JP7171960B1 - 糖化ヘモグロビンの検出方法、糖化ヘモグロビンの測定方法、液体クロマトグラフィー装置及びプログラム - Google Patents

糖化ヘモグロビンの検出方法、糖化ヘモグロビンの測定方法、液体クロマトグラフィー装置及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】ノイズによる誤検知を抑制した糖化ヘモグロビンの検出方法、糖化ヘモグロビンの測定方法、液体クロマトグラフィー装置及び糖化ヘモグロビンを検出するためのプログラムの提供。【解決手段】血液由来成分を含む試料を陽イオン交換クロマトグラフィーを用いて分離してクロマトグラムを取得し、前記クロマトグラムにおいて、糖化ヘモグロビンが検出される溶出時間の範囲に存在する複数のピークのうち溶出時間が遅い順に、ピークの頂点の吸光度が所定の数値範囲内であるか否かを判定し、次に、前記ピークの頂点における溶出時間に対する前記ピークの半値幅の割合が10~45%であるか否かを判定する工程を前記複数のピークについて繰り返す、糖化ヘモグロビンの検出方法。【選択図】図1

Description

本発明は、糖化ヘモグロビンの検出方法、糖化ヘモグロビンの測定方法、液体クロマトグラフィー装置及びプログラムに関する。
ヘモグロビンは、血中に存在する糖やその代謝物と非酵素的に結合して糖化ヘモグロビンを形成する。ヘモグロビンA1は、全ヘモグロビンの大半を占めるヘモグロビンAの糖化ヘモグロビンである。ヘモグロビンA1は、更にA1a、A1b及びA1cに分類される。ヘモグロビンA1c(以下、単にHbA1cと表すことがある)は、赤血球の寿命である約120日間、血中に存在し続ける。ヘモグロビンの糖化反応速度は遅いため、ヘモグロビン総量に対する糖化ヘモグロビンの割合(以下、単に糖化ヘモグロビン%、又はHbA1c%と表すことがある)は食事等による一時的な血糖値の上昇に影響されにくい。従って、HbA1c%を測定することで、過去1~2カ月の間の血糖の状態を推定することができる。このように、HbA1c%は、比較的長期にわたる血糖値の推移を確認できることから、臨床的に有意義である。
糖化ヘモグロビンの定量法としては、電気泳動法、液体クロマトグラフィー法、免疫法及び酵素法等が知られている。液体クロマトグラフィー法には、イオン交換クロマトグラフィーによる測定方法と、アフィニティクロマトグラフィーによる測定方法とがある。イオン交換クロマトグラフィーによる測定方法では、イオン交換物質を固定した充填材を用い、種々のヘモグロビンをその電荷の相違を利用して分画して測定する。アフィニティクロマトグラフィーによる測定方法では、糖に対して親和性の高い充填材を用いる。例えば、特許文献1は、イオン交換クロマトグラフィーによる糖化ヘモグロビンの測定について開示している。
特開平9-178719号公報
糖化HbA1cには、安定型HbA1cと不安定型HbA1c(レイバイルA1c)がある。両者は液体クロマトグラフィー法で分離でき、通常は安定型HbA1cを測定する。また、ヘモグロビンには、アルデヒド化ヘモグロビン及びカルバミル化ヘモグロビン等の修飾ヘモグロビンが含まれる。血液由来成分を含む試料がレイバイルA1cや修飾ヘモグロビンを含むと、液体クロマトグラフィー法により得られるクロマトグラムにおいて、糖化ヘモグロビンのピークが検出される溶出時間付近に、糖化ヘモグロビン由来のピークに加え、レイバイルA1cや修飾ヘモグロビン由来のピークが検出される場合がある。
また、ヘモグロビンには、前述のヘモグロビンAに加え、ヘモグロビンAのアミノ酸配列の一部が変異したヘモグロビンC(以下、単にHbCと表すことがある)、ヘモグロビンD(以下、単にHbDと表すことがある)、ヘモグロビンE(以下、単にHbEと表すことがある)、ヘモグロビンF(以下、単にHbFと表すことがある)及びヘモグロビンS(以下、単にHbSと表すことがある)が知られている。これらは、異常ヘモグロビンと総称される。異常ヘモグロビンも、ヘモグロビンAと同様に糖化される。血液由来成分を含む試料が異常ヘモグロビンを含むと、液体クロマトグラフィー法により得られるクロマトグラムにおいて、糖化ヘモグロビンのピークが検出される溶出時間付近に、糖化ヘモグロビン由来のピークに加え、異常ヘモグロビンや糖化異常ヘモグロビン由来のピークが検出される場合がある。
また、液体クロマトグラフィー装置の送液不良や検出器異常などにより、糖化ヘモグロビンのピークが検出される溶出時間付近にノイズが生じ、複数のピークが検出される場合がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、ノイズによる誤検知を抑制した糖化ヘモグロビンの検出方法、糖化ヘモグロビンの測定方法、液体クロマトグラフィー装置及び糖化ヘモグロビンを検出するためのプログラムを提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]血液由来成分を含む試料を陽イオン交換クロマトグラフィーを用いて分離してクロマトグラムを取得し、
前記クロマトグラムにおいて、糖化ヘモグロビンが検出される溶出時間の範囲に存在する複数のピークのうち溶出時間が遅い順に、ピークの頂点の吸光度が所定の数値範囲内であるか否かを判定し、次に、前記ピークの頂点における溶出時間に対する前記ピークの半値幅の割合が10~45%であるか否かを判定する工程を前記複数のピークについて繰り返す、糖化ヘモグロビンの検出方法であって、
前記ピークの頂点の吸光度が所定の数値範囲内であり、前記ピークの頂点の溶出時間に対する前記ピークの半値幅の割合が10~45%であるピークであると判定した場合、このピークより溶出時間が早いピークについて判定を行わない、糖化ヘモグロビンの検出方法。
[2]前記ピークの頂点の吸光度が所定の数値範囲内であり、前記ピーク頂点の溶出時間に対する前記ピークの半値幅の割合が10~45%であるピークであると判定されたピークを、糖化ヘモグロビンのピークとして検出する、[1]に記載の検出方法。
[3]前記クロマトグラムの溶出時間が最も早いピークが立ち上がる前のポイントから、前記糖化ヘモグロビンのピークの頂点の溶出時間Aに係数R1を乗じた時間の吸光度までの直線をベースラインとし、
前記溶出時間Aに係数R2を乗じた溶出時間を、前記糖化ヘモグロビンのピークの開始点と設定し、
前記溶出時間Aに係数R3を乗じた溶出時間を、前記糖化ヘモグロビンのピークの終点と設定することをさらに含む、[2]に記載の検出方法。
[4]前記糖化ヘモグロビンのピークのうち前記溶出時間Aより溶出時間が遅く、かつ前記糖化ヘモグロビンのピークの頂点の吸光度に対し10~30%の吸光度であるときの溶出時間を溶出時間Bとし、前記溶出時間Bと前記溶出時間Aとの差を比較することにより、前記試料が糖化異常ヘモグロビンを含むと判定することをさらに含む、[3]に記載の検出方法。
[5]前記溶出時間Bが前記糖化ヘモグロビンのピークの頂点の吸光度に対し10%の吸光度であるときの溶出時間であり、
前記溶出時間Bと前記溶出時間Aとの差が、前記溶出時間Aに対し70%以上である場合、前記試料が糖化異常ヘモグロビンを含むと判定する、[4]に記載の検出方法。
[6]前記溶出時間Bが前記糖化ヘモグロビンのピークの頂点の吸光度に対し20%の吸光度であるときの溶出時間であり、
前記溶出時間Bと前記溶出時間Aとの差が、前記溶出時間Aに対し50%以上である場合、前記試料が糖化異常ヘモグロビンを含むと判定する、[4]に記載の検出方法。
[7]前記溶出時間Bが前記糖化ヘモグロビンのピーク頂点の吸光度に対し30%の吸光度であるときの溶出時間であり、
前記溶出時間Bと前記溶出時間Aとの差が、前記溶出時間Aに対し30%以上である場合、前記試料が糖化異常ヘモグロビンを含むと判定する、[4]に記載の検出方法。
[8]前記判定する工程において、判定対象の前記ピークの頂点の溶出時間が溶出時間C1、前記ピークの頂点より溶出時間が早い側の前記ピークの極小値の溶出時間が溶出時間D1であり、
前記ピークの頂点の吸光度と前記ピークの極小値の吸光度の差であるy1と、前記溶出時間C1と前記溶出時間D1の差であるx1の比がy1/x1であるとき、
前記y1/x1が所定の閾値より大きいと判定されたピークを糖化ヘモグロビンの候補ピークとして抽出し、
前記候補ピークの頂点の吸光度が所定の数値範囲内であるか否かを判定し、次に前記候補ピークの頂点の溶出時間に対する前記候補ピークの半値幅の割合が10~45%であるか否かを判定する、[1]~[7]の何れか一項に記載の検出方法。
[9]前記複数のピークは、レイバイルA1c、カルバミル化ヘモグロビン、アルデヒド化ヘモグロビン及び糖化ヘモグロビンEからなる群から選択される少なくとも1種のヘモグロビンのピークを含む、[1]~[8]の何れか一項に記載の検出方法。
[10][2]~[9]の何れか一項に記載の検出方法により前記糖化ヘモグロビンのピークを検出し、
前記クロマトグラムに基づいて全ヘモグロビン濃度に対応する全ピーク面積を算出し、
前記全ピーク面積を補正式E1を用いて補正し、
補正された前記全ピーク面積と前記糖化ヘモグロビンのピーク面積を用いて、前記全ヘモグロビン濃度に対する前記糖化ヘモグロビンの濃度の割合を算出することを含む、糖化ヘモグロビンの測定方法であって、
前記補正式E1は、全ヘモグロビン濃度に対する糖化ヘモグロビン濃度の割合が同一であって、全ヘモグロビン濃度が異なる複数の標準試料についてクロマトグラムを取得し、それぞれの標準試料の全ピーク面積を、前記標準試料のうちの1つの標準試料の全ピーク面積に対する糖化ヘモグロビンのピーク面積の割合、及び各標準試料の糖化ヘモグロビンのピーク面積を用いて作成される補正式である、糖化ヘモグロビンの測定方法。
[11]前記補正式E1は、以下の式(1)を用いて補正後の全ピーク面積を算出し、前記複数の標準試料について、全ピーク面積の実測値に対する補正後の全ピーク面積をプロットしたときの近似式である、[10]に記載の糖化ヘモグロビンの測定方法。
補正後の全ピーク面積=(糖化ヘモグロビンのピーク面積/V)×100・・・(1)
(式(1)中、Vは、前記複数の前記標準試料のうちの1つの標準試料の全ピーク面積に対する糖化ヘモグロビンのピーク面積の割合を示す。)
[12][2]~[9]の何れか一項に記載の検出方法により前記糖化ヘモグロビンのピークを検出し、
全ピーク面積に対する前記糖化ヘモグロビンのピークの面積の割合を算出し、
前記糖化ヘモグロビンのピークの開始点の吸光度X0、前記糖化ヘモグロビンのピークの頂点の吸光度X1、及び前記糖化ヘモグロビンのピークの面積の割合に対応する補正式E2に基づいて前記糖化ヘモグロビンの面積の割合を補正し、前記補正された糖化ヘモグロビンのピークの面積の割合を用いて全ヘモグロビン濃度に対する前記糖化ヘモグロビンの濃度の割合を算出することを含む、糖化ヘモグロビンの測定方法。
[13]前記補正式E2は、吸光度X0/吸光度X1の二次以上の関数である、[12]に記載の糖化ヘモグロビンの測定方法。
[14]前記補正式E2は、予め設定された全ヘモグロビン濃度に対する前記糖化ヘモグロビンの濃度の割合に対応する少なくとも2つ以上の補正式を含む、[12]又は[13]に記載の糖化ヘモグロビンの測定方法。
[15]2つ以上の前記補正式のうち、算出された前記糖化ヘモグロビンの濃度の割合に最も近い割合に対応する補正式を用いる、[14]に記載の糖化ヘモグロビンの測定方法。
[16]2つ以上の前記補正式のうち、算出された前記糖化ヘモグロビンの濃度の割合に1番目に近い割合に対応する補正式E2-1及び2番目に近い割合に対応する補正式E2-2を用いる、[14]に記載の糖化ヘモグロビンの測定方法。
[17]算出された前記糖化ヘモグロビンの濃度の割合に基づいて前記補正式E2-1及びE2-2の使用率を決定し、
前記補正式E2-1、前記補正式E2-2及び前記使用率を用いて前記糖化ヘモグロビンの濃度の割合を算出する、[16]に記載の糖化ヘモグロビンの測定方法。
[18]血液由来成分を含む試料を導入する導入部と、
前記導入部から導入された前記試料及び溶離液を移送する送液部と、
前記送液部から前記試料及び前記溶離液が導入される陽イオン交換クロマトグラフィーカラムと、
前記陽イオン交換クロマトグラフィーカラムにより分画された前記血液由来成分を検出する検出部と、
前記検出部が検出した情報に基づいてクロマトグラムを作成し、前記クロマトグラムを分析する分析部と、を含み、
前記分析部は、前記クロマトグラムにおいて、糖化ヘモグロビンが検出される溶出時間の範囲に存在する複数のピークのうち溶出時間が遅い順に、ピークの頂点の吸光度が所定の数値範囲内であるかを判定し、次に、前記ピークの頂点における溶出時間に対する前記ピークの半値幅の割合が10~45%であるか否かを判定する工程を前記複数のピークについて繰り返し、
前記分析部は、前記ピークの頂点の吸光度が所定の数値範囲内であり、前記ピークの頂点の溶出時間に対する前記ピークの半値幅の割合が10~45%であるピークであると判定した場合、このピークより溶出時間が早いピークについて判定を行わない、液体クロマトグラフィー装置。
[19]前記分析部は、ピークの頂点の吸光度が所定の数値範囲内であり、前記ピークの頂点の溶出時間に対する前記ピークの半値幅の割合が10~45%であるピークであると判定されたピークを、糖化ヘモグロビンのピークとして検出する、[18]に記載の液体クロマトグラフィー装置。
[20]前記分析部は、前記クロマトグラムの溶出時間が最も早いピークが立ち上がる前のポイントから、前記糖化ヘモグロビンのピークの頂点の溶出時間Aに係数R1を乗じた時間の吸光度までの直線をベースラインとし、
前記溶出時間Aに係数R2を乗じた溶出時間を、前記糖化ヘモグロビンのピークの開始点と設定し、
前記溶出時間Aに係数R3を乗じた溶出時間を、前記糖化ヘモグロビンのピークの終点と設定することをさらに含む、[19]に記載の液体クロマトグラフィー装置。
[21]前記分析部は、前記糖化ヘモグロビンのピークのうち前記溶出時間Aより溶出時間が遅く、かつ前記糖化ヘモグロビンのピーク頂点の吸光度に対し10~30%の数値であるときの溶出時間を溶出時間Bとし、前記溶出時間Bと前記溶出時間Aとの差を比較することにより前記試料が糖化異常ヘモグロビンを含むと判定することをさらに含む、[20]に記載の液体クロマトグラフィー装置。
[22]前記溶出時間Bが前記糖化ヘモグロビンのピークの頂点の吸光度に対し10%の吸光度であるときの溶出時間であり、
前記分析部は、前記溶出時間Bと前記溶出時間Aとの差が、前記溶出時間Aに対し70%以上である場合、前記試料が糖化異常ヘモグロビンを含むと判定する、[21]に記載の液体クロマトグラフィー装置。
[23]前記溶出時間Bが前記糖化ヘモグロビンのピークの頂点の吸光度に対し20%の吸光度であるときの溶出時間であり、
前記分析部は、前記溶出時間Bと前記溶出時間Aとの差が、前記溶出時間Aに対し50%以上である場合、前記試料が糖化異常ヘモグロビンを含むと判定する、[21]に記載の液体クロマトグラフィー装置。
[24]前記溶出時間Bが前記糖化ヘモグロビンのピーク頂点の吸光度に対し30%の吸光度であるときの溶出時間であり、
前記分析部は、前記溶出時間Bと前記溶出時間Aとの差が、前記溶出時間Aに対し30%以上である場合、前記試料が糖化異常ヘモグロビンを含むと判定する、[21]に記載の液体クロマトグラフィー装置。
[25]前記分析部は、前記判定する工程において、判定対象の前記ピークの頂点の溶出時間が溶出時間C1、前記ピークの頂点より溶出時間が早い側の前記ピークの極小値の溶出時間が溶出時間D1であり、
前記ピークの頂点の吸光度と前記ピークの極小値の吸光度の差であるy1と、前記溶出時間C1と前記溶出時間D1の差であるx1の比がy1/x1であるとき、
前記y1/x1が所定の閾値より大きいと判定されたピークを糖化ヘモグロビンの候補ピークとして抽出し、
前記候補ピークの頂点の吸光度が所定の数値範囲内であるか否かを判定し、次に前記候補ピークの頂点の溶出時間に対する前記候補ピークの半値幅の割合が10~45%であるか否かを判定する、[18]~[24]の何れか一項に記載の液体クロマトグラフィー装置。
[26]前記複数のピークは、レイバイルA1c、カルバミル化ヘモグロビン、アルデヒド化ヘモグロビン及び糖化ヘモグロビンEからなる群から選択される少なくとも1種のヘモグロビンのピークを含む、[18]~[25]の何れか一項に記載の液体クロマトグラフィー装置。
[27]前記クロマトグラムに基づいて全ヘモグロビン濃度に対応する全ピーク面積を算出し、
前記全ピーク面積を補正式E1を用いて補正し、
補正された前記全ピーク面積と前記糖化ヘモグロビンのピーク面積を用いて、前記全ヘモグロビン濃度に対する前記糖化ヘモグロビンの濃度の割合を算出することを含み、
前記補正式E1は、全ヘモグロビン濃度に対する糖化ヘモグロビン濃度の割合が同一であって、全ヘモグロビン濃度が異なる複数の標準試料について、クロマトグラムを取得し、それぞれの標準試料の全ピーク面積を、前記標準試料のうちの1つの標準試料の全ピーク面積に対する糖化ヘモグロビンのピーク面積の割合、及び各標準試料の糖化ヘモグロビンのピーク面積を用いて作成される補正式である、[19]~[26]の何れか一項に記載の液体クロマトグラフィー装置。
[28]前記補正式E1は、以下の式(1)を用いて補正後の全ピーク面積を算出し、前記複数の標準試料について、全ピーク面積の実測値に対する補正後の全ピーク面積をプロットしたときの近似式である、[27]に記載の液体クロマトグラフィー装置。
補正後の全ピーク面積=(糖化ヘモグロビンのピーク面積/V)×100・・・(1)
(式(1)中、Vは、複数の前記標準試料のうちの1つの標準試料の全ピーク面積に対する糖化ヘモグロビンのピーク面積の割合を示す。)
[29]全ピーク面積に対する前記糖化ヘモグロビンのピークの面積の割合を算出し、
前記糖化ヘモグロビンのピークの開始点の吸光度X0、前記糖化ヘモグロビンのピークの頂点の吸光度X1、及び前記糖化ヘモグロビンのピークの面積の割合に対応する補正式E2に基づいて前記糖化ヘモグロビンの面積の割合を補正し、前記補正された糖化ヘモグロビンのピークの面積の割合を用いて全ヘモグロビン濃度に対する前記糖化ヘモグロビンの濃度の割合を算出することを含む、[19]~[27]の何れか一項に記載の液体クロマトグラフィー装置。
[30]前記補正式E2は、吸光度X0/吸光度X1の二次以上の関数である、[29]に記載の液体クロマトグラフィー装置。
[31]前記補正式E2は、予め設定された全ヘモグロビン濃度に対する前記糖化ヘモグロビンの濃度の割合に対応する少なくとも2つ以上の補正式を含む、[29]又は[30]に記載の液体クロマトグラフィー装置。
[32]前記分析部は、2つ以上の前記補正式のうち、算出された前記糖化ヘモグロビンの濃度の割合に最も近い割合に対応する補正式を用いる、[31]に記載の液体クロマトグラフィー装置。
[33]前記分析部は、2つ以上の前記補正式のうち、算出された前記糖化ヘモグロビンの濃度の割合に1番目及び2番目に近い割合に対応する2つの補正式E2-1及びE2-21番目に近い割合に対応する補正式E2-1及び2番目に近い割合に対応する補正式E2-2を用いる、[32]に記載の液体クロマトグラフィー装置。
[34]前記分析部は、算出された前記糖化ヘモグロビンの濃度の割合に基づいて前記補正式E2-1及びE2-2の使用率を決定し、
前記補正式E2-1、前記補正式E2-2及び前記使用率を用いて前記糖化ヘモグロビンの濃度の割合を算出する、[33]に記載の液体クロマトグラフィー装置。
[35]糖化ヘモグロビンを検出するためのプログラムであって、
コンピューターに、
血液由来成分を含む試料を陽イオン交換クロマトグラフィーを用いて分離させたクロマトグラムのデータを取得させ、
前記クロマトグラムにおいて、糖化ヘモグロビンが検出される溶出時間の範囲に存在する複数のピークのうち溶出時間が遅い順に、ピークの頂点の吸光度が所定の数値範囲内であるかを判定し、次に、前記ピークの頂点の溶出時間に対する前記ピークの半値幅の割合が10~45%であるか否かを判定する工程を前記複数のピークについて繰り返させ、
前記ピークの頂点の吸光度が所定の数値範囲内であるかを判定し、前記ピークの頂点の溶出時間に対する前記ピークの半値幅の割合が10~45%であるピークであると判定した場合、このピークより溶出時間が早いピークについて判定を行わせない、プログラム。
[36]前記コンピューターに、
ピークの頂点の吸光度が所定の数値範囲内であり、前記ピークの頂点の溶出時間に対する前記ピークの半値幅の割合が10~45%であるピークであると判定されたピークを、糖化ヘモグロビンのピークとして検出させる、[35]に記載のプログラム。
[37]前記コンピューターに、
前記クロマトグラムの溶出時間が最も早いピークが立ち上がる前のポイントから、前記糖化ヘモグロビンのピークの頂点の溶出時間Aに係数R1を乗じた時間の吸光度までの直線をベースラインとし、
前記溶出時間Aに係数R2を乗じた溶出時間を、前記糖化ヘモグロビンのピークの開始点と設定させ、
前記溶出時間Aに係数R3を乗じた溶出時間を、前記糖化ヘモグロビンのピークの終点と設定させる、[36]に記載のプログラム。
[38]前記コンピューターに、
前記糖化ヘモグロビンのピークのうち前記溶出時間Aより溶出時間が遅く、かつ前記糖化ヘモグロビンのピーク頂点の吸光度に対し10~30%の数値であるときの溶出時間を溶出時間Bとし、前記溶出時間Bと前記溶出時間Aとの差を比較することにより前記試料が糖化異常ヘモグロビンを含むと判定することをさらに含む、[36]又は[37]に記載のプログラム。
[39]前記溶出時間Bが前記糖化ヘモグロビンのピークの頂点の吸光度に対し10%の吸光度であるときの溶出時間であり、
前記コンピューターに、前記溶出時間Bと前記溶出時間Aとの差が、前記溶出時間Aに対し70%以上である場合、前記試料が糖化異常ヘモグロビンを含むと判定させる、[38]に記載のプログラム。
[40]前記溶出時間Bが前記糖化ヘモグロビンのピークの頂点の吸光度に対し20%の吸光度であるときの溶出時間であり、
前記コンピューターに、前記溶出時間Bと前記溶出時間Aとの差が、前記溶出時間Aに対し50%以上である場合、前記試料が糖化異常ヘモグロビンを含むと判定させる、[39]に記載のプログラム。
[41]前記溶出時間Bが前記糖化ヘモグロビンのピーク頂点の吸光度に対し30%の吸光度であるときの溶出時間であり、
前記コンピューターに、前記溶出時間Bと前記溶出時間Aとの差が、前記溶出時間Aに対し30%以上である場合、前記試料が糖化異常ヘモグロビンを含むと判定させる、[39]に記載のプログラム。
[42]前記判定する工程において、判定対象の前記ピークの頂点の溶出時間が溶出時間C1、前記ピークの頂点より溶出時間が早い側の前記ピークの極小値の溶出時間が溶出時間D1であり、
前記ピークの頂点の吸光度と前記ピークの極小値の吸光度の差であるy1と、前記溶出時間C1と前記溶出時間D1の差であるx1の比がy1/x1であるとき、
前記コンピューターに、
前記y1/x1が所定の閾値より大きいと判定されたピークを糖化ヘモグロビンの候補ピークとして抽出させ、
前記候補ピークの頂点の吸光度が所定の数値範囲内であるか否かを判定させ、次に、前記候補ピークの頂点の溶出時間に対する前記候補ピークの半値幅の割合が10~45%であるかを判定させる、[36]~[41]の何れか一項に記載のプログラム。
[43]前記複数のピークは、レイバイルA1c、カルバミル化ヘモグロビン、アルデヒド化ヘモグロビン及び糖化ヘモグロビンEからなる群から選択される少なくとも1種のヘモグロビンのピークを含む、[35]~[42]の何れか一項に記載のプログラム。
[44]前記コンピューターに、
前記クロマトグラムに基づいて全ヘモグロビン濃度に対応する全ピーク面積を算出させ、
前記全ピーク面積を補正式E1を用いて補正させ、
補正された前記全ピーク面積と前記糖化ヘモグロビンのピーク面積を用いて、前記全ヘモグロビン濃度に対する前記糖化ヘモグロビンの濃度の割合を算出させることを含む、プログラムであって、
前記補正式E1は、全ヘモグロビン濃度に対する糖化ヘモグロビン濃度の割合が同一であって、全ヘモグロビン濃度が異なる複数の標準試料について、クロマトグラムを取得し、それぞれの標準試料の全ピーク面積を、前記標準試料のうちの1つの標準試料の全ピーク面積に対する糖化ヘモグロビンのピーク面積の割合、及び各標準試料の糖化ヘモグロビンのピーク面積を用いて作成される補正式である、[36]~[43]に記載のプログラム。
[45]前記補正式E1は、以下の式(1)を用いて補正後の全ピーク面積を算出し、前記複数の標準試料について、全ピーク面積の実測値に対する補正後の全ピーク面積をプロットしたときの近似式である、[44]に記載のプログラム。
補正後の全ピーク面積=(糖化ヘモグロビンのピーク面積/V)×100・・・(1)
(式(1)中、Vは、複数の前記標準試料のうちの1つの標準試料の全ピーク面積に対する糖化ヘモグロビンのピーク面積の割合を示す。)
[46]前記コンピューターに、
全ピーク面積に対する前記糖化ヘモグロビンのピークの面積の割合を算出させ、
前記糖化ヘモグロビンのピークの開始点の吸光度X0、前記糖化ヘモグロビンのピークの頂点の吸光度X1、及び前記糖化ヘモグロビンのピークの面積の割合に対応する補正式E2に基づいて前記糖化ヘモグロビンの面積の割合を補正し、前記補正された糖化ヘモグロビンのピークの面積の割合を用いて全ヘモグロビン濃度に対する前記糖化ヘモグロビンの濃度の割合を算出させることを含む、[36]~[45]の何れか一項の何れか一項に記載のプログラム。
[47]前記補正式E2は、吸光度X0/吸光度X1の二次以上の関数である、[46]に記載のプログラム。
[48]前記補正式E2は、予め設定された全ヘモグロビン濃度に対する前記糖化ヘモグロビンの濃度の割合に対応する少なくとも2つ以上の補正式を含む、[46]又は[47]に記載のプログラム。
[49]2つ以上の前記補正式のうち、算出された前記糖化ヘモグロビンの濃度の割合に最も近い割合に対応する補正式を用いる、[48]にプログラム。
[50]2つ以上の前記補正式のうち、算出された前記糖化ヘモグロビンの濃度の割合に1番目に近い割合に対応する補正式E2-1及び2番目に近い割合に対応する補正式E2-2を用いる、[48]に記載のプログラム。
[51]前記コンピューターに、
算出された前記糖化ヘモグロビンの濃度の割合に基づいて前記補正式E2-1及びE2-2の使用率を決定し、
前記補正式E2-1、前記補正式E2-2及び前記使用率を用いて前記糖化ヘモグロビンの濃度の割合を算出させる、[50]に記載のプログラム。
上記態様によれば、ノイズによる誤検知を抑制した糖化ヘモグロビンの検出方法、糖化ヘモグロビンの測定方法、液体クロマトグラフィー装置及び糖化ヘモグロビンを検出するためのプログラムを提供することができる。
本発明の一態様における糖化ヘモグロビンの検出方法のフローチャートである。 血液由来成分を含む試料のクロマトグラムを元に作成した本発明の一態様における糖化ヘモグロビンの検出方法を説明するための概念図である。 血液由来成分を含む試料のクロマトグラムの他の一例である。 血液由来成分を含む試料のクロマトグラムの他の一例である。 血液由来成分を含む試料のクロマトグラムの他の一例である。 血液由来成分を含む試料のクロマトグラムの他の一例である。 本発明の一態様における糖化ヘモグロビン割合の算出方法のフローチャートである。 本発明の一態様における液体クロマトグラフィー装置の一態様における概略図である。 本発明の一態様における分析部の機能構成の一例を示す構成図である。 正常検体のヘモグロビン濃度変動試料のクロマトグラムである。 HbA1c%が5.2%及び10.1%の正常検体のクロマトグラムである。 HbA1c%が5.2%及び10.1%の正常検体を用いて調製したレイバイルA1cを含む試料のクロマトグラムである。 HbA1c%が5.2%及び10.1%の正常検体を用いて調製したアルデヒド化ヘモグロビンを含む試料のクロマトグラムである。 HbA1c%が5.2%及び10.1%の正常検体を用いて調製したカルバミル化ヘモグロビンを含む試料のクロマトグラムである。 糖化ヘモグロビンEを含む試料のクロマトグラムである。 HbA1c%が5.2%であり、全ヘモグロビン濃度が5.0μmol/Lである試料のクロマトグラムである。 HbA1c%が5.2%であり、全ヘモグロビン濃度が70μmol/Lである試料のクロマトグラムである。 糖化ヘモグロビンピークがブロードとなったクロマトグラムである。 補正前の全ピーク面積に基づいて算出されたHbA1c%を示すグラフである。 補正後の全ピーク面積に基づいて算出されたHbA1c%を示すグラフである。 HbA1c%が5.2%の試料の吸光度X0/吸光度X1比とΔA1c%との関係を示すグラフである。 HbA1c%が8.0%の試料の吸光度X0/吸光度X1比とΔA1c%との関係を示すグラフである。 HbA1c%が10.1%の試料の吸光度X0/吸光度X1比とΔA1c%との関係を示すグラフである。 補正前後における修飾ヘモグロビン濃度に対するHbA1c%を示すグラフである。 補正前後における修飾ヘモグロビン濃度に対するHbA1c%を示すグラフである。 補正前後における修飾ヘモグロビン濃度に対するHbA1c%を示すグラフである。 補正前後における修飾ヘモグロビン濃度に対するHbA1c%を示すグラフである。 補正前後における修飾ヘモグロビン濃度に対するHbA1c%を示すグラフである。 補正前後における修飾ヘモグロビン濃度に対するHbA1c%を示すグラフである。 補正前後における修飾ヘモグロビン濃度に対するHbA1c%を示すグラフである。 補正前後における修飾ヘモグロビン濃度に対するHbA1c%を示すグラフである。 補正前後における修飾ヘモグロビン濃度に対するHbA1c%を示すグラフである。
以下、本発明の一態様について図を参照して説明する。
本明細書において、糖化ヘモグロビンとはヘモグロビンA1、ヘモグロビンA1a、ヘモグロビンA1b及びヘモグロビンA1cの少なくとも何れか1つである。血糖コントロール状態を知るのに有益であるという観点から、安定型のヘモグロビンA1cであることが好ましい。
<糖化ヘモグロビンの検出方法>
本発明の一態様における糖化ヘモグロビンの検出方法は、血液由来成分を含む試料を陽イオン交換クロマトグラフィーを用いて分離し、得られたクロマトグラムを取得する。前記クロマトグラムにおいて、糖化ヘモグロビンが検出される溶出時間の範囲に存在する複数のピークについて、ピークの頂点の吸光度が所定の数値範囲内であるか判定する。次に、前記ピークの頂点の溶出時間に対する前記ピークの半値幅の割合が10~45%であるか否かを判定する。複数のピークのうち溶出時間が遅い順に、前記判定工程を繰り返す。ここで半値幅とは、その時間における吸光度がピーク頂点の吸光度の半分の値を示す溶出時間であって、ピーク頂点より遅い保持時間から、ピーク頂点より早い保持時間を引いた値をいう。
以下に、本発明の一態様における糖化ヘモグロビンの検出方法について図1及び図2を参照して説明する。図1は、本発明の一態様における糖化ヘモグロビンの検出方法に関するフローチャートである。血液由来成分を含む試料を陽イオン交換クロマトグラフィーを用いて分離してクロマトグラムを取得する(S11)。図2は、血液由来成分を含む試料のクロマトグラムを元に作成した本発明の一態様における糖化ヘモグロビンの検出方法を説明するための概念図を示す。
得られるクロマトグラムのピーク形状及び糖化ヘモグロビンのピーク頂点における溶出時間A(以下、単に溶出時間Aと記載することがある)は、用いる液体クロマトグラフィー装置のカラム長、溶離液の流速及び溶離液の組成等により異なる。また、試料にレイバイルA1c、修飾ヘモグロビン、及び糖化異常ヘモグロビンが含まれる場合は、溶出時間A付近に複数のピークが検出される。また、溶出時間Aは、カラムの劣化や装置の使用環境により変動することがある。そのため、糖化ヘモグロビンが検出される溶出時間の範囲T(以下、単に溶出時間の範囲Tと記載することがある)は、ある程度の幅をもって設定される。糖化ヘモグロビンを含む任意の試料を液体クロマトグラフィー装置で設定した条件で溶出して得たクロマトグラムと、既知の試料のクロマトグラムとを比較することで、個々の条件において糖化ヘモグロビンがどの程度の溶出時間で溶出されるかを予め想定することができ、この情報を元に溶出時間の範囲Tを設定することができる。本実施形態においては、一例として溶出時間の範囲Tは、溶出時間が30秒~60秒の間の範囲であるとして説明する。
得られたクロマトグラムにおいて、溶出時間の範囲Tに現れる複数のピークを選定する(S12)。本明細書において、あるピークの頂点が溶出時間の範囲Tに存在する場合、そのピークは、溶出時間の範囲Tに存在するピークであると判断される。複数のピークは、糖化ヘモグロビンの他、レイバイルA1c、カルバミル化ヘモグロビン、アルデヒド化ヘモグロビン及び糖化ヘモグロビンEからなる群から選択される少なくとも1種のヘモグロビンのピークを含んでいてもよい。
(糖化ヘモグロビンピークの検出)
図2に示すクロマトグラムでは溶出時間の範囲Tに複数のピークP1~P3が存在する。まず、複数のピークのうち溶出時間が最も遅いP1を選定する(S13)。ピークP1について、ピークの頂点の吸光度が所定の数値範囲内であるか否かの判定を行う(S14)。
ピークP1の頂点の吸光度が所定の数値範囲内であるか否かの判定により、異常に小さい又は大きいピークを除外することができる。「所定の数値範囲」は、使用する液体クロマトグラフィー装置において、種々の濃度の糖化ヘモグロビンのピーク頂点の吸光度の範囲を予め測定して設定することができる。例えば、一般的に用いられる血液検体の前処理条件で分析した際の糖化ヘモグロビンピーク吸光度の値に対して50~200%を所定の数値範囲とする。
ピークP1の頂点の吸光度が所定の数値範囲内である場合、ピーク頂点の溶出時間に対する前記ピークの半値幅の割合(以下、単にピークの半値幅の割合と記載することがある)が10~45%であるか否かを判定する(S15)。これにより、複数ピークの重複や、送液不良等の異常によるピークを検出することができる。
ここで、ピークP1の頂点の吸光度が所定の数値範囲外である場合、ピークP1は、糖化ヘモグロビンのピークではないと判定し、糖化ヘモグロビンが検出される溶出時間の範囲に存在する複数のピークのうち溶出時間が2番目に遅いピークP2を選定する(S16)。ピークP1の頂点の吸光度が所定の数値範囲内である場合、引き続き、ピークの半値幅の割合を判定する。ピークの半値幅の割合が10%未満または45%を超える場合、ピークP1は、糖化ヘモグロビンのピークではないと判定し、ピークP2を選定する。図2では、ピークP1の半値幅の割合が10%以下の例を示している。
ピークP2について、ピークの頂点の吸光度が所定の数値範囲内であり、ピークの半値幅の割合が10~45%であるか否かの判定を行う。
図2では、ピークP2の頂点の吸光度は、所定の数値範囲内であり、ピークの半値幅の割合が18%であり10~45%に含まれる。この場合、ピークP2は、糖化ヘモグロビンのピークとして検出される(S17)。
ピークP2が糖化ヘモグロビンのピークとして検出されたため、このピークより溶出時間が早いピーク、すなわち溶出時間の範囲Tに存在する複数のピークのうち溶出時間が3番目に遅いピークP3については、上記判定工程を行わないことが好ましい。これにより、糖化ヘモグロビンのピーク検出時間を短縮することができる。
もう一つの態様として、溶出時間の範囲Tに存在する複数のピークのうち溶出時間が遅い順に全てのピークについて上記判定工程を行い、その後に複数のピークのうちの1つのピークを糖化ヘモグロビンのピークとして検出してもよい。上記判定工程の結果、糖化ヘモグロビンのピークとして2以上のピークが判定された場合、最も遅い溶出時間のピークを糖化ヘモグロビンのピークとして検出する。
さらにもう一つの態様として、前記判定する工程においてさらに以下の判定を行ってもよい。判定対象のピークをピークP1として、図3を参照して説明する。図3は、血液由来成分を含む試料のクロマトグラムの他の一例である。
ピークP1の頂点の溶出時間が溶出時間C1、ピークP1の頂点より溶出時間が早い側のピークP1の極小値の溶出時間が溶出時間D1である。ピークP1の頂点の吸光度とピークP1の極小値の吸光度の差は、y1である。溶出時間C1と溶出時間D1の差は、x1である。ピークP1の傾きy1/x1が、所定の閾値より大きいか否かを判定する。つまり、上述の前記判定する工程で行われる(1)ピークの頂点の吸光度が所定の数値範囲内であるか否か、(2)ピークの半値幅の割合が10~45%であるか否か、に加え、(3)y1/x1が所定の閾値より大きいか否か、についても判定してもよい。ピークP1の傾きy1/x1が所定の閾値より大きい場合に糖化ヘモグロビンのピークであると判定する。このy1/x1に基づく判定は、(1)及び(2)の前に判定してもよい。溶出時間の範囲Tにおける全てのピークについてy1/x1に基づく判定を行い、糖化ヘモグロビンピークの候補ピークを抽出してから、(1)及び(2)を判定してもよい。溶出時間の範囲Tにおけるピークについて、ピーク毎にy1/x1に基づく判定を行ってから、(1)及び(2)を判定してもよい。溶出時間の範囲Tにおける全てのピークについてy1/x1に基づく判定を行い、糖化ヘモグロビンピークの候補ピークを抽出してから、(1)及び(2)を判定することが好ましい。
ピークP1の傾きy1/x1が、所定の閾値より大きいか否かを判定する際の「所定の閾値」は、使用する液体クロマトグラフィー装置において、種々の濃度の糖化ヘモグロビンを含む試料を予め測定して設定することができる。
また、種々の濃度のレイバイルA1c、修飾ヘモグロビン及び糖化異常ヘモグロビンをそれぞれ含む試料を予め測定し、それらの傾きと区別できるようにピークP1の傾きy1/x1の閾値を設定することができる。
以上により、糖化ヘモグロビンが検出される溶出時間の範囲に複数のピークが存在する場合においても、正確に糖化ヘモグロビンのピークを検出することができる。
(糖化異常ヘモグロビンの検出)
検出した糖化ヘモグロビンのピークの形状から、試料が糖化異常ヘモグロビンを含んでいるかを判定することができる。図4は、血液由来成分を含む試料のクロマトグラムの他の一例である。
図4において、PAは糖化ヘモグロビンのピーク、Aは糖化ヘモグロビンのピーク頂点の溶出時間を示す。糖化ヘモグロビンのピークのうち溶出時間Aより溶出時間が遅く、かつ糖化ヘモグロビンのピーク頂点の吸光度に対し20%の吸光度であるときの溶出時間を溶出時間Bとする。溶出時間Bと溶出時間Aとの差が、溶出時間Aに対し50%以上である場合、前記試料が糖化異常ヘモグロビンを含むと判定する。ここで検出される糖化異常ヘモグロビンは、糖化異常ヘモグロビンEであってもよい。
溶出時間Bの吸光度は、糖化ヘモグロビンのピーク頂点の吸光度に対し20%の数値に設定すると、糖化異常ヘモグロビンのブロードなピークを検出しやすい。なお、溶出時間Bの吸光度は、糖化ヘモグロビンのピーク頂点の吸光度に対し20%の数値に限定されず、10~30%の範囲で適宜設定してもよく、15~25%であることが好ましく、20%であることがより好ましい。好ましい数値は、用いる液体クロマトグラフィー装置のカラム長、溶離液の流速及び溶離液の組成等により異なる。糖化ヘモグロビンEを含む任意の試料と、糖化ヘモグロビンEを含まない任意の試料を、液体クロマトグラフィー装置で設定した条件で溶出して得たクロマトグラムを比較する。糖化ヘモグロビンのピーク頂点の吸光度に対する糖化ヘモグロビンEのピーク頂点の吸光度の割合が取りうる範囲を把握し、その割合を元に決定することが好ましい。例えば図4では、破線で示したクロマトグラムが、糖化ヘモグロビンEに由来するピークである。50秒~70秒の溶出時間の範囲において、破線と実線のクロマトグラムが乖離している。破線と実線のクロマトグラムが乖離している吸光度範囲において、破線の吸光度が糖化ヘモグロビンのピーク頂点の吸光度に対し何%に相当するかを検証することで、当該数値を設定することができる。
前述の糖化ヘモグロビンのピーク頂点の吸光度に対する数値として10%の数値を採用する場合、溶出時間Bと溶出時間Aとの差が、溶出時間Aに対し70%以上である場合、前記試料が糖化異常ヘモグロビンを含むと判定することができる。前述の糖化ヘモグロビンのピーク頂点の吸光度に対する数値として30%の数値を採用する場合、溶出時間Bと溶出時間Aとの差が、溶出時間Aに対し30%以上である場合、前記試料が糖化異常ヘモグロビンを含むと判定することができる。
(糖化ヘモグロビンのピーク面積の決定)
全ヘモグロビン濃度に対する糖化ヘモグロビンの濃度の割合(HbA1c%)は、クロマトグラム上の全ピーク面積に対する糖化ヘモグロビンのピーク面積の割合から算出される。ここで、全ヘモグロビン濃度とは、生体試料中の全ヘモグロビン濃度(単位:mol/L)とすることができる。ここで生体試料は、全血であっても血球であってもよい。血球は、全血より自然沈降で得た血球であってもよく、遠心分離によって得た血球であっても良い。生体試料は適宜希釈されて測定試料とされ、液体クロマトグラフィー装置へ導入される。全ヘモグロビン濃度とは、この希釈後の測定試料中の全ヘモグロビン濃度とすることもできる。このとき、以下の方法で糖化ヘモグロビンのピーク面積を決定することが好ましい。図5は、血液由来成分を含む試料のクロマトグラムの他の一例である。
溶出時間Aは、糖化ヘモグロビンのピークPAのピーク頂点の溶出時間である。経時的なドリフトによるエリア変動を抑制する目的で、ベースラインを設定する。溶出時間Aに対し、係数R1を乗じ、クロマトグラムの溶出時間の最も早いピークが立ち上がる前のポイントから溶出時間A×R1の吸光度をつなぐ直線をベースラインとする。係数R1は、使用する液体クロマトグラフィー装置によって適宜設定できるが、1.2≦R1であり、例えば1.2以上1.7以下であってよく、1.3以上1.6以下であってもよく、1.4以上1.6以下であってもよい。R1が1.2より小さいと、糖化ヘモグロビンピークテールの傾きが大きいポイントでベースラインを作成することとなり、測定毎のばらつきなどの影響で、ベースラインの高さのばらつきが拡大する恐れがある。R1が1.7を超えると、糖化ヘモグロビンピークから離れすぎ、他成分の溶出ピークの影響を受けることがある。つまり、R1が1.2以上であると、糖化ヘモグロビンピークテールの傾きが小さいポイントでベースラインを作成することとなり、測定毎のばらつきなどの影響を受けにくく、ベースラインの高さのばらつきが生じにくい。R1が1.7以下であると、糖化ヘモグロビンピークから離れすぎず、他成分の溶出ピークの影響を受けにくい。
溶出時間の最も早いピークとは、図5において5秒付近から開始するピークを示す。溶出時間の最も早いピークには、溶媒ショックピークのほか、溶出の早いヘモグロビン成分に由来するピークが含まれることがある。ピークが立ち上がる前のポイントとは、溶出開始時点から最も早いピークの溶出開始時間の間の一点を示し、図5において0秒から5秒付近を示す。当業者は、この吸光度がほぼゼロである任意のポイントを起点とし、ベースラインを設定することができる。このようにベースラインを設定することで、ドリフトによる糖化ヘモグロビンピーク面積の変動を抑制することができる。
次に糖化ヘモグロビンピークPAの算出開始点を設定する。糖化ヘモグロビンピークPAの溶出時間の短い側の極小の位置は、測定対象である試料に含まれる成分に依存して変動する傾向にある(図5、30~38秒付近)。このばらつきを抑制する目的で、溶出時間Aに係数R2を乗じ、溶出時間A×R2を糖化ヘモグロビンピークPAの算出開始点とする。係数R2は、使用する液体クロマトグラフィー装置によって適宜設定できるが、R2<1であり、例えば0.6以上0.95未満であってよく、0.7以上0.9以下であってもよく、0.8以上0.9以下であってもよい。R2が0.6以上であると、糖化ヘモグロビンの前に溶出される成分のピークの影響を受けにくく、試料の種類や測定毎のばらつきの影響を受けにくくなる。R2が0.95未満であると、糖化ヘモグロビンピークのリーディングの傾きが大きくなり過ぎず、測定毎のばらつきなどの影響を受けにくい。
次に糖化ヘモグロビンピークPAの算出終点を設定する。液体クロマトグラフィー装置に実装されているカラム及び使用する溶離液等による糖化ヘモグロビンピークPAの溶出時間の変動の影響を抑制する目的で、溶出時間Aに係数R3を乗じ、溶出時間A×R3を糖化ヘモグロビンピークPAの算出終点とする。係数R3は、使用する液体クロマトグラフィー装置によって適宜設定できるが、R2<R3であり、例えば1.05以上1.3以下であってよく、1.05以上1.2以下であってもよい。R3が1.05未満であると、糖化ヘモグロビンピークテールの傾きが大きいポイントが糖化ヘモグロビンピークPAの算出終点となり、測定毎のばらつきなどの影響で、糖化ヘモグロビンピークエリアのばらつきが拡大する恐れがある。つまり、R3が1.05以上であると、糖化ヘモグロビンピークテールの傾きが大きすぎないポイントが糖化ヘモグロビンピークPAの算出終点となり、測定毎のばらつきなどの影響を受けにくく、糖化ヘモグロビンピークエリアのばらつきが生じにくい。R3が1.3以下であると、糖化ヘモグロビンピークの後に溶出される他成分の溶出ピークの影響を受けにくい。また、係数R3は実数であってよく、PAを含む一次関数であってよく、PAを含む二次関数であってもよい。
クロマトグラムの曲線とベースラインに囲まれる範囲であって、溶出時間がA×R2からA×R3の範囲を糖化ヘモグロビンピークPAの範囲と規定し、その面積を算出することができる。
(全ピーク面積の補正)
糖化ヘモグロビンの測定方法は、糖化ヘモグロビンのピーク面積と、全ピーク面積に基づいて、全ヘモグロビン濃度に対する糖化ヘモグロビン濃度の割合を算出することを含む。この際、以下のように全ヘモグロビン濃度に対応する全ピーク面積を補正することが好ましい。
まず、全ヘモグロビン濃度に対応する全ピーク面積を補正するための補正式E1を作成する。全ヘモグロビン濃度の異なる複数の標準試料について、液体クロマトグラフィー装置を用い、それぞれクロマトグラムを取得する。このクロマトグラムから糖化ヘモグロビンのピーク面積及び全ピーク面積を算出する。複数の標準試料のうち、1つの全ヘモグロビン濃度の試料を基準試料とし、基準試料の全ピーク面積に対する糖化ヘモグロビンのピーク面積、即ち糖化ヘモグロビンの割合を基準値Vとする。
複数の標準試料について、以下の式(1)を用いて、補正後の全ピーク面積を算出する。
補正後の全ピーク面積=(糖化ヘモグロビンのピーク面積/V)×100・・・(1)
全ピーク面積の実測値に対する補正後の全ピーク面積をプロットし、その近似式を補正式E1として得る。この補正式E1は、二次以上の関数であってよい。補正式E1を用いて、目的の試料のクロマトグラムから得られる全ピーク面積を補正する。これにより、より正確な糖化ヘモグロビンの割合が得られる。
基準試料は、全ヘモグロビン濃度が健常人の基準値(12~18g/dL)である試料について、用いる液体クロマトグラフィー装置の特性に応じて希釈した試料とすることができる。例えば、健常人の基準値の中央値付近の試料、すなわち、全ヘモグロビン濃度が13~17g/dL又は14~16g/dLの試料を用いることができる。
(修飾ヘモグロビン等の影響を低減するための糖化ヘモグロビン割合の補正)
試料にレイバイルA1cや修飾ヘモグロビンが含まれると、修飾ヘモグロビンのピークは、糖化ヘモグロビンが検出される溶出時間の範囲Tに現れる。修飾ヘモグロビンとは、カルバミル化ヘモグロビン及びアルデヒド化ヘモグロビン等である。以下、レイバイルA1cと修飾ヘモグロビンを総称し、修飾ヘモグロビン等と記載することがある。修飾ヘモグロビン等は、糖化ヘモグロビンの溶出時間より早く溶出される。また、修飾ヘモグロビン等のピークは、糖化ヘモグロビンのピークに隣接して現れる。そのため、糖化ヘモグロビンのピークと修飾ヘモグロビン等のピークが干渉し、糖化ヘモグロビンのピーク面積に影響を及ぼす。例えば、図6は、血液由来成分を含む試料のクロマトグラムの他の一例である。PAは、糖化ヘモグロビンのピークを示し、PMは、修飾ヘモグロビン等のピークを示す。PMピークの低い線(実線)からPMピークの高い線(一点鎖線)の順に、それぞれシアン酸ナトリウムの最終濃度が0mg/dL、5mg/dL、10mg/dL、15mg/dL、及び25mg/dLである血液由来成分を含む試料を示す。修飾ヘモグロビン等の濃度が上昇すると、糖化ヘモグロビンピークPAの開始点の吸光度X0が上昇し、糖化ヘモグロビンピークPAの頂点の吸光度X1が低下している。修飾ヘモグロビン等による干渉の影響を抑えるため、以下の方法で糖化ヘモグロビンの割合を補正することが好ましい。なお、糖化ヘモグロビンピークPAの開始点とは、糖化ヘモグロビンピークの頂点より溶出時間が早い側の前記ピークの極小値を示す。
まずは、糖化ヘモグロビンの割合を補正するための補正式E2を作成する。まず、糖化ヘモグロビンの割合が同一であり、修飾ヘモグロビン等の濃度の異なる複数の標準試料について、液体クロマトグラフィー装置を用いてクロマトグラムを取得する(図6参照)。このときの糖化ヘモグロビンの割合は、3~20%の間に設定することができる。得られたクロマトグラムから吸光度X0/吸光度X1及び全ピーク面積に対する糖化ヘモグロビンのピーク面積の割合を取得する。吸光度X0/吸光度X1に対し、全ピーク面積に対する糖化ヘモグロビンのピーク面積の割合をプロットし、近似式を得て補正式E2とする。補正式E2は、二次以上の関数であってよい。
図7は、本発明の一態様における糖化ヘモグロビン割合の算出方法のフローチャートである。実際に糖化ヘモグロビンの割合を補正する場合、まず目的試料のクロマトグラムを取得する(S21)。クロマトグラムから糖化ヘモグロビンのピークを検出し(S22)、吸光度X0/吸光度X1及び全ピーク面積に対する糖化ヘモグロビンのピーク面積の割合(以下、補正前の値と記載することがある)を算出する(S23及びS24)。吸光度X0/吸光度X1を補正式E2に代入し、補正値を得る(S25)。補正前の値から補正値を差し引き(S26)、補正された糖化ヘモグロビンの割合が得られる(S27)。
補正式E2は、2つ以上であってもよい。この場合、糖化ヘモグロビンの割合を変え、同様に複数の標準試料を用いてクロマトグラムを取得する。糖化ヘモグロビンの割合を3~20%の間の少なくとも2つの値に設定し、修飾ヘモグロビン等の濃度の異なる複数の標準試料を調製することができる。例えば、糖化ヘモグロビンの割合が5%、8%及び10%のときの補正式をそれぞれ作成することができるが、本発明はこれに限定されない。
一例として、糖化ヘモグロビンの割合がQ%の補正式を補正式E2-1、糖化ヘモグロビンの割合がR%の補正式を補正式E2-2とする。ここで、Q<Rである。実際に糖化ヘモグロビンの割合を補正する場合、補正前の値がQ%以下であるとき、補正式E2-1のみを用いて補正値を算出する。補正前の値がR%以上であるとき、補正式E2-2のみを用いて補正値を算出する。補正前の値がQ%より大きくR%未満であるとき、補正式E2-1及びE2-2を用いて補正値を算出する。
また、補正式E2-1及びE2-2に加え、糖化ヘモグロビンの割合がS%の補正式E2-3を用いる場合(R<Sである)、補正前の値がQ%以下であるとき、補正式E2-1のみを用いて補正値を算出する。補正前の値がQ%より大きくR未満であるとき、補正式E2-1及びE2-2を用いて補正値を算出する。補正前の値がR%である場合、補正式E2-2のみを用いて補正値を算出する。補正前の値がR%より大きくS%未満であるとき、補正式E2-2及びE2-3を用いて補正値を算出する。補正前の値がS以上であるとき、補正式E2-3のみを用いて補正値を算出する。以上のように、補正式が3以上である場合、補正前の値より大きく、最も近い割合に対応する補正式と、補正前の値より小さく、最も近い割合に対応する補正式の2つを選択して用いることができる。
2つ以上の補正式E2を用いて補正値を算出する際、各補正式の使用率を等分ずつとしてもよい。また、各補正式の使用率に重み付けを行ってもよい。例えば、補正前の値がX%であり、補正式E2-1及びE2-2を用いて補正する場合、補正式E2-1及びE2-2の使用率を以下式(2)及び(3)のように定めることができる。
補正式E2-1の使用率(%)={(X-Q)/(R-Q)}×100・・・(2)
補正式E2-2の使用率(%)=100-(補正式E2-1の使用率)・・・(3)
(糖化ヘモグロビン%の算出)
糖化ヘモグロビン%は、全ヘモグロビン画分に相当するクロマトグラムの総面積に対する、糖化ヘモグロビンピークの面積の比率(以下、HbA1c%と記載することがある)で評価することができる。全ヘモグロビン画分とは、液体クロマトグラフィーにおいて、非糖化ヘモグロビン(ヘモグロビンA0)やHbD、HbSといった溶出時間の遅いヘモグロビンも含めた、主要なヘモグロビンの総和である。全ヘモグロビン画分は、上述の主要なヘモグロビンの溶出がすべて完了した時点における、クロマトグラムの曲線とベースラインに囲まれる面積として算出することができる。
また、糖化ヘモグロビン%は、全ヘモグロビンの画分の総面積から、異常ヘモグロビンの面積を差し引いた面積に対する比率で評価されることがある。異常ヘモグロビンとは、例えばHbC、HbD、HbE、HbF、及びHbSなどが挙げられる。これらの異常ヘモグロビンのピーク位置は、用いる液体クロマトグラフィー装置のカラム長、溶離液の流速及び溶離液の組成等により異なる。よって、異常ヘモグロビンを含む任意の試料を液体クロマトグラフィー装置で設定した条件で溶出して得たクロマトグラムと、既知の試料のクロマトグラムとを比較することで、個々の条件において異常ヘモグロビンがどの程度の溶出時間で溶出されるかを知ることができる。異常ヘモグロビンのピークを特定し、そのピーク面積を算出し、全ヘモグロビンのピーク面積から差し引いた値に対する、糖化ヘモグロビン面積の比率として糖化ヘモグロビン割合を評価することができる。差し引く異常ヘモグロビンの種類は、1つでもよく、複数でもよい。本明細書で「全ヘモグロビンの量に対する」と記載する場合、この「全ヘモグロビンの量から、異常ヘモグロビンの量を差し引く」場合を含むものとする。
本明細書ではクロマトグラム上のピーク面積をヘモグロビンの濃度を反映するものとして議論しているが、生体試料中または希釈後の測定試料中の質量を反映するものとして議論することも可能である。
<液体クロマトグラフィー装置>
本発明の一態様における液体クロマトグラフィー装置は、導入部と、送液部と、陽イオン交換クロマトグラフィーカラムと、検出部と、分析部とを含む。導入部は、血液由来成分を含む試料を導入する。送液部は、導入部から導入された試料及び溶離液を移送する。陽イオン交換クロマトグラフィーカラムは、送液部から試料及び溶離液が導入される。検出部は、陽イオン交換クロマトグラフィーカラムにより分画された血液由来成分を検出する。分析部は、検出部が検出した情報に基づいてクロマトグラムを作成し、クロマトグラムを分析する。分析部は、クロマトグラムにおいて、糖化ヘモグロビンが検出される溶出時間の範囲に存在する複数のピークについて、ピークの頂点の吸光度が所定の数値範囲内であるか否かを判定し、次に、ピークの頂点における溶出時間に対する前記ピークの半値幅の割合が10~45%であるか否かを判定する。複数のピークのうち溶出時間が遅い順に、前記判定工程を繰り返す。
図8は、本実施形態の液体クロマトグラフィー装置の一態様における概略図である。本実施形態の液体クロマトグラフィー装置1は、導入部11、送液部12、陽イオン交換クロマトグラフィーカラム13、検出部14及び分析部15を含む。本実施形態の液体クロマトグラフィー装置は、高速液体クロマトグラフィー(HPLCともいう)であることが好ましい。
導入部11は、血液由来成分を含む試料を導入する部分である。導入部11としては、オートサンプラー等を用いることができる。血液由来成分を含む試料は、血球成分を含む血液試料を低張液に添加する等により溶血して調製することができる。溶血による試料の調製は、導入部11で実施してもよいし、溶血操作を実施後に試料を導入部11に供してもよい。
送液部12は、導入部11から導入された血液由来成分を含む試料やヘモグロビンを溶出させるための溶離液を陽イオン交換クロマトグラフィーカラム13に移送する。送液部12としては、ポンプ等を例示することができる。なお、溶離液としては、例えば塩濃度の異なる溶離液を利用することができる。溶離液の数は、2種類でもよく、3種類でもよい。この場合グラジエント溶出させるための溶離液ミキサー等を更に有していてもよい。
陽イオン交換クロマトグラフィーカラム13は、陽イオン交換能を有する固定相が充填されたカラムである。陽イオン交換クロマトグラフィーカラム13としては、陽イオン交換基が結合した樹脂を充填したカラム等を使用することができる。陽イオン交換基としては、カルボキシル基、リン酸基及びスルホン酸基などが挙げられ、このうちスルホン酸基が好ましい。
陽イオン交換クロマトグラフィーカラムに用いる固定相の充填材粒子は、イオン交換液体クロマトグラフィー用として用いられる充填材粒子であれば特に限定されず、無機系粒子や有機系粒子が挙げられる。無機系粒子としては、シリカ又はジルコニア等で構成される粒子が挙げられる。有機系粒子としては、セルロース、ポリアミノ酸及びキトサン等の天然高分子粒子;ポリスチレン及びポリアクリル酸エステル等の合成高分子粒子等が挙げられる。陽イオン交換基を有する固定相の好ましい例として、特開2011-047858号公報に開示されている、非架橋性の親水性アクリル系単量体とポリグリシジルエーテル類との混合物を重合して得られる架橋重合体粒子と、この架橋重合体粒子の表面に重合された陽イオン交換基を有するアクリル系単量体の層とを含む充填材が挙げられる。
検出部14は、ヘモグロビンを検出し、クロマトグラムを得る。検出部14は、ヘモグロビンを検出できるものであれば特に制限されないが、吸光検出器が挙げられる。
分析部15は、検出部14が検出したクロマトグラムを分析する。図9は、本実施形態の分析部15の機能構成の一例を示す構成図である。分析部15は、演算部100と、記憶部107とを備えている。記憶部107は、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、レジスタ等の記憶装置を備えている。記憶部107には、演算部100が実行するプログラム(ファームウェア)が予め格納される。また、記憶部107には、演算部100が演算処理を行った演算結果が格納される。
演算部100は、CPU(Central Processing Unit)を備えており、各種の演算を行う。演算部100は、その機能部として、少なくともデータ取得部101と、ピーク検出部102と、糖化ヘモグロビンピーク判定・検出部103とを含む。演算部100は、全ピーク面積補正部104と、ピーク面積割合判定部105と、補正部106をさらに備えていてもよい。
データ取得部101は、検出部14が検出したクロマトグラムのデータを取得する。ピーク検出部102は、データ取得部101で取得したクロマトグラムのデータを用い、糖化ヘモグロビンが検出される溶出時間の範囲Tに現れる複数のピークを検出する。糖化ヘモグロビンピーク判定・検出部103は、検出した複数のピークについて、(糖化ヘモグロビンピークの検出)に記載の方法で糖化ヘモグロビンのピークを検出する。なお、ピークP1の頂点の吸光度が所定の数値範囲内であるか否かの判定における「所定の数値範囲」は、記憶部107に保存されていてもよい。また、「所定の数値範囲」は、液体クロマトグラフィー装置1の仕様に基づいて、書き換えられるようにしておいてもよい。また、糖化ヘモグロビンピーク判定・検出部103は、(糖化異常ヘモグロビンの検出)に記載の方法で糖化異常ヘモグロビンを検出してもよい。
全ピーク面積補正部104は、データ取得部101で取得したクロマトグラムのデータを用い、(全ピーク面積の補正)に記載の方法で全ピーク面積を補正する。ピーク面積割合判定部105は、(糖化ヘモグロビンのピーク面積の決定)に記載の方法で糖化ヘモグロビンピーク判定・検出部103で検出された糖化ヘモグロビンのピークの面積を決定する。次いで、全ピーク面積補正部104で補正された全ピーク面積に対する糖化ヘモグロビンのピークの面積の割合を算出する。
補正部106は、ピーク面積割合判定部105で算出された糖化ヘモグロビンのピークの面積の割合を(修飾ヘモグロビン等の影響を低減するための糖化ヘモグロビン割合の補正)に記載の方法で補正する。
以上の液体クロマトグラフィー装置1によれば、ノイズによる誤検知を抑制して糖化ヘモグロビンを検出することができる。
<プログラム>
本発明の一態様におけるプログラムは、糖化ヘモグロビンを検出するためのプログラムであって、コンピューターに、血液由来成分を含む試料を陽イオン交換クロマトグラフィーを用いて分離させたクロマトグラムのデータを取得させ、前記クロマトグラムにおいて、糖化ヘモグロビンが検出される溶出時間の範囲に存在する複数のピークのうち溶出時間が遅い順に、ピークの頂点の吸光度が所定の数値範囲内であるか否かを判定し、次に、ピーク頂点の溶出時間に対する前記ピークの半値幅の割合が10~45%であるか否かを判定する工程を前記複数のピークについて繰り返させる。
上述した各実施形態における糖化異常ヘモグロビンの検出方法の一部を、コンピューターで実現するようにしてもよい。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピューターシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、液体クロマトグラフィー装置1に内蔵されたコンピューターシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM及びCD-ROM等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。また、上述した実施形態における液体クロマトグラフィー装置1の各機能ブロックの一部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。液体クロマトグラフィー装置1の各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、その技術による集積回路を用いてもよい。
以上のプログラムによれば、ノイズによる誤検知を抑制して糖化ヘモグロビンを検出することができる。
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
(試料)
検体として、EDTA添加採血管で採取したHbA1c%が異なる全血3種(HbA1c%が、5.2%、8.0%、及び10.1%)を用いた。これらの検体に含まれるレイバイルA1c、各種修飾ヘモグロビンの量は正常範囲内であり、異常ヘモグロビンは含まれなかった。以降、これら全血3種を「正常検体」とする。
・正常検体のヘモグロビン濃度変動試料
全ヘモグロビン濃度が2.5、5.0、10、20、30、40、50、60又は70μmol/Lとなるよう、全血をグリコヘモグロビン分析装置RC20専用検体希釈液(積水メディカル社製)で希釈し、9個の試料を調製した。
・アルデヒド化ヘモグロビンを含む試料
アセトアルデヒド0.174gを生理食塩水11.6mLで溶解し、溶液Aaを調製した。正常検体100μLに3.3μLの溶液Aaを添加した(Aa50とする)。また、正常検体100μLに生理食塩水3.3μLを添加した(Aaとする)。Aa50及びAaを37℃の水浴で2時間インキュベートした。アセトアルデヒドの終濃度が0、5、10、15、20及び25mg/dLとなるようAa50とAaを混合し、アルデヒド化ヘモグロビン試料を得た。
・カルバミル化ヘモグロビンを含む試料
シアン酸ナトリウム0.076gを生理食塩水10.1mLで溶解し、溶液Cを調製した。正常検体100μLに6.6μLの溶液Cを添加した(C50とする)。また、正常検体100μLに生理食塩水6.6μLを添加した(Cとする)。C50及びCを37℃の水浴で2時間インキュベートした。シアン酸ナトリウムの終濃度が0、5、10、15、20及び25mg/dLとなるようC50とCを混合し、カルバミル化ヘモグロビン試料を得た。
・レイバイルA1cを含む試料
グルコース1.05gを生理食塩水10.0mLで溶解し、溶液Gを調製した。正常検体100μLに19μLの溶液Gを添加した(G2000とする)。また、正常検体100μLに生理食塩水19μLを添加した(Gとする)。G2000及びGを37℃の水浴で2時間インキュベートした。グルコースの終濃度が0、500、1000、1500及び2000mg/dLとなるようG2000とGを混合し、レイバイルヘモグロビン試料を得た。
・糖化ヘモグロビンEを含む試料
The Europian Reference Laboratory for Glycohemoglobinより購入した試料を使用した。
・ヘモグロビン低濃度試料
HbA1cが5.2%である全血検体について全ヘモグロビン濃度が5μmol/Lとなるよう、RC20専用検体希釈液で希釈し調製した。
・ヘモグロビン高濃度試料
HbA1cが5.2%である全血検体について全ヘモグロビン濃度が70μmol/Lとなるよう、RC20専用検体希釈液で希釈し調製した。
[実施例1]
(糖化ヘモグロビンのピーク溶出時間の範囲Tの設定)
グリコヘモグロビン分析装置(液体クロマトグラフィー装置、積水メディカル社製、RC20、以下記載がない限り同一の装置を使用)を用い、正常検体のヘモグロビン濃度変動試料を測定し、それぞれクロマトグラムを取得した(図10)。図10において、40秒付近のピークの低い線(一点鎖線)からピークの高い線(実線)の順に、それぞれ全ヘモグロビンの最終濃度が2.5μmol/L、5.0μmol/L、10μmol/L、20μmol/L、30μmol/L、40μmol/L、50μmol/L、60μmol/L、及び70μmol/Lである血液由来成分を含む試料を示す。得られたクロマトグラムより、糖化ヘモグロビンのピーク溶出時間の範囲Tを30~60秒と設定した。
[実施例2]
(糖化ヘモグロビンピークの傾きy1/x1の閾値の設定)
前述の試験より、糖化ヘモグロビンピークの傾きy1/x1の閾値を設定した。閾値は、HbA1cが5.2%である全血検体であって、全ヘモグロビン濃度が5.0μmol/Lである試料の傾きの値より小さい値を設定した。
[実施例3]
(糖化ヘモグロビンのピーク頂点の吸光度範囲の設定)
前述の試験より、糖化ヘモグロビンのピーク頂点の吸光度範囲を0.001~0.040ODと設定した。
[実施例4]
(糖化ヘモグロビンの溶出時間に対する半値幅の割合の範囲の設定)
前述の試験より、糖化ヘモグロビンの溶出時間に対する半値幅の割合の範囲を、17~27%と設定した。
[実施例5]
(糖化ヘモグロビンのピーク検出)
以下の検体についてRC20を用いてクロマトグラムを取得した。なお、図11~14において、上段は、HbA1c%が5.2%のクロマトグラム、下段は、HbA1c%が10.1%のクロマトグラムである。
・HbA1c%が5.2%及び10.1%の正常検体(図11)
・HbA1c%が5.2%及び10.1%の正常検体を用いて調製したレイバイルA1cを含む試料(図12)
・HbA1c%が5.2%及び10.1%の正常検体を用いて調製したアルデヒド化ヘモグロビンを含む試料(図13)
・HbA1c%が5.2%及び10.1%の正常検体を用いて調製したカルバミル化ヘモグロビンを含む試料(図14)
・糖化ヘモグロビンEを含む試料(図15)
・ヘモグロビン低濃度試料(HbA1c%:5.2%)(図16)
・ヘモグロビン高濃度試料(HbA1c%:5.2%)(図17)
また、充填材の充填密度を下げて製造したグリコヘモグロビン分析装置RC20専用カラムを用い、HbA1c%が5.2%であって、全ヘモグロビン濃度が20μmol/Lである正常検体のクロマトグラムを取得した。この結果を「糖化ヘモグロビンピークがブロード化したクロマトグラム」として評価した(図18)。カラム内の充填材の充填密度が低下すると、カラムの劣化現象の一つであるトップオフ現象が発生しやすくなり、ピークのブロード化が発生することが知られている。
図11~15の試料の糖化ヘモグロビンのピーク高及び半値幅の割合は、基準範囲内であり、糖化ヘモグロビンピークを正しく検出することを意図した試料であった。一方、図16、図17の試料は、糖化ヘモグロビンのピーク高が基準範囲外であり、糖化ヘモグロビンピークが検出されないことを意図した試料であった。図18の試料は、糖化ヘモグロビンのピークの半値幅が基準範囲外であり、糖化ヘモグロビンピークが検出されないことを意図した試料であった。
これらのクロマトグラムに対して、実施例1で設定した糖化ヘモグロビンのピーク溶出時間の範囲T(30~60秒)の範囲に存在する全てのピークに対して、傾きy1/x1の値を、実施例2で設定した糖化ヘモグロビンピークの傾きy1/x1の閾値と比較し、閾値以上の傾きであったピークを糖化ヘモグロビン候補ピークとした。
続いて、以下の3つの判定を順に行った。
判定1:ピーク頂点の吸光度範囲が所定範囲内、すなわち0.001~0.040ODであるか(実施例3で求めた吸光度の範囲)
判定2:ピークの半値幅の割合が所定範囲内、すなわちピークの溶出時間に対して17~27%であるか(実施例4で求めた半値幅の割合)
判定3:ピーク頂点の吸光度に対し20%の数値であるときの溶出時間と、ピーク頂点の溶出時間の差が、ピーク頂点の溶出時間に対して50%以上であるか
判定の順序は(A)溶出時間の範囲Tのうち溶出の遅いピークから判定する、(B)溶出時間の範囲Tのうち溶出の早いピークから判定する、2パターンを実施し、判定精度を検証した。
ピーク検出方法を、HbA1c%が10.1%、アルデヒド化ヘモグロビンの終濃度が25mg/dLの試料を例に、詳細に説明する。取得した図13の下段に示すクロマトグラムにおいて、糖化ヘモグロビンが検出される溶出時間の範囲である30~60秒を満たすピークは、P1及びP2であった。両ピークの傾きは、糖化ヘモグロビンピークの傾きy1/x1の閾値以上であった。従って、図13に示すクロマトグラムのピークP1及びピークP2を糖化ヘモグロビンのピーク候補として選定した。
溶出時間が最も遅いP1について、ピークの頂点の吸光度が所定の数値範囲内であるか否かの判定を行った。P1のピーク頂点の吸光度は、0.011であった。また、ピークの溶出時間である45秒に対するピークP1の半値幅の割合が10~45%であるか否かを判定した。ピークP1の半値幅の割合は22%であった。よって、P1を糖化ヘモグロビンのピークとして正しく検出することができた。
なお、溶出時間が2番目に遅いピークP2もピーク頂点の吸光度及びピークの半値幅の割合の値を満たしていた(ピーク頂点の吸光度:0.014、ピークの半値幅の割合:39%)。よって、ピークの溶出時間が最も遅いピークP1を糖化ヘモグロビンのピークとして検出することにより正しいピークを検出することができた。
以上の手順で前述の検体について判定を行い、結果を表1に示した。表1中、〇は糖化ヘモグロビンピークを正しく検出できたこと、×は糖化ヘモグロビンピークを正しく検出できなかったことを示す。また、表1中、A1c5%はHbA1c%が5.2%である試料、A1c10%はHbA1c%が10.1%である試料を示す。
Figure 0007171960000002
まず、(A)溶出の遅いピークから判定した場合、判定1のみでは、糖化ヘモグロビンEを含む試料と、ブロード化したクロマトグラムにて、糖化ヘモグロビンピークを正しく検知できなかった。糖化ヘモグロビンEを含む試料では、糖化ヘモグロビンEのピークを糖化ヘモグロビンピークとして誤検知した。ブロード化したクロマトグラムでは、ブロード化した好ましくない糖化ヘモグロビンピークを、正常な糖化ヘモグロビンピークとして誤検知した。これに対し、判定1と2を組み合わせると、双方で糖化ヘモグロビンピークを正しく検知した。さらに判定1、2及び3を組み合わせると、試料中に糖化ヘモグロビンEが含まれるか否かを検知することができた。
一方、判定1を行わない場合、検体中のヘモグロビン濃度が異常に低い、または高い場合であって、糖化ヘモグロビンピークを検出すべきではないクロマトグラムにおいても糖化ヘモグロビンピークを誤検知した。以上より、糖化ヘモグロビンEを含む試料、ピークがブロード化するような測定、ヘモグロビン濃度が異常に低い、又は高い試料において、判定1と2を組み合わせることで、糖化ヘモグロビンピークを正しく検知できることがわかった。さらに判定3を行うことで、糖化ヘモグロビンEの存在有無も検知できた。
次に、(B)溶出の早いピークから判定した場合、判定1、2及び3のいずれを組み合わせても、アルデヒド化ヘモグロビン及びカルバミル化ヘモグロビンが含まれる試料において、糖化ヘモグロビンピークを正しく検知できなかった。このことから、溶出の遅いピークから判定することがよいことがわかった。
[実施例6]
(糖化ヘモグロビンのピーク面積の決定)
正常検体のヘモグロビン濃度変動試料及びアルデヒド化ヘモグロビン試料の測定結果に対し、ベースラインを算出するための係数R1として、1.4、1.5及び1.6を検討した。また、糖化ヘモグロビンピークの算出開始点を決定するための係数R2として、0.8、0.85及び0.9を検討した。また、糖化ヘモグロビンピークの終点を決定するための係数R3として、1.1、1.2及び1.3を検討した。いずれの組み合わせであっても、糖化ヘモグロビンピーク面積を良好に算出できた。特にR1が1.5、R2が0.85、R3が1.2の組み合わせや、R1が1.6、R2が0.9、R3が1.32の組み合わせが良好であった。
(全ヘモグロビン濃度の補正)
RC20を用い、正常検体のヘモグロビン濃度変動試料を測定し、それぞれクロマトグラムを取得した。このクロマトグラムから糖化ヘモグロビンのピーク面積及びクロマトグラムの全ピーク面積を算出した。全ヘモグロビン濃度が20μmol/Lの試料を基準とし、全ピーク面積に対する糖化ヘモグロビンのピーク面積の割合(V=7.2%)を算出した。なお、基準試料の希釈前の全ヘモグロビン濃度は、13g/dLであった。
全ての試料について、以下の式(4)を用いて、補正後の全ピーク面積を算出した。
補正後の全ピーク面積=(糖化ヘモグロビンのピーク面積/V)×100・・・(4)
全ピーク面積の実測値に対する補正後の全ピーク面積をプロットし、補正式y=0.0023x+0.963x-0.8773を得た。
次に、前述の正常検体のヘモグロビン濃度変動試料のクロマトグラムに対して、補正式により各試料の全ピーク面積を補正し、補正された全ピーク面積と、糖化ヘモグロビンのピーク面積に基づいて、全ヘモグロビン濃度に対する糖化ヘモグロビンの濃度の割合(つまり糖化ヘモグロビン割合、HbA1c%)を算出した。図19は、補正前の全ピーク面積に基づいて算出された糖化ヘモグロビン割合を示すグラフである。図20は、補正後の全ピーク面積に基づいて算出された糖化ヘモグロビン割合を示すグラフである。なお、RC20装置は、4台用いて検証した(1、2、4及び5号機)。
補正前の全ピーク面積に基づいて算出された糖化ヘモグロビンの割合は、全ヘモグロビン濃度に依存して変動した。一方で、補正後の全ピーク面積に基づいて算出された糖化ヘモグロビン割合は、一般的な測定対象である全ヘモグロビン濃度が20μmol/L以上の試料において変動が少なく、より正確な値が算出された。
[実施例7]
(修飾ヘモグロビンを用いた糖化ヘモグロビン割合の補正)
試料にレイバイルA1c、修飾ヘモグロビンであるアルデヒド化ヘモグロビン又はカルバミル化ヘモグロビンのいずれかが含まれる場合の糖化ヘモグロビンピークに対する影響を検討した。
上述の通り調製した血液試料を、RC20を用い、液体クロマトグラフィー分析を行い、クロマトグラムを得た。このクロマトグラムから各試料の吸光度X0/吸光度X1(X0:A1cのピークの開始点の吸光度、X1:A1cのピークの頂点の吸光度)とHbA1c%(全ピーク面積に対するA1cのピーク面積の割合)を算出した。さらにΔA1c%として、各試料のHbA1c%測定値から、対応するブランク試料であるAa、C、又はGのHbA1c%測定値を差し引いた値を算出した。図21は、HbA1c%が5.2%の試料の吸光度X0/吸光度X1比とΔA1c%との関係を示すグラフである。図22は、HbA1c%が8.0%の試料の吸光度X0/吸光度X1比とΔA1c%との関係を示すグラフである。図23は、HbA1c%が10.1%の試料の吸光度X0/吸光度X1比とΔA1c%との関係を示すグラフである。図21~23中、丸はレイバイルA1c試料、四角はアセトアルデヒドヘモグロビン試料、三角はカルバミル化ヘモグロビン試料を示す。
この結果から、修飾ヘモグロビンの濃度と吸光度X0/吸光度X1に相関があることがわかった。また、HbA1c%が高い試料ほど修飾ヘモグロビンの濃度に影響を受けることがわかった。さらに、修飾ヘモグロビン種によって、修飾ヘモグロビン濃度の濃度と吸光度X0/吸光度X1に相関に大きな差がないことが分かった。
図21~図23のプロットからHbA1c%ごとに二次関数でフィッティングを行い、以下の3つの補正式E(HbA1c%が5.2%)、補正式E(HbA1c%が8.0%)及び補正式E(HbA1c%が10.1%)を得た。
y=0.172x-0.527x+0.134・・・E
y=5.984x-5.879x+0.986・・・E
y=3.725x-7.184x+1.241・・・E
、E及びEを用いて、上述の試料のHbA1c%の補正を行った。図24~32は、補正前後における修飾ヘモグロビン濃度に対するHbA1c%を示すグラフである。図24~32において、横軸「終濃度(mg/mL)は、各修飾ヘモグロビンを調製するために添加したアセトアルデヒド、シアン酸ナトリウム、またはグルコースの終濃度を示す。図24~32中、丸は補正する前のHbA1c%を示し、四角は補正した後のHbA1c%を示す。図24~26は、アルデヒド化ヘモグロビンを含む試料の補正結果であり、図27~29は、カルバミル化ヘモグロビンを含む試料の補正結果であり、図30~32は、レイバイルA1cを含む試料の補正結果である。また、図24、27及び30は、HbA1c%が5.2%、図25、28及び31は、HbA1c%が8.0%、図26、29及び32は、HbA1c%が10.1%の試料である。E、E及びEを用いて補正をおこなうことにより、各種修飾ヘモグロビンの濃度が増加しても、測定値が変動せず、高い精度でHbA1c%を測定できていることが分かった。
次に、2つの補正式を用いて補正値を算出する際、使用率に重み付けを行う方法について検討した。例として、HbA1c%の実測値が6.0%、吸光度X0/吸光度X1が0.3であるときのHbA1c%の補正を、補正式E、E及びEを用いて行った。HbA1c%が6.0%であるため、補正式として補正式E及び補正式Eを用いた。またそれぞれの補正式の使用率を以下のように設定した。
補正式Eの使用率(%)={(6.0-5.2)/(8.0-5.2)}×100=28.6
補正式Eの使用率(%)=100-28.57=71.4
補正式E及び補正式Eのxに吸光度X0/吸光度X1の0.3を入れ、それぞれ補正値-0.00862%及び-0.239%を算出した。また、その使用率を適用し、以下の通り補正値(%)を以下のように算出した。
補正値(%)=-0.00862×0.714-0.239×0.286=-0.0745
よって、補正値は、6.0-(-0.0745)=6.0745(%)と計算され、測定結果は、6.07(%)となった。
本発明によれば、ノイズによる誤検知を抑制した糖化ヘモグロビンの検出方法、糖化ヘモグロビンの測定方法、液体クロマトグラフィー装置及び糖化ヘモグロビンを検出するためのプログラムを提供することができる。
1…液体クロマトグラフィー装置、11…導入部、12…送液部、13…陽イオン交換クロマトグラフィーカラム、14…検出部、15…分析部、100…演算部、101…データ取得部、102…ピーク検出部、103…糖化ヘモグロビンピーク判定・検出部、104…全ピーク面積補正部、105…ピーク面積割合判定部、106…補正部、107…記憶部

Claims (16)

  1. 血液由来成分を含む試料を陽イオン交換クロマトグラフィーを用いて分離してクロマトグラムを取得し、
    前記クロマトグラムにおいて、糖化ヘモグロビンが検出される溶出時間の範囲に存在する複数のピークのうち溶出時間が遅い順に、ピークの頂点の吸光度が所定の数値範囲内であるか否かを判定し、次に、前記ピークの頂点における溶出時間に対する前記ピークの半値幅の割合が10~45%であるか否かを判定する工程を前記複数のピークについて繰り返す、糖化ヘモグロビンの検出方法であって、
    前記ピークの頂点の吸光度が所定の数値範囲内であり、前記ピークの頂点の溶出時間に対する前記ピークの半値幅の割合が10~45%であるピークであると判定した場合、このピークを糖化ヘモグロビンのピークであると判定し、このピークより溶出時間が早いピークについて判定を行わない、糖化ヘモグロビンの検出方法。
  2. 前記クロマトグラムの溶出時間が最も早いピークが立ち上がる前のポイントから、前記糖化ヘモグロビンのピークの頂点の溶出時間Aに係数R1を乗じた時間の吸光度までの直線をベースラインとし、
    前記溶出時間Aに係数R2を乗じた溶出時間を、前記糖化ヘモグロビンのピークの開始点と設定し、
    前記溶出時間Aに係数R3を乗じた溶出時間を、前記糖化ヘモグロビンのピークの終点と設定することをさらに含む、請求項1に記載の検出方法。
  3. 前記糖化ヘモグロビンのピークのうち前記溶出時間Aより溶出時間が遅く、かつ前記糖化ヘモグロビンのピークの頂点の吸光度に対し10~30%の吸光度であるときの溶出時間を溶出時間Bとし、前記溶出時間Bと前記溶出時間Aとの差を比較することにより前記試料が糖化異常ヘモグロビンを含むと判定することをさらに含む、請求項2に記載の検出方法。
  4. 前記溶出時間Bが前記糖化ヘモグロビンのピークの頂点の吸光度に対し20%の吸光度であるときの溶出時間であり、
    前記溶出時間Bと前記溶出時間Aとの差が、前記溶出時間Aに対し50%以上である場合、前記試料が糖化異常ヘモグロビンを含むと判定する、請求項3に記載の検出方法。
  5. 前記判定する工程において、判定対象の前記ピークの頂点の溶出時間が溶出時間C1、前記ピークの頂点より溶出時間が早い側の前記ピークの極小値の溶出時間が溶出時間D1であり、
    前記ピークの頂点の吸光度と前記ピークの極小値の吸光度の差であるy1と、前記溶出時間C1と前記溶出時間D1の差であるx1の比がy1/x1であるとき、
    前記y1/x1が所定の閾値より大きいと判定されたピークを糖化ヘモグロビンの候補ピークとして抽出し、
    前記候補ピークの頂点の吸光度が所定の数値範囲内であるか否かを判定し、次に前記候補ピークの頂点の溶出時間に対する前記候補ピークの半値幅の割合が10~45%であるか否かを判定する、請求項1に記載の検出方法。
  6. 前記複数のピークは、レイバイルA1c、カルバミル化ヘモグロビン、アルデヒド化ヘモグロビン及び糖化ヘモグロビンEからなる群から選択される少なくとも1種のヘモグロビンのピークを含む、請求項1に記載の検出方法。
  7. 請求項1~6の何れか一項に記載の検出方法により前記糖化ヘモグロビンのピークを検出し、
    前記クロマトグラムに基づいて全ヘモグロビン濃度に対応する全ピーク面積を算出し、
    前記全ピーク面積を補正式E1を用いて補正し、
    補正された前記全ピーク面積と前記糖化ヘモグロビンのピーク面積を用いて、前記全ヘモグロビン濃度に対する前記糖化ヘモグロビンの濃度の割合を算出することを含む、糖化ヘモグロビンの測定方法であって、
    前記補正式E1は、全ヘモグロビン濃度に対する糖化ヘモグロビン濃度の割合が同一であって、全ヘモグロビン濃度が異なる複数の標準試料について、クロマトグラムを取得し、それぞれの標準試料の全ピーク面積を、前記標準試料のうちの1つの標準試料の全ピーク面積に対する糖化ヘモグロビンのピーク面積の割合、及び各標準試料の糖化ヘモグロビンのピーク面積を用いて作成される補正式である、糖化ヘモグロビンの測定方法。
  8. 前記補正式E1は、以下の式(1)を用いて補正後の全ピーク面積を算出し、前記複数の標準試料について、全ピーク面積の実測値に対する補正後の全ピーク面積をプロットしたときの近似式である、請求項7に記載の糖化ヘモグロビンの測定方法。
    補正後の全ピーク面積=(糖化ヘモグロビンのピーク面積/V)×100・・・(1)
    (式(1)中、Vは、複数の前記標準試料のうちの1つの標準試料の全ピーク面積に対する糖化ヘモグロビンのピーク面積の割合を示す。)
  9. 請求項1~6の何れか一項に記載の検出方法により前記糖化ヘモグロビンのピークを検出し、
    全ピーク面積に対する前記糖化ヘモグロビンのピークの面積の割合を算出し、
    前記糖化ヘモグロビンのピークの開始点の吸光度X0、前記糖化ヘモグロビンのピークの頂点の吸光度X1、及び前記糖化ヘモグロビンのピークの面積の割合に対応する補正式E2に基づいて前記糖化ヘモグロビンの面積の割合を補正し、全ヘモグロビン濃度に対する前記糖化ヘモグロビンの濃度の割合を算出することを含む、糖化ヘモグロビンの測定方法。
  10. 前記補正式E2は、吸光度X0/吸光度X1の二次以上の関数である、請求項9に記載の糖化ヘモグロビンの測定方法。
  11. 前記補正式E2は、予め設定された全ヘモグロビン濃度に対する糖化ヘモグロビンの濃度の割合に対応する少なくとも2つ以上の補正式を含む、請求項10に記載の糖化ヘモグロビンの測定方法。
  12. 2つ以上の前記補正式のうち、算出された前記糖化ヘモグロビンの濃度の割合に最も近い割合に対応する補正式を用いる、請求項11に記載の糖化ヘモグロビンの測定方法。
  13. 2つ以上の前記補正式のうち、算出された前記糖化ヘモグロビンの濃度の割合に1番目に近い割合に対応する補正式E2-1及び2番目に近い割合に対応する補正式E2-2を用いる、請求項11に記載の糖化ヘモグロビンの測定方法。
  14. 算出された前記糖化ヘモグロビンの濃度の割合に基づいて前記補正式E2-1及びE2-2の使用率を決定し、
    前記補正式E2-1、前記補正式E2-2及び前記使用率を用いて前記糖化ヘモグロビンの濃度の割合を算出する、請求項13に記載の糖化ヘモグロビンの測定方法。
  15. 血液由来成分を含む試料を導入する導入部と、
    前記導入部から導入された前記試料及び溶離液を移送する送液部と、
    前記送液部から前記試料及び前記溶離液が導入される陽イオン交換クロマトグラフィーカラムと、
    前記陽イオン交換クロマトグラフィーカラムにより分画された前記血液由来成分を検出する検出部と、
    前記検出部が検出した情報に基づいてクロマトグラムを作成し、前記クロマトグラムを分析する分析部と、を含み、
    前記分析部は、前記クロマトグラムにおいて、糖化ヘモグロビンが検出される溶出時間の範囲に存在する複数のピークのうち溶出時間が遅い順に、ピークの頂点の吸光度が所定の数値範囲内であるかを判定し、次に、前記ピークの頂点における溶出時間に対する前記ピークの半値幅の割合が10~45%であるか否かを判定する工程を前記複数のピークについて繰り返し、前記ピークの頂点の吸光度が所定の数値範囲内であり、前記ピークの頂点の溶出時間に対する前記ピークの半値幅の割合が10~45%であるピークであると判定した場合、このピークを糖化ヘモグロビンのピークとして検出し、このピークより溶出時間が早いピークについて判定を行わない、液体クロマトグラフィー装置。
  16. 糖化ヘモグロビンを検出するためのプログラムであって、
    コンピューターに、
    血液由来成分を含む試料を陽イオン交換クロマトグラフィーを用いて分離させたクロマトグラムのデータを取得させ、
    前記クロマトグラムにおいて、糖化ヘモグロビンが検出される溶出時間の範囲に存在する複数のピークのうち溶出時間が遅い順に、ピークの頂点の吸光度が所定の数値範囲内であるかを判定し、次に、前記ピークの頂点における溶出時間に対する前記ピークの半値幅の割合が10~45%であるか否かを判定する工程を前記複数のピークについて繰り返させ、前記ピークの頂点の吸光度が所定の数値範囲内であり、前記ピークの頂点の溶出時間に対する前記ピークの半値幅の割合が10~45%であるピークであると判定した場合、このピークを糖化ヘモグロビンのピークとして検出させ、このピークより溶出時間が早いピークについて判定を行わせない、プログラム。
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