JP7161924B2 - 屋根架構の構築方法 - Google Patents
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Description
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、建物の屋根架構を構築するための構築方法に関する。ここで、「建物」の具体的な構造や種類は任意であり、例えば、公共施設(例えば、体育館等)、商業施設(例えば、ショッピングモール等)、工場施設等を含む概念であるが、実施の形態では、体育館として説明する。
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
最初に、実施の形態に係る屋根架構の構築方法適用される建物の構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る建物を概念的に示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。以下の説明では、図1のX方向を建物の左右方向(-X方向を建物の左方向、+X方向を建物の右方向)、図1のY方向を建物の前後方向(+Y方向を建物の前方向、-Y方向を建物の後方向)、図1のZ方向を建物の上下方向(+Z方向を建物の上方向、-Z方向を建物の下方向)と称する。建物1は、図1に示すように、設置面C上に設けられており、屋根部10、支持部50、免震装置(図示省略)、及び利用空間部(図示省略)を備えている。
屋根部10は、建物1の基本構造体の一部であって、利用空間部の上部を覆うための部分であり、図1に示すように、屋根架構20及び屋根パネル40を備えている。
屋根架構20は、屋根部10の基本構造体である。この屋根架構20は、例えば鋼製の長尺な梁材30を複数組み合わせて構成されている。具体的には、図1に示すように、梁材30の長手方向が左右方向に略沿うように複数の梁材30の各々を配置すると共に、複数の梁材30を前後方向に略沿うように並設することにより構成されている。
図1に戻り、屋根パネル40は、屋根架構20の上面を覆うためのものである。この屋根パネル40は、例えば公知の屋根パネル(一例として、ALCパネル等)を用いて構成されており、図1に示すように、屋根架構20の上面全体を覆うように複数設けられ、屋根架構20に対して固定具等によって固定されている。
支持部50は、建物1の基本構造体の一部であって、屋根部10を支持する部分である。この支持部50は、図1に示すように、屋根部10よりも下方において利用空間部の周囲を覆うように配置されており、前側柱部51、後側柱部(図示省略)、左側柱部(図示省略)、右側柱部54、補助梁部55、左側レール部(図示省略)、及び右側レール部57を備えている。
免震装置は、屋根部10を免震化するための装置である。この免震装置は、例えば公知の免震装置(一例として、積層ゴム支承、滑り支承等)を用いて構成されており、屋根架構20と支持部50との相互間に設けられている。具体的には、屋根架構20の各梁材30の左端部と左側柱部(具体的には、左側柱部に接続された左側レール部)の上端部又はその近傍との相互間にそれぞれ配置され、当該各梁材30及び左側レール部に対して固定具等によってそれぞれ接続されている。また、屋根架構20の各梁材30の右端部と右側柱部(具体的には、右側レール部57)の上端部又はその近傍の相互間にそれぞれ配置され、当該各梁材30及び右側レール部57に対して固定具等によってそれぞれ接続されている。また、屋根架構20の梁材30のうち最前方側の梁材30の下端部と少なくともいずれか1つ以上の前側柱部51との相互間にそれぞれ配置され、当該梁材30及び当該前側柱部51に対して固定具等によってそれぞれ接続されている。また、屋根架構20の梁材30のうち最後方側の梁材30の下端部と少なくともいずれか1つ以上の後側柱部との相互間にそれぞれ配置され、当該梁材30及び当該後側柱部に対して固定具等によってそれぞれ接続されている。
利用空間部は、所定の目的(例えば、スポーツイベント等)に応じた利用が行われる空間部であり、例えば直方体状に形成されており、具体的には、所定の人数を収容可能であり、且つ所望の設備(例えば観客席や競技設備等)を収容可能な大きさに設定された空間部として形成されている。
続いて、実施の形態に係る屋根架構20の構築方法について説明する。図3は、屋根架構20の構築方法の形成工程を示す斜視図である(一部図示省略)。図4は、屋根架構の構築方法のトラベリング工程を示す側面図であって、1回目のトラベリング工程を示す図である。図5は、屋根架構の構築方法のトラベリング工程を示す側面図であって、2回目のトラベリング工程を示す図である。図6は、屋根架構の構築方法のトラベリング工程を示す側面図であって、最終回目のトラベリング工程を示す図である。図3から図6に示すように、実施の形態に係る屋根架構20の構築方法は、準備工程、形成工程、トラベリング工程、及び撤去工程を含んでいる。なお、屋根架構20の構築方法の前提としては、支持部50が設置面C上に設置されているものとして説明する。
まず、準備工程について説明する。準備工程は、屋根架構20を構築するための準備を行う工程である。
次に、形成工程及びトラベリング工程について説明する。形成工程は、準備工程の後に、梁材セットSを形成する工程である。トラベリング工程は、形成工程の後に、梁材セットSの端部のみを支持した状態で当該梁材セットSを所定位置(具体的には、設置位置)までトラベリング(横引き)して設置する工程である。ここで、「梁材セットS」とは、屋根架構20を構成する梁材30を複数組み合わせたセットであり、且つ所定量以上の剛性を有するセットを意味し、実施の形態では、少なくとも2つ以上の梁材30を組み合わせたセットとして説明する。ただし、これに限らず、例えば、梁材30の形状や大きさに応じた本数の梁材30を組み合わせたセットであってもよい。また、上記所定量以上の剛性については、例えば、公知の解析方法(例えば、有限要素法等)の解析結果又は実験結果等に基づいて設定してもよい。なお、実施の形態では、複数の梁材セットSを形成してトラベリングすることから、形成工程及びトラベリング工程をそれぞれ複数回実施し、且つ並行して実施するものとする。
続いて、撤去工程について説明する。撤去工程は、形成工程及びトラベリング工程の後に、トラベリング構台61、地組構台、及び作業用足場を撤去する工程である。具体的には、クレーン70等を用いてトラベリング構台61、地組構台、及び作業用足場を解体することにより、撤去する。
このように実施の形態によれば、屋根架構20を構成する梁材30を複数組み合わせた梁材セットSであり、且つ所定量以上の剛性を有する梁材セットSを形成する形成工程と、形成工程の後に、梁材セットSの端部のみを支持した状態で当該梁材セットSを所定位置までトラベリングして設置するトラベリング工程と、を含むので、単体の梁材30をトラベリングして設置する場合に比べて、トラベリング工程時(具体的には、梁材セットSのトラベリング時又は設置時)に生じる梁材セットSの各梁材30の水平変位を抑制でき、屋根架構20を正確に構築することが可能となる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
上記実施の形態では、梁材30が、トラス梁であると説明したが、これに限らず、例えば、ハニカム梁、ラチス梁、又はボックス梁であってもよい。
上記実施の形態では、屋根架構20の構築方法が、準備工程及び撤去工程を含むと説明したが、これに限らない。例えば、既設の建物1の構成部材や設備等をトラベリング構台61、地組構台、及び作業用足場として利用できる場合には、準備工程及び撤去工程を省略してもよい。
付記1の屋根架構の構築方法は、建物の屋根架構を構築するための構築方法であって、前記屋根架構を構成する梁材を複数組み合わせたセットであり、且つ所定量以上の剛性を有するセットを形成する形成工程と、前記形成工程の後に、前記セットの端部のみを支持した状態で当該セットを所定位置までトラベリングして設置するトラベリング工程と、を含む。
付記1に記載の屋根架構の構築方法によれば、屋根架構を構成する梁材を複数組み合わせたセットであり、且つ所定量以上の剛性を有するセットを形成する形成工程と、形成工程の後に、セットの端部のみを支持した状態で当該セットを所定位置までトラベリングして設置するトラベリング工程と、を含むので、単体の梁材をトラベリングして設置する場合に比べて、トラベリング工程時(具体的には、セットのトラベリング時又は設置時)に生じるセットの各梁材の水平変位を抑制でき、屋根架構を正確に構築することが可能となる。
10 屋根部
20 屋根架構
30 梁材
31 前側トラス部
31a 前側上弦材
31b 前側下弦材
31c 前側束材
31d 前側斜材
32 後側トラス部
32a 後側上弦材
32b 後側下弦材
32c 後側束材
32d 後側斜材
33 上側トラス部
33a 上側接続弦材
34 下側トラス部
34a 下側接続弦材
35 左側トラス部
35a 左側斜材
36 右側トラス部
36a 右側斜材
40 屋根パネル
50 支持部
51 前側柱部
54 右側柱部
55 補助梁部
57 右側レール部
61 トラベリング構台
70 クレーン
C 設置面
S 梁材セット
Claims (3)
- 建物の屋根架構を構築するための構築方法であって、
前記屋根架構を構成する梁材を複数組み合わせたセットであり、且つ所定量以上の剛性を有するセットを形成する形成工程と、
前記形成工程の後に、前記セットの端部のみを支持した状態で当該セットを所定位置までトラベリングし、その後前記セットを仮設支持体に支持させることなく、前記セットの各梁材と対応する前記建物の柱部と免震装置を介して接続することにより、前記セットを設置するトラベリング工程と、
を含む屋根架構の構築方法。 - 前記梁材は、
一対の上弦材及び一対の下弦材を有するトラス梁であって、
前記一対の上弦材の相互間又は前記一対の下弦材の相互間において水平に設けられた接続弦材であって、前記一対の上弦材同士又は前記一対の下弦材同士を接続する接続弦材を備える、
請求項1に記載の屋根架構の構築方法。 - 複数の前記セットに対して前記トラベリング工程をそれぞれ行う場合に、2回目以降の前記トラベリング工程に対応する前記セットの前記梁材の数を、1回目の前記トラベリング工程に対応する前記セットの前記梁材の数と同一又はそれよりも少なくする、
請求項1又は2に記載の屋根架構の構築方法。
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JPH0768721B2 (ja) * | 1987-11-20 | 1995-07-26 | 株式会社竹中工務店 | 大重量構造物のトラベリング工法 |
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