JP7177076B2 - チロシン原栄養性 - Google Patents

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Description

本発明は、そのような細胞を作製および選択するための方法および組成物を含む、チロシン原栄養性を有する細胞、ならびにその使用に関する。ある特定の実施形態は、チロシン原栄養性を示す細胞を選択することによって、1つまたは複数の外因性核酸構築物を含む細胞を選択する方法に関する。外因性核酸は、宿主細胞における発現のための、例えば、PAHおよびPCBD1遺伝子のうち一方または両方、ならびに目的のヌクレオチド配列を含み得る。
バイオテクノロジーの分野では、宿主細胞中への外因性核酸の導入が望ましいことが非常に多い。外因性核酸は、例えば、導入された核酸によってコードされるポリペプチドを宿主細胞に製造させることを目的として、宿主細胞中に導入され得る。外因性核酸から産生されたポリペプチドは、宿主細胞中に残存することが許容され得(例えば、細胞において組換えポリペプチドの活性を研究するため、または細胞において1つまたは複数の生化学的経路に影響を与えるため)、またはポリペプチドは、産生後に宿主細胞から単離され得る(例えば、宿主細胞が、医薬、食品または工業用構成成分などの種々の下流の適用において使用される組換えタンパク質を産生するために使用されている場合)。
1つまたは複数の目的の外因性核酸を含む宿主細胞を生成するプロセスの重要な態様は、目的の外因性核酸の受け取りに成功した細胞を単離/選択するステップである。典型的には、宿主細胞中に外因性核酸を導入するためのプロセスでは、多くの細胞が外因性核酸に曝露されるが、外因性核酸に曝露された細胞のうち小さい割合のみが、最終的にその核酸でトランスフェクトされる。さらに、単一の宿主細胞中に2つ以上の外因性核酸を導入することが目的である状況では、かかる事象の頻度はさらに稀である。したがって、1つまたは複数の目的の外因性核酸を受け取った宿主細胞を容易かつ効率的に選択できることは重要である。
目的の外因性核酸を受け取った細胞を選択するための種々の方法が公知である。最も一般的な方法の1つは、外因性核酸構築物の一部として、特定の抗生物質または細胞性毒素に対する耐性を付与する酵素をコードする遺伝子を含めることである。この方法では、対応する目的の外因性核酸に曝露された細胞は次いで、対応する抗生物質または細胞性毒素に曝露され得、外因性核酸構築物を受け取った細胞のみが(その抗生物質または細胞性毒素に対する耐性を付与する酵素の製造に起因して)生存する。この方法は、目的の外因性核酸を受け取った細胞の選択のために有効であるが、選択圧としての抗生物質または細胞性毒素の使用に起因して、望ましくない場合もある。
外因性核酸を受け取った細胞を選択するための別の方法は、外因性核酸構築物の一部として、細胞成長に必要な分子の産生に関与する酵素(例えば、グルタミンシンテターゼまたはジヒドロ葉酸レダクターゼ)をコードする遺伝子を含めることである。この方法では、この型の酵素をコードする遺伝子を含む外因性核酸構築物を受け取った細胞は、その外因性核酸構築物を受け取った細胞が、細胞成長に必要な対応する分子(例えば、グルタミンシンテターゼの場合にはグルタミン、またはジヒドロ葉酸レダクターゼの場合にはチミジン)を欠く細胞培養培地中で成長する能力に基づいて選択され得る。
しかし、目的の外因性核酸を受け取った細胞の単離および選択のための改善された代替的な組成物および方法が必要とされている。
本開示は、細胞にチロシン原栄養性を付与するための組成物および方法、ならびにこれらの組成物および方法に関する使用に関する。例えば、チロシン栄養要求体である細胞は、細胞中への、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(「PAH」)遺伝子およびプテリン-4-アルファ-カルビノールアミンデヒドラターゼ(「PCBD1」)遺伝子の外因性コピーの導入によってチロシン原栄養体に変換され得ることが、本明細書で実証されている。チロシン栄養要求体をチロシン原栄養体に変換するための方法および組成物は、1つまたは複数の目的の外因性ヌクレオチド配列を受け取った細胞を効率的に取得するために使用され得ることが、本明細書でさらに提供される。したがって、一部の実施形態では、本明細書で提供される組成物および方法は、チロシン選択マーカー系として使用され得る。
一部の実施形態では、i)目的のヌクレオチド配列、ii)PAH遺伝子、およびiii)PCBD1遺伝子を含む組換え核酸構築物が、本明細書で提供される。任意選択により、核酸構築物は、組換え標的配列をさらに含む。任意選択により、組換え標的配列は、FLP認識標的(「FRT」)、loxまたはBxb1認識配列である。任意選択により、目的のヌクレオチド配列は、第1の目的のヌクレオチド配列であり、組換え核酸構築物は、第2の目的のヌクレオチド配列をさらに含む。
一部の実施形態では、i)目的のヌクレオチド配列およびii)PAH遺伝子を含む組換え核酸構築物が、本明細書で提供される。任意選択により、核酸構築物は、組換え標的配列をさらに含む。任意選択により、組換え標的配列は、FLP認識標的(「FRT」)、loxまたはBxb1認識配列である。任意選択により、目的のヌクレオチド配列は、第1の目的のヌクレオチド配列であり、組換え核酸構築物は、第2の目的のヌクレオチド配列をさらに含む。
一部の実施形態では、i)目的のヌクレオチド配列およびii)PCBD1遺伝子を含む組換え核酸構築物が、本明細書で提供される。任意選択により、核酸構築物は、組換え標的配列をさらに含む。任意選択により、組換え標的配列は、FLP認識標的(「FRT」)、loxまたはBxb1認識配列である。任意選択により、目的のヌクレオチド配列は、第1の目的のヌクレオチド配列であり、組換え核酸構築物は、第2の目的のヌクレオチド配列をさらに含む。
目的のヌクレオチド配列を含む本明細書で提供される一部の実施形態では、目的のヌクレオチド配列は、目的のポリペプチドまたは目的のRNA分子をコードする。
第1の目的のヌクレオチド配列および第2の目的のヌクレオチド配列を含む本明細書で提供される一部の実施形態では、第1の目的のヌクレオチド配列および第2の目的のヌクレオチド配列は、単一のバイシストロニックなmRNA転写物として転写される。任意選択により、第1の目的のヌクレオチド配列と第2の目的のヌクレオチド配列との間には、IRESが存在する。任意選択により、第1の目的のヌクレオチド配列および第2の目的のヌクレオチド配列は、単一のバイシストロニックなmRNA転写物から、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドへと別々に翻訳される。
第1の目的のヌクレオチド配列および第2の目的のヌクレオチド配列を含む本明細書で提供される一部の実施形態では、第1の目的のヌクレオチド配列は、抗体可変軽鎖(VL)領域を含む第1のポリペプチドをコードし、第2の目的のヌクレオチド配列は、抗体可変重鎖(VH)領域を含む第2のポリペプチドをコードする。
第1の目的のヌクレオチド配列および第2の目的のヌクレオチド配列を含む本明細書で提供される一部の実施形態では、第1の目的のヌクレオチド配列および第2の目的のヌクレオチド配列は、同じヌクレオチド配列を有する(例えば、例えば核酸構築物中に、2コピーの目的のヌクレオチド配列が含まれるように)。
第1の核酸構築物および第2の核酸構築物を含む本明細書で提供される一部の実施形態では、第1の核酸構築物および第2の核酸構築物は共に、少なくとも第1の目的のヌクレオチド配列および第2の目的のヌクレオチド配列を含む。例えば、第1の目的のヌクレオチド配列は、抗体可変重鎖(VH)領域を含むポリペプチドをコードする配列であり得、第2の目的のヌクレオチド配列は、抗体可変軽鎖(VL)領域を含むポリペプチドをコードする配列であり得る。したがって、例えば、上記第1の核酸構築物および第2の核酸構築物を含む宿主細胞は、少なくとも2コピーの、抗体可変重鎖(VH)領域を含むポリペプチドをコードする第1の目的のヌクレオチド配列、および少なくとも2コピーの、抗体可変軽鎖(VL)領域を含むポリペプチドをコードする第2の目的のヌクレオチド配列を含む。
一部の実施形態では、本明細書で提供される核酸構築物は、核酸構築物上に存在する組換え標的配列との使用のための、リコンビナーゼまたはインテグラーゼをコードする遺伝子をさらに含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載される組換え核酸構築物を含むベクターが、本明細書で提供される。ベクターは、例えば、プラスミドベクターまたはウイルスベクターであり得る。ベクターは、例えば、選択マーカー、例えば、抗生物質選択マーカー、グルタミンシンテターゼ選択マーカー、ハイグロマイシン選択マーカー、ピューロマイシン選択マーカーまたはジヒドロ葉酸レダクターゼ選択マーカーをさらに含み得る。
一部の実施形態では、本明細書で提供される1つまたは複数の組換え核酸構築物またはベクターを含む宿主細胞が、本明細書で提供される。組換え核酸構築物またはベクターは、宿主細胞の染色体中に安定に組み込まれていてもよいし、またはエピソーム性であってもよい。
一部の実施形態では、宿主細胞は、原核生物細胞、真核生物細胞、酵母細胞、植物細胞、動物細胞、哺乳動物細胞、マウス細胞、ヒト細胞、CHO細胞であり得る。
一部の実施形態では、目的のヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドまたはRNA分子の産生のための、本明細書で提供される宿主細胞の使用もまた提供される。
一部の実施形態では、本明細書で提供される宿主細胞によって産生された組換えポリペプチドもまた提供される。
一部の実施形態では、A)i)第1の目的のヌクレオチド配列およびii)PAH遺伝子を含む第1の組換え核酸構築物、ならびにB)i)第2の目的のヌクレオチド配列およびii)PCBD1遺伝子を含む第2の組換え核酸構築物を含む組成物が、本明細書で提供される。
一部の実施形態では、本明細書で提供される組換えポリペプチド、および薬学的に許容できる賦形剤もまた提供される。
一部の実施形態では、本明細書で提供される宿主細胞、および細胞培養培地もまた提供される。
一部の実施形態では、本明細書で提供される宿主細胞、本明細書で提供される組換え核酸構築物、および細胞培養培地もまた提供される。任意選択により、宿主細胞は、ランディングパッドを含む染色体を含み、ランディングパッドは、組換え標的部位を含む。
細胞培養培地が関与する本明細書で提供される一部の実施形態では、培地はチロシン欠乏である。任意選択により、本明細書で提供されるチロシン欠乏培地は、約1mM未満、約900μM未満、約800μM未満、約700μM未満、約600μM未満、約500μM未満、約100μM未満、約50μM未満、約10μM未満、約5μM未満、約1μM未満、または0μMのチロシンを含む。任意選択により、チロシン欠乏培地は、約500μM以下のチロシン、100μM以下のチロシン、50μM以下のチロシン、10μM以下のチロシン、5μM以下のチロシン、1μM以下のチロシン、または0μMのチロシンを含む。
一部の実施形態では、目的の外因性ヌクレオチド配列を含む宿主細胞を取得する方法であって、a)細胞の集団を、目的のヌクレオチド配列を含む外因性核酸構築物に曝露させるステップであって、外因性核酸構築物が、i)PAH遺伝子およびii)PCBD1遺伝子をさらに含む、ステップ、b)チロシン欠乏培地中で、外因性核酸構築物に曝露された細胞の集団を培養するステップ、ならびにc)外因性核酸構築物に曝露された細胞の集団から、目的の外因性ヌクレオチド配列を含む宿主細胞を取得するステップであって、目的の外因性ヌクレオチド配列を含む宿主細胞が、外因性核酸構築物を含み、目的の外因性ヌクレオチド配列を含む宿主細胞が、その外因性核酸構築物を含まない対応する細胞よりも、チロシン欠乏細胞培養培地中で増殖するより高い能力を有する、ステップを含む方法が、本明細書で提供される。任意選択により、外因性核酸構築物は、組換え標的配列をさらに含む。任意選択により、宿主細胞の染色体は、第1のランディングパッドを含み、第1のランディングパッドは、組換え標的部位を含む。任意選択により、核酸構築物の組換え標的配列および染色体の組換え標的部位は、FLP、loxまたはBxb1配列である。
一部の実施形態では、第1の目的の外因性ヌクレオチド配列および第2の目的の外因性ヌクレオチド配列を含む細胞を取得する方法であって、a)細胞の集団を、I)i)第1の目的の外因性ヌクレオチド配列およびii)PAH遺伝子を含む第1の外因性核酸構築物、ならびにII)i)第2の目的の外因性ヌクレオチド配列およびii)PCBD1遺伝子を含む第2の外因性核酸構築物に曝露させるステップ、ならびにb)チロシン欠乏培地中で、第1の外因性核酸構築物および第2の外因性核酸構築物に曝露された細胞の集団を培養するステップ、ならびにc)第1の外因性核酸構築物および第2の外因性核酸構築物に曝露された細胞の集団から、第1の目的の外因性ヌクレオチド配列および第2の目的の外因性ヌクレオチド配列を含む宿主細胞を取得するステップであって、第1の目的の外因性ヌクレオチド配列および第2の目的の外因性ヌクレオチド配列を含む宿主細胞が、第1の外因性核酸構築物および第2の外因性核酸構築物を含み、第1の外因性核酸構築物および第2の外因性核酸構築物を含む宿主細胞が、その第1の外因性核酸構築物および第2の外因性核酸構築物を含まない対応する細胞よりも、チロシン欠乏細胞培養培地中で増殖するより高い能力を有する、ステップを含む方法が、本明細書で提供される。任意選択により、第1の外因性核酸構築物は、組換え標的配列をさらに含む。任意選択により、第2の外因性核酸構築物は、組換え標的配列をさらに含む。任意選択により、第1の外因性核酸構築物は、第1の組換え標的配列をさらに含み、第2の外因性核酸構築物は、第2の組換え標的配列をさらに含む。任意選択により、宿主細胞の染色体は、第1のランディングパッドおよび第2のランディングパッドを含み、第1のランディングパッドは、第1の組換え標的部位を含み、第2のランディングパッドは、第2の組換え標的部位を含む。任意選択により、宿主細胞の第1の染色体は、第1のランディングパッドを含み、第1のランディングパッドは、第1の組換え標的部位を含み、宿主細胞の第2の染色体は、第2のランディングパッドを含み、第2のランディングパッドは、第2の組換え標的部位を含む。任意選択により、核酸構築物の組換え標的配列および染色体の組換え標的部位は、FLP、loxまたはBxb1配列を含む。
一部の実施形態では、目的の外因性ヌクレオチド配列を含む宿主細胞を産生する方法であって、a)宿主細胞中に、目的のヌクレオチド配列を含む外因性核酸構築物を導入するステップであって、外因性核酸構築物が、i)PAH遺伝子およびii)PCBD1遺伝子をさらに含む、ステップ、b)チロシン欠乏培地中で、外因性核酸構築物を含む宿主細胞を培養するステップであって、外因性核酸構築物を含む宿主細胞が、その外因性核酸構築物を欠くこと以外は同一の対応する宿主細胞よりも、チロシン欠乏培地中で迅速に増殖する、ステップ、を含む方法が、本明細書で提供される。任意選択により、外因性核酸構築物は、宿主細胞の染色体中に安定に組み込まれている。任意選択により、外因性核酸構築物は、外因性核酸構築物と染色体との間での相同組換えによって、染色体中に安定に組み込まれている。任意選択により、染色体中への外因性核酸構築物の組み込みは、ウイルスベクターまたは外因性ヌクレアーゼによって促進される。
一部の実施形態では、第1の目的の外因性ヌクレオチド配列および第2の目的の外因性ヌクレオチド配列を含む宿主細胞を産生する方法であって、a)宿主細胞中に、I)i)第1の目的の外因性ヌクレオチド配列およびii)PAH遺伝子を含む第1の外因性核酸構築物、ならびにII)i)第2の目的の外因性ヌクレオチド配列およびii)PCBD1遺伝子を含む第2の外因性核酸構築物を導入するステップ、ならびにb)チロシン欠乏培地中で、第1の外因性核酸構築物および第2の外因性核酸構築物を含む宿主細胞を培養するステップであって、第1の外因性核酸構築物および第2の外因性核酸構築物を含む宿主細胞が、その第1の外因性核酸構築物および第2の外因性核酸構築物を欠くこと以外は同一の対応する宿主細胞よりも、チロシン欠乏培地中で迅速に増殖する、ステップ、を含む方法が、本明細書で提供される。任意選択により、第1の外因性核酸構築物および第2の外因性核酸構築物は共に、宿主細胞の第1の染色体中に安定に組み込まれ、または第1の外因性核酸構築物が、宿主細胞の第1の染色体中に安定に組み込まれ、第2の外因性核酸構築物が、宿主細胞の第2の染色体中に安定に組み込まれている。任意選択により、第1の外因性核酸構築物および第2の外因性核酸構築物は、それぞれの外因性核酸構築物と染色体との間での相同組換えによって、染色体中に安定に組み込まれている。任意選択により、外因性核酸構築物の組み込みは、ウイルスベクターまたは外因性ヌクレアーゼによって促進される。任意選択により、ウイルスベクターは、相同組換えを媒介するアデノ随伴ウイルスベクターである。
一部の実施形態では、PAH遺伝子およびPCBD1遺伝子の外因性コピーを含む宿主細胞が、本明細書で提供される。任意選択により、外因性PAH遺伝子およびPCBD1遺伝子は、細胞中で1つのプラスミド中にある。任意選択により、外因性PAH遺伝子およびPCBD1遺伝子は、それぞれ、細胞中の第1の染色体遺伝子座および第2の染色体遺伝子座中に安定に組み込まれている。任意選択により、外因性PAH遺伝子および外因性PCBD1は共に、プロモーターに作動可能に連結される。任意選択により、PAH遺伝子およびPCBD1遺伝子の外因性コピーを含む宿主細胞は、その外因性PAH遺伝子およびPCBD1遺伝子を含まない対応する宿主細胞よりも、チロシン欠乏培地中で増殖するより高い能力を有する。一部の実施形態では、上で提供された宿主細胞を作製する方法もまた、本明細書で提供される。任意選択により、この方法は、宿主細胞中に、外因性PAH遺伝子およびPCBD1遺伝子を含む1つまたは複数の核酸構築物を導入するステップを含む。任意選択により、外因性PAH遺伝子およびPCBD1遺伝子は、核酸構築物中で、プロモーター配列に作動可能に連結される。
一部の実施形態では、細胞における内因性PAH遺伝子および内因性PCBD1遺伝子の遺伝子発現を増加させるように遺伝子改変された宿主細胞が、本明細書で提供される。任意選択により、かかる宿主細胞は、例えば、それぞれの遺伝子の発現を増加させるためにPAHもしくはPCBD1遺伝子に作動可能に連結されたプロモーターもしくはエンハンサー配列を遺伝子改変することによって、またはそれが内因性PAHもしくは内因性PCBD1遺伝子に作動可能に連結されるように、および細胞がそれぞれの遺伝子の遺伝子発現を増加させるように、染色体遺伝子座中に外因性プロモーターもしくはエンハンサー配列を挿入することによって、改変され得る。任意選択により、宿主細胞は、PAH遺伝子およびPCBD1遺伝子の発現を増加させていない対応する宿主細胞よりも、チロシン欠乏培地中で増殖するより高い能力を有する。一部の実施形態では、上で提供された宿主細胞を作製する方法もまた、本明細書で提供される。任意選択により、この方法は、宿主細胞中に、プロモーター配列を含む1つまたは複数の核酸構築物を導入するステップを含む。任意選択により、核酸構築物は、内因性PAH遺伝子および内因性PCBD1遺伝子の発現が増加されるように、宿主細胞の1つまたは複数の染色体中に組み込まれる。
宿主細胞が関与する本明細書で提供される一部の実施形態では、宿主細胞は、宿主細胞における内因性PAHまたはPCBD1遺伝子の発現を低減させるように遺伝子改変されている。例えば、宿主細胞では、内因性PAHもしくはPCBD1遺伝子は、変異もしくは欠失され得、または内因性PAHもしくはPCBD1遺伝子を調節する発現制御配列は、内因性PAHもしくはPCBD1遺伝子の発現が低減されるように改変され得る。
本明細書で提供される一部の実施形態では、PAH遺伝子は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはその少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%もしくは50%の相同性を有する配列をコードする。一部の実施形態では、PAHポリペプチドは、配列番号1に示されるアミノ酸配列、またはその少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%もしくは50%の相同性を有する配列を含む。
本明細書で提供される一部の実施形態では、PAH遺伝子は、配列番号2に示されるDNA配列、またはその少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%もしくは50%の相同性を有する配列を含む。
本明細書で提供される一部の実施形態では、PCBD1遺伝子は、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはその少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%もしくは50%の相同性を有する配列をコードする。一部の実施形態では、PCBD1ポリペプチドは、配列番号3に示されるアミノ酸配列、またはその少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%もしくは50%の相同性を有する配列を含む。
本明細書で提供される一部の実施形態では、PCBD1遺伝子は、配列番号4に示されるDNA配列、またはその少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%もしくは50%の相同性を有する配列を含む。
PAHおよび/もしくはPCBD1遺伝子を含むベクターまたは対応する対照ベクターでトランスフェクトされ、チロシン原栄養性について選択された細胞の回復プロファイルをまとめるグラフを示す。 PAHおよび/もしくはPCBD1遺伝子を含むベクターまたは対応する対照ベクターでトランスフェクトされ、抗生物質耐性について選択された細胞の回復プロファイルをまとめるグラフを示す。 目的のヌクレオチド配列が、ベクター中でPAHおよびPCBD1遺伝子にカップリングされ、ベクターを含む細胞が、チロシン欠乏成長培地中でのそれらの成長について選択される、目的の外因性ヌクレオチド配列でトランスフェクトされた宿主細胞を選択するための例示的な戦略を概説する模式図を示す。例示的な2つの異なるベクター形式(ベクター中に異なる順序でPAHおよびPCBD1遺伝子を含む)が示される。 第1の目的のヌクレオチド配列が、第1のベクター中でPAH遺伝子にカップリングされ、第2の目的のヌクレオチド配列が、第2のベクター中でPCBD1遺伝子にカップリングされ、両方のベクターを含む細胞が、チロシン欠乏成長培地中でのそれらの成長について選択される、第1の目的の外因性ヌクレオチド配列および第2の目的の外因性ヌクレオチド配列でトランスフェクトされた宿主細胞を選択するための例示的な戦略を概説する模式図を示す。 PAHおよびPCBD1遺伝子を含むベクターまたは対応する対照ベクターでトランスフェクトされ、チロシン原栄養性または抗生物質耐性について選択された細胞の回復プロファイルをまとめるグラフを示す。 目的のヌクレオチド配列ならびにPAHおよびPCBD1遺伝子を含むベクターでトランスフェクトされ、チロシン原栄養性について選択された細胞の回復プロファイルをまとめるグラフを示す。
細胞にチロシン原栄養性を付与するための組成物および方法、これらの組成物および方法に関する使用、ならびに関連の方法および材料、例えば、核酸構築物、細胞および細胞培養培地が、本明細書で開示される。
本明細書で提供される発明は、チロシン栄養要求体である(即ち、正常な成長に十分な量のチロシンを合成できず、チロシンを含む培地を提供しなければならない)細胞が、細胞におけるPAHおよびPCBD1遺伝子の発現が増加されるような、細胞中への外因性PAHおよびPCBD1遺伝子の導入によってチロシン原栄養体(即ち、正常な成長に十分な量のチロシンを合成でき、チロシン欠乏培地中で成長できる)に変換され得るという知見に関する(一般に、本明細書で提供される方法に従ってPAHおよびPCBD1遺伝子が導入される宿主細胞は、内因性PAHおよびPCBD1遺伝子をすでに含んでいるが、これらの内因性遺伝子は、発現されない、または比較的低いレベルでのみ発現される)。PAHおよびPCBD1遺伝子の増加した発現、ならびに結果として生じる、かかる細胞におけるPAHおよびPCBD1ポリペプチドの増加した酵素活性は、その細胞がチロシン欠乏培地において成長することを可能にし、したがって、PAHおよびPCBD1遺伝子の組換えコピーでトランスフェクトされた宿主細胞が選択され得る。したがって、一態様では、チロシン選択可能なマーカー系が本明細書で提供される。チロシン選択可能なマーカー系は、PAHおよびPCBD1遺伝子を含む1つまたは複数の組換え核酸構築物、ならびにこれらの構築物を使用する方法を含む。
チロシン選択可能なマーカー系に関連する種々の適用が、本明細書でさらに提供される。例えば、目的のヌクレオチド配列が、組換え核酸構築物中でPAHおよびPCBD1遺伝子のうち一方または両方にカップリングされる、目的の外因性ヌクレオチド配列を含む宿主細胞を選択するための組成物および方法が、本明細書で提供される。本明細書で提供される組成物および方法では、PAHおよびPCBD1遺伝子は、単一の核酸構築物中で一緒に提供され得、または別々の核酸構築物中で提供され得る。一部の目的のために、PAHおよびPCBD1遺伝子を、単一の核酸構築物中で一緒に提供することが有益な場合があり(例えば、宿主細胞中に単一の外因性核酸構築物のみを導入することが望ましい状況において)、あるいは、一部の目的のために、PAHおよびPCBD1遺伝子を、別々の核酸構築物中で提供することが有益な場合がある(例えば、宿主細胞中に2つの別々の外因性核酸構築物を導入することが望ましい状況において)。
一般的技術
本発明の実施は、特記しない限り、当業者の技術範囲内の、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の従来技術を使用する。かかる技術は、文献、例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版(Sambrookら、1989)Cold Spring Harbor Press;Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編、1984);Methods in Molecular Biology、Humana Press;Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis編、1998)Academic Press;Animal Cell Culture(R.I.Freshney編、1987);Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.MatherおよびP.E.Roberts、1998)Plenum Press;Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle、J.B.GriffithsおよびD.G.Newell編、1993~1998)J.Wiley and Sons;Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.);Handbook of Experimental Immunology(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.MillerおよびM.P.Calos編、1987);Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubelら編、1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction、(Mullisら編、1994);Current Protocols in Immunology(J.E.Coliganら編、1991);Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons、1999);Immunobiology(C.A.JanewayおよびP.Travers、1997);Antibodies(P.Finch、1997);Antibodies:a practical approach (D.Catty.編、IRL Press、1988~1989);Monoclonal antibodies:a practical approach(P.ShepherdおよびC.Dean編、Oxford University Press、2000);Using antibodies:a laboratory manual(E.HarlowおよびD.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press、1999);The Antibodies(M.ZanettiおよびJ.D.Capra編、Harwood Academic Publishers、1995)中で、ならびに該当する場合には、上記参考文献の後続の版および対応するウェブサイト中で、十分に説明されている。
定義
「抗体」は、免疫グロブリン分子の可変領域中に位置する少なくとも1つの抗原認識部位を介して、標的、例えば、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどへの特異的結合が可能な免疫グロブリン分子である。本明細書で使用する場合、この用語は、インタクトなポリクローナルまたはモノクローナル抗体だけでなく、特記しない限り、特異的結合についてインタクトな抗体と競合するその任意の抗原結合部分、抗原結合部分を含む融合タンパク質、および抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の改変された構成もまた包含する。抗原結合部分には、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fd、Fv、ドメイン抗体(dAb、例えば、サメおよびラクダ科抗体)、相補性決定領域(CDR)を含む断片、単鎖可変断片抗体(scFv)、マキシボディ(maxibody)、ミニボディ(minibody)、イントラボディ(intrabody)、ダイアボディ(diabody)、トリアボディ(triabody)、テトラボディ(tetrabody)、v-NARおよびbis-scFv、ならびにそのポリペプチドに特異的抗原結合を付与するのに十分な免疫グロブリンの少なくとも一部分を含むポリペプチドが含まれる。抗体には、任意のクラス、例えば、IgG、IgAまたはIgM(またはそのサブクラス)の抗体、および任意の特定のクラスである必要がない抗体が含まれる。その重鎖の定常領域の抗体アミノ酸配列に依存して、免疫グロブリンは、異なるクラスに割当てることができる。5つの主要なクラスの免疫グロブリン:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMが存在し、これらのうちいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IgAおよびIgAへとさらに分割され得る。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常領域は、それぞれ、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマおよびミューと呼ばれる。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造および三次元構成は、周知である。
抗体の「可変領域」は、単独または組合せでの、抗体軽鎖の可変領域または抗体重鎖の可変領域を指す。当該分野で公知のように、重鎖および軽鎖の可変領域は各々、超可変領域としても公知である3つの相補性決定領域(CDR)によって接続された4つのフレームワーク領域(FR)からなり、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。特に、CDR領域の外側(即ち、フレームワーク領域中)のアミノ酸残基において置換を有する、対象可変領域のバリアントが所望される場合、適切なアミノ酸置換、好ましくは保存的アミノ酸置換は、対象可変領域を、その対象可変領域と同じカノニカルクラスのCDR1およびCDR2配列を含む他の抗体の可変領域と比較することによって同定され得る(ChothiaおよびLesk、J Mol Biol 196(4):901~917、1987)。
本明細書で使用する場合、「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体の集団から取得される抗体を指し、即ち、集団を構成する個々の抗体は、微量で存在し得る可能な天然に存在する変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原性部位に対するものである。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的には含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。修飾語「モノクローナル」は、抗体の特徴を、抗体の実質的に均一な集団から取得されるものとして示し、任意の特定の方法による抗体の産生を要求すると解釈すべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、KohlerおよびMilstein、1975、Nature 256:495によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製され得、または米国特許第4,816,567号に記載されるような組換えDNA法によって作製され得る。モノクローナル抗体は、例えば、McCaffertyら、1990、Nature 348:552~554に記載される技術を使用して生成されたファージライブラリーから単離することもできる。本明細書で使用する場合、「ヒト化」抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小の配列を含む、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはその断片(例えば、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)または抗体の他の抗原結合性サブ配列)である非ヒト(例えば、マウス)抗体の形態を指す。好ましくは、ヒト化抗体は、レシピエントのCDR由来の残基が、所望の特異性、親和性および能力を有する非ヒト種、例えば、マウス、ラットまたはウサギのCDR(ドナー抗体)由来の残基によって置き換えられた、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。ヒト化抗体は、レシピエント抗体中にも、インポートされたCDRまたはフレームワーク配列中にも見出されないが、抗体の性能をさらに精緻化および最適化するために含まれる残基を含み得る。
「ヒト抗体」は、本明細書で開示されるように、ヒトによって産生された抗体および/またはヒト抗体を作製するための技術のいずれかを使用して作製された抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有する抗体である。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を具体的に排除する。
用語「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、任意の長さのアミノ酸の鎖を指すために、本明細書で相互交換可能に使用される。この鎖は、直鎖でも分岐鎖でもよく、改変されたアミノ酸を含み得、および/または非アミノ酸によって中断され得る。これらの用語は、天然にまたは介入によって改変されたアミノ酸鎖、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または任意の他の操作もしくは改変、例えば、標識化構成成分とのコンジュゲーションもまた包含する。例えば、アミノ酸の1つまたは複数のアナログ(例えば、非天然のアミノ酸などを含む)ならびに当該分野で公知の他の改変を含むポリペプチドもまた、この定義内に含まれる。ポリペプチドは、単一の鎖として、または会合した鎖として存在し得ることが理解される。
当該分野で公知のように、「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、本明細書で相互交換可能に使用される場合、任意の長さおよびコンフォメーション(例えば、直鎖または環状)のヌクレオチドの鎖を指し、DNAおよびRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、改変されたヌクレオチドもしくは塩基、および/またはそれらのアナログ、あるいはDNAまたはRNAポリメラーゼによって鎖中に取り込まれ得る任意の基質であり得る。ポリヌクレオチドは、改変されたヌクレオチド、例えば、メチル化されたヌクレオチドおよびそれらのアナログを含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造に対する改変は、鎖のアセンブリの前または後に付与され得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成成分によって中断され得る。ポリヌクレオチドは、例えば、標識化構成成分とのコンジュゲーションによって、重合後にさらに改変され得る。他の型の改変には、例えば、「キャップ」、アナログによる、1つまたは複数の天然に存在するヌクレオチドの置換、ヌクレオチド間改変、例えば、非荷電連結(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホアミデート(phosphoamidate)、カルバメートなど)および荷電連結(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)によるものなど、ペンダント部分、例えば、タンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ-L-リジンなど)などを含むもの、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレンなど)によるもの、キレーター(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化金属(oxidative metal)など)を含むもの、アルキル化薬を含むもの、改変された連結によるもの(例えば、アルファアノマー核酸など)、ならびに未改変の形態のポリヌクレオチドが含まれる。さらに、糖中に通常存在するヒドロキシル基のいずれかは、例えば、ホスホネート基、ホスフェート基によって置き換えられ得、標準的な保護基によって保護され得、もしくはさらなるヌクレオチドへのさらなる連結を準備するために活性化され得、または固体支持体にコンジュゲートされ得る。5’および3’末端のOHは、リン酸化され得、または1~20炭素原子のアミンもしくは有機キャップ基部分で置換され得る。他のヒドロキシルもまた、標準的な保護基へと誘導体化され得る。ポリヌクレオチドは、例えば、2’-O-メチル-、2’-O-アリル、2’-フルオロ-または2’-アジド-リボース、炭素環式糖アナログ、アルファ-またはベータ-アノマー糖、エピマー糖、例えば、アラビノース、キシロースまたはリキソース、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式アナログおよび無塩基ヌクレオシド(abasic nucleoside)アナログ、例えば、メチルリボシドを含む、当該分野で一般に公知の類似の形態のリボースまたはデオキシリボース糖もまた含み得る。1つまたは複数のホスホジエステル連結は、代替的連結基によって置き換えられ得る。これらの代替的連結基には、ホスフェートが、P(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、(O)NR(「アミデート(amidate)」)、P(O)R、P(O)OR’、COまたはCH(「ホルムアセタール(formacetal)」)によって置き換えられた実施形態が含まれるがこれらに限定されず、式中、各RまたはR’は独立して、H、またはエーテル(-O-)連結、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニルもしくはアラルジル(araldyl)を含んでいてもよい置換もしくは未置換のアルキル(1~20C)である。ポリヌクレオチド中の全ての連結が同一である必要はない。前述の説明は、RNAおよびDNAを含む、本明細書で言及される全てのポリヌクレオチドに当てはまる。
本明細書で使用する場合、「ベクター」は、1つまたは複数の目的の遺伝子または配列を送達し、好ましくは、宿主細胞においてそれを発現させることが可能な構築物を意味する。ベクターの例には、ウイルスベクター、ネイキッドDNAまたはRNA発現ベクター、プラスミド、コスミドまたはファージベクター、カチオン性縮合剤と関連したDNAまたはRNA発現ベクター、リポソーム中に封入されたDNAまたはRNA発現ベクター、ならびに特定の真核生物細胞、例えば産生細胞が含まれるがこれらに限定されない。
本明細書で使用する場合、本明細書で相互交換可能に使用される「発現制御配列」または「遺伝子制御エレメント」は、核酸の転写を調節する核酸配列を意味する。発現制御配列は、プロモーター、例えば、構成的もしくは誘導性プロモーター、またはエンハンサーであり得る。発現制御配列は、転写される核酸配列に作動可能に連結される。
本明細書で使用する場合、「組換え」核酸は、天然に存在しないおよび/または合成により製造されたポリヌクレオチド配列を含む核酸分子を指す。例えば、「組換え」核酸は、ベクター配列にカップリングされたタンパク質コード遺伝子を含み得る。タンパク質コード遺伝子の配列は、天然に存在してもよいが、この遺伝子は、ベクター配列と組み合わせては天然に存在しない。言い換えると、「組換え」核酸分子は、分子の一部として、天然に存在する核酸配列を含み得るが、その配列は、(核酸分子配列の全体が天然に存在しないように)別の配列にカップリングされる、および/またはこの分子は、合成により製造される。「組換え」ポリペプチドは、組換え核酸から産生されたポリペプチドを指す。
本明細書で使用する場合、「外因性」核酸分子は、その導入の前にはその宿主細胞中に存在しなかった、宿主細胞中に(例えば、従来の遺伝子操作法によって、好ましくは、形質転換、エレクトロポレーション、リポフェクションまたはトランスフェクションによって)導入されるまたは導入された組換え核酸分子を指す。かかる配列は、「トランスジェニック」とも呼ばれる。外因性核酸分子は、細胞にとって内因性である配列と同じヌクレオチド配列を含み得る(即ち、宿主細胞中への外因性核酸分子の導入が、宿主細胞中への遺伝子のさらなるコピーを導入するように、外因性核酸分子は、宿主細胞にとって内因性である遺伝子のヌクレオチド配列を含み得る)。
本明細書で使用する場合、用語「部位」は、ヌクレオチド配列、特に、規定されたストレッチのヌクレオチド、即ち、規定された長さのヌクレオチド配列、好ましくは、ヌクレオチドのより大きいストレッチの一部である規定されたストレッチのヌクレオチドを指す。一部の実施形態では、部位、例えば、「ホットスポット」である部位は、ゲノムの一部である。一部の実施形態では、組換え標的部位などの部位が、ゲノム中に導入される。
「第1の染色体」および「第2の染色体」などに対する本明細書での言及は、細胞の任意の特定の染色体ではなく、2つの染色体(または他のそれぞれの物体)間の関係性を指すことを理解すべきである。したがって、例えば、「第1の染色体」および「第2の染色体」が一般的な文または説明中で言及される場合、これらの用語は、言及された染色体が互いに異なることを単に示すのであって、細胞の任意の具体的な染色体を指すのではない。
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容できる担体」または「薬学的に許容できる賦形剤」は、活性成分と組み合わせた場合に、その成分が生物学的活性を保持することを可能にし、対象の免疫系と非反応性である、任意の材料を含む。例としては、標準的な薬学的担体のいずれか、例えば、リン酸緩衝溶液、水、エマルジョン、例えば、油/水エマルジョン、および種々の型の湿潤剤が含まれるがこれらに限定されない。エアロゾルまたは非経口投与のための好ましい希釈剤は、リン酸緩衝溶液(PBS)または生理(0.9%)食塩水である。かかる担体を含む組成物は、周知の従来法によって製剤化される(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、A.Gennaro編、Mack Publishing Co.、Easton、PA、1990;およびRemington、The Science and Practice of Pharmacy 第20版 Mack Publishing、2000を参照されたい)。
実施形態が「含む」という言葉を用いて本明細書に記載される場合には、「~からなる」および/または「~から本質的になる」の用語で記載される他の点では類似の実施形態もまた提供されることが理解される。
本発明の態様または実施形態が、マーカッシュ群または選択肢の他のグループ分けの観点から記載される場合、本発明は、全体として列挙された群全体だけでなく、その群の各メンバーを個々に、および主群の全ての可能な下位群、群メンバーのうち1つまたは複数が存在しない主群もまた包含する。本発明は、特許請求された発明中の任意の群メンバーのうち1つまたは複数の明示的な排除も想定する。
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、定義を含む本明細書が支配する。本明細書および特許請求の範囲を通じて、単語「含む(comprise)」または変化形、例えば、「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」は、述べられた整数または整数の群を含むが、任意の他の整数または整数の群を排除しないことを意味すると理解される。文脈が他を要求しない限り、単数形の用語は複数を含むものとし、複数形の用語は単数を含むものとする。用語「例えば(e.g.)」または「例えば(for example)」の後に記載される任意の例は、網羅的または限定的ではないことを意味する。用語「または」は、複数の選択肢のリストに関して使用される場合(例えば、「A、BまたはC」)、文脈が明らかに他を示さない限り、それらの選択肢のうち任意の1つまたは複数を含むと解釈するものとする。
例示的な方法および材料が本明細書に記載されるが、本明細書に記載される方法および材料と類似または等価な方法および材料もまた、本発明の実施または試験において使用され得る。材料、方法および実施例は、例示に過ぎず、限定を意図しない。
チロシン選択可能なマーカー系
一部の実施形態では、チロシン選択可能なマーカー系が、本明細書で提供される。チロシン選択可能なマーカー系は、例えば、本明細書に記載されるPAHおよび/またはPCBD1遺伝子を含む組換え核酸構築物およびベクター、ならびにその使用を含む。チロシン選択可能なマーカー系には、宿主細胞中へのPAHおよびPCBD1遺伝子の導入が関与する。したがって、本明細書で提供されるチロシン選択可能なマーカー系の使用を介した1つまたは複数の外因性核酸を含む宿主細胞の選択には、PAHおよびPCBD1遺伝子の両方を受け取る宿主細胞が関与する。これらの遺伝子は、同じ核酸構築物上で宿主細胞中に導入され得、または別々の核酸構築物上で提供され得る。目的のヌクレオチド配列は、1つまたは複数の核酸構築物中でPAHおよびPCBD1遺伝子にカップリングされ得、したがって、目的のヌクレオチド配列を含む構築物(単数または複数)でトランスフェクトされた細胞は、PAHおよびPCBD1遺伝子を含む細胞の選択を介して選択され得る。かかる細胞は、次に、チロシン原栄養性を示す細胞の選択を介して選択され得る。
核酸構築物およびベクター
PAH遺伝子
本明細書で提供される実施形態は、PAH遺伝子を含み得る。PAH遺伝子は、酵素フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(「PAH」)をコードする。PAHは、フェニルアラニンのチロシンへの変換を触媒する。例示的なPAH遺伝子およびポリペプチド配列は、GenBank受託番号BC013458(マウス)、BC026251(ヒト)およびBC078881(ラット)を介して提供される。例示的なチャイニーズハムスター(モンゴルキヌゲネズミ(Cricetulus griseus))PAH mRNA配列は、NCBI受託番号:XM_007640431.1およびXM_007621169.1の下で提供される。
例示的なPAHポリペプチドは、例えば、配列番号1
(MAAVVLENGVLSRKLSDFGQETSYIEDNSNQNGAVSLIFSLKEEVGALAKVLRLFEENEINLTHIESRPSRLNKDEYEFFTYLDKRSKPVLGSIIKSLRNDIGATVHELSRDKEKNTVPWFPRTIQELDRFANQILSYGAELDADHPGFKDPVYRARRKQFADIAYNYRHGQPIPRVEYTEEERKTWGTVFRTLKALYKTHACYEHNHIFPLLEKYCGFREDNIPQLEDVSQFLQTCTGFRLRPVAGLLSSRDFLGGLAFRVFHCTQYIRHGSKPMYTPEPDICHELLGHVPLFSDRSFAQFSQEIGLASLGAPDEYIEKLATIYWFTVEFGLCKEGDSIKAYGAGLLSSFGELQYCLSDKPKLLPLELEKTACQEYTVTEFQPLYYVAESFNDAKEKVRTFAATIPRPFSVRYDPYTQRVEVLDNTQQLKILADSINSEVGILCHALQKIKS)
に示されるマウスPAHアミノ酸配列である。一部の実施形態では、PAHポリペプチドは、配列番号1に示されるアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%または50%の相同性を有するポリペプチドである。一部の実施形態では、PAHポリペプチドは、上記PAHポリペプチドのいずれかの触媒的に活性な断片である。
例示的なPAH遺伝子配列は、例えば、配列番号2
(ATGGCAGCTGTTGTCCTGGAGAACGGAGTCCTGAGCAGAAAACTCTCAGACTTTGGGCAGGAAACAAGTTACATCGAAGACAACTCCAATCAAAATGGTGCTGTATCTCTGATATTCTCACTCAAAGAGGAAGTTGGTGCCCTGGCCAAGGTCCTGCGCTTATTTGAGGAGAATGAGATCAACCTGACACACATTGAATCCAGACCTTCTCGTTTAAACAAAGATGAGTATGAGTTTTTCACCTATCTGGATAAGCGTAGCAAGCCCGTCCTGGGCAGCATCATCAAGAGCCTGAGGAACGACATTGGTGCCACTGTCCATGAGCTTTCCCGAGACAAGGAAAAGAACACAGTGCCCTGGTTCCCAAGGACCATTCAGGAGCTGGACAGATTCGCCAATCAGATTCTCAGCTATGGAGCCGAACTGGATGCAGACCACCCAGGCTTTAAAGATCCTGTGTACCGGGCGAGACGAAAGCAGTTTGCTGACATTGCCTACAACTACCGCCATGGGCAGCCCATTCCTCGGGTGGAATACACAGAGGAGGAGAGGAAGACCTGGGGAACGGTGTTCAGGACTCTGAAGGCCTTGTATAAAACACATGCCTGCTACGAGCACAACCACATCTTCCCTCTTCTGGAAAAGTACTGCGGTTTCCGTGAAGACAACATCCCGCAGCTGGAAGATGTTTCTCAGTTTCTGCAGACTTGTACTGGTTTCCGCCTCCGTCCTGTTGCTGGCTTACTGTCGTCTCGAGATTTCTTGGGTGGCCTGGCCTTCCGAGTCTTCCACTGCACACAGTACATTAGGCATGGATCTAAGCCCATGTACACACCTGAACCTGATATCTGTCATGAACTCTTGGGACATGTGCCCTTGTTTTCAGATAGAAGCTTTGCCCAGTTTTCTCAGGAAATTGGGCTTGCATCGCTGGGGGCACCTGATGAGTACATTGAGAAACTGGCCACAATTTACTGGTTTACTGTGGAGTTTGGGCTTTGCAAGGAAGGAGATTCTATAAAGGCATATGGTGCTGGGCTCTTGTCATCCTTTGGAGAATTACAGTACTGTTTATCAGACAAGCCAAAGCTCCTGCCCCTGGAGCTAGAGAAGACAGCCTGCCAGGAGTATACTGTCACAGAGTTCCAGCCCCTGTACTATGTGGCCGAGAGTTTCAATGATGCCAAGGAGAAAGTGAGGACTTTTGCTGCCACAATCCCCCGGCCCTTCTCCGTTCGCTATGACCCCTACACTCAAAGGGTTGAGGTCCTGGACAATACTCAGCAGTTGAAGATTTTAGCTGACTCCATTAATAGTGAGGTTGGAATCCTTTGCCATGCCCTGCAGAAAATAAAGTCATGA)
に示されるマウスPAH cDNA配列である。一部の実施形態では、PAH遺伝子配列は、配列番号2に示されるヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%または50%の相同性を有するヌクレオチド配列である。一部の実施形態では、PAH遺伝子は、上記PAHポリペプチドのいずれかの触媒的に活性な断片をコードする。
PCBD1遺伝子
本明細書で提供される実施形態は、PCBD1遺伝子を含み得る。PCBD1遺伝子は、肝細胞核因子1アルファの二量体化補因子1としても公知の酵素プテリン-4-アルファ-カルビノールアミンデヒドラターゼ(「PCBD1」)をコードする。PCBD1は、分子テトラヒドロビオプテリン(「BH4」)の代謝に関与する。例示的なPCBD1遺伝子およびポリペプチド配列は、GenBank受託番号BC024354(マウス)およびBC006324(ヒト)を介して提供される。例示的なチャイニーズハムスター(モンゴルキヌゲネズミ(Cricetulus griseus))PCBD1 mRNA配列は、NCBI受託番号:XM_007613612.2およびXM_003499899.3の下で提供される。
例示的なPCBD1ポリペプチドは、例えば、配列番号3
(MAGKAHRLSAEERDQLLPNLRAVGWNEVEGRDAIFKQFHFKDFNRAFGFMTRVALQAEKLDHHPEWFNVYNKVHITLSTHECAGLSERDINLASFIEQVAVSMT)
に示されるマウスPCBD1アミノ酸配列である。一部の実施形態では、PCBD1ポリペプチドは、配列番号3に示されるアミノ酸配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%または50%の相同性を有するポリペプチドである。一部の実施形態では、PCBD1ポリペプチドは、上記PCBD1ポリペプチドのいずれかの触媒的に活性な断片である。
例示的なPCBD1遺伝子配列は、例えば、配列番号4
(ATGGCCGGCAAGGCACACAGGCTGAGCGCCGAGGAGCGAGACCAGCTGCTGCCAAACCTGAGGGCTGTGGGGTGGAATGAAGTAGAAGGCCGAGATGCTATCTTCAAGCAGTTCCATTTTAAAGACTTCAACAGGGCTTTTGGCTTCATGACAAGAGTAGCCCTGCAGGCTGAAAAGCTGGACCACCATCCCGAGTGGTTTAACGTGTACAACAAGGTCCATATCACCTTGAGCACCCATGAATGTGCCGGTCTTTCGGAACGGGATATAAACCTGGCCAGCTTCATCGAACAAGTCGCCGTGTCTATGACATAG)
に示されるマウスPCBD1 cDNA配列である。一部の実施形態では、PCBD1遺伝子配列は、配列番号4に示されるヌクレオチド配列と少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%または50%の相同性を有するヌクレオチド配列である。一部の実施形態では、PCBD1遺伝子は、上記PCBD1ポリペプチドのいずれかの触媒的に活性な断片をコードする。
目的のヌクレオチド配列
本明細書で提供される実施形態は、目的のヌクレオチド配列を含み得る。本明細書で使用する場合、「目的のヌクレオチド配列」は、人が宿主細胞中に導入することまたはベクター中に存在させることを望み得る、任意のヌクレオチド配列を指す。最も一般的には、目的のヌクレオチド配列は、目的のポリペプチドをコードする、または目的のRNA分子の生成のための鋳型である、DNA配列である。しかし、あるいは、目的のヌクレオチド配列は、例えば、調節性もしくは構造的機能を提供する配列(例えば、プロモーターまたはエンハンサー配列)、またはクローニング目的のための制限酵素配列など、異なる目的を果たす配列(例えば、目的のヌクレオチド配列は、マルチクローニング部位であり得る)であり得る。目的のヌクレオチド配列は、任意のヌクレオチド長のものであり得る。目的のヌクレオチド配列は、DNA配列またはRNA配列であり得る。一部の実施形態では、目的のヌクレオチド配列は、宿主細胞中に内因性に存在しない配列である。一部の実施形態では、目的のヌクレオチド配列は、宿主細胞中に内因性に別々に存在する(即ち、この配列はまた、宿主細胞中に導入された目的のヌクレオチド配列を含む組換え核酸構築物とは別に、宿主細胞中に存在する)。かかる実施形態では、目的のヌクレオチド配列は、例えば、対応する内因性ヌクレオチド配列の比較的低い発現が存在する場合、および細胞におけるヌクレオチド配列の増加した発現を有することが望ましい場合、宿主細胞中に導入され得る。
一部の実施形態では、目的のヌクレオチド配列は、目的のポリペプチドをコードする(mRNAへの転写およびmRNAの翻訳を介して)。目的のポリペプチドには、例えば、抗体、酵素、ペプチドホルモン、融合タンパク質または検出可能なタンパク質(例えば、蛍光タンパク質、例えば、緑色蛍光タンパク質)が含まれる。一部の実施形態では、目的のポリペプチドは、ポリペプチドの構造的または機能的に規定された部分、例えば、抗体の断片、例えば、抗体の重鎖、軽鎖もしくは定常領域、または酵素の触媒ドメインであり得る。当業者に理解されるように、ポリペプチドは、上述の型のうち1つよりも多くのものであり得る(例えば、酵素は、検出可能なタンパク質でもあり得る、など)。
一部の実施形態では、目的のヌクレオチド配列は、目的のRNA分子のためのDNA鋳型である。目的のRNA分子には、例えば、CRISPR-cas9システム関連RNA、またはRNAi(干渉RNA)関連分子、例えば、miRNA、siRNAもしくはshRNAが含まれる。「低分子干渉(small interfering)」または「低分子干渉(short interfering)RNA」またはsiRNAは、目的の遺伝子または1つもしくは複数の遺伝子に標的化される、RNA二重鎖のヌクレオチドである。「RNA二重鎖」は、RNA分子の2つの領域間での相補的対合によって形成される構造を指す。siRNAは、siRNAの二重鎖部分のヌクレオチド配列が、標的化された遺伝子のヌクレオチド配列に対して相補的であるという意味で、遺伝子に「標的化される」。一部の実施形態では、siRNAの二重鎖の長さは、30ヌクレオチド未満である。一部の実施形態では、二重鎖は、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11または10ヌクレオチド長であり得る。一部の実施形態では、二重鎖の長さは、19~25ヌクレオチド長である。siRNAのRNA二重鎖部分は、ヘアピン構造の一部であり得る。二重鎖部分に加えて、ヘアピン構造は、二重鎖を形成する2つの配列間に位置するループ部分を含み得る。ループは、長さが変動し得る。一部の実施形態では、ループは、5、6、7、8、9、10、11、12または13ヌクレオチド長である。ヘアピン構造は、3’または5’側のオーバーハング部分もまた含み得る。一部の実施形態では、オーバーハングは、0、1、2、3、4または5ヌクレオチド長の3’または5’側のオーバーハングである。「低分子ヘアピン型RNA」またはshRNAは、siRNAなどの干渉RNAを発現するために作製され得るポリヌクレオチド構築物である。
核酸構築物
一部の態様では、核酸構築物が、本明細書で提供される。本明細書で提供される「核酸構築物」は、上記ポリヌクレオチドまたは核酸の1つの型である。「核酸構築物」は、上記ポリヌクレオチドまたは核酸の特徴のいずれかを有し得る。典型的には、本明細書で提供される「核酸構築物」は、ポリヌクレオチドを構成するヌクレオチドの鎖内に2つ以上の機能的単位を含む。ヌクレオチド配列中の機能的単位は、特定の機能を有する任意の型の別個のヌクレオチド配列、例えば、目的のヌクレオチド配列、ポリペプチドをコードする遺伝子、調節性配列、組換え配列、または阻害性RNA分子のための鋳型などであり得る。したがって、例えば、本明細書で提供される「核酸構築物」の一部の実施形態は、以下:
i)PAHおよび/またはPCBD1遺伝子、
ii)任意の数の目的のヌクレオチド配列、例えば、1、2、3、4、5またはそれよりも多くの目的のヌクレオチド配列、
iii)任意の数の組換え標的配列、例えば、1、2、3、4、5またはそれよりも多くの組換え標的配列、
iv)任意の数の発現制御配列、例えば、1、2、3、4、5またはそれよりも多くの発現制御配列
のうち1つまたは複数を含み得る。任意選択により、各目的のヌクレオチド配列およびPAHまたはPCBD1遺伝子は、少なくとも1つの発現制御配列に作動可能に連結される。
核酸構築物中のPAH遺伝子、PCBD1遺伝子、目的のヌクレオチド配列または発現制御配列は、本明細書の他の箇所に記載されるそれぞれの特性のいずれかを有し得る。また、当業者によって理解されるように、上に列挙された核酸構築物の種々の特色、例えば、PAH遺伝子、PCBD1遺伝子、組換え標的部位または発現制御配列もまた、「目的のヌクレオチド配列」とみなすことができるが、これらは、本明細書で開示される特定の実施形態についてのさらなる詳細を提供するために、本明細書で折に触れて別々に言及される。本明細書で使用する場合、語句「発現カセット」は、ポリペプチドをコードする少なくとも1つの遺伝子を含み、この遺伝子に作動可能にカップリングされた発現制御配列を典型的にはさらに含む、核酸構築物を指す。
「組換え標的配列」または「組換え標的部位」は、標的化された組換えのために必要であり、リコンビナーゼと一緒になって標的化された組換えを可能にし、かかる組換えの位置を規定する、ヌクレオチドのストレッチである。本明細書で使用する場合、「組換え標的配列」は、典型的には、宿主細胞中に導入される外因性核酸構築物上の組換え配列を指すために使用され、「組換え標的部位」は、典型的には、宿主細胞染色体中の対応する組換え配列を指すために使用される。組換え標的部位は、宿主細胞ゲノムにとって非ネイティブであり得る(例えば、組換え標的部位は、ランディングパッド配列の一部として、宿主細胞染色体中に導入され得る)。
一部の実施形態では、核酸構築物の一部または全てが、宿主細胞染色体中の対応する部位中に組み込まれ得るように、1つまたは複数の組換え標的配列が、本明細書で提供される核酸構築物中に含まれ得る。
チロシンリコンビナーゼベースの系およびセチンリコンビナーゼベースの系の両方を含む、任意の適切な組換え標的部位/配列およびリコンビナーゼの組合せが、本明細書で提供される組成物および方法と共に使用され得る。本明細書で提供される核酸構築物および宿主細胞共に使用され得るリコンビナーゼ(およびそれらの対応する組換え標的配列)には、例えば、Cre、Dre、Flp、KD、B2、B3、λ、HK022、HP1、γδ、ParA、Tn3、Gin、Bxb1、φC31、φBT1およびR4が含まれる。部位特異的リコンビナーゼは、例えば、TuranおよびBode、The FASEB Journal、25(12):4088~107(2011);Nernら、PNAS、108(34):14198~203(2011);ならびにXuら、BMC Biotechnology、13(87)(2013)中に記載されている。
一部の実施形態では、組換え標的配列は、Flp認識標的(「FRT」)部位である(Flpリコンビナーゼとの使用のため)。FRT部位は、野生型FRT部位(「F部位」と呼ばれる場合もある)または変異体FRT部位、例えば、SchlackeおよびBode(1994)Biochemistry 33:12746~12752に開示される「F5部位」であり得る。組換え標的部位がFRT部位である場合、宿主細胞は、交差または組換え事象を達成するために、FLP(FLPリコンビナーゼ)の存在および発現を必要とする。FRT部位は、制御された条件下でin vivoでの生物DNAの操作を可能にする部位特異的組換え技術を可能にする、34塩基対長のヌクレオチド配列である。FRTには、この配列を引き続いて切断し、2つのFRT部位間に組み込まれるヌクレオチド配列の組換えを可能にするFLPリコンビナーゼが結合する。組換え媒介カセット交換(「RMCE」)のためには、2つの交差事象が、1つは交換されるカセットの5’末端、1つは交換されるカセットの3’末端にある2つの隣接するリコンビナーゼ標的配列によって媒介される必要がある。交差は、2つの同一のFRT部位間で生じ得る。FRT部位の使用は、FLPリコンビナーゼの発現および存在もまた必要とする。本明細書で「FRT/FLP」とも呼ばれる系全体は、例えば、SeiblerおよびBode、Biochemistry 36(1997)、1740~1747頁、ならびにSeiblerら、Biochemistry 37(1998)、6229~6234頁中に開示されている。
一部の実施形態では、組換え標的配列は、lox配列(Creリコンビナーゼとの使用のため)である。lox部位は、2つの13塩基対の回文構造配列を含む34塩基対長である。
一部の実施形態では、組換え標的配列は、Bxb1リコンビナーゼとの使用のための配列である。例えば、Innissら、Biotechnology and Bioengineering、114巻、8号、2017年8月、1837~1846頁を参照されたい。
核酸構築物がリコンビナーゼによって宿主細胞ゲノム中に組み込まれるためには、リコンビナーゼが宿主細胞中に存在しなければならない。リコンビナーゼは、当該分野で公知の任意の適切な方法によって、宿主細胞中に導入され得る。例えば、リコンビナーゼは、本明細書で提供される核酸構築物上に含まれる遺伝子によってコードされ得、PAHおよび/もしくはPCBD1遺伝子を含む核酸構築物とは別の、宿主細胞中に導入されたベクター上の遺伝子によってコードされ得、または宿主細胞のゲノム中に(例えば、誘導性プロモーターの制御下で)安定に組み込まれた遺伝子によってコードされ得る。一部の実施形態では、リコンビナーゼ遺伝子は、1つまたは複数の組換え標的部位を含む組換え核酸構築物中に含まれ得る。他の実施形態では、リコンビナーゼ遺伝子は、1つまたは複数の組換え標的部位を含む組換え核酸構築物とは別の核酸中で、宿主細胞中に導入され得る。
一部の実施形態では、本明細書で提供される核酸構築物は、1、2、3、4、5またはそれよりも多くの組換え標的配列を含み得る。一部の実施形態では、核酸構築物は、第1の組換え標的配列および第2の組換え標的配列を含み得、第1の組換え標的配列および第2の組換え標的配列は、核酸構築物の目的のヌクレオチド配列ならびにPAHおよび/またはPCBD1遺伝子(存在する場合)に隣接する(即ち、その周囲にある)。言い換えると、一部の実施形態では、核酸構築物は、第1の組換え標的配列および第2の組換え標的配列、ならびにi)1つもしくは複数の目的のヌクレオチド配列、ii)PAH遺伝子およびiii)PCBD1遺伝子、のうち1つまたは複数を含み得、項目i)、ii)およびiii)のいずれかは、存在する場合、第1の組換え標的配列と第2の組換え標的配列との間にある。さらに言い換えると、一部の実施形態では、核酸構築物は、第1の組換え標的配列および第2の組換え標的配列、ならびにi)1つもしくは複数の目的のヌクレオチド配列、ii)PAH遺伝子およびiii)PCBD1遺伝子、のうち1つまたは複数を含み得、第1の組換え標的配列は、存在する場合、項目i)、ii)およびiii)のいずれかに対して5’側であり、第2の組換え標的配列は、存在する場合、項目i)、ii)およびiii)のいずれかに対して3’側である。一部の実施形態では、核酸構築物は、第1の組換え標的配列および第2の組換え標的配列、ならびにi)1つもしくは複数の目的のヌクレオチド配列、ii)PAH遺伝子およびiii)PCBD1遺伝子、のうち1つまたは複数を含み得、項目i)、ii)およびiii)のいずれかが、存在する場合、組換え媒介カセット交換(RMCE)を介して宿主細胞染色体の標的化された領域中に組み込まれ得るように、項目i)、ii)およびiii)のいずれかは、存在する場合、第1の組換え標的配列と第2の組換え標的配列との間にある。一部の実施形態では、第1の組換え標的配列および第2の組換え標的配列を含む核酸構築物において、第1の組換え標的配列は、野生型FRT配列であり、第2の組換え標的配列は、変異体FRT配列である。一部の実施形態では、第1の組換え標的配列および第2の組換え標的配列を含む核酸構築物において、第1の組換え標的配列は、野生型Bxb1配列であり、第2の組換え標的配列は、変異体Bxb1配列である。核酸構築物中の組換え標的配列は、目的のヌクレオチド配列、PAH遺伝子またはPCBD1遺伝子に直接隣接してまたはそれに対して規定された距離で位置付けられ得る。一部の実施形態では、組換え標的配列は、フォワードまたはリバース配向で位置付けられ得る。第1の組換え標的配列および第2の組換え標的配列を含む組換え核酸において、一部の実施形態では、第1および第2の組換え標的配列は共にフォワード配向であり、または共にリバース配向である。
一部の実施形態では、核酸構築物中の目的のヌクレオチド配列(例えば、目的のポリペプチドをコードする遺伝子)は、核酸構築物中の1つまたは複数の調節性遺伝子制御エレメントに連結され得る。ある特定の実施形態では、遺伝子制御エレメントは、目的のヌクレオチド配列の構成的発現を指示する。ある特定の実施形態では、目的のヌクレオチド配列の誘導性発現を提供する遺伝子制御エレメントが使用され得る。誘導性遺伝子制御エレメント(例えば、誘導性プロモーター)の使用は、例えば、遺伝子によってコードされるポリペプチドの産生のモジュレーションを可能にする。真核生物細胞における使用のための潜在的に有用な誘導性遺伝子制御エレメントの非限定的な例には、ホルモン調節型エレメント(例えば、Mader,S.およびWhite,J.H.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5603~5607、1993を参照されたい)、合成リガンド調節型エレメント(例えば、Spencer,D.M.ら、Science 262:1019~1024、1993を参照されたい)および電離放射線調節型エレメント(例えば、Manome,Y.ら、Biochemistry 32:10607~10613、1993;Datta,R.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10149~10153、1992を参照されたい)が含まれる。当該分野で公知のさらなる細胞特異的または他の調節系は、本明細書で提供される方法および組成物に従って使用され得る。
一部の態様では、核酸構築物を含むベクターが、本明細書で提供される。核酸構築物は、本発明の他の箇所に記載される特徴のいずれかを有し得る。
一部の実施形態では、ベクターは、プロモーター配列、方向性クローニング部位、非方向性クローニング部位、制限部位、エピトープタグ、ポリアデニル化配列および抗生物質耐性遺伝子のうち1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、プロモーター配列はヒトサイトメガロウイルス最初期プロモーターであり、方向性クローニング部位はTOPOであり、エピトープタグは、抗V5抗体を使用した検出のためのV5であり、ポリアデニル化配列は、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ由来であり、抗生物質耐性遺伝子は、ブラストサイジン、ピューロマイシンまたはジェネテシン(G418)である。
本明細書で提供される一部の実施形態では、組換え核酸配列、例えば、プロモーター配列、方向性クローニング部位、エピトープタグをコードする配列、ポリアデニル化配列、抗生物質耐性遺伝子、およびタンパク質コード遺伝子は、核酸構築物およびベクターの両方の一部であり得る。
一部の実施形態では、本明細書で提供されるベクターは、発現ベクターである。発現ベクターは一般に、本発明に従う組換え核酸構築物を含む複製可能なポリヌクレオチド構築物である。発現ベクターは、エピソームとして、または染色体DNAの一体的な部分として、宿主細胞において複製可能でなければならないことが意味される。適切な発現ベクターには、プラスミド、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルスを含むウイルスベクター、コスミド、およびPCT出願公開番号WO87/04462に開示された発現ベクターが含まれるがこれらに限定されない。ベクター構成成分には、一般に、以下:シグナル配列、複製起点、1つまたは複数のマーカー遺伝子、適切な転写制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサーおよびターミネーター)のうち1つまたは複数が含まれ得るがこれらに限定されない。発現(即ち、翻訳)のために、リボソーム結合部位、翻訳開始部位および停止コドンなどの、1つまたは複数の翻訳制御エレメントもまた、通常必要とされる。
本明細書で提供されるポリヌクレオチドは、一本鎖(コードまたはアンチセンス)または二本鎖であり得、DNA(ゲノム、cDNAまたは合成)またはRNA分子であり得る。さらなるコードまたは非コード配列は、本発明のポリヌクレオチド内に存在してもよいが存在する必要はなく、ポリヌクレオチドは、他の分子および/または支持体材料に連結されていてもよいが、連結されている必要はない。本明細書で提供される任意の核酸構築物またはベクター配列に対して相補的なポリヌクレオチドもまた、本発明によって包含される。遺伝子コードの縮重の結果として、本明細書で提供されるポリペプチドをコードする複数のヌクレオチド配列が存在し得ることが、当業者によって理解される。
ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の相同性分析は、当該分野で公知の方法(例えば、BLAST)を使用して実施され得る。2つの配列間の比較は、典型的には、配列類似性の局所的領域を同定および比較するために、比較ウインドウにわたってそれらの配列を比較することによって実施される。好ましくは、パーセント相同性または配列同一性は、少なくとも20個の位置の比較のウインドウにわたって、2つの最適にアラインされた配列を比較することによって決定され、このとき、比較ウインドウ中のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の部分は、2つの配列の最適なアラインメントのために、参照配列(付加も欠失も含まない)と比較して、20パーセント以下、通常は5~15パーセント、または10~12パーセントの付加または欠失(即ち、ギャップ)を含み得る。百分率は、同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が両方の配列中に存在する位置の数を決定して、一致した位置の数を得、参照配列中の位置の総数(即ち、ウインドウサイズ)によって、一致した位置の数を除算し、結果に100を乗算して配列同一性の百分率を得ることによって計算される。
本明細書で提供されるポリヌクレオチドは、化学的合成、組換え法またはPCRを使用して取得され得る。化学的ポリヌクレオチド合成の方法は、当該分野で周知であり、本明細書で詳細に記載する必要はない。当業者は、所望のDNA配列を産生するために、本明細書で提供される配列および市販のDNA合成機を使用できる。
組換え法を使用してポリヌクレオチドを調製するために、本明細書でさらに議論されるように、所望の配列を含むポリヌクレオチドは、適切なベクター中に挿入され得、ベクターは次に、複製および増幅に適切な宿主細胞中に導入され得る。ポリヌクレオチドは、当該分野で公知の任意の手段によって、宿主細胞中に挿入され得る。細胞は、直接的取込み、エンドサイトーシス、トランスフェクション、F-接合またはエレクトロポレーションによって外因性ポリヌクレオチドを導入することによって形質転換される。いったん導入されると、外因性ポリヌクレオチドは、非組み込みベクター(例えば、プラスミド)として細胞内で維持され得、または宿主細胞ゲノム中に組み込まれ得る。そうして増幅されたポリヌクレオチドは、当該分野で周知の方法によって、宿主細胞から単離され得る。例えば、Sambrookら、1989を参照されたい。
あるいは、PCRは、DNA配列の複製を可能にする。PCR技術は、当該分野で周知であり、米国特許第4,683,195号、同第4,800,159号、同第4,754,065号および同第4,683,202号、ならびにPCR:The Polymerase Chain Reaction、Mullisら編、Birkauswer Press、Boston、1994中に記載されている。
RNAは、単離されたDNAを適切なベクター中で使用し、それを適切な宿主細胞中に挿入することによって取得され得る。細胞が複製し、DNAがRNAに転写されると、このRNAは、次いで、例えば、Sambrookら、1989、上記に示されるような、当業者に周知の方法を使用して単離され得る。
適切なクローニングベクターは、標準的な技術に従って構築され得、または当該分野で入手可能な多数のクローニングベクターから選択され得る。選択されるクローニングベクターは、使用が意図される宿主細胞に従って変動し得るが、有用なクローニングベクターは一般に、自己複製する能力を有し、特定の制限エンドヌクレアーゼに対する単一の標的を有し得、および/またはベクターを含むクローンを選択する際に使用され得るマーカーの遺伝子を有し得る。適切な例には、プラスミドおよび細菌ウイルス、例えば、限定なしに、pUC18、pUC19、Bluescript(例えば、pBS SK+)およびその誘導体、mp18、mp19、pBR322、pMB9、ColE1、pCR1、RP4、ファージDNA、ならびにシャトルベクター、例えば、pSA3およびpAT28が含まれる。これらおよび多くの他のクローニングベクターは、BioRad、StrategeneおよびInvitrogenなどの供給業者から入手可能である。
宿主細胞
本明細書で使用する場合、用語「宿主細胞」は、本明細書で提供される組換え核酸構築物を有する、またはかかる核酸構築物のレシピエントであり得る、細胞または細胞培養物を指す。宿主細胞には、単一の宿主細胞の子孫が含まれ、この子孫は、天然の、偶発的なまたは計画的な変異に起因して、元の親細胞に対して(形態学的にまたはゲノムDNA補完的に)必ずしも完全に同一でない場合がある。
一部の実施形態では、宿主細胞は、そのゲノム中(例えば、染色体中)の位置に安定に組み込まれた組換え核酸構築物を有し得る。一部の実施形態では、宿主細胞中の組換え核酸構築物は、宿主細胞のゲノム中に安定に組み込まれない-例えば、組換え核酸構築物は、宿主細胞中でプラスミド中に存在し得る。
本開示の文脈では、「細胞」は、好ましくは哺乳動物細胞である。哺乳動物細胞は、例えば、イヌ細胞(例えば、Madin-Darbyイヌ腎臓上皮(MDCK)細胞)、霊長類細胞、ヒト細胞(例えば、ヒト胎児由来腎臓(HEK)細胞)、マウス細胞またはハムスター細胞であり得る。一部の実施形態では、ハムスター細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。任意選択により、CHO細胞は、CHOK1またはCHOK1 SV細胞であり得る(Porter,AJら Biotechnol Prog.26(2010)、1455~1464)。一部の実施形態では、哺乳動物細胞は、BALB/cマウス骨髄腫細胞、ヒト網膜芽細胞(PER.C6)、サル腎臓細胞、ヒト胎児由来腎臓細胞(293)、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK)、マウスセルトリ細胞、アフリカミドリザル腎臓細胞(CERO-76)、HeLa細胞、バッファローラット肝臓細胞、ヒト肺細胞、ヒト肝臓細胞、マウス乳癌細胞、TRI細胞、MRC 5細胞、FS4細胞またはヒト肝細胞癌細胞(例えば、Hep G2)である。一部の実施形態では、細胞は、非哺乳動物細胞(例えば、昆虫細胞または酵母細胞)である。
本開示の実施形態は、チロシン栄養要求体(即ち、本明細書で提供される1つまたは複数の組換え核酸構築物の細胞中への導入なしでは、チロシン栄養要求体である)である哺乳動物細胞との使用に特に適している。本明細書で使用する場合、特定の栄養素に関して、「栄養要求体」は、正常な成長/生存のために、細胞の外側からのその栄養素を必要とする細胞を指す(即ち、この細胞は、正常な機能のために十分な量のその栄養素を合成できない)。対照的に、本明細書で使用する場合、特定の栄養素に関して、「原栄養体」は、正常な成長/生存に十分な量のその栄養素を合成できる細胞を指す(即ち、この細胞は、正常な機能のために十分な量のその栄養素を合成できる)。したがって、例えば、「チロシン栄養要求体」は、正常な機能のために十分な量のチロシンを合成できない細胞を指す。したがって、「チロシン栄養要求体」である細胞は、適切な成長のために細胞の外側の供給源からチロシンを受け取らなければならない。典型的には、これは、チロシン含有細胞培養培地中で、チロシン栄養要求体である細胞を培養することによって達成される。対照的に、「チロシン原栄養体」である細胞は、細胞の外側の供給源からチロシンを受け取る必要がなく、したがって、チロシン原栄養体細胞は、例えば、チロシンを含まない(または非常に低い濃度のチロシンのみを含む)細胞培養培地中で培養され得る。当業者に理解されるように、一部の実施形態では、「チロシン栄養要求体」は、チロシン欠乏培地中でいくらかの成長または生存をなおも有し得るが、その成長または生存は、十分な量のチロシンを含む細胞培養培地中で起こるものよりも顕著に低い(即ち、細胞は窮迫している)。
一例として、CHO細胞は、チロシン栄養要求体である。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物は、チロシン栄養要求体である任意の細胞株と共に使用され得る。一部の実施形態では、チロシン栄養要求体である細胞株は、チロシン欠乏培地中での成長についてその細胞株をアッセイすることによって同定され得る[任意選択により、チロシン欠乏培地中での細胞株の成長は、その細胞株に適切な2つのバージョンの培地を調製してアッセイされ得、このとき、これら2つのバージョンは、第1のバージョンの培地が正常な量のチロシン(例えばおおよそ1~3mMのチロシンであってもよい)を含み、第2のバージョンの培地が、チロシンをほとんどまたは全く含まない(例えば、約1mM未満、約0.8mM未満、約0.6mM未満、約0.5mM未満、約0.2mM未満、約0.1mM未満、約50μM未満、約20μM未満、約10μM未満、約5μM未満、約2μM未満、約1μM未満、または0μMのチロシン)ことを除いて、同一である。次いで、試験される細胞株は、他の点では同一の条件下で異なるバージョンの培地中で培養され得る。正常なチロシン含有培地と比較して、チロシン欠乏培地中で顕著に損なわれた成長を有する細胞株は、チロシン栄養要求体である]。一部の実施形態では、チロシン栄養要求体である細胞株は、その細胞株におけるPAHおよびPCBD1遺伝子の発現レベルをアッセイすることによって同定され得る。低い発現レベルのPAHおよびPCBD1遺伝子を有する細胞は一般に、チロシン栄養要求体である(これは、上記のようにチロシン欠乏培地中でそれぞれの細胞株の成長を試験することによって確認できる)。
一部の実施形態では、第1の細胞培養培地中と比較して、第2の細胞培養培地中で「顕著に損なわれた成長」(など)を有する細胞または細胞培養物は、細胞が同じ条件下で別に培養される場合、第1の細胞培養培地中よりも少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%多い、第2の細胞培養培地中での倍加時間を有する(即ち、第2の細胞培養培地中で倍加するには、より多くの時間がかかる)。一部の実施形態では、第1の細胞培養培地中と比較して、第2の細胞培養培地中で「顕著に損なわれた成長」を有する細胞または細胞培養物は、細胞が同じ条件下で同じ期間にわたって別に培養される場合、第1の細胞培養培地中よりも少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%少ない、第2の細胞培養培地中での細胞計数を有する。一部の実施形態では、第1の細胞培養培地中と比較して、第2の細胞培養培地中で「顕著に損なわれた成長」を有する細胞または細胞培養物は、細胞が同じ条件下で同じ期間にわたって別に培養される場合、第1の細胞培養培地中よりも少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%低い、第2の細胞培養培地中での細胞密度を有する。任意選択により、第1および第2の細胞培養培地中での細胞または細胞培養物の成長を比較するための上で提供された説明は、異なる培養条件(例えば、異なる温度など)下での細胞または細胞培養物の成長を比較することに同様に当てはまり得る。
一部の実施形態では、本明細書で提供されるチロシン選択マーカー系を使用する方法は、元々チロシン原栄養体であったが、チロシン栄養要求体に変換されるように遺伝子改変された親細胞株に由来する宿主細胞と共に使用され得る。例えば、一部の実施形態では、チロシン原栄養体である細胞は、宿主細胞における内因性PAHまたはPCBD1遺伝子の発現が低減されるように、細胞中のチロシン代謝経路の1つもしくは複数の遺伝子(例えば、PAHおよびPCBD1遺伝子)を欠失もしくは変異させることによって、または細胞中の、チロシン代謝経路の遺伝子の発現を制御する1つまたは複数の配列(例えば、内因性PAHまたはPCBD1遺伝子の発現を調節する発現制御配列)を欠失もしくは変異させることによって、チロシン栄養要求体に変換され得る。細胞中の遺伝子は、当該分野で公知の方法によって、例えば、CRISPR、TALENまたはジンクフィンガー関連プロセスによって欠失または変異され得る。
一部の他の実施形態では、チロシン原栄養体である細胞は、細胞中の、例えば、HPD(4-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ)、HGD(ホモゲンチジン酸1,2-ジオキシゲナーゼ)、GCH1(GTPシクロヒドロラーゼ1)、SPR(セピアプテリンレダクターゼ)、QDPR(キノイドジヒドロプテリジンレダクターゼ)、GOT1(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ1、可溶性)、GOT2(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ2、ミトコンドリア)、GSTZ1(グルタチオントランスフェラーゼゼータ1(マレイルアセト酢酸イソメラーゼ))、FAH(フマリルアセト酢酸ヒドラーゼ)、MIF(マクロファージ遊走阻害因子)、およびPTS(6-ピルボイルテトラヒドロプテリンシンターゼ)から選択されるチロシン代謝経路の1つまたは複数の遺伝子を欠失または変異させることによって、チロシン栄養要求体に変換され得る。一部の実施形態では、PAHおよびPCBD1遺伝子との使用のための本明細書で提供される方法および組成物は、上で提供された遺伝子のうち1つまたは複数、および宿主細胞中のそれぞれの遺伝子またはその制御配列が欠失または変異された対応する宿主細胞と共に使用され得る。例えば、一部の実施形態では、目的のヌクレオチド配列およびHPD遺伝子を含む核酸構築物が、本明細書で提供され、また、核酸構築物を含む宿主細胞であって、内因性HPD遺伝子が欠失または変異された宿主細胞も本明細書で提供される。
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物に従う組換えPAHおよびPCBD1遺伝子を受け取った宿主細胞は、その組換えPAHおよびPCBD1遺伝子を含まない対応する細胞よりも、チロシン欠乏細胞培養培地中で増殖するより高い能力を有し得る。細胞増殖は、例えば、細胞中のDNA合成を測定することによって(例えば、標識されたDNAについてアッセイすることによって)、細胞代謝をアッセイすることによって、増殖マーカーをアッセイすることによって(例えば、Ki-67について)、細胞成長速度(例えば、倍加時間)を測定することによって、または細胞の密度もしくは数を測定することによって、測定され得る。対応する細胞/細胞培養物よりも「増殖するより高い能力」(など)を有する細胞または細胞培養物は、かかる細胞または細胞培養物がそれを上回って「増殖するより高い能力」を有する対応する細胞/培養物よりも、上記特徴のうち少なくとも1つ、2つまたは3つについて、より大きい値(または適切な場合には、より小さい値であって、このより小さい値は、より速い成長を示す)を有する。一部の実施形態では、対応する細胞/細胞培養物よりも「増殖するより高い能力」を有する細胞または細胞培養物は、細胞が同じ条件下で同じ期間にわたって培養される場合、対応する細胞/細胞培養物よりも少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%少ない倍加時間を有する(即ち、増殖するより高い能力を有する細胞または細胞培養物は、対応する細胞または細胞培養物よりも少ない時間で倍加する)。一部の実施形態では、対応する細胞/細胞培養物よりも「増殖するより高い能力」を有する細胞または細胞培養物は、細胞が同じ条件下で同じ期間にわたって培養される場合、対応する細胞/細胞培養物よりも少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%多い細胞計数を有する。一部の実施形態では、対応する細胞/細胞培養物よりも「増殖するより高い能力」を有する細胞または細胞培養物は、細胞が同じ条件下で同じ期間にわたって培養される場合、対応する細胞/細胞培養物よりも少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%高い細胞密度を有する。
一部の態様では、PAHおよびPCBD1遺伝子を含むが、例えば、目的のポリペプチドまたは目的のRNA分子をコードする目的のヌクレオチド配列を含まない1つまたは複数の核酸構築物を受け取った宿主細胞もまた、本明細書で提供される。細胞を作製する関連の組成物および方法もまた、本明細書で提供される。一部の実施形態では、かかる宿主細胞(例えば、外因性に導入されたPAHおよびPCBD1遺伝子を含み、結果として、PAHおよびPCBD1含有構築物を受け取っていない対応する宿主細胞よりも高いPAHおよびPCBD1発現を有する)は、例えば、チロシン欠乏培地中で成長するその能力のために、目的とされ得る。チロシン欠乏培地の使用は、培地調製を単純化し得、および/または培地費用を低下させ得る。
一部のさらなる態様では、外因性PAHおよび/またはPCBD1遺伝子を受け取っていないが、その内因性PAHおよび/またはPCBD1遺伝子が対応する非改変細胞中よりも高い発現を有するように遺伝子改変された宿主細胞もまた、本明細書で提供される。例えば、一部の実施形態では、組換えプロモーター配列は、導入されると、内因性PAHまたはPCBD1遺伝子に作動可能に連結され、それぞれの内因性PAHまたはPCBD1遺伝子の増加した発現を引き起こすように、宿主細胞ゲノム中に導入され得る。その内因性PAHおよびPCBD1遺伝子の増加した発現を有するように改変された宿主細胞は、例えば、チロシン欠乏培地中で増殖するその能力のために(例えば、上記理由のために)有用であり得る。
したがって、一部の実施形態では、上記方法および組成物(ここで、PAHおよびPCBD1遺伝子の発現は、宿主細胞中に目的のポリペプチドまたは目的のRNA配列をコードする目的の外因性ヌクレオチド配列もまた必ずしも導入せずに、宿主細胞において増加される)は、その未改変の形態では低い発現レベルのPAHおよびPCBD1遺伝子を有する任意の宿主細胞と共に使用され得る。これらの方法および組成物は、例えば、かかる細胞が細胞のために培地中にチロシンを有する必要性を低減または排除するために、かかる宿主細胞を改変するために使用され得る。
細胞中へのポリヌクレオチドの導入
本明細書で提供されるポリヌクレオチド(例えば、核酸構築物、ベクターなど)は、例えば、エレクトロポレーション、塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE-デキストランまたは他の物質を使用するトランスフェクション、微粒子銃、リポフェクション、および感染(例えば、ベクターが、ワクシニアウイルスなどの感染性因子である場合)を含むいくつかの適切な手段のいずれかによって、宿主細胞中に導入され得る。宿主細胞中へのポリヌクレオチドの導入のための方法の選択は、宿主細胞の特色に依存する場合が多い。
哺乳動物宿主細胞中に、目的のタンパク質の発現を達成するのに十分な核酸を導入するのに適切な方法は、当該分野で公知である。例えば、その各々が本明細書で参照によって組み込まれる、Gethingら、Nature、293:620~625、1981;Manteiら、Nature、281:40~46、1979;Levinsonら EP 117,060;およびEP 117,058を参照されたい。哺乳動物細胞について、哺乳動物細胞中に遺伝材料を導入する一般的な方法には、Grahamおよびvan der Erb(Virology、52:456~457、1978)のリン酸カルシウム沈殿方法またはlipofectamine(商標)(Gibco BRL)Method of Hawley-Nelson(Focus 15:73、1993)が含まれる。哺乳動物細胞宿主系の形質転換の一般的態様は、1983年8月16日に発行した米国特許第4,399,216号においてAxelによって記載されている。哺乳動物細胞中に遺伝材料を導入するための種々の技術については、Keownら、Methods in Enzymology、1989、Keownら、Methods in Enzymology、185:527~537、1990およびMansourら、Nature、336:348~352、1988を参照されたい。核酸を導入するのに適切なさらなる方法には、例えば、BioRad(商標)によるGenePulser XCell(商標)エレクトロポレーターを使用して採用される、エレクトロポレーションが含まれる。哺乳動物細胞におけるタンパク質の発現に適切なベクターの比限定的な代表例には、以下のものが含まれ、その各々の全体は、本明細書で参照によって組み込まれる:pCDNA1;pCD、Okayamaら、Mol.Cell Biol.5:1136~1142、1985を参照;pMClneo Poly-A、Thomasら、Cell 51:503~512、1987を参照;バキュロウイルスベクター、例えば、pAC 373またはpAC 610;CDM8、Seed,B.Nature 329:840、1987を参照;およびpMT2PC、Kaufmanら、EMBO J.6:187~195、1987を参照。
所望のポリヌクレオチドの送達および所望の細胞における発現のためのウイルスベースのベクターは、当該分野で周知である。例示的なウイルスベースのビヒクルには、組換えレトロウイルス(例えば、PCT出願公開番号WO90/07936、WO94/03622、WO93/25698、WO93/25234、WO93/11230、WO93/10218、WO91/02805、米国特許第5,219,740号および同第4,777,127号、英国特許第2,200,651号、および欧州特許第0345242号を参照されたい)、アルファウイルスベースのベクター(例えば、シンドビスウイルスベクター、セムリキ森林ウイルス(ATCC VR-67、ATCC VR-1247)、ロスリバーウイルス(ATCC VR-373、ATCC VR-1246)およびベネズエラウマ脳炎ウイルス(ATCC VR-923、ATCC VR-1250、ATCC VR 1249、ATCC VR-532))、ならびにアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター(例えば、PCT出願公開番号WO94/12649、WO93/03769、WO93/19191、WO94/28938、WO95/11984およびWO95/00655を参照されたい)が含まれるがこれらに限定されない。Curiel、Hum.Gene Ther.、1992、3:147に記載されるような、死滅アデノウイルスに連結されたDNAの投与もまた使用され得る。
死滅アデノウイルス単独に連結されたまたは連結されていないポリカチオン性縮合DNA(例えば、Curiel、Hum.Gene Ther.、1992、3:147を参照されたい)、リガンド連結したDNA(例えば、Wu,J. Biol.Chem.、1989、264:16985を参照されたい)、真核生物細胞送達ビヒクル細胞(例えば、米国特許第5,814,482号、PCT出願公開番号WO95/07994、WO96/17072、WO95/30763、およびWO97/42338を参照されたい)および核荷電中和(nucleic charge neutralization)または細胞膜との融合が含まれるがこれらに限定されない、非ウイルス性の送達ビヒクルおよび方法もまた使用され得る。
ネイキッドDNAもまた使用され得る。例示的なネイキッドDNA導入法は、PCT出願公開番号WO90/11092および米国特許第5,580,859号に記載されている。遺伝子送達ビヒクルとして作用し得るリポソームは、米国特許第5,422,120号、PCT出願公開番号WO95/13796、WO94/23697、WO91/14445、およびEP 0524968に記載されている。さらなるアプローチは、Philip、Mol.Cell Biol.、1994、14:2411およびWoffendin、Proc.Natl.Acad.Sci.、1994、91:1581に記載されている。ネイキッドDNAは、DNAおよびリン酸カルシウムを含む沈殿物を形成することによって、細胞中に導入され得る。あるいは、ネイキッドDNAは、DNAおよびDEAE-デキストランの混合物を形成し、この混合物を細胞と共にインキュベートすること、または細胞およびDNAを適切な緩衝液中で一緒にインキュベートし、(例えば、エレクトロポレーションによって)細胞を高電圧電気パルスに供することによっても、細胞中に導入され得る。ネイキッドDNAは、例えば、マイクロインジェクションによって、細胞中に直接注入することもできる。あるいは、ネイキッドDNAは、細胞表面受容体に対するリガンドにカップリングされたポリリジンなどのカチオンにDNAを複合体化させることによって、細胞中に導入することもできる(例えば、その各々の全体が本明細書で参照によって組み込まれる、Wu,G.およびWu,C.H. J.Biol.Chem.263:14621、1988;Wilsonら J.Biol.Chem.267:963~967、1992;ならびに米国特許第5,166,320号を参照されたい)。受容体へのDNA-リガンド複合体の結合は、受容体媒介性のエンドサイトーシスによるDNAの取込みを促進する。
ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるポリヌクレオチドは、宿主細胞中に安定に導入される。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるポリヌクレオチドは、宿主細胞中に一過的に導入される。
宿主細胞ゲノム中への核酸の組み込み
ポリヌクレオチドが宿主細胞中に安定に導入される本明細書で提供される実施形態(例えば、ポリヌクレオチドが宿主細胞染色体中に組み込まれる状況)では、ポリヌクレオチドは、宿主細胞の染色体中にランダムに組み込まれ得、またはポリヌクレオチドは、宿主細胞の染色体中の特定の位置において組み込まれ得る。これらのアプローチは、本明細書で、それぞれ、「ランダム組み込み」または「部位特異的組み込み(「SSI」)」と呼ばれ得る。
ランダム組み込みについて、典型的には、組換え核酸構築物が各々、少なくとも1つの目的のヌクレオチド配列、および選択可能なマーカー系の全てまたは一部である少なくとも1つの遺伝子を含む、1つまたは複数の組換え核酸構築物が調製される。例えば、本明細書で提供されるチロシン選択可能なマーカー系は、PAH遺伝子およびPCBD1遺伝子を含む。チロシン原栄養体に変換されるチロシン栄養要求体細胞について、チロシン栄養要求体細胞は、PAH遺伝子およびPCBD1遺伝子の両方の外因性コピーを受け取る。PAH遺伝子およびPCBD1遺伝子は、別々の外因性核酸構築物上で、または同じ外因性核酸構築物上で一緒に、宿主細胞中に導入され得る。したがって、本明細書で提供される一部の実施形態では、第1の目的のヌクレオチド配列ならびにPAH遺伝子およびPCBD1遺伝子のうち少なくとも1つを含む組換え核酸構築物が提供される。一部の実施形態では、目的のヌクレオチド配列ならびにPAH遺伝子およびPCBD1遺伝子の両方を含む組換え核酸構築物が提供される。一部の実施形態では、第1の目的のヌクレオチド配列およびPAH遺伝子を含む第1の組換え核酸構築物、ならびに第2の目的のヌクレオチド配列およびPCBD1遺伝子を含む第2の組換え核酸構築物が提供される。
チロシン選択可能なマーカー系の遺伝子を含むポリヌクレオチドの調製後、これらのポリヌクレオチドは、(例えば、細胞をこれらのポリヌクレオチドでトランスフェクトするために)チロシン栄養要求体細胞の集団中に導入され、ポリヌクレオチドが組み込まれた細胞が、チロシン欠乏培地中での細胞の成長によって選択される。一般に、チロシン選択可能なマーカー系の遺伝子を含むポリヌクレオチドが、チロシン栄養要求体細胞の集団中に導入され、細胞が、チロシン欠乏培地中での細胞の成長について選択された後に、細胞中にPAHおよびPCBD1遺伝子を含むポリヌクレオチドの異なる数のコピーを含む、ならびに細胞の染色体中にポリヌクレオチドの異なる位置の組み込みを含む、細胞の不均一な集団(本明細書で細胞の「プール」とも呼ばれる)が存在し得る。任意選択により、生成されたチロシン原栄養体のこのプール由来の個々の細胞は、選別および単離され得、異なるチロシン原栄養体の個々の均一な細胞株集団が樹立され得る(本明細書で細胞株「クローン」とも呼ばれる)。チロシン原栄養体の異なるクローンは、例えば、PAHおよび/もしくはPCBD1遺伝子を含む核酸構築物上の目的のポリペプチドをコードする遺伝子(存在する場合)の異なるレベルのタンパク質産生、または異なる細胞成長速度を示し得る。あるいは、一部の実施形態では、外因性PAHおよびPCBD1遺伝子を含む細胞の不均一なプールが維持され得る。いずれかの型の上記細胞集団(例えば、均一または不均一な集団)が、本明細書に記載される種々の方法(例えば、タンパク質産生)のために使用され得る。
一部の実施形態では、ランダム組み込みのための核酸構築物は、直鎖ポリヌクレオチドであり得る。一部の実施形態では、直鎖構造は、(例えば、PCRまたは化学的ポリヌクレオチド合成による)直鎖分子の合成によって生成され得る。一部の実施形態では、直鎖構造は、直鎖核酸分子を生成するための(例えば、制限酵素による)環状ベクターの切断によって生成され得る。
一部の実施形態では、細胞の染色体中に組み込まれた本明細書で提供される1つまたは複数の核酸構築物を含む宿主細胞が、本明細書で提供される。例えば、一部の実施形態では、細胞の染色体中に組み込まれた目的のヌクレオチド配列、PAH遺伝子およびPCBD1遺伝子を含む組換え核酸構築物を含む宿主細胞が、本明細書で提供される。別の例では、一部の実施形態では、細胞の染色体中に組み込まれた第1の目的のヌクレオチド配列およびPAH遺伝子を含む第1の組換え核酸構築物、ならびに細胞の染色体中に組み込まれた第2の目的のヌクレオチド配列およびPCBD1遺伝子を含む第2の組換え核酸構築物を含む宿主細胞であって、第1の組換え核酸構築物を含む染色体および第2の組換え核酸構築物を含む染色体が、同じまたは異なる染色体であり得る宿主細胞が、本明細書で提供される。
部位特異的組み込みについて、一部の実施形態では、規定された染色体遺伝子座において「ランディングパッド」を含む宿主細胞が使用される。ランディングパッドは、染色体中に安定に組み込まれている、1つまたは複数の組換え標的部位を含む外因性ヌクレオチド配列を含む。ランディングパッド中の組換え標的部位に対応する1つまたは複数の組換え標的配列を含む外因性核酸構築物が宿主細胞中に導入される場合、外因性核酸構築物中の発現カセットは、(例えば、リコンビナーゼ媒介カセット交換(RMCE)を介して)ランディングパッド配列中に組み込まれ得るまたはランディングパッド配列を置き換え得る。実施形態では、本明細書で提供されるチロシン選択可能なマーカー系は、例えば、全ての目的のために本明細書で参照によって組み込まれる、Zhang Lら(Biotechnol Prog.2015;31:1645~1656)または国際出願公開番号WO2013/190032に記載されるSSI系と共に使用され得る。
一部の実施形態では、宿主細胞株中のランディングパッドは、宿主細胞のゲノム中の「ホットスポット」に位置し得る。本明細書で使用する場合、用語「ホットスポット」は、その部位において組み込まれた遺伝子(単数または複数)の安定な高い発現を提供する、宿主細胞のゲノム中の部位を意味する。
SSIのためのランディングパッドを含む細胞は、本明細書で「SSI宿主細胞」とも呼ばれ得る。本明細書で使用する場合、「SSI宿主細胞」は、少なくとも1つの組換え標的部位(例えば、ランディングパッド)を含む外因性ヌクレオチド配列を含む宿主細胞を指す。宿主細胞中の組換え標的部位は、宿主細胞のゲノム中への外因性ヌクレオチド配列の部位特異的組み込みを可能にし、したがって、宿主細胞のゲノム中の所望の場所における所望のヌクレオチド配列の所定の局在化され指示された組み込みを可能にする。したがって、一部の実施形態では、部位特異的組み込み宿主細胞は、宿主細胞の染色体中への本明細書に記載される組換え核酸構築物(またはその中の発現カセット)の標的化された組み込みが可能である。一部の実施形態では、部位特異的組み込み宿主細胞は、組換え媒介カセット交換(RMCE)による発現カセットの標的化された組み込みが可能である。
上記のような、宿主細胞ゲノム中への外因性核酸構築物の組換えが関与する本明細書で提供される組成物および方法について、リコンビナーゼもまた宿主細胞中に存在し、または宿主細胞中に導入される。外因性核酸構築物を導入することが関与する本明細書で提供される方法は、宿主細胞中に、リコンビナーゼをコードする遺伝子を導入することを含み得る。
一部の実施形態では、本明細書で使用されるチロシン選択可能なマーカー系は、特定の染色体位置において1つまたは複数のポリヌクレオチドカセットを受け取った細胞について選択するために使用され得、各カセットは、目的のポリヌクレオチド配列ならびにPAHおよびPCBD1遺伝子のうち一方または両方を含む。例えば、SSIについて本明細書で提供される一部の実施形態では、第1の目的のヌクレオチド配列ならびにPAH遺伝子およびPCBD1遺伝子のうち少なくとも1つを含む発現カセットを含む組換え核酸構築物が提供される。SSIについて本明細書で提供される一部の実施形態では、目的のヌクレオチド配列ならびにPAH遺伝子およびPCBD1遺伝子の両方を含む発現カセットを含む組換え核酸構築物が提供される。SSIについて本明細書で提供される一部の実施形態では、第1の目的のヌクレオチド配列およびPAH遺伝子を含む第1の発現カセットを含む第1の組換え核酸構築物、ならびに第2の目的のヌクレオチド配列およびPCBD1遺伝子を含む第2の発現カセットを含む第2の組換え核酸構築物が提供される。任意選択により、第1の発現カセットおよび第2の発現カセットが、宿主細胞中の異なる染色体位置(例えば、第1の染色体遺伝子座および第2の染色体遺伝子座)中への組み込みのために標的化されるように、第1の発現カセットおよび第2の発現カセットには、それぞれ、第1のSSI位置および第2のSSI位置についての組換え標的部位が隣接し得る。
一部の実施形態では、細胞の染色体中の特定の位置中に組み込まれた外因性組換え核酸構築物を含む宿主細胞が、本明細書で提供される。核酸構築物は、本明細書で提供される核酸構築物の特性のいずれかを有し得、例えば、目的のヌクレオチド配列ならびにPAH遺伝子およびPCBD1遺伝子を含み得る。一部の実施形態では、細胞の染色体中の特定の位置/ランディングパッド中に組み込まれた本明細書で提供される1つまたは複数の核酸構築物を含む宿主細胞が、本明細書で提供される。例えば、一部の実施形態では、細胞の染色体中の特定の位置中に組み込まれた目的のヌクレオチド配列、PAH遺伝子およびPCBD1遺伝子を含む組換え核酸構築物を含む宿主細胞が、本明細書で提供される。別の例では、一部の実施形態では、細胞の染色体中の第1の遺伝子座中に組み込まれた第1の目的のヌクレオチド配列およびPAH遺伝子を含む第1の組換え核酸構築物、ならびに細胞の染色体中の第2の遺伝子座中に組み込まれた第2の目的のヌクレオチド配列およびPCBD1遺伝子を含む第2の組換え核酸構築物を含む宿主細胞であって、第1の組換え核酸構築物を含む染色体および第2の組換え核酸構築物を含む染色体が、同じまたは異なる染色体であり得る宿主細胞が、本明細書で提供される。
組換えポリペプチド
別の態様では、本明細書で提供される組成物および方法を介して産生される組換えポリペプチドが、本明細書で提供される。例えば、本明細書で提供される組換え核酸構築物の構成成分である目的のヌクレオチド配列によってコードされる組換えポリペプチドが、本明細書で提供される。
宿主細胞において発現可能な任意のポリペプチドは、本発明の教示に従って産生され得、本発明の方法に従って、または本発明の細胞によって産生され得る。ポリペプチドは、天然に存在するアミノ酸配列を有し得、またはあるいは、人によって操作もしくは選択された配列を有し得る。
本発明に従って発現されることが望まれ得るポリペプチドは、興味深いまたは有用な生物学的または化学的活性に基づいて選択される場合が多い。例えば、本発明は、任意の薬学的にまたは商業的に適切な酵素、受容体、抗体、ホルモン、調節因子、抗原、結合因子などを発現させるために使用され得る。一部の実施形態では、培養物中の細胞によって発現されるタンパク質は、抗体もしくはその断片、ナノボディ、単一ドメイン抗体、糖タンパク質、治療的タンパク質、増殖因子、凝固因子、サイトカイン、融合タンパク質、医薬薬物物質、ワクチン、酵素、またはSmall Modular ImmunoPharmaceuticals(商標)(SMIPs)から選択される。当業者は、任意のタンパク質が本発明に従って発現され得ることを理解し、当業者の特定の要求に基づいて産生される特定のタンパク質を選択することができる。
抗体
医薬品または他の市販の薬剤として現在使用されているまたは調査中の多数の抗体を考慮すると、抗体の産生は、本発明に従って特に目的とされる。抗体は、特定の抗原に特異的に結合する能力を有するタンパク質である。宿主細胞において発現され得る任意の抗体が、本発明に従って産生され得、本発明の方法に従って、または本発明の細胞によって産生され得る。
第1の目的のヌクレオチド配列および第2の目的のヌクレオチド配列が関与する本明細書で提供される実施形態では、任意選択により、第1の目的のヌクレオチド配列は、抗体可変重鎖(VH)領域を含む第1のポリペプチドをコードし得、第2の目的のヌクレオチド配列は、抗体可変軽鎖(VL)領域を含む第2のポリペプチドをコードし得る。任意選択により、第1の目的のヌクレオチド配列は、抗体重鎖を含むポリペプチドをコードし得、第2の目的のヌクレオチド配列は、抗体軽鎖を含むポリペプチドをコードし得る。任意選択により、第1の目的のヌクレオチド配列は、抗体重鎖の3つのCDRを含むポリペプチドをコードし得、第2の目的のヌクレオチド配列は、抗体軽鎖の3つのCDRを含むポリペプチドをコードし得る。
一部の実施形態では、本明細書の開示に従って産生される抗体は、モノクローナル抗体である。一部の実施形態では、モノクローナル抗体は、キメラ抗体である。キメラ抗体は、1種よりも多い生物に由来するアミノ酸断片を含む。キメラ抗体分子は、ヒト定常領域と共に、例えば、マウス、ラットまたは他の種の抗体由来の抗原結合ドメインを含み得る。キメラ抗体を作製するための種々のアプローチが記載されている。例えば、Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.81、6851(1985);Takedaら、Nature 314、452(1985)、Cabillyら、米国特許第4,816,567号;Bossら、米国特許第4,816,397号;Tanaguchiら、欧州特許出願公開EP171496;欧州特許出願公開0173494、英国特許GB2177096号Bを参照されたい。
一部の実施形態では、モノクローナル抗体は、例えば、リボソームディスプレイもしくはファージディスプレイライブラリーの使用(例えば、Winterら、米国特許第6,291,159号およびKawasaki、米国特許第5,658,754号を参照されたい)、またはネイティブ免疫系の他の構成成分をインタクトにしつつ、ネイティブ抗体遺伝子が不活性化されヒト抗体遺伝子によって機能的に置き換えられた異種移植(xenographic)種の使用(例えば、Kucherlapatiら、米国特許第6,657,103号を参照されたい)を介して誘導されたヒト抗体である。
一部の実施形態では、モノクローナル抗体は、ヒト化抗体である。ヒト化抗体は、アミノ酸残基の大多数がヒト抗体に由来し、したがって、ヒト対象に送達された場合のいずれの可能な免疫反応も最小化する、キメラ抗体である。ヒト化抗体では、相補性決定領域中のアミノ酸残基は、少なくとも一部、所望の抗原特異性または親和性を付与する非ヒト種由来の残基で置き換えられる。かかる変更された免疫グロブリン分子は、当該分野で公知のいくつかの技術のいずれかによって作製され得(例えば、Tengら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、80、7308~7312(1983);Kozborら、Immunology Today、4、7279(1983);Olssonら、Meth.Enzymol.、92、3~16(1982))、好ましくは、その全てが本明細書で参照によって組み込まれるPCT出願公開WO92/06193またはEP0239400の教示に従って作製される。ヒト化抗体は、例えば、Scotgen Limited、2 Holly Road、Twickenham、Middlesex、Great Britainによって、商業的に産生され得る。さらなる参考文献として、その全てが本明細書で参照によって組み込まれる、Jonesら、Nature 321:522~525(1986);Riechmannら、Nature 332:323~329(1988);およびPresta、Curr.Op.Struct.Biol.2:593~596(1992)を参照されたい。
一部の実施形態では、上記モノクローナル、キメラまたはヒト化抗体は、本来いずれの種のいずれの抗体中にも天然に存在しないアミノ酸残基を含み得る。これらの外来残基は、例えば、モノクローナル、キメラまたはヒト化抗体に、新規のまたは改変された特異性、親和性またはエフェクター機能を付与するために利用され得る。一部の実施形態では、上記抗体は、全身薬物療法用の薬物、例えば、毒素、低分子量細胞毒性薬物、生物学的応答改変薬および放射性核種にコンジュゲートされ得る(例えば、US20040082764A1を参照されたい)。
発現されたタンパク質の単離
一般に、本発明に従って発現されたタンパク質を単離および/または精製することが、典型的には望ましい。ある特定の実施形態では、発現されたタンパク質は、培地中に分泌され、したがって、細胞および他の固形物は、例えば、精製プロセス中の第1のステップとして、遠心分離または濾過などによって除去され得る。あるいは、発現されたタンパク質は、細胞中に残存し得、または宿主細胞の表面に結合され得る。かかる状況では、培地は除去され得、タンパク質を発現する宿主細胞は、精製プロセス中の第1のステップとして溶解される。哺乳動物宿主細胞の溶解は、ガラスビーズによる物理的破壊および高pH条件への曝露を含む、当業者に周知の任意の数の手段によって達成され得る。
発現されたタンパク質は、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティ、サイズ排除およびヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー)、ゲル濾過、遠心分離もしくは示差的溶解度、エタノール沈殿が含まれるがこれらに限定されない標準的な方法によって、および/またはタンパク質の精製のための任意の他の利用可能な技術によって、単離および精製され得る(例えば、その各々が本明細書で参照によって組み込まれる、Scopes、Protein Purification Principles and Practice 第2版、Springer-Verlag、New York、1987;Higgins,S.J.およびHames,B.D.(編)、Protein Expression:A Practical Approach、Oxford Univ Press、1999;ならびにDeutscher,M.P.、Simon,M.I.、Abelson,J.N.(編)、Guide to Protein Purification:Methods in Enzymology(Methods in Enzymology Series、182巻)、Academic Press、1997を参照されたい)。特に免疫親和性クロマトグラフィーについて、タンパク質は、そのタンパク質に対して惹起され静置支持体に固定された抗体を含むアフィニティカラムにそのタンパク質を結合させることによって単離され得る。あるいは、親和性タグ、例えば、インフルエンザコート配列、ポリヒスチジンまたはグルタチオン-S-トランスフェラーゼが、適切なアフィニティカラムを通過させることによる容易な精製を可能にするために、標準的な組換え技術によってタンパク質に結合され得る。プロテアーゼ阻害剤、例えば、フッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)、ロイペプチン、ペプスタチンまたはアプロチニンが、精製プロセスの間のタンパク質の分解を低減または排除するために、任意のまたは全ての段階で添加され得る。プロテアーゼ阻害剤は、発現されたタンパク質を単離および精製するために細胞が溶解される必要がある場合、特に有利である。
当業者は、正確な精製技術が、精製されるタンパク質の特徴、タンパク質が発現される細胞の特徴、および/または細胞が成長した培地の組成に依存して変動することを理解する。
細胞培養および細胞培養培地
用語「培地(medium)」、「培地(media)」などは、本明細書で使用する場合、成長中の哺乳動物細胞に栄養分を与える構成成分または栄養素を含む溶液を指す。典型的には、栄養素には、最低限の成長および/または生存のために細胞が必要とする、必須および非必須アミノ酸、ビタミン、エネルギー源、脂質ならびに微量元素が含まれる。かかる溶液は、ホルモンおよび/もしくは他の増殖因子、特定のイオン(例えば、ナトリウム、塩化物、カルシウム、マグネシウムおよびリン酸)、緩衝液、ビタミン、ヌクレオシドもしくはヌクレオチド、微量元素(非常に低い最終濃度で通常存在する無機化合物)、高い最終濃度で存在する無機化合物、アミノ酸、脂質ならびに/またはグルコースもしくは他のエネルギー源が含まれるがこれらに限定されない、最小速度を上回って成長および/または生存を増強するさらなる栄養素または補足的構成成分もまた含み得る。一部の実施形態では、培地は、有利には、細胞の生存および増殖にとって最適なpHおよび塩濃度になるように製剤化される。一部の実施形態では、培地は、細胞培養の開始後に添加される供給培地である。
広範な種々の哺乳動物成長培地が、本発明に従って使用され得る。一部の実施形態では、細胞は、種々の化学的に規定された培地のうち1つにおいて成長され得、この培地の構成成分は、公知であり、管理されている。一部の実施形態では、細胞は、培地の構成成分が必ずしも全て公知ではないかおよび/または管理されていない複合的な培地中で成長させることもできる。
哺乳動物細胞培養のための化学的に規定された成長培地は、過去数十年間にわたって幅広く開発され、公開されている。規定された培地の全ての構成成分は、十分に特徴付けられており、したがって、規定された培地は、血清または加水分解産物などの複雑な添加物を含まない。初期の培地製剤は、タンパク質産生についてほとんどまたは全く気にせずに、細胞の成長および生存度の維持を可能にするために開発されたものである。より最近では、培地製剤は、高度に生産的な組換えタンパク質産生細胞培養物を支持するという明確な目的をもって開発されている。かかる培地は、本発明の方法における使用に好ましい。かかる培地は、一般に、高密度での細胞の成長および/または維持を支持するために、高い量の栄養素、特にアミノ酸を含む。必要に応じて、これらの培地は、本発明の方法における使用のために、当業者によって改変され得る。例えば、当業者は、本明細書で開示される方法における基本培地または供給培地としての使用のために、これらの培地中のフェニルアラニン、チロシン、トリプトファンおよび/またはメチオニンの量を減少させ得る。
一部の実施形態では、チロシン欠乏培地が、本明細書で提供される。本明細書で使用する場合、「チロシン欠乏培地」などは、チロシン栄養要求体の正常な成長および維持を支持するのに十分なチロシンを含まない培地を指す(例えば、この培地は、高密度でのチロシン栄養要求体の成長および維持を支持しない)。チロシン栄養要求体は、チロシン欠乏培地中で限定的な成長を有するまたは成長しない。したがって、チロシン欠乏培地は、チロシン原栄養体についての選択圧として作用する。
一部の実施形態では、本明細書で提供されるチロシン欠乏培地は、約1mM未満、約0.8mM未満、約0.6mM未満、約0.5mM未満、約0.2mM未満、約0.1mM未満、約50μM未満、約20μM未満、約10μM未満、約5μM未満、約2μM未満、約1μM未満、または0μMのチロシンを含む。一部の実施形態では、チロシン欠乏培地は、約0.5mM以下のチロシン、約0.2mM以下のチロシン、約0.1mM以下のチロシン、約50μM以下のチロシン、約20μM以下のチロシン、約10μM以下のチロシン、約5μM以下のチロシン、約2μM以下のチロシン、約1μM以下のチロシン、または0μMのチロシンを含む。任意選択により、チロシン欠乏培地は、無チロシンである。
一例では、CHO細胞は、一般的には、少なくとも約1mMのチロシンを含む培地中で培養される。したがって、一部の実施形態では、チロシン欠乏培地中で培養されるCHO細胞は、約1mM未満、約0.8mM未満、約0.6mM未満、約0.5mM未満、約0.2mM未満、約0.1mM未満、約50μM未満、約20μM未満、約10μM未満、約5μM未満、約2μM未満、約1μM未満、または0μMのチロシンを含む培地中で培養される。
本明細書で提供される組成物および方法は、例えば、本明細書で提供される核酸構築物を含む細胞について選択するために、チロシン欠乏培地と共に使用され得、この核酸構築物は、本明細書で提供されるチロシン選択マーカー系の遺伝子(即ち、PAHおよびPCBD1)を含む。本明細書に記載される種々の培地は、チロシン欠乏形式で調製され得る(即ち、この場合、培地は、本明細書に記載される種々の特徴を有するが、チロシンを有さないまたは低いレベルのチロシンを有する)。
一部の実施形態では、PAHおよびPCBD1遺伝子の増加した発現またはコピー数を含む本明細書で提供される宿主細胞は、チロシン欠乏培地中で効率的に成長するその能力のために使用され得る。一部の実施形態では、例えば、培地の費用を低減させるため、培地の調製を単純化するため、または培地中のチロシンの存在によって引き起こされるいずれのネガティブな影響も低減させるために、培地中でチロシン欠乏状態で細胞を培養することが望ましい場合がある。
一部の実施形態では、本明細書で提供されるチロシン欠乏培地は、最小濃度または規定された濃度のフェニルアラニンを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供されるチロシン欠乏培地は、少なくとも1mM、少なくとも2mM、少なくとも3mM、少なくとも4mM、少なくとも5mM、少なくとも6mM、少なくとも8mM、または少なくとも10mMのフェニルアラニンを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供されるチロシン欠乏培地は、1~3mMの間、2~4mMの間、または3~5mMの間のフェニルアラニンを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供されるチロシン欠乏培地は、1~5mMの間または1~10mMの間のフェニルアラニンを含む。
複雑な培地の全ての構成成分が十分に特徴付けられるわけではなく、したがって、複雑な培地は、添加物、例えば、とりわけ、単純なおよび/または複雑な炭素供給源、単純なおよび/または複雑な窒素供給源、ならびに血清を含み得る。一部の実施形態では、本発明に適切な複雑な培地は、本明細書に記載されるように、規定された培地の他の構成成分に加えて、加水分解産物などの添加物を含む。
一部の実施形態では、規定された培地は、典型的には、水中に公知の濃度でおよそ50種の化学的実体または構成成分を含む。それらのほとんどは、1種または複数の十分に特徴付けられたタンパク質、例えば、インスリン、IGF-1、トランスフェリンまたはBSAもまた含むが、他のものは、タンパク質構成成分を必要とせず、したがって、規定された無タンパク質培地と呼ばれる。培地の典型的な化学的構成成分は、5つの広いカテゴリーに入る:アミノ酸、ビタミン、無機塩、微量元素、およびきっちりしたカテゴリー化を受け付けない種々のカテゴリー。
細胞培養培地には、補足的構成成分が補充されていてもよい。用語「補足的構成成分」は、本明細書で使用する場合、ホルモンおよび/もしくは他の増殖因子、特定のイオン(例えば、ナトリウム、塩化物、カルシウム、マグネシウムおよびリン酸)、緩衝液、ビタミン、ヌクレオシドもしくはヌクレオチド、微量元素(非常に低い最終濃度で通常存在する無機化合物)、アミノ酸、脂質ならびに/またはグルコースもしくは他のエネルギー源が含まれるがこれらに限定されない、最小速度を上回って成長および/または生存を増強する構成成分を指す。一部の実施形態では、補足的構成成分は、初期細胞培養物に添加され得る。一部の実施形態では、補足的構成成分は、細胞培養の開始後に添加され得る。
典型的には、微量元素である構成成分は、マイクロモル濃度またはそれよりも低いレベルで含まれる種々の無機塩を指す。例えば、一般的に含まれる微量元素は、亜鉛、セレン、銅などである。一部の実施形態では、鉄(鉄二価塩または鉄三価塩)が、初期細胞培養培地中に、マイクロモル濃度で微量元素として含まれ得る。マンガンもまた、微量元素の中でも、ナノモル濃度~マイクロモル濃度の濃度範囲で、二価カチオン(MnClまたはMnSO)として頻繁に含まれる。多数のあまり一般的でない微量元素は、通常、ナノモル濃度で添加される。
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物には、細胞培養物および細胞培養培地が関与する。用語「培養物」および「細胞培養物」は、本明細書で使用する場合、細胞集団の生存および/または成長に適切な条件下で培地中にある細胞集団を指す。当業者に明らかなように、一部の実施形態では、これらの用語は、本明細書で使用する場合、細胞集団および集団がその中に存在する培地を含む組合せを指す。一部の実施形態では、細胞培養物の細胞は、哺乳動物細胞を含む。一部の実施形態では、細胞培養物は、懸濁物中の細胞を含む。一部の実施形態では、細胞培養物は、基材上で成長した細胞を含む。
一部の実施形態では、本明細書で提供される組換え核酸構築物を含む本明細書で提供される宿主細胞は、目的のヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質を産生するために使用され得る。同様に、本明細書で提供されるように、本明細書で提供される方法および組成物は、目的のヌクレオチド配列を含む宿主細胞を取得するために使用され得、かかる目的のヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドが、産生および精製され得る。さらに、かかる宿主細胞は、生成および培養され得る。
本発明は、所望のプロセス(例えば、本明細書で提供される方法に従う組換え核酸構築物の導入、および組換えタンパク質(例えば、抗体)の産生)に適した任意の細胞培養法と共に使用され得る。非限定的な例として、細胞は、バッチまたは流加培養で成長され得、この場合、培養は、組換えタンパク質(例えば、抗体)の十分な発現後に終結され、その後、発現されたタンパク質(例えば、抗体)が収集される。あるいは、別の非限定的な例として、細胞は、バッチ再供給(batch-refeed)で成長され得、この場合、培養は終結されず、新たな栄養素および他の構成成分が、培養物に周期的または継続的に添加され、その間、発現された組換えタンパク質(例えば、抗体)は、周期的または継続的に収集される。他の適切な方法(例えば、スピンチューブ)培養)が、当該分野で公知であり、本発明を実施するために使用され得る。
一部の実施形態では、凍結乾燥製剤または水溶液の形態の、本明細書で提供される方法に従って宿主細胞から産生されたポリペプチド、および1種または複数の薬学的に許容できる担体、賦形剤または安定剤を含む組成物が、本明細書で提供される(Remington:The Science and practice of Pharmacy 第20版、2000、Lippincott Williams and Wilkins、K.E.Hoover編)。許容できる担体、賦形剤または安定剤は、その投薬量および濃度においてレシピエントにとって非毒性であり、緩衝液、例えば、リン酸、クエン酸および他の有機酸;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルアルコールもしくはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルパラベンもしくはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンもしくはリジン;グルコース、マンノースもしくはデキストランを含む、単糖、二糖および他の炭水化物;キレート剤、例えば、EDTA;糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトール;塩形成性対イオン、例えば、ナトリウム;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ならびに/または非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(商標)、PLURONICS(商標)もしくはポリエチレングリコール(PEG)を含み得る。
方法
一部の態様では、本明細書で提供される核酸および組成物を使用する方法が、本明細書で提供される。例えば、一部の実施形態では、目的のヌクレオチド配列を含む宿主細胞を取得するための方法が提供され、本明細書で開示されるチロシン選択マーカー系は、目的のヌクレオチド配列を取得した細胞について選択するために使用される。本明細書の他の箇所に記載されるように、これは、例えば、目的のヌクレオチド配列を、核酸構築物中でPAHおよびPCBD1遺伝子のうち一方または両方にカップリングすることによって達成され得る。PAHおよびPCBD1遺伝子を含む核酸構築物を受け取った細胞は、チロシン欠乏培地中で成長するその能力に基づいて選択され得る。一部の実施形態では、PAHおよびPCBD1遺伝子は、同じ核酸構築物中に一緒に含まれる:この形式を用いると、宿主細胞は、チロシン栄養要求体からチロシン原栄養体へと変換されるために、単一の構築物を受け取る必要があるだけである(それは、PAHおよびPCBD1遺伝子が共に、同じ構築物上で宿主細胞に進入するからである)。一部の他の実施形態では、PAHおよびPCBD1遺伝子は、異なる核酸構築物上に存在する。この形式を用いると、宿主細胞は、チロシン栄養要求体からチロシン原栄養体へと変換されるために、両方の構築物を受け取る必要がある。異なる核酸構築物上にPAHおよびPCBD1遺伝子を含む形式は、チロシン栄養要求体からチロシン原栄養体へと変換される宿主細胞を取得することの困難さを増加させ得るが、例えば、細胞中に、別々のベクター中で第1および第2の目的のヌクレオチド配列を導入することが望ましい場合には、これは有用である。2つの異なる核酸構築物中で、第1の目的のヌクレオチド配列をPAH遺伝子にカップリングし、第2の目的のヌクレオチド配列をPCBD1遺伝子にカップリングすることによって、第1および第2の両方の目的のヌクレオチド配列を取得した細胞が、チロシン原栄養性に基づいて選択され得る。
一部の実施形態では、例えば、異なる選択マーカーを含む複数の異なる外因性核酸が細胞中に導入され得、異なる目的の外因性核酸の全てを受け取った細胞が選択され得るように、本明細書で提供される組成物および方法は、1つまたは複数の他の選択マーカー系と組み合わせて使用され得る。本明細書で開示されるチロシン選択マーカー系と併せて使用され得る他の選択マーカー系には、例えば、グルタミンシンテターゼ(「GS」)選択マーカー、ハイグロマイシン選択マーカー、ピューロマイシン選択マーカー、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NPTII)選択マーカーまたはジヒドロ葉酸レダクターゼ選択マーカーが含まれる。
本明細書で使用する場合、用語「選択マーカー遺伝子」は、少なくとも1つの調節性エレメント、特にプロモーターの調節性および機能的制御下にあるヌクレオチド配列、特にポリペプチドをコードする遺伝子を指し、この遺伝子は、単独でまたは1つもしくは複数のさらなるポリペプチドと組み合わせて、そのポリペプチドを発現する宿主細胞の選択を可能にするポリペプチドをコードする。例えば、本明細書で提供されるチロシン選択マーカー系に関して、PAHおよびPCBD1は共に、「選択マーカー遺伝子」とみなされ得る。
GSマーカー系には、GS遺伝子が関与する。成長培地中にグルタミンが存在しない場合、グルタミンシンテターゼ(GS)活性は、培養物中の哺乳動物細胞の生存にとって必須である。一部の哺乳動物細胞株、例えば、マウス骨髄腫株は、グルタミンの添加なしに生存するのに十分なGSを発現しない。これらの細胞株を用いる場合、トランスフェクトされたGSマーカー遺伝子は、無グルタミン培地中での成長を可能にすることによって、選択可能なマーカーとして機能し得る。他の細胞株、例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞株は、外因性グルタミンなしに生存するのに十分なGSを発現する。これらの場合には、さらなるGS活性を有するトランスフェクタントのみが生存できるように、GS阻害剤メチオニンスルホキシイミン(MSX)が、内因性GS活性を阻害するために使用され得る。
したがって、例えば、一部の実施形態では、第1の目的の外因性ヌクレオチド配列および第2の目的の外因性ヌクレオチド配列を含む宿主細胞を取得する方法であって、a)細胞の集団中に、i)第1の目的のヌクレオチド配列、PAHおよびPCBD1遺伝子を含む第1の核酸構築物、ならびにii)第2の目的のヌクレオチド配列、およびグルタミンシンテターゼ(「GS」)選択マーカー遺伝子、ハイグロマイシン選択マーカー遺伝子、ピューロマイシン選択マーカー遺伝子またはジヒドロ葉酸レダクターゼ選択マーカー遺伝子からなる群から選択される選択マーカー遺伝子を含む第2の核酸構築物を導入するステップ、ならびにb)細胞の集団から、第1の核酸構築物および第2の核酸構築物を含む宿主細胞を選択するステップであって、宿主細胞が、i)チロシン原栄養性およびii)第2の核酸構築物中で提供されるそれぞれのマーカー遺伝子によって付与される生存特徴の両方について選択される、ステップ、を含む方法が、本明細書で提供される。別の実施形態では、第1の目的の外因性ヌクレオチド配列、第2の目的の外因性ヌクレオチド配列および第3の目的の外因性ヌクレオチド配列含む宿主細胞を取得する方法であって、a)細胞の集団中に、i)第1の目的のヌクレオチド配列およびPAH遺伝子を含む第1の核酸構築物、ii)第2の目的のヌクレオチド配列およびPCBD1遺伝子を含む第2の核酸構築物、ならびにiii)第3の目的のヌクレオチド配列、およびグルタミンシンテターゼ(「GS」)選択マーカー遺伝子、ハイグロマイシン選択マーカー遺伝子、ピューロマイシン選択マーカー遺伝子またはジヒドロ葉酸レダクターゼ選択マーカー遺伝子からなる群から選択される選択マーカー遺伝子を含む第3の核酸構築物を導入するステップ、ならびにb)細胞の集団から、第1の核酸構築物、第2の核酸構築物および第3の核酸構築物を含む宿主細胞を選択するステップであって、宿主細胞が、i)チロシン原栄養性およびii)第3の核酸構築物中で提供されるそれぞれの選択マーカー遺伝子によって付与される生存特徴の両方について選択される、ステップ、を含む方法が、本明細書で提供される。一部の実施形態では、上記方法のいずれかが、本明細書に記載されるSSIまたはランダム組み込みアプローチと共に使用され得る。
一部の実施形態では、PAHおよびPCBD1に加えて、チロシン代謝経路の1つまたは複数のさらなる遺伝子を過剰発現するように遺伝子操作された宿主細胞もまた、本明細書で提供される。例えば、一部の実施形態では、PAHおよびPCBD1遺伝子を含む本明細書で提供される1つまたは複数の核酸構築物を含む宿主細胞であって、HPD(4-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ);HGD(ホモゲンチジン酸1,2-ジオキシゲナーゼ);GCH1(GTPシクロヒドロラーゼ1);SPR(セピアプテリンレダクターゼ);QDPR(キノイドジヒドロプテリジンレダクターゼ);GOT1(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ1、可溶性);GOT2(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ2、ミトコンドリア);GSTZ1(グルタチオントランスフェラーゼゼータ1(マレイルアセト酢酸イソメラーゼ));FAH(フマリルアセト酢酸ヒドラーゼ);MIF(マクロファージ遊走阻害因子);およびPTS(6-ピルボイルテトラヒドロプテリンシンターゼ)からなる群から選択される1つまたは複数の遺伝子の外因性コピーをさらに含む宿主細胞が、本明細書で提供される。一部の実施形態では、かかる細胞は、チロシン代謝が改善されており、および/または望ましくない代謝物の産生が低減されている。PAHおよびPCBD1遺伝子を含む本明細書で提供される1つまたは複数の核酸構築物を含む宿主細胞であって、上に列挙した遺伝子のうち1つまたは複数の内因性遺伝子発現を増加させるようにさらに遺伝子改変された宿主細胞もまた、本明細書で提供される。
一部の実施形態では、本明細書で提供される組成物および方法は、全ての目的のために本明細書で参照によって組み込まれるPCT/IB2016/055666に開示された組成物および方法と組み合わせて使用され得る。
キット
一部の実施形態では、本明細書で提供される組換え核酸構築物、ベクター、宿主細胞、ポリペプチドまたは培地のうち1つまたは複数を含むキットもまた、本明細書で提供される。例えば、一部の実施形態では、A)i)目的のヌクレオチド配列およびii)PAH遺伝子を含む組換え核酸構築物、ならびにB)i)目的のヌクレオチド配列およびii)PCBD1遺伝子を含む組換え核酸構築物を含むキットが、本明細書で提供される。一部の実施形態では、A)PAH遺伝子を含む組換え核酸構築物およびB)PCBD1遺伝子を含む組換え核酸構築物を含むキットが、本明細書で提供される。任意選択により、キットの構成成分は、キット中に、異なる容器(即ち、第1の容器および第2の容器)中で提供される。容器には、例えば、バイアル、ビン、ジャー、可撓性梱包材料(例えば、密封Mylarまたはプラスチックバッグ)などが含まれる。任意選択により、キットは、本明細書に記載される本発明の方法のいずれかに従うキット中の物品の使用のための指示書を含む。キットは、さらなる構成成分、例えば、緩衝液および解釈情報を提供してもよい。
米国仮特許出願第62/472,225号(2017年3月16日出願)および同第62/628,018号(2018年2月8日出願)の内容は、全ての目的のために本明細書で参照によって組み込まれる。
例示的な実施形態
一部の態様では、以下の例示的な実施形態が、本明細書で提供される。
実施形態1.i)目的のヌクレオチド配列、ii)フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)遺伝子、およびiii)プテリン-4-アルファ-カルビノールアミンデヒドラターゼ(PCBD1)遺伝子を含む、組換え核酸構築物。
実施形態2.i)目的のヌクレオチド配列、およびii)PAH遺伝子を含む、組換え核酸構築物。
実施形態3.i)目的のヌクレオチド配列、およびii)PCBD1遺伝子を含む、組換え核酸構築物。
実施形態4.組換え標的配列をさらに含む、実施形態1に記載の組換え核酸構築物。
実施形態5.組換え標的配列をさらに含む、実施形態2に記載の組換え核酸構築物。
実施形態6.組換え標的配列をさらに含む、実施形態3に記載の組換え核酸構築物。
実施形態7.組換え標的配列が、FLP認識標的(「FRT」)、loxまたはBxb1配列である、実施形態4から6のいずれか1つに記載の組換え核酸構築物。
実施形態8.目的のヌクレオチド配列が、目的のポリペプチドをコードする、目的のRNA分子をコードする、または制限酵素部位を含む、実施形態1から7のいずれか1つに記載の組換え核酸構築物。
実施形態9.目的のヌクレオチド配列が、第1の目的のヌクレオチド配列であり、組換え核酸構築物が、第2の目的のヌクレオチド配列をさらに含む、実施形態1から8のいずれか1つに記載の組換え核酸構築物。
実施形態10.第1の目的のヌクレオチド配列および第2の目的のヌクレオチド配列が、内部リボソーム進入部位(IRES)をコードする配列によって構築物中で接続されている、実施形態9に記載の組換え核酸構築物。
実施形態11.第1の目的のヌクレオチド配列および第2の目的のヌクレオチド配列が、それぞれ第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドをコードする、実施形態10に記載の組換え核酸構築物。
実施形態12.第1の目的のヌクレオチド配列が、抗体可変軽鎖(VL)領域を含む第1のポリペプチドをコードし、第2の目的のヌクレオチド配列が、抗体可変重鎖(VH)領域を含む第2のポリペプチドをコードする、実施形態9から11のいずれか1つに記載の組換え核酸構築物。
実施形態13.実施形態1から12のいずれか1つに記載の組換え核酸構築物を含む、ベクター。
実施形態14.プラスミドベクターである、実施形態13に記載のベクター。
実施形態15.ウイルスベクターである、実施形態13に記載のベクター。
実施形態16.抗生物質選択マーカー遺伝子、グルタミンシンテターゼ選択マーカー遺伝子、ハイグロマイシン選択マーカー遺伝子、ピューロマイシン選択マーカー遺伝子およびジヒドロ葉酸レダクターゼ選択マーカー遺伝子からなる群から選択される選択マーカー遺伝子をさらに含む、実施形態13から15のいずれか1つに記載のベクター。
実施形態17.実施形態1から12のいずれか1つに記載の組換え核酸構築物または実施形態13から16のいずれか1つに記載のベクターを含む、宿主細胞。
実施形態18.実施形態1から12のいずれか1つに記載の組換え核酸構築物を含む宿主細胞であって、組換え核酸構築物が、宿主細胞の染色体中に安定に組み込まれている、宿主細胞。
実施形態19.実施形態2に記載の組換え核酸構築物および実施形態3に記載の組換え核酸構築物を含む宿主細胞であって、実施形態2の目的のヌクレオチド配列が、第1の目的のヌクレオチド配列であり、実施形態3の目的のヌクレオチド配列が、第2の目的のヌクレオチド配列である、宿主細胞。
実施形態20.実施形態2に記載の組換え核酸構築物および実施形態3に記載の組換え核酸構築物のうち少なくとも1つが、宿主細胞の第1の染色体中に安定に組み込まれている、実施形態19に記載の宿主細胞。
実施形態21.実施形態2に記載の組換え核酸構築物および実施形態3に記載の組換え核酸構築物が共に、宿主細胞の第1の染色体中に安定に組み込まれている、実施形態20に記載の宿主細胞。
実施形態22.実施形態2に記載の組換え核酸構築物が、宿主細胞の第1の染色体中に安定に組み込まれ、実施形態3に記載の組換え核酸構築物が、宿主細胞の第2の染色体中に安定に組み込まれている、実施形態20に記載の宿主細胞。
実施形態23.第1の目的のヌクレオチド配列が、抗体VH領域を含む第1のポリペプチドをコードし、第2の目的のヌクレオチド配列が、抗体VL領域を含む第2のポリペプチドコードする、実施形態19から22のいずれか1つに記載の宿主細胞。
実施形態24.哺乳動物細胞である、実施形態17から23のいずれか1つに記載の宿主細胞。
実施形態25.哺乳動物細胞が、マウス細胞、ヒト細胞またはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)宿主細胞である、実施形態24に記載の宿主細胞。
実施形態26.目的のヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドまたはRNA分子の産生のための、実施形態17から25のいずれか1つに記載の宿主細胞の使用。
実施形態27.第1の目的のヌクレオチド配列によってコードされる第1のポリペプチドまたは第1のRNA分子の産生のため、および第2の目的のヌクレオチド配列によってコードされる第2のポリペプチドまたは第2のRNA分子の産生のための、実施形態19から25のいずれか1つに記載の宿主細胞の使用。
実施形態28.実施形態17から25のいずれか1つに記載の宿主細胞によって産生された、組換えポリペプチド。
実施形態29.実施形態2に記載の組換え核酸構築物および実施形態3に記載の組換え核酸構築物を含む、組成物。
実施形態30.実施形態2に記載の組換え核酸構築物を含む第1のベクターおよび実施形態3に記載の組換え核酸構築物を含む第2のベクターを含む組成物であって、実施形態2の目的のヌクレオチド配列が、第1の目的のヌクレオチド配列であり、実施形態3の目的のヌクレオチド配列が、第2の目的のヌクレオチド配列である、組成物。
実施形態31.実施形態28に記載の組換えポリペプチドおよび薬学的に許容できる賦形剤を含む、組成物。
実施形態32.実施形態17から25のいずれか1つに記載の宿主細胞および細胞培養培地を含む、組成物。
実施形態33.宿主細胞、実施形態1から12のいずれか1つに記載の組換え核酸構築物および細胞培養培地を含む、組成物。
実施形態34.宿主細胞が、ランディングパッドを含む染色体を含み、ランディングパッドが、組換え標的部位を含む、実施形態33に記載の組成物。
実施形態35.宿主細胞、実施形態2に記載の組換え核酸構築物、実施形態3に記載の組換え核酸構築物および細胞培養培地を含む組成物であって、実施形態2の目的のヌクレオチド配列が、第1の目的のヌクレオチド配列であり、実施形態3の目的のヌクレオチド配列が、第2の目的のヌクレオチド配列である、組成物。
実施形態36.宿主細胞が、第1のランディングパッドおよび第2のランディングパッドを含み、第1のランディングパッドが、第1の組換え標的部位を含み、第2のランディングパッドが、第2の組換え標的部位を含む、実施形態35に記載の組成物。
実施形態37.宿主細胞が、第1のランディングパッドを含む第1の染色体および第2のランディングパッドを含む第2の染色体を含む、実施形態36に記載の組成物。
実施形態38.細胞培養培地がチロシン欠乏である、実施形態32から37のいずれか1つに記載の組成物。
実施形態39.細胞培養培地が、1mM未満のチロシンを含む、実施形態38に記載の組成物。
実施形態40.細胞培養培地が、500μM未満のチロシンを含む、実施形態39に記載の組成物。
実施形態41.目的の外因性ヌクレオチド配列を含む宿主細胞を取得する方法であって、
a)細胞の集団を、目的のヌクレオチド配列を含む外因性核酸構築物に曝露させるステップであって、外因性核酸構築物が、i)PAH遺伝子およびii)PCBD1遺伝子をさらに含む、ステップ、
b)チロシン欠乏培地中で、外因性核酸構築物に曝露された細胞の集団を培養するステップ、ならびに
c)外因性核酸構築物に曝露された細胞の集団から、目的の外因性ヌクレオチド配列を含む宿主細胞を取得するステップであって、目的の外因性ヌクレオチド配列を含む宿主細胞が、外因性核酸構築物を含み、外因性核酸構築物を含む宿主細胞が、その外因性核酸構築物を含まない対応する細胞よりも、チロシン欠乏細胞培養培地中で増殖するより高い能力を有する、ステップ、を含む方法。
実施形態42.外因性核酸構築物が、組換え標的配列をさらに含む、実施形態41に記載の方法。
実施形態43.宿主細胞の染色体が、第1のランディングパッドを含み、第1のランディングパッドが、組換え標的部位を含む、実施形態42に記載の方法。
実施形態44.核酸構築物の組換え標的配列および染色体の組換え標的部位が、FLP、loxまたはBxb1配列である、実施形態43に記載の方法。
実施形態45.第1の目的の外因性ヌクレオチド配列および第2の目的の外因性ヌクレオチド配列を含む細胞を取得する方法であって、
a)細胞の集団を、I)i)第1の目的の外因性ヌクレオチド配列およびii)PAH遺伝子を含む第1の外因性核酸構築物、ならびにII)i)第2の目的の外因性ヌクレオチド配列およびii)PCBD1遺伝子を含む第2の外因性核酸構築物に曝露させるステップ、ならびに
b)チロシン欠乏培地中で、第1の外因性核酸構築物および第2の外因性核酸構築物に曝露された細胞の集団を培養するステップ、ならびに
c)第1の外因性核酸構築物および第2の外因性核酸構築物に曝露された細胞の集団から、第1の目的の外因性ヌクレオチド配列および第2の目的の外因性ヌクレオチド配列を含む宿主細胞を取得するステップであって、第1の目的の外因性ヌクレオチド配列および第2の目的の外因性ヌクレオチド配列を含む宿主細胞が、第1の外因性核酸構築物および第2の外因性核酸構築物を含み、第1の外因性核酸構築物および第2の外因性核酸構築物を含む宿主細胞が、その第1の外因性核酸構築物および第2の外因性核酸構築物を含まない対応する細胞よりも、チロシン欠乏細胞培養培地中で増殖するより高い能力を有する、ステップ
を含む、方法。
実施形態46.第1の外因性核酸構築物が、組換え標的配列をさらに含む、実施形態45に記載の方法。
実施形態47.第2の外因性核酸構築物が、組換え標的配列をさらに含む、実施形態45に記載の方法。
実施形態48.第1の外因性核酸構築物が、第1の組換え標的配列をさらに含み、第2の外因性核酸構築物が、第2の組換え標的配列をさらに含む、実施形態45に記載の方法。
実施形態49.宿主細胞の染色体が、第1のランディングパッドおよび第2のランディングパッドを含み、第1のランディングパッドが、第1の組換え標的部位を含み、第2のランディングパッドが、第2の組換え標的部位を含む、実施形態46から48のいずれか1つに記載の方法。
実施形態50.宿主細胞の第1の染色体が、第1のランディングパッドを含み、第1のランディングパッドが、第1の組換え標的部位を含み、宿主細胞の第2の染色体が、第2のランディングパッドを含み、第2のランディングパッドが、第2の組換え標的部位を含む、実施形態46から48のいずれか1つに記載の方法。
実施形態51.核酸構築物の組換え標的配列および染色体の組換え標的部位が、FLP、loxまたはBxb1配列を含む、実施形態49から50のいずれか1つに記載の方法。
実施形態52.目的の外因性ヌクレオチド配列を含む宿主細胞を産生する方法であって、
a)宿主細胞中に、目的のヌクレオチド配列を含む外因性核酸構築物を導入するステップであって、外因性核酸構築物が、i)PAH遺伝子およびii)PCBD1遺伝子をさらに含む、ステップ、
b)チロシン欠乏培地中で、外因性核酸構築物を含む宿主細胞を培養するステップであって、外因性核酸構築物を含む宿主細胞が、その外因性核酸構築物を欠くこと以外は同一の対応する宿主細胞よりも、チロシン欠乏培地中で迅速に増殖する、ステップ
を含む、方法。
実施形態53.外因性核酸構築物が、宿主細胞の染色体中に安定に組み込まれている、実施形態52に記載の方法。
実施形態54.外因性核酸構築物が、外因性核酸構築物と染色体との間での相同組換えによって、染色体中に安定に組み込まれている、実施形態53に記載の方法。
実施形態55.染色体中への外因性核酸構築物の組み込みが、ウイルスベクターまたは外因性ヌクレアーゼによって促進される、実施形態54に記載の方法。
実施形態56.第1の目的の外因性ヌクレオチド配列および第2の目的の外因性ヌクレオチド配列を含む宿主細胞を産生する方法であって、
a)宿主細胞中に、I)i)第1の目的の外因性ヌクレオチド配列およびii)PAH遺伝子を含む第1の外因性核酸構築物、ならびにII)i)第2の目的の外因性ヌクレオチド配列およびii)PCBD1遺伝子を含む第2の外因性核酸構築物を導入するステップ、ならびに
b)チロシン欠乏培地中で、第1の外因性核酸構築物および第2の外因性核酸構築物を含む宿主細胞を培養するステップであって、第1の外因性核酸構築物および第2の外因性核酸構築物を含む宿主細胞が、その第1の外因性核酸構築物および第2の外因性核酸構築物を欠くこと以外は同一の対応する宿主細胞よりも、チロシン欠乏培地中で迅速に増殖する、ステップ
を含む、方法。
実施形態57.第1の外因性核酸構築物および第2の外因性核酸構築物が共に、宿主細胞の第1の染色体中に安定に組み込まれ、または第1の外因性核酸構築物が、宿主細胞の第1の染色体中に安定に組み込まれ、第2の外因性核酸構築物が、宿主細胞の第2の染色体中に安定に組み込まれている、実施形態56に記載の方法。
実施形態58.第1の外因性核酸構築物および第2の外因性核酸構築物が、それぞれの外因性核酸構築物と染色体との間での相同組換えによって、染色体中に安定に組み込まれている、実施形態57に記載の方法。
実施形態59.外因性核酸構築物の組み込みが、ウイルスベクターまたは外因性ヌクレアーゼによって促進される、実施形態58に記載の方法。
実施形態60.ウイルスベクターが、相同組換えを媒介するアデノ随伴ウイルスベクターである、実施形態55または59に記載の方法。
実施形態61.チロシン欠乏培地が、1mM未満のチロシンを含む、実施形態41から60のいずれか1つに記載の方法。
実施形態62.チロシン欠乏培地が、500μM未満のチロシンを含む、実施形態41から61のいずれか1つに記載の方法。
実施形態63.上記実施形態のいずれか1つに記載の、組換え核酸構築物、ベクター、宿主細胞、組成物または方法であって、PAH遺伝子が、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはその少なくとも80%の相同性を有する配列をコードする、組換え核酸構築物、ベクター、宿主細胞、組成物または方法。
実施形態64.上記実施形態のいずれか1つに記載の、組換え核酸構築物、ベクター、宿主細胞、組成物または方法であって、PAH遺伝子が、配列番号2に示されるDNA配列、またはその少なくとも80%の相同性を有する配列を含む、組換え核酸構築物、ベクター、宿主細胞、組成物または方法。
実施形態65.上記実施形態のいずれか1つに記載の、組換え核酸構築物、ベクター、宿主細胞、組成物または方法であって、PCBD1遺伝子が、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはその少なくとも80%の相同性を有する配列をコードする、組換え核酸構築物、ベクター、宿主細胞、組成物または方法。
実施形態66.上記実施形態のいずれか1つに記載の、組換え核酸構築物、ベクター、宿主細胞、組成物または方法であって、PCBD1遺伝子が、配列番号4に示されるDNA配列、またはその少なくとも80%の相同性を有する配列を含む、組換え核酸構築物、ベクター、宿主細胞、組成物または方法。
以下の実施例は、例示目的のためにのみ提供され、本発明の方法を限定することは決して意図しない。実際、本明細書に示され記載されるものに加えた、本発明の種々の改変は、上述の説明から当業者に明らかとなり、添付の特許請求の範囲の範囲内に入る。
(実施例1)
チロシン原栄養性を付与できる代謝操作性標的を同定するための、CHO細胞株におけるフェニルアラニン/チロシン経路の酵素の発現レベルの決定
目的
この実験は、IgG抗体を発現するCHO細胞株においてチロシン原栄養性の付与に関与し得る酵素の遺伝子発現レベル、およびさらには酵素活性を決定するために実施した。フェニルアラニン/チロシン経路の酵素の遺伝子発現を、リアルタイム定量ポリメラーゼ連鎖反応(「RT-qPCR」)アッセイを使用して探索した。
材料および方法
RT-qPCRアッセイを使用して、フェニルアラニン/チロシン代謝経路の酵素の相対的遺伝子発現レベルを評価した。RT-qPCRは、検出試薬(即ち、SYBR Green)と組み合わせてPCRを使用して標的cDNA配列を増幅することによって、転写物存在量、およびしたがって遺伝子発現を測定する。SYBR greenは、二本鎖DNAに結合した場合に蛍光を発する分子であり、この蛍光は、RT-qPCRアッセイの間にリアルタイムで測定され得る。蛍光の量は、反応中の二本鎖PCR産物(アンプリコンとも呼ばれる)の量と正比例する。相対的遺伝子発現レベルは、SYBR greenの蛍光が背景蛍光を凌ぎ、対数的に増加するために必要とされるPCRサイクルの数を測定することによって決定される。このサイクル数は、C(閾値サイクル)と一般に呼ばれる。高い存在量の転写物は、より低いC値を有するが、それは、蛍光が背景蛍光を凌ぐためにより少ないPCRサイクルを必要とするからであり、逆に、より低い存在量の転写物は、より高いC値を有するが、それは、蛍光が背景レベルを凌ぐためにより多くのPCRサイクルを必要とするからである。
RT-qPCRアッセイを、Applied Biosystems 7500 Real Time PCRシステム(Applied Biosystems)およびPowerUP SYBR Green Master Mix試薬(Life Technologies)を使用して実施した。PCRプライマーを、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)ゲノムブラウザー(chogenome.org)中に含まれるゲノムDNA配列に基づいて、Primer3アルゴリズム(http://bioinfo.ut.ee/primer3-0.4.0/primer3/)を使用して設計した。RNAを、Qiagen RNeasy Kit(Qiagen)を使用してCHO細胞株から調製し、それを次に、SuperScript III First-Strand Synthesis System for RT-PCR(Life Technologies)を使用したオリゴdTプライムされるcDNA合成のための鋳型として使用した。標的化された代謝遺伝子のC値を表にし、十分特徴付けられたハウスキーピング遺伝子であるベータ-アクチン(B-アクチン)のC値と比較した。標的遺伝子のCとB-アクチンのCとの間の差異を、ΔCとして報告した。高いΔC値は、低い遺伝子発現レベルを示す。
結果
CHO細胞株についてのフェニルアラニン/チロシン経路の遺伝子についてのCおよびΔC値は、表1に示される。表1に列挙した遺伝子は、以下の通りである:PAH(フェニルアラニンヒドロキシラーゼ);HPD(4-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ);HGD(ホモゲンチジン酸1,2-ジオキシゲナーゼ);PCBD1(プテリン-4-アルファ-カルビノールアミンデヒドラターゼ/肝細胞核因子1アルファの二量体化補因子(TCF1)1);GCH1(GTPシクロヒドロラーゼ1);SPR(セピアプテリンレダクターゼ);QDPR(キノイドジヒドロプテリジンレダクターゼ);GOT1(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ1、可溶性);GOT2(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ2、ミトコンドリア);GSTZ1(グルタチオントランスフェラーゼゼータ1(マレイルアセト酢酸イソメラーゼ));FAH(フマリルアセト酢酸ヒドラーゼ);MIF(マクロファージ遊走阻害因子);BCAT1(分岐鎖アミノトランスフェラーゼ1、細胞質ゾル);BCAT2(分岐鎖アミノトランスフェラーゼ2、ミトコンドリア);およびPTS(6-ピルボイルテトラヒドロプテリンシンターゼ)。
フェニルアラニン/チロシン経路からの遺伝子発現データは、CHO細胞株が、PAH、HPDおよびHGD遺伝子の低い発現を有することを示している。PAH遺伝子は、フェニルアラニンのチロシンへの変換を担う酵素をコードするので、チロシン産生に直接関与する。
RT-qPCRによって低い発現レベルを有すると同定されたフェニルアラニン/チロシン経路の遺伝子標的(PAH、HGDおよびHPD)に加えて、第4の標的を試験した。PAH酵素は、その触媒活性のために補因子テトラヒドロビオプテリン(BH)を必要とする。哺乳動物細胞は、基質としてGTPを使用してBHを合成する。BHの生合成に関与する酵素には、GCH1、PTSおよびSPRが含まれる。さらに、BHは、PAH活性によって触媒される反応の間にBH-4a-カルビノールアミンに変換され、これは、PCBD1およびQDPR酵素の活性によって、BHへとリサイクルされて戻される。BHの生合成およびリサイクル酵素をコードする遺伝子の発現も同様に、CHO細胞においてRT-qPCRによってアッセイした。これらの遺伝子についての発現データも、表1に列挙される。
それらの低い発現レベル(そのそれぞれの高いC値および高いΔCによって明らか)およびフェニルアラニン/チロシン異化経路の生化学に基づいて、遺伝子PAHおよびPCBD1を、チロシン原栄養性を付与する、チロシン選択マーカー系における使用のための可能な遺伝子として選択した。
Figure 0007177076000001
(実施例2)
選択圧として無チロシン培地を使用して外因性PAHおよびPCBD1を発現する細胞を選択するというコンセプトを評価するための実験であって、PAHおよびPCBD1遺伝子は、別々のベクター上で細胞に導入される
目的
この実験の目的は、遺伝子PAHおよびPCBD1を過剰発現する細胞について選択するための選択圧として無チロシン培地を使用するというコンセプトを試験することであった。また、この実験のさらなる目的は、別々のベクター上で宿主細胞に導入された外因性PAHおよびPCBD1遺伝子を過剰発現する細胞について選択するというコンセプトを具体的に試験することであった。
PAHおよびPCBD1のマウスオルソログを含む発現カセットを有するプラスミドベクターを、IgG抗体を発現するCHO細胞株中にトランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞を、i)抗生物質を補充した培地、またはii)チロシンを欠く培地のいずれか中での選択および後続の成長について試験した。PAHおよびPCBD1遺伝子のマウスオルソログの発現レベルを、選択された細胞の集団において探索した。チロシン補充なしの培地中での成長、ならびにこの細胞プールにおけるPAHおよびPCBD1遺伝子の同時発生的なより高い発現レベルは、PAHおよびPCBD1遺伝子を別々のベクター上で宿主細胞に導入する場合を含め、PAHおよびPCBD1がチロシン原栄養性を付与するということを立証した。
材料および方法
PAHおよびPCBD1遺伝子のための発現ベクターを、Mammalian Gene Collection(MGC、http://genecollections.nci.nih.gov/MGC/)からのマウスcDNA配列を使用して構築した。cDNA配列は、標的遺伝子のcDNAを有するシャトルベクターを含む大腸菌(E.coli)のグリセロールストックとして、GE Dharmacon(Lafayette、CO)によって提供された。PCRプライマーを、プルーフリーディングポリメラーゼPfu Turbo HotStart 2X Master Mix(Agilent)を用いる反応においてcDNAのコード領域を増幅するために、Primer3アルゴリズム(http://bioinfo.ut.ee/primer3-0.4.0/primer3/)を使用して設計した。PCR産物を、異なる抗生物質耐性遺伝子(この実施例では、抗生物質#1および2と呼ぶ)と共に市販の構成的発現ベクター中にクローニングして、発現プラスミドの個々の選択を可能にした。さらに、対照ベクターもまた、陰性対照(トランスフェクション対照)として機能するように提供した。ベクターを、WyzerBiosciences(Cambridge、MA)によって配列確認した。発現および対照プラスミドを、GenePulser XCellエレクトロポレーター(BioRad、Hercules、CA)を使用してCHO細胞株中にトランスフェクトし、選択圧として、抗生物質、またはチロシンを欠く培地の存在下で回復させた。トランスフェクトされた細胞の生存細胞密度およびパーセント生存度を、トランスフェクションの後数日モニタリングした。
結果
細胞を、PAH発現ベクター(抗生物質耐性遺伝子#1もまた含む)、PCBD1発現ベクター(抗生物質耐性遺伝子#2もまた含む)、PAHおよびPCBD1発現ベクター(2つの別々のベクター)、PAH発現ベクターについての対照ベクター(抗生物質耐性遺伝子#1を含むが、PAH遺伝子を含まない)、PCBD1発現ベクターについての対照ベクター(抗生物質耐性遺伝子#2を含むが、PCBD1遺伝子を含まない)、またはPAH発現ベクターおよびPCBD1発現ベクターの両方についての対照ベクターを含む発現ベクターでトランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞プールを、選択的抗生物質を補充したチロシンを含む培地中で(トランスフェクトされたプラスミドによって付与される抗生物質耐性)、またはチロシンを欠く培地中で(PAHおよびPCBD1によって付与される原栄養性)選択した。使用したトランスフェクション条件および選択圧の説明は、表2に列挙される。表2は、実験からの異なる条件についての細胞回復の結果もまとめている。図1および2は、無チロシンまたは抗生物質選択圧におけるトランスフェクトされた細胞の回復プロファイルを示す。チロシンおよび適切な抗生物質を含む培地中で選択された全ての細胞が、予測通り、選択から回復した(図2および表2)。しかし、無チロシン培地中で選択された条件のうち、PAH発現ベクターおよびPCBD1発現ベクターの両方(したがって、PAHおよびPCBD1酵素活性)でトランスフェクトされた細胞のみが、回復することが観察された(図1および表2)。これらの細胞はまた、トランスフェクトされていない細胞と比較した場合、PAHおよびPCBD1のマウスオルソログの高い発現レベルを有した(表3)。表3中では、記号CおよびΔCは、実施例1に記載した通りの意味を有する。ΔΔCは、野生型細胞株条件における遺伝子のΔCと、無チロシン培地で選択された細胞株中のそれぞれの遺伝子のΔCとの間の差異を指す。
データは、PAHおよびPCBD1遺伝子の組合せが、チロシン原栄養性を付与し、チロシンを欠く培地中で成長している細胞について選択するために使用され得ることを示している。
Figure 0007177076000002
Figure 0007177076000003
(実施例3)
単一のランディングパッドを有する細胞株を使用する、1つまたは複数の目的の外因性ヌクレオチド配列を含む細胞を選択するためのチロシン原栄養体性選択圧としてのPAHおよびPCBD1酵素の使用を実証するための実験
この実験の目的は、発現ベクターを含む細胞が、チロシン欠乏培地ベースの選択系を介して容易に選択できるように、1つまたは複数の目的のヌクレオチド配列を含み、チロシン原栄養性を付与する発現ベクターを構築することである。この実施例に記載される発現ベクターは、例えば、単一のランディングパッドを含む部位特異的組み込み(SSI)細胞株と共に使用され得る。
PAHおよびPCBD1の両方の発現がチロシン原栄養性にとって必要であるので、発現ベクターは、両方の遺伝子のマウスオルソログを含む。両方の遺伝子が、同じプロモーター(およびプロモーター上流)エレメントを使用して単一のバイシストロニックな転写物として発現されるように、ベクターは、IRESエレメントを使用する。しかし、タンパク質は、各遺伝子についてのRNAセグメントから別々に翻訳される(IRESエレメントは、「内部リボソーム進入部位」を指す。IRESエレメントは、翻訳開始を支持する)。IRESエレメントによって分離された遺伝子(PAHおよびPCBD1)の順序は、RNAセグメントから翻訳されたタンパク質のレベルに影響し得るので、2つの異なるバージョンのベクターを構築する。1つの場合には、PAHおよびPCBD1遺伝子を含むベクターDNAエレメントの順序は、プロモーター-PAH-IRES-PCBD1であり、他方の場合の順序は、プロモーター-PCBD1-IRES-PAHである(図3)。両方のバージョンのベクターは、第1の目的のヌクレオチド配列および第2の目的のヌクレオチド配列もまた含み、ここで、第1の目的のヌクレオチド配列は、IgG分子の重鎖をコードし、第2の目的のヌクレオチド配列は、IgG分子の軽鎖をコードする(図3の両方のベクターは、「組換えタンパク質」に対応する単一の矢印を示すが、この矢印は非限定的であり、任意の数の異なる目的のヌクレオチド配列またはタンパク質コード遺伝子を含むと理解すべきである)。したがって、両方のバージョンのベクターは、i)PAH遺伝子、ii)PCBD1遺伝子、iii)第1の目的のヌクレオチド配列(IgGの重鎖をコードする)およびiv)第2の目的のヌクレオチド配列(IgGの軽鎖をコードする)を含む発現カセットを含む。発現カセットには、宿主細胞のランディングパッド中の組換え標的部位に対応する組換え標的配列が隣接する。
単一のランディングパッドを有する宿主細胞を、2つの上述のバージョンのベクターのうち1つでトランスフェクトする。トランスフェクトされた細胞を、チロシンを欠く成長/選択培地を使用して選択する。PAHおよびPCBD1遺伝子ならびに第1および第2の目的のヌクレオチド配列を含む発現カセットを含む宿主細胞のトランスフェクションおよび選択の成功は、PAHおよびPCBD1遺伝子ならびに第1および第2の目的のヌクレオチド配列を含む発現カセットによるランディングパッドの占有に起因する。発現カセットを含む宿主細胞によるPAHおよびPCBD1遺伝子の発現は、チロシンを欠く培地中での細胞成長を可能にする。かかる細胞では、第1および第2の目的のヌクレオチド配列(例えば、IgGの軽鎖および重鎖をコードする遺伝子)もまた、ランディングパッド位置において発現カセットから発現される。
上記実施例は、発現カセットの部位特異的組み込みのためのランディングパッドを含む宿主細胞に関して記載されているが、この方法は、例えば、ランディングパッドなしの細胞においても実施され得、この場合、発現カセットのランダム組み込みを受けた細胞が選択される。
(実施例4)
2つのランディングパッドを有する細胞株を使用する、1つまたは複数の目的の外因性ヌクレオチド配列を含む細胞を選択するためのチロシン原栄養体性選択圧としてのPAHおよびPCBD1酵素の使用を実証するための実験
この実験の目的は、両方の発現ベクターを含む細胞が、チロシンベースの選択系を介して容易に選択できるように、1つまたは複数の目的のヌクレオチド配列を各々が含み、一緒になってチロシン原栄養性を付与する発現ベクターを構築することである。この実施例に記載される発現ベクターは、例えば、2つのランディングパッドを含む部位特異的組み込み(SSI)細胞株と共に使用され得る。
PAHおよびPCBD1の両方の発現がチロシン原栄養性にとって必要であるので、2つの発現ベクターを調製し、各ベクターは、PAHまたはPCBD1遺伝子のいずれかのマウスオルソログ、ならびに少なくとも1つの目的のヌクレオチド配列を含む(図4)(図4の両方のベクターは、「組換えタンパク質」に対応する単一の矢印を示すが、この矢印は非限定的であり、任意の数の異なる目的のヌクレオチド配列またはタンパク質コード遺伝子を含むと理解すべきである)。したがって、これらのベクターは、それぞれ、A)PAH遺伝子および少なくとも第1の目的のヌクレオチド配列、またはB)PCBD1遺伝子および少なくとも第2の目的のヌクレオチド配列のいずれかを含む発現カセットを含む。この実施例では、一部の場合には、第1の目的のヌクレオチド配列は、IgG分子の重鎖をコードし、第2の目的のヌクレオチド配列は、IgG分子の軽鎖をコードする。それぞれのベクターの発現カセットには、宿主細胞のランディングパッド中の組換え標的部位に対応する組換え標的配列が隣接する。任意選択により、宿主細胞の第1のランディングパッドおよび第2のランディングパッドは、組換え標的部位に関して異なる型/配列を含み、それぞれのベクター中の発現カセットもまた、宿主細胞の異なるランディングパッドに対応する異なる組換え標的配列を含む。したがって、例えば、第1のベクターの発現カセット(例えば、PAH遺伝子および第1の目的のヌクレオチド配列を含む)には、宿主細胞の第1のランディングパッド中の組換え標的部位に対応する組換え標的配列が隣接し得、第2のベクターの発現カセット(例えば、PCBD1遺伝子および第2の目的のヌクレオチド配列を含む)には、宿主細胞の第2のランディングパッド中の組換え標的部位に対応する異なる組換え標的配列が隣接し得る。異なる組換え標的部位配列の使用は、例えば、宿主細胞ゲノム中の特定のランディングパッド位置への、特定の外因性発現カセットの標的化を可能にする。
2つのランディングパッドを有する宿主細胞を、上述のベクターで同時にトランスフェクトし(図4)、トランスフェクトされた細胞を、チロシンを欠く成長/選択培地を使用して選択する。PAH遺伝子および第1の目的のヌクレオチド配列を含む発現カセットならびにPCBD1遺伝子および第2の目的のヌクレオチド配列を含む発現カセットを含む宿主細胞のトランスフェクションおよび選択の成功は、2つの異なる発現カセットによる第1および第2のランディングパッドの占有に起因する。両方の発現カセットを含む宿主細胞におけるPAHおよびPCBD1遺伝子の発現は、チロシンを欠く培地中での細胞成長を可能にする。かかる細胞では、第1および第2の目的のヌクレオチド配列(例えば、IgGの軽鎖および重鎖をコードする遺伝子)もまた、それぞれのランディングパッド位置において発現カセットから発現される。
上記実施例は、発現カセットの部位特異的組み込みのための第1および第2のランディングパッドを含む宿主細胞に関して記載されているが、この方法は、例えば、ランディングパッドなしの細胞においても実施され得、この場合、PAH含有発現カセットおよびPCBD1含有発現カセットの両方のランダム組み込みを受けた細胞が選択される。
また、上記実施例は、それぞれ、A)PAH遺伝子および少なくとも第1の目的のヌクレオチド配列、またはB)PCBD1遺伝子および少なくとも第2の目的のヌクレオチド配列のいずれかを含む発現カセットを含むベクターに関して記載され、第1の目的のヌクレオチド配列は、IgG分子の重鎖をコードし、第2の目的のヌクレオチド配列は、IgG分子の軽鎖をコードしているが、他の実施形態もまた企図される。例えば、一部の場合には、発現カセットは、A)PAH遺伝子ならびに少なくとも第1の目的のヌクレオチド配列および第2の目的のヌクレオチド配列、またはB)PCBD1遺伝子ならびに少なくとも第1の目的のヌクレオチド配列および第2の目的のヌクレオチド配列のいずれかを含み得、第1の目的のヌクレオチド配列は、IgG分子の重鎖をコードし、第2の目的のヌクレオチド配列は、IgG分子の軽鎖をコードする。したがって、この場合には、細胞中へのPAH遺伝子含有発現カセットおよびPCBD1遺伝子含有発現カセットの導入は、IgG重鎖コード遺伝子およびIgG軽鎖コード遺伝子の両方の各々を2コピー導入する。これらのカセットの導入は、単一のコピーの遺伝子を含む宿主細胞と比較して、IgG重鎖分子およびIgG軽鎖分子をコードする遺伝子の数を増加させ、遺伝子から産生されるタンパク質の増加を生じ得る。
(実施例5)
選択圧として無チロシン培地を使用して外因性PAHおよびPCBD1を発現する細胞を選択するというコンセプトを評価するための実験であって、PAHおよびPCBD1遺伝子は、同じベクター上で細胞に導入される
目的
この実験の目的は、遺伝子PAHおよびPCBD1を過剰発現する細胞について選択するための選択圧として無チロシン培地を使用するというコンセプトを試験することであった。また、この実験のさらなる目的は、同じベクター上で宿主細胞に導入された外因性PAHおよびPCBD1遺伝子を過剰発現する細胞について選択するというコンセプトを具体的に試験することであった。
IRESエレメントによって分離されたPAHおよびPCDB1遺伝子のマウスオルソログを含む2つのDNA発現カセットを生成した(PAH-IRES-PCDB1またはPCBD1-IRES-PAHのいずれか)。これらのDNA発現カセットを含むプラスミドベクターを、IgG抗体を発現するCHO細胞株中にトランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞を、i)抗生物質を補充した培地、またはii)チロシンを欠く培地のいずれか中での選択および後続の成長について試験した。PAHおよびPCBD1遺伝子のマウスオルソログの発現レベルを、選択された細胞の集団において探索した。チロシン補充なしの培地中での成長、ならびにこの細胞プールにおけるPAHおよびPCBD1遺伝子の同時発生的なより高い発現レベルは、PAHおよびPCBD1遺伝子を同じベクター上で宿主細胞に導入し、IRESによって分離する場合を含め、PAHおよびPCBD1がチロシン原栄養性を付与するということを立証した。
材料および方法
IRESエレメントに隣接するPAHおよびPCDB1遺伝子のマウスオルソログを含む2つのDNA発現カセットを構築した。単一のバイシストロニックなメッセージの発現のために意図した構築物を、PAH-IRES-PCDB1またはPCBD1-IRES-PAHのいずれかのコンフォメーションで作製した。マウスオルソログDNA配列は、Mammalian Gene Collection(MGC、http://genecollections.nci.nih.gov/MGC/)からのcDNA配列に基づいた。cDNA配列は、標的遺伝子のcDNAを有するプラスミドを含む大腸菌(E.coli)のグリセロールストックとして、GE Dharmacon(Lafayette、CO)によって提供された。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)オリゴヌクレオチドを、プルーフリーディングポリメラーゼPfu Turbo HotStart 2X Master Mix(Agilent Technologies、Santa Clara、CA)を用いるPCR反応においてcDNAのコード領域を増幅するために設計した。PAHおよびPCBD1配列を有するPCR産物を、上述の配向でIRESエレメントと組み合わせ、抗生物質耐性マーカーを有する市販の発現ベクター中でバイシストロニックな発現カセットへとアセンブルした。プラスミド1(抗生物質耐性遺伝子、ならびに以下の順序の、IRESによって分離されたPAHおよびPCBD1遺伝子を含む:PAH-IRES-PCDB1)、プラスミド2(抗生物質耐性遺伝子、ならびに以下の順序の、IRESによって分離されたPAHおよびPCBD1遺伝子を含む:PCBD1-IRES-PAH)と名付けた得られた発現プラスミドまたは対照プラスミド(抗生物質耐性遺伝子を含むが、PAHもPCBD1も含まない)を、GenePulser XCellエレクトロポレーター(Bio-Rad、Hercules、CA)を用いて、IgG抗体を産生するCHO細胞株中にトランスフェクトした。トランスフェクトされたプールを、選択圧として、ベクター中の抗生物質耐性遺伝子に対応する抗生物質の存在下で、またはチロシンを欠く培地中で回復させた。トランスフェクトされた細胞の生存細胞密度およびパーセント生存度を、トランスフェクションの後数日モニタリングして、チロシン原栄養性を確認した。細胞を、RT qPCRによってPAHおよびPCBD1遺伝子発現について探索し、ウエスタンブロット分析によってPAHおよびPCBD1タンパク質の存在について探索した。
結果
細胞を、プラスミド1、プラスミド2または対照プラスミドでトランスフェクトした。トランスフェクション後、トランスフェクトされた細胞を、チロシン含有(1mMのチロシン)無抗生物質成長培地中で2日間回復させた。2日後、各トランスフェクション(プラスミド1、プラスミド2または対照プラスミド)からの細胞を、無チロシン培地(チロシン原栄養体が選択できるように)または抗生物質および1mMのチロシンを含む培地(抗生物質耐性を有する細胞が選択できるように)のいずれかに移した。
細胞の成長または回復が、抗生物質含有培地中で選択された3つ全てのトランスフェクションで観察された(図5)。対照的に、無チロシン培地中での細胞の回復は、プラスミド1またはプラスミド2でトランスフェクトされた細胞についてのみ観察され、対照プラスミドでトランスフェクトされた細胞では観察されなかった(図5)。表4は、成長が観察された全てのトランスフェクション/選択された条件にわたる、細胞の集団におけるPAHおよびPCBD1遺伝子についての、qRT-PCRを使用して評価した発現レベルをまとめる。プラスミド1またはプラスミド2でトランスフェクトされ、無チロシン培地(または抗生物質含有培地)中で選択された細胞におけるPAHおよびPCBD1の発現レベルは、対照プラスミドにおけるレベル(高いΔC)よりも優位に高かった(低いΔC)。無チロシン培地中での回復と連動したPAHおよびPCDB1の発現レベルは、両方の構築物(PAH-IRES-PCBD1およびPCDB1-IRES-PAH)が、CHO細胞にチロシン原栄養性を付与することを示唆している。
Figure 0007177076000004
(実施例6)
ランダム組み込み様式でトランスフェクトされた1つまたは複数の目的の外因性ヌクレオチド配列を含む細胞を選択するためのチロシン原栄養体性選択圧としてのPAHおよびPCBD1酵素の使用を実証するための実験
目的
この実験の目的は、目的の外因性ヌクレオチド配列でトランスフェクトされたCHO細胞について選択するための選択圧として無チロシン培地を使用するというコンセプトを試験することであり、ここで、目的のヌクレオチド配列は、PAHおよびPCBD1遺伝子と、組換え核酸構築物中でカップリングされる。この実験では、目的のヌクレオチド配列は、抗体軽鎖をコードする第1の目的のヌクレオチド配列および抗体重鎖をコードする第2の目的のヌクレオチド配列を含んだ。
IRESエレメントによって分離されたPAHおよびPCDB1遺伝子のマウスオルソログを含む2つのDNA発現カセットを使用した(PAH-IRES-PCDB1またはPCBD1-IRES-PAHのいずれか)。プラスミドは、治療的タンパク質(IgG抗体)をコードするDNA配列もまた含んだ。これらのDNA発現カセットを含むプラスミドベクターを、治療的タンパク質(IgG抗体)を発現しないCHO宿主細胞株中にトランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞を、チロシンを欠く培地中での選択および後続の成長について試験した。無チロシン培地中での細胞の成長は、目的のヌクレオチド配列ならびにPAHおよびPCBD1遺伝子を含むプラスミドDNAが組み込まれた細胞の選択を示唆する。回復した細胞集団の順化培養培地を、IgGタンパク質の存在について試験する。順化培養培地中のコードされたIgG抗体の検出は、回復した集団が目的のタンパク質(IgG)を発現することを確認する。
材料および方法
IRESエレメントに隣接するPAHおよびPCDB1遺伝子のマウスオルソログを含む2つのDNA発現カセットを構築した。単一のバイシストロニックなメッセージの発現のために意図された構築物を、PAH-IRES-PCDB1またはPCBD1-IRES-PAHのいずれかのコンフォメーションで作製した。マウスオルソログDNA配列は、Mammalian Gene Collection(MGC、http://genecollections.nci.nih.gov/MGC/)からのcDNA配列に基づいた。cDNA配列は、標的遺伝子のcDNAを有するプラスミドを含む大腸菌(E.coli)のグリセロールストックとして、Dharmacon(Lafayette、CO)によって提供された。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)オリゴヌクレオチドを、プルーフリーディングポリメラーゼPfu Turbo HotStart 2X Master Mix(Agilent Technologies、Santa Clara、CA)を用いるPCR反応においてcDNAのコード領域を増幅するために設計した。PAHおよびPCBD1配列を有するPCR産物を、上述の配向でIRESエレメントと組み合わせ、治療的タンパク質(IgG抗体)をコードする発現ベクター中でバイシストロニックな発現カセットへとアセンブルした。プラスミド3(PAH-IRES-PCDB1+IgG遺伝子)およびプラスミド4(PCBD1-IRES-PAH+IgG遺伝子)と名付けた得られた発現プラスミドを、GenePulser XCellエレクトロポレーター(Bio-Rad、Hercules、CA)を用いて、目的のヌクレオチド配列を発現しないCHO宿主細胞株中にトランスフェクトし、トランスフェクトされたプールを、選択圧として、チロシンを欠く培地の存在下で回復させた。トランスフェクトされた細胞の生存細胞密度およびパーセント生存度を、トランスフェクションの後数日モニタリングしたところ、宿主細胞染色体中への目的のヌクレオチド配列ならびにPAHおよびPCBD1遺伝子の組み込み、ならびにチロシン原栄養体である細胞の生成を示唆する、成長の成功が決定された。さらに、順化培養培地を、BioHT(Roche Diagnostics、Indianapolis、IN)のIgGモジュールを使用して、コードされたIgG抗体の存在についてアッセイして、トランスフェクトされた細胞による目的のヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質(IgG抗体)の産生を確認した。
結果
CHO宿主細胞株を、異なる配向(プラスミド3:PAH-IRES-PCBD1またはプラスミド4:PCBD1-IRES-PAH)ではあるが、IRESエレメントに隣接するPAHおよびPCBD1遺伝子配列のバイシストロニックなカセットを含み、この場合には抗体(IgG)である目的のタンパク質をコードするDNA配列もまた含むプラスミド3またはプラスミド4のいずれかでトランスフェクトした。細胞を、プラスミド3またはプラスミド4でトランスフェクトし、チロシンを欠く成長培地中での成長について選択した。細胞の成長は、両方の条件で観察された(図6)。引き続いて、両方の条件から回復した細胞集団を使用して、pH制御した5日間の流加培養を実施した。5日目からの収集培地を、IgGタンパク質レベルについて試験した。IgGタンパク質が両方の条件で検出された。これは、両方の条件の選択された細胞集団が、それらのゲノム中に組み込まれたIgG分子をコードする目的のヌクレオチド配列(ならびに外因性PAHおよびPCBD1遺伝子)を含むプラスミドを有すること、ならびに目的のヌクレオチド配列が宿主細胞によって発現されることを示唆している。
開示された教示は、種々の適用、方法、キットおよび組成物に関して記載されてきたが、種々の変化および改変が、本明細書の教示および以下の特許請求された本発明から逸脱することなしになされ得ることが理解される。上述の実施例は、開示された教示をよりよく説明するために提供されるのであって、本明細書に提示された教示の範囲を限定する意図はない。本明細書の教示は、これらの例示的な実施形態に関連して記載されてきたが、当業者は、これらの例示的な実施形態の多数のバリエーションおよび改変が、過度の実験なしに可能であることを容易に理解する。全てのかかるバリエーションおよび改変は、本明細書の教示の範囲内である。
特許、特許出願、論文、教科書などを含む、本明細書で引用された全ての参考文献、およびそれらの中で引用された参考文献は、まだ引用されていない範囲まで、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。定義された用語、用語の用法、記載された技術などが含まれるがこれらに限定されない、組み込まれた文献および同様の資料のうち1つまたは複数が、本出願とは異なる場合または本出願と矛盾する場合には、本出願が支配する。
上述の説明および実施例は、本発明のある特定の具体的な実施形態を詳述し、本発明者らが企図する最良の形態を記載している。しかし、上述の詳細がいくらテキスト中に現れていても、本発明が多くの方法で実施され得、本発明が、添付の特許請求の範囲およびその任意の等価物に従って解釈されるべきであることが、理解される。

Claims (22)

  1. 目的のヌクレオチド配列、ならびにi)フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)遺伝子およびii)プテリン-4-アルファ-カルビノールアミンデヒドラターゼ(PCBD1)遺伝子を含む組換え核酸構築物を含む、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)宿主細胞
  2. 組換え標的配列をさらに含む、請求項1に記載のCHO宿主細胞
  3. 前記組換え標的配列が、FLP認識標的(「FRT」)、loxまたはBxb1配列である、請求項1または2のいずれか一項に記載のCHO宿主細胞
  4. 前記目的のヌクレオチド配列が、目的のポリペプチドをコードする、目的のRNA分子をコードする、または制限酵素部位を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のCHO宿主細胞
  5. 前記目的のヌクレオチド配列が、第1の目的のヌクレオチド配列であり、前記組換え核酸構築物が、第2の目的のヌクレオチド配列をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のCHO宿主細胞
  6. 前記第1の目的のヌクレオチド配列および前記第2の目的のヌクレオチド配列が、内部リボソーム進入部位(IRES)をコードする配列によって前記構築物中で接続されている、請求項5に記載のCHO宿主細胞
  7. 前記第1の目的のヌクレオチド配列および第2の目的のヌクレオチド配列が、それぞれ第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドをコードする、請求項6に記載のCHO宿主細胞
  8. 前記第1の目的のヌクレオチド配列が、抗体可変軽鎖(VL)領域を含む第1のポリペプチドをコードし、前記第2の目的のヌクレオチド配列が、抗体可変重鎖(VH)領域を含む第2のポリペプチドをコードする、請求項5から7のいずれか一項に記載のCHO宿主細胞
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載の組換え核酸構築物を含むベクターを含む、CHO宿主細胞
  10. 前記目的のヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドまたはRNA分子の産生のための、請求項1から9のいずれか一項に記載のCHO宿主細胞の使用。
  11. 請求項1から9のいずれか一項に記載のCHO宿主細胞、および細胞培養培地を含む、組成物。
  12. 前記細胞培養培地がチロシン欠乏である、請求項11に記載の組成物。
  13. 前記細胞培養培地が、1mM未満のチロシンを含む、請求項12に記載の組成物。
  14. 目的の外因性ヌクレオチド配列を含むCHO宿主細胞を産生する方法であって、 a)CHO宿主細胞中に、目的のヌクレオチド配列を含む外因性核酸構築物を導入するステップであって、前記外因性核酸構築物が、i)PAH遺伝子およびii)PCBD1遺伝子をさらに含む、ステップ、 b)チロシン欠乏培地中で、前記外因性核酸構築物を含む前記CHO宿主細胞を培養するステップであって、前記外因性核酸構築物を含む前記CHO宿主細胞が、前記外因性核酸構築物を欠くこと以外は同一の対応するCHO宿主細胞よりも、前記チロシン欠乏培地中で迅速に増殖する、ステップを含む、方法。
  15. 前記外因性核酸構築物が、前記CHO宿主細胞の染色体中に安定に組み込まれている、請求項14に記載の方法。
  16. 第1の目的の外因性ヌクレオチド配列および第2の目的の外因性ヌクレオチド配列を含むCHO宿主細胞を産生する方法であって、 a)CHO宿主細胞中に、I)i)前記第1の目的の外因性ヌクレオチド配列およびii)PAH遺伝子を含む第1の外因性核酸構築物、ならびにII)i)前記第2の目的の外因性ヌクレオチド配列およびii)PCBD1遺伝子を含む第2の外因性核酸構築物を導入するステップ、ならびに b)チロシン欠乏培地中で、前記第1の外因性核酸構築物および前記第2の外因性核酸構築物を含む前記CHO宿主細胞を培養するステップであって、前記第1の外因性核酸構築物および前記第2の外因性核酸構築物を含む前記CHO宿主細胞が、前記第1の外因性核酸構築物および第2の外因性核酸構築物を欠くこと以外は同一の対応するCHO宿主細胞よりも、前記チロシン欠乏培地中で迅速に増殖する、ステップを含む、方法。
  17. 前記第1の外因性核酸構築物および前記第2の外因性核酸構築物が共に、前記CHO宿主細胞の第1の染色体中に安定に組み込まれ、または前記第1の外因性核酸構築物が、前記CHO宿主細胞の第1の染色体中に安定に組み込まれ、前記第2の外因性核酸構築物が、前記CHO宿主細胞の第2の染色体中に安定に組み込まれている、請求項16に記載の方法。
  18. 前記チロシン欠乏培地が、1mM未満のチロシンを含む、請求項14から17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 請求項に記載のCHO宿主細胞であって、 i)前記PAH遺伝子が、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、もしくはその少なくとも90%の同一性を有する配列をコードすること、 ii)前記PAH遺伝子が、配列番号2に示されるDNA配列、もしくはその少なくとも90%の同一性を有する配列を含むこと、 iii)前記PCBD1遺伝子が、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、もしくはその少なくとも90%の同一性を有する配列をコードすること、または iv)前記PCBD1遺伝子が、配列番号4に示されるDNA配列、もしくはその少なくとも90%の同一性を有する配列を含むことのうち少なくとも1つである、CHO宿主細胞
  20. 請求項10に記載のCHO宿主細胞の使用であって、 i)前記PAH遺伝子が、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、もしくはその少なくとも90%の同一性を有する配列をコードすること、 ii)前記PAH遺伝子が、配列番号2に示されるDNA配列、もしくはその少なくとも90%の同一性を有する配列を含むこと、 iii)前記PCBD1遺伝子が、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、もしくはその少なくとも90%の同一性を有する配列をコードすること、または iv)前記PCBD1遺伝子が、配列番号4に示されるDNA配列、もしくはその少なくとも90%の同一性を有する配列を含むことのうち少なくとも1つである、CHO宿主細胞の使用。
  21. 請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物であって、 i)前記PAH遺伝子が、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、もしくはその少なくとも90%の同一性を有する配列をコードすること、 ii)前記PAH遺伝子が、配列番号2に示されるDNA配列、もしくはその少なくとも90%の同一性を有する配列を含むこと、 iii)前記PCBD1遺伝子が、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、もしくはその少なくとも90%の同一性を有する配列をコードすること、または iv)前記PCBD1遺伝子が、配列番号4に示されるDNA配列、もしくはその少なくとも90%の同一性を有する配列を含むことのうち少なくとも1つである、組成物。
  22. 請求項14から18のいずれか一項に記載の方法であって、 i)前記PAH遺伝子が、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、もしくはその少なくとも90%の同一性を有する配列をコードすること、 ii)前記PAH遺伝子が、配列番号2に示されるDNA配列、もしくはその少なくとも90%の同一性を有する配列を含むこと、 iii)前記PCBD1遺伝子が、配列番号3に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、もしくはその少なくとも90%の同一性を有する配列をコードすること、または iv)前記PCBD1遺伝子が、配列番号4に示されるDNA配列、もしくはその少なくとも90%の同一性を有する配列を含むことのうち少なくとも1つである、方法。
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