以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
[参考例]
図1~図4を参照して、参考例によるダイカストマシン100に設けられる成形機用可動足場装置101の構成について説明する。なお、ダイカストマシン100は、特許請求の範囲の「成形機」の一例である。
以下の説明では、水平方向のうちの移動金型M1の移動方向をX方向として説明する。X方向のうち固定金型M2側から移動金型M1側を向く方向をX1方向とし、その逆方向をX2方向として説明する。なお、X方向は、特許請求の範囲の「第1方向」の一例である。
また、以下の説明では、水平方向のうちのX方向に直交する方向をY方向として説明する。Y方向のうちダイカストマシン100側から成形機用可動足場装置101の後述する足場本体1側を向く方向をY2方向とし、その逆方向をY1方向として説明する。また、上下方向をZ方向として説明する。なお、Y方向は、特許請求の範囲の「第2方向」の一例である。
ダイカストマシン100および成形機用可動足場装置101は、それぞれ、成形システムSの一構成要素である。成形システムSは、ダイカストマシン100および成形機用可動足場装置101に加えて、構成要素として、制御盤102と、安全柵103とを備えている。制御盤102は、ダイカストマシン100および成形機用可動足場装置101に制御信号s1を送信して、ダイカストマシン100および成形機用可動足場装置101の駆動を制御するように構成されている。また、制御盤102は、操作部(図示せず)を含んでおり、操作部を介して、ダイカストマシン100および成形機用可動足場装置101を駆動させるための作業者(オペレイタ―)からの操作を受け付けるように構成されている。
安全柵103は、ダイカストマシン100および成形機用可動足場装置101を取り囲むように設けられている。制御盤102は、安全柵103の外側に設けられている。成形システムSは、安全柵103の内側に作業者がいる場合には、制御盤102によるダイカストマシン100および成形機用可動足場装置101の駆動を制限するように構成されている。
たとえば、安全柵103の作業者が出入りする扉(図示せず)には、扉の開閉を検知する開閉センサ(図示せず)が設けられており、成形システムSは、この開閉センサをインターロックに用いるように構成されている。すなわち、成形システムSは、開閉センサにより扉が開かれていると判断した場合には、安全柵103の内側に作業者がいるとして、制御盤102により、ダイカストマシン100および成形機用可動足場装置101の駆動を制限するように構成されている。
(ダイカストマシンの概略構成)
図1に示すダイカストマシン100は、移動金型M1を固定金型M2に対してX方向に移動させて成形を行う横型の成形機である。ダイカストマシン100は、金型M(移動金型M1および固定金型M2の合わせ面に形成されたキャビティ)内に液状金属(溶湯)を射出して凝固させることにより成形品を製造するように構成されている。
ここで、本実施形態におけるダイカストマシン100は、一般的なダイカストマシンよりも大型の装置である。すなわち、ダイカストマシン100は、取り付けられている金型Mのキャビティに、ダイカストマシン100の外側(移動金型M1と固定金型M2とが対向する領域Rの外側)に位置する作業者の手が届かない(届きにくい)程度の大きさを有している。
ダイカストマシン100は、マシン本体111と、マシン本体111のX2方向側に設けられる射出装置112と、マシン本体111のX1方向側に設けられる型締め装置113とを備えている。なお、図1(後述する図2、図5、図9も同様)では、射出装置112および型締め装置113を模式的に描いている。
マシン本体111は、移動金型M1が取り付けられる移動ダイプレート111aと、固定金型M2が取り付けられる固定ダイプレート111bとを含んでいる。移動ダイプレート111aおよび固定ダイプレート111bは、共に、X方向に直交する方向に延びる平板形状を有している。
マシン本体111には、X方向に延びる丸棒形状を有し、移動ダイプレート111aの移動をガイドする複数(4本)のタイバーTが設けられている。複数のタイバーTは、移動ダイプレート111aおよび固定ダイプレート111bの四隅近傍にそれぞれ配置されている。複数のタイバーTは、金型Mを取り囲むように、金型Mの外側に配置されている。移動ダイプレート111aは、固定ダイプレート111bのX1方向側でタイバーTにガイドされてX方向に往復移動するように構成されている。
射出装置112は、プランジャ(図示せず)と、油圧などによりプランジャを駆動するプランジャ駆動部(図示せず)とを含んでいる。射出装置112は、プランジャ駆動部により駆動されたプランジャによって、型締め状態(移動ダイプレート111aと固定ダイプレート111bとが近接して、移動金型M1と固定金型M2とが接触している状態)にある金型M内のキャビティに溶湯を射出するように構成されている。
型締め装置113は、固定ダイプレート111bに対して移動ダイプレート111aをX方向に移動させることにより、ダイカストマシン100を型締め状態と型開き状態(移動金型M1と固定金型M2とが所定距離だけ離間している状態)とに移行(変更)するように構成されている。型締め装置113は、トグル機構を含んでいる。
ここで、作業者は、成形時に金型Mのキャビティ内に金属(固まった溶湯の残留物)が付着するため、ダイカストマシン100に取り付けられた金型Mに対してキャビティ内の金属を取り除くなどのメンテナンス作業を定期的に行う必要がある。メンテナンス作業は、ダイカストマシン100に金型Mが取り付けられた状態で行われる。そこで、上記の通り、本実施形態のダイカストマシン100は一般的なダイカストマシンよりも大型の装置であることから、メンテナンス作業のために成形機用可動足場装置101が用いられる。
(成形機用可動足場装置の構成)
図1に示すように、成形機用可動足場装置101は、足場本体1と、足場部材2と、支持部3と、進退駆動装置4と、制御部5とを備えている。
足場本体1は、平面視(Z方向から見て)で、固定金型M2と移動金型M1とが対向する領域Rの外側(Y2方向側)に固定的に配置されている。足場部材2は、足場本体1に設けられ、足場本体1からY方向に進退移動可能な作業者の足場となる部材である。進退駆動装置4は、平面視で型開き状態の固定金型M2と移動金型M1とが対向する領域Rに進入する進入位置と、足場本体1の近傍(平面視で内側)の退避位置(図2参照)とに、足場本体1から足場部材2を進退移動させるように構成されている。
なお、進入位置とは、金型Mのメンテナンス作業を行う際の足場部材2の位置である。また、退避位置とは、金型Mのメンテナンス作業が完了して、ダイカストマシン100による成形を行う際の足場部材2の位置であり、ダイカストマシン100による金型Mの移動の妨げとならないような足場部材2の位置である。
〈足場本体の構成〉
図1に示すように、ダイカストマシン100に設けられる足場本体1は、板状部材11と、板状部材11を下方から支持する支柱部材12(図3参照)とを含んでいる。
板状部材11は、平面視でX方向およびY方向に沿って延びる各辺を有する矩形の平板形状に形成されている。板状部材11の上面には、作業者が乗った際に滑ることがないように凹凸状の滑り止めが設けられている。板状部材11の上面は、ダイカストマシン100の周りに設けられる作業床F(図1参照)よりも一段高い位置に配置されている。板状部材11の下方側(足場本体1の内側)には、足場部材2を収納(配置)する収納空間が設けられている(図3参照)。なお、この収納空間が足場部材2の退避位置となる。
支柱部材12は、所定の高さ位置に板状部材11を支持している。詳細には、支柱部材12は、板状部材11の上面が、下方側のタイバーTの下端位置と略同じ高さ位置となるように、板状部材11を支持している。
〈足場部材の構成〉
図4に示すように、足場部材2は、足場本体1に設けられ、足場本体1からY方向に進退移動可能な作業者の足場となる部分である。
足場部材2は、第1足場部材21と、第2足場部材22とを含んでいる。
第1足場部材21および第2足場部材22は、2段はしごのように、足場本体1からY方向に2段階で進退移動するように構成されている。すなわち、退避位置から進入位置に移動する際には、第1足場部材21は、足場本体1からY1方向に突出するように移動し、第2足場部材22は、第1足場部材21から更にY1方向に突出するように移動する。逆に、進入位置から退避位置に移動する際には、第1足場部材21は、足場本体1に収納されるようにY2方向に移動し、第2足場部材22は、第1足場部材21に収納されるようにY2方向に移動する。
図1に示すように、第1足場部材21は、平面視でX方向およびY方向に沿って延びる各辺を有する矩形状に形成されている。第1足場部材21は、平面視で足場本体1よりも一回り小さく形成されている。第1足場部材21は、Y1方向端部が開放された(Y1方向端部に開口部が設けられた)中空の箱型形状を有している。この開口部により、第1足場部材21は、第2足場部材22を内側からY1方向に突出させることができる。第1足場部材21の上面には、作業者が乗った際に滑ることがないように凹凸状の滑り止めが設けられている。
X方向における第1足場部材21の大きさは、型開き状態の移動金型M1と固定金型M2との間の距離よりも小さい。X方向において、第1足場部材21は、型開き状態の移動金型M1の合わせ面(X2方向側の端面)よりもX2方向側に配置されているとともに、固定金型M2の合わせ面(X1方向側の端面)よりもX1方向側に配置されている。すなわち、第1足場部材21は、進入位置において、平面視で移動金型M1と固定金型M2との間に配置されている。
図4に示すように、第1足場部材21は、進退駆動装置4(後述する第1エアシリンダ41)によりY方向に進退移動されるように構成されている。すなわち、第1足場部材21は、進退駆動装置4により進入位置と退避位置とに移動されるように構成されている。なお、第1エアシリンダ41は、特許請求の範囲の「エアシリンダ」の一例である。
第1足場部材21は、進入位置において、平面視で、Y2方向側(金型M側)に足場本体1から突出して配置されている。また、第1足場部材21は、退避位置において足場本体1の内側に収容(配置)されている(図2参照)。
第1足場部材21は、退避位置から進入位置に移動する際に、タイバーTの下側を移動するように構成されている。第1足場部材21の上面は、下方側のタイバーTの下端位置よりも僅かに低い高さ位置に配置されている。詳細には、第1足場部材21の上面は、下方側のタイバーTに接触しない状態で、下方側のタイバーTの下端位置と略同じ高さ位置に配置されている。
図1に示すように、第2足場部材22は、平面視でX方向およびY方向に沿って延びる各辺を有する矩形状に形成されている。第2足場部材22は、平面視で第1足場部材21よりも一回り小さく形成されている。第2足場部材22の上面には、作業者が乗った際に滑ることがないように凹凸状の滑り止めが設けられている。
X方向における第2足場部材22の大きさは、型開き状態の移動金型M1と固定金型M2との間の距離よりも小さい。X方向において、第2足場部材22は、型開き状態の移動金型M1の合わせ面(X2方向側の端面)よりもX2方向側に配置されているとともに、固定金型M2の合わせ面(X1方向側の端面)よりもX1方向側に配置されている。すなわち、第2足場部材22は、進入位置において、平面視で移動金型M1と固定金型M2との間に配置されている。
図4に示すように、第2足場部材22は、進退駆動装置4(後述する第2エアシリンダ43)によりY方向に進退移動されるように構成されている。すなわち、第2足場部材22は、進退駆動装置4により進入位置と退避位置とに移動されるように構成されている。なお、第2エアシリンダ43は、特許請求の範囲の「エアシリンダ」の一例である。
第2足場部材22は、進入位置において平面視でY1方向側(第1足場部材21の足場本体1側とは逆側)に第1足場部材21から突出して配置されている。また、第2足場部材22のY1方向の端部E(図1参照)は、進入位置において、金型MのY1方向の端部M0(図1参照)よりも、Y1方向側に位置している。すなわち、第2足場部材22は、進入位置において作業者が足場部材2上で金型MのY方向の全範囲に対応する範囲を移動可能なように配置されている。第2足場部材22は、退避位置において足場本体1および第1足場部材21の内側に収容(配置)されている。
第2足場部材22の上面は、下方側のタイバーTの下端位置の下方側よりも低い高さ位置に配置されている。すなわち、第2足場部材22は、退避位置から進入位置に移動する際に、タイバーTの下側を移動するように構成されている。
〈支持部の構成〉
図1に示すように、支持部3は、固定ダイプレート111bおよび移動ダイプレート111aの各々からX方向の内側に突出するブロック形状(直方体形状)を有している。支持部3は、進入位置にある足場部材2(第2足場部材22)を、下方から支持するように構成されている。したがって、支持部3は、平面視で進入位置にある足場部材2と重なる位置に配置されている。また、支持部3の上面は、足場部材2(第2足場部材22)の下面と略同じ高さ位置に配置されている。支持部3により、足場部材2(成形機用可動足場装置101)は、作業者などの比較的大きな重量にも耐えることが可能となる。
〈進退駆動装置の構成〉
図4に示すように、進退駆動装置4は、足場本体1のY1方向側において、足場本体1から足場部材2を進退移動させるように構成されている。なお、進退駆動装置4は、作業者の移動の妨げとならないように、足場本体1および足場部材2の下方側に配置されている。
進退駆動装置4は、第1エアシリンダ41および第1ガイド部42と、第2エアシリンダ43および第2ガイド部44とを含んでいる。
第1エアシリンダ41および第1ガイド部42は、第1足場部材21を駆動させるための構成であり、第1足場部材21に設けられている。第2エアシリンダ43および第2ガイド部44は、第2足場部材22を駆動させるための構成であり、第2足場部材22に設けられている。
第1エアシリンダ41は、圧縮空気を利用して、足場本体1から第1足場部材21を進退移動させるように構成されている。詳細には、第1エアシリンダ41は、シリンダ本体41aと、Y方向に移動するロッド41bとを含んでおり、エア調整部45(図1参照)によりシリンダ本体41a内の空気量を調整することによって、ロッド41bとともに第1足場部材21をY方向に進退移動させるように構成されている。なお、エア調整部45は、制御部5(図1参照)からの制御信号s1を受けて駆動される。
詳細には、シリンダ本体41aは、足場本体1内で足場本体1に固定的に取り付けられている。すなわち、シリンダ本体41aは、足場本体1に対して相対的に移動することはない。ロッド41bのY1方向端部は、L字形状の取付具41cを介して第1足場部材21の下面に固定的に取り付けられている。すなわち、ロッド41bは、第1足場部材21に対して相対的に移動することはない。したがって、第1エアシリンダ41は、シリンダ本体41aによりロッド41bをY方向に移動させることによって、足場本体1に対して第1足場部材21をY方向に進退移動させるように構成されている。
足場本体1には、第1足場部材21のX方向の両側に配置される一対のガイド壁部13が設けられている。
図3に示すように、第1ガイド部42は、上下方向に離間して配置される一組のカムフォロワ42aと、被ガイド部42bとを有している。
一組のカムフォロワ42aは、一対のガイド壁部13の第1足場部材21側(Y方向内側)にそれぞれ取り付けられている。被ガイド部42bは、第1足場部材21のY方向の両側の外側面からY方向外側に突出するように、第1足場部材21の外側面に取り付けられている。また、被ガイド部42bは、Z方向において、一組のカムフォロワ42aの間に配置されている。図示しないが、カムフォロワ42aは、Y方向に並ぶように複数設けられている。また、被ガイド部42bは、Y方向に延びる細長形状を有している。一組のカムフォロワ42aは、X方向に延びる回転中心軸線周りに回転するローラ部材である。
一組のカムフォロワ42aは、第1足場部材21とともにY方向に移動する被ガイド部42bを上下方向から挟み込んでガイドすることにより、第1足場部材21のY方向への進退移動をガイドするように構成されている。被ガイド部42bは、ガイド壁部13との間の摩擦を軽減するためのローラガイド42cを有している。
図4に示すように、第2エアシリンダ43は、圧縮空気を利用して、第1足場部材21から第2足場部材22を進退移動させるように構成されている。詳細には、第2エアシリンダ43は、シリンダ本体43aと、Y方向に移動するロッド43bとを含んでおり、エア調整部45によりシリンダ本体43a内の空気量を調整することによって、ロッド43bとともに第2足場部材22をY方向に進退移動させるように構成されている。
詳細には、シリンダ本体43aは、第1足場部材21内で第1足場部材21に固定的に取り付けられている。すなわち、シリンダ本体43aは、第1足場部材21に対して相対的に移動することはない。ロッド43bのY1方向端部は、L字形状の取付具43cを介して第2足場部材22の下面に固定的に取り付けられている。すなわち、ロッド43bは、第2足場部材22に対して相対的に移動することはない。したがって、第2エアシリンダ43は、シリンダ本体43aによりロッド43bをY方向に移動させることによって、第1足場部材21(足場本体1)に対して第2足場部材22をY方向に進退移動させるように構成されている。
図3に示すように、第2ガイド部44は、C字形状(コの字形状)のガイド部材44aと、ガイド部材44aによりY方向への移動をガイドされる被ガイド部として機能する単一のカムフォロワ44bとを有している。
ガイド部材44aは、第1足場部材21のY方向に対向する一対の内側面にそれぞれ取り付けられている。すなわち、ガイド部材44aは、一対の構成である。カムフォロワ44bは、第2足場部材22のY方向の両側の外側面からY方向外側に突出するように、第2足場部材22の外側面に取り付けられている。また、カムフォロワ44bは、C字形状のガイド部材44aの内側に配置されている。図示しないが、ガイド部材44aは、Y方向に延びる細長形状を有している。また、カムフォロワ44bは、Y方向に並ぶように複数設けられている。カムフォロワ44bは、X方向に延びる回転中心軸線周りに回転するローラ部材である。
ガイド部材44aは、第2足場部材22とともにY方向に移動するカムフォロワ44bをガイドすることにより、第2足場部材22のY方向への進退移動をガイドするように構成されている。ガイド部材44aは、カムフォロワ44bとの間の摩擦を軽減するためのローラガイド44cを複数(2つ)有している。
〈制御部の構成〉
図1に示すように、制御部5は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)およびメモリを含み、メモリに記憶されたプログラムに基づいて、成形機用可動足場装置101の駆動を制御するように構成されている。制御部5は、制御盤102に組み込まれている。
制御部5は、ダイカストマシン100の使用を開始する際に、足場部材2を進入位置から退避位置(待機位置)に移動させて待機させる制御を行うように構成されている。詳細には、制御部5は、ダイカストマシン100を型開き状態から型締め状態に移行させる前に、足場部材2を進入位置から退避位置(待機位置)に移動させて待機させる制御を行うように構成されている。すなわち、制御部5は、ダイカストマシン100の使用を開始する際に、足場部材2が進入位置ある場合には、即座に成形動作を開始しないように構成されている。
(参考例の効果)
参考例では、以下のような効果を得ることができる。
参考例では、上記のように、平面視で型開き状態の固定金型M2と移動金型M1とが対向する領域Rに進入する進入位置と、足場本体1の近傍の退避位置とに、足場本体1から足場部材2を進退移動させる進退駆動装置4を設ける。これにより、進退駆動装置4により、自動で足場部材2を退避位置から進入位置に進入させることができるとともに、自動で足場部材2を進入位置から退避位置に退避させることができる。このため、ダイカストマシン100に取り付けられた金型Mのメンテナンス作業において、作業者が手作業により足場となる板状部材を設置する作業工程を削減することができる。その結果、ダイカストマシン100に取り付けられた金型Mのメンテナンス作業の作業性を向上させることができる。また、従来のように仮設の板状部材を足場として利用する場合と比較して、足場の設置状態を安定させることができる。
参考例では、上記のように、進入位置にある足場部材2を下方から支持する支持部3をさらに備える。これにより、支持部3により下方から足場部材2を支えることによって、作業者などの負荷が上方から加わったとしても、支持部3により負荷を受け止めることができるので、足場の設置状態を安定して保持することができる。
参考例では、上記のように、進退駆動装置4は、圧縮空気を利用して、足場本体1から足場部材2を進退移動させる第1エアシリンダ41および第2エアシリンダ43を含む。これにより、汎用品である第1エアシリンダ41および第2エアシリンダ43を用いて、簡易な構成により進退駆動装置4を形成することができる。
参考例では、上記のように、足場部材2は、進入位置において平面視でY方向の金型M側に足場本体1から突出して配置され、退避位置において足場本体1の内側に収容される第1足場部材21と、進入位置において平面視でY方向の足場本体1側とは逆側に第1足場部材21から突出して配置され、退避位置において第1足場部材21の内側に収容される第2足場部材22とを含む。これにより、足場本体1の内側に収容された第1足場部材21および第2足場部材22を2段階で進退移動させることができるので、退避位置における第1足場部材21および第2足場部材22の配置スペースを小さくすることができる。また、進入位置において、足場本体1から突出する第1足場部材21および第2足場部材22の進退動作方向における大きさを、足場本体1の大きさよりも大きくすることが可能となる。
[第1実施形態]
図5~図8を参照して、第1実施形態について説明する。この第1実施形態では、成形機用可動足場装置101が進退駆動装置4を備える上記参考例の例に加えて、成形機用可動足場装置101aがスライド駆動装置6をさらに備える例について説明する。なお、図中において、上記参考例と同様の構成の部分には、同一の符号を付して図示するとともに説明を省略する。
(成形機用可動足場装置の構成)
図5に示すように、第1実施形態における成形機用可動足場装置101aは、足場部材202と、進退駆動装置204と、スライド駆動装置6と、制御部205とを備えている。また、第1実施形態におけるダイカストマシン200の固定ダイプレート111bおよび移動ダイプレート111aには、上記参考例のような支持部3が設けられていない。第1実施形態では、固定金型M2および移動金型M1の下方側に位置するタイバーTaが足場部材202を支持する部材として機能する。なお、ダイカストマシン200は、特許請求の範囲の「成形機」の一例である。また、タイバーTaは、特許請求の範囲の「支持部」の一例である。
ここで、第1実施形態における成形機用可動足場装置101aでは、足場本体1、足場部材202、進退駆動装置204およびスライド駆動装置6を含む機構は、Y方向に対向するように、ダイカストマシン200を挟んでダイカストマシン200の両側に一対設けられている。すなわち、第1実施形態における成形機用可動足場装置101aは、上記参考例のようにダイカストマシン200の一方側にのみ設けられる構成ではなく、ダイカストマシン200の両側に一対で設けられる構成である。
要するに、成形機用可動足場装置101aは、足場本体1、足場部材202、進退駆動装置204およびスライド駆動装置6を含む機構として、一方側可動足場装置K1と、一方側可動足場装置K1のY1方向側に位置する他方側可動足場装置K2とを含んでいる。一方側可動足場装置K1と他方側可動足場装置K2とは同一の構成を有しているため、以下では、一方側可動足場装置K1についてのみ説明し、他方側可動足場装置K2についての説明を省略する。
〈足場部材の構成〉
図5に示すように、第1実施形態の足場部材202は、上記参考例の2つの部材(第1足場部材21、第2足場部材22)を含む足場部材2とは異なり、単一の部材により構成されている。すなわち、第1実施形態の足場部材202は、上記参考例の第2足場部材22が設けられていない第1足場部材21と同等の構成である。このため、以下では、足場部材202について簡単に説明する。
足場部材202は、進退駆動装置204(第1エアシリンダ41)によりY方向に進退移動されるように構成されている。すなわち、足場部材202は、進退駆動装置204により進入位置と退避位置とに移動されるように構成されている。
足場部材202は、進入位置において、平面視で、Y2方向側(金型M側)に足場本体1から突出して配置されている。また、足場部材202の先端部(Y1方向端部)は、進入位置において、固定ダイプレート111bおよび移動ダイプレート111aのY方向の中心位置(一点鎖線で示す位置)に配置されている。これにより、固定金型M2と移動金型M1とが対向する領域R(図1参照)において、一方側可動足場装置K1の足場部材202と、他方側可動足場装置K2の足場部材202とが接続(近接して配置)される。また、第1足場部材21は、退避位置において足場本体1の内側に収容(配置)されている。
足場部材202は、第1エアシリンダ41よりも下方側に配置されてタイバーTaに接触する接触面を有する接触部221を含んでいる。足場部材202は、接触部221をタイバーTaに上方から接触させてタイバーTaに支持されている。
図6および図7に示すように、足場部材202には、進入位置および退避位置において、スライド駆動装置6(第1エアシリンダ41)による進退移動を規制するロック部222が設けられている。なお、図5では、説明の便宜上、ロック部222の図示を省略している。
ロック部222は、足場部材202のY1方向端部(先端部)に設けられ、作業者の手動操作により上下方向(上側位置と下側位置と)に移動可能なハンドル部材222aと、下側位置に移動されている状態のハンドル部材222aを検知する位置読取部222bとを有している。
ハンドル部材222aは、退避位置において、下側位置に移動されている状態で足場本体1に設けられた係合穴14に係合するように構成されている。これにより、ハンドル部材222aは、機械的に足場本体1に対する足場部材202の移動を規制するように構成されている。また、この状態で、位置読取部222bは、ハンドル部材222aを検知して、制御部205(図7参照)に検知信号s2(図7参照)を送信するように構成されている。これにより、制御部205は、足場部材202の移動を規制する制御(移動させない制御)を行う。
また、ハンドル部材222aが上側位置に移動されている状態では、位置読取部222bは、ハンドル部材222aを検知することができない。すなわち、足場部材202は、進退移動が可能となる。なお、ハンドル部材222aは、上側位置および下側位置にある各状態を保持可能に構成されている。位置読取部222bは、物理的なスイッチ機構であってもよいし、非接触式のセンサにより構成されていてもよい。
進入位置においてハンドル部材222aが下側位置に移動されることにより、位置読取部222bは、ハンドル部材222aを検知して、制御部205に検知信号s2を送信するように構成されている。これにより、制御部205は、足場部材202の移動を規制する制御(移動させない制御)を行う。
すなわち、ロック部222は、機械的な構成(ハンドル部材222a、係合穴14)および電気的な構成(位置読取部222b)により退避位置にある足場部材202の移動を規制するとともに、電気的な構成により進入位置にある足場部材202の移動を規制するように構成されている。
〈進退駆動装置の構成〉
図6に示すように、足場部材202が単一の部材により構成されていることから、進退駆動装置204は、上記参考例の2つの駆動機構(第1エアシリンダ41および第1ガイド部42、第2エアシリンダ43および第2ガイド部44)を含む進退駆動装置4とは異なり、単一の駆動構成により構成されている。すなわち、第1実施形態の進退駆動装置204は、上記参考例の第1エアシリンダ41および第1ガイド部42を備えており、第2エアシリンダ43および第2ガイド部44を備えていない。
進退駆動装置204は、X方向における固定金型M2(図5参照)と移動金型M1(図5参照)との間の進退動作位置で、足場部材202を進退移動させるように構成されている。進退動作位置とは、型開き状態の移動金型M1の合わせ面と、固定金型M2の合わせ面との間のX方向における位置であり、進退移動する足場部材202が金型Mに干渉することのない位置である。足場本体1および足場部材202は、進退動作位置にスライド駆動装置6により移動される。
〈スライド駆動装置の構成〉
図8に示すように、スライド駆動装置6は、足場本体1および足場部材202をX方向(移動金型M1の移動方向)にスライド移動させるように構成されている。スライド駆動装置6は、足場部材202が退避位置に保持されている状態で、足場本体1および足場部材202をスライド移動させるように構成されている。なお、スライド駆動装置6は、作業者の移動の妨げとならないように、足場本体1および足場部材202の下方側に配置されている。
スライド駆動装置6は、モータギヤ61aを含み、駆動源として機能するサーボモータ61と、ガイドレール62と、ガイドレール62上を移動するローラ63と、モータギヤ61aに噛み合うラック64とを備えている。
ガイドレール62およびラック64は、作業床F上に固定的に設けられている。一方、サーボモータ61およびローラ63は、足場本体1の下面に設けられている。すなわち、サーボモータ61およびローラ63は、足場本体1および足場部材202とともに、ガイドレール62およびラック64に対してX方向にスライド移動する。
ガイドレール62は、X方向に延びるとともに、Y方向に複数列(2列)並んで作業床F上に配置されている。ラック64は、X方向に延びており、2列のガイドレール62の内側に配置されている(図5参照)。
サーボモータ61は、ラック64に噛み合うモータギヤ61aを回転させることにより、足場本体1および足場部材202に対してX方向への駆動力を発生させるように構成されている。この際、ガイドレール62上を移動するローラ63により、足場本体1および足場部材202は、滑らかにX方向にスライド移動する。なお、スライド駆動装置6は、制御部205(図5参照)からの制御信号s1を受けて駆動される。なお、サーボモータ61は、フィードバック制御により、X方向における足場本体1および足場部材202の位置を、正確に位置決めすることが可能に構成されている。
〈制御部の構成〉
図5に示す制御部205は、ダイカストマシン200の使用を開始する際に、進退駆動装置204により足場部材202を進入位置から退避位置に移動させた状態で、スライド駆動装置6により足場本体1および足場部材202を進退動作位置からX1方向に離間した待機位置にスライド移動させて待機させる制御を行うように構成されている。
待機位置とは、たとえば、スライド駆動装置6により、足場本体1および足場部材202を最もX2方向側に移動した際の位置である。また、待機位置とは、進退動作位置よりもX2方向側の位置であるとともに、固定ダイプレート111bのX1方向端面よりも所定距離だけX1方向側に足場本体1を離間させた位置である。
第1実施形態のその他の構成は、上記参考例と同様である。
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第1実施形態では、上記のように、足場本体1および足場部材202をX方向にスライド移動させるスライド駆動装置6をさらに備える。これにより、スライド駆動装置6により、ダイカストマシン200に取り付けられる種々の大きさの金型Mに合わせて、足場本体1および足場部材202をX方向における最適な位置に配置することができる。このため、進入位置において足場部材202から固定金型M2および移動金型M1までのX方向の距離が大きくなりすぎるのを抑制することができるので、ダイカストマシン200に取り付けられた金型Mのメンテナンス作業の作業性をより向上させることができる。
第1実施形態では、上記のように、スライド駆動装置6は、駆動源としてのサーボモータ61を含む。これにより、フィードバック制御を行うサーボモータ61によりX方向において足場本体1および足場部材202を精度よく位置決めすることができる。これにより、金型Mのメンテナンス作業が行いやすいX方向の最適な位置に足場本体1および足場部材202を位置決めすることができる。また、最適な位置に位置決めすることができるので、足場本体1および足場部材202が設定された位置からX方向にずれることに起因して、周囲の構成(金型Mやダイプレートなど)に干渉(衝突)するのを効果的に防止することができる。
第1実施形態では、上記のように、スライド駆動装置6は、足場部材202が退避位置に保持されている状態で、足場本体1および足場部材202をスライド移動させるように構成されている。これにより、足場部材202が進入位置に保持されている状態でX方向にスライド移動されることを防ぐことができるので、足場部材202が周囲の構成(金型Mやダイプレートなど)に干渉(衝突)するのを防止することができる。
第1実施形態では、上記のように、進退駆動装置204は、X方向における固定金型M2と移動金型M1との間の進退動作位置で、足場部材202を進退移動させるように構成されており、ダイカストマシン200の使用を開始する際に、進退駆動装置204により足場部材202を進入位置から退避位置に移動させた状態で、スライド駆動装置6により足場本体1および足場部材202を進退動作位置からX方向に離間した待機位置にスライド移動させて待機させる制御を行う制御部205をさらに備える。これにより、足場本体1および足場部材202を待機位置に移動させておくことにより、ダイカストマシン200を使用する際に、足場部材202が周囲の構成(金型Mやダイプレートなど)に干渉(衝突)するのを防止することができる。
第1実施形態では、上記のように、足場本体1、足場部材202および進退駆動装置204を含む機構は、Y方向に対向するように、ダイカストマシン200を挟んでダイカストマシン200の両側に一対設けられている。これにより、メンテナンス作業のために作業者がダイカストマシン200の両側から金型Mにアクセスすることができるので、ダイカストマシン200に取り付けられた金型Mのメンテナンス作業の作業性をより向上させることができる。
第1実施形態では、上記のように、足場部材202には、進入位置および退避位置において、進退駆動装置204による進退移動を規制するロック部222が設けられている。これにより、ロック部222により、作業者が意図しないタイミングで足場部材202が進退移動することを確実に防止することができる。
第1実施形態では、上記のように、固定金型M2および移動金型M1の下方側に位置するタイバーTaにより足場部材202を支持する。これにより、ダイカストマシン200が備えるタイバーTaを足場部材202の支持構成として流用することができるので、専用の支持部を別途設ける場合と比較して、装置構成を簡素化することができる。
第1実施形態のその他の効果は、上記参考例と同様である。
[第2実施形態]
図9~図12を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、成形機用可動足場装置101aが進退駆動装置204およびスライド駆動装置6を備える上記第1実施形態の例に加えて、成形機用可動足場装置101bが回動駆動装置7をさらに備える例について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付して図示するとともに説明を省略する。
(成形機用可動足場装置の構成)
図9に示すように、第2実施形態における成形機用可動足場装置101bは、進退駆動装置304(図10参照)と、回動駆動装置7(図11参照)と、制御部305とを備えている。
〈進退駆動装置の構成〉
図10に示すように、進退駆動装置304は、Y方向に伸張するマジックアーム機構(リンク機構)により構成されている。詳細には、進退駆動装置304は、モータギヤ341aを含み、駆動源として機能するインダクションモータ341と、インダクションモータ341の駆動力をマジックアーム機構に伝える中間ギヤ342と、中間ギヤ342から駆動力が伝達されて伸張するマジックアーム部343とを備えている。
マジックアーム部343は、Y方向に交差しながら延びる棒状の複数のリンク部材343aと、複数のリンク部材343aを回動可能に繋ぐ関節部343bとを含んでいる。マジックアーム部343のY2方向端部は、足場本体1に固定されている。マジックアーム部343のY1方向端部は、第2足場部材22に固定されている。
マジックアーム部343は、インダクションモータ341(モータギヤ341a)の逆転により中間ギヤ342を介して駆動力が伝達されることによって、関節部343bを回動させて、複数のリンク部材343aのX方向の幅を拡大しながら、Y方向の長さを縮小するように構成されている。その結果、第2足場部材22は、第1足場部材21をY2方向に押しながら、Y2方向側(足場本体1側)に移動する。すなわち、進退駆動装置304は、足場部材2を進入位置から退避位置に移動させる。
マジックアーム部343は、インダクションモータ341(モータギヤ341a)の正転により中間ギヤ342を介して駆動力が伝達されることによって、関節部343bを回動させて、複数のリンク部材343aのX方向の幅を縮小しながら、Y方向の長さを拡大するように構成されている。その結果、第2足場部材22は、第1足場部材21をY2方向に引っ張りながらY1方向側に移動する。すなわち、進退駆動装置304は、足場部材2を退避位置から進入位置に移動させる。第2足場部材22のY1方向の端部E(図9参照)は、進入位置において、Y1方向側のタイバーTaの中心線C(図9参照)よりも、Y1方向側に位置している。このため、第2足場部材22は、タイバーTaの中心線Cの直上位置でタイバーTaにより支持されている。Y2方向側のタイバーTaも同様に、タイバーTaの中心線Cの直上位置で、第2足場部材22を支持している。
進退駆動装置304は、上記第1実施形態で説明した進退駆動位置で、足場部材2を進退移動させるように構成されている。なお、進退駆動装置304は、制御部305(図9参照)からの制御信号s1を受けて駆動される。
〈回動駆動装置の構成〉
図11に示すように、回動駆動装置7は、足場本体1および足場部材2を回動移動させて、足場本体1および足場部材2を、水平方向に延びる水平姿勢(横向き姿勢)と上方向に延びる起立姿勢(上向き姿勢)とに変更させるように構成されている。すなわち、回動駆動装置7は、足場本体1および足場部材2を水平姿勢から金型Mとは反対側(Y2方向側)で、かつ、上方(Z1方向)に回動移動させて、起立姿勢に変更させることが可能に構成されている。なお、スライド駆動装置6は、足場部材2が退避位置に保持されている状態で、かつ、足場本体1および足場部材2が起立姿勢に保持されている状態で、足場本体1および足場部材2をスライド移動させるように構成されている。なお、起立姿勢とは、足場本体1および足場部材2が垂直方向(鉛直方向)に延びる姿勢、および、足場本体1および足場部材2が垂直方向から傾斜している姿勢のいずれであってもよい。
回動駆動装置7は、モータギヤ71aを含み、駆動源として機能するインダクションモータ71と、インダクションモータ71の駆動力を伝達する中間部材72と、回動ギヤ73aを有し、中間部材72から回動ギヤ73aに駆動力が伝達されて回動する回動中心軸73とを備えている。
中間部材72は、ギヤ部72aと軸部72bとを一体的に含んでいる。ギヤ部72aは、インダクションモータ71(モータギヤ71a)により回動されるように構成されている。その結果、軸部72bは、回動されて、回動ギヤ73aを介して回動中心軸73を回動させるように構成されている。
回動中心軸73には、足場本体1が固定的に取り付けられている。したがって、回動中心軸73が回動することにより、足場本体1および足場本体1内(退避位置)にある足場部材2も回動されるように構成されている。インダクションモータ71は、回動中心軸73を、約90度の角度範囲内で正転および逆転させるように構成されている。
回動駆動装置7は、進退駆動位置で、足場本体1および足場部材2を起立姿勢と水平姿勢とに変更させるように構成されている。なお、回動駆動装置7には、回動時の衝撃を吸収するためのダンパー74(図12参照)が設けられている。回動駆動装置7は、制御部305(図9参照)からの制御信号s1を受けて駆動される。
〈制御部の構成〉
図9に示すように、制御部305は、ダイカストマシン200の使用を開始する際に、進退駆動装置304により足場部材2を進入位置から退避位置に移動させるとともに、回動駆動装置7により足場本体1および足場部材2を水平姿勢から起立姿勢に変更させた状態で、スライド駆動装置6により足場本体1および足場部材2を進退動作位置からX1方向に離間した待機位置にスライド移動させて待機させる制御を行うように構成されている。
待機位置とは、たとえば、スライド駆動装置6により、足場本体1および足場部材202を最もX1方向側に移動した際の位置である。また、待機位置とは、進退動作位置よりもX1方向側の位置であるとともに、型締め装置113(トグル機構)に隣接する位置である。
第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第2実施形態では、上記のように、足場本体1および足場部材2を水平姿勢から金型Mとは反対側で、かつ、上方に回動移動させて、起立姿勢に変更させる回動駆動装置7をさらに備える。これにより、足場本体1および足場部材2を起立姿勢にすることができるので、足場本体1および足場部材2の水平方向の配置スペースを小さくすることができる。
第2実施形態では、上記のように、足場本体1および足場部材2をX方向にスライド移動させるスライド駆動装置6をさらに備え、スライド駆動装置6は、足場部材2が退避位置に保持されている状態で、かつ、足場本体1および足場部材2が起立姿勢に保持されている状態で、足場本体1および足場部材2をスライド移動させるように構成されている。これにより、足場部材2が進入位置に保持されている状態、かつ、足場本体1および足場部材2が水平姿勢に保持されている状態で、スライド移動されることを防ぐことができるので、足場部材2が周囲の構成(金型Mやダイプレートなど)に干渉(衝突)するのを防止することができる。
第2実施形態では、上記のように、進退駆動装置304は、X方向における固定金型M2と移動金型M1との間の進退動作位置で、足場部材2を進退移動させるように構成されており、回動駆動装置7は、進退動作位置で、足場本体1および足場部材2を起立姿勢と水平姿勢とに変更させるように構成されており、ダイカストマシン200の使用を開始する際に、進退駆動装置304により足場部材2を進入位置から退避位置に移動させるとともに、回動駆動装置7により足場本体1および足場部材2を水平姿勢から起立姿勢に変更させた状態で、スライド駆動装置6により足場本体1および足場部材2を進退動作位置からX方向に離間した待機位置にスライド移動させて待機させる制御を行う制御部305をさらに備える。これにより、足場本体1および足場部材2を待機位置に移動させておくことによって、ダイカストマシン200を使用する際に、足場部材2が周囲の構成(金型Mやダイプレートなど)に干渉(衝突)するのを防止することができる。また、足場本体1および足場部材2の待機位置への移動により、起立姿勢にある足場本体1および足場部材2が、成形時において、ダイカストマシン200の外側からの金型Mの視認性を妨げるのを防止することができる。
第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
[変形例]
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記第1および第2実施形態では、本発明の成形機として、金型内に金属を射出するダイカストマシンを用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、本発明の成形機として、金型内に樹脂を射出する射出成形機を用いてもよい。
また、上記第2実施形態では、足場部材を2つの部材(第1足場部材、第2足場部材)により構成し、上記第1実施形態では、足場部材を単一の部材により構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、足場部材を3つ以上の部材により構成してもよい。
また、上記第1実施形態では、進退駆動装置がエアシリンダを含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、進退駆動装置が油圧シリンダなどのエアシリンダ以外の足場部材を駆動させるための構成を含んでいてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、スライド駆動装置が、駆動源としてサーボモータを含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、スライド駆動装置が、駆動源としてインダクションモータなどのサーボモータ以外の駆動源を含んでいてもよい。
また、上記第2実施形態では、進退駆動装置および回動駆動装置が、駆動源としてインダクションモータを含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、進退駆動装置および回動駆動装置が、駆動源としてサーボモータなどのインダクションモータ以外の駆動源を含んでいてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、足場本体を第2方向(進退移動方向)に対して固定的に配置した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、足場部材と同様に、足場本体を第2方向に移動可能に構成してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、固定金型と移動金型との間において、足場部材を水平方向にのみ移動可能に構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、固定金型と移動金型との間において、足場部材を水平方向に加えて、上下方向に移動可能に構成してもよい。
また、上記第2実施形態では、成形機用可動足場装置が、駆動装置として、進退駆動装置、スライド駆動装置および回動駆動装置を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、成形機用可動足場装置が、駆動装置として、進退駆動装置および回動駆動装置のみを備えていてもよい。