JP7172713B2 - 酸化亜鉛鉱の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄鋼ダスト等、亜鉛と共に不純物として水銀を含有する原料鉱を用いて酸化亜鉛鉱を製造する場合に好適な酸化亜鉛鉱の製造方法に関する。又、本発明は、更に詳しくは、鉄鋼ダスト等を原料として酸化亜鉛鉱を製造する場合において、処理系外に排出する処理済み排ガスの水銀濃度を、従来方法よりも高い精度で安定的に制御することができる酸化亜鉛鉱の製造方法に関する。
従来、亜鉛製錬所における亜鉛地金の原料として、酸化亜鉛鉱が広く用いられている。酸化亜鉛鉱の原料となる粗酸化亜鉛は、例えば、鉄鋼業における高炉や電気炉等の製鋼炉から発生する鉄鋼ダストからも得ることができる。資源リサイクルの促進の観点からは、鉄鋼ダストの再利用は望ましいものである。しかし、一方で、鉄鋼ダストには、その主成分である酸化鉄や酸化亜鉛以外に、不純物として微量の水銀が含有されている。そして、最終的に製造プラントの処理系外に排出する処理済み排ガスの水銀濃度については、厳密に法定基準値を下回るように処理を行うことが必須であり、様々な方法によって処理系内で発生する排ガスから水銀を除去する排ガス処理が行われている(特許文献1参照)。
酸化亜鉛鉱の製造を行う全体プロセスにおいて、処理系内で発生する排ガスから水銀を除去する処理は、通常、各種の吸着法によって水銀を除去する設備によって行われることが一般的である。このような処理方法による限り、吸着率、即ち、水銀除去「率」(水銀除去処理前の排ガスの水銀濃度と、処理済み排ガスの水銀濃度との比)は、各々の処理設備において常に一定である。よって、処理済み排ガスの水銀濃度の絶対値それ自体は、排ガス処理設備に導入される水銀除去処理前の排ガスの水銀濃度の変動に応じて変動する。
そこで、従来、処理済み排ガスの水銀濃度の日常的な管理のためには、各種原料の原料段階での水銀含有率と原料処理量から「原料の水銀量」を先ず算出し、排ガス処理設備における一定の水銀除去率を加味して、例えば、排ガス処理設備での水銀除去「率」が90%である場合には、「原料中の水銀量」の10%の量を「処理済み排ガス中の水銀量」とみなし、この量を、排出する処理済み排ガスのガス総量で除したものを「処理済み排ガスの水銀濃度」と推定していた。そして、この推定値が、十分な余裕を持って法定基準値を下回るように、主として原料段階での水銀濃度を管理することによって最終的に処理系外に排出される処理済み排ガスの水銀濃度を一定濃度範囲内に制御する方法が広く採用されていた。
尚、原料段階での水銀濃度の管理は、通常、新たに原料から系内に持ち込まれるニューチャージ水銀量、より具体的には水銀含有率既知の各種原料の処理物量比を調整することによって、行われていた。
しかしながら、実際には、鉄鋼ダスト等の原料は、水銀含有率のバラツキが大きく、又、その後の製造過程においても、亜鉛回収率向上を目的として、下流工程での回収物の上流工程への繰り返し処理も大量に行われる。このように、様々な組成の原料が、複雑な工程を経る酸化亜鉛鉱の製造プラントにおいて、最終的に処理系外に排出する処理済み排ガスの水銀濃度を、原料段階での水銀含有率に依拠して推定する上記のような方法では、高い精度で処理済み排ガスの濃度管理を行うことは困難であった(図3参照)。
原料段階での水銀含有率に依拠する上記方法によって処理済み排ガスの水銀濃度を推定する場合、十分な余裕を持って同濃度を規準値以下に保つためには、処理済み排ガス水銀濃度の上記推定値のぶれ幅を十分に織り込んだ操業条件の調整が必要となる。よって、確実に安全性を維持するためには、酸化亜鉛鉱の生産性についてはある程度犠牲にした操業条件とせざるをえない場合が多くある、というのが酸化亜鉛鉱の製造プラントにおける実態であった。
特開2018-79456号公報
本発明は、酸化亜鉛鉱の製造において、最終的に処理系外に排出する処理済み排ガスの水銀濃度を高い精度で制御することができ、これにより、酸化亜鉛鉱の生産性を向上させることができる酸化亜鉛鉱の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、粗酸化亜鉛から酸化亜鉛鉱の製造を行う全体プロセスの中で、最終製品となる酸化亜鉛鉱を産出する乾燥加熱工程に装入する中間生成物の水銀含有率と製品産出量とに基づいて、水銀負荷量を求め、これを所定範囲内に維持する調整を行うことにより、最終的に処理系外に排出する処理済み排ガスの水銀濃度を高い精度で制御することができることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 水銀を含有する原料鉱から酸化亜鉛鉱を製造する酸化亜鉛鉱の製造方法であって、前記原料鉱を還元焙焼して得られる粗酸化亜鉛ダストに湿式処理を施し、水溶性不純物を除去して、粗酸化亜鉛ケーキを得る湿式工程と、前記粗酸化亜鉛ケーキを乾燥加熱炉で焼成し、酸化亜鉛鉱を得る乾燥加熱工程と、前記乾燥加熱工程で発生した排ガスから水銀を除去する排ガス処理工程と、を備え、前記湿式工程から排出される前記粗酸化亜鉛ケーキの水銀含有率を測定する中間生成物水銀含有率測定処理と、前記乾燥加熱工程から産出される前記酸化亜鉛鉱の産出量を測定する製品産出量測定処理と、を行い、前記産出量と前記水銀含有率との積を水銀負荷量とみなして、該水銀負荷量が、所定の上限値を超えた場合には、該水銀負荷量を減少させる調整を行い、前記水銀負荷量が、所定の下限値未満となった場合には、該水銀負荷量を増加させる調整を行う水銀負荷量調整処理を行うことによって、排ガス処理工程から排出される処理済み排ガスの水銀濃度を所定範囲内に維持する、酸化亜鉛鉱の製造方法。
(2) 前記湿式工程から排出される前記粗酸化亜鉛ケーキを処理系外へ排出する処理と、該処理により排出された粗酸化亜鉛ケーキを処理系内に戻して乾燥加熱工程に装入する処理と、を選択的に行うことにより、前記乾燥加熱工程に装入される前記粗酸化亜鉛ケーキの装入量を増減させる、(1)に記載の酸化亜鉛鉱の製造方法。
(3) 前記原料鉱の水銀含有率を変動させることによって、前記乾燥加熱工程に装入される前記粗酸化亜鉛ケーキの水銀含有率を増減させる、(1)又は(2)に記載の酸化亜鉛鉱の製造方法。
(4) 前記原料鉱が鉄鋼ダストを含んでなる原料鉱である、(1)から(3)の何れかに記載の酸化亜鉛鉱の製造方法。
本発明によれば、酸化亜鉛鉱の製造において、最終的に処理系外に排出する処理済み排ガスの水銀濃度を、高い精度で制御することができ、これにより、酸化亜鉛鉱の生産性を向上させることができる酸化亜鉛鉱の製造方法を提供することができる。
本発明の酸化亜鉛鉱の製造方法の一例を示すフローチャートである。 酸化亜鉛鉱の製造プラントにおいて、本発明の酸化亜鉛鉱の製造方法を実施した場合における、水銀負荷量から推定した処理済み排ガスの水銀濃度と実際にサンプリング、分析した処理済み排ガスの水銀濃度との関係を示す図である。 酸化亜鉛鉱の製造プラントにおいて、従来の酸化亜鉛鉱の製造方法における原料中の水銀量から推定した処理済み排ガスの水銀濃度と実際にサンプリング、分析した処理済み排ガスの水銀濃度との関係を示す図である。
<全体プロセス>
本発明の酸化亜鉛鉱の製造方法は、図1に示す酸化亜鉛鉱の製造を行う全体プロセスのうち、少なくとも、湿式工程S20、乾燥加熱工程S30、及び、排ガス処理工程S40を含んでなる複合的なプロセスである。湿式工程S20は、乾燥加熱工程S30に装入する中間生成物である粗酸化亜鉛ケーキを得る工程であり、乾燥加熱工程S30は、この粗酸化亜鉛ケーキを焼成して製品である酸化亜鉛鉱を産出する工程であり、この乾燥加熱工程S30から水銀を含有する排ガスが排出される。排ガス処理工程S40は、この水銀を含有する排ガスから水銀及びその他の有害物質を分離除去する工程である。又、図1に示すように、本発明の酸化亜鉛鉱の製造方法は、これらの必須の3工程の他に、更に、還元焙焼工程S10、及び、排水処理工程S50を加えた全体プロセスとしての実施を、その代表的な実施態様とする全体プロセスである。
そして、本発明の酸化亜鉛鉱の製造方法は、このような全体プロセスの中で、製品を産出する乾燥加熱工程S30に装入する中間生成物である粗酸化亜鉛ケーキの水銀含有率と乾燥加熱工程S30から産出される製品である酸化亜鉛鉱の産出量とに着目し、上記水銀含有率と上記産出量との積を水銀負荷量とみなして、この値を、処理済み排ガスの水銀濃度の制御に用いる重要な指標として操業条件を適宜最適化することにより、高い精度で、処理済み排ガスの水銀濃度を制御することができるプロセスとしたものである。
尚、このような本発明の酸化亜鉛鉱の製造方法は、特に、水銀の含有率のバラツキが大きい鉄鋼ダストを主たる原料鉱として用いる製造プラントにおいて、とりわけ有利な効果を発揮する。以下においては、酸化亜鉛鉱の主たる原料鉱として、鉄鋼ダストを用いる場合における実施態様を、本発明の酸化亜鉛鉱の製造方法の好ましい実施態様の具体例として、その詳細を説明する。
<還元焙焼工程>
還元焙焼工程S10は、通常、大型の回転式加熱炉である還元焙焼ロータリーキルン(RRK)によって、鉄鋼ダスト等の原料鉱(一次原料)を、還元剤と共に高温で焙焼する工程である。還元焙焼処理の焙焼温度については、被処理物の最高温度が1050℃以上1200℃以下程度となるように還元焙焼ロータリーキルン(RRK)の炉内温度を保持管理することが好ましい。
還元焙焼ロータリーキルン(RRK)の炉内で、鉄鋼ダスト等の原料は還元焙焼され、揮発した金属亜鉛が炉内で再酸化されて粉状の酸化亜鉛となる。粉状の酸化亜鉛は、還元焙焼ロータリーキルンからの排出ガス(RRK排出ガス)と共に集塵機に導入され回収ダストとして捕捉される。このとき、原料鉱に含まれていた水銀も、上記RRK排出ガスへの活性炭の噴霧と集塵等により同様に回収ダストとして捕捉され、水銀を含有するこれらの回収ダストが、粗酸化亜鉛ダストとして次工程である湿式工程S20に装入される。
尚、この還元焙焼工程S10において揮発せずにキルン内に残った還元焙焼残渣は、通常、含鉄クリンカーと称する製品としてキルン排出端より回収され、還元された鉄分が多く含有されるため、鉄鋼メーカー向けの鉄原料等として払い出される。
<湿式工程>
湿式工程S20は、還元焙焼工程S10において回収された上記の粗酸化亜鉛ダストを、工業用水等でレパルプし、フッ素等の水溶性不純物を分離抽出する処理を行う工程である。
尚、湿式工程S20には、鉄鋼ダスト等の一次原料が上流工程である還元焙焼工程S10を経て生成された粗酸化亜鉛ダストの他に、粗酸化亜鉛ダストと同等の化学組成であり亜鉛を含有する粗酸化亜鉛粉等の二次原料も、還元焙焼工程S10を経ずに、直接装入され、一時原料と同様の処理が行われる。
上記の分離抽出処理を経てスラリーとなった粗酸化亜鉛ダストは、pH調整及び濃縮処理、脱水処理が行われることにより、粗酸化亜鉛ケーキとされて、次工程である乾燥加熱工程S30に装入される。上記の濃縮及び脱水処理については、シックナー等の重力沈降式スラリー濃縮装置や真空脱水機等の脱水装置を適宜用いることができる。
ここで、湿式工程20には、プロセス内で回収した排ガスダストや排水処理澱物等の亜鉛含有物も繰り返し処理のために装入される。後述の排ガス処理工程S40から得られた排ガスダストにもこの繰り返し処理に付される繰り返し物の一つであるが、当該排ガスダストには、プロセス系内を循環、濃縮した大量の水銀が含まれている。
<乾燥加熱工程>
乾燥加熱工程S30は、湿式工程S20で得た粗酸化亜鉛ケーキを、乾燥加熱ロータリーキルン(DRK)等の乾燥加熱炉に装入して焼成する工程である。この乾燥加熱工程S30により、水銀を含む残留不純物を揮発させて、高品位の酸化亜鉛鉱を得ることができる。乾燥加熱処理の焼成温度については、乾燥加熱ロータリーキルン(DRK)等から産出される際の被焼成物の温度が1000℃以上1200℃以下、好ましくは、1100℃以上1150℃以下の範囲となるように炉内温度を保持管理することが好ましい。
尚、乾燥加熱工程S30を行う乾燥加熱炉には、一次原料由来及び二次原料由来の水銀に加えて、上記の通り繰り返し物としてプロセス内を循環する排ガスダストに含まれる水銀も装入される。乾燥加熱工程S30において、これらの大量の水銀のほぼ全量が排ガス側に分配されて後段の排ガス処理工程S40に送られる。
<排ガス処理工程>
排ガス処理工程S40は、乾燥加熱工程S30で発生した水銀等を含有する排ガスを除塵、無害化して水銀及びその他の不純物を除去し、無害化された処理済み排ガスとする工程である。この工程を行う設備としては、洗浄塔、湿式電気集塵機、水銀吸着剤が充填されている充填塔の組合せが一般的である。尚、上記の水銀吸着剤としては、粒コークス等の炭素化合物の表面に、銅精鉱、亜鉛精鉱、鉛精鉱等から選択される1種以上の硫化物を付着させたものが広く用いられている。
上記構成からなる設備において排ガス処理工程S40を行う場合においては、排ガス中の水銀は90%程度の回収率で充填塔内の水銀吸着剤に吸着回収されるが、上述の通り、水銀を含む排ガスダストについては、主成分が酸化亜鉛であることから、これを、更に、湿式工程S20に繰り返して循環装入することにより、金属資源の有効利用が図られている。
<排水処理工程>
排水処理工程S50は、湿式工程S20において粗酸化亜鉛ダストから分離されたフッ素、カドミウム等の水溶性不純物を高濃度で含有する廃液から、カドミウム等の一部の重金属を除去し、その後、廃液中に微量に残留した重金属、及び、フッ素を消石灰による中和処理により沈殿除去し、最終的にpH調整処理ST51を施して無害の処理済み排水とする工程である。
<処理済み排ガスの水銀濃度の制御方法>
本発明の酸化亜鉛鉱の製造方法においては、図1に示すように、中間生成物水銀含有率測定処理ST31、製品産出量測定処理ST32、及び、水銀負荷量調整処理ST33を必須の処理として行う。
ここで、排ガス処理工程S40に送られる水銀量は、上記の繰り返し物の循環に伴って不定量の水銀がプロセス内を循環することもあり、水銀量の変動幅が極めて大きい。よって、同工程における実際の水銀負荷量を直接的に測定してこれらを適切に制御することは極めて困難であり、通常、実質的に不可能とされている。
これに対して、本発明の粗酸化亜鉛の製造方法においては、図1に示すように、湿式工程S20から排出される粗酸化亜鉛ケーキの水銀含有率を測定する中間生成物水銀含有率測定処理ST31と、乾燥加熱工程S30から産出される製品である酸化亜鉛鉱の産出量を測定する製品産出量測定処理ST32と、を必須の処理として行ない、これらの処理に基づいて得ることができる量を水銀負荷量とみなし、この値を、処理済み排ガスの水銀濃度を制御するための指標として活用する。これにより、処理済み排ガスの水銀濃度を高い精度で制御することができる。
[中間生成物水銀含有率測定処理ST31]
中間生成物水銀含有率測定処理ST31は、湿式工程S20から排出される中間生成物であり、乾燥加熱工程S30に装入される粗酸化亜鉛ケーキの水銀含有率を、乾燥加熱工程S30への装入前の段階で測定する処理である。この測定処理は、具体的には、例えば、一定時間毎にサンプリングした粗酸化亜鉛ケーキを溶解処理して、原子吸光分析装置で測定することによって行うことができる。
尚、上記の粗酸化亜鉛ケーキは、真空脱水機等の脱水装置から得られるが、含水泥状の性状であり、正確な物量の把握が困難である。そこで、粗酸化亜鉛ケーキの「装入量」については、下記の通り、本発明の製造方法においては、以下の製品産出量測定処理ST32で得る酸化亜鉛鉱の「産出量」で代用することとしている。
[製品産出量測定処理ST32]
製品産出量測定処理ST32は、乾燥加熱工程S30から産出される最終製品である酸化亜鉛鉱の産出量を測定する処理である。この処理は、具体的には、例えば、酸化亜鉛鉱の移送設備と貯留ホッパーの間に備えられた、ロードセルを用いた吊り下げ式の秤量器で測定することによって行うことができる。
そして、本発明の製造方法においては、製品産出量測定処理ST32において得た酸化亜鉛鉱の産出量に、中間生成物水銀含有率測定処理ST31で得た粗酸化亜鉛ケーキの水銀含有率を乗じて求めた積を、「水銀負荷量」とみなし、この値を、最終的に処理系外に排出する処理済み排ガスの水銀濃度を厳密に管理するための重要な指標値として用いる。
[水銀負荷量調整処理ST33]
水銀負荷量調整処理ST33は、上記の「水銀負荷量」が、所定の管理規準値範囲の上限値を超えた場合には、水銀負荷量を減少させる調整を行い、「水銀負荷量」が、所定の管理規準値範囲の下限値未満となった場合には、水銀負荷量を増加させる調整を行うことにより、「水銀負荷量」を、所定範囲内に維持する処理である。
(粗酸化亜鉛ケーキ装入量の調整)
水銀負荷量調整処理ST33における「水銀負荷量」は、乾燥加熱工程S30に装入する粗酸化亜鉛ケーキの装入量を適宜増減させることよって、適切な範囲内に維持することができる。具体的には、「水銀負荷量」が、所定の下限値未満となった場合には、乾燥加熱工程S30に装入される粗酸化亜鉛ケーキの装入量を増加させればよく、「水銀負荷量」が、所定の上限値を超えた場合には、乾燥加熱工程S30に装入される粗酸化亜鉛ケーキの装入量を減少させればよい。このような粗酸化亜鉛ケーキの装入量の増減により、「乾燥加熱工程S30から産出される酸化亜鉛鉱の産出量」を増減させて、上記の通り、「水銀負荷量」を適切な範囲内に維持することができる。
又、このような乾燥加熱工程S30への粗酸化亜鉛ケーキの装入量の増減は、湿式工程S20から排出される粗酸化亜鉛ケーキの処理系外への排出と、排出された粗酸化亜鉛ケーキの処理系内への再装入とを、水銀負荷量の変動に応じて選択的に行う方法によることが好ましい。この方法による場合、中間生成物水銀含有率測定処理ST31及び製品産出量測定処理ST32によって得られる「水銀負荷量」が操業中において、上記上限値を超えた場合には、湿式工程S20から排出される粗酸化亜鉛ケーキの一部を処理系外へ排出し、一時的に処理系外の保管場所に保管する。又、上記「水銀負荷量」が操業中において、上記下限値未満となった場合には、一時的に処理系外に保管されている粗酸化亜鉛ケーキを処理系内へ再装入する。
このように、中間生成物水銀含有率測定処理ST31及び製品産出量測定処理ST32によって得られる「水銀負荷量」を、水銀負荷量調整処理ST33を制御する情報として逐次フィードバックして、乾燥加熱工程S30への粗酸化亜鉛ケーキの装入量を適宜最適化する方法は、全操業期間中を通じて、「水銀負荷量」を高い精度で調整することができるのみならず、最終的に製品の生産に寄与する原料鉱の有効な利用率を高めることもできるため、処理済み排ガスの管理精度と酸化亜鉛鉱の生産性の何れをも大きく向上させることができる。
(原料鉱の水銀含有率の調整)
又、上記の「水銀負荷量」の調整は、原料鉱の水銀含有率の調整によることもできる。特に鉄鋼ダストのように、銘柄やロット毎に水銀含有率にバラツキがある複数の原料を用いる場合、各銘柄やロットの配合比を調整して、原料段階での「水銀含有率」を制御できるので、このような場合に、この調整方法は有効である。従来方法による場合には、原料段階での「水銀含有率」は、処理済み排ガスの水銀濃度との相関が弱く、管理指標としては必ずしも適切に機能しえなかったが、本発明の製造方法においては、中間生成物水銀含有率測定処理ST31によって、排ガスダストの水銀含有率や繰り返し量の変動も織り込んだ測定処理により「水銀負荷量」を得るプロセスとされているので、原料段階での調整も水銀負荷量を調整する手段として有効に機能する。又、これにより、組成のバラツキが大きい鉄鋼ダストをより効率よく適切な配分で利用することができるようにもなる。
[排ガス風量調整処理]
尚、処理済み排ガスの水銀濃度は、上記の水銀負荷量の増減に対応して、最終的に排ガス処理工程を経て処理系外に排出される処理済み排ガスの風量を増減させる排ガス風量調整処理ST41によっても更に最終的な調整をすることができる。水銀負荷量が、所定の上限値を超えた場合には、処理済み排ガスの風量を増加させ、水銀負荷量が、所定の下限値未満となった場合には、処理済み排ガスの風量を減少させることにより、処理済み排ガスの水銀濃度の制御の精度を更に高めることができるため水銀濃度制御の補助的手段として有効である。
[水銀負荷量と排ガス水銀濃度との相関]
ここで、図2は、「水銀負荷量」に依拠して「処理済み排ガスの水銀濃度」を推定する本発明の製造方法による場合における、「水銀負荷量から推定した処理済み排ガス水銀濃度指数」と、「実際にサンプリングして分析した処理済み排ガス水銀濃度指数」との関係を示した相関図である。この方法においては、「水銀負荷量から推定した処理済み排ガス水銀濃度指数」と、「実際にサンプリングして分析した処理済み排ガス水銀濃度指数」の相関は十分に高く、「水銀負荷量から推定した処理済み排ガス水銀濃度指数」は、処理済み排ガスの水銀濃度の制御を行うための管理値としては適切であることが示されている。尚、図2における「排ガス水銀濃度指数」とは、直接的な濃度の数値を相対的な比率に換算した数値であり、例えば法定基準値の10分の1を1.00と定めてもよい。
尚、排ガス処理設備毎における「(実際の)水銀負荷量」と「(実際の)処理済み排ガスの水銀濃度」との関係式は、多くの場合、経験的に所与の計算式として得られている。よって、例えば、この計算式を用いて計算することにより、「(本発明における)水銀負荷量(のみなし値)」から、「排ガス水銀濃度」の推定値を得て、上記の「処理済み排ガス水銀濃度指数」を推定することができる。尚、上記の計算を行う際には、「排ガス風量」を、更に上記計算式のパラメータとして適切に加えることにより、上記推定の精度は、更に高まる。
一方で、図3は、本発明の製造方法における「水銀負荷量」に代えて、「原料段階での水銀量」に依拠して「処理済み排ガスの水銀濃度」を推定する従来方法による場合における、「原料中の水銀量から推定した排ガス水銀濃度指数」と、「実際にサンプリングして分析した処理済み排ガス水銀濃度指数」との関係を示した相関図である。この方法においては、「原料中の水銀量から推定した排ガス水銀濃度指数」と「実際にサンプリングして分析した処理済み排ガス水銀濃度指数」の相関は低く、回帰式は0を通過せず、「原料中の水銀量から推定した排ガス水銀濃度指数」は、処理済み排ガスの水銀濃度の制御を行うための管理値としては不適切であることが示されている。尚、図3における「原料段階での排ガス水銀推定指数」とは、上記同様、直接的な濃度の数値を相対的な比率に換算した数値である。
上述の通り、「水銀負荷量から推定した処理済み排ガス水銀濃度指数」と、「実際にサンプリングして分析した処理済み排ガス水銀濃度指数」との間には十分に高い正の相関がある。よって、「水銀負荷量」を所定範囲内に維持することによって、処理済み排ガスの水銀濃度を高い精度で所望の範囲内に制御することができる。「水銀負荷量」を所定範囲内に維持するための具体的手段は単一の手段に限定されないが、上記において説明した各手段のうちの一つを選択、或いは、これらのうちから複数の手段を適宜組合せて実施することにより、処理済み排ガスの水銀濃度を高い精度で制御することができる。
S10 還元焙焼工程
S20 湿式工程
S30 乾燥加熱工程
ST31 中間生成物水銀含有率測定処理
ST32 製品産出量測定処理
ST33 水銀負荷量調整処理
S40 排ガス処理工程
ST41 排ガス風量調整処理
S50 排水処理工程
ST51 pH調整処理

Claims (4)

  1. 水銀を含有する原料鉱から酸化亜鉛鉱を製造する酸化亜鉛鉱の製造方法であって、
    前記原料鉱を還元焙焼して得られる粗酸化亜鉛ダストに湿式処理を施し、水溶性不純物を除去して、粗酸化亜鉛ケーキを得る湿式工程と、
    前記粗酸化亜鉛ケーキを乾燥加熱炉で焼成し、酸化亜鉛鉱を得る乾燥加熱工程と、
    前記乾燥加熱工程で発生した排ガスから水銀を除去する排ガス処理工程と、
    を備え、
    前記湿式工程から排出される前記粗酸化亜鉛ケーキの水銀含有率を測定する中間生成物水銀含有率測定処理と、
    前記乾燥加熱工程から産出される前記酸化亜鉛鉱の産出量を測定する製品産出量測定処理と、を行い、
    前記産出量と前記水銀含有率との積を水銀負荷量とみなして、該水銀負荷量が、所定の上限値を超えた場合には、該水銀負荷量を減少させる調整を行い、前記水銀負荷量が、所定の下限値未満となった場合には、該水銀負荷量を増加させる調整を行う水銀負荷量調整処理を行うことによって、排ガス処理工程から排出される処理済み排ガスの水銀濃度を所定範囲内に維持する、酸化亜鉛鉱の製造方法。
  2. 前記湿式工程から排出される前記粗酸化亜鉛ケーキを処理系外へ排出する処理と、該処理により排出された粗酸化亜鉛ケーキを処理系内に戻して乾燥加熱工程に装入する処理と、を選択的に行うことにより、前記乾燥加熱工程に装入される前記粗酸化亜鉛ケーキの装入量を増減させる、請求項1に記載の酸化亜鉛鉱の製造方法。
  3. 前記原料鉱の水銀含有率を変動させることによって、前記乾燥加熱工程に装入される前記粗酸化亜鉛ケーキの水銀含有率を増減させる、請求項1又は2に記載の酸化亜鉛鉱の製造方法。
  4. 前記原料鉱が鉄鋼ダストを含んでなる原料鉱である、請求項1から3の何れかに記載の酸化亜鉛鉱の製造方法。
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