JP7181247B2 - ウレタンフォーム形成システム - Google Patents

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Description

本発明は、断熱材、接着剤、軽量盛土その他の注入材などを含む建材や、梱包材、緩衝材などの用途として使用されるウレタンフォームについて、組成の異なるウレタンフォームを形成するための、ウレタンフォーム形成システムに関する。
戸建て住宅やマンションなどの建築物の断熱工事として、建築物の天井、屋根裏、壁、床下などに現場発泡のウレタンを吹き付けて断熱層を形成する方法が知られている。
断熱層を形成するためのウレタンの吹付システムとして、例えば、出願人は、特許文献1に記載のシステムを考案している。
ところで、近年、組成の異なるウレタン層を積層して断熱層を構成するニーズが高まっている。
例えば、断熱層の表面にのみ難燃性の高いウレタン層を吹き付けることで、断熱層全体を難燃性の高いウレタン層に置き換えるよりも費用対効果の高い断熱層を構成する場合がある。
この場合、組成の異なるウレタン層毎に吹付システムを用意してしまうと、層数に応じて運搬する部材の重量や容積が倍になっていくため、運搬性や利便性が低下する。
上記した懸念事項を解消する方法として、特許文献2には、一つの発泡機に対する主剤と硬化剤の供給系統を二系統にし、各系統に設けた電磁ストップ弁の開閉でもって、供給系統を切替自在にした発明が開示されている。
特許5941518号公報 特許3025221号公報
しかし、特許文献2に係る発明の場合、電磁ストップ弁をドラムポンプの直後のみに設けているに過ぎないため、原料の切替後には、電磁ストップ弁から発泡機までの配管内、および発泡機から出力部までのマテリアルサプライホース内に滞留した切替前の原料は、全て廃棄するか、滞留している切替前の原料の残存分を見越して切替作業を前倒しするといった不確実な作業を行っており、利便性の点で改善の余地が残されていた。
よって、本発明は、より利便性の高い態様で、組成の異なるウレタンフォームを形成することが可能な吹付システムを提供することを目的の一つとする。
上記の課題を解決すべくなされた本願の第1発明は、複数の混合組合せを選択可能な原料群を用いて、組成の異なるウレタンフォームを形成可能なウレタンフォーム形成システムであって、複数の収容部、計量供給部、複数の供給部、複数の循環部、複数の吐出部、および少なくとも1つの出力部を少なくとも有し、前記複数の収容部のうち少なくとも何れか1つの収容部は、原料を収容可能な収容空間を複数有しており、前記計量供給部は、混合する原料毎に供給口、循環口および吐出口を有し、かつ、前記供給口からの原料を循環口または吐出口へと吐出可能に構成しており、前記複数の供給部のうち少なくとも何れか1つの供給部は、前記収容部に収容してある複数の原料から何れか一つの原料を、前記計量供給部の供給口へと供給可能な、供給切替部と、を少なくとも備え、前記複数の循環部は、前記計量供給部の循環口からの原料を、当該原料を収容している収容空間へと循環するか、または廃棄するかを選択可能に構成し、前記複数の吐出部のうち少なくとも何れか1つの吐出部は、前記計量供給部の吐出口と接続して複数の流路に分岐してなる、複数の吐出管と、前記計量供給部の吐出口からの原料を、前記複数の吐出管のうち何れかの吐出管に切り換えて前記出力部まで流す、吐出切替部と、を少なくとも備えたことを特徴とする。
また、本願の第2発明は、前記第1発明において、前記吐出切替部が、前記複数の吐出管の入口近傍に設けて個別に開閉可能な、複数の入口側バルブを少なくとも含むことを特徴とする。
また、本願の第3発明は、前記第1発明または第2発明において、前記吐出切替部が、前記複数の吐出管の出口近傍に設けて個別に開閉可能な、複数の出口側バルブと、前記複数の吐出管の出口と前記出力部との間をつなぐ、合流部と、を少なくとも含むことを特徴とする。
また、本願の第4発明は、前記第1発明に乃至第3発明において、前記複数の吐出管のうち何れか1つの吐出管内を加熱するための電源供給を切り換え可能な、電源切替部をさらに備えたことを特徴とする。
また、本願の第5発明は、前記第1発明に乃至第4発明において、前記原料の切替作業の一部または全部を自動制御する、制御装置を更に備えたことを特徴とする。
本発明によれば、以下に記載する効果のうち、少なくとも何れか1つの効果を有する。
(1)切替作業時に、吹付システム内に残っている切替前の原料を余分に廃棄する必要がない。
(2)切替作業時に、切替前の原料が切替後の原料の収容空間に混ざってしまうことを防止でき、各原料の品質維持に寄与する。
(3)入口側バルブを設けることにより、原料の切替時に、吐出管に残っている切替前の原料が計量供給部側に逆流することを防止することができる。
(4)出口側バルブを設けることにより、原料の切替時に切替前の原料の廃棄量を減らすことができる。
(5)電源切替部を設けることで、原料の管路に設ける加熱装置について、電源コードのつなぎ替え作業や養生作業が不要となり、作業効率が向上する。
(6)組成の異なるウレタンフォーム毎に、出力部を別々に用意することで、使用しない原料が混合する恐れを防止しつつ、原料の切替工程をより迅速に行うことができる。
(7)制御装置を設けることで、原料の切替作業を全自動または半自動で行うことができ、作業員による手順ミスも無くなることで作業効率の向上に寄与する。
実施例1に係るウレタンフォーム形成システムのシステム構成図。 実施例2に係るウレタンフォーム形成システムのシステム構成図。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施例について説明する。
<1>全体構成(図1)
図1は、実施例1に係るウレタンフォーム形成システムのシステム構成図である。
本発明に係るウレタンフォーム形成システムは、現場吹き付け発泡式や、注入式などの公知の手法でウレタンフォームを製造するためのシステムである。
本発明において、「ウレタンフォーム」とは、断熱材、接着剤、軽量盛土その他の注入材などを含む建材や、梱包材、緩衝材などの用途として使用されるウレタン組成物である。
本実施例に係るウレタンフォーム形成システムは、複数の収容部10、計量供給部20、複数の供給部30、複数の循環部40、複数の吐出部50、および出力部60を少なくとも有して構成する。
以下、各構成要素の詳細について説明する。
<2>収容部
収容部10は、ウレタンフォームを形成に用いる各原料を収容しておくための部材である。
ウレタンフォームの形成には、イソシアネート成分からなる主剤と、ポリオール成分からなる硬化剤とを混合して用いる。
そのため、ウレタンフォームの形成時には、主剤を収容する収用部(主剤側収容部10A)と、硬化剤を収容する収用部(硬化剤側収容部10C)とで、最低2つの収容部が必要となる。
さらに、組成の異なるウレタンフォームを形成するために配合の異なる主剤や硬化剤を切り換えて使用する場合には、各原料をそれぞれ収容しておくことになる。
したがって、本実施例では、主剤側収容部10Aを、第1の原料12aを収容する第1の収容空間11aと、第2の原料12bを収容する第2の収容空間11bとで構成し、硬化剤側収容部10Cを、第3の原料12cを収容する第3の収容空間11cによって構成している。
図1では、各収容空間をそれぞれ別のドラム缶とした態様としている。
なお、本発明は、収容部10をそれぞれ独立した容器で構成した態様に限定されない。
例えば、一つの収容容器の内部を区画して、複数の収容空間を形成するように構成してもよい。
<3>計量供給部
計量供給部20は、収容部10に収容した原料を、出力部60側に供給するための装置である。
計量供給部20は、反応機、混合機、発泡機、リアクターなどとも呼ばれる。
本実施例では、計量供給部20に供給する主剤および硬化剤のそれぞれに、供給口21a、21c、循環口22a、22c、吐出口23a、23cを備えている。
そして、計量供給部20の内部では、各原料の流路を切り換え可能な構成とすることで、各供給口21a、21cからの原料を、各循環口22a、22cまたは各吐出口23a、23cへと送ることができる。
<4>供給部
供給部30は、収容部10内の原料を計量供給部20に供給するための機構である。
供給部30は、計量供給部20に設けた供給口21a、21cの数と同数を設ける。
よって、本実施例では、供給部30を二つ(主剤側供給部30Aおよび硬化剤側供給部30C)有している。
主剤側供給部30Aは、第1の収容空間11aからの原料が流れる第1の供給管31aと、第2の収容空間11bからの原料が流れる第2の供給管31bと、これらの原料を切り替え可能な供給切替部32とを有している。
また、硬化剤側供給部30Cは、第3の収容空間11cからの原料が流れる第3の供給管31cと、第3の供給管31cに設けた供給側バルブCVとを有している。
その他、各供給管の途上には、フィルターなどの部材(図示せず)を設けても良い。
原料を各収容空間から供給部30まで送る方法としては、各収容空間にドラムポンプを差しこみ、当該ドラムポンプの稼働によって原料を汲み上げる方法などがある。
以下、各部材の詳細について説明する。
<4.1>供給切替部
供給切替部32は、収容部10に収容してある複数の原料から何れか一つの原料を、計量供給部20の供給口へと供給するための機構である。
本実施例では、主剤側に供給切替部32を設けている。
供給切替部32は、前記第1の収容空間11aからの原料が流れる第1の供給管31aに設けた分岐側バルブSAVと、前記第2の収容空間11bからの原料が流れる第2の供給管31bに設けた分岐側バルブSBVと、前記第1の供給管31aと第2の供給管31bの合流部53分に設けた供給側バルブAVとを有して構成する。
そして、各バルブSAV、SBV、AVの開閉を切り換えることで、計量供給部20の供給口へと供給する原料を、第1の原料12aまたは第2の原料12bから選択することができる。
<5>循環部
循環部40は、計量供給部20に送られた原料を循環するか廃棄するかを任意に選択可能とするための機構である。
循環部40は、計量供給部20に設けた循環口の数毎に設けるものとする。
したがって、本実施例では、主剤側循環部40Aおよび硬化剤側循環部40Cからなる2つの循環部40を有している。
<5.1>主剤側循環部
主剤側循環部40Aは、計量供給部20の主剤側の循環口22aから二つに分岐してなる、第1の循環管41aと、第2の循環管41bとを有する。
第1の循環管41aは、第1の収容空間11a内に対し、挿抜可能な構成を備えている。
また、第2の循環管41bも、第2の収容空間11b内に挿抜可能な構成を備えている。
<5.1.1>バルブによる循環先の切替
第1の循環管41a、第2の循環管41bの途上には、それぞれ循環側バルブRAV,RBVを設ける。この循環側バルブRAV,RBVの開閉を切り換えることで、計量供給部20の循環口から吐き出された原料(第1の主剤または第2の主剤)を、第1の収容空間11aまたは第2の収容空間11bの何れかを選択して戻すことができる。
<5.1.2>循環管からの原料の廃棄
各循環管41a、41bは、各収容空間10a、10bから抜き出して、図示しない廃棄缶に差し込むことで、循環口から吐き出された原料を収容空間に戻さずにそのまま廃棄することもできる。
また、各循環管41a、41bを、各収容空間10a、10bに向かう流路と、廃棄缶に向かう流路とに分岐させて、各流路に設けた廃棄切り換え用のバルブの開閉でもって、循環口22aから吐き出された原料を廃棄するように構成してもよい(図示せず)。
<5.2>硬化剤側循環部
硬化剤側循環部40Cは、硬化剤側の循環口22cに接続した第3の循環管41cによって構成する。
当該構成により、計量供給部20の循環口22cから吐き出された第3の原料12c(硬化剤)を、第3の収容空間11cに戻すことができる。
なお、第3の循環管41cの吐出口についても、第3の収容空間11cから抜き出して、図示しない廃棄缶に差し込むことで、循環口から吐き出された第3の原料12cを廃棄するよう構成してもよい。しかし、本実施例の硬化剤側が原料の切替を要さないため、切替作業に伴って廃棄をする必要性は薄い。
<6>吐出部
吐出部50は、計量供給部20の各吐出口23a、23cからの原料を、出力部60まで送り出すための機構である。
本実施例では、二つの吐出部50(主剤側吐出部50Aおよび硬化剤側吐出部50C)を有している。
主剤側吐出部50Aは、計量供給部20の吐出口と接続して分岐する複数の吐出管(第1の吐出管51aおよび第2の吐出管51b)と、原料切替部を少なくとも有している。
また、硬化剤側吐出部50Cは、第3の吐出管51cを少なくとも有し、さらに任意の温度センサ54と、ガンホース532cとを設けている。
<6.1>吐出切替部
吐出切替部52は、主剤側吐出部50Aに設けており、計量供給部20の吐出口23aから送り出された原料を、分岐した複数の吐出管のうち何れかの吐出管に切り換えつつ、出力部60に送るための機構である。
本実施例では、吐出切替部52を、第1の吐出管51aおよび第2の吐出管51bにそれぞれ設けている入口側バルブ521a、521bおよび出口側バルブ522a、522bと、各吐出管51a,51bの出口と前記出力部60との間をつなぐ合流部53とによって構成している。
<6.2>入口側バルブ
入口側バルブ521は、各吐出管の入口側近傍に設けるバルブである。
各吐出管の入口側とは、計量供給部20の吐出口に近い側を指す。
本実施例では、第1の吐出管51aに設けた入口側バルブ521aと、第2の吐出管51bに設けた入口側バルブ521bとで、二つの入口側バルブ521を設けている。
各入口側バルブ521a,521bの開閉を切り換えることによって、計量供給部20の吐出口から送られる原料の流路を切り換えることができる。
例えば、第1の吐出管51aからの第1の原料12aを出力部まで送りたい場合には、第1の吐出管51aに設けた入口側バルブ521aを開き、第2の吐出管51bに設けた入口側バルブ521bは閉じた状態とすればよい。
また、各吐出管51a,51bに、それぞれ入口側バルブ521a,521bを設けておくことで、その他の吐出管への原料の逆流も防止することができる。
<6.3>出口側バルブ
出口側バルブ522は、各吐出管(第1の吐出管51aおよび第2の吐出管51b)の出口側近傍に設けるバルブである。
各吐出管の出口側とは、出力部60に近い側を指す。
各吐出管51a,51bに、それぞれ出口側バルブ522a,522bを設けておくことで、後述する原料の切替作業中において、合流部53から出力部60の間を繋ぐガンホース532aに残った切替前の原料のみを効率良く廃棄することができる。
<6.4>合流部
合流部53は、各吐出管(第1の吐出管51aおよび第2の吐出管51b)と、出力部60との間をつないで、流路を1本に合流させるための部材である。
本実施例では、合流部53を、配管の分岐や合流に使用する公知のジャンクションブロック531と、ジャンクションブロック531と出力部60との間を繋ぐガンホース532aとで構成している。
<7>出力部
出力部60は、各原料を混合してウレタンフォームを形成する部材である。
出力部60は、スプレーガン、その他ウレタンフォームの形成に使用可能な公知の出力装置を使用することできる。
本実施例では、供給する原料毎にガンバルブFAV、FCVを設けた二液混合型の公知のスプレーガンを用いている。
<8>使用手順(図1)
図1を参照しながら、本実施例に係るウレタンフォーム形成システムの使用に際し、特に原料の切替手順について説明する。
本実施例では、ウレタンフォームを構成する二液の一方である主剤について、配合の異なる第1の原料12aから第2の原料12bへと切り換える場合の作業を想定する。
なお、各作業は、作業に矛盾の生じない範囲で適宜順番の入れ換えや、並行実施を行うことができる。
[1]計量供給部の運転停止~切替前予備作業
まず、計量供給部20の運転と、第1の原料12aを収容してある第1の収容空間11aに差し込んだドラムポンプの運転とを停止する。
次に、主剤側および硬化剤側の両方について、計量供給部20の運転機構を、吐出側から循環側に切り換える。
次に、第1の循環管41aに設けた循環側バルブRAVを閉じて、第2の循環管41bを収容空間から取り外して、図示しない廃棄缶へと挿入する。
この際、分岐側バルブSAV、第1の吐出管51aの入口側バルブ521aおよび出口側バルブ522a、ガンバルブFAV、FCVは閉じておく。
[2]原料の切替~計量供給部に残る切替前の原料の廃棄
分岐側バルブSBVを開き、第2の収容空間11bに挿入しているドラムポンプの運転を開始して、第2の収容空間11bから第2の原料12bを吸引しつつ、計量供給部20の吐出速度を低速に設定して運転を開始し、計量供給部20の循環口から原料の吐出を行う。
このとき、計量供給部20の内部には、切替前の原料(第1の原料12a)が残っているため、この切替前の原料が切替後の原料(第2の原料12b)に押し出される形で計量供給部20の循環口22aから吐き出され、図示しない廃棄缶に送られる。
このため、第2の収容空間11bに、計量供給部20に残っていた第1の原料12aが混ざることは無い。
計量供給部20の運転が一定時間経過した後は、計量供給部20内の原料が切替後の原料(第2の原料12b)に切り替わったと判断し、計量供給部20の運転を停止する。
この計量供給部20の運転時間は、計量供給部20内の原料流路の容積と、計量供給部20の吐出速度から目安の時間を求めればよい。
[3]合流部から出力部までの管路に残る切替前の原料の廃棄
第2の吐出管51bの入口側バルブ521bおよび出口側バルブ522bを開ける。このとき、第1の吐出管51aの入口側バルブ521aおよび出口側バルブ522aは閉じたままとすることで、第1の吐出管51aに残っている切替前の原料(第1の原料12a)が計量供給部20に逆流することはない。
次に、計量供給部20の主剤側の運転機構を循環側から吐出側に切り換える。
次に、出力部60に接続してある主剤側のガンホース532aを、出力部60から取り外し、図示しない廃棄缶へと移す。このとき硬化剤側のガンバルブFCVは閉じたままである。
その後、計量供給部20の吐出速度を低速に設定しつつ、計量供給部20の運転を開始させると、合流部53から出力部60までのガンホース532aに残る切替前の原料(第1の原料12a)が、計量供給部20の吐出口23aから送られる切替後の原料(第2の原料12b)に押し出される形で、主剤側のガンホース532aから廃棄缶へと吐き出される。
[4]計量供給部の運転停止~切替作業の完了
計量供給部20の運転が一定時間経過した場合には、合流部53から出力部60までの間を繋ぐガンホース532aに残った切替前の原料(第1の原料12a)が全て廃棄されたと判断し、計量供給部20の運転を呈する。
そして、主剤側のガンホース532aを再度出力部60に接続し、計量供給部20の硬化剤側の運転機構を循環側から吐出側に切り換えて、硬化剤側のガンホース532cに設けたガンバルブFCVを開ける。
その後、計量供給部20の運転設定を、スプレー吹き付け作業時の設定に切り換えて吐出圧を昇圧させることで、切替後の原料(第2の原料12b)を用いた吐出作業を開始することができる。
なお、正式な吐出作業の開始の前に、必要に応じて出力部60で捨て吹きを行ってもよい。
<9>まとめ
このように、本実施例に係るウレタンフォーム形成システムによれば、原料切替時に、切替前後の原料が混じることがなく、原料の品質維持に寄与する効果を得ることができる。
また、切替前の原料の廃棄量が、計量供給部の内部に残る分と合流部以降のガンホースに残る分に限られるため、経済性に優れる効果も得ることができる。
<1>全体構成(図2)
本実施例と、実施例1と異なる点は、組成の異なるウレタン層毎に出力部60を用意した点である。
図2では、2つの出力部60を用意しており、主剤側では、実施例1でもうけていた合流部53と出口側バルブ522a、522bを省略して第1の吐出管51aおよび第2の吐出管51bを各出力部60に接続し、硬化剤側では、計量供給部の吐出口23cに接続した第3の吐出管51cを途上で2本のガンホース532c、532dに分岐させて各出力部60に接続している。
<2>使用手順(図2)
次に、図2を参照しながら、本実施例に係るウレタンフォーム形成システムの使用に際し、特に原料の切替手順について説明する。
本実施例では、ウレタンフォームを構成する二液の一方である主剤について、配合の異なる第1の原料12aから第2の原料12bへと切り換える場合の作業を想定する。
なお、各作業は、作業に矛盾の生じない範囲で適宜順番の入れ換えや、並行実施を行うことができる。
[1]計量供給部の運転停止~切替前予備作業
まず、計量供給部20の運転と、第1の原料12aを収容してある第1の収容空間11aに差し込んだドラムポンプの運転とを停止する。
次に、主剤側および硬化剤側の両方について計量供給部20の運転機構を、吐出側から循環側に切り換える。
次に、第1の循環管41aに設けた循環側バルブRAVを閉じて、第2の循環管41bを収容空間から取り外して、図示しない廃棄缶へと挿入する。
この際、分岐側バルブSAV、第1の吐出管51aの入口側バルブ521a、ガンバルブFAV1、FAV2、FCV1、FCV2は閉じておく。
[2]原料の切替~計量供給部に残る切替前の原料の廃棄
分岐側バルブSBVを開き、第2の収容空間11bに挿入しているドラムポンプの運転を開始して第2の収容空間11bから、第2の原料12bを吸引しつつ、計量供給部20の吐出速度を低速に設定して運転を開始し、計量供給部20の循環口から原料の吐出を行う。
このとき、計量供給部20の内部には、切替前の原料(第1の原料12a)が残っているため、この切替前の原料が切替後の原料(第2の原料12b)に押し出される形で計量供給部20の循環口22aから吐き出され、図示しない廃棄缶に送られる。
このため、第2の収容空間11bに、計量供給部20に残っていた第1の原料12aが混ざることは無い。
計量供給部20の運転が一定時間経過した後は、計量供給部20内の原料が切替後の原料(第2の原料12b)に切り替わったと判断し、計量供給部20の運転を停止する。
この計量供給部20の運転時間は、計量供給部20内の原料流路の容積と、計量供給部20の吐出速度から目安の時間を求めればよい。
[3]切替作業の完了
第1の吐出管51aの入口側バルブ521aを閉じたまま、第2の吐出管51bの入口側バルブ521bを開ける。
次に、計量供給部20の主剤側の運転機構を循環側から吐出側に切り換え、他方の出力部60のガンホース532bおよびガンホース532dのそれぞれに設けたガンバルブFAV2、FCV2を開ける。
その後、計量供給部20の運転設定を、スプレー吹き付け作業時の設定に切り換えて吐出圧を昇圧させることで、他方の出力部60で、切替後の原料(第2の原料12b)を用いた吐出作業を開始することができる。
本発明に係るウレタンフォーム形成システムでは、以下の要素を追加することもできる。
<1>電源切替部
本発明では、各吐出管に供給する電源の切替が可能な電源切替部を設けることができる。
実施例1,2で説明した構成において、第1の吐出管51a、第2の吐出管51bおよび第3の吐出管51cにヒーターホースを用いた場合、各ヒーターホースに電力を供給する電源コードが3本となる。
しかし、第1の吐出管51aと第2の吐出管51bは同時使用することがないため、各電源コードと電源との間に電源切替部を介在させて、第1の吐出管51aと第2の吐出管51bとの電源供給を切り替え可能とすることで、電源コードのつなぎ替え作業や養生作業が不要となり、作業効率が向上する。
<2>制御装置
本発明では、原料切替の使用手順の一部または全部を自動で行う制御装置を追加することができる。
制御装置は、スマートフォンやPCなどの情報処理端末上で動作するアプリケーションで実行することができる。
例えば、システム内の各バルブや電源切替部などは、情報処理端末から遠隔操作可能な部品を用いることで、上記の使用手順に沿って電子的な制御を行えばよい。
また、ドラムポンプの挿抜作業や、出力部60に対するガンホース532の挿抜作業など、自動制御での作業が困難であり、作業員による手動作業が好ましい作業については、情報処理端末の表示画面中に、作業員が実施すべき作業内容の指示を表示するガイド機能を行えばよい。
本構成によれば、原料の切替作業を全自動または半自動で行うことができ、作業員による手順ミスも無くなることで作業効率の向上に寄与する。
10:収容部
10A:主剤側収容部
10C:硬化剤側収容部
11a:第1の収容空間
11b:第2の収容空間
11c:第3の収容空間
12a:第1の原料(第1の主剤)
12b:第2の原料(第2の主剤)
12c:第3の原料(硬化剤)
20:計量供給部
21a、21c:供給口
22a、22c:循環口
23a、23c:吐出口
30:供給部
30A:主剤側供給部
31a:第1の供給管
31b:第2の供給管
32:供給切替部
30C:硬化剤側供給部
31c:第3の供給管
40:循環部
40A:主剤側循環部
41a:第1の循環管
41b:第2の循環管
42:循環切替部
40C:硬化剤側循環部
41c:第3の循環管
50:吐出部
50A:主剤側吐出部
50C:硬化剤側循環部
51a:第1の吐出管
51b:第2の吐出管
51c:第3の吐出管
52:吐出切替部
521:入口側バルブ
522:出口側バルブ
53:合流部
531:ジャンクションブロック
532:ガンホース
54:温度センサ
60:出力部
SAV、SBV:分岐側バルブ
AV、CV:供給側バルブ
RAV、RBV:循環側バルブ
FAV、FCV:ガンバルブ

Claims (5)

  1. 複数の混合組合せを選択可能な原料群を用いて、組成の異なるウレタンフォームを形成可能なウレタンフォーム形成システムであって、
    複数の収容部、計量供給部、複数の供給部、複数の循環部、複数の吐出部、および少なくとも1つの出力部を少なくとも有し、
    前記複数の収容部のうち少なくとも何れか1つの収容部は、原料を収容可能な収容空間を複数有しており、
    前記計量供給部は、
    混合する原料毎に供給口、循環口および吐出口を有し、かつ、前記供給口からの原料を循環口または吐出口へと吐出可能に構成しており、
    前記複数の供給部のうち少なくとも何れか1つの供給部は、
    前記収容部に収容してある複数の原料から何れか一つの原料を、前記計量供給部の供給口へと供給可能な、供給切替部と、を少なくとも備え、
    前記複数の循環部は、
    前記計量供給部の循環口からの原料を、当該原料を収容している収容空間へと循環するか、または廃棄するかを選択可能に構成し、
    前記複数の吐出部のうち少なくとも何れか1つの吐出部は、
    前記計量供給部の吐出口と接続して複数の流路に分岐してなる、複数の吐出管と、
    前記計量供給部の吐出口からの原料を、前記複数の吐出管のうち何れかの吐出管に切り換えて前記出力部まで流す、吐出切替部と、を少なくとも備えたことを特徴とする、
    ウレタンフォーム形成システム。
  2. 前記吐出切替部が、
    前記複数の吐出管の入口近傍に設けて個別に開閉可能な、複数の入口側バルブを少なくとも含むことを特徴とする、
    請求項1に記載のウレタンフォーム形成システム。
  3. 前記吐出切替部が、
    前記複数の吐出管の出口近傍に設けて個別に開閉可能な、複数の出口側バルブと、
    前記複数の吐出管の出口と前記出力部との間をつなぐ、合流部と、
    を少なくとも含むことを特徴とする、
    請求項1または2に記載のウレタンフォーム形成システム。
  4. 前記複数の吐出管のうち何れか1つの吐出管内を加熱するための電源供給を切り換え可能な、電源切替部をさらに備えたことを特徴とする、
    請求項1乃至3のうち何れか1項に記載のウレタンフォーム形成システム。
  5. 前記原料の切替作業の一部または全部を自動制御する、制御装置を更に備えたことを特徴とする、
    請求項1乃至4のうち何れか1項に記載のウレタンフォーム形成システム。
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