JP7175142B2 - 電磁波吸収シート用の反射フィルム、電磁波吸収シート - Google Patents
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Description
しかしながら、特許文献1に記載の電磁波吸収体は、電磁波反射材及び電磁波シールド材に導電性薄膜の細線からなるメッシュパターンが形成されている。そのため、曲面を有する物品に適用する際には、メッシュパターンが曲面に追従しにくく、メッシュパターンを構成する細線が断線するおそれがある。加えて、種々の物品の表面に適用する観点から、電磁波吸収シートには透明性の具備が要求される。
[1] 透明であり、平板状の樹脂基体と、前記樹脂基体の一方の面に配置され、同じ方向に延びる2本以上の導電性線状体とを有し、前記2本以上の導電性線状体は、各導電性線状体が延びる方向と交わる方向に間隔をもって並び、かつ、互いに交差しない、電磁波吸収シート用の反射フィルム。
[2] 前記導電性線状体が金属ワイヤーである、[1]の電磁波吸収シート用の反射フィルム。
[3] 前記導電性線状体の線幅が、5~100μmである、[2]の電磁波吸収シート用の反射フィルム。
[4] 平面視した際に、前記導電性線状体の形状が波形状である、[1]~[3]のいずれかの電磁波吸収シート用の反射フィルム。
[5] 前記樹脂基体が、樹脂層と、前記樹脂層の一方の面に設けられた接着層とを有し、前記導電性線状体が前記接着層に設けられている、[1]~[4]のいずれかの電磁波吸収シート用の反射フィルム。
[6] 前記接着層の表面に設けられ、前記導電性線状体の表面を覆う剥離体をさらに有する、[5]の電磁波吸収シート用の反射フィルム。
[7] [1]~[6]のいずれかの電磁波吸収シート用の反射フィルムと、前記反射フィルムの一方の表面に設けられているスペーサーフィルムと、前記スペーサーフィルムの表面に設けられ、電磁波を吸収する吸収パターンを形成する抵抗体と、を有する、電磁波吸収シート。
本明細書において「エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線の照射により硬化する性質を意味する。「エネルギー線硬化性」は、エネルギー線を用いた加熱による熱硬化も含む概念である。
本明細書において「導電性線状体」とは導電性を具備し、かつ形状が線状である物体を意味する。
本発明の電磁波吸収シート用の反射フィルムは、樹脂基体と2本以上の導電性線状体とを有する。樹脂基体は、透明であり、2つの平面を有する。2本以上の導電性線状体は、樹脂基体の一方の面に配置され、同じ方向に延びる。
以下、本発明を適用した一実施形態例について説明する。以下の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じ値であるとは限らない。
図1は第1実施形態に係る電磁波吸収シート用の反射フィルムの断面図である。図1に示すように、電磁波吸収シート用の反射フィルム(以下、「反射フィルム」と記載する。)10は、樹脂基体11と導電性線状体12と剥離体15とを有する。
樹脂基体11は透明であり、導電性線状体12が配置され、少なくとも2つの平面を有する形態であれば、特に限定されない。透明性が優れ、三次元成形性が優れることから、樹脂基体11の表面は好ましくは平滑である。
図2は、反射フィルム10の平面図である。図2に示すように、2本以上の導電性線状体12は、樹脂基体11の一方の面に設けられ、かつ、同じ方向(図2中x軸方向)に延びている。そして、2本以上の導電性線状体12は各導電性線状体が延びる方向と交わる方向(x軸方向)に間隔Aをもって並び、かつ、互いに交差しない。
図2に示すように、反射フィルム10を平面視すると、導電性線状体12が周期的に正弦波の波形状に湾曲している。ただし、他の実施形態において、導電性線状体12は不規則に湾曲又は屈曲していてもよい。導電性線状体12を平面視した際の形状は、例えば、矩形波、三角波、のこぎり波等の波形状でもよい。
図2中、λは正弦波の波形1周期分のx軸方向の長さである。波長λは、導電性線状体12が形成する波形において、隣あう山同士又は隣り合う谷同士の間のx軸方向の長さである。
図2中、Aは正弦波の波形の振幅であり、正弦波の波形0.5周期分のy軸方向の変異幅である。振幅Aは、波形一個分の山から谷までのy軸方向の長さである。
図2中、Gは、2本以上の導電性線状体12の各導電性線状体の間隔である。間隔Gは、隣り合う2本の導電性線状体12の隣の山同士又は隣の谷同士の頂点間の距離である。
このように、反射フィルム10を平面視した際に、導電線が波形状であると、電磁波吸収シートを曲面に適用した場合でも、反射フィルム10が容易に伸長でき、曲面追従性がさらに向上する。
反射フィルム10の伸長不良、導電性線状体12の破損を抑制する観点から、波形状の導電性線状体12の振幅Aは、0.3~200mmが好ましく、0.5~160mmがより好ましい。
波長λ及び振幅Aは、デジタル顕微鏡を用いて観察することで測定できる。波長λ及び振幅Aについて、任意に選択される10か所でデータを測定し、10か所の波長λ、振幅Aの測定値の平均値を採用してもよい。
金属ワイヤーを構成する金属としては、銅、アルミニウム、タングステン、鉄、モリブデン、ニッケル、チタン、銀、金又はこれらの金属を2種以上含む合金(例えば、ステンレス鋼、炭素鋼等の鋼鉄、真鍮、りん青銅、ジルコニウム銅合金、ベリリウム銅、鉄ニッケル、ニクロム、ニッケルチタン、カンタル、ハステロイ、レニウムタングステン等)が挙げられる。
金属ワイヤーは錫、亜鉛、銀、ニッケル、クロム、ニッケルクロム合金、はんだ等でめっきされてもよく、炭素材料、ポリマー等により表面が被覆されていてもよい。この場合、炭素材料としては、カーボンブラック、活性炭、ハードカーボン、ソフトカーボン、メソポーラスカーボン、カーボンファイバー等の非晶質炭素;グラファイト;フラーレン;グラフェン;カーボンナノチューブ等が挙げられる。
導電性糸としては、導電性繊維(金属繊維(ただし、金属ワイヤーを除く。)、炭素繊維、イオン導電性ポリマーの繊維等)を含む糸、表面に金属(銅、銀、ニッケル等)をめっき又は蒸着した糸、金属酸化物を含浸させた糸等が挙げられる。
カーボンナノチューブ線状体は、例えば、国際公開第2018/097321号に記載の製造方法で製造できる。他にも、カーボンナノチューブの分散液から紡糸して、カーボンナノチューブ線状体を得てもよい。紡糸によるカーボンナノチューブ線状体の製造方法は、例えば、米国公開公報US 2013/0251619(日本国特開2011-253140号公報)に開示されている。
カーボンナノチューブ線状体は、カーボンナノチューブと金属とを含む複合線状体でもよい。複合線状体としては、例えば、下記の(1)~(3)が挙げられる。
(1)カーボンナノチューブフォレストの端部から、カーボンナノチューブをシート状に引出し、引き出したカーボンナノチューブシートを束ねた後、カーボンナノチューブの束を撚るカーボンナノチューブ線状体を得る過程において、カーボンナノチューブのフォレスト、シートもしくは束又は撚った線状体の表面に、金属単体又は金属合金を蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング、湿式めっき等により担持させた複合線状体。
(2)金属単体の線状体もしくは金属合金の線状体又は複合線状体とともに、カーボンナノチューブの束を撚った複合線状体。
(3)金属単体の線状体もしくは金属合金の線状体又は複合線状体と、カーボンナノチューブ線状体又は複合線状体とを編んだ複合線状体。
複合線状体の金属としては、例えば、金、銀、銅、鉄、アルミニウム、ニッケル、クロム、スズ、亜鉛等の金属単体、これら金属単体の少なくとも一種を含む合金(銅-ニッケル-リン合金、銅-鉄-リン-亜鉛合金等)が挙げられる。
金属ワイヤーの断面の形状が多角形状である場合、多角形の外接円の直径が金属ワイヤーの直径である。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂の具体例としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等が挙げられる。ポリエステル樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
これらは1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
熱硬化性樹脂として、例えば、エポキシ樹脂組成物、ウレタン反応により硬化する樹脂組成物、ラジカル重合反応により硬化する樹脂組成物を用いることができる。
これらは1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂の具体例としては、多官能系エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
硬化剤の具体例としては、アミン化合物、フェノール系硬化剤等が挙げられる。
ウレタン反応により硬化する樹脂組成物としては、例えば、(メタ)アクリルポリオールとポリイソシアネート化合物とを含む樹脂組成物が挙げられる。
(メタ)アクリル樹脂としては、反応性基を有するビニル単量体の重合体と、ビニル単量体由来の反応性基と反応し得る基を有しかつラジカル重合性基を有する単量体とを反応させて得られる樹脂;エポキシ樹脂の末端に(メタ)アクリル酸等を反応させた(メタ)アクリル基を有するエポキシアクリレートが挙げられる。
反応性基を有するビニル単量体の具体例としては、例えば、ヒドロキシ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等のアクリル系単量体が挙げられる。
ビニル単量体由来の反応性基と反応し得る基を有しかつラジカル重合性基を有する単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、イソシアナート基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
不飽和ポリエステルとしては、不飽和基を有するカルボン酸(フマル酸等)をジオールと縮合した不飽和ポリエステルが挙げられる。
着色剤の具体例としては、無機顔料、有機顔料、染料等が挙げられる。
これらは1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
接着層14の厚さは、例えば、接着性の観点から、3~150μmであることが好ましく、5~100μmであることがより好ましい。
粘着剤は特に限定されない。粘着剤の具体例としては、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリビニルエーテル系粘着剤等が挙げられる。これらの中でも、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤及びゴム系粘着剤からなる群から選ばれる少なくともいずれかが好ましく、アクリル系粘着剤がより好ましい。
・直鎖のアルキル基又は分岐鎖のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含むアクリル系重合体(1)(すなわち、少なくともアルキル(メタ)アクリレートを単量体として重合することで得られる重合体)。
・環状構造を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含むアクリル系重合体(2)(すなわち、環状構造を有する(メタ)アクリレートを少なくとも重合することで得られる重合体)。
アクリル系重合体は単独重合体でも共重合体でもよい。アクリル系重合体が共重合体である場合、共重合の形態は特に限定されない。アクリル系共重合体は、ブロック共重合体でもランダム共重合体でもグラフト共重合体でもよい。
・アクリル系共重合体(A):炭素数1~20の鎖状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(以下、「単量体成分(a1’)」と記載する。)に由来する構成単位(a1)と官能基含有モノマーに由来する構成単位(a2)(以下、「単量体成分(a2’)」と記載する。)とを含む共重合体。
アクリル系共重合体(A)は、構成単位(a1)及び構成単位(a2)以外のその他の構成単位(a3)をさらに含んでもよい。構成単位(a3)は、単量体成分(a1’)及び単量体成分(a2’)以外の他の単量体成分(a3’)に由来する構成単位である。
これらは1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
ヒドロキシ基含有モノマーの具体例としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
カルボキシ基含有モノマーの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられ、(メタ)アクリル酸が好ましい。
エポキシ基含有モノマーの具体例としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アミノ基含有モノマーの具体例としては、例えばジアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
シアノ基含有モノマーの具体例としては、例えばアクリロニトリル等が挙げられる。
これらは1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
これらは1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
構成単位(a2)の含有量は、アクリル系共重合体(A)の全構成単位100質量%に対して、0.1~50質量%が好ましく、0.5~40質量%がより好ましく、1.0~30質量%がさらに好ましく、1.5~20質量%が特に好ましい。
構成単位(a3)の含有量は、アクリル系共重合体(A)の全構成単位100質量%に対して、0~40質量%が好ましく、0~30質量%がより好ましく、0~25質量%がさらに好ましく、0~20質量%が特に好ましい。
硬化条件は特に限定されない。例えば、紫外線照射により硬化させる場合、紫外線の照射量は10~3000mJ/cm2が好ましく、照射時間は1~180秒が好ましい。
エネルギー線硬化性の成分としては、例えばエネルギー線が紫外線である場合には、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエンジメトキシジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ変性(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等の化合物であって、一分子中に紫外線重合性の官能基を2つ以上有する化合物等が挙げられる。
これらは1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤の具体例としては、例えば、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4-ジエチルチオキサントン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、2-クロロアンスラキノン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2-ベンゾチアゾール-N,N-ジエチルジチオカルバメート、オリゴ{2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-プロペニル)フェニル]プロパノン}等が挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エネルギー線硬化性官能基を有する化合物により表面修飾された無機充填材であると、例えば、電磁波吸収シートを三次元成形して物品の表面に被覆した後に硬化した接着層14が強靭となる。
接着層14が表面修飾された無機充填材を含む場合、接着層14は、別途エネルギー線硬化性の成分を含んでいることが好ましい。
剥離体15を接着層14の表面に設けることで、反射フィルム10の流通時及び取扱時における導電性線状体12の破損、及び接着層14の接着能の低下を抑制できる。
例えば、取り扱いが容易であることから、剥離体15は、剥離基材と、剥離基材の上に剥離剤が塗布されて形成された剥離剤層とを有する形態が好ましい。剥離体15は、剥離基材の片面のみに剥離剤層を備えていてもよく、剥離基材の両面に剥離剤層を備えていてもよい。
剥離基材の具体例としては、例えば、紙基材、紙基材等に熱可塑性樹脂(ポリエチレン等)をラミネートしたラミネート紙、プラスチックフィルム等が挙げられる。
紙基材としては、グラシン紙、コート紙、キャストコート紙等が挙げられる。
プラスチックフィルムとしては、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム等が挙げられる。
剥離剤としては、例えば、オレフィン系樹脂、ゴム系エラストマー(例えば、ブタジエン系樹脂、イソプレン系樹脂等)、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。
剥離体15の剥離剤層の厚さは、特に限定されない。剥離剤を含む溶液を塗布して剥離剤層を形成する場合、剥離剤層34の厚さは、例えば、0.01~2.0μmでもよく、0.03~1.0μmでもよい。
剥離基材としてプラスチックフィルムを用いる場合、プラスチックフィルムの厚さは、例えば、3~150μmでもよく、5~100μmでもよい。
まず、樹脂基体を準備する。次いで、樹脂基体の一方の面に導電性線状体を配置する。この際、2本以上の導電性線状体が同じ方向に延び、各導電性線状体が延びる方向と直交する方向に間隔Gをもって並び、かつ、互いに交差しないように配置する。
反射フィルム10のように、樹脂基体11と剥離体15とを有する形態においては、まず、樹脂層13を準備し、樹脂層13の表面に接着層14を設ける。次いで、接着層14の露出面に導電性線状体12を配置する。この際、2本以上の導電性線状体12が同じ方向に延び、各導電性線状体12が延びる方向と直交する方向に間隔Gをもって並び、かつ、互いに交差しないように配置する。次いで、接着層14の露出面を剥離体15で覆う。
以上説明した反射フィルム10にあっては、樹脂基体が透明であり、各導電性線状体が延びる方向と直交する方向に間隔をもって並ぶため、透明性がよくなる。さらに、本実施形態の反射フィルムにあっては、各導電性線状体が互いに交差しないため、曲面追従性がよくなる。
以下、第2実施形態に係る反射フィルムについて説明する。以下の説明において、反射フィルム10について説明した構成と同一又は類似の機能を有する構成には同一の符号を付し、同一の符号の構成について、説明を省略する。
図3は第2実施形態に係る反射フィルム10Bの平面図である。反射フィルム10Bにおいては、2本以上の導電性線状体12は波形状の第1部位12B1と、波形状の第2部位12B2と、波形状の第3部位12B3とを形成している。
第2部位12B2を構成する各導電性線状体の波形の波長はλ2であり、λ2はλ1より小さい。そして、第2部位12B2を構成する各導電性線状体の波形の振幅はA2であり、A2はA1と同じ値である。そのため、第2部位12B2では、第1部位12B1及び第3部位12B3に比べ、導電性線状体12が形成する1周期分の波形の波長がx軸方向に長くなる長さ、すなわち導電性線状体12がx軸方向に直線化する長さが相対的に長くなる。
波長λ1、波長λ2、波長λ3の各数値範囲は、第1実施形態で説明した波長λの数値範囲から適宜選択できる。
第1実施形態の反射フィルム10を複雑な立体形状の物品に適用する場合、下記のように作用すると考えられる。
物品が複雑な立体形状であると、電磁波吸収シートの三次元成形の際に、反射フィルム10の伸長度合が互いに異なる領域がフィルム上に複数形成される。そのため、波形状の導電性線状体12の直線化の度合が互いに異なる部位が形成される可能性がある。その結果、導電性線状体12が直線化して直線又は直線状に近くなった部位と、あまり直線化されず波形状を維持した部位とを三次元成形後に形成する可能性がある。
このような導電性線状体12の直線化の度合いが互いに異なる部位が形成されると、反射フィルム10は、直線化の度合いの違いに起因して、電磁波の吸収性及びフィルムの透明性のばらつきが生じるおそれがある。
このように、反射フィルム10Bを有する電磁波吸収シートにあっては、より複雑な立体形状である物品に適用する際でも、反射フィルムの各部位における導電性線状体12の密度が均一となり、透明度のばらつき及び電磁波の吸収性能のばらつきを抑制できる。
以下、第3実施形態に係る反射フィルムついて説明する。以下の説明において、反射フィルム10について説明した構成と同一又は類似の機能を有する構成には同一の符号を付し、同一の符号の構成について、説明を省略する。
図4は第3実施形態に係る反射フィルム10Cの平面図である。反射フィルム10Cにおいては、2本以上の導電性線状体12が波形状の第1部位12C1と、波形状の第2部位12C2と、波形状の第3部位12C3とを形成している。
第2部位12C2を構成する各導電性線状体の波形の波長はλ2Cであり、λ2Cはλ1Cと同じ値である。そして、第2部位12C2を構成する各導電性線状体の波形の振幅はA2Cであり、A2CはA1Cより小さい値である。そのため、第2部位12C2では、第1部位12C1及び第3部位12C3に比べ、導電性線状体12がx軸方向に、直線化する長さが短くなる。
電磁波吸収シートの三次元成形の際に反射フィルム10Cが伸長するとき、反射フィルム10C上の領域10C2は、反射フィルム10Cの領域10C1,10C3に比べ、各導電性線状体12の直線化に伴う伸長距離が短くなる領域である。
各部位の波長及び振幅の差異の程度は、電磁波吸収シートを適用する対象の成形品の形状に合わせて調整される。そして、導電性線状体12は部分的に直線状の部位を形成してもよい。また、各部位の波長及び振幅は、段階的に異なってもよく、漸次的に異なってもよい。
以下、第4実施形態に係る反射フィルムついて説明する。以下の説明において、反射フィルム10について説明した構成と同一又は類似の機能を有する構成には同一の符号を付し、同一の符号の構成について、説明を省略する。
図5は第3実施形態に係る反射フィルム10Dの平面図である。図5に示すように反射フィルム10Dにおいては、導電性線状体12が図5中x軸方向に直線状に延びている。つまり、反射フィルム10Dにおいては、2本以上の導電性線状体12が互いに平行に並んでいる。そして、2本以上の導電性線状体12の各間隔は等間隔である。ただし、各導電性線状体の間隔は、反射フィルム10Dのほかの変形例においては不等間隔でもよい。
以下、本発明の電磁波吸収シートについて説明する。本発明の電磁波吸収シートは、本発明の反射フィルムとスペーサーフィルムと抵抗体とを有する。
図6は本実施形態の電磁波吸収シート50を示す断面図である。図6に示すように、電磁波吸収シート50は反射フィルム10とスペーサーフィルム20と抵抗体30とをこの順で有する。電磁波吸収シート50においては、反射フィルム10の代わりに、反射フィルム10Bを適用してもよく、反射フィルム10Cを適用してもよく、反射フィルム10Dを適用してもよい。
スペーサーフィルム20は、反射フィルム10における接着層12の表面に設けられている。
図6に示すように、スペーサーフィルム20は、第1のスペーサー層21と第2のスペーサー層22とを有する。
スペーサーフィルム20による波長短縮効果を考慮する場合、スペーサーフィルム20は、反射フィルム10及び抵抗体30間の距離が、吸収対象となる電磁波の波長の4分の1となるように調整する機能を果たす。よって、第1のスペーサー層21の厚さと第2のスペーサー層22の厚さの合計は、吸収対象となる電磁波の波長及びスペーサーフィルム20の比誘電率に合わせて適宜変更される。このように、スペーサーフィルム20による波長短縮効果を考慮する場合、スペーサーフィルム20が反射フィルム10及び抵抗体30の間に配置されることで、反射フィルム10及び抵抗体30の距離が吸収対象となる電磁波の波長の4分の1になるように設計される。そのため、スペーサーフィルム20の厚さは特に限定されない。スペーサーフィルム20の厚さは、例えば、25~3000μmでもよく、50~2000μmでもよく、100~1000μmでもよい。
第1のスペーサー層21及び第2のスペーサー層22は高誘電率の層であってもよい。第1のスペーサー層21及び第2のスペーサー層22が高誘電率の層であると、スペーサーフィルム20の厚さを相対的に薄くできる。
抵抗体30は、スペーサーフィルム20の表面に設けられ、電磁波を吸収する吸収パターンを形成する。電磁波吸収シート50においては、導電性線状体12と接する側の表面と反対側のスペーサーフィルム20の表面に、抵抗体30が設けられている。抵抗体30は、電磁波吸収シート50に対して飛来する所定の波長の電磁波を吸収できる形態であれば特に限定されない。すなわち、抵抗体30は、所定の波長の電磁波を吸収できる形態であれば特に限定されない。
抵抗体30と吸収パターンが形成された第2のスペーサー層22とを有する層を、電磁波を吸収する吸収層とみなしてもよい。抵抗体30としては、電磁波吸収シートとしてインピーダンス整合が取れる形態であれば特に限定されない。例えば、軟磁性材料を含む形態でもよく、高誘電率材料を含む形態でもよく、導電性材料を含む形態でもよい。
例えば、抵抗体30は、FSS(Frequency Selective Surface)素子を繰り返し配列したパターンを形成してもよい。
単位面積当たりに配置できるパターン数量の密度を考慮すると、外周長さが同一である場合に図形寸法が小さくなることから、吸収パターンの形状としては、方形の方が円形よりも好ましい。
形状、寸法が異なる2種類以上の吸収パターンを組み合わせてもよい。この場合、2種類以上の周波数の電磁波を選択して吸収できる。
・導電性ペーストを用いてスペーサーフィルム20の一方の面に吸収パターンを印刷する方法。
・スペーサーフィルム20の一方の面に吸収パターンを現像する方法。
・スパッタ法又は真空蒸着によってスペーサーフィルム20の一方の面に金属薄膜を設け、フォトリソグラフィによって金属薄膜のパターンをスペーサーフィルム20の一方の面に形成する方法。
印刷に使用する導電性ペーストとしては、例えば、金属粒子、カーボンナノ粒子及びカーボンファイバーからなる群より選ばれる少なくとも1種以上とバインダーである樹脂成分とを含むペースト状の組成物が挙げられる。金属粒子としては、銅、銀、ニッケル、アルミニウム等の金属の粒子が挙げられる。バインダーである樹脂成分としては、例えば、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、アミノ樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。ただし、金属粒子及び樹脂成分はこれらの例示に限定されない。
導電性ペーストは、さらにカーボンブラック等の黒色顔料を含んでもよい。導電性ペーストが黒色顔料をさらに含むと、印刷された吸収パターンを構成する金属粉末の金属光沢を抑え、外光の反射を抑制し、電磁波吸収シート50の透明性をさらに高めることができる。
現像方法としては、露光マスクに覆われず、露光された部分に現像物が発現するネガ型の現像方法と露光マスクに覆われ、未露光の部分には現像物が発現するポジ型の現像方法がある。すなわち、ネガ型の現像方法では、露光マスクと反対の形に現像物として抵抗体30が形成される。一方、ポジ型の現像方法では、露光マスクと同じ形に現像物として抵抗体30が形成される。現像物に用いる金属としては通常、銀が使用される。
まず、スペーサーフィルム20の表面にレジストを塗布し、熱処理した後、レジストから溶媒を除去する。次に、レジストに所望のパターンを露光し、レジストパターンを現像してレジストパターンからなる層を形成する。次に、基材とレジストパターンからなる層の上に、全面に渡って蒸着膜を形成し、レジスト剥離剤を用いてレジストパターンからなる層とその上に乗っている蒸着膜とを同時に除去する。その他、各樹脂層上に金属薄膜を設け、金属薄膜上にレジストを塗布し、熱処理する。次に、エッチング処理によりレジストが塗布されていない部分の金属薄膜を除去する。その次に、必要に応じレジストを除去し、電磁波吸収パターンを形成する。
吸収パターンを形成する抵抗体30の表面には、図示略の金属メッキ層をさらに設けてもよい。
本実施形態の電磁波吸収シート50は、例えば下記の製造方法で製造できる。
・製造方法(1):まず、樹脂層13と樹脂層13の一方の面に配置された導電性線状体12とを有する反射フィルムを準備する。そして、所定の厚さに設計されたスペーサーフィルム20を準備する。次いで、樹脂層13の一方の面にスペーサーフィルム20を設ける。この際、スペーサーフィルム20は、導電性線状体12が設けられている側の樹脂層13の表面に積層しても、導電性線状体12が設けられていない側の樹脂層13の表面に積層してもよい。次いで、スペーサーフィルム20の表面に吸収パターンを形成する抵抗体30を設ける。
・製造方法(2):まず、導電性線状体12と樹脂層13と接着層14と必要に応じて剥離体15とを有する反射フィルム10を準備する。次いで、必要に応じて剥離体15を除去し、接着層14の露出面を介して、スペーサーフィルム20と反射フィルム10とを貼り合わせ、接着層14の露出面にスペーサーフィルム20を設ける。次いで、スペーサーフィルム20の表面に吸収パターンを形成する抵抗体30を設ける。
吸収パターンを形成する抵抗体が設けられたプラスチックフィルムを用いると、図6に示すような、第1のスペーサー層21と第2のスペーサー層22とを有するスペーサーフィルム20を有する電磁波吸収シート50が製造される。すなわち、図6において、抵抗体30が設けられたプラスチックフィルムが、抵抗体30と第2のスペーサー層22が一体化されたフィルムに対応する。
本実施形態の反射フィルムは、自動車用部品、道路周辺部材、建築外壁関連材、窓、通信機器、電波望遠鏡等に用いることができる。
以上説明した本実施形態の電磁波吸収シートは、本実施形態の反射フィルムを有するため、透明性及び曲面追従性に優れる。
(曲面追従性)
真空成形(バキューム・フォーミング)の手法を利用して、各例で得られた三次元成形用導電性シートを三次元成形しつつ、直径15cmの半円球状物品に被覆しサンプルとした。作製後に反射層における導電線の断線、クラック等の発生の有無を目視で確認した。
下記の基準で曲面追従性を評価した。
○:導電線の断線及びクラックの発生が観察されない。
×:導電線の断線及びクラックのいずれか又は両方の発生が観察された。
ヘイズメーター(日本電飾工業社製「NDH5000」)を用いて全光線透過率[%]を測定した。測定結果に基づいて、下記の基準で透明性を評価した。
○:全光線透過率が50%以上。
×:全光線透過率が50%未満。
作製したシートについて、フリースペース型Sパラメータ法を用いて、60~90GHzの帯域で電磁波の反射特性(S11)を測定し、下式(1)により吸収量を算出し、電磁波吸収特性を求めた。
吸収量=入力信号-反射特性(S11) ・・・(1)
下記の基準で電磁波吸収性を評価した。
○:吸収量が10dB以上。
×:吸収量が10dB未満。
樹脂層である厚さ100μmのポリプロピレンフィルム上に、接着層である厚さ20μmのアクリル系接着層(感圧接着層)を設け、粘着シートからなる樹脂基体とした。この粘着シート上に直径14μmのタングステンワイヤー(株式会社トクサイ製、製品名「TGW-B」)を間隔G:1.0mm、波長λ:16mm、振幅A:5.0mmで配置し、反射フィルムを作製した。
エポキシ樹脂とチタン酸バリウム(エポキシ樹脂100質量%に対し75質量%)とを含み、厚さが160μmであるエポキシフィルムを第1のスペーサーフィルムとした。
ポリエチレンテレフタレートを含むPETフィルムからなる第2のスペーサーフィルムに、一辺の長さが1.4mmであり、線幅が200μmであるロの字状(中空の正方形状)の吸収パターンを0.3mm間隔で形成した。具体的には、PETフィルムに銅箔を貼りあわせた基材を用意し、フォトリソグラフィとエッチング処理により、PETフィルム上に銅箔からなる吸収パターンを形成した。これによりFSSフィルムを得た。
反射フィルムと第1のスペーサーフィルムとFSSフィルムとをこの順で積層し、実施例1の電磁波吸収シートを製造した。
外形1.4mmのロの字状(中空の方形状)の吸収パターンの代わりに、各線分の長さが1.9mmであり、線幅が200μmである十字状の吸収パターンを0.3mm間隔で形成した実施例2のFSSフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の電磁波吸収シートを製造した。
反射フィルムとして、PETフィルムに銀ペーストを全面塗布したフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の電磁波吸収シートを製造した。
一方、比較例1の電磁波吸収シートは電磁波吸収性に優れていたが、曲面追従性及び透明性のいずれもが不十分であった。
11 樹脂基体
12 導電性線状体
13 樹脂層
14 接着層
15 剥離体
20 スペーサーフィルム
30 抵抗体
50 電磁波吸収シート
Claims (7)
- 透明であり、平板状の樹脂基体と、前記樹脂基体の一方の面に配置され、同じ方向に延びる2本以上の導電性線状体とを有し、
前記2本以上の導電性線状体は、各導電性線状体が延びる方向と交わる方向に間隔をもって並び、かつ、互いに交差せず、前記間隔が0.2~5mmであり、かつ、前記導電性線状体の線幅が5~100μmである、電磁波吸収シート用の反射フィルム。 - 前記導電性線状体が金属ワイヤーである、請求項1に記載の電磁波吸収シート用の反射フィルム。
- 平面視した際に、前記樹脂基体の一方の面方向に、前記導電性線状体の形状が周期的に正弦波の波形状に湾曲している、請求項1又は2に記載の電磁波吸収シート用の反射フィルム。
- 前記2本以上の導電性線状体は、波形状の第1部位と、波形状の第2部位と、波形状の第3部位とを有し、
前記第1部位を構成する各導電性線状体の波形の波長は、前記第2部位を構成する各導電性線状体の波形の波長よりも長く、かつ前記第3部位を構成する各導電性線状体の波形の波長と等しく、前記第1部位を構成する各導電性線状体の波形の振幅は、前記第2部位を構成する各導電性線状体の波形の振幅、および前記第3部位を構成する各導電性線状体の波形の振幅と等しいか、
あるいは、前記第2部位を構成する各導電性線状体の波形の波長、および前記第3部位を構成する各導電性線状体の波形の波長と等しく、前記第1部位を構成する各導電性線状体の波形の振幅は、前記第2部位を構成する各導電性線状体の波形の振幅よりも長く、かつ前記第3部位を構成する各導電性線状体の波形の振幅と等しい、請求項1~3のいずれか一項に記載の電磁波吸収シート用の反射フィルム。 - 前記樹脂基体が、樹脂層と、前記樹脂層の一方の面に設けられた接着層とを有し、前記導電性線状体が前記接着層に設けられている、請求項1~4のいずれか一項に記載の電磁波吸収シート用の反射フィルム。
- 前記接着層の表面に設けられ、前記導電性線状体の表面を覆う剥離体をさらに有する、請求項5に記載の電磁波吸収シート用の反射フィルム。
- 請求項1~6のいずれか一項に記載の電磁波吸収シート用の反射フィルムと、
前記反射フィルムの一方の表面に設けられているスペーサーフィルムと、
前記スペーサーフィルムの表面に設けられ、電磁波を吸収する吸収パターンを形成する抵抗体と、
を有する、電磁波吸収シート。
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