JP7159560B2 - 車載機器制御装置、および車載機器制御方法 - Google Patents
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A.装置構成 :
図1には、本実施例の車載機器制御装置100を搭載した車両1が示されている。図1(a)に示されるように、本実施例の車載機器制御装置100は、可倒式のドアミラー10に接続されており、ドアミラー10に内蔵された電動モーターを駆動することによって、ドアミラー10の動作を制御している。
図1(b)には、ドアミラー10の大まかな構造が示されている。ドアミラー10は、車両1の側面から突設された支持ステー10sの上に、本体ボディー10bが取り付けられて、支持ステー10sの上で本体ボディー10bが回動可能な構造となっている。
本体ボディー10bの内部には電動モーター10mが組み込まれており、電動モーター10mは2本の電気配線11によって車載機器制御装置100に接続されている。このため、車載機器制御装置100は、2本の電気配線11を用いて正極性の駆動電圧を印加して電動モーター10mを正方向に回転させ、あるいは負極性の駆動電圧を印加して電動モーター10mを負方向に回転させることによって、本体ボディー10bを倒したり起こしたりすることが可能となっている。図1(b)では、倒した状態の本体ボディー10bが破線によって表され、起こした状態の本体ボディー10bが実線によって表されている。
尚、以下では、破線のように本体ボディー10bを倒した状態を「収納状態」と称し、実線のように本体ボディー10bを起こした状態を「使用状態」と称するものとする。更に、本体ボディー10bが収納状態あるいは使用状態となって、支持ステー10sのストッパーに当接した状態を、「ロック状態」と称するものとする。
加えて、電動モーター10mへの駆動電圧は、電気配線11を介して印加しているので、電気配線11で生じた配線異常(例えば、断線や短絡など)を検知可能なことが望ましい。そこで、本実施例の車載機器制御装置100は、次のような内部構造を採用している。
そして、スイッチSW1HとスイッチSW1Lとの間から電気配線11が引き出されて、電動モーター10mの一方の端子(図示は省略)に接続されている。同様に、スイッチSW2HとスイッチSW2Lとの間からも電気配線11が引き出されて、電動モーター10mの他方の端子(図示は省略)に接続されている。
尚、これらの「部」は、車載機器制御装置100が、ドアミラー10でロック状態が発生したことや、配線異常が発生したことを検知する機能に着目して、車載機器制御装置100の内部を便宜的に分類した抽象的な概念であり、車載機器制御装置100がこれらの「部」に物理的に区分されることを表すものではない。従って、これらの「部」は、CPUで実行されるコンピュータープログラムとして実現することもできるし、LSIやメモリーを含む電子回路として実現することもできるし、更にはこれらを組合せることによって実現することもできる。
また、スイッチSW1HをOFF、スイッチSW1LをONとして、スイッチSW2HをON、スイッチSW2LをOFFにすると、今度は図中で一点鎖線の矢印で示したように、電源Vから、スイッチSW2H、電動モーター10m、スイッチSW1Lを通って、グランドGNDに電流が流れる。更に、スイッチSW1H、スイッチSW1L、スイッチSW2H、スイッチSW2LをOFFにすれば、電動モーター10mには電流が流れなくなる。
このように、駆動電圧印加部101は、スイッチSW1H、スイッチSW1L、スイッチSW2H、スイッチSW2Lを、ONまたはOFFの何れかの状態に切り換えることによって、電動モーター10mに正極性または負極性の駆動電圧を印加したり、駆動電圧の印加を停止したりすることができる。
電気配線11で断線が発生した場合にも同様な事情が存在する。電気配線11が断線すると、電流計A1および電流計A2には電流が流れなくなる。当然、電気配線11が断線していない場合は、駆動電圧の印加に伴って電流計A1または電流計A2で電流が検出されるから、電流計A1および電流計A2で電流が検知されるか否かに基づいて、電気配線11が断線しているか否かを判断可能なように思われる。しかし実際には、以下のような理由から、電気配線11が断線しているか否かを判断することも困難である。
その後、ドアミラー10の本体ボディー10bが回動している間は、電動モーター10mには大きな負荷は掛からないので、モーター電流の電流値も比較的小さな値となっている。そして、やがて本体ボディー10bがストッパーに当接して、それ以上には回動できないロック状態となると、電動モーター10mの負荷が大きくなって、モーター電流の電流値が増加する。従って、図3中に破線で示したように、予め適切なロック状態判定閾値を設定しておき、モーター電流の電流値が、このロック状態判定閾値を超えたらロック状態になったものと判断することができる。
これに対して、バッテリーが新しいなどの理由で電圧値が高いか、あるいは車両1の雰囲気温度が低い場合には、図3中に一点鎖線で示したように、ロック状態でのモーター電流の電流値は大きくなる。また逆に、バッテリーが古いなどの理由で電圧値が低いか、あるいは車両1の雰囲気温度が高い場合には、図3中に二点鎖線で示したように、ロック状態でのモーター電流の電流値は小さくなる。
そして、そうして決まったロック状態判定閾値に対して、図3中に二点鎖線で示した低電圧または高温時の電流値が、閾値を超えているか否かを判断する必要がある。図中に二点鎖線で示したように、低電圧または高温時は電流値が小さくなるから、電流値がロック状態判定閾値を超えたか否かを判断するためには、ロック状態判定閾値の周辺の電流値を十分な分解能で検出する必要が生じる。すると、電流値の検出可能範囲を十分に広い範囲に設定することが出来なくなり、その結果、図3中に一点鎖線で示した高電圧または低温時の電流値は、検出可能なレンジの上限近くの値となってしまう。そして、検出された電流値が検出可能なレンジを超えたときに、例えば、高電圧で且つ低温のように悪い条件が重なって電流値が増加したのか、それとも、電気配線11が短絡したのかを判断することができなくなる。このような理由から、電流値を検出しても、電気配線11の短絡発生を検知することは困難である。
計時部104は、電動モーター10mに駆動電圧が印加されると、印加の継続時間を計時して、配線異常検知部105に出力する。また、配線異常検知部105は、モーター電流検出部102から電流値を取得する。そして、印加の継続時間が所定の検知時間に達すると、モーター電流検出部102から取得した電流値を、所定の配線異常判断閾値と比較することによって、電気配線11での配線異常の有無を検知する。
以下では、本実施例の車載機器制御装置100が配線異常の有無を検知するメカニズム、および配線異常の有無を検知する具体的な処理について説明する。
図4および図5には、車載機器制御装置100が車載機器(本実施例ではドアミラー10)の動作を制御する車載機器制御処理のフローチャートが示されている。
図4に示すように、車載機器制御処理では、先ず初めに、本体ボディー10bの移動が指示されたか否かを判断し(S100)、本体ボディー10bの移動が指示された場合には(S100:yes)、本体ボディー10bの位置を取得する(S101)。
続いて、本体ボディー10bが、指示された方向に移動可能か否かを、本体ボディー10bの位置と、移動が指示された方向とに基づいて判断する(S102)。
例えば、図1(b)に破線で示したように、本体ボディー10bが倒れた状態(すなわち、収納状態)では、本体ボディー10bを更に倒す方向に移動させようとしても、既にロック状態となっているので、逆方向(すなわち、本体ボディー10bを起こす方向)でなければ動かない。また逆に、図1(b)に実線で示したように、本体ボディー10bが起きた状態(すなわち、使用状態)では、本体ボディー10bを更に起こす方向に移動させようとしても、既にロック状態となっているので、本体ボディー10bを倒す方向でなければ動かない。
尚、本体ボディー10bがその指示方向に移動可能か否かを判定した結果(S102)、本体ボディー10bが指示方向に移動可能でない場合(S101:no)には、移動が新たに指示されるまで待機状態となる。
続いて、継続時間が、突入終了時間に達したか否かを判断する(S105)。ここで、突入終了時間とは、駆動電圧の印加時に流れる突入電流が収まるまでに要する時間である。すなわち、図3を用いて前述したように、駆動電圧の印加時には瞬間的に大きな突入電流が流れるので、この突入電流を、電気配線11の短絡によるものと誤判断することがないように、突入電流が収まるまで待つこととしているのである。
図6には、本実施例で用いた突入終了時間の決め方が示されている。図示されるように、駆動電圧を印加してから、突入電流がピーク値の半分になるまでに要する半減時間よりは長く、且つ、半減時間の5倍よりは短い範囲の中から選択した適切な時間が、突入終了時間に設定されている。
そして、突入終了時間に達した場合は(S105:yes)、突入電流も収まったと考えられるので、モーター電流の電流値を検出する(S106)。
尚、本実施例では、突入終了時間の経過を待って(S105:yes参照)、モーター電流の電流値を検出している(S106参照)。このため、図6に例示したように、短絡判断閾値を突入電流よりも低い値に設定することができる。その結果、車両1のバッテリーが古い等の理由で、短絡時の電流値が低くなった場合でも、短絡の発生を精度良く検知することが可能となる。
前述したように、印加の継続時間が突入終了時間に達した直ぐ後に、ロック状態になることは通常は無いから、S110では「no」と判断されて、続いて、印加の継続時間が、所定の可動超過時間に達したか否かを判断する(S111)。ここで、可動超過時間とは、可動範囲の一方の限界に存在する可動部(本実施例では本体ボディー10b)を、可動範囲の他方の限界まで、余裕を持って移動させることが可能な時間である。本実施例では、図1(b)中に破線で示したように「収納状態」にある本体ボディー10bを、図1(b)中に実線で示したように「使用状態」まで、余裕を持って起こすことが可能な時間、あるいは逆に、「使用状態」にある本体ボディー10bを「収納状態」まで余裕を持って倒すことが可能な時間な時間である。また、収納状態から使用状態に起こすまでに要する時間と、使用状態から収納状態に倒すまでに要する時間とが異なる場合は、何れか長い方の時間よりも長い時間に設定されている。
そこで、図5のS111では「no」と判断されて、モーター電流の電流値を検出した後(S112)、S110に戻って再び、モーター電流の電流値がロック状態判断閾値よりも大きいか否かを判断する(S110)。
このような判断を繰り返している間も、電動モーター10mには駆動電圧が印加されているので、本体ボディー10bが移動する。そして、通常は、印加の継続時間が可動超過時間に達する前に、本体ボディー10bが図示しないストッパーに当接してロック状態となって、モーター電流の電流値が増加する。その結果、電流値がロック状態判断閾値よりも大きいと判断される(S110:yes)。
そこで、この場合は、ロック状態になった判断して、電動モーター10mへの駆動電圧の印加を停止した後(S113)、処理の先頭に戻って、本体ボディー10bの移動が指示されたか否かを判断する(図4のS100)。
そして、モーター電流の電流値が断線判断閾値よりも小さかった場合は(S114:yes)、電気配線11で断線が発生したものと判断して、電動モーター10mへの駆動電圧の印加を停止する(S115)。
尚、断線発生の有無は、本体ボディー10bが移動中(すなわち、突入電流の終了後からロック状態となるまで)のモーター電流の電流値ではなく、可動超過時間が経過した時点での電流値に基づいて検出する。従って、本体ボディー10bが移動中の電流値と、断線判断閾値とを比較するわけではないので、モーター電流の検出可能範囲内に余裕を持って、断線判断閾値を設定しておくことができ、断線の有無を精度良く検出することが可能となる。
ここで、モーター電流の電流値が断線判断閾値よりも大きかった場合に(S114:no)、バッテリーの消耗によって電動モーター10mが駆動できなくなっていると判断する理由は、次のようなものである。先ず、モーター電流の電流値が断線判断閾値よりも大きいか否かを判断している(S114)ということは、ロック状態にならないまま(S110:no)、電動モーター10mへの駆動電圧の印加時間が可動超過時間に達した(S111:yes)ということである。
それにも拘わらず、モーター電流の電流値が断線判断閾値よりも大きい(S114:no)ということは、少なくともモーター電流は流れているので、電気配線11が断線しているわけではない。従って、図8に概念的に示したように、実際には、なんとか本体ボディー10bがロック状態になっているが、バッテリーの電圧が低下したために、ロック状態になってもモーター電流の電流値が十分に増加していないものと考えられる。
図5のS117では、このような理由から、バッテリーの消耗したものと判断して、駆動電圧の印加を停止している。
加えて、電動モーター10mに駆動電圧を印加してからの経過時間を計時して、所定の検知時間での電流値を検出しておけば良く、例えば、電動モーター10mの回転中と断線時との電流値の差を検出したり、あるいはロック状態と短絡時との電流値の差を検出したりする必要がない。このため、ロック状態しているか否か、あるいは電気配線の短絡や、断線の発生の有無を、簡単に検知することが可能となる。
10m…電動モーター、 11…電気配線、 100…車載機器制御装置、
101…駆動電圧印加部、 102…モーター電流検出部、
103…ロック状態検知部、 104…計時部、 105…配線異常検知部。
Claims (3)
- 可動範囲内で移動可能に設けられた可動部(10b)と、該可動部を駆動する電動モーター(10m)とを備えた車載機器(10)に適用されて、前記車載機器の動作を制御する車載機器制御装置(100)であって、
前記電動モーターに駆動電圧を印加する駆動電圧印加部(101)と、
前記駆動電圧が印加されることによって前記電動モーターに流れるモーター電流を検出するモーター電流検出部(102)と、
前記モーター電流の電流値を所定のロック状態判断閾値と比較することによって、前記可動部が前記可動範囲の限界まで移動したロック状態の発生有無を検知するロック状態検知部(103)と、
前記電動モーターに対して前記駆動電圧の印加を開始した後、該印加の継続時間を計時する計時部(104)と、
前記印加の継続時間が、前記可動部を前記可動範囲の一方の限界から他方の限界まで移動させるために要する時間よりも長い時間に設定された可動超過時間に達した時点での前記モーター電流の電流値を所定の断線判断閾値と比較することによって、前記電動モーターに前記駆動電圧を印加する電気配線での配線異常の有無を検知する配線異常検知部(105)と
を備え、
前記配線異常検知部は、
前記可動超過時間に達した時点での前記モーター電流の電流値が、前記断線判断閾値よりも小さい場合は、前記電気配線での断線が発生したものと判断し、
前記モーター電流の電流値が前記断線判断閾値よりも大きいが、前記ロック状態判断閾値よりは小さい場合は、前記駆動電圧を発生させるバッテリーが消耗したものと判断する
ことを特徴とする車載機器制御装置。 - 請求項1に記載の車載機器制御装置であって、
前記配線異常検知部は、前記駆動電圧を印加したときの突入電流が半減するまでに要する半減時間よりも長く、且つ、前記半減時間の5倍よりも短い時間に設定された突入終了時間に達した時点での前記モーター電流の電流値が、所定の短絡判断閾値よりも大きかった場合には、前記電気配線で短絡 が発生したものと判断する
ことを特徴とする車載機器制御装置。 - 可動範囲内で移動可能に設けられた可動部(10b)と、該可動部を駆動する電動モーター(10m)とを備えた車載機器(10)に適用されて、前記車載機器の動作を制御する車載機器制御方法であって、
前記電動モーターに駆動電圧を印加する工程(S103)と、
前記電動モーターに対して前記駆動電圧の印加を開始した後、該印加が継続する継続時間の計時を開始する工程(S104)と、
前記駆動電圧が印加されることによって前記電動モーターに流れるモーター電流を検出する工程(S106、S112)と、
前記モーター電流の電流値を所定のロック状態判断閾値と比較することによって、前記可動部が前記可動範囲の限界まで移動したロック状態の発生有無を検知する工程(S113)と、
前記印加の継続時間が、前記可動部を前記可動範囲の一方の限界から他方の限界まで移動させるために要する時間よりも長い時間に設定された可動超過時間に達した時点での前記モーター電流の電流値を所定の断線判断閾値と比較することによって、前記電動モーターに前記駆動電圧を印加する電気配線での配線異常の有無を検知する工程(S114)と
を備え、
前記配線異常の有無を検知する工程は、
前記可動超過時間に達した時点での前記モーター電流の電流値が、前記断線判断閾値よりも小さい場合は、前記電気配線での断線が発生したものと判断し、
前記モーター電流の電流値が前記断線判断閾値よりも大きいが、前記ロック状態判断閾値よりは小さい場合は、前記駆動電圧を発生させるバッテリーが消耗したものと判断する
ことを特徴とする車載機器制御方法。
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