従来、切削工具の状態をモニタする技術が知られている。
[本開示が解決しようとする課題]
特許文献1~4に記載の技術を超えて、切削工具の状態をモニタ可能なシステムにおいて、切削インサートの取り付けに関する優れた機能を実現することが可能な技術が望まれる。
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、切削工具の状態をモニタ可能なシステムにおいて、切削インサートの取り付けに関する優れた機能を実現することが可能な判定装置、切削工具システムおよび判定方法を提供することである。
[本開示の効果]
本開示によれば、切削工具の状態をモニタ可能なシステムにおいて、切削インサートの取り付けに関する優れた機能を実現することができる。
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本開示の実施の形態に係る判定装置は、切削インサートを保持可能なホルダに取り付けられたひずみセンサの計測結果を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記計測結果に基づいて、前記ホルダにおける前記切削インサートの取り付け状態を判定する判定部とを備える。
このように、ホルダに関する静的な変化を検知することが可能なひずみセンサの計測結果に基づいて、ホルダにおける切削インサートの取り付け状態を判定する構成により、たとえば、ホルダに切削インサートが正常に取り付けられているか否かを自動的に検知することができる。したがって、切削工具の状態をモニタ可能なシステムにおいて、切削インサートの取り付けに関する優れた機能を実現することができる。
(2)前記判定部は、前記切削インサートを用いた切削加工の開始前における前記計測結果に基づいて、前記取り付け状態を判定してもよい。
このような構成により、切削インサートの取り付け状態の判定結果を確認してから切削加工を開始することができるため、たとえば、ホルダに切削インサートが正常に取り付けられていない場合、切削インサートの取り付け状態を改善してから切削加工を開始することができる。
(3)前記判定部は、前記切削インサートを用いた切削加工の開始後における前記計測結果に基づいて、前記取り付け状態を判定してもよい。
このような構成により、たとえば、切削加工の開始後に発生した切削インサートの締め付けの緩み等の取り付け不良を検知することができる。
(4)前記判定部は、前記切削加工の開始後における前記計測結果に基づいて、前記切削加工の開始後において前記切削インサートの切刃が被削物に接触していない期間である非切削期間を特定し、前記非切削期間における前記計測結果に基づいて、前記取り付け状態を判定してもよい。
このような構成により、切削抵抗等の影響を受けない非切削期間における計測結果に基づいて、切削加工中における切削インサートの取り付け状態をより正確に判定することができる。
(5)前記判定装置は、さらに、前記切削加工の開始前において、前記判定部により前記ホルダに前記切削インサートが取り付けられたと判定されたときに用いられた前記計測結果に基づいて、前記計測結果に関する基準値を決定する決定部を備え、前記判定部は、前記基準値および前記切削加工の開始後における前記計測結果に基づいて、前記取り付け状態を判定してもよい。
このような構成により、切削インサートが取り付けられたと判定したときの計測結果に基づく基準値を用いて、ホルダにおけるひずみセンサの設置状態に応じた計測結果のばらつきを排除することができるため、切削インサートの取り付け状態をより正確に判定することができる。
(6)前記判定装置は、さらに、前記切削加工の開始前において、前記ホルダに前記切削インサートを取り付けるための作業が行われたことを示す状態情報を取得する状態情報取得部と、前記状態情報取得部により前記状態情報が取得された後の前記計測結果に基づいて、前記計測結果に関する基準値を決定する決定部とを備え、前記判定部は、前記基準値および前記切削加工の開始後における前記計測結果に基づいて、前記取り付け状態を判定してもよい。
このような構成により、切削インサートの取り付け作業後の計測結果に基づく基準値を用いて、ホルダにおけるひずみセンサの設置状態に応じた計測結果のばらつきを排除することができるため、切削インサートの取り付け状態をより正確に判定することができる。
(7)前記判定装置は、さらに、前記判定部により前記ホルダに前記切削インサートが取り付けられたと判定された場合、前記ひずみセンサの計測動作の内容を変更する変更処理を行う制御部を備える構成であってもよい。
このような構成により、たとえば、ホルダに切削インサートが取り付けられる前は省電力で計測動作を行うことにより消費電力を抑えることができるため、たとえば切削工具における限られたスペースに配置される小容量の電池により供給される電力を用いて計測動作が行われる構成において、電池を長寿命化させることにより電池の交換頻度を低下させることができる。
(8)前記判定装置は、さらに、前記計測結果を他の装置へ送信する通信部と、前記判定部により前記ホルダに前記切削インサートが取り付けられたと判定された場合、前記通信部による送信動作の内容を変更する変更処理を行う制御部とを備える構成であってもよい。
このような構成により、たとえば、ホルダに切削インサートが取り付けられる前は省電力で送信動作を行うことにより消費電力を抑えることができるため、たとえば切削工具における限られたスペースに配置される小容量の電池により供給される電力を用いて送信動作が行われる構成において、電池を長寿命化させることにより電池の交換頻度を低下させることができる。
(9)前記ホルダには複数の前記ひずみセンサが取り付けられており、前記判定装置は、さらに、前記判定部により前記ホルダに前記切削インサートが取り付けられたと判定される前において、前記複数のひずみセンサのうちの一部の前記ひずみセンサを選択的に動作させる制御部を備える構成であってもよい。
このような構成により、ホルダに切削インサートが取り付けられる前は一部のひずみセンサを動作させて消費電力を抑えることができるため、たとえば切削工具における限られたスペースに配置される小容量の電池を用いて計測動作が行われる構成において、電池を長寿命化させることにより電池の交換頻度を低下させることができる。
(10)前記制御部は、前記変更処理を行った後の状態において、前記判定部により前記切削インサートが前記ホルダに取り付けられていないと判定された場合、または前記計測結果が所定条件を満たした場合、前記変更処理を行う前の状態に戻してもよい。
このような構成により、たとえば、切削インサートがホルダから取り外された場合、または切削加工が終了した場合、省電力の動作モードへ遷移することができる。
(11)前記判定装置は、さらに、前記判定部による前記取り付け状態の判定結果に応じて、前記切削インサートの使用に関する情報である使用情報のデータベースを更新する処理を行う更新部を備える構成であってもよい。
このような構成により、たとえば、切削インサートがホルダに取り付けられたタイミングおよびホルダから外されたタイミングに基づいて、切削インサートの使用時間および切削距離等を管理することができるため、切削インサートの交換時期を適切に管理することができる。たとえば、切削加工中に切削インサートに突発的な欠損が生じる場合があることから、実際にはまだ使用可能な切削インサートであっても安全を見て早めに交換される場合があり、切削インサートの消費量およびコストが増大する。これに対して、切削インサートの交換時期を適切に管理することにより、まだ使用可能な切削インサートを交換することによる切削インサートの消費量およびコストの増大を抑制することができる。
(12)前記データベースには、前記切削インサートの識別情報ごとの前記使用情報が格納されており、前記判定装置は、さらに、前記ホルダに取り付けられた前記切削インサートの識別情報を取得する識別情報取得部を備え、前記更新部は、前記識別情報取得部により取得された前記識別情報に対応する前記使用情報の内容を前記データベースにおいて更新する処理を行ってもよい。
このような構成により、切削インサートの識別情報に対応付けてデータベースを管理することができるため、たとえば、過去に使用した切削インサートをホルダに取り付けて再度使用する場合において、当該切削インサートの使用履歴を把握して使用時間および切削距離等を正確に管理することができる。
(13)本開示の実施の形態に係る切削工具システムは、切削インサートが接する収容部を有するホルダと、前記ホルダの表面に取り付けられたひずみセンサと、判定装置とを備え、前記判定装置は、前記ひずみセンサの計測結果を取得し、取得した前記計測結果に基づいて、前記ホルダにおける前記切削インサートの取り付け状態を判定する。
このように、ホルダに関する静的な変化を検知することが可能なひずみセンサの計測結果に基づいて、ホルダにおける切削インサートの取り付け状態を判定する構成により、たとえば、ホルダに切削インサートが正常に取り付けられているか否かを自動的に検知することができる。したがって、切削工具の状態をモニタ可能なシステムにおいて、切削インサートの取り付けに関する優れた機能を実現することができる。
(14)前記ひずみセンサは、前記切削インサートが取りけられたホルダの側面視において、前記切削インサートの切刃の先端から前記収容部の幅を超える位置に取り付けられてもよい。
切削加工時に発生する熱の影響により、ひずみセンサの温度が耐熱温度限界を超え、またはひずみセンサの取付けに使用した接着剤の温度が耐熱温度限界を超えることにより、正確なひずみの計測結果が得られない場合があるところ、このような構成により、ひずみセンサと切刃の先端との間の十分な距離を確保することができるため、切削加工時に発生する熱の影響を抑制することができる。
(15)本開示の実施の形態に係る判定方法は、判定装置における判定方法であって、切削インサートを保持可能なホルダに取り付けられたひずみセンサの計測結果を取得するステップと、取得した前記計測結果に基づいて、前記ホルダにおける前記切削インサートの取り付け状態を判定するステップとを含む。
このように、ホルダに関する静的な変化を検知することが可能なひずみセンサの計測結果に基づいて、ホルダにおける切削インサートの取り付け状態を判定する方法により、たとえば、ホルダに切削インサートが正常に取り付けられているか否かを自動的に検知することができる。したがって、切削工具の状態をモニタ可能なシステムにおいて、切削インサートの取り付けに関する優れた機能を実現することができる。
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
[切削工具システム]
図1は、本開示の実施の形態に係る切削工具システムの構成の一例を示す図である。
図1を参照して、切削工具システム401は、切削工具101と、無線親機300と、管理装置301とを備える。無線親機300は、たとえば有線で管理装置301に接続されている。
たとえば、管理装置301は、無線伝送路または有線伝送路を介して図示しない工作機械と通信可能である。なお、管理装置301は、工作機械の一部であってもよい。
センサモジュール20および判定装置201は、切削工具101のホルダ10に設けられる。センサモジュール20および判定装置201は、たとえば有線を介して互いに接続されている。
センサモジュール20は、ホルダ10に取り付けられたひずみセンサの計測結果を示す計測情報を格納したセンサパケットを生成し、生成したセンサパケットを判定装置201へ送信する。
判定装置201は、センサモジュール20からセンサパケットを受信すると、受信したセンサパケットから計測情報を取得し、取得した計測情報に基づいてホルダ10における切削インサート1の取り付け状態を判定する。判定装置201は、判定結果を示す判定情報を格納した判定パケットを生成し、生成した判定パケットを含む無線信号を無線親機300へ送信する。
また、判定装置201は、センサモジュール20からセンサパケットを受信すると、当該センサパケットを含む無線信号を無線親機300へ送信する。
無線親機300は、たとえばアクセスポイントである。無線親機300は、判定装置201から受信した無線信号に含まれるセンサパケットを取得して管理装置301へ中継する。また、無線親機300は、判定装置201から受信した無線信号に含まれる判定パケットを取得して管理装置301へ中継する。
管理装置301は、無線親機300経由で判定装置201からセンサパケットを受信すると、受信したセンサパケットから計測情報を取得する。たとえば、管理装置301は、取得した計測情報に基づいて、切削インサート1の切刃の状態を判定し、判定結果を表示または音声によりユーザに通知する処理を行う。
また、管理装置301は、無線親機300経由で判定装置201から判定パケットを受信すると、受信した判定パケットから判定情報を取得する。管理装置301は、取得した判定情報が示す判定結果を表示または音声によりユーザに通知する処理を行う。
判定装置201および無線親機300は、たとえば、IEEE 802.15.4に準拠したZigBee(登録商標)、IEEE 802.15.1に準拠したBluetooth(登録商標)およびIEEE802.15.3aに準拠したUWB(Ultra Wide Band)等の通信プロトコルを用いた無線による通信を行う。なお、判定装置201および無線親機300の間において、上記以外の通信プロトコルが用いられてもよい。
なお、切削工具システム401は、1つの切削工具101を備える構成に限らず、複数の切削工具101を備える構成であってもよい。
[管理装置]
図2は、本開示の実施の形態に係る管理装置の構成を示す図である。
図2を参照して、管理装置301は、通信部310と、異常判定部320と、管理部330と、受付部340と、通知部350と、記憶部360とを備える。
異常判定部320、管理部330、受付部340および通知部350は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)およびDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサにより実現される。通信部310は、たとえば通信用IC(Integrated Circuit)等の通信回路により実現される。記憶部360は、たとえば不揮発性メモリである。
受付部340は、管理装置301における表示部に表示された画面に応じてユーザがマウスおよびキーボード等の入力機器に対して行った操作を受け付ける。
通信部310は、無線親機300経由で判定装置201から判定パケットを受信すると、受信した判定パケットから判定情報を取得し、取得した判定情報を通知部350へ出力する。
通知部350は、通信部310から判定情報を受けると、受けた判定情報が示す判定結果を表示または音声によりユーザに通知する処理を行う。
また、通信部310は、無線親機300経由で判定装置201からセンサパケットを受信すると、受信したセンサパケットから計測情報を取得し、取得した計測情報を記憶部360に保存する。
異常判定部320は、記憶部360における計測情報に基づいて、切削インサート1の切刃の状態を判定し、判定結果を示す判定情報を通知部350へ出力する。
通知部350は、異常判定部320から判定情報を受けると、受けた判定情報が示す判定結果を表示または音声によりユーザに通知する処理を行う。
たとえば、ユーザは、切削加工の開始前において、ホルダ10に切削インサート1を取り付けるための取り付け作業を行うと、取り付け作業を行ったこと、および当該切削インサート1のID(Identifier)を管理装置301へ入力する操作を行う。
受付部340は、ユーザの当該操作を受け付け、取り付け作業が行われたことを示す状態情報を生成して通信部310へ出力するとともに、当該切削インサート1のIDを示す識別情報を生成して通信部310へ出力する。
通信部310は、受付部340から状態情報を受けると、受けた状態情報を格納した状態パケットを生成し、生成した状態パケットを無線親機300経由で判定装置201へ送信する。
また、通信部310は、受付部340から識別情報を受けると、受けた識別情報を格納した識別パケットを生成し、生成した識別パケットを無線親機300経由で判定装置201へ送信する。
たとえば、記憶部360は、切削インサート1の使用に関する情報である使用情報のデータベースである使用データベースを記憶している。当該使用データベースには、切削インサート1のIDごとの使用情報が格納されている。
より詳細には、記憶部360は、切削インサート1のIDと、切削インサート1の累計使用時間、切削インサート1を用いた累計切削距離、切削インサート1の残存使用可能時間、切削インサート1の残存切削可能距離、工作機械における負荷量変動値、工作機械における負荷量変動回数、および異常判定部320における判定結果との対応関係を示す使用データベースを記憶している。
たとえば、管理部330は、記憶部360における計測情報に基づいて、切削インサート1の使用時間および切削距離を算出し、算出した使用時間および切削距離に基づいて記憶部360における使用データベースを更新する。
[切削工具]
図3は、本開示の実施の形態に係る切削工具を工作機械に取り付けた状態を示す図である。
図3を参照して、切削工具101は、ホルダ10が工作機械における刃物台50に上下から挟まれることにより固定される。例えば、ホルダ10は、断面が四角い角形シャンクである。切削工具101は、ホルダ10の上面および下面が刃物台50に挟まれる。
切削工具101は、たとえば、回転する被削物の加工に用いられる旋削加工用の工具であり、旋盤等の工作機械に取り付けられる。
上述したように、ホルダ10は、切削インサート1を保持可能である。すなわち、切削工具101は、いわゆるスローアウェイバイトである。より詳細には、ホルダ10は、収容部11と、固定用部材3A,3Bとを含む。固定用部材3A,3Bは、切削インサート1を保持する。たとえば、収容部11は、ホルダ10に形成された凹部である。
切削インサート1は、たとえば、上面視で三角形、正方形、ひし形、および五角形等の多角形状である。切削インサート1の上面は、すくい面である。切削インサート1の角部は、切刃1Aである。切削インサート1は、たとえば、切削インサート1の上面の中央において貫通孔が形成されている。切削インサート1は、固定用部材3A,3Bによりホルダ10における収容部11に固定される。
たとえば、収容部11は、底面と、当該底面と交差する面である側面とを有する。収容部11の底面は、固定用部材3Bが載置される面である。切削インサート1は、切削インサート1および固定用部材3Bの少なくともいずれか一方が当該底面および当該側面の少なくともいずれか一方に接した状態で固定用部材3A,3Bにより固定されることによって所定位置に位置決めされる。
なお、ホルダ10は、固定用部材3Bを含まない構成であってもよい。この場合、切削インサート1は、固定用部材3Aによりホルダ10における収容部11に固定される。また、切削インサート1は、貫通孔に挿入されたねじにより収容部11に締付け固定されてもよい。
なお、切削工具101は、たとえば、固定された被削物の加工に用いられる転削加工用の工具であって、フライス盤等の工作機械に取り付けられてもよい。転削加工用の切削工具101におけるホルダ10は、1または複数の切削インサート1を保持可能である。
[センサモジュール]
図4は、本開示の実施の形態に係るセンサモジュールの構成を示す図である。
図4を参照して、センサモジュール20は、電源回路21と、ひずみセンサ22A,22Bと、処理部23と、通信部24と、記憶部25とを含む。以下、ひずみセンサ22A,22Bの各々をひずみセンサ22とも称する。センサモジュール20は、たとえばユーザの操作により起動される。
処理部23は、たとえば、CPUおよびDSP等のプロセッサにより実現される。通信部24は、たとえば通信用IC等の通信回路により実現される。記憶部25は、たとえば不揮発性メモリである。
ひずみセンサ22は、ホルダ10に取り付けられる。たとえば、ひずみセンサ22は、接着剤によりホルダ10の表面に取り付けられる。たとえば、ひずみセンサ22は、ホルダ10の表面において、切削インサート1の近傍に取り付けられる。
たとえば、ひずみセンサ22は、切削インサート1が取りけられたホルダ10の側面視において、切刃1Aの先端から収容部11の幅を超える位置のホルダ10の表面であって、切削インサート1の近傍に取り付けられる。すなわち、ホルダ10の軸と平行な方向において、切削インサート1の切刃1Aの先端とひずみセンサ22との間の距離は、収容部11の幅より大きい。ここで、収容部11の幅とは、ホルダ10の軸と平行な方向における収容部11の長さである。また、切削インサート1の切刃1Aの先端とひずみセンサ22との間の距離とは、切削インサート1の切刃1Aの先端とひずみセンサ22の中心との間の距離を意味する。
より詳細には、切削インサート1の切刃1Aの先端とひずみセンサ22との間の距離は、好ましくは5mm以上であり、より好ましくは10mm以上である。また、切削インサート1の切刃1Aの先端とひずみセンサ22との間の距離は、好ましくは30mm以下であり、より好ましくは25mm以下である。
また、たとえば、複数のひずみセンサ22は、ホルダ10における異なる表面にそれぞれ取り付けられる。具体的には、2つのひずみセンサ22は、ホルダ10の表面のうちの互いに隣接する2つの面にそれぞれ取り付けられる。一例として、ひずみセンサ22Aはホルダ10の上面に取り付けられ、ひずみセンサ22Bはホルダ10の側面に取り付けられる。
なお、ホルダ10は、角形シャンクであるとしたが、これに限定されない。ホルダ10は、いわゆる丸型シャンクであってもよい。この場合、2つのひずみセンサ22は、ホルダ10の外周面に沿って、好ましくは75°~105°、より好ましくは85°~95°、さらに好ましくは90°離れた位置に取り付けられる。
なお、センサモジュール20は、2つのひずみセンサ22を備える構成に限らず、1つまたは3つ以上のひずみセンサ22を含む構成であってもよい。また、センサモジュール20は、ひずみセンサ22に加えて、加速度センサ、音センサおよび温度センサ等の他のセンサを含む構成であってもよい。また、ホルダ10におけるひずみセンサ22の取り付け位置は、特に限定されない。ひずみセンサ22は、本開示の効果が得られる限りにおいて、ホルダ10の表面における如何なる位置に取り付けられてもよい。
電源回路21は、たとえば、1次電池、2次電池、太陽電池、またはキャパシタ等の蓄電装置を含む。電源回路21は、ひずみセンサ22、記憶部25、処理部23および通信部24に当該蓄電装置の電力を供給する。たとえば、電源回路21は、センサモジュール20が起動されると、まず、記憶部25、処理部23および通信部24に電力を供給する。
たとえば、通信部24は、判定装置201から制御情報Cを受信する。当該制御情報Cには、動作すべきひずみセンサ22のセンサID、当該ひずみセンサ22が出力するアナログ信号をAD(Analog Digital)変換する頻度を示すサンプリング周波数F、およびセンサパケットを送信すべき周期を示す送信周期Tが含まれる。通信部24は、判定装置201から制御情報Cを受信すると、当該制御情報Cを処理部23へ出力する。
処理部23は、通信部24から制御情報Cを受けると、電源回路21を制御することにより、当該制御情報Cが示すひずみセンサ22へ電力供給を開始する。
(センサパケットの送信)
ひずみセンサ22は、電源回路21から電力を供給されることにより動作する。動作を開始したひずみセンサ22は、ひずみを計測し、計測したひずみを示すアナログ信号を処理部23へ出力する。
処理部23は、ひずみセンサ22から受けるアナログ信号を、上述の制御情報Cが示すサンプリング周波数Fに従うタイミングでAD変換し、変換後のデジタル値であるひずみ値εを生成する。
より詳細には、たとえば、処理部23は、ひずみセンサ22A,22Bから受けるアナログ信号をAD変換することによりひずみ値εa,εbをそれぞれ生成する。ひずみ値εaはホルダ10の上面におけるひずみの計測結果を示し、ひずみ値εbはホルダ10の側面におけるひずみの計測結果を示す。
処理部23は、ひずみ値εa,εbを生成すると、当該ひずみ値εa,εbおよび計測時刻tsを含む計測情報Sを生成して記憶部25に保存する。
処理部23は、上述の制御情報Cが示す送信周期Tに従う送信タイミングにおいて、1または複数の計測情報Sを記憶部25から取得し、取得した計測情報Sが格納されたセンサパケットを通信部24へ出力する。
通信部24は、処理部23から受けたセンサパケットを判定装置201へ送信する。
[判定装置]
図5は、本開示の実施の形態に係る判定装置の構成を示す図である。
図5を参照して、判定装置201は、通信部210と、第1の取得部231と、状態情報取得部232と、識別情報取得部233と、決定部240と、判定部250と、制御部260と、通知部270と、更新部280と、記憶部290とを備える。
第1の取得部231、状態情報取得部232、識別情報取得部233、決定部240、判定部250、制御部260、通知部270および更新部280は、たとえば、CPUおよびDSP等のプロセッサにより実現される。通信部210は、たとえば通信用IC等の通信回路により実現される。記憶部290は、たとえば不揮発性メモリである。判定装置201は、たとえばユーザの操作により起動される。
通信部210は、ひずみセンサ22の計測結果を他の装置たとえば管理装置301へ送信する。より詳細には、通信部210は、後述する加工期間Tpにおいて、センサモジュール20からセンサパケットを受信すると、受信したセンサパケットを無線親機300経由で管理装置301へ送信する。
第1の取得部231は、たとえば切削加工の開始前に、加工条件に関する情報である切削情報を取得する。
より詳細には、第1の取得部231は、切削情報として、切削加工に用いられるホルダ10の名称、切削加工に用いられる切削インサート1の名称、切削加工される被削物の名称、および切削条件を示す情報を含む切削パラメータ情報を取得する。たとえば、第1の取得部231は、切削条件を示す情報として、NC(Numerical Control)プログラムおよびCAM(Computer Aided Manufacturing)データ等を取得する。
たとえば通信部210は、工作機械における図示しない制御部から無線伝送路経由で上述のような切削パラメータ情報を受信し、受信した切削パラメータ情報を第1の取得部231へ出力する。
第1の取得部231は、通信部210から切削パラメータ情報を受けると、受けた切削パラメータ情報を記憶部290に保存する。
なお、第1の取得部231は、通信部210経由で工作機械から切削パラメータ情報を受信する構成に限定されない。たとえば、第1の取得部231は、通信部210経由で管理装置301における図示しない制御部から切削パラメータ情報を受信する構成であってもよい。
また、たとえば、第1の取得部231は、切削パラメータ情報を記憶する図示しないデータベースから切削パラメータ情報を取得する構成であってもよい。当該データベースは、工作機械、管理装置301、判定装置201または他の装置に設けられる。たとえば、第1の取得部231は、当該データベースが工作機械以外の装置に設けられる場合、工作機械から新たな切削パラメータ情報を取得すると、取得した切削パラメータ情報を当該データベースに蓄積する。
また、たとえば、第1の取得部231は、ユーザによる切削パラメータ情報の入力操作を受け付ける図示しない入力装置から切削パラメータ情報を受信する構成であってもよい。当該入力装置は、工作機械、管理装置301、判定装置201または他の装置に設けられてもよいし、単体の装置すなわち専用装置であってもよい。
状態情報取得部232は、切削加工の開始前において、ホルダ10に切削インサート1を取り付けるための作業が行われたことを示す状態情報を取得する。
より詳細には、通信部210は、無線親機300経由で管理装置301から状態パケットを受信すると、受信した状態パケットから状態情報を取得し、取得した状態情報を状態情報取得部232へ出力する。
状態情報取得部232は、通信部210から状態情報を受けると、受けた状態情報を記憶部290に保存する。
識別情報取得部233は、ホルダ10に取り付けられた切削インサート1の識別情報を取得する。
より詳細には、通信部210は、無線親機300経由で管理装置301から識別パケットを受信すると、受信した識別パケットから識別情報を取得し、取得した識別情報を識別情報取得部233へ出力する。
識別情報取得部233は、通信部210から識別情報を受けると、受けた識別情報を記憶部290に保存する。
[計測結果の取得]
第1の取得部231は、ひずみセンサ22の計測結果を取得する。
より詳細には、通信部210は、センサモジュール20から受信したセンサパケットから計測情報Sを取得し、取得した計測情報Sを第1の取得部231へ出力する。
第1の取得部231は、通信部210から計測情報Sを受けると、受けた計測情報Sを記憶部290に保存する。
たとえば、制御部260は、判定部250によりホルダ10に切削インサート1が取り付けられたと判定される前において、センサモジュール20におけるひずみセンサ22のうちの一部のひずみセンサ22を選択的に動作させる。
より詳細には、制御部260は、判定装置201が起動されると、たとえば、動作すべきひずみセンサ22であるひずみセンサ22AのセンサID、ひずみセンサ22Aが出力するアナログ信号をAD変換する頻度を示すサンプリング周波数F1、およびセンサパケットを送信すべき周期を示す送信周期T1を含む制御情報C1を生成し、生成した制御情報C1を通信部210へ出力する。
通信部210は、制御部260から制御情報C1を受けると、受けた制御情報C1をセンサモジュール20へ送信する。
通信部210は、当該制御情報C1をセンサモジュール20へ送信した後、センサモジュール20から送信周期T1に従う送信タイミングにおいて送信されるセンサパケットを受信し、受信したセンサパケットから、サンプリング周波数F1のAD変換により生成されたひずみ値εaを含む計測情報S1を取得し、取得した計測情報S1を第1の取得部231へ出力する。
第1の取得部231は、計測情報S1を通信部210から受けて、受けた計測情報S1を記憶部290に保存する。
また、通信部210は、受信したセンサパケットを無線親機300経由で管理装置301へ送信する。
[取り付け状態の判定]
判定部250は、第1の取得部231により取得された計測結果に基づいて、ホルダ10における切削インサート1の取り付け状態を判定する。
より詳細には、判定部250は、記憶部290から計測情報Sを取得し、取得した計測情報Sに基づいて上記取り付け状態を判定する。たとえば、判定部250は、計測情報Sに基づいて、ホルダ10に切削インサート1が取り付けられているか否かを判定する。ここで、ホルダ10に切削インサート1が取り付けられていない状態とは、ホルダ10における固定用部材3A,3Bの間に切削インサート1が存在しない状態、および固定用部材3A,3Bの間に切削インサート1が存在し、かつ切削インサート1が正常に取り付けられていない状態を含む。
判定部250は、第1の取得部231により記憶部290に計測情報Sが保存されるたびに、当該計測情報Sを記憶部290から取得し、取得した計測情報Sに基づいて上記取り付け状態を判定する。そして、判定部250は、判定結果を制御部260、通知部270および更新部280へ通知する。
通知部270は、判定部250から判定情報を受けると、受けた判定情報を通信部210へ出力する。
通信部210は、通知部270から判定情報を受けると、受けた判定情報を格納した判定パケットを生成し、生成した判定パケットを無線親機300経由で管理装置301へ送信する。
(切削加工の開始前における取り付け状態の判定)
判定部250は、切削インサート1を用いた切削加工の開始前におけるひずみセンサ22の計測結果に基づいて、切削インサート1の取り付け状態を判定する。たとえば、判定部250は、切削加工の開始前において、ホルダ10に切削インサート1が取り付けられたか否かを判定する。
たとえば、判定部250は、予め、記憶部290における切削情報に基づいて、切削工具101を用いた切削加工が行われる期間である加工期間Tpを推定する。
判定部250は、当該加工期間Tpより前の計測時刻tsを含む計測情報S1を記憶部290から取得すると、取得した計測情報S1に基づいて、ホルダ10に切削インサート1が取り付けられたか否かを判定する。
たとえば、記憶部290は、ホルダ10に切削インサート1が取り付けられる前の状態における、計測情報S1が示すひずみ値εaに関する上限しきい値UL1および下限しきい値LL1を記憶している。
判定部250は、ひずみ値εaと、記憶部290における上限しきい値UL1および下限しきい値LL1との比較結果に基づいて、ホルダ10に切削インサート1が取り付けられたか否かを判定する。
具体的には、判定部250は、ひずみ値εaが上限しきい値UL1以下かつ下限しきい値LL1以上である場合、ホルダ10に切削インサート1が取り付けられていないと判定する。
一方、判定部250は、ひずみ値εaが上限しきい値UL1以上または下限しきい値LL1以下である場合、ホルダ10に切削インサート1が取り付けられたと判定する。
判定部250は、切削インサート1の取り付け状態を判定すると、判定結果を示す判定情報を制御部260、通知部270および更新部280へ出力する。
(変更処理1)
たとえば、制御部260は、判定部250によりホルダ10に切削インサート1が取り付けられたと判定された場合、ひずみセンサ22の計測動作の内容を変更する変更処理を行う。また、たとえば、判定部250によりホルダ10に切削インサート1が取り付けられたと判定された場合、通信部210による送信動作の内容を変更する変更処理を行う。
より詳細には、制御部260は、判定部250からホルダ10に切削インサート1が取り付けられた旨の判定結果を示す判定情報を受けると、センサモジュール20において既に動作しているひずみセンサ22Aに加えて、ひずみセンサ22Bを動作させる。また、制御部260は、センサモジュール20における処理部23がひずみセンサ22Aからのアナログ信号をAD変換する頻度を、サンプリング周波数F1からサンプリング周波数F2に変更する。また、制御部260は、センサモジュール20から判定装置201へのセンサパケットの送信周期を送信周期T1から送信周期T2に変更することにより、判定装置201における通信部210から管理装置301へのセンサパケットの送信周期を変更する。
具体的には、制御部260は、ひずみセンサ22A,22Bの各センサID、各ひずみセンサ22が出力するアナログ信号をAD変換する頻度を示すサンプリング周波数F2、およびセンサパケットを送信すべき周期を示す送信周期T2を含む制御情報C2を生成し、生成した制御情報C2を通信部210へ出力する。上記サンプリング周波数F1は上記サンプリング周波数F2よりも小さく、上記送信周期T1は上記送信周期T2よりも長い。そのため、判定部250によりホルダ10に切削インサート1が取り付けられたと判定される前の消費電力は、判定部250によりホルダ10に切削インサート1が取り付けられたと判定された後の消費電力よりも小さい。
通信部210は、制御部260から制御情報C2を受けると、受けた制御情報C2をセンサモジュール20へ送信する。
通信部210は、当該制御情報C2をセンサモジュール20へ送信した後、センサモジュール20から送信周期T2に従う送信タイミングにおいて送信されるセンサパケットを受信し、受信したセンサパケットから、サンプリング周波数F2のAD変換により生成されたひずみ値εa,εbを含む計測情報S2を取得し、取得した計測情報S2を第1の取得部231へ出力する。
第1の取得部231は、計測情報S2を通信部210から受けて、受けた計測情報S2を記憶部290に保存する。
また、通信部210は、受信したセンサパケットを無線親機300経由で管理装置301へ送信する。
(基準値の決定例1)
たとえば、決定部240は、切削加工の開始前において、判定部250によりホルダ10に切削インサート1が取り付けられたと判定されたときに用いられた計測結果に基づいて、ひずみセンサ22の計測結果に関する基準値を決定する。
より詳細には、決定部240は、切削加工の開始前において、第1の取得部231により記憶部290に保存された1または複数の計測情報S2に基づいて、当該基準値を決定する。
たとえば、決定部240は、記憶部290から複数の計測情報S2を取得し、取得した各計測情報S2が示すひずみ値εaの平均値を基準値Staとして算出し、当該各計測情報S2が示すひずみ値εbの平均値を基準値Stbとして算出する。
決定部240は、算出した基準値Sta,Stbを記憶部290に保存する。
(基準値の決定例2)
あるいは、決定部240は、状態情報取得部232により状態情報が取得された後の計測結果に基づいて、計測結果に関する基準値を決定する。
より詳細には、決定部240は、切削加工の開始前において、状態情報取得部232により記憶部290に状態情報が保存されると、第1の取得部231により記憶部290に保存された1または複数の計測情報S2に基づいて、当該基準値を決定する。
たとえば、決定部240は、記憶部290から複数の計測情報S2を取得し、取得した各計測情報S2が示すひずみ値εaの平均値を基準値Staとして算出し、当該各計測情報S2が示すひずみ値εbの平均値を基準値Stbとして算出し、算出した基準値Sta,Stbを記憶部290に保存する。
(切削加工の開始後における取り付け状態の判定)
判定部250は、切削インサート1を用いた切削加工の開始後におけるひずみセンサ22の計測結果に基づいて、切削インサート1の取り付け状態を判定する。
より詳細には、判定部250は、加工期間Tpの開始後の計測時刻tsを含む計測情報S2を記憶部290から取得すると、取得した計測情報S2が示すひずみ値εa,εbに基づいて、ホルダ10に切削インサート1が取り付けられているか否かを判定する。
図6は、本開示の実施の形態に係る判定装置における取得部により取得された計測情報が示すひずみ値の時間変化を示す図である。図6は、切削加工中における計測情報S2が示すひずみ値εaの時間変化を示している。図6において、横軸は時間であり、縦軸はひずみ[με]である。
図6を参照して、ひずみ値εaは、約437.5μεから約445μεの間の値である。ひずみ値εaは、ホルダ10にひずみセンサ22Aを設置する際に付与されるひずみεaxを含む値である。同様に、ひずみ値εbは、ホルダ10にひずみセンサ22Bを設置する際に付与されるひずみεbxを含む値である。当該ひずみεaxは、ひずみセンサ22Aの設置状態に応じてばらつく値であり、当該ひずみεbxは、ひずみセンサ22Bの設置状態に応じてばらつく値である。したがって、共通のしきい値とひずみ値εa,εbとの比較結果に基づいて取り付け状態を正確に判定することは容易ではない。
また、たとえば、ひずみ値εaは、固定用部材3A,3Bによる切削インサート1の締め付け等の取り付け状態が一定に保たれている場合においても、切削インサート1が被削物を切削することにより変化する場合がある。ひずみ値εbもまた、切削インサート1の取り付け状態が一定に保たれている場合においても、切削インサート1が被削物を切削することにより変化する場合がある。したがって、切削インサート1が被削物を切削する期間と被削物を切削しない期間とを含む加工期間Tpにおいて、ひずみ値εa,εbに基づいて取り付け状態を正確に判定することは容易ではない。
そこで、たとえば、判定部250は、決定部240により決定された基準値Sta,Stbおよび切削加工の開始後における計測結果に基づいて、切削インサート1の取り付け状態を判定する。
また、たとえば、判定部250は、切削加工の開始後における計測結果に基づいて、切削加工の開始後において切削インサート1の切刃1Aが被削物に接触していない期間である非切削期間Tnを判定し、非切削期間Tnにおける計測結果に基づいて、切削インサート1の取り付け状態を判定する。
より詳細には、判定部250は、計測情報S2および記憶部290における基準値Sta,Stbに基づいて、切削インサート1の取り付け状態の判定に用いる調整ひずみ値を算出する。
具体的には、判定部250は、計測情報S2が示すひずみ値εaと記憶部290における基準値Staとの差分を調整ひずみ値εasとして算出し、計測情報S2が示すひずみ値εbと記憶部290における基準値Stbとの差分を調整ひずみ値εbsとして算出する。
図7は、本開示の実施の形態に係る判定装置における判定部により算出された調整ひずみ値の時間変化を示す図である。図7は、調整ひずみ値εasの時間変化を示している。図7において、横軸は時間であり、縦軸はひずみ[με]である。
図7を参照して、判定部250により算出される調整ひずみ値εasは、基準値Staすなわち切削加工の開始前のひずみ値εaを基準とする値であり、ホルダ10におけるひずみセンサ22Aの設置状態に応じたひずみεaxが排除された値である。
たとえば、記憶部290は、調整ひずみ値εasに関する上限しきい値CUaおよび下限しきい値CLaを記憶している。
判定部250は、算出した調整ひずみ値εasと、記憶部290における上限しきい値CUaおよび下限しきい値CLaとの比較結果に基づいて、調整ひずみ値εasの算出に用いたひずみ値εaの計測時刻tsが、切削インサート1の切刃1Aが被削物に接触している期間である切削期間Tcおよび非切削期間Tnのいずれの期間内の時刻であるかを判定する。
具体的には、判定部250は、調整ひずみ値εasが上限しきい値CUa以上または下限しきい値CLa以下である場合、計測時刻tsは切削期間Tc内の時刻であると判定し、算出した調整ひずみ値εas,εbsを破棄する。
一方、判定部250は、調整ひずみ値εasが上限しきい値CUa以下かつ下限しきい値CLa以上である場合、計測時刻tsは非切削期間Tn内の時刻であると判定し、算出した調整ひずみ値εas,εbsを計測時刻tsに対応付けて記憶部290に保存する。
たとえば、判定部250は、加工期間Tpにおいて第1の取得部231により計測情報S2が記憶部290に保存されるたびに、当該計測情報S2を取得して調整ひずみ値εas,εbsを算出し、対応の計測時刻tsが切削期間Tcおよび非切削期間Tnのいずれの期間内の時刻であるかを判定する。
そして、判定部250は、記憶部290に保存した調整ひずみ値εas,εbsに基づいて、取り付け状態を判定する。
たとえば、判定部250は、記憶部290における調整ひずみ値εas,εbsに基づいて、調整ひずみ値εasの移動平均である平均調整ひずみ値Aεasと、調整ひずみ値εbsの移動平均である平均調整ひずみ値Aεbsとを算出する。
たとえば、記憶部290は、平均調整ひずみ値Aεasに関する判定上限しきい値ThUaおよび判定下限しきい値ThLaと、平均調整ひずみ値Aεbsに関する判定上限しきい値ThUbおよび判定下限しきい値ThLbとを記憶している。
たとえば、判定上限しきい値ThUa、判定下限しきい値ThLa、判定上限しきい値ThUbおよび判定下限しきい値ThLbは、予め、切削インサート1ごとに、ホルダ10ごとに、または切削条件ごとに設定される。たとえば、ユーザは、予め、切削インサート1に取り付け不良が発生している状態を再現し、判定部250により算出される平均調整ひずみ値Aεas,Aεbsに基づいて、判定上限しきい値ThUa、判定下限しきい値ThLa、判定上限しきい値ThUbおよび判定下限しきい値ThLbを設定して記憶部290に登録する。
判定部250は、平均調整ひずみ値Aεas,Aεbsを算出すると、平均調整ひずみ値Aεasと、記憶部290における判定上限しきい値ThUaおよび判定下限しきい値ThLaとを比較し、また、平均調整ひずみ値Aεbsと、記憶部290における判定上限しきい値ThUbおよび判定下限しきい値ThLbとを比較し、各比較結果に基づいて取り付け状態を判定する。
図8は、本開示の実施の形態に係る判定装置における判定部により算出された平均調整ひずみ値を示す図である。図8は、非切削期間Tnにおける計測情報S2に基づいて算出された複数の平均調整ひずみ値Aεas,Aεbsの組を示している。図8において、横軸は平均調整ひずみ値Aεbsが示すひずみ[με]であり、縦軸は平均調整ひずみ値Aεasが示すひずみ[με]である。
図8を参照して、判定部250は、平均調整ひずみ値Aεasが判定上限しきい値ThUa以下かつ判定下限しきい値ThLa以上であり、かつ平均調整ひずみ値Aεbsが判定上限しきい値ThUb以下かつ判定下限しきい値ThLb以上である場合、ホルダ10に切削インサート1が取り付けられていると判定する。
一方、判定部250は、平均調整ひずみ値Aεasが判定上限しきい値ThUaより大きい場合、平均調整ひずみ値Aεasが判定下限しきい値ThLa未満である場合、平均調整ひずみ値Aεbsが判定上限しきい値ThUbより大きい場合、または平均調整ひずみ値Aεbsが判定下限しきい値ThLb未満である場合、ホルダ10に切削インサート1が取り付けられていないと判定する。
判定部250は、切削インサート1の取り付け状態を判定すると、判定結果を示す判定情報を制御部260、通知部270および更新部280へ出力する。
また、たとえば、判定部250は、ひずみセンサ22の計測結果が所定条件を満たした場合、切削加工が終了したと判定する。より詳細には、判定部250は、所定長のある期間において、計測情報S2が示すひずみ値εa,εbの単位時間あたりの変化量が所定値未満である場合、切削加工が終了したと判定する。
判定部250は、切削加工が終了したと判定すると、終了情報を制御部260へ出力する。
(変更処理2)
たとえば、制御部260は、変更処理を行った後の状態において、判定部250により切削インサート1がホルダ10に取り付けられていないと判定された場合、またはひずみセンサ22の計測結果が所定条件を満たした場合、変更処理を行う前の状態に戻す。
より詳細には、制御部260は、判定部250からホルダ10に切削インサート1が取り付けられていない旨の判定結果を示す判定情報または終了情報を受けると、センサモジュール20におけるひずみセンサ22Bを停止させる。また、制御部260は、センサモジュール20における処理部23がひずみセンサ22Aからのアナログ信号をAD変換する頻度を、サンプリング周波数F2からサンプリング周波数F1に変更する。また、制御部260は、センサモジュール20から判定装置201へのセンサパケットの送信周期を送信周期T2から送信周期T1に変更することにより、判定装置201における通信部210から管理装置301へのセンサパケットの送信周期を変更する。
具体的には、制御部260は、ひずみセンサ22AのセンサID、ひずみセンサ22Aが出力するアナログ信号をAD変換する頻度を示すサンプリング周波数F1、およびセンサパケットを送信すべき周期を示す送信周期T1を含む制御情報C1を生成し、生成した制御情報C1を通信部210へ出力する。
通信部210は、制御部260から制御情報C1を受けると、受けた制御情報C1をセンサモジュール20へ送信する。
通信部210は、当該制御情報C1をセンサモジュール20へ送信した後、センサモジュール20から送信周期T1に従う送信タイミングにおいて送信されるセンサパケットを受信し、受信したセンサパケットから、サンプリング周波数F1のAD変換により生成されたひずみ値εaを含む計測情報S1を取得し、取得した計測情報S1を第1の取得部231へ出力する。
第1の取得部231は、計測情報S1を通信部210から受けて、受けた計測情報S1を記憶部290に保存する。
また、通信部210は、受信したセンサパケットを無線親機300経由で管理装置301へ送信する。
(更新処理)
更新部280は、判定部250による取り付け状態の判定結果に応じて、切削インサート1の使用に関する情報である使用情報のデータベースを更新する処理を行う。たとえば、更新部280は、識別情報取得部233により取得された識別情報に対応する使用情報の内容をデータベースにおいて更新する処理を行う。
より詳細には、更新部280は、切削加工の開始後、判定部250からホルダ10に切削インサート1が取り付けられていない旨の判定結果を示す判定情報を受けると、記憶部290から識別情報を取得し、当該識別情報が示すIDを有する切削インサート1がホルダ10から取り外されたことを示す取外し情報を生成する。更新部280は、生成した取外し情報を通信部210へ出力する。
通信部210は、更新部280から受けた取外し情報を判定パケットに含めて無線親機300経由で管理装置301へ送信する。
再び図2を参照して、管理装置301における管理部330は、無線親機300および通信部310経由で判定装置201から取外し情報を受けると、記憶部360における計測情報に基づいて、受けた取外し情報が示す切削インサート1の使用時間および切削距離を算出し、算出した使用時間および切削距離に基づいて記憶部360における使用データベースを更新する。
[管理装置における判定処理]
管理装置301における通信部310は、無線親機300経由で判定装置201からセンサパケットを受信すると、受信したセンサパケットから計測情報S2を取得し、取得した計測情報S2を記憶部360に保存する。
異常判定部320は、記憶部360における計測情報S2に基づいて、切削インサート1の切刃1Aの状態を判定する。
たとえば、異常判定部320は、判定装置201における判定部250と同様に、調整ひずみ値εas,εbsを算出し、対応の計測時刻tsが切削期間Tcおよび非切削期間Tnのいずれの期間内の時刻であるかを判定する。
異常判定部320は、計測時刻tsが非切削期間Tn内の時刻であると判定すると、算出した調整ひずみ値εas,εbsを破棄する。
一方、異常判定部320は、計測時刻tsが切削期間Tc内の時刻であると判定すると、算出した調整ひずみ値εas,εbsを計測時刻tsに対応付けて記憶部360に保存する。
たとえば、異常判定部320は、通信部310により計測情報S2が記憶部360に保存されるたびに、当該計測情報S2を取得して調整ひずみ値εas,εbsを算出し、対応の計測時刻tsが切削期間Tcおよび非切削期間Tnのいずれの期間内の時刻であるかを判定する。
そして、異常判定部320は、記憶部360に保存した調整ひずみ値εas,εbsに基づいて、切削インサート1の切刃1Aの状態を判定する。
図9は、本開示の実施の形態に係る管理装置における異常判定部により算出された平均調整ひずみ値を示す図である。図9は、切削期間Tcにおける計測情報S2に基づいて算出された複数の平均調整ひずみ値Aεas,Aεbsの組を示している。図9において、横軸は平均調整ひずみ値Aεbsが示すひずみ[με]であり、縦軸は平均調整ひずみ値Aεasが示すひずみ[με]である。
図9を参照して、異常判定部320は、平均調整ひずみ値Aεasが第2上限しきい値ThUa2以下かつ第2下限しきい値ThLa2以上であり、かつ平均調整ひずみ値Aεbsが第2上限しきい値ThUb2以下かつ第2下限しきい値ThLb2以上である場合、切削インサート1の切刃1Aが正常であると判定する。一方、異常判定部320は、平均調整ひずみ値Aεasが第2上限しきい値ThUa2より大きい場合、平均調整ひずみ値Aεasが第2下限しきい値ThLa2未満である場合、平均調整ひずみ値Aεbsが第2上限しきい値ThUb2より大きい場合、または平均調整ひずみ値Aεbsが第2下限しきい値ThLb2未満である場合、切削インサート1の切刃1Aが異常であると判定する。図9に示す例では、第2上限しきい値ThUa2が4[με]であり、第2下限しきい値ThLa2が3.7[με]であり、第2上限しきい値ThUb2が1[με]であり、第2下限しきい値ThLb2が0.7[με]である。
あるいは、異常判定部320は、計測情報が示すひずみ値の、相加平均、相乗平均、刈込平均、分散、標準偏差、歪度、尖度、中央値、最大値、最小値、共分散、相関係数、偏相関係数、因子負荷量、および主成分得点のうちの少なくともいずれか1つの指標値を算出する。異常判定部320は、この中でも、相加平均、相乗平均、刈込平均、分散、および標準偏差のうちの少なくともいずれか1つの指標値を算出することが好ましい。また、たとえば、異常判定部320は、算出した指標値に対して、ノイズ処理、FFT(Fast Fourier Transform)処理、ベクトル変換および次元圧縮等の前処理を行う。たとえば、異常判定部320は、前処理後の当該指標値と、所定のしきい値との比較結果に基づいて、切削インサート1の切刃1Aの状態を判定する。
異常判定部320は、切削インサート1の切刃1Aの状態を判定すると、判定結果を示す異常判定情報を通知部350へ出力する。また、異常判定部320は、切刃1Aに異常が発生したと判定すると、判定結果を記憶部290に記録する。
通知部350は、異常判定部320から異常判定情報を受けると、受けた異常判定情報が示す判定結果を表示または音声によりユーザに通知する処理を行う。
[動作の流れ]
本開示の実施の形態に係る切削工具システムにおける各装置は、メモリを含むコンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のフローチャートおよびシーケンスの各ステップの一部または全部を含むプログラムを当該メモリから読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
図10は、本開示の実施の形態に係る判定装置が切削加工の開始前における取り付け状態の判定を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
図10を参照して、まず、判定装置201は、たとえば切削加工の開始前に、切削情報を取得し、取得した切削情報に基づいて加工期間Tpを推定する(ステップS102)。
次に、判定装置201は、センサ22AのセンサID、ひずみセンサ22Aが出力するアナログ信号をAD変換する頻度を示すサンプリング周波数F1、およびセンサパケットを送信すべき周期を示す送信周期T1を含む制御情報C1をセンサモジュール20へ送信する(ステップS104)。
次に、判定装置201は、センサモジュール20から送信周期T1に従う送信タイミングにおいて送信されるセンサパケットを待ち受け(ステップS106でNO)、センサパケットを受信すると(ステップS106でYES)、受信したセンサパケットから計測情報S1を取得する(ステップS108)。
次に、判定装置201は、計測情報S1に基づいて、ホルダ10における切削インサート1の取り付け状態を判定する。より詳細には、判定装置201は、加工期間Tpより前の計測時刻tsを含む計測情報S1が示すひずみ値εaと、上限しきい値UL1および下限しきい値LL1とを比較する(ステップS110)。
次に、判定装置201は、ひずみ値εaが上限しきい値UL1以下かつ下限しきい値LL1以上である場合(ステップS112でNO)、ホルダ10に切削インサート1が取り付けられていないと判定する(ステップS114)。
次に、判定装置201は、判定結果を示す判定情報を格納した判定パケットを管理装置301へ送信する(ステップS116)。
次に、判定装置201は、センサモジュール20からの新たなセンサパケットを待ち受ける(ステップS106でNO)。
一方、判定装置201は、ひずみ値εaが上限しきい値UL1以上または下限しきい値LL1以下である場合(ステップS112でYES)、ホルダ10に切削インサート1が取り付けられたと判定する(ステップS118)。
次に、判定装置201は、判定結果を示す判定情報を格納した判定パケットを管理装置301へ送信する(ステップS120)。
次に、判定装置201は、ひずみセンサ22A,22Bの各センサID、各ひずみセンサ22が出力するアナログ信号をAD変換する頻度を示すサンプリング周波数F2、およびセンサパケットを送信すべき周期を示す送信周期T2を含む制御情報C2をセンサモジュール20へ送信する(ステップS122)。
次に、判定装置201は、センサモジュール20から送信周期T2に従う送信タイミングにおいて送信されるセンサパケットを受信し、複数のセンサパケットにおける各計測情報S2が示すひずみ値εaの平均値を基準値Staとして算出し、当該各計測情報S2が示すひずみ値εbの平均値を基準値Stbとして算出する(ステップS124)。
次に、判定装置201は、算出した基準値Sta,Stbを記憶部290に保存する(ステップS126)。
図11は、本開示の実施の形態に係る判定装置が切削加工の開始後における取り付け状態の判定を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
図11を参照して、まず、判定装置201は、センサモジュール20から送信周期T2に従う送信タイミングにおいて送信されるセンサパケットを待ち受け(ステップS202でNO)、センサパケットを受信すると(ステップS202でYES)、受信したセンサパケットから計測情報S2を取得するとともに、センサパケットを無線親機300経由で管理装置301へ送信する(ステップS204)。
次に、判定装置201は、所定長さの期間において、加工期間Tpの開始後の計測時刻tsを含む計測情報S2が示すひずみ値εa,εbの単位時間あたりの変化量が所定値未満である場合(ステップS206でNO)、切削加工が終了したと判定する(ステップS208)。
次に、判定装置201は、センサ22AのセンサID、ひずみセンサ22Aが出力するアナログ信号をAD変換する頻度を示すサンプリング周波数F1、およびセンサパケットを送信すべき周期を示す送信周期T1を含む制御情報C1をセンサモジュール20へ送信する(ステップS210)。
一方、加工期間Tpの開始後の計測時刻tsを含む計測情報S2が示すひずみ値εa,εbの単位時間あたりの変化量が所定値以上である場合(ステップS206でYES)、計測情報S2に基づいて、ホルダ10における切削インサート1の取り付け状態を判定する。より詳細には、判定装置201は、加工期間Tpの開始後の計測時刻tsを含む計測情報S2が示すひずみ値εa,εbと記憶部290における基準値Sta,Stbに基づいて、調整ひずみ値εas,εbsを算出する(ステップS212)。
次に、判定装置201は、算出した調整ひずみ値εasと、記憶部290における上限しきい値CUaおよび下限しきい値CLaとを比較する(ステップS214)。
次に、判定装置201は、調整ひずみ値εaが上限しきい値CUa以下かつ下限しきい値CLa以上である場合(ステップS216でNO)、計測時刻tsは切削期間Tc内の時刻であると判定し、算出した調整ひずみ値εas,εbsを破棄する(ステップS218)。
次に、判定装置201は、センサモジュール20からの新たなセンサパケットを待ち受ける(ステップS202でNO)。
一方、判定装置201は、調整ひずみ値εaが上限しきい値CUa以上または下限しきい値CLa以下である場合(ステップS216でYES)、計測時刻tsは非切削期間Tn内の時刻であると判定し、算出した調整ひずみ値εas,εbsを計測時刻tsに対応付けて記憶部290に保存するとともに、記憶部290における調整ひずみ値εas,εbsに基づいて、平均調整ひずみ値Aεas,Aεbsを算出する(ステップS220)。
次に、判定装置201は、算出した平均調整ひずみ値Aεasと、記憶部290における判定上限しきい値ThUaおよび判定下限しきい値ThLaとを比較するとともに、算出した平均調整ひずみ値Aεbsと、記憶部290における判定上限しきい値ThUbおよび判定下限しきい値ThLbとを比較する(ステップS222)。
次に、判定装置201は、平均調整ひずみ値Aεasが判定上限しきい値ThUaより大きい場合、平均調整ひずみ値Aεasが判定下限しきい値ThLa未満である場合、平均調整ひずみ値Aεbsが判定上限しきい値ThUbより大きい場合、または平均調整ひずみ値Aεbsが判定下限しきい値ThLb未満である場合(ステップS224でNO)、ホルダ10に切削インサート1が取り付けられていないと判定する(ステップS226)。
次に、判定装置201は、切削インサート1がホルダ10から取り外されたことを示す取外し情報を生成し、生成した取外し情報および判定結果を示す判定情報を管理装置301へ送信する(ステップS228)。
次に、判定装置201は、センサ22AのセンサID、ひずみセンサ22Aが出力するアナログ信号をAD変換する頻度を示すサンプリング周波数F1、およびセンサパケットを送信すべき周期を示す送信周期T1を含む制御情報C1をセンサモジュール20へ送信する(ステップS210)。
一方、判定装置201は、平均調整ひずみ値Aεasが判定上限しきい値ThUa以下かつ判定下限しきい値ThLa以上であり、かつ平均調整ひずみ値Aεbsが判定上限しきい値ThUb以下かつ判定下限しきい値ThLb以上である場合(ステップS224でYES)、ホルダ10に切削インサート1が取り付けられていると判定する(ステップS230)。
次に、判定装置201は、判定結果を示す判定情報を管理装置301へ送信する(ステップS232)。
次に、判定装置201は、センサモジュール20からの新たなセンサパケットを待ち受ける(ステップS202でNO)。
図12は、本開示の実施の形態に係る切削工具システムにおける判定処理のシーケンスの一例を示す図である。
図12を参照して、まず、判定装置201は、切削加工の開始前に切削情報を取得する(ステップS302)。
次に、判定装置201は、切削情報に基づいて、加工期間Tpを推定する(ステップS304)。
次に、判定装置201は、センサ22AのセンサID、ひずみセンサ22Aが出力するアナログ信号をAD変換する頻度を示すサンプリング周波数F1、およびセンサパケットを送信すべき周期を示す送信周期T1を含む制御情報C1をセンサモジュール20へ送信する(ステップS306)。
次に、センサモジュール20は、切削加工の開始前、送信周期T1に従う送信タイミングにおいて、ひずみ値εaを含む計測情報S1を格納したセンサパケットを判定装置201へ送信する(ステップS308)。
次に、判定装置201は、センサモジュール20からセンサパケットを受信し、受信したセンサパケットから計測情報S1を取得する(ステップS310)。
次に、判定装置201は、計測情報S1に基づいて、ホルダ10における切削インサート1の取り付け状態を判定する。たとえば、判定装置201は、ホルダ10に切削インサート1が取り付けられたと判定する(ステップS312)。
次に、判定装置201は、判定結果を示す判定情報を格納した判定パケットを管理装置301へ送信する(ステップS314)。
また、判定装置201は、ひずみセンサ22A,22Bの各センサID、各ひずみセンサ22が出力するアナログ信号をAD変換する頻度を示すサンプリング周波数F2、およびセンサパケットを送信すべき周期を示す送信周期T2を含む制御情報C2をセンサモジュール20へ送信する(ステップS316)。
次に、管理装置301は、判定装置201から判定パケットを受信し、受信した判定パケットから判定情報し、取得した判定情報が示す判定結果を表示または音声によりユーザに通知する処理を行う(ステップS318)。
次に、センサモジュール20は、切削加工の開始後、送信周期T2に従う送信タイミングにおいて、ひずみ値εa,εbを含む計測情報S2を格納したセンサパケットを判定装置201へ送信する(ステップS320)。
次に、判定装置201は、センサモジュール20からセンサパケットを受信し、受信したセンサパケットから計測情報S2を取得する(ステップS322)。
次に、判定装置201は、センサパケットを無線親機300経由で管理装置301へ送信する(ステップS324)。
次に、判定装置201は、計測情報S2に基づいて、ホルダ10における切削インサート1の取り付け状態を判定する(ステップS326)。
また、管理装置301は、判定装置201から受信したセンサパケットから計測情報S2を取得し、取得した計測情報S2に基づいて、切削インサート1の切刃1Aの状態を判定する(ステップS328)。
次に、判定装置201は、判定結果を示す判定情報を格納した判定パケットを管理装置301へ送信する(ステップS330)。
次に、管理装置301は、判定装置201から判定パケットを受信し、受信した判定パケットから判定情報を取得し、取得した判定情報が示す判定結果を表示または音声によりユーザに通知する処理を行う。また、管理装置301は、切刃1Aの状態の判定結果を表示または音声によりユーザに通知する処理を行う(ステップS332)。
次に、センサモジュール20は、送信周期T2に従う送信タイミングにおいて、新たなセンサパケットを判定装置201へ送信する(ステップS334)。
なお、本開示の実施の形態に係る判定装置201では、判定部250は、切削加工の開始前および切削加工の開始後において、切削インサート1の取り付け状態を判定する構成であるとしたが、これに限定するものではない。判定部250は、切削加工の開始前および切削加工の開始後の一方において上記取り付け状態を判定する一方で、他方において上記取り付け状態を判定しない構成であってもよい。
また、本開示の実施の形態に係る判定装置201では、判定部250は、切削加工中におけるひずみセンサ22の計測結果に基づいて非切削期間Tnを判定し、非切削期間Tnにおける上記計測結果に基づいて、切削インサート1の取り付け状態を判定する構成であるとしたが、これに限定するものではない。判定部250は、非切削期間Tnを判定しない構成であってもよい。この場合、判定部250は、たとえば、加工期間Tpにおけるひずみセンサ22の計測結果に基づいて、切削インサート1の取り付け状態を判定する。
また、本開示の実施の形態に係る判定装置201では、判定部250は、平均調整ひずみ値Aεas,Aεbsを算出する構成であるとしたが、これに限定するものではない。判定部250は、平均調整ひずみ値Aεas,Aεbsを算出しない構成であってもよい。この場合、判定部250は、たとえば、平均調整ひずみ値Aεas,Aεbsの代わりに、調整ひずみ値εas,εbsに基づいて、切削インサート1の取り付け状態を判定する。具体的には、判定部250は、たとえば、調整ひずみ値εas,εbsと、所定のしきい値との比較結果に基づいて、切削インサート1の取り付け状態を判定する。
また、本開示の実施の形態に係る判定装置201は、決定部240を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。判定装置201は、決定部240を備えない構成であってもよい。この場合、判定部250は、たとえば、調整ひずみ値εas,εbsの代わりに、ひずみ値εa,εbまたはひずみ値εa,εbの移動平均に基づいて、切削インサート1の取り付け状態を判定する。
また、本開示の実施の形態に係る判定装置201では、判定部250は、計測情報S2および記憶部290における基準値Sta,Stbに基づいて調整ひずみ値εas,εbsを算出する構成であるとしたが、これに限定するものではない。判定部250は、計測情報S2およびユーザにより決定された基準値Sta,Stbに基づいて調整ひずみ値εas,εbsを算出する構成であってもよい。
より詳細には、たとえば、ユーザは、基準値Sta,Stbを管理装置301へ入力する操作を行う。管理装置301における受付部340は、ユーザの当該操作を受け付け、基準値Sta,Stbを示す基準値情報を生成して通信部310へ出力する。通信部310は、受付部340から基準値情報を受けると、受けた基準値情報を格納した基準値パケットを生成して無線親機300経由で判定装置201へ送信する。判定装置201における通信部210は、管理装置301から受信した基準値パケットから基準値情報を取得して記憶部290に保存する。判定部250は、記憶部290における計測情報S2および基準値情報が示す基準値Sta,Stbに基づいて、調整ひずみ値εas,εbsを算出する。
また、本開示の実施の形態に係る判定装置201では、制御部260は、判定部250からホルダ10に切削インサート1が取り付けられた旨の判定結果を示す判定情報を受けると、ひずみセンサ22の計測動作の内容を変更する変更処理を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。制御部260は、上記変更処理を行わない構成であってもよい。
また、本開示の実施の形態に係る判定装置201では、制御部260は、判定部250からホルダ10に切削インサート1が取り付けられた旨の判定結果を示す判定情報を受けると、
通信部210による送信動作の内容を変更する変更処理を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。制御部260は、上記変更処理を行わない構成であってもよい。
また、本開示の実施の形態に係る判定装置201では、制御部260は、判定部250によりホルダ10に切削インサート1が取り付けられたと判定される前において、複数のひずみセンサ22のうちひずみセンサ22Aを選択的に動作させる構成であるとしたが、これに限定するものではない。制御部260は、判定部250によりホルダ10に切削インサート1が取り付けられたと判定される前において、センサモジュール20におけるすべてのひずみセンサ22を動作させる構成であってもよい。
また、本開示の実施の形態に係る判定装置201では、制御部260は、変更処理を行った後の状態において、判定部250により切削インサート1がホルダ10に取り付けられていないと判定された場合、またはひずみセンサ22の計測結果が所定条件を満たした場合、変更処理を行う前の状態に戻す構成であるとしたが、これに限定するものではない。制御部260は、変更処理を行った後、判定部250により切削インサート1がホルダ10に取り付けられていないと判定された場合、およびひずみセンサ22の計測結果が所定条件を満たした場合の一方において変更処理を行う前の状態に戻す一方で、他方において変更処理を行う前の状態に戻さない構成であってもよい。
また、本開示の実施の形態に係る判定装置201は、更新部280を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。判定装置201は、更新部280を備えない構成であってもよい。
また、本開示の実施の形態に係る判定装置201は、識別情報取得部233を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。判定装置201は、識別情報取得部233を備えない構成であってもよい。この場合、更新部280は、たとえば、切削加工において使用されていた切削インサート1がホルダ10から取り外されたことを示す取外し情報を生成して通信部210へ出力する。
また、本開示の実施の形態に係る切削工具101では、ホルダ10は、略四角柱の形状を有する構成であるとしたが、これに限定するものではない。ホルダ10は、略四角柱以外の形状を有する構成であってもよい。たとえば、ホルダ10は、略円柱の形状を有する構成であってもよい。この場合、複数のひずみセンサ22は、ホルダ10の表面において、ホルダ10の中心軸まわりに45°以上の間隔を空けて取り付けられる。具体的には、ひずみセンサ22A,22Bは、ホルダ10の表面において、ホルダ10の中心軸まわりに互いに45°の間隔を空けて取り付けられる。
また、本開示の実施の形態に係る切削工具101では、制御部260は、判定部250からホルダ10に切削インサート1が取り付けられた旨の判定結果を示す判定情報を受けて変更処理を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。制御部260は、ユーザの操作に従って変更処理を行う構成であってもよい。
また、本開示の実施の形態に係る切削工具システム401では、切削工具101が判定装置201を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。判定装置201は、切削工具101の外部に設けられる構成であってもよい。
図13は、本開示の実施の形態に係る切削工具システムの構成の他の例を示す図である。
図13を参照して、たとえば、判定装置201は、管理装置301の一部であってもよい。この場合、センサモジュール20における通信部24は、センサパケットを無線親機300経由で判定装置201へ送信する。
ところで、切削工具の状態をモニタ可能なシステムにおいて、切削インサートの取り付けに関する優れた機能を実現することが可能な技術が望まれる。
より詳細には、たとえば切削加工中に切削インサート1の取り付け不良が発生すると、切削加工中に異音が生じたり、被削物の加工面性状に変化が生じたりする等の異常が発生する場合がある。切削加工中にこのような異常が発生した場合、切削加工を中断し、切削インサート1の切刃1Aの状態を確認したり、切削インサート1の取り付け状態を確認したりすることにより異常の発生原因を調査する必要があり、生産効率が低下する。そこで、切削インサート1の取り付け状態を判定することが可能な技術が望まれる。
しかしながら、特許文献1~4のような従来の技術は、センサとして、振動センサおよび加速度センサ等を用いる技術であり、このようなセンサを用いてホルダ10における切削インサート1の取り付け状態を判定することは困難である。
これに対して、本開示の実施の形態に係る判定装置201では、第1の取得部231は、切削インサート1を保持可能なホルダ10に取り付けられたひずみセンサ22の計測結果を取得する。判定部250は、第1の取得部231により取得された計測結果に基づいて、ホルダ10における切削インサート1の取り付け状態を判定する。
本開示の実施の形態に係る切削工具システム401は、切削インサート1が接する収容部11を有するホルダ10と、ホルダ10の表面に取り付けられたひずみセンサと、判定装置201とを備える。判定装置201は、ひずみセンサ22の計測結果を取得し、取得した計測結果に基づいて、ホルダ10における切削インサート1の取り付け状態を判定する。
本開示の実施の形態に係る判定方法は、判定装置201における判定方法である。この判定方法では、まず、判定装置201が、切削インサート1を保持可能なホルダ10に取り付けられたひずみセンサ22の計測結果を取得する。次に、判定装置201が、取得した計測結果に基づいて、ホルダ10における切削インサート1の取り付け状態を判定する。
このように、ホルダ10に関する静的な変化を検知することが可能なひずみセンサ22の計測結果に基づいて、ホルダ10における切削インサート1の取り付け状態を判定する構成および方法により、たとえば、ホルダ10に切削インサート1が正常に取り付けられているか否かを自動的に検知することができる。
したがって、本開示の実施の形態に係る判定装置201、切削工具システム401および判定方法では、切削工具101の状態をモニタ可能なシステムにおいて、切削インサート1の取り付けに関する優れた機能を実現することができる。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
切削インサートを保持可能なホルダに取り付けられたひずみセンサの計測結果を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記計測結果に基づいて、前記ホルダにおける前記切削インサートの取り付け状態を判定する判定部と、
前記計測結果を他の装置へ送信する通信部とを備え、
前記取得部は、切削加工の開始前に、加工条件に関する情報である切削情報を取得し、
前記判定部は、前記取得部により取得された切削情報に基づいて、切削加工が行われる期間である加工期間を推定し、
前記通信部は、前記判定部により推定された前記加工期間において、前記計測結果を前記他の装置へ送信する、判定装置。
[付記2]
切削インサートを保持可能なホルダに取り付けられたひずみセンサの計測結果を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記計測結果に基づいて、前記ホルダにおける前記切削インサートの取り付け状態を判定する判定部とを備え、
前記取得部および前記判定部は、プロセッサにより実現される、判定装置。