細図を示す。このエネルギーフィルタ1801は、銅等の非磁性の金属線によって、格子状に形成されている。また、エネルギーフィルタ1801には、電源1903によって任意の電圧を印加することが可能である。ビーム調整絞り板1101における所定の絞り孔1107を透過した電子1901と、ビーム調整絞り板101の絞り孔1107の側壁部で散乱した電子1902とは、透過や散乱の過程で電子自身が持つエネルギーをロスするため、メインビーム(ビーム調整絞り板1101の絞り孔1107を通過したビーム)の電子より低いエネルギーを有する。本実施例においては、このエネルギー差を利用して、メインビームと透過・散乱電子との弁別を行う。即ち、コンピュータシステム133によって、エネルギーフィルタ1801に適切な負電圧を印加し、メインビームの電子より低いエネルギーを有する透過・散乱電子のみを上方へと追い返すように制御を行う。
エネルギーフィルタ1801に印加すべき最適な負電圧は、使用する電子ビームの加速電圧に応じて事前に計算や実験によって求め、加速電圧と印加電圧との最適な組合せをエネルギーフィルタ印加電圧テーブル2000として、予め記憶部105に保存しておくことが可能である。
図24は、エネルギーフィルタ印加電圧テーブル2000の一例を示す図である。
エネルギーフィルタ印加電圧テーブル2000は、3種類の加速電圧25、35、45[kV]に対して、各々、V、V、Vの最適なエネルギーフィルタ印加電圧が対応するように構成されている。例えば、コンピュータシステム133は、入出力部104から45[kV]の加速電圧が入力(設定)された場合、板厚Vのエネルギーフィルタ印加電圧を選択する。
図20に、図18のSEM式測長システム(荷電粒子ビームシステム)1800において、絞り板選択テーブル1110、ビームカット絞り孔選択テーブル1700およびエネルギーフィルタ印加電圧テーブル2000を使用した場合におけるフローチャートを示す。ステップ1701~1707のフローは、図18と同様であるため、ここでの詳細説明は省略する。1701~1706のステップを実行後、光軸ずれが仕様内であった場合は(1707)、入出力部104で設定(変更)された加速電圧に応じて、記憶部105に保存されたエネルギーフィルタ印加電圧テーブル2000を参照し(2001)、透過・散乱電子のみを弁別する最適な印加電圧を決定する(2002)。
本実施例3によれば、メインビームと透過・散乱電子を弁別することでフレアの影響を更に抑制することが可能となるため、数100V~数10kVの幅広い加速電圧範囲で電子ビームを変化させた場合であっても、各加速電圧における画像(SEM像)の更なる高分解能化が実現できる。また、本実施例3によれば、ビーム調整絞り板の経時ドリフトを抑制することが可能となるため、装置性能の経時変化や装置間の機差が少ない測長SEMが実現可能である。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
100…SEM式測長システム(荷電粒子ビームシステム)、101…ビーム照射システム(撮像ツール)、102…全体制御部、103…信号処理部、104…入出力部、105…記憶部、106…電子銃、107…電子ビーム、108…第1集束レンズ、109…第2集束レンズ、110…偏向器、111…対物レンズ、112…試料、113…ステージ、114…放出電子、115…偏向器、116…検出絞り、119…検出器、120…、121…検出器、122…エネルギーフィルタ、123…偏向器、130…ビーム調整絞り板、131…ブランキング偏向器、132…ファラデーカップ、133…コンピュータシステム

Claims (10)

  1. 荷電粒子源から放出された荷電粒子ビームの加速電圧を制御するコンピュータシステムを備えた荷電粒子ビームシステムであって、
    前記荷電粒子ビームに作用する絞りであって、厚さが異なる第1及び第2の絞りを含む第1の絞り群と、
    前記第1の絞り群における絞りを切り替える第1の絞り切り替え機構と、を備え、
    前記コンピュータシステムは、前記加速電圧の増減に応じて前記第1の絞りから前記第2の絞りに切り替えるように、前記第1の絞り切り替え機構を制御すること特徴とする荷電粒子ビームシステム。
  2. 請求項1において、
    前記第1の絞り群は、第1の円盤状絞り板に形成されること特徴とする荷電粒子ビームシステム。
  3. 請求項2において、
    前記第1の絞り切り替え機構は、前記第1の円盤状絞り板が回転するように構成されること特徴とする荷電粒子ビームシステム。
  4. 請求項2において、
    前記第1の円盤状絞り板は、同一の金属材料で形成されること特徴とする荷電粒子ビームシステム。
  5. 請求項1において、
    前記コンピュータシステムは、前記第1及び第2の絞りと前記加速電圧との対応関係を示す第1の関係情報を予め求め、当該第1の関係情報と前記加速電圧の増減に基づいて、前記第1の絞りから前記第2の絞りに切り替えるように、前記第1の絞り切り替え機構を制御すること特徴とする荷電粒子ビームシステム。
  6. 請求項1において、
    前記コンピュータシステムは、グラフィカルユーザーインターフェースから入力された前記加速電圧に基づいて、前記第1の絞り切り替え機構を制御すること特徴とする荷電粒子ビームシステム。
  7. 請求項1において、
    前記荷電粒子ビームに作用する絞りであって、孔径が異なる第3及び第4の絞りを含む第2の絞り群と、
    前記第2の絞り群における絞りを切り替える第2の絞り切り替え機構と、を備え、
    前記コンピュータシステムは、前記第1の絞りまたは前記第2の絞りの孔径に応じて、前記第2の絞り切り替え機構を制御すること特徴とする荷電粒子ビームシステム。
  8. 請求項7において、
    前記コンピュータシステムは、前記第1の絞り又は前記第2の絞りの孔径と、前記第3及び第4の絞りとの対応関係を示す第2の関係情報を予め求め、当該第2の関係情報と前記第1の絞りまたは前記第2の絞りの孔径に基づいて、前記第3の絞りから前記第4の絞りに切り替えるように、前記第2の絞り切り替え機構を制御すること特徴とする荷電粒子ビームシステム。
  9. 請求項1において、
    試料と前記第1の絞り群との間に配置され、前記荷電粒子ビームに作用するエネルギーフィルタを備え、
    前記コンピュータシステムは、前記第1の絞りまたは前記第2の絞りの孔径に応じて、前記エネルギーフィルタに印加する印加電圧を制御すること特徴とする荷電粒子ビームシステム。
  10. 請求項9において、
    前記コンピュータシステムは、前記第1の絞り又は前記第2の絞りの孔径と、前記印加電圧との対応関係を示す第3の関係情報を予め求め、当該第3の関係情報と前記第1の絞りまたは前記第2の絞りの孔径に基づいて、前記エネルギーフィルタに印加する印加電圧を制御すること特徴とする荷電粒子ビームシステム。
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