JP7160227B2 - 含フッ素共重合体組成物および架橋ゴム物品 - Google Patents
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Description
このような架橋ゴム物品を得るために使用する含フッ素共重合体組成物として、特許文献1には、フッ化ビニリデンおよびこれと共重合可能な少なくとも1種の他のエチレン性不飽和単量体とを共重合して得られるフッ素ゴムと、有機過酸化物と、2価の金属水酸化物および2価の金属酸化物から選ばれる少なくとも1種と、有機リン化合物とを含むフッ素ゴム組成物が開示されている。
また、架橋ゴム物品に求められる他の性能としては、圧縮後に割れないことが挙げられる。
[1] ニトリル基を有する単位およびテトラフルオロエチレンに基づく単位を有する含フッ素共重合体(A)と、カルボニル基を有する基、ヒドロキシ基、エポキシ基およびイソシアネート基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有する単位およびテトラフルオロエチレンに基づく単位を有する含フッ素共重合体(B)と、架橋剤と、を含む、含フッ素共重合体組成物。
[2] 前記含フッ素共重合体(A)が、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位をさらに有する、[1]の含フッ素共重合体組成物。
[3] 前記含フッ素共重合体(A)が、パーフルオロポリマーである、[1]または[2]の含フッ素共重合体組成物。
[4] 前記含フッ素共重合体(B)が、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位をさらに有する、[1]~[3]のいずれかの含フッ素共重合体組成物。
[6] 前記含フッ素共重合体(B)の含有量が、前記含フッ素共重合体(A)の100質量部に対して、30質量部以下である、[1]~[5]のいずれかの含フッ素共重合体組成物。
[7] 前記含フッ素共重合体(B)の含有量が、前記含フッ素共重合体(A)の100質量部に対して、2質量部以上である、[1]~[6]のいずれかの含フッ素共重合体組成物。
[8] 前記架橋剤が、2個以上のアミノ基を有する化合物である、[1]~[7]のいずれかの含フッ素共重合体組成物。
[9] 前記架橋剤の含有量が、含フッ素共重合体(A)の100質量部に対して、0.3~10質量部である、[1]~[8]のいずれかの含フッ素共重合体組成物。
[11] 前記リン化合物の融点が35℃以下である、[10]の含フッ素共重合体組成物。
[12] 前記リン化合物がトリアルキルホスフィンまたはトリアルキルホスフィンオキシドである、[10]または[11]の含フッ素共重合体組成物。
[13] 前記リン化合物の含有量が、前記含フッ素共重合体(A)の100質量部に対して、0.20質量部以上である、[10]~[12]のいずれかの含フッ素共重合体組成物。
[14] 前記リン化合物の含有量が、前記含フッ素共重合体(A)の100質量部に対して、5質量部以下である、[10]~[13]のいずれかの含フッ素共重合体組成物。
[15] 前記[10]~[14]のいずれかの含フッ素共重合体組成物中の含フッ素共重合体(A)を架橋してなる、架橋ゴム物品。
「単位」とは、単量体が重合して直接形成された、上記単量体1分子に由来する原子団と、上記原子団の一部を化学変換して得られる原子団との総称である。「単量体に基づく単位」は、以下、単に「単位」ともいう。
「ゴム」とは、JIS K 6200:2008により定義される性質を示すゴムを意味し、「樹脂」とは区別される。
「融点」とは、示差走査熱量測定(DSC)法で測定した融解ピークの最大値に対応する温度を意味する。
「沸点」とは、平衡還流沸点試験方法、具体的には、JIS K2233:2017の8.1に従って測定された値である。沸点の後に圧力が記載されている場合、記載された沸点はその圧力下で測定された値である。特記のない場合は、上述のJIS K2233:2017の8.1の方法により測定された値を、760mmHgにおける沸点に換算した値である。
(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートの総称であり、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイルおよびメタクリロイルの総称である。
本発明の含フッ素共重合体組成物(以下、「本組成物」ともいう。)は、ニトリル基を有する単位およびテトラフルオロエチレンに基づく単位を有する含フッ素共重合体(A)(以下、「共重合体(A)」ともいう。)と、カルボニル基を有する基、ヒドロキシ基、エポキシ基およびイソシアネート基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有する単位およびテトラフルオロエチレンに基づく単位を有する含フッ素共重合体(B)(以下、「共重合体(B)」ともいう。)と、架橋剤と、を含む。
本組成物を用いて得られた架橋ゴム物品は、高温下での圧縮永久歪(例えば、架橋ゴム物品を300℃で70時間保存した後に圧縮永久歪試験を実施した際の圧縮永久歪率)が小さく、かつ、圧縮後に割れが生じない。
この理由の詳細は明らかになっていないが、以下の理由によると推測される。圧縮後の割れは、組成物中の2つの含フッ素共重合体における界面で発生すると考えられる。本組成物を用いて得られた架橋ゴム物品において、カルボニル基を有する基、ヒドロキシ基、エポキシ基およびイソシアネート基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有する単位を有する共重合体(B)を使用することにより、共重合体(B)と共重合体(A)との界面に化学結合が形成され、架橋ゴム物品の割れが生じにくくなると考えられる。また、共重合体(A)と共重合体(B)との化学結合の作用によって、高温下での圧縮永久歪を小さくできたと考えられる。
共重合体(A)は、ニトリル基を有する単位およびテトラフルオロエチレン(以下、「TFE」ともいう。)に基づく単位を有するポリマーである。共重合体(A)そのものは伸ばすと完全には元に戻らなくなるが、架橋によって元に戻る性質が強くなる、すなわち、ゴムの性質を示す。
共重合体(A)は、本発明の効果がより優れる点から、さらにパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(以下、「PAVE」ともいう。)に基づく単位を有することが好ましい。
CR11R12=CR13-R14-CN (1)
式(1)中、R11、R12およびR13はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子またはメチル基を示し、R14は、2価の炭素数1~10のパーフルオロ炭化水素基、または該パーフルオロ炭化水素基の末端もしくは炭素-炭素結合間にエーテル性酸素原子を有する基を示す。
R14は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、直鎖状または分岐鎖状であるのが好ましい。R14の炭素数は、2~8が好ましく、3~7がより好ましく、3~6がさらに好ましく、3~5が特に好ましい。
R14は、エーテル性酸素原子を有していても、有していなくてもよいが、ゴム物性がより優れる点から、エーテル性酸素原子を有しているのが好ましい。
R14におけるエーテル性酸素原子の数は1~3が好ましく、1または2が特に好ましい。
PAVEは、重合反応性およびゴム物性に優れる点から、式(2)で表される単量体が好ましい。
CF2=CF-O-Rf2 (2)
式(2)中、Rf2は、炭素数1~10のパーフルオロアルキル基を示す。Rf2の炭素数は、重合反応性がより優れる点から、1~8が好ましく、1~6がより好ましく、1~5がさらに好ましく、1~3が特に好ましい。
パーフルオロアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
重合性不飽和結合の具体例としては、炭素原子-炭素原子の二重結合(C=C)、炭素原子-炭素原子の三重結合(C≡C)が挙げられる。
DVにおける重合性不飽和結合の数は、重合反応性がより優れる、2~6個が好ましく、2または3個がより好ましく、2個が特に好ましい。
DVは、架橋ゴム物品の高温下での圧縮永久歪がより小さくなる点から、さらにフッ素原子を有するのが好ましい。
(CR31R32=CR33)a3R34 (3)
式(3)中、R31、R32およびR33はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示し、a3は2~6の整数を示し、R34は、a3価の炭素数1~10のパーフルオロ炭化水素基、または該パーフルオロ炭化水素基の末端もしくは炭素-炭素結合間にエーテル性酸素原子を有する基を示す。複数のR31、複数のR32および複数のR33はそれぞれ、互いに同一であっても異なっていてもよく、互いに同一であるのが特に好ましい。
a3は2または3が好ましく、2が特に好ましい。
R34は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、直鎖状または分岐鎖状であるのが好ましく、直鎖状であるのが特に好ましい。R34の炭素数は、2~10が好ましく、3~8がより好ましく、3~6がさらに好ましく、3~5が特に好ましい。
R34は、エーテル性酸素原子を有していても、有していなくてもよいが、架橋反応性やゴム物性がより優れる点から、エーテル性酸素原子を有しているのが好ましい。
R34におけるエーテル性酸素原子の数は1~6が好ましく、1~3がより好ましく、1または2が特に好ましい。R34におけるエーテル性酸素原子は、R34の末端に存在していることが好ましい。
式(4)中、R41は、2価の炭素数2~10のパーフルオロ炭化水素基、または該パーフルオロ炭化水素基の末端もしくは炭素-炭素結合間にエーテル性酸素原子を有する基を示す。
式(4)で表される単量体のうち、より好適な単量体の具体例としては、CF2=CFO(CF2)3OCF=CF2、CF2=CFO(CF2)4OCF=CF2が挙げられる。
式(5)中、R51は、2価の炭素数2~10のパーフルオロ炭化水素基、または該パーフルオロ炭化水素基の末端もしくは炭素-炭素結合間にエーテル性酸素原子を有する基を示す。
式(5)で表される単量体のうち、より好適な単量体の具体例としては、CH2=CH(CF2)6CH=CH2が挙げられる。
CF2=CF-O-Rf6 (6)
式(6)中、Rf6は、炭素数1~8のエーテル性酸素原子を1~5個含むパーフルオロアルキル基を示す。Rf6の炭素数は、1~6が好ましく、1~5が特に好ましい。
TFE単位の含有量は、本発明の効果がより優れる点から、共重合体(A)の全単位に対して、60~80モル%が好ましく、63~75モル%がより好ましく、66~72モル%が特に好ましい。
共重合体(A)がPAVE単位を含む場合の含有量は、架橋ゴム物品の弾性がより優れる点から、共重合体(A)の全単位に対して、20~40モル%が好ましく、24~36モル%がより好ましく、27~33モル%が特に好ましい。
含フッ素共重合体が他の単量体単位を含む場合の含有量は、架橋ゴム物品のゴム物性に優れる点から、含フッ素共重合体の全単位に対して、0.01~20モル%が好ましく、0.5~10モル%がより好ましく、1~5モル%が特に好ましい。
ここで「パーフルオロポリマー」とは、炭素原子に結合した水素原子を実質的に含有せず、その水素原子の代わりにフッ素原子を有し、主鎖が炭素原子の連鎖からなるポリマーをいう。パーフルオロポリマーの側鎖には炭素原子以外の多価原子を有していてもよく、その多価原子としては酸素原子が好ましい。
ここで「水素原子を実質的に含有しない」とは、パーフルオロポリマー中の水素原子の含有量が0.5質量%以下であることを示し、0.1質量%以下が好ましく、0.07質量%以下がより好ましく、0.05質量%以下が特に好ましい。水素原子の含有量が上記の範囲であると良好な耐熱性または耐薬品性が得られやすい。
ヨウ素原子としては、後述の連鎖移動剤として機能するヨード化合物に由来するヨウ素原子、上述のヨードトリフルオロエチレン等の他のハロゲン原子を有する単量体のうちヨウ素原子を有する単量体に基づく単位中のヨウ素原子が挙げられ、連鎖移動剤として機能するヨード化合物に由来するヨウ素原子であるのが好ましい。
共重合体(A)がヨウ素原子を有する場合の含有量は、共重合体(A)の全質量に対して、0.01~5.0質量%が好ましく、0.05~2.0質量%がより好ましく、0.05~1.0質量%が特に好ましい。ヨウ素原子の含有量が上記範囲にあると、共重合体(A)の架橋反応性が向上して、架橋ゴム物品の機械特性が優れる。
共重合体(A)の製造方法の一例としては、ラジカル重合開始剤の存在下、上記単量体を共重合する方法が挙げられる。
水溶性重合開始剤の具体例としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸類、ジコハク酸過酸化物、アゾビスイソブチルアミジン二塩酸塩等の有機系重合開始剤類が挙げられ、これらの中でも、過硫酸類が好ましく、過硫酸アンモニウムがより好ましい。
レドックス重合開始剤としては、過硫酸類と還元剤を組み合せた重合開始剤が挙げられる。このうち、重合温度が0~85℃の範囲で各単量体を重合可能な重合開始剤が好ましい。レドックス重合開始剤を構成する過硫酸類の具体例としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸のアルカリ金属塩が挙げられ、過硫酸アンモニウムが好ましい。過硫酸類と組み合わせる還元剤の具体例としては、チオ硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、ピロ亜硫酸塩、ヒドロキシメタンスルフィン酸塩が挙げられ、ヒドロキシメタンスルフィン酸塩が好ましく、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム塩が特に好ましい。
連鎖移動剤は、ヨード化合物が好ましく、式RI2で表されるヨード化合物が特に好ましい。上記式中、Rは炭素数3以上(好ましくは、炭素数3~8)のアルキレン基またはパーフルオロアルキレン基を示す。
式RI2で表されるヨード化合物の具体例としては、1,3-ジヨードプロパン、1,4-ジヨードブタン、1,6-ジヨードヘキサン、1,8-ジヨードオクタン、1,3-ジヨードパーフルオロプロパン、1,4-ジヨードパーフルオロブタン、1,6-ジヨードパーフルオロヘキサン、1,8-ジヨードパーフルオロオクタンが挙げられる。
ヨード化合物としては、パーフルオロアルキレン基を有するヨード化合物が好ましく、1,4-ジヨードパーフルオロブタンが特に好ましい。
これらのヨード化合物の存在下に上記単量体を共重合させると、共重合体(A)にヨウ素原子を導入できる。
共重合体(B)は、カルボニル基を有する基、ヒドロキシ基、エポキシ基およびイソシアネート基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基(以下、「特定官能基」ともいう。)を有する単位およびTFE単位を有する。
本組成物が共重合体(B)を含むことで、本発明の効果を発揮できるとともに、架橋ゴム物品のフッ素系ガスを用いたプラズマの照射耐性が向上する。
中でも、カルボニル基を有する基は、共重合体(A)のニトリル基との反応性の点から、炭化水素基の炭素原子間にカルボニル基を有する基、カーボネート基、カルボキシ基、ハロホルミル基、アルコキシカルボニル基および酸無水物残基からなる群より選択される少なくとも1種であるのが好ましく、カルボキシ基および酸無水物残基のいずれか一方または両方を有するのが特に好ましい。
ハロホルミル基は、-C(=O)-X(ただしXはハロゲン原子である。)で表される。ハロホルミル基におけるハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子が挙げられ、フッ素原子が好ましい。すなわち、ハロホルミル基としては、フルオロホルミル基(カルボニルフルオリド基ともいう。)が好ましい。
アルコキシカルボニル基におけるアルコキシ基は、直鎖状でも分岐状でもよく、炭素数1~8のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基またはエトキシ基であるのが特に好ましい。
RXは、特定官能基を複数有していてもよい。RXが特定官能基を複数有する場合、複数の特定官能基の種類は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
RXは、単量体として用いるので、重合性不飽和結合を有する。重合性不飽和結合の具体例は、上述の通りである。
RXは、特定官能基を1個有し、重合性不飽和結合を1個有する化合物であるのが好ましい。
RX1の具体例としては、無水イタコン酸(以下、「IAH」ともいう。)、無水シトラコン酸(以下、「CAH」ともいう。)、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物(別称:無水ハイミック酸。以下、「NAH」ともいう。)、無水マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸の酸無水物が挙げられる。
RX2の具体例としては、イタコン酸、シトラコン酸、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸、マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和モノカルボン酸、CF2=CFORfxCO2H(ただし、Rfxは、エーテル性酸素原子を有していてもよい炭素数1~10のペルフルオロアルキレン基である。)が挙げられる。
ビニルエステルの具体例としては、酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、ブタン酸ビニル、ピバル酸ビニル、安息香酸ビニル、クロトン酸ビニルが挙げられる。
(メタ)アクリレートの具体例としては、(ポリフルオロアルキル)アクリレート、(ポリフルオロアルキル)メタクリレートが挙げられる。
RXのうち、エポキシ基を有する単量体の具体例としては、アリルグリシジルエーテル、2-メチルアリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル等の不飽和グリシジルエーテル類、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等の不飽和グリシジルエステル類が挙げられる。
RXのうち、イソシアネート基を有する単量体の具体例としては、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エチルイソシアネート、1,1-ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等のイソシアネート基を有する不飽和単量体が挙げられる。
RXは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
この場合、特定官能基を有する単位の含有量は、本発明の効果がより優れる点から、含共重合体(B)の全単位に対して、0.01~3モル%が好ましく、0.03~2モル%がより好ましく、0.05~1モル%が特に好ましい。
また、TFE単位の含有量は、本発明の効果がより優れる点から、共重合体(B)の全単位に対して、90~99.89モル%が好ましく、95~99.47モル%がより好ましく、96~98.95モル%が特に好ましい。
また、PAVE単位の含有量は、本発明の効果がより優れる点から、共重合体(B)の全単位に対して、0.1~9.99モル%が好ましく、0.5~4.97モル%がより好ましく、1~3.95モル%が特に好ましい。
この場合、特定官能基を有する単位の含有量は、共重合体(B)の全単位に対して、0.01~3モル%が好ましく、0.03~2モル%がより好ましく、0.05~1モル%が特に好ましい。
また、TFE単位の含有量は、本発明の効果がより優れる点から、共重合体(B)の全単位に対して、90~99.89モル%が好ましく、91~98モル%がより好ましく、92~97モル%が特に好ましい。
また、HFP単位の含有量は、本発明の効果がより優れる点から、共重合体(B)の全単位に対して、0.1~9.99モル%が好ましく、1~9.0モル%がより好ましく、2~8モル%が特に好ましい。
共重合体(B)の含有量は、圧縮後の架橋ゴム物品の割れの発生をより抑制できる点から、共重合体(A)の100質量部に対して、2質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、7質量部以上が特に好ましい。
共重合体(B)の融点は、共重合体(B)を構成する単位の種類や含有割合、分子量等によって調整できる。例えば、TFE単位の割合が多くなるほど、共重合体(B)の融点は上がる傾向にある。
MFRが上記範囲の下限値以上であると、共重合体(B)が加工性に優れ、共重合体(B)を含む本組成物から作られた架橋ゴム物品が表面平滑性に優れる。
MFRが上記範囲の上限値以下であると、共重合体(B)が機械強度に優れ、共重合体(B)を含む本組成物から作られた架橋ゴム物品が機械強度に優れる。
MFRは、共重合体(B)の分子量の目安であり、MFRが大きいと分子量が小さく、MFRが小さいと分子量が大きいことを示す共重合体(B)の分子量、ひいてはMFRは、共重合体(B)の製造条件によって調整できる。例えば、単量体の重合時に重合時間を短縮すると、MFRが大きくなる傾向がある。
共重合体(B)の製造方法の一例としては、ラジカル重合開始剤の存在下、上記単量体を共重合する方法が挙げられ、その詳細は、国際公開第2016/017801号に記載の通りである。
共重合体(B)は、粒子の形態で本組成物に含まれることが好ましい。すなわち、共重合体(B)は、共重合体(B)を含む樹脂粒子の形態で本組成物に含まれることが好ましい。
樹脂粒子は、共重合体(A)および共重合体(B)以外の樹脂(以下、「他の樹脂」ともいう。)を含んでいてもよい。他の樹脂としては、後述の共重合体(A)および共重合体(B)以外の含フッ素共重合体(例えば、テトラフルオロエチレン-フルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体等)、ポリテトラフルオロエチレン、芳香族ポリエステル、ポリアミドイミドならびに熱可塑性ポリイミドが挙げられる。
樹脂粒子中の共重合体(B)の含有量は、樹脂粒子の全質量に対して、80~100質量%が好ましく、85~100質量%がより好ましく、90~100質量%がさらに好ましく、100質量%が特に好ましい。
樹脂粒子の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法により求められる体積基準累積50%径(D50)である。すなわち、レーザー回折・散乱法により粒度分布を測定し、粒子の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブ上で累積体積が50%となる点の粒子径である。
架橋剤の具体例としては、有機過酸化物、2個以上のアミノ基を有する化合物(以下、「ポリアミン化合物」ともいう。)が挙げられ、共重合体(A)の架橋性に優れ、高温下での圧縮永久歪がより小さい架橋ゴム物品が得られる点から、ポリアミン化合物が好ましい。
ポリアミン化合物は、フッ素原子を含むことが好ましい。これにより、共重合体(A)との相溶性が良好になるので、高温下での圧縮永久歪がより小さい架橋ゴム物品が得られる。
本組成物は、本発明の効果がより優れる点から、融点が60℃以下のリン化合物(以下、「特定リン化合物」ともいう。)を含むことが好ましい。
特定リン化合物の融点は、60℃以下であり、特定リン化合物の分散性がより向上して、本発明の効果がより優れる点から、35℃以下が好ましく、20℃以下が特に好ましい。
なお、融点が特定の温度以下である上記の化合物の中には、20℃で液体である化合物も含まれる。
特定リン化合物の沸点は、取り扱い易さの点から、50℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。
P(R71)3 式(7)
式(7)中、R71は、炭素数2~9の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を示す。3つのR71は、互いに同一であっても異なっていてもよいが、架橋ゴム物品の高温下での圧縮永久歪がより小さくなる点から、互いに同一であるのが好ましい。
PO(R81)3 式(8)
式(8)中、R81は、炭素数2~9の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を示す。3つのR81は、互いに同一であっても異なっていてもよいが、架橋ゴム物品の高温下での圧縮永久歪がより小さくなる点から、互いに同一であるのが好ましい。
架橋ゴム物品の高温下での圧縮永久歪がより小さくなる点から、3つのR71はそれぞれ独立に、炭素数2~9の直鎖状のアルキル基であるのが好ましい。
R81の炭素数は、2~9であり、架橋ゴム物品の高温下での圧縮永久歪がより小さくなる点から、4~9であるのが好ましく、6~8であるのが特に好ましい。
架橋ゴム物品の高温下での圧縮永久歪がより小さくなる点から、3つのR81はそれぞれ独立に、炭素数2~9の直鎖状のアルキル基であるのが好ましい。
式(8)で表される化合物の具体例としては、トリエチルホスフィンオキシド(融点52℃、20℃で固体)、トリ-n-プロピルホスフィンオキシド(融点39℃、20℃で固体)、トリ-n-ヘキシルホスフィンオキシド(融点34℃、20℃で固体)、トリ-n-オクチルホスフィンオキシド(融点52℃、20℃で固体)が挙げられる。
特定リン化合物の中でも、架橋ゴム物品の高温下での圧縮永久歪がより小さくなる点から、トリ-n-オクチルホスフィンが好ましい。
特定リン化合物の含有量は、架橋ゴム物品の高温下での圧縮永久歪がより小さくできる点から、共重合体(A)の100質量部に対して、5質量部以下が好ましく、2質量部以下がより好ましく、1.0質量部以下が特に好ましい。
本組成物は、本発明の効果が損なわれない範囲で、上記以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、受酸剤(例えば、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩、2価金属の酸化物(酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化鉛等))、充填剤および補強材(例えば、カーボンブラック、硫酸バリウム、メタケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、二酸化ケイ素、共重合体(A)および共重合体(B)以外の含フッ素共重合体(例えば、テトラフルオロエチレン-フルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体等)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、芳香族ポリエステル、ポリアミドイミドならびに熱可塑性ポリイミド、クレー、タルク)、スコーチ遅延剤(例えば、ビスフェノールA等のフェノール性水酸基含有化合物類、ハイドロキノン等のキノン類、2,4-ジ(3-イソプロピルフェニル)-4-メチル-1-ペンテン等のα-メチルスチレンダイマー類)、クラウンエーテル(例えば、18-クラウン-6)、離型剤(例えば、ステアリン酸ナトリウム)が挙げられる。
また、上記各成分を混合した混合物を得た後、混合物を成形してもよい。混合物の成形方法の具体例としては、圧縮成形、射出成形、押し出し成形、カレンダー成形、または、溶剤に溶かして基板等にディッピングもしくはコーティングして成形する方法が挙げられる。
本発明の架橋ゴム物品は、上述の本組成物中の共重合体(A)を架橋したゴム物品である。
本組成物中の共重合体(A)の架橋方法としては、本組成物を加熱することによって架橋する方法が好ましい。
加熱による架橋方法の具体例としては、加熱プレス架橋、スチーム架橋、熱風架橋が挙げられる。これらの方法から、本組成物の形状や用途を考慮して適宜選択すればよい。
加熱条件は、100~400℃で1秒~24時間が好ましい。
2次架橋を行う際の加熱条件は、80~350℃で30分間~48時間が好ましい。
架橋ゴム物品の300℃70時間における圧縮永久歪率は、70%以下が好ましく、共重合体(A)が良好に架橋しており、架橋ゴム物品の加圧後の形状回復がより優れる点から、50%以下がより好ましく、40%以下がさらに好ましく、30%以下がさらに好ましい。
架橋ゴム物品の300℃70時間における圧縮永久歪率は、後述する実施例欄に記載の方法によって測定される。
架橋ゴム物品の引張伸度(切断時伸び率)は、ゴム特性に優れる点から、100~500%が好ましく、150~400%が特に好ましい。
架橋ゴム物品の引張強度および引張伸度は、JIS K 6251:2010(対応国際規格ISO 37:2005)に準拠する方法にて測定される値である。
架橋ゴム物品の硬度(Shore-A)は、架橋ゴム物品の板状の成形物(厚み1mm)を用いて、JIS K6253-1:2012に準拠して、タイプAデュロメータを用いて測定される値である。
架橋ゴム物品は、O-リング、シート、ガスケット、オイルシール、ダイヤフラム、V-リング等の材料に好適である。また、耐熱性耐薬品性シール材、耐熱性耐油性シール材、電線被覆材、半導体製造装置用シール材、液晶ディスプレイパネル製造装置用シール材、発光ダイオード製造装置用シール材、耐蝕性ゴム塗料、耐ウレア系グリース用シール材等、ゴム塗料、接着ゴム、ホース、チューブ、カレンダーシート(ロール)、スポンジ、ゴムロール、石油掘削用部材、放熱シート、溶液架橋体、ゴムスポンジ、ベアリングシール(耐ウレアグリース等)、ライニング(耐薬品)、自動車用絶縁シート、電子機器向け絶縁シート、時計向けゴムバンド、内視鏡用パッキン(耐アミン)、蛇腹ホース(カレンダーシートからの加工)、給湯器パッキン/弁、防舷材(海洋土木、船舶)、繊維・不織布(防護服等)、基盤シール材、ゴム手袋、一軸偏心ねじポンプのステータ、尿素SCRシステム用部品、防振剤、制振剤、シーリング剤、他材料への添加剤、玩具の用途にも適用できる。
後述の共重合体(A-1)および共重合体(H-1)中の各単位の含有量(モル%)について、19F-核磁気共鳴(NMR)分析によって算出した。ただし、プロピレン単位の含有量については、1Hおよび13C-核磁気共鳴(NMR)分析から算出した。
後述の共重合体(B-1)および共重合体(H-2)中の各単位の含有量(モル%)について、溶融NMR分析およびフッ素含有量分析によって算出した。ただし、NAH単位の含有量は、以下の赤外吸収スペクトル分析によって算出した。
(赤外吸収スペクトル分析)
後述の共重合体(B-1)をプレス成形して200μmのフィルムを得た。赤外吸収スペクトルにおいて、共重合体(B-1)中のNAHに基づく単位における吸収ピークは、いずれも1778cm-1に現れる。該吸収ピークの吸光度を測定し、NAHのモル吸光係数20810mol-1・l・cm-1を用いて、共重合体(B-1)におけるNAHに基づく単位の割合を求めた。
架橋ゴム物品の試験片を用いて、JIS K6253-3:2012に準拠して、タイプAデュロメータを用いて硬度(Shore-A)を測定した。
なお、測定装置には、ゴム用自動硬度計(デジテスト ショアーA、H・バーレイス試験機社製)を用いた。
また、試験は3枚の試験片を用いて実施して、3枚の試験片の測定値を算術平均した値を記録した。
板状の架橋ゴム物品(厚み1mm)を4号ダンベルで打ち抜いた試験片を用いて、JIS K6251:2010(対応国際規格ISO 37:2005)に準拠して、引張強度および引張伸度を測定した。
なお、測定装置には、データ処理付引張試験機(クイックリーダー TS-2530、上島製作所社製)を用いた。
また、各試験はそれぞれ3枚の試験片を用いて実施して、3枚の試験片の測定値を算術平均した値を記録した。
JIS K 6262:2013に準じ、架橋ゴム物品の試験片を300℃で70時間保持した際の圧縮永久歪率(%)を測定した。なお、試験片としては、JIS B 2401-1:2012に準拠したP26のOリング試験片を使用した。試験は2枚の試験片を用いて実施して、2枚の試験片の測定値を算術平均した値を用いた。
圧縮永久歪率は次の計算式で算出した。なお、圧縮永久歪率が0%に近いほど優れている。
圧縮永久歪率(%)=(試験片の元の厚さ-試験片を圧縮装置から取り外し30分後の厚さ)÷(試験片の元の厚さ-スペーサーの厚さ)×100
上述の「高温下での圧縮永久歪」の試験後の2枚の試験片について、割れの発生状態を目視にて確認した。
各例における2枚の試験片について、2枚とも割れが確認できなかった場合を「無」、1枚だけに割れが確認された場合を「1/2破壊」、2枚とも割れが確認された場合を「2/2破壊」として、後述の表1に示した。
表1に示す成分および配合量に調合し、2本ロールにより、室温下にて10分間混練し、混合された含フッ素共重合体組成物を、最後にロールから取り出す際のロールへの粘着性を評価した。
<評価基準>
○:含フッ素共重合体組成物のロールへの粘着が見られなかった。
△:含フッ素共重合体組成物のロールへの粘着とロール面の汚れが見られた。
×:含フッ素共重合体組成物のロールへの粘着とロール面の汚れが顕著に見られた。
シート状の金型に、含フッ素共重合体組成物を導入して、含フッ素共重合体組成物を180℃で20分間架橋して、金型に付着した状態の架橋ゴム物品(縦100mm×横60mm×厚み1mm)を得た。架橋反応終了後、直ちに、エアーガン(製品名サイクロンダスター、中央空機株式会社製)を用いて、架橋ゴム物品と金型との界面に空気を噴射して、以下の評価基準にて、離型性の評価を行った。
なお、架橋反応終了後、直ちに空気を噴射しているため、空気噴射時の架橋物品の温度は180℃に近い温度であると考えられる。
<エアーガンによる空気の噴射条件>
圧力:0.5MPa
空気の噴射時間:3秒
<評価基準>
○:架橋ゴム物品が金型から脱離した。
△:架橋ゴム物品の一部が金型から離脱しなかった。
×:架橋ゴム物品の大半が金型から脱離しなかった。
アンカー翼を備えた内容積20Lのステンレス製耐圧反応器を脱気した後、超純水の7.2L、乳化剤であるC2F5OCF2CF2OCF2COONH4の30質量%溶液の880g、8CNVEの7.3g、リン酸水素二ナトリウム・12水和物の5質量%水溶液の15.9gを仕込み、気相を窒素置換した。アンカー翼を用いて375rpmの速度で撹拌しながら、TFEの137g、PMVEの635gを容器内に圧入した後、内温を80℃まで昇温した。反応器内圧は0.90MPa[gauge]であった。過硫酸アンモニウム(APS)の3質量%水溶液の28mLを添加し、重合を開始した。重合開始前に圧入する単量体(以下、「初期添加単量体」ともいう。)の添加比をモル比で表すと、TFE:PMVE:8CNVE=26.3:73.3:0.4であった。
反応器内圧が0.89MPa[gauge]に低下した時点でTFEを圧入し、反応器内圧を0.90MPa[gauge]に昇圧させた。これを繰り返し、TFEの119.3gを圧入するたびに、8CNVEの3.7g、PMVEの74g、および、8CNVEの3.7gをこの順に圧入した。
重合速度が低下してきたところで、APSの3質量%水溶液を適宜加えた。重合開始後に加えたAPSの3質量%水溶液の合計は、35mLであった。
TFEの総添加質量が1073.7gとなるサイクルが終了したところで、TFEの119.3gを圧入した。後添加されたTFEの総添加質量が1193gとなった時点で、後添加単量体の添加を停止し、反応器内温を10℃に冷却させ、重合反応を停止させ、含フッ素共重合体を含むラテックスを得た。重合時間は375分間であった。また、各後添加単量体の総添加質量は、TFEが1193g、PMVEが666g、8CNVEが66.6gであり、これをモル比に換算すると、TFE:PMVE:8CNVE=74.0:25.0:1.0であった。
ラテックスを硫酸アルミニウムカリウムの5質量%水溶液に添加して、含フッ素共重合体を凝集、分離した。含フッ素共重合体を濾過し、超純水によって洗浄し、50℃で真空乾燥させ、白色の含フッ素共重合体(以下、「共重合体(A-1)」という。)を得た。得られた共重合体(A-1)における各単位の含有量(モル比)はTFE単位:PMVE単位:8CNVE単位=69.1:30.3:0.6であった。
特開平06-306236の実施例欄における「フッ素ゴム-1」を、共重合体(H-1)として用いた。共重合体(H-1)における各単位のモル比は、VdF単位:TFE単位:プロピレン単位=35:40:25であった。
国際公開第2016/017801号の実施例欄における「含フッ素共重合体(X1-1)」を共重合体(B-1)として用いた。共重合体(B-1)における各単位のモル比は、NAH単位:TFE単位:PPVE単位=0.1:97.9:2.0であった。
共重合体(B-1)は、平均粒子径(D50)2~3μmの樹脂粒子である。
ケマーズ社製のMP-102(商品名)を、共重合体(H-2)として用いた。共重合体(H-2)における各単位のモル比は、TFE単位:PPVE単位=98.7:1.3であった。
共重合体(H-2)は、平均粒子径(D50)10~20μmの樹脂粒子である。
表1に示す成分および配合量に調合し、2本ロールにより、室温下にて10分間混練し、混合された含フッ素共重合体組成物を得た。
得られた含フッ素共重合体組成物を、次に示す条件で熱プレスして、厚み1mmの架橋ゴムシートを得た(1次架橋)。例1~6、8~10の1次架橋はいずれも、180℃20分の熱プレスによって行った。例7の1次架橋は、170℃10分の熱プレスにより行った。
そして、窒素雰囲気下において、架橋ゴムシートを次に示す条件でオーブンを用いて加熱した(2次架橋)。例1~6、8~10の2次架橋はいずれも、90℃で3時間加熱した後、5時間かけて305℃に昇温し、さらに305℃で13時間加熱することにより行った。例7の2次架橋は、230℃で24時間加熱することにより行った。
その後、架橋ゴムシートを室温まで冷却して、例1~例10の架橋ゴムシートを得た。
得られた架橋ゴムシートを用いて、上述の物性を測定した。測定結果を表1に示す。
BOAP:2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ポリアミン化合物(架橋剤)
パーヘキサ25B:商品名、日本油脂社製、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、有機過酸化物(架橋剤)
パーカドックス14:商品名、化薬アクゾ社製、α,α’-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-p-ジイソプロピルベンゼン、有機過酸化物(架橋剤)
TOCP:北興化学工業社製、トリ-n-オクチルホスフィン(20℃で液体)、特定リン化合物
表1に示す通り、共重合体(A)(共重合体(A-1))と、共重合体(B)(共重合体(B-1))と、架橋剤とを含む本組成物を用いれば(例1~例5、例8~例10)、高温下での圧縮永久歪が小さく、かつ、圧縮後に割れない架橋ゴム物品を形成できることが確認された。
なお、2020年04月13日に出願された日本特許出願2020-071455号の明細書、特許請求の範囲および要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
Claims (11)
- ニトリル基を有する単位、テトラフルオロエチレンに基づく単位、および、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を有する含フッ素共重合体(A)と、
前記含フッ素共重合体(A)とは異なる共重合体であり、カルボキシ基および酸無水物基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有する単位、テトラフルオロエチレンに基づく単位、および、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を有する含フッ素共重合体(B)と、
架橋剤と、
を含み、
前記含フッ素共重合体(A)に含まれる、前記ニトリル基を有する単位、前記テトラフルオロエチレンに基づく単位、前記パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位の含有量がそれぞれ、前記含フッ素共重合体(A)の全単位に対して、0.05~5モル%、60~75モル%、20~36モル%であり、
前記含フッ素共重合体(B)に含まれる、前記カルボキシ基および酸無水物基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有する単位、前記テトラフルオロエチレンに基づく単位、前記パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位の含有量がそれぞれ、前記含フッ素共重合体(B)の全単位に対して、0.01~3モル%、90~99.89モル%、0.1~9.99モル%であり、
前記含フッ素共重合体(B)の含有量が、前記含フッ素共重合体(A)の100質量部に対して、2~50質量部である、含フッ素共重合体組成物。 - 前記含フッ素共重合体(A)が、パーフルオロポリマーである、請求項1に記載の含フッ素共重合体組成物。
- 前記含フッ素共重合体(B)の含有量が、前記含フッ素共重合体(A)の100質量部に対して、30質量部以下である、請求項1または2に記載の含フッ素共重合体組成物。
- 前記架橋剤が、2個以上のアミノ基を有する化合物である、請求項1~3のいずれか1項に記載の含フッ素共重合体組成物。
- 前記架橋剤の含有量が、含フッ素共重合体(A)の100質量部に対して、0.3~10質量部である、請求項1~4のいずれか1項に記載の含フッ素共重合体組成物。
- さらに、融点が60℃以下のリン化合物を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の含フッ素共重合体組成物。
- 前記リン化合物の融点が35℃以下である、請求項6に記載の含フッ素共重合体組成物。
- 前記リン化合物がトリアルキルホスフィンまたはトリアルキルホスフィンオキシドである、請求項6または7に記載の含フッ素共重合体組成物。
- 前記リン化合物の含有量が、前記含フッ素共重合体(A)の100質量部に対して、0.20質量部以上である、請求項6~8のいずれか1項に記載の含フッ素共重合体組成物。
- 前記リン化合物の含有量が、前記含フッ素共重合体(A)の100質量部に対して、5質量部以下である、請求項6~9のいずれか1項に記載の含フッ素共重合体組成物。
- 請求項1~10のいずれか1項に記載の含フッ素共重合体組成物中の含フッ素共重合体(A)を架橋してなる、架橋ゴム物品。
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