以下に、本発明の実施の形態にかかる熱交換換気システムを図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す図面においては、理解の容易のため、各部材の縮尺が実際とは異なる場合がある。各図面間においても同様である。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる熱交換換気システム100の構成を示す図である。図1における矢印は、給排気の方向を示している。図2は、本発明の実施の形態1にかかる熱交換換気システム100の機能構成を示すブロック図である。熱交換換気システム100は、熱交換換気装置10と、局所排気装置20と、温湿度センサ30と、外気温度センサ40と、リモートコントローラ50と、風路切替ダンパー60と、を備える。
熱交換換気装置10、局所排気装置20およびリモートコントローラ50は、宅内通信ライン62で接続されており、各種の情報の情報通信が可能である。各種の情報には、熱交換換気装置10、局所排気装置20の監視および操作に関わる情報、温湿度センサ30および外気温度センサ40における検出結果の情報などが含まれる。熱交換換気装置10および局所排気装置20の運転状態の監視および操作は、リモートコントローラ50を通じて行うことが可能である。
図3は、本発明の実施の形態1にかかる熱交換換気システム100に適用される熱交換換気装置10の構成を示す模式図である。熱交換換気装置10は、本体を構成する筐体105の内部に熱交換器13を有し、熱交換器13で熱交換を行いながら各部屋の給排気を行う空調用の熱交換換気装置である。熱交換換気装置10は、天井裏の空間に隠蔽された状態で設置されている。
熱交換換気装置10は、室外の空気である外気を取り込む室外側吸込口101、外気を室内に給気する室内側吹出口102、還気である室内空気を取り込む室内側吸込口103および室内空気を屋外へ排気する室外側吹出口104を備えた筐体105の内部に、全熱交換器である熱交換器13が配置されている。室内側吹出口102と室内側吸込口103とは、筐体105における対向する側面の一方に設けられている。室外側吸込口101と室外側吹出口104とは、筐体105における対向する側面の他方に設けられている。
室外側吸込口101、室内側吹出口102、室内側吸込口103および室外側吹出口104には、風路を構成するダクトが接続されている。室外側吸込口101は、室外側給気ダクト111が接続され、室外側給気ダクト111を介して屋外と連通している。室内側吹出口102は、室内側給気ダクト112が接続され、室内側給気ダクト112を介して室内と連通している。室内側吸込口103は、室内側排気ダクト113が接続され、室内側排気ダクト113を介して室内と連通している。室外側吹出口104は、室外側排気ダクト114が接続され、室外側排気ダクト114を介して屋外と連通している。
また、筐体105の内部には、熱交換器13において互いに交差して熱交換するように設けられた給気風路106と排気風路107とが形成されている。
熱交換換気装置10の排気取込口は、トイレ、廊下および洗面所などに対して開口して設けられた24時間換気用の排気取込口71と、浴室内に対して開口して設けられた浴室換気用の排気取込口72と、に分けて設置されている。排気取込口71と排気取込口72とは、各々、分岐した室内側排気ダクト113の端部に設けられ、室内側排気ダクト113に接続されている。排気取込口71と排気取込口72とから吸い込まれる室内空気は、室内側排気ダクト113を通って室内側吸込口103から熱交換換気装置10に導入される。
熱交換換気装置10による24時間換気は、屋内を24時間にわたって換気する。屋内における、リビングダイニングキッチン(Living-Dining Kitchen:LDK)、和室および洋室などの居室には、居室に対して開口して設けられた給気吹出口73が配置されている。24時間換気において、排気取込口71から吸い込まれる室内空気は、室内側排気ダクト113を通って室内側吸込口103から熱交換換気装置10に導入され、屋外に排気される。そして、熱交換換気装置10の室内側吹出口102から吹き出された外気が、室内側給気ダクト112を通って給気吹出口73から居室に給気される。
熱交換換気装置10による浴室換気は、浴室内の浴室空気を外気と熱交換させて屋外に排気する。熱交換換気装置10による浴室換気において、排気取込口72から吸い込まれる浴室空気は、室内側排気ダクト113を通って室内側吸込口103から熱交換換気装置10に導入され、屋外に排気される。熱交換換気システム100では、風路切替ダンパー60を制御することによって、熱交換換気装置10による浴室換気有りの状態と、熱交換換気装置10による浴室換気無しの状態と、が切替可能とされている。また、熱交換換気装置10による浴室換気は、風路切替ダンパー60の変位具合を調整することによって、浴室空気の排気量の調整が可能とされている。
熱交換換気装置10は、給気用送風機11と、排気用送風機12と、熱交換器13と、制御部14と、を備える。
給気風路106は、外気を室内へ給気するための風路であり、熱交換器13を介して室外側吸込口101と室内側吹出口102とを結ぶ熱交換換気装置10内の風路である。排気風路107は、還気である室内空気を室外へ排気するための風路であり、熱交換器13を介して室内側吸込口103と室外側吹出口104とを結ぶ熱交換換気装置10内の風路である。給気風路106と排気風路107とは、互いに独立した風路となっている。
給気風路106には、給気流を形成する給気用送風機11が設置される。排気風路107には、排気流を形成する排気用送風機12が設置される。筐体105には、給気流と排気流との間で熱交換を行う熱交換器13が設置されている。給気用送風機11および排気用送風機12の運転は、制御部14により制御される。
熱交換換気装置10での熱交換器13を利用した換気においては、給気用送風機11を運転することにより、外気は、室外側給気ダクト111を介して室外側吸込口101から矢印Aのように吸い込まれ、給気風路106および熱交換器13を通り、給気用送風機11により室内側吹出口102から矢印Bのように吹き出され、室内側給気ダクト112を介して室内に給気される。
また、熱交換換気装置10での熱交換器13を利用した換気においては、排気用送風機12を運転することにより、室内空気は、室内側排気ダクト113を介して室内側吸込口103から矢印Cのように吸い込まれ、排気風路107および熱交換器13を通り、排気用送風機12により室外側吹出口104から矢印Dのように吹き出され、室外側排気ダクト114を介して屋外に排気される。
このとき、熱交換器13では排気流と給気流との間で熱交換が行われ、排気熱を回収して冷暖房負荷を軽減し、また室内空気を加湿する。なお、排気用送風機12および給気用送風機11の運転は、制御部14により制御される。
制御部14は、熱交換換気装置10の動作を制御する。制御部14は、給気用送風機11および排気用送風機12についての運転および停止を制御し、また、運転強度を変更することによって熱交換換気装置10の換気風量を変化させる。また、制御部14は、熱交換換気システム100全体の動作を制御する。制御部14は、風路切替ダンパー60の動作を制御して、熱交換換気装置10による浴室換気を制御する。なお、熱交換換気装置10による浴室換気を制御する機能を、制御部14とは独立した制御部として設けてもよい。
制御部14は、例えば、図4に示したハードウェア構成の処理回路として実現される。図4は、本発明の実施の形態1における処理回路のハードウェア構成の一例を示す図である。制御部14が図4に示す処理回路により実現される場合、制御部14は、プロセッサ201がメモリ202に記憶されたプログラムを実行することにより、実現される。また、複数のプロセッサおよび複数のメモリが連携して上記機能を実現してもよい。また、制御部14の機能のうちの一部を電子回路として実装し、他の部分をプロセッサ201およびメモリ202を用いて実現するようにしてもよい。
局所排気装置20は、浴室の空気を屋外に排気する局所排気を行う排気装置であり、浴室に設置された排気ファンである。局所排気装置20は、排気用送風機21と、制御部22とを備える。
排気用送風機21は、浴室の空気を取り込んで排気流を形成する。
制御部22は、排気用送風機21の動作を制御する。制御部22は、排気用送風機21の運転および停止を制御し、また、運転強度を変更することによって排気用送風機21の換気風量を変化させる。
温湿度センサ30は、室内から排気される排気流である室内空気の温度および湿度を検出する。温湿度センサ30は、予め決められた周期で室内空気の温度および湿度を検出し、検出結果である室内空気の温度の情報および湿度の情報を制御部14に送信する。
温湿度センサ30の設置場所は、排気される室内空気の温度および湿度を検出できれば、特に限定されない。たとえば、温湿度センサ30が熱交換換気装置10の筐体105の内部に配置される。この場合は、温湿度センサ30は、室内側吸込口103から熱交換換気装置10の内部に取り込まれた室内空気の温度および湿度を、排気風路107における熱交換器13よりも上流側の位置で検出する。また、温湿度センサ30が室内に配置される場合には、温湿度センサ30は、室内側吸込口103から熱交換換気装置10の内部に取り込まれる室内空気の温度および湿度を検出する。本実施の形態1では、温湿度センサ30は、熱交換換気装置10の筐体105の内部に配置されるものとする。
なお、温湿度センサ30の代わりに、温度センサと湿度センサとが個別に設けられてもよい。
外気温度センサ40は、室内に給気される給気流である外気の温度を検出する。外気温度センサ40は、予め決められた周期で外気の温度を検出し、検出結果である外気の温度の情報を制御部14に送信する。
外気温度センサ40の設置場所は、給気される外気の温度を検出できれば、特に限定されない。たとえば、外気温度センサ40が熱交換換気装置10の筐体105の内部に配置される。この場合は、外気温度センサ40は、室外側吸込口101から熱交換換気装置10の内部に取り込まれた外気の温度を、給気風路106における熱交換器13よりも上流側の位置で検出する。また、外気温度センサ40が屋外に配置される場合には、外気温度センサ40は、室外側吸込口101から熱交換換気装置10の内部に取り込まれる屋外の外気の温度を検出する。本実施の形態1では、外気温度センサ40は、熱交換換気装置10の筐体105の内部に配置されるものとする。
リモートコントローラ50は、熱交換換気装置10と局所排気装置20との運転および停止に関わる情報、換気風量の情報といった情報をユーザから受け付けて熱交換換気装置10の制御部14、局所排気装置20の制御部22とに宅内通信ライン62を通じて送信する。なお、リモートコントローラ50の代わりに、リモートコントローラ50と同様の機能を実施の形態可能な複数のスイッチを設けることも可能である。また、熱交換換気装置10用のコントローラと局所排気装置20用のコントローラとを別個に設けることも可能である。
風路切替ダンパー60は、熱交換換気装置10による浴室換気における排気空気、すなわち浴室内に配置された排気取込口72から取り込まれる浴室空気の風路を切り替えて、熱交換換気装置10による浴室換気の有無を切り替える第1風路切替部である。風路切替ダンパー60は、制御部14の制御によって、熱交換換気装置10による浴室換気が行われる浴室換気有りの状態と、熱交換換気装置10による浴室換気が行われない浴室換気無しの状態と、を切替可能とされている。
すなわち、風路切替ダンパー60は、排気取込口72から取り込まれた浴室空気を室内側排気ダクト113および室内側吸込口103を介して熱交換換気装置10に導入させる浴室熱交換換気風路に切り替える位置と、排気取込口72から取り込まれた浴室空気の風路を局所排気用ダクト115に導入させる浴室局所換気風路に切り替える位置と、に変位可能とされている。局所排気用ダクト115は、排気取込口72から取り込まれた浴室空気を熱交換換気装置10に通さずに直接排気する局所排気風路を構成する。また、風路切替ダンパー60は、制御部14の制御によって変位具合が調整されることによって、浴室換気有りの状態における浴室空気の排気量の調整が可能とされている。
風路切替ダンパー60の位置は、熱交換換気装置10による浴室換気有りの状態と、熱交換換気装置10による浴室換気無しの状態と、を切替可能な位置であれば特に限定されない。風路切替ダンパー60は、たとえば排気取込口72に設けられてもよく、排気取込口72に直結した室内側排気ダクト113に設けられてもよい。
なお、熱交換換気システム100における各構成部同士は、制御に必要な情報を互いに通信可能とされている。この通信は、熱交換換気システム100における各構成部同士の通信は、有線通信であってもよく、無線通信であってもよい。
つぎに、熱交換換気システム100の動作について説明する。図5は、本発明の実施の形態1にかかる熱交換換気システム100の動作の手順の一例を示すフローチャートである。
まず、ステップS10において熱交換換気装置10の電源がオンにされて熱交換換気装置10による居室の24時間換気が開始される。このとき、局所排気装置20の電源はオフの状態であり、局所排気装置20による浴室局所換気は停止状態である。すなわち、熱交換換気装置10においては、居室への外気の給気と、居室の室内空気の排気と、によって熱交換換気装置10による居室の熱交換換気が行われて、換気が行われる。したがって、熱交換換気装置10の熱交換換気において行われる排気は、居室の室内空気の排気のみであり、熱交換換気装置10の熱交換換気において浴室の空気の排気は行われない。
また、熱交換換気装置10の電源がオンにされると、温湿度センサ30は、排気風路107における熱交換器13よりも上流側の排気流の温度および湿度の検出を開始する。すなわち、温湿度センサ30は、熱交換器13で熱交換される前の状態の、排気される室内空気の温度および湿度の検出を開始する。温湿度センサ30は、検出結果を熱交換換気装置10の制御部14に送信する。
また、熱交換換気装置10の電源がオンにされると、外気温度センサ40は、給気される外気の温度の検出を開始し、検出結果を熱交換換気装置10の制御部14に送信する。制御部14は、温湿度センサ30および外気温度センサ40から送信された検出結果を受信する。
つぎに、ステップS20において、制御部14は、局所排気装置20の電源がオンされたか否かを判定する。リモートコントローラ50によって局所排気装置20の電源がオンされると、局所排気装置20は、電源がオンされただけでは運転を開始せず、運転の待機状態となる。局所排気装置20の電源がオンされると、局所排気装置20の制御部22は、局所排気装置20の電源がオンされた旨のオン信号を、宅内通信ライン62を介して熱交換換気装置10の制御部14に送信する。
そして、制御部14は、オン信号を受信した場合に、局所排気装置20の電源がオンされたと判定する。また、制御部14は、オン信号を受信していない場合に、局所排気装置20の電源がオンされていないと判定する。局所排気装置20の電源がオンされていないと判定された場合は、ステップS20においてNoとなり、ステップS20に戻る。局所排気装置20の電源がオンされたと判定された場合は、ステップS20においてYesとなり、ステップS30に進む。
ステップS30において制御部14は、熱交換換気の取込空気の湿度HRA、すなわち温湿度センサ30により検出された室内空気の湿度HRAが、予め決められた第1湿度H1以上であるか否かを判定する。第1湿度H1は、制御部14が熱交換換気装置10による浴室換気を行うか否かを判定するための湿度閾値である。室内空気の湿度HRAが、第1湿度H1以上である場合は、ステップS30においてYesとなり、ステップS40に進む。一方、室内空気の湿度HRAが、第1湿度H1未満である場合は、ステップS30においてNoとなり、ステップS50に進む。
ステップS40において、制御部14は、熱交換換気装置10の換気運転をそのまま継続する制御を行う。すなわち、熱交換換気システム100において、居室への外気の給気と、居室の室内空気の排気と、によって熱交換換気装置10による居室の熱交換換気が行われる。
また、制御部14は、排気取込口72から取り込まれた浴室空気の風路を局所排気用ダクト115に導入させる局所換気風路に切り替える位置に風路切替ダンパー60を切り替える旨の切替信号を送信する。また、制御部14は、局所排気装置20の運転の開始を指示する旨の運転信号を局所排気装置20の制御部22に送信し、浴室の局所排気装置20の運転を開始させる制御を行う。
風路切替ダンパー60は、切替信号に従って、排気取込口72から取り込まれた浴室空気の風路を局所排気用ダクト115に導入させる浴室局所換気風路に切り替える位置に変位する。局所排気装置20の制御部22は、運転信号を受信すると、運転信号に従って浴室の換気を開始する。すなわち、局所排気装置20は、局所換気を開始する。したがって、熱交換換気装置10の熱交換換気において行われる排気は、居室の室内空気の排気のみであり、浴室の空気の排気は行われない。その後、制御部14は、予め決められた判定の時間間隔tの経過後、ステップS30に戻る。
ステップS50において、制御部14は、熱交換換気の取込空気の湿度HRA、すなわち温湿度センサ30により検出された室内空気の湿度HRAが、予め決められた第2湿度H2以上であるか否かを判定する。第2湿度H2は、制御部14が熱交換換気装置10による浴室換気を行うか否かを判定するための湿度閾値であり、第1湿度H1よりも小さい閾値である。室内空気の湿度HRAが、第2湿度H2以上である場合は、ステップS50においてYesとなり、ステップS60に進む。ステップS50においてYesの場合は、室内空気の湿度HRAが、第2湿度H2以上、第1湿度H1未満(H2≦HRA<H1)である。一方、室内空気の湿度HRAが、第2湿度H2未満である場合は、ステップS50においてNoとなり、ステップS70に進む。
ステップS60において、制御部14は、冬期のみ、熱交換換気装置10の熱交換換気において行われる排気として、居室の排気に加えて浴室の排気を開始することで浴室の換気を行う制御を実施する。現在が冬期であるか否かの判断は、たとえば外気温度センサ40により検出された外気温度TOAを用いて行われる。
制御部14は、たとえば外気温度センサ40により検出された外気温度TOAが予め決められた第1温度T1以下である場合に現在が冬期であると判断し、外気温度TOAが第1温度T1より大である場合に現在が冬期以外の季節であると判断する。第1温度T1は、制御部14が、現在が冬期であるか否かを判定するための温度閾値である。
すなわち、ステップS60において、制御部14は、外気温度TOAが第1温度T1以下であるか否かを判定する。外気温度TOAが第1温度T1以下である場合は、ステップS60においてYesとなり、ステップS70に進む。一方、外気温度TOAが第1温度T1より大である場合は、ステップS60においてNoとなり、ステップS40に進む。
ステップS70において、制御部14は、排気取込口72から取り込まれた浴室空気を室内側排気ダクト113および室内側吸込口103を介して熱交換換気装置10に導入させる浴室熱交換換気風路に切り替える位置に風路切替ダンパー60を切り替える旨の切替信号を送信する。これにより、熱交換換気装置10では、排気が、居室の室内空気の排気と、浴室の浴室空気の排気と、である熱交換換気が行われる。すなわち、熱交換器13では、高温多湿空気の浴室空気と外気との熱交換を行うため、浴室空気の排気熱を回収して、温度および湿度をより高めた状態の外気を室内に供給することができる。
また、制御部14は、局所排気装置20の運転の開始を指示する旨の運転信号は送信せず、局所排気装置20は停止させたままの状態とする制御を行う。したがって、このとき、浴室の局所排気装置20は、運転は停止したままである。
その後、制御部14は、予め決められた判定の時間間隔tの経過後、ステップS30に戻る。
つぎに、上述した各定数の数値例を記載する。第1湿度H1:絶対湿度8.7g/kg(Dry Air:DA)、第2湿度H2:絶対湿度5.8g/kg(DA)、第1温度T1:15℃、判定の時間間隔t:10分などである。第1湿度H1は、熱交換換気装置10の熱交換器13が結露しない上限湿度、第2湿度H2は、室内の快適な湿度範囲の下限を設定するべきである。また、上記の制御上、H1>H2とすることが必要である。第1温度T1については、肌寒い、または加温したいと感じる温度に設定する。判定の時間間隔tについては、高湿度の排気を長時間にわたって熱交換換気装置10に取り込むことによる熱交換換気装置10の結露不具合を発生させないため、数分間毎の判定が必要である。
なお、上述した各数値は一例であり、上述した数値に限定されることはない。
上述したように、本実施の形態1にかかる熱交換換気システム100では、浴室の換気を行う際に、浴室で発生する高温多湿の空気を熱交換換気装置10に取り込んで熱交換を行うことで、温度および湿度の回収効果を高めることができる。すなわち、熱交換換気装置10における熱交換に用いる排気流に、室内空気の排気流と、浴室で発生する高温多湿の空気の排気流とを用いることで、室内に給気する給気流の温度および湿度を、より高くすることができる。そして、外気を室内に給気できるため、屋外の清浄な空気を導入しつつ居室の過乾燥を抑制することが可能であり、室内の空気における二酸化炭素濃度の増加およびにおいのこもりが発生することがない。また、浴室熱交換換気を行う場合も、熱交換換気装置10の換気量を変える必要がなく、既存の24時間換気の換気風量で換気することができ、換気量を維持することができる。
また、本実施の形態1にかかる熱交換換気システム100では、浴室の第3種局所換気によって発生する外気の直接侵入を抑制することができる。
したがって、熱交換換気システム100では、住宅トータルでの全熱交換効率が向上し、室内が過乾燥になることを抑制することができる。このような浴室で発生する高温多湿の空気を熱交換換気装置10における熱交換の排気流に用いた熱交換換気は、室内が乾燥する冬期において特に有効である。
また、温湿度の閾値を用いることにより、浴室の空気を熱交換換気する場合においても、熱交換器13の結露不具合および夏場における高温多湿空気の熱交換による逆効果を回避することができる。
また、熱交換換気システム100では、排気取込口72、排気取込口72に接続する室内側排気ダクト113および風路切替ダンパー60を設けるだけで上記の機能を実現可能であり、送風機、複数のダクト配管、複数のグリルといった部品の設置が不要である。したがって、低コストで上記の機能を実現可能である。また、構成が複雑となることがないため、天井裏スペースの圧迫、インテリア性の低下が生じない。
また、上記においては、浴室の空気を外気と熱交換させずに屋外に排気したい場合には、別途設置した局所排気装置20による排気を行う構成とした。浴室の空気を外気と熱交換させずに屋外に排気する構成として、局所排気装置20を設置せずに、浴室の空気を熱交換器13に通さずに迂回させて熱交換換気装置10から屋外に向けて吹出すバイパス風路を熱交換換気装置10に備えてもよい。
図6は、本発明の実施の形態1にかかる熱交換換気システム100に適用可能な他の熱交換換気装置210の構成を示す模式図である。他の熱交換換気装置210が上述した熱交換換気装置10と異なる点は、浴室の空気を取り込む吸込口として浴室側吸込口121を有する点と、浴室側吸込口121から取り込んだ浴室の空気を熱交換器13に通して室外側吹出口104から屋外に向けて吹き出す浴室熱交換風路123と、浴室側吸込口121から取り込んだ浴室の空気を熱交換器13に通さずに迂回させて室外側吹出口104から屋外に向けて排出するバイパス風路124とを筐体105の内部に有する点である。また、浴室側吸込口121には、排気取込口72と浴室側吸込口121とを接続して空気の吸込口として浴室の空気を他の熱交換換気装置210に取り込むための浴室排気風路を構成する浴室排気ダクト122が接続されている。
そして、筐体105の内部において浴室側吸込口121に隣接する領域には、浴室側吸込口121から取り込まれた浴室の空気の風路を切り替える第2風路切替部である風路切替ダンパー61を備える。風路切替ダンパー61は、浴室側吸込口121から取り込まれた浴室の空気の風路を、浴室熱交換風路123と、バイパス風路124と、風路閉鎖と、の3つのパターンに切り換え可能である。すなわち、風路切替ダンパー61は、浴室の換気を、浴室の換気停止、浴室の空気を熱交換器13に通して室外側吹出口104から屋外に向けて吹き出す浴室熱交換換気と、浴室の空気を熱交換器13に通さずに迂回させて室外側吹出口104から屋外に向けて排出する浴室のバイパス換気と、の3つのパターンに切り替え可能である。
風路切替ダンパー61は、制御部14の制御によって、浴室側吸込口121から取り込まれた浴室の空気の風路を浴室熱交換風路123に切り替える位置と、浴室側吸込口121から取り込まれた浴室の空気の風路をバイパス風路124に切り替える位置と、浴室側吸込口121から取り込まれた浴室の空気の風路を閉鎖する位置と、のいずれかの位置に変位する。
つぎに、他の熱交換換気装置210を用いた換気動作について説明する。図7は、本発明の実施の形態1にかかる他の熱交換換気装置210を用いた熱交換換気システム100の動作の手順の一例を示すフローチャートである。
まず、ステップS110において他の熱交換換気装置210の電源がオンにされて他の熱交換換気装置210による居室の24時間換気が開始される。すなわち、他の熱交換換気装置210において、居室への外気の給気と、居室の室内空気の排気と、によって他の熱交換換気装置210による居室の熱交換換気が行われる。したがって、他の熱交換換気装置210の熱交換換気において行われる排気は、居室の室内空気の排気のみであり、熱交換換気装置10の熱交換換気において浴室の空気の排気は行われない。なお、この時点で、風路切替ダンパー61は、浴室の換気を停止する位置、すなわち、浴室側吸込口121から取り込まれた浴室の空気の風路を閉鎖する位置に配置されている。
また、他の熱交換換気装置210の電源がオンにされると、温湿度センサ30は、排気風路107における熱交換器13よりも上流側の排気流の温度および湿度の検出を開始する。すなわち、温湿度センサ30は、熱交換器13で熱交換される前の状態の、排気される室内空気の温度および湿度の検出を開始する。温湿度センサ30は、検出結果を他の熱交換換気装置210の制御部14に送信する。
また、他の熱交換換気装置210の電源がオンにされると、外気温度センサ40は、給気される外気の温度の検出を開始し、検出結果を他の熱交換換気装置210の制御部14に送信する。制御部14は、温湿度センサ30および外気温度センサ40から送信された検出結果を受信する。
つぎに、ステップS120において、制御部14は、浴室の換気の開始を指示する旨の浴室換気信号を受信したか否かを判定する。リモートコントローラ50は、ユーザから入力される浴室の換気の開始を指示する浴室換気指示を受け付ける。リモートコントローラ50は、浴室換気指示を受け付けると、浴室の換気の開始を指示する旨の浴室換気信号を、宅内通信ライン62を介して他の熱交換換気装置210の制御部14に送信する。
そして、制御部14は、浴室換気信号の受信の有無を判定する。浴室換気信号を受信していないと判定された場合は、ステップS120においてNoとなり、ステップS120に戻る。浴室換気信号を受信したと判定された場合は、ステップS120においてYesとなり、ステップS130に進む。
ステップS130において、制御部14は、熱交換換気の取込空気の湿度HRA、すなわち温湿度センサ30により検出された室内空気の湿度HRAが、予め決められた第1湿度H1以上であるか否かを判定する。室内空気の湿度HRAが、第1湿度H1以上である場合は、ステップS130においてYesとなり、ステップS140に進む。一方、室内空気の湿度HRAが、第1湿度H1未満である場合は、ステップS130においてNoとなり、ステップS150に進む。
ステップS140において、制御部14は、浴室側吸込口121から取り込まれた浴室の空気をバイパス風路124に通してバイパス排気させる浴室バイパス換気を行う制御を行う。すなわち、制御部14は、浴室側吸込口121から取り込まれた浴室の空気の風路をバイパス風路124に切り替える位置に風路切替ダンパー61を配置する制御を行う。なお、ステップS140においては、他の熱交換換気装置210による居室の24時間換気も並行して行われている。したがって、他の熱交換換気装置210において行われる排気は、居室の室内空気の排気と、バイパス風路124に通した浴室の空気のバイパス排気である。その後、制御部14は、予め決められた判定の時間間隔tの経過後、ステップS130に戻る。
ステップS150において、制御部14は、熱交換換気の取込空気の湿度HRA、すなわち温湿度センサ30により検出された室内空気の湿度HRAが、予め決められた第2湿度H2以上であるか否かを判定する。室内空気の湿度HRAが、第2湿度H2以上である場合は、ステップS150においてYesとなり、ステップS160に進む。ステップS150においてYesの場合は、室内空気の湿度HRAが、第2湿度H2以上、第1湿度H1未満(H2≦HRA<H1)である。一方、室内空気の湿度HRAが、第2湿度H2未満である場合は、ステップS150においてNoとなり、ステップS170に進む。
ステップS160において、制御部14は、冬期のみ、他の熱交換換気装置210の熱交換換気において行われる排気として、居室の排気に加えて浴室の排気を開始することで浴室の換気を行う制御を実施する。すなわち、制御部14は、冬期のみ、浴室の空気を熱交換器13に通して室外側吹出口104から屋外に向けて吹き出す浴室熱交換換気を行う制御を実施する。
すなわち、ステップS160において、制御部14は、外気温度TOAが第1温度T1以下であるか否かを判定する。外気温度TOAが第1温度T1以下である場合は、ステップS160においてYesとなり、ステップS170に進む。一方、外気温度TOAが第1温度T1より大である場合は、ステップS160においてNoとなり、ステップS140に進む。
ステップS170において、制御部14は、浴室側吸込口121から取り込まれた浴室の空気を熱交換器13に通して排気させる浴室熱交換換気を行う制御を行う。すなわち、制御部14は、浴室側吸込口121から取り込まれた浴室の空気の風路を浴室熱交換風路123に切り替える位置に風路切替ダンパー61を配置する制御を行う。これにより、他の熱交換換気装置210では、排気が、居室の室内空気の排気と、浴室の浴室空気の排気と、である熱交換換気が行われる。すなわち、ステップS170においては、他の熱交換換気装置210による居室の24時間換気も並行して行われている。したがって、他の熱交換換気装置210において行われる排気は、居室の室内空気の排気と、熱交換器13に通した浴室の空気の排気である。これにより、熱交換器13では、高温多湿空気の浴室空気と外気との熱交換を行うため、浴室空気の排気熱を回収して、温度および湿度をより高めた状態の外気を室内に供給することができる。
その後、制御部14は、予め決められた判定の時間間隔tの経過後、ステップS130に戻る。
このように、他の熱交換換気装置210を熱交換換気システム100に適用した場合も、上述した熱交換換気装置10を備えた熱交換換気システム100と同様の効果が得られる。
上述したように、本実施の形態1にかかる熱交換換気システム100によれば、高温多湿状態における熱交換器13の結露のリスクを避けつつ、浴室で発生する高温多湿の空気を外気と熱交換させて室内に給気でき、屋外の清浄な空気を導入しつつ居室の過乾燥を抑制することが可能である。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、実施の形態の技術同士を組み合わせることも可能であるし、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。