JP7181426B2 - 慢性咳嗽治療用の[((1r,2s,5r)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル - Google Patents

慢性咳嗽治療用の[((1r,2s,5r)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2019年6月10日に出願された英国(GB)特許出願番号第1908219.7号に関するものであり、その内容は参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
本発明は、一般に療法の分野に関する。より具体的には、本発明は、療法によるヒトまたは動物体の治療方法において使用するための、より具体的には、例えば本明細書に記載の難治性慢性咳嗽(RCC)及び特発性慢性咳嗽(ICC)を含む、慢性咳嗽(CC)の治療方法において使用するための、本明細書に記載の化合物、[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル(本明細書において「AX-8」または「Gly-O-iPr」とも称される)、または本明細書に記載のその薬学的に許容される塩、水和物、または溶媒和物に関する。
多くの刊行物は、本発明及び本発明が属する従来技術の水準をより完全に記載及び開示するために本明細書において引用される。これらの刊行物の各々は、各々の刊行物が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同じ程度に、参照によりその全体が本開示に組み込まれる。
以下の請求項を含む本明細書を通して、文脈が特別に要求しない限り、「含む(comprise)」という単語、及び変形(「含む(comprises)」及び「含むこと(including)」等は、明示された整数値もしくはステップ、または整数値もしくはステップの群を包含するが、他の整数値もしくはステップ、または整数値もしくはステップの群を除外しないことを示唆すると理解される。
本明細書及び添付の請求項において使用される時、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明確にそうでないと示さない限り、複数の指示物を包含することに留意されたい。したがって、例えば、「医薬担体」への言及は、2つ以上のかかる担体の混合物等を含む。
本明細書では、範囲は、「概数(about)」である1つの特定の値から、及び/または「概数(about)」である別の特定の値までのものとして表すことが多い。そのような範囲が表現される時、別の実施形態は、1つの特定の値から及び/または他の特定の値までを含む。同様に、値が近似として表現される場合に、先行詞「約」の使用によって、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されるだろう。
本開示は、本発明を理解するのに有用であり得る情報を含む。本明細書で提供される情報のいずれかが、先行技術であること、もしくは現在請求されている発明に関連していること、または具体的もしくは暗示的に参照された刊行物が先行技術であることを認めるものではない。
咳嗽
咳嗽は、突然、繰り返し発生することが多い防御反射であり、液体、刺激物、異物、微生物から広い気道を清澄にするのに役立つ。咳嗽反射は、吸入、閉鎖した声門に対する強制的な呼出、及び声門が開いた後の肺からの激しい空気放出の3つのフェーズで構成され、通常は特徴的な音が伴う。
咳嗽は咽頭から肺までのあらゆる場所の刺激に対する非特異的な反応である。咳嗽反射は、気道における機械的もしくは炎症性の変化または刺激物によって引き起こされる。
咳嗽反射
咳嗽は、以下によって構成される複雑な反射弓(例えば、Polverino et al.,2012、Canning et al.,2014を参照)の刺激によって生じる。
●咳嗽受容体を発現する感覚末端:胸郭外の位置(例えば、鼻、中咽頭、喉頭、気管上部)、胸郭内の位置(例えば、気管下部及び広い中心気管支)、または他の位置(例えば、鼓膜、横隔膜、食道、胃)を支配する感覚求心性繊維末端。
●求心性経路:主に迷走神経(脳神経X)、ならびに三叉神経(脳神経V)及び舌咽神経(脳神経IX)の感覚神経線維。
●中枢経路(咳嗽中枢):脳幹に位置する咳嗽の中枢的な調整/統合領域(咳嗽ネットワークの中核は延髄の腹側領域に位置する)。
●遠心経路:咳嗽中枢からの刺激は、迷走神経、横隔神経、脊髄運動神経を介して横隔膜、腹壁、及び筋肉に伝達される。
咳嗽の有病率
咳嗽は、成人及び小児が一般的な開業医を受診する最も一般的な理由の1つである。例えば、常に英国(UK)人口の20%が厄介な咳嗽を有し、患者は、年間7,500万回分の市販(OTC)鎮咳薬を摂取する(例えば、Birring et al.,2003を参照されたい)。咳嗽の重症度を評価するある研究では、英国では一般集団の7%が、少なくとも週単位で日常生活の活動に支障をきたすのに十分な咳嗽を抱えていることがわかった(例えば、Ford et al.,2006を参照されたい)。
咳嗽の分類
咳嗽は次のように分類することができる。(a)3週間未満で持続し、自然に落ち着く急性咳嗽、(b)3~8週間の中期で持続する、亜急性咳嗽、及び(c)さらに長い期間(典型的には、成人で8週間超、小児で4週間超)持続する慢性咳嗽(CC)。
急性咳嗽は、その原因に応じて分類することもできる、感染性(感染によって引き起こされる)または非感染性である。急性咳嗽の感染性原因には、ウイルス性上気道感染症(一般的な風邪)、COVID-19疾患、副鼻腔感染症、急性気管支炎、肺炎、百日咳が挙げられる。急性咳嗽の非感染性原因には、化学物質への曝露、刺激物への曝露、環境アレルギーが挙げられる。
慢性咳嗽(CC)は臨床において一般的であり、生活の質の低下に関連している。何ヶ月も、時には何年も持続することがあり、厄介で治療が困難な症状である。
神経障害としての慢性咳嗽(CC)
CCが神経症状の状態を反映しており、基本的な防御的咳嗽反射が高感度に変化しているという広範な臨床認識がある。したがって、通常は咳嗽を引き起こすのに十分でない低レベルの刺激(例えば、周囲温度の変化、深呼吸、笑い、電話での会話、匂いまたはエアゾールへの曝露など、アロトゥシア(allotussia)と称される概念)によって、またより少量の既知の咳嗽誘発刺激(例えば、カプサイシン、クエン酸など、ハイパートゥシア(hypertussia)と称される概念)によって咳嗽が引き起こされる。(例えば、Chung et al.,2013、Mazzone et al.,2018、Gibson et al,2015を参照されたい)。ほとんどのCC患者において、この過敏症は、持続的な咳嗽衝動及び咽喉刺激、喉がむずむずする、または喉のかゆみなどの異常な感覚とも関連している(例えば、Song et al.,2017、Gibson et al.,2015を参照されたい)。この過敏症の運動面(自発的咳嗽)と感覚面での影響は、CC患者にとって苦痛となるため、治療によって対処する必要がある。
この概念は、過敏性咳症候群(CHS)または咳反射過敏症(cough reflex hypersensitivity:CRH)と称されることが多い。(例えば、Chung,2014、Birring,2017、Song et al.,2017、Morice et al.,2011、Ryan et al.,2018、Mazzone et al.,2018を参照されたい)。従来の見解では、炎症誘発性障害または神経系傷害(神経炎症)がCHSにつながり、それによって(気道及び脳内の)神経経路が、感染ならびに物理的及び化学的刺激物質を含む、異種混合な範囲の因子の影響を受けることになると考えられている(例えば、Mazzone et al.,2018、Chung et al.,2013を参照されたい)。
神経障害性疼痛との類似(例えば、Chung et al.,2013を参照されたい)により、CHSは、末梢感作、中枢感作(咳嗽中枢)、及び/または皮質及び皮質下の適応不良塑性(maladaptive plasticity)に起因し得る。
感覚神経障害性咳嗽(sensory neuropathic cough)という用語は、咳嗽ガイドラインで認識されることが多くなった。これは喉頭感覚異常及び喉頭過敏症候群(laryngeal hypersensitivity syndrome)(LHS)ならびに過敏性咳症候群(CHS)と重複した部分がある(例えば、Gibson et al.,2015、Ryan et al.,2018を参照されたい)。喉頭過敏症候群(LHS)という用語は、感覚神経障害性咳嗽と互換的に使用されることが多い。
慢性咳嗽(CC)の種類
患者の一部は、慢性咳嗽、すなわち、診断された疾患の症状としての慢性咳嗽を訴えている。慢性咳嗽の一般的な原因は、例えば、喘息、好酸球性気管支炎、後鼻漏症(PNDS)、胃食道逆流症(GORD)、気管支拡張症慢性閉塞性肺疾患(COPD)、及び特発性肺線維症(IPF)である。
しかしながら、多くの場合、療法の広範囲にわたる評定及び試行にもかかわらず、慢性咳嗽は、慢性咳嗽患者の治療について、原因不明のままであり、かつ難治性である(二次医療で見られた患者の最大46%、例えば、Pavord et al.,2008、McGarvey,2005を参照されたい)。
承認されているガイドラインに従って評価及び治療したにもかかわらず持続する慢性咳嗽は、難治性慢性咳嗽(RCC)(時に慢性難治性咳嗽とも呼ばれる)、つまり、随伴症状の治療に対して難治性である慢性咳嗽と称されることが多い。原因が特定されていない慢性咳嗽は、原因不明または特発性慢性咳嗽(ICC)と呼ばれることが多い。難治性慢性咳嗽は、例えば、慢性咳嗽の原因がもはや元々の随伴症状ではなく、他の未特定症状(例えば、神経症状)であることが多い場合、特発性慢性咳嗽とも呼ばれることがある(例えば、Gibson et al.,2015、Ryan et al.,2018を参照されたい)。
例えば、慢性咳嗽を患っている患者は、喘息と診断され、喘息の治療を受ける。喘息症状のうちのほとんどは改善されるが、慢性咳嗽は改善されない。そこで初診時に(喘息による)慢性咳嗽を訴えていたと考えられていた患者は、難治性慢性咳嗽(随伴症状、喘息の治療が難治性であるため)または特発性慢性咳嗽(現在、持続性慢性咳嗽の原因となる随伴症状は不明または未知であるため)と診断されている。
原因不明の慢性咳嗽患者は、吸入コルチコステロイドまたはプロトンポンプ阻害剤などの特定の治療を受けることが多いため、RCCを有すると分類することもできる。
したがって、文献及び臨床において、難治性慢性咳嗽(RCC)、慢性難治性咳嗽、原因不明の慢性咳嗽、及び特発性慢性咳嗽(ICC)という用語は、互換的に(場合によっては矛盾して及び/または誤って)使用されることが多い。
咳嗽の治療
ほとんどの場合、咳嗽は根本的な原因を治療することによって治療される。しかしながら、場合によっては(根本的な原因が特定できない場合、または容易にまたは迅速に治療できない場合など)、咳嗽の対症療法が推奨される。
特に睡眠が乱れている場合は、咳止めが役に立つ場合がある。しかしながら、これらは痰の滞留を引き起こす可能性があり、慢性気管支炎または気管支拡張症の患者に有害である場合がある。
ある程度咳嗽を抑制する可能性のある様々な薬物が存在するが、咳嗽反射の停止は非常に困難である。ほとんどの鎮咳薬の有効性に関する証拠が不足しており、その多く、特に麻薬は副作用を誘発する。さらに、麻薬性咳止め薬に関連する乱用及び過剰摂取は、特に米国において公衆衛生上の重大な懸念事項である。英国胸部疾患学会のガイドラインでは以下のように述べられている。「許容できる治癒率で咳嗽反応自体を制御する有効な治療法はない」(例えば、Morice et al.,2006を参照されたい)。
コデイン(麻薬)は有効であり得るが、依存を引き起こす可能性がある。デキストロメトルファン(オピオイド誘導体、非麻薬性)及びホルコジン(ホモコデインとしても知られる)は、副作用が少ない。モルヒネまたはより高い用量のジアモルフィンが、緩和ケアにおいて重度で苦痛を伴う咳嗽のために使用されることがある。
ベンゾナテート(テッサロン(Tessalong)、テサロンパール(Tessalon Perles)、及びゾナトス(Zonatuss)の名称で販売されている)は、現在、咳止め用の唯一の非麻薬性処方薬である。
鎮静抗ヒスタミン薬は、一般に販売されている多くの化合物咳止め製剤の咳止め成分として使用されている。
粘液溶解剤(例えば、カルボシステインまたはエルドステイン)は、痰の粘度を低下させることによって、去痰を促進するために処方される。COPD及び慢性的な痰の出る咳嗽を有する一部の患者に対し、粘液溶解剤は増悪を軽減することができる。粘液溶解療法は、4週間の試行後に効果がない場合は中止する必要がある。体位ドレナージを伴う蒸気吸入が、気管支拡張症及び一部の慢性気管支炎に有効である。
粘滑咳嗽製剤(Demulcent cough preparations)には、シロップまたはグリセロールなどの鎮静物質が含まれており、乾燥刺激性咳嗽を緩和するために使用されることがある。単リンクタスなどの製剤は、無害で安価であるという利点がある。
去痰剤は気管支分泌物の排出を促進すると主張されているが、任意の薬剤が去痰を特異的に促進することができるという証拠はない。
慢性咳嗽の治療
現時点では、診断された疾患の症状であっても、疾患そのものであっても、慢性咳嗽(CC)の専門的な治療は行われていない。
CC患者の中で、RCC患者が最もニーズの高い患者である。RCCを有する患者には、いくつかの治療選択肢しか存在しない(例えば、Gibson et al.,2015、Ryan et al.,2018を参照されたい)。そのため、製薬会社は現在、RCC患者に焦点を当てている。さらに、RCCを有する患者は、咳嗽頻度が高く、経時的に安定しているため、CC用鎮咳剤を研究するための有用なモデルとなり、これにより、かかる臨床研究が、治療効果を実証するのに強力になる。
モルヒネ(オピオイド)、アミトリプチリン(三環式抗うつ薬及びセロトニン再取り込み阻害剤)、ガバペンチン及びプレガバリン(中枢神経系で発現されるいくつかの電位依存性カルシウムチャネルの2つの遮断薬)などの中枢作用神経調節物質は、RCCの治療に有用であり得る(例えば、Gibson et al.,2015、Ryan et al.,2018を参照されたい)。
言語療法技術はまた、RCCの治療に対する利益を示している(例えば、Gibson et al.,2015、Ryan et al.,2018を参照されたい)。
患者と臨床医は、急性咳嗽に対して利用可能な市販(OTC)薬(デキストロメトルファン、コデイン、及びメントールなど)を頻繁に試してみるが、ほとんど効果はない。
近年または現在開発中のRCC用の治療は、α7-nACh、P2X3、NK1、TRPV1、TRPV4、及びTRPA1受容体などの、急性咳嗽用にはこれまでターゲットとされなかった新規の生物学的ターゲットを有する(例えば、Rian et al.,2018、Abdulqawi et al.,2015、Belvisi et al.,2017、Khalid et al.,2014、Smith et al.,2017a、Smith et al.,2017b、Smith et al.,2020、EudraCT番号2013-002728-17を参照されたい)。
経験的に、急性咳嗽の治療はRCCには効果がないことが多く、その逆もまた同様である。
治療が急性咳嗽に有効であることが知られていても、慢性咳嗽の治療にも有効であることは(かなりの確実性をもって)予測できない。例えば、2つのTRPV1アンタゴニスト(XEN-D0501及びSB-705498)は、カプサイシンによって誘発される急性咳嗽を阻害する(例えば、Belvisi et al.,2017、Khalid et al.,2014を参照されたい)が、RCC患者における咳嗽頻度は低下させない。逆に、P2X3アンタゴニストであるMK-7264(AF-219及びゲーファピキサント(Gefapixant)としても知られる)は、RCC患者の咳嗽頻度を低下させるのに効率的であるが、RCC患者または健康な対象の、咳嗽(tussive)刺激カプサイシン(刺激剤及びTRPV1アゴニスト)によって誘発される急性咳嗽に対しては有効ではない(例えば、Abdulqawi et al.,2015、Smith et al.,2016、Morice et al.,2017を参照されたい)。
現在の状況では、非臨床研究において、AX-8が刺激剤(すなわち、カプサイシン、TRPV1アゴニスト)によって誘発される咳嗽を阻害することが実証されている。しかしながら、当業者は、現況技術に基づき、AX-8が慢性咳嗽(CC)、ましてや難治性慢性咳嗽(RCC)の治療にも有効であることを(かなりの確実性をもって)予測することはできなかった。
咳嗽についての動物モデル
急性または慢性咳嗽に関連するヒト疾患の完璧な動物モデルはない。既存のモデルは、これらのヒトの状態に近似しているが、例えば、GORD、喘息、COPD、及び様々な気道感染症の特性は、確実に再現されていない。発病中のヒトの咳嗽は自発的であるため、自発的咳嗽が発生した動物を研究するのが理想的であろう。しかし、基本的にはこのようなことは行われず、動物の咳嗽は通常、人為的に与えられた咳嗽刺激に対する反応で研究される。(例えば、Canning et al.,2008を参照されたい)。
COPDについては、早朝に自発的咳嗽(慢性咳嗽ではない)が増加するフェレットの1つのモデルしかなく、他のすべてのモデルは自発的咳嗽を伴わない(例えば、Chow et al.,2017を参照)。増悪した咳嗽の多様な動物モデルが開発されているが、いずれもRCCの特徴を再現していない(例えば、Bolser,2004、Xu et al.,2016を参照されたい)。
さらに、自発的咳嗽及び誘発咳嗽の生理学及び薬理学は異なる可能性が高い。したがって、
●CCを引き起こし維持する分子メカニズムの理解が不十分であり、これがCCに対する鎮咳用医薬品の入手可能性が限られている理由である。
●CC治療用の候補薬物は、動物モデルを用いて検証することができない。
●現在利用可能な動物モデルからの結果(例えば、モルモットのカプサイシンまたはクエン酸吸入によって誘発される咳嗽)は、CCの有効性に置き換えることができない。
慢性咳嗽における咳嗽用の動物モデルの予測値は非常に限定的であるため、当業者は、特定の治療が実際に慢性咳嗽、ましてやRCCの治療に有用であることを(かなりの確実性をもって)予測することが不可能である。この状況は、動物モデルにおける研究が肯定的な結果をもたらした時の、RCC治療のためのプルーフ・オブ・コンセプト試験の失敗によって示されている(例えば、Belvisi et al.,2017、Khalid et al.,2014、Smith et al.,2017c、Smith et al.,2020、Ludbrook et al.,2019、Mukhopadhyay et al.,2016、Bonvini et al.,2016、EudraCT番号2013-002728-17を参照されたい)。
したがって、現在のヒト臨床試験が完了し(成功したことが判明した)、(臨床試験データを介して)AX-8がRCC/ICC患者のCC治療に実際に有用であることが実証されるまで、その結果は(かなりの確実性をもって)予測できなかった。
既知の化合物AX-8/Gly-O-iPr
化合物である[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル(本明細書では「AX-8」または「Gly-O-iPr」とも称される)は、Wei et al.,2012に記載されている。例えば、文献中6ページを参照されたい。
「咳嗽」治療のための化合物の使用もまた、本明細書に記載されている。例えば、文献中34ページの請求項53を参照されたい。
試験4(文献中14ページを参照)では、ネコのトイレの粉塵に対する感作に関連した、及びイネ科の花粉に対する季節性のアレルギーで増悪した患者の乾燥による喉のイガイガ感及び咳嗽の治療について記載されている。
試験5(文献中14~15ページを参照されたい)では、唐辛子をスパイスとして大量に用いた魚を食すことによって引き起こされた患者の激しい咳嗽の治療について記載されている。
試験6(文献中15ページ)では、樹木花粉に対する季節性アレルギーによって増悪した成人発症喘息を有する患者における、咳嗽治療について記載されている。
前述の研究における咳嗽は、刺激物及びアレルゲンによって引き起こされた。
Wei et al.,2012のどこにも慢性咳嗽(CC)の治療についての指導または示唆はなく、難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)については言うまでもない。
本発明の一態様は、療法によるヒトまたは動物の体の治療方法において使用するための、より具体的には、例えば、難治性慢性咳嗽(RCC)及び特発性慢性咳嗽(ICC)を含む、本明細書に記載の慢性咳嗽(CC)の治療方法において使用するための、本明細書に記載の[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル(本明細書において「AX-8」もしくは「Gly-O-iPr」とも称される)である化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、または溶媒和物に関する。
本発明の別の態様は、治療のための、より具体的には、例えば、難治性慢性咳嗽(RCC)及び特発性慢性咳嗽(ICC)を含む、本明細書に記載の慢性咳嗽(CC)の治療のための薬剤の製造における、本明細書に記載の[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル(本明細書において「AX-8」もしくは「Gly-O-iPr」とも称される)である化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、または溶媒和物の使用に関する。
本発明の別の態様は、治療方法、より具体的には、例えば、難治性慢性咳嗽(RCC)及び特発性慢性咳嗽(ICC)を含む、本明細書に記載の慢性咳嗽(CC)の治療方法であって、治療を必要とする患者に、本明細書に記載の治療有効量の[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル(本明細書において「AX-8」もしくは「Gly-O-iPr」とも称される)である化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、または溶媒和物を、好ましくは薬学的組成物の形態で投与することを含む、治療方法に関する。
本発明の別の態様は、(a)好ましくは薬学的組成物として、かつ好適な容器内に、及び/または好適な包装で提供される、本明細書に記載の[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル(本明細書において「AX-8」もしくは「Gly-O-iPr」とも称される)である化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、または溶媒和物と、(b)その使用説明書、例えば、難治性慢性咳嗽(RCC)及び特発性慢性咳嗽(ICC)を含む、本明細書に記載の慢性咳嗽(CC)の治療用化合物の投与方法について記載された説明書と、を含むキットに関する。
当業者には理解されるように、本発明の一態様の特徴及び好ましい実施形態はまた、本発明の他の態様にも関する。
ベースライン(白丸)及び治療(黒丸)についての、咳嗽頻度中央値(咳嗽/時間)対治療後時間(時間)のグラフである。 ベースライン及び治療の両方について、12人の患者それぞれの覚醒時平均咳嗽頻度(咳嗽/時間)を示すグラフである。 ベースライン及び治療の両方について、12人の患者それぞれの睡眠時平均咳嗽頻度(咳嗽/時間)を示すグラフである。 治療後24時間及び同等のベースライン期間における、12人の患者それぞれの平均咳嗽頻度(咳嗽/時間)を示すグラフである。 治療後8時間及び同等のベースライン期間における、12人の患者それぞれの咳嗽頻度中央値(咳嗽/時間)を示すグラフである。 治療後4時間及び同等のベースライン期間における、12人の患者それぞれの咳嗽頻度中央値(咳嗽/時間)を示すグラフである。 ベースライン(下向き白三角形)及び治療(下向き黒三角形)についての、咳嗽重症度中央値(VAS)(mm)対治療後時間(時間)のグラフである。 ベースライン(白菱形)及び治療(黒菱形)についての、咳嗽衝動中央値(VAS)(mm)対治療後時間(時間)のグラフである。 ベースライン(白正方形)及び治療(黒正方形)についての、咽喉刺激中央値(VAS)(mm)対治療後時間(時間)のグラフである。 咽喉冷却中央値(VAS)(mm)対治療後時間(時間)のグラフである(上向き黒三角形)。 左側に、咳嗽衝動中央値(VAS)(mm)(黒菱形)、咽喉刺激中央値(VAS)(mm)(黒正方形)、及び咽喉冷却中央値(VAS)(mm)(上向き黒三角形)ならびに右側に、咳嗽頻度中央値(咳嗽/時間)(ベースライン(白丸)及び治療後(黒丸))対治療後時間(時間)を示す、複合グラフである。 FLIPR(登録商標)アッセイによって得られた、AX-8によるヒトTRPM8の活性化を表すグラフである。用量反応曲線は、AX-8濃度(μM、対数スケール)によって、相対発光量で表されるカルシウムシグナル(曲線下面積-AUC、平均±標準誤差、n=8で算出)として表される。AX-8の半数反応濃度(EC50)は、0.39μMであることが判明した。 FLIPR(登録商標)アッセイによって得られた、メントールによるヒトTRPM8の活性化を表すグラフである。用量反応曲線は、メントール濃度(μM、対数スケール)によって、相対発光量で表されるカルシウムシグナル(曲線下面積-AUC、平均±標準誤差、n=8で算出)として表される。メントールの半数反応濃度(EC50)は、2.29μMであることが判明した。 AX-8及びそれらの参照アゴニストによるヒトTRPA1及びヒトTRPV1の比較活性(comparative activation)を表すグラフである。hTRPA1について、マスタード油(参照TRPA1アゴニスト)及びAX-8の用量反応曲線は、マスタード油最大反応(平均±標準偏差、n=4)のアゴニスト濃度(μM、対数スケール)に対する百分率として表される。データは、AX-8は、濃度が100μM以下では、hTRPA1に有意なアゴニスト活性を有さないことを示す。hTRPV1について、カプサイシン(参照TRPV1アゴニスト)及びAX-8の用量反応曲線は、カプサイシン最大反応(平均±標準偏差、n=4)のアゴニスト濃度(μM、対数スケール)に対する百分率として表される。データは、AX-8は、濃度が100μM以下では、hTRPV1にアゴニスト活性を有さないことを示す。 モルモット迷走神経外移植片におけるAX-8によるカプサイシン誘導反応の阻害(%)対AX-8の濃度(μM)を表す棒グラフである。モルモット迷走神経におけるカプサイシン誘導反応は、AX-8(n=3)によって用量依存的に遮断される。 モルモット迷走神経外移植片におけるAX-8(1μM)によるカプサイシン誘導反応の阻害(%)を、選択的TRPM8アンタゴニストPF-05105679(PF、10μM)の存在または不在下で表す棒グラフである。2つの連続した10分間の培養の異なる4条件を以下のように実施した。ビヒクル(0.1%DMSO)/ビヒクル、PF/ビヒクル、ビヒクル/AX-8及びPF/AX-8(n=4)。刺激性カプサイシンによってモルモット迷走神経外移植片で誘導された反応阻害は、選択的TRPM8阻害剤PF-05105679によって遮断され、AX-8の効果がTRPM8依存性であることが実証された。 覚醒モルモットにおけるカプサイシン誘発性咳嗽に対するAX-8の効果を表す棒グラフである。ビヒクルは、モルモットにおいて、カプサイシン誘発性咳嗽に有意には影響しなかった(ベースライン(V)=24.8±2.1咳嗽/10分と、ビヒクル=21.4±2.4咳嗽/10分)。中咽頭領域に噴霧した5mg/mLのAX-8溶液75μL(すなわち、0.375mg/動物)は、モルモットのカプサイシン誘発性咳嗽を、25.0±2.0/10分の咳嗽(ベースライン(T))から9.0±2.0/10分の咳嗽(**p<0.01)まで阻害した。動物の個体数は1群当たり10匹(n=10)である。
化合物
本発明は、療法によるヒトまたは動物の体の治療方法において使用するための、より具体的には、例えば、難治性慢性咳嗽(RCC)及び特発性慢性咳嗽(ICC)を含む、本明細書に記載の慢性咳嗽(CC)の治療方法において使用するための、本明細書に記載の[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル(本明細書において「AX-8」または「Gly-O-iPr」とも称され、以下に示す)である化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、または溶媒和物に関する。
Figure 0007181426000001
この化合物は(-)-メントールと構造的に関連しており、(-)-メントールに見られるものと同じ配置で同じキラル中心を有する。
Figure 0007181426000002
構造上、この化合物は、(-)-メントールに対応するカルボン酸のグリシンアミドのイソプロピルエステルとして便宜的に記載され得る。
便宜的に、p-メンタンカルボキサミドとして記載してもよい。
一実施形態において、この化合物は、[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物である。
一実施形態において、この化合物は、[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル、またはその薬学的に許容される塩である。
一実施形態において、この化合物は、[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステルである。
使用
本明細書に記載の化合物、[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル(本明細書において「AX-8」または「Gly-O-iPr」とも称される)は、例えば、難治性慢性咳嗽(RCC)及び特発性慢性咳嗽(ICC)を含む、本明細書に記載の慢性咳嗽(CC)の治療において有用である。
療法における使用
本発明の一態様は、治療によるヒトまたは動物の体の治療方法において使用するための、より具体的には、例えば、難治性慢性咳嗽(RCC)及び特発性慢性咳嗽(ICC)を含む、本明細書に記載の慢性咳嗽(CC)の治療方法において使用するための、本明細書に記載の[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル(本明細書において「AX-8」もしくは「Gly-O-iPr」とも称される)である化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、または溶媒和物に関する。
本発明の一態様は、療法によるヒトまたは動物の体の治療方法において使用するための、より具体的には、例えば、難治性慢性咳嗽(RCC)及び特発性慢性咳嗽(ICC)を含む、本明細書に記載の慢性咳嗽(CC)の治療方法において使用するための、本明細書に記載の1種以上(例えば、1、2、3、4種)の追加の治療剤と組み合わせた、本明細書に記載の[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル(本明細書において「AX-8」もしくは「Gly-O-iPr」とも称される)である化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、または溶媒和物に関する。
薬剤製造における使用
本発明の一態様は、治療のための、より具体的には、例えば、難治性慢性咳嗽(RCC)及び特発性慢性咳嗽(ICC)を含む、本明細書に記載の慢性咳嗽(CC)の治療のための薬剤の製造における、本明細書に記載の[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル(本明細書において「AX-8」もしくは「Gly-O-iPr」とも称される)である化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、または溶媒和物の使用に関する。
一実施形態において、この薬剤はこの化合物を含む。
本発明の一態様は、治療のための、より具体的には、例えば、難治性慢性咳嗽(RCC)及び特発性慢性咳嗽(ICC)を含む、本明細書に記載の慢性咳嗽(CC)の治療のための薬剤製造における、本明細書に記載の[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル(本明細書において「AX-8」もしくは「Gly-O-iPr」とも称される)である化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、または溶媒和物、及び本明細書に記載の1種以上(例えば、1、2、3、4種)の追加の治療剤の使用に関する、
一実施形態において、この薬剤は、化合物及び1種以上(例えば、1、2、3、4種)の追加の治療剤を含む。
治療方法
本発明の一態様は、治療方法、より具体的には、例えば、難治性慢性咳嗽(RCC)及び特発性慢性咳嗽(ICC)を含む、本明細書に記載の慢性咳嗽(CC)の治療方法であって、治療を必要とする患者に、本明細書に記載の治療有効量の[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル(本明細書において「AX-8」もしくは「Gly-O-iPr」とも称される)である化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、または溶媒和物を、好ましくは薬学的組成物の形態で投与することを含む、治療方法に関する。
本発明の一態様は、治療方法、より具体的には、例えば、難治性慢性咳嗽(RCC)及び特発性慢性咳嗽(ICC)を含む、本明細書に記載の慢性咳嗽(CC)の治療方法であって、治療を必要とする患者に、本明細書に記載の治療有効量の[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル(本明細書において「AX-8」もしくは「Gly-O-iPr」とも称される)である化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、または溶媒和物を、好ましくは薬学的組成物の形態で投与すること及び1種以上(例えば、1、2、3、4種)の追加の治療剤を好ましくは薬学的組成物の形態で投与することを含む、治療方法に関する。
キット
本発明の別の態様は、(a)好ましくは薬学的組成物として、かつ好適な容器内に、及び/または好適な包装で提供される、本明細書に記載の[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル(本明細書において「AX-8」もしくは「Gly-O-iPr」とも称される)である化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、または溶媒和物と、(b)その使用説明書、例えば、難治性慢性咳嗽(RCC)及び特発性慢性咳嗽(ICC)を含む、本明細書に記載の慢性咳嗽(CC)の治療用化合物の投与方法について記載された説明と、を含むキットに関する。
一実施形態において、このキットは、本明細書に記載の1種以上(例えば、1、2、3、4種)の追加の治療剤をさらに含む。
書面による説明書は、この化合物が好適な治療である特定の適応症の一覧を含んでもよい。
慢性咳嗽
本明細書で使用される場合、用語「慢性咳嗽」(CC)は、成人で約8週間超、または小児で約4週間超持続する咳嗽を指す。
慢性咳嗽は、関連疾患の症状と見なされることが多い。
場合によっては、慢性咳嗽を引き起こす可能性のある関連疾患を特定することができる(すなわち、慢性咳嗽を説明することができる)。慢性咳嗽の一般的な原因は、例えば、喘息、好酸球性気管支炎、後鼻漏症(PNDS)、胃食道逆流症(GORD)、気管支拡張症慢性閉塞性肺疾患(COPD)、及び特発性肺線維症(IPF)である。
他の場合には、関連疾患を特定することはできない(すなわち、原因不明または特発性の慢性咳嗽)。
場合によっては、関連疾患を特定することができ、治療が行われ、慢性咳嗽は、関連疾患の治療後に改善する。
他の場合には、慢性咳嗽を引き起こす可能性のある関連疾患を特定し、治療することができるが、関連疾患を治療したにもかかわらず、慢性咳嗽が継続する。ここで、持続性慢性咳嗽は、難治性慢性咳嗽(すなわち、関連疾患の治療に対して難治性である)または特発性慢性咳嗽(すなわち、原因不明のままである)であると考えられ得る。この持続性慢性咳嗽は、特発性慢性咳嗽または難治性慢性咳嗽と説明されても、単なる症状ではなく、それ自体が疾患であると考えられ得る。
したがって、慢性咳嗽専用療法を使用して、関連疾患が特定されていない(特発性慢性咳嗽)、慢性咳嗽を引き起こす関連疾患が特定されているが治療不可能である、慢性咳嗽を引き起こす関連疾患が治療可能であるが、関連疾患の治療に対して難治性の慢性咳嗽(難治性慢性咳嗽)である、慢性咳嗽患者の状態を改善することができる。
多くの場合、特発性/難治性慢性咳嗽は、識別可能な発生源または病歴を有している。例えば、慢性咳嗽を症状とする以前の疾患があり、その疾患の治療にもかかわらず、持続的な慢性咳嗽が生じている。この持続性慢性咳嗽は、通常、以前の疾患とは無関係であり、代わりに、以前の治療と同時にまたはその後に生じた神経学的変化と関連付けられることが多い。
例えば、慢性咳嗽を症状とする2人の患者を考えてみる。どちらも喘息(関連疾患)と正しく診断されている。どちらも、喘息(関連疾患)の治療を受ける。どちらの患者も、喘息症状のうちのほとんどは改善する。しかしながら、第1の患者では、慢性咳嗽が改善するが、第2の患者では改善しない。初診時に(喘息による)慢性咳嗽を訴えていたと考えられていたこの第2の患者は、現在、難治性慢性咳嗽(関連する疾患、喘息の治療に難治性であるため)または特発性慢性咳嗽(現在、持続性慢性咳嗽の原因となる関連疾患は不明または未知であるため)と診断されている。
一実施形態において、この治療は、慢性咳嗽の治療である。
一実施形態において、この慢性咳嗽は、慢性咳嗽を訴える。
一実施形態において、慢性咳嗽は、診断された疾患の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする、慢性咳嗽である。
一実施形態において、慢性咳嗽は、診断された咳嗽関連疾患の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする、慢性咳嗽である。
一実施形態において、慢性咳嗽は、喘息、好酸球性気管支炎、後鼻漏症(PNDS)、胃食道逆流症(GORD)、気管支拡張症慢性閉塞性肺疾患(COPD)、もしくは特発性肺線維症(IPF)の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする、慢性咳嗽である。
一実施形態において、この慢性咳嗽は、特発性慢性咳嗽(ICC)である。
一実施形態において、この慢性咳嗽は、難治性慢性咳嗽(RCC)である。
一実施形態において、この慢性咳嗽は、例えば、承認されているガイドラインに従って咳嗽関連疾患を評価及び治療した後に持続する難治性慢性咳嗽(RCC)である。
一実施形態において、この慢性咳嗽は、例えば、承認されているガイドラインに従って喘息、好酸球性気管支炎、後鼻漏症(PNDS)、胃食道逆流症(GORD)、気管支拡張症慢性閉塞性肺疾患(COPD)、もしくは特発性肺線維症(IPF)を評価及び治療した後に持続する難治性慢性咳嗽(RCC)である。
一実施形態において、この慢性咳嗽(例えば、特発性慢性咳嗽及び難治性慢性咳嗽を含む)は、アロトゥシアの症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする。
一実施形態において、この慢性咳嗽(例えば、特発性慢性咳嗽及び難治性慢性咳嗽を含む)は、ハイパートゥシアの症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする。
一実施形態において、この慢性咳嗽(例えば、特発性慢性咳嗽及び難治性慢性咳嗽を含む)は、過敏性咳症候群(CHS)の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする。
一実施形態において、この慢性咳嗽(例えば、特発性慢性咳嗽及び難治性慢性咳嗽を含む)は、咳反射過敏症(CHR)の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする。
一実施形態において、この慢性咳嗽(例えば、特発性慢性咳嗽及び難治性慢性咳嗽を含む)は、喉頭感覚異常の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする。
一実施形態において、この慢性咳嗽(例えば、特発性慢性咳嗽及び難治性慢性咳嗽を含む)は、喉頭過敏症候群(LHS)の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする。
一実施形態において、この慢性咳嗽(例えば、特発性慢性咳嗽及び難治性慢性咳嗽を含む)は、感覚神経障害性咳嗽である。
一実施形態において、この慢性咳嗽(例えば、特発性慢性咳嗽及び難治性慢性咳嗽を含む)は末梢感作、中枢感作(咳嗽中枢)、ならびに/または皮質及び/または皮質下の適応不良塑性の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする。
一実施形態において、この慢性咳嗽(例えば、特発性慢性咳嗽及び難治性慢性咳嗽を含む)は、迷走神経疾患の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする。
一実施形態において、この慢性咳嗽(例えば、特発性慢性咳嗽及び難治性慢性咳嗽を含む)は、気道炎症の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする。
一実施形態において、この慢性咳嗽(例えば、特発性慢性咳嗽及び難治性慢性咳嗽を含む)は、神経原性炎症及び/または神経炎症の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする。
治療
「治療」という用語は、疾患を治療するという文脈で本明細書で使用される場合、概して、ヒトであれ動物であれ(例えば、獣医学的用途において)、病態の進行阻害など所望の治療効果が得られる治療及び療法に関し、進行速度の低下、進行速度の停止、疾患の症状緩和、疾患の寛解、及び疾患の治癒を含む。予防手段(すなわち、予防法)としての治療も含まれる。例えば、疾患をまだ発症していないが、疾患を発症するリスクがある患者への使用は、「治療」という用語に包含される。
例えば、慢性咳嗽の治療(例えば、難治性慢性咳嗽の治療を含む)には、咳嗽の予防、咳嗽の発生(例えば、咳嗽の衝動)を低減すること、咳嗽の頻度(例えば、咳嗽頻度)を低減すること、咳嗽の重症度(例えば、咳嗽重症度)を低減すること、咳嗽の症状を緩和する(例えば、咽喉刺激の低減)こと、等が挙げられる。
一実施形態において、この治療は、咳嗽頻度、咳嗽重症度、咳嗽衝動、及び咽喉への刺激のうちの1つ以上またはすべてを低減するためのものである。
一実施形態において、この治療は、咳嗽頻度を低減させることである。
一実施形態において、この治療は、時間当たりの咳嗽頻度を低減させることである。
一実施形態において、この治療は、時間当たりの咳嗽頻度中央値を低減させることである。
一実施形態において、この治療は、時間当たりの平均咳嗽頻度を低減させることである。
一実施形態において、この治療は、覚醒時の時間当たりの咳嗽頻度を低減させることである。
一実施形態において、この治療は、覚醒時の時間当たりの咳嗽頻度中央値を低減させることである。
一実施形態において、この治療は、覚醒時の時間当たりの平均咳嗽頻度を低減させることである。
一実施形態において、この治療は、睡眠時の時間当たりの咳嗽頻度を低減させることである。
一実施形態において、この治療は、睡眠時の時間当たりの咳嗽頻度中央値を低減させることである。
一実施形態において、この治療は、睡眠時の時間当たりの平均咳嗽頻度を低減させることである。
一実施形態において、この治療は、咳嗽重症度を低減させることである。
一実施形態において、この治療は、咳嗽衝動を低減させることである。
一実施形態において、この治療は、咽喉刺激を低減させることである。
一実施形態において、この治療は、咳嗽頻度を低減させる。
一実施形態において、この治療は、時間当たりの咳嗽頻度を低減させる。
一実施形態において、この治療は、時間当たりの咳嗽頻度中央値を低減させる。
一実施形態において、この治療は、時間当たりの平均咳嗽頻度を低減させる。
一実施形態において、この治療は、覚醒時の時間当たりの咳嗽頻度を低減させる。
一実施形態において、この治療は、覚醒時の時間当たりの咳嗽頻度中央値を低減させる。
一実施形態において、この治療は、覚醒時の時間当たりの平均咳嗽頻度を低減させる。
一実施形態において、この治療は、睡眠時の時間当たりの咳嗽頻度を低減させる。
一実施形態において、この治療は、睡眠時の時間当たりの咳嗽頻度中央値を低減させる。
一実施形態において、この治療は、睡眠時の時間当たりの平均咳嗽頻度を低減させる。
一実施形態において、治療は咳嗽重症度を低減させる。
一実施形態において、この治療は、咳嗽衝動を低減させる。
一実施形態において、この治療は、咽喉刺激を低減させる。
本明細書で使用される「治療有効量」という用語は、所望の治療レジメンに従って投与される場合、合理的な利益/リスク比に見合った、いくつかの所望の治療効果をもたらすのに有効な化合物を含む、化合物、もしくは材料、組成物または剤形の量に関する。
投与経路
本明細書に記載の化合物、[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル(本明細書において「AX-8」または「Gly-O-iPr」とも称される)、またはこの化合物を含む薬学的組成物は、全身/末梢または局所(すなわち所望の作用部位)を問わず、任意の便宜的な投与経路によって対象に投与することができる。
一実施形態において、投与経路は局所である。
投与経路としては、経口(例えば、経口摂取による)、口腔粘膜、頬側(例えば、歯茎と頬との間)、舌下(例えば、舌の下)、経皮(例えば、パッチ、絆創膏などによるものを含む)、経粘膜(例えば、パッチ、絆創膏などによるものを含む)、鼻腔内(例えば、鼻腔スプレー、点鼻によるもの、または噴霧器もしくは乾燥粉末送達装置からのもの)、肺(例えば、エアゾールを使用した、口または鼻などを介する吸入または注入療法によるもの、)が挙げられる。
好ましい一実施形態において、投与経路は経口である。
好ましい一実施形態において、投与経路は経口局所である。
好ましい一実施形態において、投与経路は口腔粘膜である。
好ましい一実施形態において、投与経路は口腔粘膜局所である。
好ましい一実施形態において、投与経路は頬側である。
好ましい一実施形態において、投与経路は頬側局所である。
好ましい一実施形態において、投与経路は舌下である。
好ましい一実施形態において、投与経路は舌下局所である。
好ましい一実施形態において、投与経路は鼻腔内である。
好ましい一実施形態において、投与経路は鼻腔内局所である。
好ましい一実施形態において、投与経路は経粘膜である。
好ましい一実施形態において、投与経路は経粘膜局所である。
用量
本明細書に記載の化合物である[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル(本明細書において「AX-8」または「Gly-O-iPr」とも称される)、またはその化合物を含む組成物の適切な用量は、患者によって異なり得ることが、当業者によって理解されるであろう。最適な用量を決定することは、一般に、任意のリスクまたは有害な副作用に対する治療的利益のレベルを釣り合わせることを伴う。選択される用量レベルは、化合物の活性、投与経路、投与時間、化合物の排泄率、治療の持続時間、他の薬物、化合物、及び/または併用される物質、疾患の重症度、ならびに患者の種族、性別、年齢、体重、病態、全般的な健康状態、ならびに病歴を含む、多様な因子に依存するであろう。化合物の量及び投与経路は、最終的に、医師、獣医師、または臨床医の裁量に委ねられるが、一般に、用量は、実質的に有害(harmful)または有害(deleterious)な副作用を引き起こすことなく、所望の効果を得られる作用部位で局所濃度を得られるように選択される。
投与は、治療の過程を通して、1用量、連続的または断続的に(例えば、適切な間隔において分割量で)行うことができる。投与の最も効果的な手段及び用量を決定する方法は、当業者に周知であり、療法に使用される製剤、療法の目的、治療されるターゲット細胞(複数可)、及び治療される対象によって変化するであろう。単回または複数回の投与を実行することができ、用量レベル及びパターンは、治療する医師、獣医、または臨床医によって選択される。
一実施形態において、用量は、対象の体重1キログラム当たり1日約1μg~約5mgの化合物の範囲内である。
一実施形態において、用量は、対象の体重1キログラム当たり1日約5μg~約2mgの化合物の範囲内である。
一実施形態において、用量は、対象の体重1キログラム当たり1日約15μg~約0.7mgの化合物の範囲内である。
一実施形態において、用量は、対象の体重1キログラム当たり1日約30μg~約0.4mgの化合物の範囲内である。
一実施形態において、用量は、対象の体重1キログラム当たり1日約70μg~約0.3mgの化合物の範囲内である。
同様に、一実施形態において、用量は、1日当たり約0.07mg~約350mgの化合物の範囲内である。
一実施形態において、用量は、1日当たり約0.35mg~約140mgの化合物の範囲内である。
一実施形態において、用量は、1日当たり約1mg~約50mgの化合物の範囲内である。
一実施形態において、用量は、1日当たり約2mg~約30mgの化合物の範囲内である。
一実施形態において、用量は、1日当たり約5mg~約20mgの化合物の範囲内である。
化合物が塩、エステル、アミド、プロドラッグ等である場合、投与量は親化合物に基づいて計算されるため、使用される実際の重量は比例的に増加する。
治療レジメン
化合物、またはこの化合物を含む薬学的組成物は、任意の好適な治療計画またはレジメンに従って投与され得る。
ほとんどの場合、投与は、患者のニーズに応じて、患者が「必要に応じて」で行うと思われる。例えば、患者は、咳嗽を予測した時(例えば、予防として)、咳嗽の開始直後、長期間の咳嗽後などに、化合物、またはこの化合物を含む薬学的組成物を自己投与するように指示され得る。
本明細書に記載される場合、5mgのODTの単回投与は、最大約8時間持続する有効性を有することが判明し、したがって、1日2~4回の投与で十分であることが予想され得る。
一実施形態において、治療レジメンは、1日1~5回の投与(すなわち、1日1~5回投与)である。
一実施形態において、治療レジメンは、1日1~4回の投与(すなわち、1日1~4回投与)である。
一実施形態において、治療レジメンは、1日2~5回の投与(すなわち、1日2~5回投与)である。
一実施形態において、治療レジメンは、1日2~4回の投与(すなわち、1日2~4回投与)である。
一実施形態において、治療レジメンは、1日2回の投与(すなわち、1日2回投与)である。
一実施形態において、治療レジメンは、1日3回の投与(すなわち、1日3回投与)である。
一実施形態において、治療レジメンは、1日4回の投与(すなわち、1日4回投与)である。
一実施形態において、治療レジメンは、pro re nata(PRN)(例えば、必要に応じて、状況が生じた場合など)である。
製剤
本明細書に記載の化合物、[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル(本明細書では「AX-8」または「Gly-O-iPr」とも称される)を単独で投与することが可能であるが、本明細書に記載されている化合物を、薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、補助剤、充填剤、緩衝剤、防腐剤、抗酸化剤、潤滑剤、安定剤、可溶化剤、界面活性剤(例えば、湿潤剤)、マスキング剤、着色剤、香味剤、及び甘味剤を含む、当業者に周知の1種以上の他の薬学的に許容される成分と共に含む薬学的製剤(例えば、組成物、製剤、薬剤)として提供することが好ましい。この製剤は、他の活性剤、例えば、他の治療剤または予防剤をさらに含んでもよい。
本明細書に記載されるのは、薬学的組成物及び薬学的組成物を製造する方法であって、化合物を、例えば、担体、希釈剤、賦形剤等の当業者に周知の1種以上の他の薬学的に許容される成分と共に混合することを含む方法である。錠剤などの個別単位で処方されている場合、各単位には所定の量(用量)の化合物が含まれている。
本明細書で使用される「薬学的に許容される」という用語は、安全な医学的判断の範囲内にあり、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症のない、対象となる対象(例えば、ヒト)の組織と接触させて使用するのに好適な、合理的な利益/リスク比に見合った、化合物、成分、材料、組成物、剤形などに関する。各担体、希釈剤、賦形剤等もまた、製剤の他の成分と適合するという意味で「許容され」なければならない。
好適な担体、希釈剤、賦形剤等は、標準的な薬学的テキスト、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th edition,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1990、及びHandbook of Pharmaceutical Excipients,5th edition,2005に見出すことができる。
本製剤は、薬学の分野において周知の任意の方法によって調製することができる。かかる方法は、化合物を1種以上の副成分を構成する担体と結合させるステップを含む。一般に、製剤は、化合物を担体(例えば、液体担体、微粒子状固体担体等)と均一かつ密接に結合させ、次いで、必要に応じて、生成物を成形することによって調製される。
製剤は、迅速もしくは徐放放出、即時、遅延、時限、もしくは持続的な放出、またはそれらの組み合わせを提供するように調製されてもよい。
製剤は、好適には、液体、溶液(例えば、水性、非水性)、懸濁液(例えば、水性、非水性)、乳剤(例えば、水中油、油中水)、エリキシル剤、シロップ剤、舐剤、洗口液、点滴剤、錠剤(例えば、コーティングされた錠剤を含む)、顆粒剤、粉末剤、ロゼンジ(lozenges)剤、トローチ(pastilles)剤、カプセル剤(例えば、硬質及び軟質のゼラチンカプセル剤を含む)、カシェ剤、丸剤、アンプル剤、ボーラス投与剤、チンキ剤、ゲル剤、ペースト剤、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、油剤、フォーム剤、スプレー剤、ミスト剤、またはエアゾール剤の形態であってよい。
一実施形態において、この化合物は、スプレーとして製剤化される。
一実施形態において、この化合物は、ミストとして製剤化される。
一実施形態において、この化合物は、エアゾールとして製剤化される。
製剤は、例えば、浸透促進剤、透過促進剤、及び吸収促進剤を含む、1種以上の化合物及び任意選択的に1種以上の他の薬学的に許容される成分が含浸された、パッチ、接着絆創膏、包帯(bandage)、ガーゼ(dressing)等として好適に提供され得る。製剤はまた、デポまたはリザーバの形態で好適に提供され得る。
化合物は、1種以上の他の薬学的に許容される成分に溶解され得るか、懸濁され得るか、または混合され得る。
経口投与(例えば、摂取による)に好適な製剤としては、液体、溶液(例えば、水性、非水性)、懸濁液(例えば、水性、非水性)、乳剤(例えば、水中油、油中水)、エリキシル剤、シロップ剤、舐剤、錠剤、顆粒剤、粉末剤、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、アンプル剤、及びボーラス投与剤が挙げられる。
一実施形態において、この化合物は、錠剤として製剤化される。
一実施形態において、この化合物は、口腔分散性錠剤、口腔溶解錠剤、迅速溶解錠剤、急速崩壊錠剤、または急速溶解錠剤とも称される、口腔内崩壊錠(ODT)として製剤化される。ODTは、本明細書で企図されるように、舌の表面への局所適用の数分以内に唾液中で崩壊する薬学的剤形である。好ましくは、崩壊時間は、化合物が粘膜を被覆可能にするのに十分な長さである。化合物を送達するためのODT使用の主な利点は、投与(例えば、経口投与)及び作用部位への送達(例えば、組織ではなく局所的)の容易さである。
典型的なODTは、主に不活性ビヒクル、希釈剤、または担体から構成される。薬剤(すなわち、AX-8)は、この担体内に散在する。ODTは、舌の後面に配置されると溶解し、下咽頭(LRO)の組織に接触することができるように薬剤を放出する。典型的な希釈剤、担体、またはビヒクルは、以下の物質:キシリトール、マンニトール、ソルビトール、マルチトール、イソマルチトール、マルトトリトール、ラクチトール、及びβ結合グルコピラナシド-ソルビトール(β-linked-glucopyranasido-sorbitol)を述べると解釈される「多価アルコール」であってよい。甘味料、アスパルテーム、スクラロース、またはアリテームなどの香味剤を添加して、任意の味をマスクすることができる。典型的には、混合物を均一に分散されたブレンドに粒状化し、分散剤、固化防止剤、及び/または潤滑剤を添加してもよく、次いで混合物を圧縮してODTを形成する。例として、本明細書に記載の研究で使用されたODTは、Ludiflash(登録商標)(マンニトール、Kollidon(登録商標)CL-SF、Kollicoat(登録商標)SR 30D)、ソルビトール、無水コロイドシリカ、及びステアリン酸マグネシウムを含有していた。
一実施形態において、この化合物は、約0.5mg~約50mgの化合物を含有するODTとして製剤化される。
一実施形態において、この化合物は、約1~約30mgの化合物を含有するODTとして製剤化される。
一実施形態において、この化合物は、約2~約20mgの化合物を含有するODTとして製剤化される。
一実施形態において、この化合物は、約2~約10mgの化合物を含有するODTとして製剤化される。
一実施形態において、この化合物は、約5mgの化合物を含有するODTとして製剤化される。
一実施形態において、この化合物は、約50mg~約250mgの化合物を含有するODTとして製剤化される。
化合物が塩、エステル、アミド、プロドラッグ等である場合、投与量は親化合物に基づいて計算されるため、使用される実際の重量は比例的に増加する。
頬側投与に好適な製剤としては、洗口液、ロゼンジ剤、トローチ剤、ならびにパッチ、接着絆創膏、デポ、及びリザーバが挙げられる。ロゼンジ剤は、典型的には、香味基剤、通常、スクロース及びアカシアまたはトラガカント中に化合物を含む。トローチ剤は、典型的には、ゼラチン及びグリセリン、またはスクロース及びアカシア等の不活性マトリックス中に化合物を含む。洗口液は、典型的には、好適な液体担体中に化合物を含む。
舌下投与に好適な製剤としては、錠剤、ロゼンジ剤、トローチ剤、カプセル剤、及び丸薬が挙げられる。
経口経粘膜投与に好適な製剤としては、液体、溶液(例えば、水性、非水性)、懸濁液(例えば、水性、非水性)、乳剤(例えば、水中油、油中水)、洗口液、スプレー剤、ミスト剤、ロゼンジ剤、トローチ剤、ならびにパッチ、接着絆創膏、デポ、及びリザーバが挙げられる。
経皮投与に好適な製剤としては、ゲル、ペースト、軟膏、クリーム、ローション、及び油、ならびにパッチ、接着絆創膏、包帯、ガーゼ、デポ、及びリザーバが挙げられる。
錠剤は、圧縮または成型などの従来の手段によって、任意選択的に1種以上の副成分と共に、作製され得る。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ポビドン、ゼラチン、アカシア、ソルビトール、トラガカント、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、充填剤または希釈剤(例えば、ラクトース、微結晶セルロース、リン酸水素カルシウム)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ)、崩壊剤(例えば、グリコール酸ナトリウムデンプン、架橋ポビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤または分散剤または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、防腐剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、ソルビン酸)、香味剤、香味増強剤、及び甘味剤の1種以上と任意選択的に混合された、粉末または顆粒等の易流動形態の化合物を好適な機械内で圧縮することによって調製してよい。成型錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末の化合物の混合物を好適な機械で成型することによって製造され得る。錠剤は、任意選択的にコーティングまたは筋をつけてもよく、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを様々な割合で使用して、所望の放出プロファイルを提供することにより、その中で化合物の徐放放出または制御放出を提供するように製剤化されてもよい。錠剤は、任意選択的に、例えば、胃以外の腸の一部で放出される腸溶コーティングなどの放出に影響を与えるように、コーティングされて提供され得る。
軟膏は、典型的には、化合物及びパラフィン系または水混和性軟膏基剤から調製される。
クリームは、典型的には、化合物及び水中油性クリーム基剤から調製される。所望であれば、クリーム基剤の水性相は、例えば、少なくとも約30w/w%の多価アルコール、すなわち、プロピレングリコール、ブタン-1,3-ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、及びポリエチレングリコール、ならびにこれらの混合物など、2つ以上のヒドロキシ基を有するアルコールを含み得る。局所用製剤は、所望により、皮膚または他の患部を通した化合物の吸収または浸透を増強する化合物を含み得る。かかる皮膚浸透促進剤の例としては、ジメチルスルホキシド及び関連類似体が挙げられる。
乳剤は、典型的には、化合物及び油性相から調製され、これは、任意選択的に、乳化剤(emulsifier)(別名、エマルジェント(emulgent))のみを含み得るか、または少なくとも1種の乳化剤と、脂肪もしくは油、または脂肪及び油の両方との混合物を含み得る。好ましくは、親水性乳化剤は、安定化剤として作用する親油性乳化剤と一緒に含まれる。油及び脂肪の両方を含むことも好ましい。まとめると、安定化剤(複数可)を伴う、または伴わない乳化剤(複数可)は、いわゆる乳化ワックスを構成し、油及び/または脂肪と共にワックスは、クリーム製剤の油性分散相を形成する、いわゆる乳化軟膏基剤を構成する。
好適なエマルジェント及び乳剤安定化剤としては、Tween60、Span80、セトステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、モノステアリン酸グリセリル及びラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。製剤に好適な油または脂肪の選択は、薬学的乳剤製剤に使用される可能性が高いほとんどの油中において、化合物の溶解度が非常に低い可能性があるため、所望の外観特性を獲得することに基づいている。したがってクリームは、好ましくはチューブまたは他の容器からの漏れを回避するため好適な稠度を有する、ぬるつきがなく、汚染されず、洗浄可能な製品であるべきである。ジ-イソアジペート、ステアリン酸イソセチル、ココナツ脂肪酸のプロピレングリコールジエステル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、またはCrodamol CAPとして既知の分岐鎖状エステルブレンドなどの、直鎖状または分岐鎖状の一塩基または二塩基アルキルエステルを使用してよく、最後の3種は好ましいエステルである。これらは、必要とされる特性に応じて単独または組み合わせて使用され得る。代替的に、白色ワセリン及び/もしくは流動パラフィン、または他の鉱物油などの高融解点脂質が使用され得る。
担体が液体である鼻腔内投与に好適な製剤としては、例えば、鼻腔内スプレー、点鼻薬、またはネブライザーによるエアゾール投与によるものが挙げられ、化合物の水溶液または油性溶液が含まれる。
担体が個体である場合、鼻腔内投与に好適な製剤は、例えば、約20~約500ミクロンの範囲などの粒径を有する粗粉末として提供されるものであり、鼻から吸い込む様式、すなわち、鼻の近くに保持された粉末容器から鼻腔を通して迅速に吸入することによって投与されるものが挙げられる。
経肺投与(例えば、吸入療法または注入療法による)に好適な製剤としては、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の好適な気体等の好適な噴射剤を使用して、加圧パックからのエアゾールスプレーとして提供されるものが挙げられる。
一実施形態において、この化合物は、エアゾールスプレーとして製剤化される。
併用療法
「治療」という用語は、2つ以上の治療または療法が、例えば、連続的または同時に組み合わされる、併用治療及び併用療法を含む。例えば、本明細書に記載の化合物、[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル(本明細書において「AX-8」または「Gly-O-iPr」とも称される)はまた、例えば、他の薬剤、例えば、1種以上の鎮咳剤、去痰剤、粘液溶解剤、充血除去剤、経鼻充血除去剤、第1世代抗ヒスタミン剤、抗ヒスタミン剤、オピオイド鎮痛剤、非オピエート鎮痛剤、解熱剤等、及びそれらの組み合わせと共に、併用療法において使用してもよい。
特定の組み合わせは、医師の裁量に委ねられ、医師は一般的な知識と当業者に既知の投薬レジメンを用いて用量を選択するであろう。
薬剤(すなわち、化合物、及び1種以上の他の薬剤)は、同時にまたは連続的に投与され得、個々に変化する用量スケジュールにおいて、及び異なる経路を介して投与され得る。例えば、連続的に投与する場合、薬剤は、短い間隔で(例えば、5~10分間にわたって)、またはより長い間隔で(例えば、1、2、3、4時間以上あけて、または必要な場合はもっと長い間隔で)投与することができ、正確な投与レジメンは、治療剤(複数可)の特性に見合ったものである。
薬剤(すなわち、化合物、及び1種以上の他の薬剤)は、単一の剤形で共に製剤化され得るか、または代替的に、個々の薬剤が別々に製剤化されて、キットの形態で共に、任意選択的にそれらの使用説明書と共に提供され得る。
対象/患者
対象/患者は、哺乳動物、胎盤哺乳動物、有袋類(例えば、カンガルー、ウォンバット)、げっ歯類(例えば、モルモット、ハムスター、ラット、マウス)、ネズミ(例えば、マウス)、兎形目(例えば、ウサギ)、トリ(avian)(例えば、トリ(bird))、イヌ(canine)(例えば、イヌ(dog))、ネコ(feline)(例えば、ネコ(cat))、ウマ(equine)(例えば、ウマ(horse))、ブタ(porcine)(例えば、ブタ(pig))、ヒツジ(ovine)(例えば、ヒツジ(sheep))、ウシ(bovine)(例えば、ウシ(cow))、霊長類、サル(simian)(例えば、サル(monkey)もしくは類人猿)、サル(例えば、マーモセット、ヒヒ)、類人猿(例えば、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、テナガザル)、またはヒトであり得る。
好ましい一実施形態において、対象/患者はヒトである。
慢性咳嗽の治療において使用するように構成された化合物
また、本明細書に記載される化合物は、
慢性咳嗽の治療に使用するために構成される、[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物を含む。
一実施形態において、[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、訴えられる慢性咳嗽の治療に使用するために構成される。
一実施形態において、[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、診断された疾患の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする慢性咳嗽の治療に使用するために構成される。
一実施形態において、[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、診断された咳嗽関連疾患の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする慢性咳嗽の治療に使用するために構成される。
一実施形態において、[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、喘息、好酸球性気管支炎、後鼻漏症(PNDS)、胃食道逆流症(GORD)、気管支拡張症慢性閉塞性肺疾患(COPD)、または特発性肺線維症(IPF)の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする慢性咳嗽の治療に使用するために構成される。
一実施形態において、[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、特発性慢性咳嗽(ICC)の治療に使用するために構成される。
一実施形態において、[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、難治性慢性咳嗽(RCC)の治療に使用するために構成される。
一実施形態において、[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、咳嗽関連疾患の評価及び治療後に持続する難治性慢性咳嗽(RCC)の治療に使用するために構成される。
一実施形態において、[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、喘息、好酸球性気管支炎、後鼻漏症(PNDS)、胃食道逆流症(GORD)、気管支拡張症慢性閉塞性肺疾患(COPD)、または特発性肺線維症(IPF)の評価及び治療後に持続する難治性慢性咳嗽(RCC)の治療に使用するために構成される。
一実施形態において、[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、アロトゥシアの症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする慢性咳嗽の治療に使用するために構成される。
一実施形態において、[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、ハイパートゥシアの症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする慢性咳嗽の治療に使用するために構成される。
一実施形態において、[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、過敏性咳症候群(CHS)の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする慢性咳嗽の治療に使用するために構成される。
一実施形態において、[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、咳反射過敏症(CHR)の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする慢性咳嗽の治療に使用するために構成される。
一実施形態において、[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、喉頭感覚異常の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする慢性咳嗽の治療に使用するために構成される。
一実施形態において、[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、喉頭過敏症候群(LHS)の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする慢性咳嗽の治療に使用するために構成される。
一実施形態において、[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、感覚神経障害性咳嗽である慢性咳嗽の治療に使用するために構成される。
一実施形態において、[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、末梢感作、中枢感作(咳嗽中枢)、ならびに/または皮質及び/または皮質下の適応不良塑性の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする、慢性咳嗽の治療に使用するために構成される。
一実施形態において、[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、迷走神経疾患の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする慢性咳嗽の治療に使用するために構成される。
一実施形態において、[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、気道炎症の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする慢性咳嗽の治療に使用するために構成される。
一実施形態において、[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、神経原性炎症及び/または神経炎症の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする慢性咳嗽の治療に使用するために構成される。
一実施形態において、[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、以下の治療に使用するために構成される。
咳嗽頻度の低減、
時間当たりの咳嗽頻度の低減、
時間当たりの咳嗽頻度中央値の低減、
時間当たりの平均咳嗽頻度の低減、
覚醒時の時間当たりの咳嗽頻度の低減、
覚醒時の時間当たりの咳嗽頻度中央値の低減、
覚醒時の時間当たりの平均咳嗽頻度の低減、
睡眠時の時間当たりの咳嗽頻度の低減、
睡眠時の時間当たりの咳嗽頻度中央値の低減、
睡眠時の時間当たりの平均咳嗽頻度の低減、
咳嗽重症度の低減、
咳嗽衝動の低減、及び/または
咽喉刺激の低減。
一実施形態において、[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、以下のために構成される。
この化合物の経口局所投与、
この化合物の口腔粘膜局所投与、
この化合物の頬側局所投与、
この化合物の舌下局所投与、
前記化合物の鼻腔内局所投与、または
化合物の経粘膜局所投与。
一実施形態において、[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、以下のために構成される。
体重1キログラム当たり1日約1μg~約5mgのこの化合物の範囲内である用量、
体重1キログラム当たり1日約5μg~約2mgのこの化合物の範囲内である用量、
体重1キログラム当たり1日約15μg~約0.7mgのこの化合物の範囲内である用量、
体重1キログラム当たり1日約30μg~約0.4mgのこの化合物の範囲内である用量、または
体重1キログラム当たり1日約70μg~約0.3mgのこの化合物の範囲内である用量。
一実施形態において、[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、以下のために構成される。
1日約0.07mg~約350mgのこの化合物の範囲内である用量、
1日約0.35mg~約140mgのこの化合物の範囲内である用量、
1日約1mg~約50mgのこの化合物の範囲内である用量、
1日約2mg~約30mgのこの化合物の範囲内である用量、または
1日約5mg~約20mgのこの化合物の範囲内である用量。
一実施形態において、[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、以下のために構成される。
1日1~5回投与の治療レジメン、
1日1~4回投与の治療レジメン、
1日2~5回投与の治療レジメン、
1日2~4回投与の治療レジメン、
1日2回の投与の治療レジメン、
1日3回投与の治療レジメン、または
1日4回投与の治療レジメン。
一実施形態において、[(1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、pro re nata(PRN)治療レジメンのために構成される。
一実施形態において、[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物は、
錠剤、
口腔内崩壊錠(ODT)、
スプレー、
ミスト、または
エアゾール、として構成される。
薬剤の製造方法
本明細書にはまた、薬剤を製造する方法が記載されており、当該方法は、
[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物である化合物を有する、慢性咳嗽治療用薬剤を調整すること、を含む。
一実施形態において、この化合物を有する薬剤を調製することは、訴えられる慢性咳嗽の治療のために、この化合物を有する薬剤を調製することを含む。
一実施形態において、この化合物を有する薬剤を調製することは、診断された疾患の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする慢性咳嗽の治療のために、この化合物を有する薬剤を調製することを含む。
一実施形態において、この化合物を有する薬剤を調製することは、診断された咳嗽関連疾患の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする慢性咳嗽の治療のために、この化合物を有する薬剤を調製することを含む。
一実施形態において、この化合物を有する薬剤を調製することは、喘息、好酸球性気管支炎、後鼻漏症(PNDS)、胃食道逆流症(GORD)、気管支拡張症慢性閉塞性肺疾患(COPD)、または特発性肺線維症(IPF)の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする慢性咳嗽の治療のために、この化合物を有する薬剤を調製することを含む。
一実施形態において、この化合物を有する薬剤を調製することは、特発性慢性咳嗽(ICC)の治療のために、この化合物を有する薬剤を調製することを含む。
一実施形態において、この化合物を有する薬剤を調製することは、難治性慢性咳嗽(RCC)の治療のために、この化合物を有する薬剤を調製することを含む。
一実施形態において、この化合物を有する薬剤を調製することは、咳嗽関連疾患の評価及び治療後に持続する難治性慢性咳嗽(RCC)の治療のために、この化合物を有する薬剤を調製することを含む。
一実施形態において、この化合物を有する薬剤を調製することは、喘息、好酸球性気管支炎、後鼻漏症(PNDS)、胃食道逆流症(GORD)、気管支拡張症慢性閉塞性肺疾患(COPD)、または特発性肺線維症(IPF)の評価及び治療後に持続する難治性慢性咳嗽(RCC)の治療のために、この化合物を有する薬剤を調製することを含む。
一実施形態において、この化合物を有する薬剤を調製することは、アロトゥシアの症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする慢性咳嗽の治療のために、この化合物を有する薬剤を調製することを含む。
一実施形態において、この化合物を有する薬剤を調製することは、ハイパートゥシアの症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする慢性咳嗽の治療のために、この化合物を有する薬剤を調製することを含む。
一実施形態において、この化合物を有する薬剤を調製することは、過敏性咳症候群(CHS)の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする慢性咳嗽の治療のために、この化合物を有する薬剤を調製することを含む。
一実施形態において、この化合物を有する薬剤を調製することは、咳反射過敏症(CHR)の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする慢性咳嗽の治療のために、この化合物を有する薬剤を調製することを含む。
一実施形態において、この化合物を有する薬剤を調製することは、喉頭感覚異常の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする慢性咳嗽の治療のために、この化合物を有する薬剤を調製することを含む。
一実施形態において、この化合物を有する薬剤を調製することは、喉頭過敏症候群(LHS)の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする慢性咳嗽の治療のために、この化合物を有する薬剤を調製することを含む。
一実施形態において、この化合物を有する薬剤を調製することは、感覚神経障害性咳嗽である慢性咳嗽の治療のために、この化合物を有する薬剤を調製することを含む。
一実施形態において、この化合物を有する薬剤を調製することは、末梢感作、中枢感作(咳嗽中枢)、ならびに/または皮質及び/または皮質下の適応不良塑性の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする慢性咳嗽の治療のために、この化合物を有する薬剤を調製することを含む。
一実施形態において、この化合物を有する薬剤を調製することは迷走神経疾患の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする慢性咳嗽の治療のために、この化合物を有する薬剤を調製することを含む。
一実施形態において、この化合物を有する薬剤を調製することは気道炎症の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする慢性咳嗽の治療のために、この化合物を有する薬剤を調製することを含む。
一実施形態において、この化合物を有する薬剤を調製することは、神経原性炎症及び/または神経炎症の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする慢性咳嗽の治療のために、この化合物を有する薬剤を調製することを含む。
一実施形態において、この化合物を有する薬剤を調製することは、以下のために、この化合物を有する薬剤を調製することを含む。
咳嗽頻度の低減、
時間当たりの咳嗽頻度の低減、
時間当たりの咳嗽頻度中央値の低減、
時間当たりの平均咳嗽頻度の低減、
覚醒時の時間当たりの咳嗽頻度の低減、
覚醒時の時間当たりの咳嗽頻度中央値の低減、
覚醒時の時間当たりの平均咳嗽頻度の低減、
睡眠時の時間当たりの咳嗽頻度の低減、
睡眠時の時間当たりの咳嗽頻度中央値の低減、
睡眠時の時間当たりの平均咳嗽頻度の低減、
咳嗽重症度の低減、
咳嗽衝動の低減、及び/または
咽喉刺激の低減。
一実施形態において、化合物を有する薬剤を調製することは、以下のために薬剤を調製することを含む。
この化合物の経口局所投与、
この化合物の口腔粘膜局所投与。
この化合物の頬側局所投与。
この化合物の舌下局所投与、
前記化合物の鼻腔内局所投与、または
化合物の経粘膜局所投与。
一実施形態において、この化合物を有する薬剤を調製することは、以下のとおりに、この化合物を有する薬剤を調製することを含む。
体重1キログラム当たり1日約1μg~約5mgのこの化合物の範囲内である用量、
体重1キログラム当たり1日約5μg~約2mgのこの化合物の範囲内である用量、
体重1キログラム当たり1日約15μg~約0.7mgのこの化合物の範囲内である用量、
体重1キログラム当たり1日約30μg~約0.4mgのこの化合物の範囲内である用量、または
体重1キログラム当たり1日約70μg~約0.3mgのこの化合物の範囲内である用量。
一実施形態において、この化合物を有する薬剤を調製することは、以下のとおりに、この化合物を有する薬剤を調製することを含む。
1日約0.07mg~約350mgのこの化合物の範囲内である用量、
1日約0.35mg~約140mgのこの化合物の範囲内である用量、
1日約1mg~約50mgのこの化合物の範囲内である用量、
1日約2mg~約30mgのこの化合物の範囲内である用量、または
1日約5mg~約20mgのこの化合物の範囲内である用量。
一実施形態において、この化合物を有する薬剤を調製することは、以下とおりに、この化合物を有する薬剤を調製することを含む。
1日1~5回投与の治療レジメン、
1日1~4回投与の治療レジメン、
1日2~5回投与の治療レジメン、
1日2~4回投与の治療レジメン、
1日2回の投与の治療レジメン、
1日3回投与の治療レジメン、または
1日4回投与の治療レジメン。
一実施形態において、この化合物を有する薬剤を調製することは、pro re nata(PRN)治療レジメンのとおりに、この化合物を有する薬剤を調製することを含む。
一実施形態において、この化合物を有する薬剤を調製することは、
錠剤、
口腔内崩壊錠(ODT)、
スプレー、
ミスト、または
エアゾールとして、この化合物を有する薬剤を調製することを含む。
慢性咳嗽の治療方法
本明細書にはまた、患者の慢性咳嗽を治療する方法が記載されており、当該方法は、
慢性咳嗽の治療を必要とする患者に、治療有効量の[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物である化合物を投与することを含む。
一実施形態において、この投与ステップは、訴えている慢性咳嗽の治療を必要とする患者にこの化合物を投与することを含む。
一実施形態において、この投与ステップは、診断された疾患の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする、慢性咳嗽の治療を必要とする患者にこの化合物を投与することを含む。
一実施形態において、この投与ステップは、診断された咳嗽関連疾患の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする、慢性咳嗽の治療を必要とする患者にこの化合物を投与することを含む。
一実施形態において、この投与ステップは、喘息、好酸球性気管支炎、後鼻漏症(PNDS)、胃食道逆流症(GORD)、気管支拡張症慢性閉塞性肺疾患(COPD)、及び特発性肺線維症(IPF)の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする、慢性咳嗽の治療を必要とする患者にこの化合物を投与することを含む。
一実施形態において、投与ステップは、特発性慢性咳嗽(ICC)の治療を必要とする患者にこの化合物を投与することを含む。
一実施形態において、投与ステップは、難治性慢性咳嗽(RCC)の治療を必要とする患者にこの化合物を投与することを含む。
一実施形態において、投与ステップは、咳嗽関連疾患の評価及び治療後に持続する難治性慢性咳嗽(RCC)の治療を必要とする患者にこの化合物を投与することを含む。
一実施形態において、投与ステップは、喘息、好酸球性気管支炎、後鼻漏症(PNDS)、胃食道逆流症(GORD)、気管支拡張症慢性閉塞性肺疾患(COPD)、または特発性肺線維症(IPF)の評価及び治療後に持続する難治性慢性咳嗽(RCC)の治療を必要とする患者にこの化合物を投与することを含む。
一実施形態において、この投与ステップは、アロトゥシアの症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする、慢性咳嗽の治療を必要とする患者にこの化合物を投与することを含む。
一実施形態において、この投与ステップは、ハイパートゥシアの症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする、慢性咳嗽の治療を必要とする患者にこの化合物を投与することを含む。
一実施形態において、この投与ステップは、過敏性咳症候群(CHS)の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする、慢性咳嗽の治療を必要とする患者にこの化合物を投与することを含む。
一実施形態において、この投与ステップは、咳反射過敏症(CHR)の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする、慢性咳嗽の治療を必要とする患者にこの化合物を投与することを含む。
一実施形態において、この投与ステップは、喉頭感覚異常の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする、慢性咳嗽の治療を必要とする患者にこの化合物を投与することを含む。
一実施形態において、この投与ステップは、喉頭過敏症候群(LHS)の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする、慢性咳嗽の治療を必要とする患者にこの化合物を投与することを含む。
一実施形態において、この投与ステップは、感覚神経障害性咳嗽である、慢性咳嗽の治療を必要とする患者にこの化合物を投与することを含む。
一実施形態において、この投与ステップは、末梢感作、中枢感作(咳嗽中枢)、ならびに/または皮質及び/または皮質下の適応不良塑性の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする、慢性咳嗽の治療を必要とする患者にこの化合物を投与することを含む。
一実施形態において、この投与ステップは、迷走神経疾患の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする、慢性咳嗽の治療を必要とする患者にこの化合物を投与することを含む。
一実施形態において、この投与ステップは、気道炎症の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする、慢性咳嗽の治療を必要とする患者にこの化合物を投与することを含む。
一実施形態において、この投与ステップは、神経原性炎症及び/または神経炎症の症状であるか、それに関連するか、またはそれを原因とする、慢性咳嗽の治療を必要とする患者にこの化合物を投与することを含む。
一実施形態において、この投与ステップは、以下のために患者にこの化合物を投与することを含む。
咳嗽頻度の低減、
時間当たりの咳嗽頻度の低減、
時間当たりの咳嗽頻度中央値の低減、
時間当たりの平均咳嗽頻度の低減、
覚醒時の時間当たりの咳嗽頻度の低減、
覚醒時の時間当たりの咳嗽頻度中央値の低減、
覚醒時の時間当たりの平均咳嗽頻度の低減、
睡眠時の時間当たりの咳嗽頻度の低減、
睡眠時の時間当たりの咳嗽頻度中央値の低減、
睡眠時の時間当たりの平均咳嗽頻度の低減、
咳嗽重症度の低減、
咳嗽衝動の低減、及び/または
咽喉刺激の低減。
一実施形態において、この投与ステップは、治療を必要とする患者に、以下を介してこの化合物を投与することを含む。
この化合物の経口局所投与、
この化合物の口腔粘膜局所投与。
この化合物の頬側局所投与。
この化合物の舌下局所投与。
この化合物の鼻腔内局所投与、または
この化合物の経粘膜局所投与。
一実施形態において、この投与ステップは、治療を必要とする患者に、以下のようにこの化合物を投与することを含む。
体重1キログラム当たり1日約1μg~約5mgのこの化合物の範囲内である用量、
体重1キログラム当たり1日約5μg~約2mgのこの化合物の範囲内である用量、
体重1キログラム当たり1日約15μg~約0.7mgのこの化合物の範囲内である用量、
体重1キログラム当たり1日約30μg~約0.4mgのこの化合物の範囲内である用量、または
体重1キログラム当たり1日約70μg~約0.3mgのこの化合物の範囲内である用量。
一実施形態において、この投与ステップは、治療を必要とする患者に、以下のようにこの化合物を投与することを含む。
1日約0.07mg~約350mgのこの化合物の範囲内である用量、
1日約0.35mg~約140mgのこの化合物の範囲内である用量、
1日約1mg~約50mgのこの化合物の範囲内である用量、
1日約2mg~約30mgのこの化合物の範囲内である用量、または
1日約5mg~約20mgのこの化合物の範囲内である用量。
一実施形態において、この投与ステップは、治療を必要とする患者に、以下のとおりにこの化合物を投与することを含む。
1日1~5回投与の治療レジメン、
1日1~4回投与の治療レジメン、
1日2~5回投与の治療レジメン、
1日2~4回投与の治療レジメン、
1日2回の投与の治療レジメン、
1日3回投与の治療レジメン、または
1日4回投与の治療レジメン。
一実施形態において、この投与ステップは、治療を必要とする患者に、pro re nata(PRN)治療レジメンのとおりにこの化合物を投与することを含む。
一実施形態において、この投与ステップは、治療を必要とする患者に、
錠剤、
口腔内崩壊錠(ODT)、
スプレー、
ミスト、または
エアゾールとして、この化合物を投与することを含む。
臨床試験1
RCC治療用化合物[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル(本明細書において「AX-8」または「Gly-O-iPr」とも称される)の使用のための第1の臨床試験を開始したが、早期に終了した。試験の基本的な内容を以下の表に示す。
現在、一部の詳細はオンラインで閲覧可能である。
https://www.clinicaltrialsregister.eu/ctr-search/trial/2016-004803-30/GB
Figure 0007181426000003
臨床試験2
RCC治療用化合物[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル(本明細書において「AX-8」または「Gly-O-iPr」とも称される)の使用に対する第2の臨床試験(非盲検第IIa相)が完了したばかりである。試験の基本的な内容を次の表に示す。
現在、一部の詳細はオンラインで閲覧可能である。
https://www.clinicaltrialsregister.eu/ctr-search/trial/2017-003108-27/GB
Figure 0007181426000004
第2の臨床試験(以下詳細に記載される)を完了したところ、この化合物は、RCCを有する患者において予期しない鎮咳特性を有し、覚醒時の咳嗽頻度、咽喉刺激、咳嗽衝動、及び咳嗽重症度が低下することが判明した。化合物関連の悪影響は観察されなかった。
臨床試験で実証されたように、化合物の5mg用量は、咳嗽頻度の低減及び評価されたすべての咳嗽指標(すなわち、咳嗽重症度、咳嗽衝動、咽喉刺激)に対する視覚的評価スケール(VAS)スコアの低減によっても、RCC患者の咳嗽を改善する。
現在開発中のより高度なRCC薬(2018年3月に第3相臨床試験開始)であるMK-7264(AF-219及びGefapixantとしても知られる)が、咳嗽頻度の低減には効率的であるが、RCC患者におけるVASスコアの改善には効果が低いため、これは予想外である(例えば、Abdulqawi et al.,2015、Smith et al.,2017a、Smith et al.,2017b、Smith et al.,2020を参照されたい)。咳嗽重症度は、1日当たり50mg及び1200mg用量でのみ有意に改善し、81%及び100%の患者で味覚に関連する有害事象(すなわち、味覚異常、味覚鈍麻、または味覚消失)がそれぞれ認められた。咳嗽衝動は、1日1200mg用量のみで有意に改善することが示された。第3相臨床試験(NCT03449134及びNCT03449147、2020年6月現在も継続中)は、15mg及び45mg用量のMK-7264を研究中である。
AX-8は、RCC患者における咽頭刺激を低減することが示されている唯一の化合物である。
試験目的
AX-8の生物学的利用能及び安全性は、かねてより健常なヒト対象における第1相試験で研究されている。しかしながら、これまで慢性咳嗽(CC)患者においてAX-8は研究されていなかった。この試験は、難治性慢性咳嗽(RCC)の治療のためのAX-8の有効性、安全性、及び忍容性のパイロット試験であった。
この試験の主な目的は、将来の無作為化比較試験を計画する目的で、覚醒時の咳嗽頻度をベースラインと比較して低減させるための、治療における1回投与(5mgのAX-8を有する口腔内崩壊錠(ODT)を経口投与し、舌上で溶解させる)後のRCC及び関連する上気道症状の治療に対するAX-8(試験薬)の有効性を評価することであった。
この試験の第2の目的は、24時間のモニタリング期間にわたって対象の時間当たりの咳嗽頻度を低減させるという点で、治療における1回投与後のAX-8の有効性の持続時間を評定することであった。
この試験の追加の第2の目的は、以下におけるAX-8の有効性を評定することであった。(a)視覚的評価スケール(VAS)によって測定される咳嗽重症度を低減させること、(b)咽頭刺激及び咳嗽衝動を低減させること(VAS)、(c)咽喉冷却感覚を誘発すること(VAS)。
この試験の追加の第2の目的は、RCC患者におけるAX-8治療の安全性及び忍容性を評価することであった。
調査の目的(開始後に研究に追加)は、AX-8の薬物動態(PK)プロファイルを評定することであった。
倫理、承認、及び実施場所
すべての関連文書を含む試験実施計画書は、適切な独立した倫理委員会によって審査及び承認された。この試験は、現行版のヘルシンキ宣言(52nd WMA General Assembly,Edinburgh,Scotland、2000年10月)に従って実施した。この試験は、医薬品規制調和国際会議(the International Conference on Harmonisation)(ICH)ガイドラインの医薬品の臨床試験の実施の基準(GCP)に沿って行った。この試験は、医薬品・医療製品規制庁(MHRA)の要件に準拠して実施した。すべての患者は、スクリーニングを受ける前に、この試験に参加するための書面によるインフォームドコンセント(ICF)を提供した。この試験は、NIHR Manchester Clinical Research Facility(CRF)、Manchester University NHS Foundation Trust(MFT)(Southmoor Rd、Wythenshawe、Manchester M23 9LT、UK)において行った。
試験時期
この試験は、5つの期間、合計約4週間の試験期間で構成されていた。
Figure 0007181426000005
スクリーニング期間中に、対象は適格性の評定を受け、登録された。
0日目(来診2、ベースライン来診)に、適格な対象は、24時間にわたって咳嗽のモニタリングを行い、クリニックにおいて4時間にわたって、咳嗽衝動(UTC)、咳嗽重症度、及び咽喉刺激を、VASを使用して個別に評価し、自宅での患者日記を用いて追跡調査した。
対象は、0日目の来診前に一晩(少なくとも8時間)絶食しなければならなかった。対象が咳嗽モニターを取り付ける少なくとも30分前に、ユニットにおいて朝食を提供した。咳嗽モニターの取り付け後4時間は食事を許可しなかった。咳嗽モニターを取り付ける時間までは液体を許可し、咳嗽モニター取り付け後2時間までは液体(水を含む)を許可せず、2時間後は、合理的な量のみの水を許可した。4時間後は、食品または液体の制限は適用しなかった。
1日目(来診3、治療来診)に、適格な対象は、5mgのAX-8ODT1錠を服用した。24時間にわたって咳嗽モニタリングを実施し、UTC、咳嗽重症度、咽喉刺激、咽頭冷却、及び味覚認識に対する異なったVASを、クリニックにおいて投薬後4時間にわたってVASを使用して評価し、自宅での患者日記を用いて追跡調査した。
対象は、1日目の来診前に一晩(少なくとも8時間)絶食しなければならなかった。対象がAX-8の投与を受ける少なくとも30分前に、朝食をユニット内で提供した。用量投与後4時間は食事を許可しなかった。用量投与時までは液体を許可し、投与後2時間までは液体(水を含む)を許可せず、2時間後は、合理的な量のみの水を許可した。4時間後は、食品または液体の制限は適用しなかった。
有効性の主要評価項目は、治療の1日後に評価した。
2日目(来診4、追跡来診)に咳嗽モニターを取り外し、患者日記を返却させた。
1日目の7~14日後(来診5、試験終了来診)に、試験終了来診を実施した。
試験薬を服用後、試験終了来診を完了する前に試験から離脱した対象に、早期離脱来診(Early Withdrawal Visit)(EWV)を完了させ、それによって試験終了来診と同じ手順を実施した。
登録
RCCの既往歴及び関連する上気道症状(すなわち、咳嗽発現に関連する咽喉刺激/むずむず感)を有する成人対象を本試験に登録した。
参加基準
臨床試験に登録するためには、対象は以下の基準を満たさなければならなかった。
●18歳~80歳までを含む男女であること。
●少なくとも1年間の間、RCCまたは原因不明咳嗽の診断を受け(英国胸部疾患学会(BTS)ガイドラインを参照されたい)、少なくとも8週間持続する、関連する上気道症状(咽喉または喉頭刺激、むずむず感、乾燥または不快感)を有すること。病歴によって確認されるように、1日を通して発生する予測される毎日の咳嗽発現を伴う規則的パターンの咳嗽。
●治験責任医師及び医療監督者(Medical Monitor)の意見では、過去5年以内の胸部X線撮影または胸部コンピュータ断層撮影スキャンで、慢性咳嗽に重大な寄与を示すと考えられる異常が認められなかったこと。
●スクリーニング来診時に、咳嗽重症度VASのスコアが40mm以上であること。
●ベースライン来診時に、咳嗽重症度VASのスコアが40mm以上であること。
●妊娠可能性があるすべての女性対象は、最初のスクリーニング来診時から試験薬の最終投与の4週間後まで、非常に効果的な避妊(すなわち、失敗確率が年間1%未満の妊娠予防法)を実施しなければならないこと。
●ベースライン来診時に、肥満指数(BMI)33kg/m未満であること。
●実施計画書のあらゆる側面に従う意思があり、それを遵守することができること。
●書面によるインフォームドコンセントを提出したこと。
除外基準
以下のいずれかの基準を満たした対象は、本臨床試験への参加資格を有しなかった。
●AX-8を用いた以前の治療。
●AX-8または他のTRPM8アゴニスト(例えば、メントール、メントール様化合物)、またはAX-8ODTの任意の賦形剤に対する過敏症または不耐性があること。
●現在喫煙者である者、または過去12ヶ月以内に禁煙した者、または年間20パックを超える元喫煙者であること。
●努力呼気肺活量の1秒量(FEV1)/努力性肺活量(FVC)が60%未満であること。
●ベースライン来診から4週間以内の上気道または下気道感染の既往歴、または最近の肺状態の有意な変化があること。
●嚢胞性線維症の病歴があること。
●RCCの治療に使用した場合、ベースライン来診から1週間以内のオピオイド使用履歴があること。他の適応症に必要な場合、オピオイドは、対象がベースライン来診前に少なくとも1週間安定した用量を服用し、依然として厄介な咳嗽が続いていることを条件として許容される。対象は、追跡来診まで、試験期間中、安定した用量を維持しなければならない。
●禁止薬剤との併用療法を必要とすること。
●ベースライン来診前に、8週間または5半減期(いずれか長い方)以内で生物学的療法により治療していること。
●ベースライン来診前4週間以内に任意の治験療法により治療していること。
●スクリーニング中、総ビリルビン、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)が、基準値上限(ULN)の2倍を超えると定義される、肝機能の臨床的に有意な異常があること。
●推定糸球体濾過率(eGFR)が60ml/分未満と定義される、腎機能の臨床的に有意な異常があること。
●あらゆる薬物乱用試験が陽性であること(これは対象の投薬によって説明できる場合を除く)。
●ベースライン来診前5年以内の悪性腫瘍の病歴(完全に治療された非転移性基底細胞癌または皮膚の扁平上皮癌を除く)があること。
●重大な精神疾患(大うつ病性障害、双極性障害、または統合失調症を含む)、自殺念慮、または自殺未遂の病歴があること。
●活動性肝炎感染症が既知であること。
●ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の既往歴があること。
●治験責任医師の意見で、スクリーニング来診、ベースライン来診、または治療来診中の臨床的に有意なECG異常を含む、本臨床試験における安全性または有効性の評価を妨げる、または対象の安全性を損なう可能性のある任意の医学的疾患または障害の存在があること。
●現在妊娠中または授乳中の女性対象、または妊娠中または授乳中のパートナーを有する男性対象であること。
●非常に効果的な避妊(妊娠予防)を行うことができない、または行う意思がない、妊娠可能性のある女性であること。
患者は、理由を説明することなく、いつでも試験から離脱することができた。治験責任医師は、安全性または倫理的な理由から適切であると判断した場合、または患者の健康を損なうと判断した場合、患者を試験から離脱させることもできた。試験実施計画書には、募集から薬物投与の間に以下の事象が発生した場合、対象は試験を中止しなければならないことが明記されていた。
●女性の対象が妊娠した場合。
●対象が試験の中止を決定するか、または対象が試験から同意を撤回することを決定した場合。
●治験責任医師の見解により、試験薬が投与された場合に対象の安全性を危険にさらす可能性のある医学的状態となった場合。
●治験責任医師の見解により、中止が対象にとって最善の利益になると判断された場合。
最終的に、試験を中止した患者はなく、その結果、EWVは実施されなかった。
合計16名の患者をスクリーニングした。計12名の患者が治療を受け、試験を完了した。12名の患者について、有効性及び安全性データを分析した。標本の大きさは、ベースライン測定と比較して、大きさ及び期間の観点から、単回投与療法の鎮咳効果を推定するために10~15人の患者が十分であると考えられた。
治療
対象は、治療期間の初日(1日目)の朝に、AX-8を5mg含む口腔内崩壊錠(ODT)1錠を服用した。この治験薬(IMP)を舌上で溶解させた。患者を5分間観察し、錠剤が舌上で溶解し、飲み込まれないことを確認した。
1日目(来診3、治療来診)に、0日目(来診2、ベースライン来診)からの咳嗽モニターを取り外した後、午前10時前にODTを投与した。(RCC患者は主に昼間に咳をするため)。
AX-8ODTは、Ludiflash(登録商標)(マンニトール、Kollidon(登録商標)CL-SF、Kollicoat(登録商標)SR 30D)、ソルビトール、無水コロイドシリカ、及びステアリン酸マグネシウムも含有する。IMPバッチ番号は17081402(有効期限は2018年11月)であった。ODTは、投与するまで、元の包装(すなわち、50錠を含有するポリプロピレンねじ切りキャップを有するHDPEボトル)に保管した。ODTは、試験参加施設の安全で温度管理され(30℃を超えない)、アクセス管理された場所に保管した。
AX-8の5mg用量は、健常なボランティアにおける第1相試験で実証されているように、5mgのODT用量レベルでのAX-8の良好な安全性及び忍容性プロファイルに基づいて、この試験のために選択された。その研究では、AX-8は、単回投与のAX-8に曝露された12人の対象において忍容性は良好であり、顕著な有害事象(AE)はなかった。
すべての試験治療は、治験責任医師または指定されたスタッフによって施された。薬の記録保存義務を確実にするために、治験責任医師または指定された代理人は、薬物を受領した日付と量、調剤先、及び誤ってまたは意図的に破壊したあらゆる供給品の理由について、正確に記録し続けた。これらの詳細は、薬の記録保存フォームに記録された。すべての未使用の臨床供給品及び薬の記録保存フォームは、試験終了時に返却された。
前療法及び併用療法
併用療法には、治療の開始から追跡期間を通して対象が使用した任意の療法(市販(OTC)薬を含む)が含まれた。使用されたすべての薬剤は、試験を通じて各対象について記録され続けた。記録された情報には、薬物の種類、治療期間、投与レジメン、投与経路、及び薬の適応症の説明が含まれていた。
経口避妊薬、ホルモン補充療法、または療法から除外されていない他の維持療法を使用中の対象は、試験中にその使用を継続することができた。すべての併用療法を各対象について記録し続けた。
以下の療法及び製品は、すべての来診日前及び来診日の過去6時間以内に除外した。
●咳止め用菓子、市販の咳止めシロップ、チューイングガム、カフェイン、唐辛子、またはミント及び/またはメントールを含む製品の来診日前及び来診日の過去6時間以内の摂取。
ベースライン来診(0日目、来診2)の1週間前から追跡来診(2日目、来診4)の終了まで、以下の療法を除外した。
●オピオイド(コデイン及びモルヒネを含む)。他の適応症に必要な場合、オピオイド(コデインを含む)は、対象がベースライン来診(0日目)の少なくとも1週間前に安定した用量を服用し、依然として厄介な咳が止まらないこと条件として許可された。対象は、治療期間中、安定した用量を維持しなければならなかった。
以下の咳止め療法は、ベースライン来診(0日目、来診2)の2週間前から試験終了来診(来診5)まで除外された。
●デキストロメトルファン、
●グアイフェネシン。
以下の療法は、ベースライン来診(0日目、来診2)の2週間前から試験終了来診(来診5)まで除外された。
●咳嗽治療用のプレガバリン、ガバペンチン、サリドマイド、またはアミトリプチリン。他の適応症に必要な場合、プレガバリン、ガバペンチン、サリドマイド、またはアミトリプチリンは、対象が安定した用量を服用し、依然として厄介な咳が止まらない場合に許可された。対象は、治療期間中、安定した用量を維持しなければならなかった。
以下の療法は、ベースライン来診(0日目、来診2)の4週間前から試験終了来診(来診5)まで除外された。
●全身免疫抑制/免疫調節療法(PDE4阻害剤、シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル、メトトレキセート、アザチオプリン、または光線療法を含むがこれらに限定されない);
●あらゆる治験療法。
以下の療法は、ベースライン来診(0日目、来診2)の8週間前から試験来診の終了(来診5)まで除外された。
●生物学的療法、
●治験中の生物学的療法。
以下の療法は、ベースライン来診(0日目、来診2)の12週間前から試験終了来診(来診5)まで除外された。
●ACE阻害剤による治療。
対象には、治療来診(1日目、来診3)から試験終了来診(来診5)まで、紫外線(例えば、日光、日焼け室)への曝露を最小限に抑えるための適切な措置を講じるように求めた。
有効性の評価
客観的咳嗽頻度
客観的咳嗽頻度を、特注のデジタル記録装置(VitaloJAK,Vitalograph,Ltd)を使用して、24時間の録音として測定した。
VitaloJAK(商標)は、日常的な診療を完全に再現する方法で動作する半自動化された携帯型24時間咳嗽モニタリングシステム(Vitalograph;Buckinghamshire,England)である。24時間記録は、アルゴリズムを使用した特別設計の圧縮ソフトウェアを使用して、圧縮される。VitaloJA(商標)は、咳嗽頻度を客観的に測定するための信頼性が高く、堅牢で効率的なツールである。重要なことに、録音された咳嗽音の100%近くを保持しながら、24時間録音を最大98%削減する。患者の胸壁に単一のセンサーが貼り付けられ、ホルターモニターのように装着される。従来のマイクロフォンを介した任意選択的な第2のチャネル(例えば、患者のシャツに装着される)は、人間の介入による品質保証を可能にする。装置自体は、ズボン、スカートなどに取り付けられる。
咳嗽重症度
咳嗽重症度は、指定された時点で100mmの視覚的評価スケール(VAS)でスコア化した。患者は、2つの極限間(例えば、「咳なし」及び「最悪の咳」)の100mmの線に沿った位置を(例えば、ペンを使って)マーキングすることによって、彼らの評価を示すように求められた。
咳嗽衝動(UTC)
指定された時点で、100mmのVASにおいて咳嗽衝動がスコア化された。
咽喉刺激
指定された時点で、100mmのVASにおいて咽喉刺激がスコア化された。
咽喉冷却
指定された時点で、100mmのVASにおいて咽喉冷却がスコア化された。
変化スケールのグローバル評価(Global Rating of Change Scale)(GRCS)
GRCSは、指定された期間(投与後4時間、及び投与後24時間)の全体的な状態を評価するために対象によって使用された。それは「非常に良好」から「非常に悪い」までの範囲の14段階の尺度で構成されていた。
味覚アンケート
単純な味覚観察(定性的)が完了した。指定された時点で、100mmのVASにおいて、鮮度、基本的な味覚(すなわち、甘味、酸味、苦味、及び塩味)、ならびに美味性がスコア化された。
安全性の評価
安全性評価は、試験実施計画書で定義された有害事象(AE)及び重篤な有害事象(SAE)、バイタルサイン、理学的検査、臨床検査評価、心電図(ECG)、ならびに試験薬の安全性評定に重要であると判断された試験実施計画書で指定された他の試験を、モニタリング及び記録することで構成されていた。
バイタルサインには、心拍数、座位血圧、呼吸数、及び体温の測定が含まれていた。バイタルサインは、特定の時点及び臨床上指定された予定外の試験来診において評価した。対象の身長及び体重も測定した。
理学的検査は、特定の時点及び臨床上指定された予定外の試験来診において実施し、主要な身体器官(耳、目、鼻、及び咽喉、頭、首、甲状腺、神経系、呼吸器系、心臓血管系、リンパ節、腹部、皮膚、筋骨格、神経系の評価)を網羅した。
血液学検査、化学検査、尿検査、及び血清妊娠検査(必要に応じて)のための試料は、特定の時点及び臨床上指定された予定外の試験来診において採取し、別途指定されない限り、近隣の研究室において分析した。
臨床検査の評価には、以下のものが含まれていた。
●血液学:ヘマトクリット、ヘモグロビン、赤血球数、赤血球指数、血小板、白血球数、白血球分画(好中球、リンパ球、単球、好塩基球、好酸球)。
●化学:ナトリウム、カリウム、クロール、炭酸水素塩、グルコース、血清尿素窒素、クレアチニン、eGFR、カルシウム、リン、マグネシウム、アルブミン、ALT、AST、アルカリホスファターゼ、総ビリルビン、LDH、尿酸、総タンパク質、脂質パネル。
●妊娠検査:すべての妊娠可能性のある女性は、近医において尿妊娠検査を実施した。尿妊娠検査の陽性または判然としない結果は、近隣の研究所で分析した血清妊娠検査によって確認した。血清妊娠検査はスクリーニング来診(来診1)において行った。
●尿検査:pH、比重、ビリルビン、グルコース、ケトン、白血球、亜硝酸塩、潜血、タンパク質、ウロビリノーゲン、顕微鏡分析。
標準的な12誘導ECGは、特定の時点及び臨床上指定された予定外の試験来診において実施した。
肺機能検査(FEV1、FVC及びFEV1/FVC比)を、スパイロメータを使用して評価した。
●努力呼気肺活量の1秒量(FEV1)とは、スパイロメータを使用して1秒間に呼出した空気量である。
●努力性肺活量(FVC)とは、一回の呼吸で呼出することができる空気の総量である。
●FEV1をFVCで割ったもの(FEV1/FVC)。これは1秒間に呼出することができる合計の比率である。
活性及び評価のスケジュール
あらゆる除外療法の中止を含む、試験実施計画書で指定された手順の前にインフォームドコンセントを取得した。
スクリーニング来診(来診1)
スクリーニング評価は、ベースライン来診前の14日間にわたって実施した。スクリーニング期間は、スクリーニング評価のいずれかの所見に対する追加の追跡が必要な場合、14日を超えて延長することができた。
以下のスクリーニング手順を実施した(以下の順序は指定されたものではない)。
●参加/除外基準の調査。
●人口統計及び病歴(慢性咳嗽の病歴、スクリーニング来診前30日以内の任意の薬物療法の病歴、及びスクリーニング来診前1年以内の慢性咳嗽治療を含む)。
●理学的検査
●バイタルサイン(身長及び体重を含む)。
●12誘導ECG。
●スパイロメトリー。
●胸部X線撮影または胸部CT撮影(過去5年以内に行っていない場合)。
●臨床検査:
●妊娠可能性のある女性に対する血清妊娠検査。
●血液学。
●化学。
●尿検査。
●尿中薬物スクリーニング。
●咳嗽重症度VAS評価。
●咳嗽衝動VAS評価。
●咽喉刺激VAS評価。
●ベースライン来診のスケジュール設定。
ベースライン来診(来診2、0日目)
ベースライン来診では、以下の手順及び評価が実施された(以下の順序は指定されたものではない):
●参加/除外基準の調査。
●病歴の更新。
●使用しているすべての併用薬の記録。
●バイタルサイン。
●12誘導ECG。
●臨床検査:
●妊娠可能性のある女性に対する尿妊娠検査。
●尿中薬物スクリーニング。
●対象にVAS日記を提供し、自宅で+5時間及び+6時間においてVAS評価を完了するように指示(下記参照)。
●ベースライン来診咳嗽モニターの取り付け及び起動(好ましくは午前10時前)。
●咳嗽重症度VAS評価:
咳嗽モニターの取り付け前:
-30分
咳嗽モニターの取り付け後:
+1、+2、+3、+4、+5、+6時間。
●咳嗽衝動VAS評価:
咳嗽モニターの取り付け前:
-30分
咳嗽モニターの取り付け後:
+1、+2、+3、+4、+5、+6時間。
●咽喉刺激VAS評価:
咳嗽モニターの取り付け前:
-30分
咳嗽モニターの取り付け後:
+1、+2、+3、+4、+5、+6時間。
●治療来診のスケジュール設定。
+5及び+6時間でのVAS評価は、患者がVAS日記を使用して自宅で完了した。他のすべての時点でのVAS評価は、ユニット内で完了した。すべてのVAS時点で+/-5分の時間枠を許容した。
治療来診(来診3、1日目):
0日目にベースライン来診咳嗽モニターが取り付けられてから少なくとも24時間後、好ましくは午前10時前に、以下の作業がクリニックスタッフによって実施された(以下の順序は指定されたものではない):
●ベースライン来診咳嗽モニターの取り外し。
●病歴の更新。
●使用しているすべての併用薬の記録。
●参加/除外基準の調査。
●すべての参加及び除外基準が満たされた場合、患者を試験に登録する。
●バイタルサイン:投与前及び投与後4時間。
●12誘導ECG(投与前)。
●臨床検査:
●薬物乱用の尿検査。
●薬物動態(PK)試料の採取。
●対象にVAS日記を提供し、自宅で+5時間及び+6時間においてVAS評価を完了するように指示(下記参照)。
●投与前の、治療来診咳嗽モニターの取り付け及び起動。
●試験薬の用量投与(好ましくは午前10時前)。
●咳嗽重症度VAS評価
投与前:
-30分
投与後:
+1、+2、+3、+4、+5、+6時間。
●咳嗽衝動VAS評価
投与前:
-30分
投与後:
+1、+2、+3、+4、+5、+6時間。
●咽喉刺激VAS評価
投与前:
-30分
投与後:
+1、+2、+3、+4、+5、+6時間。
●咽喉冷却VAS評価
投与前:
-30分
投与後:
+1、+2、+3、+4、+5、+6時間。
●投与4時間後のGRCS評価。
●追跡来診のスケジュール設定。
●治験責任医師が安全であることを確認すると、対象は投与完了後4時間の評価後にユニットから退出することができた。
+5及び+6時間でのVAS評価は、患者がVAS日記を使用して自宅で完了した。他のすべての時点でのVAS評価は、ユニット内で完了した。すべてのVAS時点で+/-5分の時間枠を許容した。
追跡来診(来診4、2日目):
治療来診咳嗽モニターが取り付けられて(1日目)から少なくとも24時間後、以下の作業がクリニックスタッフによって実施された(以下の順序は指定されたものではない):
●治療来診咳嗽モニターの取り外し。
●VAS日記の回収及び欠落がないか確認。
●以下による治療日(24時間)の全体的な印象:
●咳嗽重症度VAS評価。
●咳嗽衝動VAS評価。
●咽喉刺激VAS評価。
●咽喉冷却VAS評価。
●GRCS評価。
●すべての有害事象の記録。
●使用しているすべての併用薬の記録。
●試験終了来診のスケジュール設定。
試験終了来診(来診5):
7日目から14日目にかけて、クリニックにおいて以下の手順及び評定を実施した。この来診では、クリニックスタッフが以下の手順及び評価を行った(以下の順序は指定されたものではない):
●咳嗽重症度VAS評価。
●咳嗽衝動VAS評価。
●咽喉刺激VAS評価
●GRCS評価。
●バイタルサイン。
●体重。
●理学的検査。
●12誘導ECG。
●臨床検査:
●血液学。
●化学。
●尿検査。
●妊娠可能性のある女性に対する尿妊娠検査。
●すべての有害事象の記録。
●使用しているすべての併用薬の記録。
以下の表は、各種手順及び評定の時期をまとめたものである。
Figure 0007181426000006
Figure 0007181426000007
留意点:
Figure 0007181426000008
評価項目
有効性の主要評価項目は、治療の1回投与後24時間にわたる覚醒時客観的咳嗽頻度のベースラインからの変化であった。
主要な副次的有効性評価項目は以下のとおりであった。
●24時間のモニタリング期間にわたる、時間当たりの客観的咳嗽頻度のベースラインからの変化。
●24時間の咳嗽頻度が時間当たり30%以上低減した対象の割合。
●覚醒時咳嗽頻度が時間当たり30%以上低減した対象の割合。
●咳嗽重症度VASのベースラインからの変化。
●咳嗽衝動VASのベースラインからの変化。
●咽喉刺激のベースラインからの変化。
●咽喉冷却VAS。
●変化スケールのグローバル評価(GRCS)
有効性に関する変数(Efficacy Variables)
指定された来診での24時間の咳嗽頻度(時間当たりの咳嗽)は、以下のように計算した。
24時間の咳嗽頻度=(モニタリング期間中(24時間間隔)の咳嗽事象の総数)/24。
覚醒時咳嗽頻度(時間当たりの咳嗽)は以下のように定義される。
覚醒時咳嗽頻度=(モニタリング期間(24時間間隔)中の対象が覚醒している間の咳嗽事象の総数)/(モニタリング期間(24時間間隔)中の対象が覚醒している合計期間(時間))。
覚醒期間(時間)は、24時間のモニタリング期間中の覚醒から睡眠までの時間として定義された。
咳嗽データには、その24時間のモニタリング期間中に発生したすべての咳嗽事象と、「睡眠時間」及び「覚醒時間」に関する情報が含まれる。記録期間が4時間未満のセッションは欠落と見なされた。
一般に、各24時間のセッションは、覚醒時モニタリング期間及び睡眠時モニタリング期間で構成されていた。記録セッション終了前に対象が覚醒しなかった場合は、対象は残りのセッションで眠っていたと仮定した。その後、そのセッションには覚醒時間がなく、残りのセッションは睡眠時モニタリング期間として検討される。睡眠時間と覚醒時間の両方が欠落しているすべてのセッションについては、セッションが記録を早期終了する場合を除き、24時間セッション全体が覚醒時モニタリング期間として検討された。
各採取日において、咳嗽数、実際の咳嗽モニタリング期間(時間)、及び時間当たりの咳嗽は、合計24時間、覚醒期間、及び睡眠期間についてそれぞれ導出された。
時間当たりの覚醒時咳嗽の変化百分率は、以下のように定義される。
覚醒時咳嗽頻度の変化百分率=[(覚醒時咳嗽頻度のベースラインからの変化×100)/(覚醒時咳嗽頻度のベースライン)]。
覚醒時咳嗽頻度がベースラインから30%以上低減した参加者の割合は、覚醒時咳嗽頻度が-30%以下に変化した参加者の数を、利用可能なデータを有する参加者の総数で除したものである。
24時間咳嗽頻度の幾何平均(95%信頼区間(CI))が示された場合、時間当たりの咳嗽がゼロである所見は、幾何平均の計算において咳嗽率0.1/時間で置き換えられた。
患者の参加状況
2017年12月12日~2018年5月16日の間に16名の患者をスクリーニングし、2018年1月8日~2018年6月11日の間に11名の患者が試験終了来診を完了した。
患者の参加状況を以下の表にまとめた。
Figure 0007181426000009
Figure 0007181426000010
Figure 0007181426000011
患者の人口統計
12名の患者の人口統計を以下の表にまとめる。
Figure 0007181426000012
結果-咳嗽頻度
投与時間に対する時間当たりの咳嗽カウント生データを、フル・アナリシス・セット(Full Analysis Set)にプロットし、最初のステップとして解析した。
図1は咳嗽頻度中央値(咳嗽/時間)対治療後時間(時間)のグラフである(ベースライン(白丸)及び治療(黒丸))。
データは、5mgのAX-8の単回用量での治療が、ベースラインと比較して、約8時間にわたって時間当たりの咳嗽頻度に対し改善をもたらしたことを示唆している。
5つの時間枠(24時間、覚醒時、睡眠時、8時間、4時間)の各々について、咳嗽頻度の要約データを以下の表に示す。
Figure 0007181426000013
覚醒時及び睡眠時の咳嗽頻度については、データの性質にズレがあるため、ベースライン及び治療データをウィルコクソンの符号順位検定を使用して比較した。データを以下の表にまとめる。
Figure 0007181426000014
これらのデータは、覚醒時の咳嗽頻度の有意な低下を示唆している(64.1から54.8へ、14.5%低下)。睡眠時、咳嗽頻度は、はるかに低く、より可変性があり、したがって、咳嗽率は数値的に低下する(7.1から3.7へ、48%低下)が、この差は、使用する試料サイズ(12人)に対し統計的に有意ではない可能性がある。
24時間、8時間、及び4時間の咳嗽頻度について、ベースライン及び治療データを、一般推定方程式(GEE)モデルを用いて比較した。解析前に、これらの咳嗽カウントデータは、データ分布を正規化するため自然対数(Ln)変換した。いくつかの個体の時間当たりの咳嗽カウントがゼロであったため、変換前にすべての値に0.1を加えた。データを以下の表にまとめる。
Figure 0007181426000015
これらのデータにより、4時間の期間及び8時間の期間の両方で、ベースラインと比較して、治療に対し時間当たりの咳嗽頻度が有意に改善されたことが示唆される。効果は8時間後に減少する可能性があるため、24時間の全記録期間にわたって分析した場合、咳嗽頻度は有意に低減しないように見える。
5つの各時間枠(覚醒時、睡眠時、24時間、8時間、4時間)の対象のデータをそれぞれ図2~6に示す。
図2は、ベースライン及び治療の両方について、12人の患者それぞれの覚醒時平均咳嗽頻度(咳嗽/時間)を示すグラフである。
図3は、ベースライン及び治療の両方について、12人の患者それぞれの睡眠時平均咳嗽頻度(咳嗽/時間)を示すグラフである。
図4は、治療後24時間及び同等のベースライン期間中における、12人の患者それぞれの平均咳嗽頻度(咳嗽/時間)を示すグラフである。
(その後、図2、図3、及び図4で報告された値は、「平均」値であり、当初報告された「中央値」ではないと判定された。)
図5は、治療後8時間及び同等のベースライン期間中における、12人の患者それぞれの咳嗽頻度中央値(咳嗽/時間)を示すグラフである。
図6は、治療後4時間及び同等のベースライン期間中における、12人の患者それぞれの咳嗽頻度中央値(咳嗽/時間)を示すグラフである。
データは以下について示している。
●4/12人の対象(33.3%)は、時間当たりの覚醒時咳嗽頻度が30%以上低減した。
●4/12人の対象(33.3%)は、時間当たりの24時間咳嗽頻度が30%以上低減した。
●5/12人の対象(41.7%)は、時間当たりの4時間咳嗽頻度が30%以上低減した。
●7/12人の対象(58.3%)は、時間当たりの8時間咳嗽頻度が30%以上低減した。
結果-咳嗽重症度と関連する感覚
様々な時点で、患者は100mmの視覚的評価スケール(VAS)を使用して、咳嗽重症度、咽喉刺激、咳嗽衝動、及び咽喉冷却を報告するように求められた。
スクリーニング来診及び試験終了来診のデータ、ならびに追跡来診のデータ(投与後の24時間以上の全体期間の評価)を以下の表に示す。
Figure 0007181426000016
データは、治療後の咳嗽重症度が実質的に低下したことを示している(スクリーニング時の61.5から、追跡時に47.0になり、次いで試験終了時に64.0に戻った)。同様に、データは、治療後の咽喉刺激が実質的に低下したことを示している(スクリーニング時の55.0から、追跡時に9.0になり、次いで試験終了時に47.0に戻った)。最後に、データは、治療後の咳嗽衝動も低下したことを示している(スクリーニング時の51.5から、追跡時に46.0になり、次いで試験終了時に57.0に戻った)。
治療直前及び治療後6時間にわたる時間ごとの咳嗽重症度、咽頭刺激、咳嗽衝動、咽喉冷却のデータを図7~10に示す。(咽喉冷却は、治療後の最初の3時間について、半時間ごとに評価した。)
図7はベースライン(下向き白三角形)及び治療(下向き黒三角形)についての、咳嗽重症度中央値(VAS)(mm)と治療後時間(時間)のグラフである(ベースライン。
図8はベースライン(白菱形)及び治療(黒菱形)についての、咳嗽衝動中央値(VAS)(mm)対治療後時間(時間)のグラフである。
図9はベースライン(白正方形)及び治療(黒正方形)についての、咽喉刺激中央値(VAS)(mm)対治療後時間(時間)のグラフである。
図10は咽喉冷却中央値(VAS)(mm)対治療後時間(時間)のグラフである(上向き黒三角形)。
咳嗽重症度データは、最初の1時間からの低減が6時間のモニタリング中持続したと患者が認識したことを示している(図7参照)。また、咳嗽衝動データは、最初の1時間からの改善が6時間のモニタリング中持続したことを示しており、見かけ上の最大値は約3時間目であった(図8参照)。また、咽喉刺激データは、最初の1時間からの改善が6時間のモニタリング中持続したことを示している。しかしながら、ベースライン日と比較するとベースラインは治療の方へ低くなっている(図9参照)。咽喉冷却データは、30分後にのみ増加し、1時間後以降はほとんど差がなかった(図10参照)。
図11は、左側に、咳嗽衝動中央値(VAS)(mm)(黒菱形)、咽喉刺激中央値(VAS)(mm)(黒正方形)、及び咽喉冷却中央値(VAS)(mm)(上向き黒三角形)及び右側に、咳嗽頻度中央値(咳嗽/時間)(ベースライン(白丸)及び治療後(黒丸))対、治療後時間(時間)を示す、複合グラフである。
咽喉刺激、咳嗽衝動、咽喉冷却のデータと咳嗽頻度(ベースライン及び治療)のデータを重ね合わせると(図11参照)、感覚と期待できる鎮咳効果との間の時間的関係を評価することができる。データによると、咽喉冷却感覚は、その後の咽喉刺激及び咳嗽衝動の改善に先行していた(及びそれ以前に回復していた)ことが示唆されている。これは、主な作用メカニズムが反対刺激の1つではないことを示唆している。これはまた、患者が即時的効果(すなわち、咽喉冷却)の収まることを経験するため、観察された効果(例えば、咳嗽頻度の低減)がプラセボ効果のみに起因するものではないことも示唆している。データはまた、咽喉刺激及び咳嗽衝動の改善が、咳嗽頻度の改善の前兆である可能性も示唆している。
結果-変化スケールのグローバル評価(GRCS)
治療4時間後及び治療24時間後に得られた変化スケールのグローバル評価(GRCS)の評価データを以下の表に要約する。
Figure 0007181426000017
有効性の結論
データに基づいて、以下の結論が得られ得る。
●AX-8は、この非対照パイロット試験において、難治性慢性咳嗽(RCC)患者の覚醒時間中の咳嗽頻度をベースライン(療法なし)と比較して有意に低減させた。
●この効果は4~8時間にわたって最も顕著に現れているようである。
●この効果は、患者報告による咳嗽重症度の低減を伴った。
●この効果はまた、患者報告による咽喉刺激及び咳嗽衝動の低減を伴った。これらはいずれも、難治性慢性咳の患者の咳に関連する感覚である。
●咽喉冷却は一過性でしかなく、咳嗽頻度、咳嗽重症度、及び咳嗽関連感覚の改善に先行しているように見えた。
更なる研究:作用機序
化合物[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステル(本明細書において「AX-8」または「Gly-O-iPr」とも称される)が、慢性咳嗽(CC)(例えば、難治性慢性咳嗽(RCC)及び特発性慢性咳嗽(ICC)を含む)の治療において作用する作用機序は、部分的にCC(例えば、RCC、ICCを含む)のメカニズムがまだ十分には理解されていないため、まだ完全には理解されていない。
この化合物は、冷感及びメントール受容体1(CMR1)とも称される、TRPM8(transient receptor potential melastatin 8)陽イオンチャネルのアゴニストである。
しかしながら、エビデンスにより、他のTRPM8アゴニスト及び既知の鎮咳薬と比較して、この化合物のいくつかの特性(例えば、局所的作用機序、高い力価、TRPM8に対する高い選択性、特定のターゲット組織、例えば、非角化層状上皮(non-keratinized stratified epithelia)-NKSEに対する高い有効性)の独自の組み合わせが、CC(例えば、RCC、ICCを含む)の治療に対し、その予期しない有効性を上昇させることが示唆されている。
メントールは、TRPM8イオンチャネルの典型的なアゴニストである。メントールは、数十年にわたって市販(OTC)の鎮咳剤治療に使用されてきた。いくつかの研究で有意な鎮咳効果を示すことができなかったにもかかわらず、メントールの有効性は急性咳嗽において認められている(例えば、Kenia et al.,2008、Haidl et al.,2001を参照されたい)。メントールがCC患者の慢性咳嗽を改善することは示されていないが、メントールが誘発性咳嗽を改善することは示されている(例えば、Millqvist et al.,2013を参照されたい)。さらにメントールは、気道刺激、呼吸困難、毛様体活動低下による粘液停滞を同時に伴う粘液産生の増加、胸部圧迫感、及び主に小児が吸入した際は呼吸不全の可能性といった有害反応を誘発し、経口投与の場合、胃酸逆流及び胸やけといった有害反応を誘発する可能性がある(例えば、Gavliakova et al.,2013を参照されたい)。
メントールの鎮咳効果(例えば、Maher et al.,2014を参照されたい)及びその副作用のいくつかは、TRPM8の他のターゲットに対する活性に起因し得る。TRPチャネル(TRPA1、TRPV1、TRPV3、例えば、Takaishi et al.,2016を参照されたい)、他のリガンド依存性チャネル(例えば、GABAa、Glycine、nACh、及び5-HT3受容体)、Gタンパク質共役受容体(例えば、κ-オピオイド受容体;例えば、Galeoti et al.,2002を参照されたい)、及び電圧依存性チャネル(例えば、電位依存性ナトリウム及びカルシウムチャネル)を含む、多数の異なる種類のチャネル及び受容体の機能特性に、メントールが有意に影響を及ぼし得ることが、数多くの刊行物によって実証されている(考察については、Oz et al.,2017を参照されたい)。
樟脳及びユーカリプトールも、両方TRPM8イオンチャネルのアゴニストであり風邪及び咳嗽の市販(OTC)治療にも使用される。メントールと同様、それらは選択性が低く、悪影響の可能性に悩まされている(例えば、Gavliakova et al.,2013を参照されたい)。
AX-8の力価を、蛍光イメージングプレートリーダー(Fluorescence Imaging Plate Reader)(FLIPR(登録商標))アッセイを使用して評価した(ChanTest/Charless Riverによって実施された試験)。インビトロの効果を、Fluo-8カルシウムキット及び蛍光イメージングプレートリーダー(FLIPRTETRA(商標))機器を使用して、CHO細胞内で発現されたクローニングされたヒトTRPM8チャネル上で評定した。変化は蛍光強度であり、hTRPM8を介したカルシウムフラックスの反射を測定し、シグナル下面積(曲線下面積、AUC)を計算し相対発光量で表した。ビヒクル(HEPES緩衝生理食塩水、HB-PS)によって誘導された変化を減算した。半数反応濃度(EC50)を計算し、AX-8が、TRPM8アゴニストとして、メントールよりもほぼ6倍強力であることを実証した(それぞれ、EC50=0.39μM及び2.29μM、n=8、図12及び図13を参照されたい)。
同様に、hTRPA1(CHOで発現)及びhTRPV1(HEK-293で発現)に対する選択性を、FLIPR(登録商標)カルシウムアッセイを使用して評価した(100μM、すなわち、最大反応用濃度の10倍超において。図12を参照されたい)。実際、メントールは、TRPM8に関連し、侵害受容器(有害な刺激に反応する感覚ニューロン)に発現している2つの温度感受性イオンチャネルであるTRPA1(例えば、Karashima et al.,2007を参照されたい)に対して二峰性の活性を有し、TRPV1(例えば、Takaishi et al.,2016を参照されたい)を阻害することが示されている。アゴニスト効果評価については、陽性対照アゴニストの不存在下でAX-8の効果を評定した。それぞれのアゴニスト(TRPA1については300μMのマスタード油、TRPV1については3μMのカプサイシン)の存在下で誘発される最大シグナルを100%活性化に設定し、ビヒクル対照(HB-PS)の存在下でのシグナルを0%活性化に設定した。アンタゴニスト効果評価のために、チャネルをそれぞれの陽性対照アゴニスト(TRPA1については100μMのマスタード油、TRPV1については0.1μMのカプサイシン)で活性化した。AX-8がシグナルを阻害する効果を、アゴニスト刺激後に調べ、それぞれの陽性対照アンタゴニスト(3μMルテニウムレッド)と比較した。各チャネルについて、それぞれの陽性対照アゴニストの存在下で誘発されたシグナルを100(0%阻害)に設定し、それぞれの陽性対照アンタゴニストの存在下でのシグナルを0(100%阻害)に設定した。このアッセイは、AX-8がTRPM8チャネルに対して選択的であり、TRPV1及びTRPA1チャネルとのアゴニストまたはアンタゴニスト相互作用は観察されないことを実証した(アゴニスト効果については、図14を参照されたい)。
図12はFLIPR(登録商標)アッセイによって得られた、AX-8によるヒトTRPM8の活性化を表すグラフである。用量反応曲線は、AX-8濃度(μM、対数スケール)によって、相対発光量で表されるカルシウムシグナル(曲線下面積-AUC、平均±標準誤差、n=8で算出)として表される。AX-8の半数反応濃度(EC50)は、0.39μMであることが判明した。
図13はFLIPR(登録商標)アッセイによって得られた、メントールによるヒトTRPM8の活性化を表すグラフである。用量反応曲線は、メントール濃度(μM、対数スケール)によって、相対発光量で表されるカルシウムシグナル(曲線下面積-AUC、平均±標準誤差、n=8で算出)として表される。メントールの半数反応濃度(EC50)は、2.29μMであることが判明した。
図14はAX-8及びそれらの参照アゴニストによるヒトTRPA1及びヒトTRPV1の比較活性を表すグラフである。hTRPA1について、マスタード油(参照TRPA1アゴニスト)及びAX-8の用量反応曲線は、マスタード油最大反応(平均±標準偏差、n=4)のアゴニスト濃度(μM、対数スケール)に対する百分率として表される。データは、AX-8は、濃度が100μM以下では、hTRPA1に有意なアゴニスト活性を有さないことを示す。hTRPV1について、カプサイシン(参照TRPV1アゴニスト)及びAX-8の用量反応曲線は、カプサイシン最大反応(平均±標準偏差、n=4)のアゴニスト濃度(μM、対数スケール)に対する百分率として表される。データは、AX-8は、濃度が100μM以下では、hTRPV1にアゴニスト活性を有さないことを示す。
さらに、オフターゲット薬理試験(Eurofins Pharma Discovery ServicesによるSafetyScreen 87アッセイ)が実施されている。このアッセイパッケージは、潜在的な安全性問題を表す、13個の酵素及び74個の結合アッセイを含む87個の一次分子ターゲットからなる。100μMのAX-8では有意な反応は観察されず、AX-8の有効濃度範囲における高い選択性が確認された。
迷走神経は、咳嗽反射ループの主な求心性経路である。したがって、単離されたモルモット迷走神経に対するカプサイシン誘導脱分極を阻害するAX-8の能力、及びTRPM8への依存性を評価した。組織を、前述のようにO/COガス化グリースギャップ記録システム(grease-gap recording system)を使用して評価した(例えば、Birrell et al.,2009を参照されたい)。簡単に述べると、組織安定化後、それを誘発試験(カプサイシン、1μM、TRPV1アゴニスト、2分間)に曝露し、次いで洗浄した。次いでこれを繰り返して基礎反応を確認した。洗浄後、組織をビヒクルまたはAX-8(10nM~1mM)を用いて10分間培養した。この後、組織を(ビヒクルまたはAX-8の存在下で)カプサイシンを用いて再度誘発試験に曝露した。洗浄フェーズの後、組織をカプサイシンで刺激し、組織の生存能及び反応回復を実証した。
TRPM8アンタゴニストPF-05105679(PF、10μM)を使用した場合、カプサイシンに対する2つの再現性のある反応後、神経をTRPM8アンタゴニストまたはビヒクル(0.1%DMSO)と10分間培養した後、AX-8またはビヒクルと10分間培養した。次いで、PF/ビヒクル及びAX-8/ビヒクルの存在下で神経をカプサイシンで再刺激し、元の反応の阻害百分率を計算した。洗浄期間の後、次いで神経をカプサイシンで再刺激して生存能を決定した。各相で脱分極のレベルを記録した。データを、実際の脱分極レベルとして、及び初期、対照記録の平均の(ビヒクルまたは試験化合物によって引き起こされる)阻害百分率として記録した。
この試験は、AX-8が用量依存的に、モルモット迷走神経外植片におけるカプサイシン誘導反応の最大80%を阻害することを実証した(図15を参照されたい。n=3、すなわち3匹の異なるモルモットからの組織)。この阻害は、TRPM8アンタゴニストPF-05105679の事前適用によって抑制されたことから、AX-8の効果はTRPM8の選択的活性化を介することが確認された(図16を参照されたい。n=4)。比較すると、メントールはTRPM8に非依存的な方法で、モルモット迷走神経外植片におけるカプサイシン誘導反応を阻害する(例えば、Maher et al.,2014を参照されたい)。
図15はモルモット迷走神経外移植片におけるAX-8によるカプサイシン誘導反応の阻害(%)対AX-8の濃度(μM)を表す棒グラフである。モルモット迷走神経におけるカプサイシン誘導反応は、AX-8(n=3)によって用量依存的に遮断される。
図16は、モルモット迷走神経外移植片におけるAX-8(1μM)によるカプサイシン誘導反応の阻害(%)を、選択的TRPM8アンタゴニストPF-05105679(PF、10μM)の存在または不在下で表す棒グラフである。2つの連続した10分間の培養の異なる4条件を以下のように実施した。ビヒクル(0.1%DMSO)/ビヒクル、PF/ビヒクル、ビヒクル/AX-8及びPF/AX-8(n=4)。刺激性カプサイシンによってモルモット迷走神経外移植片で誘導された反応阻害は、選択的TRPM8阻害剤PF-05105679によって遮断され、AX-8の効果がTRPM8依存性であることが実証された。
AX-8の鎮咳効果は、標準化されたモルモットモデルの咳嗽において評定された(例えば、Brozmanova et al.,2012、Dong et al.,2016を参照されたい)。モルモットをプルチスモグラフィーチャンバーに入れ、霧状にしたカプサイシン溶液(0.1mM)に10分間曝露して咳嗽を誘発した。咳嗽頻度は、チャンバー内気流の一時的な変化として検出され、圧力変換器及びコンピュータを介して信号が記録された。さらに、音声増幅カウントも電子的に記録した。10分間の曝露期間に咳嗽をカウントした。実験は、治験責任医師によって視覚的に監視された。AX-8を無水エタノール中に200mg/mLで溶解し、次いで生理食塩水中4mg/mLのサツマイモ粉末溶液(すなわち、ビヒクル)中において希釈することにより、5mg/mLのAX-8溶液を調製した。
カプサイシンミストへの曝露に反応した咳嗽頻度のベースラインを、対照(ビヒクルのみ)及び治療(AX-8)群の動物について記録した(1群当たりn=10匹)。7日後、動物をジエチルエーテルで麻酔し、小動物喉頭鏡を使用してマイクロスプレーシリンジの先端を口腔内に配置した。ビヒクルまたはAX-8を、動物1匹当たり75μLで中咽頭領域に投与した(1群当たりn=10匹)。これは、動物1匹当たり0.375mgの用量に相当する。投与から10分後、モルモットをカプサイシンミストに曝露し、咳嗽数を記録した。
AX-8溶液は、カプサイシン誘発性咳嗽を有意に阻害した(p<0.01、図17を参照されたい)。
図17は覚醒モルモットにおけるカプサイシン誘発性咳嗽に対するAX-8の効果を表す棒グラフである。ビヒクルは、モルモットにおいて、カプサイシン誘発性咳嗽に有意には影響しなかった(ベースライン(V)=24.8±2.1咳嗽/10分対ビヒクル=21.4±2.4咳嗽/10分)。中咽頭領域に噴霧した5mg/mLのAX-8溶液75μL(すなわち、0.375mg/動物)は、モルモットのカプサイシン誘発性咳嗽を、25.0±2.0/10分の咳嗽(ベースライン(T))から9.0±2.0/10分の咳嗽(**p<0.01)まで阻害した。動物の個体数は1群当たり10匹(n=10)である。
同様に、CC(例えば、RCC、ICCを含む)を治療するためのAX-8を含有する治験薬(IMP)の推定作用部位は、上気道及び消化管、中咽頭粘膜(口腔後部)の表面、及び食道上にある。したがって、鎮咳薬として期待されるAX-8の作用機序は、この領域におけるTRPM8発現感覚神経末端の活性化によるものである。口腔及び食道の被覆粘膜は、非角化層状上皮(NKSE)の典型的な例である。AX-8は、角化上皮組織と比較して、及び他の関連する冷却剤と比較して、非角化上皮組織(及び眼瞼皮膚等の透過性角化組織)に対し強力で、長時間作用し、かつ選択的冷却剤となる(例えば、WS-5としても知られるGly-OEt、例えばWei et al.,2012を参照されたい)。これらの特有の性質は、AX-8が他のTRPM8アゴニストと異なるだけでなく、相乗的に作用して、CC(例えば、RCC、ICCを含む)の治療に使用する効果的な鎮咳剤としてAX-8の予想外の有効性ももたらした可能性が最も高い。
参考文献
多くの刊行物は、本発明及び本発明が属する従来技術の水準をより完全に記載及び開示するために本明細書において引用される。これらの刊行物についての完全な引用は以下に提供される。
これらの刊行物の各々は、それぞれの刊行物が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同じ程度に、参照によりその全体が本開示に組み込まれる。
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Claims (23)

  1. 治療有効量の[((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキサンカルボニル)-アミノ]-酢酸イソプロピルエステルである化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物を含む、難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療に用いる医薬組成物。
  2. 記慢性咳嗽は、特発性慢性咳嗽(ICC)である、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 記慢性咳嗽は、難治性慢性咳嗽(RCC)である、請求項1に記載の医薬組成物。
  4. 記慢性咳嗽は、咳嗽関連疾患を評価及び治療した後に持続する難治性慢性咳嗽(RCC)である、請求項1に記載の医薬組成物。
  5. 記慢性咳嗽は、喘息、好酸球性気管支炎、後鼻漏症(PNDS)、胃食道逆流症(GORD)、気管支拡張症慢性閉塞性肺疾患(COPD)、もしくは特発性肺線維症(IPF)を評価及び治療した後に持続する難治性慢性咳嗽(RCC)である、請求項1に記載の医薬組成物。
  6. 記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)は、アロトゥシアに関連する、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  7. 記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)は、ハイパートゥシアに関連する、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  8. 記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)は、過敏性咳症候群(CHS)に関連する、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  9. 記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)は、咳反射過敏症(CHR)に関連する、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  10. 記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)は、喉頭感覚異常に関連する、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  11. 記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)は、喉頭過敏症候群(LHS)に関連する、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  12. 記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)は、感覚神経障害性咳嗽である、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  13. 記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽は、末梢感作、中枢感作(咳嗽中枢)、並びに/または皮質及び/または皮質下の適応不良塑性に関連する、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  14. 記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽は、迷走神経疾患に関連する、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  15. 記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽は、気道炎症に関連する、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  16. 記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽は、神経原性炎症及び/または神経炎症に関連する、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  17. 難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、咳嗽頻度を低減させることである、
    前記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、時間当たりの咳嗽頻度を低減させることである、
    前記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、時間当たりの咳嗽頻度中央値を低減させることである、
    前記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、時間当たりの平均咳嗽頻度を低減させることである、
    前記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、覚醒時の時間当たりの咳嗽頻度を低減させることである、
    前記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、覚醒時の時間当たりの咳嗽頻度中央値を低減させることである、
    前記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、覚醒時の時間当たりの平均咳嗽頻度を低減させることである、
    前記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、睡眠時の時間当たりの咳嗽頻度を低減させることである、
    前記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、睡眠時の時間当たりの咳嗽頻度中央値を低減させることである、
    前記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、睡眠時の時間当たりの平均咳嗽頻度を低減させることである、
    前記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、咳嗽重症度を低減させることである、
    前記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、咳嗽衝動を低減させることである、及び/または前記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、咽喉刺激を低減させることである、請求項1~16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  18. 難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、前記化合物の経口局所投与によるものである、
    前記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、前記化合物の口腔粘膜局所投与によるものである、
    前記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、前記化合物の頬側局所投与によるものである、
    前記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、前記化合物の舌下局所投与によるものである、
    前記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、前記化合物の鼻腔内局所投与によるものである、または
    前記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、前記化合物の経粘膜局所投与によるものである、請求項1~17のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  19. 難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、対象の体重1キログラム当たり、1日1μg~5mgの前記化合物の範囲内の用量を用いるものである、
    前記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、対象の体重1キログラム当たり、1日5μg~2mgの前記化合物の範囲内の用量を用いるものである、
    前記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、対象の体重1キログラム当たり、1日15μg~0.7mgの前記化合物の範囲内の用量を用いるものである、
    前記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、対象の体重1キログラム当たり、1日30μg~0.4mgの前記化合物の範囲内の用量を用いるものである、または
    前記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、対象の体重1キログラム当たり、1日70μg~0.3mgの前記化合物の範囲内の用量を用いるものである、請求項1~18のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  20. 前記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、1日0.07mg~350mgの前記化合物の範囲内の用量を用いるものである、
    前記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、1日0.35mg~140mgの前記化合物の範囲内の用量を用いるものである、
    前記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、1日1mg~50mgの前記化合物の範囲内の用量を用いるものである、
    前記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、1日2mg~30mgの前記化合物の範囲内の用量を用いるものである、または
    前記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、1日5mg~20mgの前記化合物の範囲内の用量を用いるものである、請求項1~18のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  21. 難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、1日1~5回投与の治療レジメンによる、
    前記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、1日1~4回投与の治療レジメンによる、
    前記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、1日2~5回投与の治療レジメンによる、
    前記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、1日2~4回投与の治療レジメンによる、
    前記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、1日2回投与の治療レジメンによる、
    前記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、1日3回投与の治療レジメンによる、または
    前記難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、1日4回投与の治療レジメンによる、請求項1~20のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  22. 難治性慢性咳嗽(RCC)または特発性慢性咳嗽(ICC)の治療は、pro re nata(PRN)の治療レジメンによる、請求項1~21のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  23. 前記化合物は、錠剤として製剤化される、
    前記化合物は、口腔内崩壊錠(ODT)として製剤化される、
    前記化合物は、スプレーとして製剤化される、
    前記化合物は、ミストとして製剤化される、または前記化合物は、エアゾールとして製剤化される、請求項1~22のいずれか1項に記載の医薬組成物。
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