JP7180915B1 - 肌状態の改善可能性評価装置及び美容アドバイス方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】個人のシワ及び/又はタルミの遺伝的素因を正確かつ簡便に判定する手段を提供すること、及び、個人のシワ及び/又はタルミの改善可能性の評価を精度良く行い、該評価に基づき、個人毎に適したシワ及び/又はタルミの改善するためのアドバイスを行うこと。【解決手段】被験者から採取したDNA含有試料について、rs889126、rs6980503、及びrs4876369の少なくとも1種の一塩基多型(SNP)、又はこれらのSNPと連鎖不平衡の関係にあるSNPのアレルを検出する工程と、検出されるアレルの塩基の少なくとも一つがリスクアレルである場合に、該被験者が、シワ及び/又はタルミの遺伝的素因を有すると判定する工程を含む、シワ及び/又はタルミの遺伝的素因を判定する方法、ならびに上記SNPの遺伝型に基づく遺伝的なシワ及び/又はタルミの傾向と、現在のシワ及び/又はタルミ状態の測定値とを用いることによって、シワ及び/又はタルミの改善可能性を評価するための装置及び方法。【選択図】なし

Description

本発明は、遺伝的な肌質(肌質の遺伝的素因)の判定方法、遺伝的な肌質の傾向と現在の肌状態から、現在の肌状態の改善可能性を評価するための装置及び方法、ならびにその評価結果に基づく肌状態の改善のための美容アドバイス方法に関する。
従来から、化粧品販売の分野においては、肌状態を目視や画像で確認し、あるいはこれらに問診回答と組み合わせて肌状態を改善するための化粧品や肌の手入れ方法の提案を行うサービスが行われている。例えば、角質及び/又は皮脂の問診データと角質及び/又は皮脂の画像データを組み合わせた肌診断の判定システムが提案されている(特許文献1等)。
一方、近年では、特定の遺伝子の一塩基多型(SNP)と肌特性との関係性が研究されており、SNP解析結果に基づき、肌特性や肌トラブルのリスクを予測する方法や化粧品の選択・提供方法が提案されている(特許文献2~5等)。例えば、特許文献5では、被験者の肌の状態に対する遺伝的なリスクを予測する装置であって、被験者の一種又は複数種の被験遺伝子について遺伝子多型情報を取得する取得手段と、一種又は複数種の被験遺伝子内にリスクアレルが存在する場合に、被験者の肌の状態を乱す遺伝的リスクがあると決定する遺伝的リスク決定手段とを備える装置が開示されている。
しかしながら、これらのいずれの文献にも、個々の被験者に対してシワやタルミなどの肌状態の改善可能性の評価を行う方法、また、その評価に基づいて改善の支援を行うための方法等は開示されていない。
特開2016-77649号公報 特開2006-191858号公報 特開2013-226096号公報 WO2018/101449号 特開2018-45539号公報
従来行われている遺伝子検査で予測される遺伝的な肌質の特性や肌トラブルのリスクと、現在の肌の状態とは必ずしも相関性があるわけではなく、そのような遺伝子検査に基づく化粧品の選択や手入れの方法が、間違っていたり、現在の肌の状態を改善するのに有効ではないこともある。
従って、本発明は、個々の肌状態を良好に保つために、肌状態の改善可能性の評価を精度良く行うことを目的とする。また、本発明は、肌状態の改善可能性の評価により適切な肌状態の改善のための美容アドバイスを行うことを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の一塩基多型(SNP)の遺伝型によって遺伝的な肌質である個人のシワ及び/又はタルミの生じやすさを判定できること、また、当該SNPの遺伝型と皮膚におけるハリの状態の測定値とを用いることによって、現在のシワ及び/又はタルミの改善可能性の評価を精度良く行えることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
[1] 被験者から採取したDNA含有試料について、以下の(a1)~(a2)の1種又は2種以上の一塩基多型(SNP)のアレルを検出する工程と、検出されるアレルの塩基の少なくとも一つがリスクアレルである場合に、該被験者にシワが生じやすいと判定する工程を含む、シワの遺伝的素因を判定する方法。
(a1) 配列番号1に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs889126で特定されるSNP)
(a2) 配列番号1に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs889126で特定されるSNP)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNP
[2] 前記(a2)の配列番号1に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs889126で特定されるSNP)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPが、配列番号2に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs2303098で特定されるSNP)、配列番号3に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs56391955で特定されるSNP)、配列番号4に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs67560822で特定されるSNP)、又は配列番号5に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs57490083で特定されるSNP)である、[1]に記載の方法。
[3] 被験者から採取したDNA含有試料について、以下の(b1)~(b4)の1種又は2種以上の一塩基多型(SNP)のアレルを検出する工程と、検出されるアレルの塩基の少なくとも一つがリスクアレルである場合に、該被験者にタルミが生じやすいと判定する工程を含む、タルミの遺伝的素因を判定する方法。
(b1) 配列番号6に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs6980503で特定されるSNP)
(b2) 配列番号6に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs6980503で特定されるSNP)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNP
(b3) 配列番号10に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs4876369で特定されるSNP)
(b4) 配列番号10に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs4876369で特定されるSNP)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNP
[4] 前記(b2)の配列番号6に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs6980503で特定されるSNP)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPが、配列番号7に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs61027543で特定されるSNP)、配列番号8に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs35402438で特定されるSNP)、又は配列番号9に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs4876695で特定されるSNP)であって、前記(b4)の配列番号10に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs4876369で特定されるSNP)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPが、配列番号11に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11776904で特定されるSNP)、配列番号12に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs7817754で特定されるSNP)、又は配列番号13に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs1394875で特定されるSNP)である、[3]に記載の方法。
[5] [1]~[4]のいずれかに記載の方法により判定された結果に基づいて、被験者のシワ及び/又はタルミの遺伝的素因の程度に応じたシワ及び/又はタルミの予防及び/又は改善作用を有する化粧料及び/又は飲食品を該被験者に提供する、化粧料及び/又は飲食品の提供方法。
[6] 配列番号1に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs889126で特定されるSNP)、配列番号6に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs6980503で特定されるSNP)、配列番号10に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs4876369で特定されるSNP)、若しくは該SNPと連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPを含む10塩基以上の配列、又はその相補配列を有するプローブ、及び/又は、配列番号1に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs889126で特定されるSNP)、配列番号6に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs6980503で特定されるSNP)、配列番号10に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs4876369で特定されるSNP)、若しくは該SNPと連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPを含む領域を増幅することのできるプライマーを含む、シワ及び/又はタルミの遺伝的素因を判定するためのキット。
[7] シワ及び/又はタルミの改善可能性評価装置であって、
顧客毎の遺伝子のrs889126、rs2303098、rs56391955、rs67560822、rs57490083、rs6980503、rs61027543、rs35402438、rs4876695、rs4876369、rs11776904、rs7817754、及びrs1394875から選ばれる1種又は2種以上のSNPを解析するSNP解析部、
顧客毎の皮膚におけるハリの状態を解析するハリ解析部、及び
前記SNPの解析結果に基づいて得られる顧客毎の遺伝的なシワ及び/又はタルミの傾向と、前記ハリの状態の解析結果に基づいて得られる顧客毎の現在のシワ及び/又はタルミ状態とを比較することにより、顧客毎のシワ及び/又はタルミの改善可能性を評価するシワ及び/又はタルミの改善可能性評価部、
を含む、上記装置。
[8] 前記シワ及び/又はタルミの改善可能性評価部は、
(i)前記SNP解析部がrs889126、rs2303098、rs56391955、rs67560822、rs57490083から選ばれる1種又は2種以上のSNPを解析して得られた遺伝的なシワの傾向、及び/又は、前記SNP解析部がrs6980503、rs61027543、rs35402438、rs4876695、rs4876369、rs11776904、rs7817754、及びrs1394875から選ばれる1種又は2種以上のSNPを解析して得られた遺伝的なタルミの傾向と、(ii)前記ハリ解析部が皮膚におけるハリの状態を解析して得られたハリの状態の測定値とを比較することにより、シワ及び/又はタルミの改善可能性の評価を行う、[7]に記載の装置。
[9] 前記ハリの状態の解析結果から得られた現在のシワ及び/又はタルミ状態を示す第1のスコアと、前記SNPの解析結果から得られた遺伝的なシワ及び/又はタルミの傾向を示す第2のスコアとの差分値(第2のスコア-第1のスコア)が大きいほど、シワ及び/又はタルミの改善可能性が高いと評価する、[7]又は[8]に記載の装置。
[10] 前記シワ及び/又はタルミ改善可能性評価部は、
前記差分値が等しい場合には、前記第1のスコアの低いほうを、シワ及び/又はタルミの改善可能性が高いと評価する、[9]に記載の装置。
[11] [7]~[10]のいずれかに記載のシワ及び/又はタルミの改善可能性評価装置により得られた評価結果に基づいて、シワ及び/又はタルミを改善するための肌の手入れのアドバイスを行う、美容アドバイス方法。
[12] 前記ハリの状態の解析時期による差分値の変化に基づいて、シワ及び/又はタルミの改善度に関する知見を得る、[11]に記載の美容アドバイス方法。
[13] シワ及び/又はタルミの改善可能性評価方法であって、以下のステップ:
顧客毎の遺伝子のrs889126、rs2303098、rs56391955、rs67560822、rs57490083、rs6980503、rs61027543、rs35402438、rs4876695、rs4876369、rs11776904、rs7817754、及びrs1394875から選ばれる1種又は2種以上のSNPを解析するステップ、
顧客毎の皮膚におけるハリの状態を解析するステップ、及び
前記SNPの解析結果に基づいて得られる顧客毎のシワ及び/又はタルミの遺伝的素因と、前記ハリの状態の解析結果に基づいて得られる顧客毎の現在のシワ及び/又はタルミ状態とを比較することにより、顧客毎のシワ及び/又はタルミの改善可能性を評価するステップ、
を含む、上記方法。
[14] シワ及び/又はタルミの改善可能性評価プログラムであって、
顧客毎の遺伝子のrs889126、rs2303098、rs56391955、rs67560822、rs57490083、rs6980503、rs61027543、rs35402438、rs4876695、rs4876369、rs11776904、rs7817754、及びrs1394875から選ばれる1種又は2種以上のSNPを解析するステップ、
顧客毎の皮膚におけるハリの状態を解析するステップ、及び
前記SNPの解析結果に基づいて得られる顧客毎の遺伝的なシワ及び/又はタルミの傾向と、前記ハリの状態の解析結果に基づいて得られる顧客毎の現在のシワ及び/又はタルミ状態とを比較することにより、顧客毎のシワ及び/又はタルミの改善可能性を評価するステップ、
をコンピュータに実行させるための上記プログラム。
本発明のシワ及び/又はタルミの遺伝的素因の判定方法によれば、被験者の生体試料に存在するゲノム由来のDNAに含まれる一塩基多型(SNP)のアレルを検出することにより、該被験者がシワ及び/又はタルミが生じやすい遺伝的素因を有するかを正確かつ簡便に判定することができる。よって、この判定結果に基づき、シワ及び/又はタルミの予防や改善のための対策を早期に講じることができる。また、本発明のシワ及び/又はタルミの改善可能性評価装置及び方法によれば、遺伝的なシワ及び/又はタルミの傾向と現在のシワ及び/又はタルミ状態から、シワ及び/又はタルミの改善可能性を精度よく評価できる。また、この評価結果に基づき、適切なシワ及び/又はタルミの改善のための美容アドバイスを行うことができる。
図1は、本発明のシワ及び/又はタルミの改善可能性評価装置の一構成例を示す機能ブロック図である。 図2は、顧客情報DB11の一例である。 図3は、本発明のシワ及び/又はタルミの改善可能性評価装置における処理の流れの一例を示すフローチャート図である。 図4は、本発明のシワ及び/又はタルミの改善可能性評価装置における、ハリの状態の解析結果から得られた現在のシワ及び/又はタルミ状態を示す第1のスコアと、SNPの解析結果から得られた遺伝的なシワ及び/又はタルミの傾向を示す第2のスコアとの差分値に基づく評価の流れの一例を示すフローチャート図である。 図5は、本発明のシワの改善可能性評価装置により得られる評価結果と、それに基づくシワを改善するための肌の手入れのアドバイス(提案)の一例を示す図である。 図6は、本発明のシワ及び/又はタルミの改善可能性評価装置における処理(解析時期による差分値の変化を評価)の流れの例を示すフローチャート図である。
1.シワ及び/又はタルミの遺伝的素因の判定方法
本発明のシワ及び/又はタルミの遺伝的素因の判定方法は、個人のシワ及び/又はタルミの生じやすさの遺伝的素因と関連する特定の一塩基多型(SNP)又は当該SNPと連鎖不平衡にあるSNPを用いて、将来シワ及び/又はタルミが生じやすいかを予測するものである。
本発明において、「シワ」とは、後天的に肌に形成される細かい又は深い溝をいい、真皮性のもの、表皮性のもの等を含む。また、「タルミ」とは、肌が重力の影響でたるんでいる状態をいう。本発明において、「ハリ」とは、皮膚、特に顔の皮膚における弾性を意味する。皮膚におけるハリは、真皮層におけるコラーゲンやエラスチンなどの弾性線維量に影響される。老化した皮膚では、真皮のコラーゲンの減少に加え、異常な弾性線維の蓄積等によりハリが失われ、結果として、シワやタルミが形成される。
上記の「連鎖不平衡」とは、2つの対立遺伝子がそれぞれ独立に遺伝する場合よりも大きな頻度で互いに連鎖して遺伝することをいう。このような連鎖不平衡を示す一群の対立遺伝子のことをハプロタイプと称する。本発明では、連鎖不平衡係数r2が0.8以上、好ましくは0.9以上、より好ましくは0.95以上、最も好ましくは1であるSNPを用いることができる。特定のSNPと連鎖不平衡にあるSNPは、例えば、Ensembl Genome Browser(https://asia.ensembl.org/index.html)やHapMapデータベース(http://www.hapmap.org/index.html.ja)等を用いて同定することができる。あるいは、複数人(通常は20~40人程度)から採取したDNAをシークエンサーにて配列解析し、連鎖不平衡にあるSNPを探索することにより同定することもできる。
本発明のシワの遺伝的素因の判定方法は、被験者から採取したDNA含有試料について、以下の(a1)~(a2)の1種又は2種以上の一塩基多型(SNP)のアレルを検出する工程と、検出されるアレルの塩基の少なくとも一つがリスクアレルである場合に、該被験者にシワが生じやすいと判定する工程を含む。
(a1) 配列番号1に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs889126で特定されるSNP)
(a2) 配列番号1に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs889126で特定されるSNP)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNP
上記(a2)のrs889126で特定されるSNPと連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPとしては、rs2303098、rs56391955、rs67560822、rs57490083等が挙げられる。
本発明のタルミの遺伝的素因を判定する方法は、被験者から採取したDNA含有試料について、以下の(b1)~(b4)の1種又は2種以上の一塩基多型(SNP)のアレルを検出する工程と、検出されるアレルの塩基の少なくとも一つがリスクアレルである場合に、該被験者にタルミが生じやすいと判定する工程を含む。
(b1) 配列番号6に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs6980503で特定されるSNP)
(b2) 配列番号6に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs6980503で特定されるSNP)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNP
(b3) 配列番号10に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs4876369で特定されるSNP)
(b4) 配列番号10に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs4876369で特定されるSNP)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNP
上記(b2)のrs6980503で特定されるSNPと連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNP としてはrs61027543、rs13268674、rs16889363、rs35402438、rs13250853、rs34703023、rs35105724、rs4876695、rs11780215、rs71530854等が挙げられる。上記(b4)のrs4876369で特定されるSNPと連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNP としてはrs11776904、rs34506303、rs71530860、rs13282002、rs11778222、rs13269119、rs11778200、rs7817754、rs11989843、rs1394875等が挙げられる。
上記のシワ及び/又はタルミの生じやすさと関連するSNP、及び該SNPと連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPを含む塩基配列([]内はSNPを表す)を表1に示す。
Figure 0007180915000001
Figure 0007180915000002
後述の実施例の結果に示すように、上記rs889126、rs2303098、rs56391955、rs67560822、rs57490083、rs6980503、rs61027543、rs35402438、rs4876695、rs4876369、rs11776904、rs7817754、rs1394875のSNPは、シワ及び/又はタルミの生じやすさの遺伝的素因と統計学的に関連が証明されたものである。上記のSNPは1種でもシワ及び/又はタルミの遺伝的素因の判定が可能であるが、2種以上を組み合わせることにより判定精度を高めること、また、判定の種類のパターンを増やすことができる。
一塩基多型(single nucleotide polymorphism:SNP、以下、「SNP」と記載する場合がある)とは、一般的には、遺伝子の塩基配列が1箇所だけ異なる状態及びその部位をいう。また、多型とは、一般的には、母集団中1%以上の頻度で存在する2以上の対立遺伝子(アレル)をいう。本発明における「SNP」は、当業者が自由に利用可能な公開されたデータベースである米国国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information :NCBI)のSNPデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP/)に登録されたSNPであって、そのリファレンス番号であるrs番号により特定できる。
本明細書において「アレル」とは、あるSNP部位において取りうる、互いに異なる塩基を有するそれぞれの型をいう。また、本明細書において「遺伝型」とは、あるSNP部位において、対立するアレルの組み合わせをいう。あるSNP部位において、前記組み合わせである遺伝型には3つの型があり、同じアレルの組み合わせをホモ型とよび、異なるアレルの組み合わせをヘテロ型という。例えば、rs889126で特定されるSNPにおいて対立するアレルの組み合わせである遺伝型には、G/G型、G/A型、A/A型の3つの型が存在する。
本発明の判定方法において、「一塩基多型(SNP)のアレルを検出する」とは、そのSNPのアレルの塩基の種類を同定することを意味し、「一塩基多型(SNP)のアレルを検出する」の態様には、当該SNPの一方のアレルを検出すること、当該SNPの両方のアレルを検出すること、当該SNPの遺伝型を同定することを含むものとする。
本発明の判定方法においては、検出されるアレルの塩基の少なくとも一つがリスクアレルである場合に、該被験者が、シワ及び/又はタルミが生じやすい遺伝的素因を有すると判定する。例えば、rs889126又はrs889126と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPであるrs2303098、rs56391955、rs67560822、rs57490083において、下記表2に示すリスクアレルが、少なくとも一方のアレルにおいて検出されれば、該リスクアレルが検出されない場合と比較して、シワが生じやすいと判定できる。また、rs6980503又はrs6980503と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPであるrs61027543、rs35402438、rs4876695において、あるいは、rs4876369又はrs4876369と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPであるrs11776904、rs7817754、rs1394875において、下記表2に示すリスクアレルが、少なくとも一方のアレルにおいて検出されれば、該リスクアレルが検出されない場合と比較して、タルミが生じやすいと判定できる。
例えば、rs889126で特定されるSNPの場合は、その遺伝型がA/A型であることが、G/A型又はG/G型である場合よりもシワが生じやすいことを示し、その遺伝型がG/A型であることが、G/G型である場合よりもシワが生じやすいことを示す。すなわち、A/A型、G/A型、G/G型の順で、シワの生じやすさが高いことを示す。また、rs4876369で特定されるSNPの場合は、その遺伝型がG/G型であることが、A/G型又はA/A型である場合よりもタルミが生じやすいことを示し、その遺伝型がA/G型であることが、A/A型である場合よりもタルミが生じやすいことを示す。すなわち、G/G型、A/G型、A/A型の順で、タルミの生じやすさが高いことを示す。
Figure 0007180915000003
本発明の判定方法において、被験者の人種は、特に限定はされないが、好ましくは東アジア人、より好ましくは日本人である。ここで、東アジア人とは、日本、朝鮮、中国、台湾及びモンゴルの人々のいずれかを起源に持つ人をいう。本発明の被験者の性別は特に限定されないが、女性が好ましい。
本発明の判定方法において用いるDNA含有試料としては、被験者より採取されたDNAを含有する生体試料であれば、特に限定されない。DNA含有試料に含まれるDNAは、ゲノムDNAであることが好ましいが、検出するSNPが、プロモーター等の非転写領域や、イントロン等のRNAスプライシングにより除かれる領域以外の、mRNA中に存在する領域に位置するSNPである場合には、ゲノムDNAの代わりにmRNAやtotal RNAを含む生体試料を使用してもよい。DNA含有試料としては、例えば、ゲノムDNAを採取可能な任意の体液、分泌液、組織、細胞、組織や細胞の培養物等を使用することができ、具体的には、被験者の唾液、血液、尿、喀痰、咽頭ぬぐい液、鼻腔ぬぐい液、口腔(内頬)粘膜ぬぐい液、涙腺分泌液、汗、毛髪、爪、皮膚、粘膜、皮膚付着後に剥がしたテープストリップ等が挙げられるが、容易性及び低侵襲性の点から、唾液が好ましい。当該試料は、一般的な臨床検査で行われている方法に従って採取し、公知の抽出方法、精製方法を用いて調製することができる。その際、市販のゲノムDNA抽出キットを使用することができる。
SNPの検出及びSNPの型の判定(SNPタイピング)の方法は、特に制限されず、例えばアレル特異的プライマー(及びプローブ)を用い、PCR法等により増幅し、増幅産物の多型を蛍光又は発光によって検出する方法等、公知の方法により行うことができる。例えば、PCR-RFLP (restriction fragment length polymorphism)法、PCR-SSCP(single-strand conformation polymorphism)法、PCR-SSO (sequence specific oligonucleotide)法、ダイレクトシークエンス(direct sequencing)法、ASO(Allele Specific Oligonucleotide)ハイブリダイゼーション法、ASP-PCR(Allele Specific Primer-PCR)法、Snapshot法、ARMS(Amplification Refracting Mutation System)法、TaqMan PCR法、インベーダー法、MALDI-TOF/MS法、RNase A切断法、DOL(Dye-labeled Oligonucleotide Ligation)法、TDI(Template-directed Dye-terminator Incorporation)等が挙げられる。上記方法はいずれも当業者に周知の方法であり、また、SNPの型の判定のための試薬やキットも市販されており、例えば、TaqMan SNP Genotyping Assays (Thermo Fisher Scientific社製)等を用いることができる。
上記の判定方法により得られた結果は、被験者がシワ及び/又はタルミの予防及び/又は改善作用を有する化粧料及び/又は飲食品を選択する上で有用な指標となり、例えば、シワ及び/又はタルミが生じやすい遺伝的素因を有すると判定された被験者に対して、シワ及び/又はタルミを予防及び/又は改善する対策を推奨できる。よって、本発明の別の側面によれば、上記の判定方法により得られた結果に基づいて、被験者のシワ及び/又はタルミの遺伝的素因の程度に応じたシワ及び/又はタルミの予防及び/又は改善作用を有する化粧料及び/又は飲食品を該被験者に提供する、化粧料及び/又は飲食品の提供方法もまた提供される。
2.シワ及び/又はタルミの遺伝的素因の判定用キット
上記のSNPの検出及びタイピング方法では、各方法に応じたプローブやプライマーが使用される。このようなプローブやプライマーもまた本発明の範囲に包含され、キットとして提供できる。
プローブとしては、上記のSNP部位を含み、ハイブリダイズの有無によってSNP部位の塩基の種類を判別できるプローブが挙げられる。具体的には、配列番号1に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs889126で特定されるSNP)、配列番号6に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs6980503で特定されるSNP)、配列番号10に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs4876369で特定されるSNP)、若しくは該SNPと連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPを含む10塩基以上の配列、又は該SNPと連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPを含む10塩基以上の配列、好ましくは15塩基以上の配列又はその相補配列を有するプローブが挙げられる。プローブの長さは好ましくは15~40塩基、より好ましくは20~35塩基である。また、プローブは、適当な標識物質で標識されていてもよく、標識物質としては、例えば、酵素(ペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、アルカリフォスファターゼ等)、蛍光物質(FITC、RITC、Cy3、Cy5等)、発光物質(ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニン等)、放射性同位元素(3H、14C、32P、125I、131I等)、ビオチン、ジゴキシゲニン、タグ配列を含むポリペプチド等が挙げられる。あるいは、蛍光物質の近傍に該蛍光物質の発する蛍光エネルギーを吸収するクエンチャー(消光物質)がさらに結合されていてもよい。
また、プローブは固相に固定されていてもよい(DNAアレイ)。DNAアレイは、同一平面上に配置した多数のプローブに対してサンプルDNAをハイブリダイズさせ、当該平面をスキャンすることによって、各プローブに対するハイブリダイズを同時に検出することが可能である。よって、多数のSNP部位を同時に解析するには、DNAアレイは有用である。アレイに搭載するプローブとなるオリゴヌクレオチドは、通常in situで合成される。例えば、リソグラフィー方式(Thermo Fisher Scientific社)、インクジェット方式(Agilent社)、ビーズアレイ方式(Illumina社)等によるオリゴヌクレオチドのin situ合成法が知られている。
また、プライマーとしては、上記SNP部位を増幅するためのPCRに用いることのできるプライマー、又は上記SNP部位を配列解析(シークエンシング)するために用いることのできるプライマーが挙げられる。具体的には、配列番号1に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs889126で特定されるSNP)、配列番号6に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs6980503で特定されるSNP)、配列番号10に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs4876369で特定されるSNP)、若しくは該SNPと連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPを含む領域を増幅したり、シークエンシングしたりすることのできるプライマーが挙げられる。上記SNP部位を増幅するためのPCRに用いることのできるプライマーは、該SNP部位を含む領域のDNAを鋳型として、該SNP部位に向かって相補鎖合成を開始することができるオリゴヌクレオチドであればよく、このようなプライマーの長さは10~30塩基が好ましく、15~25塩基がより好ましい。プライマーは、SNP部位の上流又は下流の位置に設定することができる。
当業者であれば、SNP部位を含む周辺DNA領域の塩基配列情報を基に、解析手法に応じたプローブ及びプライマーを設計することができる。また、プローブ及びプライマーとなるオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの合成法として当技術分野で公知の方法、例えば、ホスホロアミダイト法、H-ホスホネート法等により、通常用いられるDNA自動合成装置を利用して合成することが可能である。
本発明のキットには、上記のプローブ及びプライマーとして用いるオリゴヌクレオチドを少なくとも含んでいればよい。また、当該キットには、必要に応じて、DNA抽出用試薬、PCR用緩衝液やDNAポリメラーゼ等のPCR用試薬、染色剤や電気泳動用ゲル等の検出用試薬、固定化担体、標識物質、標識の検出に用いられる基質化合物、陽性や陰性の標準試料、キットの使用方法を記載した指示書等を含めることもできる。なお、キット中の試薬は溶液でも凍結乾燥物でもよい。
3.シワ及び/又はタルミの改善可能性評価装置、評価方法、評価プログラム
本発明の別の態様は、シワ及び/又はタルミの改善可能性評価装置に関する。本発明のシワ及び/又はタルミの改善可能性評価装置は、顧客毎の遺伝子のrs889126、rs2303098、rs56391955、rs67560822、rs57490083、rs6980503、rs61027543、rs35402438、rs4876695、rs4876369、rs11776904、rs7817754、及びrs1394875から選ばれる1種又は2種以上のSNPを解析するSNP解析部、顧客毎の皮膚におけるハリの状態を解析するハリ解析部、及び前記SNPの解析結果に基づいて得られる顧客毎の遺伝的なシワ及び/又はタルミの傾向と、前記ハリの状態の解析結果に基づいて得られる顧客毎の現在のシワ及び/又はタルミ状態とを比較することにより、顧客毎のシワ及び/又はタルミの改善可能性を評価するシワ及び/又はタルミの改善可能性評価部、を含む。
本明細書において「シワ及び/又はタルミの改善可能性」とは、現在のシワ及び/又はタルミ状態を遺伝的に到達可能なシワ及び/又はタルミ状態に改善させる可能性をいう。また、「遺伝的なシワ及び/又はタルミの傾向」は、「シワ及び/又はタルミの遺伝的素因」と同義である。
以下に本発明によるシワ及び/又はタルミの改善可能性の評価技術について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明のシワ及び/又はタルミの改善可能性評価装置の一構成例を示す機能ブロック図である。図1に示すように、本発明のシワ及び/又はタルミの改善可能性評価装置は、シワ及び/又はタルミの改善可能性評価のための演算を行うシワ及び/又はタルミの改善可能性評価装置1と、シワ及び/又はタルミに関連する顧客情報を格納する顧客情報DB11と、を有する。シワ及び/又はタルミの改善可能性評価装置1は、遺伝子の一塩基多型(SNP)解析を行うSNP解析部1-1と、皮膚におけるハリの状態の解析を行うハリの状態解析部1-2と、シワ及び/又はタルミの改善可能性を評価するシワ及び/又はタルミの改善可能性評価部1-3と、を有する。さらに、シワ及び/又はタルミの改善可能性評価装置1には、遺伝子解析装置2と、入力装置/画像解析装置3とが関連付けられていてもよい。入力装置は、皮膚におけるハリの状態の解析結果を入力する。解析結果は目視による観察結果でもよいし、画像解析装置による自動解析結果であってもよい。
(顧客情報DB11の各データ群についての説明)
顧客情報DB11は、顧客(ID)毎のSNPデータを格納するSNPデータ格納部11-1と、顧客(ID)毎のハリデータを格納するハリデータ格納部11-2と、顧客(ID)毎のシワ及び/又はタルミの改善可能性評価データを格納するシワ及び/又はタルミの改善可能性評価データ格納部11-3と、顧客に対してシワ及び/又はタルミの改善のための提案を行う提案書を格納する提案書格納部11-4と、顧客から入手した肌質(例えば、シワ・タルミ、シミ・ソバカス、ニキビ・吹き出物、カサツキ・乾燥・肌荒れ、毛穴、クスミ、透明感のなさ、目の下のくまに関する悩みの有無の質問)や生活習慣等のアンケートデータ(アンケート結果)を格納するアンケートデータ格納部11-5と、を有する。
SNPデータ格納部11-1は、下記のシワに関連するSNP1群の遺伝型、タルミに関連するSNP2群の遺伝型を格納する。
SNP1群:rs889126、rs2303098、rs56391955、rs67560822、rs57490083
SNP2群:rs6980503、rs61027543、rs35402438、rs4876695、rs4876369、rs11776904、rs7817754、rs1394875
具体的には、例えば、シワに関連するrs889126の遺伝型であるG/G、A/G、A/A、タルミに関連するrs6980503の遺伝型であるG/G、A/G、A/A、及びrs4876369の遺伝型であるG/G、A/G、A/A等を格納する。これらのデータは、例えば顧客の唾液や血液などの体液や毛髪等を採取して得られたサンプルにより得られる。
本発明においては、上記のシワ及び/又はタルミに関連するSNPの遺伝型を解析し、遺伝的なシワ及び/又はタルミの傾向を決める。具体的には、シワ及び/又はタルミに関連するSNPのリスクアレル本数に基づいて、遺伝的なシワ及び/又はタルミの傾向スコアを以下のように定める。
リスクアレルを有さない場合(非リスクアレルをホモ型で有する場合):シワ及び/又はタルミが生じにくい。この場合は、遺伝的なシワ・タルミの傾向スコアを3点とする。
リスクアレルをヘテロ型で有する場合:シワ及び/又はタルミがやや生じやすい。この場合は、遺伝的なシワ・タルミの傾向スコアを2点とする。
リスクアレルをホモ型で有する場合:シワ及び/又はタルミが生じやすい。この場合は、遺伝的なシワ・タルミの傾向スコアを1点とする。
一例として、シワに関連するSNP(rs889126)の遺伝型パターン及び遺伝的なシワの傾向スコアを下記表3に示す。
Figure 0007180915000004
ハリデータ11-2は、顧客の皮膚におけるハリの状態の解析を行うことによって得られる。皮膚におけるハリの状態の指標として、例えば、キュートメーターを用いて測定した顧客の現在の皮膚粘弾性の測定値を用いることができる。キュートメーターによる皮膚粘弾性の測定値とは、Cutometer MPA580(C+K社製)の径2mmのプローブを用いて300mbの陰圧を5秒間負荷し、最大伸長量(Uf)と陰圧開放直後から0.1秒間の伸長量の変化量(Ur)の比であるR7値をいう。測定は、目尻からの垂線と鼻下部からの水平線の交点を4回計測しその平均を測定値とする。顧客の現在のシワ及び/又はタルミ状態は、一般的な成人女性のR7値を3区分(高い、中間、低い)に分類し、R7値が高い区分に分類された場合のスコアを3点(皮膚にハリがあり、シワやタルミが生じにくい状態)、中間の区分に分類された場合のスコアを2点(皮膚のハリが中程度であり、シワやタルミがやや生じやすい状態)、低い区分に分類された場合のスコアを1点(皮膚のハリが低下しており、シワやタルミが生じやすい状態)とする。
(シワ及び/又はタルミの改善可能性評価装置1についての説明)
SNP解析部1-1は、顧客毎の遺伝子のSNPを解析する。
ハリの状態解析部1-2は、顧客毎の皮膚におけるハリの状態を解析する。
シワ及び/又はタルミの改善可能性評価部1-3は、顧客毎の、SNP解析部1-1によるSNPの解析結果に基づいて得られる顧客毎の遺伝的なシワ及び/又はタルミの傾向と、ハリの状態解析部1-2によるハリの状態の解析結果に基づいて得られる顧客毎の現在のシワ及び/又はタルミ状態との比較に基づいて、顧客毎のシワ及び/又はタルミの改善可能性を評価する。
シワ及び/又はタルミの改善可能性評価部1-3は、現在のシワ及び/又はタルミ状態を示す第1のスコアと、遺伝的なシワ及び/又はタルミの傾向を示す第2のスコアとの差分値(第2のスコア-第1のスコア)に基づき、当該差分値が大きいほどシワ及び/又はタルミの改善可能性が高いと評価する。これにより、現在のシワ及び/又はタルミ状態の改善可能性をわかりやすい差分値として得ることができる。前記シワ及び/又はタルミの改善可能性評価部は、差分値が等しい場合には、前記第1のスコアの低いほうを、シワ及び/又はタルミの改善可能性が高いと評価することが好ましい。これにより、差分値が等しい場合でも、シワ及び/又はタルミの改善可能性の高低を付けることができる。なお、顧客ID毎に、差分値やスコアを格納しておいてもよい。
より詳細な評価処理とそれに基づく提案について、以下に説明する。
図2は、顧客情報DB11の一例である。
図2に示すように、顧客情報DB11には、例えば、顧客を識別する顧客ID毎に、前記SNP1群、SNP2群毎の遺伝型を示したSNPデータと、ハリデータと、任意のアンケートデータや顧客への提案書(図示せず)などが以下の処理に沿って格納されていく。
図3は、本発明のシワ及び/又はタルミの改善可能性評価装置における処理の流れの一例を示すフローチャート図である。図3に示すように、処理が開始され(Start)、ステップS1において、顧客IDを取得(新規であれば採番)する。次いで、ステップS2において、SNP解析部1-1が当該顧客より採取したDNAのSNP解析を行う。新規の顧客の場合に新しく解析を行う必要がある。SNP解析の結果、ステップS3において、当該顧客のSNPデータ(SNPの遺伝型)を取得する。既存の顧客の場合には、SNPデータ格納部11-1から取得することができる。
ステップS4において、ハリの状態解析部1-2が、当該顧客の皮膚におけるハリの状態の解析を行い、ステップS5において、ハリデータを取得する。この際、ハリデータ格納部11-2に、取得日時とともにハリデータを格納しておけば、ハリデータの経時変化を確認することが可能である。
ステップS6において、SNPデータ(SNP1群及び/又はSNP2群の遺伝型)とハリデータとを比較し、ステップS7において、シワ及び/又はタルミの改善可能性の評価を行う。なお、前述のように、目視ではなく、画像解析装置3による画像解析などにより標準画像との比較に基づいて評価を行うようにしてもよい。その他、評価方法は限定されるものではない。
そして、ステップS7の評価結果に基づいて、ステップS8において、顧客毎のシワ及び/又はタルミの改善等に関する提案(アドバイス)を行う。
図4は、シワ及び/又はタルミの改善可能性の評価処理の流れの一例を示す図である。
図5は、SNPデータとしてシワに関連するSNP1群の遺伝型を用いたシワの改善可能性に関する評価結果と、それに基づくアドバイス(提案)の一例を示す図である。
図5において、各項目について左側から右側に向けて順番に説明する。
図5の第1列は、D1:現在のシワ状態スコアであり、皮膚にハリがあるほど高くなる(1から3点まで)。
図5の第2列は、D2:遺伝的なシワの傾向スコアであり、シワが生じにくい遺伝的素因が高いほど点数が高くなる(1から3点まで)。
図5の第3列は、D1とD2との差分値(D2-D1)である(図4のステップS9)。
図5の第4列は、早急な手入れ見直しの必要度の評価結果である。すなわち、差分値D2-D1が大きい順に改善可能性大と評価する(図4のステップS12)。
差分値D2-D1が同じ値の場合には(図4のステップS10でYes)、現在のシワの状態を優先させた値である(図4のステップS11)。
このようにして得られた重複の無い、D3:早急な手入れ見直し必要度スコアを図5の第4列に記載している。
図5の第5列はコメント及び手入れのアドバイス(提案書)の一例を示すものである。下記の例では、現在のシワ状態が同じスコアであっても、以下のように異なるコメント及び手入れのアドバイスの方向性を示すことができる。
コメント1:遺伝的にシワが生じにくいタイプであり、現在の肌状態も皮膚にハリがありシワが生じにくい状態。早急なお手入れ見直しの必要度はやや低い。
コメント3:遺伝的にシワが生じやすいタイプであるが、現在の肌状態は皮膚にハリがありシワが生じにくい状態。早急なお手入れ見直しの必要度はとても低い。ただし、シワが生じやすい潜在的リスクを有するため、将来の肌トラブルの発生に備えて予防的なお手入れの導入が必要。
コメント4:遺伝的にシワが生じにくいタイプであり、現在の肌状態は皮膚のハリが中程度でありややシワが生じやすい状態。適切なお手入れ方法に変更することで、シワの改善が見込まれるため、早急なお手入れ見直しの必要度は高い。
コメント6:遺伝的にシワが生じやすいタイプであり、現在の肌状態は皮膚のハリが中程度でありややシワが生じやすい状態。早急なお手入れ見直しの必要度は低い。
コメント7:遺伝的にシワが生じにくいタイプであるが、現在の肌状態は皮膚のハリが低下しており、シワができやすい状態。適切なお手入れ方法に変更することで、大幅にシワの改善が見込まれるため、早急なお手入れ見直しの必要度はとても高い。
これらのコメントは、アドバイザが顧客に提示するコメントの代表例であり、遺伝的なシワの傾向のスコア(D2)と現在のシワ状態のスコア(D1)の差分値(D2-D1)に基づいて、かつ、現在のシワ状態のスコアを優先させて作成したコメントである。
以下は任意の項目である。
図5の第6列は、図5の第2列のスコアに基づく遺伝的な肌トラブル(シワ)のリスクの有無を記載している。
図5の第7列は、図5の第1列のスコアに基づく現在のシワ状態を示している。
図5の第8列は、早急な手入れの必要度を示すものであり、図5の第4列のスコアに基づくものである。
図5の第9列は、将来を見据えた予防的な手入れの導入の必要度を示すものであり、図5の第2列のスコアに基づくものである。
以上に説明したように、SNPデータ(SNP1群の遺伝型)と皮膚におけるハリの状態の解析結果とに基づいて、シワに関連する各項目について、「D1:現在のシワ状態スコア」と「D2:遺伝的なシワの傾向スコア」の差分値(D2-D1)を指標に、シワの改善可能性を評価し、「D3:早急なお手入れ見直しの必要度スコア」に基づき、シワの改善可能性についてアドバイスを行うことができる。当該差分値が大きいほど、シワの改善可能性が高いと評価できる。
また、SNPデータとしてタルミに関連するSNP2群の遺伝型を用いることにより、図5の例と同様に、タルミの改善可能性の評価を行うことができるし、SNPデータとしてシワに関連するSNP1群とタルミに関連するSNP2群の遺伝型を用いることにより、シワとタルミの両方の肌状態の改善可能性の評価を総合的に行うことができる。また、SNPデータとして用いるシワに関連するSNP1群、タルミに関連するSNP2群の種類や数、組み合わせを変更してもよい。
シワ及び/又はタルミの改善可能性評価部1-3は、差分値が等しい場合には、「D1:現在のシワ・タルミ状態スコア」が低い方を優先して「D3:早急なお手入れ見直しの必要度スコア」が高くなるように設定してもよく、「D2:遺伝的なシワ・タルミの傾向スコア」が高い方を優先して「D3:早急なお手入れ見直しの必要度スコア」が高くなるように設定してもよい。
上記の実施の形態によれば、「現在のシワ・タルミ状態スコア」は、同じである場合でも(2点など)、「遺伝的なシワ・タルミの傾向スコア」を合わせて解析することで、被験者のシワ及び/又はタルミの改善可能性に関するより客観的かつ精度の良い評価とシワ及び/又はタルミを改善するためのアドバイスができる。
本発明の装置の別の実施の形態では、上記のシワ及び/又はタルミの改善可能性の評価結果に基づいて、シワ及び/又はタルミを改善するための美容アドバイスを行うことができる。その場合、「D3:早急なお手入れ見直しの必要度スコア」に応じて、「コメント及びアドバイス」を行う。
「D3:早急なお手入れ見直しの必要度スコア」が大きい場合は、重要ポイントとして注目できる。重要ポイントは、顧客において問題となる要改善ポイントであり、シワ及び/又はタルミ改善のための肌の手入れを重視すべきであることを喚起するものである。一方、「D3:早急なお手入れ見直しの必要度スコア」が小さい場合は、goodポイントとして注目できる。goodポイントは、顧客において優れている高評価ポイントであり、手入れの成果を顧客にアピールすることできる。これらの特徴的なポイントは、顧客にとっても興味があるポイントであるため、化粧品や美容サービスの提供において有効に利用することができる。
上記の別の実施の形態によれば、前記ハリの状態解析部における前記ハリの状態の解析時期による差分値の変化に基づいて、シワ及び/又はタルミの改善度の知見を得ることができる。図6は本実施の形態による、顧客の皮膚におけるハリの状態の時期的な差異に基づいて顧客に提案を行う処理の流れを示すフローチャート図である。
図6に示すように、処理が開始されると(Start)、まず、シワ及び/又はタルミの改善可能性評価装置1に対して、入力装置3から顧客IDを入力する(ステップS21)。
次に、図2に示す顧客情報DB11に当該顧客IDがあるかどうかを検索し、図2に示すデータ内に当該顧客IDがなければ新規に顧客IDを取得し(ステップS22)、当該該顧客IDのSNPデータ11-1と第1のハリデータ11-2を取得する(ステップS23)。
次いで、ステップS24において、ハリの状態解析部1-2が以前の第1のハリデータ11-2(旧)よりも取得時期が新しい皮膚におけるハリの状態を解析し、第2のハリデータ11-2(新)を得る。
次いで、ステップS25で、第1のハリデータ11-2(旧)よりも取得時期が新しい第2のハリデータ11-2に基づいて、上記で説明したように、新たな差分値(D2-D1:図5参照)を得る。
例えば、この新たな差分値に基づく「D3:早急なお手入れ見直しの必要度スコア」と、前回の「D3:早急なお手入れ見直しの必要度スコア」とを比較することにより、前回の評価結果に基づくアドバイスや提案からの改善度を得ることができる(ステップS26→end)。
上記の別の実施の形態によれば、本発明のシワ及び/又はタルミ改善可能性評価装置を用いて得られた評価結果に基づいて行ったアドバイスや提案による時期的なシワ及び/又はタルミ状態の改善度を得ることができる。従って、当該改善度に基づいて、前回のアドバイスや提案が適切であったかに関する知見を得ることができる。また、この知見に基づいて、前回と同様の又はそれとは異なるアドバイスや提案を行うことができる。また、このような評価と新たなアドバイスや提案とを繰り返すことで、時期を追って遺伝的に到達可能な肌状態に近づけるようにすることができる。
本発明の更に別の態様は、シワ及び/又はタルミの改善可能性評価方法も関する。本評価方法は、顧客毎の遺伝子のシワ及び/又はタルミに関連するrs889126、rs2303098、rs56391955、rs67560822、rs57490083、rs6980503、rs61027543、rs35402438、rs4876695、rs4876369、rs11776904、rs7817754、及びrs1394875から選ばれる1種又は2種以上のSNPを解析するステップ、顧客毎の皮膚におけるハリの状態を解析するステップ、及び前記SNPの解析結果に基づいて得られる顧客毎の遺伝的なシワ及び/又はタルミの傾向と、前記ハリの状態の解析結果に基づいて得られる顧客毎の現在のシワ及び/又はタルミ状態とを比較することにより、顧客毎のシワ及び/又はタルミの改善可能性を評価するステップ、を含む。また、本発明の更に別の態様は、上記の評価方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。
本発明の処理及び制御は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)によるソフトウェア処理、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)によるハードウェア処理によって実現することができる。
また、上記の本発明の装置の実施の形態において、図示されている構成等については、これらに限定されるものではなく、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
本試験を実施するにあたり、同意書、遺伝型判定等について、自社における倫理審査委員会によって承認を受けた。同意書のサインにて同意を受けた被験者よりサンプル採取を行い、遺伝型判定及び関連解析を行った。
(1) DNAサンプル
日本人女性被験者780人(平均年齢43.6歳)から唾液を採取し、Maxwell RSC Stabilized Saliva DNA Kit(プロメガ社製)を使用してゲノムDNAを抽出し、DNAサンプルを得た。
(2) 表現型データ(顔のシワ・タルミ)
顔のシワ又はタルミの程度を5段階に分けた画像(1~6の昇順で深刻度を表す)から現在の自分と近しい画像を1つ回答するものであり、回答は間隔尺度として扱った。なお、本試験では、顔のシワとして目尻のシワを対象とし、顔のタルミとして鼻唇溝を対象とした。
(3) 解析したSNP
SNPデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP/)に登録されたSNPの内、顔のシワについてはrs889126を解析の対象とし、タルミについてはrs6980503及びrs4876369を解析の対象とした。さらに、Ensembl Genome Browser(https://asia.ensembl.org/index.html)を用いて探索した日本人におけるrs889126、rs6980503、rs4876369の各SNPと連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNP(下記表4)の内、rs2303098、rs56391955、rs67560822、rs57490083、rs61027543、rs35402438、rs4876695、rs11776904、rs7817754、rs1394875についても解析の対象とした。
Figure 0007180915000005
(4) 遺伝型の決定
(1)で得られたDNAサンプルについて、TaqMan SNP Genotyping Assays(Applied Biosystems社製)及びSsoAdvanced Universal Probes Supermix(Bio Rad社製)を用い、CFX384 Touch Real-Time PCR Detection System(Bio Rad社製)にて遺伝型の決定を行った。
(5) 関連解析
遺伝型データと顔のシワ又はタルミの現れ方との関連性について、表現型データを目的変数、遺伝型データのマイナーアレルの本数、及び年齢を説明変数とした重回帰分析を行い、前記マイナーアレルの本数の偏回帰係数のp値を評価した。合計13個のSNPを解析したため、第一種の過誤の増大を回避するためにボンフェローニ法により有意水準を補正し(0.05/13)、p値が0.0038(3.8E-03)未満の場合に有意な関連性があるものと判断した。
(6) 結果
解析を行った各SNPが存在する染色体番号、物理位置、アレル及びマイナーアレルの塩基、各表現型(シワ・タルミ)に対するリスクアレルの塩基、表現型(シワ・タルミ)、回帰係数、p値を表5に示す。なお、回帰係数の符号が正の場合にはマイナーアレルが、回帰係数の符号が負の場合にはメジャーアレルがリスクアレルとなる。p値の欄において、それぞれのp値は10を底とする指数形式で表示され、符号Eの前後に記載された数値はそれぞれp値を指数形式で表示した際の仮数部と指数部を示す。
Figure 0007180915000006
表5に示されるように、rs889126はシワの生じやすさの遺伝的素因と、rs6980503及びrs4876369はタルミの生じやすさの遺伝的素因と有意な関連性があり、それぞれシワ又はタルミの生じやすさを判定できることが分かった。また、それぞれのSNPと連鎖不平衡の関係にあるSNPについても同様の結果が得られたことから、rs889126、rs6980503、rs4876369と連鎖不平衡の関係にあるSNPについても、それぞれシワ又はタルミの生じやすさを判定できることが分かった。
本発明によれば、被験者がシワ及び/又はタルミの遺伝的素因を有するかどうかを正確かつ簡便に判定することができる。よって、その判定結果に基づき、店頭やネットワーク上において、被験者にカスタマイズしたシワ及び/又はタルミの予防や改善のための化粧品やサプリメントを提供すること、また、シワ及び/又はタルミの予防、改善のためのケア方法に関するカウンセリングやアドバイスを行うことが可能となる。
1 シワ及び/又はタルミの改善可能性評価装置
1-1 SNP解析部
1-2 ハリの状態解析部
1-3 シワ及び/又はタルミの改善可能性評価部
2 遺伝子解析装置
3 入力装置/画像解析装置
11 顧客情報DB
11-1 SNPデータ格納部
11-2 ハリデータ格納部
11-3 シワ及び/又はタルミの改善可能性評価データ格納部
11-4 提案書格納部
11-5 アンケートデータ格納部

Claims (14)

  1. 被験者から採取したDNA含有試料について、以下の(a1)~(a2)の1種又は2種以上の一塩基多型(SNP)のアレルを検出する工程と、検出されるアレルの塩基の少なくとも一つがリスクアレルである場合に、該被験者にシワが生じやすいと判定する工程を含む、シワの遺伝的素因を判定する方法。
    (a1) 配列番号1に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs889126で特定されるSNP、リスクアレルはA)
    (a2) 配列番号1に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs889126で特定されるSNP、リスクアレルはA)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNP
  2. 前記(a2)の配列番号1に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs889126で特定されるSNP、リスクアレルはA)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPが、配列番号2に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs2303098で特定されるSNP、リスクアレルはT)、配列番号3に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs56391955で特定されるSNP、リスクアレルはT)、配列番号4に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs67560822で特定されるSNP、リスクアレルはT)、又は配列番号5に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs57490083で特定されるSNP、リスクアレルはT)である、請求項1に記載の方法。
  3. 被験者から採取したDNA含有試料について、以下の(b1)~(b4)の1種又は2種以上の一塩基多型(SNP)のアレルを検出する工程と、検出されるアレルの塩基の少なくとも一つがリスクアレルである場合に、該被験者にタルミが生じやすいと判定する工程を含む、タルミの遺伝的素因を判定する方法。
    (b1) 配列番号6に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs6980503で特定されるSNP、リスクアレルはA)
    (b2) 配列番号6に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs6980503で特定されるSNP、リスクアレルはA)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNP
    (b3) 配列番号10に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs4876369で特定されるSNP、リスクアレルはG)
    (b4) 配列番号10に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs4876369で特定されるSNP、リスクアレルはG)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNP
  4. 前記(b2)の配列番号6に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs6980503で特定されるSNP、リスクアレルはA)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPが、配列番号7に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs61027543で特定されるSNP、リスクアレルはA)、配列番号8に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs35402438で特定されるSNP、リスクアレルはG)、又は配列番号9に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs4876695で特定されるSNP、リスクアレルはG)であって、前記(b4)の配列番号10に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs4876369で特定されるSNP、リスクアレルはG)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPが、配列番号11に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11776904で特定されるSNP、リスクアレルはC)、配列番号12に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs7817754で特定されるSNP、リスクアレルはG)、又は配列番号13に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs1394875で特定されるSNP、リスクアレルはG)である、請求項3に記載の方法。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の方法により判定された結果に基づいて、被験者のシワ及び/又はタルミの遺伝的素因の程度に応じたシワ及び/又はタルミの予防及び/又は改善作用を有する化粧料及び/又は飲食品を該被験者に提供する、化粧料及び/又は飲食品の提供方法。
  6. 配列番号1に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs889126で特定されるSNP)、配列番号6に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs6980503で特定されるSNP)、配列番号10に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs4876369で特定されるSNP)、若しくは該SNPと連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPを含む10塩基以上の配列、又はその相補配列を有するプローブ、及び/又は、配列番号1に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs889126で特定されるSNP)、配列番号6に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs6980503で特定されるSNP)、配列番号10に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs4876369で特定されるSNP)、若しくは該SNPと連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPを含む領域を増幅することのできるプライマーを含む、シワ及び/又はタルミの遺伝的素因を判定するためのキット。
  7. シワ及び/又はタルミの改善可能性評価装置であって、
    顧客毎の遺伝子のrs889126、rs2303098、rs56391955、rs67560822、rs57490083、rs6980503、rs61027543、rs35402438、rs4876695、rs4876369、rs11776904、rs7817754、及びrs1394875から選ばれる1種又は2種以上のSNPを解析するSNP解析部、
    顧客毎の皮膚におけるハリの状態を解析するハリ解析部、及び
    前記SNPの解析結果に基づいて得られる顧客毎の遺伝的なシワ及び/又はタルミの傾向と、前記ハリの状態の解析結果に基づいて得られる顧客毎の現在のシワ及び/又はタルミ状態とを比較することにより、顧客毎のシワ及び/又はタルミの改善可能性を評価するシワ及び/又はタルミの改善可能性評価部、
    を含む、上記装置。
  8. 前記シワ及び/又はタルミの改善可能性評価部は、
    (i)前記SNP解析部がrs889126、rs2303098、rs56391955、rs67560822、rs57490083から選ばれる1種又は2種以上のSNPを解析して得られた遺伝的なシワの傾向、及び/又は前記SNP解析部がrs6980503、rs61027543、rs35402438、rs4876695、rs4876369、rs11776904、rs7817754、及びrs1394875から選ばれる1種又は2種以上のSNPを解析して得られた遺伝的なタルミの傾向と、(ii)前記ハリ解析部が皮膚におけるハリの状態を解析して得られたハリの状態の測定値とを比較することにより、シワ及び/又はタルミの改善可能性の評価を行う、請求項7に記載の装置。
  9. 前記ハリの状態の解析結果から得られた現在のシワ及び/又はタルミ状態を示す第1のスコアと、前記SNPの解析結果から得られた遺伝的なシワ及び/又はタルミの傾向を示す第2のスコアとの差分値(第2のスコア-第1のスコア)が大きいほど、シワ及び/又はタルミの改善可能性が高いと評価する、請求項7又は8に記載の装置。
  10. 前記シワ及び/又はタルミ改善可能性評価部は、
    前記差分値が等しい場合には、前記第1のスコアの低いほうを、シワ及び/又はタルミの改善可能性が高いと評価する、請求項9に記載の装置。
  11. 請求項7~10のいずれか1項に記載のシワ及び/又はタルミの改善可能性評価装置により得られた評価結果に基づいて、シワ及び/又はタルミを改善するための肌の手入れのアドバイスを行う、美容アドバイス方法。
  12. 前記ハリの状態の解析時期による差分値の変化に基づいて、シワ及び/又はタルミの改善度に関する知見を得る、請求項11に記載の美容アドバイス方法。
  13. シワ及び/又はタルミの改善可能性評価方法であって、以下のステップ:
    顧客毎の遺伝子のrs889126、rs2303098、rs56391955、rs67560822、rs57490083、rs6980503、rs61027543、rs35402438、rs4876695、rs4876369、rs11776904、rs7817754、及びrs1394875から選ばれる1種又は2種以上のSNPを解析するステップ、
    顧客毎の皮膚におけるハリの状態を解析するステップ、及び
    前記SNPの解析結果に基づいて得られる顧客毎のシワ及び/又はタルミの遺伝的素因と、前記ハリの状態の解析結果に基づいて得られる顧客毎の現在のシワ及び/又はタルミ状態とを比較することにより、顧客毎のシワ及び/又はタルミの改善可能性を評価するステップ、
    を含む、上記方法。
  14. シワ及び/又はタルミの改善可能性評価プログラムであって、
    顧客毎の遺伝子のrs889126、rs2303098、rs56391955、rs67560822、rs57490083、rs6980503、rs61027543、rs35402438、rs4876695、rs4876369、rs11776904、rs7817754、及びrs1394875から選ばれる1種又は2種以上のSNPを解析するステップ、
    顧客毎の皮膚におけるハリの状態を解析するステップ、及び
    前記SNPの解析結果に基づいて得られる顧客毎の遺伝的なシワ及び/又はタルミの傾向と、前記ハリの状態の解析結果に基づいて得られる顧客毎の現在のシワ及び/又はタルミ状態とを比較することにより、顧客毎のシワ及び/又はタルミの改善可能性を評価するステップ、
    をコンピュータに実行させるための上記プログラム。
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