JP7161924B2 - 屋根架構の構築方法 - Google Patents

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Description

本発明は、屋根架構の構築方法に関する。
従来から、体育館等の建物の屋根架構を構築する技術の一つとして、屋根架構を構成する複数のトラスユニットをそれぞれ単体で設置位置までトラベリング(横引き)して設置する技術が提案されている(特許文献1参照)。
特開2003-221875号公報
しかしながら、上述した従来の技術においては、上述したように、複数のトラスユニットをそれぞれ単体で設置位置まで水平方向にトラベリングして設置していたので、例えば、各トラスユニットの水平剛性が比較的低い場合には、トラスユニットのトラベリング時にトラスユニットにねじれが発生することで、トラスユニットの水平変位が過大になるおそれがあることから、屋根架構を正確に構築する観点からは改善の余地があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、屋根架構を正確に構築することが可能となる、屋根架構の構築方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の屋根架構の構築方法は、建物の屋根架構を構築するための構築方法であって、前記屋根架構を構成する梁材を複数組み合わせたセットであり、且つ所定量以上の剛性を有するセットを形成する形成工程と、前記形成工程の後に、前記セットの端部のみを支持した状態で当該セットを所定位置までトラベリングし、その後前記セットを仮設支持体に支持させることなく、前記セットの各梁材と対応する前記建物の柱部と免震装置を介して接続することにより、前記セットを設置するトラベリング工程と、を含む。
請求項2に記載の屋根架構の構築方法は、請求項1に記載の屋根架構の構築方法において、前記梁材は、一対の上弦材及び一対の下弦材を有するトラス梁であって、前記一対の上弦材の相互間又は前記一対の下弦材の相互間において水平に設けられた接続弦材であって、前記一対の上弦材同士又は前記一対の下弦材同士を接続する接続弦材を備える。
請求項3に記載の屋根架構の構築方法は、請求項1又は2に記載の屋根架構の構築方法において、複数の前記セットに対して前記トラベリング工程をそれぞれ行う場合に、2回目以降の前記トラベリング工程に対応する前記セットの前記梁材の数を、1回目の前記トラベリング工程に対応する前記セットの前記梁材の数と同一又はそれよりも少なくする。
請求項1に記載の屋根架構の構築方法によれば、屋根架構を構成する梁材を複数組み合わせたセットであり、且つ所定量以上の剛性を有するセットを形成する形成工程と、形成工程の後に、セットの端部のみを支持した状態で当該セットを所定位置までトラベリングして設置するトラベリング工程と、を含むので、単体の梁材をトラベリングして設置する場合に比べて、トラベリング工程時(具体的には、セットのトラベリング時又は設置時)に生じるセットの各梁材の水平変位を抑制でき、屋根架構を正確に構築することが可能となる。
請求項2に記載の屋根架構の構築方法によれば、梁材が、一対の上弦材の相互間又は一対の下弦材の相互間において水平に設けられた接続弦材であって、一対の上弦材同士又は一対の下弦材同士を接続する接続弦材を備えるので、接続弦材を設けない場合に比べて梁材の水平変位を抑制でき、梁材を正確に設置することが可能となる。
請求項3に記載の屋根架構の構築方法によれば、複数のセットに対してトラベリング工程をそれぞれ行う場合に、2回目以降のトラベリング工程に対応するセットの梁材の数を、1回目のトラベリング工程に対応するセットの梁材の数と同一又はそれよりも少なくするので、2回目以降のトラベリング工程では、トラベリング工程時に生じるセットの各梁材の水平変位を抑制しながら、トラベリング工程を迅速に行うことができ、屋根架構を正確且つ迅速に構築することが可能となる。
本発明の実施の形態に係る建物を概念的に示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。 梁材を示す斜視図である。 屋根架構の構築方法の形成工程を示す斜視図である(一部図示省略)。 屋根架構の構築方法のトラベリング工程を示す側面図であって、1回目のトラベリング工程を示す図である。 屋根架構の構築方法のトラベリング工程を示す側面図であって、2回目のトラベリング工程を示す図である。 屋根架構の構築方法のトラベリング工程を示す側面図であって、最終回目のトラベリング工程を示す図である。
以下に添付図面を参照して、この発明に係る屋根架構の構築方法の実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、建物の屋根架構を構築するための構築方法に関する。ここで、「建物」の具体的な構造や種類は任意であり、例えば、公共施設(例えば、体育館等)、商業施設(例えば、ショッピングモール等)、工場施設等を含む概念であるが、実施の形態では、体育館として説明する。
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
(構成)
最初に、実施の形態に係る屋根架構の構築方法適用される建物の構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る建物を概念的に示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。以下の説明では、図1のX方向を建物の左右方向(-X方向を建物の左方向、+X方向を建物の右方向)、図1のY方向を建物の前後方向(+Y方向を建物の前方向、-Y方向を建物の後方向)、図1のZ方向を建物の上下方向(+Z方向を建物の上方向、-Z方向を建物の下方向)と称する。建物1は、図1に示すように、設置面C上に設けられており、屋根部10、支持部50、免震装置(図示省略)、及び利用空間部(図示省略)を備えている。
(構成-屋根部)
屋根部10は、建物1の基本構造体の一部であって、利用空間部の上部を覆うための部分であり、図1に示すように、屋根架構20及び屋根パネル40を備えている。
(構成-屋根部-屋根架構)
屋根架構20は、屋根部10の基本構造体である。この屋根架構20は、例えば鋼製の長尺な梁材30を複数組み合わせて構成されている。具体的には、図1に示すように、梁材30の長手方向が左右方向に略沿うように複数の梁材30の各々を配置すると共に、複数の梁材30を前後方向に略沿うように並設することにより構成されている。
ここで、複数の梁材30の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、トラス梁でそれぞれ構成されている。図2は、梁材30を示す斜視図である。具体的には、図2に示すように、複数の梁材30の各々の左右方向の長さについては、利用空間部の左右方向の長さよりも若干長く設定しており、複数の梁材30の各々の前後方向の長さについては、利用空間部の前後方向の長さよりも短く設定しており、複数の梁材30の各々の上下方向の長さについては、利用空間部の上下方向の長さよりも短く設定している。また、複数の梁材30の各々は、前側トラス部31、後側トラス部32、上側トラス部33、下側トラス部34、左側トラス部35、及び右側トラス部36をそれぞれ備えている。
このうち、前側トラス部31は、梁材30の前側に位置する部分であり、複数の弦材を組み合わせて構成されている。具体的には、図2に示すように、前側上弦材31aと、前側上弦材31aよりも下側に位置する前側下弦材31bと、前側上弦材31aと前側下弦材31bとの相互間において間隔を隔てて左右方向に複数並設される前側束材31cと、前側束材31c同士の相互間に設けられた前側斜材31dとを備えて構成されている。また、後側トラス部32は、梁材30の後側に位置する部分であり、前側トラス部31の構成と略同一に構成されており、具体的には、図2に示すように、後側上弦材32a、後側下弦材32b、後側束材32c、及び後側斜材32dを備えて構成されている。また、上側トラス部33は、梁材30の上側に位置する部分であり、複数の弦材を組み合わせて構成されており、具体的には、図2に示すように、前側上弦材31aと後側上弦材32aとの相互間において水平に設けられ、且つ間隔を隔てて左右方向に複数並設された上側接続弦材33aを備えて構成されている。また、下側トラス部34は、梁材30の下側に位置する部分であり、複数の弦材を組み合わせて構成されており、具体的には、図2に示すように、前側下弦材31bと後側下弦材32bとの相互間において水平に設けられ、且つ間隔を隔てて左右方向に複数並設された下側接続弦材34aを備えて構成されている。また、左側トラス部35は、梁材30の左側に位置する部分であり、複数の弦材を組み合わせて構成されており、具体的には、図2に示すように、前側トラス部31と後側トラス部32との相互間に設けられた一対の左側斜材35aであって、下側接続弦材34aにおいて相互に交差する一対の左側斜材35aを備えて構成されている。また、右側トラス部36は、梁材30の右側に位置する部分であり、左側トラス部35の構成と略同一に構成されており、具体的には、図2に示すように、一対の右側斜材36aを備えて構成されている。なお、実施の形態では、複数の梁材30の各々における各種束材の配置方法(いわゆる割り付け方法)については、複数の梁材30の各々における各種束材をすべて同一の位置に配置しているので、屋根架構20のねじれの発生を抑制できる。なお、上述した「上側接続弦材33a」及び「下側接続弦材34a」は、特許請求の範囲における「接続弦材」に対応する。
(構成-屋根部-屋根パネル)
図1に戻り、屋根パネル40は、屋根架構20の上面を覆うためのものである。この屋根パネル40は、例えば公知の屋根パネル(一例として、ALCパネル等)を用いて構成されており、図1に示すように、屋根架構20の上面全体を覆うように複数設けられ、屋根架構20に対して固定具等によって固定されている。
(構成-支持部)
支持部50は、建物1の基本構造体の一部であって、屋根部10を支持する部分である。この支持部50は、図1に示すように、屋根部10よりも下方において利用空間部の周囲を覆うように配置されており、前側柱部51、後側柱部(図示省略)、左側柱部(図示省略)、右側柱部54、補助梁部55、左側レール部(図示省略)、及び右側レール部57を備えている。
前側柱部51は、支持部50の前側に位置する柱部である。この前側柱部51は、例えば公知のコンクリート製の柱材を用いて構成されており、具体的には、図1(a)に示すように、前側柱部51の左右方向の長さが利用空間部の左右方向の長さよりも短く設定され、前側柱部51の前後方向の長さが利用空間部の前後方向の長さよりも短く設定され、前側柱部51の上下方向の長さが利用空間部の上下方向の長さと略同一に設定されている(なお、他の柱部についても同様とする)。また、図1(a)に示すように、前側柱部51は、設置面Cに対して立設されていると共に、間隔を隔てて左右方向に複数並設されている。後側柱部は、支持部50の後側に位置する柱部であり、設置面Cに対して立設されていると共に、間隔を隔てて左右方向に複数並設されている。左側柱部は、支持部50の左側に位置する柱部であり、設置面Cに対して立設されていると共に、間隔を隔てて前後方向に複数並設されている。右側柱部54は、支持部50の右側に位置する柱部であり、図1(b)に示すように、設置面Cに対して立設されていると共に、間隔を隔てて前後方向に複数並設されている。補助梁部55は、前側柱部51、後側柱部、左側柱部、及び右側柱部54の各々を補強するための梁部であり、例えば公知のコンクリート製の梁材を用いて構成されており、図1に示すように、前側柱部51同士、後側柱部同士、左側柱部同士、及び右側柱部54同士をそれぞれ接続するように複数設けられている。
左側レール部及び右側レール部57は、屋根架構20を構築する際に梁材30を前後方向に沿って移動するように案内するものである。これら左側レール部及び右側レール部57は、例えば公知の長尺なレール材(一例として鋼製のレール材)等を用いて構成されており、支持部50の上側部分に設けられている。具体的には、左側レール部は、並設されているすべての左側柱部の上側部分にわたって設けられており、これら左側柱部に対して直接的又は間接的に接続されている。また、図1(b)に示すように、右側レール部57は、並設されているすべての右側柱部54の上側部分にわたって設けられており、これら右側柱部54に対して直接的又は間接的に接続されている。
(構成-免震装置)
免震装置は、屋根部10を免震化するための装置である。この免震装置は、例えば公知の免震装置(一例として、積層ゴム支承、滑り支承等)を用いて構成されており、屋根架構20と支持部50との相互間に設けられている。具体的には、屋根架構20の各梁材30の左端部と左側柱部(具体的には、左側柱部に接続された左側レール部)の上端部又はその近傍との相互間にそれぞれ配置され、当該各梁材30及び左側レール部に対して固定具等によってそれぞれ接続されている。また、屋根架構20の各梁材30の右端部と右側柱部(具体的には、右側レール部57)の上端部又はその近傍の相互間にそれぞれ配置され、当該各梁材30及び右側レール部57に対して固定具等によってそれぞれ接続されている。また、屋根架構20の梁材30のうち最前方側の梁材30の下端部と少なくともいずれか1つ以上の前側柱部51との相互間にそれぞれ配置され、当該梁材30及び当該前側柱部51に対して固定具等によってそれぞれ接続されている。また、屋根架構20の梁材30のうち最後方側の梁材30の下端部と少なくともいずれか1つ以上の後側柱部との相互間にそれぞれ配置され、当該梁材30及び当該後側柱部に対して固定具等によってそれぞれ接続されている。
(構成-利用空間部)
利用空間部は、所定の目的(例えば、スポーツイベント等)に応じた利用が行われる空間部であり、例えば直方体状に形成されており、具体的には、所定の人数を収容可能であり、且つ所望の設備(例えば観客席や競技設備等)を収容可能な大きさに設定された空間部として形成されている。
(屋根架構の構築方法)
続いて、実施の形態に係る屋根架構20の構築方法について説明する。図3は、屋根架構20の構築方法の形成工程を示す斜視図である(一部図示省略)。図4は、屋根架構の構築方法のトラベリング工程を示す側面図であって、1回目のトラベリング工程を示す図である。図5は、屋根架構の構築方法のトラベリング工程を示す側面図であって、2回目のトラベリング工程を示す図である。図6は、屋根架構の構築方法のトラベリング工程を示す側面図であって、最終回目のトラベリング工程を示す図である。図3から図6に示すように、実施の形態に係る屋根架構20の構築方法は、準備工程、形成工程、トラベリング工程、及び撤去工程を含んでいる。なお、屋根架構20の構築方法の前提としては、支持部50が設置面C上に設置されているものとして説明する。
(屋根架構の構築方法-準備工程)
まず、準備工程について説明する。準備工程は、屋根架構20を構築するための準備を行う工程である。
具体的には、図4に示すように、支持部50よりも後方位置において、クレーン70等を用いてトラベリング工程で使用されるトラベリング構台61(例えば、鉄骨を組み合わせて構成されたトラベリング構台61)を組み立てる。また、トラベリング構台61の近傍位置において、クレーン70等を用いて形成工程で使用される図示しない地組構台(例えば、鉄骨を組み合わせて構成された地組構台)を組み立てる。また、支持部50、トラベリング構台61、又は地組構台に作業用足場(図示省略)を取り付ける。
(屋根架構の構築方法-形成工程、トラベリング工程)
次に、形成工程及びトラベリング工程について説明する。形成工程は、準備工程の後に、梁材セットSを形成する工程である。トラベリング工程は、形成工程の後に、梁材セットSの端部のみを支持した状態で当該梁材セットSを所定位置(具体的には、設置位置)までトラベリング(横引き)して設置する工程である。ここで、「梁材セットS」とは、屋根架構20を構成する梁材30を複数組み合わせたセットであり、且つ所定量以上の剛性を有するセットを意味し、実施の形態では、少なくとも2つ以上の梁材30を組み合わせたセットとして説明する。ただし、これに限らず、例えば、梁材30の形状や大きさに応じた本数の梁材30を組み合わせたセットであってもよい。また、上記所定量以上の剛性については、例えば、公知の解析方法(例えば、有限要素法等)の解析結果又は実験結果等に基づいて設定してもよい。なお、実施の形態では、複数の梁材セットSを形成してトラベリングすることから、形成工程及びトラベリング工程をそれぞれ複数回実施し、且つ並行して実施するものとする。
具体的には、図3、図4に示すように、1回目の形成工程及びトラベリング工程においては、まず、クレーン70等を用いて梁材セットSを地組構台上で形成した後、クレーン70等を用いて梁材セットSをトラベリング構台61まで搬送する。ここで、梁材セットSの形成方法については任意であるが、例えば、複数の梁材30を溶接又は固定具等によって接続することにより、形成してもよい。この場合において、隣接する梁材30の前側トラス部31又は後側トラス部32を共通化して形成してもよく、一例として、隣接する梁材30のいずれか一方の後側トラス部32と隣接する梁材30のいずれか他方の前側トラス部31とを1つのトラス部で形成してもよい。次に、公知のトラベリング工法(例えば、ジャッキ又はワイヤを利用したトラベリング工法等)を用いて、梁材セットSの左端部を左側レール部に支持し、且つ梁材セットSの右端部を右側レール部57に支持した状態において、当該梁材セットSを設置位置までトラベリングした後(図4では、梁材セットSを前方に向けてトラベリングした後)、梁材セットSの各梁材30と対応する左側柱部及び対応する右側柱部54の各々と免震装置を介して接続することにより、設置する。特に、実施の形態では、上述したように、梁材セットSの各梁材30に上側接続弦材33a及び下側接続弦材34aが設けられているので、これら上側接続弦材33a及び下側接続弦材34aを設けない場合に比べて各梁材30の水平変位を抑制でき、各梁材30を正確に設置することが可能となる(なお、後述する2回目以降の形成工程及びトラベリング工程についても同様とする)。
次いで、図5に示すように、2回目以降の形成工程及びトラベリング工程においては、1回目の形成工程及びトラベリング工程と同様に、梁材セットSを形成し、梁材セットSをトラベリング構台61まで搬送した後、梁材セットSを設置位置までトラベリングして、梁材セットSの各梁材30と対応する左側柱部及び対応する右側柱部54の各々と免震装置を介して接続することにより、設置する。
続いて、図6に示すように、屋根架構20を構成する梁材30をすべて設置位置までトラベリングして設置するまで、2回目以降の形成工程及びトラベリング工程を複数回繰り返す。
ここで、梁材セットSの梁材30の数については任意であるが、実施の形態では、2回目以降のトラベリング工程に対応する梁材セットSの梁材30の数を、1回目のトラベリング工程に対応する梁材セットSの梁材30の数と同一又はそれよりも少なく設定している。例えば、図4、図5に示すように、1回目のトラベリング工程に対応する梁材セットSの梁材30の数=5である場合に、2回目のトラベリング工程に対応する梁材セットSの梁材30の数=2に設定してもよい。これにより、1回目のトラベリング工程では、梁材セットSのトラベリング時又は梁材セットSの設置時において当該梁材セットSの各梁材30の水平変位を確実に抑制できる。また、2回目以降のトラベリング工程では、トラベリング工程時(具体的には、梁材セットSのトラベリング時又は設置時)に生じる梁材セットSの各梁材30の水平変位を抑制しながら、トラベリング工程を迅速に行うことができ、屋根架構20を正確且つ迅速に構築することが可能となる。
(屋根架構の構築方法-撤去工程)
続いて、撤去工程について説明する。撤去工程は、形成工程及びトラベリング工程の後に、トラベリング構台61、地組構台、及び作業用足場を撤去する工程である。具体的には、クレーン70等を用いてトラベリング構台61、地組構台、及び作業用足場を解体することにより、撤去する。
以上のような構築方法により、単体の梁材30をトラベリングして設置する場合に比べて、トラベリング工程時に生じる梁材セットSの各梁材30の水平変位を抑制でき、屋根架構20を正確に構築することが可能となる。
(実施の形態の効果)
このように実施の形態によれば、屋根架構20を構成する梁材30を複数組み合わせた梁材セットSであり、且つ所定量以上の剛性を有する梁材セットSを形成する形成工程と、形成工程の後に、梁材セットSの端部のみを支持した状態で当該梁材セットSを所定位置までトラベリングして設置するトラベリング工程と、を含むので、単体の梁材30をトラベリングして設置する場合に比べて、トラベリング工程時(具体的には、梁材セットSのトラベリング時又は設置時)に生じる梁材セットSの各梁材30の水平変位を抑制でき、屋根架構20を正確に構築することが可能となる。
また、梁材30が、一対の上弦材の相互間又は一対の下弦材の相互間において水平に設けられた接続弦材であって、一対の上弦材同士又は一対の下弦材同士を接続する接続弦材を備えるので、接続弦材を設けない場合に比べて梁材30の水平変位を抑制でき、梁材30を正確に設置することが可能となる。
また、複数の梁材セットSに対してトラベリング工程をそれぞれ行う場合に、2回目以降のトラベリング工程に対応する梁材セットSの梁材30の数を、1回目のトラベリング工程に対応する梁材セットSの梁材30の数と同一又はそれよりも少なくするので、2回目以降のトラベリング工程では、トラベリング工程時に生じる梁材セットSの各梁材30の水平変位を抑制しながら、トラベリング工程を迅速に行うことができ、屋根架構20を正確且つ迅速に構築することが可能となる。
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
(梁材について)
上記実施の形態では、梁材30が、トラス梁であると説明したが、これに限らず、例えば、ハニカム梁、ラチス梁、又はボックス梁であってもよい。
また、上記実施の形態では、梁材30が、上側接続弦材33a及び下側接続弦材34a、(すなわち、一対の上弦材同士及び一対の下弦材同士を接続する接続弦材を備えている)を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、上側接続弦材33a又は下側接続弦材34aの少なくともいずれか一方を省略してもよい(ただし、上側接続弦材33a及び下側接続弦材34aの両方を省略する場合には、最左方側及び第右方側に位置する上側接続弦材33a又は下側接続弦材34aは除く)。
(屋根架構の構築方法について)
上記実施の形態では、屋根架構20の構築方法が、準備工程及び撤去工程を含むと説明したが、これに限らない。例えば、既設の建物1の構成部材や設備等をトラベリング構台61、地組構台、及び作業用足場として利用できる場合には、準備工程及び撤去工程を省略してもよい。
また、上記実施の形態では、トラベリング工程において、2回目以降のトラベリング工程に対応する梁材セットSの梁材30の数を、1回目のトラベリング工程に対応する梁材セットSの梁材30の数と同一又はそれよりも少なく設定していると説明したが、これに限らず、例えば、1回目のトラベリング工程に対応する梁材セットSの梁材30の数よりも多く設定してもよい。
(付記)
付記1の屋根架構の構築方法は、建物の屋根架構を構築するための構築方法であって、前記屋根架構を構成する梁材を複数組み合わせたセットであり、且つ所定量以上の剛性を有するセットを形成する形成工程と、前記形成工程の後に、前記セットの端部のみを支持した状態で当該セットを所定位置までトラベリングして設置するトラベリング工程と、を含む。
付記2の屋根架構の構築方法は、付記1に記載の屋根架構の構築方法において、前記梁材は、一対の上弦材及び一対の下弦材を有するトラス梁であって、前記一対の上弦材の相互間又は前記一対の下弦材の相互間において水平に設けられたブレース材であって、前記一対の上弦材同士又は前記一対の下弦材同士を接続するブレース材を備える。
付記3の屋根架構の構築方法は、付記1又は2に記載の屋根架構の構築方法において、複数の前記セットに対して前記トラベリング工程をそれぞれ行う場合に、2回目以降の前記トラベリング工程に対応する前記セットの前記梁材の数を、1回目の前記トラベリング工程に対応する前記セットの前記梁材の数と同一又はそれよりも少なくする。
(付記の効果)
付記1に記載の屋根架構の構築方法によれば、屋根架構を構成する梁材を複数組み合わせたセットであり、且つ所定量以上の剛性を有するセットを形成する形成工程と、形成工程の後に、セットの端部のみを支持した状態で当該セットを所定位置までトラベリングして設置するトラベリング工程と、を含むので、単体の梁材をトラベリングして設置する場合に比べて、トラベリング工程時(具体的には、セットのトラベリング時又は設置時)に生じるセットの各梁材の水平変位を抑制でき、屋根架構を正確に構築することが可能となる。
付記2に記載の屋根架構の構築方法によれば、梁材が、一対の上弦材の相互間又は一対の下弦材の相互間において水平に設けられたブレース材であって、一対の上弦材同士又は一対の下弦材同士を接続するブレース材を備えるので、ブレース材を設けない場合に比べて梁材の水平変位を抑制でき、梁材を正確に設置することが可能となる。
付記3に記載の屋根架構の構築方法によれば、複数のセットに対してトラベリング工程をそれぞれ行う場合に、2回目以降のトラベリング工程に対応するセットの梁材の数を、1回目のトラベリング工程に対応するセットの梁材の数と同一又はそれよりも少なくするので、2回目以降のトラベリング工程では、トラベリング工程時に生じるセットの各梁材の水平変位を抑制しながら、トラベリング工程を迅速に行うことができ、屋根架構を正確且つ迅速に構築することが可能となる。
1 建物
10 屋根部
20 屋根架構
30 梁材
31 前側トラス部
31a 前側上弦材
31b 前側下弦材
31c 前側束材
31d 前側斜材
32 後側トラス部
32a 後側上弦材
32b 後側下弦材
32c 後側束材
32d 後側斜材
33 上側トラス部
33a 上側接続弦材
34 下側トラス部
34a 下側接続弦材
35 左側トラス部
35a 左側斜材
36 右側トラス部
36a 右側斜材
40 屋根パネル
50 支持部
51 前側柱部
54 右側柱部
55 補助梁部
57 右側レール部
61 トラベリング構台
70 クレーン
C 設置面
S 梁材セット

Claims (3)

  1. 建物の屋根架構を構築するための構築方法であって、
    前記屋根架構を構成する梁材を複数組み合わせたセットであり、且つ所定量以上の剛性を有するセットを形成する形成工程と、
    前記形成工程の後に、前記セットの端部のみを支持した状態で当該セットを所定位置までトラベリングし、その後前記セットを仮設支持体に支持させることなく、前記セットの各梁材と対応する前記建物の柱部と免震装置を介して接続することにより、前記セットを設置するトラベリング工程と、
    を含む屋根架構の構築方法。
  2. 前記梁材は、
    一対の上弦材及び一対の下弦材を有するトラス梁であって、
    前記一対の上弦材の相互間又は前記一対の下弦材の相互間において水平に設けられた接続弦材であって、前記一対の上弦材同士又は前記一対の下弦材同士を接続する接続弦材を備える、
    請求項1に記載の屋根架構の構築方法。
  3. 複数の前記セットに対して前記トラベリング工程をそれぞれ行う場合に、2回目以降の前記トラベリング工程に対応する前記セットの前記梁材の数を、1回目の前記トラベリング工程に対応する前記セットの前記梁材の数と同一又はそれよりも少なくする、
    請求項1又は2に記載の屋根架構の構築方法。
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