以下に、本開示に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて新たな実施形態を構築することは当初から想定されている。また、以下の実施例では、図面において同一構成に同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、複数の図面には、模式図が含まれ、異なる図間において、各部材における、縦、横、高さ等の寸法比は、必ずしも一致しない。また、以下の説明及び図面で、X方向は、宅配ボックス1(冷却装置10)の奥行方向であり、板状のペルチェ素子80の厚さ方向に一致する。また、Y方向は、宅配ボックス1(冷却装置10)の幅方向であり、Z方向は、宅配ボックス1(冷却装置10)の高さ方向である。X方向、Y方向、及びZ方向は、互いに直交する。また、以下の説明において、表側とは、冷却装置10からの冷気が突出される側であり、裏側とは、冷却装置10からの熱風が排気される側である。
図1は、本開示の一実施形態に係る宅配ボックス1を裏側から見たときの斜視図である。宅配ボックス1は、本体2と、冷却装置10を備え、本体2は、冷蔵室(不図示)を含む。冷却装置10は、本体2に固定され、本体2の裏側に外部に露出する外面部11を有する。外面部11は、熱風を外部に吐出するための外側排気口29を含む。冷却装置10の構造については、図2以下で詳細に説明する。
冷蔵室は、例えば次の目的で宅配ボックス1に設けられる。詳しくは、宅配業者が、高齢者世帯や共稼ぎ世帯の要請で弁当等の食材を毎日配達する事業が始まっている。また、そのような場合、宅配物が、食材であって宅配物の冷蔵が必要であることから、宅配ボックス1が冷蔵室を備える必要がある。上記冷蔵室は、例えばそのような目的で宅配ボックス1に設けられる。この目的の場合、例えば宅配ボックス1の表側にある冷蔵室を外部に対して遮断する扉には、シリンダー錠が設けられる。
シリンダー錠を解錠する鍵は、配達先の関係者(住人等)が所有する他、弁当等の食材配達物を所定期間(例えば、毎日)毎に宅配する宅配業者(以下、特定宅配業者という)も所有する。よって、特定宅配業者は、当該鍵を用いて扉を開くことができ、扉が閉じた状態でシリンダー錠を施錠できる。他方、他の宅配業者(以下、不特定宅配業者という)は、当該鍵を有さず、扉を開閉できない。このため、特定宅配業者が冷蔵室に弁当等の食材配達物を確実に収容できる。
又は、冷蔵室は、冷蔵が必要な宅配物に対処するために宅配ボックス1に設けられてもよい。この場合、宅配ボックス1の表側にある冷蔵室を外部に対して遮断する扉は、例えば、その内側に不特定宅配業者等が施錠を行うための操作部を有する。また、扉は、例えば、その外側に不特定宅配業者等が扉を開けるための開けボタンと、伝票を差し込む伝票差込口と、捺印を実行させる捺印ボタンと、使用可能の有無を表示する表示部を有する。
この場合、例えば、不特定宅配業者等は、先ず、扉が閉じられた宅配ボックス1の開けボタンを押して、扉を開け、宅配物を冷蔵室内に入れることができ、操作部を用いて、扉が閉じた状態で施錠を行うことができる。また、宅配業者等は、例えば、伝票を伝票差込口に入れ、捺印ボタンを押すことにより、宅配ボックス1の本体に事前にセットされたシャチハタ式等の印鑑により伝票への押印を実行できる。また、荷物が入れられて施錠されると、表示部が、使用中を意図する表示を行う。これにより、住人等が専用キーやパスワードの入力等で荷物を取り出さない限り、他の荷物を収容できなくなる。
なお、冷蔵室に宅配物を収容する機能、伝票に押印する機能、宅配物を取り出す機能、及び表示機能の夫々は、多種多様存在し、いずれの機能でもよく、説明した機能に限らない。また、宅配ボックスが計時機能を有し、冷却装置が所定時刻になると冷却を実行する一方、冷却装置が所定時刻になると冷却を停止してもよい。又は、宅配ボックスが制御装置と冷蔵室内の宅配物の有無を検知する荷物検知センサを有してもよい。そして、制御装置は、荷物検知センサから冷蔵室内の荷物検知を表す信号を受けると冷却装置に冷蔵を開始させ、荷物検知センサから冷蔵室内の荷物検知ができないことを表す信号を受けると、冷却装置による冷却を停止させてもよい。また、この場合において、上記荷物検知センサは、歪みゲージを含む重量検知センサでもよく、赤外線センサ等の光センサでもよい。なお、冷却装置が運転又は停止するタイミングは、上述のタイミング以外の如何なるタイミングでもよい。
図2は、冷却装置10の斜視図であり、図3は、図2のA-A線断面図である。図3に示すように、冷却装置10は、ケース20、ペルチェモジュール60、第1ファン31、第2ファン32、ドレンパン35、第1湾曲板45、第2湾曲板50、環状の取付板55、及び断熱材57を備える。
ケース20は、冷却側ケース部21と、放熱側ケース部25を有する。図2に示すように、冷却装置10は、略直方体形状の外形を有する。図3に示すように、冷却装置10の略直方体形状の内部室12は、放熱側ケース部25の表側板26でX方向に二等分される。冷却側ケース部21は、二等分された内部室12のうちの一方の冷却側室22を画定し、放熱側ケース部25は、他方の放熱側室27を画定する。
図1を参照して、冷却装置10は、冷却側室22が宅配ボックス内に位置する一方、放熱側室27が宅配ボックス1の本体2の裏側からX方向裏側に突出するように本体2に取り付けられる。放熱側ケース部25の表側板26以外の大部分は、冷却装置10において本体2から突出する突出部8の外面を構成する。図3に示すように、放熱側ケース部25は、X方向裏側かつZ方向上側に外側吸気口28を有し、X方向裏側かつZ方向下側に外側排気口29を有する。図1に示すように、外側吸気口28及び外側排気口29は、突出部8のX方向の裏面に設けられる。
一方、図3に示すように、冷却側ケース部21は、X方向表側かつZ方向上側に内側吸気口23を有し、X方向表側かつZ方向下側に内側吹出口24を有する。図示しないが、冷却側ケース部21の表面33は、宅配ボックス1の冷蔵室の内面の一部を構成する。内側吸気口23及び内側吹出口24は、宅配ボックス1の冷蔵室と冷却装置10の冷却側室22を連通する。第1ファン31は、Z方向から見たとき内側吸気口23に重なるように冷却側ケース部内のZ方向上側に取り付けられる。第1ファン31は、吸込ファンで構成され、稼働すると冷蔵室からの空気を取り込み、取り込んだ空気を、冷却側室22内をZ方向上側から下側に流動させることで、冷却側室22内をZ方向下側に流動する第1風を生成する。
また、第2ファン32は、Z方向から見たとき外側吸気口28に重なるように放熱側ケース部内のZ方向上側に取り付けられる。第2ファン32は、吸込ファンで構成され、稼働すると宅配ボックス1の外部から空気を取り込み、取り込んだ空気を、放熱側室27内をZ方向上側から下側に流動させることで、放熱側室27内をZ方向下側に流動する第2風を生成する。冷却装置10の動作については、後で詳細に説明する。
放熱側ケース部25の表側板26には、貫通孔が設けられる。ペルチェモジュール60は、その貫通孔を用いてケース20に冷却及び放熱側室22,27に跨るように固定される。図4は、ペルチェモジュール60の斜視図であり、図5は、ペルチェモジュールの分解斜視図である。図4に示すように、ペルチェモジュール60は、第1ヒートシンク61、第2ヒートシンク65、及び素子アッセンブリ70を有し、第1ヒートシンク61と、第2ヒートシンク65は、対向配置される。素子アッセンブリ70は、第1及び第2ヒートシンク61,65に、それらの間に配置された状態で固定される。
第1ヒートシンク61は、金属製の一体部材であり、平面視が矩形の板状の取付部62と、複数の板状のフィン63を有する。複数の板状のフィン63は、Y方向に僅かな隙間をおいて略平行に配置され、各フィン63は、取付部62の素子アッセンブリ側とは反対側の面から素子アッセンブリ70の厚さ方向に延在する。また、第2ヒートシンク65は、金属製の一体部材であり、平面視が矩形の板状の取付部66と、複数の板状のフィン67を有する。複数の板状のフィン67は、Y方向に僅かな隙間をおいて略平行に配置され、各フィン67は、取付部66の素子アッセンブリ側とは反対側の面から素子アッセンブリ70の厚さ方向に延在する。
図5に示すように、素子アッセンブリ70は、樹脂製のケース71、及びペルチェ素子80を備える。また、素子アッセンブリ70は、更に、一対の導線81,82、第1気密材としての冷却側オーリング83、第2気密材としての放熱側オーリング84、一対のブッシング85,86、樹脂製のカバー87、及び金属製の板状のスペーサ89を備える。ペルチェ素子80は、平面視が正方形又は矩形の板形状を有し、スペーサ89は、平面視がペルチェ素子80と同一の大きさ及び形状となっている直方体形状を有する。スペーサ89は、如何なる金属で構成されてもよいが、熱伝導率が高い金属、例えば、アルミニウム、銀、銅、ニッケル等で構成されると好ましい。
図6は、ケース71の斜視図である。図6に示すように、ケース71は、厚さ方向の片側に平面からなる取付面79を有し、取付面79の4隅には、ねじ孔76が設けられる。ケース71は、中央部に厚さ方向に貫通する貫通孔72を有する。貫通孔72は、厚さ方向片側に素子取付孔部90を有し、素子取付孔部90は、ペルチェ素子80に対応する形状を有する素子対応部91と、素子対応部91に連通する一対の細長い導線対応部92を含む。
取付面79には、第2環状溝74が設けられる。第2環状溝74の中心軸は、平面視が正方形又は矩形である素子取付孔部90の中心軸と略一致する。第2環状溝74の内側壁の円筒内周面93は、貫通孔72の内周面における厚さ方向の一部を構成し、円筒内周面93と、素子取付孔部90とは、平面からなる段部94を介して繋がる。
ケース71は、段部94から厚さ方向の円筒内周面93側に突出する4つの位置決め突起73を有する。また、素子対応部91は、4つの平面状の内面で構成される。4つの位置決め突起73は、4つの平面状の内面に一対一に対応し、各位置決め突起73は、対応する平面状の内面に直交する方向に円筒内周面93側から素子対応部91側に段部94の内端まで延びる。
ケース71は、厚さ方向から見たとき段部94に重なる位置に複数のねじ孔75を有する。また、ケース71は、貫通孔72の内面とケース71の外面とに開口を有する一対の導線用貫通孔77,78を有する。一対の導線用貫通孔77,78は、一対の細長い導線対応部92に一対一に対応し、各導線用貫通孔77,78は、対応する導線対応部92に繋がる。図示しないが、ケース71は、厚さ方向の取付面79側とは反対側の面に第1環状溝59(図3参照)を有する。第1環状溝59は、貫通孔72を取り囲むように設けられる。第1環状溝59は、厚さ方向の一方側に開口し、第2環状溝74は、厚さ方向の他方側に開口する。
以上の構成において、ペルチェモジュール60は、例えば次のように組み立てられる。詳しくは、図5を参照して、ケース71の素子対応部91にペルチェ素子80を収容し、各導線81,82を、ペルチェ素子80に電気的に接続させると共に対応する導線対応部92及び導線用貫通孔77,78に通す。また、スペーサ89をペルチェ素子80に当接させるように貫通孔72の位置決め突起73側に収容する。スペーサ89は、平面視がペルチェ素子80と同一の大きさ及び形状を有するので位置決め突起73の内側の先端で位置決めされ、ケース71に対して相対移動不可になる。スペーサ89をそのように貫通孔72に収容した状態で、第1環状溝59に冷却側オーリング83を取り付け、第2環状溝74に放熱側オーリング84を取り付ける。その後、第1ねじ(不図示)を、ねじ孔75及び取付部62のねじ孔68に締め込んだ後、第2ねじ69(図4参照)を、ねじ孔76及び取付部66のねじ孔(不図示)に締め込む。この第1及び第2ねじ69の締め込みで、第1ヒートシンク61、第2ヒートシンク65、ケース71、ペルチェ素子80、冷却及び放熱側オーリング83,84、及びスペーサ89が一体化される。最後に、各ブッシング85,86を対応する導線用貫通孔77,78と導線81,82との間に隙間がないように圧入し、その後、カバー87を、ブッシング85,86を覆うようにケース71にねじ止めする。このねじ止めにより、ペルチェモジュール60が組み立てられる。
図3に示すように、ペルチェモジュール60が組み立てられた組立状態で、ペルチェ素子80のX方向の表面は、第1ヒートシンク61の取付部62におけるX方向の裏面に隙間なく当接する。また、組立状態で、ペルチェ素子80のX方向の裏面は、スペーサ89のX方向の表面に隙間なく当接し、スペーサ89のX方向の裏面は、第2ヒートシンク65の取付部66におけるX方向の表面に隙間なく当接する。
また、組立状態で、ケース71において第1ヒートシンク61に対向する対向面58は、取付部62の裏面に隙間なく当接し、対向面58に設けられた第1環状溝59内に収容された冷却側オーリング83が、取付部62の裏面と第1環状溝59の底面とでX方向に圧縮される。その結果、対向面58と取付部62の裏面との気密性が優れたものになる。また、組立状態で、ケース71における第2対向面としての取付面79が、取付部66の表面に隙間なく当接し、取付面79に設けられた第2環状溝74内に収容された放熱側オーリング84が、取付部66の表面と第2環状溝74の底面とでX方向に圧縮される。その結果、取付面79と取付部66の表面との気密性が優れたものになる。
更には、図3を参照して、冷却側ケース部21と、放熱側ケース部25、ペルチェモジュール60、ドレンパン35、第1湾曲板45、第2湾曲板50、取付板55、及び断熱材57は、次のように組み立てられる。先ず、上述のように、ペルチェモジュール60を組み立てる。但し、この組立では、取付板55の貫通孔に素子アッセンブリ70をくぐらせた状態でペルチェモジュール60を組み立てる。よって、ペルチェモジュール60が組み立てられた状態で、取付板55が、第1ヒートシンク61と第2ヒートシンク65との間に位置する。
次に、ドレンパン35を、後で詳述する結露水蒸発部36がZ方向上側を向いた状態でX方向裏側に位置するように、冷却側ケース部21の底面上に載置する。続いて、第2湾曲板50において凹面となる裏面51がX方向裏側を向くと共に、Z方向下側に流動する第2風の流れの向きをZ方向下側からX方向裏側に滑らかに変えることができるように、第2湾曲板50を、ドレンパン上面のX方向裏側に配置する。図3に示すように、ドレンパン35は、上面にY方向に延在する係止溝37を有する。第2湾曲板50が、ドレンパン35の上面に載置されている状態で、第2湾曲板50の下側端部は、係止溝37に係止される。続いて、第1湾曲板45において凹面となる表面46がX方向表側を向くと共に、Z方向下側に流動する第1風の流れの向きをZ方向下側からX方向表側に滑らかに変えることができるように、第1湾曲板45を、ドレンパン上面のX方向表側に配置する。
その後、放熱側ケース部25の貫通孔を用いて、取付板55付きのペルチェモジュール60の第2ヒートシンク65を、取付部66の下面が第2湾曲板50の上側端面に位置するように放熱側室27内に収容する。また、このとき、第1ヒートシンク61を、取付部62の下面が第1湾曲板45の上側端面に位置するように配置する。
そして、その状態で、図7に示すように、取付板55をそのねじ孔18を用いて不図示のねじで表側板26に固定すると共に、そのねじ孔19を用いて不図示のねじで取付部66に固定する。その結果、ペルチェモジュール60が取付板55を介して放熱側ケース部25に固定される。図3に示すように、ペルチェモジュール60が放熱側ケース部25に固定された固定状態で、第2湾曲板50は、取付板55に当接する表面部34を有する。上記固定状態で、第2湾曲板50が係止溝37及び取付板55に接触することで、第2湾曲板50が放熱側ケース部25に対して相対移動不可に位置決めされる。なお、図7に示すように、第1ファン31は、表側板26に取り付けられる。
続いて、図8に示すように、断熱材57を、第1ファン31のZ方向下側以外を覆うと共に第1ヒートシンク61のY方向両側を覆うように第1ファン31及び第1ヒートシンク61の周囲に敷き詰める。断熱材57は、例えば、ウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、グラスウール等で構成されるが、それら以外の断熱性を有する如何なる素材で構成されてもよい。続いて、図9に斜視図を示す冷却側ケース部21で断熱材57を覆い隠すように冷却側ケース部21を断熱材57に被せた上で、図示しないボルトを、図9に16で示す冷却側ケース部21のねじ孔と、図8に17で示す放熱側ケース部25のねじ孔とに締め込む。このボルトの締め込みで、冷却側ケース部21が放熱側ケース部25に固定され、冷却装置10が組み立てられる。
図10は、図3の断面図を他の角度から見たときの、冷却装置10のZ方向下側の拡大断面図である。図10に示すように、冷却装置10の組立状態で、第1湾曲板45は、Z方向の上面におけるX方向裏側の端部からZ方向上側に延在する係止突出部38を有し、その係止突出部38のX方向の表面は、取付部62のX方向の裏面に当接する。係止突出部38と取付部62の当接と、第1湾曲板45のZ方向の下側端部のドレンパン35の上面への接触により、第1湾曲板45は、ケース20に対して相対移動不可に位置決めされる。
図10に示すように、冷却装置10の組立状態で、第1湾曲板45の表面46の上端は、第1ヒートシンク61のフィン63よりもX方向裏側に位置する。また、凹面である表面46は、その上端からZ方向下側に行くにしたがって徐々にX方向表側に移動する。表面46の下端は、ドレンパン35のX方向表側の端よりもX方向裏側に位置する。ドレンパン35において表面46の下端よりもX方向の表側に位置する部分は、第1風における第1ヒートシンク61よりも下流側に位置する第1部分88を構成する。表面46の上端は、略Z方向上側を向き、表面46の下端は、略X方向表側を向く。
また、冷却装置10の組立状態で、第2湾曲板50の裏面51の上端は、第2ヒートシンクのフィン63よりもX方向表側に位置する。凹面である裏面51は、その上端からZ方向下側に行くにしたがって徐々にX方向裏側に移動する。裏面51の下端は、ドレンパン35のX方向裏側の端よりもX方向表側に位置する。ドレンパン35において裏面51の下端よりもX方向の裏側に位置する部分は、第2風における第2ヒートシンク65よりも下流側に位置する第2部分89を構成する。裏面51の上端は、略Z方向上側を向き、裏面51の下端は、Z方向下方側に対して斜め裏側を向く。
図11は、ドレンパン35を上側から見たときの斜視図である。図11に示すように、ドレンパン35の上面54は、ドレンパン35のペルチェ素子80側の素子側面であり、結露水受部52を有する。結露水受部52のX方向表側の端部は、上記第1部分88に位置する。結露水受部52は、X方向の裏側(放熱側)に行くにしたがってY方向の幅が徐々に小さくなる凹部であり、第1ヒートシンク61から滴下して表面46を伝って流下してきた結露水を受けるために設けられる。結露水受部52のZ方向高さは、X方向裏側に行くにしたがって徐々に低くなっている。
ドレンパン35の上面54は、更に導水路53を有する。導水路53は、X方向に延びる溝であり、結露水受部52のX方向裏側の端部に連通し、その端部からX方向裏側に延在する。上面54は、湾曲面部98と平面部99をX方向裏側に有する。湾曲面部98は、Z方向下側に行くにしたがってX方向裏側に移動する滑らかな凹面で構成される。
湾曲面部98は、上述の係止溝37のX方向裏側に位置する。湾曲面部98は、係止溝37に係止される第2湾曲板50の裏面51と相俟って凹面を形成する。湾曲面部98上端は、裏面51の下端に連なる方向に向けられ、湾曲面部98の下端は、X方向裏側に向けられる。
平面部99は、上面54におけるX方向の裏側端部に位置し、湾曲面部98の下端部に繋がる。また、平面部99は、XY平面に略平行な方向に広がる。結露水蒸発部36は、Y方向に延在する溝で構成され、平面部99に設けられる。結露水蒸発部36は、上記第2部分89に位置する。導水路53の下側は、結露水蒸発部36のY方向中央部に連通する。X方向に延在する溝で構成される導水路53の溝底のX方向高さは、X方向の裏側に行くにしたがって徐々に低くなる。よって、結露水受部52のZ方向高さがX方向裏側に行くにしたがって徐々に低くなるので、結露水受部52に到達した結露水は、結露水受部52及び導水路53をX方向裏側に矢印G,Hで示す方向に流動し、結露水蒸発部36に到達する。そして、結露水蒸発部36に到達した結露水が、結露水蒸発部36のY方向中央部からY方向の両端側に矢印I,Jで示す方向にY方向に広がるようになっている。
上記構成において、冷却装置10による冷却を実行する際には、ペルチェ素子80に直流電力を供給すると共に、第1及び第2ファン31,32を駆動する。すると、異なる2種類の板状の金属板を接合して形成されるペルチェ素子80に関して、ペルチェ効果により、熱が一方の金属板から他方の金属板に移動し、一方の金属板が冷却される一方、他方の金属板が熱せられる。そして、ペルチェ素子80の一方の金属板に当接する第1ヒートシンク61が冷却され、ペルチェ素子80の他方の金属板にスペーサ89を介して接触する第2ヒートシンク65が熱せられる。
その結果、第1ファン31(図3参照)の駆動によって、宅配ボックス1の冷蔵室から矢印B方向に冷却側室22に取り込まれた空気が、第1ヒートシンク61を通過する際に冷やされる。そして、冷えた空気が、矢印Cで示す方向に凹面である表面46に沿うようにZ方向下側かつX方向表側に移動して、内側吹出口24から宅配ボックス1の冷蔵室側に吹き出される。第1風は、この冷えた空気の流れである。内側吹出口24を介した冷えた空気の流入で、宅配ボックス1の冷蔵室が冷却される。
他方、第2ファン32の駆動によって、外部から矢印D方向に放熱側室27に取り込まれた空気は、第2ヒートシンク65を通過する際に第2ヒートシンク65から熱を奪うことで熱せられる。そして、熱せられた空気が、矢印E方向に凹面である裏面51に沿うようにZ方向下側かつX方向裏側に移動して、外側排気口29から外部に排気される。第2風は、この熱せられた空気の流れである。この外部への熱風の放出により、第2ヒートシンク65の効率的な放熱を実行することで、第2ヒートシンク65への熱の持続的な移動を可能とし、冷却効率が低下することを抑制している。
また、第1ヒートシンク61で生成した結露水は、矢印F(図10参照)で示す方向に表面46に沿うようにZ方向下側かつX方向表側に移動して、結露水受部52に滴下する。また、結露水受部52に滴下した結露水は、結露水受部52及び導水路53をX方向裏側に矢印G,Hで示す方向に流動し、結露水蒸発部36に到達する。そして、結露水蒸発部36に到達した結露水が、結露水蒸発部36のY方向中央部からY方向の端側に矢印I,Jで示す方向にY方向に広がる。上述のように、ドレンパン35の湾曲面部98と、裏面51は、相俟って凹面を構成し、この凹面の下端は、結露水蒸発部36が形成された平面部99のX方向表側につながる。よって、第2ヒートシンク65からの熱風を、当該凹面で案内することで結露水蒸発部36に効率的に衝突させることができ、その結果、結露水蒸発部36内の結露水が、その熱風で気化するようになっている。
以上、冷却装置10は、ペルチェ素子80と、ペルチェ素子80よって冷却される第1ヒートシンク61を備える。また、冷却装置10は、第1ヒートシンク61に対向すると共に、第1ヒートシンク61との間にペルチェ素子80が位置するように配置され、ペルチェ素子80から受けた熱を放熱する第2ヒートシンク65を備える。また、冷却装置10は、第1ヒートシンク61に第1風を送る第1ファン31と、第2ヒートシンク65に第2風を送る第2ファン32を備える。また、冷却装置10は、第1ヒートシンク61から滴下した結露水を第1部分88側から第2部分89側に導水する導水路53を含むドレンパン35を備える。ここで、第1部分88は、ドレンパン35において第1風における第1ヒートシンク61よりも下流側に位置する部分であり、第2部分89は、ドレンパン35において第2風における第1ヒートシンク65よりも下流側に位置する部分である。また、冷却装置10は、上記第2風における第2ヒートシンク65よりも下流側に位置し、導水路53から流動してきた結露水を蒸発させる結露水蒸発部36を備える。
したがって、冷却側の第1ヒートシンク61で生成された結露水を、ドレンパン35の導水路53を用いて放熱側の結露水蒸発部36に移動させることができ、移動させた結露水を、放熱側で生成する熱風で蒸発させることができる。よって、第1ヒートシンク61で生成された結露水を内部構造で蒸発させることができるので、結露水が冷却装置10から外部に漏れることがなく、冷却装置10を屋内で使用できる。更には、第1ヒートシンク61で生成された結露水を、導水路53及び結露水蒸発部36を冷却装置10の底側に設けるだけで蒸発させることができるので、ドレンパイプを用いて結露水を外部に排水する構成と比較して、冷却装置10のコンパクト化を実現し易い。
また、ドレンパン35が、第1ヒートシンク61から滴下する結露水を受ける結露水受部52と、導水路53と、結露水蒸発部36を有してもよい。
上記構成によれば、結露水受部52、導水路53、及び結露水蒸発部36が、全て同一のドレンパン35に設けられるので、結露水蒸発機構を、簡素なものとできる。よって、冷却装置10の組立を容易に実行でき、冷却装置10の一層のコンパクト化を実現し易い。
また、導水路53は、ドレンパン35のペルチェ素子80側の上面(素子側面)54に第1部分88側から第2部分89側に延びるように設けられた溝もよい。また、使用状態において、上記溝の溝底が第1部分88側から第2部分89側に行くにしたがって鉛直方向の下側に移動してもよい。
上記構成によれば、導水路53が、第1部分88側から第2部分89側に延びる溝で構成される。したがって、溝は断面が小さいことから、ドレンパン35において溝形成部分以外のZ方向高さが高い部分の形成領域を大きくできる。よって、このZ方向高さが高い部分で、冷却側で生成された冷気が、放熱側に移動することを効果的に抑制でき、冷却装置10の冷却効率を高くできる。また、使用状態において、溝の溝底が第1部分88側から第2部分89側に行くにしたがって鉛直方向の下側に移動するので、溝内を流動する結露水を放熱側に円滑に流動させることができる。
また、結露水蒸発部36が、導水路53に連通すると共に導水路53の延在方向に略直交する方向に延在する溝であってもよい。
上記構成によれば、結露水蒸発部36に到達した結露水を、Y方向に流動させることができ、Y方向に広げることができる。したがって、熱風である第2風を効率的に結露水に衝突させることができ、結露水が蒸発し易くなる。
また、冷却装置10は、第2ヒートシンク65の下流側において第2ヒートシンク65から結露水蒸発部36の方に第2風を案内する裏面(湾曲面)51を備えてもよい。
上記構成によれば、熱風である第2風を湾曲面である裏面51で結露水蒸発部36に円滑に案内できる。よって、結露水を確実に蒸発させることができる。
また、宅配ボックス1は、冷却装置10を備える。よって、宅配ボックス1の冷蔵室配置部分や宅配物取出部分を屋内に配置でき、宅配ボックス1のコンパクト化も実現し易い。
なお、本開示は、上記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項およびその均等な範囲において種々の改良や変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、ドレンパン35が、結露水受部52と、導水路53と、結露水蒸発部36を有する場合について説明した。しかし、結露水受部と結露水蒸発部のうちの少なくとも一方は、ドレンパン以外の部材に設けられてもよい。
また、導水路53が、ドレンパン35のペルチェ素子80側の上面54に第1部分88側から第2部分89側に延びるように設けられた溝である場合について説明した。また、結露水蒸発部36が、導水路53に連通すると共に導水路53の延在方向に略直交する方向に延在する溝である場合について説明した。
しかし、結露水蒸発部は、導水路の延在方向に略直交する方向に延在する溝で構成されなくてもよい。そして、例えば、結露水蒸発部は、導水路の延在方向に90°以外の傾斜角をなす方向に延在する溝で構成されてもよく、局所的に設けられた収容凹部等で構成されてもよい。また、導水路も、溝で構成されなくてもよく、例えば、上側の開口面積が広い凹部等で構成されてもよい。
また、冷却装置10が、第2ヒートシンク65の下流側において第2ヒートシンク65から結露水蒸発部36の方に第2風を案内する湾曲面(裏面51)を備える場合について説明した。しかし、冷却装置は、第2ヒートシンクの下流側において第2ヒートシンクから結露水蒸発部の方に第2風を案内する湾曲面を備えなくてもよく、冷却側室と放熱側室とを、高さ方向及び幅方向を含む平板状の分離壁で分離するだけの構成でもよい。
また、ペルチェ素子80を樹脂製のケース71で覆って、ペルチェ素子80を気密性が高い収容領域内に配置する場合について説明した。しかし、ペルチェ素子は、樹脂製のケースで覆われなくてもよく、ペルチェ素子の少なくとも一部が外部に露出する構成でもよい。また、冷却装置10が、ペルチェ素子80と第1ヒートシンク61で挟持される金属製のスペーサ89を備える場合について説明した。しかし、冷却装置は、ペルチェ素子と第1ヒートシンクで挟持される金属製のスペーサの代わりに、ペルチェ素子と第2ヒートシンクで挟持される金属製のスペーサを備えてもよく、ペルチェ素子と接触する金属製のスペーサを備えなくてもよい。
また、断熱材57が、第1ファン31のZ方向下側以外を覆うと共に第1ヒートシンク61のY方向両側を覆うように第1ファン31及び第1ヒートシンク61の周囲に敷き詰められる場合について説明した。しかし、断熱材を、第1ファンのZ方向下側以外を覆うように配置しなくてもよい。また、断熱材を、第1ヒートシンクのY方向両側を覆うように配置しなくてもよい。
また、本開示の冷却装置10を宅配ボックス1に搭載する場合について説明した。しかし、本開示の冷却装置は、宅配ボックス以外の如何なる装置に搭載されてもよい。例えば、本開示の冷却装置は、コンピュータのCPUの冷却のために用いられてもよい。又は、本開示の冷却装置は、車等に乗せる小型冷温庫に搭載されてもよく、医療用冷却装置に搭載されてもよく、それら以外の冷却が必要な如何なる装置に搭載されてもよい。