本発明の実施例に係る画像形成装置について図面を用いて説明する。各実施例において開示する各構成について、特に限定的な記載をしない限り、材質、配置、寸法、その他の数値等を限定するものではない。また、特に明記しない限り上方とは画像形成装置を設置した際の重力方向上方を指すものとする。下記の本発明の各実施例は単独に又は複数の実施例を組み合わせて実施され得る。さらに、異なる実施例の特徴は、必要に応じて、又は、個々の実施例に係る構成要素若しくは特徴を単一の実施例において組み合わせることが有益な場合、組み合わせ得る。
(実施例1)
実施例1の画像形成装置は、画像形成時に使用されるトナー(現像剤)の量を取得(算出)し、それに基づき廃トナー収容部に蓄積される廃トナー量を取得(算出)し、それに基づき廃トナー搬送制御を行うことを特徴とする。
この画像形成装置は、電子写真画像形成プロセスを用いて記録媒体に画像を形成する。例えば、電子写真複写機、電子写真プリンタ(LEDプリンタ、レーザービームプリンタ等)、電子写真ファクシミリ装置等が含まれる。プロセスカートリッジは、感光体ドラム(像担持体)と、感光体ドラムに形成された潜像を現像する現像手段を有し、画像形成装置本体(以下、装置本体)に着脱可能である。プロセスカートリッジに用いられる感光体ドラムとカップリング部材等を一体化したものを感光体ユニットと呼ぶ。この画像形成装置は、4個のプロセスカートリッジが着脱可能なフルカラー画像形成装置である。なおプロセスカートリッジの個数は一例でありこの例に限定されない。
<画像形成装置の全体構成>
画像形成装置の全体構成について説明する。
図1は、画像形成装置100の断面的概略構成図である。画像形成装置100は、インライン方式、中間転写方式を採用したフルカラーレーザプリンタである。画像形成装置100は、画像データに基づき、記録材12(例えば、記録用紙、プラスチックシート、布等)にフルカラー画像を形成する。画像形成装置100は、画像形成装置100に接続された画像読み取り装置やパーンナルコンピュータ等のホスト61から、画像データを取得する。
画像形成装置100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するための第1、第2、第3、第4の画像形成部SY、SM、SC、SKを有する。第1から第4の画像形成部SY、SM、SC、SKは、鉛直方向と交差する方向に一列に配置されている。
なお、第1から第4の画像形成部SY、SM、SC、SKの構成及び動作は、形成する画像の色が異なることを除いて実質的に同じである。従って、以下、特に区別を要しない場合は、色を示す文字Y、M、C、Kを省略して記載する場合もある。
各色用のプロセスカートリッジ7は、全て同一形状を有しており、各色用のプロセスカートリッジ7には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーが収容されている。
画像形成装置100は、プロセスカートリッジ7に現像されたトナー10が転写される中間転写体を有する。中間転写体は、無端状のベルトで形成された中間転写ベルト20で構成され、回転駆動される像担持体である感光体ドラム1の全てに当接し、矢印B方向(図1において反時計方向)に循環移動(回転)する。中間転写ベルト20(中間転写体)は、1次転写ローラ21、クリーニング対向ローラ22、2次転写対向ローラ23に掛け渡されている。
中間転写ベルト20の内周面側には、各感光体ドラム1に対向するように、4個の1次転写ローラ21が中間転写ベルト20の回転方向に沿って並べて配置されている。1次転写ローラ21は、中間転写ベルト20を感光体ドラム1に向けて押圧し、中間転写ベルト20と感光体ドラム1とを当接させ、感光体ドラム1のトナー像(現像剤像)を中間転写
体である中間転写ベルト20に転写する1次転写手段を構成する。1次転写ローラ21には、1次転写バイアス電源から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性のバイアスが印加される。これによって、感光体ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト20上に転写される(1次転写)。
中間転写ベルト20の外周面側において2次転写対向ローラ23に対向する位置には、2次転写ローラ24が配置されている。2次転写ローラ24は、中間転写ベルト20を介して2次転写対向ローラ23に圧接し、中間転写ベルト20と2次転写ローラ24とを当接させ、中間転写ベルト20のトナー像(現像剤像)を記録材12に転写する2次転写手段を構成する。2次転写ローラ24には、2次転写バイアス電源から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性のバイアスが印加される。これにより中間転写ベルト20上のトナー像が記録材12に転写される(2次転写)。
中間転写ベルト20の外周面側には、2次転写手段の下流側において、2次転写後に中間転写ベルト20上に残留したトナー(2次転写残留トナー)を中間転写ベルト20から除去する第2クリーニング手段であるベルトクリーニング装置27が配置される。ベルトクリーニング装置27は、ブレードによりベルトをクリーニングする構成とする。
2次転写ローラ24の上方には、定着装置25が配置されている。定着装置25は、トナー像(現像剤像)が転写された記録材12に熱及び圧力を加えることで、記録材12にトナー像を定着させる。
<プロセスカートリッジの構成>
画像形成装置100に装着されるプロセスカートリッジ7の全体構成について説明する。収容しているトナーの種類(色)を除いて、各色用のプロセスカートリッジ7の構成及び動作は実質的に同一である。
図2は、感光体ドラム1の長手方向(回転軸線方向)に垂直の断面によるプロセスカートリッジ7の概略構成図である。図2のプロセスカートリッジ7の姿勢は、画像形成装置に装着された状態での姿勢であり、以下でプロセスカートリッジの各部材の位置関係や方向等について記載する場合はこの姿勢における位置関係や方向等を示している。
プロセスカートリッジ7は、感光体ドラム1等を備えた感光体ユニット13と、現像ローラ4等を備えた現像ユニット14とを一体化して構成される。
感光体ユニット13は、感光体ドラム1が軸受を介して回転可能に取り付けられた枠体である。感光体ドラム1は、駆動源である駆動モータから感光体ユニット13に伝達される駆動力により、画像形成動作に応じて矢印A方向(図2では時計回り)に回転駆動される。感光体ドラム1の外径は24mmで、40rpmで回転する。感光体ドラムの大きさ及び回転速度は一例でありこの例に限定されない。感光体ドラム1は画像形成装置の画像形成プロセスにおける中心的機能を有する。感光体ドラム1は、アルミニウム製シリンダの外周面に機能性膜である下引き層、キャリア発生層、キャリア移送層を順にコーティングした有機感光体ドラムを用いている。
感光体ユニット13には、感光体ドラム1の外周面に接触するように、ドラムクリーニング装置6、帯電ローラ2が配置されている。
ドラムクリーニング装置6は、感光体ドラム1から中間転写ベルト20へのトナー像(現像剤像)の転写後に感光体ドラム1の表面に残留しているトナーを感光体ドラム1から除去する第1クリーニング手段である。ドラムクリーニング装置6によって感光体ドラム
1の表面から除去されたトナー(廃トナー)は、感光体ユニット13内の廃トナー収容部13aに落下し、収容される。廃トナー収容部13aは、ドラムクリーニング装置6によって感光体ドラム1から除去されたトナーが回収される第1収容手段である。このように、感光体ユニット13は、像担持体としての感光体ドラム1を回転可能に支持し、且つ、感光体ドラム1の表面から回収されるトナーを収容する収容部としての廃トナー収容部13aを有する枠体を構成する。
帯電ローラ2は、芯金と芯金の外周面を覆う導電性ゴム部から形成され、導電性ゴム部のローラが感光体ドラム1に加圧接触することで従動回転する。
帯電ローラ2の芯金には、所定の直流電圧が印加されており、これにより感光体ドラム1の表面には、一様な暗部電位Vdが形成される。スキャナユニット30(図1を参照)から画像データに基づき発光されるレーザー光11のスポットパターンが感光体ドラム1を露光し、露光された部位は、キャリア発生層からのキャリアにより表面の電荷が消失し、電位の大きさが低下する。この結果、露光部位は所定の明部電位Vl、未露光部位は所定の暗部電位Vdの静電潜像が、感光体ドラム1の表面に形成される。暗部電位Vd=-500V、明部電位Vl=-100Vとする。また、解像度は600dpiとする。暗部電位、明部電位及び解像度は一例であってこの例に限定されない。
現像ユニット14は、画像形成時に像担持体である感光体ドラム1にトナーを供給し感光体ドラム1にトナー像を形成する現像手段である。現像ユニット14は、トナー10を担持する回転駆動される現像剤担持体である現像ローラ4と、現像ローラ4にトナー10を供給するトナー供給ローラ3が配置された現像室18aを有している。現像ユニット14は、トナー供給ローラ3よりも重力方向下方にトナー収容室18bを備えている。トナーは初期状態で凝集度が5%から40%である。トナーの流動性を確保するために、このような凝集度を持つトナーを用いることが望ましい。トナーの凝集度については、以下のようにして測定を行った。トナーの特性は一例であってこの例に限定されない。
測定装置としては、デジタル振動計(DIGITAL VIBLATION METER MODEL 1332 SHOWA SOKKI CORPORATION製)を有するパウダーテスター(細川ミクロン社製)を用いた。測定法としては、振動台に390メッシュ、200メッシュ、100メッシュのふるいを目開の狭い順に、すなわち100メッシュふるいが最上位にくるように390メッシュ、200メッシュ、100メッシュのふるい順に重ねてセットした。
このセットした100メッシュふるい上に正確に秤量した試料(トナー)5gを加え、デジタル振動計の変位の値を0.60mm(peak-to-peak)になるように調整し、15秒間振動を加えた。その後、各ふるい上に残った試料の質量を測定して下式に基づき凝集度を得た。
その際の測定サンプルは、それぞれ事前に23℃、60%RH環境下において24時間放置したものであり、測定は23℃、60%RH環境下で行った。
凝集度(%)=(100メッシュふるい上の残試料質量/5g)×100
+(200メッシュふるい上の残試料質量/5g)×60
+(390メッシュふるい上の残試料質量/5g)×20
トナー供給ローラ3と現像剤担持体である現像ローラ4との間には、トナーを挟むニップ部が形成される。
トナー収容室18b内には、攪拌部材15が設けられている。攪拌部材15は、トナー
収容室18bに収容されたトナーを攪拌するとともに、トナー供給ローラ3の上部に向けて矢印G方向にトナーを搬送する。攪拌部材15は30rpmで回転するよう駆動される。攪拌部材15の回転速度は一例であってこの例に限定されない。
現像ブレード8は現像剤担持体である現像ローラ4の下方に配置され、現像ローラ4に対してカウンターで当接しており、トナー供給ローラ3によって現像ローラ4表面に供給されたトナーのコート量規制及び電荷付与を行う。現像ブレード8は厚さ0.1mmの板バネ状のSUS製の薄板により構成され、薄板のバネ弾性により当接圧力が形成され、その表面がトナー及び現像ローラ4に当接する。現像ブレード8の構成は一例であってこの例に限定されない。例えば、リン青銅やアルミニウム等の金属薄板により構成しても良い。現像ブレード8の表面にポリアミドエラストマーやウレタンゴムやウレタン樹脂等の薄膜を被覆したものを用いても良い。
現像剤担持体である現像ローラ4表面に担持されたトナーは、現像ブレード8と現像ローラ4との摺擦により摩擦帯電されて電荷を付与されると同時に層厚規制される。現像ブレード8にはブレードバイアス電源から所定電圧を印加し、トナーコートの安定化を図っている。ブレードバイアスV=-500Vとする。ブレードバイアスは一例でありこの例に限定されない。
現像ローラ4と感光体ドラム1とは、対向部において各々の表面が同方向(下から上に向かう方向)に移動するようにそれぞれ回転する。なお、現像ローラ4は感光体ドラム1に接触して配置されているが、現像ローラ4は感光体ドラム1に対して所定間隔を開けて近接配置される構成であっても良い。コントローラ62は、感光体ドラム1及び現像ローラ4の回転駆動の制御モードとして、第1の制御モードと第2の制御モードを有する。第1の制御モードでは、感光体ドラム1の周速度に対する現像ローラ4の周速度の比である周速比が第1周速比であり、第2の制御モードでは、周速比が第1周速比よりも高い第2周速比である。例えば、感光体ドラム1の周速度が300mm/s、現像ローラ4の周速度が450mm/sの場合、周速比は1.5である。周速比が大きいほど現像効率が高まるが、トナー飛散や現像剤劣化等のトレードオフを考慮して周速比は0~3.0程度に設定される。コントローラ62は、例えば、第1の制御モードでは周速比を1.0とし、第2の制御モードでは周速比を2.0とする。コントローラ62は、例えば画像形成の画質設定や記録材の設定に応じて第1の制御モードと第2の制御モードを切り換える。周速比の設定値や制御モードの種類数はこの限りではない。また、周速比を可変制御する機能は本発明の実施には必須の要件ではない。
現像ローラ4には、感光体ドラム1の明部電位より低い所定のDCバイアスが印加される。ここでは現像ローラ4に対してV=-300Vを印加することにより、感光体ドラム1の明部電位との間に電位差ΔV=200Vを形成する。摩擦帯電によりマイナスに帯電したトナーは、感光体ドラム1に接触する現像部において、現像ローラ4から感光体ドラム1における明部電位の部位にのみ転移する。これにより静電潜像が顕像化し、トナー像が形成される。
トナー供給ローラ3と現像ローラ4とは、各々の表面がニップ部において上から下に移動する方向に回転している。すなわち、トナー供給ローラ3は矢印E方向に、現像ローラ4は矢印D方向に回転している。トナー供給ローラ3は、導電性芯金の外周に発泡体層を形成した弾性スポンジローラである。トナー供給ローラ3は現像ローラ4との接触部において押圧されて凹む。接触部におけるトナー供給ローラ3の凹み量(侵入量)ΔHとする。トナー供給ローラ3と現像ローラ4とは逆方向に回転しており、接触部において、トナー供給ローラ3から現像ローラ4へトナーが供給される。トナー供給ローラ3と現像ローラ4との電位差を調整することにより、トナー供給ローラ3から現像ローラ4へのトナー
供給量を調整することができる。トナー供給ローラ3が80rpm、現像ローラ4が100rpmで回転するよう駆動される。トナー供給ローラ3と現像ローラ4とが同電位となるよう、それぞれにDCバイアスを印加する。
現像ローラ4とトナー供給ローラ3は、ともに外径15mmであり、トナー供給ローラ3の現像ローラ4への侵入量(凹み量ΔH)は1.0mmとする。トナー供給ローラ3の中心高さと現像ローラ4の中心高さは同じになるように配置される。
トナー供給ローラ3は、導電性支持体と、導電性支持体に支持される発泡層と、を備える。具体的には、導電性支持体たる外径φ5mmの芯金電極と、その周囲に気泡同士がつながっている連続気泡体(連泡)から構成される発泡層である発泡ウレタン層が設けられている。
<画像形成装置の動作>
画像形成装置100の画像形成時には、まず、感光体ドラム1の表面が帯電ローラ2によって一様に帯電される。次いで、スキャナユニット30から発された画像データに応じたレーザー光によって、帯電した感光体ドラム1の表面が走査露光され、感光体ドラム1上に画像データに基づく静電潜像が形成される。次いで、感光体ドラム1上に形成された静電潜像は、現像ユニット14によってトナー像として現像される。感光体ドラム1上に形成されたトナー像は、1次転写ローラ21の作用によって中間転写ベルト20上に転写(1次転写)される。
例えば、フルカラー画像の形成時には、上述のプロセスが、第1から第4の画像形成部SY、SM、SC、SKにおいて順次に行われ、中間転写ベルト20上に各色のトナー像が次々に重ね合わせられるように1次転写される。
その後、中間転写ベルト20の移動と同期が取られて記録材12が2次転写手段へと搬送される。中間転写ベルト20上の4色トナー像は、中間転写ベルト20に当接している2次転写ローラ24の作用によって、一括して記録材12上に2次転写される。
トナー像が転写された記録材12は、定着装置25に搬送される。定着装置25において記録材12に熱及び圧力が加えられることで、記録材12にトナー像が定着する。
1次転写工程後に感光体ドラム1上に残留したトナーは、ドラムクリーニング装置6によって感光体ドラム1上から除去され、廃トナー収容部13aに収容される。廃トナー収容部13aに収容されたトナー(廃トナー)は、プロセスカートリッジ7から画像形成装置100に設置された、廃トナー収容部13aとは異なる第2収容手段である廃トナーボックス26へと搬送される。廃トナーボックス26は、画像形成装置100の本体内部において、複数のプロセスカートリッジ7の外部に設けられている。
2次転写工程後に中間転写ベルト20上に残留した2次転写残留トナーは、ベルトクリーニング装置27によって中間転写ベルト20から除去される。
なお、画像形成装置100は、4つの画像形成部のうち一部のみを用いて、単色又はマルチカラーの画像を形成することもできる。
<廃トナーの搬送について>
画像形成装置100において、複数のプロセスカートリッジ7の各々の廃トナー収容部13a(第1収容手段)の内部に収容されているトナーを外部の廃トナーボックス26(第2収容手段)へ搬送する搬送手段について図2から図5を用いて説明する。
感光体ドラム1は、画像形成中に図2の矢印A方向に回転する。1次転写工程後に感光体ドラム1表面上に残留しているトナーは、ドラムクリーニング装置6の先端部によって感光体ドラム1表面から掻き取られ、廃トナー収容部13aへと収容される。廃トナー収容部13aには、廃トナーを搬送する第1搬送路40が設けられている。
廃トナーは、第1搬送路40内に設置された第1搬送部材41によって、感光体ドラム1の長手方向(回転軸方向)の一端側に向かって矢印F1方向に搬送される。
第1搬送部材41は、枠体としての感光体ユニット13に回転可能に支持され、第1搬送部材ギア42を介して、感光体ドラム1を回転させる駆動力が伝達されることで駆動される。画像形成装置100の本体カップリングから感光体ドラム1の長手方向一端の駆動入力部1cに回転駆動力が伝達される。この回転駆動力は、感光体ドラムギア1b、アイドラギア43、第1搬送部材ギア42を介して、感光体ドラム1から第1搬送部材41へと伝達される。
第1搬送部材41は、回転することで軸方向に廃トナーを搬送する螺旋状の搬送羽根41dを有している。第1搬送路40における、搬送方向(F1方向)の下流側端部には、第2搬送路44が接続される。
第1搬送路40の長手方向の一端側に搬送された廃トナーは、バネ形状の第2搬送部材45によって第2搬送路44をF2方向に搬送される。第2搬送路44における搬送方向F2は、第1搬送路40における搬送方向F1に交差又は直交する。第2搬送部材45は螺旋形状であり、回転することで第2搬送路44内の廃トナーをほぐしつつ、軸方向(F2方向)にトナー連通口44cまで搬送する。プロセスカートリッジ7に設けられたトナー連通口44cまで搬送された廃トナーは、画像形成装置100の本体搬送路28へ排出される。
本体搬送路28へ排出された廃トナーは、本体搬送路28に設けられた本体搬送スクリュー29により、画像形成装置100のカートリッジの外部に設けられた廃トナーボックス26まで搬送され、排出される。排出された廃トナーは廃トナーボックス26に収容される。このように、枠体としての感光体ユニット13に回転可能に支持された第1搬送部材41及び第2搬送部材45は、廃トナー収容部13aに収容されたトナーを、廃トナー収容部13aの内部から外部へ搬送する搬送動作を行う。
なお、第2搬送路44を配置する位置は、感光体ユニット13の長手方向の端部に限られず、例えば、長手方向の中央部でも良い。第2搬送部材45の形状は、バネ形状に限られず、例えば、スクリュー形状でも良い。
<廃トナー搬送制御>
画像形成装置100において、廃トナー搬送部材である第1搬送部材41は、感光体ドラム1から伝達される駆動力によって回転することで、廃トナーを搬送する搬送動作を行うよう構成されている。第1搬送部材41による廃トナー搬送量は、感光体ドラム1の回転量(回転量(又は回転数)=回転速度×時間)によって決まる。画像形成中に第1搬送部材41により搬送できる廃トナー量には上限がある。使用トナー量が多い画像形成モード(例えば高品質モードや高濃度モード)では、標準的な画像形成モードに比べて廃トナー量が多くなり得る。このような画像形成モードで画像形成を行った場合に、廃トナー収容部13aの内部から画像形成装置100本体への廃トナー搬送が追いつかず、廃トナー収容部13a内の廃トナー蓄積量が過剰になって詰まり等が発生する可能性がある。
そこで、実施例1の画像形成装置100では、画像形成中の第1搬送部材41の駆動により廃トナー収容部13aから画像形成装置100本体へ廃トナーを搬送する第1搬送制御の他に、第2搬送制御を適宜実行する。第2搬送制御とは、画像形成を行わない非画像形成時に感光体ドラム1を回転駆動させることで第1搬送部材41や第2搬送部材45等の搬送手段に搬送動作を行わせて廃トナー収容部13aの廃トナーを搬送させる制御である。第2搬送制御は、搬送手段により廃トナーの搬送を行わせることを目的として感光体ドラム1を回転駆動させる制御を含む。第2搬送制御では、画像形成を行わない。従って、第2搬送制御中は廃トナーが発生しない。第2搬送制御では、感光体ユニット13を現像ユニット14から離間し、感光体ユニット13のみを所定の回転速度で所定時間駆動させる。この第2搬送制御によって第1から第4の画像形成部SY、SM、SC、SK(以下、ステーションという)の各々の廃トナー収容部13a内からカートリッジの外部に設けられた廃トナーボックス26へ所定量の廃トナーが排出される。第2搬送制御による廃トナー搬送量をW3とする。画像形成装置100は、画像形成時に廃トナー収容部13aの廃トナー蓄積量を取得(算出)し、廃トナー蓄積量が所定の閾値以上の場合、第2搬送制御を実行して廃トナー収容部13aの廃トナー蓄積量を減少させる。これは、廃トナー収容部13aの廃トナー蓄積量が上限に達する可能性があると判断される場合である。こ
のような場合には、連続画像形成動作を一時停止し、第2搬送制御を実行する。これにより、多量の廃トナーが発生し得る画像形成動作中でも、廃トナー収容部13aの廃トナー蓄積量が過剰になってしまうことを抑制でき、廃トナー収容部13aに詰まり等が生じることを抑制できる。
廃トナー搬送制御は、画像形成装置100のコントローラ62により実行される。コントローラ62は、画像データに基づき画像形成時に使用されるトナー量を求め、それに基づき画像形成後の廃トナー収容部13a内の廃トナー蓄積量を求める。求めた廃トナー蓄積量が所定の閾値以上の場合、コントローラ62は、画像形成を行わない非画像形成時に、搬送部材に搬送動作を行わせる第2搬送制御を実行することにより、廃トナー収容部13aの廃トナー蓄積量を減少させる。
コントローラ62は、画像データから画像を構成するドット数を取得し、ドット数に基づき画像形成に使用されるトナー量又はそれに対応する値を求め、それに基づき画像形成によって発生する廃トナー量を求める。この演算のために、各ステーションの1ドットあたりのトナー消費量A(Ay、Am、Ac、Ak)を、予め画像形成装置100のメモリ64又はプロセスカートリッジ7に備わる同様の記憶装置に記憶させておく。1次転写工程で感光体ドラム1上のトナーが中間転写ベルト20に転写される割合である1次転写効率T(Ty、Tm、Tc、Tk)もメモリ64に記憶させておく。1次転写された中間転写ベルト20上のトナーが下流のステーションの感光体ドラム1を通過する際に感光体ドラム1へ移行する割合である再転写効率R(Rm、Rc、Rk)もメモリ64に記憶させておく。ここでは、1ドットあたりのトナー消費量Aは0.003mg、1次転写効率Tは0.90、再転写効率Rは0.05とする。これらの値は一例であってこの例に限定されない。
メモリ64には、画像形成中の第1搬送制御で搬送される廃トナー量Weも記憶させておく。第1搬送部材41の駆動力は感光体ドラム1から伝達される。第1搬送制御による廃トナー搬送量Weは、1つの記録材に対する画像形成時の感光体ドラム1の回転により搬送手段が駆動されて廃トナー収容部13aから廃トナーボックス26へ搬送されるトナー量である。ここでは、第1搬送制御による廃トナー搬送量Weを0.1gとする。この値は一例であってこの例に限定されない。
なお、1ドット当たりのトナー消費量A、1次転写効率T、再転写効率R、第1搬送制御による廃トナー搬送量We等の定数は、環境条件(温度や湿度)に応じて複数の値を使い分けても良い。その場合、メモリ64には環境条件に応じて定められる複数のこれらの
定数を記憶させておく。
図6のフローチャートを参照して、実施例1の画像形成装置100における廃トナーの搬送制御について説明する。図6は、実施例1の廃トナー搬送制御の流れを示すフローチャートである。このフローチャートで表される処理は、画像形成装置100のコントローラ62が実行する。
S101において、コントローラ62は、ホスト61から画像形成命令の入力を受け付ける。ここではM枚(M≧1)の記録材に画像を形成する命令の入力を受け付けるものとする。S101の処理には、M枚の記録材に形成する画像に対応する画像データの受信処理が含まれる。コントローラ62は、受信したM枚分の画像データをメモリ64に記憶する。
S102において、コントローラ62は、画像形成装置100に画像形成動作を開始させる。この処理には現像ローラ4の回転や感光体ドラム1への静電潜像の作像処理が含まれる。ここでは、コントローラ62は、N枚目(1≦N≦M)の記録材に対する画像形成動作を開始する。コントローラ62は、N枚目の記録材に形成する画像に対応する画像データをメモリ64から取得し、N枚目の記録材に形成する画像データに基づき感光体ドラム1に対する露光処理等を行う。
S103において、コントローラ62は、N枚目の記録材に対する画像形成で発生する廃トナー量を求める。S103以降の計算処理は、S102において開始されたN枚目の記録材に対する画像形成動作と並行して実行される。なお、S103以降の計算処理が先に完了しても良いし、N枚目の記録材に対する画像形成動作が先に完了しても良い。
まず、コントローラ62は、N枚目の記録材に形成する画像データに基づき、各ステーションでの画像ドット数D(Dy、Dm、Dc、Dk)を求め、メモリ64に記憶する。コントローラ62は、画像形成を行う画像データ(ここではN枚目の記録材に形成する画像データ)が入力される毎に画像ドット数Dを求め、既にメモリ64に記憶されている情報を更新する。コントローラ62は、スキャナユニット30のレーザー光源の点灯時間を計数し、それを1ドットの点灯時間で除算することにより、画像ドット数Dを求める。
コントローラ62は、画像ドット数D、1ドットあたりのトナー消費量A、1次転写での転写効率T、再転写効率Rに基づき、N枚目の記録材に対する画像形成において各ステーションの感光体ユニット13で発生する廃トナー量を求める。これを廃トナー回収量W1(W1y、W1m、W1c、W1k)とする。廃トナー回収量W1は、N枚目の記録材に対する画像形成時に廃トナー収容部13aに回収されるトナー量である。
ここで、Cステーションにおける廃トナー回収量W1cを考える。Cステーションの上流にはYステーション及びMステーションの2つのステーションがある。そのため、Cステーションにおいて回収される廃トナーには、Cステーションにおける1次転写残留トナーに加えて、再転写により発生する廃トナーが含まれる。Cステーションにおける再転写による廃トナーは、Cステーション通過時に既に中間転写ベルト20上に転写されているYトナー及びMトナーの再転写により発生する廃トナーである。MトナーのCステーションにおける再転写量は、Mステーションで中間転写ベルト20上に1次転写されたトナー量に対して再転写効率Rcを乗ずることで求められる。YトナーのCステーションにおける再転写量は、Yステーションで中間転写ベルト20上に1次転写された後、Mステーションで再転写されずに中間転写ベルト20上に残ったトナー量に対して再転写効率Rcを乗ずることで求められる。しかしながら、ステーション通過時に再転写によって中間転写ベルト20上から減少していくトナー量を厳密に計算すると、コントローラ62の演算負荷が大きくなる。そのため、実施例1では、どのステーションにおける再転写量を求める
場合も、そのステーションより上流のステーションにおける再転写によって中間転写ベルト20から減るトナー量を無視する。すなわち、コントローラ62は、1次転写で中間転写ベルト20上に転写されたトナー量に対して再転写効率Rを乗じた値で各ステーションにおける再転写量を求める。
よって、第1から第4の各ステーションの感光体ユニット13での廃トナー回収量W1(W1y、W1m、W1c、W1k)は、次式で求められる。
W1y=Ay×Dy×(1-Ty)
W1m=Am×Dm×(1-Tm)+Rm×(Ay×Dy×Ty)
W1c=Ac×Dc×(1-Tc)+Rc×(Ay×Dy×Ty+Am×Dm×Tm)
W1k=Ak×Dk×(1-Tk)+Rk×(Ay×Dy×Ty+Am×Dm×Tm+Ac×Dc×Tc)
S104において、コントローラ62は、第1搬送制御で画像形成装置100の本体へ搬送される廃トナー量Weを求める。1枚の記録材に対する画像形成動作中に行われる第1搬送制御による廃トナー搬送量Weは一定値とする。第1搬送制御による廃トナー搬送量Weはメモリ64に記憶されている。コントローラ62はメモリ64から第1搬送制御による廃トナー搬送量Weの値(実施例1では0.1g)を取得する。
S105において、コントローラ62は、前回の画像形成終了時までに既に各ステーションの廃トナー収容部13aに蓄積している廃トナー量(以下、初期蓄積量)W0(W0y、W0m、W0c、W0k)を取得する。なおここで、「前回の画像形成終了時」とは、N-1枚目の記録材に対する画像形成動作が行われ、必要に応じて第2搬送制御による廃トナーの搬送が行われ、N枚目の記録材に対する画像形成を開始できる状態になっている時又は画像形成の開始時を意味する。コントローラ62は、初期蓄積量W0として、前回の画像形成時に求めた各ステーションの廃トナー蓄積量W(Wy、Wm、Wc、Wk)を用いる。コントローラ62は、画像形成時に求めた各ステーションの廃トナー蓄積量Wを、次回の画像形成時に用いる初期蓄積量W0としてメモリ64に記憶する。コントローラ62は、そのようにして記憶しておいた初期蓄積量W0をメモリ64から読み込んで取得する。
S106において、コントローラ62は、N枚目の画像形成動作後の各ステーションの廃トナー収容部13aにおける廃トナー蓄積量Wを求める。廃トナー収容部13aの廃トナー蓄積量Wは、次式で求められる。この計算式は各ステーションで共通である。
W=W0+W1-We
W1:N枚目の画像形成時の各ステーションの廃トナー回収量(S103)
We:N枚目の画像形成動作中に行われる第1搬送制御による廃トナー搬送量(S104)
W0:初期蓄積量(S105)
S107において、コントローラ62は、S106で求めた各ステーションの廃トナー蓄積量W(Wy、Wm、Wc、Wk)のうちの最大値Wmaxと閾値THとを比較する。閾値THは、廃トナー蓄積量が廃トナー収容部13aの蓄積可能上限に達しつつあるか否かを判断するための閾値である。最大値Wmaxが閾値THより小さい場合、S108に進み、最大値Wmaxが閾値TH以上の場合、S109に進む。
S108において、コントローラ62は、S106で求めた各ステーションの廃トナー収容部13aの廃トナー蓄積量W(Wy、Wm、Wc、Wk)をメモリ64に記憶し、既に記憶されている廃トナー蓄積量の情報を更新する。
S109において、コントローラ62は、連続画像形成動作を一時的に停止して第2搬送制御を実行する。なお、コントローラ62は、N枚目の記録材に対する画像形成が終了した後にS109の処理を実行する。従って、「連続画像形成動作を一時的に停止する」とは、N枚目の記録材の画像形成動作の終了後、続くN+1枚目の記録材の画像形成動作を直ちに開始しないことを意味する。第2搬送制御では、廃トナーの発生がない状況を作り出し、廃トナー収容部13aの廃トナーを排出する動作のみを実行する。具体的には、感光体ユニット13を現像ユニット14から離間し、感光体ユニット13のみを所定速度で所定時間駆動する。第2搬送制御による廃トナー搬送量をW3とすると、各ステーションの廃トナー収容部13aの廃トナー蓄積量WはW3だけ減少する。これにより、各ステーションの廃トナー収容部13aの廃トナー蓄積量Wが減少するため、廃トナー収容部13aや搬送経路において廃トナーが詰まる等の問題が生じることを抑制できる。
実施例1では、第2搬送制御による廃トナー搬送量W3は、第1搬送制御による廃トナー搬送量Weの2倍になるように設定する(W3=2×We)。第2搬送制御における感光体ドラム1の回転速度と、第2搬送制御による廃トナー搬送量W3とから、第2搬送制御における感光体ドラム1の駆動時間が決まる。なお、第2搬送制御による廃トナー搬送量W3の設定値は一例でありこれに限定されない。第2搬送制御における感光体ユニット13の回転速度や駆動時間を調整することで廃トナー搬送量W3を調整することができる。例えば、第2搬送制御の実行により各ステーションの廃トナー収容部13aの廃トナー蓄積量Wが閾値THより少なくなるように、廃トナー蓄積量の最大値Wmaxと閾値THとの差分に基づきW3を適当な値に設定しても良い。例えば、廃トナー蓄積量の最大値Wmaxが大きいほど、第2搬送制御による感光体ドラム1の駆動時間が長くなるように制御しても良い。
S110において、コントローラ62は、S106で求めた廃トナー蓄積量Wから第2搬送制御による廃トナー搬送量W3を減算した値(W-W3)を求める。コントローラ62は、求めた値を各ステーションの廃トナー収容部13aの廃トナー蓄積量Wとしてメモリ64に記憶し、廃トナー蓄積量の情報を更新する。
S111において、コントローラ62は、連続画像形成要求があるかを確認する。ここでは、コントローラ62は、N<Mであるか否かを判定する。N<Mである場合、コントローラ62は、連続画像形成要求があると判断し、S113に進んでNをインクリメントしてS102に戻る。連続画像形成要求がない場合、S112に進む。ここでは、N≧Mである場合、コントローラ62は、連続画像形成要求がない(連続画像形成要求に係る全ての記録材の画像形成が終了した)と判断する。
S112において、コントローラ62は、画像形成後に次の画像形成命令入力に備えるための準備的な感光体ドラム1の回転制御(以下、後回転という)を実行する。コントローラ62は、後回転に伴う感光体ドラム1の回転により第1搬送部材41が駆動されることによる廃トナー搬送量W4を求め、S108又はS110で求めた廃トナー蓄積量Wから減算した値(W-W4)を求める。コントローラ62は、求めた値を各ステーションの廃トナー収容部13aの廃トナーの初期蓄積量W0としてメモリ64に記憶し、初期蓄積量の情報を更新する。コントローラ62は、画像形成動作を終了させ、画像形成動作スタンバイ状態へ移行させる。
このフローチャートに示す廃トナー搬送制御によれば、複数の記録材に対する連続的な画像形成の実行時に、1つの記録材に対する画像形成を行う毎に廃トナー収容部13aの廃トナー蓄積量を取得する。そして、廃トナー蓄積量が閾値以上になった場合、連続的な画像形成を一時的に停止し、第2搬送制御を実行して廃トナー蓄積量を減少させることができる。なお、このフローチャートでは、1枚の画像形成動作を開始した後(紙間)に第2搬送制御の実行要否を判断する例を示したが、これは一例でありこれに限定されない。例えば、1枚の画像形成動作を開始する前に第2搬送制御の実行要否を判断し、必要に応じて第2搬送制御を実行しても良い。具体的には、図6のフローチャートにおいて、S102においてN枚目の記録材に画像形成を行う画像データを取得し、当該画像データに基づきS103~S110の処理を実行した後、当該画像データに基づく画像形成動作を開始しても良い。この場合、コントローラ62は、N枚目の記録材に対する画像形成後の各ステーションの廃トナー蓄積量Wを実際に画像形成を行う前に計算する。計算した廃トナー蓄積量Wが閾値を超えている場合、コントローラ62は、実際に画像形成を行う前に予め第2搬送制御を行って廃トナー蓄積量を減少させておく。そのため、N枚目の記録材に対する画像形成が実行されるまでに多少時間がかかる場合があるものの、廃トナーの詰まりや溢れ等をより確実に抑制することができる。なお、図6のフローチャートの処理順序ではN枚目の記録材の画像形成を開始した後にS103~S110の処理を行う。そのため、S107で廃トナー蓄積量の最大値Wmaxが閾値TH以上と判断される場合には、実際にいずれかのステーションの廃トナー蓄積量が閾値以上になってしまうことになる。この場合に廃トナーの詰まりや溢れ等が発生しないように、閾値THを余裕をもった値に設定することが好ましい。また、画像形成前の準備的な感光体ドラム1の回転時や、後回転時に第2搬送制御の実行要否を判断しても良い。
実施例1の画像形成装置によれば、画像形成に係る画像データから廃トナー収容部13aの廃トナー蓄積量を求め、廃トナー蓄積量が閾値以上の場合には第2搬送制御を実行する。これにより、廃トナー収容部13aの廃トナー蓄積量が過剰に多くなることを抑制でき、廃トナー収容部13aに廃トナー詰まり等が生じることを抑制できる。なお、コントローラ62は、感光体ドラム1及び現像ローラ4の回転駆動の制御モードを第2のモードとしているときに第2搬送制御を行うようにしても良い。第2のモードでは第1のモードよりも周速比が高いため、現像ローラ4により感光体ドラム1に供給されるトナー量が多く、廃トナーも多く発生する。第2のモードで制御されているときに第2搬送制御が行われることにより、廃トナーの発生量が多くても廃トナーの詰まりや溢れ等が生じることを抑制できる。
(実施例2)
実施例2について説明する。なお、実施例1と同内容の構成については適宜説明を省略する。
画像形成装置100は、2次転写工程後に中間転写ベルト20上に残留した2次転写残留トナーを中間転写ベルト20から除去する第2クリーニング手段であるベルトクリーニング装置27を有する。実施例2のベルトクリーニング装置27は、中間転写ベルト20上の2次転写残留トナーを1次転写手段の感光体ドラム1に対し逆極性(正規の帯電特性とは逆特性)に一様に帯電させるとともに、1次転写手段に導く。1次転写手段において2次転写残留トナーを感光体ドラム1に逆転写させて中間転写ベルト20から除去する。廃トナー収容部13aは、中間転写ベルト20から除去された2次転写残留トナーも回収されるよう構成される。
画像形成装置100は、ベルトクリーニング装置27によって中間転写ベルト20から除去された2次転写残留トナーが廃トナー収容部13aで回収されることによる廃トナー蓄積量の増加分も考慮して廃トナー搬送制御を行うことを特徴とする。
ベルトクリーニング装置27について図7を用いて説明する。ベルトクリーニング装置27は、2次転写残留トナーを帯電させる帯電手段である導電性ブラシ51とトナー帯電ローラ52を有する。導電性ブラシ51及びトナー帯電ローラ52は、中間転写ベルト20の移動方向(矢印B方向)において2次転写手段よりも下流側、かつ1次転写手段よりも上流側に位置する。導電性ブラシ51はトナー帯電ローラ52より上流側に位置する。トナー帯電ローラ52は中間転写ベルト20に接触しており、クリーニング対向ローラ22に対し9.8Nの圧力で押圧されている。
なお、導電性ブラシ51のかわりに、固定配置される発泡スポンジ状部材(例えばウレタンゴムやNBRヒドリンゴムにて形成されたもの)や、回転可能なファーブラシローラ、回転可能な発泡スポンジローラ等を用いても良い。
導電性ブラシ51は、電流検知手段53を介して、高圧電源54と電気的に接続しており、正極性と負極性のバイアスを選択的に印加することができる。トナー帯電ローラ52も、電流検知手段55を介して、高圧電源56と電気的に接続しており、正極性と負極性のバイアスを選択的に印加することができる。
ベルトクリーニング動作時は、導電性ブラシ51とトナー帯電ローラ52には、高圧電源54、56からそれぞれ正極性の直流電圧が印加される。印加する直流電圧は、電流検知手段53、55により検出される電流値が予め設定した目標電流値になるように定電流制御される。目標電流値は、2次転写残留トナーを過剰帯電させることなく、また、帯電不足によりクリーニングが不十分にならないように設定される。ここでは導電性ブラシ51の目標電流値を20μAとし、トナー帯電ローラ52の目標電流値を30μAとする。
ベルトクリーニング動作時に、導電性ブラシ51に正バイアスを印加することで、導電性ブラシ51から中間転写ベルト20に向けて正の電界が形成され、2次転写残留トナーのうち負極性に帯電したトナーが導電性ブラシ51に静電的に付着する。これにより、ベルトクリーニング動作時にトナー帯電ローラ52を通過する2次転写残留トナーの量が減少する。導電性ブラシ51に正バイアスを印加することにより、導電性ブラシ51と2次転写残留トナーとの間の放電によりトナーを正極性に帯電させるプレ帯電作用も得られる。
トナー帯電ローラ52において、中間転写ベルト20との電位差による放電により、導電性ブラシ51を通過した2次転写残留トナーは一様に正極性に帯電する。
正極性に帯電した2次転写残留トナーがトナー帯電ローラ52の下流にある第1ステーションを通過する際に、第1ステーションでは、1次転写ローラ21yに正バイアスV5が印加される。これにより、感光体ドラム1y上に現像された負極性のトナー像が中間転写ベルト20に1次転写されるとともに、正極性化した2次転写残留トナーが中間転写ベルト20から感光体ドラム1yに逆転写される。感光体ドラム1yに逆転写された2次転写残留トナーは、その後、感光体ユニット13yのドラムクリーニング装置6yにより回収され廃トナー収容部13aに収容される。
1次転写ローラ21yに印加する正バイアスV5は、1次転写効率Tが最大となる値に設定する。実施例2においては、23℃、50%環境下でV5=+600Vとする。なお、1次転写ローラ21yに印加する正バイアスV5は、環境条件に応じて最適な値を設定することが好ましい。1次転写ローラ21に印加する正バイアスV5の値は一例でありこの例に限定されない。
このように、ベルトクリーニング装置27においては、2次転写残留トナーは、その一
部が導電性ブラシ51に付着することで中間転写ベルト20から除去される。さらに、導電性ブラシ51においてプレ帯電され下流のトナー帯電ローラ52において一様に正極性に帯電される。正極性に帯電した2次転写残留トナーは1次転写手段で回収され、中間転写ベルト20上から除去される。
実施例2の画像形成装置においては、中間転写ベルト20上に残留した2次転写残留トナーもプロセスカートリッジ7の感光体ユニット13で回収される。そのため、この2次転写残留トナーの回収による廃トナー蓄積量の増加分も考慮して第2搬送制御の実行要否を判断する。
2次転写残留トナーの回収による廃トナー蓄積量の増加量を求めるために、2次転写効率Sとベルトクリーニング効率Iを用いる。2次転写効率Sは、2次転写で中間転写ベルト20から記録材12に転写されるトナー量の割合である。ベルトクリーニング効率Iは、正極性に帯電した2次転写残留トナーが感光体ユニット13を通過する際に感光体ドラム1に逆転写される割合である。実施例2の画像形成装置100では、予め2次転写効率Sとベルトクリーニング効率Iを、実施例1で説明した各種定数とともにメモリ64又はプロセスカートリッジに備わる同様の記憶装置に記憶させておく。ここでは、2次転写効率Sは0.9、ベルトクリーニング効率Iは0.2とする。2次転写効率Sとベルトクリーニング効率Iの値は、環境条件(温度や湿度)に応じて複数の値を使い分けても良い。その場合、メモリ64には環境条件に応じて定められる複数のこれらの定数を記憶させておく。
1次転写ローラ21に正バイアスを印加し、1次転写工程と同時に2次転写残留トナーの回収を行うので、連続画像形成時には2次転写残留トナーは最上流の第1(Y)ステーションで回収される。従って、Yステーションの廃トナー蓄積量が他のステーションの廃トナー蓄積量に比べて多くなることが想定される。そこで、第2搬送制御の実行要否の判断は、第1(Y)ステーションの廃トナー蓄積量に基づいて行う。
図8のフローチャートを参照して、実施例2の画像形成装置100における廃トナーの搬送制御について説明する。図8は、実施例2の廃トナー搬送制御の流れを示すフローチャートである。このフローチャートで表される処理は、画像形成装置100のコントローラ62が実行する。
S201において、コントローラ62は、ホスト61から画像形成命令の入力を受け付ける。この処理は実施例1のS101と同様である。
S202において、コントローラ62は、画像形成装置100にN枚目の記録材に対する画像形成動作を開始させる。この処理は実施例1のS102と同様である。
S203において、コントローラ62は、N枚目の記録材に対する画像形成で発生する廃トナー量を求める。第2(M)から第4(K)ステーションにおける廃トナー回収量W1(W1m、W1c、W1k)の計算は実施例1のS103と同様である。最上流にある第1(Y)ステーションにおける廃トナー回収量W1yの計算について説明する。コントローラ62は、N枚目の記録材に形成する画像データに基づき、Yステーションでの画像ドット数Dyを求め、メモリ64に記憶する。コントローラ62は、画像ドット数Dy、1ドットあたりのトナー消費量Ay、1次転写での転写効率Ty、2次転写効率S及びベルトクリーニング効率Iに基づき、Yステーションの感光体ユニット13における廃トナー回収量W1yを求める。実施例1と同様、あるステーションにおける廃トナー回収量の計算では、そのステーションよりも上流のステーションにおいて中間転写ベルト20に1次転写されたトナーの一部が感光体ドラム1に再転写されることを考慮して計算する。し
かしながら、コントローラ62の演算負荷の軽減のため、中間転写ベルト20におけるトナーは再転写によって減少しないものする。すなわち、再転写による廃トナー収容部13aの廃トナー回収量の増加分は考慮するが、再転写による中間転写ベルト20からのトナーの減少分は考慮しない。従って、再転写に起因する廃トナー収容部13aの廃トナー回収量は実際よりも若干多めに計算されることになる。2次転写残留トナーの量は、各ステーションにおいて中間転写ベルト20に1次転写されたトナー量を合計したトナー量と、2次転写効率Sとに基づいて行う。
Yステーションの感光体ユニット13での廃トナー回収量W1yは次式で求められる。なお、他のステーションの廃トナー回収量を求める式は実施例1と同様である。
W1y=Ay×Dy×(1-Ty)+I×(1-S)×(Ay×Dy×Ty+Am×Dm×Tm+Ac×Dc×Tc+Ak×Dk×Tk)
S204において、コントローラ62は、第1搬送制御で画像形成装置100の本体へ搬送される廃トナー量Weを求める。この処理は実施例1のS104と同様である。
S205において、コントローラ62は、初期蓄積量W0を取得する。この処理は実施例1のS105と同様である。
S206において、コントローラ62は、N枚目の画像形成動作後の各ステーションの廃トナー収容部13aにおける廃トナー蓄積量Wを求める。この処理は実施例1のS106と同様である。
S207において、コントローラ62は、S206で求めた各ステーションの廃トナー蓄積量W(Wy、Wm、Wc、Wk)のうち第1(Y)ステーションの廃トナー蓄積量Wyと閾値THとを比較する。Wyが閾値THより小さい場合、S208に進み、Wyが閾値TH以上の場合、S209に進む。
S208において、コントローラ62は、S206で求めた各ステーションの廃トナー蓄積量W(Wy、Wm、Wc、Wk)をメモリ64に記憶し、既に記憶されている廃トナー蓄積量の情報を更新する。
S209において、コントローラ62は、連続画像形成動作を一時的に停止して第2搬送制御を実行する。第2搬送制御による廃トナー搬送量をW3とすると、各ステーションの廃トナー収容部13aの廃トナー蓄積量WはW3だけ減少する。これにより、各ステーションの廃トナー収容部13aの廃トナー蓄積量Wが減少するため、廃トナー収容部13aや搬送経路において廃トナーが詰まる等の問題が生じることを抑制できる。第2搬送制御の詳細は実施例1と同様である。第2搬送制御の実行により各ステーションの廃トナー収容部13aの廃トナー蓄積量Wが閾値THより少なくなるように、廃トナー蓄積量の最大値Wmaxと閾値THとの差分に基づきW3を適当な値に設定しても良い。
S210において、コントローラ62は、S206で求めた廃トナー蓄積量Wから第2搬送制御による廃トナー搬送量W3を減算した値(W-W3)を求め、メモリ64の廃トナー蓄積量の情報を更新する。この処理は実施例1のS110と同様である。
S211において、コントローラ62は、連続画像形成要求があるかを確認する。ここでは、コントローラ62は、N<Mであるか否かを判定する。N<Mである場合、コントローラ62は、連続画像形成要求があると判断し、S213に進んでNをインクリメント
してS202に戻る。連続画像形成要求がない場合、S212に進む。ここでは、N≧Mである場合、コントローラ62は、連続画像形成要求がない(連続画像形成要求に係る全ての記録材の画像形成が終了した)と判断する。
S212において、コントローラ62は、画像形成終了後に後回転を実行し、後回転による廃トナー搬送量W4を求め、S208又はS210で求めた廃トナー蓄積量Wから減算した値(W-W4)を求める。コントローラ62は、求めた値を各ステーションの廃トナー収容部13aの廃トナーの初期蓄積量W0としてメモリ64に記憶し、初期蓄積量の情報を更新する。コントローラ62は、画像形成動作を終了させ、画像形成動作スタンバイ状態へ移行させる。この処理は実施例1のS112と同様である。
なお、第2搬送制御の実行要否の判断は、連続画像形成中の紙間に限らず、画像形成開始前の準備回転時や後回転時に行っても良い点は実施例1と同様である。また、2次転写残留トナーの回収を行う第1(Y)ステーションの廃トナー蓄積量Wyと閾値THとを比較して第2搬送制御の実行要否を判断する例を説明した。しかし、実施例1と同様、全てのステーションの廃トナー蓄積量のうちの最大値Wmaxと閾値THとを比較しても良い。
実施例2の画像形成装置によれば、2次転写残留トナーをプロセスカートリッジ7の感光体ユニット13で回収する構成であっても、廃トナー収容部13aの廃トナー蓄積量を求め、廃トナー蓄積量が閾値以上の場合には第2搬送制御を実行する。これにより、廃トナー収容部13aの廃トナー蓄積量が過剰に多くなることを抑制でき、廃トナー収容部13aに詰まり等が生じることを抑制できる。
(実施例3)
実施例3について説明する。なお、実施例1及び実施例2と同内容の構成については適宜説明を省略する。
実施例3では、実施例2の画像形成装置の構成において、導電性ブラシ51に付着した2次転写残留トナー及びトナー帯電ローラ52の表面に付着した2次転写残留トナーを中間転写ベルト20に転写する吐き出し処理を行う。
吐き出し処理を行うことにより、導電性ブラシ51及びトナー帯電ローラ52に付着した負極性に帯電した2次転写残留トナーが中間転写ベルト20に転写されるため、導電性ブラシ51やトナー帯電ローラ52に溜まったトナーが除去される。従って、定期的に吐き出し処理を行うことにより、ベルトクリーニング装置27によるクリーニング効果の低下を抑制することができる。吐き出し処理は、画像形成動作を行っていないタイミング(非画像形成時)で実行する。
実施例3の画像形成装置100は、吐き出し処理によって中間転写ベルト20に吐き出されたトナーが廃トナー収容部13aで回収されることによる廃トナー蓄積量の増加分も考慮して廃トナー搬送制御を行うことを特徴とする。
吐き出し処理について図7を用いて説明する。画像形成動作中は、ベルトクリーニング装置27により導電性ブラシ51に正バイアスを印加し、中間転写ベルト20に対し正の電界を形成する。これにより、中間転写ベルト20上の負極性の2次転写残留トナーの一部が導電性ブラシ51に付着し、保持される。導電性ブラシ51に保持されるトナー量が増えてくると、導電性ブラシ51に新たにトナーが付着しにくくなるため、ベルトクリーニング装置27のクリーニング効果が低下する。
吐き出し処理を行うことによって、導電性ブラシ51に保持されているトナーが中間転写ベルト20に転写される(吐き出される)ため、導電性ブラシ51に保持されるトナーの量が減少する。これにより、ベルトクリーニング装置27のクリーニング効果の低下を抑制することができる。
ベルトクリーニング装置27によるベルトクリーニング処理では、トナー帯電ローラ52に正バイアスが印加されるため、中間転写ベルト20上の負極性の2次転写残留トナーの一部は、トナー帯電ローラ52を通過すると正極性に帯電する。また、中間転写ベルト20上の負極性の2次転写残留トナーの一部は、負極性のまま、トナー帯電ローラ52から中間転写ベルト20に対し形成される正の電界による静電引力によりトナー帯電ローラ52に付着する。
トナー帯電ローラ52の表面の付着トナーの量が増えると、トナー帯電ローラ52の帯電性能が不安定になり、クリーニング効果が低下する。
そこで、トナー帯電ローラ52においても、定期的にトナー帯電ローラ52の表面の付着トナーを中間転写ベルト20に転写する吐き出し処理を行い、クリーニング効果の低下を抑制する。
吐き出し処理は、画像形成動作を行っていないタイミング(非画像形成時)に実行する。非画像形成時としては、後回転時や、記録材12が搬送経路中で詰まるジャム発生後の処理動作時等を例示できる。
吐き出し処理では、導電性ブラシ51及びトナー帯電ローラ52を、付着トナーと同極性に帯電させる。ここでは導電性ブラシ51及びトナー帯電ローラ52に負極性のバイアスを印加する。これにより導電性ブラシ51及びトナー帯電ローラ52から中間転写ベルト20に向かって負の電界が形成される。導電性ブラシ51及びトナー帯電ローラ52の付着トナーの大部分は負極性である。従って、導電性ブラシ51及びトナー帯電ローラ52に負バイアスを印加することで、静電引力により、導電性ブラシ51及びトナー帯電ローラ52の付着トナーが中間転写ベルト20上に転写される。これにより、導電性ブラシ51に溜まったトナー及びトナー帯電ローラ52の表面の付着トナーが中間転写ベルト20に吐き出される。中間転写ベルト20に転写された付着トナーは、1次転写手段に導かれ、1次転写ローラ21に付着トナーと同極性のバイアスを印加することで、中間転写ベルト20から感光体ドラム1に逆転写され、中間転写ベルト20から除去される。廃トナー収容部13aは、中間転写ベルト20から除去された付着トナーも回収されるよう構成される。
画像形成装置100は、付着トナーが廃トナー収容部13aに回収されることによる廃トナー蓄積量の増加分も考慮して廃トナー搬送制御を行うことを特徴とする。付着トナーは、吐き出し処理によって中間転写ベルト20に吐き出され、その後、中間転写ベルト20から除去されるトナーである。
このような負極性に帯電した付着トナーの吐き出し処理のために、高圧電源54、56から負バイアスを導電性ブラシ51及びトナー帯電ローラ52に印加する。ここでは、高圧電源54から導電性ブラシ51に印加する負バイアスは-1000V、高圧電源56からトナー帯電ローラ52に印加する負バイアスは-1500Vとする。これらの値は一例でありこの例に限定されない。
導電性ブラシ51及びトナー帯電ローラ52の付着トナーの大部分は負極性に帯電しているが、放電によって正極性に帯電した付着トナーも僅かにある。そこで、吐き出し処理
は、正極性に帯電した付着トナーを中間転写ベルト20に吐き出すために、導電性ブラシ51及びトナー帯電ローラ52に正バイアスを印加する工程を含む。これにより、導電性ブラシ51及びトナー帯電ローラ52から中間転写ベルト20に向かって正の電界が形成され、導電性ブラシ51及びトナー帯電ローラ52の僅かな正極性の付着トナーについても中間転写ベルト20上に吐き出すことができる。
正極性に帯電した付着トナーの吐き出し処理のために、高圧電源54、56から正バイアスを導電性ブラシ51及びトナー帯電ローラ52に印加する。ここでは、高圧電源54から導電性ブラシ51に印加する正バイアスは+1000V、高圧電源56からトナー帯電ローラ52に印加する正バイアスは+1500Vとする。これらの値は一例でありこの例に限定されない。
吐き出し処理では、中間転写ベルト20を回転させながら、導電性ブラシ51及びトナー帯電ローラ52に印加するバイアスの極性を正負交互に切り替える。導電性ブラシ51と中間転写ベルト20との間に形成される電界及びトナー帯電ローラ52と中間転写ベルト20との間に形成される電界が正負交互に反転する。これにより、導電性ブラシ51及びトナー帯電ローラ52の正負いずれの極性に帯電した付着トナーも、中間転写ベルト20に吐き出されるため、ベルトクリーニング装置27によるクリーニング効果の低下を抑制することができる。
吐き出し処理によって導電性ブラシ51及びトナー帯電ローラ52から中間転写ベルト20に吐き出されたトナーを1次転写手段で回収する回収工程について説明する。
吐き出し処理時、中間転写ベルト20は矢印B方向に回転している。中間転写ベルト20に吐き出された付着トナーは、ベルトクリーニング装置27の下流側にある1次転写手段において感光体ドラム1に逆転写され、ドラムクリーニング装置6によって回収され、廃トナー収容部13aに収容される。
吐き出し処理は後回転時等の非画像形成時に実行される。実施例2で説明した2次転写残留トナーの回収処理は画像形成動作中に行われ、2次転写残留トナーは最上流にあるステーションである第1(Y)ステーションで回収される。そこで、第1(Y)ステーションの廃トナー収容部13aの廃トナー蓄積量の増加を抑制するために、吐き出し処理で中間転写ベルト20に転写された付着トナーは第2(M)ステーションで回収する。
吐き出し処理は、連続画像形成命令に係る全ての画像形成時の2次転写残留トナーが導電性ブラシ51及びトナー帯電ローラ52を通過した後に実行される。まず、導電性ブラシ51及びトナー帯電ローラ52に正負のバイアスが交互に印加される。導電性ブラシ51には、負バイアスV2=-1000Vと正バイアスV1=1000Vとが交互に印加され、トナー帯電ローラ52には、負バイアスV4=-1500Vと正バイアスV3=1500Vとが交互に印加される。これにより、導電性ブラシ51に付着したトナー及びトナー帯電ローラ52の表面に付着したトナーが中間転写ベルト20に転写される。
吐き出し処理で中間転写ベルト20に転写された付着トナーの大半は負極性トナーである。吐き出された付着トナーを第2ステーションで回収するために、吐き出された付着トナーが第1(Y)ステーションを通過する際には、第1ステーションの1次転写ローラ21yに正バイアスを印加する。一方、吐き出された付着トナーが第2(M)ステーションを通過する際には、第2ステーションの1次転写ローラ21mに負バイアスを印加する。こうすることで、導電性ブラシ51及びトナー帯電ローラ52から吐き出された負極性の付着トナーは第1ステーションでは回収されず、第2ステーションにおいて回収される。
吐き出し処理において吐き出された付着トナーには微量の正極性のトナーも含まれる。このような正極性の付着トナーは、第1ステーションの1次転写ローラ21yに正バイアスが印加されていることにより、第1ステーションで回収される。
なお、吐き出し処理で吐き出された付着トナーの大部分を第2ステーションで回収する例を説明したが、他のステーションで回収しても良いし、1つのステーションに限定せず、複数のステーションで分散して回収しても良い。
非画像形成時である後回転時に行われる吐き出し処理によって吐き出された付着トナーは第2ステーションで回収される。そのため、第2搬送制御の実行要否の判断は、吐き出された付着トナーが回収されることによる第2ステーションの廃トナー収容部13aの廃トナー蓄積量の増加分を考慮して行う。すなわち、後回転時に吐き出し処理で吐き出された付着トナーの第2ステーションにおける回収量を第2ステーションの廃トナー収容部13aの廃トナー蓄積量に加算した値が閾値TH以上になった場合、後回転時に第2搬送制御を実行する。
なお、吐き出し処理において吐き出される正極性の付着トナーについては、微量のため無視し、吐き出し処理で吐き出される付着トナーは全て負極性トナーであるとみなして廃トナー蓄積量を計算する。
実施例3では、第2(M)ステーションの廃トナー蓄積量に基づき第2搬送制御の実行要否の判断を行う。
図9のフローチャートを参照して、実施例3の画像形成装置100における廃トナー搬送制御について説明する。図9は、実施例3の廃トナー搬送制御の流れを示すフローチャートである。このフローチャートで表される処理は、画像形成装置100のコントローラ62が実行する。
S301において、コントローラ62は、ホスト61から画像形成命令の入力を受け付ける。
S302において、コントローラ62は、画像形成装置100にN枚目の記録材に対する画像形成動作を開始させる。この処理は実施例1のS102と同様である。
S303において、コントローラ62は、N枚目の記録材に対する画像形成で発生する廃トナー量を求める。まず、コントローラ62は、第1(Y)から第4(K)ステーションにおける廃トナー回収量W1(W1y、W1m、W1c、W1k)を求める。計算方法は実施例2のS203と同様である。
S304において、コントローラ62は、前回(N-1枚目)の画像形成終了時までにベルトクリーニング装置27(導電性ブラシ51及びトナー帯電ローラ52)に蓄積している負極性に帯電した2次転写残留トナー量C0を取得する。この2次転写残留トナー量を、初期クリーニングトナー蓄積量という。コントローラ62は、初期クリーニングトナー蓄積量C0として、前回の画像形成時に求めたクリーニングトナー蓄積量Cを用いる。コントローラ62は、画像形成時に求めたクリーニングトナー蓄積量Cを、次回の画像形成時に用いる初期クリーニングトナー蓄積量C0としてメモリ64に記憶する。コントローラ62は、そのようにして記憶しておいた初期クリーニングトナー蓄積量C0をメモリ64から読み込んで取得する。
S305において、コントローラ62は、今回(N枚目)の画像形成によりベルトクリーニング装置27(導電性ブラシ51及びトナー帯電ローラ52)に蓄積する負極性に帯
電した2次転写残留トナー量(クリーニングトナー蓄積量C)を計算する。まず、コントローラ62は、N枚目の画像形成により発生する2次転写残留トナー量とクリーニング効率Iに基づき画像形成時にベルトクリーニング装置27に付着するトナー量であるクリーニングトナー付着量C1を次式によって求める。
C1=(1-I)×(1-S)×(Ay×Dy×Ty+Am×Dm×Tm+Ac×Dc×Tc+Ak×Dk×Tk)
コントローラ62は、求めたクリーニングトナー付着量C1とS304で取得した初期クリーニングトナー蓄積量C0とを合計して次式によりクリーニングトナー蓄積量Cを求める。
C=C1+C0
S306において、コントローラ62は、第1搬送制御で画像形成装置100の本体へ搬送される廃トナー量Weを求める。この処理は実施例1のS104と同様である。
S307において、コントローラ62は、初期蓄積量W0を取得する。この処理は実施例1のS105と同様である。
S308において、コントローラ62は、画像形成動作後の各ステーションの廃トナー収容部13aにおける廃トナー蓄積量Wを求める。この処理は実施例1のS106と同様である。
S309において、コントローラ62は、S308で求めた各ステーションの廃トナー蓄積量W(Wy、Wm、Wc、Wk)のうち第1(Y)ステーションの廃トナー蓄積量Wyと閾値THとを比較する。この処理は実施例2のS207と同様である。Wyが閾値THより小さい場合、S310に進み、Wyが閾値TH以上の場合、S311に進む。
S310において、コントローラ62は、S308で求めた各ステーションの廃トナー蓄積量W(Wy、Wm、Wc、Wk)をメモリ64に記憶し、既に記憶されている廃トナー蓄積量の情報を更新する。この処理は実施例2のS208と同様である。
S311において、コントローラ62は、連続画像形成動作を一時的に停止して第2搬送制御を実行する。第2搬送制御による廃トナー搬送量をW3とすると、各ステーションの廃トナー収容部13aの廃トナー蓄積量WはW3だけ減少する。これにより、各ステーションの廃トナー収容部13aの廃トナー蓄積量Wが減少するため、廃トナー収容部13aや搬送経路において廃トナーが詰まる等の問題が生じることを抑制できる。第2搬送制御の詳細は実施例1と同様である。第2搬送制御の実行により各ステーションの廃トナー収容部13aの廃トナー蓄積量Wが閾値THより少なくなるように、廃トナー蓄積量の最大値Wmaxと閾値THとの差分に基づきW3を適当な値に設定しても良い。
S312において、コントローラ62は、S308で求めた廃トナー蓄積量Wから第2搬送制御による廃トナー搬送量W3を減算した値(W-W3)を求め、メモリ64の廃トナー蓄積量の情報を更新する。この処理は実施例1のS110と同様である。
S313において、コントローラ62は、連続画像形成要求があるかを確認する。ここでは、コントローラ62は、N<Mであるか否かを判定する。N<Mである場合、コント
ローラ62は、連続画像形成要求があると判断し、S3130に進んでNをインクリメントしてS314に進む。連続画像形成要求がない場合、S315に進む。ここでは、N≧Mである場合、コントローラ62は、連続画像形成要求がない(連続画像形成要求に係る全ての記録材の画像形成が終了した)と判断する。
S314において、コントローラ62は、メモリ64に記憶されている初期クリーニングトナー蓄積量C0の値をS305で求めたクリーニングトナー蓄積量Cで更新する。その後、処理はS303に戻る。
S315において、コントローラ62は、ベルトクリーニング装置27に蓄積したトナーの吐き出し処理を実行する。
S316において、コントローラ62は、S315の吐き出し処理による廃トナー収容部13aの廃トナー蓄積量の増加分を考慮して廃トナー蓄積量Wを求める。実施例3では、吐き出し処理により発生する廃トナーは第2(M)ステーションで回収する。吐き出し処理により発生する廃トナーは全て負極性とみなす。吐き出し処理によりベルトクリーニング装置27に蓄積している廃トナーが全て吐き出されるものとする。従って、コントローラ62は、第2ステーションの廃トナー蓄積量Wmを、S305で求めたクリーニングトナー蓄積量C及びS310又はS312で求めた吐き出し処理開始直前までに第2ステーションの廃トナー蓄積量Wmを用いて次式により求める。
Wm=Wm+C
S317において、コントローラ62は、S316で求めた第2ステーションの廃トナー蓄積量Wmと閾値THとを比較する。Wmが閾値THより小さい場合、S318に進み、Wmが閾値TH以上の場合、S319に進む。
S318において、コントローラ62は、S316で求めた第2ステーションの廃トナー蓄積量Wmをメモリ64に記憶し、既に記憶されている廃トナー蓄積量の情報を更新する。また、コントローラ62は、メモリ64に記憶されているクリーニングトナー蓄積量Cの値を0に更新する。
S319において、コントローラ62は、第2搬送制御を実行する。第2搬送制御による廃トナー搬送量をW3とすると、各ステーションの廃トナー収容部13aの廃トナー蓄積量WはW3だけ減少する。これにより、各ステーションの廃トナー収容部13aの廃トナー蓄積量Wが減少するため、廃トナー収容部13aや搬送経路において廃トナーが詰まる等の問題が生じることを抑制できる。第2搬送制御の詳細は実施例1と同様である。第2搬送制御の実行により各ステーションの廃トナー収容部13aの廃トナー蓄積量Wが閾値THより少なくなるように、廃トナー蓄積量の最大値Wmaxと閾値THとの差分に基づきW3を適当な値に設定しても良い。
S320において、コントローラ62は、S310又はS312で求めた廃トナー蓄積量Wy,Wc,Wk及びS316で求めた廃トナー蓄積量Wmから、第2搬送制御による廃トナー搬送量W3を減算した値(W-W3)を求める。コントローラ62は、求めた値をメモリ64に記憶し、メモリ64の廃トナー蓄積量の情報を更新する。また、コントローラ62は、メモリ64に記憶されているクリーニングトナー蓄積量Cの値を0に更新する。
S321において、コントローラ62は、後回転を実行し、後回転による廃トナー搬送
量W4を求め、S320で求めた廃トナー蓄積量Wから減算した値(W-W4)を求める。コントローラ62は、求めた値を各ステーションの廃トナー収容部13aの廃トナーの初期蓄積量W0としてメモリ64に記憶し、初期蓄積量の情報を更新する。また、コントローラ62は、S318又はS320で求めたクリーニングトナー蓄積量Cによって初期クリーニングトナー蓄積量C0の値を更新する。その後、コントローラ62は、画像形成動作スタンバイ状態へ移行させる。
実施例3の画像形成装置によれば、2次転写残留トナーをプロセスカートリッジ7の感光体ユニット13で回収する構成であっても、廃トナー収容部13aの廃トナー蓄積量を求め、廃トナー蓄積量が閾値以上の場合には第2搬送制御を実行する。これにより、廃トナー収容部13aの廃トナー蓄積量が過剰に多くなることを抑制でき、廃トナー収容部13aに廃トナー詰まり等が生じることを抑制できる。また、ベルトクリーニング装置27によるクリーニング効果の低下を抑制することができる。なお、S309において、2次転写残留トナーの回収を行う第1(Y)ステーションの廃トナー蓄積量Wyと閾値THとを比較して第2搬送制御の実行要否を判断する例を説明した。しかし、実施例1と同様、全てのステーションの廃トナー蓄積量のうちの最大値Wmaxと閾値THとを比較しても良い。また、S317において、吐き出し処理で吐き出された付着トナーの回収を行う第2(M)ステーションの廃トナー蓄積量Wmと閾値THとを比較して第2搬送制御の実行要否を判断する例を説明した。しかし、実施例1と同様、全てのステーションの廃トナー蓄積量のうちの最大値Wmaxと閾値THとを比較しても良い。
(変形例)
各実施例では、1次転写手段で感光体ドラムから中間転写ベルトに転写されたトナー像を2次転写手段で中間転写ベルトから記録材に転写する構成の画像形成装置に本発明を適用した例を説明した。しかしながら、感光体ドラムから記録材にトナー像が転写される構成の画像形成装置にも本発明は適用できる。
各実施例では、画像形成後の準備的な感光体ドラム1の回転により搬送手段が駆動されて廃トナー収容部13aから廃トナーボックス26へ搬送されるトナー量を考慮して廃トナー蓄積量を求める例を説明した。これに加えて、又はこれに代えて、画像形成前の準備的な感光体ドラム1の回転により搬送手段が駆動されて廃トナー収容部13aから廃トナーボックス26へ搬送されるトナー量を考慮して廃トナー蓄積量を求めても良い。