JP7157458B2 - 骨結合性に優れる医療用高分子材料 - Google Patents

骨結合性に優れる医療用高分子材料 Download PDF

Info

Publication number
JP7157458B2
JP7157458B2 JP2019518819A JP2019518819A JP7157458B2 JP 7157458 B2 JP7157458 B2 JP 7157458B2 JP 2019518819 A JP2019518819 A JP 2019518819A JP 2019518819 A JP2019518819 A JP 2019518819A JP 7157458 B2 JP7157458 B2 JP 7157458B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer material
peek
phosphate
groups
medical
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019518819A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2018212209A1 (ja
Inventor
邦夫 石川
寛治 都留
享 土谷
悠紀 杉浦
康晴 中島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyushu University NUC
Original Assignee
Kyushu University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyushu University NUC filed Critical Kyushu University NUC
Publication of JPWO2018212209A1 publication Critical patent/JPWO2018212209A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7157458B2 publication Critical patent/JP7157458B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G65/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule
    • C08G65/34Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule from hydroxy compounds or their metallic derivatives
    • C08G65/48Polymers modified by chemical after-treatment
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L27/00Materials for grafts or prostheses or for coating grafts or prostheses
    • A61L27/14Macromolecular materials
    • A61L27/18Macromolecular materials obtained otherwise than by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L27/00Materials for grafts or prostheses or for coating grafts or prostheses
    • A61L27/50Materials characterised by their function or physical properties, e.g. injectable or lubricating compositions, shape-memory materials, surface modified materials
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G65/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule
    • C08G65/34Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule from hydroxy compounds or their metallic derivatives
    • C08G65/38Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule from hydroxy compounds or their metallic derivatives derived from phenols
    • C08G65/40Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule from hydroxy compounds or their metallic derivatives derived from phenols from phenols (I) and other compounds (II), e.g. OH-Ar-OH + X-Ar-X, where X is halogen atom, i.e. leaving group
    • C08G65/4012Other compound (II) containing a ketone group, e.g. X-Ar-C(=O)-Ar-X for polyetherketones
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L2430/00Materials or treatment for tissue regeneration
    • A61L2430/02Materials or treatment for tissue regeneration for reconstruction of bones; weight-bearing implants

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Transplantation (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Dermatology (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Oral & Maxillofacial Surgery (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)

Description

本発明は、医療用高分子材料及びその製造方法に関する。より詳しくは、骨結合性を示す医療用インプラント用高分子材料及びその製造方法に関する。
医療用材料の中でも医療用インプラント材料は、生体組織の欠損を補綴あるいは修復するために用いられる材料である。
医療用インプラント材料においても、欠損組織あるいは症例によって所要性質は異なるが、脊椎ケージなど骨機能の力学的機能の代替が求められる医療用インプラント高分子材料は、1)優れた組織親和性を示すこと、2)骨結合性(母床骨に近接して埋植した場合に、骨が材料と結合する性質)を示すこと、3)骨と近似したヤング率を示すこと、4)機械的性質に優れること、5)アレルギーを示さないこと、6)非磁性材料であること、7)脆性を示さないこと、を高度に満足することが望まれる。
例えば、水酸アパタイトなどのセラミックス材料は、上記所要性質のうち、1)優れた組織親和性を示すこと、2)骨結合性を示すこと、5)アレルギーを示さないこと、6)非磁性材料であること、を満足するが、3)骨と近似したヤング率を示すこと、4)機械的性質に優れること、7)脆性を示さないこと、は満足しない。
また、チタンなどの金属材料は、1)優れた組織親和性を示すこと、2)骨結合性を示すこと、4)機械的性質に優れること、7)脆性を示さないこと、は満足するが、3)骨と近似したヤング率を示すこと、5)アレルギーを示さないこと、は満足しない。また、低磁性材料であり、6)非磁性材料であること、を満足しない。
そのため、医療用インプラント材料として、高分子材料に着目した研究開発が進んでいる。例えば、エンジニアリングプラスチックの一つであるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)は、脊椎ケージなどとしてすでに臨床応用されている。
しかしながら、PEEKは、3)骨と近似したヤング率を示すこと、4)機械的性質に優れること、5)アレルギーを示さないこと、6)非磁性材料であること、7)脆性を示さないこと、を満足するが、1)優れた組織親和性を示すこと、2)骨結合性を示すこと、は満足しない。
そのため、エンジニアリングプラスチックの組織親和性を向上させたり、骨結合性を付与させたりする手法が活発に研究開発されている。なお、一般的に骨結合性は組織親和性より高度な概念であり、骨結合性が付与されると優れた組織親和性が付与される。逆に組織親和性が付与されても、骨結合性が付与されるとは限らない。
例えば、エンジニアリングプラスチックに骨結合性を付与するため、リン酸カルシウムなどをエンジニアリングプラスチックの表面に設ける方法(特許文献1~5)が提案されている。
しかしながら、この方法では、リン酸カルシウムなどとエンジニアリングプラスチックの間に界面が形成され、界面の結合力が小さいことや、製造手法が煩雑であることなどが問題であった。
また、リン酸カルシウムなどをエンジニアリングプラスチックに混和する方法(特許文献6~10)も提案されている。この方法では、リン酸カルシウムなどがエンジニアリングプラスチックに混和されるため、界面剥離等の問題は起きにくいが、エンジニアリングプラスチック自体の物性を低減化させるという問題があった。
さらに、骨結合性を示すリン酸カルシウムを捕捉する表面層を高分子体に設ける方法(特許文献11)も開示されている。しかしながら、この方法でもリン酸カルシウムなどとエンジニアリングプラスチックの間に界面が形成され、界面の結合力が小さいことなどの問題が回避できないものであった。
一方、表面を多孔体化あるいは凹凸構造として、機械的にエンジニアリングプラスチックと骨を結合させる方法(特許文献12~14)も提案されている。この方法は、エンジニアリングプラスチックと骨を機械的に勘合させて固定する方法であるが、骨との結合に時間がかかるという問題があった。
さらに、エンジニアリングプラスチック表面に親水性官能基を付与する方法(特許文献15)が報告されている。骨を形成する骨芽細胞は材料に付着する必要があり、親水性は細胞付着に好ましく、親水性を付与することは骨結合性の向上においても必要条件であるが、十分条件ではない。
また、特許文献15には、「親水性官能基を付与する方法としては、低圧酸素プラズマ処理、UVオゾン処理及び大気圧プラズマ処理が好ましく、特に優れた親水性表面を得ることのできる大気圧プラズマ処理が特に好ましい。」とされている。この開示された手法は高分子材料に水酸基を導入する手法としては適切であるが、水酸基以外の親水基として例示されているリン酸基や硫酸基が当該製造方法で表面に付与されることはありえず、当然、実施例等にも全く記載がない。
さらに、特許文献15の製品においては、親水性官能基における中心原子についてX線光電子分光法測定で得られるピークを波形分離したときに、親水性官能基に相当するピークの面積比率として30%以上親水性を付与することが必要とされており、「前記中心原子は、親水性官能基に含まれる原子のうち、PEEKの主鎖に直接結合する原子である。」とされている。
開示された手法は高分子の主鎖に材料に水酸基の中心元素である酸素を導入する手法としては適切であるが、水酸基以外の親水基として例示されているリン酸基の中心元素として指定されているリンや硫酸基の中心元素として指定されている硫黄が当該製造方法でPEEKの主鎖に直接結合されることはありえない。また、ケトン基に水酸基を形成する場合には、ケトン基と水酸基の割合に意味があるが、リン酸基や硫酸基の場合には全く意味がない。
ここで、本発明において、化合物の名称等は、国際純正・応用化学連合(International Union of Pure and Applied Chemistry、IUPAC)による。IUPACは、高分子をGold Bookで定義しており、主鎖は「That linear chain to which all other chains, long or short or both, may be regarded as being pendant」と定義されている。
したがって、本発明において、例えば、PEEKのケトン基を還元して形成される水酸基は主鎖の炭素に結合した側鎖と定義される。同様に、PEEKをオゾン処理などで処理するとベンゼン環に水酸基が形成されるが、この水酸基も主鎖の炭素に結合した側鎖と定義される。
したがって、これまでに医療用高分子材料にリン酸基を化学結合させて骨結合性を十分に向上させる手法は見出されていなかった。
特開2008-245775号公報 特開2009-34302号公報 特開2009-61104号公報 特開2011-78624号公報 特開2013-22234号公報 特開2009-178281号公報 特開2010-35827号公報 特表2010-504158号公報 特開2013-144778号公報 特開2014-506509号公報 特開2005-112848号公報 特開2009-128392号公報 特開2010-253195号公報 特開2014-14579号公報 特開2011-125531号公報
本発明の課題は、骨結合性に優れる医療用高分子材料、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、PEEKなどの構造式中に末端を除いてリン酸基及び水酸基が実質的に存在しない高分子材料の表面に、構造式の主鎖のC元素を含むC-O-P化学結合を有するリン酸基が化学結合されて存在している医療用高分子材料が、医療用高分子材料としての所要性質である、1)優れた組織親和性を示すこと、2)骨結合性を示すこと、3)骨と近似したヤング率を示すこと、4)機械的性質に優れること、5)アレルギーを示さないこと、6)非磁性材料であること、7)脆性を示さないこと、を高度に満足する材料であることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りのものである。
[1]構造式中に末端を除いてリン酸基及び水酸基が実質的に存在しない高分子材料の表面に、前記構造式の主鎖のC元素を含むC-O-P化学結合を有するリン酸基が存在していることを特徴とする医療用高分子材料。
[2]前記高分子材料の表面に、構造式の主鎖のC元素を含むC-O-P化学結合を有するリン酸基と、主鎖のC元素を含むC-O-H化学結合からなる水酸基の両者が存在していることを特徴とする[1]に記載の医療用高分子材料。
[3]前記高分子材料の表面に、さらにカルシウムが付与されていることを特徴とする[1]又は[2]に記載の医療用高分子材料。
[4]前記高分子材料が、構造式中にケトン基を含むことを特徴とする[1]~[3]のいずれかに記載の医療用高分子材料。
[5]前記高分子材料が、ポリエーテルケトン、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、及びポリエチレンテレフタレートから選ばれる高分子材料であることを特徴とする[1]~[4]のいずれかに記載の医療用高分子材料。
[6]前記高分子材料が、ポリエーテルエーテルケトンであることを特徴とする[1]~[5]のいずれかに記載の医療用高分子材料。
[7]前記高分子材料の表面の算術平均粗さRaが、1μm以上であることを特徴とする[1]~[6]のいずれかに記載の医療用高分子材料。
[8]前記高分子材料の表面に、溝が形成されており、該溝の溝間隔が200μm以下かつ溝深さが10μm以上であることを特徴とする[1]~[7]のいずれかに記載の医療用高分子材料。
[9][1]~[8]のいずれかに記載の医療用高分子材料の製造方法であって、構造式中に末端を除いてリン酸基及び水酸基が実質的に存在しない原料高分子材料表面に水酸基を形成し、当該水酸基の全部あるいは一部をリン酸化することを特徴とする医療用高分子材料の製造方法。
[10]前記原料高分子材料が構造式中にケトン基を有する高分子材料であって、該原料高分子材料表面のケトン基を還元することによって、原料高分子材料表面に水酸基を形成することを特徴とする[9]に記載の医療用高分子材料の製造方法。
[11]オゾンを暴露させる方法、プラズマを照射する方法、及び紫外線を照射する方法から選ばれる少なくとも一つの方法によって、前記原料高分子材料表面に水酸基を形成することを特徴とする[9]に記載の医療用高分子材料の製造方法。
[12]塩化ホスホリル又はクロロリン酸ジアルキルを用いて、前記原料高分子材料表面に形成された水酸基をリン酸化することを特徴とする[9]~[11]のいずれかに記載の医療用高分子材料の製造方法。
[13]リン酸化された原料高分子材料の表面に、カルシウムを付与することを特徴とする[9]~[12]のいずれかに記載の医療用高分子材料の製造方法。
比較例1における研削による表面形態形成工程において製造したPEEK製品の走査型電子顕微鏡像(SEM像)である。 比較例1、比較例2、実施例1及び実施例2で製造したPEEK製品のXPSスペクトル図である。 比較例2におけるケトン基の還元による水酸基化学結合工程において製造したPEEK製品のXPSスペクトル図である。 比較例1、2および実施例1、2で製造したPEEK製品の埋植4週目の病理組織像である。 比較例5におけるサンドブラストによる表面形態形成処理したPEEK製品の走査型電子顕微鏡像(SEM像)である。
本発明の医療用高分子材料の表面以外の部分は、構造式中に末端を除いてリン酸基及び水酸基が実質的に存在しない高分子材料からなる。本発明の医療用高分子材料は、原料高分子材料として、上記のような構造式中に末端を除いてリン酸基及び水酸基が実質的に存在しない高分子材料を用い、この表面に所定の処理を施したものであり、本発明の医療用高分子材料の表面以外の主体となる部分の組成は、原料高分子材料そのものである。
構造式中にリン酸基あるいは水酸基が存在する高分子材料は、吸水性が高く、医療用高分子材料としての所要性質である、3)骨と近似したヤング率を示すこと、4)機械的性質に優れること、を満足しないため好ましくない。
原料高分子材料の末端に、水酸基などが存在する場合があるが、この末端水酸基などがバルクの高分子材料の性質に及ぼす影響は限定的であるため、構造式末端に水酸基あるいはリン酸基が存在しても本発明に含まれる高分子材料である。
同様に、原料高分子材料の構造式のごく一部に水酸基あるいはリン酸基を含有させてもバルクの高分子材料の性質に及ぼす影響は限定的である。そのため、本発明において、原料高分子材料原料に求められることは、上記のように、構造式中に末端を除いてリン酸基及び水酸基が実質的に存在しない高分子材料である。
なお、末端を除いてリン酸基及び水酸基が実質的に存在しないとは、末端以外の部分に製造上不可避的に付加されるリン酸基及び水酸基を除いてそれ以外のリン酸基及び水酸基を含まないことをいい、例えば、構造式の分子量に対して、末端を除く部分に含有されるリン酸基及び水酸基の分子量が1%未満であり、好ましくは0.5%未満であることをいう。
本発明において、医療用高分子材料の表面に、主鎖のC元素を含むC-O-P化学結合を有するリン酸基が存在していることは必須条件である。当該必須条件によって、当該材料の骨形成能が著しく向上する。この骨形成能が著しく向上する機序は解明されていないが、医療用高分子材料表面のリン酸基に吸着される蛋白が骨芽細胞などの接着等に寄与することが一因と考えられる。
リン酸基量は、特に制限されないが、効率的な骨伝導性などの観点から、XPSによる測定で医療用高分子材料表面においてリン酸の原子組成百分率が0.1%以上であることが好ましく、0.5%以上であることがより好ましく、1.0%以上であることがさらに好ましい。
本発明において、医療用高分子材料の表面に、主鎖のC元素を含むC-O-P化学結合を有するリン酸基だけでなく、主鎖のC元素を含むC-O-H化学結合からなる水酸基を含む場合はより好ましい。
リン酸基と水酸基の共存によって、当該材料の骨形成能がより顕著に向上する。この骨形成能が著しく向上する機序は解明されていないが、リン酸基と水酸基の相互作用によって医療用高分子表面に吸着される蛋白が骨芽細胞などの接着等に寄与することが一因と考えられる。
水酸基の量としては、XPSによる測定で医療用高分子材料表面における原子組成百分率が0.1%以上であることが好ましく、0.5%以上であることがより好ましく、1.0%以上であることがさらに好ましい。
本発明においては、高分子材料の表面に、さらにカルシウムが付与されていることが好ましい。このような材料は、さらに骨形成能に優れる。
当該材料が、さらに骨形成能に優れる機序は解明されていないが、カルシウムはリン酸と強い親和性を持ち、また、細胞の接着、増殖、分化、石灰化に貢献することが知られているため、高分子材料の表面に存在するリン酸基とカルシウムが相互作用し、さらに骨形成能を向上させていると考えられる。
カルシウムは、医療用高分子材料に付与されていればよく、基本的にはリン酸基との相互作用で医療用高分子材料に付与されていると考えられる。リン酸基が化学結合されている医療用高分子材料を生体内に埋植すると体液がカルシウムを含むため医療用高分子材料表面にカルシウムが付与されると考えられるため、医療用高分子材料表面へのカルシウムの付与は必須ではないが、事前にカルシウムを医療用高分子材料表面に付与することは骨伝導性の早期発現などの観点から有効であると思われる。
付与するカルシウム量は特に限定されないが、医療用高分子材料表面においてXPSにて測定したカルシウムの原子組成百分率が0.1%以上であることが好ましく、0.5%以上であることがより好ましく、1%以上であることがさらに好ましい。
本発明の原料高分子材料においては、構造式中にケトン基を含むことが好ましい。ケトン基を含む高分子材料は、機械的性質に優れる場合が多い。また、当該ケトン基を還元して水酸基とし、当該水酸基の全部あるいは一部をリン酸化することによって、高分子材料表面にリン酸基を化学結合させたり、リン酸基と水酸基の両者を化学結合させたりすることができる。
本発明の原料高分子材料としては、ポリエーテルケトン、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、及びポリエチレンテレフタレートから選ばれる高分子材料が好ましい。これらの高分子材料は、構造式中にケトン基を含み、かつ、医療用高分子材料としての所要性質である、4)機械的性質に優れること、を高度に満足する材料である。
本発明におけるポリエーテルケトンとは、エーテルとケトンにより結合した直鎖状ポリマーの総称である。その中でも芳香族ポリエーテルケトンが有用であり、芳香族ポリエーテルケトンはベンゼン環がエーテルとケトンにより結合した直鎖状ポリマーである。
このようなポリエーテルケトンとしては、エーテル結合とケトン結合を交互に配置した基本的な直鎖状構造を持つポリエーテルケトン(polyetherketone,PEK)、エーテル・エーテル・ケトンの順に結合を配置したポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone,PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(polyetherketoneketone,PEKK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(polyetheretherketoneketone,PEEKK)、ポリエーテルケトンエステルが例示される。
ポリエーテルケトンの中でも、特にPEEKは骨と力学的性質が類似していること、すでに臨床応用されていることから、医療用高分子として最適な高分子材料の一つである。
これらの原料高分子材料は、押出成型、射出成型などの様々な成形法で所望の形状に加工される。また、その際に、原料高分子材料の内部に機械的強さの増大、骨結合性の付与などを目的として炭素繊維やリン酸カルシウムなどを添加してもよい。
粗面化されていない原料高分子材料でも、主鎖のC元素を含むC-O-P化学結合を有するリン酸基を、材料表面に化学結合させれば骨結合能などに優れる医療用高分子材料が製造できるが、粗面化された原料高分子材料の表面にリン酸基を化学結合すると、骨結合能などの観点から極めて有用である。原料高分子材料の表面粗さ(算術平均粗さRa)としては、1μm以上が好ましく、1.2μm以上であることがより好ましく、1.5μm以上であることがさらに好ましく、1.7μm以上であることが特に好ましい。
原料高分子材料の表面に溝を形成することも骨結合能の観点から極めて有用である。当該溝は、溝間隔が200μm以下かつ溝深さが10μm以上であることが好ましい。溝間隔が200μm以下かつ溝深さが10μm以上である溝を有する原料用高分子材料の表面にリン酸基を化学結合すると骨結合能などの観点から極めて有用である。溝間隔としては、170μm以下であることがより好ましく、140μm以下であることがさらに好ましく、110μm以下であることが特に好ましい。また、溝深さは、15μm以上であることがより好ましく、20μm以上であることがさらに好ましく、25μm以上であることが特に好ましい。
溝深さ及び溝間隔は、3Dレーザー顕微鏡などで測定することができる。
本発明の医療用高分子材料において、高分子表面の算術表面粗さ(Ra)が1μm以上であり、かつ、当該高分子材料の表面にリン酸基が化学結合されている場合、及び、溝間隔が200μm以下かつ溝深さが10μm以上である溝を有し、かつ、当該高分子材料の表面にリン酸基が化学結合されている場合には、特に、骨結合性などに優れる。両者の複合によって、特に骨伝導性などにおいて優れる性質を発揮する理由は、単純に両者の複合効果で説明できず、その機序は不明であるが、医療用高分子材料の表面において微小環境を形成し、当該微小環境においてリン酸基、あるいはリン酸基と水酸基との両者が存在することによって、微小環境に骨を伝導させるような特異効果が発現されている可能性が考えられる。
本発明においては、構造式中に末端を除いてリン酸基及び水酸基が実質的に存在しない高分子材料の表面に、構造式の主鎖のC元素を含むC-O-Pの化学結合を有するリン酸基が存在する医療用高分子材料を製造する。
当該材料の製造方法の一つは、構造式中に末端を除いてリン酸基及び水酸基が実質的に存在しない原料高分子材料表面に水酸基を形成し、水酸基形成工程と同時に、あるいは水酸基形成工程に続いて、当該水酸基の全部あるいは一部をリン酸化することである。
原料高分子材料中に、ケトン基が存在する場合における有効な製造方法の一つは、当該ケトン基を還元することによって、原料高分子材料表面に水酸基を形成し、当該水酸基の全部あるいは一部をリン酸化することである。ケトン基を還元することによって原料高分子材料の主鎖を切断することなく、原料高分子材料表面に水酸基を形成させることができるため、品質の高い医療用高分子材料が製造できる。
ケトン基の還元に用いる還元剤としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)、水素化ホウ素リチウム(LiBH)、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH)、モノボラン(BH)等を用いることができる。
原料高分子材料中に、ベンゼン環が存在する場合における有効な製造方法の一つは、当該ベンゼン環を酸化することによって、当該高分子材料表面に水酸基を形成し、当該水酸基の全部あるいは一部をリン酸化することである。ベンゼン環を酸化することによって原料高分子材料の主鎖を切断することなく、原料高分子材料表面に水酸基を形成させることができるため、品質の高い医療用高分子材料が製造できる。なお、ベンゼン環の酸化にはオゾンと反応させることが効率の観点から好ましい。また、ベンゼン環のオゾンによる酸化は、低温で行うことが好ましい。温度としては、10℃以下が好ましく、-20℃以下がより好ましく、-50℃以下がさらに好ましい。
原料高分子材料の表面に、主鎖のC元素を含むC-O-P化学結合を有するリン酸基を化学結合させた医療用高分子材料を製造する他の方法は、当該原料高分子材料に、オゾンを暴露させる方法、プラズマを照射する方法、及び紫外線を照射する方法から選ばれる少なくとも一つの方法で、原料高分子材料の元素間を切断し、水分などと反応させて水酸基を形成させ、当該水酸基の全部あるいは一部をリン酸化することである。
リン酸化の手法としては、表面に水酸基を形成した原料高分子材料をリン酸源に暴露させ、脱水などの化学反応によって、水酸基を介してリン酸基を化学結合させる手法が例示される。なお、脱水反応の場合、原料表面の水酸基の水素は結合から排除され、主鎖のC元素を含むC-O-P化学結合が形成される。
具体的には、原料高分子材料表面の水酸基を塩化ホスホリルや、クロロリン酸ジメチル、クロロリン酸ジエチルなどのクロロリン酸ジアルキルでリン酸化することが好ましい。
これらはリン酸化能が高く、高温で反応させなくとも所定量のリン酸化処理を行うことができる。また、比較的高い温度で原料高分子材料の水酸基をリン酸化することによって、原料高分子材料に化学結合されるリン酸基量を増大させることができる。
C-O-P化学結合を有する医療用高分子材料の表面にさらにカルシウムが付与されている材料の製造方法の一つは、リン酸基と水酸基の両者が付与されている高分子材料を製造し、当該材料をカルシウムと接触させることである。
例えば、表面にリン酸基が化学結合されている高分子材料を、塩化カルシウム水溶液などカルシウムイオンを含む水溶液に浸漬することによって、カルシウムが表面付与されている医療用高分子材料が製造される。
高分子材料の表面にカルシウムを付与する手法が、高分子材料を、カルシウムを含む水溶液中に浸漬する製造方法である場合、医療用高分子材料表面への効率的なカルシウムの付与の観点から、カルシウム溶液のカルシウム濃度は、1ミリモル濃度以上5モル濃度以下であることが好ましく、10ミリモル濃度以上3モル濃度以下であることがより好ましく、50ミリモル濃度以上2モル濃度以下であることがさらに好ましい。
以下、具体的に例を挙げて本発明に係る医療用高分子材料の特性(骨結合性)及びその製造方法を示す。なお、本実施例および比較例においては下記の条件で検討を行った。
(サンドブラストによる表面形態形成工程)
直径1.4mm、長さ2.3mmの棒状PEEK材料を、アルミナを砥粒としてサンドブラストした。当該工程によって形成された表面のRaは2.3μmであった。
(研削による表面形態形成工程)
直径1.4mm、長さ2.3mmの棒状PEEK材料を研削して、材料表面を粗面化した。当該工程によって形成された表面のRaは2.3μmであった。また、溝間隔は100μm、溝深さは38.5μmであった。
(ケトン基の還元による水酸基形成工程)
PEEKのケトン基の還元は、80℃で0.05モル濃度の水素化ホウ素ナトリウムのジメチルスルホキシド溶液にPEEK材料を24時間浸漬して行った。
(オゾン処理による水酸基化学結合工程)
オゾン処理は、高分子材料をエコデザイン株式会社製研究開発用オゾン発生器で室温1時間処理して行った。
(プラズマ処理による水酸基化学結合工程)
プラズマ処理は、高分子材料をフェムトサイエンス社製CUTE 1MPで50kHz、100W、1分間処理して行った。
(リン酸基化学結合工程)
リン酸基化学結合工程は、材料を塩化ホスホリルに浸漬して行った。
具体的には、塩化ホスホリル0.9mLをトリエチルアミン1.4mL、ジクロロメタン100mLを混合して塩化ホスホリル溶液を調製した。処理する材料を塩化ホスホリル溶液に20℃で24時間浸漬した。
(カルシウム付与工程)
表面にリン酸基が化学結合されている材料を20℃で0.1モル濃度の塩化カルシウム水溶液に1時間浸漬した。
(XPS測定)
試料のXPS分析はThermo Fisher Scientific製K-Alpha+システムで行った。
(培養細胞での評価)
製造された材料をプラスチック製培養皿に静置し、ラット大腿骨より抽出した間葉系幹細胞を25,000個播種した。細胞増殖数の評価には、同仁社製cell counting kit-8を用い、アルカリホスファターゼ活性の測定には、和光純薬製ラボアッセイTMALPを用い、骨結節形成量の評価には、コスモバイオ社製石灰化染色キットを用いた。
(病理組織学的検索)
ラット大腿骨に直径1.5mmの骨欠損を長軸方向に作成し、製造された材料を当該骨欠損に埋入した。4週間埋入後に材料を周囲組織と一塊に摘出し、病理組織切片を作成、ヘマトキシリン・エオジン染色あるいはビラヌエバ・ゴルドナー染色を行った。
(骨-材料の結合率)
ヘマトキシリン・エオジン染色した場合における病理組織像から、骨と接触している材料の長さを、骨と面している材料の面積で除し、百分率で表示した。
(引抜強さ(骨に対する剪断力))
12週ウィスター系雄性ラットの大腿骨腔に1.5mmφの欠損を形成し、直径1.4mm、長さ2.3mmの円柱棒状材料を埋入した。その後、4週後に骨髄方向への引き抜き試験を行った。
(引剥強さ(骨の引剥力))
12週ウィスター系雄性ラットの頚骨に10mm×2mm×15mmの欠損を形成し、1辺10mmの板状材料を埋入した。その後、4週後に骨髄と垂直方向に引っ張り試験を行った。
<研削群>
[比較例1]
(表面形態形成工程)
研削によってPEEK材料表面を表面形態形成した。表面形態形成されたPEEK材料のRaは2.3μmであり、溝間隔は100μm、溝深さは38.5μmであった。製造されたPEEK製品の写真を図1、XPS分析結果を図2、XPSピークをピーク分離した結果を表1に示す。
Figure 0007157458000001
なお、本材料は、形態以外は何も変わらないため、PEEK材料であり、構造式中に末端を除いてリン酸基及び水酸基が実質的に存在しない高分子材料である。また、表面にリン酸基が化学結合されていないため、比較例1で製造されたPEEK製品は本発明に含まれない材料である。
[比較例2]
(水酸基化学結合工程)
比較例1と同様にして得られたPEEK材料を、80℃で0.05モル濃度の水素化ホウ素ナトリウムのジメチルスルホキシド溶液に24時間浸漬後、0.5モル濃度の塩酸に浸漬し、PEEK材料のケトン基の一部を還元して水酸基とした。
水酸基化学結合工程の後のPEEK材料のRaは2.3μmであり、溝間隔は100μm、溝深さは38.5μmであった。比較例1との比較から、PEEK材料に水酸基化学結合処理を行っても、PEEK材料の表面形態が全く変わらないことがわかった。
製造されたPEEK製品のXPS分析結果を図2、XPSピークのピーク分離した結果を図3及び表1に示す。
PEEK表面に水酸基が形成されたことが確認された。当該水酸基は、PEEKの側鎖であり、PEEKの主鎖のC元素を含むC-O-H化学結合からなる水酸基である。
なお、製造したPEEK材料は、表面に水酸基が化学結合しているが、リン酸基は存在しないため、本発明に含まれない材料である。
[実施例1]
(リン酸基化学結合工程)
比較例2と同様にして得られたPEEK材料を塩化ホスホリル0.9mL、トリエチルアミン1.4mL、ジクロロメタン100mLを混合した溶液に20℃で24時間浸漬し、PEEK材料のケトン基の一部を還元して形成した水酸基の一部をリン酸化した。
リン酸基化学結合工程の後のPEEK材料のRaは2.3μmであり、溝間隔は100μm、溝深さは38.5μmであった。比較例2と実施例1の比較から、PEEK材料にリン酸基化学結合処理を行っても、PEEK材料の表面形態が全く変わらないことがわかった。
製造されたPEEK製品のXPS分析結果を図2に示す。PEEK材料表面の水酸基と塩化ホスホリルが反応し、PEEK材料表面にPEEKの主鎖のC元素を含むC-O-P化学結合を有するリン酸基が化学結合されたことがわかった。リン酸基の原子組成百分率は、1.2%であった。
[実施例2]
(カルシウム付与工程)
実施例1と同様にして得られたPEEK材料を20℃で0.1モル濃度の塩化カルシウム水溶液に1時間浸漬した。
カルシウム付与工程後のPEEK材料のRaは2.3μmであり、溝間隔は100μm、溝深さは38.5μmであった。実施例1と実施例2との比較から、表面にリン酸基が化学結合されているPEEK材料にカルシウム付与処理を行っても、PEEK材料の表面形態が全く変わらないことがわかった。
製造されたPEEK製品のXPS分析結果を図2に示す。PEEK材料表面にカルシウムが付与されたことがわかった。
[比較例3]
(リン酸基化学結合工程)
比較例1と同様にして得られたPEEKに、比較例2に記載した水酸基付与処理を行わず、実施例1に記載したリン酸基化学結合処理のみを行った。
XPS解析によって、PEEK表面にリン酸基が結合されていないことがわかった。このことから、比較例2で行った水酸基化学結合処理を行わないと、PEEK材料表面にリン酸基を化学結合させることができないことがわかった。
[比較例4]
(プラズマ処理によるリン酸基化学結合工程の検討)
比較例1と同様にして得られたPEEK材料を、50kHz、100W、1分間プラズマ照射した。また、反応容器内にリン酸をおいて同様にPEEK材料にプラズマ照射した。いずれの場合もXPS解析によって、PEEK材料表面にリン酸基は検出されず、プラズマ照射ではPEEK材料表面にリン酸基を結合させることができないことがわかった。
《比較例1、比較例2、実施例1、実施例2で製造されたPEEK材料の解析》
比較例1、比較例2、実施例1、実施例2で製造されたPEEK材料の酸素(O1s)、リン酸基(P2p)およびカルシウム(Ca2p)のXPSスペクトルを図2に示す。
水酸基形成処理前のPEEK材料(比較例1)および水酸基化学結合処理を行ったPEEK材料(比較例2)はリンもカルシウムも存在しない。リン酸基化学結合処理を行ったPEEK材料(実施例1)にはリンが検出され、リン酸基が化学結合しているがカルシウムは存在しないことがわかる。当該PEEK材料にカルシウム付与処理を行ったPEEK材料(実施例2)にはリンとカルシウムが検出された。
比較例2で製造されたPEEK材料の水酸基形成を詳細に検討するため、O1sのピーク分離を行った結果を図3に示す。XPSのO1s(酸素)を波形分離して分析するとケトンおよびエーテルに帰属される酸素と水酸基に帰属される酸素は、面積比率としてそれぞれ、89%と11%であった。
比較例1のPEEK材料には水酸基が存在しないが、水酸基化学結合処理を行った比較例2のPEEK材料には水酸基が形成されていることがわかる。また、形成された水酸基はOに対して、11.4%であることがわかる。
実施例1のPEEK材料表面の官能基のうち、リン酸基は0.8%であった。比較例2において製造されたPEEK材料の水酸基の全てがリン酸基化学結合処理によってリン酸基となった場合、水酸基は約0.57%と計算される。そのため、実施例1のPEEK材料表面には水酸基およびリン酸基があることがわかった。また、カルシウム付与処理によって水酸基が減少していないため、実施例2のPEEK材料表面にも水酸基およびリン酸基があることがわかった。
《比較例1、比較例2、実施例1、実施例2で製造されたPEEK材料と骨との結合に関する解析》
PEEK製品の骨形成能を検証するために、ラット大腿骨に直径1.5mmの骨欠損を長軸方向に作成し、未処理PEEK材料、水酸基形成PEEK材料、リン酸化PEEK材料、Ca付与PEEK材料を4週間埋植した。
図4にラット大腿骨における比較例1、比較例2、実施例1、実施例2で製造されたPEEK製品の4週目の病理組織像を示す。
表2にPEEK材料と埋入4週目における骨と材料の結合率及び引抜強さを示す。
Figure 0007157458000002
病理組織像および表2に示した骨結合率から、比較例1及び2に対して実施例1及び2は圧倒的に骨結合率に優れることがわかる。また、表2に示した引抜強さから、実施例1及び2では比較例1及び2に対して骨との結合力に優れることがわかる。
<サンドブラスト群>
[比較例5]
(表面形態形成工程)
直径1.4mm、長さ2.3mmの棒状PEEK材料にサンドブラストによって表面形態形成処理を行った。表面形態形成されたPEEK材料のRaは3.6μmであった。製造されたPEEK製品のSEM写真を図5に示す。
本材料は、形態以外は何も変わらないため、PEEK材料であり、構造式中に末端を除いてリン酸基及び水酸基が実質的に存在しない高分子材料である。また、表面にリン酸基が化学結合されていないため、比較例5で製造されたPEEK製品は本発明に含まれない材料である。
[比較例6]
(水酸基化学結合工程)
比較例5と同様にして得られたPEEK材料に、比較例2と同じ条件で水酸基化学結合処理を行った。
水酸基化学結合工程の後のPEEK材料のRaは3.6μmであり、PEEK材料に水酸基化学結合処理を行っても、PEEK材料の表面形態が全く変わらないことがわかった。また、XPS分析からPEEK材料表面に水酸基が形成されたことがわかった。還元剤によって水酸基を形成させているため、PEEK材料のケトンが還元された水酸基が形成されている。当該水酸基は、PEEK材料の側鎖であり、PEEK材料の主鎖のC元素を含むC-O-H化学結合からなる水酸基である。
なお、製造したPEEK材料は、表面に水酸基が化学結合しているが、リン酸基は存在しないため、本発明に含まれない材料である。
[実施例3]
(リン酸基化学結合工程)
比較例6と同様にして得られたPEEK材料に、実施例1と同じ条件でリン酸基化学結合処理を行った。
リン酸基化学結合工程の後のPEEK材料のRaは3.6μmであり、PEEK材料にリン酸基化学結合処理を行っても、PEEK材料の表面形態が全く変わらないことがわかった。
XPS分析から、PEEK材料表面にリン酸基が化学結合されたことがわかった。塩化ホスホリルはPEEK材料表面の水酸基と反応するため、当該PEEK材料表面に、主鎖のC元素を含むC-O-P化学結合を有するリン酸基が形成されたことがわかった。
[比較例7]
(リン酸基化学結合工程)
比較例5と同様にして得られたPEEK材料に、水酸基化学結合処理を行わずにリン酸基化学結合工程のみを行った。
XPS解析によって、PEEK材料表面にリン酸基が結合されていないことがわかった。このことから、比較例6で行った水酸基化学結合処理を行わないと、PEEK材料表面にリン酸基を化学結合させることができないことがわかった。
[比較例8]
(プラズマ処理によるリン酸基化学結合工程の検討)
比較例5と同様にして得られたPEEK材料を、50kHz、100W、1分間プラズマ照射した。また、反応容器内にリン酸をおいて同様にPEEK材料にプラズマ照射した。いずれの場合もXPS解析によって、PEEK材料表面にリン酸基は検出されず、プラズマ照射ではPEEK材料表面にリン酸基を結合させることができないことがわかった。
《比較例5、比較例6、実施例3で製造されたPEEK材料と骨との結合に関する解析》
比較例5、比較例6、実施例3で製造されたPEEK材料をラット大腿骨腔に埋入し、埋入4週目における骨と材料の引抜強さ及び引剥強さを表3に示す。
Figure 0007157458000003
表3に示した埋入4週目の引抜強さ及び埋入8週目の引剥強さから、実施例3で製造したPEEK材料は比較例5及び6で製造したPEEK材料に対して骨との結合力に優れることがわかった。
<滑面の群>
[比較例9]
高分子材料への表面形態形成処理が高分子材料と骨との結合強さに及ぼす影響を検討するために、表面形態形成処理を行わないPEEK材料を用いた。本PEEK材料のRaは0.06μmであった。
本高分子材料は、PEEK材料であるため、構造式中に末端を除いてリン酸基及び水酸基が実質的に存在しない高分子材料である。また、表面にリン酸基が化学結合されていないため、比較例9のPEEK材料は本発明に含まれない材料である。
[比較例10]
(水酸基化学結合工程)
比較例9と同様にして得られたPEEK材料に、比較例2と同じ水酸基化学結合処理を行った。
水酸基化学結合工程の後のRaは0.06μmであり、PEEK材料に水酸基化学結合処理を行っても、PEEK材料の表面形態が全く変わらないことがわかった。
原料PEEK材料のケトン基が還元されてPEEK材料表面に水酸基が形成された。当該水酸基は、PEEK材料の側鎖であり、PEEK材料の主鎖のC元素を含むC-O-H化学結合からなる水酸基である。
製造したPEEK材料は表面に水酸基が化学結合しているが、リン酸基は存在しないため、本発明に含まれない材料である。
[実施例4]
(リン酸基化学結合工程)
比較例10と同様にして得られたPEEK材料に、リン酸基化学結合処理を行った。
リン酸基化学結合工程の後のPEEK材料のRaは0.06μmであり、PEEK材料にリン酸基化学結合処理を行っても、PEEK材料の表面形態が全く変わらないことがわかった。
XPS分析から、PEEK材料表面にリン酸基が化学結合されたことがわかった。塩化ホスホリルはPEEK材料表面の水酸基と反応するため、当該PEEK材料表面に、主鎖のC元素を含むC-O-Pの化学結合を有するリン酸基が形成されたことがわかった。
[比較例11]
(リン酸基化学結合工程)
比較例9と同様にして得られたPEEK材料に、水酸基化学結合処理を行わずにリン酸基化学結合処理のみを行った。XPS解析によって、PEEK材料表面にリン酸基が結合されていないことがわかった。このことから、水酸基化学結合処理を行わないと、リン酸基化学結合処理を行ってもPEEK材料表面にリン酸基を化学結合させることができないことがわかった。
[比較例12]
(プラズマ処理によるリン酸基化学結合工程の検討)
比較例9と同様にして得られたPEEK材料を、50kHz、100W、1分間プラズマ照射した。また、反応容器内にリン酸をおいて同様にPEEK材料にプラズマ照射した。いずれの場合もXPS解析によって、PEEK材料表面にリン酸基は検出されず、プラズマ照射ではPEEK材料表面にリン酸基を結合させることができないことがわかった。
《比較例9、比較例10、実施例4で製造されたPEEK材料と骨との結合に関する解析》
比較例9、比較例10、実施例4で製造されたPEEK材料をラット大腿骨腔に埋入し、4週目における骨と材料の引抜強さ及び引剥強さ、8週目における骨と材料の引剥強さを表4に示す。
Figure 0007157458000004
実施例4で製造されたPEEK材料は、比較例9及び10で製造されたPEEK材料と比較して埋植4週目の引抜力、引剥力、埋植8週目の引剥力が大きいことから、リン酸基を表面に化学結合させたPEEK材料は骨結合性に優れることがわかった。
また、比較例1で製造されたPEEK材料(粗面)と比較例9で製造されたPEEK材料(滑面)の埋植4週目の引抜強さを比較すると、比較例1で製造されたPEEK材料の方が10.5N大きい。
また、比較例9と実施例4の埋入8週目の引剥力の差(滑面)は9.9Nである。一方、比較例5と実施例3の埋入8週目の引剥力の差(粗面)は20Nである。したがって、Raが1μm以上の材料の表面にリン酸基を結合させると、シナジー効果が発現し、高分子材料と骨との結合力を著しく増大させることがわかった。
<サンドブラスト+オゾン処理>
オゾン処理によりPEEK材料表面に水酸基を形成させる群について検討を行った。
[比較例13]
(水酸基化学結合工程)
比較例5と同様にして得られたPEEK材料にオゾン処理による水酸基化学結合処理を行った。PEEK材料のケトン基が還元されてPEEK材料表面に水酸基が形成された。当該水酸基は、PEEK材料の側鎖であり、PEEK材料の主鎖のC元素を含むC-O-H化学結合からなる水酸基である。
Raは3.6μmであり、PEEK材料にオゾン処理による水酸基化学結合処理を行っても、PEEK材料の表面形態が全く変わらないことがわかった。
なお、製造したPEEK材料は表面に水酸基が化学結合しているが、リン酸基は存在しないため、本発明に含まれない材料である。
[実施例5]
(リン酸基化学結合工程)
比較例13と同様にして得られたPEEK材料に、実施例1と同じ条件でリン酸基化学結合処理を行った。
リン酸基化学結合工程の後のPEEK材料のRaは3.6μmであり、PEEK材料にリン酸基化学結合処理を行っても、PEEK材料の表面形態が全く変わらないことがわかった。
XPS分析からPEEK材料表面にリン酸基が化学結合されたことがわかった。塩化ホスホリルはPEEK材料表面の水酸基と反応するため、当該PEEK材料表面に、主鎖のC元素を含むC-O-Pの化学結合を有するリン酸基が形成されたことがわかった。
[実施例6]
(カルシウム付与工程)
実施例5と同様にして得られたPEEK材料に、20℃で0.1モル濃度の塩化カルシウム水溶液に1時間浸漬してカルシウム付与処理を行った。
カルシウム付与工程後のPEEK材料のRaは3.6μmであり、カルシウム付与処理を行っても、PEEK材料の表面形態が全く変わらないことがわかった。
《比較例13、実施例5、実施例6で製造されたPEEK材料と骨との結合に関する解析》
PEEK材料と埋入2週目、4週目における骨と材料の結合率及び引抜強さを表5に示す。
Figure 0007157458000005
実施例5及び6で製造されたPEEK材料は、比較例13より埋植2週目の骨結合率、引抜力、埋植4週目の骨結合率、引抜強さが大きいことから、リン酸基を表面に化学結合させたPEEK材料は骨結合性に優れることがわかった。
<サンドブラスト+プラズマ処理>
サンドブラストにて粗面化を行ったPEEK材料にプラズマ処理によって表面に水酸基を形成させる群について検討を行った。
[比較例14]
(水酸基化学結合工程)
比較例5と同様にして得られたPEEK材料に、50kHz、100W、1分間プラズマ照射した。XPSにてPEEK材料表面に水酸基が形成されたことを確認した。当該水酸基は、PEEK材料の主鎖もしくは側鎖であり、PEEK材料の主鎖のC元素を含むC-O-H化学結合からなる水酸基である。
Raは3.6μmであり、PEEK材料にプラズマによる水酸基化学結合処理を行っても、PEEK材料の表面形態が全く変わらないことがわかった。
なお、製造したPEEK材料は、表面に水酸基が化学結合しているが、リン酸基は存在しないため、本発明に含まれない材料である。
[実施例7]
(リン酸基化学結合工程)
比較例14と同様にして得られたPEEK材料に、実施例1と同じ条件でリン酸基化学結合処理を行った。
リン酸基化学結合工程の後のPEEK材料のRaは3.6μmであり、PEEK材料にリン酸基化学結合処理を行っても、PEEK材料の表面形態が全く変わらないことがわかった。
XPS分析からPEEK材料表面にリン酸基が化学結合されたことがわかった。塩化ホスホリルはPEEK材料表面の水酸基と反応するため、当該PEEK材料表面に、主鎖のC元素を含むC-O-Pの化学結合を有するリン酸基が形成されたことがわかった。
《比較例5、比較例14,実施例7で製造されたPEEK材料と骨との結合に関する解析》
PEEK材料表面での細胞の7日間の増殖率、14日後のアルカリホスファターゼ活性、21日後の骨結節量に関する細胞学的解析結果、埋入4週目における骨と材料の引抜き強さを表6に示す。
Figure 0007157458000006
実施例7で製造されたPEEK材料は、比較例5及び14より培養7日後の細胞増殖率、14日後のALP活性および21日後の骨結節量が大きいことから、リン酸基を表面に化学結合させたPEEK材料は、骨に関与する細胞増殖及び細胞分化及び骨結節形成を高めることがわかった。
<オゾン処理(PET材料)>
オゾン処理によってポリエチレンテレフタレート(PET)材料表面に水酸基を形成させ、当該水酸基を介してリン酸基を化学結合させる検討を行った。原料PET材料のRaは0.5μmであった。
[比較例15]
PET材料に水酸基化学結合処理もリン酸基化学結合処理も行わなかった。PET材料は、構造式中に末端を除いてリン酸基及び水酸基が実質的に存在しない高分子材料であるが、表面にリン酸基が化学結合されていないため本発明に含まれない材料である。
[比較例16]
(水酸基化学結合工程)
比較例15のPET材料に50kHz、100W、1分間プラズマ照射により水酸基化学結合処理を行った。当該水酸基は、PET材料の側鎖であり、PET材料の主鎖のC元素を含むC-O-H化学結合からなる水酸基である。
Raは0.5μmであり、PET材料に水酸基化学結合処理を行っても、PET材料の表面形態が全く変わらないことがわかった。
製造したPET材料は表面に水酸基が化学結合しているが、リン酸基は存在しないため、本発明に含まれない材料である。
[実施例8]
(リン酸基化学結合工程)
比較例16と同様にして得られたPET材料に、実施例1と同じ条件でリン酸基化学結合処理を行った。
リン酸基化学結合工程の後のPET材料のRaは0.5μmであり、PET材料にリン酸基化学結合処理を行っても、PET材料の表面形態が全く変わらないことがわかった。
XPS分析からPET材料表面にリン酸基が化学結合されたことがわかった。塩化ホスホリルはPET材料表面の水酸基と反応するため、当該PET材料表面に、主鎖のC元素を含むC-O-Pの化学結合を有するリン酸基が形成されたことがわかった。
《比較例16、実施例8で製造されたPET材料と骨との結合に関する解析》
埋入2週目における骨と材料との引抜強さを表7に示す。
Figure 0007157458000007
実施例8で製造されたPET材料は、比較例16より埋入2週目の引抜力が大きいことから、リン酸基を表面に化学結合させたPET材料は骨結合性に優れることがわかった。

Claims (10)

  1. 構造式の分子量に対して、末端を除く部分に含有されるリン酸基及び水酸基の分子量が1%未満の、構造式中に末端を除いてリン酸基及び水酸基が実質的に存在しない、ポリエーテルケトン、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、及びポリエチレンテレフタレートから選ばれる、構造式中にケトン基を含む高分子材料の表面に、前記構造式の主鎖のC元素を含むC-O-P化学結合を有するリン酸基、及び主鎖のC元素を含むC-O-H化学結合からなる水酸基の両者が存在していることを特徴とする医療用高分子材料。
  2. 前記高分子材料の表面に、さらにカルシウムが付与されていることを特徴とする請求項1に記載の医療用高分子材料。
  3. 前記高分子材料が、ポリエーテルエーテルケトンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の医療用高分子材料。
  4. 前記高分子材料の表面の算術平均粗さRaが、1μm以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の医療用高分子材料。
  5. 前記高分子材料の表面に、溝が形成されており、該溝の溝間隔が200μm以下かつ溝深さが10μm以上であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の医療用高分子材料。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の医療用高分子材料の製造方法であって、
    構造式の分子量に対して、末端を除く部分に含有されるリン酸基及び水酸基の分子量が1%未満の、構造式中に末端を除いてリン酸基及び水酸基が実質的に存在しない、ポリエーテルケトン、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、及びポリエチレンテレフタレートから選ばれる、構造式中にケトン基を含む原料高分子材料表面に水酸基を形成し、当該水酸基の一部をリン酸化することを特徴とする医療用高分子材料の製造方法。
  7. 前記原料高分子材料表面のケトン基を還元することによって、原料高分子材料表面に水酸基を形成することを特徴とする請求項6に記載の医療用高分子材料の製造方法。
  8. オゾンを暴露させる方法、プラズマを照射する方法、及び紫外線を照射する方法から選ばれる少なくとも一つの方法によって、前記原料高分子材料表面に水酸基を形成することを特徴とする請求項6に記載の医療用高分子材料の製造方法。
  9. 塩化ホスホリル又はクロロリン酸ジアルキルを用いて、前記原料高分子材料表面に形成された水酸基をリン酸化することを特徴とする請求項6~8のいずれかに記載の医療用高分子材料の製造方法。
  10. リン酸化された原料高分子材料の表面に、カルシウムを付与することを特徴とする請求項6~9のいずれかに記載の医療用高分子材料の製造方法。
JP2019518819A 2017-05-17 2018-05-16 骨結合性に優れる医療用高分子材料 Active JP7157458B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017097776 2017-05-17
JP2017097776 2017-05-17
PCT/JP2018/018837 WO2018212209A1 (ja) 2017-05-17 2018-05-16 骨結合性に優れる医療用高分子材料

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2018212209A1 JPWO2018212209A1 (ja) 2020-03-19
JP7157458B2 true JP7157458B2 (ja) 2022-10-20

Family

ID=64274437

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019518819A Active JP7157458B2 (ja) 2017-05-17 2018-05-16 骨結合性に優れる医療用高分子材料

Country Status (4)

Country Link
US (1) US11542367B2 (ja)
EP (1) EP3626275A4 (ja)
JP (1) JP7157458B2 (ja)
WO (1) WO2018212209A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020203855A1 (ja) * 2019-03-29 2020-10-08 国立大学法人 岡山大学 表面処理された芳香族ポリエーテルケトンを含むインプラント材料およびその製造方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008023604A1 (fr) 2006-08-21 2008-02-28 National University Corporation, Tokyo Medical And Dental University composé pour modification de surface et procédé de modification de surface l'utilisant
JP2008272385A (ja) 2007-05-07 2008-11-13 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 生体インプラント材及びその作製方法と用途
JP2011125531A (ja) 2009-12-18 2011-06-30 Ngk Spark Plug Co Ltd 生体インプラント

Family Cites Families (19)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4795475A (en) * 1985-08-09 1989-01-03 Walker Michael M Prosthesis utilizing salt-forming oxyacids for bone fixation
US6066176A (en) * 1996-07-11 2000-05-23 Oshida; Yoshiki Orthopedic implant system
JP4604238B2 (ja) 2003-09-19 2011-01-05 独立行政法人産業技術総合研究所 燐酸カルシウムと生理活性物質を含有する高分子複合体、その製造方法及びそれを用いた医療用材料
US8968797B2 (en) 2006-09-25 2015-03-03 Orthovita, Inc. Bioactive load-bearing composites
JP5171090B2 (ja) 2007-03-29 2013-03-27 日本特殊陶業株式会社 生体インプラント及びその製造方法
JP5210566B2 (ja) 2007-08-01 2013-06-12 日本特殊陶業株式会社 生体インプラント及びその製造方法
JP5159220B2 (ja) 2007-09-06 2013-03-06 日本特殊陶業株式会社 生体インプラント及びその製造方法
JP4788005B2 (ja) 2007-11-19 2011-10-05 Necディスプレイソリューションズ株式会社 輝度調整装置、表示装置、プログラム、輝度調整方法
JP5232483B2 (ja) 2008-01-30 2013-07-10 日本特殊陶業株式会社 生体インプラント
JP5232484B2 (ja) 2008-01-31 2013-07-10 日本特殊陶業株式会社 生体インプラント
JP5155058B2 (ja) 2008-08-05 2013-02-27 日本特殊陶業株式会社 骨充填材
US8765265B2 (en) 2008-12-25 2014-07-01 Kyocera Medical Corporation Polymer sliding material, artificial joint member, medical appliance, and manufacturing method therefor
JP5404165B2 (ja) 2009-04-28 2014-01-29 日本特殊陶業株式会社 生体インプラント及び生体インプラントの製造方法
JP2011078624A (ja) 2009-10-08 2011-04-21 Nagoya Univ 傾斜構造リン酸カルシウム含有複合層をもつ樹脂複合体とその製造方法
WO2011091411A2 (en) 2010-01-25 2011-07-28 University Of Pittsburgh-Of The Commonwealth System Of Higher Education Polyesters, methods of making polyesters and uses therefor
JP2014506509A (ja) 2011-02-14 2014-03-17 バイオメット、マニュファクチュアリング、リミテッド、ライアビリティ、カンパニー 非再吸収性ポリマー‐セラミック複合インプラント材料
JP5728321B2 (ja) 2011-07-21 2015-06-03 日本特殊陶業株式会社 生体インプラントの製造方法
WO2013088921A1 (ja) 2011-12-15 2013-06-20 株式会社トクヤマデンタル 有機無機複合材、その製造方法、歯科用材料および骨代替材料
JP6222901B2 (ja) 2012-07-11 2017-11-01 日本特殊陶業株式会社 生体インプラント及び生体インプラントの製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008023604A1 (fr) 2006-08-21 2008-02-28 National University Corporation, Tokyo Medical And Dental University composé pour modification de surface et procédé de modification de surface l'utilisant
JP2008272385A (ja) 2007-05-07 2008-11-13 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 生体インプラント材及びその作製方法と用途
JP2011125531A (ja) 2009-12-18 2011-06-30 Ngk Spark Plug Co Ltd 生体インプラント

Non-Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Biomacromolecules,2016年,vol.17,p. 3016-3024
Colloids and Surfaces B: Biointerfaces,2009年,vol.71, p.52-58
TISSUE ENGINEERING: Part A,2009年,vol.15, no.10,p. 3061-3069
有機化学ハンドブック,第3版,1968年,第595頁、第601頁

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2018212209A1 (ja) 2020-03-19
WO2018212209A1 (ja) 2018-11-22
EP3626275A1 (en) 2020-03-25
EP3626275A4 (en) 2021-02-24
US11542367B2 (en) 2023-01-03
US20200354521A1 (en) 2020-11-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Zhang et al. Graphene oxide‐copper Nanocomposite‐coated porous CaP scaffold for vascularized bone regeneration via activation of Hif‐1α
Zhong et al. 3D printing of metal–organic framework incorporated porous scaffolds to promote osteogenic differentiation and bone regeneration
Zhao et al. Cytocompatibility, osseointegration, and bioactivity of three-dimensional porous and nanostructured network on polyetheretherketone
Sowa et al. Bioactivity of coatings formed on Ti–13Nb–13Zr alloy using plasma electrolytic oxidation
Ma et al. Biologically modified polyether ether ketone as dental implant material
Kapat et al. Simultaneous hydrothermal bioactivation with nano-topographic modulation of porous titanium alloys towards enhanced osteogenic and antimicrobial responses
Shuai et al. Processing and characterization of laser sintered hydroxyapatite scaffold for tissue engineering
Lala et al. Physico-chemical and biological behaviour of eggshell bio-waste derived nano-hydroxyapatite matured at different aging time
Griffin et al. Enhancing tissue integration and angiogenesis of a novel nanocomposite polymer using plasma surface polymerisation, an in vitro and in vivo study
Li et al. Bending properties, compression properties, biocompatibility and bioactivity of sulfonated carbon fibers/PEEK composites with graphene oxide coating
Bertazzo et al. Bioactivation of alumina by surface modification: a possibility for improving the applicability of alumina in bone and oral repair
Moroi et al. E ffect on surface character and mechanical property of unsintered hydroxyapatite/poly‐l‐lactic acid (uHA/PLLA) material by UV treatment
Hanawa An overview of biofunctionalization of metals in Japan
JP7157458B2 (ja) 骨結合性に優れる医療用高分子材料
Souza et al. Chitosan/Xanthan membrane containing hydroxyapatite/Graphene oxide nanocomposite for guided bone regeneration
Islam et al. Excellency of hydroxyapatite composite scaffolds for bone tissue engineering
Zhang et al. Biocompatibility of a micro-arc oxidized ZrCuAlAg bulk metallic glass
JP2011189052A (ja) リン酸カルシウム/生分解性ポリマーハイブリッド材料並びにその製法及びハイブリッド材料を用いたインプラント
Nogueira et al. Biomedical potential of 3D Zn and ZnCu foams produced by dynamic hydrogen bubble template
Bakri et al. Improvement of biohistological response of facial implant materials by tantalum surface treatment
JP5484030B2 (ja) 生体インプラント
Arrieta Payares et al. Microalgae applications to bone repairing processes: A review
Baek et al. Marine plankton exoskeletone-derived hydroxyapatite/polycaprolactone composite 3D scaffold for bone tissue engineering
KR100890935B1 (ko) 피이이케이와 산화칼슘-이산화규소를 이용한 인공골용생체활성 복합체 및 제조방법
JPWO2009038180A1 (ja) 医療用組織結合性材料

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20191024

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210302

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220214

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220405

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220725

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220913

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220927

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220930

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7157458

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150