JP7161950B2 - 基準電流源回路 - Google Patents

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Description

本発明はダイオード接続のバイポーラトランジスタを用いた基準電流源回路に関する。
絶対温度比例基準電流源回路はアナログ回路で多く用いられる電流源回路の一つであり、バンドギャップ回路や温度センサーなどに用いられている。従来では、非特許文献1、2や特許文献1にあるように、図5のような構成が用いられている。
従来の絶対温度比例電流を生成する基準電流源回路の原理について図5を用いて説明する。バイポーラトランジスタの特性は、コレクタ電流をIc、正規化エミッタ面積比をx、飽和電流をIs、ベース・エミッタ間電圧をVBE、電気素量をq、ボルツマン定数をk、絶対温度をT、熱電圧をVT=k×T/q、ベース電流をIB、ベース電流増幅率をβ、エミッタ電流をIEとすると、以下の関係式(1)が成立する。
Figure 0007161950000001
NPNバイポーラトランジスタQn1のコレクタ電流をICQn1、NPNバイポーラトランジスタQn2のコレクタ電流ICQn2、NPNバイポーラトランジスタQn1のベース・エミッタ間電圧をVBEQn1、NPNバイポーラトランジスタQn2のベース・エミッタ間電圧をVBEQn2、NPNバイポーラトランジスタQn1の正規化エミッタ面積比を1、NPNバイポーラトランジスタQn2の正規化エミッタ面積比をyとすると、以下の関係式(2)が成立する。
Figure 0007161950000002
この式(2)を変形すると、
Figure 0007161950000003
となる。
式(3)の電圧VBEQn1、BEQn2の差分を計算すると、
Figure 0007161950000004
となる。この式(4)の差分電圧が抵抗REに印加されるため、抵抗REに流れる電流、すなわちNPNバイポーラトランジスタQn2のエミッタ電流IEQn2は、以下の式(5)ように表せる。
Figure 0007161950000005
ここで、ICQn1=ICQn2が成立すれば、次式(6)のように絶対温度に比例するエミッタ電流IEQn2が得られる。
Figure 0007161950000006
しかし、実際はベース電流増幅率の影響を受けるため、ICQn1=ICQn2は成立しない。
次に、このベース電流増幅率の影響について説明する。NPNバイポーラトランジスタQn2のベース電流をIBQn2、各NPNバイポーラトランジスタのベース電流増幅率をβQnとし、ICQn2+IBQn2=IEQn2が成立することと(5)式から、NPNバイポーラトランジスタQn2のコレクタ電流ICQn2は以下の式(7)のように書き換えられる。
Figure 0007161950000007
この式(7)を式変形すると、
Figure 0007161950000008
となる。
PNPバイポーラトランジスタQp1、Qp2、Qp3は、その正規化エミッタ面積比がすべて1で揃い、かつ、そのベース・エミッタ間電圧が等しいので、そのコレクタ電流はすべて等しくなり、そのベース電流もすべて等しくなる。ここで、PNPバイポーラトランジスタQp1、Qp2、Qp3のコレクタ電流をICQp、ベース電流をIBQpとすると、以下の式(9)の関係が成立する。
Figure 0007161950000009
各PNPバイポーラトランジスタのベース電流増幅率をβQpとすると、この式(9)はさらに以下の式(10)に書き換えられる。
Figure 0007161950000010
Ioを出力電流とすると、図5よりICQp=Ioであるため、この式(10)は以下の式(11)に書き換えられる。
Figure 0007161950000011
この式(11)に式(8)を代入すると、以下の式(12)に変形できる。
Figure 0007161950000012
NPNバイポーラトランジスタQn1のコレクタにおけるキルヒホッフの電流則から
CQp=ICQn1+IBQn1+IBQn2が成り立つので、NPNバイポーラトランジスタQn1のベース電流をIBQn1とすると以下の関係の式(13)が成立する。
Figure 0007161950000013
この式(13)に式(10)式を代入すると、
Figure 0007161950000014
となる。この式(14)を変形すると、
Figure 0007161950000015
となる。
式(10)と式(15)を式(12)に代入すると、以下に示す絶対温度比例の出力電流Ioの式(16)が導かれる。
Figure 0007161950000016
Th. J. van Kessel and R. J. van de Plassche, "Integrated linear basic circuits",Philips Technical Review, vol.32, pp.1-12, 1971. 浅田邦博・永田穣 監訳、P.R.グレイ/P.J.フルスト/S.H.レビス/R.G.メイヤー 共著、「システムLSIのためのアナログ集積回路設計技術(基礎編)(応用編)」培風館、2004年。 米国特許第4,308,496号
以上のように、図5で説明した従来の基準電流源回路の構成では、式(16)で明らかなように、出力電流IoにPNPバイポーラトランジスタのベース電流増幅率βQpとNPNバイポーラトランジスタのベース電流増幅率βQnが含まれるので、絶対温度比例の出力電流Ioがそれらのベース電流増幅率βQp、βQnのばらつきや温度特性の影響を受けてしまうという問題がある。
本発明の目的は、ベース電流増幅率の影響の無い絶対温度比例電流を生成できるようにした基準電流源回路を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、第1のNPNバイポーラトランジスタと第2のNPNバイポーラトランジスタと第3のNPNバイポーラトランジスタと第1の抵抗を有する絶対温度比例電流生成回路と、第1の電圧電流変換回路と、第2の電圧電流変換回路と、第1のカレントミラー回路と、第2のカレントミラー回路と、シンク電流出力端子を備え、前記絶対温度比例電流生成回路は、前記第1のNPNバイポーラトランジスタのベースが前記第2及び第3のNPNバイポーラトランジスタのベースに接続されエミッタが接地され、前記第2のNPNバイポーラトランジスタのベースがコレクタに接続されエミッタが接地され、前記第3のNPNバイポーラトランジスタのエミッタが前記第1の抵抗を介して接地され、前記第1の電圧電流変換回路は、入力端子が前記第1のNPNバイポーラトランジスタのコレクタに接続され、第2の出力端子が前記シンク電流出力端子に接続され、前記第2の電圧電流変換回路は、入力端子が前記第3のNPNバイポーラトランジスタのコレクタに接続され、第2の出力端子が前記シンク電流出力端子に接続され、前記第1のカレントミラー回路は、入力端子が前記第1の電圧電流変換回路の第1の出力端子に接続され、第1の出力端子が前記第1のNPNバイポーラトランジスタのコレクタに接続され、第2の出力端子が前記第2のNPNバイポーラトランジスタのコレクタに接続され、第3の出力端子が前記第3のNPNバイポーラトランジスタのコレクタに接続され、前記第2のカレントミラー回路は、入力端子が前記第2の電圧電流変換回路の第1の出力端子に接続され、第1の出力端子が前記第2のNPNバイポーラトランジスタのコレクタに接続されていることを特徴とする。
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の基準電流源回路において、前記第1、第2、第3のNPNバイポーラトランジスタの正規化エミッタ面積比が、第1のNPNバイポーラトランジスタ:第2のNPNバイポーラトランジスタ:第3のNPNバイポーラトランジスタ=1:1:mに設定され(mは正の数)、前記第1のカレントミラー回路の前記入力端子、前記第1の出力端子、前記第2の出力端子、前記第3出力端子の電流比が、入力端子:第1の出力端子:第2の出力端子:第3出力端子=1:1:1:1に設定され、前記第2のカレントミラー回路の前記入力端子、前記第1の出力端子の電流比が、入力端子:第1の出力端子=1:3に設定され、前記第1の電圧電流変換回路の前記第1の出力端子、前記第2の出力端子の電流比が、第1の出力端子:第2の出力端子=1:1に設定され、前記第2の電圧電流変換回路の前記第1の出力端子、前記第2の出力端子の電流比が、第1の出力端子:第2の出力端子=1:1に設定されている、ことを特徴とする。
請求項3にかかる発明は、第1のNPNバイポーラトランジスタと第2のNPNバイポーラトランジスタと第3のNPNバイポーラトランジスタと第1の抵抗を有する絶対温度比例電流生成回路と、第1の電圧電流変換回路と、第2の電圧電流変換回路と、第1のカレントミラー回路と、第2のカレントミラー回路と、ソース電流出力端子を備え、前記絶対温度比例電流生成回路は、前記第1のNPNバイポーラトランジスタのベースが前記第2及び第3のNPNバイポーラトランジスタのベースに接続されエミッタが接地され、前記第2のNPNバイポーラトランジスタのベースがコレクタに接続されエミッタが接地され、前記第3のNPNバイポーラトランジスタのエミッタが前記第1の抵抗を介して接地され、前記第1の電圧電流変換回路は、入力端子が前記第1のNPNバイポーラトランジスタのコレクタに接続され、前記第2の電圧電流変換回路は、入力端子が前記第3のNPNバイポーラトランジスタのコレクタに接続され、前記第1のカレントミラー回路は、入力端子が前記第1の電圧電流変換回路の第1の出力端子に接続され、第1の出力端子が前記第1のNPNバイポーラトランジスタのコレクタに接続され、第2の出力端子が前記第2のNPNバイポーラトランジスタのコレクタに接続され、第3の出力端子が前記第3のNPNバイポーラトランジスタのコレクタに接続され、第4の出力端子が前記ソース電流出力端子に接続され、前記第2のカレントミラー回路は、入力端子が前記第2の電圧電流変換回路の第1の出力端子に接続され、第1の出力端子が前記第2のNPNバイポーラトランジスタのコレクタに接続され、第2の出力端子が前記ソース電流出力端子に接続されていることを特徴とする。
請求項4にかかる発明は、請求項3に記載の基準電流源回路において、前記第1、第2、第3のNPNバイポーラトランジスタの正規化エミッタ面積比が、第1のNPNバイポーラトランジスタ:第2のNPNバイポーラトランジスタ:第3のNPNバイポーラトランジスタ=1:1:mに設定され(mは正の数)、前記第1のカレントミラー回路の前記入力端子、前記第1の出力端子、前記第2の出力端子、前記第3の出力端子、前記第4の出力端子の電流比が、入力端子:第1の出力端子:第2の出力端子:第3の出力端子:第4の出力端子=1:1:1:1:1に設定され、前記第2のカレントミラー回路の前記入力端子、前記第1の出力端子、前記第2の出力端子の電流比が、入力端子:第1の出力端子:第2の出力端子=1:3:1に設定されている、ことを特徴とする。
本発明によれば、第1、第2、第3のNPNバイポーラトランジスタのコレクタ電流を等しくし、ベース電流も等しくできる。また、第1のカレントミラー回路の第1、第2、第3の出力端子の電流を第1、第2、第3のNPNバイポーラトランジスタのコレクタ電流と等しくできる。また、第2のカレントミラー回路の第1、第2の出力端子の電流を第1、第2、第3のNPNバイポーラトランジスタのベース電流と等しくできる。また、第1の電流電圧変換回路の第2の出力端子の電流を第1、第2、第3のNPNバイポーラトランジスタのコレクタ電流と等しくできる。さらに、第2の電流電圧変換回路の第2の出力端子の電流を第1、第2、第3のNPNバイポーラトランジスタのベース電流と等しくできる。
よって、第1の電圧電流変換回路の第2の出力端子の電流と第2の電圧電流変換回路の第2の出力端子の電流を合成することで、第1の抵抗に流れる電流と等しい電流をシンク電流出力端子から出力させることができる。また、第1のカレントミラー回路の第4の出力端子の電流と第2のカレントミラー回路の第2の出力端子の電流を合成することで、第1の抵抗に流れる電流と等しい電流をソース電流出力端子から出力させることができる。このため、第1、第2、第3のバイポーラトランジスタのベース電流増幅率の影響のない絶対温度比例電流を、シンク電流出力端子やソース電流出力端子から基準電流として出力させることができる。
本発明の絶対温度比例の基準電流源回路のブロック図である。 本発明の基準電流源回路の具体的回路の回路図である。 絶対温度比例の基準電流源回路の特性を示すグラフである。 絶対温度比例の基準電流源回路の特性の線形性を示すグラフである。 絶対温度比例の基準電流源回路の従来の回路図である。
図1に本発明の基準電流源回路の原理構成を示す。10は絶対温度比例電流生成回路であり、NPNバイポーラトランジスタQn1a、Qn2a、Qn3aと抵抗R1aからなる。NPNバイポーラトランジスタQn1aはベースがNPNバイポーラトランジスタQn2a、Qn3aのベースに接続されエミッタが接地されている。そして、NPNバイポーラトランジスタQn2aはベースとコレクタが接続されエミッタが接地されている。NPNバイポーラトランジスタQn3aはエミッタが抵抗R1aを介して接地されている。
20は第1の電圧電流変換回路であり、入力端子I21、第1の出力端子O21、第2の出力端子O22を備え、入力端子I21がNPNバイポーラトランジスタQn1aのコレクタに接続されている。
30は第2の電圧電流変換回路であり、入力端子I31、第1の出力端子O31、第2の出力端子O32を備え、入力端子I31がNPNバイポーラトランジスタQn3aのコレクタに接続されている。
40は第1のカレントミラー回路であり、入力端子I41、第1の出力端子O41、第2の出力端子O42、第3の出力端子O43、第4の出力端子O44を備える。そして、入力端子I41は第1の電圧電流変換回路20の第1の出力端子O21に接続され、第1の出力端子O41がNPNバイポーラトランジスタQn1aのコレクタに接続され、第2の出力端子O42がNPNバイポーラトランジスタQn2aのコレクタに接続され、第3の出力端子O43がNPNバイポーラトランジスタQn3aのコレクタに接続されている。
50は第2のカレントミラー回路であり、入力端子I51、第1の出力端子O51、第2の出力端子O52を備える。そして、入力端子I51は第2の電圧電流変換回路30の第1の出力端子O31に接続され、第1の出力端子O51がNPNバイポーラトランジスタQn2aのコレクタに接続されている。
60はシンク電流INOUT1を吸い込むシンク電流出力端子であり、第1の電圧電流変換回路20の第2の出力端子O22と第2の電圧電流変換回路30の第2の出力端子O32に接続されている。
70はソース電流IPOUT1を吐き出すソース電流出力端子であり、第1のカレントミラー回路40の第4の出力端子O44と第2のカレントミラー回路50の第2の出力端子O52に接続されている。
図2に基準電流源回路の具体的回路を示す。絶対温度比例電流生成回路10において、各NPNバイポーラトランジスタQn1a、Qn2a、Qn3aの正規化エミッタ面積比は、Qn1a:Qn2a:Qn3a=1:1:mに設定されている(mは正の数)。
第1の電圧電流変換回路20は、ゲートが入力端子I21に接続され、ソースが接地されたNMOSトランジスタMn1a、Mn2aを有する。NMOSトランジスタMn1aのドレインは第1の出力端子O21に接続され、NMOSトランジスタMn2aのドレインは第2の出力端子O22に接続されている。NMOSトランジスタMn1a、Mn2aのサイズ比(W/L)は、Mn1a:Mn2a=1:1に設定されている。つまり、端子O21、O22の電流比がO21:O22=1:1に設定されている。
第2の電圧電流変換回路30は、ゲートが入力端子I31に接続され、ソースが接地されたNMOSトランジスタMn1b、Mn2bを有する。NMOSトランジスタMn1bのドレインは第1の出力端子O31に接続され、NMOSトランジスタMn2bのドレインは第2の出力端子O32に接続されている。NMOSトランジスタMn1b、Mn2bのサイズ比(W/L)は、Mn1b:Mn2b=1:1に設定されている。つまり、端子O31、O32の電流比がO31:O32=1:1に設定されている。
第1のカレントミラー回路40は、PMOSトランジスタMp1a、Mp2a、Mp3a、Mp4a、Mp5aを備える。PMOSトランジスタMp1a、Mp2a、Mp3a、Mp4a、Mp5aは、そのゲートがPMOSトランジスタMp1aのドレインに接続されている。PMOSトランジスタMp1aのドレインは入力端子I41に、PMOSトランジスタMp2aのドレインは第1の出力端子O41に、PMOSトランジスタMp3aのドレインは第2の出力端子O42に、PMOSトランジスタMp4aのドレインは第3の出力端子O43に、PMOSトランジスタMp5aのドレインは第4の出力端子I44に、それぞれ出力されている。PMOSトランジスタMp1a、Mp2a、Mp3a、Mp4a、Mp5aのソースには電源電圧VDDが印加している。そして、PMOSトランジスタMp1a、Mp2a、Mp3a、Mp4a、Mp5aのサイズ比(W/L)は、Mp1a:Mp2a:Mp3a:Mp4a:Mp5a=1:1:1:1:1に設定されている。つまり、端子I41、O41~O44の電流比が、I41:O41:O42:O43:O44=1:1:1:1:1に設定されている。
第2のカレントミラー回路50は、PMOSトランジスタMp1b、Mp2b、Mp3bを備える。PMOSトランジスタMp1b、Mp2b、Mp3bは、そのゲートがPMOSトランジスタMp1bのドレインに接続されている。PMOSトランジスタMp1bのドレインは入力端子I51に、PMOSトランジスタMp2bのドレインは第1の出力端子O51に、PMOSトランジスタMp3bのドレインは第2の出力端子O52に、それぞれ出力されている。PMOSトランジスタMp1b、Mp2b、Mp3bのソースには電源電圧VDDが印加している。そして、PMOSトランジスタMp1b、Mp2b、Mp3bのサイズ比(W/L)は、Mp1b:Mp2b:Mp3b=1:3:1に設定されている。つまり、端子I51、O51、O52の電流比が、I51:O51:O52=1:3:1に設定されている。
ここで、NPNバイポーラトランジスタQn1aのコレクタ電流をICQn1a、NMOSトランジスタMn1aの電圧電流変換率をgmn1a、NMOSトランジスタMp2aの出力抵抗を
Op2a、NPNバイポーラトランジスタQn1aの出力抵抗をrOQn1aとすると、PMOSトランジスタMp2aのドレイン電流IDmp2aは、以下の式(17)ように表せる。
Figure 0007161950000017
この式(17)を変形すると、以下の式(18)ように表せる。
Figure 0007161950000018
ここで、gmn1a・OQn1a・Op2a /(rOQn1a+rOp2a)>>1であるため、上記の式(18)は以下の式(19)ように表せる。
Figure 0007161950000019
PMOSトランジスタMp1a、Mp2a、Mp3a、Mp4a、Mp5aのサイズ比(W/L)がMp1a:Mp2a:Mp3a:Mp4a:Mp5a=1:1:1:1:1であることと(19)式から、PMOSトランジスタMp1aのドレイン電流をIDmp1a、PMOSトランジスタMp3aのドレイン電流をIDmp3a、PMOSトランジスタMp4aのドレイン電流をIDmp4a、PMOSトランジスタMp5aのドレイン電流をIDmp5aとすると、以下の式(20)の関係が得られる。
Figure 0007161950000020
NPNバイポーラトランジスタQn1a、Qn2aの正規化エミッタ面積比は1で揃い、かつ、ベース・エミッタ間電圧が等しいので、NPNバイポーラトランジスタQn2aのコレクタ電流をICQn2aとすると、ICQn1a=ICQn2aが成立する。このことから、上記の式(20)は以下の式(21)に書き換えられる。
Figure 0007161950000021
NPNバイポーラトランジスタQn1aのベース電流をIBQn1a、NPNバイポーラトランジスタQn2aのベース電流をIBQn2a、NPNバイポーラトランジスタQn3aのベース電流をIBQn3a、各NPNバイポーラトランジスタのベース電流増幅率をβnとすると、以下の式(22)の関係が成り立つ。
Figure 0007161950000022
PMOSトランジスタMp1b、Mp2b、Mp3bのサイズ比(W/L)がMp1b:Mp2b:Mp3b=1:3:1であることから、NMOSトランジスタMn1bの電圧電流変換率をgmn1b、NPNバイポーラトランジスタQn3aの電圧電流変換率をgmQn3a、NPNバイポーラトランジスタQn3aの出力抵抗をrOQn3a、MOSトランジスタMp4aの出力抵抗をrOp4aとすると、PMOSトランジスタMp4aのドレイン電流IDmp4aとNPNバイポーラトランジスタQn3aのコレクタ電流ICQn3aの間には、以下に示す式(23)の関係が成立する。
Figure 0007161950000023
なお、ROQn3a=(1+gmQn3a・R1a)rOQn3aである。
3βn・gmn1b・ROQn3a・rOp4a /(ROQn3a+rOp4a)>>1であるため、式(23)は以下の式(24)のように変形できる。
Figure 0007161950000024
式(21)と式(22)と式(24)から、以下に示す式(25)の関係式が得られる。
Figure 0007161950000025
上記式(25)より、3つのNPNバイポーラトランジスタQn1a、Qn2a、Qn3aは、そのベース電流が等しいことと、そのコレクタ電流が等しいことが分かったので、以後、3つのNPNバイポーラトランジスタQn1a、Qn2a、Qn3aのベース電流はIBQn、コレクタ電流はICQnと表記する。
PMOSトランジスタMp2bのドレイン電流をIDmp2bとすると、NPNバイポーラトランジスタQn2aのコレクタにおけるキルヒホッフの電流則から
Dmp3a+IDmp2b=ICQn+3IBQnが成り立つので、式(21)式から、以下の式(26)の関係が得られる。
Figure 0007161950000026
PMOSトランジスタMp1b、Mp2b、Mp3bのサイズ比(W/L)が、Mp1b:Mp2b:Mp3b=1:3:1であることと式(26)から、PMOSトランジスタMp1bのドレイン電流IDmp1b、PMOSトランジスタMp3bのドレイン電流IDmp3bは、以下の式(27)のように表せる。
Figure 0007161950000027
式(21)と式(25)式より、ソース出力電流IPOUT1=IDmp5a+IDmp3bは以下の式(28)ように表せ、絶対温度比例電流生成回路10のNPNトランジスタのコレクタ電流とベース電流の和であることがわかる。
Figure 0007161950000028
NMOSトランジスタMn1a、Mn2aのサイズ比(W/L)がMn1a:Mn2a=1:1であることと、NMOSトランジスタMn1b、Mn2bのサイズ比(W/L)がMn1b:Mn2b=1:1であることと、NPNバイポーラトランジスタQn1aのコレクタにおけるキルヒホッフの電流則からIDmn1a=IDmp1aであることと、NPNバイポーラトランジスタQn3aのコレクタにおけるキルヒホッフの電流則からIDmn1b=IDmp1bであることと、それに式(21)と式(25)と式(27)から、NMOSトランジスタMn1aのドレイン電流をIDmn1a、NMOSトランジスタMn2aのドレイン電流をIDmn2a、NMOSトランジスタMn1bのドレイン電流をIDmn1b、NMOSトランジスタMn2bのドレイン電流をIDmn2bとすると、シンク出力電流INOUT1=IDmn2a+IDmn2bもまた以下の式(29)ように表される。
Figure 0007161950000029
NPNバイポーラトランジスタQn2aとNPNバイポーラトランジスタQn3aに式(2)から式(6)の展開を当てはめると、抵抗R1aに流れる電流、すなわち、NPNバイポーラトランジスタQn3aのエミッタ電流IEQn3aは以下の式(30)ように表せる。
Figure 0007161950000030
EQn3a=ICQn3a+IBQn3a=ICQn+IBQnであることから、式(28)と式(29)は、式(30)を用いて以下の式(31)と式(32)のように表せる。
Figure 0007161950000031
Figure 0007161950000032
(31)式と(32)式より、バイポーラトランジスタのベース電流増幅率の影響の無い絶対温度比例電流を実現できていることが証明された。
このように本発明では、NPNバイポーラトランジスタQn1a、Qn2a、Qn3aのコレクタ電流が等しくなり、ベース電流も等しくなる。また、第1のカレントミラー回路40の出力端子O41、O42、O43の電流がNPNバイポーラトランジスタQn1a、Qn2a、Qn3aのコレクタ電流と等しくなる。また、第2のカレントミラー回路50の出力端子O51、O52の電流がNPNバイポーラトランジスタQn1a、Qn2a、Qn3aのベース電流と等しくなる。また、第1の電流電圧変換回路20の出力端子O21、O22の電流がNPNバイポーラトランジスタQn1a、Qn2a、Qn3aのコレクタ電流と等しくなる。また、第2の電流電圧変換回路30の出力端子O31、O32の電流がNPNバイポーラトランジスタQn1a、Qn2a、Qn3aのベース電流と等しくなる。さらに、抵抗R1aに流れるNPNバイポーラトランジスタQn3aのエミッタ電流はNPNバイポーラトランジスタQn3aのベース電流とコレクタ電流を加算したものである。
よって、第1の電圧電流変換回路20の第2の出力端子O22の電流と第2の電圧電流変換回路30の第2の出力端子O32の電流を合成することで、第1の抵抗R1aに流れる電流と等しい電流をシンク電流出力端子60から出力させることができる。また、第1のカレントミラー回路40の第4の出力端子O44の電流と第2のカレントミラー回路50の第2の出力端子O52の電流を合成することで、第1の抵抗R1aに流れる電流と等しい電流をソース電流出力端子70から出力させることができる。このため、NPNバイポーラトランジスタQn1a、Qn2a、Qn3aのベース電流増幅率の影響のない絶対温度比例電流を、シンク電流出力端子60やソース電流出力端子70から基準電流として出力させることができる。
本発明の効果を示すために、シミュレーション結果を図3及び図4に示す。このシミュレーションは図2の実施例と図5の従来例について行ったものである。シミュレーション条件は、m=5、R1a=RE=9kΩ、βQn=βn=35、βQp=27である。図3及び図4から、本発明は従来例よりも理想特性に近くかつ線形性がすぐれていることがわかる。
なお、以上説明した実施例は本発明の一つの形態でありこれに限られるものではない。例えば、シンク電流INOUT1のみを出力させる場合は、ソース電流出力端子70に関係する回路構成は不要である。また、ソース電流IPOUT1のみを出力させる場合は、シンク電流出力端子60に関係する回路構成は不要である。さらに、第1及び第2のカレントミラー回路40、50はカスコードカレントミラーもしくは定電圧カスコードカレントミラーでも構成できる。
10:絶対温度比例電流生成回路
20:第1の電圧電流変換回路
30:第2の電圧電流変換回路
40:第1のカレントミラー回路
50:第2のカレントミラー回路
60:シンク電流出力端子
70:ソース電流出力端子

Claims (4)

  1. 第1のNPNバイポーラトランジスタと第2のNPNバイポーラトランジスタと第3のNPNバイポーラトランジスタと第1の抵抗を有する絶対温度比例電流生成回路と、第1の電圧電流変換回路と、第2の電圧電流変換回路と、第1のカレントミラー回路と、第2のカレントミラー回路と、シンク電流出力端子を備え、
    前記絶対温度比例電流生成回路は、前記第1のNPNバイポーラトランジスタのベースが前記第2及び第3のNPNバイポーラトランジスタのベースに接続されエミッタが接地され、前記第2のNPNバイポーラトランジスタのベースがコレクタに接続されエミッタが接地され、前記第3のNPNバイポーラトランジスタのエミッタが前記第1の抵抗を介して接地され、
    前記第1の電圧電流変換回路は、入力端子が前記第1のNPNバイポーラトランジスタのコレクタに接続され、第2の出力端子が前記シンク電流出力端子に接続され、
    前記第2の電圧電流変換回路は、入力端子が前記第3のNPNバイポーラトランジスタのコレクタに接続され、第2の出力端子が前記シンク電流出力端子に接続され、
    前記第1のカレントミラー回路は、入力端子が前記第1の電圧電流変換回路の第1の出力端子に接続され、第1の出力端子が前記第1のNPNバイポーラトランジスタのコレクタに接続され、第2の出力端子が前記第2のNPNバイポーラトランジスタのコレクタに接続され、第3の出力端子が前記第3のNPNバイポーラトランジスタのコレクタに接続され、
    前記第2のカレントミラー回路は、入力端子が前記第2の電圧電流変換回路の第1の出力端子に接続され、第1の出力端子が前記第2のNPNバイポーラトランジスタのコレクタに接続されていることを特徴とする基準電流源回路。
  2. 請求項1に記載の基準電流源回路において、
    前記第1、第2、第3のNPNバイポーラトランジスタの正規化エミッタ面積比が、第1のNPNバイポーラトランジスタ:第2のNPNバイポーラトランジスタ:第3のNPNバイポーラトランジスタ=1:1:mに設定され(mは正の数)、
    前記第1のカレントミラー回路の前記入力端子、前記第1の出力端子、前記第2の出力端子、前記第3出力端子の電流比が、入力端子:第1の出力端子:第2の出力端子:第3出力端子=1:1:1:1に設定され、
    前記第2のカレントミラー回路の前記入力端子、前記第1の出力端子の電流比が、入力端子:第1の出力端子=1:3に設定され、
    前記第1の電圧電流変換回路の前記第1の出力端子、前記第2の出力端子の電流比が、第1の出力端子:第2の出力端子=1:1に設定され、
    前記第2の電圧電流変換回路の前記第1の出力端子、前記第2の出力端子の電流比が、第1の出力端子:第2の出力端子=1:1に設定されている、
    ことを特徴とする基準電流源回路。
  3. 第1のNPNバイポーラトランジスタと第2のNPNバイポーラトランジスタと第3のNPNバイポーラトランジスタと第1の抵抗を有する絶対温度比例電流生成回路と、第1の電圧電流変換回路と、第2の電圧電流変換回路と、第1のカレントミラー回路と、第2のカレントミラー回路と、ソース電流出力端子を備え、
    前記絶対温度比例電流生成回路は、前記第1のNPNバイポーラトランジスタのベースが前記第2及び第3のNPNバイポーラトランジスタのベースに接続されエミッタが接地され、前記第2のNPNバイポーラトランジスタのベースがコレクタに接続されエミッタが接地され、前記第3のNPNバイポーラトランジスタのエミッタが前記第1の抵抗を介して接地され、
    前記第1の電圧電流変換回路は、入力端子が前記第1のNPNバイポーラトランジスタのコレクタに接続され、
    前記第2の電圧電流変換回路は、入力端子が前記第3のNPNバイポーラトランジスタのコレクタに接続され、
    前記第1のカレントミラー回路は、入力端子が前記第1の電圧電流変換回路の第1の出力端子に接続され、第1の出力端子が前記第1のNPNバイポーラトランジスタのコレクタに接続され、第2の出力端子が前記第2のNPNバイポーラトランジスタのコレクタに接続され、第3の出力端子が前記第3のNPNバイポーラトランジスタのコレクタに接続され、第4の出力端子が前記ソース電流出力端子に接続され、
    前記第2のカレントミラー回路は、入力端子が前記第2の電圧電流変換回路の第1の出力端子に接続され、第1の出力端子が前記第2のNPNバイポーラトランジスタのコレクタに接続され、第2の出力端子が前記ソース電流出力端子に接続されていることを特徴とする基準電流源回路。
  4. 請求項3に記載の基準電流源回路において、
    前記第1、第2、第3のNPNバイポーラトランジスタの正規化エミッタ面積比が、第1のNPNバイポーラトランジスタ:第2のNPNバイポーラトランジスタ:第3のNPNバイポーラトランジスタ=1:1:mに設定され(mは正の数)、
    前記第1のカレントミラー回路の前記入力端子、前記第1の出力端子、前記第2の出力端子、前記第3の出力端子、前記第4の出力端子の電流比が、入力端子:第1の出力端子:第2の出力端子:第3の出力端子:第4の出力端子=1:1:1:1:1に設定され、
    前記第2のカレントミラー回路の前記入力端子、前記第1の出力端子、前記第2の出力端子の電流比が、入力端子:第1の出力端子:第2の出力端子=1:3:1に設定され
    いる、
    ことを特徴とする基準電流源回路。
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