JP7178656B2 - 密閉型電池 - Google Patents
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Description
封口板300は、電池缶100の開口近傍に固定され、開口を塞いでいる。封口板300は、電池缶の外側を向く第1主面300Xと、第1主面300Xとは反対側の第2主面300Yと、を備え、中央に貫通孔S(図1参照)を備えるドーナツ状である。封口板300の中央にある貫通孔Sには、絶縁性のガスケット310およびワッシャ320を介して、先端部分がつぶされた外部端子330が固定されている。外部端子330には、電極体を構成する正極または負極から導出された内部リード線210の端部が接続されている。以下、封口板300と、ガスケット310と、ワッシャ320と、外部端子330と、により構成された部材を封口体と称する場合がある。ただし、封口板300および封口体の形状はこれに限定されない。
電池の内圧が上昇すると、封口板300が外方に向けて盛り上がる方向に圧力がかかる。このとき、電池缶100の内側を向く第2主面300Yに形成された第2溝302には、圧縮応力が集中してかかる。一方、電池缶の外側を向く第1主面300Xに形成された第1溝301には、引っ張り応力が発生する。薄肉部にこれら相反する二つの応力がかかることにより、薄肉部の破断が生じ、防爆機能が作動して内圧が低減する。
第1溝301の深さD1および第2溝302の深さD2は、薄肉部の厚みDmが、封口板300の厚みDの5%以上、30%以下になるように設定してもよい。薄肉部の厚みDmが上記範囲であれば、封口板300の強度を維持しながら、防爆機能を発揮することが容易である。深さD1およびD2は、それぞれ独立して封口板300の厚みDの20%以上であってよく、30%以上であってよい。深さD1およびD2は、それぞれ独立して封口板300の厚みDの80%以下であってよく、70%以下であってよい。
[第1実施形態]
図7は、第1実施形態に係る封口板300の要部を拡大した断面模式図である。図7~図11では、便宜的にハッチングを省略している。
本実施形態において、第1溝301は、平坦な第1底部3011と、第1底部3011と第1主面300Xとを繋ぐ第1側面部3012および3013と、を有している。第2溝302も同様に、平坦な第2底部3021と、第2底部3021と第2主面300Yとを繋ぐ第2側面部3022および3023と、を有している。
図8は、第2実施形態に係る封口板300の要部を拡大した断面模式図である。
本実施形態において、第1溝301は、平坦な第1底部3011と、第1底部3011と第1主面300Xとを繋ぐ第1側面部3012および3013と、を有している。2つの側面部3012および3013は、互いに異なる傾斜角で底部3011と第1主面300Xとを繋いでいる。本実施形態は、角度θ12と角度θ13とが互いに異なること以外、第1実施形態と同様の構成を備える。
図9は、第3実施形態に係る封口板300の要部を拡大した断面模式図である。
本実施形態は、第1溝301が、円弧状の第1底部3011を有していること以外、第1実施形態と同様の構成を備える。この場合、引張り応力はさらに第1底部3011に集中し易くなる。加えて、このような溝は、プレス加工により形成され易い。また、プレス加工に使用される金型も劣化し難い。
図10は、第4実施形態に係る封口板300の要部を拡大した断面模式図である。
本実施形態において、第1底部3011は2つの第1側面部の交点である。つまり、上記境界点は1つのみであり、第1底部3011の長さL1は非常に短い。長さL1は、例えば、0.01mmである。これ以外、本実施形態は第1実施形態と同様の構成を備える。この場合、引張り応力は、第3実施形態よりさらに第1底部3011に集中し易くなる。
図11は、第5実施形態に係る封口板300の要部を拡大した断面模式図である。
本実施形態は、第1底部3011の中心C1と第2底部3021の中心C2とが、重複しないこと以外、第1実施形態と同様の構成を備える。
電池10は、有底円筒形の電池缶100と、電池缶100に収容された円筒型の電極体200と、電池缶100の開口を塞ぐ封口板300と、を具備する。封口板300は、例えばレーザ溶接により、電池缶100の開口近傍に固定されている。封口板300は、電池缶100の開口近傍にかしめられていてもよい。
円筒型の電極体200は捲回型であり、正極201と負極202とをセパレータ203を介して渦巻状に捲回することにより構成されている。正極201および負極202の一方(図示例では、正極201)には内部リード線210が接続されている。内部リード線210は、外部端子330に溶接等により接続される。正極201および負極202の他方(図示例では、負極202)には、別の内部リード線220が接続されている。内部リード線220は、電池缶100の内面に溶接等により接続される。
正極は正極活物質を含み、正極活物質として二酸化マンガンを用いることができる。正極は、例えば、正極集電体と、正極集電体に付着している正極合剤層とを具備する。正極合剤層は、正極活物質の他に、フッ素樹脂などの樹脂材料を結着剤として含み得る。正極合剤層は、炭素材料などの導電性材料を導電剤として含んでもよい。正極集電体は、例えばステンレス鋼製のエキスパンドメタル、ネット、パンチングメタルなどである。
負極は負極活物質を含み、負極活物質として金属リチウムまたはリチウム合金を用いることができる。金属リチウムまたはリチウム合金は、例えば、長尺のシート状に押し出し成形され、負極として用いられる。リチウム合金としては、Li-Al、Li-Sn、Li-Ni-Si、Li-Pbなどの合金が用いられるが、Li-Al合金が好ましい。リチウム合金に含まれるリチウム以外の金属元素の含有量は、放電容量の確保や内部抵抗の安定化の観点から、0.1質量%以上5質量%以下とすることが好ましい。
セパレータとしては、樹脂製の微多孔膜や不織布が好ましく用いられる。セパレータの材料(樹脂)としては、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリアミドイミドなどが好ましい。
電解質にはリチウム塩を溶解させた非水溶媒を用い得る。非水溶媒は、特に限定されるものではないが、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2-ジメトキシエタン、γ-ブチロラクトンなどを使用することができる。リチウム塩としては、ホウフッ化リチウム、六フッ化リン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドなどを用いることができる。
(1)封口体の作製
図7に示す封口板(直径17mm)を作製した。
すなわち、封口板300(SUS316L製)の第1主面300Xに、平坦な第1底部3011と第1側面部3012および3013とを有し、第1ベント角Xが180°である第1溝301を、プレス加工により形成した。第1溝301の中心C1は、封口板300の外周から6mmの位置にある。第1底部3011の長さL1は0.1mmであり、見かけの幅W1は0.2mmであり、深さD1は0.1mmである。角度θ12およびθ13は、ともに63°である。
正極活物質である電解二酸化マンガン92質量部に、導電剤であるケッチェンブラック3.5質量部と、結着剤であるポリテトラフルオロエチレン4.5質量部と、適量の純水と、を加えて混錬し、湿潤状態の正極合剤を調製した。
シート状のLi-Al合金(Al含有量:0.3質量%)を、所定寸法に裁断し、帯状の負極を得た。
正極の一部から正極合剤を剥がして正極集電体を露出させ、その露出部にステンレス鋼製の正極タブリードを溶接した。負極の所定箇所にニッケル製の負極タブリードを溶接した。正極と負極とを、これらの間にセパレータを介在させて、渦巻状に捲回し、柱状の電極群を構成した。セパレータには、ポリエチレン製の微多孔膜を用いた。
プロピレンカーボネート(PC)と、エチレンカーボネート(EC)と、1,2-ジメトキシエタン(DME)とを、体積比2:1:2で混合した非水溶媒に、リチウム塩としてトリフルオロメタンスルホン酸リチウムを0.5モル/リットルの濃度で溶解させ、電解質を調製した。
電極群を、その底部にリング状の下部絶縁板を配置した状態で、有底円筒形(SUS316L製)の電池缶の内部に挿入した。負極タブリードを電池缶の内底面に溶接し、リング状の上部絶縁板を電極群の上部に配置した後、正極タブリードを封口板に固定された外部端子に溶接した。次に、電解質を電池缶の内部に注液し、その後、電池缶の開口近傍に封口板をレーザ溶接した。このようにして、図12に示す構造を有する密閉型の円筒形リチウム電池を10個作製した。別途、作動圧評価用として、電極群および電解質を収容しなかったこと以外は同様にして、密閉型の評価用電池を10個作製した。
(I)作動圧
評価用電池の電池缶の側面に穴を開け、そこから水を供給し、水圧によって電池内部の圧力を高めて防爆機能を作動させた。
作動圧の平均値(n=10)、標準偏差(σ)、平均値+3σをそれぞれ算出した。結果を表1に示す。
平均値±3σは、対象物の99.7%以上が平均値±3σの範囲に収まる数値である。言い換えれば、作動圧が平均値+3σを超える場合は、確率的に0.3%未満である。
円筒形リチウム電池の電池缶側面をガスバーナーで加熱して、火中投入試験を模擬した試験によって、防爆機能を作動させた。
防爆機能が作動した後、収容されていた内容物(電極群および/または電解質)に対する、電池外に飛散した内容物の質量割合(飛散割合)を算出し、以下の指標に従って評価した。結果を表1に示す。
A:飛散割合が10質量%未満
B:飛散割合が10質量%以上、40%質量未満
C:飛散割合が40質量%以上、70質量%未満
D:飛散割合が70質量%以上
封口体の作製(1)において、第1ベント角Xおよび第2ベント角Yをいずれも300°としたこと以外は、実施例1と同様に、図7に示す封口板を作製した。得られた封口板を用いて、実施例1と同様にして円筒形リチウム電池および評価用電池をそれぞれ10個作製し、評価した。結果を表1に示す。
封口体の作製(1)において、第1ベント角Xおよび第2ベント角Yをいずれも150°としたこと以外は、実施例1と同様に、図7に示す封口板を作製した。得られた封口板を用いて、実施例1と同様にして円筒形リチウム電池および評価用電池をそれぞれ10個作製し、評価した。結果を表1に示す。
封口体の作製(1)において、第1ベント角Xおよび第2ベント角Yをいずれも330°としたこと以外は、実施例1と同様に、図7に示す封口板を作製した。得られた封口板を用いて、実施例1と同様にして円筒形リチウム電池および評価用電池をそれぞれ10個作製し、評価した。結果を表1に示す。
封口体の作製(1)において、第1主面300Xが電池缶の内側となるようにワッシャ320および外部端子330を配置したこと以外は、比較例1と同様にして円筒形リチウム電池および評価用電池をそれぞれ10個作製し、評価した。結果を表2に示す。
封口体の作製(1)において、第1主面300Xが電池缶の内側となるようにワッシャ320および外部端子330を配置したこと以外は、実施例1と同様にして円筒形リチウム電池および評価用電池をそれぞれ10個作製し、評価した。結果を表2に示す。
封口体の作製(1)において、第1主面300Xが電池缶の内側となるようにワッシャ320および外部端子330を配置したこと以外は、実施例2と同様にして円筒形リチウム電池および評価用電池をそれぞれ10個作製し、評価した。結果を表2に示す。
封口体の作製(1)において、第1主面300Xが電池缶の内側となるようにワッシャ320および外部端子330を配置したこと以外は、比較例2と同様にして円筒形リチウム電池および評価用電池をそれぞれ10個作製し、評価した。結果を表2に示す。
封口体の作製(1)において、図9に示す封口板を作製した。
すなわち、封口板300の第1主面300Xに、円弧状(曲率半径0.05mm)の第1底部3011と第1側面部3012および側面部3013とを有し、第1ベント角Xが180°の第1溝301を、プレス加工により形成した。第1溝301の中心C1は、封口板300の外周から6mmの位置にある。第1底部3011の長さL1は0.05mmであり、見かけの幅W1は0.2mmであり、深さD1は0.1mmである。角度θ12およびθ13は、ともに60°である。
これ以外は、実施例1と同様にして円筒形リチウム電池および評価用電池をそれぞれ10個作製し、評価した。結果を表3に示す。
封口体の作製(1)において、第1ベント角Xおよび第2ベント角Yをいずれも300°としたこと以外は、実施例3と同様に、図9に示す封口板を作製した。得られた封口板を用いて、実施例1と同様にして円筒形リチウム電池および評価用電池をそれぞれ10個作製し、評価した。結果を表3に示す。
封口体の作製(1)において、図10に示す封口板を作製した。
すなわち、封口板300の第1主面300Xに、第1側面部3012および3013を有し、これらの交点として第1底部3011を備え、第1ベント角Xが180°の第1溝301を、プレス加工により形成した。第1溝301の中心C1は、封口板300の外周から6mmの位置にある。第1底部3011の長さL1は0.01mmであり、見かけの幅W1は0.2mmであり、深さD1は0.1mmである。角度θ12およびθ13は、ともに45°である。
これ以外は、実施例1と同様にして円筒形リチウム電池および評価用電池をそれぞれ10個作製し、評価した。結果を表3に示す。
封口体の作製(1)において、第1ベント角Xおよび第2ベント角Yをいずれも300°としたこと以外は、実施例5と同様に、図10に示す封口板を作製した。
得られた封口板を用いて、実施例1と同様にして円筒形リチウム電池および評価用電池をそれぞれ10個作製し、評価した。結果を表3に示す。
封口体の作製(1)において、図11に示す封口板を作製した。
すなわち、第1底部3011の中心C1が、第2底部3021の中心C2より、封口板300の中心Cに0.2mm近くなるように、第1溝301をプレス加工により形成した。
これ以外は、実施例1と同様にして円筒形リチウム電池および評価用電池をそれぞれ10個作製し、評価した。結果を表3に示す。
封口体の作製(1)において、第1ベント角Xおよび第2ベント角Yをいずれも300°にしたこと以外は、実施例7と同様に、図11に示す封口板を作製した。
得られた封口板を用いて、実施例1と同様にして円筒形リチウム電池および評価用電池をそれぞれ10個作製し、評価した。結果を表3に示す。
封口体の作製(1)において、図13に示す封口板を作製した。
すなわち、封口板300の第1主面300Xおよび第2主面300Yの両面に、実施例1の第2溝302と同じ溝をプレス加工により形成した。ただし、ベント角は150°とした。第2主面300Yの溝にさらにプレス加工を行い、階段状にした。薄肉部の最も薄い部分の厚みは0.05mmであり、第2主面300Yの溝の底部L3の長さは、0.1mmである。
封口体の作製(1)において、第1ベント角Xおよび第2ベント角Yをいずれも180°としたこと以外は、比較例7と同様に、図13に示す封口板を作製した。
得られた封口板を用いて、実施例1と同様にして円筒形リチウム電池および評価用電池をそれぞれ10個作製し、評価した。結果を表4に示す。
封口体の作製(1)において、第1ベント角Xおよび第2ベント角Yをいずれも300°としたこと以外は、比較例7と同様に、図13に示す封口板を作製した。
得られた封口板を用いて、実施例1と同様にして円筒形リチウム電池および評価用電池をそれぞれ10個作製し、評価した。結果を表4に示す。
封口体の作製(1)において、第1ベント角Xおよび第2ベント角Yをいずれも330°としたこと以外は、比較例7と同様に、図13に示す封口板を作製した。
得られた封口板を用いて、実施例1と同様にして円筒形リチウム電池および評価用電池をそれぞれ10個作製し、評価した。結果を表4に示す。
100:電池缶
200:電極体
201:正極
202:負極
203:セパレータ
210、220:内部リード線
230A:上部絶縁板
230B:下部絶縁板
300:封口板
300X:第1主面
300Y:第2主面
301:第1溝
3011:第1底部
3012、3013:第1側面部
301a、301b:交点
302:第2溝
3021:第2底部
3022、3023:第2側面部
302a、302b:交点
310:ガスケット
320:ワッシャ
330:外部端子
Claims (9)
- 開口を有する有底円筒形の電池缶と、
前記電池缶に収容される電極体と、
前記電池缶の前記開口を塞ぐ封口板と、を具備し、
前記封口板は、前記電池缶の外側を向く第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、を有し、
前記第1主面には、円弧状の第1溝が形成されており、
前記第2主面には、円弧状の第2溝が形成されており、
前記封口板を、前記第1主面の法線方向から見たとき、前記第1溝の少なくとも一部が前記第2溝に重複し、
前記第1溝および前記第2溝の中心角は、それぞれ180°以上、300°以下であり、
前記封口板の径方向に沿って切断された断面において、
前記第1溝の第1底部の長さL1は、前記第2溝の第2底部の長さL2より小さい、密閉型電池。 - 前記長さL1の前記長さL2に対する割合は、50%以下である、請求項1に記載の密閉型電池。
- 前記封口板の径方向に沿って切断された断面において、
前記第1溝の断面積は、前記第2溝の断面積より小さい、請求項1または2に記載の密閉型電池。 - 前記封口板の径方向に沿って切断された断面において、
前記第1溝は、平坦な前記第1底部と、前記第1底部と前記第1主面とを繋ぐ2つの相対する第1側面部と、を有している、請求項1~3のいずれか一項に記載の密閉型電池。 - 前記封口板の径方向に沿って切断された断面において、
前記第1溝は、円弧状の前記第1底部と、前記第1底部と前記第1主面とを繋ぐ2つの相対する第1側面部と、を有している、請求項1~3のいずれか一項に記載の密閉型電池。 - 前記封口板の径方向に沿って切断された断面において、
前記第1溝は、前記第1底部と、前記第1底部と前記第1主面とを繋ぐ2つの相対する第1側面部を備え、
前記第1底部は、2つの前記第1側面部の交点である、請求項1~3のいずれか一項に記載の密閉型電池。 - 2つの前記第1側面部は、互いに異なる傾斜角で前記第1底部と前記第1主面とを繋ぐ、請求項4~6のいずれか一項に記載の密閉型電池。
- 前記第1底部の中心と前記第2底部の中心とは、重複しない、請求項1~7のいずれか一項に記載の密閉型電池。
- 前記封口板の径方向に沿って切断された断面において、
前記第2溝は、平坦な前記第2底部と、前記第2底部と前記第2主面とを繋ぐ2つの相対する側面部と、を有している、請求項1~8のいずれか一項に記載の密閉型電池。
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