JP7169750B2 - オレフィン多量化用触媒組成物の製造方法およびその触媒組成物存在下で行うオレフィン多量体の製造方法 - Google Patents

オレフィン多量化用触媒組成物の製造方法およびその触媒組成物存在下で行うオレフィン多量体の製造方法 Download PDF

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本発明は、オレフィン多量化用触媒組成物の製造方法およびその触媒組成物存在下で行うオレフィン多量体の製造方法に関する。
工業化されているオレフィン多量化の大部分は有機アルミニウムや遷移金属化合物を触媒として実施され、特にエチレンの多量化ではα-オレフィン類の混合物が得られる。1-ヘキセンはα-オレフィン類の中でも、ポリオレフィン原料として需要が特に高く、1-ヘキセン選択性の高い製造法が望まれている。このような背景から、本出願人は1-ヘキセンを高選択率で得ることができる新規な触媒を開発した(特許文献1)。
しかしながら、このような触媒を使用し、エチレンの3量化反応によって1-ヘキセンを製造した際、中空化したポリエチレン粒子が副生することが明らかとなった。α-オレフィンの製造プロセスにおいて、既存の装置ではこのポリエチレン粒子の分離および乾燥が困難なため、製造プロセスが複雑化する。この問題を解決するために、本出願人は、特定の調製方法によって得られる予備接触固体触媒成分に遷移金属化合物を接触させて得られるオレフィン多量化用触媒が、α-オレフィンの製造プロセス中で副生する重合体成分の粒子性状がその粒子の分離および乾燥プロセスに悪影響を及ぼさない程度の形状で得られることを見出した(特許文献2)。
ところで、従来より、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、塩化マグネシウムなどの固体状無機担体にポリメチルアルミノキサン組成物を担持した担持型助触媒を用いる方法が知られている(例えば特許文献1及び2)。固体状無機担体を使用する利点としては、粒子形状が良好で安定生産が可能なこと、担体粒径の選択が可能なことが挙げられる。しかしながら、これらの固体状無機担体にポリメチルアルミノキサン組成物を担持した担持型助触媒は、ポリメチルアルミノキサン組成物を単独で助触媒として使用した場合と比べて活性が大きく低下してしまい、経済性の観点から好ましくなかった。そのため高活性化による触媒コスト削減を目指し、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物を触媒担体・助触媒としてオレフィン多量化反応、もしくはオレフィン重合反応へ適用する技術が開発された(特許文献3~5)。
国際公開第2009/005003号 国際公開第2014/133005号 国際公開第2010/055652号 国際公開第2013/146337号 国際公開第2014/123212号
しかしながら、上記固体状ポリメチルアルミノキサン組成物を触媒担体・助触媒として用いた場合、オレフィン多量化反応の活性は向上するものの、1-ヘキセン選択率の向上という点では改良の余地があった。1-ヘキセン選択率が向上すれば原料であるエチレン原単位を下げることができるため、工業的価値が非常に高い。
本発明の目的は、オレフィン多量化反応の触媒活性を向上させるとともに、1-ヘキセン等のオレフィン多量体の選択率を向上させることができるオレフィン多量化用触媒組成物の製造方法及び該触媒組成物存在下で行うオレフィン多量体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物に特定の化合物および遷移金属化合物を炭化水素溶媒中で接触させて得られるオレフィン多量化用触媒組成物が、オレフィン多量化反応の触媒活性を向上させるとともに、1-ヘキセン等のオレフィン多量体の選択率を向上させることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、以下の事項により特定される。
[1]固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)と、トリアルキルアルミニウム化合物(B-1)および有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(B)と、周期律表第3~10族から選ばれる遷移金属原子を含む遷移金属化合物(E)とを、炭化水素溶媒(C)中で接触させるオレフィン多量化用触媒組成物(F)の製造方法。
[2]固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)と、トリアルキルアルミニウム化合物(B-1)および有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(B)とを、炭化水素溶媒(C)中で接触させて、オレフィン多量化用助触媒組成物(D)を得る工程1、および、
オレフィン多量化用助触媒組成物(D)に、周期律表第3~10族から選ばれる遷移金属原子を含む遷移金属化合物(E)を炭化水素溶媒(C)中で接触させる工程2
を有する[1]に記載のオレフィン多量化用触媒組成物(F)の製造方法。
[3]固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)のアルミニウム含有量が36~47質量%であり、
かつ固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)の以下の方法(i)により測定した25℃におけるトルエンに対する溶解度が2.0モル%未満である[1]または[2]に記載のオレフィン多量化用触媒組成物(F)の製造方法。
[方法(i)]
溶解度は、25℃に保持された50mLのトルエンに固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)2gを加え、その後2時間の撹拌を行い、続いてろ過によりろ液と残渣に分離して、ろ液中のアルミニウム濃度をICP発光分光分析法(ICP-AES)を用いて測定し、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物2gに相当するアルミニウム原子の量に対するろ液中に存在するアルミニウム原子の割合として求める。
[4]固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)の以下の方法(ii)により測定した25℃におけるテトラヒドロフランに対する溶解度が3.0~95モル%である[1]~[3]のいずれかに記載のオレフィン多量化用触媒組成物(F)の製造方法。
[方法(ii)]
溶解度は、25℃に保持された50mLのテトラヒドロフランに固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)2gを加え、その後2時間の撹拌を行い、続いてろ過によりろ液と残渣に分離して、ろ液中のアルミニウム濃度をICP発光分光分析法(ICP-AES)を用いて測定し、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物2gに相当するアルミニウム原子の量に対するろ液中に存在するアルミニウム原子の割合として求める。
[5]固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)の体積統計値での中位径D50が0.1~100μmであり、かつ固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)の下記式で表される均一性が0.45以下である請求項[1]~[4]のいずれかに記載のオレフィン多量化用触媒組成物(F)の製造方法。
均一性=ΣXi|D50-Di|/D50ΣXi
ここで、Xiは粒子iのヒストグラム値、D50は体積基準のメジアン径、Diは粒子iの体積基準径を示す。
[6]固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)が下記式(1)で表される構成単位を含む[1]~[5]のいずれかに記載のオレフィン多量化用触媒組成物(F)の製造方法。
Figure 0007169750000001
(式(1)中、Meはメチル基を示す。)
[7]遷移金属化合物(E)が下記一般式(2)で表される[1]~[6]のいずれかに記載のオレフィン多量化用触媒組成物(F)の製造方法。
Figure 0007169750000002
(式(2)中、R~Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうち2個以上が互いに連結していてもよい。また、RはZと連結していてもよい。
Mは、周期律表第3~10族から選ばれる遷移金属原子を示す。
nはMの原子価を示す。
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、Xで示される原子や基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される基は互いに結合して環を形成してもよい。
Yは、酸素原子、窒素原子、リン原子または硫黄原子を示す。
Zは、置換基を有していてもよい炭化水素基またはヘテロ環式化合物残基を示す。
式中、YとZとを結ぶ結合は二重結合もしくは三重結合であってもよく、YとRとを結ぶ結合は二重結合もしくは三重結合であってもよい。
式中、点線表示は配位結合を示す。)
[8]トリアルキルアルミニウム化合物(B-1)がトリメチルアルミニウムである[1]~[7]のいずれかに記載のオレフィン多量化用触媒組成物(F)の製造方法。
[9]有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)を溶液状ポリメチルアルミノキサン組成物として供給する[1]~[8]のいずれかに記載のオレフィン多量化用触媒組成物(F)の製造方法。
[10]オレフィン多量化用触媒組成物(F)が、オレフィンの3量化及び/又は4量化用触媒組成物である[1]~[9]のいずれかに記載のオレフィン多量化用触媒組成物(F)の製造方法。
[11]オレフィン多量化用触媒組成物(F)が、オレフィンの多量化反応により1-ヘキセン及び/又は1-オクテンを生成する為の触媒組成物である[1]~[10]のいずれかに記載のオレフィン多量化用触媒組成物(F)の製造方法。
[12][1]~[11]のいずれかに記載の方法により製造したオレフィン多量化用触媒組成物(F)の存在下で、オレフィンの多量化反応を行うオレフィン多量体の製造方法。
[13]オレフィンの多量化反応が、オレフィンの3量化及び/又は4量化反応である[12]に記載のオレフィン多量体の製造方法。
[14]オレフィンがエチレンである[12]または[13]に記載のオレフィン多量体の製造方法。
[15]オレフィン多量体が1-ヘキセン及び/又は1-オクテンである[12]~[14]のいずれかに記載のオレフィン多量体の製造方法。
本発明によれば、オレフィン多量化反応の触媒活性が向上するとともに、1-ヘキセン等のオレフィン多量体の選択率が向上するオレフィン多量化用触媒組成物の製造方法及び該触媒組成物存在下で行うオレフィン多量体の製造方法を提供することができる。
<固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)>
本発明に用いる固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)は、ポリメチルアルミノキサンを含有する。ポリメチルアルミノキサンは、例えば下記式(1)で表される構成単位を含有する。
Figure 0007169750000003
(式(1)中、Meはメチル基を示す。)
ポリメチルアルミノキサンの構造は必ずしも明らかにされておらず、通常は、式(1)で表される単位が2~50程度繰り返されている構成を含むと推定されている。ただし、本発明の効果を奏する限りこの構成に限定されない。その単位の繋がり様は、例えば線状、環状あるいはクラスター状と種々であり、通常、これらのうちの1種からなるか、または、これらの混合物であると推定されている。
固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)は、下記一般式(3)で表されるポリアルキルアルミノキサンの構成単位を含んでいてもよい。
Figure 0007169750000004
(式(3)中、Rはメチル基以外の炭化水素基を示し、通常、炭素原子数2~20の炭化水素基を示し、好ましくは炭素原子数2~15の炭化水素基を示し、より好ましくは炭素原子数2~10の炭化水素基を示す。)
式(3)におけるRの具体例としては、エチル、プロピル、n-ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、2-エチルヘキシル、シクロヘキシル、シクロオクチル、フェニル、トリルなどの炭化水素基が挙げられる。
固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)は、通常、トリアルキルアルミニウムを含有する。トリアルキルアルミニウムとしては、例えば、メチル基を有するトリメチルアルミニウム、炭素原子数2~20の炭化水素基を有するトリアルキルアルミニウムまたはトリアリールアルミニウムが挙げられる。
トリアルキルアルミニウムの具体例としては、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリ(n-ブチル)アルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリ(n-アルキル)アルミニウム;トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ(sec-ブチル)アルミニウム、トリ(tert-ブチル)アルミニウム、トリ(2-メチルブチル)アルミニウム、トリ(3-メチルブチル)アルミニウム、トリ(2-メチルペンチル)アルミニウム、トリ(3-メチルペンチル)アルミニウム、トリ(4-メチルペンチル)アルミニウム、トリ(2-メチルヘキシル)アルミニウム、トリ(3-メチルヘキシル)アルミニウム、トリ(2-エチルヘキシル)アルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウムが挙げられる。
トリアリールアルミニウムの具体例としては、トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムが挙げられる。
固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)は、トリアルキルアルミニウムを1種のみ含有していてもよく、2種類以上のトリアルキルアルミニウムを含有していてもよい。中でも、オレフィン多量化用触媒組成物の活性および原料調達の観点から、トリメチルアルミニウムを含有していることが好ましい。
固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)のアルミニウム含有量は、ポリメチルアルミノキサンの構造、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)中のポリメチルアルミノキサンとトリメチルアルミニウムとの割合、および、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)中のポリアルキルアルミノキサンおよびトリアルキルアルミニウムの構造や含有量により変動するが、好ましくは36~47質量%、より好ましくは38~46質量%、特に好ましくは40~46質量%である。アルミニウム含有量の具体的な測定方法は、後述する実施例の欄に記載する。
固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)の以下の方法(i)により測定した25℃におけるトルエンに対する溶解度は、好ましくは2.0モル%未満、より好ましくは1.0モル%未満、特に好ましくは0.5モル%以下、最も好ましくは0.3モル%以下である。また、以下の方法(ii)により測定した25℃におけるテトラヒドロフランに対する溶解度は、好ましくは3.0~95モル%、より好ましくは5.0~90モル%であり、特に好ましくは7.0~85モル%である。溶解度の測定は、特公平7-42301号公報に記載の方法に準じて実施することができる。具体的な方法は、実施例に記載する。
[方法(i)]
溶解度は、25℃に保持された50mLのトルエンに固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)2gを加え、その後2時間の撹拌を行い、続いてろ過によりろ液と残渣に分離して、ろ液中のアルミニウム濃度をICP発光分光分析法(ICP-AES)を用いて測定し、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物2gに相当するアルミニウム原子の量に対するろ液中に存在するアルミニウム原子の割合として求める。
[方法(ii)]
溶解度はトルエンの代わりにテトラヒドロフランを用いた以外は、前記方法(i)と同様の方法により求める。
固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)は、25℃に保持されたトルエンに対する溶解度が極めて低いことが好ましい。オレフィン多量化反応工程および/または触媒調製工程において、助触媒成分、主触媒成分、または主触媒成分と助触媒成分との反応組成物のリーチングは、不定形オレフィン重合物を生成し、反応器等でのファウリングの一因になる。従って、その組成物は、オレフィン多量化反応工程および/または触媒調製工程で使用されるトルエンに代表される芳香族炭化水素溶媒に対する溶解度が小さい程良い。
一般的なスラリー重合(多量化)反応または気相重合反応においては、生成するポリマー粒子同士の静電的相互作用によるファウリングを防止するために、重合反応器内に帯電防止剤が添加されている。帯電防止剤は一般的にイオン性官能基やポリエーテル官能基などの極性の高い官能基を分子内に有しているので、助触媒成分、主触媒成分、または主触媒成分と助触媒成分との反応組成物の反応溶媒へのリーチングによるファウリングを充分に抑制するためには、助触媒として有効な成分であるポリメチルアルミノキサン等のポリアルキルアルミノキサンの反応溶媒へのリーチングを帯電防止剤等の極性の高い物質の存在下でも充分に抑制する必要がある。また、メタロセン触媒およびポストメタロセン触媒に代表されるシングルサイト触媒、すなわち主触媒である遷移金属錯体との接触においても、その錯体固有の分子内分極により反応溶媒へのリーチングが促進される場合もある。したがって、極性化合物共存下でのポリメチルアルミノキサンの反応溶媒へのリーチングを抑制する点から、方法(ii)により測定した25℃におけるテトラヒドロフランに対する溶解度が上記範囲内であることが好ましい。
方法(ii)で用いられるテトラヒドロフランは、安定剤(ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)など)が含まれないものであり、含水率は2.0ppm未満である。脱気脱水は、Organometallics誌,1996年,15巻,1518-1520頁に記載の方法で行うことができる。
固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)は、体積統計値での中位径D50が0.1~100μmであることが好ましい。オレフィン多量化用触媒成分として使用する場合、平均粒径が100μmより大きくなると、粗大ポリマー粒子が多く生成し、ポリマー排出口や、ポリマー移送ラインの閉塞などのトラブルを引き起こすおそれがある。一方、平均粒径が0.1μmより小さくなると、微小ポリマー粒子が多く生成し、静電気による帯電付着の問題が発生し易くなり、しかも沈降性やろ過性の悪化により生産効率が低下するおそれがある。したがって、体積統計値での中位径D50は、好ましくは0.1~100μm、より好ましくは1.0~80μm、特に好ましくは5.0~60μmである。体積統計値での中位径D50は、例えば、Microtrac社製のMT3300EX IIを利用し、レーザー回折・散乱法により求めることができる。
固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)の粒子径の均一性を表す指標として、国際公開第2010/055652号パンフレットには、下記の数式(1)で示される定義が記載されている。
均一性=ΣXi|D50-Di|/D50ΣXi・・・(1)
ここで、Xiは粒子iのヒストグラム値、D50は体積基準のメジアン径、Diは粒子iの体積基準径を示す。この指標では値が大きくなるほど分布が広いことを示す。
固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)は、オレフィン多量化プロセスの安定運転性の点から、粒度分布は狭い方が好ましい。上記数式(1)で示される均一性は、好ましくは0.45以下、より好ましくは0.40以下、特に好ましくは0.35以下である。特に、シリカにポリアルミノキサン組成物を担持した担持型助触媒の代替として使用することを考慮すると、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)の粒度分布は担持型助触媒の粒度分布と同等、もしくは粒度分布がより狭い方が望ましい。このため、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)の均一性は担持型助触媒の均一性と同等、あるいはそれ以下であることが望ましい。均一性の下限は、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)が自己会合により粒子状に形成されることを考慮すると、例えば0.15でよい。
固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)は、溶媒中に分散したスラリー液であっても、溶媒を除去した状態、必要により乾燥した状態であってもよい。
固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)は、通常、固体状担体を含有しない。ここで、固体状担体としては、例えば、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、塩化マグネシウムなどの固体状無機担体、またはポリスチレンビーズなどの固体状有機担体が挙げられる。固体状担体を含有しないことで、固体状担体を含有するポリメチルアルミノキサン組成物が有する欠点を回避することができる。
固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)は、特許文献3~5等に記載の公知の方法に準じて製造できる。具体的な方法は、実施例に記載する。
<化合物(B)>
本発明に用いる化合物(B)は、トリアルキルアルミニウム化合物(B-1)および有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である。
トリアルキルアルミニウム化合物(B-1)としては、例えば、メチル基を有するトリメチルアルミニウム、炭素原子数2~20の炭化水素基を有するトリアルキルアルミニウムまたはトリアリールアルミニウムが挙げられる。
トリアルキルアルミニウムの具体例としては、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリ(n-ブチル)アルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリ(n-アルキル)アルミニウム;トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ(sec-ブチル)アルミニウム、トリ(tert-ブチル)アルミニウム、トリ(2-メチルブチル)アルミニウム、トリ(3-メチルブチル)アルミニウム、トリ(2-メチルペンチル)アルミニウム、トリ(3-メチルペンチル)アルミニウム、トリ(4-メチルペンチル)アルミニウム、トリ(2-メチルヘキシル)アルミニウム、トリ(3-メチルヘキシル)アルミニウム、トリ(2-エチルヘキシル)アルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウムが挙げられる。
トリアリールアルミニウムの具体例としては、トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムが挙げられる。
トリアルキルアルミニウム化合物(B-1)としては、特にトリメチルアルミニウムが好ましい。
有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)は、公知の有機アルミニウムオキシ化合物(アルミノキサン)であってもよく、特開平2-78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。ベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物とは、ベンゼンに対して不溶性または難溶性である化合物をいい、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で通常10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下の化合物である。
有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)は、例えば下記方法(1)~(4)により製造でき、通常、有機アルミニウムオキシ化合物が炭化水素溶媒に含まれた溶液として得られる。
(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、例えば、塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
(4)トリアルキルアルミニウムと含酸素有機化合物との反応により形成されるアルミニウム-酸素-炭素結合を有するアルキルアルミニウム化合物を加熱することで反応させる方法。
有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)は、少量のその他の有機金属成分を含有してもよい。また、製造された上記の有機アルミニウムオキシ化合物溶液から溶媒または未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、有機アルミニウムオキシ化合物を溶媒に再溶解、あるいは有機アルミニウムオキシ化合物の貧溶媒に懸濁させてもよい。
有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)を調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリ(n-ブチル)アルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリ(n-アルキル)アルミニウム;トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ(sec-ブチル)アルミニウム、トリ(tert-ブチル)アルミニウム、トリ(2-メチルブチル)アルミニウム、トリ(3-メチルブチル)アルミニウム、トリ(2-メチルペンチル)アルミニウム、トリ(3-メチルペンチル)アルミニウム、トリ(4-メチルペンチル)アルミニウム、トリ(2-メチルヘキシル)アルミニウム、トリ(3-メチルヘキシル)アルミニウム、トリ(2-エチルヘキシル)アルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムなどのトリアリールアルミニウム;ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;(iC)xAy(C10)z(式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。iCはイソブチル基を表す。)で表されるイソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム;イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシド、イソブチルアルミニウムイソプロポキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド;ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;Ra 2.5Al(OR0.5(式中、RおよびRは、互いに同一でも異なっていてもよい炭素原子数が1~15、好ましくは1~4の炭化水素基を示す。)で表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6-ジ-tert-ブチル4-メチルフェノキシド)、エチルアルミニウムビス(2,6-ジ-tert-ブチル4-メチルフェノキシド)、ジイソブチルアルミニウム(2,6-ジ-tert-ブチル4-メチルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6-ジ-tert-ブチル4-メチルフェノキシド)などのジアルキルアルミニウムアリーロキシド;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライドおよびその他の部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドおよびその他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムが挙げられる。
中でも、触媒の活性、選択性および入手容易性の観点から、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムがより好ましく、トリメチルアルミニウムが最も好ましい。
有機アルミニウム化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)の調製に用いられる溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ガソリン、灯油、軽油などの石油留分;上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素等の炭化水素のハロゲン化物(特に塩素化物、臭素化物)、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテルが挙げられる。中でも、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素が好ましい。
有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)としては、例えば、下記一般式(4)で表されるボロンを含む有機アルミニウムオキシ化合物も使用できる。
Figure 0007169750000005
(式(4)中、Rは炭素原子数が1~10の炭化水素基を示し、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数が1~10の炭化水素基を示す。)
式(4)で表されるボロンを含む有機アルミニウムオキシ化合物は、例えば、下記一般式(5)で表されるアルキルボロン酸と有機アルミニウム化合物とを、不活性ガス雰囲気下に不活性溶媒中で、-80℃~室温の温度で1分~24時間反応させることにより製造できる。
-B(OH) ・・・(5)
(式(5)中、Rは上記式(4)と同一の基を示す。)
式(5)で表されるアルキルボロン酸の具体例としては、メチルボロン酸、エチルボロン酸、イソプロピルボロン酸、n-プロピルボロン酸、n-ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、n-ヘキシルボロン酸、シクロヘキシルボロン酸、フェニルボロン酸、3,5-ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸、および3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸が挙げられる。中でも、メチルボロン酸、n-ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、3,5-ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸が好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
アルキルボロン酸と反応させる有機アルミニウム化合物の具体例としては、上述の有機アルミニウム化合物と同様のものが挙げられる。中でも、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムがより好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
以上説明した有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。また、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)と均一に接触させることでオレフィン多量化反応中に微小ポリマー粒子の生成を防止するなどの観点から、有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)は、溶液状態で供給することが好ましく、溶液状態の組成物である溶液状ポリメチルアルミノキサン組成物として供給することがより好ましい。
本発明において、化合物(B)を使用することにより実際に効果が得られるという事実に関し、そのメカニズムは現時点では十分に解明できているとは言えない。しかし、化合物(B)を使用することによりオレフィン多量化反応の触媒活性が向上すると共に1-ヘキセン等のオレフィン多量体の選択率が向上するという事実から、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)のみを使用する場合よりも遷移金属化合物(E)を効率よく活性化することを可能にしていると推定される。
<炭化水素溶媒(C)>
本発明に用いる炭化水素溶媒(C)は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、不活性炭化水素溶媒が好ましい。炭化水素溶媒(C)の具体例としては、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、へプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロへキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、キシレン、トリメチルベンゼン、クメン、シメン、テトラリンなどの芳香族炭化水素が挙げられる。各成分の溶解度および沸点を考慮すると芳香族炭化水素を使用することが好ましく、各成分が析出しない範囲で芳香族炭化水素に脂肪族炭化水素溶媒または脂環族炭化水素溶媒を混ぜて使用してもよい。炭化水素溶媒(C)は、各成分が析出する温度以上の沸点を有することが好ましく、65℃以上の沸点を有することがより好ましい。低沸点の炭化水素溶媒(C)を使用する場合は、任意の温度で加熱するために加圧してもよい。
<オレフィン多量化用助触媒組成物(D)>
本発明に用いるオレフィン多量化用助触媒組成物(D)は、以上説明した固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)と、トリアルキルアルミニウム化合物(B-1)および有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(B)とを、炭化水素溶媒(C)中で接触させる(いわゆるプレミックス)工程1により得られる。工程1の詳細は後述する。
<遷移金属化合物(E)>
本発明に用いる遷移金属化合物(E)は、オレフィン多量化用触媒として機能し得る、周期律表第3族~10族(好ましくは第3族~6族)から選ばれる遷移金属原子を含む遷移金属化合物である。
オレフィン多量化用触媒として機能し得る遷移金属化合物(E)の具体例としては、特表2004-502527号公報に記載のクロム、モリブデン若しくはタングステン供給源と、少なくとも1種のヒドロカルビル基に結合した少なくとも1個の燐、砒素若しくはアンチモン原子を含有するリガンドとからなる化合物、特開平6-239920号公報に記載のクロム化合物、ピロール含有化合物、および金属アルキルからなる化合物、特開2005-152889号公報に記載のタンタル化合物、特表2004-524959号公報に記載のチタン化合物、特表2006-516265号公報および特表2006-517528号公報に記載のクロム化合物とヘテロ原子配位子とから調製される化合物、特開平6-32745号公報に記載のジルコニウム化合物、Chemical Reviews誌2011年111巻2321~2341頁に記載の、クロム化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物、ハフニウム化合物、タンタル化合物、特許文献1に記載のチタン化合物が挙げられる。
遷移金属化合物(E)としては、上記例示した各化合物を含め、オレフィンの多量化能を有する遷移金属化合物、すなわちオレフィン多量化用触媒として機能し得る遷移金属化合物であればいかなる化合物であっても用いることができる。
遷移金属化合物(E)としては、特に下記一般式(2)で表される化合物が、触媒活性および得られるα-オレフィンの選択性が高いので好ましい。
Figure 0007169750000006
式(2)において、R~Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうち2個以上が互いに連結していてもよい。また、RはZと連結していてもよい。
上記ハロゲン原子の具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
上記炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-ブロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基などの炭素原子数が1~30、好ましくは1~20、より好ましくは1~10の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル基、アリル基、イソプロペニル基などの炭素原子数が2~30、好ましくは2~20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル基、プロパルギル基など炭素原子数が2~30、好ましくは2~20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基などの炭素原子数が3~30、好ましくは3~20の環状飽和炭化水素基;シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基などの炭素原子数5~30の環状不飽和炭化水素基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの炭素原子数が6~30、好ましくは6~20のアリール基;トリル基、イソプロピルフェニル基、t-ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジ-t-ブチルフェニル基などのアルキル置換アリール基;ベンジリデン基、メチリデン基、エチリデン基などの炭素原子数が1~30、好ましくは5~10のアルキリデン基が挙げられる。
上記炭化水素基は、その水素原子の少なくとも1つがハロゲン原子で置換されたハロゲン化炭化水素基であってもよい。その具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロフェニル基、クロロフェニル基などの炭素原子数1~30、好ましくは1~20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
上記炭化水素基は、その水素原子の少なくとも1つが他の種類の炭化水素基で置換された基であってもよい。その具体例としては、ベンジル基、クミル基、ジフェニルエチル基、トリチル基などのアリール基置換アルキル基が挙げられる。また、アリール基に炭素原子数1~30、好ましくは1~20のアルキル基またはアルコキシ基、炭素原子数6~30、好ましくは6~20のアリール基またはアリールオキシ基などの置換基が1~5個置換した置換アリール基であってもよい。
上記炭化水素基は、後述するヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ホウ素含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基と連結していてもよい。
以上の各炭化水素基のうち、特に、メチル基、エチル基、n-ブロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、アダマンチル基などの炭素原子数1~30、好ましくは1~20、さらに好ましくは1~10、より好ましくは2~10の直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基などの炭素原子数が3~30、好ましくは3~20の環状飽和炭化水素基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの炭素原子数6~30、好ましくは6~20のアリール基;これらアリール基にハロゲン原子、炭素原子数1~30、好ましくは1~20のアルキル基またはアルコキシ基、炭素原子数6~30、好ましくは6~20のアリール基またはアリールオキシ基などの置換基が1~5個置換した置換アリール基が好ましい。
上記ヘテロ環式化合物残基の具体例としては、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物;フラン、ピランなどの含酸素化合物;チオフェンなどの含硫黄化合物が挙げられる。ヘテロ環式化合物は、その水素原子が、例えば、炭素原子数が1~30、好ましくは1~20のアルキル基、炭素原子数が1~30、好ましくは1~20のアルコキシ基等の置換基で置換されていてもよい。
上記酸素含有基の具体例としては、アルコシキ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基が挙げられる。
上記窒素含有基の具体例としては、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、イミノ基、アルキルイミノ基、アリールイミノ基、イミド基、置換イミド基、アミド基、置換アミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、および、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基がアンモニウム塩となった基が挙げられる。アルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ基、エチルメチルアミノ基が好ましい。アリールアミノ基としては、ジフェニルアミノ基が好ましい。アルキルイミノ基としては、メチルイミノ基、エチルイミノ基、プロピルイミノ基、ブチルイミノ基が好ましい。アリールイミノ基としては、フェニルイミノ基が好ましい。置換イミド基としては、アセトイミド基、ベンズイミド基が好ましい。置換アミド基としては、アセトアミド基、N-メチルアセトアミド基、N-メチルベンズアミド基が好ましい。
上記ホウ素含有基の具体例としては、ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基、アルキル基置換ホウ素基、アリール基置換ホウ素基、ハロゲン化ホウ素基、アルキル基置換ハロゲン化ホウ素基が挙げられる。アルキル基置換ホウ素基としては、例えば、(Et)B-、(iPr)B-、(iBu)B-、(Et)B、および(iPr)B、(iBu)Bなどが挙げられる。上記アリール基置換ホウ素基としては、例えば、(CB-、(CB、(CB、および(3,5-(CFBなどが挙げられる。上記ハロゲン化ホウ素基としては、例えばBCl-、およびBClなどが挙げられる。上記アルキル基置換ハロゲン化ホウ素基としては、例えば、(Et)BCl-、(iBu)BCl-、および(CBClを使用できる。ホウ素に3つの基が結合した基は、配位結合した状態である場合がある。ここで、Etはエチル基、iPrはイソプロピル基、iBuはイソブチル基を表す。
上記アルミニウム含有基の具体例としては、アルキル基置換アルミニウム基、アリール基置換アルミニウム基、ハロゲン化アルミニウム基、およびアルキル基置換ハロゲン化アルミニウム基が挙げられる。アルキル基置換アルミニウム基としては、例えば、(Et)Al-、(iPr)Al-、(iBu)Al-、(Et)Al、(iPr)Al、および(iBu)Alを使用できる。アリール基置換アルミニウム基としては、例えば、(CAl-を使用できる。ハロゲン化アルミニウム基としては、例えば、AlCl-、およびAlClを使用できる。アルキル基置換ハロゲン化アルミニウム基としては、例えば、(Et)AlCl-、(iBu)AlCl-を使用できる。アルミニウムに3つの基が結合した基は、配位結合した状態である場合がある。ここで、Etはエチル基、iPrはイソプロピル基、iBuはイソブチル基を表す。
上記イオウ含有基の具体例としては、メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチオシアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基が挙げられる。アルキルチオ基としては、メチルチオ基およびエチルチオ基が好ましい。アリールチオ基としては、フェニルチオ基、メチルフェニルチオ基、ナフチルチオ基が好ましい。チオエステル基としては、アセチルチオ基、ベンゾイルチオ基、メチルチオカルボニル基、フェニルチオカルボニル基が好ましい。スルホンエステル基としては、スルホン酸メチル基、スルホン酸エチル基、スルホン酸フェニル基が好ましい。スルホンアミド基としては、フェニルスルホンアミド基、N-メチルスルホンアミド基、N-メチル-p-トルエンスルホンアミド基が好ましい。
上記リン含有基の具体例としては、ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、ホスファト基が挙げられる。
上記ケイ素含有基の具体例としては、シリル基、シロキシ基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基が挙げられる。炭化水素置換シリル基としては、例えば、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジメチル-t-ブチルシリル基、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリル基を使用できる。中でも、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリフェニルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基がより好ましい。炭化水素置換シロキシ基としては、例えば、トリメチルシロキシ基を使用できる。
上記ゲルマニウム含有基の具体例としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した基が挙げられる。
上記スズ含有基の具体例としては、前記ケイ素含有基のケイ素をスズに置換した基が挙げられる。
~Rは、これらのうち2個以上が互いに連結していてもよい。好ましくは隣接する基が互いに連結して脂肪環、芳香環または窒素原子などの異原子を含む炭化水素環を形成していてもよい。これらの環はさらに置換基を有していてもよい。
はZと連結していてもよい。RがZと連結する場合には、RとZとの連結によって、芳香環、脂肪環、窒素原子などの異原子を含む炭化水素環を形成してもよい。これらの環はさらに置換基を有していてもよい。
~Rとしては、特に、水素原子、ハロゲン原子、水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、アシル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、メルカプト基、アルミニウム含有基およびヒドロキシ基が好ましい。
としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。Rとしては、フェニル基、α-クミル基、tert-ブチル基、1-アダマンチル基が好ましく、1-アダマンチル基が特に好ましい。Rとしては、メチル基、シクロヘキシル基、tert-ブチル基、1-アダマンチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
式(2)において、Mは、周期律表第3~10族から選ばれる遷移金属原子を示す。Mとしては、例えば、イットリウム、スカンジウム、ランタン等の周期律表第3族の遷移金属原子;チタン、ジルコニウム、ハフニウム等の周期律表第4族の遷移金属原子;バナジウム、タンタル等の周期律表第5族の遷移金属原子;クロム等の周期律表第6族の遷移金属原子;鉄等の周期律表第8族の遷移金属原子;コバルト等の周期律表第9族の遷移金属原子;ニッケル等の周期律表第10族の遷移金属原子が好ましい。中でも、周期律表第4族の遷移金属原子がより好ましく、チタン、ジルコニウム、およびハフニウムが特に好ましく、チタンが最も好ましい。
nはMの原子価を示す。Mがイットリウム、スカンジウムまたはランタンである場合には、nは通常3である。Mがチタン、ジルコニウム、ハフニウム等の周期律表第4族の遷移金属原子である場合には、nは通常4である。Mがバナジウムまたはタンタルである場合には、nは通常3~5である。Mがクロムである場合には、nは通常3である。Mがコバルト、鉄、ニッケルまたは銅である場合には、nは通常2である。
式(2)において、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基、ハロゲン含有基またはアルミニウム含有基を示し、Xで示される原子や基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される基は互いに結合して環を形成してもよい。
上記ハロゲン原子の具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
上記炭化水素基としては、R~Rとして例示した炭化水素基を使用できる。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基、アイコシル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの炭素原子数が3~30の環状飽和炭化水素基;ビニル基、プロペニル基、シクロヘキセニルなどのアルケニル基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基などのアリールアルキル基;フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などのアリール基が挙げられる。炭化水素基は、その水素原子の少なくとも1つがハロゲンで置換されたハロゲン化炭化水素基でもよい。ハロゲン化炭化水素基としては、炭素原子数が1~30のハロゲン化炭化水素基が好ましく、炭素原子数が1~20のハロゲン化炭化水素基が好ましい。
上記酸素含有基としては、R~Rとして例示した酸素含有基を使用できる。その具体例としては、ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコシキ基;フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、ナフトキシ基などのアリーロキシ基;フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基などのアリールアルコキシ基;アセトキシ基;カルボニル基が挙げられる。
上記イオウ含有基としては、R~Rとして例示したイオウ含有基を使用できる。その具体例としては、メチルスルフォネート基、トリフルオロメタンスルフォネート基、フェニルスルフォネート基、ベンジルスルフォネート基、p-トルエンスルフォネート基、トリメチルベンゼンスルフォネート基、トリイソブチルベンゼンスルフォネート基、p-クロルベンゼンスルフォネート基、ペンタフルオロベンゼンスルフォネート基などのスルフォネート基;メチルスルフィネート基、フェニルスルフィネート基、ベンジルスルフィネート基、p-トルエンスルフィネート基、トリメチルベンゼンスルフィネート基、ペンタフルオロベンゼンスルフィネート基などのスルフィネート基;アルキルチオ基;アリールチオ基が挙げられる。
上記窒素含有基としては、R~Rとして例示した窒素含有基を使用できる。その具体例としては、アミノ基;メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、およびジシクロヘキシルアミノ基などのアルキルアミノ基;フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジナフチルアミノ基、メチルフェニルアミノ基などのアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基が挙げられる。
上記ホウ素含有基の具体例としては、テトラフェニルボレート以外のBR(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す)が挙げられる。
アルミニウム含有基の具体例としては、AlR(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子を示す)が挙げられる。
上記リン含有基の具体例としては、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィンなどのトリアルキルホスフィン基;トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィンなどのトリアリールホスフィン基;メチルホスファイト、エチルホスファイト、フェニルホスファイトなどのホスファイト基(ホスフィド基);ホスホン酸基;ホスフィン酸基が挙げられる。
ハロゲン含有基の具体例としては、PF、BFなどのフッ素含有基;ClO、SbClなどの塩素含有基;IOなどのヨウ素含有基が挙げられる。
上記ヘテロ環式化合物残基としては、R~Rとして例示したヘテロ環式化合物残基を使用できる。
上記ケイ素含有基としては、R~Rとして例示した窒素含有基を使用できる。その具体例としては、フェニルシリル、ジフェニルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシクロヘキシルシリル、トリフェニルシリル、メチルジフェニルシリル、トリトリルシリル、トリナフチルシリルなどの炭化水素置換シリル基;トリメチルシリルエーテルなどの炭化水素置換シリルエーテル基;トリメチルシリルメチルなどのケイ素置換アルキル基;トリメチルシリルフェニルなどのケイ素置換アリール基が挙げられる。
上記ゲルマニウム含有基としては、R~Rとして例示したゲルマニウム含有基を使用できる。その具体例としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した基が挙げられる。
上記スズ含有基としては、R~Rとして例示したスズ含有基を使用できる。その具体例としては、上記スズ含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をスズに置換した基が挙げられる。
Xとしては、特に、ハロゲン原子、アルキル基が好ましく、塩素、臭素、メチル基がより好ましい。
式(2)において、Yは、酸素原子、窒素原子、リン原子または硫黄原子を示し、エーテル構造、ケトン構造、アミン構造、イミン構造等の構造を構成する原子である。
式(2)において、Zは、置換基を有していてもよい炭化水素基またはヘテロ環式化合物残基を示す。YとNとを結ぶ最短結合数は4~6が好ましい。
YとNとを結ぶ最短結合数が4~6であることにより、遷移金属化合物(E)を含むオレフィン多量化用触媒組成物(F)は、エチレンの多量化反応を行った場合には、1-ヘキセン及び/又は1-オクテンを高い選択性で製造することができる。なお、YとNとを結ぶ最短結合数が5または6であることが、1-ヘキセン及び/又は1-オクテンをより高い選択性で製造することができるため好ましい。
YとNとを結ぶ最短結合数とは、下記式(a)、(b)のようにして数えることができ、(a)の場合には4であり、(b)の場合には5である。
Figure 0007169750000007
Figure 0007169750000008
Zは、NとYとを結ぶ基であり、Y、NおよびZが下記一般式(6)で表わされる構造を形成することが好ましい。
Figure 0007169750000009
(式(6)中、Yは、酸素原子、窒素原子、リン原子または硫黄原子を示し、R~R12は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちR~R12が炭化水素基の場合には、RとR10は互いに連結して環を形成していてもよく、R11とR12は互いに連結して環を形成していてもよい。)
~R12の具体例としては、式(2)のR~Rと同様のものが挙げられる。
式(2)中、YとZとを結ぶ結合は二重結合もしくは三重結合であってもよく、YとRとを結ぶ結合は二重結合もしくは三重結合であってもよい。また一般式(2)中、点線表示は配位結合を示す。
Y、NおよびZが形成する構造の具体例としては、特許文献2に記載の構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
<オレフィン多量化用触媒組成物(F)>
オレフィン多量化用触媒組成物(F)は、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)と、トリアルキルアルミニウム化合物(B-1)および有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(B)と、周期律表第3~10族から選ばれる遷移金属原子を含む遷移金属化合物(E)とを、炭化水素溶媒(C)中で接触させることにより得た組成物である。
この触媒組成物(F)は、オレフィン多量化反応における触媒活性が向上されたものである。しかも、この触媒組成物(F)を用いて多量化反応を行なえば、目的とする多量体の選択率も向上する。触媒組成物(F)の用途はオレフィン多量化反応の触媒として使用する用途であれば何ら限定されないが、特に、オレフィンの3量化及び/又は4量化反応の触媒として使用することが好ましく、オレフィンの3量化反応の触媒として使用することがより好ましい。また、目的とする多量体も何ら限定されないが、特に、エチレン等のオレフィンの多量化反応により1-ヘキセン及び/又は1-オクテンを生成する為の触媒として使用することが好ましく、1-ヘキセンを生成する為の触媒として使用することがより好ましい。
<オレフィン多量化用触媒組成物(F)の製造方法>
本発明のオレフィン多量化用触媒組成物(F)の製造方法においては、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)と、トリアルキルアルミニウム化合物(B-1)および有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(B)と、周期律表第3~10族から選ばれる遷移金属原子を含む遷移金属化合物(E)とを、炭化水素溶媒(C)中で接触させる。これにより、オレフィン多量化反応の触媒活性を向上させるとともに、1-ヘキセン等のオレフィン多量体の選択率を向上させることができる。
固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)と化合物(B)と遷移金属化合物(E)との接触の順番は特に制限されない。3つの成分を同時に接触させても良いし、先ず2つの成分を接触させ、その後残りの1つの成分を接触させても良い。特に、先ず固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)と化合物(B)とを炭化水素溶媒(C)中で接触させ(工程1)、そこで得たオレフィン多量化用助触媒組成物(D)にさらに遷移金属化合物(E)を炭化水素溶媒(C)中で接触させる(工程2)ことにより、オレフィン多量化用触媒組成物(F)を得ることが好ましい。
本発明において、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)と化合物(B)の配合比は、両成分が含有するアルミニウムのモル比で特定すれば良い。具体的には、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)中のアルミニウム量に対する化合物(B)中のアルミニウム量のモル比(B/A)は、好ましくは0.00001~10、より好ましくは0.0001~1.0、特に好ましくは0.0005~0.5である。
本発明において、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)と遷移金属化合物(E)の配合比は、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)中のAl原子のモル数と、遷移金属化合物(E)のモル数の比[=(固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)中のAl原子のモル数)/(遷移金属化合物(E)のモル数)]で特定すればよい。具体的には、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)中のAl原子のモル数と、遷移金属化合物(E)のモル数の比は通常1~10000、好ましくは10~5000、より好ましくは50~2000である。この比が小さ過ぎると十分な触媒活性が発現しない場合があり、大き過ぎると経済的に好ましくない。
[工程1]
工程1では、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)とトリアルキルアルミニウム化合物(B-1)および有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(B)とを、炭化水素溶媒(C)中で接触させて、オレフィン多量化用助触媒組成物(D)を得る。すなわち、周期律表第3~10族から選ばれる遷移金属原子を含む遷移金属化合物(E)を接触させる前に、あらかじめ化合物(B)を固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)に接触させるのである。この工程1(いわゆるプレミックス)を行うことにより、触媒活性が向上すると共にオレフィン3量体及び/又はオレフィン4量体の選択率がさらに向上する。
この理由は定かではないが、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)とトリアルキルアルミニウム化合物(B-1)および有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(B)とを事前に接触させることで、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)中のAl-O-Al結合の組み換えがなされ、ポリメチルアルミノキサン分子鎖の会合度が下がることで分子鎖の絡み合いが少なくなり、広い反応場がオレフィン多量化用助触媒組成物(D)中に形成されるのではないかと推定される。これにより後述する工程2においてオレフィン多量化用助触媒組成物(D)に遷移金属化合物(E)を接触させた際に、遷移金属化合物(E)がより効率よく活性化されて触媒活性が向上すると共に、オレフィン多量化反応の際のオレフィン多量体の選択率が向上すると考えられる。
工程1において、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)を供給する際は、溶媒を用いてスラリーにした状態で供給することが好ましい。その場合の溶媒は、好ましくは先に説明した炭化水素溶媒(C)である。
工程1において、トリアルキルアルミニウム化合物(B-1)および有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(B)を供給する際は、溶媒を用いて溶液にした状態で供給することが好ましい。その場合の溶媒は、好ましくは先に説明した炭化水素溶媒(C)である。
工程1において、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)と化合物(B)を炭化水素溶媒(C)中で接触させる方法は特に限定されないが、好ましくは両成分を炭化水素溶媒(C)中で適度に撹拌すれば良い。反応装置としては、例えば、回分反応器(槽型)、管型反応器(連続)、連続槽型反応器などを特に制限なく使用できる。撹拌温度(接触温度)は特に限定されないが、常温で構わない。具体的には、好ましくは-50℃~150℃、より好ましくは-20℃~120℃、特に好ましくは0℃~100℃である。反応時間(接触時間)は特に制限されないが、好ましくは1~1000分間、より好ましくは5~600分間である。
工程1において、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)と化合物(B)の配合比は、両成分が含有するアルミニウムのモル比で特定すれば良い。具体的には、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)中のアルミニウム量に対する化合物(B)中のアルミニウム量のモル比(B/A)は、好ましくは0.00001~10、より好ましくは0.0001~1.0、特に好ましくは0.0005~0.5である。
工程1において、炭化水素溶媒(C)中における固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)と化合物(B)の濃度は特に限定されないが、両成分が含有するアルミニウムの濃度で特定すれば良い。具体的には、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)、化合物(B)および炭化水素溶媒(C)を含む懸濁液中のアルミニウムの濃度は、好ましくは0.001~3.0mmol/mL、より好ましくは0.01~2.0mmol/mLである。
[工程2]
工程2では、オレフィン多量化用助触媒組成物(D)に、周期律表第3~10族から選ばれる遷移金属原子を含む遷移金属化合物(E)を炭化水素溶媒(C)中で接触させて、オレフィン多量化用触媒組成物(F)を得る。接触方法は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、固体または液体の遷移金属化合物(E)を、オレフィン多量化用助触媒組成物(D)と炭化水素溶媒(C)とを含む懸濁液に一括添加または分割添加して接触させる方法、遷移金属化合物(E)を炭化水素溶媒(C)で溶解または懸濁させたものを、オレフィン多量化用助触媒組成物(D)と炭化水素溶媒(C)からなる懸濁液に一括添加または分割添加して接触させる方法、固体または炭化水素溶媒(C)で懸濁させたオレフィン多量化用助触媒組成物(D)を、遷移金属化合物(E)または遷移金属化合物(E)を炭化水素溶媒(C)で溶解または懸濁させたものに添加して接触させる方法が挙げられる。反応を均一にする点からは、遷移金属化合物(E)を炭化水素溶媒(C)で溶解または懸濁させたものを、オレフィン多量化用助触媒組成物(D)と炭化水素溶媒(C)とを含む液に添加することが好ましい。遷移金属化合物(E)を2種以上組み合わせて使用する場合は、成分(E)を1種ずつ添加してもよいし、2種以上を混合してもよい。
遷移金属化合物(E)の使用量は、オレフィン多量化用助触媒組成物(D)中のAl原子のモル数と、遷移金属化合物(E)のモル数の比[=(オレフィン多量化用助触媒組成物(D)中のAl原子のモル数)/(遷移金属化合物(E)のモル数)]で特定すればよい。具体的には、オレフィン多量化用助触媒組成物(D)中のAl原子のモル数と、遷移金属化合物(E)のモル数の比は、通常1~10000、好ましくは10~5000、より好ましくは50~2000である。この比が小さ過ぎると十分な触媒活性が発現しない場合があり、大き過ぎると経済的に好ましくない。
オレフィン多量化用触媒組成物(F)の調製に使用される有機溶媒は特に限定されないが、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)と直接反応しない溶媒が好ましく、特に不活性炭化水素溶媒が好ましい。その具体例としては、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、へプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロへキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、キシレン、トリメチルベンゼン、クメン、シメン、テトラリンなどの芳香族炭化水素を挙げられる。これら溶媒は、2種以上を混ぜて使用してもよい。
オレフィン多量化用触媒組成物(F)を調製する温度は特に限定されないが、常温で構わない。具体的には、-50℃~150℃の間で選択して処理を行うことが好ましく、-20℃~120℃がより好ましく、-10℃~90℃が特に好ましい。反応時間(接触時間)は特に制限されないが、好ましくは1~1000分間、より好ましくは5~600分間である。
工程2において、炭化水素溶媒(C)中における固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)と化合物(B)の濃度は特に限定されないが、両成分が含有するアルミニウムの濃度で特定すれば良い。具体的には、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)、化合物(B)、遷移金属化合物(E)および炭化水素溶媒(C)を含む溶液中のアルミニウムの濃度は、好ましくは0.001~3.0mmol/mL、より好ましくは0.01~2.0mmol/mLである。
オレフィン多量化用触媒組成物(F)は、洗浄しないで使用してもよく、上記の有機溶媒で洗浄した後に使用してもよい。
オレフィン多量化用触媒組成物(F)は、溶媒中に分散したスラリー液であっても、溶媒を除去した状態、必要により乾燥した状態であってもよい。
<オレフィン多量体の製造方法>
本発明のオレフィン多量体の製造方法は、上述したオレフィン多量化用触媒組成物(F)の存在下に、オレフィンの多量化反応を行うことを特徴とする方法である。その反応はオレフィンの多量化反応であれば何ら限定されないが、特に、オレフィンの3量化及び/又は4量化反応であることが好ましく、オレフィンの3量化反応であることがより好ましい。使用するオレフィンも何ら限定されないが、特にエチレンの多量化反応を行うことが好ましい。また、目的とする多量体も何ら限定されないが、特に、エチレン等のオレフィンの多量化反応により1-ヘキセン及び/又は1-オクテンを生成することが好ましく、1-ヘキセンを生成することがより好ましい。
本発明のオレフィン多量体の製造方法は、目的とする多量体の選択率が高い方法である。例えば、オレフィンの3量体及び/又は4量体が目的物である場合、その3量体及び/又は4量体の選択率は好ましくは50%を超え、より好ましくは55%以上、特に好ましくは60%以上である。さらに1-ヘキセン及び/又は1-オクテンが目的物である場合も同様に、1-ヘキセン及び/又は1-オクテンの選択率は好ましくは50%を超え、より好ましくは55%以上、特に好ましくは60%以上である。この選択率は、後述する実施例に記載の通り、多量化反応により生成した各生成物(各多量体)の合計質量に対する目的とする多量体の質量の割合(%)である。
多量化反応は溶解反応、懸濁反応などの液相反応法または気相反応法のいずれにおいても実施できる。
液相反応法においては、オレフィン多量化用触媒組成物(F)およびオレフィン分に不活性な有機化合物を溶媒として用いる。有機化合物の具体例としては、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、へプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロへキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、テトラリンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素;およびこれらの混合物が挙げられる。中でも、ペンタン、n-ヘキサン、n-へプタンが好ましい。
オレフィン多量化用触媒組成物(F)を用いたオレフィンの多量化反応には、必要に応じて有機アルミニウム化合物(G)を用いることができる。有機アルミニウム化合物(G)の具体例としては、先に述べた有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)の調製のために用いられる有機アルミニウム化合物の具体例と同様のものが挙げられる。中でも、トリアルキルアルミニウムが好ましく、トリイソブチルアルミニウムが特に好ましい。
オレフィン多量化用触媒組成物(F)を用いたオレフィンの多量化反応によりオレフィン多量体を製造、好ましくはエチレンの3量化により1-ヘキセンの製造を行う場合、遷移金属化合物(E)は、反応容積1リットル当り、通常10-12~10-2モル、好ましくは10-10~10-3モルとなるような量で用いられる。本発明では、遷移金属化合物(E)を比較的薄い濃度で用いた場合であっても、高い多量化活性でオレフィン多量体を得ることができる。
有機アルミニウム化合物(G)は、遷移金属化合物(E)に対して、有機アルミニウム化合物(G)中のアルミニウム原子(Al(G))と遷移金属化合物(E)中の遷移金属原子(M)とのモル比(Al(G)/M)が通常0.01~1000、好ましくは0.05~500となるような量で用いられる。
オレフィン多量化用触媒組成物(F)を用いたオレフィン多量化の反応温度は、通常、-50℃~200℃、好ましくは-10℃~170℃、より好ましくは30℃~140℃である。反応圧力は、通常、常圧~10MPa、好ましくは常圧~6.0MPaである。オレフィン多量化反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法で行ってもよい。
オレフィン多量化用触媒組成物(F)を用いたオレフィン多量化反応は、帯電防止剤(H)を添加して行っても良い。帯電防止剤(H)としては、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールジステアレート、エチレンジアミン-PEG-PPG-ブロックコポリマー、ステアリルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミド、ポリオキシアルキレン(例えば、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール・ポリエチレングリコールブロック共重合体(PEG-PPG-PEG))が好ましく、特にポリオキシアルキレン(PEG-PPG-PEG)がより好ましい。遷移金属化合物(E)中の遷移金属原子(M)のモル当たりに対する帯電防止剤(H)の質量の比(g/mol)は、通常100~100000、好ましくは100~10000である。
多量化反応の際には、オレフィン多量化用触媒組成物(F)を反応器に添加する方法、各成分の使用法、添加方法、添加順序は任意に選ばれる。例えば、以下のような方法がある。
(1)成分(F)のみを反応器に添加する方法。
(2)成分(F)および有機アルミニウム化合物(G)を任意の順序で反応器に添加する方法。
(3)成分(F)および有機アルミニウム化合物(G)を予め接触させた触媒を反応器に添加する方法。
(4)成分(F)および帯電防止剤(H)を任意の順序で反応器に添加する方法。
(5)成分(F)、有機アルミニウム化合物(G)および帯電防止剤(H)を任意の順序で反応器に添加する方法。
(6)成分(F)と有機アルミニウム化合物(G)を予め接触させた触媒成分および帯電防止剤(H)を任意の順序で反応器に添加する方法。
(7)有機アルミニウム化合物(G)と帯電防止剤(H)を予め接触させた成分および成分(F)を任意の順序で反応器に添加する方法。
オレフィン多量化反応は、水素を添加して行っても良い。反応時の水素の圧力は通常0.01~5.0MPa、好ましくは0.01~1.0MPaである。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
オレフィン多量化用助触媒組成物(D)およびオレフィン多量化用触媒組成物(F)の調製は、全て不活性ガス雰囲気下で行った。使用した溶媒等は、予め公知の方法で精製、乾燥、脱酸素を行ったものを用いた。
下記試験方法(1)において、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)の分析には固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)の乾燥サンプルを使用した。固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)の乾燥は、窒素雰囲気下25℃で減圧乾燥を行い、質量変化が認められない時点を乾燥の終点とした。
[試験方法]
(1)アルミニウム含有量
固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)および溶液状ポリアルミノキサン組成物(B-2)のアルミニウム含有量は、島津製作所社製ICPS-8100を用いて、ICP発光分光分析法(ICP-AES)により求めた。
(2)固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)の体積統計値での中位径D50および粒度分布
固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)の体積統計値での中位径D50および粒度分布は、Microtrac社製のMicrotrac MT3300EX IIを利用し、レーザー回折・散乱法により求めた。粒度分布測定には固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)を窒素流通下、湿潤デシケーター中で事前に失活したサンプルを用いた。分散媒には主にメタノールを用いた。触媒粒度分布の指標として、均一性は、国際公開第2010/055652号に記載の方法に準じて、下記の式で示される定義を用いた。
(式)均一性=ΣXi|D50-Di|/D50ΣXi
ここで、Xiは粒子iのヒストグラム値、D50は体積基準のメジアン径、Diは粒子iの体積基準径を示す。
(3)溶解度
固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)の25℃におけるトルエンに対する溶解度の測定は、特公平7-42301号公報に記載の方法に準じて実施した。具体的には、得られた固体状ポリメチルアルミノキサン組成物を乾燥して、溶媒に対する溶解度を測定した。トルエンに対する溶解割合は、25℃に保持された50mLのトルエンに固体状ポリメチルアルミノキサン組成物2gを加え、その後2時間の攪拌を行い、続いてG-4グラス製フィルターを用いて溶液部を分離して、このろ液中のアルミニウム濃度を測定することにより求めた。この方法で得られる溶解割合は、試料として用いた固体状ポリメチルアルミノキサン組成物2gに相当するアルミニウム原子の量に対する上記ろ液中に存在するアルミニウム原子の割合として決定される。固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)の乾燥は、25℃で減圧乾燥を行い、重量変化が認められない時点を乾燥の終点とした。
また、25℃におけるテトラヒドロフランに対する溶解度の測定は、使用する溶媒を50mLのテトラヒドロフランに変更したことを除いて、上記に記載した方法で実施した。
(4)オレフィン多量化反応
反応生成物の収量(触媒活性)および1-ヘキセン(または1-オクテン、デセン類)の選択率は、ガスクロマトグラフィー(島津製作所社製GC-14A、J&W Scientific社製DB-5カラム)を用いて分析した。
[触媒活性]
単位時間当たりに得られた反応生成物の質量を、多量化に使用した遷移金属触媒成分中の遷移金属原子量(ミリモル)で除して求めた。
[1-ヘキセン(または1-オクテン、デセン類、ポリエチレン)の選択率]
以下の式に従い1-ヘキセン(または1-オクテン、デセン類、ポリエチレン)の選択率を求めた。
S(%)=Wp/Wr×100
S(%):1-ヘキセンの選択率(質量分率)
Wr(質量):反応により生成した炭素原子数が4以上からなる生成物の合計質量
Wp(質量):反応により生成した1-ヘキセンの質量
なお、1-オクテン、デセン類、ポリエチレンの選択率は上記方法に準じて求めた。
[予備実験1]
(固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A-1)の調製)
固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A-1)は公知の手法(国際公開第2014/123212号)に基づいて調製した。具体的には、攪拌機付の200mLガラス製フラスコにトルエン30mL、アルベマール社製ポリメチルアルミノキサンの20質量%トルエン溶液(Al濃度=3.04mmol/mL、60mL、182mmol)を加え、その後撹拌しながら50℃に昇温した。続いてn-Octanophenone(5.58g、27.3mmol)のトルエン溶液(18.2mL)を30分かけて添加した。添加後50℃で30分間攪拌し、1.0℃/分の昇温速度で105℃まで昇温し、105℃で4時間反応させた。60℃まで降温後、上澄み液(20mL)をデカンテーションで除去した。析出した固体状ポリアルミノキサンはトルエン(45mL)を用いて60℃で2回、常温で1回洗浄し、その後トルエンを加えて全量を125mLに調製して、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A-1)を得た。
[予備実験2]
(固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A-1)の分析)
予備実験1で得た固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A-1)を乾燥して、アルミニウム含有量を測定した。固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A-1)中のアルミニウム含有量は44.6質量%であった。
また、溶媒に対する溶解度を測定した。25℃におけるトルエンに対する溶解度は0.1モル%未満、テトラヒドロフランに対する溶解度は9.3モル%であった。
さらに粒度分布を測定した。体積統計値での中位径D50は18.8μm、均一性は0.222であった。
[予備実験3]
(固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A-2)の調製)
固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A-2)は公知の手法(国際公開第2014/123212号)に基づいて調製した。具体的には、攪拌機付の1Lガラス製オートクレーブにトルエン57mL、アルベマール社製ポリメチルアルミノキサンの20質量%トルエン溶液(Al濃度=3.00mmol/mL、190mL、570mmol)を加え、その後撹拌しながら70℃に昇温した。続いてベンズアルデヒド(9.10g、85.8mmol)のトルエン溶液(24.5mL)を80分かけて添加した。添加後70℃で10分間攪拌し、1.0℃/分の昇温速度で125℃まで昇温し、125℃で4時間反応させた。60℃まで降温後、上澄み液(125mL)をデカンテーションで除去した。析出した固体状ポリアルミノキサンはトルエン(400mL)を用いて60℃で2回洗浄し、その後トルエンを加えて全量を300mLに調製して、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A-2)を得た。
[予備実験4]
(固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A-2)の分析)
予備実験3で得た固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A-2)を乾燥して、アルミニウム含有量を測定した。固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A-2)中のアルミニウム含有量は43.4質量%であった。
また、溶媒に対する溶解度を測定した。25℃におけるトルエンに対する溶解度は0.1モル%未満、テトラヒドロフランに対する溶解度は22.6モル%であった。
さらに粒度分布を測定した。体積統計値での中位径D50は23.6μm、均一性は0.236であった。
[予備実験5]
(固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A-3)の調製)
固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A-3)は公知の手法(国際公開第2014/123212号)に基づいて調製した。具体的には、攪拌機付の1Lガラス製オートクレーブにトルエン57mL、アルベマール社製ポリメチルアルミノキサンの20質量%トルエン溶液(Al濃度=3.00mmol/mL、190mL、570mmol)を加え、その後撹拌しながら70℃に昇温した。続いて2-フェニル-2-プロパノール(11.7g、85.8mmol)のトルエン溶液(24.5mL)を80分かけて添加した。添加後70℃で10分間攪拌し、1.0℃/分の昇温速度で125℃まで昇温し、125℃で4時間反応させた。60℃まで降温後、上澄み液(125mL)をデカンテーションで除去した。析出した固体状ポリアルミノキサンはトルエン(400mL)を用いて60℃で2回洗浄し、その後トルエンを加えて全量を300mLに調製して、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A-3)を得た。
[予備実験6]
(固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A-3)の分析)
予備実験5で得た固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A-3)を乾燥して、アルミニウム含有量を測定した。固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A-3)中のアルミニウム含有量は43.7質量%であった。
また、溶媒に対する溶解度を測定した。25℃におけるトルエンに対する溶解度は0.1モル%未満、テトラヒドロフランに対する溶解度は24.8モル%であった。
さらに粒度分布を測定した。体積統計値での中位径D50は29.0μm、均一性は0.241であった。
以下にオレフィン多量化用助触媒組成物(D)の調製方法、オレフィン多量化用触媒組成物(F)の調製方法、およびオレフィン多量化用触媒組成物(F)を用いたエチレン多量化反応の具体的な実施例および比較例を示す。
[実施例1]
(オレフィン多量化用助触媒組成物(D-1)の調製)
予備実験1の固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A-1)のトルエンスラリー(Al濃度=1.46mmol/mL、1.1mL、1.6mmol)を反応器に採取した。このスラリーにトルエン(1.58mL)を加え、その後有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)としてアルベマール社製ポリメチルアルミノキサンの20質量%トルエン溶液をトルエンにて希釈した溶液状ポリメチルアルミノキサン組成物の希釈溶液(Al濃度=0.050mmol/mL)1.6mLを添加し、常温(約25℃)で3時間撹拌することでオレフィン多量化用助触媒組成物(D-1)を調製した。
(オレフィン多量化用触媒組成物(F-1)の調製)
上記オレフィン多量化用助触媒組成物(D-1)に対し、遷移金属化合物(E)として特許文献1記載のTi化合物9(下記化合物9)のトルエン溶液(Ti濃度=2.5mmol/L、6.42mL、0.016mmol)を加え、遮光下、常温で3時間撹拌し、オレフィン多量化用触媒組成物(F-1)(Ti濃度=1.5mmol/L)を調製した。
Figure 0007169750000010
(多量化反応)
充分に窒素置換した内容積500mLのオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(1.0Mトルエン溶液)をアルミニウム原子換算で0.075mmol加えたn-ヘプタン150mLを入れ、攪拌した。次いでアデカプルロニックL-71(ADEKA社製)のトルエン溶液(濃度6g/L)を1mL添加した。次いで、オレフィン多量化用触媒組成物(F-1)のトルエンスラリー1.33mLをトルエン3mLでさらに希釈したトルエンスラリーを反応器に加え、引き続きエチレン(分圧4.5MPa-G)で加圧して反応を開始した。同圧力でエチレンを供給しながら45~52℃で41分間反応させた後、少量のメタノールを添加することにより反応を停止した。反応終了後、0.1規定塩酸水および純水で反応液を洗浄し、減圧下に液体窒素トラップを用いて低沸点成分(炭素原子数10以下)を高沸点成分およびポリエチレンから分離し、ガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。生成物のうち1-ヘキセンの選択率は85.3%であった。その他の生成物としてデセン類の選択率は13.2%、ポリエチレンの選択率は1.5%であり、これらの生成物量合計から算出した触媒活性は94.7kg-生成物/(mmol-Ti・h)であった。
[実施例2]
(オレフィン多量化用助触媒組成物(D-2)の調製)
予備実験1の固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A-1)のトルエンスラリー(Al濃度=1.46mmol/mL、1.1mL、1.6mmol)を反応器に採取した。このトルエンスラリーを静置して上澄みのトルエンを0.03mL抜出し、その後有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)としてアルベマール社製ポリメチルアルミノキサンの20質量%トルエン溶液をさらにトルエンにて希釈した溶液状ポリメチルアルミノキサン組成物の希釈溶液(Al濃度=0.050mmol/mL)3.2mLを添加し、常温で3時間撹拌することでオレフィン多量化用助触媒組成物(D-2)を調製した。
(オレフィン多量化用触媒組成物(F-2)の調製)
実施例1のオレフィン多量化用触媒組成物(F-1)の調製において、オレフィン多量化用助触媒組成物(D-1)の代わりに、オレフィン多量化用助触媒組成物(D-2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、オレフィン多量化用触媒組成物(F-2)を調製した。
(多量化反応)
実施例1の多量化反応において、オレフィン多量化用触媒組成物(F-1)の代わりにオレフィン多量化用触媒組成物(F-2)を用い、42分間反応を実施したこと以外は実施例1と同様にして多量化反応を行った。反応終了後、0.1規定塩酸水および純水で反応液を洗浄し、減圧下に液体窒素トラップを用いて低沸点成分(炭素原子数10以下)を高沸点成分およびポリエチレンから分離し、ガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。生成物のうち1-ヘキセンの選択率は85.5%であった。その他の生成物としてデセン類の選択率は12.9%、ポリエチレンの選択率は1.6%であり、これらの生成物量合計から算出した触媒活性は98.3kg-生成物/(mmol-Ti・h)であった。
[実施例3]
(オレフィン多量化用助触媒組成物(D-3)の調製)
予備実験1の固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A-1)のトルエンスラリー(Al濃度=1.46mmol/mL、1.1mL、1.6mmol)を反応器に採取した。このスラリーにトルエン(2.22mL)を加え、その後トリアルキルアルミニウム化合物(B-1)としてアルドリッチ社製トリメチルアルミニウムのトルエン溶液(Al濃度=2.0mmol/mL)をトルエンにて希釈したトリメチルアルミニウムの希釈溶液(Al濃度=0.050mmol/mL)0.96mLを添加し、常温で3時間撹拌することでオレフィン多量化用助触媒組成物(D-3)を調製した。
(オレフィン多量化用触媒組成物(F-3)の調製)
実施例1のオレフィン多量化用触媒組成物(F-1)の調製において、オレフィン多量化用助触媒組成物(D-1)の代わりに、オレフィン多量化用助触媒組成物(D-3)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、オレフィン多量化用触媒組成物(F-3)を調製した。
(多量化反応)
実施例1の多量化反応において、オレフィン多量化用触媒組成物(F-1)の代わりに、オレフィン多量化用触媒組成物(F-3)を用い、39分間反応を実施したこと以外は実施例1と同様にして多量化反応を行った。反応終了後、0.1規定塩酸水および純水で反応液を洗浄し、減圧下に液体窒素トラップを用いて低沸点成分(炭素原子数10以下)を高沸点成分およびポリエチレンから分離し、ガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。生成物のうち1-ヘキセンの選択率は85.7%であった。その他の生成物としてデセン類の選択率は12.9%、ポリエチレンの選択率は1.4%であり、これらの生成物量合計から算出した触媒活性は99.9kg-生成物/(mmol-Ti・h)であった。
[実施例4]
(オレフィン多量化用助触媒組成物(D-4)の調製)
予備実験1の固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A-1)のトルエンスラリー(Al濃度=1.46mmol/mL、1.1mL、1.6mmol)を反応器に採取した。このトルエンスラリーを静置して上澄みのトルエンを0.03mL抜出した後、トリアルキルアルミニウム化合物(B-1)としてアルドリッチ社製トリメチルアルミニウムのトルエン溶液(Al濃度=2.0mmol/mL)をトルエンにて希釈したトリメチルアルミニウムの希釈溶液(Al濃度=0.050mmol/mL)3.2mLを添加し、常温で3時間撹拌することでオレフィン多量化用助触媒組成物(D-4)を調製した。
(オレフィン多量化用触媒組成物(F-4)の調製)
実施例1のオレフィン多量化用触媒組成物(F-1)の調製において、オレフィン多量化用助触媒組成物(D-1)の代わりに、オレフィン多量化用助触媒組成物(D-4)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、オレフィン多量化用触媒組成物(F-4)を調製した。
(多量化反応)
実施例1の多量化反応において、オレフィン多量化用触媒組成物(F-1)の代わりに、オレフィン多量化用触媒組成物(F-4)を用い、40分間反応を実施したこと以外は実施例1と同様にして多量化反応を行った。反応終了後、0.1規定塩酸水および純水で反応液を洗浄し、減圧下に液体窒素トラップを用いて低沸点成分(炭素原子数10以下)を高沸点成分およびポリエチレンから分離し、ガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。生成物のうち1-ヘキセンの選択率は85.7%であった。その他の生成物としてデセン類の選択率は12.9%、ポリエチレンの選択率は1.4%であり、これらの生成物量合計から算出した触媒活性は102.1kg-生成物/(mmol-Ti・h)であった。
[比較例1]
(オレフィン多量化用助触媒組成物(d-1)の調製)
予備実験1の固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A-1)のトルエンスラリー(Al濃度=1.46mmol/mL、1.1mL、1.6mmol)を反応器に採取した。このスラリーにトルエン(3.18mL)を加えることで、オレフィン多量化用助触媒組成物(d-1)を調製した。
(オレフィン多量化用触媒組成物(f-1)の調製)
実施例1のオレフィン多量化用触媒組成物(F-1)の調製において、オレフィン多量化用助触媒組成物(D-1)の代わりに、オレフィン多量化用助触媒組成物(d-1)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、オレフィン多量化用触媒組成物(f-1)を調製した。
(多量化反応)
実施例1の多量化反応において、オレフィン多量化用触媒組成物(F-1)の代わりに、オレフィン多量化用触媒組成物(f-1)を用い、60分間反応を実施したこと以外は実施例1と同様にして多量化反応を行った。反応終了後、0.1規定塩酸水および純水で反応液を洗浄し、減圧下に液体窒素トラップを用いて低沸点成分(炭素原子数10以下)を高沸点成分およびポリエチレンから分離し、ガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。生成物のうち1-ヘキセンの選択率は83.6%であった。その他の生成物としてデセン類の選択率は14.9%、ポリエチレンの選択率は1.5%であり、これらの生成物量合計から算出した触媒活性は54.4kg-生成物/(mmol-Ti・h)であった。
[実施例5]
(オレフィン多量化用助触媒組成物(D-5)の調製)
予備実験3の固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A-2)のトルエンスラリー(Al濃度=1.73mmol/mL、3.30mL、5.71mmol)を反応器に採取した。このスラリーにトルエン(1.83mL)を加え、その後トリアルキルアルミニウム化合物(B-1)としてアルドリッチ社製トリメチルアルミニウムのトルエン溶液(Al濃度=2.0mmol/mL)をトルエンにて希釈したトリメチルアルミニウムの希釈溶液(Al濃度=0.050mmol/mL)0.69mLを添加し、常温で3時間撹拌することでオレフィン多量化用助触媒組成物(D-5)を調製した。
(オレフィン多量化用触媒組成物(F-5)の調製)
上記オレフィン多量化用助触媒組成物(D-5)に対し、遷移金属化合物(E)として特許文献1記載のTi化合物9(前記化合物9)のトルエン溶液(Ti濃度=2.5mmol/L、4.57mL、0.0114mmol)を加え、遮光下、常温で3時間撹拌した後、反応液を静置し上澄みを5mL抜出した。トルエン10mLを加え再度撹拌、静置し上澄みを10mL抜出す操作を3回繰り返した。その後、トルエン5mLを加えてオレフィン多量化用触媒組成物(F-5)(Ti濃度=1.1mmol/L)を調製した。
(多量化反応)
充分に窒素置換した内容積500mLのオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(1.0Mトルエン溶液)をアルミニウム原子換算で0.05mmol加えたメチルシクロヘキサン150mLを入れ、攪拌した。次いでアデカプルロニックL-71(ADEKA社製)のトルエン溶液(濃度9.5g/L)を0.63mL添加した。次いで、オレフィン多量化用触媒組成物(F-5)のトルエンスラリー0.455mLをトルエン4mLでさらに希釈したトルエンスラリーを反応器に加え、引き続きエチレン(分圧4.5MPa-G)で加圧して反応を開始した。同圧力でエチレンを供給しながら45~52℃で60分間反応させた後、少量のメタノールを添加することにより反応を停止した。反応終了後、0.1規定塩酸水および純水で反応液を洗浄し、減圧下に液体窒素トラップを用いて低沸点成分(炭素原子数10以下)を高沸点成分およびポリエチレンから分離し、ガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。生成物のうち1-ヘキセンの選択率は87.3%であった。その他の生成物としてデセン類の選択率は11.2%、ポリエチレンの選択率は1.5%であり、これらの生成物量合計から算出した触媒活性は73.3kg-生成物/(mmol-Ti・h)であった。
[実施例6]
(オレフィン多量化用助触媒組成物(D-6)の調製)
予備実験5の固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A-3)のトルエンスラリー(Al濃度=1.69mmol/mL、1.04mL、1.76mmol)を反応器に採取した。このトルエンスラリーにトリアルキルアルミニウム化合物(B-1)としてアルドリッチ社製トリメチルアルミニウムのトルエン溶液(Al濃度=2.0mmol/mL)をトルエンにて希釈したトリメチルアルミニウムの希釈溶液(Al濃度=0.050mmol/mL)0.30mLを添加し、常温で3時間撹拌することでオレフィン多量化用助触媒組成物(D-6)を調製した。
(オレフィン多量化用触媒組成物(F-6)の調製)
上記オレフィン多量化用助触媒組成物(D-6)に対し、遷移金属化合物(E)としてOrganometallics誌2010年29巻5805-5811頁に記載のCr化合物9(下記化合物10)のトルエン溶液(Cr濃度=5.0μmol/L、1.00mL、0.0050μmol)を加え、遮光下、常温で3時間撹拌しオレフィン多量化用触媒組成物(F-6)(Cr濃度=2.1μmol/L)を調製した。
Figure 0007169750000011
(多量化反応)
充分に窒素置換した内容積500mLのオートクレーブに、トリメチルアルミニウム(2.0Mトルエン溶液)をアルミニウム原子換算で0.10mmol加えたメチルシクロヘキサン150mLを入れ、攪拌した。次いで、オレフィン多量化用触媒組成物(F-6)のトルエンスラリー2.34mLを反応器に加え、引き続きエチレン(分圧4.5MPa-G)で加圧して反応を開始した。同圧力でエチレンを供給しながら45~52℃で60分間反応させた後、少量のメタノールを添加することにより反応を停止した。反応終了後、0.1規定塩酸水および純水で反応液を洗浄し、減圧下に液体窒素トラップを用いて低沸点成分(炭素原子数10以下)を高沸点成分およびポリエチレンから分離し、ガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。生成物のうち1-ヘキセンの選択率は20.7%、1-オクテンの選択率は62.6%であった。その他の生成物としてポリエチレンの選択率は16.7%であり、これらの生成物量合計から算出した触媒活性は6.85kg-生成物/(mmol-Cr・h)であった。
以上の実施例1~6及び比較例1の結果を表1に示す。表1中、プレミックス条件(m.r.)は、成分Bのアルミニウム含有量(ミリモル)を成分Aのアルミニウム含有量(ミリモル)で除して求めたモル比である。
Figure 0007169750000012
本発明の方法により製造したオレフィン多量化用触媒組成物を用いてオレフィンの多量化反応を行った場合、触媒活性が向上すると共に1-ヘキセン等の特定の多量体の選択率が向上するため、工業的に極めて価値がある。

Claims (13)

  1. 固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)と、トリアルキルアルミニウム化合物(B-1)および有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(B)と、を、炭化水素溶媒(C)中で接触させて、オレフィン多量化用助触媒組成物(D)を得る工程1、および、
    前記工程1で得られた前記オレフィン多量化用助触媒組成物(D)に、チタン原子またはクロム原子を含む遷移金属化合物(E)を前記炭化水素溶媒(C)中で接触させる工程2を有し、
    前記工程1における固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)と前記化合物(B)の配合比として、前記固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)中のアルミニウム量に対する前記化合物(B)中のアルミニウム量のモル比(B/A)が、0.006~0.1であり、
    前記固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)のアルミニウム含有量が36~47質量%であり、
    かつ固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)の以下の方法(i)により測定した25℃におけるトルエンに対する溶解度が2.0モル%未満である、
    オレフィン多量化用触媒組成物(F)の製造方法。
    [方法(i)]
    溶解度は、25℃に保持された50mLのトルエンに固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)2gを加え、その後2時間の撹拌を行い、続いてろ過によりろ液と残渣に分離して、ろ液中のアルミニウム濃度をICP発光分光分析法(ICP-AES)を用いて測定し、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物2gに相当するアルミニウム原子の量に対するろ液中に存在するアルミニウム原子の割合として求める。
  2. 固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)の以下の方法(ii)により測定した25℃におけるテトラヒドロフランに対する溶解度が3.0~95モル%である請求項1に記載のオレフィン多量化用触媒組成物(F)の製造方法。
    [方法(ii)]
    溶解度は、25℃に保持された50mLのテトラヒドロフランに固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)2gを加え、その後2時間の撹拌を行い、続いてろ過によりろ液と残渣に分離して、ろ液中のアルミニウム濃度をICP発光分光分析法(ICP-AES)を用いて測定し、固体状ポリメチルアルミノキサン組成物2gに相当するアルミニウム原子の量に対するろ液中に存在するアルミニウム原子の割合として求める。
  3. 固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)の体積統計値での中位径D50が0.1~100μmであり、かつ固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)の下記式で表される均一性が0.45以下である請求項1または2に記載のオレフィン多量化用触媒組成物(F)の製造方法。
    均一性=ΣXi|D50-Di|/D50ΣXi
    ここで、Xiは粒子iのヒストグラム値、D50は体積基準のメジアン径、Diは粒子iの体積基準径を示す。
  4. 固体状ポリメチルアルミノキサン組成物(A)が下記式(1)で表される構成単位を含む請求項1~のいずれかに記載のオレフィン多量化用触媒組成物(F)の製造方法。
    Figure 0007169750000013
    (式(1)中、Meはメチル基を示す。)
  5. 遷移金属化合物(E)が下記一般式(2)で表される請求項1~のいずれかに記載のオレフィン多量化用触媒組成物(F)の製造方法。
    Figure 0007169750000014
    (式(2)中、R1~R6は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうち2個以上が互いに連結していてもよい。また、R1はZと連結していてもよい。
    Mは、チタン原子またはクロム原子を示す。
    nはMの原子価を示す。
    Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、Xで示される原子や基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される基は互いに結合して環を形成してもよい。
    Yは、酸素原子、窒素原子、リン原子または硫黄原子を示す。
    Zは、置換基を有していてもよい炭化水素基またはヘテロ環式化合物残基を示す。
    式中、YとZとを結ぶ結合は二重結合もしくは三重結合であってもよく、YとR1とを結ぶ結合は二重結合もしくは三重結合であってもよい。
    式中、点線表示は配位結合を示す。)
  6. トリアルキルアルミニウム化合物(B-1)がトリメチルアルミニウムである請求項1~のいずれかに記載のオレフィン多量化用触媒組成物(F)の製造方法。
  7. 有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)を溶液状ポリメチルアルミノキサン組成物として供給する請求項1~のいずれかに記載のオレフィン多量化用触媒組成物(F)の製造方法。
  8. オレフィン多量化用触媒組成物(F)が、オレフィンの3量化及び/又は4量化用触媒組成物である請求項1~のいずれかに記載のオレフィン多量化用触媒組成物(F)の製造方法。
  9. オレフィン多量化用触媒組成物(F)が、オレフィンの多量化反応により1-ヘキセン及び/又は1-オクテンを生成する為の触媒組成物である請求項1~のいずれかに記載のオレフィン多量化用触媒組成物(F)の製造方法。
  10. 請求項1~のいずれかに記載の方法により製造したオレフィン多量化用触媒組成物(F)の存在下で、オレフィンの多量化反応を行うオレフィン多量体の製造方法。
  11. オレフィンの多量化反応が、オレフィンの3量化及び/又は4量化反応である請求項10に記載のオレフィン多量体の製造方法。
  12. オレフィンがエチレンである請求項10または11に記載のオレフィン多量体の製造方法。
  13. オレフィン多量体が1-ヘキセン及び/又は1-オクテンである請求項1012のいずれかに記載のオレフィン多量体の製造方法。
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