JP7171910B2 - 加熱型香味吸引器用香料含有シートおよび加熱型香味吸引器 - Google Patents

加熱型香味吸引器用香料含有シートおよび加熱型香味吸引器 Download PDF

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Description

本発明は、加熱型香味吸引器用香料含有シートおよび加熱型香味吸引器に関する。
多糖類と香料と乳化剤とを含む、喫煙物品用の香料含有シートが知られている(国際公開第2012/118032号)。かかる香料含有シートは、多糖類に被覆された状態で香料を含むため、香料の高い蔵置安定性を示す。香料含有シートは、多糖類と香料と乳化剤とを含む原料スラリーを基材上に伸展させ、乾燥させることにより製造される。製造された香料含有シートは、裁刻し、得られた切断片をたばこ刻と混合し、シガレットなどの喫煙物品にたばこ充填材として組み込まれる。
本発明者は、喫煙物品用の香料含有シートを加熱型香味吸引器に適用したところ、香料を十分に放出させることができないという問題を新たに見出した。本発明は、加熱型香味吸引器で使用するための香料含有シートに関する技術を提供することを目的とする。
第1の側面によれば、
寒天と、
糖および糖アルコールからなる群より選択される少なくとも1種の糖類化合物と、
香料と、
乳化剤と
を含む加熱型香味吸引器用香料含有シートが提供される。
第2の側面によれば、
上述の香料含有シートの切断片と、
たばこ材料と、
エアロゾル源と、
前記エアロゾル源を加熱してエアロゾルを発生させるとともに、前記エアロゾルの作用により前記切断片および前記たばこ材料から香味成分を放出させるヒータと
を含む加熱型香味吸引器が提供される。
本発明によれば、加熱型香味吸引器で使用するための香料含有シートに関する技術を提供することができる。
図1は、加熱型香味吸引器の一例を示す斜視図である。 図2は、香味吸引物品の内部構造を示す図である。 図3は、エアロゾル生成装置の内部構造を示す図である。 図4は、寒天およびグルコースを含む香料含有シートの香料放出温度および香料保持率を示すグラフである。 図5は、寒天およびスクロースを含む香料含有シートの香料放出温度および香料保持率を示すグラフである。 図6は、寒天およびフルクトースを含む香料含有シートの香料放出温度および香料保持率を示すグラフである。 図7は、寒天およびソルビトールを含む香料含有シートの香料放出温度および香料保持率を示すグラフである。 図8は、寒天およびキシロースを含む香料含有シートの香料放出温度および香料保持率を示すグラフである。 図9は、寒天およびガラクトースを含む香料含有シートの香料放出温度および香料保持率を示すグラフである。 図10は、寒天およびマンノースを含む香料含有シートの香料放出温度および香料保持率を示すグラフである。 図11は、寒天およびマルトースを含む香料含有シートの香料放出温度および香料保持率を示すグラフである。 図12は、寒天よびトレハロースを含む香料含有シートの香料放出温度および香料保持率を示すグラフである。 図13は、寒天およびラクトースを含む香料含有シートの香料放出温度および香料保持率を示すグラフである。 図14は、寒天およびラフィノースを含む香料含有シートの香料放出温度および香料保持率を示すグラフである。 図15は、ゲランガムおよびグルコースを含む香料含有シートの香料放出温度および香料保持率を示すグラフである。 図16は、ゲランガムおよびスクロースを含む香料含有シートの香料放出温度および香料保持率を示すグラフである。 図17は、各パフにおけるメンソールのデリバリー量を示すグラフである。
以下、本発明を詳細に説明するが、以下の説明は、本発明を説明することを目的とし、本発明を限定することを意図しない。
<1.加熱型香味吸引器用香料含有シート>
加熱型香味吸引器用香料含有シート(以下、香料含有シートともいう)は、
寒天と、
糖および糖アルコールからなる群より選択される少なくとも1種の糖類化合物と、
香料と、
乳化剤と
を含む。
香料含有シートは、(i)寒天と、(ii)糖および糖アルコールからなる群より選択される少なくとも1種の糖類化合物と、(iii)香料と、(iv)乳化剤とを含む原料を水中で混練して原料スラリーを調製し、原料スラリーを基材上に伸展させ、乾燥させることにより製造することができる。
以下、香料含有シートの各構成成分について説明する。
(i)寒天
寒天は、香料含有シート中に分散した香料を固定して被覆する役割を果たす。原料スラリー中の寒天の配合量は、原料スラリー中の水以外の構成成分の合計質量(すなわち、乾物質量)に対して、好ましくは10~50質量%、より好ましくは15~45質量%である。
(ii)糖類化合物
糖類化合物は、糖および糖アルコールからなる群より選択される少なくとも1種である。「糖(saccharide)」は、単糖やオリゴ糖を包含するが、デンプンやグリコーゲンなどの多糖類を包含しない。「糖」としては、例えば、グルコース、スクロース、フルクトース、キシロース、ガラクトース、マンノース、マルトース、トレハロース、ラクトース、ラフィノースが挙げられる。「糖アルコール」は、糖のカルボニル基を水酸基に還元して得られるアルコールを指す。「糖アルコール」としては、例えば、ソルビトールが挙げられる。
好ましくは、糖類化合物は、単糖、オリゴ糖および糖アルコールからなる群より選択される少なくとも1種である。「オリゴ糖」は、例えば、二糖、三糖、四糖、または五糖である。
より好ましくは、糖類化合物は、単糖、二糖、三糖および糖アルコールからなる群より選択される少なくとも1種である。更に好ましくは、糖類化合物は、単糖、二糖、三糖および単糖アルコールからなる群より選択される少なくとも1種である。「単糖アルコール」は、単糖のカルボニル基を水酸基に還元して得られるアルコールを指す。
更に好ましくは、糖類化合物は、グルコース、スクロース、フルクトース、ソルビトール、キシロース、ガラクトース、マンノース、マルトース、トレハロース、ラクトースおよびラフィノースからなる群より選択される少なくとも1種である。更に好ましくは、糖類化合物は、グルコース、スクロース、フルクトース、ソルビトール、キシロース、ガラクトースおよびマンノースからなる群より選択される少なくとも1種である。最も好ましくは、糖類化合物はソルビトールである。
原料スラリー中の糖類化合物の配合量は、原料スラリー中の寒天に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは10~500質量%、更に好ましくは10~300質量%、更に好ましくは10~200質量%である。糖類化合物の添加効果を顕著に発揮するためには、原料スラリー中の糖類化合物の配合量は、原料スラリー中の寒天に対して、好ましくは40質量%以上、より好ましくは40~500質量%、更に好ましくは50~500質量%、更に好ましくは50~300質量%、更に好ましくは50~200質量%である。
糖類化合物および寒天は、配合量がそのまま香料含有シートに残るため、香料含有シート中の糖類化合物の含有量(質量%)は、寒天に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは10~500質量%、更に好ましくは10~300質量%、更に好ましくは10~200質量%である。糖類化合物の添加効果を顕著に発揮するためには、香料含有シート中の糖類化合物の含有量(質量%)は、寒天に対して、好ましくは40質量%以上、より好ましくは40~500質量%、更に好ましくは50~500質量%、更に好ましくは50~300質量%、更に好ましくは50~200質量%である。
香料含有シートが糖類化合物を含むと、香料含有シートが加熱されて香料を放出する温度(以下、香料放出温度ともいう)を低下させることができる。このように、香料含有シートが糖類化合物を含むと、より低い加熱温度で香料を放出させることができるため、加熱型香味吸引器に適用した際に、十分な香味をユーザに提供することができる。
とりわけ、ソルビトールは、少ない添加量でも香料放出温度を顕著に低下させることができる(図7参照)。このため、香料含有シート中のソルビトールの含有量は、寒天に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは10~500質量%、更に好ましくは10~300質量%、更に好ましくは10~200質量%である。ソルビトールの添加により香料含有シートの香料放出温度を顕著に低下させるためには、香料含有シート中のソルビトールの含有量は、寒天に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは10~500質量%、更に好ましくは20~500質量%、更に好ましくは30~500質量%、更に好ましくは40~500質量%、更に好ましくは50~500質量%、更に好ましくは50~300質量%、更に好ましくは50~200質量%である。
糖類化合物は、シガレットなどの喫煙物品にたばこ充填材として組み込まれると、燃焼により焦げた臭いを発生するが、本発明では、加熱型香味吸引器に組み込まれるため、燃焼しない。このため、本発明では、燃焼による焦げた臭いの発生が起こらず、比較的多量の糖類化合物(例えば、寒天と同量以上の糖類化合物)を香料含有シートに配合することができる。
(iii)香料
香料は、加熱型香味吸引器に用いられる香料であれば限定されることなく任意の香料を使用することができる。主な香料としては、メンソール、葉たばこ抽出エキス、天然植物性香料(例えば、シナモン、セージ、ハーブ、カモミール、葛草、甘茶、クローブ、ラベンダー、カルダモン、チョウジ、ナツメグ、ベルガモット、ゼラニウム、蜂蜜エッセンス、ローズ油、レモン、オレンジ、ケイ皮、キャラウェー、ジャスミン、ジンジャー、コリアンダー、バニラエキス、スペアミント、ペパーミント、カシア、コーヒー、セロリー、カスカリラ、サンダルウッド、ココア、イランイラン、フェンネル、アニス、リコリス、セントジョンズブレッド、スモモエキス、ピーチエキス等)、糖類(例えば、グルコース、フルクトース、異性化糖、カラメル等)、ココア類(パウダー、エキス等)、エステル類(例えば、酢酸イソアミル、酢酸リナリル、プロピオン酸イソアミル、酪酸リナリル等)、ケトン類(例えば、メントン、イオノン、ダマセノン、エチルマルトール等)、アルコール類(例えば、ゲラニオール、リナロール、アネトール、オイゲノール等)、アルデヒド類(例えば、バニリン、ベンズアルデヒド、アニスアルデヒド等)、ラクトン類(例えば、γ-ウンデカラクトン、γ-ノナラクトン等)、動物性香料(例えば、ムスク、アンバーグリス、シベット、カストリウム等)、炭化水素類(例えば、リモネン、ピネン等)が挙げられる。これらの香料は、固体で使用されてもよいし、適切な溶媒、例えばプロピレングリコール、エチルアルコール、ベンジルアルコール、トリエチルシトレートに溶解または分散させて使用されてもよい。好ましくは、乳化剤の添加により溶媒中で分散状態が形成されやすい香料、たとえば疎水性香料や油溶性香料等を用いることができる。これらの香料は、単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。好ましい態様によれば、香料は、メンソール、シトラール、リモネン、およびエチルブチレートからなる群より選択される少なくとも1つの香料成分を含む。
原料スラリー中の香料の配合量は、香料の種類に応じて適宜選択することができるが、原料スラリー中の寒天の質量に対して、例えば50~500質量%である。例えば、香料が、メンソールを主成分として含む香料(すなわち、メンソールを70~100質量%の割合で含む香料)である場合、原料スラリー中の香料の配合量は、原料スラリー中の寒天の質量に対して、好ましくは250~500質量%、より好ましくは300~450質量%である。あるいは、香料が、メンソールを含むがメンソール以外の香料成分を主成分として含む香料(すなわち、メンソールを33質量%以下の割合で含み、メンソール以外の香料成分を67質量%以上の割合で含む香料)である場合、原料スラリー中の香料の配合量は、原料スラリー中の寒天の質量に対して、好ましくは50~250質量%、より好ましくは75~200質量%である。
調製直後の香料含有シート中の香料の含有量は、香料の種類に応じて適宜変更することができるが、香料含有シートの総質量に対して、例えば35~80質量%である。例えば、香料が、メンソールを主成分として含む香料である場合、調製直後の香料含有シート中の香料の含有量は、香料含有シートの総質量に対して、好ましくは50~80質量%、より好ましくは65~78質量%である。あるいは、香料が、メンソールを含むがメンソール以外の香料成分を主成分として含む香料である場合、調製直後の香料含有シート中の香料の含有量は、香料含有シートの総質量に対して、好ましくは35~70質量%、より好ましくは40~65質量%である。香料含有シート中の香料の含有量は、後述の実施例1の「(1-3)香料保持率の評価方法」の欄に記載される方法に従って測定することができる。
(iv)乳化剤
乳化剤は、香料を原料スラリー中に分散させることができれば、任意の乳化剤を使用することができる。乳化剤としては、例えばレシチン、具体的にはサンレシチンA-1(太陽化学株式会社)を使用することができる。乳化剤として、レシチンの他に、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよびショ糖脂肪酸エステルからなる群より選択されるエステルを使用することができる。グリセリン脂肪酸エステルは、たとえばモノステアリン酸モノグリセリドやコハク酸モノグリセリドなどの脂肪酸モノグリセリドが挙げられ;ポリグリセリン脂肪酸エステルは、たとえばモノステアリン酸ペンタグリセリンが挙げられ;ソルビタン脂肪酸エステルは、たとえばソルビタンモノステアレートが挙げられ;プロピレングリコール脂肪酸エステルは、たとえばモノステアリン酸プロピレングリコールが挙げられ;ショ糖脂肪酸エステルは、たとえばショ糖ステアリン酸エステルが挙げられる。
原料スラリー中の乳化剤の含有量は、原料スラリー中の寒天の質量に対して、好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは1.0~8.0質量%である。乳化剤および寒天は、配合量がそのまま香料含有シートに残るため、香料含有シート中の乳化剤の含有量は、香料含有シート中の寒天の質量に対して、好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは1.0~8.0質量%である。
(v)他の成分
香料含有シートは、水を含んでいてもよい。すなわち、原料スラリーに含まれる水は、乾燥後の香料含有シートに残っていてもよい。香料含有シートに水が残っている場合の水分含量は、香料含有シートの総質量に対して、好ましくは10質量%未満、より好ましくは3~9質量%、さらに好ましくは3~6質量%である。香料含有シートの水分含量は、下記の通り、GC-TCDを用いて求めることができる。
まず、香料含有シートを秤量した後、所定量のメタノール(試薬特級もしくはそれ以上)を加えて密閉し、40分間振とう(200rpm)する。これを一晩放置後、再度40分間振とう(200rpm)した後、静置する。静置後の上澄み液を測定溶液とする。
測定溶液をGC-TCDにかけて、検量線法により定量する。GC-TCDの条件は例えば下記の条件とすることができる。
GC-TCD;Hewlett Packard社製6890ガスクロマトグラフ
Column ;HP Polapack Q (packed column) Constant Flow mode 20.0 mL/min
Injection ;1.0μL
Inlet ;EPC purge packed column inlet Heater;230℃
Gas;He Total flow;21.1 mL/min
Oven ;160℃(hold 4.5 min)→(60℃/min)→220℃(hold 4.0 min)
Detector ;TCD検出器 Reference Gas(He)流量;20 mL/min
make up gas(He)3.0 mL/min
Signal rate ;5 Hz
香料含有シートは、必要に応じて、追加の成分を含んでいてもよい。たとえば、香料含有シートは、保湿剤を含んでいてもよい。保湿剤としては、例えば、グリセリン、ヒアルロン酸、塩化マグネシウムなどが使用され得る。また、香料含有シートは、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、例えばココア、カラメル、青色2号等の食添染料、クロロゲン酸等のポリフェノール類、メラノイジンなどが使用され得る。
香料含有シートは、例えば0.04~0.2mmの厚さ、好ましくは0.05~0.10mmの厚さを有する。
(vi)効果
上述のとおり、香料含有シートは、糖類化合物を含むため、糖類化合物を含まない香料含有シートと比べて、低い香料放出温度を有する。好ましい態様において、香料含有シートは、240℃以下の香料放出温度を有する。より好ましい態様において、香料含有シートは、140~240℃の香料放出温度を有する。更に好ましい態様において、香料含有シートは、150~200℃の香料放出温度を有する。
また、本明細書で開示する技術によれば、糖類化合物の添加量を変化させることにより香料放出温度を制御することができる。とりわけ、糖類化合物としてソルビトールを使用した場合、糖類化合物の添加量に比例して香料放出温度を低下させることができる(図7参照)。したがって、本明細書で開示する技術は、「香料含有シートからの香料成分の放出温度を低下させる技術」と位置づけることができるだけでなく、「香料含有シートからの香料成分の放出温度を制御する技術」と位置づけることもできる。
本明細書において香料含有シートの「香料放出温度」は、以下に記載される方法に従って決定された温度をいう。
香料含有シートは、加熱型香味吸引器内に於いてヒータで所定温度に加熱され、香料を放出することができる。香料含有シートが加熱されて香料を放出する温度、すなわち「香料放出温度」は、香料含有シートの物性特性値であり、以下に記載される「熱分析‐質量分析 同時測定装置(以下“TG-MS”と表記)」で香料成分の放出温度を計測することで決定することができる。
TG-MSによる「香料成分の放出温度」の測定
(株)Rigaku 示差熱天秤-光イオン化質量分析同時測定装置Thermo mass photo 410/S
雰囲気; Heガス(流速;300mL/min)
試料容器; Pt (参照試料は空のPt容器)
昇温; 室温→(10℃/min)→800℃
イオン計測; Photo Ionization (SEM 1800V) 計測質量範囲(m/z); 25~150
TG-MS測定は、試料を加熱して昇温させ、所定温度での吸発熱や重量変化を“示差熱分析および熱天秤(熱分析)”により計測すると同時に、所定温度での試料からの成分放出状況を“質量分析(MS)”により識別同定する分析法である。この測定に因れば、試料から香料成分(例えばメンソールなど)が放出する加熱温度に関する知見を得ることができる。具体的には、香料含有シートに含まれる香料成分(例えばメンソール)を質量分析(MS)スペクトルで同定し、そのMSサーモグラム(横軸:温度、縦軸:イオン強度)を熱分析結果(TGサーモグラム;横軸:温度、縦軸:重量減少)と重ね合わせて置き、MSサーモグラムで示される当該香料成分の放出が開始したときの温度を「香料成分の放出温度」と決定することができる。
香料含有シートに含まれる香料が1種類の香料成分から構成されるときは、「香料成分の放出温度」を、香料含有シートの「香料放出温度」と決定することができる。あるいは、香料含有シートに含まれる香料が複数種類の香料成分から構成されるときは、各香料成分の放出温度の最小値(T1℃)および最大値(T2℃)に挟まれた温度範囲(T1~T2℃)を、香料含有シートの「香料放出温度」と決定することができる。なお、香料が複数種類の香料成分から構成される場合、香料含有シートは、複数種類の香料成分を寒天に被覆した状態で含有し、加熱により寒天の皮膜が融解もしくは分解して複数種類の香料成分を放出する。したがって、各香料成分が余程の高沸点成分でない限り、複数種類の香料成分はあまり大きな時間差を生じることなく放出され、最小値(T1℃)と最大値(T2℃)との差は、通常あまり大きくないと推測される。
<2.香料含有シートの製造方法>
香料含有シートは、公知の手法に従って、寒天、糖類化合物、香料、および乳化剤を含む原料を水中で混錬して原料スラリーを調製し、原料スラリーを基材上に伸展させ、乾燥させることにより製造することができる。
原料スラリーの組成は、たとえば、水10リットルに対して、350~1000gの寒天、40~1000gの糖類化合物、400~3000gの香料、10~80gの乳化剤とすることができる。原料の混練は、60~100℃に加熱しながら、ホモジナイザーを用いて公知の乳化技術により行うことができる。得られた原料スラリーは、たとえば10,000[mPa・s/60℃]以下の粘度、好ましくは1,000~10,000[mPa・s/60℃]の粘度、より好ましくは1,000~5,000[mPa・s/60℃]の粘度を有する。
得られた原料スラリーは、たとえば、乾燥後に得られるシートの厚さが、0.04~0.2mm程度になるように基材上に伸展させることができる。その後、原料スラリーを所望の水分含量(例えば10質量%未満、好ましくは3~9質量%、より好ましくは3~6質量%)になるまで乾燥させることにより、香料含有シートを製造することができる。
寒天の水溶液は、特定の温度以下(例えば、約30℃)に冷却するとゲル化し、一旦ゲル化すると、その後、温度を上昇させてゲルに転移した温度に達しても容易にゾル化せず、ゲル化状態を維持することができるという性質を有する。このため、原料スラリーが、寒天を含む場合、原料スラリーを一旦冷却してゲル化させ、ゲル化した原料を高温で乾燥させることにより短時間でシートを製造することができる。具体的には、原料スラリーを基材上に伸展させた後、一旦0~40℃の試料温度に冷却してゲル化させ、その後、ゲル化した原料を70~100℃の試料温度で加熱することにより乾燥させることができる。
<3.加熱型香味吸引器>
上述の香料含有シートは、たとえば、通常のたばこ刻と同等のサイズに裁刻し、得られた切断片を加熱型香味吸引器(以下、単に「香味吸引器」ともいう)に組み込むことができる。香料含有シートの切断片は、例えば0.04~0.2mm、好ましくは0.05~0.10mmの厚さを有する香料含有シートの切断片であり、2.0~7.0mmの長辺および0.5~2.0mmの短辺を有することができる。
香料含有シートの切断片(以下、単に「切断片」ともいう)は、単独で、香味吸引器の香味源として使用されてもよいし、たばこ刻などのたばこ材料と組み合わせて香味吸引器の香味源として使用されてもよい。後者の場合、切断片は、たばこ材料と切断片との合計質量に対して4~20質量%の量で香味吸引器に組み込むことができる。切断片を、たばこ刻と切断片との合計質量に対して4質量%以上の量で香味吸引器に組み込むと、香味吸引器中の香料の分布のばらつきを抑えることができる。
上述のとおり、香料含有シートは、糖類化合物を含むことにより、香料放出温度を低下させることができる。後述の実施例によれば、香料含有シートは、240℃以下の温度まで香料放出温度を低下させることができた。加熱型香味吸引器の加熱温度は、例えば150~250℃であるため、上述の香料含有シートを含む加熱型香味吸引器は、十分な香味をユーザに提供することができる。
加熱型香味吸引器としては、例えば、
炭素熱源の燃焼熱でたばこ充填材を加熱する炭素熱源型吸引器(たとえばWO2006/073065を参照);
香味吸引物品と、香味吸引物品を電気加熱するための加熱デバイスとを備えた電気加熱型吸引器(たとえばWO2010/110226を参照);または
液状のエアロゾル源をヒータにより加熱してエアロゾルを発生させ、エアロゾルとともに香味を吸引する液体霧化型吸引器(たとえばWO2015/046385を参照)
などが挙げられる。
すなわち、別の側面によれば、
上述の香料含有シートの切断片と、
エアロゾル源と、
エアロゾル源を加熱してエアロゾルを発生させるとともに、エアロゾルの作用により切断片から香味成分を放出させるエアロゾル生成部と
を含む加熱型香味吸引器が提供される。
エアロゾル生成部は、ユーザが吸引する吸引物品に内蔵されていてもよいし、ユーザが吸引する吸引物品とは別個のデバイスとして設けられていてもよい。エアロゾル生成部は、例えば、炭素熱源またはヒータである。エアロゾル生成部は、切断片およびエアロゾル源を直接加熱してもよいし、間接的に加熱してもよい。例えば、エアロゾル生成部は、切断片およびエアロゾル源の混合物に隣接した位置に配置して、切断片およびエアロゾル源の混合物を直接加熱してもよいし、エアロゾル源を切断片の上流に配置し、エアロゾル源を加熱してエアロゾルを発生させ、エアロゾルを切断片に通過させることにより切断片を間接的に加熱してもよい。
好ましい態様によれば、
上述の香料含有シートの切断片と、
たばこ材料と、
エアロゾル源と、
エアロゾル源を加熱してエアロゾルを発生させるとともに、エアロゾルの作用により切断片およびたばこ材料から香味成分を放出させるエアロゾル生成部と
を含む加熱型香味吸引器が提供される。
この香味吸引器は、香味成分を放出する香味源として、切断片に加えてたばこ材料を含む。たばこ材料は、例えばたばこ刻である。切断片は、香味吸引器において、たばこ材料と混合した状態で存在してもよいし、香味吸引器において、たばこ材料とは別の区画(例えば、たばこ材料の上流または下流)に存在してもよい。エアロゾル源は、香味吸引器において、切断片およびたばこ材料と混合した状態で存在してもよいし、香味吸引器において、切断片およびたばこ材料とは別の区画(例えば、切断片およびたばこ材料の上流)に存在してもよい。
この態様においても、エアロゾル生成部は、切断片、たばこ材料およびエアロゾル源を直接加熱してもよいし、間接的に加熱してもよい。例えば、エアロゾル生成部は、切断片とたばこ材料とエアロゾル源との混合物に隣接した位置に配置して、混合物を直接加熱してもよいし、エアロゾル源を切断片およびたばこ材料の上流に配置し、エアロゾル源を加熱してエアロゾルを発生させ、エアロゾルを切断片およびたばこ材料に通過させることにより切断片およびたばこ材料を間接的に加熱してもよい。
この態様においても、エアロゾル生成部は、ユーザが吸引する吸引物品に内蔵されていてもよいし、ユーザが吸引する吸引物品とは別個のデバイスとして設けられていてもよい。
より好ましい態様によれば、エアロゾル生成部が、ユーザが吸引する吸引物品とは別個のデバイスとして設けられている。すなわち、より好ましい態様によれば、
上述の香料含有シートの切断片と、たばこ材料と、エアロゾル源とを含む香味吸引物品と、
香味吸引物品を着脱可能に装着するエアロゾル生成装置であって、香味吸引物品を加熱してエアロゾル源からエアロゾル発生させるとともに、エアロゾルの作用により切断片およびたばこ材料から香味成分を放出させるエアロゾル生成装置と
を含む加熱型香味吸引器が提供される。
以下に、この加熱型香味吸引器の一例を図1~3を参照して説明する。図1は、加熱型香味吸引器の一例を示す斜視図である。図2は、香味吸引物品の内部構造を示す図である。図3は、エアロゾル生成装置の内部構造を示す図である。
図1に示すとおり、香味吸引器100は、
香料含有シートの切断片と、たばこ材料と、エアロゾル源とを含む香味吸引物品110と、
香味吸引物品110を着脱可能に装着するエアロゾル生成装置120であって、香味吸引物品110を加熱してエアロゾル源からエアロゾルを発生させるとともに、エアロゾルの作用により切断片およびたばこ材料から香味成分を放出させるエアロゾル生成装置120と
を有する。
香味吸引物品110は、交換可能なカートリッジであり、長手方向に沿って延びる柱状形状を有する。香味吸引物品110は、エアロゾル生成装置120に挿入された状態で加熱されることによってエアロゾルおよび香味成分を発生するように構成されている。
図2に示すとおり、香味吸引物品110は、充填物111と、充填物111を巻装する第1巻紙112とを含む基材部11Aと、基材部11Aとは反対側の端部を形成する吸口部11Bとを有する。基材部11Aと吸口部11Bは、第2巻紙113によって連結されている。
吸口部11Bは、紙管部114と、フィルタ部115と、紙管部114とフィルタ部115との間に配置された中空セグメント部116とを有する。紙管部114は、紙を円筒形に巻いて形成された紙管であり、内側は空洞である。フィルタ部115は、アセテートトウなどの濾材を含む。中空セグメント部116は、1つ又は複数の中空チャネルを有する充填層を含む。フィルタ部115の濾材と中空セグメント部116の充填層とは、プラグラッパー117で覆うことにより連結されている。充填層は、繊維から構成され、繊維の充填密度が高いため、吸引時は、空気やエアロゾルは中空チャンネルのみを流れることになり、充填層内はほとんど流れない。香味吸引物品110において、フィルタ部115でのエアロゾル成分の濾過による減少を少なくしたいときに、フィルタ部115の長さを短くして中空セグメント部116で置き換えることはエアロゾルのデリバリー量を増大させるために有効である。
吸口部11Bは3つのセグメントから構成されているが、吸口部11Bは1つ又は2つのセグメントから構成されていてもよいし、4つ又はそれ以上のセグメントから構成されていてもよい。例えば、中空セグメント部116を省略し、紙管部114とフィルタ部115を互いに隣接配置して吸口部11Bを形成することもできる。
香味吸引物品110の長手方向の長さは、40~90mmであることが好ましく、50~75mmであることがより好ましく、50~60mmであることがさらに好ましい。香味吸引物品110の円周は15~25mmであることが好ましく、17~24mmであることがより好ましく、20~23mmであることがさらに好ましい。また、香味吸引物品110の長手方向において、基材部11Aの長さは20mm、紙管部114の長さは20mm、中空セグメント部116の長さは8mm、フィルタ部115の長さは7mmであってよいが、これら個々のセグメントの長さは、製造適性、要求品質等に応じて、適宜変更できる。
充填物111は、香料含有シートの切断片と、たばこ材料と、エアロゾル源とを含む。エアロゾル源は、所定温度で加熱されてエアロゾルを発生する。エアロゾル源として、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、トリアセチン、1,3-ブタンジオール、及びこれらの混合物を挙げることができる。充填物111中のエアロゾル源の含有量は、特に限定されず、十分な量のエアロゾルの発生と、良好な香喫味の付与の観点から、通常5質量%以上であり、好ましくは10質量%以上であり、また、通常50質量%以下であり、好ましくは20質量%以下である。
充填物111は、香味源として、香料含有シートの切断片およびたばこ材料を含む。香料含有シートの切断片は、上記で説明したとおりである。たばこ材料は、例えばたばこ刻である。たばこ刻の材料は特に限定されず、ラミナや中骨等の公知のものを用いることができる。香味吸引物品110における充填物111の含有量は、基材部11Aが円周22mm、長さ20mmの場合、例えば、200~400mgであり、250~320mgであることが好ましい。充填物111の水分含有量は、例えば、8~18質量%であり、10~16質量%であることが好ましい。このような水分含有量であると、巻染みの発生を抑制し、基材部11Aの製造時の巻上適性を良好にする。充填物111として用いるたばこ刻の大きさやその調製法については特に制限はない。例えば、乾燥したたばこ葉を、幅0.8~1.2mmに刻んだものを用いてもよい。また、乾燥したたばこ葉を平均粒径が20~200μm程度になるように粉砕して均一化したものをシート加工し、それを幅0.8~1.2mmに刻んだものを用いてもよい。さらに、上記のシート加工したものについて刻まずにギャザー加工したものを充填物111として用いてもよい。
第1巻紙112、第2巻紙113、およびプラグラッパー117は、それぞれ、シガレットで使用される巻紙、チップペーパー、およびプラグラッパーと同じものを使用することができる。
図3に示すとおり、エアロゾル生成装置120は、香味吸引物品110を挿入可能な挿入孔130を有する。すなわち、エアロゾル生成装置120は、挿入孔130を構成する内側筒部材132を有する。内側筒部材132は、例えばアルミニウムやステンレス(SUS)のような熱伝導部材によって構成されていてよい。
また、エアロゾル生成装置120は、挿入孔130を塞ぐ蓋部140を有していてよい。蓋部140は、挿入孔130を塞いだ状態と、挿入孔130を露出させた状態(図1参照)との間をスライド可能に構成されている。
エアロゾル生成装置120は、挿入孔130に連通する空気流路160を有していてよい。空気流路160の一端は、挿入孔130に連結されており、空気流路160の他端は、挿入孔130とは別のところでエアロゾル生成装置120の外部(外気)に連通している。
エアロゾル生成装置120は、空気流路160の、外気に連通する側の端部を覆う蓋部170を有していてよい。蓋部170は、空気流路160の、外気に連通する側の端部を覆った状態にすることもできるし、あるいは、空気流路160を露出させた状態にすることもできる。
蓋部170は、空気流路160を覆った状態であっても空気流路160に気密に閉塞することはない。すなわち、蓋部170が空気流路160を覆った状態であっても、蓋部170付近を介して空気流路160内に外気が流入可能に構成されている。
ユーザは、エアロゾル生成装置120に香味吸引物品110を挿入した状態で、香味吸引器110の一端部、具体的には、図2に示される吸口部11Bを咥え、吸引動作を行う。ユーザの吸引動作により、空気流路160に外気が流入する。空気流路160内に流入した空気は、挿入孔130内の香味吸引物品110を通って、ユーザの口腔内に導かれる。
エアロゾル生成装置120は、空気流路160内又は空気流路160を構成する壁部の外面に、温度センサを有していてよい。温度センサは、例えば、サーミスタや熱電対等であってよい。ユーザが香味吸引物品110の吸口部11Bを吸引すると、空気流路160内を蓋部170側からヒータ30側に向かって流れる空気の影響で、空気流路160の内部温度又は空気流路160を構成する壁部の温度が低下する。温度センサは、この温度低下を測定することによってユーザの吸引動作を検知することができる。
エアロゾル生成装置120は、バッテリ10と、制御ユニット20と、ヒータ30と、を有する。バッテリ10は、エアロゾル生成装置120で用いる電力を蓄積する。バッテリ10は、充放電可能な二次電池であってよい。バッテリ10は、例えばリチウムイオン電池であってよい。
ヒータ30は、内側筒部材132の周りに設けられていてよい。ヒータ30を収容する空間と、バッテリ10を収容する空間は、隔壁180によって互いに分離されていてよい。これにより、ヒータ30により加熱された空気が、バッテリ10を収容する空間内に流入することを抑制することができる。したがって、バッテリ10の温度上昇を抑制することができる。
ヒータ30は、柱状の香味吸引物品110の外周を加熱可能な筒形状であることが好ましい。ヒータ30は、例えばフィルムヒータであってよい。フィルムヒータは、一対のフィルム状の基板と、一対の基板の間に挟まれた抵抗発熱体とを有していてよい。フィルム状の基板は、耐熱性及び電気絶縁性に優れた材料から作られることが好ましく、典型的には、ポリイミドから作られる。抵抗発熱体は、銅、ニッケル合金、クロム合金、ステンレス、白金ロジウム等の金属材料の1つ又は2つ以上から作られることが好ましく、例えば、ステンレス製の基材によって形成され得る。さらに、抵抗発熱体はフレキシブルプリント回路(FPC)によって電源と接続するために接続部位及びそのリード部に銅メッキを施してもよい。
好ましくは、熱収縮チューブが、ヒータ30の外側に設けられていてよい。熱収縮チューブは、熱により半径方向に収縮するチューブであり、例えば熱可塑性エラストマによって構成されている。熱収縮チューブの収縮作用により、ヒータ30が内側筒部材132に押し付けられる。これにより、ヒータ30と内側筒部材132の密着性が高まるので、ヒータ30から香味吸引物品110への内側筒部材132を介した熱の伝導性が高まる。
エアロゾル生成装置120は、ヒータ30の半径方向の外側、好ましくは熱収縮チューブの外側に、筒状の断熱材を有していてもよい。断熱材は、ヒータ30の熱を遮断することによって、エアロゾル生成装置120の筐体外面が過度な高温に達するのを防止する役割を果たし得る。断熱材は、例えば、シリカエアロゲル、カーボンエアロゲル、アルミナエアロゲル等のエアロゲルから作られることができる。断熱材としてのエアロゲルは、典型的には、断熱性能が高くかつ製造コストが比較的低いシリ力エアロゲルであってよい。ただし、断熱材は、グラスウールやロックウール等の繊維系断熱材であってもよいし、ウレタンフォームやフェノールフォームの発泡系断熱材であってもよい。或いは、断熱材は真空断熱材であってもよい。
断熱材は、喫煙物品110に面する内側筒部材132と、断熱材の外側の外側筒部材134との間に設けられていてよい。外側筒部材134は、例えばアルミニウムやステンレス(SUS)のような熱伝導部材によって構成されていてよい。断熱材は、密閉された空間内に設けられることが好ましい。
制御ユニット20は、制御基板、CPU、及びメモリ等を含んでいてよい。また、エアロゾル生成装置120は、制御ユニット20による制御の下でユーザに各種情報を報知するための通知部を有していてもよい。通知部は、例えばLEDのような発光素子もしくは振動素子、又はこれらの組み合わせであってよい。
制御ユニット20は、ユーザの起動要求を検知したら、バッテリ10からヒータ30への電力供給を開始する。ユーザの起動要求は、例えば、ユーザによる押しボタンやスライド式スイッチの操作や、ユーザの吸引動作によって為される。ユーザの起動要求は、押しボタン150の押下によって為されてもよい。より具体的には、ユーザの起動要求は、蓋部140が開いた状態での押しボタン150の押下によって為されてもよい。或いは、ユーザの起動要求は、ユーザの吸引動作の検知によって為されてもよい。ユーザの吸引動作は、例えば前述したような温度センサによって検知できる。
<4.好ましい実施形態>
以下に、好ましい実施形態をまとめて示す。
[A1] 寒天と、
糖および糖アルコールからなる群より選択される少なくとも1種の糖類化合物と、
香料と、
乳化剤と
を含む加熱型香味吸引器用香料含有シート。
[A2] 前記糖類化合物が、単糖、オリゴ糖および糖アルコールからなる群より選択される少なくとも1種である[A1]に記載の香料含有シート。
[A3] 前記糖類化合物が、単糖、二糖、三糖および糖アルコールからなる群より選択される少なくとも1種である[A1]または[A2]に記載の香料含有シート。
[A4] 前記糖類化合物が、単糖、二糖、三糖および単糖アルコールからなる群より選択される少なくとも1種である[A1]~[A3]の何れか1に記載の香料含有シート。
[A5] 前記糖類化合物が、グルコース、スクロース、フルクトース、ソルビトール、キシロース、ガラクトース、マンノース、マルトース、トレハロース、ラクトースおよびラフィノースからなる群より選択される少なくとも1種である[A1]~[A4]の何れか1に記載の香料含有シート。
[A6] 前記糖類化合物が、グルコース、スクロース、フルクトース、ソルビトール、キシロース、ガラクトースおよびマンノースからなる群より選択される少なくとも1種である[A1]~[A5]の何れか1に記載の香料含有シート。
[A7] 前記糖類化合物がソルビトールである[A1]~[A6]の何れか1に記載の香料含有シート。
[A8] 前記香料が、メンソール、シトラール、リモネン、またはエチルブチレートである[A1]~[A7]の何れか1に記載の香料含有シート。
[A9] 前記糖類化合物が、寒天に対して、10質量%以上、好ましくは10~500質量%、より好ましくは10~300質量%、更に好ましくは10~200質量%の量で含まれる[A1]~[A8]の何れか1に記載の香料含有シート。
[A10] 前記糖類化合物が、寒天に対して、40質量%以上、好ましくは40~500質量%、より好ましくは50~500質量%、更に好ましくは50~300質量%、更に好ましくは50~200質量%の量で含まれる[A1]~[A9]の何れか1に記載の香料含有シート。
[A11] 前記糖類化合物が、ソルビトールであり、
ソルビトールが、寒天に対して、10質量%以上、好ましくは10~500質量%、より好ましくは10~300質量%、更に好ましくは10~200質量%の量で含まれる[A1]~[A8]の何れか1に記載の香料含有シート。
[A12] 前記糖類化合物が、ソルビトールであり、
ソルビトールが、寒天に対して、10質量%以上、好ましくは10~500質量%、より好ましくは20~500質量%、更に好ましくは30~500質量%、更に好ましくは40~500質量%、更に好ましくは50~500質量%、更に好ましくは50~300質量%、更に好ましくは50~200質量%の量で含まれる[A1]~[A8]の何れか1に記載の香料含有シート。
[A13] 調製直後の香料含有シート中の前記香料の含有量は、香料含有シートの総質量に対して、35~80質量%である[A1]~[A12]の何れか1に記載の香料含有シート。
[A14] 前記香料が、メンソールを主成分として含む香料である場合、調製直後の香料含有シート中の前記香料の含有量は、香料含有シートの総質量に対して、50~80質量%、好ましくは65~78質量%である[A1]~[A13]の何れか1に記載の香料含有シート。
[A15] 前記香料が、メンソールを含むがメンソール以外の香料成分を主成分として含む香料である場合、調製直後の香料含有シート中の前記香料の含有量は、香料含有シートの総質量に対して、35~70質量%、好ましくは40~65質量%である[A1]~[A13]の何れか1に記載の香料含有シート。
[A16] 240℃以下、好ましくは140~240℃、より好ましくは150~200℃の香料放出温度を有する[A1]~[A15]の何れか1に記載の香料含有シート。
[A17] 0.04~0.15mm、好ましくは0.05~0.10mmの厚さを有する[A1]~[A16]の何れか1に記載の香料含有シート。
[B1] [A1]~[A17]の何れか1に記載の香料含有シートの切断片を含む加熱型香味吸引器。
[B2] 前記加熱型香味吸引器が、炭素熱源型吸引器、電気加熱型吸引器、または液体霧化型吸引器である[B1]に記載の加熱型香味吸引器。
[B3] たばこ材料を更に含む[B1]または[B2]に記載の加熱型香味吸引器。
[B4] [A1]~[A17]の何れか1に記載の香料含有シートの切断片と、
エアロゾル源と、
前記エアロゾル源を加熱してエアロゾルを発生させるとともに、前記エアロゾルの作用により前記切断片から香味成分を放出させるエアロゾル生成部と
を含む加熱型香味吸引器。
[B5] [A1]~[A17]の何れか1に記載の香料含有シートの切断片と、
たばこ材料と、
エアロゾル源と、
前記エアロゾル源を加熱してエアロゾルを発生させるとともに、前記エアロゾルの作用により前記切断片および前記たばこ材料から香味成分を放出させるエアロゾル生成部と
を含む加熱型香味吸引器。
[B6] [A1]~[A17]の何れか1に記載の香料含有シートの切断片と、たばこ材料と、エアロゾル源とを含む香味吸引物品と、
前記香味吸引物品を着脱可能に装着するエアロゾル生成装置であって、前記香味吸引物品を加熱して前記エアロゾル源からエアロゾルを発生させるとともに、前記エアロゾルの作用により前記切断片および前記たばこ材料から香味成分を放出させるエアロゾル生成装置と
を含む加熱型香味吸引器。
[B7] 前記エアロゾル源が、グリセリン、プロピレングリコール、トリアセチン、1,3-ブタンジオール、およびこれらの混合物からなる群より選択される[B4]~[B6]の何れか1に記載の加熱型香味吸引器。
[B8] 前記切断片が、前記たばこ材料と前記切断片との合計質量に対して4~20質量%の量で含まれる[B3]および[B5]~[B7]の何れか1に記載の加熱型香味吸引器。
[B9] 前記切断片が、0.04~0.15mm、好ましくは0.05~0.10mmの厚さを有する[B1]~[B8]の何れか1に記載の加熱型香味吸引器。
[B10] 前記切断片が、2.0~7.0mmの長辺、および0.5~2.0mmの短辺を有する[B1]~[B9]の何れか1に記載の加熱型香味吸引器。
[C1] [A1]~[A17]の何れか1に記載の香料含有シートの製造方法であって、
寒天、糖類化合物、香料、および乳化剤を含む原料を水中で混練して原料スラリーを調製すること、
前記原料スラリーを基材上に伸展させること、および
前記伸展させた原料スラリーを乾燥させること
を含む方法。
[C2] [A1]~[A17]の何れか1に記載の香料含有シートの製造方法であって、
寒天、糖類化合物、香料、および乳化剤を含む原料を水中で混練して原料スラリーを調製すること、
前記原料スラリーを基材上に伸展させること、
前記伸展させた原料スラリーを、0~40℃の試料温度に冷却してゲル化させること、および
前記ゲル化した原料を70~100℃の試料温度で加熱することにより乾燥させること
を含む方法。
[実施例1]
実施例1では、香料含有シートの香料放出温度と香料保持率を調べた。
(1-1)香料含有シートの調製
[寒天ベースのシート]
寒天と、糖類化合物と、メンソールと、乳化剤とを含む香料含有シートを調製した。糖類化合物として、グルコース、スクロース、フルクトース、ソルビトール、キシロース、ガラクトース、マンノース、マルトース、トレハロース、ラクトースまたはラフィノースを使用した。
原料スラリーの組成は、以下のとおりとした。
蒸留水 100質量部
寒天 4質量部
糖類化合物 下記のとおり変化させた
メンソール 20質量部
乳化剤 0.2質量部
蒸留水300mLに寒天(試薬特級、和光純薬工業株式会社)12gを室温のまま投入し、コンロで沸騰させた湯煎上で5分から10分かけて撹拌して、寒天を蒸留水中に溶解させた。得られた寒天水溶液にメンソール(高砂香料工業株式会社)60gおよび所定量の糖類化合物を溶融し、レシチン(サンレシチンA-1、太陽化学株式会社)0.6gを加え、ホモジナイザー(エーテックジャパン社製、DMM型)により10分間4000rpmでホモジナイズさせ、原料スラリーを調製した。
糖類化合物の添加量は、以下のとおり変化させた。
1.2g(寒天に対する質量比:0.1)
2.4g(寒天に対する質量比:0.2)
3.6g(寒天に対する質量比:0.3)
4.8g(寒天に対する質量比:0.4)
6.0g(寒天に対する質量比:0.5)
12g(寒天に対する質量比:1)
24g(寒天に対する質量比:2)
60g(寒天に対する質量比:5)
得られた原料スラリーを、基材(20×20cm)の上に厚さ1mmになるよう薄く伸展した。伸展したスラリーを、スポットクーラー(スイデン株式会社製、SS-25DD-1)により発生させた10℃程度の冷風に2~3分間程度当てて一旦20℃程度まで冷却した。ゲル化した原料の試料温度を、非接触温度計(オプティックス株式会社製、PT-7LD)により計測して確認した。その後、熱風発生器(株式会社宮本製作所製、ニューホットブラスターMS5841-6D)により発生させた熱風(熱風温度:100℃)をゲルの全面に15分間当てて乾燥させて、香料含有シートを全体として0.2mm以下の厚さを有するように調製した。調製された香料含有シートは、厚さが0.2mm以下で、水分含有率が約4%であった。
[ゲランガムベースのシート]
ゲランガムと、糖類化合物と、メンソールと、乳化剤とを含む香料含有シートを調製した。糖類化合物として、グルコースまたはスクロースを使用した。
原料スラリーの組成は、以下のとおりとした。
蒸留水 100質量部
ゲランガム 4質量部
糖類化合物 下記のとおり変化させた
メンソール 20質量部
乳化剤 0.2質量部
ゲランガムベースのシートは、蒸留水300mLにゲランガム(ケルコゲル、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)12gを80℃に温めながら撹拌して、ゲランガムを蒸留水中に溶解させ、得られたゲランガム水溶液を寒天水溶液の代わりに使用したこと以外は、寒天ベースのシートと同様の手法に従って調製した。
糖類化合物の添加量は以下のとおり変化させた。
12g(ゲランガムに対する質量比:1)
24g(ゲランガムに対する質量比:2)
調製された香料含有シートは、厚さが0.2mm以下で、水分含有率が約4%であった。
(1-2)香料放出温度の測定
調製した香料含有シートを1mm×10mmのサイズに裁刻して切断片を得た。得られた切断片を用いて、香料含有シートの「香料放出温度」を以下のとおり決定した。
TG-MSによる「香料成分の放出温度」の測定
(株)Rigaku 示差熱天秤-光イオン化質量分析同時測定装置Thermo mass photo 410/S
雰囲気; Heガス(流速;300mL/min)
試料容器; Pt (参照試料 は 空のPt容器)
昇温; 室温→(10℃/min)→800℃
イオン計測; Photo Ionization (SEM 1800V) 計測質量範囲(m/z); 25~150
香料含有シートに含まれる香料成分(すなわちメンソール)を質量分析(MS)スペクトルで同定し、そのMSサーモグラム(横軸:温度、縦軸:イオン強度)を熱分析結果(TGサーモグラム;横軸:温度、縦軸:重量減少)と重ね合わせて置き、MSサーモグラムで示されるメンソールの放出が開始したときの温度を「香料成分の放出温度」と決定した。本実施例では、香料が1種類の香料成分から構成されるため、ここで測定された香料成分の放出温度を、香料含有シートの「香料放出温度」と決定した。
(1-3)香料保持率の評価
調製した香料含有シートを1mm×10mmのサイズに裁刻して切断片を得た。得られた切断片を試料皿に広げ、50℃に設定した恒温器(ヤマト科学、DX600)内で30日蔵置した。蔵置後の各試料の香料含有量を、以下のとおり測定した。
調製直後の香料含有シート(蔵置日数0日)、並びに蔵置後30日の香料含有シートに含まれるメンソールをメタノールで抽出して測定溶液を調製した。測定溶液中のメンソールをGC-MSDにかけて定量した。
蔵置した香料含有シートの切断片0.1gに10mLのメタノール(試薬特級もしくはそれ以上)を50mL容量の密閉容器(スクリュー管)内で加え、40分間振とう(200rpm)を行った。これを一晩放置後、再度40分間振とう(200rpm)を行い、静置した。静置後、上澄み液をGC測定に適当な希釈濃度(ここでは×1~×10メタノール希釈)に希釈して測定溶液を調製した。なお、測定溶液の調製に使用したメタノールは、内部標準物質として1,3-ブタンジオール(和光純薬工業(株)、試薬特級)を0.05mg/mLの濃度で含む。
上述のとおり調製した測定溶液中のメンソールを、以下のGC-MSDにかけて検量線法により定量した。
GC-MSD;Agilent社製6890Nガスクロマトグラフ
Column; DB-1 60 m×320μm (1μm)
Constant velocity mode 30 cm/sec
Oven; 40℃ → (5℃/min) → 250℃ (hold 5min)
Injection; 1μL
Insert liner; Agilent 4711 (250℃)
Inlet; Sprit mode 10:1 14 mL/min
Agilent社製 5973inert質量分析計
Scan mode (30~300 amu・2.74 scans/sec)
検量線溶液濃度; 0、0.01、0.05、0.1、0.3、0.5、0.7、1.0 [mg-メンソール/mL]の8点。
香料含有量の測定値から以下の式により各試料の香料保持率を算出した。
香料保持率(%)={(蔵置後の香料含有シートの香料含有量)/(調製直後の香料含有シートの香料含有量)}×100
(1-4)結果
[寒天ベースのシート]
図4~14に寒天ベースのシートの香料放出温度および香料保持率を示す。図4~14において、横軸は、糖類化合物の添加量を寒天に対する質量比で表す。図4はグルコースを使用した場合、図5はスクロースを使用した場合、図6はフルクトースを使用した場合、図7はソルビトールを使用した場合、図8はキシロースを使用した場合、図9はガラクトースを使用した場合、図10はマンノースを使用した場合、図11はマルトースを使用した場合、図12はトレハロースを使用した場合、図13はラクトースを使用した場合、図14はラフィノースを使用した場合を示す。
寒天ベースのシートは、いずれの糖類化合物を使用した場合も、高い香料保持率を有しており、蔵置後のシートに十分な量の香料を保持していた(図4~14を参照)。
また、寒天ベースのシートでは、糖類化合物を添加しなかった場合、香料放出温度は265℃であったが、糖類化合物を添加すると、香料放出温度を低下させることができた。いずれの糖類化合物を使用した場合も、糖類化合物を添加すると、240℃以下の温度まで香料放出温度を低下させることができた(図4~14を参照)。とりわけ、グルコース、スクロース、フルクトース、ソルビトール、キシロース、ガラクトース、またはマンノースを使用した場合、200℃以下の温度まで香料放出温度を低下させることができた(図4~10を参照)。とりわけ、フルクトースまたはソルビトールを使用した場合、約150℃まで香料放出温度を低下させることができた(図6および7を参照)。
加熱型香味吸引器の加熱温度は、例えば150~250℃であるため、上述の香料含有シートを加熱型香味吸引器に適用すると、十分な香味をユーザに提供することができる。
また、いずれの糖類化合物を使用した場合も、糖類化合物を寒天の約0.4倍以上の質量で添加すると、香料放出温度の明らかな低下を観察することができた(図4~14を参照)。特に、ソルビトールを使用した場合は、少ない添加量でも香料放出温度を低下させることができた。すなわち、ソルビトールを寒天の0.1倍以上の質量で添加すると、香料放出温度の明らかな低下を観察することができた(図7を参照)。また、図7の結果より、ソルビトールを使用した寒天ベースのシートでは、糖類化合物(すなわちソルビトール)の添加量に比例して香料放出温度が低下している状況を観察することができた。とりわけ、図7の結果では、ソルビトールの添加量が、寒天に対して10質量%から50質量%の範囲内にある場合、ソルビトールの添加量に比例して香料放出温度を低下させるように香料放出温度を制御することが可能であった。このことは、香料含有シートの製造に際して、糖類化合物の添加量により香料放出温度を一義的に制御することが可能であることを示している。言うなれば、この技術は、「香料含有シートからの香料成分の放出温度を制御する技術」と位置づけることができる。
図4~14の結果から、寒天ベースのシート中の糖類化合物の含有量は、寒天に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは10~500質量%、更に好ましくは10~300質量%、更に好ましくは10~200質量%であることが分かる。また、図4~14の結果から、糖類化合物の添加効果を顕著に発揮するためには、寒天ベースのシート中の糖類化合物の含有量は、寒天に対して、好ましくは40質量%以上、より好ましくは40~500質量%、更に好ましくは50~500質量%、更に好ましくは50~300質量%、更に好ましくは50~200質量%であることが分かる。とりわけソルビトールについては、図7の結果から、寒天ベースのシート中のソルビトールの含有量は、寒天に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは10~500質量%、更に好ましくは10~300質量%、更に好ましくは10~200質量%であることが分かる。また、図7の結果から、ソルビトールの添加により寒天ベースのシートの香料放出温度を顕著に低下させるためには、寒天ベースのシート中のソルビトールの含有量は、寒天に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは10~500質量%、更に好ましくは20~500質量%、更に好ましくは30~500質量%、更に好ましくは40~500質量%、更に好ましくは50~500質量%、更に好ましくは50~300質量%、更に好ましくは50~200質量%であることが分かる。
また、本発明者は、メンソール以外の香料を使用して同様に寒天ベースのシートを調製し、香料放出温度を測定した。その結果、ソルビトールを寒天の0.5倍の質量で含む香料含有シートにおいて、香料放出温度を低下させることができた。具体的には、シトラールを香料として使用した場合には211℃、エチルブチレートを香料として使用した場合には189℃、リモネンを香料として使用した場合には204℃まで香料放出温度を低下させることができた。
[ゲランガムベースのシート]
図15および図16にゲランガムベースのシートの香料放出温度および香料保持率を示す。図15および図16において、横軸は、糖類化合物の添加量をゲランガムに対する質量比で表す。図15はグルコースを使用した場合、図16はスクロースを使用した場合を示す。
ゲランガムベースのシートは、高い香料保持率を有しており、蔵置後のシートに十分な量の香料を保持していた。しかし、ゲランガムベースのシートでは、ゲランガムに対して1倍の質量または2倍の質量で糖類化合物を添加しても、香料放出温度をほとんど低下させることができなかった(図15および16を参照)。
[実施例2]
実施例2では、香料含有シートを香味吸引物品に組み込んで、香料のデリバリー量を調べた。
(2-1)たばこ充填材の調製
[たばこ充填材1(本発明の例)]
原料スラリーの組成は、以下のとおりとした。
蒸留水 100質量部
寒天 4質量部
ソルビトール 2質量部
メンソール 20質量部
乳化剤 0.2質量部
実施例1に記載されるのと同様の方法に従って、原料スラリーを調製し、香料含有シートを調製した。調製された香料含有シートは、厚さが0.2mm以下で、水分含有率が約4%であった。香料含有シートを1mm×3mmのサイズに裁刻して切断片を得た。
得られた切断片を試料皿に広げ、50℃に設定した恒温器(ヤマト科学、DX600)内で30日蔵置した。蔵置後、切断片0.2gとたばこ刻2.5gとを混合して、たばこ充填材1(本発明の例)を調製した。
[たばこ充填材2(比較例1)]
たばこ刻100gにメンソール2.5gを添加し、混合して、たばこ充填材2(比較例1)を調製した。得られたたばこ充填材2は、蔵置することなく、香味吸引物品に組み込んで、香料のデリバリー量を調べた。
[たばこ充填材3(比較例2)]
原料スラリーの組成は、以下のとおりとした。
蒸留水 100質量部
ゲランガム 4質量部
メンソール 20質量部
乳化剤 0.2質量部
実施例1に記載されるのと同様の方法に従って、原料スラリーを調製し、香料含有シートを調製した。調製された香料含有シートは、厚さが0.2mm以下で、水分含有率が約4%であった。香料含有シートを1mm×3mmのサイズに裁刻して切断片を得た。
得られた切断片を試料皿に広げ、50℃に設定した恒温器(ヤマト科学、DX600)内で30日蔵置した。蔵置後、切断片0.2gとたばこ刻2.5gとを混合して、たばこ充填材3(比較例2)を調製した。
(2-2)香味吸引物品の製造
0.26gのたばこ充填材を巻紙で巻装し、たばこロッドを調製した。得られたたばこロッドを用い、これに、濾材部にメンソールを0.004g含むフィルタ115を接続して図2に示す香味吸引物品を製造した。たばこ充填材1を用いて製造された香味吸引物品を「香味吸引物品1」と呼び、たばこ充填材2を用いて製造された香味吸引物品を「香味吸引物品2」と呼び、たばこ充填材3を用いて製造された香味吸引物品を「香味吸引物品3」と呼ぶ。
(2-3)香料のデリバリー量の測定
製造された香味吸引物品1~3を、図3に示すエアロゾル生成装置で、ヒータ温度230℃で40秒加熱した。その後、香味吸引物品1~3を、自動喫煙器(ドイツBorgwaldt社製、RM26)を用いて以下の吸引条件で吸引した。
CIR(フィルターベンチレーション;開)条件
55mL/2秒
28秒間隔
8パフ
パフ毎に主流煙を回収し、主流煙中のパフ毎のメンソール量を以下のとおり測定した。
パフ毎の主流煙の回収は以下のとおり行った:
専用のカートリッジに主流煙用ケンブリッジパッド(ガラス繊維フィルタパッド、すなわち、たばこ煙中のTPM(Total Particulate Matter;煙成分の内、ガス相以外の成分)を捕集するためのフィルタパッド)をセットしたものを8個(パフ回数分)用意し;
香味吸引物品をセットし予備加熱を完了したエアロゾル生成装置を、各パフに対応するケンブリッジパッドカートリッジに装着して自動喫煙器により吸引させ;
この操作を、パフ毎にケンブリッジパッドカートリッジを交換して8パフまで実施し、パフ毎の主流煙(TPM)を回収した。
主流煙(TPM)が付着したケンブリッジパッドに10mLのメタノール(試薬特級もしくはそれ以上)を50mL容量の密閉容器(スクリュー管)内で加え、40分間振とう(200rpm)を行い、静置した。静置後、上澄み液を取り出してGC測定溶液とした。なお、測定溶液の調製に使用したメタノールは、内部標準物質として1,3-ブタンジオール(和光純薬工業(株)、試薬特級)を0.05mg/mLの濃度で含む。
上述のとおり調製した測定溶液中のメンソールを、既に示したGC-MSDによる検量線法により定量し、定量値を、主流煙中のパフ毎のメンソールデリバリー量とした。
(2-4)結果
各パフにおけるメンソールのデリバリー量を図17に示す。
香味吸引物品1は、8パフの期間にわたって、香味吸引物品2と同程度の量で、メンソールを放出することができた。香味吸引物品2は、たばこ刻にメンソールを添加することにより調製したたばこ充填材を含む香味吸引物品であり、メンソールのデリバリー量が高い物品の例である。したがって、香味吸引物品1の上記結果は、本発明の香料含有シートが、蔵置後も十分な量のメンソールを保持することができ、かつ、シート中に保持されていたメンソールを、加熱型香味吸引器の加熱温度(200℃)で放出することができたことを示す。
一方、香味吸引物品3は、8パフの期間にわたって、香味吸引物品1で放出されたメンソール量の半分以下の量でしかメンソールを放出することができなかった。香味吸引物品3は、香料含有シートを含むが、香料含有シートが糖類化合物(すなわちソルビトール)を含んでいない点で、香味吸引物品1とは異なる。なお、香味吸引物品3は、寒天ベースのシートではなくゲランガムベースのシートである点においても香味吸引物品1とは異なるが、香料含有シートにおいて、ゲランガムは、香料を被覆して保持する機能を果たすという点で寒天と同様の物質であることは公知である(WO2012/118032、WO2012/118033および日本国特開2016-189700を参照)。したがって、香味吸引物品3の上記結果は、香料含有シートが糖類化合物を含まなかったために、香料放出温度を低下させることができず、少ない量でしかメンソールを放出することができなかったことを示す。
以上の結果から、本発明の香料含有シートを含む加熱型香味吸引器は、十分な香味をユーザに提供できることが実証された。

Claims (10)

  1. 寒天と、
    グルコース、スクロース、フルクトース、ソルビトール、キシロース、ガラクトース、マンノース、マルトース、トレハロース、ラクトースおよびラフィノースからなる群より選択される少なくとも1種の糖類化合物と、
    香料と、
    乳化剤と
    を含み、前記糖類化合物が、寒天に対して50~500質量%の量で含まれる、加熱型香味吸引器用香料含有シート。
  2. 前記糖類化合物が、寒天に対して50~300質量%の量で含まれる請求項1に記載の香料含有シート。
  3. 前記糖類化合物が、寒天に対して50~200質量%の量で含まれる請求項1に記載の香料含有シート。
  4. 寒天と、
    ソルビトールと、
    香料と、
    乳化剤と
    を含み、前記ソルビトールが、寒天に対して10~500質量%の量で含まれる、加熱型香味吸引器用香料含有シート。
  5. 前記ソルビトールが、寒天に対して10~300質量%の量で含まれる請求項4に記載の香料含有シート。
  6. 前記ソルビトールが、寒天に対して10~200質量%の量で含まれる請求項4に記載の香料含有シート。
  7. 前記香料が、メンソール、シトラール、リモネン、およびエチルブチレートからなる群より選択される少なくとも1つの香料成分を含む請求項1~の何れか1項に記載の香料含有シート。
  8. 240℃以下の香料放出温度を有する請求項1~の何れか1項に記載の香料含有シート。
  9. 請求項1~の何れか1項に記載の香料含有シートの切断片と、
    たばこ材料と、
    エアロゾル源と、
    前記エアロゾル源を加熱してエアロゾルを発生させるとともに、前記エアロゾルの作用により前記切断片および前記たばこ材料から香味成分を放出させるエアロゾル生成部と
    を含む加熱型香味吸引器。
  10. 請求項1~の何れか1項に記載の香料含有シートの切断片と、たばこ材料と、エアロゾル源とを含む香味吸引物品と、
    前記香味吸引物品を着脱可能に装着するエアロゾル生成装置であって、前記香味吸引物品を加熱して前記エアロゾル源からエアロゾルを発生させるとともに、前記エアロゾルの作用により前記切断片および前記たばこ材料から香味成分を放出させるエアロゾル生成装置と
    を含む加熱型香味吸引器。
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