JP7170703B2 - 積層体の製造方法、及び光硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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本実施の形態に係る積層体の製造方法は、下記工程(A)~(E)を有し、60℃で30分間加熱後の加熱残分が96%未満である光硬化性樹脂組成物を用いる。
工程(B):塗布された光硬化性樹脂組成物に光を照射して仮硬化樹脂層を形成する。
工程(C):仮硬化樹脂層の表面を乾燥させる。
工程(D):第1の部材と、光透過性を有する第2の部材とを仮硬化樹脂層を介して貼合せる。
工程(E):仮硬化樹脂層に光を照射して本硬化させる。
工程(A)では、例えば図2、図3(A)、(B)に示すように、光硬化性樹脂組成物6を光透過性部材3の表面に塗布する。光硬化性樹脂組成物6の塗布は、一般に使用される各種の塗布方法により行うことができ、例えば図2に示すように、スリット状のノズル7を備えた塗布ヘッド8を有する塗布装置を用いて行うことができる。工程(A)では、例えば図3(B)に示すように、光硬化性樹脂組成物6を、遮光層4の厚さよりも厚く塗布することが好ましい。具体的には、遮光層4の表面も含め、光透過性部材3の遮光層4の形成側表面の全面に光硬化性樹脂組成物6を遮光層4の厚さの1.2~50倍の厚さで塗布することが好ましく、2~30倍の厚さで塗布することがより好ましい。より具体的な塗布厚みは、25~350μmが好ましく、50~300μmがより好ましい。なお、光硬化性樹脂組成物6の塗布は、必要な厚みが得られるように複数回行ってもよい。
工程(B)では、例えば図4(A)に示すように、光透過性部材3の表面に塗布された光硬化性樹脂組成物6に対し紫外線照射器9から紫外線10を照射して仮硬化樹脂層11を形成する。光硬化性樹脂組成物6を仮硬化させることにより、光硬化性樹脂組成物6を液状から著しく流動しない状態とし、取扱性を向上させることができる。
硬化率(%)=[(X-Y)/X]×100
工程(C)では、例えば図5(A)に示すように、恒温乾燥器(恒温乾燥オーブン)13からの熱により仮硬化樹脂層11の表面を乾燥させる。これにより、例えば図5(B)に示すように、未硬化層12を構成する液状成分を揮発させ、仮硬化樹脂層11の表面に液状成分が実質的に残らない状態とすることができる。乾燥温度は、未硬化層12を構成する液状成分が揮発しやすい条件とすることが好ましく、例えば60℃以上が好ましい。また、乾燥温度は、画像表示部材2や光透過性部材3への影響を考慮して高くしすぎないことが好ましく、例えば80℃以下とすることが好ましい。
工程(D)では、例えば図7に示すように、画像表示部材2と光透過性部材3とを仮硬化樹脂層11を介して貼合せる。貼合せは、例えば、公知の圧着装置を用いて、10~80℃で加圧することにより行うことができる。
工程(E)では、例えば図8に示すように、仮硬化樹脂層11に対し紫外線照射器16から紫外線17を照射し、仮硬化樹脂層11を本硬化させる。これにより、硬化樹脂層1(図1を参照)を形成する。
本実施の形態に係る光硬化性樹脂組成物は、60℃で30分間加熱後の加熱残分が96.0%未満である。また、光硬化性樹脂組成物は、後述する単官能モノマーと、架橋剤と、光重合開始剤と、可塑剤及び粘着付与剤の少なくとも1種からなる柔軟剤とを含有することが好ましい。
単官能モノマーは、60℃で30分間加熱後の加熱残分が85%以下であることが好ましい。また、単官能モノマーの加熱残分の下限値は、第1の部材と第2の部材との密着性の観点から、30%以上が好ましく、40%以上がより好ましい。ここで、単官能モノマーの加熱残分は、熱量計測定装置(装置名:Q50、TA Instruments社製)を用いて、単官能モノマー10mgを60℃で30分加熱する前後での質量を測定して求めた値を言う。
架橋剤としては、例えば、光硬化性の2官能以上の(メタ)アクリレート化合物を用いることができる。架橋剤としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等を用いることができる。また、架橋剤としては、ウレタン、イソプレン、ブタジエン等を骨格に持つジ(メタ)アクリレート化合物を用いることもできる。ウレタン骨格を持つ(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、脂肪族ウレタンジアクリレート(EBECRYL230、ダイセル・オルネクス社製)が挙げられる。
光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤が好ましく、アルキルフェノン系光重合開始剤、及びアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤の少なくとも1種を含有することがより好ましい。アルキルフェノン系光重合開始剤としては、1-ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン(イルガキュア184、BASF社製)、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2一ヒドロキシ-2-メチル-プロピロニル)ベンジル]フェニル}-2-メチル-1-プロパン-1-オン(イルガキュア127、BASF社製)等を用いることができる。アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(TPO、BASF社製)等を用いることができる。その他、光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、アセトフェノン等を用いることもできる。
柔軟剤は、可塑剤、及び粘着付与剤の少なくとも1種からなるものである。可塑剤は、紫外線照射によりそれ自身は光硬化をせず、硬化後の光硬化性樹脂組成物(硬化樹脂層又は仮硬化樹脂層)に柔軟性を与えるものである。例えば、シクロヘキサンジカルボキシレート系化合物、ポリブタジエン系化合物、ポリイソプレン系化合物等を用いることができる。粘着付与剤は、硬化後の光硬化性樹脂組成物に柔軟性を与え、初期接着強度(いわゆるタック性)を向上させる。粘着付与剤としては、例えば、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水素添加テルペン樹脂等のテルペン系樹脂、天然ロジン、重合ロジン、ロジンエステル、水素添加ロジン等のロジン樹脂、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の石油樹脂などを使用することができる。
光硬化性樹脂組成物は、本技術の効果を損なわない範囲で、上述した成分以外の他の成分をさらに含有していてもよい。なお、硬化後の光硬化性樹脂組成物の信頼性(例えば高温環境での黄変抑制)の観点から、光硬化性樹脂組成物は、他の成分として、チオール系やアミン系の化合物を実質的に含有しないことが好ましい。
DMAA:ジメチルアクリルアミド、KJケミカルズ社製
DEAA:ジエチルアクリルアミド、KJケミカルズ社製
HPA:ヒドロキシプロピルアクリレート、大阪有機化学工業社製
ビスコート#155:シクロヘキシルアクリレート、大阪有機化学工業社製
ビスコート#150:テトラヒドロフルフリルアクリレート、大阪有機化学工業社製
ビスコート#160:ベンジルアクリレート、大阪有機化学工業社製
ビスコート#192:フェノキシエチルアクリレート、大阪有機化学工業社製
IBXA:イソボルニルアクリレート、大阪有機化学工業社製
NOAA:n-オクチルアクリレート、大阪有機化学工業社製
LA:ラウリルアクリレート、大阪有機化学工業社製
ISTA:イソステアリルアクリレート、大阪有機化学工業社製
YS Polyster TH130:テルペンフェノール、ヤスハラケミカル社製
Hexamoll DINCH:シクロヘキサンジカルボン酸エステル、BASF社製
Miramer M200:ヘキサンジオールジアクリレート、MIWON社製
EBECRYL230:脂肪族ウレタンジアクリレート、ダイセル・オルネクス社製
TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、BASF社製
各単官能モノマーの加熱残分(%)は、熱量計測定装置(装置名:Q50、TA Instruments社製)を用いて求めた。具体的には、図10に示すように、容器18に、10mgの単官能モノマー19を入れ、単官能モノマー19を60℃で30分間加熱する前後の質量を測定することにより求めた。
表1に示す配合量(質量部)で各成分を均一に混合して光硬化性樹脂組成物を調製した。
各光硬化性樹脂組成物の加熱残分(%)は、熱量計測定装置(装置名:Q50、TA Instruments社製)を用いて求めた。具体的には、図11に示すように、容器20に、10mgの光硬化性樹脂組成物21を入れ、光硬化性樹脂組成物21を60℃で30分間加熱する前後での質量を測定することにより求めた。
図12(A)に示すように、厚さ50μmのPET22上に光硬化性樹脂組成物を塗布し、厚さ0.15mmの樹脂組成物層23を形成した。次に、紫外線照射器24としてUV-LED(波長365nm)を用いて、積算光量が3000mJ/cm2となるように、樹脂組成物層23に対して200mW/cm2強度の紫外線25を照射した。紫外線照射後の樹脂組成物層26(図12(B)参照)を、室温で1分間放置した後、転着試験を行った。転着試験は、あぶらとり紙(製品名:ギャッツビーあぶらとり紙フィルムタイプ、株式会社マンダム社製)を紫外線照射後の樹脂組成物層26に押し当て、あぶらとり紙への樹脂組成物層26の転着の有無を評価した。具体的には、あぶらとり紙に樹脂組成物層26の転着がないときを「○」と評価し、樹脂組成物層26の転着が僅かにあるときを「△」と評価し、樹脂組成物層26の転着があるときを「×」と評価した。
ガラス27とPET22との接着面積が25mm×25mmとなるように、転着試験前の樹脂組成物層26を介して積層体28を作製した。そして、図12(C)に示すように、PET22に1kgの荷重29を下げ、保持力試験機(装置名:BE-501、テスター産業社製)を用いて、1時間後のPET22のずれ量(又は落下するまでの時間)を測定した。PET22が落下したときを「×」と評価し、落下するまでの時間を計測した。また、PETが落下しなかったときを「○」と評価し、1時間後のずれ量を測定した。
紫外線照射後の樹脂組成物層26を室温で1分間放置することに替えて、恒温乾燥オーブンからの熱により、樹脂組成物層26の表面を60℃で1分間乾燥させた後、転着試験を行ったこと以外は、乾燥前の転着試験と同様の方法で行った。
紫外線照射後の樹脂組成物層26を室温で1分間放置することに替えて、恒温乾燥オーブンからの熱により、樹脂組成物層26の表面を60℃で1分間乾燥させた後、転着試験前の樹脂組成物層26を介して積層体28を作製したこと以外は、乾燥前の保持力試験と同様の試験を行った。
Claims (13)
- 光硬化性樹脂組成物を、光透過性を有する第1の部材の表面に塗布する工程(A)と、
上記塗布された光硬化性樹脂組成物に光を照射して仮硬化樹脂層を形成する工程(B)と、
上記仮硬化樹脂層の表面を乾燥させる工程(C)と、
上記第1の部材と、光透過性を有する第2の部材とを上記仮硬化樹脂層を介して貼合せる工程(D)と、
上記仮硬化樹脂層に光を照射して本硬化させる工程(E)とを有し、
上記光硬化性樹脂組成物は、60℃で30分間加熱後の加熱残分が90.0%以上96.0%未満であり、
上記光硬化性樹脂組成物は、60℃で30分間加熱後の加熱残分が85%以下である単官能モノマーを10~30質量%含有し、
上記単官能モノマーが、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシプロピルアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びテトラヒドロフルフリルアクリレートの少なくとも1種であり、
上記工程(C)では、恒温乾燥機からの熱により上記仮硬化樹脂層の表面を乾燥させること、加熱送風機からの熱により上記仮硬化樹脂層の表面を乾燥させること、60~80℃の温度で加熱して上記仮硬化樹脂層の表面を乾燥させること、上記仮硬化樹脂層の表面を減圧すること、又は、これらの組み合わせを用いる、積層体の製造方法。 - 工程(C)では、上記工程(B)で形成された上記仮硬化樹脂層の表面を覆う未硬化層を構成する液状成分が揮発するように、上記仮硬化樹脂層の表面を乾燥させる、請求項1に記載の積層体の製造方法。
- 工程(C)では、上記恒温乾燥機及び上記加熱送風機の少なくとも一方からの熱により、上記仮硬化樹脂層の表面を乾燥させる、請求項1又は2に記載の積層体の製造方法。
- 上記単官能モノマーは、ヒドロキシプロピルアクリレート及びシクロヘキシル(メタ)アクリレートの少なくとも1種である、請求項1に記載の積層体の製造方法。
- 光硬化性樹脂組成物を、光透過性を有する第1の部材の表面に塗布する工程(A)と、
上記塗布された光硬化性樹脂組成物に光を照射して仮硬化樹脂層を形成する工程(B)と、
上記仮硬化樹脂層の表面を乾燥させる工程(C)と、
上記第1の部材と、光透過性を有する第2の部材とを上記仮硬化樹脂層を介して貼合せる工程(D)と、
上記仮硬化樹脂層に光を照射して本硬化させる工程(E)とを有し、
上記光硬化性樹脂組成物は、60℃で30分間加熱後の加熱残分が85%以下である単官能モノマーを10~30質量%含有し、
上記光硬化性樹脂組成物は、60℃で30分間加熱後の加熱残分が90.0%以上96.0%未満であり、
上記工程(C)では、恒温乾燥機からの熱により上記仮硬化樹脂層の表面を乾燥させること、加熱送風機からの熱により上記仮硬化樹脂層の表面を乾燥させること、60~80℃の温度で加熱して上記仮硬化樹脂層の表面を乾燥させること、上記仮硬化樹脂層の表面を減圧すること、又は、これらの組み合わせを用いる、積層体の製造方法。 - 上記光硬化性樹脂組成物は、架橋剤と、光重合開始剤と、可塑剤及び粘着付与剤の少なくとも1種からなる柔軟剤とをさらに含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
- 上記単官能モノマーは、単官能(メタ)アクリルアミド、及び単官能(メタ)アクリレートの少なくとも1種である、請求項5記載の積層体の製造方法。
- 上記単官能モノマーは、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシプロピルアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びテトラヒドロフルフリルアクリレートの少なくとも1種である、請求項5~8のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
- 上記第1の部材、又は上記第2の部材は、画像表示部材であり、
上記積層体は、画像表示装置である、請求項1~9のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。 - 60℃で30分間加熱後の加熱残分が85.0%以下である単官能モノマーと、
架橋剤と、
光重合開始剤と、
可塑剤及び粘着付与剤の少なくとも1種からなる柔軟剤とを含有し、
60℃で30分間加熱後の加熱残分が90.0%以上96.0%未満であり、
上記単官能モノマーは、ジエチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシプロピルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート及びテトラヒドロフルフリルアクリレートの少なくとも1種であり、
上記単官能モノマーの含有量が10~30質量%である、光硬化性樹脂組成物。 - 上記架橋剤の含有量が0.01~20質量%である、請求項11に記載の光硬化性樹脂組成物。
- 単官能モノマーとして、上記60℃で30分間加熱後の加熱残分が85.0%以下である単官能モノマーのみを含む、請求項11又は12に記載の光硬化性樹脂組成物。
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