以下、本発明の導波管、導波管スロットアレーアンテナ、および直交二偏波導波管スロットアレーアンテナの好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における導波管を示す斜視図である。図2は、本発明の実施の形態1における導波管を示す断面図である。より具体的には、図2(a)は、図1における平面Aの断面図であり、図2(b)は、図1における平面Bの断面図であり、図2(c)は、図1における平面Cの断面図である。
図1および図2に示すように、本実施の形態1における導波管3は、互いに分割された上部材1および下部材2を備えて構成されている。ここで、上部材1および下部材2は、各々内面に導波路層を有するU字状として形成されている。図2(b)および図2(c)からも明らかなように、本実施の形態1における導波管3は、嵌合面8により上部材1と下部材2とが嵌合されて構成されている。その結果、嵌合面8と平行な方向に広壁面4が形成され、嵌合面8と垂直な方向に狭壁面5が形成される。すなわち、狭壁面5は、上部材1と下部材2とが嵌合することで形成される。導波管3は、断面が横長の矩形になっている。また、嵌合面8は、H面分割となっている。
上部材1および下部材2には、導波管3の内側に張り出すように、上部材1と下部材2とを嵌合させるための締結部6が各々一対設けられている。図1、図2(a)、および図2(c)の記載からも明らかなように、本実施の形態1における一対の締結部6は、全体が導波管3の内部に張り出すように、導波管3の狭壁面5に相対して設けられている。本実施の形態1では、上部材1の一対の締結部6には貫通穴が設けられ、下部材2の一対の締結部6にはねじ穴が設けられている。締結部6と止具を使用して上部材1と下部材2とを嵌合させることで、導波管3が形成される。
導波管3の長手方向、すなわち管軸方向において締結部6と等しい位置に、絞り部7が設けられている。ここで、等しい位置とは、導波管3の長手方向の一端部からの管軸方向における距離が等しい位置、あるいはほぼ等しい位置をいう。図1および図2(c)から明らかなように、本実施の形態1に係る絞り部7は、方形形状を有している。絞り部7は、一対の締結部6に渡って下部材2の狭壁面5間に設けられている。絞り部7の管軸方向の幅は、締結部6の幅より広くなっている。絞り部7は、下部材2から導波管3の広壁面4に対して垂直になるように、導波管3の内部へ管軸方向に対して垂直に突出して設けられている。すなわち、絞り部7は、導波管3の管路断面積を部分的に縮小させる縮小構造部として機能する。
次に、本実施の形態1における、絞り部7の動作について説明する。導波管3の内部に設けられた縮小構造部に相当する絞り部7は、アドミタンスで表されることが知られている。導波管3の狭壁面5から導波管3の内部へ突出するように設けられた締結部6により、導波管3の内部に磁気的エネルギーが蓄積される。その結果、アドミタンスの虚数部であるサセプタンスが負となる誘導性として動作し、高周波電流の管内波長が変動することが知られている。そのため、図1の締結部6により、高周波電流の反射特性が劣化し、通過位相が変動する。
本実施の形態1に示されているように、導波管3の広壁面4において導波管3の内部へ突出するように設けられた絞り部7は、導波管3の内部に電気的エネルギーを蓄積する働きをする。このため、絞り部7は、アドミタンスの虚数部であるサセプタンスが正となる容量性として動作する。この結果、絞り部7により締結部6のサセプタンスをキャンセルすることができ、高周波電流の反射特性および通過位相の変動を抑制することができる。
図3は、本発明の実施の形態1における導波管3の反射特性に関する周波数特性を示した図である。実線[1]は締結部6および絞り部7がない場合の周波数特性を、破線[2]は締結部6のみがある場合の周波数特性を、破線[3]は締結部6および絞り部7がある場合の周波数特性を示している。締結部6および絞り部7がない場合の周波数特性と締結部6のみがある場合の周波数特性とを比較すると、締結部6により反射波が発生し、高周波電流の反射特性が劣化していることがわかる。管軸方向において締結部6と等しい位置に絞り部7を設けることで、反射波が低減され、高周波電流の反射特性が改善されていることがわかる。
図4は、本発明の実施の形態1における導波管3の通過位相に関する周波数特性を示した図である。実線[1]は締結部6および絞り部7がない場合の周波数特性を、破線[2]は締結部6のみがある場合の周波数特性を、破線[3]は締結部6および絞り部7がある場合の周波数特性を示している。締結部6および絞り部7がない場合の周波数特性と締結部6のみがある場合の周波数特性とを比較すると、締結部6により管内波長が変動し、高周波電流の通過位相が変化していることがわかる。管軸方向において締結部6と等しい位置に絞り部7を設けることで、管内波長の変動が抑えられ、高周波電流の通過位相が改善されていることがわかる。
なお、図1では、縮小構造部に相当する絞り部7を下部材2に設けたが、絞り部7を上部材1に、導波管3の内部へ突出するように設けることも可能である。図5は、本発明の実施の形態1における導波管の変形例を示す斜視図であり、絞り部7を上部材に設けた場合を示した図である。図6は、本発明の実施の形態1における導波管の変形例を示す断面図である。より具体的には、図6(a)は、図5における平面Aの断面図であり、図6(b)は、図5における平面Bの断面図であり、図6(c)は、図5における平面Cの断面図である。図5、図6に示しように、縮小構造部に相当する絞り部7を上部材1に設けた場合にも、絞り部7は、容量性として動作するため、同様の効果が得られる。
また、図1では、締結部6の全体が導波管3の内部に張り出すように設けられ、導波管の外壁面は平坦であった。しかしながら、締結部6の一部を導波管3の内部に張り出すように設けた構造も考えられる。図7は、本発明の実施の形態1における導波管の別の変形例を示す斜視図であり、締結部6の一部を導波管3の内部に張り出すように設けた構造を示した図である。
図7に示す構造を備えることで、従来の導波管と比較して、導波管3の外部に張り出す部分が少なくなる。この結果、締結部6に起因した導波管3の内部への影響が少なくなるため、絞り部7を小さくすることができる。
以上のように、実施の形態1によれば、上部材および下部材から構成される導波管は、締結部および絞り部を有している。上部材と下部材との嵌合面は、H面分割であり、導波管広壁面に平行で、導波管狭壁面を分割する面となっている。締結部は、全体もしくは一部が導波管内へ張り出すように、導波管狭壁面に設けられている。絞り部は、管軸方向において締結部と等しい位置に設けられ、かつ、下部材もしくは上部材の導波管広壁面に対して垂直に、導波管の内部へ突出するように設けられている。
締結部に止具を使用して上部材と下部材とを嵌合させることで、本実施の形態1に係る導波管が形成される。ここで、締結部は、誘導性として動作するため、高周波電流の反射特性が劣化し、管内波長が変動することで通過位相が変動する。しかしながら、管軸方向において締結部と等しい位置に絞り部を設けることで、管内波長の変動が抑えられ、高周波電流の通過位相が改善される。
このような構造を構えることで、導波管外部に締結部の張り出しがなくなる、あるいは張り出しが少なくなる。このため、導波管を密に配列することが可能で、さらに軽量化につながる。その結果、導波管スロットアレーアンテナの放射導波管に適した導波管を実現できる。このような構造を備える導波管を、樹脂上に金属メッキ被膜が施された状態として加工した場合、縮小構造部に相当する絞り部が導波管の管壁に対して、梁と同様の働きをする。このため、管壁の内倒れを防止する効果も実現することができる。
実施の形態2.
図8は、本発明の実施の形態2における導波管を示す斜視図である。図9は、本発明の実施の形態2における導波管を示す断面図である。より具体的には、図9(a)は、図8における平面Aの断面図であり、図9(b)は、図8における平面Bの断面図であり、図9(c)は、図8における平面Cの断面図である。
図8および図9に示すように、本実施の形態2における導波管3は、互いに分割された上部材1および下部材2を備えて構成されている。上部材1および下部材2は、各々内面に導波路層を有している。図9(b)および図9(c)からも明らかなように、本実施の形態2における導波管3は、嵌合面8により上部材1と下部材2とが嵌合されて構成されている。その結果、嵌合面8と平行な方向に広壁面4が形成され、嵌合面8と垂直な方向に狭壁面5が形成される。すなわち、狭壁面5は、上部材1と下部材2とが嵌合することで形成される。導波管3は、断面が横長の矩形になっている。また、嵌合面8は、H面分割となっている。
上部材1および下部材2には、導波管3の内側に張り出すように、上部材1と下部材2とを嵌合させるための締結部6が各々一対設けられている。図8、図9(a)、および図9(c)の記載からも明らかなように、本実施の形態2における一対の締結部6は、全体が導波管3の内部に張り出すように、導波管3の狭壁面5に相対して設けられている。本実施の形態2では、上部材1の一対の締結部6には貫通穴が設けられ、下部材2の一対の締結部6にはねじ穴が設けられている。締結部6と止具を使用して上部材1と下部材2とを嵌合させることで、導波管3が形成される。
導波管3の広壁面4に対して垂直になるように、かつ、下部材2から導波管3の内部へ突出するように、リッジ9が設けられている。リッジ9は、導波管3の全長に渡って管軸方向と平行に配置されている。さらに、導波管3の管軸方向において締結部6と等しい位置のリッジ9上には、金属構造物10が設けられている。すなわち、金属構造物10は、導波管3の管路断面積を部分的に縮小させる縮小構造部として機能する。
次に、本実施の形態2における、金属構造物10の動作について説明する。導波管3の狭壁面5から導波管3の内部へ突出するように設けられた締結部6は、導波管3の内部に磁気的エネルギーを蓄積するため誘導性として動作する。その結果、高周波電流の管内波長が変動することが知られている。そのため、図8の締結部6により、高周波電流の反射特性が劣化し、通過位相が変動する。
本実施の形態2に示されているように、リッジ9上に設けられた金属構造物10は、リッジ9と、導波管3の広壁面4とに集中する電界に沿って設けられている。このため、金属構造物10は、電気エネルギーを蓄積し、容量性として動作する。従って、金属構造物10により締結部6のサセプタンスをキャンセルすることができ、高周波電流の反射特性および通過位相の変動を抑制することができる。
図10は、本発明の実施の形態2における導波管3の反射特性に関する周波数特性を示した図である。実線[1]は締結部6および金属構造物10がない場合の周波数特性を、破線[2]は締結部6のみがある場合の周波数特性を、破線[3]は締結部6および金属構造物10がある場合の周波数特性を示している。締結部6および金属構造物10がない場合の周波数特性と締結部6のみがある場合の周波数特性とを比較すると、締結部6により反射波が発生し、反射特性が劣化していることがわかる。管軸方向において締結部6と等しい位置に金属構造物10を設けることで、反射波が低減され、高周波電流の反射特性が改善されていることがわかる。
図11は、本発明の実施の形態2における導波管3の通過位相に関する周波数特性を示した図である。実線[1]は締結部6および金属構造物10がない場合の周波数特性を、破線[2]は締結部6のみがある場合の周波数特性を、破線[3]は締結部6および金属構造物10がある場合の周波数特性を示している。
締結部6および金属構造物10がない場合の周波数特性と締結部6のみがある場合の周波数特性とを比較すると、締結部6により管内波長が変動し、高周波電流の通過位相が変化していることがわかる。管軸方向において締結部6と等しい位置に金属構造物10を設けることで、管内波長の変動が抑えられ、高周波電流の通過位相が改善されていることがわかる。
なお、図8では、縮小構造部に相当する金属構造物10を下部材2側に設けたが、リッジ9および金属構造物10を上部材1側に設けることも可能であり、同様の効果が得られる。
また、図8では、締結部6の全体が導波管3の内部に張り出すように設けられ、導波管の外壁面は平坦であった。しかしながら、締結部6の一部を導波管3の内部に張り出すように設けた構造も考えられる。図12は、本発明の実施の形態2における導波管の変形例を示す斜視図であり、締結部6の一部を導波管3の内部に張り出すように設けた構造を示した図である。
図12に示す構造を備えることで、従来の導波管と比較して、導波管3の外部に張り出す部分が少なくなる。この結果、締結部6に起因した導波管3の内部への影響が少なくなるため、金属構造物10を小さくすることができる。
以上のように、本実施の形態2によれば、上部材および下部材から構成される導波管は、締結部、リッジ、および金属構造物を有している。上部材と下部材との嵌合面は、H面分割であり、導波管広壁面に平行で、導波管狭壁面を分割する面となっている。締結部は、全体もしくは一部が導波管の内部に張り出すように、導波管狭壁面に設けられている。
リッジは、導波管広壁面に対して垂直になるように、下部材から突出して設けられている。さらに、金属構造物は、管軸方向において締結部と等しい位置のリッジ上に設けられている。
締結部に止具を使用して上部材と下部材とを嵌合させることで、本実施の形態2に係る導波管が形成される。ここで、締結部は、誘導性として動作するため、高周波電流の反射特性が劣化し、管内波長が変動することで通過位相が変動する。しかしながら、管軸方向において締結部と等しい位置のリッジ上に金属構造物を設けることで、管内波長の変動が抑えられ、高周波電流の通過位相が改善される。
本実施の形態2ではリッジが設けられているため、先の実施の形態1の効果に加え、管幅を狭めることができる。この結果、先の実施の形態1の構造と比較して、導波管をさらに密に配列することが可能となる。
実施の形態3.
図13は、本発明の実施の形態3における導波管を示す斜視図である。図14は、本発明の実施の形態3における導波管を示す断面図である。より具体的には、図14(a)は、図13における平面Aの断面図であり、図14(b)は、図13における平面Bの断面図であり、図14(c)は、図13における平面Cの断面図である。
図13および図14に示すように、本実施の形態3における導波管3は、互いに分割された上部材1および下部材2を備えて構成されている。上部材1および下部材2は、各々内面に導波路層を有している。図14(b)および図14(c)からも明らかなように、本実施の形態3における導波管3は、嵌合面8により上部材1と下部材2とが嵌合されて構成される。その結果、嵌合面8と平行な方向に狭壁面5が形成され、嵌合面8と垂直な方向に広壁面4が形成される。すなわち、広壁面4は、上部材1と下部材2とが嵌合することで形成される。導波管3は、断面が縦長の矩形になっている。また、嵌合面8は、E面分割となっている。
上部材1および下部材2には、導波管3の内側に張り出すように、上部材1と下部材2とを嵌合させるための締結部6が各々一対設けられている。図13、図14(a)、および図14(c)の記載からも明らかなように、本実施の形態3における一対の締結部6は、全体が導波管3の内部に張り出すように、導波管3の広壁面4に相対して設けられている。本実施の形態3では、上部材1の一対の締結部6には貫通穴が設けられ、下部材2の一対の締結部6にはねじ穴が設けられている。締結部6と止具を使用して上部材1と下部材2を嵌合させることで、導波管3が形成される。
導波管3の管軸方向において締結部6と等しい位置に、絞り部7が設けられている。図13および図14(c)から明らかなように、本実施の形態3に係る絞り部7は、方形形状を有している。絞り部7は、一対の締結部6に渡って下部材2の広壁面4間に設けられている。絞り部7の管軸方向の幅は、締結部6の幅と同一、あるいはほぼ同一になっている。絞り部7は、下部材2から導波管狭壁面5に対して垂直になるように突出するように設けられている。すなわち、絞り部7は、導波管3の管路断面積を部分的に縮小させる縮小構造部として機能する。
次に、本実施の形態3における、絞り部7の動作について説明する。導波管3の広壁面4から導波管3の内部へ突出するように設けられた締結部6は、導波管3の内部に磁気的エネルギーを蓄積し、容量性として動作することが知られている。そのため、図13の締結部6により、高周波電流の反射特性が劣化する。
一方、本実施の形態3に示されているように導波管3の狭壁面5において、導波管3の内部に突出するように設けられた絞り部7は、誘導性の絞りとして動作する。そのため、絞り部7により締結部6のサセプタンスをキャンセルすることができ、高周波電流の反射特性および通過位相の変動を抑制することができる。
なお、図13では、縮小構造部に相当する絞り部7を下部材2に設けたが、絞り部7を上部材1に、導波管3の内部へ突出するように設けることも可能である。図15は、本発明の実施の形態3における導波管の変形例を示す斜視図であり、絞り部7を上部材に設けた場合を示した図である。図16は、本発明の実施の形態3における導波管の変形例を示す断面図である。より具体的には、図16(a)は、図15における平面Aの断面図であり、図16(b)は、図15における平面Bの断面図であり、図16(c)は、図15における平面Cの断面図である。図15、図16に示すように、縮小構造部に相当する絞り部7を上部材1に設けた場合にも、絞り部7は、容量性として動作するため、絞り部7を下部材2に設けた場合と同様の効果が得られる。
また、図13および図15では、締結部6の全体が導波管3の内部に張り出すように設けられ、導波管の外壁面は平坦であった。しかしながら、締結部6の一部を導波管3の内部に張り出すように設けた構造も考えられる。図17は、本発明の実施の形態3における導波管の別の変形例を示す斜視図であり、締結部6の一部を導波管3の内部に張り出すように設けた構造を示した図である。
図17に示す構造を備えることで、従来の導波管と比較して、導波管3の外部に張り出す部分が少なくなる。この結果、締結部6に起因した導波管3の内部への影響が少なくなるため、絞り部7を小さくすることができる。
以上のように、本実施の形態3によれば、上部材および下部材から構成される導波管は、締結部および絞り部を有している。上部材と下部材との嵌合面は、E面分割であり、導波管狭壁面に平行で、導波管広壁面を分割する面となっている。締結部は、全体もしくは一部が導波管の内部に張り出すように、導波管広壁面に設けられている。絞り部は、管軸方向において締結部と等しい位置に設けられ、かつ、下部材もしくは上部材の導波管狭壁面に対して垂直に、導波管の内部へ突出するように設けられている。
締結部に止具を使用して上部材と下部材とを嵌合させることで、本実施の形態3に係る導波管が形成される。ここで、締結部は、容量性の絞りとして動作し、高周波電流の反射特性が劣化し、管内波長が変動することで通過位相が変動する。しかしながら、管軸方向において締結部と等しい位置に絞り部を設けることで、管内波長の変動が抑えられ、高周波電流の通過位相が改善される。
このような構造を構えることで、実施の形態1および実施の形態2とは異なる嵌合面を有する導波管により、実施の形態1および実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
実施の形態4.
図18は、本発明の実施の形態4における導波管スロットアレーアンテナを示す斜視図である。図19は、本発明の実施の形態4における導波管スロットアレーアンテナを示す断面図である。より具体的には、図19(a)は、図18における平面Aの断面図であり、図19(b)は、図18における平面Bの断面図であり、図19(c)は、図18における平面Cの断面図である。
図18および図19に示すように、本実施の形態4における導波管スロットアレーアンテナ12は、互いに分割された上部材1および下部材2を備え、かつ、上部材1にスロット11が形成されることで構成されている。上部材1および下部材2は、各々内面に導波路層を有している。図19(b)および図19(c)からも明らかなように、本実施の形態4における導波管スロットアレーアンテナ12は、嵌合面8により上部材1と下部材2とが嵌合されて構成される。その結果、嵌合面8と平行な方向に広壁面4が形成され、嵌合面8と垂直な方向に狭壁面5が形成される。すなわち、狭壁面5は、上部材1と下部材2とが嵌合することで形成される。導波管3は、断面が横長の矩形になっている。また、嵌合面8は、H面分割となっている。
上部材1および下部材2には、導波管スロットアレーアンテナ12の内側に張り出すように、上部材1と下部材2とを嵌合させるための締結部6が各々一対設けられている。図18、図19(a)、および図19(c)の記載からも明らかなように、本実施の形態4における一対の締結部6は、全体が導波管スロットアレーアンテナ12の内部に張り出すように、導波管スロットアレーアンテナ12の狭壁面5に相対して設けられている。本実施の形態4では、上部材1の一対の締結部6には貫通穴が設けられ、下部材2の一対の締結部6にはねじ穴が設けられている。締結部6と止具を使用して、スロット11を有する上部材1と下部材2とを嵌合させることで、導波管スロットアレーアンテナ12が形成される。
導波管の広壁面4に対して垂直になるように、かつ、下部材2から導波管スロットアレーアンテナ12の内部へ突出するように、リッジ9が設けられている。リッジ9は、導波管3の全長に渡って管軸方向と平行に配置されている。さらに、導波管3の管軸方向において締結部6と等しい位置のリッジ9上には、金属構造物10が設けられている。すなわち、リッジ上に設けられた金属構造物10は、管路断面積を部分的に縮小させる縮小構造部として機能する。
さらに、導波管スロットアレーアンテナ12を構成する上部材1の広壁面4には、第1スロットに相当するスロット11が複数個設けられている。図18では、スロット11が2個設けられている場合を例示している。スロット11は、図18に示すように、1/2管内波長ごとに配置されている。スロット11は、広壁面4における管軸方向の中心線からオフセットさせて、かつ中心線に対して互い違いに配置されている。すなわち、図18および図19に示す導波管スロットアレーアンテナ12は、図8および図9に示した導波管3に対して、スロット11をさらに備えた構成となっている。
次に、本実施の形態4における導波管スロットアレーアンテナ12の動作原理について説明する。導波管の管壁にスロット11を設け、電磁波を漏洩させて、導波管スロットアレーアンテナ12を構成する場合、スロット11に遮られる電流が生ずるように、スロット11を配置する必要がある。そのため、導波管の広壁面4にスロット11を設ける場合には、広壁面4における管軸方向の中心線からスロット11をオフセットさせて配列させることが一般的である。また、各スロット11を同位相で励振するために、1/2管内波長ごとに互い違いにスロット11を配置する必要がある。
導波管の狭壁面5から導波管の内部へ突出するように設けられた締結部6は、磁気的エネルギーを蓄積するため、絞りとして動作する。その結果、高周波電流の管内波長が変動することが知られている。そのため、図18の締結部6により、高周波電流の反射特性が劣化し、通過位相が変動する。さらに、スロット11上の励振分布が乱れ、高周波電流の放射パターンに影響を与える。
本実施の形態4に示されているように、リッジ9上に設けた金属構造物10は、リッジ9と導波管の広壁面4に集中する電界に沿って設けられている。このため、金属構造物10は、電気エネルギーを蓄積し、容量性として動作する。従って、金属構造物10により締結部6のサセプタンスをキャンセルすることができ、高周波電流の反射特性の劣化が抑制され、かつ、通過位相の変動による励振分布の劣化が抑制される。
図20は、本発明の実施の形態4における導波管スロットアレーアンテナ12の反射特性に関する周波数特性を示した図である。実線[1]は締結部6および金属構造物10がない場合の周波数特性を、破線[2]は締結部6のみがある場合の周波数特性を、破線[3]は締結部6および金属構造物10がある場合の周波数特性を示している。締結部6および金属構造物10がない場合の周波数特性と締結部6のみがある場合の周波数特性とを比較すると、締結部6により反射波が発生し、高周波電流の反射特性が劣化していることがわかる。管軸方向において締結部6と等しい位置に金属構造物10を設けることで、反射波が低減され、高周波電流の反射特性が改善されていることがわかる。
図21は、本発明の実施の形態4における導波管スロットアレーアンテナ12の励振分布を示した図である。より具体的には、図21(a)は、振幅を示しており、図21(b)は、位相を示している。また、図21(a)および図21(b)において、実線[1]は締結部6および金属構造物10がない場合の励振分布を、破線[2]は締結部6のみがある場合の励振分布を、破線[3]は締結部6および金属構造物10がある場合の励振分布を示している。
締結部6および金属構造物10がない場合の励振分布と締結部6のみがある場合の励振分布とを比較すると、締結部6により管内波長が変動し、励振分布が変化していることがわかる。管軸方向において締結部6と等しい位置に金属構造物10を設けることで、管内波長の変動が抑えられ、励振分布が改善されていることがわかる。
図22は、本発明の実施の形態4における、図18とは異なる構成を備えた導波管スロットアレーアンテナを示す斜視図である。図18では、下部材2側に、リッジ9および金属構造物10を設ける場合について説明した。これに対して、図22では、リッジ9および金属構造物10を設けず、下部材2の管軸方向において締結部6と等しい位置に、絞り部7を設けることで、導波管スロットアレーアンテナ12を構成している。すなわち、図22に示す導波管スロットアレーアンテナ12は、図1に示した導波管3に対して、スロット11をさらに備えた構成となっている。
このように、縮小構造部として、金属構造物10の代わりに絞り部7を設けることによっても、図18に示した導波管スロットアレーアンテナ12と同様の効果を得ることができる。
また、図18および図22では、締結部6の全体が導波管の内部に張り出すように設けられ、導波管の外壁面は平坦であった。しかしながら、締結部6の一部を導波管の内部に張り出すように設けた構造も考えられる。図23は、本発明の実施の形態4における導波管スロットアレーアンテナ12の別の変形例を示す斜視図であり、締結部6の一部を導波管の内部に張り出すように設けた構造を示した図である。
図23に示す構造を備えることで、従来の導波管スロットアレーアンテナと比較して、導波管の外部に張り出す部分が少なくなる。この結果、締結部6に起因した導波管の内部への影響が少なくなるため、絞り部7を小さくすることができる。
以上のように、本実施の形態4によれば、本発明に係る導波管の広壁面に対して、スロットを形成することで、導波管スロットアレーアンテナが構成されている。スロットは、導波管広壁面において、管軸方向に対して平行になるよう、上部材に設けられている。上部材と下部材との嵌合面は、H面分割であり、導波管広壁面に平行で、導波管狭壁面を分割する面となっている。締結部は、全体もしくは一部が導波管の内部に張り出すように、導波管狭壁面に設けられている。
リッジは、導波管広壁面に対して垂直になるように、下部材から突出して設けられている。さらに、金属構造物は、管軸方向において締結部と等しい位置のリッジ上に設けられている。
締結部に止具を使用して上部材と下部材とを嵌合させることで、本実施の形態4に係る導波管スロットアレーアンテナが形成される。ここで、締結部は、誘導性として動作するため、高周波電流の反射特性が劣化し、管内波長が変動することで通過位相が変動する。しかしながら、管軸方向において締結部と等しい位置のリッジ上に金属構造物を設けることで、管内波長の変動が抑えられ、高周波電流の通過位相が改善される。
このような構造を構えることで、本発明に係る導波管を、放射導波管として使用することができる。さらに、通過位相の変動が抑制されることで、スロット上の励振分布が改善され、締結部による励振分布の劣化が抑圧される。そして、励振分布の改善に伴い、締結部による散乱がなくなることで、放射パターンを改善することが可能な導波管スロットアレーアンテナを実現することが可能となる。
実施の形態5.
先の実施の形態4では、導波管の広壁面4に対してスロット11を設けた導波管スロットアレーアンテナについて説明した。これに対して,本実施の形態5では、導波管の狭壁面5に対してスロット11を設けた導波管スロットアレーアンテナについて説明する。
図24は、本発明の実施の形態5における導波管スロットアレーアンテナを示す斜視図である。図25は、本発明の実施の形態5における導波管スロットアレーアンテナを示す断面図である。より具体的には、図25(a)は、図24における平面Aの断面図であり、図25(b)は、図24における平面Bの断面図であり、図25(c)は、図24における平面Cの断面図である。
図24および図25に示すように、本実施の形態5おける導波管スロットアレーアンテナ12は、互いに分割された上部材1および下部材2を備え、かつ、上部材1にスロット11が形成されることで構成されている。上部材1および下部材2は、各々内面に導波路層を有している。図25(b)および図25(c)からも明らかなように、本実施の形態5における導波管スロットアレーアンテナ12は、嵌合面8により上部材1と下部材2とが嵌合されて構成される。その結果、嵌合面8と平行な方向に狭壁面5が形成され、嵌合面8と垂直な方向に広壁面4が形成される。すなわち、広壁面4は、上部材1と下部材2とが嵌合することで形成される。導波管3は、断面が縦長の矩形になっている。また、嵌合面8は、E面分割となっている。
上部材1および下部材2には、導波管スロットアレーアンテナ12の内側に張り出すように、上部材1と下部材2とを嵌合させるための締結部6が各々一対設けられている。図24、図25(a)、および図25(c)の記載からも明らかなように、本実施の形態5における一対の締結部6は、全体が導波管スロットアレーアンテナ12の内部に張り出すように、導波管スロットアレーアンテナ12の広壁面4に相対して設けられている。本実施の形態5では、上部材1の一対の締結部6には貫通穴が設けられ、下部材2の一対の締結部6にはねじ穴が設けられている。締結部6と止具を使用して、スロット11を有する上部材1と下部材2とを嵌合させることで、導波管スロットアレーアンテナ12が形成される。
導波管3の管軸方向において締結部6と等しい位置に、絞り部7が設けられている。図24および図25(c)から明らかなように、本実施の形態5に係る絞り部7は、方形形状を有している。絞り部7は、一対の締結部6に渡って下部材2の広壁面4間に設けられている。絞り部7の管軸方向の幅は、締結部6の幅と同一、あるいはほぼ同一になっている。絞り部7は、下部材2から導波管狭壁面5に対して垂直になるように突出するように設けられている。すなわち、絞り部7は、導波管3の管路断面積を部分的に縮小させる縮小構造部として機能する。
さらに、導波管スロットアレーアンテナ12を構成する上部材1の狭壁面5には、第2スロットに相当するスロット11が複数個設けられている。図24では、スロット11が2個設けられている場合を例示している。スロット11は、図24に示すように、1/2管内波長ごとに配置されている。スロット11は、広壁面4における管軸方向に対して傾斜角を有するように互い違いに配置されている。すなわち、図24および図25に示す導波管スロットアレーアンテナ12は、図13および図14に示した導波管3に対して、スロット11をさらに備えた構成となっている。
次に、本実施の形態5における導波管スロットアレーアンテナ12の動作原理について説明する。導波管の管壁にスロット11を設け、電磁波を漏洩させて、導波管スロットアレーアンテナ12を構成する場合、スロット11に遮られる電流が生ずるように、スロット11を配置する必要がある。そのため、導波管の狭壁面5にスロット11を設ける場合には、管軸方向に対してある傾斜角を有するようにスロット11を斜めに配置させることが一般的である。また、各スロット11を同位相で励振するために、1/2管内波長ごとに互い違いにスロット11を配置する必要がある。
導波管の広壁面4から導波管の内部へ突出するように設けられた締結部6は、導波管の内部に電気的エネルギーを蓄積するため、容量性の絞りとして動作する。その結果、高周波電流の管内波長が変動することが知られている。そのため、図24の締結部6により、高周波電流の反射特性が劣化し、通過位相が変動する。さらに、スロット11上の励振分布が乱れ、放射パターンに影響を与える。
本実施の形態5に示されているように、導波管狭壁面5において導波管内部に突出するように設けられた絞り部7は、磁気的エネルギーを蓄積し、誘導性の絞りとして動作する。そのため、絞り部7により締結部6のサセプタンスをキャンセルすることができ、高周波電流の反射特性の劣化が抑制され、かつ、通過位相の変動による励振分布の劣化が抑制される。
図26は、本発明の実施の形態5における導波管スロットアレーアンテナ12の反射特性に関する周波数特性を示した図である。実線[1]は締結部6および絞り部7がない場合の周波数特性を、破線[2]は締結部6のみがある場合の周波数特性を、破線[3]は締結部6および絞り部7がある場合の周波数特性を示している。締結部6および絞り部7がない場合の周波数特性と締結部6のみがある場合の周波数特性とを比較すると、締結部6により反射波が発生し、高周波電流の反射特性が劣化していることがわかる。管軸方向において締結部6と等しい位置に絞り部7を設けることで、反射波が低減され、高周波電流の反射特性が改善されていることがわかる。
図27は、本発明の実施の形態5における導波管スロットアレーアンテナ12の励振分布を示した図である。より具体的には、図27(a)は、振幅を示しており、図27(b)は、位相を示している。また、図27(a)および図27(b)において、実線[1]は締結部6および絞り部7がない場合の励振分布を、破線[2]は締結部6のみがある場合の励振分布を、破線[3]は締結部6および絞り部7がある場合の励振分布を示している。
締結部6および絞り部7がない場合の励振分布と締結部6のみがある場合の励振分布とを比較すると、締結部6により管内波長が変動し、励振分布が変化していることがわかる。管軸方向において締結部6と等しい位置に絞り部7を設けることで、管内波長の変動が抑えられ、励振分布が改善されていることがわかる。
なお、図24では、縮小構造部に相当する絞り部7を下部材2に設けたが、絞り部7を上部材1に、導波管の内部へ突出するように設けることで、導波管スロットアレーアンテナ12を構成することも可能である。図28は、本発明の実施の形態5における導波管スロットアレーアンテナの変形例を示す斜視図であり、絞り部7を上部材1に設けた場合を示した図である。
図29は、本発明の実施の形態5における導波管スロットアレーアンテナの変形例を示す断面図である。より具体的には、図29(a)は、図28における平面Aの断面図であり、図29(b)は、図28における平面Bの断面図であり、図29(c)は、図28における平面Cの断面図である。図28、図29に示すように、縮小構造部に相当する絞り部7を上部材1に設けた場合にも、絞り部7は、容量性として動作するため、絞り部7を下部材2に設けた場合と同様の効果が得られる。
また、図24から図29では、締結部6全体を導波管内部に張り出させたが、締結部6の一部だけを導波管内部に張り出させる構造とすることも可能である。図30は、本発明の実施の形態5における導波管スロットアレーアンテナの別の変形例を示す斜視図であり、締結部6の一部を導波管内部に張り出すように設けた構造を示した図である。
以上のように、本実施の形態5によれば、本発明に係る導波管の狭壁面に対して、スロットを形成することで、導波管スロットアレーアンテナが構成されている。スロットは、導波管狭壁面において、管軸方向に対して斜めになるよう、上部材に設けられている。上部材と下部材との嵌合面は、E面分割であり、導波管狭壁面に平行で、導波管広壁面を分割する面となっている。締結部は、全体もしくは一部が導波管の内部に張り出すように、導波管広壁面に設けられている。
絞り部は、管軸方向において締結部と等しい位置に、導波管狭壁面から突出するように設けられている。締結部に止具を使用して上部材と下部材とを嵌合させることで、本実施の形態5に係る導波管スロットアレーアンテナが形成される。ここで、締結部は、容量性の絞りとして動作するため、高周波電流の反射特性が劣化し、管内波長が変動することで通過位相が変動する。しかしながら、管軸方向において締結部と等しい位置に絞り部を設けることで、管内波長の変動が抑えられ、高周波電流の通過位相が改善される。
このような構造を構えることで、本発明に係る導波管を、放射導波管として使用することができる。さらに、通過位相の変動が抑制されることで、スロット上の励振分布が改善され、締結部による励振分布の劣化が抑圧される。そして、励振分布の改善に伴い、締結部による散乱がなくなることで、放射パターンを改善することが可能な導波管スロットアレーアンテナを実現することが可能となる。さらに、本実施の形態5によれば、先の実施の形態4とは異なる偏波を有する導波管スロットアレーアンテナを構成することが可能となる。
実施の形態6.
本実施の形態6では、実施の形態4に係る導波管スロットアレーアンテナと、実施の形態5に係る導波管スロットアレーアンテナとを組合せることで構成された直交二偏波導波管スロットアレーアンテナについて説明する。
図31は、本発明の実施の形態6における導波管スロットアレーアンテナを示す斜視図である。図32は、本発明の実施の形態6における導波管スロットアレーアンテナを示す断面図である。より具体的には、図32(a)は、図31における平面Aの断面図であり、図32(b)は、図31における平面Bの断面図であり、図32(c)は、図31における平面Cの断面図である。
図31および図32に示すように、本実施の形態6おける直交二偏波導波管スロットアレーアンテナ16は、互いに分割された上部材1および下部材2を備え、かつ、上部材1に垂直偏波スロット13aおよび水平偏波スロット13bが形成されることで構成されている。
より具体的には、先の実施の形態4で説明した導波管スロットアレーアンテナと、先の実施の形態5で説明した導波管スロットアレーアンテナとが隣接配置された状態として、一体化して形成することで、本実施の形態6に係る直交二偏波導波管スロットアレーアンテナ16が構成されている。すなわち、実施の形態4で説明したスロット11が、垂直偏波スロット13aとして機能し、実施の形態5で説明したスロット11が、水平偏波スロット13bとして機能することで、本実施の形態6に係る直交二偏波導波管スロットアレーアンテナ16が構成されている。
換言すると、第1スロットに相当する垂直偏波スロット13aにより漏洩される電磁波の偏波と、第2スロットに相当する水平偏波スロット13bにより漏洩される電磁波の偏波とが互いに直交することとなる。
図31に示したように、下部材2は、垂直偏波用放射導波管14と水平偏波用放射導波管15とにより構成されている。垂直偏波用放射導波管14は、導波管広壁面4に対して垂直になるように、下部材2からリッジ9が導波管内部に向けて突出している。リッジ上部には、管軸方向において締結部6と等しい位置に、金属構造物10が設けられている。一方、水平偏波用放射導波管15は、導波管狭壁面5に対して垂直になるように、下部材2から絞り部7が導波管内部に向けて突出している。
図33は、本発明の実施の形態6における直交二偏波導波管スロットアレーアンテナ16に関して、目標サイドローブレベルを-32dBとして設計した場合の放射パターンを示す図である。図33では、締結部6を導波管内部に張り出させた場合の放射パターンを実線で示し、締結部6を導波管外部に設けた場合の放射パターンを実線に黒丸を付して示している。締結部6を導波管外部に設けた場合には、サイドローブレベルが劣化して、-32dB以上となっている。これに対して、本実施の形態6の構造を備える直交二偏波導波管スロットアレーアンテナ16では、サイドローブレベルが-32dB以下となっており、サイドローブレベルの劣化が抑制されている。
また、図31および図32では、締結部6全体を導波管内部に張り出させたが、締結部6の一部だけを導波管内部に張り出させる構造とすることも可能である。図34は、本発明の実施の形態6に係る直交二偏波導波管スロットアレーアンテナの変形例を示す斜視図であり、締結部6の一部を導波管内部に張り出すように設けた構造を示した図である。
以上のように、実施の形態6によれば、導波管広壁面に垂直偏波スロットを設けた導波管スロットアレーアンテナと、導波管狭壁面に水平偏波スロットを設けた導波管スロットアレーアンテナとを一体に組み合わせた構造を有している。このような構造を構えることで、直交二偏波導波管スロットアレーアンテナを実現できる。また、締結部を導波管の内部に張り出させることで、締結部による散乱を抑圧でき、サイドローブ特性を改善した直交二偏波導波管スロットアレーアンテナを実現できる。