JP7166181B2 - 曝気撹拌システム及び曝気撹拌システムの運転方法 - Google Patents
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Description
しかし、大雨等で、流入する被処理水の量が計画外水量となった場合、曝気槽の活性汚泥が沈殿槽に大量流入し、沈殿槽における固液分離処理が十分に行われないまま処理水として流出するおそれがある。
すなわち、本発明は、以下の曝気撹拌システム及び曝気撹拌システムの運転方法である。
この曝気撹拌システムによれば、反応槽内に流入する被処理水の水量に応じて、機械式曝気撹拌機の運転制御を行うことで、被処理水の処理を最適化することが可能となり、放流される処理水の水質の安定化を図ることができる。
この特徴によれば、所定値以上の被処理水が反応槽に流入したときに、通常運転モードとは異なる水量増加運転モードに切り替えることで、被処理水の増加による処理において、処理の最適化を行うことが可能となる。
この特徴によれば、所定値以上の被処理水が反応槽に流入したときに、機械式曝気撹拌機の運転を、通常運転モードよりも低速とすることで、反応槽での処理を継続させるとともに、反応槽に沈殿槽としての機能を一部持たせることができる。これにより、反応槽内の被処理水が未処理の状態で導出することを抑制するとともに、反応槽内の活性汚泥が大量溢流することを抑制することが可能となる。その結果、放流される処理水の水質について、より一層の安定化を図ることができる。
この特徴によれば、反応槽に流入する被処理水が所定値以下となったときに、水量増加運転モードを通常運転モードに切り替えることで、被処理水の処理の最適化を行うことが可能となる。
この曝気撹拌システムの運転方法によれば、反応槽内に流入する被処理水の水量に応じて、機械式曝気撹拌機の運転制御を行うことで、被処理水の処理を最適化することが可能となり、放流される処理水の水質の安定化を図ることができる。
なお、実施態様に記載する曝気撹拌システムについては、本発明に係る曝気撹拌システムを説明するために例示したに過ぎず、これに限定されるものではない。また、実施態様に記載する曝気撹拌システムの運転方法についても、本発明に係る曝気撹拌システムに対する運転方法を説明するために例示したに過ぎず、これに限定されるものではない。
なお、実施態様に記載するオキシデーションディッチの構造については、本発明を説明するための例示であって、これに限定されるものではない。
本実施態様におけるオキシデーションディッチ1は、図1に示すように、平面視長円形状を成す反応槽2を備え、この反応槽2の中央部に長手方向に延在する隔壁3が配設されている。この隔壁3の周囲の領域が、無終端状の循環水路4となっている。循環水路4には、導入口2aを通して下水などの被処理水W0が導入されているとともに、この循環水路4からは当該循環水路4で処理された処理水W1が導出口2bを通じて導出されている。
このようなインペラ22の低速回転を可能とするモーター23の駆動手段としては、例えば、図2に示すように、モーター23の回転数を制御するインバータ24を備えることが挙げられる。インバータ24は、電源から供給された電流を所定の周波数の交流電流に変換することにより、モーター23の回転数を調整する構成であり、インペラ22の低速回転に係る制御が容易である。また、モーター23の駆動手段の他の例としては、モーター23の駆動をON/OFF制御するものが挙げられる。モーター23の駆動をOFFにしても、インペラ22の回転自体はすぐには停止しない。したがって、インペラ22の回転が完全に停止する前に、モーター23の駆動をON/OFF制御することでインペラ22の低速回転を行うことが可能となる。
本実施態様の曝気撹拌システム10は、図1に示すように、上述した反応槽2と、機械式曝気撹拌機20と、反応槽2に流入する被処理水W0の水量に係る情報を取得する測定部30と、測定部30で取得した情報に基づき機械式曝気撹拌機20の運転を制御する制御部40を備える。
測定部30としては、反応槽2内に流入する水量に係る情報を測定又は算出することができるものであればよく、例えば、反応槽2内に水位計を設けるもの、反応槽2の導入口2aに流量計を設けるもの、反応槽2の前段に設けた貯水槽に流量計や水位計を設けるものなどが挙げられる。また、反応槽2に被処理水W0を供給する揚水ポンプの駆動状態から、反応槽2内に流入する被処理水W0の水量を推定し、算出するものとしてもよい。なお、測定部30として流量計や水位計を用い、被処理水W0の水量を測定する際において、計測機器により自動で水量に係る情報(測定値)を収集するものであってもよく、作業者が目視により水量に係る情報(測定値)を読み取るものであってもよい。また、流量計や水位計等の計測器を用いることなく、作業者の目視により反応槽2や貯水槽の水位を推定、算出し、水量に係る情報(算出値)を取得するものとしてもよい。
測定部30で取得した被処理水W0の水量に係る情報(測定値又は算出値)は、後述する制御部40に対し、自動又は手動により入力される。
制御部40は、演算処理を行うCPU、記憶部41となるROM及びRAM、入力信号回路、出力信号回路、電源回路などを含むものである。制御部40では、記憶部41に記憶されたプログラムを実行することで、運転条件設定部42、判定部43、運転切替部44が構築されている。制御部40には、測定部30及び機械式曝気撹拌機20が電気的に接続されている。
例えば、測定部30による測定値(算出値)が流入水量上限値未満であれば、運転切替部44は、通常運転モードを継続し、設定された曝気時間と1サイクル時間に基づき、好気運転と無酸素運転との切り替えを行う。
一方、測定部30による測定値(算出値)が流入水量上限値以上であれば、運転切替部44は、通常運転モードから、水量増加運転モードに切り替えを行う。
水量増加運転モードとしては、例えば、通常運転モードにおける無酸素運転に係るインペラ22の低速回転よりも低速となるように、インペラ22を回転させるものが挙げられる。このとき、インペラ22の回転が完全に停止すると、反応槽2内における被処理水W0の処理も停止することになるため、未処理状態の被処理水W0が反応槽2から導出する可能性がある。したがって、水量増加運転モードにおいては、インペラ22の回転駆動を継続させる必要がある。
なお、水量増加運転モードにおけるインペラ22の回転は、通常運転モードにおけるインペラ22の低速回転よりも低速であって、かつ完全に停止することがなければよく、特に限定されない。例えば、水量増加運転モードのインペラ22の回転は、通常運転モードにおけるインペラ22の低速回転の半分以下の回転数で駆動させることが挙げられる。
このとき、反応槽2内においては、通常運転モードの無酸素運転よりも遅い水流が形成される。これにより、反応槽2内において、被処理水W0と活性汚泥の混合を継続するとともに、反応槽2内に活性汚泥が沈殿、貯留され、反応槽2外に活性汚泥が大量溢流することを抑制することが可能となる。
このとき、反応槽2内には、活性汚泥が貯留されているため、一気に通常運転モードに切り替えると、反応槽2内に大量の活性汚泥を分散させることになり、活性汚泥が反応槽2外に溢流するおそれがある。
したがって、反応槽2内にMLSS(Mixed Liquor Suspended Solids)計を設け、活性汚泥濃度(微生物濃度)をパラメータとして、インペラ22の回転数を段階的に上げ、通常運転モードに戻すことが好ましい。これにより、水量増加運転モード中に反応槽2内に貯留された活性汚泥を急激に反応槽2内に分散させることがなく、運転モードの切り替えによる活性汚泥の溢流を抑制することが可能となる。なお、インペラ22の回転数を段階的に上げるためのパラメータは、MLSS計による活性汚泥濃度に限定されない。例えば、反応槽2内にMLSS計を設ける代わりに、濁度計や画像処理システムを設け、反応槽2内の活性汚泥の分散状態を判断し、インペラ22の回転数を段階的に上げるものとしてもよい。また、例えば、作業者の目視により反応槽2内の活性汚泥の分散状態を判断し、インペラ22の回転数を段階的に上げるものとしてもよい。
図3を参照して、反応槽2に流入する被処理水W0の水量に基づく曝気撹拌システムの運転制御例について説明する。
図3は、本実施態様における曝気撹拌システムの運転制御を示すフロー図である。
特に、流入水量上限以上の計画外水量の被処理水が流入したときに、水量増加運転モードに切り替えることで、反応槽2での処理を継続させるとともに、反応槽2に沈殿槽としての機能を一部持たせることで、反応槽2内の被処理水W0が未処理の状態で導出することを抑制するとともに、反応槽2内の活性汚泥が大量溢流することを抑制することが可能となる。これにより、放流される処理水の水質について、より一層の安定化を図ることができる。
曝気撹拌システムの運転状態を制御する指標となる水質としては、例えば、溶存酸素濃度(DO)の他、酸化還元電位(ORP)、アンモニア性窒素量、pH、生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、懸濁物質(SS)等が挙げられる。また、水質計測器としては、溶存酸素濃度を測定する溶存酸素計測器、酸化還元電位を測定する酸化還元電位検出器、アンモニア性窒素量を測定するアンモニア検出器、生物化学的酸素要求量を測定するBOD測定器、化学的酸素要求量を測定するCOD測定器等が挙げられる。
これらの運転条件を基に、本実施態様の曝気撹拌システムの運転制御を行うことで、被処理水の処理をより最適化することが可能となり、放流される処理水の水質の安定化を図ることができる。
また、本発明の曝気撹拌システム及び曝気撹拌システムの運転方法は、特に、下水処理場または農業集落排水処理施設等のように、天候などの要因により突発的に計画外水量が発生する施設における被処理水の処理に好適に利用されるものである。
Claims (5)
- 循環する被処理水を硝化または脱窒させる反応槽内の前記被処理水を曝気、撹拌する機械式曝気撹拌機と、
前記反応槽内に流入する前記被処理水の水量を測定する測定部と、
前記測定部で測定された水量に基づいて、前記機械式曝気撹拌機の運転を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記機械式曝気撹拌機の高速回転と低速回転を行う通常運転モードと、前記通常運転モードにおける低速回転よりも低速となるように、前記機械式曝気撹拌機の回転を行う水量増加運転モードを備えることを特徴とする、曝気撹拌システム。 - 前記制御部は、前記測定部で測定された水量が所定値を超えた際に、前記通常運転モードから前記水量増加運転モードに切り替えることを特徴とする、請求項1に記載の曝気撹拌システム。
- 前記水量増加運転モードは、前記通常運転モードにおける低速回転の半分以下の回転数となるように、前記機械式曝気撹拌機の回転を行うことを特徴とする、請求項2に記載の曝気撹拌システム。
- 前記測定部で測定された水量が所定値以内を示し、前記反応槽に流入する前記被処理水の水量が通常に戻った際に、前記制御部を通常運転モードに切り替えることを特徴とする、請求項2又は3に記載の曝気撹拌システム。
- 循環する被処理水を硝化または脱窒させる反応槽内の前記被処理水を曝気、撹拌する機械式曝気撹拌機を備えた曝気撹拌システムの運転方法であって、
前記反応槽内に流入する前記被処理水の水量に係る情報を取得する工程と、
取得した水量に係る情報に基づいて、前記機械式曝気撹拌機の運転を制御する工程を備え、
前記機械式曝気撹拌機の運転を制御する工程は、前記機械式曝気撹拌機の高速回転と低速回転を行う通常運転モードと、前記通常運転モードにおける低速回転よりも低速となるように、前記機械式曝気撹拌機の回転を行う水量増加運転モードを備えることを特徴とする、曝気撹拌システムの運転方法。
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