以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
また、図面において、大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は、理想的な例を模式的に示したものであり、図面に示す形状または値などに限定されない。例えば、実際の製造工程において、エッチングなどの処理により層やレジストマスクなどが意図せずに目減りすることがあるが、理解を容易とするために省略して示すことがある。また、図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
また、特に上面図(「平面図」ともいう)や斜視図などにおいて、発明の理解を容易とするため、一部の構成要素の記載を省略する場合がある。また、一部の隠れ線などの記載を省略する場合がある。
また、本明細書などにおいて、第1、第2等として付される序数詞は便宜上用いるものであり、工程順または積層順を示すものではない。そのため、例えば、「第1の」を「第2の」または「第3の」などと適宜置き換えて説明することができる。また、本明細書等に記載されている序数詞と、本発明の一態様を特定するために用いられる序数詞は一致しない場合がある。
また、本明細書において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。したがって、明細書で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
例えば、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図または文章に示された接続関係に限定されず、図または文章に示された接続関係以外のものも、図または文章に記載されているものとする。
ここで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
XとYとが直接的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に接続されていない場合であり、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)を介さずに、XとYとが、接続されている場合である。
XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、スイッチは、オンオフが制御される機能を有している。つまり、スイッチは、導通状態(オン状態)、または、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有している。または、スイッチは、電流を流す経路を選択して切り替える機能を有している。なお、XとYとが電気的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合を含むものとする。
XとYとが機能的に接続されている場合の一例としては、XとYとの機能的な接続を可能とする回路(例えば、論理回路(インバータ、NAND回路、NOR回路など)、信号変換回路(DA変換回路、AD変換回路、ガンマ補正回路など)、電位レベル変換回路(電源回路(昇圧回路、降圧回路など)、信号の電位レベルを変えるレベルシフタ回路など)、電圧源、電流源、切り替え回路、増幅回路(信号振幅または電流量などを大きく出来る回路、オペアンプ、差動増幅回路、ソースフォロワ回路、バッファ回路など)、信号生成回路、記憶回路、制御回路など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、一例として、XとYとの間に別の回路を挟んでいても、Xから出力された信号がYへ伝達される場合は、XとYとは機能的に接続されているものとする。なお、XとYとが機能的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合と、XとYとが電気的に接続されている場合とを含むものとする。
また、本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン領域またはドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域またはソース電極)の間にチャネル形成領域を有しており、チャネル形成領域を介して、ドレインとソースとの間に電流を流すことができるものである。なお、本明細書等において、チャネル形成領域とは、電流が主として流れる領域をいう。
また、ソースやドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書等においては、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができる場合がある。
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域またはソース電極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル長がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。すなわち、一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。すなわち、一つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネル幅(以下、「実効的なチャネル幅」ともいう)と、トランジスタの上面図において示されるチャネル幅(以下、「見かけ上のチャネル幅」ともいう)と、が異なる場合がある。例えば、ゲート電極が半導体の側面を覆う場合、実効的なチャネル幅が、見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる場合がある。例えば、微細かつゲート電極が半導体の側面を覆うトランジスタでは、半導体の側面に形成されるチャネル形成領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、見かけ上のチャネル幅よりも、実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
このような場合、実効的なチャネル幅の、実測による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形状が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
そこで、本明細書では、見かけ上のチャネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:Surrounded Channel Width)」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、囲い込みチャネル幅または見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。または、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合がある。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅、囲い込みチャネル幅などは、断面TEM像などを解析することなどによって、値を決定することができる。
なお、半導体の不純物とは、例えば、半導体を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度が0.1原子%未満の元素は不純物といえる。不純物が含まれることにより、例えば、半導体のDOS(Density of States)が高くなることや、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導体である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、および酸化物半導体の主成分以外の遷移金属などがあり、例えば、水素、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素などがある。酸化物半導体の場合、水も不純物として機能する場合がある。また、酸化物半導体の場合、例えば不純物の混入によって酸素欠損を形成する場合がある。また、半導体がシリコンである場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素、第2族元素、第13族元素、第15族元素などがある。
なお、本明細書等において、酸化窒化シリコン膜とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものである。例えば、好ましくは酸素が55原子%以上65原子%以下、窒素が1原子%以上20原子%以下、シリコンが25原子%以上35原子%以下、水素が0.1原子%以上10原子%以下の濃度範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化シリコン膜とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものである。例えば、好ましくは窒素が55原子%以上65原子%以下、酸素が1原子%以上20原子%以下、シリコンが25原子%以上35原子%以下、水素が0.1原子%以上10原子%以下の濃度範囲で含まれるものをいう。
また、本明細書等において、「膜」という用語と、「層」という用語とは、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
また、本明細書等において、「絶縁体」という用語を、絶縁膜または絶縁層と言い換えることができる。また、「導電体」という用語を、導電膜または導電層と言い換えることができる。また、「半導体」という用語を、半導体膜または半導体層と言い換えることができる。
また、本明細書等に示すトランジスタは、明示されている場合を除き、電界効果トランジスタとする。また、本明細書等に示すトランジスタは、明示されている場合を除き、nチャネル型のトランジスタとする。よって、その閾値電圧(「Vth」ともいう)は、明示されている場合を除き、0Vよりも大きいものとする。
また、本明細書等において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平行」とは、二つの直線が-30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す。
なお、本明細書において、バリア膜とは、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する膜のことであり、当該バリア膜に導電性を有する場合は、導電性バリア膜と呼ぶことがある。
本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い表現での金属の酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を含む)、酸化物半導体(Oxide Semiconductorまたは単にOSともいう)などに分類される。例えば、トランジスタのチャネル形成領域に金属酸化物を用いた場合、当該金属酸化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。つまり、OS FET、あるいはOSトランジスタと記載する場合においては、酸化物または酸化物半導体を有するトランジスタと換言することができる。
(実施の形態1)
以下では、表示コントローラIC、およびソースドライバICなどに用いることができる、本発明の一態様に係る半導体装置を含むフレームメモリについて説明する。
フレームメモリには、例えば、1T(トランジスタ)1C(容量)型のメモリセルを備えたDRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)を適用することができる。また、メモリセルにOSトランジスタが用いられるメモリ装置(以下、「OSメモリ」と呼ぶ)を用いることができる。ここでは、OSメモリの一例として、1T1C型のメモリセルを有するRAMについて説明する。ここでは、このようなRAMを、「DOSRAM(Dynamic Oxide Semiconductor RAM、ドスラム)」と呼ぶこととする。図1にDOSRAMの構成例、図2にDOSRAMの概略図を示す。
OSトランジスタを用いたDOSRAMは、Siトランジスタを用いたDRAMに準ずる高周波数動作と、Siトランジスタを用いたDRAMでは実現することが困難な長時間保持の双方を実現することができる。例えば、チャネル長およびチャネル幅が7nm以上70nm以下のサイズにおいて、-40℃以上85℃以下の環境下で、動作周波数が0.3GHz以上、好ましくは0.5GHz以上10GHz以下であり、データ保持時間が1000時間以上、好ましくは0.5年以上100年以下のDOSRAMを実現することができる。
<<DOSRAM1400>>
図2に示すように、DOSRAM1400は、コントローラ1405、行回路1410、列回路1415、メモリセルおよびセンスアンプアレイ1420(以下、「MC-SAアレイ1420」と呼ぶ)を有する。
行回路1410はデコーダ1411、ワード線ドライバ回路1412、列セレクタ1413、センスアンプドライバ回路1414を有する。列回路1415はグローバルセンスアンプアレイ1416、入出力回路1417を有する。グローバルセンスアンプアレイ1416は複数のグローバルセンスアンプ1447を有する。MC-SAアレイ1420はメモリセルアレイ1422、センスアンプアレイ1423、グローバルビット線GBLL、GBLRを有する。
(MC-SAアレイ1420)
MC-SAアレイ1420は、メモリセルアレイ1422をセンスアンプアレイ1423上に積層した積層構造をもつ。グローバルビット線GBLL、GBLRはメモリセルアレイ1422上に積層されている。DOSRAM1400では、ビット線の構造に、ローカルビット線とグローバルビット線とで階層化された階層ビット線構造が採用されている。
メモリセルアレイ1422は、N個(Nは2以上の整数)のローカルメモリセルアレイ1425<0>-1425<N-1>を有する。図1(A)にローカルメモリセルアレイ1425の構成例を示す。ローカルメモリセルアレイ1425は、複数のメモリセル1445、複数のワード線WL、複数のビット線BLL、BLRを有する。図1(A)の例では、ローカルメモリセルアレイ1425の構造はオープンビット線型であるが、フォールデッドビット線型であってもよい。
図1(B)にメモリセル1445の回路構成例を示す。メモリセル1445はトランジスタMW1、容量素子CS1、端子B1、B2を有する。トランジスタMW1は容量素子CS1の充放電を制御する機能をもつ。トランジスタMW1のゲートはワード線WLに電気的に接続され、第1端子はビット線BLL、BLRに電気的に接続され、第2端子は容量素子の第1端子に電気的に接続されている。容量素子CS1の第2端子は端子B2に電気的に接続されている。端子B2には、定電圧(例えば、低電源電圧)が入力される。
図1(C)にトランジスタMW1の一例を示す。トランジスタMW1は、ワード線WL、ビット線BLL、BLR、容量CS1、および端子B1と電気的に接続するプラグまたは配線を有する。また、トランジスタMW1はOSトランジスタである。なお、図1(C)に示すトランジスタMW1は一例であり、この構成に限らない。設計に応じて、適宜、好適な構成とすればよい。また、トランジスタMW1に用いることができるトランジスタは、後の実施の形態2で詳述する。
トランジスタMW1はバックゲートを備えており、バックゲートは端子B1に電気的に接続されている。そのため、端子B1の電圧によって、トランジスタMW1の閾値電圧を変更することができる。例えば、端子B1の電圧は固定電圧(例えば、負の定電圧)であってもよいし、DOSRAM1400の動作に応じて、端子B1の電圧を変化させてもよい。
トランジスタMW1のバックゲートをトランジスタMW1のゲート、ソース、またはドレインに電気的に接続してもよい。あるいは、トランジスタMW1にバックゲートを設けなくてもよい。
センスアンプアレイ1423は、N個のローカルセンスアンプアレイ1426<0>-1426<N-1>を有する。ローカルセンスアンプアレイ1426は、1のスイッチアレイ1444、複数のセンスアンプ1446を有する。センスアンプ1446には、ビット線対が電気的に接続されている。センスアンプ1446は、ビット線対をプリチャージする機能、ビット線対の電圧差を増幅する機能、この電圧差を保持する機能を有する。スイッチアレイ1444は、ビット線対を選択し、選択したビット線対とグローバルビット線対との間を導通状態にする機能を有する。
ここで、ビット線対とは、センスアンプによって、同時に比較される2本のビット線のことをいう。グローバルビット線対とは、グローバルセンスアンプによって、同時に比較される2本のグローバルビット線のことをいう。ビット線対を一対のビット線と呼ぶことができ、グローバルビット線対を一対のグローバルビット線と呼ぶことができる。ここでは、ビット線BLLとビット線BLRが1組のビット線対を成す。グローバルビット線GBLLとグローバルビット線GBLRとが1組のグローバルビット線対をなす。以下、ビット線対(BLL,BLR)、グローバルビット線対(GBLL,GBLR)とも表す。
(コントローラ1405)
コントローラ1405は、DOSRAM1400の動作全般を制御する機能を有する。コントローラ1405は、外部からの入力されるコマンド信号を論理演算して、動作モードを決定する機能、決定した動作モードが実行されるように、行回路1410、列回路1415の制御信号を生成する機能、外部から入力されるアドレス信号を保持する機能、内部アドレス信号を生成する機能を有する。
(行回路1410)
行回路1410は、MC-SAアレイ1420を駆動する機能を有する。デコーダ1411はアドレス信号をデコードする機能を有する。ワード線ドライバ回路1412は、アクセス対象行のワード線WLを選択する選択信号を生成する。
列セレクタ1413、センスアンプドライバ回路1414はセンスアンプアレイ1423を駆動するための回路である。列セレクタ1413は、アクセス対象列のビット線を選択するための選択信号を生成する機能をもつ。列セレクタ1413の選択信号によって、各ローカルセンスアンプアレイ1426のスイッチアレイ1444が制御される。センスアンプドライバ回路1414の制御信号によって、複数のローカルセンスアンプアレイ1426は独立して駆動される。
(列回路1415)
列回路1415は、データ信号WDA[31:0]の入力を制御する機能、データ信号RDA[31:0]の出力を制御する機能を有する。データ信号WDA[31:0]は書き込みデータ信号であり、データ信号RDA[31:0]は読み出しデータ信号である。
グローバルセンスアンプ1447はグローバルビット線対(GBLL,GBLR)に電気的に接続されている。グローバルセンスアンプ1447はグローバルビット線対(GBLL,GBLR)間の電圧差を増幅する機能、この電圧差を保持する機能を有する。グローバルビット線対(GBLL,GBLR)へのデータの書き込み、および読み出しは、入出力回路1417によって行われる。
DOSRAM1400の書き込み動作の概要を説明する。入出力回路1417によって、データがグローバルビット線対に書き込まれる。グローバルビット線対のデータは、グローバルセンスアンプアレイ1416によって保持される。アドレス信号が指定するローカルセンスアンプアレイ1426のスイッチアレイ1444によって、グローバルビット線対のデータが、対象列のビット線対に書き込まれる。ローカルセンスアンプアレイ1426は、書き込まれたデータを増幅し、保持する。指定されたローカルメモリセルアレイ1425において、行回路1410によって、対象行のワード線WLが選択され、選択行のメモリセル1445にローカルセンスアンプアレイ1426の保持データが書き込まれる。
DOSRAM1400の読み出し動作の概要を説明する。アドレス信号によって、ローカルメモリセルアレイ1425の1行が指定される。指定されたローカルメモリセルアレイ1425において、対象行のワード線WLが選択状態となり、メモリセル1445のデータがビット線に書き込まれる。ローカルセンスアンプアレイ1426によって、各列のビット線対の電圧差がデータとして検出され、かつ保持される。スイッチアレイ1444によって、ローカルセンスアンプアレイ1426の保持データの内、アドレス信号が指定する列のデータが、グローバルビット線対に書き込まれる。グローバルセンスアンプアレイ1416は、グローバルビット線対のデータを検出し、保持する。グローバルセンスアンプアレイ1416の保持データは入出力回路1417に出力される。以上で、読み出し動作が完了する。
容量素子CS1の充放電によってデータを書き換えるため、DOSRAM1400には原理的には書き換え回数に制約はなく、かつ、低エネルギーで、データの書き込みおよび読み出しが可能である。また、メモリセル1445の回路構成が単純であるため、大容量化が容易である。
トランジスタMW1はOSトランジスタである。OSトランジスタはオフ電流が極めて小さいため、容量素子CS1から電荷がリークすることを抑えることができる。したがって、DOSRAM1400の保持時間はDRAMに比べて非常に長い。したがってリフレッシュの頻度を低減できるため、リフレッシュ動作に要する電力を削減できる。そのため、DOSRAM1400をフレームメモリとして用いることで、表示コントローラIC、およびソースドライバICの消費電力を削減することができる。また、この後、実施の形態2で説明するように、本発明の一態様に係るOSトランジスタは、高いオン電流と電界効果移動度を実現することができる。そのため、当該トランジスタを用いたDOSRAMは、高速でのデータ書き込み動作が可能である。すなわち、本発明の一態様に係るトランジスタを用いたDOSRAMは、Siトランジスタを用いたDRAMに準ずる高周波数動作と、Siトランジスタを用いたDRAMでは実現することが困難な長時間保持の双方を実現することができる。具体的には、本発明の一態様に係るOSトランジスタは、チャネル長およびチャネル幅が7nm以上70nm以下のサイズにおいて、-40℃以上85℃以下の環境下で、動作周波数が0.3GHz以上、好ましくは0.5GHz以上10GHz以下であり、データ保持時間が1000時間以上、好ましくは0.5年以上100年以下のDOSRAMを実現することができる。これについては、後ほど、実施例で詳細を説明する。
MC-SAアレイ1420が積層構造であることによって、ローカルセンスアンプアレイ1426の長さと同程度の長さにビット線を短くすることができる。ビット線を短くすることで、ビット線容量が小さくなり、メモリセル1445の保持容量を低減することができる。また、ローカルセンスアンプアレイ1426にスイッチアレイ1444を設けることで、長いビット線の本数を減らすことができる。以上の理由から、DOSRAM1400のアクセス時に駆動する負荷が低減されるので、表示コントローラIC、およびソースドライバICの消費エネルギーを低減できる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態や実施例などに示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、トランジスタMW1などに用いることができるトランジスタ200を有する半導体装置の一例について説明する。
<半導体装置の構成例1>
図3(A)、図3(B)、および図3(C)は、本発明の一態様に係るトランジスタ200、およびトランジスタ200周辺の上面図および断面図である。
図3(A)は、トランジスタ200を有する半導体装置の上面図である。また、図3(B)、および図3(C)は当該半導体装置の断面図である。ここで、図3(B)は、図3(A)にA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル長方向の断面図でもある。また、図3(C)は、図3(A)にA3-A4の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面図でもある。図3(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
本発明の一態様の半導体装置は、トランジスタ200と、絶縁体210、絶縁体212、絶縁体280を有する。また、トランジスタ200と電気的に接続し、配線として機能する導電体203(導電体203a、および導電体203b)、およびプラグとして機能する導電体252(導電体252a、および導電体252b)とを有する。
なお、導電体203は、絶縁体212の開口の内壁に接して導電体203aが形成され、さらに内側に導電体203bが形成されている。ここで、導電体203の上面の高さと、絶縁体212の上面の高さは同程度にできる。なお、トランジスタ200では、導電体203aおよび導電体203bを積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体203bのみを設ける構成にしてもよい。
また、導電体252は、絶縁体280の開口の内壁に接して形成されている。ここで、導電体252の上面の高さと、絶縁体280の上面の高さは同程度にできる。なお、トランジスタ200では、導電体252が単層である構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体252は、2層以上の積層構造でもよい。
[トランジスタ200]
図3に示すように、トランジスタ200は、基板(図示せず)の上に配置された絶縁体214および絶縁体216と、絶縁体214および絶縁体216に埋め込まれるように配置された導電体205と、絶縁体216と導電体205の上に配置された絶縁体220と、絶縁体220の上に配置された絶縁体222と、絶縁体222の上に配置された絶縁体224と、絶縁体224の上に配置された酸化物230(酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230c)と、酸化物230の上に配置された絶縁体250と、絶縁体250の上に配置された導電体260(導電体260a、導電体260b、および導電体260c)と、導電体260の上に配置された絶縁体270と、絶縁体270の上に配置された絶縁体271と、少なくとも絶縁体250、および導電体260の側面に接して配置された絶縁体272と、酸化物230、および絶縁体272と接して配置された絶縁体274と、を有する。
図3に示すように、トランジスタ200は、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cの3層構造の酸化物230を有する。図3に示すように、酸化物230b下に、酸化物230aを有することで、酸化物230aよりも下方に形成された構造物から、酸化物230bに対する不純物の拡散を抑制することができる。同様にして、酸化物230b上に、酸化物230cを有することで、酸化物230cよりも上方に形成された構造物から、酸化物230bに対する不純物の拡散を抑制することができる。
また、酸化物230aおよび酸化物230cの伝導帯下端のエネルギーが、酸化物230bの伝導帯下端のエネルギーより高くなることが好ましい。言い換えると、酸化物230aおよび酸化物230cの電子親和力が、酸化物230bの電子親和力より小さいことが好ましい。
ここで、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cにおいて、伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化していることが好ましい。換言すると、連続的に変化または連続接合していることが好ましい。このようにするためには、酸化物230aと酸化物230bとの界面、および酸化物230bと酸化物230cとの界面において形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
具体的には、酸化物230aと酸化物230b、酸化物230bと酸化物230cが、酸素以外に共通の元素を有する(主成分とする)ことで、欠陥準位密度が低い混合層を形成することができる。例えば、酸化物230bがIn-Ga-Zn酸化物の場合、酸化物230aおよび酸化物230cとして、In-Ga-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、酸化ガリウムなどを用いるとよい。
このとき、キャリアの主たる経路は酸化物230bとなる。酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cを上述の構成とすることで、酸化物230aと酸化物230bとの界面、および酸化物230bと酸化物230cとの界面における欠陥準位密度を低くすることができるため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さく、高いオン電流が得られる。
なお、トランジスタ200では、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cの3層を積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではなく、3層以上の積層構造としてもよい。または、図5に示すように、酸化物230a、および酸化物230bの2層を積層する構造としてもよい。または、酸化物230bのみの単層構造としてもよい。また、トランジスタ200では、導電体260a、導電体260b、および導電体260cを積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体260cのみを設ける構成にしてもよい。
なお、トランジスタ200では、上面視において、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cの4辺が重なるように形成されているが、本発明はこれに限られない。例えば、図4に示すように、酸化物230cは、絶縁体250と重なる領域にのみ形成される構成としてもよい。または、例えば、図6に示すように、上面視において、酸化物230a、酸化物230bよりも面積の大きい酸化物230cが、酸化物230aおよび酸化物230bの上面および側面を包含する構成としてもよい。
ここで、図3(B)に示すように、酸化物230は、トランジスタ200のチャネル形成領域として機能する領域(上面視において、絶縁体250と重なる領域の少なくとも一部)と、ソース領域またはドレイン領域として機能する領域231(領域231a、および領域231b)との間に、領域232(領域232a、および領域232b)を有する。
領域231は、キャリア密度が高い、低抵抗化した領域である。また、チャネル形成領域として機能する領域は、領域231よりも、キャリア密度が低い領域である。
また、領域232は、領域231よりもキャリア密度が低く、チャネル形成領域として機能する領域よりもキャリア密度が高い領域である。すなわち、領域232は、チャネル形成領域と、ソース領域またはドレイン領域との間の接合領域(junction region)としての機能を有する。
領域232を設けることで、ソース領域またはドレイン領域として機能する領域231と、チャネル形成領域として機能する領域との間に高抵抗領域が形成されず、トランジスタのオン電流を大きくすることができる。
また、領域232は、ゲート電極として機能する導電体260と重なる、いわゆるオーバーラップ領域(Lov領域ともいう)として機能する場合がある。
ソース領域またはドレイン領域として機能する領域231は、絶縁体274と接し、インジウムなどの金属元素、ならびに水素、および窒素などの不純物元素、の少なくとも一の濃度が領域232、およびチャネル形成領域として機能する領域よりも大きいことが好ましい。
領域232は、絶縁体272と重畳する領域を有する。領域232は、ソース領域またはドレイン領域として機能する領域231と、チャネル形成領域として機能する領域との間に配置しており、インジウムなどの金属元素、ならびに水素、および窒素などの不純物元素、の少なくとも一の濃度がチャネル形成領域として機能する領域よりも大きいことが好ましい。一方、インジウムなどの金属元素、ならびに水素、および窒素などの不純物元素、の少なくとも一の濃度がソース領域またはドレイン領域として機能する領域231よりも、小さいことが好ましい。
チャネル形成領域として機能する領域は、導電体260と重畳する。チャネル形成領域として機能する領域は、領域232aと、領域232bとの間に配置しており、インジウムなどの金属元素、ならびに水素、および窒素などの不純物元素、の少なくとも一の濃度がソース領域またはドレイン領域として機能する領域231、および領域232よりも、小さいことが好ましい。
また、酸化物230において、ソース領域またはドレイン領域として機能する領域231、領域232、およびチャネル形成領域として機能する領域の境界は、明確に検出できない場合がある。各領域内で検出されるインジウムなどの金属元素、ならびに水素、および窒素などの不純物元素の少なくとも一の濃度は、領域ごとの段階的な変化に限らず、各領域内でも連続的に変化(グラデーションともいう)していてもよい。つまり、ソース領域またはドレイン領域として機能する領域231から領域232へ、領域232からチャネル形成領域として機能する領域へと、チャネル形成領域として機能する領域に近い領域であるほど、インジウムなどの金属元素、ならびに水素、および窒素などの不純物元素の濃度が減少していればよい。
また、図3(B)では、チャネル形成領域として機能する領域、およびソース領域又はドレイン領域として機能する領域231が、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cに形成されているが、これに限られることなく、例えばこれらの領域は少なくとも酸化物230bに形成されていればよい。また、図3(B)では、領域232が酸化物230bのみに形成されているが、これに限られることなく、酸化物230aおよび/または酸化物230cに形成されていてもよい。また、図3(B)では、各領域の境界を、酸化物230の上面に対して略垂直に表示しているが、本実施の形態はこれに限られるものではない。例えば、領域232が酸化物230bの表面近傍では導電体260側に張り出し、酸化物230aの下面近傍では、導電体252a側または導電体252b側に後退する形状になる場合がある。
なお、トランジスタ200において、酸化物230は、酸化物半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう)を用いることが好ましい。酸化物半導体を用いたトランジスタは、非導通状態において極めてリーク電流(オフ電流)が小さいため、低消費電力の半導体装置を提供できる。また、酸化物半導体は、スパッタリング法などを用いて成膜できるため、高集積型の半導体装置を構成するトランジスタに用いることができる。
一方で、酸化物半導体を用いたトランジスタは、酸化物半導体中の不純物および酸素欠損によって、その電気特性が変動しやすく、信頼性が悪くなる場合がある。また、酸化物半導体に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成する場合がある。当該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。したがって、酸素欠損が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中の酸素欠損はできる限り低減されていることが好ましい。
特に、酸化物230におけるチャネルが形成される領域と、ゲート絶縁体として機能する絶縁体250との界面に、酸素欠損が存在すると、電気特性の変動が生じやすく、また信頼性が悪くなる場合がある。
そのため、酸化物230のチャネルが形成される領域と接する絶縁体250は、化学量論的組成を満たす酸素(過剰酸素ともいう)よりも多くの酸素を含むことが好ましい。つまり、絶縁体250が有する過剰酸素が、酸化物230のチャネルが形成される領域へと拡散することで、当該領域中の酸素欠損を低減することができる。
また、絶縁体250と接して、絶縁体272を設けることが好ましい。例えば、絶縁体272は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子など)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)ことが好ましい。絶縁体272が、酸素の拡散を抑制する機能を有することで、過剰酸素領域の酸素は絶縁体274側へ拡散することなく、効率よく酸化物230のチャネルが形成される領域へ供給される。したがって、酸化物230と、絶縁体250との界面における酸素欠損の形成が抑制され、トランジスタ200の信頼性を向上させることができる。
さらに、トランジスタ200は、水または水素などの不純物の混入を防ぐバリア性を有する絶縁体で覆われていることが好ましい。バリア性を有する絶縁体とは、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2など)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい)絶縁性材料を用いた絶縁体である。また、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子など)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)絶縁性材料を用いることが好ましい。なお、本明細書において、不純物、または酸素の拡散を抑制する機能とは、上記不純物、または上記酸素のいずれか一または、すべての拡散を抑制する機能とする。
例えば、トランジスタ200を、絶縁体222上に設ける。また、トランジスタ200を覆うように、絶縁体274を設ける。絶縁体222と、絶縁体274とが、トランジスタ200の外縁で接する構造とすることで、トランジスタ200を、バリア性を有する絶縁体で囲むことができる。当該構造により、水素、水などの不純物がトランジスタ200に混入することを抑制することができる。または、絶縁体224、および絶縁体250に含まれる酸素が、トランジスタ200から、外部へと拡散することを抑制することができる。
以下では、本発明の一態様に係るトランジスタ200を有する半導体装置の詳細な構成について説明する。
導電体260は、第1のゲート(トップゲートともいう)電極として機能する場合がある。また、導電体205は、第2のゲート(バックゲートともいう)電極として機能する場合がある。例えば、導電体205に印加する電位を、導電体260に印加する電位と、連動させず、独立して変化させることで、トランジスタ200の閾値電圧を制御することができる。特に、導電体205に負の電位を印加することにより、トランジスタ200の閾値電圧を0Vより大きくし、オフ電流を低減することが可能となる。したがって、導電体260に印加する電位が0Vのときのドレイン電流(Icut)を小さくすることができる。なお、本明細書等で、Icutとは、トランジスタ200のスイッチング動作を制御するゲート電極の電位が0Vのときのドレイン電流のことを指す。
第2のゲート電極として機能する導電体205は、酸化物230および導電体260と重なるように配置する。また、導電体205は、導電体203の上に接して設けられることが好ましい。
ここで、導電体205は、酸化物230におけるチャネルが形成される領域よりも、大きく設けるとよい。特に、導電体205は、酸化物230におけるチャネルが形成される領域のチャネル幅方向(W長方向)の端部よりも外側の領域においても、延伸していることが好ましい。つまり、酸化物230のチャネル幅方向における側面において、導電体205と、導電体260とは、絶縁体を介して重畳していることが好ましい。
また、図3(A)に示すように、導電体205は、酸化物230、および導電体260と重なるように配置する。ここで、酸化物230のチャネル幅方向の端部よりも外側の領域においても、導電体205は、導電体260と、重畳するように配置することが好ましい。つまり、酸化物230の側面の外側において、導電体205と、導電体260とは、絶縁体を介して重畳していることが好ましい。
上記構成を有することで、導電体260、および導電体205に電位を印加した場合、導電体260から生じる電界と、導電体205から生じる電界と、がつながることで、閉回路を形成し、酸化物230のチャネル形成領域を覆うことができる。
つまり、第1のゲート電極としての機能を有する導電体260の電界と、第2のゲート電極としての機能を有する導電体205の電界によって、酸化物230のチャネル形成領域を電気的に取り囲むことができる。本明細書において、第1のゲート電極、および第2のゲート電極の電界によって、チャネル形成領域を電気的に取り囲むトランジスタの構造を、surrounded channel(S-channel)構造と呼ぶ。
導電体205は、絶縁体214および絶縁体216の開口の内壁に接して導電体205aが形成され、さらに内側に導電体205bが形成されている。ここで、導電体205aおよび導電体205bの上面の高さと、絶縁体216の上面の高さは同程度にできる。なお、トランジスタ200では、導電体205aおよび導電体205bを積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体205bのみを設ける構成にしてもよい。
なお、導電体203は、導電体260と同様にチャネル幅方向に延伸されており、導電体205、すなわち第2のゲート電極に電位を印加する配線として機能する。ここで、第2のゲート電極の配線として機能する導電体203の上に積層して、絶縁体214および絶縁体216に埋め込まれた導電体205を設ける。導電体203上に導電体205を設けることで、第1のゲート電極、および配線としての機能を有する導電体260と、導電体203との距離を適宜設計することが可能となる。つまり、導電体203と導電体260の間に絶縁体214および絶縁体216などが設けられ、導電体203と導電体260の間の寄生容量を低減し、絶縁耐圧を高めることができる。
また、導電体203と導電体260の間の寄生容量を低減することで、トランジスタのスイッチング速度を向上させ、高い周波数特性を有するトランジスタにすることができる。また、導電体203と導電体260の間の絶縁耐圧を高めることで、トランジスタ200の信頼性を向上させることができる。よって、絶縁体214および絶縁体216の膜厚を大きくすることが好ましい。なお、導電体203の延伸方向はこれに限られず、例えば、トランジスタ200のチャネル長方向に延伸されてもよい。
ここで、導電体205aおよび導電体203aは、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2など)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい)導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子など)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)導電性材料を用いることが好ましい。
導電体205a、および導電体203aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、導電体205bおよび導電体203bが酸化して導電率が低下することを防ぐことができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウムまたは酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。したがって、導電体205a、および導電体203aとしては、上記導電性材料を単層または積層とすればよい。これにより、絶縁体210より基板側から、水素、水などの不純物が、導電体203、および導電体205を通じて、トランジスタ200側に拡散するのを抑制することができる。
また、導電体205bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。なお、導電体205bを単層で図示したが、積層構造としてもよく、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。
また、導電体203bは、配線として機能するため、導電体205bより導電性が高い導電体を用いることが好ましい。例えば、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることができる。また、導電体203bは積層構造としてもよく、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。
特に、導電体203に、銅を用いることが好ましい。銅は抵抗が小さいため、配線等に用いることが好ましい。一方、銅は拡散しやすいため、酸化物230に拡散することで、トランジスタ200の特性を低下させる場合がある。そこで、絶縁体214には、銅の透過性が低い酸化アルミニウム、または酸化ハフニウムなどの材料を用いることで、銅の拡散を抑えることができる。
絶縁体210および絶縁体214は、水または水素などの不純物が、基板側からトランジスタに混入するのを防ぐバリア絶縁膜として機能することが好ましい。したがって、絶縁体210および絶縁体214は、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2など)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい)絶縁性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子など)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)絶縁性材料を用いることが好ましい。
例えば、絶縁体210として酸化アルミニウムなどを用い、絶縁体214として窒化シリコンなどを用いることが好ましい。これにより、水素、水などの不純物が絶縁体210および絶縁体214よりトランジスタ側に拡散するのを抑制することができる。または、絶縁体224などに含まれる酸素が、絶縁体210および絶縁体214より基板側に、拡散するのを抑制することができる。
また、導電体203の上に導電体205を積層して設ける構成にすることにより、導電体203と導電体205の間に絶縁体214を設けることができる。ここで、導電体203bに銅など拡散しやすい金属を用いても、絶縁体214として窒化シリコンなどを設けることにより、当該金属が絶縁体214より上の層に拡散するのを防ぐことができる。
また、層間膜として機能する絶縁体212、絶縁体216、および絶縁体280は、絶縁体210、または絶縁体214よりも誘電率が低いことが好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。
例えば、絶縁体212、絶縁体216、および絶縁体280として、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)または(Ba,Sr)TiO3(BST)などの絶縁体を単層または積層で用いることができる。またはこれらの絶縁体に、例えば酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。またはこれらの絶縁体を窒化処理してもよい。上記の絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは窒化シリコンを積層して用いてもよい。
絶縁体220、絶縁体222、および絶縁体224は、ゲート絶縁体としての機能を有する。
ここで、酸化物230と接する絶縁体224は、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁体を用いることが好ましい。つまり、絶縁体224には、過剰酸素領域が形成されていることが好ましい。このような過剰酸素を含む絶縁体を酸化物230に接して設けることにより、酸化物230中の酸素欠損を低減し、信頼性を向上させることができる。
過剰酸素領域を有する絶縁体として、具体的には、加熱により一部の酸素が脱離する酸化物材料を用いることが好ましい。加熱により酸素を脱離する酸化物とは、TDS(Thermal Desorption Spectroscopy)分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm3以上、好ましくは3.0×1020atoms/cm3以上である酸化物膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上400℃以下の範囲が好ましい。
また、絶縁体224が、過剰酸素領域を有する場合、絶縁体222は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子など)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)ことが好ましい。
絶縁体222が、酸素の拡散を抑制する機能を有することで、過剰酸素領域の酸素は、絶縁体220側へ拡散することなく、効率よく酸化物230へ供給することができる。また、導電体205が、絶縁体224が有する過剰酸素領域の酸素と反応することを抑制することができる。
絶縁体222は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)または(Ba,Sr)TiO3(BST)などのいわゆるhigh-k材料を含む絶縁体を単層または積層で用いることが好ましい。ゲート絶縁体として機能する絶縁体に、high-k材料を用いることで、トランジスタの微細化、および高集積化が可能となる。特に、酸化アルミニウム、および酸化ハフニウム、などの、不純物、および酸素などの拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)絶縁性材料を用いることが好ましい。このような材料を用いて形成した場合、酸化物230からの酸素の放出や、トランジスタ200の周辺部からの水素等の不純物の混入を防ぐ層として機能する。
または、これらの絶縁体に、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。またはこれらの絶縁体を窒化処理してもよい。上記の絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは窒化シリコンを積層して用いてもよい。
また、絶縁体220は、熱的に安定していることが好ましい。例えば、酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、high-k材料の絶縁体と組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。
なお、絶縁体220、絶縁体222、および絶縁体224が、2層以上の積層構造を有していてもよい。その場合、同じ材料からなる積層構造に限定されず、異なる材料からなる積層構造でもよい。
なお、トランジスタ200では、上面視において、絶縁体224の4辺が酸化物230の4辺と重なるように形成されているが、本発明はこれに限られない。例えば、図4乃至図6に示すように、上面視において、絶縁体224の4辺が酸化物230の4辺と重ならず、絶縁体224の面積が酸化物230の面積よりも大きい構成でもよい。
酸化物230は、酸化物230aと、酸化物230a上の酸化物230bと、酸化物230b上の酸化物230cと、を有する。
トランジスタ200をオンさせると、領域231は、ソース領域、またはドレイン領域として機能する。一方、上面視において、酸化物230の絶縁体250と重なる領域の少なくとも一部は、チャネルが形成される領域として機能する。
また、酸化物230bは、下方に酸化物230aを有し、上方に酸化物230cを有する。酸化物230aは、酸化物230bに入り込みうる不純物の拡散を抑制する機能を有する。また、酸化物230cは、酸化物230bに入りこみうる不純物の拡散を抑制する機能を有する。
また、酸化物230の側面と、酸化物230の上面との間に、湾曲面を有する。つまり、側面の端部と上面の端部は、湾曲していることが好ましい(以下、ラウンド状ともいう)。湾曲面は、例えば、酸化物230bの端部において、曲率半径が、3nm以上10nm以下、好ましくは、5nm以上6nm以下とすることが好ましい。
酸化物230は、酸化物半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう)を用いることが好ましい。例えば、チャネル形成領域となる金属酸化物としては、バンドギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上のものを用いることが好ましい。このように、バンドギャップの大きい金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
なお、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。
酸化物半導体を用いたトランジスタは、非導通状態において極めてリーク電流が小さいため、低消費電力の半導体装置を提供できる。また、酸化物半導体は、スパッタリング法などを用いて成膜できるため、高集積型の半導体装置を構成するトランジスタに用いることができる。
例えば、酸化物230として、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種)等の金属酸化物を用いるとよい。また、酸化物230として、In-Ga酸化物、In-Zn酸化物を用いてもよい。
酸化物230は、各金属元素の原子数比が異なる酸化物により、積層構造を有することが好ましい。具体的には、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cの積層構造を有する場合、酸化物230aまたは/および酸化物230cに用いる金属酸化物において、構成元素中の元素Mの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、構成元素中の元素Mの原子数比より、大きいことが好ましい。また、酸化物230aまたは/および酸化物230cに用いる金属酸化物において、Inに対する元素Mの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物230bに用いる金属酸化物において、元素Mに対するInの原子数比が、酸化物230aまたは/および酸化物230cに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より大きいことが好ましい。
なお、酸化物230において、チャネル形成領域として機能する領域と、ソース領域またはドレイン領域として機能する領域231とでは、導電性が異なることが好ましい。具体的には、酸化物230において、ソース領域またはドレイン領域として機能する領域231は、チャネル形成領域として機能する領域よりも導電性が高いことが好ましい。
ソース領域またはドレイン領域として機能する領域231は、酸化物230として設けられた金属酸化物に、インジウムなどの金属原子、または不純物を添加することで低抵抗化できる。なお、ソース領域またはドレイン領域として機能する領域231は、少なくとも、チャネル形成領域における酸化物230bよりも、導電性が高い。なお、領域231に不純物を添加するために、例えば、プラズマ処理、イオン化された原料ガスを質量分離して添加するイオン注入法、イオン化された原料ガスを質量分離せずに添加するイオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法などを用いて、インジウムなどの金属元素、および不純物の少なくとも一であるドーパントを添加すればよい。
つまり、領域231において、酸化物230のインジウムなどの金属元素の含有率を高くすることで、電子移動度を高くし、低抵抗化を図ることができる。
または、酸化物230に接して、不純物となる元素を含む絶縁体274を成膜することで、領域231に、不純物を添加することができる。
つまり、領域231は、酸素欠損を形成する元素、または酸素欠損に捕獲される元素を添加することで低抵抗化される。このような元素としては、代表的には、水素、ホウ素、炭素、窒素、フッ素、リン、硫黄、塩素、チタン、希ガス等が挙げられる。また、希ガス元素の代表例としては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、およびキセノン等がある。よって、領域231は、上記元素の一つまたは複数を含む構成にすればよい。
絶縁体250は、ゲート絶縁体として機能する。絶縁体250は、酸化物230cの上面に接して配置することが好ましい。絶縁体250は、加熱により酸素が放出される絶縁体を用いて形成することが好ましい。例えば、昇温脱離ガス分光法分析(TDS分析)にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm3以上、好ましくは3.0×1020atoms/cm3以上である酸化物膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上500℃以下の範囲が好ましい。
加熱により酸素が放出される絶縁体を、絶縁体250として、酸化物230cの上面に接して設けることにより、酸化物230bのチャネル形成領域に効果的に酸素を供給することができる。また、絶縁体224と同様に、絶縁体250中の水または水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。絶縁体250の膜厚は、1nm以上20nm以下とするのが好ましい。
第1のゲート電極として機能する導電体260は、導電体260a、導電体260a上の導電体260b、および導電体260b上の導電体260cを有する。導電体260aは、導電性酸化物を用いることが好ましい。例えば、酸化物230として用いることができる金属酸化物を用いることができる。特に、In-Ga-Zn系酸化物のうち、導電性が高い、金属の原子数比が[In]:[Ga]:[Zn]=4:2:3から4.1、およびその近傍値のものを用いることが好ましい。このような導電体260aを設けることで、導電体260bへの酸素の透過を抑制し、酸化によって導電体260bの電気抵抗値が増加することを防ぐことができる。
また、このような導電性酸化物を、スパッタリング法を用いて成膜することで、絶縁体250に酸素を添加し、酸化物230bに酸素を供給することが可能となる。これにより、酸化物230のチャネル形成領域の酸素欠損を低減することができる。
導電体260bは、例えばタングステンなどの金属を用いることができる。また、導電体260bとして、導電体260aに窒素などの不純物を添加して導電体260aの導電性を向上できる導電体を用いてもよい。例えば導電体260bは、窒化チタンなどを用いることが好ましい。また、導電体260cは、例えばタングステンなどの金属を用いることができる。
また、図3(C)に示すように、導電体205が、酸化物230におけるチャネル幅方向の端部よりも外側の領域において、延伸している場合、導電体260は、当該領域において、絶縁体250を介して、重畳していることが好ましい。つまり、酸化物230の側面の外側において、導電体205と、絶縁体250と、導電体260とは、積層構造を形成することが好ましい。
上記構成を有することで、導電体260、および導電体205に電位を印加した場合、導電体260から生じる電界と、導電体205から生じる電界と、がつながることで、閉回路を形成し、酸化物230のチャネル形成領域を覆うことができる。
つまり、第1のゲート電極としての機能を有する導電体260の電界と、第2のゲート電極としての機能を有する導電体205の電界によって、酸化物230のチャネル形成領域を電気的に取り囲むことができる。
また、導電体260cの上に、ハードマスクとして機能する絶縁体270を配置してもよい。絶縁体270を設けることで、導電体260の加工の際、導電体260の側面が略垂直、具体的には、導電体260の側面と基板表面のなす角を、75度以上100度以下、好ましくは80度以上95度以下とすることができる。導電体をこのような形状に加工することで、次に形成する絶縁体272を所望の形状に形成することができる。
また、絶縁体270は、水または水素などの不純物、および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いることが好ましい。例えば、酸化アルミニウムまたは酸化ハフニウムなどを用いることが好ましい。
また、絶縁体270の上に、絶縁体271を配置してもよい。絶縁体271を設けることで、酸化物230のチャネル形成領域上に形成される構造物の膜厚が厚くなる。そのため、酸化物230に接して、不純物となる元素を含む絶縁体274を成膜した場合、酸化物230のチャネル形成領域を除く領域(すなわち、ソース領域またはドレイン領域として機能する領域231)に、選択的に不純物を添加することができる。
また、バリア膜として機能する絶縁体272を、絶縁体250、導電体260、および絶縁体270の側面に接して設ける。
ここで、絶縁体272は、水または水素などの不純物、および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いるとよい。例えば、酸化アルミニウムまたは酸化ハフニウムなどを用いることが好ましい。これにより、絶縁体250中の酸素が外部に拡散することを防ぐことができる。また、絶縁体250の端部などから酸化物230に水素、水などの不純物が混入するのを抑制することができる。
絶縁体270および絶縁体272を設けることで、水または水素などの不純物、および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体で導電体260の上面と側面および絶縁体250の側面を覆うことができる。これにより、導電体260および絶縁体250を介して、水または水素などの不純物が酸化物230に混入することを防ぐことができる。したがって、絶縁体270は、ゲート電極の上面を保護するトップバリアとしての機能を有する。また、絶縁体272は、ゲート電極およびゲート絶縁体の側面を保護するサイドバリアとしての機能を有する。
また、トランジスタが微細化され、チャネル長が10nm以上30nm以下程度に形成されている場合、トランジスタ200の周辺に設けられる構造体に含まれる不純物元素が拡散し、酸化物230のソース領域とドレイン領域と、が電気的に導通する恐れがある。
そこで、本実施の形態に示すように、絶縁体272を形成することにより、絶縁体250および導電体260に水素、水などの不純物が混入するのを抑制し、かつ、絶縁体250中の酸素が外部に拡散することを防ぐことができる。したがって、第1のゲート電位が0Vのときに、ソース領域とドレイン領域が電気的に導通することを防ぐことができる。
絶縁体274は、絶縁体271、絶縁体272、酸化物230および絶縁体224を覆って設ける。ここで、絶縁体274は、絶縁体271および絶縁体272の上面に接し、かつ絶縁体272の側面に接して設けられる。
また、絶縁体274は、水または水素などの不純物、および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いることが好ましい。例えば、絶縁体274として、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムなどを用いることが好ましい。このような絶縁体274を形成することで、絶縁体274を透過して酸素が混入し、ソース領域または/およびドレイン領域の酸素欠損に酸素を供給して、キャリア密度が低下するのを防ぐことができる。また、絶縁体274を透過して水または水素などの不純物が混入し、ソース領域または/およびドレイン領域が過剰にチャネル形成領域側に拡張するのを防ぐことができる。
なお、絶縁体274を成膜することにより、ソース領域およびドレイン領域を設ける場合、絶縁体274は、水素および窒素の少なくとも一方を有することが好ましい。水素、または窒素などの不純物を有する絶縁体を絶縁体274に用いることで、水素または窒素などの不純物を酸化物230に添加して、酸化物230において、ソース領域およびドレイン領域を形成することができる。
絶縁体274の上に、層間膜として機能する絶縁体280を設けることが好ましい。絶縁体280は、絶縁体224などと同様に、膜中の水または水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。なお、絶縁体280の上に絶縁体210と同様の絶縁体を設けてもよい。
また、絶縁体280および絶縁体274に形成された開口に、導電体252aおよび導電体252bを配置する。導電体252aおよび導電体252bは、導電体260を挟んで対向して設ける。なお、導電体252aおよび導電体252bの上面の高さは、絶縁体280の上面と、同一平面上としてもよい。
導電体252aは、トランジスタ200のソース領域およびドレイン領域の一方として機能する領域231aと接しており、導電体252bはトランジスタ200のソース領域およびドレイン領域の他方として機能する領域231bと接している。よって、導電体252aはソース電極およびドレイン電極の一方として機能でき、導電体252bはソース電極およびドレイン電極の他方として機能できる。ソース領域およびドレイン領域は低抵抗化されているので、当該領域と導電体252a、および導電体252bとの接触抵抗を低減し、トランジスタ200のオン電流を大きくすることができる。
なお、絶縁体280および絶縁体274の開口の内壁に接して導電体252aが形成されている。当該開口の底部の少なくとも一部には酸化物230のソース領域またはドレイン領域の一方として機能する領域231aが位置しており、導電体252aが領域231aと接する。同様に、絶縁体280および絶縁体274の開口の内壁に接して導電体252bが形成されている。当該開口の底部の少なくとも一部には酸化物230のソース領域またはドレイン領域の他方として機能する領域231bが位置しており、導電体252bが領域231bと接する。
ここで、導電体252a(導電体252b)は、少なくとも酸化物230の上面と接し、さらに酸化物230の側面と接することが好ましい。特に、導電体252a(導電体252b)は、酸化物230のチャネル幅方向と交わる側面において、A3側の側面、およびA4側の側面の双方または一方と接することが好ましい。また、導電体252a(導電体252b)が、酸化物230のチャネル長方向と交わる側面において、A1側(A2側)の側面と接する構成にしてもよい。このように、導電体252a(導電体252b)が酸化物230の上面に加えて、酸化物230の側面と接する構成にすることにより、導電体252a(導電体252b)と酸化物230のコンタクト部の上面積を増やすことなく、コンタクト部の接触面積を増加させ、導電体252a(導電体252b)と酸化物230の接触抵抗を低減することができる。これにより、トランジスタのソース電極およびドレイン電極の微細化を図りつつ、オン電流を大きくすることができる。
導電体252aおよび導電体252bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、図示しないが、導電体252aおよび導電体252bは積層構造としてもよく、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。
導電体252を積層構造とする場合、絶縁体274、および絶縁体280と接する導電体には、導電体205aなどと同様に、水または水素などの不純物の透過を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。例えば、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタン、ルテニウムまたは酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。また、水または水素などの不純物の透過を抑制する機能を有する導電性材料は、単層または積層で用いてもよい。当該導電性材料を用いることで、絶縁体280より上層から水素、水などの不純物が、導電体252aおよび導電体252bを通じて酸化物230に混入するのを抑制することができる。
また、図示しないが、導電体252aの上面、および導電体252bの上面に接して、配線として機能する導電体を配置してもよい。配線として機能する導電体は、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、当該導電体は、積層構造としてもよく、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。なお、当該導電体は、導電体203などと同様に、絶縁体に設けられた開口に埋め込むように形成してもよい。
<半導体装置の構成材料>
以下では、半導体装置に用いることができる構成材料について説明する。
<<基板>>
トランジスタ200を形成する基板としては、例えば、絶縁体基板、半導体基板または導電体基板を用いればよい。絶縁体基板としては、例えば、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、安定化ジルコニア基板(イットリア安定化ジルコニア基板など)、樹脂基板などがある。また、半導体基板としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの半導体基板、または炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウムからなる化合物半導体基板などがある。さらには、前述の半導体基板内部に絶縁体領域を有する半導体基板、例えばSOI(Silicon On Insulator)基板などがある。導電体基板としては、黒鉛基板、金属基板、合金基板、導電性樹脂基板などがある。または、金属の窒化物を有する基板、金属の酸化物を有する基板などがある。さらには、導電体または半導体が設けられた絶縁体基板、導電体または絶縁体が設けられた半導体基板、半導体または絶縁体が設けられた導電体基板などがある。または、これらの基板に素子が設けられたものを用いてもよい。基板に設けられる素子としては、容量素子、抵抗素子、スイッチ素子、発光素子、記憶素子などがある。
また、基板として、可撓性基板を用いてもよい。なお、可撓性基板上にトランジスタを設ける方法としては、非可撓性の基板上にトランジスタを作製した後、トランジスタを剥離し、可撓性基板に転置する方法もある。その場合には、非可撓性基板とトランジスタとの間に剥離層を設けるとよい。また、基板が伸縮性を有してもよい。また、基板は、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性質を有してもよい。または、元の形状に戻らない性質を有してもよい。基板は、例えば、5μm以上700μm以下、好ましくは10μm以上500μm以下、さらに好ましくは15μm以上300μm以下の厚さとなる領域を有する。基板を薄くすると、トランジスタを有する半導体装置を軽量化することができる。また、基板を薄くすることで、ガラスなどを用いた場合にも伸縮性を有する場合や、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性質を有する場合がある。そのため、落下などによって基板上の半導体装置に加わる衝撃などを緩和することができる。すなわち、丈夫な半導体装置を提供することができる。
可撓性基板としては、例えば、金属、合金、樹脂もしくはガラス、またはそれらの繊維などを用いることができる。また、基板として、繊維を編みこんだシート、フィルムまたは箔などを用いてもよい。可撓性基板は、線膨張率が低いほど環境による変形が抑制されて好ましい。可撓性基板としては、例えば、線膨張率が1×10-3/K以下、5×10-5/K以下、または1×10-5/K以下である材質を用いればよい。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリルなどがある。特に、アラミドは、線膨張率が低いため、可撓性基板として好適である。
<<絶縁体>>
絶縁体としては、絶縁性を有する酸化物、窒化物、酸化窒化物、窒化酸化物、金属酸化物、金属酸化窒化物、金属窒化酸化物などがある。
ここで、ゲート絶縁体として機能する絶縁体には、比誘電率の高いhigh-k材料を用いることで、トランジスタの微細化、および高集積化が可能となる。一方、層間膜として機能する絶縁体には、比誘電率が低い材料を用いることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。したがって、絶縁体の機能に応じて、材料を選択するとよい。
また、比誘電率の高い絶縁体としては、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化物、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化窒化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化窒化物またはシリコンおよびハフニウムを有する窒化物などがある。
また、比誘電率が低い絶縁体としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンまたは樹脂などがある。
また、特に、酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定である。そのため、例えば、樹脂と組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の低い積層構造とすることができる。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネートまたはアクリルなどがある。また、例えば、酸化シリコン、および酸化窒化シリコンは、比誘電率の高い絶縁体と組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。
また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体で囲うことによって、トランジスタの電気特性を安定にすることができる。
水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。具体的には、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルなどの金属酸化物、窒化酸化シリコンまたは窒化シリコンなどを用いることができる。
例えば、絶縁体222、絶縁体214、および絶縁体210として、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体を用いればよい。なお、絶縁体222、絶縁体214、および絶縁体210は、酸化アルミニウムまたは酸化ハフニウムなどを有することが好ましい。
例えば、絶縁体212、絶縁体216、絶縁体220、絶縁体224、および、絶縁体250、としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。具体的には、酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは、窒化シリコンを有することが好ましい。
例えば、ゲート絶縁体として機能する絶縁体224および絶縁体250において、酸化アルミニウム、酸化ガリウムまたは酸化ハフニウムを酸化物230と接する構造とすることで、酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンに含まれるシリコンが、酸化物230に混入することを抑制することができる。一方、絶縁体224および絶縁体250において、酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを酸化物230と接する構造とすることで、酸化アルミニウム、酸化ガリウムまたは酸化ハフニウムと、酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンと、の界面にトラップセンターが形成される場合がある。当該トラップセンターは、電子を捕獲することでトランジスタの閾値電圧をプラス方向に変動させることができる場合がある。
絶縁体212、絶縁体216、絶縁体271、および絶縁体280は、比誘電率の低い絶縁体を有することが好ましい。例えば、絶縁体212、絶縁体216、絶縁体271、および絶縁体280は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンまたは樹脂などを有することが好ましい。または、絶縁体212、絶縁体216、絶縁体271、および絶縁体280は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコンまたは空孔を有する酸化シリコンと、樹脂と、の積層構造を有することが好ましい。酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、樹脂と組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の低い積層構造とすることができる。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネートまたはアクリルなどがある。
絶縁体270、および絶縁体272としては、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体を用いればよい。絶縁体270および絶縁体272としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジムまたは酸化タンタルなどの金属酸化物、窒化酸化シリコンまたは窒化シリコンなどを用いればよい。
<<導電体>>
導電体としては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウムなどから選ばれた金属元素を1種以上含む材料を用いることができる。また、リン等の不純物元素を含有させた多結晶シリコンに代表される、電気伝導度が高い半導体、ニッケルシリサイドなどのシリサイドを用いてもよい。
また、上記の材料で形成される導電層を複数積層して用いてもよい。例えば、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、窒素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、窒素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。
なお、トランジスタのチャネル形成領域に酸化物を用いる場合において、ゲート電極として機能する導電体には、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造を用いることが好ましい。この場合は、酸素を含む導電性材料をチャネル形成領域側に設けるとよい。酸素を含む導電性材料をチャネル形成領域側に設けることで、当該導電性材料から離脱した酸素がチャネル形成領域に供給されやすくなる。
特に、ゲート電極として機能する導電体として、チャネルが形成される金属酸化物に含まれる金属元素および酸素を含む導電性材料を用いることが好ましい。また、前述した金属元素および窒素を含む導電性材料を用いてもよい。例えば、窒化チタン、窒化タンタルなどの窒素を含む導電性材料を用いてもよい。また、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、シリコンを添加したインジウム錫酸化物を用いてもよい。また、窒素を含むインジウムガリウム亜鉛酸化物を用いてもよい。このような材料を用いることで、チャネルが形成される金属酸化物に含まれる水素を捕獲することができる場合がある。または、外方の絶縁体などから混入する水素を捕獲することができる場合がある。
導電体260a、導電体260b、導電体260c、導電体203a、導電体203b、導電体205a、導電体205b、導電体252a、および導電体252bとしては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウムなどから選ばれた金属元素を1種以上含む材料を用いることができる。また、リン等の不純物元素を含有させた多結晶シリコンに代表される、電気伝導度が高い半導体、ニッケルシリサイドなどのシリサイドを用いてもよい。
<<金属酸化物>>
酸化物230として、酸化物半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう)を用いることが好ましい。以下では、本発明の一態様に係る酸化物230に適用可能な金属酸化物について説明する。
酸化物半導体は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどが含まれていることが好ましい。また、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
ここでは、酸化物半導体が、インジウム、元素Mおよび亜鉛を有するIn-M-Zn酸化物である場合を考える。なお、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどとする。その他の元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウムなどがある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。
なお、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。
[金属酸化物の構成]
以下では、本発明の一態様で開示されるトランジスタに用いることができるCAC(Cloud-Aligned Composite)-OSの構成について説明する。
なお、本明細書等において、CAAC(c-axis aligned crystal)、およびCAC(Cloud-Aligned Composite)と記載する場合がある。CAACは結晶構造の一例を表し、CACは機能、または材料の構成の一例を表す。
CAC-OSまたはCAC-metal oxideとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。なお、CAC-OSまたはCAC-metal oxideを、トランジスタのチャネル形成領域に用いる場合、導電性の機能は、キャリアとなる電子(またはホール)を流す機能であり、絶縁性の機能は、キャリアとなる電子を流さない機能である。導電性の機能と、絶縁性の機能とを、それぞれ相補的に作用させることで、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC-OSまたはCAC-metal oxideに付与することができる。CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、それぞれの機能を分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、導電性領域、および絶縁性領域を有する。導電性領域は、上述の導電性の機能を有し、絶縁性領域は、上述の絶縁性の機能を有する。また、材料中において、導電性領域と、絶縁性領域とは、ナノ粒子レベルで分離している場合がある。また、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ材料中に偏在する場合がある。また、導電性領域は、周辺がぼけてクラウド状に連結して観察される場合がある。
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ0.5nm以上10nm以下、好ましくは0.5nm以上3nm以下のサイズで材料中に分散している場合がある。
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、異なるバンドギャップを有する成分により構成される。例えば、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、絶縁性領域に起因するワイドギャップを有する成分と、導電性領域に起因するナローギャップを有する成分と、により構成される。当該構成の場合、キャリアを流す際に、ナローギャップを有する成分において、主にキャリアが流れる。また、ナローギャップを有する成分が、ワイドギャップを有する成分に相補的に作用し、ナローギャップを有する成分に連動してワイドギャップを有する成分にもキャリアが流れる。このため、上記CAC-OSまたはCAC-metal oxideをトランジスタのチャネル形成領域に用いる場合、トランジスタのオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流、および高い電界効果移動度を得ることができる。
すなわち、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、マトリックス複合材(matrix composite)、または金属マトリックス複合材(metal matrix composite)と呼称することもできる。
[金属酸化物の構造]
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、CAAC-OS(c-axis aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc-OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)および非晶質酸化物半導体などがある。
CAAC-OSは、c軸配向性を有し、かつa-b面方向において複数のナノ結晶が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。なお、歪みとは、複数のナノ結晶が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。
ナノ結晶は、六角形を基本とするが、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合がある。また、歪みにおいて、五角形、および七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリーともいう)を確認することは難しい。すなわち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためである。
また、CAAC-OSは、インジウム、および酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛、および酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能であり、(M,Zn)層の元素Mがインジウムと置換した場合、(In,M,Zn)層と表すこともできる。また、In層のインジウムが元素Mと置換した場合、(In,M)層と表すこともできる。
CAAC-OSは結晶性の高い酸化物半導体である。一方、CAAC-OSは、明確な結晶粒界を確認することが難しいため、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。したがって、CAAC-OSを有する酸化物半導体は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する酸化物半導体は熱に強く、信頼性が高い。
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。a-like OSは、鬆または低密度領域を有する。すなわち、a-like OSは、nc-OSおよびCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。
酸化物半導体は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
[酸化物半導体を有するトランジスタ]
続いて、上記酸化物半導体をトランジスタに用いる場合について説明する。
なお、上記酸化物半導体をトランジスタに用いることで、オン電流が大きく、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。また、極めてオフ電流が小さいトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
また、トランジスタには、キャリア密度の低い酸化物半導体を用いることが好ましい。酸化物半導体のキャリア密度を低くするためには、酸化物半導体中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性または実質的に高純度真性という。例えば、酸化物半導体は、キャリア密度が8×1011/cm3未満、好ましくは1×1011/cm3未満、さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10-9/cm3以上とすればよい。
また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
また、酸化物半導体のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体をチャネル形成領域に有するトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
したがって、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物半導体中の不純物濃度を低減することが有効である。また、酸化物半導体中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
[不純物]
ここで、酸化物半導体中における各不純物の影響について説明する。
酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸化物半導体において欠陥準位が形成される。このため、酸化物半導体におけるシリコンや炭素の濃度と、酸化物半導体との界面近傍のシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
また、酸化物半導体にアルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。したがって、アルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれている酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、ノーマリーオン特性になりやすい。このため、酸化物半導体中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を低減することが好ましい。具体的には、SIMSにより得られる酸化物半導体中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。
また、酸化物半導体において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタはノーマリーオン特性になりやすい。したがって、当該酸化物半導体において、窒素はできる限り低減されていることが好ましい、例えば、酸化物半導体中の窒素濃度は、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とする。
また、酸化物半導体に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成する場合がある。当該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。したがって、水素が含まれている酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタはノーマリーオン特性になりやすい。このため、酸化物半導体中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満とする。
不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
<半導体装置の構成例2>
以下では、図4を用いて、本発明の一態様に係るトランジスタ200を有する半導体装置の一例について説明する。
図4(A)は、トランジスタ200を有する半導体装置の上面図である。また、図4(B)、および図4(C)は当該半導体装置の断面図である。ここで、図4(B)は、図4(A)にA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル長方向の断面図でもある。また、図4(C)は、図4(A)にA3-A4の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面図でもある。図4(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
なお、図4に示す半導体装置において、<半導体装置の構成例1>に示した半導体装置を構成する構造と同機能を有する構造には、同符号を付記する。
以下、トランジスタ200の構成について、それぞれ図4を用いて説明する。なお、本項目においても、トランジスタ200の構成材料については<半導体装置の構成例1>で詳細に説明した材料を用いることができる。
[トランジスタ200]
図4に示すように、トランジスタ200は、<半導体装置の構成例1>に示した半導体装置とは、絶縁体224と酸化物230の形状が異なる。
具体的には、図4に示すように、上面視において、絶縁体224の4辺と酸化物230の4辺とが重なっておらず、絶縁体224の面積が酸化物230の面積よりも大きい。また、絶縁体250と重なる領域において、酸化物230b上に、酸化物230cが設けられている。
上述のように、図4で示すトランジスタ200は、<半導体装置の構成例1>で説明したトランジスタ200と異なり、上面視における絶縁体224の面積が、酸化物230の面積よりも大きい。そのため、図4で示すトランジスタ200の絶縁体224は、<半導体装置の構成例1>で説明したトランジスタ200の絶縁体224よりも多くの過剰酸素を有することができ、酸化物230に対してより多くの酸素を供給することができる。その結果、図4で示すトランジスタ200は、チャネル形成領域に酸素欠陥の少ない酸化物230を有することができ、良好な電気特性と信頼性を提供することができる。
なお、図4(B)および図4(C)において、絶縁体224の厚さが、酸化物230と重なる領域よりも酸化物230と重ならない領域のほうが薄く示されているが、この限りではない。絶縁体224の厚さが、酸化物230と重なる領域と重ならない領域とで、同程度であってもよい。
また、上述したように、絶縁体250と重なる領域において、酸化物230b上に、酸化物230cが設けられている。当該構造とすることで、絶縁体250より上部から、チャネル形成領域を有する酸化物230bに、不純物が混入するのを抑制することができる。
酸化物230aの側面と酸化物230bの側面は同一面上となるように、設けられていることが好ましい。また、酸化物230cの側面は、絶縁体250、導電体260、および絶縁体270の側面と同一面上となるように、設けられていることが好ましい。
また、トランジスタ200のチャネル形成領域は、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cのすべてに形成されてもよいが、これに限られない。例えば、当該領域は、少なくとも酸化物230bに形成されていればよい。また、トランジスタ200のソース領域またはドレイン領域として機能する領域231(領域231a、および領域231b)は、酸化物230aと酸化物230bの双方に形成されてもよいが、これに限られない。例えば、当該領域は、少なくとも酸化物230bに形成されていればよい。
また、酸化物230aおよび酸化物230cの伝導帯下端のエネルギーが、酸化物230bの伝導帯下端のエネルギーより高くなることが好ましい。言い換えると、酸化物230aおよび酸化物230cの電子親和力が、酸化物230bの電子親和力より小さいことが好ましい。
ここで、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cにおいて、伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化していることが好ましい。換言すると、連続的に変化または連続接合していることが好ましい。このようにするためには、酸化物230aと酸化物230bとの界面、および酸化物230bと酸化物230cとの界面において形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
具体的には、酸化物230aと酸化物230b、酸化物230bと酸化物230cが、酸素以外に共通の元素を有する(主成分とする)ことで、欠陥準位密度が低い混合層を形成することができる。例えば、酸化物230bがIn-Ga-Zn酸化物の場合、酸化物230aおよび酸化物230cとして、In-Ga-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、酸化ガリウムなどを用いるとよい。
このとき、キャリアの主たる経路は酸化物230bに形成されるナローギャップ部分となる。酸化物230aと酸化物230bとの界面、および酸化物230bと酸化物230cとの界面における欠陥準位密度を低くすることができるため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さく、高いオン電流が得られる。
<半導体装置の構成例3>
以下では、図5を用いて、本発明の一態様に係るトランジスタ200を有する半導体装置の一例について説明する。
図5(A)は、トランジスタ200を有する半導体装置の上面図である。また、図5(B)、および図5(C)は当該半導体装置の断面図である。ここで、図5(B)は、図5(A)にA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル長方向の断面図でもある。また、図5(C)は、図5(A)にA3-A4の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面図でもある。図5(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
なお、図5に示す半導体装置において、<半導体装置の構成例1>に示した半導体装置を構成する構造と同機能を有する構造には、同符号を付記する。
以下、トランジスタ200の構成について、それぞれ図5を用いて説明する。なお、本項目においても、トランジスタ200の構成材料については<半導体装置の構成例1>で詳細に説明した材料を用いることができる。
[トランジスタ200]
図5に示すように、トランジスタ200は、<半導体装置の構成例1>に示した半導体装置とは、絶縁体224の形状と酸化物230の構成が異なる。
具体的には、図5に示すように、上面視において、絶縁体224の4辺と酸化物230の4辺とが重なっておらず、絶縁体224の面積が酸化物230の面積よりも大きい。また、酸化物230は、酸化物230aと、酸化物230a上の酸化物230bと、の2層構造を有する。
上述のように、図5で示すトランジスタ200は、<半導体装置の構成例1>で説明したトランジスタ200と異なり、上面視における絶縁体224の面積が、酸化物230の面積よりも大きい。そのため、図5で示すトランジスタ200の絶縁体224は、<半導体装置の構成例1>で説明したトランジスタ200の絶縁体224よりも多くの過剰酸素を有することができ、酸化物230に対してより多くの酸素を供給することができる。その結果、図5で示すトランジスタ200は、チャネル形成領域に酸素欠陥の少ない酸化物230を有することができ、良好な電気特性と信頼性を提供することができる。
なお、図5(B)および図5(C)において、絶縁体224の厚さが、酸化物230と重なる領域よりも酸化物230と重ならない領域のほうが薄く示されているが、この限りではない。絶縁体224の厚さが、酸化物230と重なる領域と重ならない領域とで、同程度であってもよい。
また、図5に示すように、酸化物230が、酸化物230aおよび酸化物230bの2層構造の場合、トランジスタ200のチャネル形成領域、およびソース領域またはドレイン領域として機能する領域231(領域231a、および領域231b)は、酸化物230aと酸化物230bの双方に形成されてもよいが、これに限られない。例えば、これらの領域は、少なくとも酸化物230bに形成されていればよい。
また、図5に示すように、酸化物230が、酸化物230aおよび酸化物230bの2層構造の場合、酸化物230aの伝導帯下端のエネルギーが、酸化物230bの伝導帯下端のエネルギーより高くなることが好ましい。言い換えると、酸化物230aの電子親和力が、酸化物230bの電子親和力より小さいことが好ましい。
ここで、酸化物230a、および酸化物230bにおいて、伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化していることが好ましい。換言すると、連続的に変化または連続接合していることが好ましい。このようにするためには、酸化物230aと酸化物230bとの界面において形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
具体的には、酸化物230aと酸化物230bが、酸素以外に共通の元素を有する(主成分とする)ことで、欠陥準位密度が低い混合層を形成することができる。例えば、酸化物230bがIn-Ga-Zn酸化物の場合、酸化物230aとして、In-Ga-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、酸化ガリウムなどを用いるとよい。
このとき、キャリアの主たる経路は酸化物230bに形成されるナローギャップ部分となる。酸化物230aと酸化物230bとの界面における欠陥準位密度を低くすることができるため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さく、高いオン電流が得られる。
<半導体装置の構成例4>
以下では、図6を用いて、本発明の一態様に係るトランジスタ200を有する半導体装置の一例について説明する。
図6(A)は、トランジスタ200を有する半導体装置の上面図である。また、図6(B)、および図6(C)は当該半導体装置の断面図である。ここで、図6(B)は、図6(A)にA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル長方向の断面図でもある。また、図6(C)は、図6(A)にA3-A4の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面図でもある。図6(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
なお、図6に示す半導体装置において、<半導体装置の構成例1>に示した半導体装置を構成する構造と同機能を有する構造には、同符号を付記する。
以下、トランジスタ200の構成について、それぞれ図6を用いて説明する。なお、本項目においても、トランジスタ200の構成材料については<半導体装置の構成例1>で詳細に説明した材料を用いることができる。
[トランジスタ200]
図6に示すように、トランジスタ200は、<半導体装置の構成例1>に示した半導体装置とは、絶縁体224と酸化物230の形状が異なる。
具体的には、図6に示すように、上面視において、絶縁体224の4辺と酸化物230の4辺とが重なっておらず、絶縁体224の面積が酸化物230の面積よりも大きい。また、酸化物230cが、酸化物230aおよび酸化物230bを覆って設けられている。
上述のように、図6で示すトランジスタ200は、<半導体装置の構成例1>で説明したトランジスタ200と異なり、上面視における絶縁体224の面積が、酸化物230の面積よりも大きい。そのため、図6で示すトランジスタ200の絶縁体224は、<半導体装置の構成例1>で説明したトランジスタ200の絶縁体224よりも多くの過剰酸素を有することができ、酸化物230に対してより多くの酸素を供給することができる。その結果、図6で示すトランジスタ200は、チャネル形成領域に酸素欠陥の少ない酸化物230を有することができ、良好な電気特性と信頼性を提供することができる。
なお、図6(B)および図6(C)において、絶縁体224の厚さが、酸化物230と重なる領域よりも酸化物230と重ならない領域のほうが薄く示されているが、この限りではない。絶縁体224の厚さが、酸化物230と重なる領域と重ならない領域とで、同程度であってもよい。
また、上述したように、酸化物230cが、酸化物230aおよび酸化物230bを覆って設けられている。つまり、酸化物230bは、酸化物230a、および酸化物230cにより包囲されている。当該構造とすることで、酸化物230bに、外部から不純物が混入するのを抑制することができる。
酸化物230aの側面と酸化物230bの側面は同一面上となるように、設けられていることが好ましい。また、酸化物230cは、酸化物230aおよび酸化物230bを覆って形成されることが好ましい。例えば、酸化物230cは、酸化物230aの側面、酸化物230bの上面および側面、ならびに絶縁体224の上面の一部に接して形成される。ここで、酸化物230cを上面から見ると、酸化物230cの側面は、酸化物230aおよび酸化物230bの側面の外側に位置する。当該構造とすることで、トランジスタ200が、導電体252と電気的に接続する場合、絶縁体224上においても、酸化物230cを介して導通するため、オーミック接触が良好となる。
また、トランジスタ200のチャネル形成領域、およびソース領域またはドレイン領域として機能する領域231(領域231a、および領域231b)は、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cのすべてに形成されてもよいが、これに限られない。例えば、これらの領域は、少なくとも酸化物230bに形成されていればよい。
また、酸化物230aおよび酸化物230cの伝導帯下端のエネルギーが、酸化物230bの伝導帯下端のエネルギーより高くなることが好ましい。言い換えると、酸化物230aおよび酸化物230cの電子親和力が、酸化物230bの電子親和力より小さいことが好ましい。
ここで、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cにおいて、伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化していることが好ましい。換言すると、連続的に変化または連続接合していることが好ましい。このようにするためには、酸化物230aと酸化物230bとの界面、および酸化物230bと酸化物230cとの界面において形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
具体的には、酸化物230aと酸化物230b、酸化物230bと酸化物230cが、酸素以外に共通の元素を有する(主成分とする)ことで、欠陥準位密度が低い混合層を形成することができる。例えば、酸化物230bがIn-Ga-Zn酸化物の場合、酸化物230aおよび酸化物230cとして、In-Ga-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、酸化ガリウムなどを用いるとよい。
このとき、キャリアの主たる経路は酸化物230bに形成されるナローギャップ部分となる。酸化物230aと酸化物230bとの界面、および酸化物230bと酸化物230cとの界面における欠陥準位密度を低くすることができるため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さく、高いオン電流が得られる。
<半導体装置の変形例>
以下では、図16を用いて、本実施の形態に示すトランジスタの変形例について説明する。
図16(A)は、トランジスタ200を有する半導体装置の上面図である。また、図16(B)は、図16(A)にA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル長方向の断面図でもある。また、図16(C)は、図16(A)にA3-A4の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面図でもある。図16(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
トランジスタ200は、一つのゲート電極に対して複数のチャネル形成領域を有するところが、図3(A)、図3(B)、および図3(C)に示すトランジスタ200の構成と異なる。トランジスタ200は、複数のチャネル形成領域を有することで大きなオン電流を得ることができる。また、それぞれのチャネル形成領域は、ゲート電極で覆われた構造、つまりs-channel構造となっているため、それぞれのチャネル形成領域において大きなオン電流を得ることができる。なお、図16は、3つのチャネル形成領域を有する一例を示すが、チャネル形成領域の数はこれに限定されない。その他の構成は、上述の図3(A)、図3(B)、および図3(C)に示したトランジスタ200の構成を参酌する。
<半導体装置の作製方法>
次に、本発明の一態様に係るトランジスタ200を有する半導体装置について、作製方法を図7乃至図15を用いて説明する。また、図7乃至図15において、各図の(A)は上面図を示す。また、各図の(B)は、各図の(A)に示すA1-A2の一点鎖線で示す部位に対応する断面図である。また、各図の(C)は、各図の(A)にA3-A4の一点鎖線で示す部位に対応する断面図である。
まず、基板(図示しない)を準備し、当該基板上に絶縁体210を成膜する。絶縁体210の成膜は、スパッタリング法、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、パルスレーザ堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法またはALD(Atomic Layer Deposition)法などを用いて行うことができる。
なお、CVD法は、プラズマを利用するプラズマCVD(PECVD:Plasma Enhanced CVD)法、熱を利用する熱CVD(TCVD:Thermal CVD)法、光を利用する光CVD(Photo CVD)法などに分類できる。さらに用いる原料ガスによって金属CVD(MCVD:Metal CVD)法、有機金属CVD(MOCVD:Metal Organic CVD)法に分けることができる。
プラズマCVD法は、比較的低温で高品質の膜が得られる。また、熱CVD法は、プラズマを用いないため、被処理物へのプラズマダメージを小さくすることが可能な成膜方法である。例えば、半導体装置に含まれる配線、電極、素子(トランジスタ、容量素子など)などは、プラズマから電荷を受け取ることでチャージアップする場合がある。このとき、蓄積した電荷によって、半導体装置に含まれる配線、電極、素子などが破壊される場合がある。一方、プラズマを用いない熱CVD法の場合、こういったプラズマダメージが生じないため、半導体装置の歩留まりを高くすることができる。また、熱CVD法では、成膜中のプラズマダメージが生じないため、欠陥の少ない膜が得られる。
また、ALD法も、被処理物へのプラズマダメージを小さくすることが可能な成膜方法である。また、ALD法も、成膜中のプラズマダメージが生じないため、欠陥の少ない膜が得られる。
CVD法およびALD法は、ターゲットなどから放出される粒子が堆積する成膜方法とは異なり、被処理物の表面における反応により膜が形成される成膜方法である。したがって、被処理物の形状の影響を受けにくく、良好な段差被覆性を有する成膜方法である。特に、ALD法は、優れた段差被覆性と、優れた厚さの均一性を有するため、アスペクト比の高い開口部の表面を被覆する場合などに好適である。ただし、ALD法は、比較的成膜速度が遅いため、成膜速度の速いCVD法などの他の成膜方法と組み合わせて用いることが好ましい場合もある。
CVD法およびALD法は、原料ガスの流量比によって、得られる膜の組成を制御することができる。例えば、CVD法およびALD法では、原料ガスの流量比によって、任意の組成の膜を成膜することができる。また、例えば、CVD法およびALD法では、成膜しながら原料ガスの流量比を変化させることによって、組成が連続的に変化した膜を成膜することができる。原料ガスの流量比を変化させながら成膜する場合、複数の成膜室を用いて成膜する場合と比べて、搬送や圧力調整にかかる時間の分、成膜にかかる時間を短くすることができる。したがって、半導体装置の生産性を高めることができる場合がある。
本実施の形態では、絶縁体210として、スパッタリング法によって酸化アルミニウムを成膜する。また、絶縁体210は、多層構造としてもよい。例えばスパッタリング法によって酸化アルミニウムを成膜し、当該酸化アルミニウム上にALD法によって酸化アルミニウムを成膜する構造としてもよい。または、ALD法によって酸化アルミニウムを成膜し、当該酸化アルミニウム上に、スパッタリング法によって酸化アルミニウムを成膜する構造としてもよい。
次に絶縁体210上に絶縁体212を成膜する。絶縁体212の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、絶縁体212として、CVD法によって酸化シリコンを成膜する。
次に、絶縁体212に絶縁体210に達する開口を形成する。開口とは、例えば、溝やスリットなども含まれる。また、開口が形成された領域を指して開口部とする場合がある。開口の形成はウエットエッチングを用いてもよいが、ドライエッチングを用いるほうが微細加工には好ましい。また、絶縁体210は、絶縁体212をエッチングして溝を形成する際のエッチングストッパ膜として機能する絶縁体を選択することが好ましい。例えば、溝を形成する絶縁体212に酸化シリコン膜を用いた場合は、絶縁体210は窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜を用いるとよい。
開口の形成後に、導電体203aとなる導電膜を成膜する。当該導電膜は、酸素の透過を抑制する機能を有する導電体を含むことが望ましい。例えば、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化チタンなどを用いることができる。またはタンタル、タングステン、チタン、モリブデン、アルミニウム、銅、モリブデンタングステン合金との積層膜とすることができる。導電体203aとなる導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
本実施の形態では、導電体203aとなる導電膜として、スパッタリング法によって窒化タンタルまたは、窒化タンタルの上に窒化チタンを積層した膜を成膜する。導電体203aとしてこのような金属窒化物を用いることにより、後述する導電体203bで銅など拡散しやすい金属を用いても、当該金属が導電体203aから外に拡散するのを防ぐことができる。
次に、導電体203aとなる導電膜上に、導電体203bとなる導電膜を成膜する。当該導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、導電体203bとなる導電膜として、銅などの低抵抗導電性材料を成膜する。
次に、CMP処理を行うことで、導電体203aとなる導電膜、ならびに導電体203bとなる導電膜の一部を除去し、絶縁体212を露出する。その結果、開口部のみに、導電体203aとなる導電膜、ならびに導電体203bとなる導電膜が残存する。これにより、上面が平坦な、導電体203aおよび導電体203bを含む導電体203を形成することができる(図7参照)。なお、当該CMP処理により、絶縁体212の一部が除去される場合がある。
次に、導電体203上に絶縁体214を成膜する。絶縁体214の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、絶縁体214として、CVD法によって窒化シリコンを成膜する。このように、絶縁体214として、窒化シリコンなどの銅が透過しにくい絶縁体を用いることにより、導電体203bに銅など拡散しやすい金属を用いても、当該金属が絶縁体214より上の層に拡散するのを防ぐことができる。
次に、絶縁体214上に絶縁体216を成膜する。絶縁体216の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、絶縁体216として、CVD法によって酸化シリコンを成膜する。
次に、絶縁体214および絶縁体216に、導電体203に達する開口を形成する。開口の形成はウエットエッチングを用いてもよいが、ドライエッチングを用いるほうが微細加工には好ましい。
開口の形成後に、導電体205aとなる導電膜を成膜する。導電体205aとなる導電膜は、酸素の透過を抑制する機能を有する導電性材料を含むことが好ましい。例えば、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化チタンなどを用いることができる。またはタンタル、タングステン、チタン、モリブデン、アルミニウム、銅、モリブデンタングステン合金との積層膜とすることができる。導電体205aとなる導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
本実施の形態では、導電体205aとなる導電膜として、スパッタリング法によって窒化タンタルを成膜する。
次に、導電体205aとなる導電膜上に、導電体205bとなる導電膜を成膜する。当該導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
本実施の形態では、導電体205bとなる導電膜として、CVD法によって窒化チタンを成膜し、当該窒化チタン上にCVD法によってタングステンを成膜する。
次に、CMP処理を行うことで、導電体205aとなる導電膜、ならびに導電体205bとなる導電膜の一部を除去し、絶縁体216を露出する。その結果、開口部のみに、導電体205a、および導電体205bとなる導電膜が残存する。これにより、上面が平坦な、導電体205aおよび導電体205bを含む導電体205を形成することができる(図7参照)。なお、当該CMP処理により、絶縁体216の一部が除去される場合がある。
次に、絶縁体216、および導電体205上に絶縁体220を成膜する。絶縁体220の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
本実施の形態では、絶縁体220として、CVD法によって酸化シリコンを成膜する。
次に、絶縁体220上に絶縁体222を成膜する。絶縁体222の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
特に、絶縁体222として、ALD法により、酸化ハフニウムを形成することが好ましい。ALD法により成膜された酸化ハフニウムは、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する。絶縁体222が、水素および水に対するバリア性を有することで、トランジスタ200の周辺に設けられた構造体に含まれる水素、および水は、トランジスタ200の内側へ拡散することなく、酸化物230中の酸素欠損の生成を抑制することができる。
本実施の形態では、絶縁体222として、ALD法によって酸化ハフニウムを成膜する。
次に、絶縁体222上に絶縁膜224Aを成膜する(図7参照)。絶縁膜224Aの成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
本実施の形態では、絶縁膜224Aとして、CVD法によって酸化シリコンを成膜する。
続いて、加熱処理を行うと好ましい。加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下、さらに好ましくは320℃以上450℃以下で行えばよい。加熱処理は、窒素または不活性ガス雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上もしくは10%以上含む雰囲気で行う。加熱処理は減圧状態で行ってもよい。または、加熱処理は、窒素または不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。
上記加熱処理によって、絶縁膜224Aに含まれる水素や水などの不純物を除去することなどができる。
または、加熱処理として、減圧状態で酸素を含むプラズマ処理を行ってもよい。酸素を含むプラズマ処理は、例えばマイクロ波を用いた高密度プラズマを発生させる電源を有する装置を用いることが好ましい。または、基板側にRF(Radio Frequency)を印加する電源を有してもよい。高密度プラズマを用いることにより、高密度の酸素ラジカルを生成することができ、基板側にRFを印加することで高密度プラズマによって生成された酸素ラジカルを効率よく絶縁膜224A内に導くことができる。または、この装置を用いて不活性ガスを含むプラズマ処理を行った後に、脱離した酸素を補うために酸素を含むプラズマ処理を行ってもよい。なお、加熱処理は行わなくてもよい場合がある。
また、加熱処理は、絶縁体220成膜後、および絶縁体222の成膜後のそれぞれに行うこともできる。当該加熱処理は、上述した加熱処理条件を用いることができるが、絶縁体220成膜後の加熱処理は、窒素を含む雰囲気中で行うことが好ましい。
本実施の形態では、加熱処理として、絶縁膜224A成膜後に窒素雰囲気にて400℃の温度で1時間の処理を行う。
次に、絶縁膜224A上に、酸化物230aとなる酸化膜230Aと、酸化物230bとなる酸化膜230Bと、酸化物230cとなる酸化膜230Cと、を順に成膜する(図8参照)。なお、上記酸化膜は、大気環境にさらさずに連続して成膜することが好ましい。大気開放せずに成膜することで、酸化膜230A、酸化膜230B、および酸化膜230C上に大気環境からの不純物または水分が付着することを防ぐことができ、酸化膜230Aと酸化膜230Bとの界面近傍、および酸化膜230Bと酸化膜230Cとの界面近傍を清浄に保つことができる。
酸化膜230A、酸化膜230B、および酸化膜230Cの成膜はスパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
例えば、酸化膜230A、酸化膜230B、および酸化膜230Cの成膜をスパッタリング法によって成膜する場合は、スパッタリングガスとして酸素、または、酸素と希ガスの混合ガスを用いる。スパッタリングガスに含まれる酸素の割合を高めることで、成膜される酸化膜中の過剰酸素を増やすことができる。また、上記の酸化膜の成膜をスパッタリング法によって成膜する場合は、上記のIn-M-Zn酸化物ターゲットを用いることができる。
特に、酸化膜230Aの成膜時に、スパッタリングガスに含まれる酸素の一部が絶縁膜224Aに供給される場合がある。なお、酸化膜230Aのスパッタリングガスに含まれる酸素の割合は70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは100%とすればよい。
また、酸化膜230Bをスパッタリング法で形成する場合、スパッタリングガスに含まれる酸素の割合を1%以上30%以下、好ましくは5%以上20%以下として成膜すると、酸素欠乏型の酸化物半導体が形成される。酸素欠乏型の酸化物半導体を用いたトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られる。
また、酸化膜230Cの成膜時に、スパッタリングガスに含まれる酸素の一部が酸化膜230Bに供給される場合がある。そのため、酸化膜230Cのスパッタリングガスに含まれる酸素の割合は70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは100%とすればよい。
本実施の形態では、酸化膜230Aとして、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]のターゲットを用いて成膜する。また、酸化膜230Bとして、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]のターゲットを用いて成膜する。また、酸化膜230Cとして、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]のターゲットを用いて成膜する。なお、各酸化膜は、成膜条件、および原子数比を適宜選択することで、酸化物230に求める特性に合わせて形成するとよい。
例えば、酸化膜230Cとして、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]のターゲットを用いて成膜してもよい。こうすることで、酸化膜230B(スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]のターゲットを用いて成膜)に含まれる酸素が、酸化膜230Cを介して外部に拡散するのを抑制することができる。また、外部からの水素や水などの不純物が酸化膜230Bに混入するのを、酸化膜230Cによって防ぐことができる。
また、酸化膜230Aとして、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]のターゲットを用いて成膜し、酸化膜230Bとして、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]のターゲットを用いて成膜し、酸化膜230Cとして、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]のターゲットを用いて成膜することで、酸化膜230Aおよび酸化膜230Cの伝導帯下端のエネルギーを、酸化膜230Bの伝導帯下端のエネルギーより高くすることができる。言い換えれば、酸化膜230Aおよび酸化膜230Cの電子親和力を、酸化膜230Bの電子親和力よりも小さくすることができる。酸化膜230Bは、後にトランジスタのキャリアの主たる経路となるため、酸化膜230A、酸化膜230B、および酸化膜230Cを上記構成とすることで、埋め込みチャネル構造を形成することができる。そのため、酸化膜230Bを、絶縁体224と酸化膜230Aとの界面および酸化膜230Cと絶縁体250との界面から遠ざけることができる。したがって、酸化膜230A、酸化膜230B、および酸化膜230Cを上記構成としたトランジスタは、当該界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さく、高いオン電流が得られる。
次に、加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、上述した加熱処理条件を用いることができる。加熱処理によって、酸化膜230A、酸化膜230B、および酸化膜230C中の水素や水などの不純物を除去することなどができる。本実施の形態では、窒素雰囲気にて400℃の温度で1時間の処理を行った後に、連続して酸素雰囲気にて400℃の温度で1時間の処理を行う。
次に、酸化膜230A、酸化膜230B、および酸化膜230Cを島状に加工して、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cを形成する(図9参照)。なお、本工程によって、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cと重なっていない領域における絶縁膜224Aの膜厚が薄くなる場合がある。
ここで、酸化物230は、少なくとも一部が導電体205と重なるように形成する。また、酸化物230の側面は、絶縁体222に対し、略垂直であることが好ましい。酸化物230の側面が、絶縁体222に対し、略垂直であることで、複数のトランジスタ200を設ける際に、小面積化、高密度化が可能となる。なお、酸化物230の側面と絶縁体222の上面のなす角が鋭角になる構成にしてもよい。その場合、酸化物230の側面と絶縁体222の上面のなす角は大きいほど好ましい。
また、酸化物230の側面と、酸化物230の上面との間に、湾曲面を有する。つまり、側面の端部と上面の端部は、湾曲していることが好ましい(以下、ラウンド状ともいう)。湾曲面は、例えば、酸化物230bの端部において、曲率半径が、3nm以上10nm以下、好ましくは、5nm以上6nm以下とすることが好ましい。
なお、端部に角を有さないことで、以降の成膜工程における膜の被覆性が向上する。
なお、当該酸化膜の加工はリソグラフィー法を用いて行えばよい。また、当該加工はドライエッチング法やウエットエッチング法を用いることができる。ドライエッチング法による加工は微細加工に適している。
なお、リソグラフィー法では、まず、マスクを介してレジストを露光する。次に、露光された領域を、現像液を用いて除去または残存させてレジストマスクを形成する。次に、当該レジストマスクを介してエッチング処理することで導電体、半導体または絶縁体などを所望の形状に加工することができる。例えば、KrFエキシマレーザ光、ArFエキシマレーザ光、EUV(Extreme Ultraviolet)光などを用いて、レジストを露光することでレジストマスクを形成すればよい。また、基板と投影レンズとの間に液体(例えば水)を満たして露光する、液浸技術を用いてもよい。また、前述した光に代えて、電子ビームやイオンビームを用いてもよい。なお、電子ビームやイオンビームを用いる場合には、マスクは不要となる。なお、レジストマスクの除去には、アッシングなどのドライエッチング処理を行う、ウエットエッチング処理を行う、ドライエッチング処理後にウエットエッチング処理を行う、またはウエットエッチング処理後にドライエッチング処理を行うことができる。
また、レジストマスクの代わりに絶縁体や導電体からなるハードマスクを用いてもよい。ハードマスクを用いる場合、酸化膜230C上にハードマスク材料となる絶縁膜や導電膜を形成し、その上にレジストマスクを形成し、ハードマスク材料をエッチングすることで所望の形状のハードマスクを形成することができる。酸化膜230A、酸化膜230B、および酸化膜230Cのエッチングは、レジストマスクを除去してから行ってもよいし、レジストマスクを残したまま行ってもよい。後者の場合、エッチング中にレジストマスクが消失することがある。上記酸化膜のエッチング後にハードマスクをエッチングにより除去してもよい。一方、ハードマスクの材料が後工程に影響が無い、あるいは後工程で利用できる場合、必ずしもハードマスクを除去する必要は無い。
ドライエッチング装置としては、平行平板型電極を有する容量結合型プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)エッチング装置を用いることができる。平行平板型電極を有する容量結合型プラズマエッチング装置は、平行平板型電極の一方の電極に高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極の一方の電極に複数の異なった高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極それぞれに同じ周波数の高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極それぞれに周波数の異なる高周波電源を印加する構成でもよい。または高密度プラズマ源を有するドライエッチング装置を用いることができる。高密度プラズマ源を有するドライエッチング装置は、例えば、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)エッチング装置などを用いることができる。
また、上記ドライエッチングなどの処理を行うことによって、エッチングガスなどに起因した不純物が酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cなどの表面または内部に付着または拡散することがある。不純物としては、例えば、フッ素または塩素などがある。
上記の不純物などを除去するために、洗浄を行う。洗浄方法としては、洗浄液などを用いたウエット洗浄、プラズマを用いたプラズマ処理または、熱処理による洗浄などがあり、上記洗浄を適宜組み合わせて行ってもよい。
ウエット洗浄としては、シュウ酸、リン酸またはフッ化水素酸などを炭酸水または純水で希釈した水溶液を用いて洗浄処理を行ってもよい。または、純水または炭酸水を用いた超音波洗浄を行ってもよい。本実施の形態では、純水または炭酸水を用いた超音波洗浄を行う。
続いて、加熱処理を行ってもよい。加熱処理の条件は、前述の加熱処理の条件を用いることができる。
次に、絶縁体222、および酸化物230の上に、絶縁膜250A、導電膜260A、導電膜260B、導電膜260C、絶縁膜270A、および絶縁膜271Aを順に成膜する(図10参照)。
絶縁膜250Aは、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて成膜することができる。本実施の形態では、絶縁膜250Aとして、CVD法によって酸化シリコンを成膜する。
なお、マイクロ波で酸素を励起し、高密度な酸素プラズマを発生させ、当該酸素プラズマに絶縁膜250Aを曝すことで、絶縁膜250A、および酸化物230へ酸素を導入することができる。
また、加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、前述の加熱処理条件を用いることができる。当該加熱処理によって、絶縁膜250Aの水分濃度および水素濃度を低減させることができる。
導電膜260Aは、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて成膜することができる。ここで、例えば、酸化物230として用いることができる酸化物半導体は、低抵抗化処理を施すことで、導電性酸化物となる。そこで、導電膜260Aとして、酸化物230として用いることができる酸化物を成膜し、後の工程で当該酸化物を低抵抗化してもよい。なお、導電膜260Aに、酸化物230として用いることができる酸化物を、酸素を含む雰囲気において、スパッタリング法を用いて成膜することで、絶縁体250に酸素を添加することができる。絶縁体250に酸素を添加することで、添加された酸素は、絶縁体250を介して、酸化物230に酸素を供給することが可能となる。本実施の形態では、導電膜260Aとして、In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]のターゲットを用いたスパッタリング法によって、上述した酸化膜230Cと同じ膜を成膜する。
導電膜260Bは、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて成膜することができる。また、導電膜260Aに酸化物230として用いることができる酸化物半導体を用いた場合、導電膜260Bをスパッタリング法で成膜することで、導電膜260Aの電気抵抗値を低下させて導電体とすることができる。これをOC(Oxide Conductor)電極と呼ぶことができる。当該OC電極上の導電体上に、さらに導電体をスパッタリング法などによって成膜してもよい。本実施の形態では、導電膜260Bとして、スパッタリング法によって窒化チタンを成膜する。
導電膜260Cは、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて成膜することができる。本実施の形態では、導電膜260Cとして、スパッタリング法によってタングステンを成膜する。
続いて、加熱処理を行うことができる。加熱処理は、前述の加熱処理条件を用いることができる。なお、加熱処理は行わなくてもよい場合がある。
絶縁膜270Aは、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて成膜することができる。本実施の形態では、絶縁膜270Aとして、ALD法によって酸化アルミニウムを成膜する。絶縁膜270Aとして酸化アルミニウムを成膜することによって、外部からの水素や水などの不純物が、絶縁膜270Aよりも下層に混入するのを抑制することができる。また、酸化物230や絶縁体250などに含まれる酸素が、絶縁膜270Aの外部に流出するのを抑制することができる。
絶縁膜271Aは、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて成膜することができる。本実施の形態では、絶縁膜271Aとして、CVD法によって酸化シリコンを成膜する。
次に、絶縁膜271Aを、エッチングし、絶縁体271を形成する。続いて、絶縁体271をマスクとして、絶縁膜250A、導電膜260A、導電膜260B、導電膜260C、および絶縁膜270Aを、エッチングし、絶縁体250、導電体260(導電体260a、導電体260b、および導電体260c)、および絶縁体270を形成する(図11参照)。絶縁体250、導電体260a、導電体260b、導電体260c、絶縁体270、および絶縁体271は、少なくとも一部が、導電体205および酸化物230と重なるように形成する。
また、絶縁体250の側面、導電体260aの側面、導電体260bの側面、導電体260cの側面、および絶縁体270の側面は、同一面内であることが好ましい。
また、絶縁体250の側面、導電体260aの側面、導電体260bの側面、導電体260cの側面、および絶縁体270の側面が共有する同一面は、基板に対し、略垂直であることが好ましい。つまり、断面形状において、絶縁体250、導電体260a、導電体260b、導電体260c、および絶縁体270の側面は、酸化物230の上面に対する角度が、鋭角、かつ大きいほど好ましい。なお、断面形状において、絶縁体250、導電体260a、導電体260b、導電体260c、および絶縁体270の側面と、酸化物230の上面のなす角が鋭角になる構成にしてもよい。その場合、絶縁体250、導電体260a、導電体260b、導電体260c、および絶縁体270の側面と、酸化物230の上面のなす角は大きいほど好ましい。
また、上記エッチングにより、酸化物230の絶縁体250と重ならない領域の上部がエッチングされる場合がある。この場合、酸化物230の絶縁体250と重なる領域の膜厚が、絶縁体250と重ならない領域の膜厚より厚くなる場合がある。
次に、絶縁体222、絶縁体224、酸化物230、絶縁体250、導電体260、絶縁体270、および絶縁体271を覆って、絶縁膜272Aを成膜する(図12参照)。絶縁膜272Aとして、スパッタリング装置により成膜することが好ましい。スパッタリング法を用いることで、容易に絶縁膜272Aと接する絶縁体250、および絶縁体224に過剰酸素領域を形成することができる。
ここで、スパッタリング法による成膜時には、ターゲットと基板との間には、イオンとスパッタされた粒子とが存在する。例えば、ターゲットは、電源が接続されており、電位E0が与えられる。また、基板は、接地電位などの電位E1が与えられる。ただし、基板が電気的に浮いていてもよい。また、ターゲットと基板の間には電位E2となる領域が存在する。各電位の大小関係は、E2>E1>E0である。
プラズマ内のイオンが、電位差E2-E0によって加速され、ターゲットに衝突することにより、ターゲットからスパッタされた粒子がはじき出される。このスパッタされた粒子が成膜表面に付着し、堆積することにより成膜が行われる。また、一部のイオンはターゲットによって反跳し、反跳イオンとして形成された膜を通過し、被成膜面と接する絶縁体250、および絶縁体224に取り込まれる場合がある。また、プラズマ内のイオンは、電位差E2-E1によって加速され、成膜表面を衝撃する。この際、一部のイオンは、絶縁体250、および絶縁体224内部まで到達する。イオンが絶縁体250、および絶縁体224に取り込まれることにより、イオンが取り込まれた領域が絶縁体250、および絶縁体224に形成される。つまり、イオンが酸素を含むイオンであった場合において、絶縁体250、および絶縁体224に過剰酸素領域が形成される。
絶縁体250、および絶縁体224に過剰な酸素を導入することで、過剰酸素領域を形成することができる。絶縁体250、および絶縁体224の過剰な酸素は、酸化物230に供給され、酸化物230の酸素欠損を補填することができる。
したがって、絶縁膜272Aを成膜する手段として、スパッタリング装置を用いて、酸素ガス雰囲気下で成膜を行うことで、絶縁膜272Aを成膜しながら、絶縁体250、および絶縁体224に酸素を導入することができる。例えば、絶縁膜272Aに、バリア性を有する酸化アルミニウムを用いることで、絶縁体250に導入した過剰酸素を、効果的に封じ込めることができる。
また、絶縁膜272Aの成膜は、ALD法を用いてもよい。ALD法を用いることで、絶縁体250、導電体260、絶縁体270、および絶縁体271の側面に対して、より被覆性が良好な絶縁膜272Aを成膜することができる。本実施の形態では、絶縁膜272Aとして、ALD法によって酸化アルミニウムを成膜する。絶縁膜272Aとして酸化アルミニウムを成膜することによって、外部からの水素や水などの不純物が、絶縁膜272Aよりも下層に混入するのを抑制することができる。また、酸化物230や絶縁体250などに含まれる酸素が、絶縁膜272Aの外部に流出するのを抑制することができる。
次に、絶縁膜272Aに異方性のエッチング処理を行い、絶縁体250、導電体260、および絶縁体270の側面に接して、絶縁体272を形成する(図13参照)。異方性のエッチング処理としては、ドライエッチング処理を行うことが好ましい。これにより、基板面に略平行な面に成膜された当該絶縁膜を除去して、絶縁体272を自己整合的に形成することができる。
ここで、絶縁体271の膜厚を絶縁膜272Aの膜厚より厚く形成しておくことで、絶縁体271上部の絶縁膜272Aが除去されても、絶縁体271、および絶縁体272を残存させることができる。また、絶縁体250、導電体260、絶縁体270、および絶縁体271からなる構造体の高さを、酸化物230の高さよりも、高くすることで、酸化物230の側面の絶縁膜272Aを、除去することができる。さらに、酸化物230の端部をラウンド形状にしておくと、酸化物230の側面に接して成膜された絶縁膜272Aを除去するための時間が短縮され、より容易に絶縁体272を形成することができる。
また、図示しないが、酸化物230の側面にも絶縁膜272Aが残存していてもよい。その場合、後の工程で成膜する層間膜などの被膜性を高めることができる。また、酸化物230の側面に絶縁体が残存することで、酸化物230に混入する水または水素などの不純物を低減し、酸化物230から酸素が外方拡散するのを防ぐことができる場合がある。
酸化物230の側面に接して絶縁膜272Aの残存した構造体が形成されていることで、後の工程で、不純物となる元素を含む絶縁体274を成膜し、酸化物230にソース領域、およびドレイン領域を形成する場合、絶縁体224と酸化物230との界面領域は、低抵抗化されないため、リーク電流の発生を抑制することができる。
続いて、加熱処理を行うことができる。加熱処理は、前述の加熱処理条件を用いることができる。
次に、絶縁体222、絶縁体224、酸化物230、絶縁体272、絶縁体271を覆って、絶縁体274を成膜する(図14参照)。
酸化物230に接して、不純物となる元素を含む絶縁体274を成膜することで、酸化物230と絶縁体274とが接する領域に、不純物を添加することができる。
酸化物230に接して、不純物となる元素を含む絶縁体274を成膜する場合、酸化物230と絶縁体274とが接する領域には、絶縁体274の成膜雰囲気に含まれる水素または窒素などの不純物元素が添加される。酸化物230の絶縁体274と接する領域を中心に、添加された不純物元素により酸素欠損が形成され、さらに当該不純物元素が酸素欠損に入り込むことで、キャリア密度が高くなり、低抵抗化される。その際、絶縁体274と接しない、酸化物230と絶縁体272が重なる領域にも不純物が拡散することで、当該領域が低抵抗化される。
よって、酸化物230の絶縁体274と接する領域(ソース領域およびドレイン領域)は、絶縁体250と接する領域(チャネル形成領域)より、水素および窒素の少なくとも一方の濃度が大きくなることが好ましい。水素または窒素の濃度は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)などを用いて測定すればよい。ここで、チャネル形成領域の水素または窒素の濃度としては、酸化物230bの絶縁体250と重なる領域の中央近傍(例えば、酸化物230bの絶縁体250のチャネル長方向の両側面からの距離が概略等しい部分)の水素または窒素の濃度を測定すればよい。
なお、ソース領域およびドレイン領域は、酸素欠損を形成する元素、または酸素欠損に捕獲される元素を添加されることで低抵抗化される。このような元素としては、代表的には水素、ホウ素、炭素、窒素、フッ素、リン、硫黄、塩素、チタン、希ガス等が挙げられる。また、希ガス元素の代表例としては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、およびキセノン等がある。よって、ソース領域およびドレイン領域は、上記元素の一つまたは複数を含む構成にすればよい。
不純物となる元素を含む絶縁体274を成膜する場合、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
不純物となる元素を含む絶縁体274の成膜は、窒素または水素の少なくとも一方を含む雰囲気で行うことが好ましい。このような雰囲気で成膜を行うことで、酸化物230bおよび酸化物230cの絶縁体250と重ならない領域を中心に、酸素欠損を形成し、当該酸素欠損と窒素または水素などの不純物元素を結合させて、キャリア密度を高くすることができる。このようにして、低抵抗化された、ソース領域およびドレイン領域を形成することができる。絶縁体274としては、例えば、CVD法を用いて、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコンを成膜することができる。本実施の形態では、絶縁体274として、CVD法によって窒化シリコンを成膜する。
したがって、本実施の形態に示す半導体装置の作製方法では、チャネル長が10nmから30nm程度に微細化されたトランジスタでも、絶縁体274の成膜により、ソース領域およびドレイン領域を自己整合的に形成することができる。よって、微細化または高集積化された半導体装置も、歩留まり良く製造することができる。
ここで、導電体260および絶縁体250の上面および側面を、絶縁体270および絶縁体272で覆っておくことで、窒素または水素などの不純物元素が、導電体260および絶縁体250に混入することを防ぐことができる。これにより、窒素または水素などの不純物元素が、導電体260および絶縁体250を通って、トランジスタ200のチャネル形成領域に混入するのを防ぐことができる。したがって、良好な電気特性を有するトランジスタ200を提供することができる。
なお、上記において、絶縁体274の成膜による低抵抗化、を用いて、ソース領域およびドレイン領域を形成したが、本実施の形態はこれに限られるものではない。例えば、ドーパントの添加処理を行うことで、各領域を形成してもよい。また、プラズマ処理を用いてもよい。
例えば、絶縁体250、導電体260、絶縁体272、絶縁体270、および絶縁体271をマスクとして、酸化物230にプラズマ処理を行ってもよい。プラズマ処理は、上述の酸素欠損を形成する元素、または酸素欠損に捕獲される元素を含む雰囲気などで行えばよい。例えば、アルゴンガスと窒素ガスを用いてプラズマ処理を行えばよい。
次に、絶縁体274の上に、絶縁体280となる絶縁膜を成膜する。絶縁体280となる絶縁膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。または、スピンコート法、ディップ法、液滴吐出法(インクジェット法など)、印刷法(スクリーン印刷、オフセット印刷など)、ドクターナイフ法、ロールコーター法またはカーテンコーター法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、当該絶縁膜として、CVD法によって酸化窒化シリコンを成膜する。
次に、絶縁体280となる絶縁膜の一部を除去して、絶縁体280を形成する(図14参照)。絶縁体280は、上面が平坦性を有するように形成することが好ましい。例えば、絶縁体280は、絶縁体280となる絶縁膜として成膜した直後に上面が平坦性を有していてもよい。または、例えば、絶縁体280は、成膜後に基板裏面などの基準面と平行になるよう絶縁体などを上面から除去していくことで平坦性を有してもよい。このような処理を、平坦化処理と呼ぶ。平坦化処理としては、CMP処理、ドライエッチング処理などがある。本実施の形態では、平坦化処理として、CMP処理を用いる。ただし、絶縁体280の上面は必ずしも平坦性を有さなくてもよい。
次に、絶縁体280および絶縁体274に、酸化物230のソース領域に達する開口と、酸化物230のドレイン領域に達する開口と、を形成する。当該開口の形成は、リソグラフィー法を用いて行えばよい。
次に、導電体252a、および導電体252bとなる導電膜を成膜する。当該導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、導電体252a、および導電体252bとなる導電体として、CVD法によって窒化チタンを成膜し、当該窒化チタン上にCVD法によってタングステンを成膜する。
次に、CMP処理を行うことで、導電体252a、および導電体252bとなる導電膜の一部を除去し、絶縁体280を露出する。その結果、上記開口のみに、当該導電膜が残存することで、上面が平坦な導電体252a、および導電体252bを形成することができる(図15参照)。
以上により、トランジスタ200を有する半導体装置を作製することができる。図7乃至図15に示すように、本実施の形態に示す半導体装置の作製方法を用いることで、トランジスタ200を作製することができる。
本発明の一態様により、微細化または高集積化が可能な半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、良好な電気特性を有する半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、オフ電流の小さい半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、オン電流の大きい半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、消費電力が低減された半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、生産性の高い半導体装置を提供することができる。
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態や実施例などに示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、半導体装置の一形態を、図17を用いて説明する。
[記憶装置1]
図17に示す半導体装置は、トランジスタ300と、トランジスタ200、および容量素子100を有している。
トランジスタ200は、酸化物半導体を有する半導体層にチャネルが形成されるトランジスタである。トランジスタ200は、オフ電流が小さいため、これを記憶装置に用いることにより長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作を必要としない、あるいは、リフレッシュ動作の頻度が極めて少ないため、記憶装置の消費電力を十分に低減することができる。
図17に示す半導体装置において、配線3001はトランジスタ300のソースと電気的に接続され、配線3002はトランジスタ300のドレインと電気的に接続されている。また、配線3003はトランジスタ200のソースおよびドレインの一方と電気的に接続され、配線3004はトランジスタ200の第1のゲートと電気的に接続され、配線3006はトランジスタ200の第2のゲートと電気的に接続されている。そして、トランジスタ300のゲート、およびトランジスタ200のソースおよびドレインの他方は、容量素子100の電極の一方と電気的に接続され、配線3005は容量素子100の電極の他方と電気的に接続されている。
図17に示す半導体装置は、トランジスタ300のゲートの電位が保持可能という特性を有することで、以下に示すように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能である。
情報の書き込みおよび保持について説明する。まず、配線3004の電位を、トランジスタ200が導通状態となる電位にして、トランジスタ200を導通状態とする。これにより、配線3003の電位が、トランジスタ300のゲート、および容量素子100の電極の一方と電気的に接続するノードFGに与えられる。すなわち、トランジスタ300のゲートには、所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異なる二つの電位レベルを与える電荷(以下Lowレベル電荷、Highレベル電荷という)のどちらかが与えられるものとする。その後、配線3004の電位を、トランジスタ200が非導通状態となる電位にして、トランジスタ200を非導通状態とすることにより、ノードFGに電荷が保持される(保持)。
トランジスタ200のオフ電流が小さい場合、ノードFGの電荷は長期間にわたって保持される。
次に情報の読み出しについて説明する。配線3001に所定の電位(定電位)を与えた状態で、配線3005に適切な電位(読み出し電位)を与えると、配線3002は、ノードFGに保持された電荷量に応じた電位をとる。これは、トランジスタ300をnチャネル型とすると、トランジスタ300のゲートにHighレベル電荷が与えられている場合の見かけ上の閾値電圧Vth_Hは、トランジスタ300のゲートにLowレベル電荷が与えられている場合の見かけ上の閾値電圧Vth_Lより低くなるためである。ここで、見かけ上の閾値電圧とは、トランジスタ300を「導通状態」とするために必要な配線3005の電位をいうものとする。したがって、配線3005の電位をVth_HとVth_Lの間の電位V0とすることにより、ノードFGに与えられた電荷を判別できる。例えば、書き込みにおいて、ノードFGにHighレベル電荷が与えられていた場合には、配線3005の電位がV0(>Vth_H)となれば、トランジスタ300は「導通状態」となる。一方、ノードFGにLowレベル電荷が与えられていた場合には、配線3005の電位がV0(<Vth_L)となっても、トランジスタ300は「非導通状態」のままである。このため、配線3002の電位を判別することで、ノードFGに保持されている情報を読み出すことができる。
<記憶装置1の構造>
本発明の一態様の半導体装置は、図17に示すようにトランジスタ300、トランジスタ200、容量素子100を有する。トランジスタ200はトランジスタ300の上方に設けられ、容量素子100はトランジスタ300、およびトランジスタ200の上方に設けられている。
トランジスタ300は、基板311上に設けられ、導電体316、絶縁体315、基板311の一部からなる半導体領域313、およびソース領域またはドレイン領域として機能する低抵抗領域314a、および低抵抗領域314bを有する。
トランジスタ300は、pチャネル型、あるいはnチャネル型のいずれでもよい。
半導体領域313のチャネルが形成される領域、その近傍の領域、ソース領域、またはドレイン領域となる低抵抗領域314a、および低抵抗領域314bなどにおいて、シリコン系半導体などの半導体を含むことが好ましく、単結晶シリコンを含むことが好ましい。または、Ge(ゲルマニウム)、SiGe(シリコンゲルマニウム)、GaAs(ガリウムヒ素)、GaAlAs(ガリウムアルミニウムヒ素)などを有する材料で形成してもよい。結晶格子に応力を与え、格子間隔を変化させることで有効質量を制御したシリコンを用いた構成としてもよい。またはGaAsとGaAlAs等を用いることで、トランジスタ300をHEMT(High Electron Mobility Transistor)としてもよい。
低抵抗領域314a、および低抵抗領域314bは、半導体領域313に適用される半導体材料に加え、ヒ素、リンなどのn型の導電性を付与する元素、またはホウ素などのp型の導電性を付与する元素を含む。
ゲート電極として機能する導電体316は、ヒ素、リンなどのn型の導電性を付与する元素、もしくはホウ素などのp型の導電性を付与する元素を含むシリコンなどの半導体材料、金属材料、合金材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を用いることができる。
なお、導電体の材料により、仕事関数を定めることで、閾値電圧を調整することができる。具体的には、導電体に窒化チタンや窒化タンタルなどの材料を用いることが好ましい。さらに導電性と埋め込み性を両立するために導電体にタングステンやアルミニウムなどの金属材料を積層として用いることが好ましく、特にタングステンを用いることが耐熱性の点で好ましい。
なお、図17に示すトランジスタ300は一例であり、その構造に限定されず、回路構成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。
トランジスタ300を覆って、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326が順に積層して設けられている。
絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326として、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどを用いればよい。
絶縁体322は、その下方に設けられるトランジスタ300などによって生じる段差を平坦化する平坦化膜としての機能を有していてもよい。例えば、絶縁体322の上面は、平坦性を高めるために化学機械研磨(CMP)法等を用いた平坦化処理により平坦化されていてもよい。
また、絶縁体324には、基板311、またはトランジスタ300などから、トランジスタ200が設けられる領域に、水素や不純物が拡散しないようなバリア性を有する膜を用いることが好ましい。
水素に対するバリア性を有する膜の一例として、例えば、CVD法で形成した窒化シリコンを用いることができる。ここで、トランジスタ200等の酸化物半導体を有する半導体素子に、水素が拡散することで、当該半導体素子の特性が低下する場合がある。したがって、トランジスタ200と、トランジスタ300との間に、水素の拡散を抑制する膜を用いることが好ましい。水素の拡散を抑制する膜とは、具体的には、水素の脱離量が少ない膜とする。
水素の脱離量は、例えば、昇温脱離ガス分析法(TDS)などを用いて分析することができる。例えば、絶縁体324の水素の脱離量は、TDS分析において、50℃から500℃の範囲において、水素分子に換算した脱離量が、絶縁体324の単位面積当たりに換算して、10×1015atoms/cm2以下、好ましくは5×1015atoms/cm2以下であればよい。
なお、絶縁体326は、絶縁体324よりも誘電率が低いことが好ましい。例えば、絶縁体324の比誘電率は4未満が好ましく、3未満がより好ましい。また例えば、絶縁体326の比誘電率は、絶縁体324の比誘電率の0.7倍以下が好ましく、0.6倍以下がより好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。
また、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326には容量素子100、またはトランジスタ200と電気的に接続する導電体328、および導電体330等が埋め込まれている。なお、導電体328、および導電体330はプラグ、または配線としての機能を有する。また、プラグまたは配線としての機能を有する導電体は、複数の構造をまとめて同一の符号を付与する場合がある。また、本明細書等において、配線と、配線と電気的に接続するプラグとが一体物であってもよい。すなわち、導電体の一部が配線として機能する場合、および該導電体の一部がプラグとして機能する場合もある。
各プラグ、および配線(導電体328、および導電体330等)の材料としては、金属材料、合金材料、金属窒化物材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を、単層または積層して用いることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましく、特にタングステンを用いることが好ましい。または、アルミニウムや銅などの低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。低抵抗導電性材料を用いることで配線抵抗を低くすることができる。
絶縁体326、および導電体330上に、配線層を設けてもよい。例えば、図17において、絶縁体350、絶縁体352、および絶縁体354が順に積層して設けられている。また、絶縁体350、絶縁体352、および絶縁体354には、導電体356が形成されている。導電体356は、プラグ、または配線としての機能を有する。なお導電体356は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
なお、例えば、絶縁体350は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体356は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体350が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ300とトランジスタ200とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することができる。
なお、水素に対するバリア性を有する導電体としては、例えば、窒化タンタル等を用いるとよい。また、窒化タンタルと導電性が高いタングステンを積層することで、配線としての導電性を保持したまま、トランジスタ300からの水素の拡散を抑制することができる。この場合、水素に対するバリア性を有する窒化タンタル層が、水素に対するバリア性を有する絶縁体350と接する構造であることが好ましい。
絶縁体350、および導電体356上に、配線層を設けてもよい。例えば、図17において、絶縁体360、絶縁体362、および絶縁体364が順に積層して設けられている。また、絶縁体360、絶縁体362、および絶縁体364には、導電体366が形成されている。導電体366は、プラグ、または配線としての機能を有する。なお導電体366は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
なお、例えば、絶縁体360は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体366は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体360が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ300とトランジスタ200とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することができる。
絶縁体364、および導電体366上に、配線層を設けてもよい。例えば、図17において、絶縁体370、絶縁体372、および絶縁体374が順に積層して設けられている。また、絶縁体370、絶縁体372、および絶縁体374には、導電体376が形成されている。導電体376は、プラグ、または配線としての機能を有する。なお導電体376は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
なお、例えば、絶縁体370は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体376は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体370が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ300とトランジスタ200とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することができる。
絶縁体374、および導電体376上に、配線層を設けてもよい。例えば、図17において、絶縁体380、絶縁体382、および絶縁体384が順に積層して設けられている。また、絶縁体380、絶縁体382、および絶縁体384には、導電体386が形成されている。導電体386は、プラグ、または配線としての機能を有する。なお導電体386は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
なお、例えば、絶縁体380は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体386は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体380が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ300とトランジスタ200とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することができる。
絶縁体384上には絶縁体210、絶縁体212、絶縁体214、および絶縁体216が、順に積層して設けられている。絶縁体210、絶縁体212、絶縁体214、および絶縁体216のいずれかは、酸素や水素に対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。
例えば、絶縁体210、および絶縁体214には、例えば、基板311、またはトランジスタ300を設ける領域などから、トランジスタ200を設ける領域に、水素や不純物が拡散しないようなバリア性を有する膜を用いることが好ましい。したがって、絶縁体324と同様の材料を用いることができる。
水素に対するバリア性を有する膜の一例として、CVD法で形成した窒化シリコンを用いることができる。ここで、トランジスタ200等の酸化物半導体を有する半導体素子に、水素が拡散することで、当該半導体素子の特性が低下する場合がある。したがって、トランジスタ200と、トランジスタ300との間に、水素の拡散を抑制する膜を用いることが好ましい。水素の拡散を抑制する膜とは、具体的には、水素の脱離量が少ない膜とする。
また、水素に対するバリア性を有する膜として、例えば、絶縁体210、および絶縁体214には、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどの金属酸化物を用いることが好ましい。
特に、酸化アルミニウムは、酸素、およびトランジスタの電気特性の変動要因となる水素、水分などの不純物、の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、酸化アルミニウムは、トランジスタの作製工程中および作製後において、水素、水分などの不純物のトランジスタ200への混入を防止することができる。また、トランジスタ200を構成する酸化物からの酸素の放出を抑制することができる。そのため、トランジスタ200に対する保護膜として用いることに適している。
また、例えば、絶縁体212、および絶縁体216には、絶縁体320と同様の材料を用いることができる。また、比較的誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体212、および絶縁体216として、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などを用いることができる。
また、絶縁体210、絶縁体212、絶縁体214、および絶縁体216には、導電体218、およびトランジスタ200を構成する導電体(導電体205)等が埋め込まれている。なお、導電体218は、容量素子100、またはトランジスタ300と電気的に接続するプラグ、または配線としての機能を有する。導電体218は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
特に、絶縁体210、および絶縁体214と接する領域の導電体218は、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する導電体であることが好ましい。当該構成により、トランジスタ300とトランジスタ200とは、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する層で、完全に分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することができる。
絶縁体216の上方には、トランジスタ200が設けられている。なお、トランジスタ200の構造は、先の実施の形態で説明した半導体装置が有するトランジスタを用いればよい。また、図17に示すトランジスタ200は一例であり、その構造に限定されず、回路構成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。
トランジスタ200の上方には、絶縁体280を設ける。
絶縁体280上には、絶縁体282が設けられている。絶縁体282は、酸素や水素に対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。したがって、絶縁体282には、絶縁体214と同様の材料を用いることができる。例えば、絶縁体282には、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどの金属酸化物を用いることが好ましい。
特に、酸化アルミニウムは、酸素、およびトランジスタの電気特性の変動要因となる水素、水分などの不純物、の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、酸化アルミニウムは、トランジスタの作製工程中および作製後において、水素、水分などの不純物のトランジスタ200への混入を防止することができる。また、トランジスタ200を構成する酸化物からの酸素の放出を抑制することができる。そのため、トランジスタ200に対する保護膜として用いることに適している。
また、絶縁体282上には、絶縁体286が設けられている。絶縁体286は、絶縁体320と同様の材料を用いることができる。また、比較的誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体286として、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などを用いることができる。
また、絶縁体220、絶縁体222、絶縁体280、絶縁体282、および絶縁体286には、導電体246、および導電体248等が埋め込まれている。
導電体246、および導電体248は、容量素子100、トランジスタ200、またはトランジスタ300と電気的に接続するプラグ、または配線としての機能を有する。導電体246、および導電体248は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
続いて、トランジスタ200の上方には、容量素子100が設けられている。容量素子100は、導電体110と、導電体120、および絶縁体130とを有する。
また、導電体246、および導電体248上に、導電体112を設けてもよい。導電体112は、容量素子100、トランジスタ200、またはトランジスタ300と電気的に接続するプラグ、または配線としての機能を有する。導電体110は、容量素子100の電極としての機能を有する。なお、導電体112、および導電体110は、同時に形成することができる。
導電体112、および導電体110には、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた元素を含む金属膜、または上述した元素を成分とする金属窒化物膜(窒化タンタル膜、窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)等を用いることができる。または、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの導電性材料を適用することもできる。
図17では、導電体112、および導電体110は単層構造を示したが、当該構成に限定されず、2層以上の積層構造でもよい。例えば、バリア性を有する導電体と導電性が高い導電体との間に、バリア性を有する導電体、および導電性が高い導電体に対して密着性が高い導電体を形成してもよい。
また、導電体112、および導電体110上に、容量素子100の誘電体として、絶縁体130を設ける。絶縁体130は、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、窒化酸化ハフニウム、窒化ハフニウムなどを用いればよく、積層または単層で設けることができる。
例えば、絶縁体130には、酸化窒化シリコンなどの絶縁耐力が大きい材料を用いるとよい。当該構成により、容量素子100は、絶縁体130を有することで、絶縁耐力が向上し、容量素子100の静電破壊を抑制することができる。
絶縁体130上に、導電体110と重畳するように、導電体120を設ける。なお、導電体120は、金属材料、合金材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を用いることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましく、特にタングステンを用いることが好ましい。また、導電体などの他の構造と同時に形成する場合は、低抵抗金属材料であるCu(銅)やAl(アルミニウム)等を用いればよい。
導電体120、および絶縁体130上には、絶縁体150が設けられている。絶縁体150は、絶縁体320と同様の材料を用いて設けることができる。また、絶縁体150は、その下方の凹凸形状を被覆する平坦化膜として機能してもよい。
以上が構成例についての説明である。本構成を用いることで、酸化物半導体を有するトランジスタを用いた半導体装置において、電気特性の変動を抑制すると共に、信頼性を向上させることができる。または、オン電流が大きい酸化物半導体を有するトランジスタを提供することができる。または、オフ電流が小さい酸化物半導体を有するトランジスタを提供することができる。または、消費電力が低減された半導体装置を提供することができる。
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態や実施例などに示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る酸化物を半導体に用いたトランジスタ(OSトランジスタ)が適用されている半導体装置の一例として、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)について説明する。本実施の形態のFPGAは、コンフィギュレーションメモリ、およびレジスタにOSメモリが適用されている。ここでは、このようなFPGAを「OS-FPGA」と呼ぶ。
OSメモリは、少なくとも容量素子と、容量素子の充放電を制御するOSトランジスタを有するメモリである。OSトランジスタが極小オフ電流のトランジスタであるので、OSメモリは優れた保持特性をもち、不揮発性メモリとして機能させることができる。
図18(A)にOS-FPGAの構成例を示す。図18(A)に示すOS-FPGA3110は、マルチコンテキスト構造によるコンテキスト切り替えとPLE毎の細粒度パワーゲーティングを実行するNOFF(ノーマリオフ)コンピューティングが可能である。OS-FPGA3110は、コントローラ(Controller)3111、ワードドライバ(Word driver)3112、データドライバ(Data driver)3113、プログラマブルエリア(Programmable area)3115を有する。
プログラマブルエリア3115は、2個の入出力ブロック(IOB)3117、コア(Core)3119を有する。IOB3117は複数のプログラマブル入出力回路を有する。コア3119は、複数のロジックアレイブロック(LAB)3120、複数のスイッチアレイブロック(SAB)3130を有する。LAB3120は複数のプログラマブルロジックエレメント(PLE)3121を有する。図18(B)には、LAB3120を5個のPLE3121で構成する例を示す。図18(C)に示すようにSAB3130はアレイ状に配列された複数のスイッチブロック(SB)3131を有する。LAB3120は自身の入力端子と、SAB3130を介して4(上下左右)方向のLAB3120に接続される。
図19(A)乃至図19(C)を参照して、SB3131について説明する。図19(A)に示すSB3131には、data、datab、信号context[1:0]、信号word[1:0]が入力される。data、databはコンフィギュレーションデータであり、dataとdatabは論理が相補的な関係にある。OS-FPGA3110のコンテキスト数は2であり、信号context[1:0]はコンテキスト選択信号である。信号word[1:0]はワード線選択信号であり、信号word[1:0]が入力される配線がそれぞれワード線である。
SB3131は、PRS(プログラマブルルーティングスイッチ)3133[0]、3133[1]を有する。PRS3133[0]、3133[1]は、相補データを格納できるコンフィギュレーションメモリ(CM)を有する。なお、PRS3133[0]とPRS3133[1]とを区別しない場合、PRS3133と呼ぶ。他の要素についても同様である。
図19(B)にPRS3133[0]の回路構成例を示す。PRS3133[0]とPRS3133[1]とは同じ回路構成を有する。PRS3133[0]とPRS3133[1]とは入力されるコンテキスト選択信号、ワード線選択信号が異なる。信号context[0]、word[0]はPRS3133[0]に入力され、信号context[1]、word[1]はPRS3133[1]に入力される。例えば、SB3131において、信号context[0]が“H”になることで、PRS3133[0]がアクティブになる。
PRS3133[0]は、CM3135、SiトランジスタM31を有する。SiトランジスタM31は、CM3135により制御されるパストランジスタである。CM3135は、メモリ回路3137、3137Bを有する。メモリ回路3137、3137Bは同じ回路構成である。メモリ回路3137は、容量素子C31、OSトランジスタMO31、MO32を有する。メモリ回路3137Bは、容量素子CB31、OSトランジスタMOB31、MOB32を有する。
OSトランジスタMO31、MO32、MOB31、MOB32はバックゲートを有し、これらバックゲートはそれぞれ固定電圧を供給する電源線に電気的に接続されている。
SiトランジスタM31のゲートがノードN31であり、OSトランジスタMO32のゲートがノードN32であり、OSトランジスタMOB32のゲートがノードNB32である。ノードN32、NB32はCM3135の電荷保持ノードである。OSトランジスタMO32はノードN31と信号context[0]用の信号線との間の導通状態を制御する。OSトランジスタMOB32はノードN31と低電位電源線VSSとの間の導通状態を制御する。
メモリ回路3137、3137Bが保持するデータは相補的な関係にある。したがって、OSトランジスタMO32またはMOB32の何れか一方が導通する。
図19(C)を参照して、PRS3133[0]の動作例を説明する。PRS3133[0]にコンフィギュレーションデータが既に書き込まれており、PRS3133[0]のノードN32は“H”であり、ノードNB32は“L”である。
信号context[0]が“L”である間はPRS3133[0]は非アクティブである。この期間に、PRS3133[0]の入力端子(input)が“H”に遷移しても、SiトランジスタM31のゲートは“L”が維持され、PRS3133[0]の出力端子(output)も“L”が維持される。
信号context[0]が“H”である間はPRS3133[0]はアクティブである。信号context[0]が“H”に遷移すると、CM3135が記憶するコンフィギュレーションデータによって、SiトランジスタM31のゲートは“H”に遷移する。
PRS3133[0]がアクティブである期間に、入力端子が“H”に遷移すると、メモリ回路3137のOSトランジスタMO32がソースフォロアであるために、ブースティング(boosting)によってSiトランジスタM31のゲート電圧は上昇する。その結果、メモリ回路3137のOSトランジスタMO32は駆動能力を失い、SiトランジスタM31のゲートは浮遊状態となる。
マルチコンテキスト機能を備えるPRS3133において、CM3135はマルチプレクサの機能を併せ持つ。
図20にPLE3121の構成例を示す。PLE3121はLUT(ルックアップテーブル)ブロック(LUT block)3123、レジスタブロック3124、セレクタ3125、CM3126を有する。LUTブロック3123は、入力inA-inDに従って内部の16ビットCM対の出力をマルチプレクスする構成である。セレクタ3125は、CM3126が格納するコンフィギュレーションに従って、LUTブロック3123の出力またはレジスタブロック3124の出力を選択する。
PLE3121は、パワースイッチ3127を介して電圧VDD用の電源線に電気的に接続されている。パワースイッチ3127のオンオフは、CM3128が格納するコンフィギュレーションデータによって設定される。各PLE3121にパワースイッチ3127を設けることで、細粒度パワーゲーティングが可能である。細粒度パワーゲーティング機能により、コンテキストの切り替え後に使用されないPLE3121をパワーゲーティングすることができるので、待機電力を効果的に低減できる。
NOFFコンピューティングを実現するため、レジスタブロック3124は、不揮発性レジスタで構成される。PLE3121内の不揮発性レジスタはOSメモリを備えるフリップフロップ(以下[OS-FF]と呼ぶ)である。
レジスタブロック3124は、OS-FF3140[1]、3140[2]を有する。信号user_res、load、storeがOS-FF3140[1]、3140[2]に入力される。クロック信号CLK1はOS-FF3140[1]に入力され、クロック信号CLK2はOS-FF3140[2]に入力される。図21(A)にOS-FF3140の構成例を示す。
OS-FF3140は、FF3141、シャドウレジスタ3142を有する。FF3141は、ノードCK、R、D、Q、QBを有する。ノードCKにはクロック信号が入力される。ノードRには信号user_resが入力される。信号user_resはリセット信号である。ノードDはデータ入力ノードであり、ノードQはデータ出力ノードである。ノードQとノードQBとは論理が相補関係にある。
シャドウレジスタ3142は、FF3141のバックアップ回路として機能する。シャドウレジスタ3142は、信号storeに従いノードQ、QBのデータをそれぞれバックアップし、また、信号loadに従い、バックアップしたデータをノードQ、QBに書き戻す。
シャドウレジスタ3142は、インバータ回路3188、3189、SiトランジスタM37、MB37、メモリ回路3143、3143Bを有する。メモリ回路3143、3143Bは、PRS3133のメモリ回路3137と同じ回路構成である。メモリ回路3143は容量素子C36、OSトランジスタMO35、MO36を有する。メモリ回路3143Bは容量素子CB36、OSトランジスタMOB35、OSトランジスタMOB36を有する。ノードN36、NB36はOSトランジスタMO36、OSトランジスタMOB36のゲートであり、それぞれ電荷保持ノードである。ノードN37、NB37は、SiトランジスタM37、MB37のゲートである。
OSトランジスタMO35、MO36、MOB35、MOB36はバックゲートを有し、これらバックゲートはそれぞれ固定電圧を供給する電源線に電気的に接続されている。
図21(B)を参照して、OS-FF3140の動作方法例を説明する。
(バックアップ(Backup))
“H”の信号storeがOS-FF3140に入力されると、シャドウレジスタ3142はFF3141のデータをバックアップする。ノードN36は、ノードQのデータが書き込まれることで、“L”となり、ノードNB36は、ノードQBのデータが書き込まれることで、“H”となる。しかる後、パワーゲーティングが実行され、パワースイッチ3127をオフにする。FF3141のノードQ、QBのデータは消失するが、電源オフであっても、シャドウレジスタ3142はバックアップしたデータを保持する。
(リカバリ(Recovery))
パワースイッチ3127をオンにし、PLE3121に電源を供給する。しかる後、“H”の信号loadがOS-FF3140に入力されると、シャドウレジスタ3142はバックアップしているデータをFF3141に書き戻す。ノードN36は“L”であるので、ノードN37は“L”が維持され、ノードNB36は“H”であるので、ノードNB37は“H”となる。よって、ノードQは“H”になり、ノードQBは“L”になる。つまり、OS-FF3140はバックアップ動作時の状態に復帰する。
細粒度パワーゲーティングと、OS-FF3140のバックアップ/リカバリ動作とを組み合わせることで、OS-FPGA3110の消費電力を効果的に低減できる。
メモリ回路において発生しうるエラーとして放射線の入射によるソフトエラーが挙げられる。ソフトエラーは、メモリやパッケージを構成する材料などから放出されるα線や、宇宙から大気に入射した一次宇宙線が大気中に存在する原子の原子核と核反応を起こすことにより発生する二次宇宙線中性子などがトランジスタに照射され、電子正孔対が生成されることにより、メモリに保持されたデータが反転するなどの誤作動が生じる現象である。OSトランジスタを用いたOSメモリはソフトエラー耐性が高い。そのため、OSメモリを搭載することで、信頼性の高いOS-FPGA3110を提供することができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態や実施例などに示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態においては、上述した記憶装置など、本発明の一態様に係る半導体装置を含むCPUの一例について説明する。
<CPUの構成>
図22に示す半導体装置5400は、CPUコア5401、パワーマネージメントユニット5421および周辺回路5422を有する。パワーマネージメントユニット5421は、パワーコントローラ(Power Controller)5402、およびパワースイッチ(Power Switch)5403を有する。周辺回路5422は、キャッシュメモリを有するキャッシュ(Cache)5404、バスインターフェース(BUS I/F)5405、およびデバッグインターフェース(Debug I/F)5406を有する。CPUコア5401は、データバス5423、制御装置(Control Unit)5407、PC(プログラムカウンタ)5408、パイプラインレジスタ(Pipeline Register)5409、パイプラインレジスタ(Pipeline Register)5410、ALU(Arithmetic logic unit)5411、およびレジスタファイル(Register File)5412を有する。CPUコア5401と、キャッシュ5404等の周辺回路5422とのデータのやり取りは、データバス5423を介して行われる。
半導体装置(セル)は、パワーコントローラ5402、制御装置5407をはじめ、多くの論理回路に適用することができる。特に、スタンダードセルを用いて構成することができるすべての論理回路に適用することができる。その結果、小型の半導体装置5400を提供できる。また、消費電力を低減することが可能な半導体装置5400を提供できる。また、動作速度を向上することが可能な半導体装置5400を提供できる。また、電源電圧の変動を低減することが可能な半導体装置5400を提供できる。
半導体装置(セル)に、pチャネル型Siトランジスタと、先の実施の形態に記載の酸化物半導体(好ましくはIn、Ga、およびZnを含む酸化物)をチャネル形成領域に含むトランジスタとを用い、当該半導体装置(セル)を半導体装置5400に適用することで、小型の半導体装置5400を提供できる。また、消費電力を低減することが可能な半導体装置5400を提供できる。また、動作速度を向上することが可能な半導体装置5400を提供できる。特に、Siトランジスタはpチャネル型のみとすることで、製造コストを低く抑えることができる。
制御装置5407は、PC5408、パイプラインレジスタ5409、パイプラインレジスタ5410、ALU5411、レジスタファイル5412、キャッシュ5404、バスインターフェース5405、デバッグインターフェース5406、およびパワーコントローラ5402の動作を統括的に制御することで、入力されたアプリケーションなどのプログラムに含まれる命令をデコードし、実行する機能を有する。
ALU5411は、四則演算、論理演算などの各種演算処理を行う機能を有する。
キャッシュ5404は、使用頻度の高いデータを一時的に記憶しておく機能を有する。PC5408は、次に実行する命令のアドレスを記憶する機能を有するレジスタである。なお、図22では図示していないが、キャッシュ5404には、キャッシュメモリの動作を制御するキャッシュコントローラが設けられている。
パイプラインレジスタ5409は、命令データを一時的に記憶する機能を有するレジスタである。
レジスタファイル5412は、汎用レジスタを含む複数のレジスタを有しており、メインメモリから読み出されたデータ、またはALU5411の演算処理の結果得られたデータ、などを記憶することができる。
パイプラインレジスタ5410は、ALU5411の演算処理に利用するデータ、またはALU5411の演算処理の結果得られたデータなどを一時的に記憶する機能を有するレジスタである。
バスインターフェース5405は、半導体装置5400と半導体装置5400の外部にある各種装置との間におけるデータの経路としての機能を有する。デバッグインターフェース5406は、デバッグの制御を行うための命令を半導体装置5400に入力するための信号の経路としての機能を有する。
パワースイッチ5403は、半導体装置5400が有する、パワーコントローラ5402以外の各種回路への、電源電圧の供給を制御する機能を有する。上記各種回路は、幾つかのパワードメインにそれぞれ属しており、同一のパワードメインに属する各種回路は、パワースイッチ5403によって電源電圧の供給の有無が制御される。また、パワーコントローラ5402はパワースイッチ5403の動作を制御する機能を有する。
上記構成を有する半導体装置5400は、パワーゲーティングを行うことが可能である。パワーゲーティングの動作の流れについて、一例を挙げて説明する。
まず、CPUコア5401が、電源電圧の供給を停止するタイミングを、パワーコントローラ5402のレジスタに設定する。次いで、CPUコア5401からパワーコントローラ5402へ、パワーゲーティングを開始する旨の命令を送る。次いで、半導体装置5400内に含まれる各種レジスタとキャッシュ5404が、データの退避を開始する。次いで、半導体装置5400が有するパワーコントローラ5402以外の各種回路への電源電圧の供給が、パワースイッチ5403により停止される。次いで、割込み信号がパワーコントローラ5402に入力されることで、半導体装置5400が有する各種回路への電源電圧の供給が開始される。なお、パワーコントローラ5402にカウンタを設けておき、電源電圧の供給が開始されるタイミングを、割込み信号の入力に依らずに、当該カウンタを用いて決めるようにしてもよい。次いで、各種レジスタとキャッシュ5404が、データの復帰を開始する。次いで、制御装置5407における命令の実行が再開される。
このようなパワーゲーティングは、プロセッサ全体、もしくはプロセッサを構成する一つ、または複数の論理回路において行うことができる。また、短い時間でも電源の供給を停止することができる。このため、空間的に、あるいは時間的に細かい粒度で消費電力の削減を行うことができる。
パワーゲーティングを行う場合、CPUコア5401や周辺回路5422が保持する情報を短期間に退避できることが好ましい。そうすることで、短期間に電源のオンオフが可能となり、省電力の効果が大きくなる。
CPUコア5401や周辺回路5422が保持する情報を短期間に退避するためには、フリップフロップ回路がその回路内でデータ退避できることが好ましい(バックアップ可能なフリップフロップ回路と呼ぶ)。また、SRAMセルがセル内でデータ退避できることが好ましい(バックアップ可能なSRAMセルと呼ぶ)。バックアップ可能なフリップフロップ回路やSRAMセルは、酸化物半導体(好ましくはIn、Ga、およびZnを含む酸化物)をチャネル形成領域に含むトランジスタを有することが好ましい。その結果、トランジスタが低いオフ電流を有することで、バックアップ可能なフリップフロップ回路やSRAMセルは長期間電源供給なしに情報を保持することができる。また、トランジスタが高速なスイッチング速度を有することで、バックアップ可能なフリップフロップ回路やSRAMセルは短期間のデータ退避および復帰が可能となる場合がある。
バックアップ可能なフリップフロップ回路の例について、図23を用いて説明する。
図23に示す半導体装置5500は、バックアップ可能なフリップフロップ回路の一例である。半導体装置5500は、第1の記憶回路5501と、第2の記憶回路5502と、第3の記憶回路5503と、読み出し回路5504と、を有する。半導体装置5500には、電位V1と電位V2の電位差が、電源電圧として供給される。電位V1と電位V2は一方がハイレベルであり、他方がローレベルである。以下、電位V1がローレベル、電位V2がハイレベルの場合を例に挙げて、半導体装置5500の構成例について説明するものとする。
第1の記憶回路5501は、半導体装置5500に電源電圧が供給されている期間において、データを含む信号Dが入力されると、当該データを保持する機能を有する。そして、半導体装置5500に電源電圧が供給されている期間において、第1の記憶回路5501からは、保持されているデータを含む信号Qが出力される。一方、第1の記憶回路5501は、半導体装置5500に電源電圧が供給されていない期間においては、データを保持することができない。すなわち、第1の記憶回路5501は、揮発性の記憶回路と呼ぶことができる。
第2の記憶回路5502は、第1の記憶回路5501に保持されているデータを読み込んで記憶する(あるいは退避する)機能を有する。第3の記憶回路5503は、第2の記憶回路5502に保持されているデータを読み込記憶する(あるいは退避する)機能を有する。読み出し回路5504は、第2の記憶回路5502または第3の記憶回路5503に保持されたデータを読み出して第1の記憶回路5501に記憶する(あるいは復帰する)機能を有する。
特に、第3の記憶回路5503は、半導体装置5500に電源電圧が供給されてない期間においても、第2の記憶回路5502に保持されているデータを読み込んで記憶する(あるいは退避する)機能を有する。
図23に示すように、第2の記憶回路5502はトランジスタ5512と容量素子5519とを有する。第3の記憶回路5503はトランジスタ5513と、トランジスタ5515と、容量素子5520とを有する。読み出し回路5504はトランジスタ5510と、トランジスタ5518と、トランジスタ5509と、トランジスタ5517と、を有する。
トランジスタ5512は、第1の記憶回路5501に保持されているデータに応じた電荷を、容量素子5519に充放電する機能を有する。トランジスタ5512は、第1の記憶回路5501に保持されているデータに応じた電荷を容量素子5519に対して高速に充放電できることが望ましい。具体的には、トランジスタ5512が、結晶性を有するシリコン(好ましくは多結晶シリコン、さらに好ましくは単結晶シリコン)をチャネル形成領域に含むことが望ましい。
トランジスタ5513は、容量素子5519に保持されている電荷に従って導通状態または非導通状態が選択される。トランジスタ5515は、トランジスタ5513が導通状態であるときに、配線5544の電位に応じた電荷を容量素子5520に充放電する機能を有する。トランジスタ5515は、オフ電流が著しく小さいことが望ましい。具体的には、トランジスタ5515が、酸化物半導体(好ましくはIn、Ga、およびZnを含む酸化物)をチャネル形成領域に含むことが望ましい。
各素子の接続関係を具体的に説明すると、トランジスタ5512のソースおよびドレインの一方は、第1の記憶回路5501に接続されている。トランジスタ5512のソースおよびドレインの他方は、容量素子5519の一方の電極、トランジスタ5513のゲート、およびトランジスタ5518のゲートに接続されている。容量素子5519の他方の電極は、配線5542に接続されている。トランジスタ5513のソースおよびドレインの一方は、配線5544に接続されている。トランジスタ5513のソースおよびドレインの他方は、トランジスタ5515のソースおよびドレインの一方に接続されている。トランジスタ5515のソースおよびドレインの他方は、容量素子5520の一方の電極、およびトランジスタ5510のゲートに接続されている。容量素子5520の他方の電極は、配線5543に接続されている。トランジスタ5510のソースおよびドレインの一方は、配線5541に接続されている。トランジスタ5510のソースおよびドレインの他方は、トランジスタ5518のソースおよびドレインの一方に接続されている。トランジスタ5518のソースおよびドレインの他方は、トランジスタ5509のソースおよびドレインの一方に接続されている。トランジスタ5509のソースおよびドレインの他方は、トランジスタ5517のソースおよびドレインの一方、および第1の記憶回路5501に接続されている。トランジスタ5517のソースおよびドレインの他方は、配線5540に接続されている。また、図23においては、トランジスタ5509のゲートは、トランジスタ5517のゲートと接続されているが、トランジスタ5509のゲートは、必ずしもトランジスタ5517のゲートと接続されていなくてもよい。
トランジスタ5515に先の実施の形態で例示したトランジスタを適用することができる。トランジスタ5515のオフ電流が小さいために、半導体装置5500は、長期間電源供給なしに情報を保持することができる。トランジスタ5515のスイッチング特性が良好であるために、半導体装置5500は、高速のバックアップとリカバリを行うことができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態や実施例などに示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る半導体装置の一形態を、図24および図25を用いて説明する。
<半導体ウエハ、チップ>
図24(A)は、ダイシング処理が行なわれる前の基板711の上面図を示している。基板711としては、例えば、半導体基板(「半導体ウエハ」ともいう)を用いることができる。基板711上には、複数の回路領域712が設けられている。回路領域712には、本発明の一態様に係る半導体装置などを設けることができる。
複数の回路領域712は、それぞれが分離領域713に囲まれている。分離領域713と重なる位置に分離線(「ダイシングライン」ともいう)714が設定される。分離線714に沿って基板711を切断することで、回路領域712を含むチップ715を基板711から切り出すことができる。図24(B)にチップ715の拡大図を示す。
また、分離領域713に導電層、半導体層などを設けてもよい。分離領域713に導電層、半導体層などを設けることで、ダイシング工程時に生じうるESD(Erectrostatic Discharge:静電気放電)を緩和し、ダイシング工程に起因する歩留まりの低下を防ぐことができる。また、一般にダイシング工程は、基板の冷却、削りくずの除去、帯電防止などを目的として、炭酸ガスなどを溶解させて比抵抗を下げた純水を切削部に供給しながら行う。分離領域713に導電層、半導体層などを設けることで、当該純水の使用量を削減することができる。よって、半導体装置の生産コストを低減することができる。また、半導体装置の生産性を高めることができる。
<電子部品>
チップ715を用いた電子部品の一例について、図25(A)および図25(B)を用いて説明する。なお、電子部品は、半導体パッケージ、またはIC用パッケージともいう。電子部品は、端子取り出し方向、端子の形状などに応じて、複数の規格、名称などが存在する。
電子部品は、組み立て工程(後工程)において、上記実施の形態に示した半導体装置と当該半導体装置以外の部品が組み合わされて完成する。
図25(A)に示すフローチャートを用いて、後工程について説明する。前工程において基板711に本発明の一態様に係る半導体装置などを形成した後、基板711の裏面(半導体装置などが形成されていない面)を研削する「裏面研削工程」を行う(ステップS721)。研削により基板711を薄くすることで、電子部品の小型化を図ることができる。
次に、基板711を複数のチップ715に分離する「ダイシング工程」を行う(ステップS722)。そして、分離したチップ715を個々のリードフレーム上に接合する「ダイボンディング工程」を行う(ステップS723)。ダイボンディング工程におけるチップ715とリードフレームとの接合は、樹脂による接合、またはテープによる接合など、適宜製品に応じて適した方法を選択する。なお、リードフレームに代えてインターポーザ基板上にチップ715を接合してもよい。
次いで、リードフレームのリードとチップ715上の電極とを、金属の細線(ワイヤー)で電気的に接続する「ワイヤーボンディング工程」を行う(ステップS724)。金属の細線には、銀線、金線などを用いることができる。また、ワイヤーボンディングは、例えば、ボールボンディング、またはウェッジボンディングを用いることができる。
ワイヤーボンディングされたチップ715は、エポキシ樹脂などで封止される「封止工程(モールド工程)」が施される(ステップS725)。封止工程を行うことで電子部品の内部が樹脂で充填され、チップ715とリードを接続するワイヤーを機械的な外力から保護することができ、また水分、埃などによる特性の劣化(信頼性の低下)を低減することができる。
次いで、リードフレームのリードをめっき処理する「リードめっき工程」を行う(ステップS726)。めっき処理によりリードの錆を防止し、後にプリント基板に実装する際のはんだ付けをより確実に行うことができる。次いで、リードを切断および成形加工する「成形加工工程」を行う(ステップS727)。
次いで、パッケージの表面に印字処理(マーキング)を施す「マーキング工程」を行う(ステップS728)。そして外観形状の良否、動作不良の有無などを調べる「検査工程」(ステップS729)を経て、電子部品が完成する。
また、完成した電子部品の斜視模式図を図25(B)に示す。図25(B)では、電子部品の一例として、QFP(Quad Flat Package)の斜視模式図を示している。図25(B)に示す電子部品750は、リード755およびチップ715を有する。電子部品750は、チップ715を複数有していてもよい。
図25(B)に示す電子部品750は、例えばプリント基板752に実装される。このような電子部品750が複数組み合わされて、それぞれがプリント基板752上で電気的に接続されることで電子部品が実装された基板(実装基板754)が完成する。完成した実装基板754は、電子機器などに用いられる。
(実施の形態7)
<電子機器>
本発明の一態様に係る半導体装置は、様々な電子機器に用いることができる。図26に、本発明の一態様に係る半導体装置を用いた電子機器の具体例を示す。
図26(A)は、自動車の一例を示す外観図である。自動車2980は、車体2981、車輪2982、ダッシュボード2983、およびライト2984等を有する。また、自動車2980は、アンテナ、バッテリなどを備える。
図26(B)に示す情報端末2910は、筐体2911、表示部2912、マイク2917、スピーカ部2914、カメラ2913、外部接続部2916、および操作スイッチ2915等を有する。表示部2912には、可撓性基板が用いられた表示パネルおよびタッチスクリーンを備える。また、情報端末2910は、筐体2911の内側にアンテナ、バッテリなどを備える。情報端末2910は、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット型情報端末、タブレット型パーソナルコンピュータ、電子書籍端末等として用いることができる。
図26(C)に示すノート型パーソナルコンピュータ2920は、筐体2921、表示部2922、キーボード2923、およびポインティングデバイス2924等を有する。また、ノート型パーソナルコンピュータ2920は、筐体2921の内側にアンテナ、バッテリなどを備える。
図26(D)に示すビデオカメラ2940は、筐体2941、筐体2942、表示部2943、操作スイッチ2944、レンズ2945、および接続部2946等を有する。操作スイッチ2944およびレンズ2945は筐体2941に設けられており、表示部2943は筐体2942に設けられている。また、ビデオカメラ2940は、筐体2941の内側にアンテナ、バッテリなどを備える。そして、筐体2941と筐体2942は、接続部2946により接続されており、筐体2941と筐体2942の間の角度は、接続部2946により変えることが可能な構造となっている。筐体2941に対する筐体2942の角度によって、表示部2943に表示される画像の向きの変更や、画像の表示/非表示の切り換えを行うことができる。
図26(E)にバングル型の情報端末の一例を示す。情報端末2950は、筐体2951、および表示部2952等を有する。また、情報端末2950は、筐体2951の内側にアンテナ、バッテリなどを備える。表示部2952は、曲面を有する筐体2951に支持されている。表示部2952には、可撓性基板を用いた表示パネルを備えているため、フレキシブルかつ軽くて使い勝手の良い情報端末2950を提供することができる。
図26(F)に腕時計型の情報端末の一例を示す。情報端末2960は、筐体2961、表示部2962、バンド2963、バックル2964、操作スイッチ2965、入出力端子2966などを備える。また、情報端末2960は、筐体2961の内側にアンテナ、バッテリなどを備える。情報端末2960は、移動電話、電子メール、文章閲覧および作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。
表示部2962の表示面は湾曲しており、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、表示部2962はタッチセンサを備え、指やスタイラスなどで画面に触れることで操作することができる。例えば、表示部2962に表示されたアイコン2967に触れることで、アプリケーションを起動することができる。操作スイッチ2965は、時刻設定の他、電源のオン、オフ動作、無線通信のオン、オフ動作、マナーモードの実行および解除、省電力モードの実行および解除など、様々な機能を持たせることができる。例えば、情報端末2960に組み込まれたオペレーティングシステムにより、操作スイッチ2965の機能を設定することもできる。
また、情報端末2960は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、情報端末2960は入出力端子2966を備え、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また入出力端子2966を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は入出力端子2966を介さずに無線給電により行ってもよい。
例えば、本発明の一態様の半導体装置を用いた記憶装置は、上述した電子機器の制御情報や、制御プログラムなどを長期間保持することができる。本発明の一態様に係る半導体装置を用いることで、信頼性の高い電子機器を実現することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態や実施例などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
本実施例では、本発明の一態様に係る半導体装置の保持特性、動作周波数を見積った結果について説明する。なお、ここでいう半導体装置とは、具体的には、実施の形態1で説明したDOSRAMのことを指す。本実施例では、本発明の一態様に係るトランジスタのVg-Id特性およびVs-Id特性を測定し、その特性値から、間接的にDOSRAMの保持特性、動作周波数の見積りを行った。なお、本実施例で述べるDOSRAMは、チャネル長(L)が60nm、チャネル幅(W)が60nmのサイズ(以下、L/W=60/60nmと表記する)である本発明の一態様に係るトランジスタと、保持容量3.5fFの容量素子と、を有する構成であることを想定している。後述するように、実際にVg-Id測定を行ったトランジスタとDOSRAM用に想定した上記トランジスタとでサイズが異なるが、本実施例では、トランジスタのL/W比を変えずに微細化しても、トランジスタの特性が変わらないという仮定の下で、DOSRAMの保持特性、動作周波数の見積りを行った。
図27に、本発明の一態様に係るトランジスタのVg-Id測定結果から、DOSRAMの保持特性を見積った結果を示す。Vg-Id測定に用いたトランジスタのサイズは、チャネル長(L)が0.34μm、チャネル幅(W)が0.22μm(以下、L/W=0.34/0.22μmと表記する)である。Vg-Id測定は、トランジスタのドレイン電位Vdを+1.08Vに、ソース電位Vsを0Vに、およびバックゲート電位Vbgを-7.5Vに固定し、ゲート電位Vgを-1.0Vから+3.3Vまで掃引することで行った。また測定温度は、-40℃、27℃、85℃の3水準で行った。具体的には、測定対象となるトランジスタが形成された5インチ角基板を上記各温度に設定したサーモチャック上に固定した状態でトランジスタのVg-Id測定を実施した。図27中では、-40℃での測定結果を「三角印」で、27℃での測定結果を「四角印」で、85℃での測定結果を「丸印」でプロットしている。なお測定は、上記5インチ角の基板面内に形成された複数のトランジスタのうちの12素子を対象として行った。図27中では、当該12素子の-40℃での測定結果、27℃での測定結果、および85℃での測定結果をすべてプロットしている。
図27において、横軸はトランジスタのシフト電圧(Vsh)、縦軸はトランジスタのサブスレッショルドスイング値(Svalue)である。ここでVshとは、トランジスタのVg-Idカーブにおいて、カーブ上の傾きが最大である点における接線と、Id=1[pA]の直線とが交差する点におけるVgと定義する。高温環境下でVg-Id測定を行う場合ほど、トランジスタのVshがマイナスシフトし、Svalueが増大していく傾向が確認できる。なお図27中では、トランジスタのVshとSvalueの値から見積られるDOSRAMデータ保持時間(1時間、1日、10日、1年、および10年相当)を示す直線を引いている。
ここで、DOSRAMのデータ保持時間とは、DOSRAMが有する保持容量に蓄えられた電荷が、「データ書き込み後の大きさ」から「ある一定の大きさ」まで減少するのに要する時間と換言することができる。本実施例では、前述の「ある一定の大きさ」を、DOSRAMが有する容量素子(保持容量3.5fF)にかかる電位が、データ書き込み後の状態から0.2V低下した値とした。従って、データ保持時間は、DOSRAMが有する容量素子(保持容量3.5fF)にかかる電位が、データ書き込み後の状態から0.2V低下するまでに要する時間として定義した。例えば、本実施例でDOSRAMデータ保持1時間という場合、DOSRAMが有する容量素子にかかる電位が、データ書き込み後の状態から0.2V低下するまでの時間が1時間であることを意味する。
DOSRAMのデータ保持時間は、DOSRAMが有するトランジスタのオフリーク電流の大きさに依存する。ここで、トランジスタのオフリーク電流とは、トランジスタのVg=0VにおけるId(すなわち、Icut)と言い換えることができる。例えば、DOSRAMのデータ保持特性が、DOSRAMが有するトランジスタのIcutの大きさのみに依存する場合、DOSRAMのデータ保持時間は、DOSRAMが有するトランジスタのIcutの大きさに反比例する。
上述したように、本実施例では、DOSRAMが有する容量素子にかかる電位が、データ書き込み後の状態から0.2V低下するまでに要する時間をDOSRAMのデータ保持時間として定義している。したがって、DOSRAMが有するトランジスタのIcutが既知である場合、DOSRAMのデータ保持時間は、データ保持中に容量素子から失われる電荷量(容量素子の保持容量(3.5fF)と容量素子にかかる電位の低下分(0.2V)との積に相当する0.7fC)をIcutで割ることによって算出することができる。また逆に、目標とするDOSRAMの保持時間を先に設定し、上述した0.7fCを当該保持時間で割ることで、DOSRAMが有するトランジスタに求められるIcutの値を見積ることもできる。
ところで、本実施例でVg-Id測定を行ったトランジスタは、実施の形態2の<半導体装置の作製方法>で示したように、チャネル形成領域に金属酸化物を用いている。チャネル形成領域に金属酸化物を用いたトランジスタは、例えば、チャネル形成領域にSiを用いたトランジスタと比べて、非導通状態におけるリーク電流が極めて小さい。そのため、チャネル形成領域に金属酸化物を用いたトランジスタは、実測によりIcutを検出することが困難な場合がある。
そこで本実施例では、まずトランジスタのVg-Id測定を行い、そこから得られた上述の「Vsh」と「Svalue」を基に、以下の式(1)を用いた外挿によってIcutの見積りを行った。なお、式(1)は、トランジスタのオフ電流が、Vg=0Vに達するまで、Vg-Id測定によって得られたSvalueに従って単調減少すると仮定した場合に成り立つ式である。
図27中のDOSRAMデータ保持時間(1時間、1日、10日、1年、および10年相当)を示す直線は、保持時間ごとにDOSRAMが有するトランジスタに求められるIcut(上述した0.7fCを各保持時間で割った値)を式(1)の左辺として、式(1)の右辺を満たすVshとSvalueの組み合わせをプロットすることで表された直線である。
図27では、DOSRAMデータ保持時間を示す直線よりも右側の領域にトランジスタの実測データがプロットされていれば、当該保持時間以上のDOSRAMデータ保持が達成可能見込みであることを意味している。本実施例では、12個のトランジスタのVg-Id測定結果(Vsh、Svalue)からDOSRAM保持特性の見積りを行ったが、いずれのトランジスタにおいても、-40℃から85℃の温度範囲内において、約2か月間以上のDOSRAMデータ保持が達成可能見込みであることが確認された。
以下では、DOSRAM動作周波数の見積り方法について説明する。ここで、DOSRAM動作周波数とは、DOSRAMのデータ書き込みサイクルの逆数と定義する。DOSRAMのデータ書き込みサイクルは、DOSRAMが有する容量素子の充電時間などによって設定されるパラメータである。本実施例では、DOSRAMのデータ書き込みサイクル(DOSRAM動作周波数の逆数)の40%に相当する時間を、DOSRAMが有する容量素子の充電時間とする設定とした。
上述のように、DOSRAM動作周波数は、DOSRAMが有する容量素子の充電時間に依存する。したがって、DOSRAM動作周波数を見積るに際して、まずDOSRAMが有する容量素子の充電持間を事前に知る必要がある。本実施例では、DOSRAMが有する容量素子(保持容量3.5fF)に0.55V以上の電位がかかった状態を、当該容量素子が「充電された状態」と定義した。したがって、本実施例では、DOSRAMのデータ書き込み動作を開始してから、当該容量素子にかかる電位が0.55Vに達するまでの時間が、DOSRAMが有する容量素子の充電時間に相当する。
DOSRAMが有する容量素子の充電時間は、DOSRAMデータ書き込み時における、DOSRAMが有するトランジスタのIdの大きさに依存する。そこで本実施例では、DOSRAMデータ書き込み時にDOSRAMが有するトランジスタにかかることが想定される電位(図28参照)を、本発明の一態様に係るトランジスタ(L/W=0.34/0.22μm)に実際に印加することでDOSRAMデータ書き込み動作を再現し、このときのトランジスタのIdを測定した。具体的には、トランジスタのゲート電位Vgを+2.97Vに、ドレイン電位Vdを+1.08Vに、およびバックゲート電位Vbgを-7.5Vに固定し、ソース電位Vsを0Vから+0.55Vまで掃引することでトランジスタのId測定を行った。なお測定温度は、-40℃、27℃、85℃の3水準で行った。
図29に、上述したトランジスタのVs-Id測定結果を示す。なお、図29中に示すIdは、実際に測定を行ったトランジスタ(L/W=0.34/0.22μm)から得られたIdの値を、DOSRAMが有すると想定したトランジスタ(L/W=60/60nm)のサイズに補正した値を載せている。そのため、図29に示されたIdの値は、実際の測定値の約1.5倍程度大きい値となっている。
Vsを0Vから+0.55Vまで掃引することで、ゲート-ソース間の電位差(Vgs)は+2.97Vから+2.42Vに、ドレイン-ソース間の電位差(Vds)は+1.08Vから+0.53Vにそれぞれ減少していく。そのため、Vsの値が大きくなるにつれて、Idの値が減少していくのがわかる。また、高温環境下でVs-Id測定を行う場合ほど、Idの値が大きい傾向にあることが確認できる(図29参照)。
ところで、DOSRAMが有する保持容量Cs[F]の容量素子に充電される電荷をQ[C]、充電時間をt[sec]、充電によって容量素子にかかる電位をVcs(=Vs)[V]、DOSRAMが有するトランジスタのドレイン電流をId[A]とした場合、各パラメータの間には以下の式(2)の関係が成り立つ。
したがって、式(2)を変形することで、DOSRAMが有する容量素子の充電時間tを以下の式(3)で表すことができる。
上述したように、本実施例では、保持容量3.5fFの容量素子にかかる電位が0.55V以上になった状態を、当該容量素子が「充電された状態」と定義している。したがって、式(3)のCsに3.5fFを、Vcsに+0.55Vを、Idに上述した本発明の一態様に係るトランジスタの測定値(図29参照)を代入することで、DOSRAMが有する容量素子の充電時間tを算出することができる。
図30に、Vcs[V]を横軸、t[sec]を縦軸として、式(3)で表されるカーブを示したグラフを示す。上述したように、当該カーブは、式(3)のCsに3.5fFを、Vcsに+0.55Vを、Idに本実施例での測定値(図29参照)を代入することで得られた計算値である。図29で示したように、高温環境下ほどIdが大きくなる影響で、tについては、高温環境下ほど短くなる傾向にあることが確認できる。図30中では、85℃での充電時間tの直線を引いている。本実施例によれば、85℃でDOSRAMが有する容量素子(保持容量3.5fF)が充電するのに必要な時間tは、約0.8nsecと見積もられた。
以上のようにして、本発明の一態様に係るトランジスタ(12素子)のVs-Id測定結果を基に算出した充電時間t[sec]から、本実施例で定義したDOSRAMのデータ書き込みサイクル(t/0.4[sec])と、DOSRAM動作周波数(0.4/t[Hz])とを見積ることができる。
図31に、本発明の一態様に係るトランジスタ(12素子)のVg-Id測定より得られた閾値電圧(Vth)と電界効果移動度(μFE)の相関を表したグラフを示す。なお、Vg-Id測定は、上述のVs-Id測定を行ったトランジスタと同じ素子を用いて行った。また測定温度も、Vs-Id測定同様、-40℃、27℃、85℃の3水準で行った。図31中では、-40℃での測定結果を「三角印」で、27℃での測定結果を「四角印」で、85℃での測定結果を「丸印」でプロットしている。
図31では、Vthを横軸、μFEを縦軸としている。なお、Vthとは、トランジスタのゲート電位Vg[V]を横軸、ドレイン電流の平方根Id
1/2[A]を縦軸としてプロットしたVg-Idカーブにおいて、カーブ上の傾きが最大である点における接線と、Id
1/2=0の直線(すなわち、Vg軸)との交点におけるVgと定義する。高温環境下で測定を行う場合ほど、トランジスタのVthがマイナスシフトし、μFEが増大していく傾向が確認できる。
ここで、トランジスタのVth、μFEは、トランジスタの線形領域におけるIdとの間に、以下の式(4)で表される相関関係を有することが知られている。なお、式(4)において、Coxは、ゲート絶縁体の容量である。
DOSRAM動作周波数が、DOSRAMが有するトランジスタのIdの大きさに依存することは上述した。したがって、式(4)より、DOSRAM動作周波数は、DOSRAMが有するトランジスタのVth、μFEの大きさに依存するともいえる。すなわち、トランジスタのVth、μFEがわかれば、当該トランジスタを有するDOSRAMの動作周波数をある程度予想することができる。
図31中では、トランジスタのVth、μFEと、当該トランジスタを有するDOSRAM動作周波数との対応を示すため、DOSRAM動作周波数0.1GHzに概ね(roughly)相当する箇所に直線を引いている。
図31では、DOSRAM動作周波数0.1GHzを示す直線よりも左側の領域にトランジスタの実測データがプロットされていれば、当該周波数以上でのDOSRAM動作が概ね達成可能見込みであることを示している。本実施例では、本発明の一態様に係るトランジスタ(12素子)のVg-Id測定を行ったが、得られたVth、μFEの値から、いずれのトランジスタにおいても、-40℃から85℃の温度範囲内において、0.1GHz以上でのDOSRAM動作が概ね達成可能見込みであることが確認された。
図32に、本実施例で取得した12個のトランジスタのVg-Id測定結果(測定温度は85℃)から見積ったDOSRAMデータ保持時間(横軸)と、同じトランジスタのVs-Id測定結果(測定温度は85℃)から見積ったDOSRAM動作周波数(縦軸)の相関を表したグラフを示す。上述したように、実際に測定を行ったトランジスタ(L/W=0.34/0.22μm)と、想定しているDOSRAMが有するトランジスタ(L/W=60/60nm)とでは、サイズが異なる。そのため、図32中の12個のデータは、L/W=0.34/0.22μmのトランジスタ(12素子)で実測したデータを、L/W=60/60nmのトランジスタ用にサイズ補正したデータをプロットしている。いずれのトランジスタにおいても、1000時間以上のDOSRAMデータ保持と、0.3GHz以上でのDOSRAM動作が達成可能見込みであることがわかった。今回測定した12個のトランジスタのうち、最も高いDOSRAM動作周波数が見積られた素子では、0.5GHz以上(85℃)の値が得られた(図32中の黒塗りのプロット)。そして、同素子では、DOSRAMデータ保持時間においても、約0.5年保持(85℃)が達成可能見込みであることがわかった。
以上のように、本実施例において、本発明の一態様に係るトランジスタ(L/W=60/60nm)を用いたDOSRAMは、Siトランジスタを用いたDRAMに準ずる高周波数動作と、Siトランジスタを用いたDRAMでは実現することが困難な長時間保持の双方を実現できる可能性があることが示された。
以上、本実施例に示す構成、方法などは、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。