JP2016535027A - 非角化重層上皮(NKSE)組織の不快感の治療用局所薬としての1−ジ(sec−ブチル)−ホスフィノイル−ペンタン(DAPA−2−5) - Google Patents

非角化重層上皮(NKSE)組織の不快感の治療用局所薬としての1−ジ(sec−ブチル)−ホスフィノイル−ペンタン(DAPA−2−5) Download PDF

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Abstract

本発明は、概して、療法用化合物の分野に関する。特に、本発明は、特定のジ−アルキル−ホスフィノイル−アルカン、つまり、1−ジ(sec−ブチル)−ホスフィノイル−ペンタン(本明細書では「DAPA-2-5」という)に関する。驚くべきことに、そして、予想外に、DAPA-2-5は、非角化重層上皮(NKSE)の感覚的不快感を選択的に、つまり、例えば、構造的に類似した化合物では見られるような刺痛または刺激の問題なく、治療(例えば、抑制)することが可能である。本明細書で記載するように、DAPA-2-5は、非角化体表(例えば、鼻咽頭表面、口咽頭表面、咽頭表面、食道表面、および、肛門性器表面を含む)に動的な冷却感覚を引き起こすことが可能であり、これは、刺痛または他の刺激性感覚を伴わない。その結果として、DAPA-2-5は、例えば、非角化重層上皮(NKSE)組織の感覚的不快感、上部気道消化管不快感、口咽頭不快感、食道不快感、喉の炎症、咳、胸やけ、胸痛、肛門性器不快感、または非角化重層上皮(NKSE)組織の炎症を含む不調(例えば、疾病)の治療で有用である。本発明はまた、DAPA-2-5を含んだ医薬品組成物、ならびに、DAPA-2-5およびDAPA-2-5組成物の、例えば療法における使用に関する。

Description

本発明は、概して、療法用化合物の分野に関する。特に、本発明は、特定のジ−アルキル−ホスフィノイル−アルカン、つまり、1−ジ(sec−ブチル)−ホスフィノイル−ペンタン(本明細書では「DAPA-2-5」という)に関する。驚くべきことに、そして、予想外に、DAPA-2-5は、非角化重層上皮(NKSE)の感覚的不快感を選択的に、つまり、例えば、構造的に類似した化合物では見られるような刺痛または刺激の問題なく、治療(例えば、抑制)することが可能である。本明細書で記載するように、DAPA-2-5は、非角化体表(例えば、鼻咽頭表面、口咽頭表面、咽頭表面、食道表面、および、肛門性器表面を含む)に動的な冷却感覚を引き起こすことが可能であり、これは、刺痛または他の刺激性感覚を伴わない。その結果として、DAPA-2-5は、例えば、非角化重層上皮(NKSE)組織の感覚的不快感、上部気道消化管不快感、口咽頭不快感、食道不快感、喉の炎症、咳、胸やけ、胸痛、肛門性器不快感、または非角化重層上皮(NKSE)組織の炎症を含む不調(例えば、疾病)の治療で有用である。本発明はまた、DAPA-2-5を含んだ医薬品組成物、ならびに、DAPA-2-5およびDAPA-2-5組成物の、例えば療法における使用に関する。
本発明および本発明に関係する技術状況についてより完全に記載し開示するため、本明細にはいくつかの刊行物を引用する。この刊行物はそれぞれ、各個別刊行物が参照により組み込まれるのを具体的かつ個別に指摘するような程度で、参照によりその全体を本開示中に組み込む。
後に続く特許請求の範囲を含む本明細書全体を通して、文脈が他のことを要求しない限り、「含む(comprise)」という単語および「含む(comprises)」および「含んでいる(comprising)」などの変化形は、記載の整数もしくはステップ、または、整数もしくはステップの群を包含することは意味するが、任意の他の整数もしくはステップ、または、整数もしくはステップの群を排除することを意味するものではないことが理解されよう。
本明細書および添付の特許請求項の範囲で使用する場合、「a」、「an」、および、「the」という単数形は、文脈が他のことを明確に規定しない限り、複数の指示対象を含むことに留意すべきである。したがって、例えば、「医薬担体」についての言及は、2種以上の担体の混合物などを含む。
本明細書において、範囲はしばしば、「約」ある特定値から、および/または、「約」別の特定値までというように表現する。範囲をこのように表現した場合、別の実施形態は該ある特定値から、および/または、該別の特定値までを含む。同様に、先行詞「約」を用いることにより値を近似値として表現する場合、該特定の値は別の実施形態を形成すると理解されよう。
本開示は、本発明を理解するのに有用であり得る情報を含む。それは、本明細書で提供する任意の情報が先行技術である若しくは本明細書で特許を請求する発明に関連していること、および、明確に若しくは暗示的に参照する任意の刊行物が先行技術であることを認めるものではない。
抗侵害受容性
抗侵害受容性は、神経符号化および侵害刺激のプロセスと定義することができる。末梢に作用用する抗侵害受容薬物は特に興味深い。「抗侵害受容」であることから、薬物は侵害刺激に対する心的および生理学的知覚、ならびに、該侵害刺激に対する反応を抑制することを意味する。「末梢」であることから、薬物の一次作用点は中秋神経系の外に、つまり、脳および脊髄の外にあることを意味する。
現在、末梢に作用し侵害受容(侵害)信号の中枢神経系への伝達を弱める抗侵害受容薬物には主に2つのクラスがある。一方のクラスはプロカインおよびリドカインなどの局所麻酔薬であり、これは末梢神経繊維のナトリウムチャネルに作用し、侵害受容信号の中枢神経系への伝導を阻止する。もう一方のクラスはアスピリンおよびイブプロフェンなどの薬であり、これは、ある特定のプロスタグランジンの合成を阻止する。これらのプロスタグランジンは、損傷または炎症時に組織により放出される際、侵害刺激に反応する感覚神経線維の発火に対するしきい値を下げる。しかしながら、抗侵害受容薬物のもう一方のクラスは麻酔性鎮痛薬であり、これは末梢作用を介して痛みを抑制することはないが、その代わりに脳および脊髄のニューロン要素に直接作用する。
痛みはチャールズ・シェリントン卿により「必要不可欠な防御反射の心的付属物」と定義されたが、該痛みはポリモーダルC線維という無髄小径感覚線維の増加により活性化する。痛みは、侵害受容または神経障害として分類される。侵害受容性の痛みは細胞損傷により引き起こされ、神経障害性の痛みは痛みの信号を伝達する神経線維の損傷により引き起こされる、痛みを生成する状態は多数あり、多くに共通するのは、例えば、外傷、炎症、および免疫異常である。痛みを伴い得る感覚には、炎症、掻痒(かゆみ)、熱感(感覚異常)、ならびに、不安感および不満感がある。本明細書で用いるように、抗侵害受容性の心的付属物はともに「感覚的不快感」として分類する。
動物組織には4つの基本形がある。つまり、結合組織、筋肉組織、神経組織、および上皮組織である。上皮細胞は体中の器官の空洞および表面に並ぶ。層が細胞1個分の厚さである場合、それは単層上皮と言われる。細胞2個以上の層がある場合、それは重層上皮と言われる。重層上皮は主に扁平(平坦)細胞といくつかの立方形細胞から成る。肌、外唇、および、舌において、重層上皮の細胞の外面層が死滅し、角質と呼ばれる固い、不透水タンパク質になる(したがって、角化組織という)。角質を含まない重層扁平上皮は、鼻腔の内側、唇の内部を含む口咽頭表面、食道表面、呼吸樹の内側、および、肛門性器表面に存在する。角化組織は非角化組織よりも損傷に耐える。非角化上皮表面は、乾燥を防ぐために腺の(漿液性および粘液性)分泌物により潤いを保たなければならない。
現在の局所用抗侵害受容(痛み抑制剤)化合物の効力は、非角化重層上皮(NKSE)の痛みに対し限定的である。これは特に、咽頭表面および食道表面の感覚的不快感に当てはまる。
リドカインなどの局所麻酔化合物は、肛門性器表面の痛みおよび不快感(例えば、外部膣の痛み)および咽頭の痛みおよび不快感(例えば、咽頭炎)向けに使用されるが、これらの薬物は過敏反応を引き起こし、組織に接触や圧迫感覚を失わせる望ましくない性質を有する。長期の使用は、この部類の薬物は上皮細胞の成長を阻止することから危険である。
非ステロイド抗炎症化合物(NSAID)、例えば、ケトロラックは、肛門性器または口腔のNKSEから生じる痛みには効かない。炎症を低減することにより、抗炎症ステロイドは抗侵害受容性を低減することが可能だが、抗侵害受容作用の発現は即座ではない。
メントールは、痔の不快感向けの軟膏において、いくらかの限定された鎮痛作用を有する。トローチ剤や菓子においてメントールは、荒れた、または、炎症のある喉、および、咳にいくらかの利点を有する。メントールは目に非常に刺激があるが、日本では一部の目薬に使用される。角化皮膚には、高濃度のメントール(例えば、2重量%超)を皮膚に直接炎症を起こすことなく、適用することが可能である。例えば、5重量%のメントールを含んだ局所用パッチ(例えば、IcyHot Medicated Patch、Chattem社)は、胴体の皮膚に適用し、筋肉痛を和らげることが可能である。しかしながら、非角化上皮では、メントールの刺激作用はその使用を口腔内に限定する。例えば、単位あたり8mg超のメントールを含んだトローチ剤は味が悪く、メントールは目の表面に痛みおよび刺痛感覚を引き起こし、吸入メントールは鼻の粘膜を刺激し、鼻の分泌物を増加するだろう。
皮膚および舌などの角化上皮に対し生理学的冷却効果のある、多くのメントール関連化合物が記載されてきた(例えば、Watsonら(1978)を参照)。「生理学的冷却作用」を有する、多くのトリアルキルホスフィンオキシドが記載されてきた(例えば、Rowsellら(1978)を参照)。そこで記載された研究は、角化表面での感覚プロセスに影響を与える化合物に関する。これは、テストの多くが舌で行われ、舌は角化しているためである。
非角化重層上皮(NKSE)から生じる感覚的不快感を、刺激および毒性の問題なく選択的に抑制することが可能な、新たな部類の薬剤が必要である。
NKSEから生じる感覚を考える場合、角化皮膚のそれとは明らかに質的な違いがある。例えば、エタノールガスを当てられた目の刺痛および痛み、水に対する鼻粘膜の反応、喉における唐辛子の窒息感、および、口における逆流胃酸の辛みに注目されたい。これらの感覚は明確に、皮膚で感じることが可能なものとは異なる。ここで、脳からNKSEからの侵害信号を通知する神経末端は、ほとんどが三叉神経(5番)、咽頭神経(9番)、迷走神経(10番)などの脳神経に由来し、一部がNKSEの脊髄感覚求心性神経に由来するが、皮膚や舌には由来しない。本明細書で記載するように、NKSEでの抗侵害受容性向けに設計された薬の効果は、角化皮膚向けに設計された薬の効果とは異なる。
発明者は、以前、角化人中皮膚の冷却と比較して目の表面を選択的に冷却する2つの化合物(両者ともメントール誘導体)を記載した(例えば、Wei(2012)を参照)。これらの観察は、選択的抗侵害受容性はNKSEにおいて達成可能であるという最初の証拠を提供する。さらに、NKSEにおいて抗侵害受容性を獲得するのに必要な、望ましい感覚の特性の詳細化を本明細書では記載する。候補化合物が刺激なしにNKSE表面に「動的な涼しさ」を引き出す場合、それはその組織の感覚的不快感を治療する適切な候補である。
既知のホスフィンオキシド
Rowsellら(1978)は、身体の皮膚および粘膜、特に、鼻、口、喉、および、消化管において生理学的冷却作用を有する様々なホスフィンオキシドについて記載する。例えば、それの欄3および4の表を参照のこと。該表の第18項目は1−ジ(sec−ブチル)−ホスフィノイル−ペンタンであり、本明細書では「DAPA-2-5」という。
Wei(2005)は、ある特定のホスフィンオキシドの使用と、それらの化合物を点眼剤中に含んだ目薬の適用により目の不快感を治療することについて記載する。例えば、その4ページの表1を参照のこと。その表の第13項目は1−ジ(sec−ブチル)−ホスフィノイル−ペンタンであり、本明細書では「DAPA-2-5」という。
本発明は、特定のジ−アルキル−ホスフィノイル−アルカン、1−ジ(sec−ブチル)−ホスフィノイル−ペンタン(本明細書では「DAPA-2-5」という)に関する。驚くべきことに、そして、予想外に、DAPA-2-5は、非角化重層上皮(NKSE)の感覚的不快感を選択的に、つまり、例えば、構造的に類似した化合物では見られるような刺痛または刺激の問題なく、治療(例えば、抑制)することが可能である。
本明細書で記載するように、DAPA-2-5は、非角化体表(例えば、鼻咽頭表面、口咽頭表面、咽頭表面、食道表面、および、肛門性器表面を含む)に動的な冷却感覚を引き起こすことが可能であり、これは、刺痛または他の刺激感覚を伴わない。その結果として、DAPA-2-5は、例えば、非角化重層上皮(NKSE)組織の感覚的不快感、上部気道消化管不快感、口咽頭不快感、食道不快感、喉の炎症、咳、胸やけ、胸痛、肛門性器不快感、または非角化重層上皮(NKSE)組織の炎症を含む不調(例えば、疾病)の治療で有用である。本発明はまた、DAPA-2-5を含んだ医薬品組成物、ならびに、DAPA-2-5およびDAPA-2-5組成物の、例えば療法における使用に関する。
本発明の一態様は、本明細書に記載のある特定の不調(例えば、疾病)の治療(例えば選択的治療)方法で使用する、特定のジ−アルキル−ホスフィノイル−アルカン、1−ジ(sec−ブチル)−ホスフィノイル−ペンタン(本明細書では「DAPA-2-5」という)に関する。
本発明の別の態様は、本明細書に記載の疾病の治療(例えば、選択的治療)用薬剤の製造における、DAPA-2-5の使用に関する。
本発明の別の態様は、本明細書に記載のある特定の不調(例えば、疾病)の治療(例えば、選択的治療)法に関し、該治療法には、治療の必要な患者に、DAPA-2-5を好適には医薬品組成物の形で、治療効果のある量で投与することを含む。
本発明の別の態様は、(a)本明細書に記載の、好適には、医薬品組成物として、適切な容器で、および/または、適切な包装で提供するDAPA-2-5、ならびに、(b)使用説明書、例えば、如何に化合物を投与するかについての指示書を含む、キットに関する。
当業者には理解されようが、本発明の一態様の特徴および好適な実施形態は、本発明の他の態様にも関する。
DAPA-2-4(円)、DAPA-2-5(四角)、DAPA-2-6(逆三角)、DAPA-2-7(ひし形)およびDAPA-2-8(星)それぞれについての蛍光(相対蛍光単位、最大の%)を、テスト化合物(μM)の濃度の対数関数としたグラフである。 麻酔ラットの咽頭に注入した0.1N HClにより誘発された嚥下運動に対するDAPA-2-5の効果を示す筋電図(EMG)活動の振幅(mV)を、時間関数としたグラフを示す。最上部パネルは酸後の47回の嚥下を示し、第2パネルは、0.4mg/mLのDAPA-2-5は酸反応を3回の嚥下まで低減することを示し、第3パネルは、酸チャレンジ後9回の嚥下があり、DAPA-2-5後、8分間阻止が持続することを示し、第4パネルは、27回の嚥下があり、DAPA-2-5後22分で反応の緩やかな回復があることを示す。 分極記録であり、第1記録(「野生型」)は、1mg/mLで灌流した摘出マウス迷走神経のカプサイシン誘発脱分極がDIPA-2-5により阻止されることを示し、第2記録(「TRPM8KO」)は、1mg/mLで灌流した摘出TRPM8KO(ノックアウト)マウス迷走神経では、DIPA-2-5による阻止が著しく欠如することを示す。
メントールは皮膚(例えば、アイシーコールドパッチ(Icy-Cold Patch)、ベンゲイ(登録商標)軟膏)、口(例えば、キャンディーおよびトローチ剤)、および、鼻(例え、ヴィックス(Vick’s)蒸気吸収器)に使用され、感覚的不快感を緩和するが、その固い角質カバーなしの表面(つまり、皮膚および舌以外の組織)に対する作用は、刺激作用および作用時間が限られていることにより、制限される。約35年前、科学者が、メントールのような性質を持つ新しい部類の化合物、ホスフィンオキシドについて記載した(例えば、Rowsellら(1978)を参照)。しかしながら、これらの化合物は前進させたり商業化したりすることはなかった。これらの先行研究において、ホスフィンオキシドは主に、(角化した)舌の表面においてテストされた。
本明細書で記載するように、発明者は、口、喉、食道、および、肛門性器の表面などの非角化組織を、ただし、メントールの刺激特性なしで鎮静化するのに最適な候補を見つけるという目標で、既知のホスフィンオキシドを再検査した。
驚くべきことに、そして、予想外に、本明細書でDAPA-2-5という1つの化合物が、理想的な性質の組み合わせを有することを発見した。研究では次のことを記載する。
・ DAPA-2-5は冷たい不快感なしに喉の内側に動的な冷却感覚を引き起こす(研究2)。これは、他の10個の類似物では見られない効果である。
・DAPA-2-5は、喉において唐辛子の刺激効果を抑制する(研究3)。
・ DAPA-2-5の普通でない性質を、そのTRPM8のレセプター活性化能に基づいて予測することは不可能だったが(研究4)、実験によって発見した。
・ DAPA-2-5は、麻酔した動物モデルにおいて熱誘発浮腫を選択的に抑制し(研究5)、それだけでは炎症を刺激しない(研究6)。
・ DAPA-2-5は、麻酔した動物モデルにおいて酸誘発嚥下を強く、選択的に抑制する(研究7)。
複数のテストシステムにおけるこれらの結果は、DAPA-2-5は普通でない選択的薬物作用を呈することを示す。その結果として、DAPA-2-5は、例えば、非角化重層上皮(NKSE)組織の感覚的不快感、上部気道消化管不快感、口咽頭不快感、食道不快感、喉の炎症、咳、胸やけ、胸痛、肛門性器不快感、または非角化重層上皮(NKSE)組織の炎症という不調(例えば、疾病)の治療で有用である。
DAPA化合物
本発明は、特定の化合物に関し、該化合物は、ホスフィンオキシド(これは次の一般式を有する)として知られる化合物群の例、特に、ジ−アルキル−ホスフィノイル−アルカン(本明細書では「DAPA化合物」という)として知られる群(R、R、および、Rそれぞれはアルキル基である)の例である。
特に、本発明は、特定のジ−アルキル−ホスフィノイル−アルカン、つまり、1−ジ(sec−ブチル)−ホスフィノイル−ペンタン(本明細書では「DAPA-2-5」という)に関する。
DAPA-2-5は、室温で液体であり、密度は〜0.85g/cmで沸点は112〜120℃である。
DAPA-2-5のsec−ブチル基はそれぞれキラル中心を有し、該各キラル中心は(R)または(S)構造で単独で存在することができる。結果として、DAPA-2-5は4つの可能な立体異性体を有し、2つは光学活性立体異性体(つまり、R、RおよびS、S)であり、2つは光学不活性メソ体(つまり、R、SおよびS、R)である。他の指示がなければ、DAPA-2-5への言及は、4つの立体異性体および該4つの立方異性体の任意の2つ以上の混合物への言及であることを意図する。
広範囲の研究に続き、発明者はDAPA-2-5を、例えば、上部気道消化管、例えば、口咽頭(例えば、咽頭を含む)および上部食道表面の粘膜、ならびに、肛門性器表面の粘膜を含む、非角化重層上皮(NKSE)から生じる感覚的不快感および炎症の治療用の非常に優れた薬として特定した。
本明細書に記載するように、DAPA-2-5は選択的で、不快感なく、咽頭に局所化した「動的な涼しさ」を引き起こすのに理想的である。この「動的な涼しさ」は口咽頭/食道の不快感に対し望ましい感覚の質である。さらに、それは、唐辛子テストにおいて良好な活性を有する。それは熱が引き起こす浮腫に対し抗炎症活性を有し、酸が刺激する嚥下作用をブロックし、摘出迷走神経におけるカプサイシンの活性に拮抗する。これらの属性はDAPA-2-5を、非角化重層上皮(NKSE)、特に咽頭および食道の粘膜から生じる感覚的不快感および炎症を低減するのに理想的な活性成分とする。
DAPA-2-5は、選択的感覚効果を有し、この感覚を局所的に分布させる。動物モデルにおいて、それは、咽頭粘膜、つまりNKSE表面において、0.1N塩酸の刺激作用を阻止することにおいて、選択的に効き目が強かった。人間の志願者の口腔に送達した際、最小限の刺激を有し、望ましい抗侵害受容作用を示した。インビトロで迷走神経に灌流させた際、それは、既知の感覚刺激物であるカプサイシンへの脱分極反応をブロックした。迷走神経におけるその受容要素はさらに、TRPM8、つまり、イオンチャネルレセプターとして特徴付けた。
さらに、DAPA-2-5は、用量が錠剤あたり8mgまで増加した場合でも「氷のように冷たい」または冷たい不快感を生成しなかった。DAPA-2-5の活性は喉および上部食道に局所化したままで、全身的な冷却はなかった。喉に不快感のある個人は、即座の発現および動的に涼しい感覚を理由にDAPA-2-5を好んだ。他のDAPA化合物(DAPA-1-6、DAPA-1-7、DAPA-2-6、およびDAPA-2-7)に見られる「氷のような冷たさ」は、これらの化合物が喉により長く作用したとしても、冷たすぎると思われた。他のDAPA化合物(DAPA-1-6、DAPA-1-7、DAPA-2-6、およびDAPA-2-7)の活性は胸骨の後ろで胸に広がる。これはおそらく、食道の内側で感覚要素が活性化するためである。
さまざまな構造的に類似した化合物と比較し、DAPA-2-5は過度の刺激なく抗侵害受容性として望ましい感覚の質を有し、非常に効き目が強く、療法的に有用であるように十分な作用の持続時間を有し、また、動物モデルにおいて抗炎症活性を有することが分かった。
化学合成
DAPA化合物は、次の一般的方法により作製した。100mL(23.7g、〜200mmol)のsec−ブチルマグネシウムクロリドまたは臭化物(イソプロピルマグネシウムクロリドまたは臭化物)(Acros社より、テトラヒドロフラン(THF)に溶けた25%溶液として入手)を500mLフラスコ(攪拌棒付き)に入れ窒素下に置いた。THFに溶けたホスホン酸ジエチル溶液(Aldrich社より取得、D99234、8.25g、50mL中60.6mmol)を滴下して加えた。約30分後、反応混合物を沸騰するまで温めた。反応混合物を30分間追加して攪拌し、続いて、適切なTHFに溶けたn−ヨウ化アルキル溶液(TCI社より、20mL中60mmol)を滴下して加えた。反応混合物はその後、室温で一晩攪拌した。反応混合物を水で希釈し、別の漏斗に移し、酢酸(〜10mL)で酸性にし、エーテルで2度抽出した。エーテル層は水で洗浄し、蒸発させた(ロータリーエバポレータBuchi、浴温40℃)。薄茶の油を高真空下で蒸留した。最終産物は質量分析により求めた質量で検証したが、それは無色またはかすかに淡黄色の透明液体であった。
次の化合物をこの方法により作製した。
組成物
本発明はまた、DAPA-2-5を含んだ組成物(例えば、医薬品組成物)と、医薬的に受容可能な担体、希釈剤、または賦形剤に関する。
本発明はまた、組成物(例えば、医薬品組成物)の作製方法に関し、該方法は、DAPA-2-5と、医薬的に受容可能な担体、希釈剤、または賦形剤を混ぜることを含む。
一実施形態において、組成物はDAPA-2-5を0.005〜2.0%wt/volの濃度で含む。
一実施形態において、組成物は液体組成物であり、DAPA-2-5を0.5〜20mg/mLの濃度で含む。
一実施形態において、組成物は液体組成物であり、DAPA-2-5を1〜5mg/mLの濃度で含む。
一実施形態において、組成物は液体組成物であり、DAPA-2-5を5〜10mg/mLの濃度で含む。
一実施形態において、組成物は液体組成物であり、DAPA-2-5を10〜20mg/mLの濃度で含む。
組成物は適切な包装で、および/または、適切な容器で提供することができる。
例えば、組成物は経口投薬単位、例えば、DAPA-2-5を含む、トローチ剤、食用フィルムストリップ、または、口腔内崩壊錠(ODT)の形とすることができる。
DAPA-2-5またはDAPA-2-5を含んだ組成物を運ぶ綿棒、ワイプ、パッド、または、タオレットとして(例えば、ラップに適切に密封して)提供することができる。
同様に、組成物は、当て布として、例えば、皮膚への適用に適切な、放出制御当て布として提供することができる。
同様に組成物は、加圧容器から送られるエアロゾル化した噴霧として提供することができる。
同様に組成物は、例えば、粘膜表面に単位量(例えば、0.05〜0.15mL)を送達することが可能であるように、DAPA-2-5またはDAPA-2-5を含んだ組成物を収容した貯蔵器につなげた、手動で作動させる(例えば、適切な小オリフィス付きの)噴霧器で提供することができる。
療法方法での使用
本発明の一態様は、本発明に記載のある特定の不調(例えば、疾病)の治療(例えば、選択的治療)の方法で使用するDAPA-2-5に関する。
薬剤製造における使用
本発明の別の態様は、治療(例えば、選択的治療)、例えば、本明細書に記載のある特定の不調(例えば、疾病)の治療(例えば、選択的治療)用薬剤の製造において、DAPA-2-5を使用することに関する。
一実施形態において、薬剤はDAPA-2-5を含む。
治療法
本発明の別の態様は、本明細書に記載のある特定の不調(例えば、疾病)の治療(例えば選択的治療)の方法に関し、該方法には、治療の必要な患者に、DAPA-2-5を好適には医薬品組成物の形で、治療効果のある量で投与することを含む。
治療する不調
(例えば、療法で役立つ、薬剤の製造で役立つ、治療法で役立つ)一実施形態において、治療とは、非角化重層上皮(NKSE)組織の感覚的不快感、上部気道消化管不快感、口咽頭不快感、食道不快感、喉の炎症、咳、胸やけ、胸痛、肛門性器不快感、または非角化重層上皮(NKSE)組織の炎症の治療(例えば、選択的治療)である。
治療する不調−NKSEの感覚的不快感
(例えば、療法で役立つ、薬剤の製造で役立つ、治療法で役立つ)一実施形態において、治療とは、非角化重層上皮(NKSE)組織の感覚的不快感の治療(例えば、選択的治療)である。
本明細書で使用する「感覚的不快感」という用語は、非角化重層上皮(NKSE)組織の炎症、痛み、かゆみ、または異常感覚の他の形に関する。該用語は、NKSEおよび身体組織の感覚神経末端にある侵害受容器の活性化を意味する。侵害受容器は、例えば、高温または低温、機械的圧力、化学物質(例えば、カプサイシン、酸度など)、損傷、および、炎症性メディエータにより刺激される。DAPA-2-5などのDAPA化合物は感覚的不快感を低減し、抗侵害受容薬と呼ぶことが可能である。
本明細書で使用する「感覚異常」という用語は、正常でない感覚に関し、炎症、かゆみ、および痛みに加え、熱、湿気、しびれ、および異物がある感触といった感覚を含む。
一実施形態において、NKSE組織は、
上部気道消化管表面、
口腔表面
呼吸器組織表面
鼻粘膜表面
鼻咽頭表面
口咽頭表面
咽頭表面
食道表面、または
肛門性器表面に位置する。
一実施形態において、NKSE組織は上部気道消化管表面に位置する。
一実施形態において、NKSE組織は口腔表面に位置する。
一実施形態において、NKSE組織は口腔の内側または唇の内部に位置する。
一実施形態において、NKSE組織は呼吸器組織表面に位置する。
一実施形態において、NKSE組織は呼吸器上皮表面に位置する。
一実施形態において、NKSE組織は鼻粘膜表面に位置する。
一実施形態において、NKSE組織は鼻粘膜の内腔内側に位置する。
一実施形態において、NKSE組織は、
鼻咽頭表面
口咽頭表面
咽頭表面
食道表面、または、
肛門性器表面に位置する。
一実施形態において、NKSE組織は鼻咽頭表面に位置する。
一実施形態において、NKSE組織は口咽頭表面に位置する。
一実施形態において、NKSE組織は咽頭表面に位置する。
一実施形態において、咽頭表面に位置するNKSE組織の感覚的不快感は、嚥下障害により引き起こされる。
一実施形態において、咽頭表面に位置するNKSE組織の感覚的不快感は、胃の内容物の逆流(例えば、喉咽頭酸逆流)により引き起こされる。
一実施形態において、咽頭表面に位置するNKSE組織の感覚的不快感は、吃逆により引き起こされる。
一実施形態において、咽頭表面に位置するNKSE組織の感覚的不快感は、咽頭炎により引き起こされる。
一実施形態において、咽頭表面に位置するNKSE組織の感覚的不快感は、粘膜炎により引き起こされる。
一実施形態において、咽頭表面に位置するNKSE組織の感覚的不快感は、アレルギーにより引き起こされる。
一実施形態において、咽頭表面に位置するNKSE組織の感覚的不快感は、咳により引き起こされる。
一実施形態において、咽頭表面に位置するNKSE組織の感覚的不快感は、咽頭表面の刺激物に対する過敏性により引き起こされる。
一実施形態において、NKSE組織は食道表面に位置する。
一実施形態において、食道表面に位置するNKSE組織の感覚的不快感は、胃の内容物の逆流(例えば、胃食道逆流)により引き起こされる。
一実施形態において、NKSE組織は肛門性器表面に位置する。
治療する不調−局所不快感
(例えば、療法で役立つ、薬剤の製造で役立つ、治療法で役立つ)一実施形態において、治療は、
上部気道消化管不快感
口咽頭不快感
食道不快感
喉の炎症

胸やけ
胸痛、または、
肛門性器不快感の治療(例えば、選択的治療)である。
一実施形態において、治療とは、上部気道消化管不快感の治療(例えば、選択的治療)である。
一実施形態において、上部気道消化管不快感は、(例えば、ぜんそく、閉塞性肺疾患などに関連した)気道または咽頭の炎症性滲出液により引き起こされる。
一実施形態において、上部気道消化管不快感は、努力性呼吸、呼吸困難、いびき、または睡眠時無呼吸に関連する。
一実施形態において、治療とは、口咽頭不快感の治療(例えば、選択的治療)である。
一実施形態において、口咽頭不快感は胃の内容物の逆流に関連する。
一実施形態において、口咽頭不快感は喉咽頭酸逆流に関連する。
一実施形態において、治療とは、食道不快感の治療(例えば、選択的治療)である。
一実施形態において、食道不快感は胃の内容物の逆流に関連する。
一実施形態において、食道不快感は胃食道逆流に関連する。
一実施形態において、治療とは、喉の炎症の治療(例えば、選択的治療)である。
一実施形態において、治療とは咳の治療(例えば、選択的治療)である。
一実施形態において、治療とは、胸やけの治療(例えば、選択的治療)である。
一実施形態において、治療とは、胸痛の治療(例えば、選択的治療)である。
一実施形態において、治療とは、肛門性器不快感の治療(例えば、選択的治療)である。
治療する不調−NKSE組織の炎症
(例えば、療法で役立つ、薬剤の製造で役立つ、治療法で役立つ)一実施形態において、治療とは、非角化重層上皮(NKSE)組織の炎症の治療(例えば、選択的治療)である。
治療
本明細書において、不調を治療するという文脈で使用する「治療」という用語は、概して、人間または動物(例えば、獣医学的適用)の治療に関する。ここにおいて、いくつかの望ましい治療効果は、例えば、不調の進行の阻止により達成され、進行速度の低減、進行速度の停止、不調症状の軽減、および、不調の治癒を含む。予防手段(つまり、予防法)としての治療も含む。例えば、不調はまだ現れていないが、不調が現れる危険のある患者に使用することは、「治療」という用語に包含する。
本明細書において、不調を治療するという文脈で使用する「選択的治療」という用語は、非角化重層上皮(NKSE)の感覚的不快感を刺痛または刺激の問題なく治療すること(例えば、抑制)に関する。
本明細書で使用する「治療効果のある量」という用語は、望ましい治療レジメンにしたがって投与した場合、いくらかの望ましい治療効果を生むのに効果的で、妥当な利点/リスク比に見合う、化合物、または、化合物を含んだ、物質、組成物もしくは剤形の量に関する。
併用療法
「治療」という用語は、2つ以上の治療または療法を連続して、または、同時に併用する、併用治療および併用療法を含む。例えば、本明細書に記載の化合物も、例えば他の薬と一緒に、併用療法で使用することができる。
本発明の一態様は、1つ以上(例えば、1、2、3、4など)の追加療法薬と併用する、本明細書に記載のDAPA-2-5に関する。特定の併用は、一般的知識、および、熟練した施術者には既知の投薬レジメンを使用して投薬量を選択する医師または薬剤師の裁量による。
追加療法薬の例には、抗炎症ステロイド剤、抗炎症鎮痛剤、抗ヒスタミン薬、交感神経様作用アミン血管収縮剤、局所麻酔薬、抗生物質、抗ニキビ薬、局所用レチノイド、咳用薬、粘液性分泌物用薬、性器疣贅用薬、しわ用薬、老化肌用薬、抗痔薬、外陰部のかゆみ向け薬、皮膚保湿剤、および、角質溶解治療用薬を含む。
ステロイド性抗炎症剤の例には、ヒドロコルチゾン、クロベタゾール、プロピオン酸クロベタゾール、ハロベタゾール、プレドニゾロン、デキサメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酢酸プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、酢酸デキサメタゾン、ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、フルメタゾン、フルチカゾン、フルオロメトロン、および、プロピオン酸ベクロメタゾンが含まれる。
抗炎症鎮痛剤の例には、サリチル酸メチル、サリチル酸モノグリコール、アスピリン、インドメタシン、ジクロフェナク、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、プラノプロフェン、フェノプロフェン、スリンダク、フェンクロフェナク、クリダナク、フルルビプロフェン、フェンチアザク、ブフェキサマク、ピロキシカム、および、ペンタゾシンが含まれる。
抗ヒスタミン薬の例には、塩酸ジフェンヒドラミン、サリチル酸ジフェンヒドラミン、ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、および、塩酸プロメタジンが含まれる。
交感神経様作用アミン血管収縮剤の例には、鼻充血除去作用向けに使用する、塩酸フェニレフリン、オキシメタゾリン、ナファゾリン、および、他のイミダゾリンレセプターアゴニストが含まれる。
局所麻酔薬の例には、塩酸ジブカイン、ジブカイン、塩酸リドカイン、リドカイン、ベンゾカイン、塩酸プラモキシン、テトラカイン、塩酸テトラカイン、塩酸オキシプロカイン、メピバカイン、および、塩酸ピペロカインが含まれる。
咳用薬および粘液性分泌物用薬の例には、デキストロメトルファン、臭化水素酸デキストロメトルファン、コデイン、クロルフェニラミン、グアイフェネシン、およびフェノール。
皮膚保湿剤の例には、湿潤剤、皮膚軟化剤および保存剤の3つのカテゴリーがある。尿素、グリセリン、およびαヒドロキシ酸などの湿潤剤は、空気中から水分を吸収し、それを皮膚で保持するのを助ける。ラノリン、鉱油、および、ワセリンなどの皮膚軟化剤は、皮膚細胞の間の空間を埋め、皮膚を滑らかに平らにするのを助ける。保存剤は、保湿剤中の細菌の増殖を防ぐ。保湿剤が含むことのできる他の成分には、ビタミン、ミネラル、植物抽出物、および、芳香剤が含まれる。
抗生物質の例には、ネオマイシン、エリスロマイシン、および抗ウイルス薬ドコサノール(アブレバ(Abreva)(登録商標))が含まれる。
局所抗ニキビ薬には、過酸化ベンゾイル、レゾルシノール、レゾルシノールモノアセテート、フェノール、およびサリチル酸が含まれる。
局所レチノイドの例には、アダパレンおよびイソトレチノイン(レチン−A、ディファレン、および、タゾラック(Tazorax)(登録商標))が含まれる。
角質溶解剤の例には、α−ヒドロキシ酸、グリコール酸、およびサリチル酸が含まれる。
キット
本発明の一態様は、(a)例えば、好適には、適切な容器で、および/または、適切な包装で提供する、DAPA-2-5またはDAPA-2-5を含んだ組成物、ならびに、(b)使用説明書、例えば、如何に化合物または組成物を投与するかについての指示書を含む、キットに関する。
指示書は、有効成分が適切な治療となる適応症のリストも含んでよい。
指示書(例えば、パンフレットまたは包装ラベル)は、投薬量および投与に関する指示、製剤の組成物の詳細、臨床薬理学、薬品耐性、薬物動態、吸収、バイオアベイラビリティ、および、禁忌を含んでよい。
診断方法
DAPA-2-5は、診断、例えば、胸痛の診断にも使用することができる。特に、DAPA-2-5は胸痛の診断(例えば、識別診断)用診断薬として使用することができる。
簡素な診断ツールはまだ知られていない。例えば、トローチ剤または口腔内崩壊錠(ODT)として経口で投与するDAPA-1-7などのDAPA化合物は、例えば、非心臓性胸痛(NCCP)と心臓性胸痛とを識別する。胸痛の識別診断を提供するのに使用することが可能である。
投与ルート
DAPA-2-5またはDAPA-2-5を含んだ医薬品組成物は、例えば本明細書に記載するように、対象に局所的に適切に投与することができる。
本明細書で使用する「局所適用」という用語は、空気に接触する身体表面に送達することを意味し、該身体表面には、皮膚、肛門性器表面、眼窩の移行上皮表面、唇、鼻、肛門、気道消化管(鼻粘膜、咽頭、および食道表面)、下気道、ならびに、消化管の内腔が含まれる。
(例えば、療法で役立つ、薬剤の製造で役立つ、治療法で役立つ)一実施形態において、治療は、局所投与による治療である。
一実施形態において、治療は、本明細書に記載する、非角化重層上皮(NKSE)組織への局所投与による治療である。
例えば、一実施形態において、NKSE組織は、
上部気道消化管表面、
口腔表面、
呼吸器組織表面、
鼻粘膜表面、
鼻咽頭表面、
口咽頭表面、
咽頭表面、
食道表面、または、
肛門性器表面に位置する。
例えば、一実施形態において、NKSE組織は、
鼻咽頭表面、
口咽頭表面、
咽頭表面、
食道表面、または、
肛門性器表面に位置する。
対象/患者
対象/患者は、哺乳動物、例えば、有袋類(例えば、カンガルー、ウォンバット)げっ歯類(例えば、モルモット、ハムスター、ラット、マウス)、ネズミ科の動物(例えば、マウス)、ウサギ目の動物(例えば、ウサギ)、鳥類(例えば、トリ)、イヌ科の動物(例えば、イヌ)、ネコ科の動物(例えば、ネコ)、ウマ科の動物(例えば、ウマ)、ブタのような動物(例えば、ブタ)、羊のような動物(例えば、羊)、ウシ亜科の動物(例えば、ウシ)、霊長類、サル(例えば、サルもしくは類人猿)、サル(例えば、マーモセット、ヒヒ)、類人猿(例えば、ゴリラ、チンパンジー、オラウータン、テナガザル)、または人間とすることができる。
一実施形態において、対象/患者は人間である。
製剤
DAPA-2-5を単独で投与することは可能だが、それを、DAPA-2-5と、当業者には周知である、医薬的に受容可能な1つ以上の他の成分をともに含んだ医薬品製剤として提供するのが好適である。該医薬的に受容可能な成分には、医薬的に受容可能な担体、希釈剤、賦形剤、補助剤、充填剤、緩衝剤、保存剤、酸化防止剤、潤滑剤、安定剤、溶解剤、界面活性剤(例えば、湿潤剤)、マスキング剤、着色剤、着香料、および甘味剤を含むが、これらに限定するものではない。製剤はさらに、他の活性剤を含んでよい。
したがって、本発明はさらに、上記の医薬品組成物と、上記の医薬品組成物の製造法を提供する。離散単位(例えば、ワイプ、パッド、タオレットなど)として処方する場合、各単位は所定量(投薬量)の化合物を含む。
本明細書で使用する「医薬的に受容可能」という用語は、化合物、成分、物質、組成物、投薬形態などに関する。これらは、正しい医学的判断の範囲内で、過度の毒性、炎症、アレルギー反応、または、他の問題もしくは合併症なく、問題になっている対象(例えば、人間)の組織に接触して使用するのに適し、妥当な利点/リスク比に見合う。各担体、希釈剤、賦形剤などは、製剤の他の成分と相溶性があるという意味でも「受容可能」でなければならない。
適切な担体、希釈剤、賦形剤などは、標準の医薬品テキスト、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences(第18版、Mack Publishing社、ペンシルバニア州イーストン、1990)、および、 Handbook of Pharmaceutical Excipients (第5版、2005)に見ることができる。
製剤は、薬学の分野で周知の任意の方法により作製することができる。こうした方法は、化合物を1つ以上の副成分を構成する担体と会合させるステップを含む。一般に、製剤は、化合物を担体(例えば、液体担体、微粉化した固体担体など)と一様に、密接に会合させ、その後、必要に応じ製品を成形することにより作製する。
製剤は、適切に、液体、溶液(例えば、水性、非水性)、懸濁液(例えば、水性、非水性)、エマルジョン(例えば、水中油型、油中水型)、エリキシル剤、シロップ剤、舐剤、洗口剤、ドロップ、錠剤(例えば、コーティング錠を含む)、粒剤、散剤、トローチ剤、香剤、カプセル(例えば、硬軟ゼラチンカプセルを含む)、カシェ剤、丸薬、アンプル剤、大丸薬、坐薬、ペッサリー、チンキ剤、ゲル、ペースト、軟膏、クリーム、ローション、オイル、泡、噴霧、ミスト、または、エアロゾルの形態で存在する。
投薬量
当業者は、DAPA-2-5およびDAPA-2-5含んだ組成物の適切な投薬量は、患者によって異なり得ることを理解しよう。最適な投薬量の決定には、概して、いずれかのリスクまたは有害な副作用に対する治療利点のバランスを保つことを含む。選択した投薬量レベルは、様々な要素に左右される。該要素には、DAPA-2-5の活性、投与ルート、投与時間、治療の継続期間、併用して使用する他の薬物、化合物、および/または物質、不調の重症度、ならびに、患者の種、性別、年齢、体重、状態、全身の健康状態、および以前の病歴を含むが、これに限定されるものではない。DAPA-2-5の量および投与ルートは、最終的には、医師、獣医師、または臨床医の裁量によるだろうが、概して投薬量は、有害または有毒なかなりの副作用を引き起こすことなく、望ましい効果を達成する局所濃度を作用部位で達成するように選択されよう。
投与は、1回の用量で、治療過程を通して継続的に、または断続的に(例えば、適切な間隔で分割した用量で)行うことが可能である。投与について最も効果的な手段および投薬量を決定する方法は当業者に周知であり、療法で使用する製剤、療法の目的、治療する標的細胞、および治療対象によって異なる。単独の、または、複数回の投与は、治療にあたる医師、獣医師、または臨床医により選択される用量レベルおよびパターンで実行することが可能である。
〔上部気道消化管〕
咽頭は、鼻腔および口腔から喉頭および食道に通じる円錐形の通路である。咽頭は喉の一部であり、首および喉頭の周りの身体領域を説明する不正確な用語である。咽頭は3つの領域、つまり、鼻咽頭、中咽頭、および、咽喉頭に分かれる。鼻咽頭(nasopharyn)は鼻咽頭(rhinopharynx)とも言われ、鼻腔の後鼻孔の後ろ、および、軟口蓋の高さの上にある。中咽頭は軟口蓋(口蓋帆咽頭)から舌骨に達する。咽喉頭は舌骨から輪状軟骨の下縁に達する。咽頭表面は非角化重層上皮(NKSE)で覆われている。
中咽頭は、さらに、上部領域と下部領域に分けられ、中間点は、例えば、Danielらの磁気共鳴映像法研究(Danielら(2007)を参照)で示される、下部口蓋帆咽頭(LRO)と言われるものである。咽頭は台形逆漏斗状の管であり、LROは面積が約1cmという最小の断面を有する領域で、これは、アメリカ合衆国の25セント硬貨の20%またはユーロ硬貨の25%と同等である。舌の付け根の咽頭表面およびLRO周りの咽頭壁は、面積が約3〜5cmであり、本明細書に記載の方法において薬物送達の望ましい標的の一部であり、第2の部分は上部食道表面である。
中咽頭の内腔は、食物、液体、および空気用の管であり、消化器系および呼吸器系双方の一部で、気道消化管(国際保健用語規格開発機関によって定義された解剖学用語)の一部とも言われる。日々中咽頭を通過するトラフィックは驚くべきものである。平均的な一日で、大人は12000Lの空気を呼吸し、2Lの流体を飲み、1Lの唾液を分泌し、2kgの食物を食べる。これらの活動は一定であり、起きている間は1分間に約15回呼吸し、1回の嚥下運動を行う。生物が生き残るため、食物および液体は食道を下りて気道には入らないようにし、空気は気道に誘導されるように、トラフィックの流れは調整しなければならない。この系の効率は、例えば、大きなピザをソフトドリンクと共に飲食する場合に可視、および、自明である。口から胃への塊の通過は、最小限の手間で達成される。
脳は咽頭のトラフィックの調整係であり、作動体は横紋筋および平滑筋である。少なくとも6つの脳神経および25個の筋肉が嚥下に関係する。固体の場合、食物は咀嚼され、分泌された唾液と混合および潤滑され、その後、食物塊は食道に急速に押し下げられる。嚥下の口咽頭段階はまばたきする間に、つまり、ミリ秒単位で起き、食物塊は咽頭を約35cm/秒で通過する。口と吻側舌におけるこのプロセスを支配する感覚信号は、三叉神経(5番)枝および舌下神経(8番)枝の求心性神経の信号から来る。中咽頭および舌の後面からの求心性信号は、主に、舌咽神経(9番)を介して来る。咽喉頭からの信号は迷走神経(10番)を介する。嚥下および(物が間違った道に行った場合の)咳は、脳神経および筋肉により調整された反射であり、これは、トラフィック負荷を正しい目的地に誘導するように設計されている。
上部気道消化管(口腔および鼻腔、咽頭、上部気道、および、食道)の上皮(鼻、口、喉頭、上部食道、および気管支の上皮)のニューロン受容野は主に、5番、9番、および10番の脳神経により補助される。これらの表面はおもに、粘膜、つまり、非角化重層上皮(NKSE)により覆われている。これらの細胞の代謝率は高く(約数日)、損傷に対し敏感である。例えば、咽頭における固体または液体の無秩序なトラフィック、酸およびペプシン、または、肺からの滲出液がある場合、気道消化管での堆積は脳神経を活性化し、炎症、かゆみ、痛み、および、炎症を引き起こす。咽頭不調の特徴的な症状は、ヒステリー球(喉のしこり感)、嚥下困難(嚥下障害)、嗄声、痛み、かゆみ、咳、および、咽頭粘膜の赤み及び腫れである。
咽頭は強い収縮筋を有し、これは万力として配置され、口咽頭の内容物をつかみ、食物塊を食道に押し込むように設計されている。解剖学は、野球における一塁手のグローブのようである。この系には2つの重要な弁がある。嚥下時に閉じる喉頭蓋と、緩んで内容物を食道に入れ、その後閉じて逆流を防ぐ上部食道括約筋(UES、つまり、輪状咽頭筋)である。咽頭収縮は残骸を流し内腔を空にし、負圧を生成することにより鼻腔および鼻咽頭から内容物を吸うことを補助する。調子のよい咽頭筋はまた、気道の開通性を維持し、滑らかに空気が流れるようにするのに重要であり、機能不全はいびきおよび睡眠時無呼吸を引き起こすだろう。
局所用抗侵害受容薬が有用である上部気道疾患例は以下である。
咽頭炎:咽頭内側の炎症であり、これは、最も一般的には、ウイルス剤および細菌剤により引き起こされる。タバコの煙などの化学的汚染物質も直接刺激し、粘膜を損傷し得る。咽頭炎の主な症状は、炎症、かゆみ、および痛み、つまり、「咽頭痛」である。長引く咽頭の炎症は慢性過敏症候群をまねき、これは、しつこい咳(8週間超ある場合、慢性咳と言われる)により明らかになる。本明細書に記載の薬は咽頭炎の不快感を緩和し、炎症を強力に低減させるだろう。
嚥下障害(嚥下機能障害):高齢者、脳梗塞の犠牲者、パーキンソン病を患った人々、および頭頸部がんをわずらった人々に共通の悩み。口咽頭嚥下障害は、食物の塊が咽頭から食道へ適切に送られない状態に適用される用語である。粒子が気道に入ると、結果は誤嚥性肺炎であり、このような犠牲者のケアには大きな経済的負担がかかる。ネブライザで投与される黒胡椒、カプサイシンのような物質(唐辛子の活性成分)、および、鼻チューブにより投与されるメントール溶液などの感覚刺激物は、高齢者における嚥下反射の待機時間を短くするため、誤嚥性肺炎のリスクを低減するために使用することができる(例えば、Ebiharaら(2011)を参照)。気道に入る物質が口腔からではなく食道から来る場合の関連状態は、誤嚥性肺炎と言われる。
後鼻漏:鼻腔および鼻咽頭粘膜から咽頭に入る分泌物が増加した状態。これらの分泌物は炎症性滲出液を含み得、鼻粘膜の炎症またはアレルギー(例えば、アレルギー性鼻炎、および、副鼻腔炎)から生じ得る。増加した分泌物は喉の不快感、痛み、かゆみ、咳、および、気流の減少感を引き起こす。口咽頭粘膜に送達された抗炎症薬または抗侵害受容薬は、咽頭の炎症感を低減することにより、この状態において治療的価値を有するだろう。
喉咽頭酸逆流症(LPR)および食道逆流症:酸およびペプシンが胃から咽頭に逆流する状態。普通、適切な嚥下と収縮した上部食道括約筋(UES)が逆流を防ぐが、この系が正常に機能しなくなった場合、酸およびペプシンが咽頭表面に入り、耳管および副鼻腔にさえ入り得る。結果は、嗄声症候群、痛み、喉頭浮腫、およびしつこい咳払いである。喉頭の検査は、赤みと喉頭周囲の粘膜の腫れを示す。表面の炎症を減少させる感覚剤は、LPRの治療で有用であろう。
胃酸逆流症:LPRに似た状態(例えば、Oustamanolakisら(2012)を参照)。この状態は、膨満感などの上腹部における症状、不快感、早期満腹、鼓脹、胸やけ、げっぷ、吐き気、嘔吐、または痛みから成る。上部消化管の不調はさらに、「器質性」と「機能性胃腸症」とに細分化される。器質性胃腸症(OD)は、例えば、消化性潰瘍、胃食道逆流症(GERD)、バレット食道、胃または食道のがん、膵臓や胆道の不調、食物または薬物への不耐性、および、感染症または全身疾患により引き起こされる。NERDを含む機能性胃腸症(FD)は、病状の客観的証拠を確認するのが容易ではないが、症状はODに似ているためより複雑である。これらの状態の管理には、胃酸抑制薬、ピロリ菌を除去するための抗生物質、運動促進剤、胃底緩和薬、抗うつ薬、および、心理学的介入が含まれる。
上部消化管における上腹部不快感:胃酸逆流疾患の主な症状である、「胸やけ」と言われる症状および非心臓性胸痛を含む状態。痛みおよび胸やけの不快感は主に食道が原因である。非心臓性胸痛は食道が原因の痛みであり、心機能障害により引き起こされることはない。これらの状態の症状の一部は、胸やけ(食べた後に起こり、数分から数時間続く、胸骨のちょうど後ろの胸における熱感)と表現される。胸骨下の熱感は首まで放射状に広がり、断続的に訪れ、痛みというより熱として感じられる。胸やけは胸痛とも表現することができ、体を曲げる、または、仰向けになるなど胃食道逆流を促進する姿勢をとることにより強調される。胸やけは正中線で感じられ、胸の側面では感じられない。他の感覚には、口および喉に酸っぱい、酸性の、または、塩辛い味の液体があって、喉および喉の奥に熱を感じること、嚥下の困難性、および、胸または喉の中ほどに食物が「張り付く」感じを含む。胸やけおよび胃酸逆流症は満席的な咳、咽頭痛、または慢性的な嗄声を引き起こし得る。
食道および咽頭への酸味およびペプシンなど消化酵素の過剰逆流は、GERD、喉咽頭酸逆襲症(LPR)、非びらん性逆流症(NERD)、非心臓性胸痛(NCCP)、および、機能性胃腸症に見られる不快感を引き起こす。
食道を、生理食塩水灌流と交互に0.1N HClで灌流することを用いた誘発試験(バーンスタイン試験)は、例えば、胸痛が胃酸逆流によって引き起こされているかどうかを判断するために、胸やけを敏感な人々に生じさせ、症状の原因が食道であることを確かめるのに使用することが可能である。この試験では、細管を一方の鼻孔に通し喉の奥を下がって食道の中ほどに位置させる。0.1N塩酸溶液と普通の食塩水を交互に、例えば、10分間に8mL/分の速度で、カテーテルを介して食道に注入する。患者は該溶液が注入されていることに気付かない。酸での灌流が患者の通常の痛みを引き起こし、食塩水の還流が痛みを生成しない場合、患者の痛みは胃酸逆流に関連すると結論付けられる。この客観的な評価方法を使用すると、HCl灌流に対し不快感を訴えたのは、健常者で7%、バレット食道患者で17%、GERD患者で32%、および、NERD患者で58%だった。実施例では、動物モデルを使用して、DAPA-2-5は0.1N塩酸の刺激作用に対し抗侵害受容薬として作用することを示す。
胸痛および胸痛の識別診断
時に、動悸、発汗、息切れ、および窒息感を伴う胸痛は、患者に、医者にかかる、または、救急科への入院を要求するようにさせる一般的な症状である。患者を検査する上での医師の最優先事項は、生命を脅かすいずれかの心血管状態があるかどうかを判断することである。必要な場合、胸痛での入院は、血清酵素アッセイ、心電図、および、心機能についての放射性トレーサー検査などの精密検査診断のため、高額になることがあり得る。胸痛のある患者の入院の中心価格は7340米ドルだったことが知られている(例えば、Coleyら(2009)を参照)。毎年、約640万人のアメリカ人が胸痛および関連症状を訴えて救急科を訪れるが、潜在的な心血管病因を呈すのはごく一部のみであり、その他は非心臓性胸痛(NCCP)を有する。胸痛は、救急科を訪れる2番目に多い理由で、第1の理由は胃および腹部の痛みである(例えば、Pittsら(2006)の表8を参照)。
胸筋の緊張、肺疾患、消化不良、パニック障害、そして、最も頻繁にはGERDなどの食道機能障害と、NCCPには複数の原因がある(例えば、Amsterdamら(2010)を参照)。エソメプラゾールなどの標準的プロトンポンプ阻害剤は、原因不明の胸痛を抑える効力が非常に限られ、薬の効果の発現に少なくとも数日を要する(例えば、Flookら(2013)を参照)。
NCCPと心臓痛を識別する簡易テストは、胸痛の識別診断において役立ち、患者のトリアージを可能にし、資源の割り当てを改善して医療費を削減する。本明細書に記載の事例研究において、老齢者がゴルフのラウンドを精力的にプレイし、その後飲食をしすぎ、胸骨後方および胸の左胸領域に痛みを感じ始めた。彼はアルカセルツァー(登録商標)と制酸剤を飲み、横になってみたが、痛みはなくならなかった。救急隊を呼ぶ決断をする前に、彼は1錠につきDAPA-2-5を1.5mg含んだ錠剤を3錠飲んだところ、驚くべきことに、彼の胸の不快感は5分以内に緩和した。しかしながら、この劇的な効果はDAPA-2-5の薬理学、つまり、上部消化管の脳神経末端に対する抗侵害受容作用を作用させることと一致する。
ここでは、上部消化管の表面に送達されたDAPA-2-5などの活性成分は、胸痛を緩和するのに有用で、胸痛の識別診断に役立ち得るということを提案する。DAPA-1-7、DAPA-1-8、DAPA-2-6、およびDAPA2-7など咽頭および食道における酸の作用を和らげる薬も、この目的で使用することができる。これは、それらが、NKSEに対し抗侵害受容的であり、NCCPに拮抗するだろうからである。したがって、このような薬は、胸痛の短期間の管理、および、胸痛の識別診断に用いることができる。
気道の疾病
ぜんそく、慢性閉塞性肺疾患、および気管支炎などの気道の疾病は、気道粘膜の炎症および滲出液の生成増加に関係する。滲出液は普段、喀出および嚥下により除去される。夜および睡眠時、咽頭筋は弛緩し除去が阻止されるため、滲出液は中咽頭に蓄積し、息苦しさと吐き気を引き起こす。中咽頭および気道の不快感を和らげる感覚剤は、このような気道疾患向けに有用であろう。
本明細書に記載の研究では、摘出迷走神経を灌流するDAPA-2-5は、カプサイシン誘発脱分極を直接阻止することを示す。したがって、9番と10番の神経の求心性神経に送達した薬は、口咽頭および上部食道の不快感を和らげる潜在能力を持つことを示す。驚くべきことに、DAPA-2-5は熱傷のモデルにおいても抗炎症活性を示し、したがって、NKSEの炎症の治療において価値があり得る。
上部気道消化管を感覚剤で治療するため、限られた回数の試行がなされてきた。高齢者の嚥下障害を治療するのに、黒胡椒、ラベンダー、カプサイシン、カプシド、およびメントールなどの感覚剤を使用することが提案されてきた(例えば、Ebiharaら(2011)を参照)。これらの薬は、エアロゾル化した液体懸濁液または鼻チューブを介して咽頭に送達される液体として適用した。除去反射を向上する正確な感覚事象は、定義されていなかった。アルトイズ(Altoids)(登録商標)など、効き目の強いメントールとペパーミントオイルの菓子も、口腔および鼻腔における感覚刺激剤となる。1錠につき重さ約2.7〜3.4gで、砂糖で染めたマトリクス中に5、7、または最大10mgまでのメントールを含んだメントールトローチ剤も時に経口刺激剤として使用されるが、渋味のため効力は限られていた。あるN−アルキル−カルボニル−アミノ酸エステル類が、喉の不快感および気道の炎症の治療で使用するために記載された(例えば、Wei(2011)を参照)。望ましい性質を持つ化合物には、(R)−2−[((1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−プロピオン酸エチルエステル、および、[((1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−酢酸イソプロピルエステル]が含まれる。
本発明の文脈において、目標は、
(a)不快感(炎症、かゆみ、および、痛み)を和らげる、上部気道消化管の粘膜に対し的確な抗侵害受容感覚を持つ活性化合物を明確にすること。この感覚は、それ自体は不快感を生まないが、代わりに、アイスクリームを嚥下した場合に似た、「動的に涼しい」と言われる感覚を生む。各テスト化合物において避けるべき感覚は、「冷たい不快感」と呼ばれる状態である。
(b)5番、9番、および10番の脳神経のうち1つ以上の神経末端という標的に活性化合物を局所送達するため、局所用製剤を開発すること。
(c)急速な発現(10秒未満)および長い持続期間(少なくとも数時間の効果)を持ち、「必要に応じて」というベース(必要になったら(pro re nataまたはp.r.n.))に基づくことが可能な投薬スケジュールであるため、患者が感覚的不快感に対する制御を取り戻すことができる薬物作用を明確にすること。理想的には、活性化合物は、1回の投与につき単位容量は5mg未満であり、効き目が強い。
(d)上皮組織に対する抗炎症作用という追加利点のある活性化合物を明確にすること、である。
これらの目的を、DAPA-2-5、例えば、1〜5mgのDAPA-2-5を含んだ製剤で達成する。
特異的な場所への標的局所送達
喉とは、喉頭の周りの身体領域を表現する用語である。内部的には、関連する構造は咽頭であり、これは、3つのセクション:鼻咽頭、口咽頭、咽喉頭に分けられる。鼻咽頭はまた、鼻咽腔とも言われ、鼻の後ろおよび軟口蓋の高さの上にある。中咽頭は軟口蓋(口蓋帆咽頭)から舌骨に達する。咽喉頭は喉頭の後ろのスペースにあり、舌骨から輪状軟骨の下縁に達する。口咽頭および咽喉頭は連続した漏斗状逆台形の管であり(例えば、Danielら(2007)を参照)、全表面積は約10〜15cmである。薬物送達に望ましい標的は、中咽頭のくちばし状表面、舌および口峡柱の根元、ならびに、口咽頭外壁である。上部食道の内側に到達するため、製剤は咽頭頭に長く留まることなく上部食道括約筋を通過しなければならない。
舌の後面、中咽頭、および咽喉頭から脳幹への求心性神経信号は、主に、9番(舌咽)および10番(迷走神経)の脳神経からであり、7番(顔)の脳神経の線維は少数である。受容野の求心性神経信号は、咽頭を空にし、気道を液体および固体の侵入から守る除去反射を調整する。上部食道において、神経支配は迷走神経および脊髄の求心性神経による。薬物送達の標的は、主に、9番と10番の脳神経の受容野であり、より少ない程度で、7番神経および上部食道の脊髄求心性神経である。
嚥下の口咽頭段階はまばたきする間に、つまり、ミリ秒単位で起き、食物塊は口から食道へ移動する。通過時間をレーザードップラー超音波またはX線ビデオ撮影法により測定すると、約35cm/秒だった(例えば、Sonomuraら(2011)を参照)。そのため、中咽頭〜咽喉頭の表面に感覚剤を送達(塗布)し、維持するのは難しい。活性成分は固形粒子として送達することは、炎症の原因となり、咳を引き起こすため、不可能である。
迅速な口腔内崩壊錠(ODT)は、「薬剤を含んだ固形投薬形態で、これは舌に乗せると30秒以内で迅速に分解する。さらに、該製品は、唾液と接触して分解する、または、迅速に溶解するように設計し、錠剤を咬む、無傷錠剤を飲み込む、または錠剤を水で飲み込む必要性を無くす(例えば、アメリカ合衆国保健福祉省アメリカ食品医薬品局医薬品評価研究センター、産業界のためのガイダンス:降雨空内崩壊錠(2007)を参照)」と、定義される。
口腔内崩壊錠(ODT)は、通常、薬物を血流に送達するために使用される。本発明の文脈においてODTは、活性成分を中咽頭および上部食道の非角化重層上皮(NKSE)表面へ、局所化した局所送達する方法として使用する。ODTは、マンニトールまたはラクトースなどのノンカロリー糖アルコールで調合し、チックタック(Tic-Tac)(登録商標)またはブリスター・パックで保管することができる。ODTは研究用実験室で容易に作成することが可能である。ODTは賦形剤および活性成分の直接圧縮により作成することが可能で、この技術は周知である。例えば、契約に基づいてODTを作成する企業は、英国のSPI Pharma社である。ODT製剤の例は、Boiron(登録商標)社のサバディル(Sabadil)(登録商標)(アレルギー用)である。ここにおいて賦形剤は、ラクトース、クロスカルメロースナトリウム(カルボキシメチルセルロース)、および、ステアリン酸マグネシウムである。Boiron(登録商標)社の個々の錠剤は、ブリスター・パックで保管され、各ODTの重さは240〜260mgである。
本明細書での使用を想定すると、重さが75〜250mgの錠剤のうち約1〜5mg(例えば、重量で錠剤中0.4〜6.7%)のDAPA-2-5を含んだ錠剤は、望ましい感覚効果を達成するのに十分である。中咽頭での迅速な分解は、喉の炎症が鼻漏または胃酸逆流から生じる場合、最も効果的であるが、刺激物が気道から咽喉頭に広がる場合は効率が劣る。経口錠剤の溶解した内容物を、気道の入り口で神経末端に塗布することはより難しい。
送達の代替方法は、活性化合物を装填し、例えば、
・ 人の中咽頭、
・ 人の上部食道表面、および/または、
・ 人の上部気道に、
活性化合物を送達するのに適切な、装置およびディスペンサを使用することである。
好適には、装置またはディスペンサは、アダプタ付き、またはアダプタなしの、手動で作動させるか、または、定量噴霧のディスペンサであって、例えば、少なくとも70重量%の活性化合物が口腔を飛び越え、対象の表面に送達されるように、実質上、活性化合物を人間の表面に選択的に送達する。送達する液滴は、開口サイズおよび分注機構の速度に応じ、エアロゾルまたは巨大液滴であってよい。
好適には、アダプタは送達装置のスペーサ・アタッチメントである。好適には、該スペーサ・アタッチメントは長さが0.5インチ(〜1.27cm)〜4.0インチ(〜10.2cm)である。好適には、装置またはディスペンサは、活性化合物をエアロゾルまたは巨大液滴の構成要素として送達するように構成する。好適には、装置またはディスペンサの作動は、一定用量単位の活性化合物を送達するように構成する。好適には、1回の活性化期間あたりの全用量は、1〜5mgの活性化合物である。好適には、単位用量は、0.05〜0.2mLの活性化合物の液体製剤から得る。任意で、装置またはディスペンサにはその使用に関する指示(例えば、指示書)が添付してある。
このエアロゾル化送達の方法は、ODTを容易に使用できない人、例えば、幼児、高齢者、および、唾液を出す、または、嚥下することが困難な障害者にとって有用であり得る。
発現、作用の持続期間、および、送達スケジュール
ここで想定するように、治療用送達薬は迅速な、例えば、10秒未満の作用の発現とともに、感覚効果を有するべきである。効果は少なくとも1時間、好適にはより長く有効でなければならず、そうでなければ、患者は緩和を得るために薬物を繰り返し適用しなければならないだろう。好適には、感覚事象を刺激する、活性成分の「あっと言わせる効果」があるべきである。患者がこの「あっと言わせる効果」を認め、ODTまたは噴霧を「必要に応じて」(p.r.n.)というベースで使用することが可能であるべきである。本明細書の文脈において、「あっと言わせる効果」は「動的に涼しい」という。作用の急速な発現で、患者は口咽頭および上部食道の不快感を緩和することが可能であるべきであり、この緩和はさらに、喉の不快感に関係する心因性の要因を低減するだろう。これらの目標はDAPA-2-5により達成される。
活性成分の選択:分子標的
発明者は、Ebihara(例えば、Ebiharaら(2011)を参照)により選択された、ネブライザで投与されたカプシノイド(カプサイシン様化合物)および黒胡椒油などの嚥下障害用の一部の薬は、咽頭にとって理想的ではない。これは、これらの化合物は刺激し、不快感を引き出し得るためである。
TRPM8と言われるイオンチャネルレセプターが、メントールおよびイシリンなどの感覚/冷却剤に反応する主な生体要素であるという一般的見解がある(例えば、McKemy(2002)を参照)。
TRPM8は1104−アミノ酸残基付きタンパク質であり、6つの貫膜ドメインを有する。周囲温度の低下によるこのレセプターの活性化は、非特異的陽イオンの細胞内への侵入を引き起こす。感覚ニューロンの脱分極は、その後主にAδ線維(およびC繊維の一部)を介して脳に信号を送ることができる。感覚生理学におけるTRPM8の役割に対するこの考え方は、身体的温度変化に関しては妥当だが、メントールおよびイシリンといった化学物質の感覚的効果についての説明はより複雑である。メントールは、インビトロのTRPM8を刺激するだけでなく、TRPV3、つまり、温かさに関係するレセプターも刺激する(例えば、Macphersonら(2006)を参照)。メントールはまた、TRPA1を阻害する。イシリンはTRPM8だけでなくTRPA1も刺激し、イシリンは、TRPV3(例えば、Sherkheliら(2012)を参照)と、グリシン作動性伝達(例えば、Choら(2012)を参照)を阻害する。したがって、メントールとイシリンは「見境のない」薬物であり、その特異的な感覚的効果は任意のある特定のレセプタータンパク質と関連するものではない場合がある。
TRPM8レセプターでの化学的効能(EC50μMにより測定)と、中咽頭で感覚事象を引き起こす効能の間の相関関係は複雑である。発明者は、それぞれTRPM8レセプターで完全な効力を示す、21個の化合物(本明細書に記載の11個のDAPA化合物、メントール、イシリン、7p−メンタンカルボキサミドアミノ酸エステル、および1p−メンタンカルボキシエステルを含む)を、TRPM8効能の100倍の範囲をカバーして研究し、その感覚効果を評価した。驚くべきことに、いくつかの副作用が一部の化合物で観察された。例えば、TRPM8効能で21個のテスト化合物中16位のメントールは、ODT中2mgという用量で胸の不快感を生んだ。対照的に、21個のテスト化合物中TRPM8効能で4位のイシリンは、胸における冷却または喉における望ましい感覚を生まなかった。21個のテスト化合物中TRPM8効能で1位、5位、および13位の3つのp−メンタンカルボキサミドアミノ酸エステルは、喉において快適な冷却を生成した。しかしながら、それらのうち1つだけが中咽頭において望ましい「爽快/動的な冷却」を有した。DAPA化合物において、TRPM8レセプター効能の感覚事象に対する関係は、容易に分類できなかった。驚くべきことに、活性成分として望ましい質を全て持つDAPA-2-5は、21個のテスト化合物中TRPM8効能で12位だった。
最近、無害の冷たさ、抗侵害受容作用、および、冷覚疼痛という作用を選択的に仲介するニューロンを発現する、別個のTRPM8グループがあることが示唆されている(例えば、Knowltonら(2013)を参照)。所定のTRPM8アゴニストの感覚効果はその後、ニューロンの各部分セットに対する刺激作用が均衡する。DAPA-2-5は、炎症/痛みを引き起こすことなく、無害の冷たさおよび抗侵害受容性を選択的に生成する、折衷アゴニストであり得る。
不快感を治療するための喉における正確で望ましい感覚
TRPM8レセプターの効能スクリーニングを、活性成分を選択する主要な方法として使用できないことが明らかになった際、代替のバイオアッセイ方法を開発することが必要だった。喉における望ましい感覚の的確な定義が、更なるテストの準備のために必要だった。
テスト化合物を非角化身体表面(例えば、口咽頭表面)に適用する場合、結果として起きる感覚を分類することが可能である。個々の化合物により生じる感覚の質はある特定の特性を支持し、該特性は互いに異なる。引き起こされる感覚の質、それらの記述子、提案される作用メカニズムを以下の表にまとめる。任意の化合物において、効果が一部重複するかもしれないが、通常、1つの化合物は1つまたは2つの感覚カテゴリーを占める。
研究したDAPA化合物の一部は、口腔において強烈に冷たい感覚を引き起こした。該感覚は、氷片を混ぜ平衡させた冷水を素早く飲むことに類似する。強烈な冷たさは、飲料を例えばレモネードですっぱくする場合、さらに強まる。中咽頭における鈍く、強烈に冷たいという感覚は、痛い、不快、および、嫌悪と表現することが可能である。「氷のように冷たい」という用語は、これらの有害で強烈な冷覚を表すのに用いる。
例えば、DAPA-1-6、DAPA-2-6、およびDAPA-2-7で指摘される第2のタイプの冷たい不快感は、胸における冷たい感覚だった。冷感は胸骨の後ろおよび上胸部にあった。おそらく、化合物は食道の内側に冷たい感覚を迅速に分布し、活性化した。これらの感覚は一部の対象には不快と思われるが、胸やけおよび胸痛の治療には有用であり得る。
より多い経口量(例えば5mg以上)のDAPA-2-7では、他の体表に冷たい感覚があった。顔の皮膚および眼球が涼しさおよび冷たさを感じた。肩甲骨および足首の皮膚表面も、特に、部屋に隙間風(気流の増大)があった場合に涼しさと冷たさを感じた。血管が収縮したように手が冷たく感じた。これらの感覚は、DAPA-2-7の血流への全身的な吸収により生じたものであり得る。代わりに、一部位での強力な涼しさは脳に該感覚を「生じ」させ、冷たさを身体の他の部分によるものとすることも可能である。これらの全身的に冷たいという感覚は、テスト対象が求めないとしても、気がかりで、不快なものと見なされ得る。
まとめて、これらの3つのタイプ−「氷のように冷たい」、胸の冷たさ、および、全身的な冷たさ−を「冷たい不快感」と呼ぶ。冷たい不快感は、中咽頭/上部食道に局所作用するように設計する薬における活性成分の選択を制限する。理想的な薬は、局限性作用部位を持たなければならず、感覚の強度は「氷のような冷たさ」、胸の冷たさ、および、全身的な寒気を引き起こすべきでない。
口腔、喉、および上部食道は、涼しさ、寒気、および冷たさを感じ得る。これは人間としての経験の事実である。アイスクリームを口に置くと、舌および口の壁に心地よい冷却と甘い感覚がある。アイスクリームを飲み込むと、口の奥に非常に短い間(せいぜい1秒か2秒)強く爽快な感覚がある。これは、口咽頭/食道の不快感の治療に望ましい感覚である。この感覚を本明細書では「動的な涼しさ」と表現する。該感覚は、涼しさ、冷たさ、または氷のような冷たさとは異なる。この「動的な涼しさ」は、それが強力で心地よいことから「あっと言わせる」効果を与える。
喉における「動的に涼しい」感覚は、氷のように冷たい水またはレモネードを素早く一口飲んだ際の、涼しい、冷たい、および氷のように冷たい感覚と対比することが可能である。例えば、(かき混ぜた後)氷片で平衡させた一杯の水を飲む。温度は約4℃である。該水を1秒に約1口の速度で飲み始める。最初の5口は心地よいが、5〜10口で喉は鈍い冷たさを感じ、約10口〜15口後は喉の氷のような冷たさは不快になり、氷のように冷たいという感覚は、胸、胃の半ばに感じ得る。これらの不快な感覚は「冷たい不快感」を構成する。
アイスクリームを一口食べることは、氷のように冷たい水を一口飲む感覚となぜ異なるのだろうか?双方の状況において、喉における内容物の温度はほぼ同じだが、アイスクリームで喉に不快な冷たさを感じることはほとんど起き得ない!説明の1つは、アイスクリームを組成する油脂の熱伝導率が、水とは異なるということである。例えば、オリーブ油の熱伝導率は0.17W/m.Kで、水のそれは0.58W/m.Kである。熱伝導率の高い(および、熱質量のより大きい)冷水は、アイスクリームより多くの熱を放散する。喉表面からの放熱速度は、ひいては感覚知覚の決定要因であり、それが早すぎる、または、継続する場合、冷たい不快感がある。一方、滑らかな放熱速度は爽快な感覚を生成する。実験的には、ハーゲンダッツ(登録商標)バニラなどクリーム含有量の高いアイスクリームは、「動的な涼しさ」を引き出すのに最もよく機能する。そのため目標は、最適な「動的な涼しさ」を生成し、「冷たい不快感」を生成しない、化学的感覚剤(つまり、熱を放散しない化合物)を特定することである。
驚くべきことに、そして、予想外に、DAPA-2-5は中咽頭において5〜15分間「動的な涼しさ」を引き出すが、「冷たい不快感」はない。
DAPA-2-5は、咽喉頭にある求心性神経の受容野への作用により「動的な涼しさ」を引き出す。感覚神経には、口蓋扁桃に隣接する表面の神経を支配する顔神経(7番)、舌の後部1/3および中咽頭の壁の神経を支配する舌咽神経(9番)、中咽頭および咽喉頭の側/後部壁の部分の神経を支配する迷走神経(10番)を含む。さらに、気道消化管の先つまり上部食道は、迷走神経および脊髄の求心性神経により支配される。
技術的な難しさが7番、9番、および10番神経の受容野からの感覚入力の直接測定を阻むが、ラットの鼻の皮膚の受容野より、5番神経のマッピングを行った。推論により、情報処理はこれらの脳神経全てにおいて同じであると推測可能である。
5番神経ニューロンの中枢反応は、ラットの顔および舌への無害な熱刺激に反応するラットの表在性延髄後角より記録および研究した。−Δ5℃の目盛り変更で、両静的発火頻度を有する細胞と、主に動的性質を有する細胞を刺激した(例えば、Daviesら(1985)を参照)。ネコおよび人間における同様の研究は、Δ0.5℃/秒ほどの温度目盛り低下(動的変化)は、ニューロンおよび精神物理学的測定により容易に検知可能であることを示した(例えば、Daviesら(1983)を参照)。
ニューロン放電(インパルス/秒)の発火パターンについての研究から、温度変化に対する動的で静的でない発火反応は、涼しい/冷たいという感覚を生む最も強力な刺激であることは明らかだった(例えば、Daviesら(1983)を参照)。つまり、脳は−Δ℃/時間を「理解し」、絶対℃は「理解しない」。したがって、神経放電での最適な−Δ℃/時間を模倣する薬は、「動的な冷却」を生成しよう。
送達
本願において、治療の考え方は、抗侵害受容薬を5番、9番、および10番の脳神経の受容野の部分、例えば、口咽頭、上部食道、および上部気道表面の粘膜に、局所的に適用することである。適用する感覚剤は、酸、刺激物および炎症の作用を和らげ、炎症、かゆみ、および/または、痛みを緩和するように設計する。
中咽頭を通る固形/液体の高速な通過時間(〜35cm/秒)は、ニューロンの受容野への局所的な薬物送達にとって障害になるが、この支障は、活性成分を舌の背面の中央後ろに置く口腔内崩壊錠(ODT)に配合することにより、または、薬を溶液、例えば巨大液滴で、または、エアロゾルとして送達することにより、回避することが可能である。ODTにおいて、唾液における錠剤の迅速な(<10秒)分解は、活性成分を中咽頭および食道内側の受容野に塗布することを可能にする。溶液の使用は、口咽頭表面、および、(上部食道括約筋を通過して)上部食道内側への即座の到達を可能にし、エアロゾルは気道への送達を可能にする。これらの送達方法、ならびに、DAPA-2-5の水溶性および低分子量は、関連の心理的利点とともに感覚的不快感の即座の緩和を可能にする。
好適な製剤は、DAPA-2-5を1〜5mg含んだ口腔内崩壊錠である。このような製剤は、口の奥で舌上に置いた際、10秒未満で感覚効果を作用させ、喉の不快感および胸やけに対し数時間効果的である。好適な液体製剤は25%(wt/vol)のレモンジュース、1.5%(wt/vol)のキシリトール、および水に、DAPA-2-5を1〜5mg/mL溶解させたものである。この溶液はプラスチックの貯蔵器ボトルに置き、ディスペンサボトルの圧搾で口の奥に「噴出する」ことが可能である。代わりに、該溶液は、口の奥の表面に送達することを容易にする、3インチ(〜7.5cm)のスペーサ・アタッチメントの付いた手動で作用させるスプレーポンプ付きの貯蔵器ボトルに置くことができる。
薬の送達スケジュールは、患者の「必要に応じて」というベース向けに設計し、一定間隔薬物としては設計しない。この療法戦略により、人は上部気道消化器の不快感の自発的制御を再開し、例えば、夜間によく眠る、心の平和を得る、および、心配を少なくすることが可能になる。
肛門性器表面には、クリーム、ローション、溶液、または、スプレー送達システムを使用することができる。
研究1
〔毒性〕
予備的な毒性研究をDAPA-2-5およびDAPA-2-7について行った。これらは、エームズ試験において変異原性ではなかった(菌株TA98およびTA100、肝臓活性化あり、および、なし)(テストは、Apredica社(アメリカ合衆国、マサチューセッツ州、ウォータータウン)により実行)。
3%エタノール/97%1,2−プロパンジオールに溶解したDAPA-2-7または媒体のみを、オスのラット(1グループあたりN=8)に7日間、30mg/kg体重を皮下投与し、8日目にペントバルビタールナトリウムで安楽死させ、主要器官(胴体、心臓、肝臓、肺、腎臓、精巣、脳)を取り出し計量した。心臓組織(心室および心臓弁)および肝臓の試料をヘマトキシリンおよびエオシンで染色し、組織構造を検査した。2グループの間で胴体または器官の重量に有意差はなく、心臓および肝臓の組織構造は普通だった。
同一の設計だが、7日間(1グループあたりN=10)、20mg/kgのDAPA-2-5を経管栄養により経口で投与した研究は、同じ結果となった。DAPA-2-5で治療したグループと媒体のみで治療したグループの間で器官の重量および組織構造に有意差はなかった。
研究2
〔咽頭表面における感覚の質〕
テスト化合物を、口腔内崩壊錠(ODT)を介して咽頭表面に適用した。テスト用量は、80%マンニトール−20%マルチトールマトリクス中〜1〜3mg/錠剤であった(例えば、Weiら(1989)を参照)。咽頭感覚の発現および持続期間はストップウォッチで測定した。
「冷たい不快感」は、対象にODTを使用してテスト化合物を投与して10分後、氷片で前もって平衡させた水を一口飲むように求めた後で測定した、対象が喉に「普通の涼しさ」を感じた場合、それは「+」と格付け、喉に「うずくような冷たさ/不快感」があった場合、格付けは「++」とした。
結果を以下の表にまとめる。計算結果は、1化合物につき6〜8回の使用についてである。
結果は、最適な活性に関し、2つのアルキル基RおよびRは補助的なアルキル基でなければならないこと、つまり、リン原子に結合した炭素(または、アルファ位)は枝分かれしていなければならないことを示す。したがって、(DAPA-3-1の)ジ−イソブチル部分は中咽頭において事実上不活性であり、最も高いEC50値を持つ。活性化合物はジ−イソプロピルおよびジ−sec−ブチル系列にある。
ここで観察された予想外で驚くべき結果は、Rが活性の構造的決定要因であるということだった。Rがn−ペンチルである場合、化合物DAPA-2-5は「動的な涼しさ」を持つが、Rを1つか2つのメチレン基によりn−ヘキシル(DAPA-2-6)またはn−ヘプチル(DAPA-2-7)に拡張した場合、化合物は冷たい不快感を増加する。n−ペンチルを1個の炭素によりn−ブチルに減らすと(DAPA-2-4)、涼しい爽やかさを保持するが、化合物は作用が短時間すぎて、例えば、口咽頭の不調においてDAPA-2-5ほど有用ではない。Rの末端炭素を枝分かれさせ、DAPA-2-5のn−ペンチルを3−メチル−ブチル(DAPA-3-2)に置き換えると、活性がほぼ全て喪失することになる。DAPA-3-1は不活性であることが分かった。DAPA-2-5、DAPA-1-7、DAPA-3-1、およびDAPA-3-2は同じ分子量だが、活性は互いに明確に異なる。データは、Rの炭素数をC4からC8へ増やすことは、冷却の持続期間を伸ばすことを示す。これは、親油性を炭素数で高めたことにより、化合物が作用部位でより長く保持されたと仮定すると説明できよう。
冷たい不快感なく、局所的な動的な涼しさを有するDAPA-2-5のn−ペンチル基の独特の特性は、驚くべきで、技術水準からは予想され得なかった。
研究3
〔咽頭表面における感覚の質:痛み〕
炎症の「痛み」構成要素には、炎症、かゆみ、および不快感を含み、これらの終点の抑制を「抗侵害受容」と呼ぶ。化合物が抗侵害受容活性を持つか否かを判断するため、発明者は中咽頭に不快感を引き起こす修正カプサイシンチャレンジ方法:唐辛子ソース炎症テストを考案した。
舌の後部背面に置いた唐辛子ソースは、中咽頭にくすぐったい/刺激性の感覚を引き起こす。唐辛子ソースに関連した感覚は、口の奥に位置し、はっきりと認識され、炎症および喉をすっきりさせたいという要望を伴う。
舌の後部背面に適用した唐辛子ソースは、活性成分を含んだODTで容易に抑制することができるが、賦形剤のみを含んだODTには影響を受けない感覚を引き起こす。
唐辛子ソース炎症テストにおいて、テスト化合物を、ODTを用いて投与した30分後、0.2〜0.25mLのソースを舌の後部背面に(シリンジまたはプラスチック棒で)適用した。ここで用いる唐辛子ソースは、ヤン・シン(Yank Sing)(登録商標)唐辛子ソース(YS Gourmet Productions社(カリフォルニア州94126、サンフランシスコ、PO Box26189))と言われ、点心(中国茶ランチ)と共に使用する周知の調味料である。ソースの刺激性/くすぐったい感覚の抑制がなかった場合、値は「0」で、いくらかの抑制があった場合、値は「+」で、完全な抑制があった場合、値は「++」とした。++スコアを与えた化合物の場合、唐辛子ソースの刺激信号は完全に存在しないが、調味料のソースの塩気は容易に感じることが可能である。
結果を以下の表にまとめる。「++」結果は、唐辛子ソースの刺激作用の抑制を示した。計算結果は、1化合物につき6〜8回の試用についてである。
唐辛子ソース炎症テストで気付いた普通でない特徴の一つは、(咽頭炎症研究で測定した)中咽頭における「動的に涼しい」という感覚は約10〜15分続く一方、(唐辛子ソース炎症テストで測定した)抗侵害受容活性は数時間続くということである。この「記憶追跡」作用は最も普通ではなく、驚くべきであるが、除去反射は生存に不可欠であり、いったん起きると、または、増大すると、喉の障害の監視に対処する脳の他の反射を採用する可能性があることが明確に認められれば、説明し得る。この脳における採用プロセスは長く続き得る。
研究4
〔TRPM8、TRPV1、およびTRPA1におけるアゴニスト活性〕
テスト化合物のインビトロでの効果を、(CHO細胞に発現する、人間のTRPM8遺伝子によりコードした)クローンhTRPM8チャネルにおいて、Fluo−8カルシウムキットおよび蛍光イメージングプレートリーダー(FLIPRTETRA(登録商標))機器を用いて評価した。アッセイは、ChanTest 社(アメリカ合衆国、オハイオ州44128、クリーブランド、ネオ・パークウェイ14656)が行った。
テスト化合物および正の対照溶液を、原液をHEPESバッファー生理食塩水(HBPS)溶液で希釈して作製した。テスト化合物および対照製剤をポリプロピレンライニングまたはガラスライニングの384ウェルプレートに搭載し、FLIPR機器(Molecular Devices社、アメリカ合衆国、カリフォルニア州、ユニオンシティ)に置いた。テスト化合物を1測定につきn=4複製で4または8の濃度で計測した。正の対照の参照化合物は、既知のTRPM8アゴニストであるL−メントールだった。テスト細胞は、人間のTRPM8cDNAを安定的に形質移入したチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞だった。
FLIPRTETRA(登録商標)アッセイでは、細胞を、384ウェル黒壁平底クリアボトムマイクロタイタプレート(タイプ:BDバイオコートポリ−D−リジン細胞培養マルチウェルプレート)に、1ウェルにつき約30000細胞ずつ置いた。細胞は37℃で一晩培養し、蛍光アッセイに用いるのに十分な、ほぼコンフルエントな単層に到達した。テスト工程は、増殖培地を除去することと、Fluo‐8を含む40μLのHBPSを30分間37℃で添加することだった。10μLのテスト化合物、媒体、またはHBPS中の対照溶液を各ウェルに添加し、4分間読み取った。
濃度−反応データを、FLIPRシステム(MDS-AT社)と共に提供されるFLIPRコントロールソフトウェアを介して分析し、次式のヒルの式に当てはめた。
該式において、「Base」は低濃度のテスト化合物での反応であり、「Max」は高濃度での最大反応であり、「xhalf」はEC50、つまり、最大活性の半分を生成するテスト化合物の濃度であり。「rate」はヒル係数である。非線形最小二乗を単純な1対1結合モデルを仮定して適合した。95%信頼区間をGraphPad Prism 6ソフトウェアを使用して得た。
結果(TRPM8レセプターアッセイにおけるアゴニスト活性)を以下の表にまとめる。
全ての化合物はレセプターに対し完全な効力を有する。つまり、最大100%の活性があり、テストした用量レベルはシグモイド用量−反応関係に適合する。
DAPA-2系列についての結果を図1に示す。
図1は、DAPA-2-4(円)、DAPA-2-5(四角)、DAPA-2-6(逆三角)、DAPA-2-7(ひし形)およびDAPA-2-8(星)それぞれについての蛍光(相対蛍光単位、最大の%)を、テスト化合物(μM)の濃度の対数関数としたグラフである。
DAPA-2-4は、DAPA-2-5、DAPA-2-6、DAPA-2-7、およびDAPA-2-8より著しく効き目が弱い。DAPA-2-5〜DAPA-2-8の効能は、95%信頼区間が重複しており、類似していた。それでもインビボで投与した際、これらの化合物の間で互いに異なる選択的な薬理学的差異があることから、DAPA-2-5が好適である。
テスト化合物の特性を検査するため、更なる研究をTRPV1チャネル(HEK293細胞で発現したヒトTRPV1遺伝子)およびTRPA1チャネル(CHO細胞で発現したヒトTRPA1遺伝子)で行った。テスト細胞は、ヒトTRPV1またはTRPA1cDNAを形質移入した、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはヒト胎児由来腎臓(HEK)293細胞だった。正の対照参照化合物はカプサイシン(既知のTRPV1アゴニスト)、または、からし油(既知のTRPA1アゴニスト)だった。
DAPA-2-5、DAPA-2-6、およびDAPA-2-7は、100μMという最大テスト濃度で、TRPA1チャネルにいずれのアゴニスト活性も示さなかった。
驚くべきことに、DAPA-2-5、DAPA-2-6、およびDAPA-2-7は、弱いTRPV1アゴニスト活性を示し、予想EC50は、それぞれ、7.0mM、0.13mM、および、0.22mMだった。DAPA-2-5は、TRPV1を刺激する際、DAPA-2-6より54倍効き目が弱いことに注目すること。DAPA-2-5、DAPA-2-6、およびDAPA-2-7の相対効能を第2の実験で確かめた。これは、これらの化合物で観察される異なる薬理学的性質の論拠を提供し得る。
DAPA-2-5をまた、5μMで、ASIC3(酸感受性)、hNav1.7(ナトリウムチャネル)、および、hERG(カリウムチャネル)について、形質移入細胞および発現チャネルレセプターにおいて、パッチクランプ実験で評価した。正の対照(つまり、アミロライド、リドカイン、および、E4031)は、これらの細胞それぞれにおいて活性があったが、DAPA-2-5に関しては、これらの細胞におけるアゴニスト活性もアンタゴニスト活性も観察されなかった。
研究5
〔動物モデルにおける熱誘発浮腫の抑制〕
炎症は、局所損傷に対する血管新生化生体組織の反応として定義される(例えば、Cotranら(1989)を参照)。炎症の特徴的な兆候は、赤み、腫れ、熱、および痛み(および、機能損失)である。
DAPA化合物の抗炎症性質を、熱誘発血管漏出というモデルで研究した(例えば、Weiら(1989)、Weiら(1993)を参照)。ペントバルビタールで麻酔したラット(体重は200〜300g)の足を58℃の水に1分間浸す。約1.8mLの普通の足の体積は、30分以内で〜88%に増大する。腫れは手足の含水量の増加によるものである。テストは、足を温める前の30分間、様々なDAPA化合物に曝した場合、熱に誘発される手足の体積の増大が減ることを確かめることだった。
テスト化合物を20%水−80%R−1,2−プロパンジオールに20mg/mLで溶解した溶液を、ペントバルビタールで麻酔したラット(体重は200〜300g)の足の皮膚に、先端をポリエチレン60チューブの断片でカバーした、先の丸い21ゲージ針に付けたシリンジを用いて、1本の足につき0.3mLを適用した。溶液を足に分布した後、足を、使い捨て手袋から切り取ったプラスチックの指部できつく封入した。対照の、つまり、対側の足は媒体のみを受ける。適用して30分後、両方の足を58℃の水に1分間浸した。浸して30分後、両方の足をハサミを用いて足関節で切断し、計量した。
予備研究において、対照動物(N=12)の足は、熱に曝した(58℃の水に1分間)後、重さが1.77±0.22g(平均値±標準誤差)から3.33±0.07gへ、つまり足の重さは88±2%増加することが分かった。データにより示すように、DAPA-2-5は、対照の足と比較し、12.9%(P<0.05〜0.001)ほど、この反応を著しく阻止した。DAPA-2-5の効果は未熟な観察者にも明白だった。これらの結果は驚くべきである。これは、このDAPA-2-5の抗炎症性質は予期されないものであり、これまで科学文献に報告されておらず、さらに、DAPA-2-5の阻止効果は他のDAPA化合物よりも強かったためである。
熱誘発浮腫のメカニズムは他で議論されている(例えば、Reedら(2010)を参照)。熱損傷組織の変性タンパク質が広がり、親水基を曝し、これはその後、血液側から皮膚へ水分を吸収する。損傷組織における含水量の迅速な増大は、細胞外マトリクスの間質液圧が急激に下がり、プラズマ液体に細胞外空間への吸引効果がもたらされたことによる。
研究6
〔動物モデルにおける抗炎症効果〕
DAPA化合物の一部に見られる氷のように冷たい刺すような感覚は、それらが直接刺激物であり得ることを示唆する。この仮説を、純化合物20μLを、ペントバルビタールで麻酔したラットの毛を剃った腹部の皮膚に適用することでテストした。テスト物質を輪状のクリームでできた直径〜1cmの円に封入した。テスト物質をマイクロピペットで適用し、1時間後、該場所をコットンパッドで拭きとり、赤みの存在を0〜+++のスケールで格付けした。
データを以下の表にまとめる。
データは、希釈していない形態のDAPA-2-6およびDAPA-2-7はそれぞれ、皮膚刺激物であることを示す。対照的に、純DAPA-2-5は皮膚における炎症誘発作用が最小限であるか、全くない。
DAPA-2-5の炎症作用の欠如は重要である。これは、DAPA-2-5の意図する用途の一部は炎症粘膜および移行上皮におけるものであり、DAPA-2-5の任意の侵害受容作用は刺激または痛みを悪化させ得るためである。これらの構造的に類似した化合物の選択性および非選択性の正確な理由は現時点では明確でないが、高濃度のDAPA-2-6およびDAPA-2-7により活性化する、TRPV1といったTRPチャネルなどの他のレセプターでの相互作用と関係するのかもしれない。
これらの結果はまた、喉咽頭酸逆流(LPR)として知られる咽頭の不調において、DAPA-2-5の使用可能性に対し特別な関連を持つ。LPRでは、胃酸およびペプシンが咽頭表面に逆流し、組織の損傷を引き起こす。喉頭周りの炎症は、患者において喉頭鏡で容易に可視化され、炎症は痛み、嗄声、および咳払いを引き起こす。現在の主要な治療法は、例えば、プロトンポンプ阻害薬を使用し、胃からの酸分泌物を減らすことである。しかしながら、喉の不快感または咽頭粘膜の炎症を治療する方法はない。口腔内崩壊錠(ODT)、溶液、またはエアロゾルとして送達するように調合した、DAPA-2-5などの薬は、LPRの炎症粘膜の療法に新しい戦略を提供する。
研究7
上部気道消化管の内側における主な内因性刺激物は塩酸である。咽頭の粘膜に対する酸の刺激は反射的な嚥下を引き出すだろう。受容領域は咽頭壁にあり、舌咽神経(9番)および内部の喉頭内神経(10番)により支配を受ける。ラット動物モデルにおいて、例えば、酢酸およびクエン酸などの有機酸の溶液は嚥下を引き出すのに有効だった(例えば、Kajiiら(2002)を参照)。本発明において、酸に対する感覚反応を測定する方法は、塩酸に対する感度を抑制し得る薬をスクリーニングするのに適していた。それなら、酸チャレンジを抑制する薬は、胸やけという不快感を緩和するのに有用であり得る。
実験はPavlov Institute of Physiology(ロシア、サンクトペテルブルク)で行った。重さ200〜400gの、オスの成体ウィスター系ラットをRoppolovo Vivariumより入手した。全ラットをペントバルビタールナトリウム/ウレタンで麻酔し、仰臥位で固定した。体温は加温パッドを用い37.0℃で維持した。首の前表面で正中切開を行い、気管にカニューレを挿入した。ガイドチューブ(ポリエチレン、直径2.2mm)を硬口蓋の正中線に固定し、内部注入チューブ(ポリエチレン、直径0.9mm)を軟口蓋の端と同じ高さに置いた。このテスト工程は、機械的摂動を最小にしながら咽頭領域を液体で刺激することを可能にする。食道チューブを胸の高さに置き、注入後の溶液を排出した。注入溶液は、注入ポンプを用い、喉頭領域に20秒間1.5μL/秒の流速で適用し、約30μLという総単位体積を与えた。刺激を2〜3分の間隔で適用し、該間隔は吸引で洗い流し洗浄することを可能にした。注入した溶液は蒸留水、生理食塩水、0.1N塩酸、またはテスト化合物だった。対になった単極電極を片側顎舌骨筋に挿入し、筋電図(EMG)活動、および、後の分析のために処理した信号を記録した。嚥下運動をEMG活動と認定し、該嚥下運動はまた、咽頭運動として可視化することも可能だった。一定間隔における嚥下回数を終点として用いた。
テスト工程は、ペントバルビタールナトリウムをウレタンの代わりに主要麻酔として使用した以外は、以前記載されたものと類似していた(例えば、Kajiiら(2002)参照)。また、食道の排水は、咽頭の機械的擾乱を避けるため、胸の高さで行った。溶液の注入速度は15〜18秒間に1.5μL/秒だった。
生理食塩水、つまり、テスト化合物の媒体は、嚥下運動を誘発しなかった。0.1N HClの注入(約18秒の間に30μL超)に対する反応は、高度に再現性があった。平均して1分間に36±4回の嚥下運動があった(N=7ラット)。この反応は、休息期間を挟むか、または、10分の間隔で生理食塩水を注入しながら、2時間超の間、同じラットで引き出された。
Dixon(1980)の上下方法を用いて嚥下反応の阻止を滴定し、計数的反応に関し、終点の嚥下頻度を50%減少するEC50を得た。DAPA-2-5のEC50(N=8)を0.09mg/mLと概算した。
実験の例を図2に示す。
図2は、麻酔ラットの咽頭に注入した0.1N HClにより誘発された嚥下運動に対するDAPA-2-5の効果を示す筋電図(EMG)活動の振幅(mV)を、時間関数としたグラフを示す。最上部パネルは酸後の47回の嚥下を示し、第2パネルは、0.4mg/mLのDAPA-2-5は酸反応を3回の嚥下まで低減することを示し、第3パネルは、酸チャレンジ後9回の嚥下があり、DAPA-2-5後、8分間阻止が持続することを示し、第4パネルは、27回の嚥下があり、DAPA-2-5後22分で反応の緩やかな回復があることを示す。
酸に対する基準反応は、嚥下47回/分である。約18秒間のDAPA-2-5の注入(1.5μL/秒で0.4mg/mL)は、所定の5分後、酸チャレンジを阻止した(嚥下3回/分)。DAPA-2-5の所定の10分後、2回目の酸チャレンジは1分間にわずか9回の嚥下を引き出した。生理食塩水で洗い流した(20秒間1.5μL/秒)後、DAPA-2-5の15分後の3回目の酸チャレンジは、嚥下27回/分という部分的な反応の回復を見せた。
データを以下の表にまとめる(各テスト化合物に対しN=4〜8実験)。比較のため、TRPM8レセプターアッセイのEC50を最後の欄に示す。DAPA-2-6、DAPA-2-7、および、DAPA-1-7はTRPM8レセプターアッセイにおいてより効き目が強かったが、DAPA-2-5は、酸誘発嚥下の抑制に対し最も効き目の強い化合物だった。
TRPM8レセプターアッセイと、酸誘発嚥下の阻止における作用の間の効能差はかなり顕著である。例えば、DAPA-2-6は、レセプターアッセイではDAPA-2-5の2倍の効能を持つが、その嚥下に対する阻止作用のわずか5%である。DAPA-2-7はDAPA-2-5より効き目は弱いが、その嚥下に対する阻止の持続期間はより長く続く。胸痛に関し、DAPA-2-7は、そのより長い作用効果を理由にDAPA-2-5より有効であり得る。
これらの実験結果は、同様の類似物と比較し、DAPA-2-5の上部消化管に対する普通でない、選択的な活性を再度強調する。この酸炎症の動物モデルにおける結果は、特に、胃酸逆流に関係する咽頭および上部食道の不快感を抑制する際の、DAPA-2-5の潜在的用途に関係する。しかしながら、DAPA-2-7はDAPA-2-5より長い作用持続期間を持つため、胃酸逆流疾病での使用に関しては、DAPA-2-5の代替候補物となり得ることに注目すべきである。
研究8
摘出迷走神経についての研究:直接の抗侵害受容作用
DIPA-2-5の、感覚的不快感を抑制する能力を検査するため、Imperial College(イギリス国、ロンドン)で開発された摘出神経モデルでテストした(例えば、Birrellら(2009)、Patelら(2003)を参照)。このインビトロアッセイにおいて、マウスの迷走神経のセグメントをプラットフォームに置き、電気的活動をカプサイシンの局所適用後に記録する。カプサイシンは皮膚に置いた場合痛みを引き出す既知の刺激物であり、摘出迷走神経を脱分極する。このカプサイシンが誘発する脱分極を阻止する物質の能力を測定した。
簡単に言うと、節状神経筋の尾側にある迷走神経のセグメントを細い鉗子でマウスから取り出し、セグメントを酸素化クレブス輸液に置き、95%O/5%COで泡立たせた。脱鞘神経幹を、チャンバーを記録する「グリースギャップ」に乗せ、流量が約2mL/分のクレブス溶液で絶えず灌流し、神経の電気的活動を電極で監視した。灌流液の温度は水浴により37℃に保った。神経脱分極を、神経をカプサイシン(1μM)で灌流することにより誘発した。カプサイシンに対する2つの再現可能な脱分極反応の後、1mg/mL(4μM)のDIPA-2-5をカプサイシンに続き灌流液に10分間適用した。神経はその後、反応が基準線に戻るまでクレブスで洗浄し、再びカプサイシンでチャレンジした。平均的なTRPM8ノックアウトマウスで得られた結果および記録を図3に示す。
図3は分極記録であり、第1記録(「野生型」)は、1mg/mLの濃度で灌流した摘出マウス迷走神経のカプサイシン誘発脱分極は、DIPA-2-5により阻止されることを示し、第2記録(「TRPM8KO」)は、1mg/mLで灌流した摘出TRPM8KOマウス迷走神経では、DIPA-2-5による阻止は著しく欠如することを示す。
図に示す記録において、最初の2つのピークはマウスの迷走神経のカプサイシン(「Cap」)に対する脱分極反応を示す。DIPA-2-5を適用した後(1mg/mL)、反応は平均的なマウスの迷走神経(「野生型」)で抑制されるが、TRPM8ノックアウト(「TRPM8KO」)マウスの迷走神経では抑制されない。
DIPA-2-5による平均的マウスの摘出迷走神経のカプサイシン誘発脱分極の阻止割合は、約60%だった。DIPA-2-5によるTRPM8ノックアウトマウスの摘出迷走神経のカプサイシン誘発脱分極の阻止割合は、約0%だった。
この実験は、DIPA-2-5の感覚神経に対する直接の薬理作用を示す。これは驚くべき、予期できない結果である。さらに、TRPM8KOマウスでの反応の減少は、レセプターの標的がTRPM8であることを示した。これらの結果は、DIPA-2-5は、迷走神経などの感覚神経により支配される粘膜の、抗侵害受容薬として使用可能であるという強力な証拠を提供する。
カプサイシンはTRPV1アゴニストであり、効果的なTRPV1アンタゴニストの調査は多くの医薬品会社にとって過去10年以上の間、超強烈な探求だった。ここで、DAPA-2-5は低濃度で、TRPV1の効果的な「生理的」アンタゴニストであることが示された。DAPA-2-5自体は脱分極を引き起こさず、これは、DAPA-2-5はこの「痛み」レセプターでアゴニスト活性がないことを示す。これらの結果は、抗侵害受容薬としてのDAPA-2-5の有用性を強く示す。
事例研究1
62歳の高齢男性は医薬品会社の上級幹部だった。彼の仕事スケジュールは過密だったが、ウイルス性の風邪にかかりやすく、これはしつこい嗄声と咳の原因となった。これらの症状は、彼はオペラに出席するのが好きであり、それはまた、数時間続き、かれの積極的な参加を必要とする定期的な会議における彼の役割を妨げることから、彼にとって社交上、つらいものだった。彼は、DAPA-2-5を1〜1.5mg含んだ口腔内崩壊錠(ODT)を試すことを申し出た。これらのODTはマンニトール(75〜80%wt/wt)およびマルチトールまたはキシリトール(20〜25%wt/wt)を賦形剤として用いて作成した。錠剤は概して、それぞれ50〜120mgで、1〜5mgのDAPA-2-5を含んだ。この人にとって、1〜1.5mgというDAPA-2-5の用量は、彼が必要とした5回の機会において嗄声を緩和するのに十分な効果があった。彼はODTの便利なサイズが、自由裁量で錠剤を飲むことを可能にしたと述べた。彼は、DAPA-2-5ODTは急速に発現し、「滑らかな」感じがすると述べた。彼は、適切に作製されていない場合、ODTは時に「尖った」感じがし、のどをむずむずさせ、「動的な涼しさ」の発現前に咳を引き起こすと言った。彼はまた、喉の奥に噴出した2mg/mLのDAPA-2-5溶液を試し、これらは上質な感じがすると言った。彼は、これは、不快な喉向けにそれまで飲んだ医薬品の中で最良だと断言した。
事例研究2
70歳の退職した建築家は、3週間ウイルス性の風邪をひき、ひどい鼻づまりのためよく眠れなかった。彼は鼻で呼吸することができず、ベッドに横になっていることは彼の欲求不満感を悪化させた。彼はDAPA-2-5を含んだ錠剤を試すことを申し出た。錠剤を飲んで数分で、彼は「あっと言わせる」効果を喉の奥に感じ、喉に蓄積した物を飲み込むことができたと言った。彼は、鼻をすっきりさせるのを補助し、より良く呼吸できるようにする、吸引効果があると言った。彼は3晩連続で錠剤を飲み、直前の3週間よりよく眠れたと言った。彼は、1mgのDAPA-2-5をそれぞれ含んだ錠剤2つか、1.5mgのDAPA-2-5を含んだ錠剤1つが、彼の鼻づまりに効果的な治療薬だと述べた。この結果は、鼻咽頭を含む鼻粘膜の不快感は、喉におけるDAPA-2-5の感覚効果により緩和し得ることを示すことから、驚くべきである。
事例研究3
68歳の男性は、カリフォルニアのカーメル・バイ・ザ・シーに休暇で出かけていた。夕食時、彼は2杯のワインを飲んだ。彼は咲いた花にアレルギーがあったため、鼻道がいくらか詰まった感じがした。夕方、彼は2mgのDAPA-2-5を含んだ口腔内崩壊錠(ODT)を飲み、ベッドに横になったところ、鼻および喉の気道が鎮静し、「超快適な」感じがすると言った。かすかに海を感じる涼しい空気は完璧だった。流れに抵抗するものはなく、彼の呼吸は「楽」だった。彼はこの経験に陶酔し、恍惚とした。
事例研究4
2人の対象、つまり、66歳の女性および69歳の男性はぜんそくを持っていた。彼らは双方とも日中に咳および湿性咳の発作があるが、これは許容できると言った。しかしながら、夜に、彼らは息苦しさと喉に物が蓄積した感じで頻繁に真夜中に目を覚ました。彼らは、胸の空気の流れが蓄積した痰と直面する際の喘鳴についてふれた。両者において、DAPA-2-5を1mg含んだ口腔内崩壊錠(ODT)が息苦しさと吐き気を制御するのに効果的で、彼らが再び眠りに就くことを可能にした。一方の対象は次のようなEメールを書いた。「昨日の真夜中、私はむずむずした我慢できない咳とひどく息詰まるような喉で目を覚まし、何度も咳と咳払いをしました。私は大変疲れていたため、もし耐え抜いたら、私は落ち着き、再び眠りに就くことができるのだとただ考えましたが(だるすぎて、起き上がって灯りをつけ、錠剤を探すことができませんでした)、運なく、絶え間ない息苦しさと咳の後、私は身体を起こし、錠剤を喉の奥深くに置いたところ、錠剤が喉の奥を通る際、咳はおさまり、私は落ち着きました。その後、息詰まるような喉はほぐれ、私は痰を取り除くことができ、10分以内に再び眠りに就き朝まで眠りました!」この対象において痰の緩和が一貫して観察され、これはDAPA-2-5は喀出に関する反射を助けることを示唆した。両対象は、痛い、痰の絡んだタイプの咳はDAPA-2-5錠剤により弱まるが、粘液を喀出する機能が損なわれることはないと言った。
2人目の対象は咳型喘息をもち、これはサンフランシスコ・ベイエリアから香港へ移動した際、ひどく悪化した。3カ月間、咳は止まらず、彼の社会活動は制限された。1.5mgのDAPA-2-5を含んだ口腔内崩壊錠(ODT)を紹介されると、彼は不快感を制御するため1回に2錠または3錠飲んだ。彼は、DAPA-2-5ODTは、喉における「咳刺激を和らげる」だろうと言った。一週間の試用後、彼の咳は完全に制御下にあり、彼は「人生が救われた」と述べた。
しかしながら、この対象には、気管や気管支から発生する深部の咳はまだ刺激があり、痛かった。送達を修正するため、4mg/mLのDAPA-2-5をまず25%wt/wtのレモンジュースおよび1.5%wt/wtのキシリトールの溶液に溶解し、対象に、(2mLの微小遠心管に保管した)該溶液を1mL、口の奥に投げ入れるよう指示した。驚くべきことに、この送達システムはODTより効果的だった。対象は、溶液が容易に上部食道括約筋を通過して食道に入り、強力な冷却作用を発揮するように感じた。この冷却作用はその後、胸の中心および気道から起きるように感じられた。したがって、より広いニューロンの受容野が活性化した。
DAPA-2-5を2mg/mL溶液(蒸留水中)として、ヨーカースパウトに取り付けたボストンラウンド1/2オンス(14mL)容器(E.D. Luce packaging社)に入れることで、液体送達システムの更なる修正を行った。対象にスパウトの先端を口の奥に置き、そっと液滴を絞り出すよう指示した。約0.2〜0.3mLがこの方法で送達される。これも咳を制御する効果的な方法であった。
事例研究5
ある67歳はアイスクリームを食べるのが好きだが、時折、過度な冷たさに反応した脳血管の血管収縮反射によって引き起こされる状態である、アイスクリーム頭痛があった。該個人は化学者および科学者であり、「動的な涼しさ」および「氷のように冷たい」という用語を聞いて、DAPA-2-5およびDAPA-2-7は「アイスクリーム頭痛」を促進するか否かを確かめるため、1錠につき2mgのDAPA-2-5およびDAPA-2-7を含んだ口腔内崩壊錠(ODT)を試すことを申し出た。ODTは頭痛反応を促進せず、対象は、如何にDAPA-2-5ODTが、クロロホルムを含んだ時代遅れの咳止めシロップの味を思い出させるかを述べた。化学者として、彼はクロロホルムの味になじみがあった。彼は、DAPA-2-5ODTは同様に心地よい甘味があり、「有機」品質で、迅速な効果の発現があると言った。この個人はまた、過食を好み、時折、胃の内容物が喉に逆流する発作が起きていた。これは、ピザ、アイスクリーム、およびカプチーノの過剰摂取、ならびに、臥位により促進された。2錠のDAPA-2-5ODTを迅速に飲み込むことにより、彼は喉の不快感を胃酸逆流から即座に制御し、嘔吐の衝動も即座に制御した。別の機会において、この個人は食物を飲み込むのが早すぎた後、吃逆を起こした。これらの吃逆はDAPA-2-5ODTを2錠飲むことで数分以内に止まった。
事例研究6
78歳の中国人女性は自分の旅行会社を所有し、頻繁に旅行団体を香港、上海、ニューヨーク、およびロサンゼルスに連れて行った。彼女はエネルギッシュで健康だったが、長時間の連続した会話のため、嗄声と「失声」を訴えた。彼女は1mgのDAPA-2-5を含んだ口腔内崩壊錠(ODT)を試すことを求めた。彼女は、喉の不快感は即座に緩和し、再び、効果的に話し伝えることができると言った。この有益な効果は12回の試用の間、繰り返し観察された。
事例研究7
全員60歳を超えた6人の女性は、8週間超の期間にわたり、突発的な喉の不快感に悩んでいた。喉の不快感の原因はアレルギー、過度の喫煙、および、心因性のものだった。DAPA-2-5を0mg(偽薬)または1.0mg含んだ口腔内崩壊錠(ODT)を、該ODTは「必要に応じたベース」で、ただし、1日に3錠は超えないように飲むことという指示とともに、これらの人に与えた。これらの人は、感覚の安心感を得るために錠剤を試す意欲があった。対象は、如何にODTを自己投与するかを学ぶことに苦労しなかった。偽薬ODTは効果的ではないと即座に認識され、1回の試用後は拒否された。DAPA-2-5ODTは喉の不快感を低減するのに100%効果的だった。望ましい薬物効果が全ての対象で達成された。該人は、気分がすっきりするだけでなく、ペパーミントオイル、制酸剤、ベナドリル(Benadryl)(登録商標)、ムチネックス(Mucinex)(登録商標)、およびクロラセプティック(Chloraseptic)(登録商標)など、薬箱に保管してあった他の全ての医薬品の試用を中止した。全てのテスト対象において、咽頭炎症を和らげるDAPA-2-5ODTの機能について曖昧さはなかった。
事例研究8
73歳の過体重の男性がゴルフ練習場に行き、バケツ一杯の100個のボールを打ち、その後、続けて歩いて18ホールをプレイした。彼は右利きだった。その後、彼は5品の夕食を食べ、3杯のワインを飲んだ。夜遅くに、彼は左の胸筋と鎖骨上領域にひりつきと痛みを訴えた。その後、彼は胸のこわばり、胸骨後ろの痛み、および、息切れを訴えた。彼は口に酸味を感じ、いくつかのアルカセルツァー(Alka-Seltzer)(登録商標)と制酸剤を、その後、ザンタック(Zantac)(登録商標)錠剤を飲んだ。これらの医薬品は、彼の胸の痛みも不安感も緩和せず、彼は心配し、紅潮し、汗をかいた。彼は「終焉が近いかもしれない」と心配し、病院で救急サービスを呼ぶべきかどうか議論した。彼は郊外に住んでいるため、病院のある都市に彼が車に乗って行くのは不都合だった。
彼は、以前与えられていたいくつかの実験的咳錠剤を試すことにし、それぞれ約1.5mgのDAPA-2-5を含んだ錠剤3つを一口で(水とともに)飲み込んだ。彼は、感覚は冷たい水が喉に押し寄せ、ゆっくりの胸の内に染み透る感覚だったと言った。涼しさは強力だったが、ゆるやかで身に浸みるものだった。胸骨後ろの痛みは素早く低減し、彼はより快適に、動揺は少なく感じた。彼は眠りに就き、次の朝まで目を覚まさなかった。彼はその後、かかりつけ医に診てもらい、該医師は彼の血清トロポニン値を測定し、その後、彼にトレッドミル運動を用いた心臓負荷試験を受けさせた。彼の酵素量と心電図は両方とも正常範囲内だった。彼の医師は彼に食事と体重に気をつけるよう忠告したが、その他の点では、健康に見える心臓について心配しないように言った。
事例研究9
71歳の退職した警官は筋肉質の体だったが、5フィート5インチ(165cm)、185lbs(84kg)と理想の体重を超えていた。彼は大学チームでサッカーをし、短い首とたくましい僧帽筋を持っていた。少なくとも5年間、彼は睡眠不足と日中の疲れを訴えていた。アンビエン(Ambien)(登録商標)などの鎮静剤を飲むことは、彼がより良く眠る助けにはならず、彼は運転技術の欠損を心配した。彼の妻は彼がいびきをかくことについて苦情を訴え、別の寝室を使うことを求めた。睡眠ポリグラフィーテストは閉塞性睡眠時無呼吸のボーダーラインの診断を示したが、彼は持続気道陽圧マスクおよび機械を使用するのに耐えられなかった。これは、彼が言うには、それは彼に閉所恐怖症と窒息感をもたらすためである。彼は、2mgのDAPA-2-5を含んだ錠剤を眠る前に飲むことを申し出た。彼の妻は即座に、彼がいびきを止めたのに気付いた。彼は、錠剤は、喉における爽快感と、涼しい空気をゆったりと呼吸する感覚を与えることから、より良く眠れると言った。彼は今や「必要に応じたベース」で錠剤を使用する。彼は、これらの錠剤は睡眠時無呼吸においても高く評価できることを示唆した。
参考文献
いくつかの刊行物が、本発明及び本発明が関係する技術水準を、より完全に記載し、開示するために、本明細書で引用される。これらの刊行物は以下で完全に引用される。これらの刊行物のそれぞれは、個々の刊行物が、具体的に及び個別に指示されて、参照により組み込まれるのと同じ程度に、本開示に全体として参照によって本明細書に組み込まれる。
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Claims (45)

  1. 非角化重層上皮(NKSE)組織の感覚的不快感の治療法で使用する、1−ジ(sec−ブチル)−ホスフィノイル−ペンタン(DAPA-2-5)。
  2. 前記NESK組織は、
    上部気道消化管表面、
    口腔表面
    呼吸器組織表面
    鼻粘膜表面
    鼻咽頭表面
    口咽頭表面
    咽頭表面
    食道表面、または
    肛門性器表面に位置する、請求項1に記載の用途のDAPA-2-5。
  3. 前記NKSE組織は上部気道消化管表面に位置する、請求項2に記載の用途のDAPA-2-5。
  4. 前記NKSE組織は口腔表面に位置する、請求項2に記載の用途のDAPA-2-5。
  5. 前記NKSE組織は口腔の内側または唇の内部に位置する、請求項4に記載の用途のDAPA-2-5。
  6. 前記NKSE組織は呼吸器組織表面に位置する、請求項2に記載の用途のDAPA-2-5。
  7. 前記NKSE組織は呼吸器上皮表面に位置する、請求項6に記載の用途のDAPA-2-5。
  8. 前記NKSE組織は鼻粘膜表面に位置する、請求項2に記載の用途のDAPA-2-5。
  9. 前記NKSE組織は鼻粘膜の内腔内側に位置する、請求項8に記載の用途のDAPA-2-5。
  10. 前記NKSE組織は咽頭表面に位置する、請求項2に記載の用途のDAPA-2-5。
  11. 前記NKSE組織は口咽頭表面に位置する、請求項2に記載の用途のDAPA-2-5。
  12. 前記NKSE組織は咽頭表面に位置する、請求項2に記載の用途のDAPA-2-5。
  13. 咽頭表面に位置するNKSE組織の感覚的不快感は、嚥下障害により引き起こされる、請求項12に記載の用途のDAPA-2-5。
  14. 咽頭表面に位置するNKSE組織の感覚的不快感は、胃の内容物の逆流(例えば、喉咽頭酸逆流)により引き起こされる、請求項12に記載の用途のDAPA-2-5。
  15. 咽頭表面に位置するNKSE組織の感覚的不快感は、吃逆により引き起こされる、請求項12に記載の用途のDAPA-2-5。
  16. 咽頭表面に位置するNKSE組織の感覚的不快感は、咽頭炎により引き起こされる、請求項12に記載の用途のDAPA-2-5。
  17. 咽頭表面に位置するNKSE組織の感覚的不快感は、粘膜炎により引き起こされる、請求項12に記載の用途のDAPA-2-5。
  18. 咽頭表面に位置するNKSE組織の感覚的不快感は、アレルギーにより引き起こされる、請求項12に記載の用途のDAPA-2-5。
  19. 咽頭表面に位置するNKSE組織の感覚的不快感は、咳により引き起こされる、請求項12に記載の用途のDAPA-2-5。
  20. 咽頭表面に位置するNKSE組織の感覚的不快感は、刺激物に対する該咽頭表面の過敏性により引き起こされる、請求項12に記載の用途のDAPA-2-5。
  21. 前記NKSE組織は食道表面に位置する、請求項2に記載の用途のDAPA-2-5。
  22. 食道表面に位置するNKSE組織の感覚的不快感は、胃の内容物の逆流(例えば、胃食道逆流)により引き起こされる、請求項21に記載の用途のDAPA-2-5。
  23. 前記NKSE組織は肛門性器表面に位置する、請求項2に記載の用途のDAPA-2-5。
  24. 上部気道消化管不快感
    口咽頭不快感
    食道不快感
    喉の炎症

    胸やけ
    胸痛、または、
    肛門性器不快感の治療法で使用する、1−ジ(sec−ブチル)−ホスフィノイル−ペンタン(DAPA-2-5)。
  25. 上部気道消化管不快感の治療法における、請求項24に記載の用途のDAPA-2-5。
  26. 前記上部気道消化管不快感は、(例えば、ぜんそく、閉塞性肺疾患などに関連した)気道または咽頭の炎症性滲出液により引き起こされる、請求項25に記載の用途のDAPA-2-5。
  27. 前記上部気道消化管不快感は、努力性呼吸、呼吸困難、いびき、または睡眠時無呼吸に関連する、請求項25に記載の用途のDAPA-2-5。
  28. 口咽頭不快感の治療法における、請求項24に記載の用途のDAPA-2-5。
  29. 前記口咽頭不快感は胃の内容物の逆流に関連する、請求項28に記載の用途のDAPA-2-5。
  30. 前記口咽頭不快感は喉咽頭酸逆流に関連する、請求項28に記載の用途のDAPA-2-5。
  31. 食道不快感の治療法における、請求項24に記載の用途のDAPA-2-5。
  32. 前記食道不快感は胃の内容物の逆流に関連する、請求項31に記載の用途のDAPA-2-5。
  33. 前記食道不快感は胃食道逆流に関連する、請求項31に記載の用途のDAPA-2-5。
  34. 喉の炎症の治療法における、請求項24に記載の用途のDAPA-2-5。
  35. 咳の治療法における、請求項24に記載の用途のDAPA-2-5。
  36. 胸やけの治療法における、請求項24に記載の用途のDAPA-2-5。
  37. 胸痛の治療法における、請求項24に記載の用途のDAPA-2-5.
  38. 肛門性器不快感の治療法における、請求項24に記載の用途のDAPA-2-5。
  39. 非角化重層上皮(NKSE)組織の炎症の治療法で使用する、1−ジ(sec−ブチル)−ホスフィノイル−ペンタン(DAPA-2-5)。
  40. 非角化重層上皮(NKSE)組織の感覚的不快感の治療用薬剤の製造における、1−ジ(sec−ブチル)−ホスフィノイル−ペンタン(DAPA-2-5)の使用。
  41. 上部気道消化管不快感、
    口咽頭不快感、
    食道不快感、
    喉の炎症、
    咳、
    胸やけ、
    胸痛、または
    肛門性器不快感の治療用薬剤の製造における、1−ジ(sec−ブチル)−ホスフィノイル−ペンタン(DAPA-2-5)の使用。
  42. 非角化重層上皮(NKSE)組織の炎症の治療用薬剤の製造における、1−ジ(sec−ブチル)−ホスフィノイル−ペンタン(DAPA-2-5)の使用。
  43. 治療の必要な患者に、1−ジ(sec−ブチル)−ホスフィノイル−ペンタン(DAPA-2-5)を治療効果のある量で投与することを含む、非角化重層上皮(NKSE)組織の感覚的不快感の治療法。
  44. 治療の必要な患者に、1−ジ(sec−ブチル)−ホスフィノイル−ペンタン(DAPA-2-5)を治療効果のある量で投与することを含む、
    上部気道消化管不快感、
    口咽頭不快感、
    食道不快感、
    喉の炎症、
    咳、
    胸やけ、
    胸痛、または
    肛門性器不快感の治療法。
  45. 治療の必要な患者に、1−ジ(sec−ブチル)−ホスフィノイル−ペンタン(DAPA-2-5)を治療効果のある量で投与することを含む、非角化重層上皮(NKSE)組織の炎症の治療法。
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