以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る同期機構および第2台車の実施形態を詳細に説明する。なお、実施形態では、物体の一例として自動車の車体を用い、自動車の組立工程で使用される同期機構と第2台車の一例である同期台車について説明する。
自動車は、移動する搬送台車上に載置されて搬送される車体に対し、組立工程に沿って部品等(例えば、エンジン、車輪、サスペンション等)を順次組み付けて、最終的に自動車を完成させる。搬送台車(第1台車の一例)は常に一定の速度で移動しており、搬送台車に載置された車体も常に搬送されているため、部品等の組み付けは搬送される車体に対して行う。
そのため、ロボット等を搭載した同期台車(第2台車の一例)を搬送台車に接続し、同期台車を搬送台車と同期させて移動しながら、ロボット等を使用して車体に組み付けた部品を固定する作業を行う。同期台車には、搬送台車と同期台車とを接続し、同期して移動させる同期機構が搭載されている。
図1は、実施形態の同期台車が搬送台車と接続されている状態を模式的に示す平面図である。また、図2は、図1の状態を搬送台車の移動方向下流側から見た側面図である。図1および図2に示すように、自動車の組み立てラインには、複数台の搬送台車12が略等間隔で配置されている。各搬送台車12は、複数個の車輪15が備え付けられている。車輪15は、図示しない駆動源に基づいて、それぞれ対応した位置に設置された複数本(実施形態では4本)のレール11上を回転する。すると、搬送台車12は、矢印L1方向に略一定速度で移動し、車体Cを搬送する。
図2に示すように、搬送台車12は、複数本(実施形態では左右2本ずつの計4本)の支持棒16を備え、各支持棒16は、搬送台車12の上面から上方に立設している。支持棒16の上端部には、車体Cを載置する載置部13が設けられている。載置部13は、搬送台車12の移動方向と直交する方向に形成された細長い鉄板である。実施形態では、図2に示す2本の支持棒16に対して1本の載置部13が設けられており、図1に示すように2本の載置部13が、平行に設けられている。
すなわち、車体Cは、搬送台車12の上面から一定距離だけ上方の位置に載置部13によって載置されており、搬送台車12と車体Cとの間に所定の空間が設けられている。この空間は、エンジン、車輪、サスペンション等を車体に組み付けたり、作業者やロボット等が下側から車体Cへの作業を行ったりするための空間である。
また、搬送台車12には、2か所に凹部である溝14(溝14aと溝14b)が設けられている。溝14は、搬送台車12の移動方向と直交する方向に延びる略直方体形状である。溝14は、矢印L1と直交する方向に長手方向を有し、矢印L1方向に短手方向を有する。
溝14aは、載置された車体Cの前部に対応する位置に設けられている。溝14aは、車体にエンジン、前側車輪、前側サスペンション等を組み付ける際に、長手方向に沿って車体の下方の所定の位置に移動させるために設けられた溝である。また、溝14bは、載置された車体Cの後部に対応する位置に設けられている。また、溝14bは、車体に後ろ側車輪、後ろ側サスペンション等を組み付ける際に、長手方向に沿って車体の下方の所定の位置に移動させるために設けられた溝である。
また、搬送台車12の側部には、同期台車22が設けられる。同期台車22は、移動に伴って回転する車輪24と、動力源である搬送モータ76(図10を参照)によって回転させられる駆動ローラ26と、を備える。車輪24は、レール21上を移動し、駆動ローラ26はレール25上を移動する。レール21およびレール25は、レール11と並行に設置されている。そのため、同期台車22は、搬送台車12と並行に移動することが可能である。
同期台車22上には、設備23(自動車の組み立てに用いる装置)が搭載されている。設備23は、例えばロボットアーム27および、ロボットアーム27を車体Cの下に形成された空間内で上下左右に自由に移動させるための移動アーム27aを有する。また、設備23は、ロボットアーム27を使用して、車体Cに対する作業(例えば、部品を車体に取り付けるために、ボルトを締めつける作業)を行うための駆動源をも備える。
また、同期台車22は、同期機構31を備える。同期機構31は、搬送台車12と同期台車22を着脱可能に接続するための機構である。同期機構31によって接続された同期台車22は、搬送台車12の移動に同期して、搬送台車12と並行に移動する。なお、同期機構31については、図3~図10で詳細に説明する。
同期台車22が、同期機構31によって搬送台車12に接続されている状態では、駆動ローラ26は、上方に移動してレール25から離間している。そのため、同期台車22は、搬送台車12が移動すると、搬送台車12と同期してレール21上を移動する。一方、同期機構31による搬送台車12と同期台車22との接続が解除されると、駆動ローラ26が下降してレール25と接触する。そして、搬送モータ76を駆動源として駆動ローラ26が回転すると、同期台車22は後述するホームポジションまで戻る。
このように、同期台車22は、搬送台車12の移動に伴い移動し、駆動ローラ26によって予め設定されたホームポジションまで戻る往復動をする。同期台車22は、ホームポジションにおいて、作業を行う搬送台車12と接続され、作業が終了するまで搬送台車12と同期して移動する。そして作業が終了すると、同期台車22は、搬送台車12との接続が解除され、ホームポジションまで戻り、次の搬送台車12に対する作業のために待機する。なお、同期台車22が往復動をする範囲(矢印L2の範囲)は、同期台車22に搭載された設備23が、同期台車22が搬送台車12と同期して移動しながら、車体Cに対して所定の作業を行うのに必要な時間を確保できる距離以上に設定される。
なお、同期台車22の復路の移動制御、および同期機構31による搬送台車12への接続と接続解除の制御は、制御装置60によって行われる。制御装置60による同期台車22の移動制御と同期機構31による搬送台車12への接続と接続解除の制御については、図11と図12で後述する。なお、実施形態では、制御装置60は同期台車22には載置されておらず、制御装置60と同期台車22は、可撓制を有する配線ケーブル(図示せず)で電気的に接続されている。
次に、同期機構31について説明する。同期機構31は、それぞれが開閉可能であって、閉止状態のときに搬送台車12に設けられた溝14に挿入される複数の爪(後述する爪55と爪56)と、溝14に挿入された爪の間に挿入されて複数の爪を開放状態とするくさび46と、を備える。具体的には、同期機構31は、図3のような構成を備える。
図3は、同期機構31の構成を説明するための説明図である。図3に示すように、同期機構31は、シリンダ32、筐体33、第1基板34、可動軸35、第2基板36、ストッパ37、コイルバネ38、保持部39、連結部40、爪機構51等を備える。
シリンダ32は円柱状の可動部45を有し、通電することで可動部45を突出させる。筐体33は、同期機構31を覆う筐体である。第1基板34は、シリンダ32を固定するための基板であり、筐体33とも接続される。可動軸35は、第1基板34に設けられた孔部を貫通して設けられ、第1基板34に対して矢印X方向に移動可能な2本の円柱状の支柱である。
第2基板36は、可動部45に取り付けられた平板であり、シリンダ32からの可動部45の突出に応じて、矢印X方向に移動可能である。また、2本の可動軸35は、第2基板36を貫通している。第2基板36と可動軸35は固定されておらず、可動軸35は第2基板36に対して相対的に移動可能である。ストッパ37は、第2基板36の矢印Xの上方向への移動を規制する部材であり、可動軸35に固定的に設けられている。可動軸35はストッパ37を貫通している。
可動軸35のX方向の端部側には保持部39が設けられている。保持部39は、可動軸35に設けられている。保持部39は、可動軸35に固定的に設けられる。また、可動軸35のうち、第2基板36と保持部39との間の部分の外周部には、コイルバネ38が取り付けられている。コイルバネ38は、矢印X方向であって第2基板36と保持部39を広げる方向に付勢している。2つの保持部39は、爪機構51が固定された連結部40に固定されている。すなわち、爪機構51と保持部39は、連結部40を介して固定的に接続されている。
爪機構51は、連結部40に固定して設けられる。爪機構51の構成については図4で詳述するが、爪55と爪56を備えている。また、爪機構51には、バネ57が設けられている。バネ57は、爪55と爪56が閉止する方向に付勢している。
また、第2基板36には、下面からX方向の下方に突出するくさび46(挿入部)が固定されている。第2基板36が矢印X方向に下降すると、くさび46は同方向に下降する。第2基板36が矢印X方向に上昇すると、くさび46は同方向に上昇する。
また、同期機構31は、一方の可動軸35の近接位置に、矢印X方向の位置が異なる3個のセンサを備える。矢印X方向の最も高い位置には第1センサ41が設けられている。第1センサ41は、光を受光する受光センサである。第1センサ41は、爪機構51の位置が第1位置であることを検出するためのセンサである。爪機構51が搬送台車12から矢印X方向上方に離間している状態(図7の状態)のとき、爪機構51は第1位置に位置している。爪機構51の位置が第1位置のときは、発光部44が第1センサ41に対向する位置に位置する。すなわち、第1センサ41は、爪機構51の位置が第1位置のときに発光部44が発光する光を受光する。第1センサ41は、発光部44からの光を受光すると、受光したことを示す信号を制御装置60に出力する。
また、矢印X方向の第1センサ41より下方の位置には第2センサ42が設けられている。第2センサ42は、光を受光する受光センサである。第2センサ42は、爪機構51の位置が第2位置であることを検出するためのセンサである。爪機構51が搬送台車12表面12aに当接している状態(図8の状態)のとき、爪機構51は第2位置に位置している。爪機構51の位置が第2位置のときは、発光部44が第2センサ42に対向する位置に位置する。すなわち、第2センサ42は、爪機構51の位置が第2位置のときに発光部44が発光する光を受光する。第2センサ42は、発光部44からの光を受光すると、受光したことを示す信号を制御装置60に出力する。
また、矢印X方向の第2センサ42より下方の位置には第3センサ43が設けられている。第3センサ43は、光を受光する受光センサである。第3センサ43は、爪機構51の位置が第3位置であることを検出するためのセンサである。爪機構51が搬送台車12の溝14に挿入されている状態(図9および図10の状態)のとき、爪機構51は第3位置に位置している。爪機構51の位置が第3位置のときは、発光部44が第3センサ43に対向する位置に位置する。すなわち、第3センサ43は、爪機構51の位置が第3位置のときに発光部44が発光する光を受光する。第3センサ43は、発光部44からの光を受光すると、受光したことを示す信号を制御装置60に出力する。
図4は、爪機構51を説明するための説明図である。図4に示すように、爪機構51は、基台59を備える。基台59には、回動軸心58(図5を参照)を回転軸とした爪55と爪56が設けられている。すなわち爪機構51は、爪55と爪56を備える。爪55は、爪56の両側に一対備えられる。くさび46が挿入されると、爪55は回動軸心58を回転中心として一方向に回転し、爪56は回動軸心58を回転中心として一方向とは反対方向に回転することで、爪が開放される。回動軸心58は、溝14の長手方向に沿った軸心を有する。なお、実施形態において、爪55と爪56は、焼き入れをした鉄で形成される。
また、爪機構51は、基台59の両側部にサイド基台52を備える。サイド基台52は、下方に延出しており、延出した下端部には、カムフォロワ54(回転機構)が軸53にて取り付けられている。すなわち爪機構51は、カムフォロワ54を備える。カムフォロワ54は、軸53を中心に回転可能な車輪である。カムフォロワ54の下端部は、爪55の下端部55cおよび爪56の下端部56cより下方に突出している。
爪機構51が矢印X方向に下降すると、爪機構51のうち、少なくともカムフォロワ54と爪55と爪56は、搬送台車12に形成された溝14に挿入される(実際には、後述する図7の状態から図8の状態を経て図9の状態となる)。また、爪機構51が矢印X方向に上昇すると、挿入されたカムフォロワ54と爪55と爪56は上昇して、溝14から抜き出る。
次に、爪55および爪56について説明する。図5は、くさび46が挿入される前の爪55と爪56の位置関係を説明するための図である。図6は、くさび46が挿入された状態の爪55と爪56の位置関係を説明するための図である。図5に示すように、爪55と爪56は、一つの回動軸心58によって回転可能に支持されている。爪55は、回動軸心58を中心に時計方向(一方向)に回転可能である。爪56は、回動軸心58を中心に反時計方向(一方向とは反対方向)に回転可能である。爪55は、力点部55a(一端部)と作用部55b(他端部)を有する。また、爪56は、力点部56a(一端部)と作用部56b(他端部)を有する。
また、くさび46は、爪55および爪56に同時に挿入可能な、長手方向に幅広い形状であり、かつ下側の先端部に尖った形状の先端部46Sを有する。
図5における爪55と爪56は、閉止した状態である。この状態において、爪55と爪56の上部には微小な隙間Pが形成されていることが望ましい。くさび46が下降した場合、先端部46Sが隙間Pに挿入することで、くさび46が爪55と爪56との間に挿入され易くなる。
図6は、くさび46が爪55と爪56との間に挿入され、爪55と爪56が開放した状態を示す。具体的には、くさび46が下降して先端部46Sが爪55と爪56との間の隙間Pに挿入される力によって、爪55の力点部55aと爪56の力点部56aがそれぞれ外側方向に押し出される。すると爪55と爪56は回動軸心58を中心に相互に反対方向に回転する。すると、爪55の作用部55bと爪56の作用部56bは、相互に離間する方向に移動する。このようにして爪55と爪56は開放される。くさび46が爪55と爪56から抜かれると、爪55と爪56は、バネ57の付勢力によって閉止位置に戻る。
ここからは、同期機構31の動きについて説明する。同期機構31は、爪機構51が搬送台車12から離間した第1位置に位置する状態、爪機構51が搬送台車12の表面12aに当接した第2位置に位置する状態、爪機構51が搬送台車12の溝14に挿入された第3位置に位置する状態(図9の状態)、第3位置において爪機構51が溝14の中で開放した状態(図10の状態)の4つの状態に変化させる。なお、図7~図10において、同期機構31は、溝14aと接続されるとして以降説明する。
図7では、爪機構51が第1位置に位置している。具体的には、図7の状態は、爪機構51が搬送台車12から離間して位置する状態である。可動部45がシリンダ32にほぼ収納され、爪機構51は、搬送台車12から矢印X方向上方に離間した第1位置に位置している。この状態で、同期機構31は、搬送台車12に接続されていない。すなわち、同期台車22は、搬送台車12に接続されていない。またこの状態で、第1センサ41が発光部44から発光された光を受光する。
図8では、爪機構51が第2位置に位置している。具体的には、図8の状態は、爪機構51が搬送台車12の表面12aに当接している状態である。すなわち、図7の状態から可動部45がシリンダ32から矢印X方向下方に突出する。すると、第2基板36が矢印X方向下方に移動する。すると、コイルバネ38の付勢力によって、可動軸35、ストッパ37、保持部39、連結部40、爪機構51が矢印X方向下方向きの力を受けて矢印X方向下方に移動し、爪機構51は、搬送台車12の表面12aに当接する。この状態で、同期機構31は、搬送台車12に接続されていない。すなわち、同期台車22は、搬送台車12に接続されていない。またこの状態で、第2センサ42は、発光部44から発光された光を受光する。
ここで、爪機構51が表面12aに当接する位置は、搬送台車12の移動方向(矢印L1方向)に対し、溝14aより手前側(図8における溝14aより矢印L1方向右側)である。その後、搬送台車12が矢印L1方向に移動することで、溝14aは、搬送台車12に当接された爪機構51に近づく。
また、爪機構51が搬送台車12の表面12aに当接すると、カムフォロワ54の下端部が表面12aに当接する。しかしながら、爪55および爪56は、表面12aから矢印X方向上方に離間した位置に保持され、表面12aには接触していない。そのため、爪機構51が搬送台車12の表面12aに当接した後に、搬送台車12が矢印L1方向に移動しても、爪55および爪56は搬送台車12と摺動しないため、爪55および爪56によって表面12aが削られることがない。
図9では、爪機構51が第3位置に位置している。具体的には、図9の状態は、爪機構51が溝14aに挿入されている状態である。すなわち、図8の状態からさらに搬送台車12が矢印L1方向に搬送され、可動軸35、ストッパ37、保持部39、連結部40、爪機構51が、自重およびコイルバネ38の矢印X方向下向きの付勢力によって落下し、カムフォロワ54、爪55および爪56が溝14aに挿入される。シリンダ32、筐体33、第1基板34、可動軸35、第2基板36、ストッパ37、コイルバネ38、保持部39、連結部40、可動部45等が、爪55および爪56を溝14aに挿入する第1挿入機構に相当する。また、溝14a内に挿入されたカムフォロワ54は、溝14aの底面14Bに当接する。この状態で、第3センサ43は、発光部44から発光された光を受光する。
溝14a内に挿入された図9の状態で、爪55および爪56は、まだいずれも閉止状態である。そのため、爪55の作用部55bおよび爪56の作用部56bと、いずれも搬送台車12の移動方向に対面する側面であって、溝14aの一側面14aL(周縁部)、他側面14aR(周縁部)との間に隙間がある。そのため、この状態では、搬送台車12と同期台車22間には、搬送台車12の移動方向のガタつきが発生する可能性がある。なお、挿入した状態(図9の状態)の爪機構51の作用部55bおよび作用部56bと、溝14aの一側面14aL、他側面14aRとの間に隙間があるのは、爪機構51を溝14に挿入する際に、溝14の周囲が削れるのを防止するためである。
図10は、図9の状態から可動部45がシリンダ32から矢印X方向下方にさらに突出し、可動部45に取り付けられている第2基板36、および第2基板36に取り付けられているくさび46が矢印X方向下方にさらに下降した状態を示す。そして下降したくさび46の先端部46Sは、爪55と爪56の隙間Pに挿入される。シリンダ32、第2基板36、可動部45等が、くさび46を爪55と爪56の隙間Pに挿入するための第2挿入機構に相当する。くさび46の先端部46Sが隙間Pに挿入されると、爪55と爪56はともに回動軸心58を中心に回転して、溝14aの一側面14aLおよび他側面14aRに向けて開放される。すなわち、くさび46の先端部46Sが隙間Pに挿入されると、爪55の作用部55bは、回動軸心58を中心に時計方向に回転して、溝14aの一側面14aLに当接する。また、爪56の作用部56bは、回動軸心58を中心に反時計方向に回転して、溝14aの他側面14aRに当接する。爪55と爪56が溝14aの両側面に当接した状態が、複数の爪のそれぞれを、凹部(溝14a)の周縁部(一側面14aLおよび他側面14aR)との距離が閾値以下となるまで前記凹部の周縁部に向けて開放させた状態である。このように、爪55と爪56が溝14aの両側面に当接することにより、同期機構31は、搬送台車12と同期台車22との間の、搬送台車12の移動方向のガタつきを発生させることなく接続する。また、同期台車22は、同期機構31によって、搬送台車12とガタつきなく接続される。
ここからは、同期台車22および設備23を制御する制御装置60について説明する。図11は、制御装置60のハードウェア構成を示すブロック図である。図11に示すように、制御装置60は、CPU(Central Processing Unit)61、ROM(Read Only Memory)62、RAM(Random Access Memory)63、メモリ部64等を備えている。CPU61は制御主体となる。ROM62は各種プログラムを記憶する。RAM63はプログラムや各種データを展開する。メモリ部64は各種プログラムを記憶する。CPU61、ROM62、RAM63、メモリ部64は、互いにバス65を介して接続されている。CPU61とROM62とRAM63が、制御部600を構成する。すなわち、制御部600は、CPU61がROM62やメモリ部64に記憶されRAM63に展開された制御プログラムに従って動作することによって、後述する制御装置60の制御処理を実行する。
メモリ部64は、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disc Drive)、フラッシュメモリ等で構成されており、電源を遮断しても記憶内容を維持する。メモリ部64は、制御プログラム部641を備える。制御プログラム部641は制御装置60を制御するための制御プログラムを記憶する。
制御部600は、バス65とコントローラ66を介して、ホームセンサ71、第1センサ41、第2センサ42、第3センサ43、シリンダ駆動部75、搬送モータ76、アーム駆動部77と接続する。
ホームセンサ71は、同期台車22がホームポジションに位置していることを検出する。第1センサ41は、発光部44が第1センサ41に対向する位置に位置する(すなわち、爪機構51が第1位置に位置する)ことを検知する。第2センサ42は、発光部44が第2センサ42に対向する位置に位置する(すなわち、爪機構51が第2位置に位置する)ことを検知する。第3センサ43は、発光部44が第3センサ43に対向する位置に位置する(すなわち、爪機構51が第3位置に位置する)ことを検知する。
シリンダ駆動部75は、シリンダ32に通電し、可動部45を矢印X方向に上下動させる。搬送モータ76は、駆動ローラ26を回転させて、同期台車22をホームポジションまで搬送する。アーム駆動部77は、移動アーム27aおよびロボットアーム27を駆動させる。
ここからは、制御装置60の制御について説明する。図12は、同期台車22を制御する制御装置60の制御処理の流れを示すフローチャートである。図12に示すように、制御装置60の制御部600は、車体を載置した搬送台車12が所定位置にあるかを判断する(S11)。例えば、搬送台車12が所定位置に位置したことを検知する位置センサの出力を監視することで、制御部600は、搬送台車12が所定位置にあるかを判断する。搬送台車12が所定位置に位置するまで待機し(S11のNo)、搬送台車12が所定位置に位置していると判断した場合には(S11のYes)、制御部600は、シリンダ駆動部75を駆動させてシリンダ32に通電し、爪機構51の矢印X方向への下降を開始する(S12)。次に制御部600は、第2センサ42が発光部44を検知したか(すなわち、爪機構51が搬送台車12の表面12aに当接しているか(図8の状態か))を判断する(S13)。第2センサ42が発光部44を検知するまで爪機構51の下降を継続し(S13のNo)、第2センサ42が発光部44を検知したと判断した場合には(S13のYes)、制御部600は、爪機構51の矢印X方向への下降を停止する(S14)。
次に制御部600は、第3センサ43が発光部44を検知したか(すなわち、爪機構51が溝14aに挿入されているか(図9の状態か))を判断する(S15)。第3センサ43が発光部44を検知するまで待機し(S15のNo)、第3センサ43が発光部44を検知したと判断した場合には(S15のYes)、制御部600は、シリンダ駆動部75を駆動して可動部45を矢印X方向に下降させ、くさび46の矢印X方向への下降を開始する(S16)。そして制御部600は、所定時間だけくさび46を下降させてくさび46の下降を停止する(S17)。この状態で、爪55と爪56は、溝14aの両側面(一側面14aLと他側面14aR)に当接し、搬送台車12と同期台車22が接続される(図10の状態)。実施形態では、どのくらいの時間くさび46を下降すると爪55と爪56が溝14aの両側面に当接するか、予め計測されているため、制御部600は、当該時間だけくさび46を下降する。なお、例えば、作用部55bと作用部56bに圧力センサを付けて、圧力センサが爪55と爪56が溝14aの両側面に当接したことを検知した場合にS17の処理を実行してもよい。
次に制御部600は、アーム駆動部77を駆動させ、車体への作業を開始する(S18)。作業の内容と手順は、メモリ部64等に予め記憶されており、決められた手順に従ってアーム駆動部77を駆動する。アーム駆動部77が駆動すると、移動アーム27aとロボットアーム27が、部品の車体への組み込みに係る所定の作業を開始する。次に制御部600は、当該同期台車22が実行する一連の作業が終了したかを判断する(S19)。制御部600は、メモリ部64等に記憶されている作業をすべて実行した場合に、一連の作業が終了したと判断する。一連の作業が終了したと判断するまで待機し(S19のNo)、一連の作業が終了したと判断した場合には(S19のYes)、制御部600は、シリンダ駆動部75に通電し、可動部45(すなわち、爪機構51とくさび46)の矢印X方向への上昇を開始する(S20)。次に制御部600は、第1センサ41が発光部44を検知したか(すなわち、爪機構51が搬送台車12の表面12aから離間した第1位置に位置しているか(図7の状態か))を判断する(S21)。第1センサ41が発光部44を検知するまで爪機構51の上昇を継続し(S21のNo)、第1センサ41が発光部44を検知したと判断した場合には(S21のYes)、制御部600は、爪機構51およびくさび46の矢印X方向への上昇を停止する(S22)。この状態で、搬送台車12と同期台車22の接続が解除される。
次に制御部600は、搬送モータ76を駆動し、同期台車22をホームポジションに向けて移動を開始する(S23)。次に制御部600は、ホームセンサ71が同期台車22を検知したか(すなわち、同期台車22がホームポジションに戻ったか)を判断する(S24)。ホームセンサ71が同期台車22を検知するまで同期台車22のホームポジションへの移動を継続し(S24のNo)、ホームセンサ71が同期台車22を検知したと判断した場合には(S24のYes)、制御部600は、搬送モータ76の駆動を停止して、同期台車22の移動を停止する(S25)。この状態で、同期台車22はホームポジションに位置している。そして制御部600は、S11に戻り、次の搬送台車12が所定位置に位置するのを待つ。
以上説明したように、実施形態の同期機構31は、車体Cを載置して移動する搬送台車12と、車体の組み立てに用いる設備23を搭載した同期台車22とを着脱可能に接続し、同期台車22に設けられる同期機構31であって、それぞれが開閉可能であって、閉止状態のときに搬送台車12に設けられた溝14に挿入される爪55と爪56と、溝14に挿入された爪55と爪56の間に挿入されて爪55と爪56を開放状態とするくさび46、を備える。そして、くさび46が爪55と爪56の間に挿入されると、爪55と爪56が溝14内で開放状態となり、爪55および爪56が溝14に形成された一側面14aLと他側面14aRに当接する。したがって、接続した搬送台車12と同期台車22間にガタつきが生じない同期機構31を提供することができる。
また実施形態によれば、爪55と爪56の下端部55cと下端部56cより下方位置に、搬送台車12の移動方向に回転可能なカムフォロワ54を備える。そのため、カムフォロワ54が搬送台車12の表面12aに当接した状態で、爪55と爪56の下端部55cと下端部56cが表面12aから上方に離間しているため、爪55と爪56の下端部55cと下端部56cによって搬送台車12の表面12aが削られることがない。
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。
例えば、実施形態では、溝14を凹部の一例として説明した。しかしながらこれに限らず、凹部は、溝14以外に、例えば穴や窪みであってもよい。また実施形態では、略直方体状の溝14を一例として説明した。しかしながらこれに限らず、溝14や穴の形状は、爪機構51が挿入可能であれば略直方体以外の形状であってもよい。
また、実施形態では、爪55と爪56を、回動軸心58を中心に回転可能とした。しかしながらこれに限らず、爪55と爪56は、くさび46が挿入されたときに作用部55bと作用部56bが開放されるものであればよく、回動軸心58を中心に回転しないものであってもよい。
また、実施形態では、爪56の両側に爪55を備えた構造とした。しかしながらこれに限らず、爪は2本以上であれば何本でもよく、また、爪が開く方向に開放されるものであれば、開放する方向は問わない。例えば、爪は、放射状に外側に開放されるものであってもよい。
また、実施形態では、作用部55bと作用部56bと溝14の一側面14aLと他側面14aR(周縁部)との距離が閾値以下の一例として、作用部55bと作用部56bが一側面14aLと他側面14aRに当接すると説明した。しかしながらこれに限らず、例えば、閾値以下とは、作用部55bと作用部56bが一側面14aLと他側面14aRと圧接または密着している状態であってもよい。また、作用部55bと作用部56bが一側面14aLと他側面14aRとわずかに隙間が空いている状態も、作用部55bと作用部56bと溝14の一側面14aLと他側面14aR(周縁部)との距離が閾値以下であることに含まれる。作用部55bと作用部56bが一側面14aLと他側面14aRとわずかに隙間が空いている状態とは、例えば、ロボットアーム27を用いて自動車Cにボルトを締結する際に、搬送台車12と同期台車22との間で作業に影響がない程度にガタつきが軽減された状態をいう。
また、実施形態では、カムフォロワ54の位置を爪55と爪56の下端部55cと下端部56cより下方に形成した。しかしながらこれに限らず、カムフォロワ54の位置を爪55と爪56の下端部55cと同高さの位置に形成してもよい。また、カムフォロワ54は必須の構成ではない。
また、実施形態では、車体Cを搬送台車12に載置される物体の一例として説明した。しかしながらこれに限らず、物体は、搬送台車12に載置されたものであって、同期台車22を接続して組み立てるものであれば何でもよい。