JP7157143B2 - 光劣化が抑制されたビールテイスト飲料およびその製造方法 - Google Patents
光劣化が抑制されたビールテイスト飲料およびその製造方法 Download PDFInfo
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Description
従来ビールテイスト飲料は、一般的に缶や有色のビン(例えば褐色のビン)に密封されて供給されていたが、近年では透明なビンやペットボトル等を用いた供給も求められている。しかしながら、このような容器で供給される場合、通常の缶や有色のビンでの場合と異なり、ビールテイスト飲料が太陽光や蛍光灯の光にさらされることになる。その場合、これらの光によってビールテイスト飲料の香味劣化が起こる虞がある。具体的には、光照射によってビニールやプラスチックが焼けたような異臭が生じる虞がある。そのような香味劣化を抑える一つの手段として、保存料を含むビールテイスト飲料が検討されている(例えば、特許文献1)。
[1]
ビールテイスト飲料であって、
酸化防止剤の含有量が5mg/L~700mg/Lであり、
苦味付与剤の含有量が0.10mg/L~50mg/Lであり、かつ
原料として麦由来のタンパク質および食物繊維を実質的に含まない、ビールテイスト飲料。
[2]
前記苦味付与剤が、ホップ由来の成分、ニガヨモギ、ナリンジンおよびクワシンからなる群から選択される一種以上の苦味付与剤である、[1]に記載のビールテイスト飲料。
[3]
前記ホップ由来の成分が、イソα酸およびα酸からなる群から選択される一種以上の成分である、[2]に記載のビールテイスト飲料。
[4]
前記酸化防止剤が、アスコルビン酸、エリソルビン酸およびカテキンから選択される一種以上である、[1]~[3]のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
[5]
前記酸化防止剤の含有量が50mg/L~500mg/Lである、[1]~[4]のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
[6]
前記苦味付与剤の含有量が4mg/L~40mg/Lである、[1]~[5]のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
[7]
アルコール度数が0.05~40%である、[1]~[6]のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
[8]
アルコール度数が0.05%未満である、[1]~[6]のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
[9]
無色透明である、[1]~[8]のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
[10]
pHが2~3である、[1]~[9]のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
[11]
総エキス量が0.80重量%以下である、[1]~[10]のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
[12]
[1]~[11]のいずれかに記載のビールテイスト飲料が透明容器に詰められた、容器詰飲料。
[13]
前記透明容器がビンまたはペットボトルである、[12]に記載の容器詰飲料。
[14]
前記透明容器が無色透明の容器である、[12]または[13]に記載の容器詰飲料。
[15]
ビールテイスト飲料の製造方法であって、最終製品中の
酸化防止剤の含有量が5mg/L~700mg/Lであり、かつ
苦味付与剤の含有量が0.10mg/L~50mg/Lとなるように酸化防止剤と苦味付与剤を添加する工程を含み、
原料として麦由来のタンパク質および食物繊維を添加しない、製造方法。
本発明のビールテイスト飲料は、酸化防止剤の含有量が5mg/L~700mg/Lであり、苦味付与剤の含有量が0.10mg/L~50mg/Lであり、かつ原料として麦由来のタンパク質および食物繊維を実質的に含まない、ビールテイスト飲料である。
本発明のビールテイスト飲料の原材料としては酸化防止剤および苦味付与剤が用いられる。その他に一般的なビールテイスト飲料の原材料として用いられる、水、香料、アルコール、穀物および各種添加物等を用いてもよい。
本発明のビールテイスト飲料に含まれる炭酸ガスは、原材料に含まれる炭酸ガスを利用してもよく、また、炭酸水との混和または炭酸ガスの添加などで溶解させてもよい。
本発明のビールテイスト飲料に含まれる炭酸ガスは、原材料に発酵液を用いた場合、発酵工程で炭酸ガスが発生するため、当該炭酸ガスをそのまま用いることができる。また、原材料に非発酵液を用いた場合、発酵工程で発生する炭酸ガスを利用できないため、非発酵液と炭酸水との混和、または非発酵液に炭酸ガスの添加によって、容器詰ノンアルコールビールテイスト飲料に炭酸ガスを溶解させることができる。
本発明では、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて、様々な添加物を添加してもよい。例えば、保存料、甘味料、着色料、泡形成剤、発酵促進剤、酵母エキス、ペプチド含有物などのタンパク質系物質、アミノ酸などの調味料、各種酸味料などを本発明の効果を妨げない範囲で必要に応じて添加することができる。着色料は、飲料にビール様の色を与えるために使用するものであり、カラメル色素などを用いることができる。泡形成剤は、飲料にビール様の泡を形成させるため、あるいは飲料の泡を保持させるために使用するものであり、大豆サポニン、キラヤサポニン等の植物抽出サポニン系物質、コーン、大豆などの植物タンパクおよびペプチド含有物、ウシ血清アルブミン等のタンパク質系物質、酵母エキスなどを適宜使用することができる。発酵促進剤は、酵母による発酵を促進させるために使用するものであり、例えば、酵母エキス、米や麦などの糠成分、ビタミン、ミネラル剤などを単独または組み合わせて使用することができる。酸味料としては、ビールテイスト飲料に通常使用されるものであれば特に限定されないが、例えば、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、フィチン酸、酢酸およびコハク酸から選択される1種以上を用いることができる。
本発明のビールテイスト飲料は、容器に詰められた容器詰飲料であってもよい。容器詰飲料にはいずれの形態・材質の容器を用いてもよく、容器の例としては、ビン、缶、樽またはペットボトルが挙げられるが、特にビンやペットボトルが好ましい。また、本発明のビールテイスト飲料は光劣化が抑制されているため、透明容器に詰められた容器詰飲料として好適に使用することができる。透明容器としては、透明または無色透明なビンやペットボトルに好適に使用することができる。容器として、再栓が可能な容器も好適に用いることができ、そのような容器としてはスクリューキャップ付きのビン、ボトル缶またはペットボトル等が挙げられる。本明細書において、「透明」とは、容器の外側から内容物の液面が目視で確認できる状態を意味し、例えば、全光線透過率が45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上または95%以上の状態を意味する。また、「無色透明」とは、透明かつ着色がされていない状態を意味する。
ビールテイスト飲料の製造工程として、以下にビールテイスト飲料の製造方法と容器詰め方法について説明する。
本発明のビールテイスト飲料の製造方法は、最終製品中の酸化防止剤の含有量が5mg/L~700mg/Lであり、かつ苦味付与剤の含有量が0.10mg/L~50mg/Lとなるように酸化防止剤と苦味付与剤を添加する工程を含み、原料として麦由来のタンパク質および食物繊維を添加しない、製造方法である。本発明のビールテイスト飲料の製造方法において、最終製品(すなわち、製品として流通・販売するビールテイスト飲料)中の酸化防止剤と苦味付与剤の含有量が上記範囲内となるようにこれらの原料を添加すればよく、添加のタイミングなどは特に限定されない。また、本明細書において「原料として麦由来のタンパク質および食物繊維を添加しない」とは、ビールテイスト飲料を製造する際に麦由来のタンパク質および食物繊維をいずれも積極的に添加しないことを意味し、ビールテイスト飲料の製造の際に麦由来のタンパク質および食物繊維が不可避的に混入する態様を包含する。また、小麦や大麦などを原料として製造したスピリッツなどの蒸留酒や醸造酒を添加する製造方法は、本発明の製造方法に含まれる。さらに、原料として添加しない「食物繊維」は、穀物等から抽出された食物繊維として流通している単離された食物繊維であり、原材料名に「食物繊維」と表記されるものを意味し、原料の穀物等に含まれる食物繊維は含まないものとする。すなわち、成分表示として「食物繊維」が表記されていても、原材料名に「食物繊維」が表記されていないビールテイスト飲料は、本発明の製造方法で得られたビールテイスト飲料に含まれる。なお、「麦由来のタンパク質」の意味は、「1 ビールテイスト飲料」に記載のとおりである。
具体的なビールテイスト飲料の製造方法は、発酵を行う場合と発酵を行わない場合とに分けて以下に説明する。
本発明のビールテイスト飲料の製造方法に用いられるビールテイスト飲料は、例えば、仕込み工程、発酵工程、貯酒工程およびろ過工程などの当業者に周知のビールテイスト飲料の製造工程によって得られる。
具体的には、原料を仕込釜または仕込槽に投入し、必要に応じてアミラーゼなどの酵素を添加し、糊化、糖化を行わせ、ろ過して煮沸し、清澄タンクにて凝固タンパクなどの固形分を取り除く。その後、さらに酵母を添加して発酵させ、ろ過機などで酵母を取り除き、必要に応じて水や香料、酸味料、色素などの添加剤を加え、ビールテイスト飲料を得る。酸化防止剤、苦味付与剤、香料、酸味料、色素などは、発酵工程後において所定量添加してもよいが、糊化・糖化工程を含む製造工程中の任意のタイミングで添加してもよく、添加タイミングは限定されない。
本発明のビールテイスト飲料の製造方法に用いられるビールテイスト飲料の製造工程は、発酵工程を含まず、大豆ペプチドなどと水を含む原液に、炭酸水または炭酸ガスを混和する混和工程によって得られる。その際、必要に応じてアルコール、香料、酸味料、色素などの添加剤を加えてもよい。原液には麦以外の穀物(大豆、コーン、えんどうなど)やアミノ酸、ペプチド、糖液などを用いてもよい。非発酵液は混和工程の他に、さらに、仕込み工程、糖化工程および貯酒工程などの当業者に周知のビールテイスト飲料の製造工程を含んでもよい。酸化防止剤、苦味付与剤、香料、酸味料、色素などは、混和工程において所定量添加してもよいが、混和工程以外の他の任意の工程において添加してもよく、添加タイミングは限定されない。
本発明のビールテイスト飲料の容器詰め方法は特に限定されず、当業者に周知の容器詰め方法を用いることができる。容器詰め工程によって、本発明のビールテイスト飲料は容器に充填・密閉される。容器詰め工程には、いずれの形態・材質の容器を用いてもよく、容器の例としては、「1.4 容器詰飲料」に記載の容器が挙げられる。
各原料を後述の表1に記載の組成となるように水に添加し、炭酸ガスを添加し、透明容器に充填することで、実施例1~5および比較例1~2のビールテイスト飲料を調製した。各ビールテイスト飲料のpH値はアスコルビン酸とリン酸の添加量によって調節した。イソα酸としてはISOHOP(Barth-Haas社製)を、アスコルビン酸としてはアスコルビン酸(DSM社製)を、ビール香料としてはビールの醸造成分が含まれている香料(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)を、リン酸としてはリン酸(日本化学工業製)をそれぞれ用いた。
このようにして得られたビールテイスト飲料の光照射前の香味と光照射による香味の劣化を確認し、光安定性を評価した。各工程の詳細は下記のとおりである。
ビールテイスト飲料の光劣化を評価するために、透明容器に充填されたサンプルに180Wh/m2の光(UV)を2時間20分照射した。
本明細書において、ビールテイスト飲料の香味を、評点法による官能試験によって評価した。良く訓練された官能評価者6名が、パネラーとなって評価を行い、下記の基準に基づいて数値で評価した。いずれの評価も点数が高いほど良い評価である。
(光照射前の香味)
ビールテイスト飲料としての味質を以下の基準で評価した。評点1はビールテイスト飲料として不合格である。
1:不可
2:良
3:優
(光照射後の香味)
ビールテイスト飲料としての味質を以下の基準で評価した。評点1はビールテイスト飲料として不合格である。
1:(劣化が酷く)不可
2:(劣化が抑えられており)良
3:(劣化が抑えられており)優
酸化防止剤濃度の違いによる効果を検討した。
実施例Aと同様に表2に記載の組成となるように各原料を水に添加し、炭酸ガスを添加し、透明容器に充填することで、実施例6~9および比較例3~5のビールテイスト飲料を調製し、実施例Aと同様に光照射および評価を行った。結果を表2に示す。
苦味付与剤および酸化防止剤両方の濃度の違いによる効果を検討した。
実施例Aと同様に表3に記載の組成となるように各原料を水に添加し、炭酸ガスを添加し、透明容器に充填することで、実施例10~13および比較例6~9のビールテイスト飲料を調製し、実施例Aと同様に光照射および評価を行った。結果を表3に示す。
pHの違いによる効果を検討した。
実施例Aと同様に表4に記載の組成となるように各原料を水に添加し、炭酸ガスを添加し、透明容器に充填することで、実施例14~15のビールテイスト飲料を調製し、実施例Aと同様に光照射および評価を行った。結果を表4に示す。
酸味料の違いによる効果を検討した。
実施例Aと同様に表5に記載の組成となるように各原料を水に添加し、炭酸ガスを添加し、透明容器に充填することで、実施例16~23のビールテイスト飲料を調製し、実施例Aと同様に光照射および評価を行った。酸味料として、クエン酸(扶桑化学工業製)、グルコン酸(扶桑化学工業製)、酒石酸(扶桑化学工業製)、乳酸(扶桑化学工業製)、リンゴ酸(扶桑化学工業製)、フィチン酸(築野食品工業製)、酢酸(日本合成化学製)またはコハク酸(扶桑化学工業製)を使用した。それぞれの酸味料は、アスコルビン酸と合わせてビールテイスト飲料のpHを3に調整するように添加量を調節した。結果を表5に示す。
アルコールの有無による効果を検討した。
実施例Aと同様に表6に記載の組成となるように各原料を水に添加し、炭酸ガスを添加し、透明容器に充填することで、実施例24~26のビールテイスト飲料を調製し、実施例Aと同様に光照射および評価を行った。アルコール濃度は小麦スピリッツを添加して調節した。結果を表6に示す。
苦味付与剤の違いによる効果を検討した。
実施例Aと同様に表7に記載の組成となるように各原料を水に添加し、炭酸ガスを添加し、透明容器に充填することで、実施例27のビールテイスト飲料を調製し、実施例Aと同様に光照射および評価を行った。実施例1と比較すると、実施例27では苦味付与剤として10mg/Lのイソα酸の代わりに250mg/Lのニガヨモギ香料(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)を添加した。結果を表7に示す。
食物繊維の原料としての使用による効果を検討した。
実施例Aと同様に表8に記載の組成となるように各原料を水に添加し、炭酸ガスを添加し、透明容器に充填することで、比較例10のビールテイスト飲料を調製し、実施例Aと同様に光照射および評価を行った。実施例1と比較すると、比較例10では食物繊維(ライテス(ダニスコ社製))を原料として加えた点で異なる。結果を表8に示す。
Claims (15)
- ビールテイスト飲料であって、
酸化防止剤の含有量が5mg/L~700mg/Lであり、
苦味付与剤の含有量が0.10mg/L~50mg/Lであり、かつ
原料として麦由来のタンパク質および食物繊維を実質的に含まない、ビールテイスト飲料(但し、糖アルコールを含む、または、重合カテキン類を0.008~0.1質量%、および非重合体カテキン類を含有し、重合カテキン類と非重合体カテキン類との質量比が1~4.5であるビールテイスト飲料を除く)。 - 前記苦味付与剤が、ホップ由来の成分、ニガヨモギ、ナリンジンおよびクワシンからなる群から選択される一種以上の苦味付与剤である、請求項1に記載のビールテイスト飲料。
- 前記ホップ由来の成分が、イソα酸およびα酸からなる群から選択される一種以上の成分である、請求項2に記載のビールテイスト飲料。
- 前記酸化防止剤が、アスコルビン酸、エリソルビン酸およびカテキンから選択される一種以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
- 前記酸化防止剤の含有量が50mg/L~500mg/Lである、請求項1~4のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
- 前記苦味付与剤の含有量が4mg/L~40mg/Lである、請求項1~5のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
- アルコール度数が0.05~40%である、請求項1~6のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
- アルコール度数が0.05%未満である、請求項1~6のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
- 無色透明である、請求項1~8のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
- pHが2~3である、請求項1~9のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
- 総エキス量が0.80重量%以下である、請求項1~10のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
- 請求項1~11のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料が透明容器に詰められた、容器詰飲料。
- 前記透明容器がビンまたはペットボトルである、請求項12に記載の容器詰飲料。
- 前記透明容器が無色透明の容器である、請求項12または13に記載の容器詰飲料。
- ビールテイスト飲料の製造方法であって、最終製品中の
酸化防止剤の含有量が5mg/L~700mg/Lであり、かつ
苦味付与剤の含有量が0.10mg/L~50mg/Lとなるように酸化防止剤と苦味付与剤を添加する工程を含み、
原料として麦由来のタンパク質および食物繊維を添加しない、製造方法(但し、最終製品中に糖アルコールを含む、または、最終製品中に重合カテキン類を0.008~0.1質量%、および非重合体カテキン類を含有し、重合カテキン類と非重合体カテキン類との質量比が1~4.5であるビールテイスト飲料の製造方法を除く)。
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