実施の形態1.
本実施の形態1のショーケースの構成を説明する。図1は、実施の形態1に係るショーケースの一構成例を示す模式図である。図2は、図1に示した機械室を上から見たときの一例を示す模式図である。図1において、方向の説明の便宜上、X軸、Y軸およびZ軸の座標軸を示す。図1に示すショーケース1は冷凍装置内蔵型のショーケースである。図1において、X軸矢印の反対方向をショーケース1の正面側とし、X軸矢印方向をショーケース1の背面側とする。図1において、Y軸矢印方向をショーケース1の左側とし、Y軸矢印の反対方向をショーケース1の右側とし、Z軸矢印方向をショーケース1の上面側とする。
図1に示すように、ショーケース1は、縦型オープンショーケースである。ショーケース1は、正面側が開口した筐体40を有する。筐体40は、前面側の断熱壁8aと、上面側の断熱壁8bと、背面側の断熱壁8cと、側板41aおよび41b(図2参照)とを有する。
筐体40の内部は、貯蔵物である商品が置かれる貯蔵室11と、貯蔵室11に供給する冷熱を生成する機械室20と、冷熱の風路の役目を果たすダクト10とに区分けされている。ダクト10は、上部ダクト10aと、内層ダクト10bと、底部ダクト10cとを有する。内層ダクト10bは、床面から垂直方向(Z軸矢印方向)に伸びている。上部ダクト10aは、床面に平行な方向(X軸矢印方向)に伸びている。
貯蔵室11と上部ダクト10aとの間に、上部仕切板9aが設けられている。貯蔵室11と内層ダクト10bとの間に、内層仕切板9bが設けられている。貯蔵室11と底部ダクト10cとの間に、底部仕切板9cが設けられている。底部ダクト10cと機械室20との間に、仕切板19が設けられている。
貯蔵室11は、正面側に開口部16を有し、上部仕切板9aと、内層仕切板9bと、底部仕切板9cと、側板41aおよび41bとによって形成される空間である。内層仕切板9bには、内層ダクト10bから貯蔵室11に空気が流れ込めるように複数の孔43が設けられている。
貯蔵室11には、商品が陳列される4段の棚12a~12bが設けられている。棚12aは最上段の棚であり、棚12bは上から2段目の棚であり、棚12cは上から3段目の棚であり、棚12dは最下段の棚である。上部仕切板9aの下面には、棚12aに置かれる商品を照明する蛍光灯13aと、貯蔵室11内の空気の温度を検出する温度センサ42とが取り付けられている。棚12aの下面には、棚12aに置かれる商品を加熱する加熱ヒータ28aと、棚12bに置かれる商品を照明する蛍光灯13bとが取り付けられている。温度センサ42の位置は図1に示す位置に限らない。温度センサ42の数は、1つに限らず、複数であってもよい。
棚12bの下面には、棚12bに置かれる商品を加熱する加熱ヒータ28bと、棚12cに置かれる商品を照明する蛍光灯13cとが取り付けられている。棚12cの下面には、棚12cに置かれる商品を加熱する加熱ヒータ28cと、棚12dに置かれる商品を照明する蛍光灯13dとが取り付けられている。棚12dの下面には、棚12dに置かれる商品を加熱する加熱ヒータ28dが取り付けられている。
貯蔵室11の開口部16の上縁に、上部ダクト10aの吹出口17が形成されている。また、貯蔵室11の開口部16の下縁に、底部ダクト10cの吸込口18が形成されている。内層ダクト10b内に、蒸発器5が設けられている。蒸発器5は、冷媒と空気とを熱交換させる熱交換器である。蒸発器5には、除霜用のヒータ(図示せず)が設けられている。本実施の形態1において、蒸発器5は直方体形状であり、図1に示すように、蒸発器5は長手方向が内層ダクト10bと平行になるように配置されている。底部ダクト10cには、第2送風機15が設けられている。第2送風機15は、吸込口18から空気を吸い込んで蒸発器5に送り出す。
底部ダクト10cには、蒸発器5において生じる除霜水などのドレン水を受けるドレンパン21が仕切板19の上に設置されている。ドレンパン21の底部には、排水口21aが設けられている。排水口21aは、仕切板19に設けられた開口を介して、機械室20に貫通している。排水口21aは、ドレン水を機械室20に落下させる役目を果たす。
機械室20には、圧縮機2と、凝縮器3と、絞り装置4と、第1送風機6と、制御装置7と、ドレン水蒸発装置22とが設置されている。凝縮器3は、冷媒と空気とを熱交換させる熱交換器である。絞り装置4は、冷媒を減圧して膨張させる。絞り装置4は、例えば、電子膨張弁である。第1送風機6は、外気を吸い込んで凝縮器3に供給する。第1送風機6および第2送風機15は、例えば、ブラシ構造を備えておらず、内部に接点構造を備えていないDC(Direct Current)ブラシレスモータ(図示せず)を有する。
圧縮機2、凝縮器3、絞り装置4および蒸発器5が冷媒配管14で接続され、冷媒が循環する冷媒回路60が構成される。圧縮機2の冷媒吐出口側の冷媒配管14に圧力センサ30が設けられている。圧力センサ30は、圧縮機2から吐出される冷媒の圧力である吐出圧力Pcを検出する。圧縮機2、絞り装置4、第1送風機6、第2送風機15、圧力センサ30および温度センサ42は、図に示さない信号線を介して制御装置7と接続される。
続いて、図1に示した凝縮器3および第1送風機6の位置的関係を、図2を参照して説明する。図2においては、図1に示した圧縮機2、絞り装置4および制御装置7を図に示すことを省略している。第1送風機6は、ショーケース1において、凝縮器3の左側に配置されている。つまり、第1送風機6は、凝縮器3よりも側板41aに近い側に配置されている。第1送風機6は、凝縮器3を冷却するために送風する。図2に示す矢印は空気が流れる方向を示す。凝縮器3を通過した空気は、ドレン水蒸発装置22を流通する。
図2に示す機械室20において、例えば、側板41aに吸気口(図示せず)が設けられ、側板41bに排気口(図示せず)が設けられている。ショーケース1の正面側の断熱壁8aに吸気口が設けられ、背面側の断熱壁8bに排気口が設けられていてもよい。図2に示す構成例は、メンテナンス作業者がショーケース1の正面側からドレン水蒸発装置22をメンテナンスしやすい位置にドレン水蒸発装置22が配置された構成である。
図3は、図2に示したドレン水蒸発装置の一構成例を示す模式図である。図3に示すように、ドレン水蒸発装置22は、ドレン水を溜める蒸発皿23と、蒸発皿23の上に配置される複数の蒸発板24と、複数の蒸発板24を一体的に支持する支持部材27とを有する。蒸発皿23は、図1に示した排水口21aの下に配置され、排水口21aから落下するドレン水を受ける。複数の蒸発板24は、蒸発皿23の上に配置されている。複数の蒸発板24は、蒸発皿23にドレン水が溜まると、ドレン水と接触する位置に配置されている。
図3に示す矢印は、空気が流れる方向を示す。複数の蒸発板24は、空気が流れる方向と平行になるように配置されている。蒸発板24は、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)とガラス繊維とが一体となった不織布、および多孔質の樹脂成形体などで構成される。
上面の断熱壁8bのショーケース1の正面側に庇25が設けられている。庇25には、ユーザが制御装置7に指示を入力するための操作パネル26が取り付けられている。操作パネル26は、図に示さない信号線を介して制御装置7と接続される。操作パネル26は、情報を表示する表示装置(図示せず)と、タッチパネル等の入力インタフェース(図示せず)とを有する。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイである。表示装置はLED(Light Emitting Diode)等の表示灯を備えていてもよい。操作パネル26は、スピーカ等の音出力装置を有していてもよい。
ユーザが操作パネル26を操作して、貯蔵室11内の設定温度を入力すると、設定温度の情報が制御装置7に入力される。ユーザが操作パネル26を操作して、複数の運転パターンから、いずれか1つの運転パターンを選択すると、選択された運転パターンが制御装置7に入力される。運転パターンについては後述する。
次に、本実施の形態1のショーケース1の作動流体である冷媒について説明する。本実施の形態1のショーケース1では、冷媒として、地球温暖化係数が1500以下のHC冷媒である可燃性冷媒が用いられる。ショーケース1に用いられる冷媒は、例えば、プロパンまたはイソブタンである。プロパンの地球温暖化係数は3.3である。イソブタンの地球温暖化係数は4である。
本実態の形態1のショーケース1は、ショーケースに冷凍サイクル装置を含む一体型の装置であるため、冷凍サイクル装置とショーケースとが別々に設けられる装置に比べて、小型化できる。そのため、例えば、冷媒がプロパンの場合、冷媒の液密度が小さいので、冷媒の充填量を500g程度に低減できる。国際電気標準会議(IEC)において、家庭用および商業用の冷凍機器における可燃性冷媒の充填上限量の規制が緩和され、充填上限量が150gから500gに変更された。そのため、プロパン等の地球温暖化係数が1500以下の可燃性冷媒を用いた場合であっても、空気中の冷媒濃度が燃焼濃度に至ることを防止するショーケース1を提供することができる。
次に、図1に示したショーケース1の冷媒回路60における冷媒の流れを、図1を参照して説明する。
圧縮機2が、冷媒を吸入し、吸入した冷媒を圧縮して、高温高圧のガス冷媒を吐出する。圧縮機2から吐出されたガス冷媒は、凝縮器3に流入する。凝縮器3に流入した冷媒は、凝縮器3において、第1送風機6から供給される空気と熱交換することで凝縮する。凝縮した冷媒は、中温高圧の液冷媒となって、凝縮器3から流出する。凝縮器3から流出した液冷媒は、絞り装置4によって低温低圧の液冷媒になる。液冷媒は、蒸発器5に流入する。蒸発器5に流入した冷媒は、蒸発器5において、内層ダクト10b内の空気と熱交換することで蒸発し、低温低圧のガス冷媒となって蒸発器5から流出する。蒸発器5において、冷媒が内層ダクト10b内の空気から吸熱することで、内層ダクト10b内の空気が冷却される。蒸発器5から流出した冷媒は、圧縮機2に吸入される。このようにして、圧縮機2から吐出される冷媒が凝縮器3、絞り装置4および蒸発器5を順に流通した後、圧縮機2に戻ることで、冷凍サイクルが繰り返し実行される。
次に、ショーケース1の基本的な動作を、図1および図2を参照して説明する。第2送風機15が運転することで、底部ダクト10c内の空気が背面側の内層ダクト10bに送り出される。底部ダクト10cから内層ダクト10bに流入した空気は、蒸発器5において冷媒と熱交換することで、冷却される。冷却された空気の一部は、内層仕切板9bに設けられた複数の孔43を経由して、図1の矢印CAF1およびCAF2に示すように、貯蔵室11に流入する。これにより、貯蔵室11の棚12a~12dの上に置かれた商品が冷却される。
一方、冷却された空気の残りは、第2送風機15によって生成される気流に押されて、内層ダクト10bから上部ダクト10aに送り出される。上部ダクト10aに流入した空気は、吹出口17から吸込口18に向けて吹き出される。これにより、貯蔵室11の開口部16には、冷気エアーカーテンが形成される。冷気エアーカーテンによって、開口部16を介して貯蔵室11への外気の流入が抑制される。また、冷気エアーカーテンを形成する気流の一部は、貯蔵室11内に入り、棚12a~12dの上に置かれた商品を冷却する。そして、冷熱が使用された後の空気は、吸込口18から底部ダクト10cに入り、第2送風機15に再び吸い込まれる。なお、ショーケース1が設置される店舗の閉店時に、開口部16がナイトカバー31によって覆われてもよい。この場合、外気が貯蔵室11に流入することが抑制され、圧縮機2の消費電力量を低減できる。
次に、図1に示したショーケース1における、蒸発器5の除霜動作について説明する。ショーケース1の運転中、内層ダクト10b内の温度が、例えば、10℃以下になると、蒸発器5が着霜する。着霜が進むと、蒸発器5の熱交換量が低下し、蒸発性能が低下する。制御装置7は、蒸発性能の低下から蒸発器5の着霜を判定してもよいが、例えば、圧縮機2が予め決められた時間運転すると、蒸発器5に設けられたヒータ(図示せず)を一定時間通電することで除霜を行う。
除霜が行われると、蒸発器5に付着した霜が解け、ドレン水となってドレンパン21に落ちる。ドレン水は、排水口21aを経由して機械室20にあるドレン水蒸発装置22の蒸発板24に落ち、蒸発皿23に溜まる。蒸発皿23に溜まったドレン水は、毛細管現象により蒸発板24によって吸い上げられる。そして、第1送風機6から送出される空気が、凝縮器3を通過して温められた後、ドレン水蒸発装置22に向かって流れる。ドレン水蒸発装置22に流れた温かい空気はドレン水蒸発装置22の蒸発板24に当たる。これにより、蒸発板24に含まれたドレン水が蒸発する。
なお、蒸発板24にドレン水を含ませる構成として、蒸発皿23に溜まったドレン水を吸い上げるポンプ(図示せず)が設けられ、吸い上げられたドレン水を蒸発板24の上方から散水してもよい。また、蒸発皿23に溜まったドレン水の量を検知するフロートスイッチ(図示せず)が蒸発皿23に設けられていてもよい。
次に、ショーケース1に設定される運転パターンについて説明する。図4は、図1に示したショーケースの複数の棚の状態を設定する運転パターンの一例を示す図である。4つの棚12a~12dの各棚は、商品を加熱するホット状態と、商品を冷却するコールド状態とのうち、いずれの状態にも設定することができる構成である。本実施の形態1においては、ショーケース1の運転パターンが4種類の場合で説明する。4種類の運転パターンは、図4に示すように、オールホット、2段ホット、1段ホットおよびオールコールドである。
オールホットは、棚12a~12dの全てがホット状態の運転パターンである。2段ホットは、棚12a~12dのうち、2段がホット状態で、他の2段がコールド状態の運転パターンである。図4に示す例において、2段ホットは、棚12aおよび12bがホット状態で、他の棚12cおよび12dがコールド状態の運転パターンである。1段ホットは、棚12a~12dのうち、1段だけホット状態で、他の3段がコールド状態の運転パターンである。図4に示す例において、1段ホットは、最上段の棚12aがホット状態で、他の3段の棚12b~12dがコールド状態の運転パターンである。オールコールドは、棚12a~12dの全てがコールド状態の運転パターンである。
オールホット、2段ホットおよび1段ホットの各運転パターンにおいて、ホット状態に対応する棚に設けられた加熱ヒータがオン状態になる。オールホットでは、全ての加熱ヒータ28a~28dがオン状態になる。運転パターンがホールホット以外の場合、コールド状態の棚が少なくとも1段以上あるので、ショーケース1は、冷媒回路60に冷媒を循環させる冷却運転を行う。第2送風機15は、オールホット以外の3つの運転パターンのとき運転するが、運転パターンがオールホットのとき停止する。
なお、本実施の形態1においては、貯蔵室11に設けられる棚が棚12a~12dの4段の場合で説明するが、棚の段数は4段に限らず、3段および5段等の他の棚数であってもよい。また、本実施の形態1においては、運転パターンが4種類の場合で説明したが、運転パターンの種類は図4に示す場合に限らず、棚の段数に対応して決定される。
次に、図1に示したショーケース1において発生するおそれのある冷媒漏れを説明する。図1を参照して説明したように、内層仕切板9bには、内層ダクト10bから貯蔵室11に冷風を吹出す複数の孔43が設けられている。そのため、蒸発器5から冷媒が漏れた場合、漏れた冷媒は複数の孔43から図1に示した矢印CAF1およびCAF2の方向に流れ、貯蔵室11から外部に流出するおそれがある。
また、蒸発器5から漏れた冷媒が、ドレンパン21の排水口21aから機械室20に流入する場合もある。ショーケース1に設けられた蛍光灯13a~13d、第2送風機15および加熱ヒータ28等の電機部品については、着火源にならない対策を構造的に施すことができる。しかし、ショーケース1の外部に漏れた冷媒については、例えば、電気コンセント等が着火源になるおそれがある。そのため、ショーケース1の外部に漏れる冷媒の空気中の濃度を小さくすることが重要である。
次に、プロパンを冷媒に使用したショーケース1について、冷媒が漏れた場合に空気中の冷媒濃度を測定する実験を行ったので説明する。図5は、図1に示したショーケースを正面から見た場合において、冷媒濃度の測定点を示す図である。図6は、図1に示したショーケースを上面から見た場合において、冷媒濃度の測定点を示す図である。
図5および図6に示す冷媒濃度の測定点MP1~MP5は、IECによって発行されたIEC 60335-2-89:2019の基準書に示された測定点を示している。以下では、この基準書をIEC基準書と称する。図5のFLは試験室の床を示し、図6のRWは試験室の壁を示す。図6に示す距離Lxは、ショーケース1の製造業者が指定する壁RWからの距離と、壁RWから50mmとのいずれか大きい値である。星印は、冷媒漏れ個所を示す。図6は、冷媒漏れ箇所が蒸発器5の場合である。
冷媒が漏れた場合に、冷媒回路からの冷媒漏れの模擬方法が、例えば、日本産業標準調査会(JISC)によって発行されたJISC9335-2-24およびJISC9335-2-89の基準書に示されている。以下では、これらの基準書をJISC基準書と称する。JISC基準書に示される方法で冷媒漏れ試験を行い、IEC基準書に示された漏れ濃度が高い測定点MP3~MP5において濃度を測定した。
図7は、図1に示したショーケースにおいて、図4に示した運転パターンごとの冷媒濃度測定結果を示す表である。図7に示すように、実験条件として、冷媒漏れの位置が、庫内に配置された蒸発器5の場合、および機械室20に配置された凝縮器3の場合である。運転パターンは、オールコールド、1段ホット、2段ホットおよびオールホットの場合である。図7において、運転パターンが停止の場合、圧縮機2の停止を意味する。
実験においては、第1送風機6のモータ(図示せず)として、DCブラシレスモータが使用された。第1送風機6の動作条件は、全速、中速および停止の3種類である。全速は第1送風機6が最大回転数で回転する場合であり、中速は第1送風機6が最大回転数の半分の回転数で回転する場合である。第2送風機15のモータ(図示せず)もDCブラシレスモータが使用された。第2送風機15の動作条件は、全速および停止の2種類である。ブラシモータは、コイルが回転する過程でブラシ部にて電気的に開閉が生ずるため、火花が飛ぶおそれがあり、可燃性冷媒を使用する場合は注意する必要がある。一方、DCブラシレスモータは、コイルが回転せず、かつブラシ部が存在しないので、電気的に開閉が生じず、可燃性冷媒を使用しても安全である。
図7は、測定結果として、測定点MP3~MP5における室内最高濃度(vol%)を示す。冷媒量は、IEC基準書によって改定された可燃性冷媒の許容充填量である500gである。漏れ速度は、4方向全量漏れ速度を7.5kg/hである。空気と混合した可燃性ガスが着火によって燃焼を起こす最低濃度は、燃焼下限界LFL(Lower Flammability Limit)と称される。プロパンの場合のLFLは、2.1vol%である。
冷媒が漏れる経路として、内層仕切板9bの複数の孔43を介して、蒸発器5から漏れた冷媒が、図1に示した矢印CAF1およびCAF2の方向に、貯蔵室11から外部に漏れる経路が考えられる。運転パターンがオールホットの場合、ショーケース1は、通常、冷却運転を行わないので第1送風機6を停止する。図7に示すように、蒸発器5から冷媒が漏れた場合、ショーケース1が冷却運転を停止し、第1送風機6を停止すると、漏れた冷媒の空気中の濃度がプロパンのLFLを超えてしまうおそれがある。凝縮器3から冷媒が漏れた場合、運転パターンがオールホットのとき、第1送風機6が停止していると、冷媒の空気中の濃度がプロパンのLFLを超えてしまうおそれがある。
そのため、オールホットおよび冷却運転停止の場合において、通常、第1送風機6を停止させる場合であっても、第1送風機6を運転させる必要がある。図7を参照すると、蒸発器5から冷媒が漏れた場合、運転パターンがオールホットにおいて、第1送風機6が中速で運転していると、冷媒漏れ濃度はLFLより小さくなっている。
第1送風機6が運転していると、漏れた冷媒が撹拌され、室内の空気中における冷媒の濃度が低くなる。蒸発器5から漏れた冷媒がドレンパン21の排水口21aを介して機械室20に入る場合にも、第1送風機6が運転していれば、機械室20内の気体が撹拌される。また、機械室20内の圧縮機2および凝縮器3等の機器から冷媒が漏れた場合も、第1送風機6が運転していれば、機械室20内の気体が撹拌される。そして、漏れた冷媒が機械室20の隙間から外部に少しずつ漏れ出ることで、機械室20内の冷媒濃度が高くなってしまうことが抑制される。
本実施の形態1のショーケース1は、上記の実験結果を基に、冷媒漏れが発生しても空気中の冷媒濃度が燃焼濃度に至ることを防止するようにしたものである。
次に、図1に示した制御装置7の構成を説明する。図8は、図1に示した制御装置の一構成例を示す機能ブロック図である。図8に示すように、制御装置7は、判定手段32、圧縮機制御手段33、絞り装置制御手段36、第1送風機制御手段34、第2送風機制御手段35、ヒータ制御手段37および発報手段38を有する。制御装置7は、マイクロコンピュータなどの演算装置がソフトウェアを実行することにより各種機能が実現される。また、制御装置7は、各種機能を実現する回路デバイスなどのハードウェアで構成されてもよい。
判定手段32は、操作パネル26を介してユーザによって運転パターンの指示が入力されると、指示された運転パターンを特定する。判定手段32は、特定した運転パターンに対応して、圧縮機制御手段33、絞り装置制御手段36、第1送風機制御手段34、第2送風機制御手段35およびヒータ制御手段37の各手段に制御信号を送信する。
運転パターンが2段ホットの場合を一例として、制御信号を具体的に説明する。判定手段32は、加熱ヒータ28aおよび28bをオン状態にする指示を含む制御信号をヒータ制御手段37に送信する。一定の周期で、判定手段32は、温度センサ42の検出値が設定温度に一致するように、圧縮機2の運転周波数の情報を含む制御信号を圧縮機制御手段33に送信し、絞り装置4の開度の情報を含む制御信号を絞り装置制御手段36に送信する。一定の周期で、判定手段32は、第1送風機6の回転数の情報を含む制御信号を第1送風機制御手段34に送信し、第2送風機15の回転数の情報を含む制御信号を第2送風機制御手段35に送信する。
また、判定手段32は、吐出圧力Pcについて、圧縮機2を停止させる圧力である第1閾値Pth1を記憶している。また、判定手段32は、最低風量Q0に対応する吐出圧力Pcである第2閾値Pth2を記憶している。式(1)は、最低風量Q0[m3/min]の算出式の一例である。
式(1)において、A0は吹出口の面積[m2]であり、Fは係数である。例えば、F=0.25である。GはLFL[kg/m3]であり、h0は吹出口の中心線の高さ[m]である。wは冷媒の漏洩速度[kg/h]である。
判定手段32は、第1送風機6によって凝縮器3に供給される風量が最低風量Q0に対応する第2閾値Pth2と第1閾値Pth1との大きさを判定する。第2閾値Pth2が第1閾値Pth1以上である場合、判定手段32は、吐出圧力Pcが第1閾値Pth1に到達すると、圧縮機2の停止の指示を含む制御信号を圧縮機制御手段33に送信する。圧縮機2の吐出圧力Pcが第1閾値Pth1のような異常圧力に達したときに圧縮機2を停止させることは、高圧カットと呼ばれている。第2閾値Pth2が第1閾値Pth1未満である場合、判定手段32は、吐出圧力Pcが第2閾値Pth2に到達すると、警報出力の指示を含む制御信号を発報手段38に送信する。さらに、第2閾値Pth2が第1閾値Pth1未満である場合、判定手段32は、吐出圧力Pcが第2閾値Pth2に到達したとき、圧縮機2の停止の指示を含む制御信号を圧縮機制御手段33に送信してもよい。
また、判定手段32は、蒸発器5から冷媒が漏れた場合に可燃性域が室内に生成されない第1風量Qr1と、凝縮器3から冷媒が漏れた場合に可燃性域が室内に生成されない第2風量Qr2とのうち、大きい方を最低風量Q0に決定してもよい。可燃性域が室内に生成されない風量とは、空気中の冷媒の濃度をLFLよりも小さくする風量である。例えば、図7を参照すると、蒸発器5に冷媒漏れがある場合のオールホットにおいて、第1送風機6の運転が中速でも冷媒濃度がLFL未満である。しかし、凝縮器3に冷媒漏れがある場合のオールホットにおいて、第1送風機6の運転が全速の場合に、冷媒濃度がLFL未満になる。このように、運転パターンが同じであっても、蒸発器5から冷媒が漏れた場合と、凝縮器3から冷媒が漏れた場合とで、第1送風機6に必要な風量が異なるので、判定手段32は、大きい方の風量を最低風量Q0に決定する。
絞り装置制御手段36は、判定手段32から受信する制御信号にしたがって絞り装置4の開度を制御する。ヒータ制御手段37は、判定手段32から受信する制御信号にしたがって加熱ヒータ28a~28dのオン状態およびオフ状態を制御する。圧縮機制御手段33は、判定手段32から受信する制御信号にしたがって圧縮機2を制御する。第1送風機制御手段34は、判定手段32から受信する制御信号にしたがって第1送風機6を制御する。第2送風機制御手段35は、判定手段32から受信する制御信号にしたがって第2送風機15を制御する。
発報手段38は、警報出力の指示を含む制御信号を判定手段32から受信すると、操作パネル26を介して警報を出力する。例えば、発報手段38は、第1送風機6の風量が低下していることをユーザに警告するメッセージを操作パネル26の表示装置(図示せず)に表示させる。操作パネル26にLED(図示せず)が設けられている場合、発報手段38は、LEDを点滅させてもよい。操作パネル26にスピーカ(図示せず)が設けられている場合、発報手段38は、風量低下を警告するメッセージを音声でスピーカに出力させてもよく、ブザー音等の警告音をスピーカに出力させてもよい。
ここで、図8に示した制御装置7のハードウェアの一例を説明する。図9は、図8に示した制御装置の一構成例を示すハードウェア構成図である。制御装置7の各種機能がハードウェアで実行される場合、図8に示した制御装置7は、図9に示すように、処理回路70で構成される。図8に示した、判定手段32、圧縮機制御手段33、絞り装置制御手段36、第1送風機制御手段34、第2送風機制御手段35、ヒータ制御手段37および発報手段38の各機能は、処理回路70により実現される。
各機能がハードウェアで実行される場合、処理回路70は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、または、これらを組み合わせたものに該当する。判定手段32、圧縮機制御手段33、絞り装置制御手段36、第1送風機制御手段34、第2送風機制御手段35、ヒータ制御手段37および発報手段38の各手段の機能のそれぞれを処理回路70で実現してもよい。また、判定手段32、圧縮機制御手段33、絞り装置制御手段36、第1送風機制御手段34、第2送風機制御手段35、ヒータ制御手段37および発報手段38の各手段の機能を1つの処理回路70で実現してもよい。
また、図8に示した制御装置7の別のハードウェアの一例を説明する。図10は、図8に示した制御装置の別の構成例を示すハードウェア構成図である。制御装置7の各種機能がソフトウェアで実行される場合、図8に示した制御装置7は、図10に示すように、プロセッサ71およびメモリ72で構成される。判定手段32、圧縮機制御手段33、絞り装置制御手段36、第1送風機制御手段34、第2送風機制御手段35、ヒータ制御手段37および発報手段38の各機能は、プロセッサ71およびメモリ72により実現される。図10は、プロセッサ71およびメモリ72が互いに通信可能に接続されることを示している。
各機能がソフトウェアで実行される場合、判定手段32、圧縮機制御手段33、絞り装置制御手段36、第1送風機制御手段34、第2送風機制御手段35、ヒータ制御手段37および発報手段38の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアは、プログラムとして記述され、メモリ72に格納される。プロセッサ71は、メモリ72に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各手段の機能を実現する。
メモリ72として、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable and Programmable ROM)およびEEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)等の不揮発性の半導体メモリが用いられる。また、メモリ72として、RAM(Random Access Memory)の揮発性の半導体メモリが用いられてもよい。さらに、メモリ72として、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、CD(Compact Disc)、MD(Mini Disc)およびDVD(Digital Versatile Disc)等の着脱可能な記録媒体が用いられてもよい。
次に、冷媒漏れが発生したときのショーケース1の動作を説明する。図11は、図1に示したショーケースの動作手順の一例を示すフローチャートである。制御装置7は、図11に示すフローチャートを一定の周期で実行する。
判定手段32は、吐出圧力Pcとして圧力センサ30から検出値を取得する(ステップS101)。判定手段32は、第1閾値Pth1と第2閾値Pth2とを比較する(ステップS102)。第2閾値Pth2が第1閾値Pth1以上である場合、判定手段32は、吐出圧力Pcが第1閾値Pth1以上か否かを判定する(ステップS103)。
吐出圧力Pcが第1閾値Pth1未満である場合、判定手段32は、ステップS101に戻る。ステップS103の判定の結果、吐出圧力Pcが第1閾値Pth1以上である場合、判定手段32は、圧縮機2の停止を圧縮機制御手段33に指示する。圧縮機制御手段33は、圧縮機2の停止の指示を判定手段32から受けると、圧縮機2を停止する(ステップS104)。ステップS104の後、発報手段38は警報を出力してもよい。
一方、ステップS102の判定の結果、第2閾値Pth2が第1閾値Pth1未満である場合、判定手段32は、吐出圧力Pcが第2閾値Pth2以上か否かを判定する(ステップS105)。吐出圧力Pcが第2閾値Pth2未満である場合、判定手段32は、ステップS101に戻る。ステップS105の判定の結果、吐出圧力Pcが第2閾値Pth2以上である場合、判定手段32は、警報の出力を発報手段38に指示する。発報手段38は、警報の出力の指示を判定手段32から受けると、警報を出力する(ステップS106)。警報が発せられることで、ユーザは、冷媒漏れが発生した場合に可燃性冷媒の濃度が燃焼濃度に達する可能性があることを認識することができる。
なお、図11に示したステップS104において、圧縮機制御手段33が圧縮機2を停止する場合で説明したが、冷媒回路60に充填されている冷媒の量が決められた値より少ない場合、圧縮機2を停止しなくてもよい。例えば、圧縮機制御手段33は、冷媒回路60に充填される冷媒の量が150gより多い場合、圧縮機2を停止するが、冷媒回路60に充填される冷媒の量が150g以下の場合、圧縮機2を停止させなくてもよい。この場合、ステップS104において、発報手段38が警報を出力してもよい。
また、図11に示したステップS105の判定の結果、吐出圧力Pcが第2閾値Pth2以上である場合、判定手段32は、ステップS106において、警報の出力を発報手段38に指示する代わりに、圧縮機2の停止を圧縮機制御手段33に指示してもよい。さらに、ステップS106において、判定手段32は、警報の出力を発報手段38に指示するとともに、圧縮機2の停止を圧縮機制御手段33に指示してもよい。
図12は、図1に示したショーケースにおいて、凝縮器に供給される風量および冷媒回路の高圧側圧力の時系列変化の一例を示す図である。図12の横軸は時間tであり、左側縦軸は圧力[Mpa]であり、右側縦軸は風量[m2/min]である。図12においては、左側縦軸に示す冷媒回路60の高圧側圧力は、圧力センサ30によって検出される吐出圧力Pcの場合である。時間t1は、吐出圧力Pcが第1閾値Pth1に到達したときの時間である。時間t2は、吐出圧力Pcが第2閾値Pth2に到達したときの時間である。
図12に示すように、ショーケース1の運転時間の経過に伴って、圧力センサ30によって検出される吐出圧力Pcは上昇し、凝縮器3に供給される風量は低下する傾向がある。これは、凝縮器3の放熱フィン間の目詰りなどが原因で、凝縮器3に供給される風量が低下し、凝縮器3において、周囲の空気と冷媒との熱交換量が低下するためである。凝縮器3において、空気と冷媒との熱交換量が低下すると、冷凍サイクルの高圧側の圧力が上昇する。その結果、凝縮器3に供給される風量が最低風量Q0まで低下する前に、吐出圧力Pcが第1閾値Pth1に到達する。時間tがt1に到達すると、図11に示したステップS104において、圧縮機制御手段33が圧縮機2を停止する。
可燃性冷媒が漏洩した場合に、LFLを超えない風量を確保できる状態かどうかは通常、風量計を用いて正確に把握する必要がある。本実施の形態1のショーケース1は、基本的には、運転時間の経過に対して、高圧カットの方が風量の最低風量Q0への低下よりも先に発生するように構成され、高圧カットに至るときをきっかけに圧縮機2を停止する。そのため、本実施の形態1のショーケース1において、風量計は必須構成ではない。
ショーケース1は、図12に示すように、凝縮器3に供給される風量が最低風量Q0に到達するまでに、圧力センサ30によって検出される吐出圧力Pcが第1閾値Pth1に到達するように冷凍サイクルが設計されている。そのため、凝縮器3に供給される風量が最低風量Q0に未満にならないように、第1送風機6の風量を監視するための風量計等の検出手段を別途、設ける必要がない。冷凍サイクルの設計において、例えば、凝縮器3の伝熱面積は重要な要素である。そのため、凝縮器3の放熱フィンの枚数およびフィンピッチを設計上、様々な値に変更し、第1閾値Pth1≦第2閾値Pth2になるように、凝縮器を設計すればよい。
図13は、図1に示したショーケースにおいて、凝縮器に供給される風量および冷媒回路の高圧側圧力の時系列変化の別の例を示す図である。図13の横軸は時間tであり、左側縦軸は圧力[Mpa]であり、右側縦軸は風量[m2/min]である。図13の左側縦軸に示す冷媒回路60の高圧側圧力は、図12と同様に、圧力センサ30によって検出される吐出圧力Pcである。また、図13の横軸に示す時間t1は吐出圧力Pcが第1閾値Pth1に到達したときの時間であり、時間t2は吐出圧力Pcが第2閾値Pth2に到達したときの時間である。
図13に示すように、ショーケース1の運転時間の経過に伴って、圧力センサ30によって検出される吐出圧力Pcは上昇し、凝縮器3に供給される風量は低下する傾向があるのは、図12に示したグラフと同様である。しかし、図13に示すグラフにおいては、時間t1よりも時間t2が先になっている。つまり、凝縮器3に供給される風量が最低風量Q0まで低下する時間t2よりも、圧縮機2を停止させる時間t1が遅れている。このような現象の原因として、ショーケース1の設置環境が考えられる。例えば、第1送風機6の吸気側に設けられたフィルタ(図示せず)の目詰まりおよび凝縮器3の放熱フィン間の目詰まりのうち、一方または両方が発生しやすい環境にショーケース1が設置されるケースが考えられる。図13に示す場合、時間t2から時間t1の間、冷媒漏れが発生したとき、凝縮器3に供給される風量が最低風量Q0より小さいため、可燃性域が室内に生成されるおそれがある。
運転時間が時間t1と時間t2のどちらかに達すると、基本的にはショーケースとしての寿命となる。したがって、ショーケースとしての製品寿命を考慮すると、できる限り時間t1と時間t2が同じになるように設計しつつ、図12の関係を満たすことが望ましい。しかし、放熱フィン間の目詰り状況のばらつき等によって、図13を参照して説明したように、時間t2が時間t1よりも早くなってしまう場合がある。
本実施の形態1のショーケース1は、設置環境などが原因で吐出圧力Pcおよび風量の関係が図13に示すような関係になるケースの対策として、風量計を設ける代わりに、式(1)を用いて風量に対応する吐出圧力を算出し、算出した吐出圧力と第1閾値Pth1との関係を判定するものである。
本実施の形態1のショーケース1において、図13を参照して説明したケースを防ぐための構成および動作を説明する。ショーケース1の設計値から、式(1)を用いて最低風量Q0を算出し、算出した最低風量Q0に対応する第2閾値Pth2を予め算出できるが、必ずしも算出された値と実際の値とが一致するとは限らない。例えば、ショーケース1の使用環境によって、風量および吐出圧力Pcの時系列変化が、図12に示したグラフのようにならず、図13に示したグラフのようになる場合がある。そこで、判定手段32は、第1送風機6の負荷トルクから、第2閾値Pth2を推定する。
図14は、図8に示した第1送風機制御部手段と図1に示した第1送風機とを接続する配線の一例を示す図である。図14において、第1送風機制御手段34と、第1送風機6のモータ65とは、5本の配線で接続されている。第1送風機制御手段34からモータ65に駆動用電圧Vsが供給される。駆動用電圧Vsは、例えば、DC280Vである。第1送風機制御手段34からモータ65の制御基板(図示せず)に、制御用電圧Vccおよび速度制御用電圧Vspが供給される。制御用電圧Vccは、例えば、DC15Vである。速度制御用電圧Vspは、例えば、DC0~6Vの範囲である。
また、第1送風機制御手段34とモータ65とが、制御用電圧Vccおよび速度制御用電圧Vspの基準電位となるグランド線GNDで接続されている。第1送風機6の回転数を示す回転数信号FGがモータ65から第1送風機制御手段34にフィードバックされる。第1送風機制御手段34は、回転数信号FGが示す回転数Nを第1送風機6の回転数制御にフィードバックし、速度制御用電圧Vspを変化させる。第1送風機制御手段34は、速度制御用電圧Vspを変更すると、速度制御用電圧Vspの情報を判定手段32に送信する。
図15は、図1に示したショーケースにおいて、第1送風機の負荷トルクと第1送風機の速度制御用電圧との相関を示す図である。図15の横軸は第1送風機6の負荷トルク[mN・m]であり、図15の縦軸は速度制御用電圧Vsp[V]である。図15の縦軸に示すVsp1は、第1送風機6の最低風量Q0に対応する、第1送風機6の負荷トルクがT1になるときの電圧閾値である。判定手段32は、電圧閾値Vsp1を記憶している。
凝縮器3の放熱フィン間に目詰りなどが起こると、凝縮器3の通風抵抗が大きくなり、図15に示すように、第1送風機6の負荷トルクが大きくなる。例えば、第1送風機6の目標回転数を1600rpmとすると、凝縮器3の放熱フィン間の目詰りによって通風抵抗が大きくなると、第1送風機6の負荷トルクが大きくなり、第1送風機6の回転数Nが低下してくる。
第1送風機6の回転数Nが低下してくると、第1送風機制御手段34は、回転数信号FGから第1送風機6の回転数が低下したことを検知し、検知結果を速度制御用電圧Vspにフィードバックする。つまり、第1送風機制御手段34は、回転数信号FGのフィードバックにより、速度制御用電圧Vspを大きくして、回転数Nが目標回転数に一致するように第1送風機6を制御しようとする。そのため、図15に示すように、速度制御用電圧Vspは、初期状態から時間が経過すると、電圧閾値Vsp1に近づく。判定手段32は、速度制御用電圧Vspが電圧閾値Vsp1以上になると、発報手段38に警報を出力させる。
このようにして、判定手段32は、直接、第1送風機6によって凝縮器3に供給される風量を監視しなくても、速度制御用電圧Vspを監視することで、凝縮器3に供給される風量が最低風量Q0に到達したか否かを判定できる。図13に示したように第1閾値Pth1>第2閾値Pth2の場合でも、判定手段32は、吐出圧力Pcが第1閾値Pth1に到達する前に、凝縮器3に供給される風量が最低風量Q0に到達すると、警報を発報手段38に出力させることができる。
また、判定手段32は、速度制御用電圧Vspの時系列変化を記録すれば、風量が最低風量Q0に到達する時間t2を推測できる。そして、判定手段32は、図13に示した吐出圧力Pcの時系列変化を記録しておけば、推測した時間t2および吐出圧力Pcの時系列変化のグラフから第2閾値Pth2を算出できる。
本実施の形態1のショーケース1は、冷媒回路60と、凝縮器3に空気を供給する第1送風機6と、圧縮機2の冷媒の吐出圧力Pcを検出する圧力センサ30と、吐出圧力Pcが第1閾値Pth1以上になると、圧縮機2を停止する制御装置7とを有する。制御装置7は、判定手段32と、圧縮機制御手段33と、発報手段38とを有する。判定手段32は、第1送風機6によって凝縮器3に供給される風量が燃焼下限界LFLよりも冷媒濃度を小さくする最低風量Q0に対応する第2閾値Pth2と第1閾値Pth1との大きさを判定する。圧縮機制御手段33は、判定手段32によって第2閾値Pth2が第1閾値Pth1以上と判定され、吐出圧力Pcが第1閾値Pth1に到達すると、圧縮機2を停止する。発報手段38は、判定手段32によって第2閾値Pth2が第1閾値Pth1未満と判定され、吐出圧力Pcが第2閾値Pth2に到達すると、警報を出力する。
本実施の形態1によれば、凝縮器3の目詰まりなどに起因して、凝縮器3に供給される風量が冷媒の濃度を燃焼下限界LFLよりも小さくする最低風量Q0に低下するまでに、圧縮機2が停止する。そのため、圧縮機2が吐出圧力Pcの異常によって停止するまで、冷媒回路60から冷媒が漏れても、冷媒の濃度が燃焼下限界LFLよりも小さくなるように冷媒を拡散できる風量が確保される。その結果、空気中の冷媒濃度が燃焼濃度に至ることを防止できる。
また、本実施の形態1のショーケース1は、冷凍装置とショーケースと一体になった構成であるため、地球温暖化係数が1500以下の可燃性冷媒を用いることができる。冷凍装置とショーケースとが別々に設けられる場合に必要な延長配管が設けられていないので、冷媒の充填量を、例えば、500gに低減できる。その結果、地球温暖化係数が1500以下の可燃性冷媒を用いる場合でも、空気中の冷媒濃度が燃焼濃度に至ることを防止する効果が向上する。
また、冷凍装置とショーケースとが別々に設けられる冷凍システムの場合、冷凍装置を建物内に設置しなければならないが、ショーケースが設置される店内とは別の場所に冷凍装置の設置場所を選定しなければならない。冷凍装置の台数を増設する場合には、複数の冷凍装置の設置場所の選定はさらに困難になる。これに対して、本実施の形態1のショーケース1は、冷凍装置内蔵型のショーケースなので、店内に設置される。そのため、ショーケース1の設置場所を容易に選定できる。
さらに、本実施の形態1において、制御装置7は、判定手段32によって第2閾値Pth2が第1閾値Pth1未満と判定され、吐出圧力Pcが第2閾値Pth2に到達すると、警報を出力する発報手段38を有していてもよい。凝縮器3の目詰まりなどに起因して、圧縮機2が吐出圧力Pcの異常によって停止する前に、凝縮器3に供給される風量が最低風量Q0に低下すると、警報が出力される。警報が発せられることで、ユーザは、冷媒漏れが発生した場合に可燃性冷媒の濃度が燃焼濃度に達する可能性があることを認識することができる。
実施の形態2.
本実施の形態2のショーケース1は、第1送風機6を一旦停止させた後、第1送風機6を再起動してから風量が低下しているか否かを判定するものである。本実施の形態2のショーケースは、実施の形態1で説明した構成と同様であるため、その詳細な説明を省略する。本実施の形態2においては、実施の形態1と異なる動作について詳細に説明する。
本実施の形態2のショーケース1の動作を説明する。図16は、実施の形態2に係るショーケースにおいて、第1送風機の回転数の時系列変化を示す図である。図16の横軸は時間tであり、縦軸は第1送風機6の回転数[rpm]である。図16の縦軸に示すN2は、第1送風機6の風量が最低風量Q0になる時間t2のときの回転数閾値である。判定手段32は、回転数閾値N2を記憶している。
第1送風機6は、ショーケース1の運転時間の経過に伴って、風量および回転数Nが低下するが、実施の形態1で説明したように、第1送風機制御手段34は、回転数Nが目標回転数N1になるように、速度制御用電圧Vspを増加させる。目標回転数N1は、例えば、1600rpmである。第1送風機制御手段34は、一旦、第1送風機6を停止させた場合、時間t2が経過したときに、第1送風機6の回転数Nを回転数閾値N2から目標回転数N1になるように制御する。第1送風機制御手段34は、回転数信号FGが示す回転数Nの情報を判定手段32に送信する。
第1送風機6を一時的に停止するタイミングとして、例えば、ショーケース1の冷却運転中に貯蔵室11内の温度が設定温度に達したことで圧縮機2を停止するサーモ停止の場合がある。サーモ停止のとき、第1送風機制御手段34は、一旦、第1送風機6を停止する。図7を参照して説明したように、冷媒漏れ対策として、第1送風機6を運転する必要がある。そのため、第1送風機制御手段34は、第1送風機6を一旦停止した後、第1送風機6を再起動し、回転数信号FGが示す回転数Nが目標回転数N1になるように第1送風機6を制御する。判定手段32は、第1送風機制御手段34から受信する回転数Nと回転数閾値N2とを比較し、回転数Nが回転数閾値N2以下である場合、発報手段38に警報を出力させる。
第1送風機6を一時的に停止するタイミングの別の例として、運転パターンがオールホットの場合がある。運転パターンがオールホットに設定されると、ヒータ制御手段37が加熱ヒータ28a~28dをオン状態にする。そして、圧縮機制御手段33は圧縮機2を停止し、第1送風機制御手段34は、一旦、第1送風機6を停止する。その後、冷媒漏れ対策のために、第1送風機制御手段34は、第1送風機6を再起動し、回転数信号FGが示す回転数Nが目標回転数N1になるように第1送風機6を制御する。判定手段32は、第1送風機制御手段34から受信する回転数Nと回転数閾値N2とを比較し、回転数Nが回転数閾値N2以下である場合、発報手段38に警報を出力させる。
なお、判定手段32は、回転数Nが回転数閾値N2以下になる回数が1回の場合に限らず、回転数Nが回転数閾値N2以下になる回数が予め決められた回数に到達したとき、発報手段38に警報を出力させてもよい。
本実施の形態2のショーケース1は、圧縮機2の停止に伴って第1送風機6を一旦停止した場合、第1送風機6を再起動した後に風量低下の有無を判定する。この場合、冷却運転の時間が一度途切れても、第1送風機6を再起動した後、第1送風機6の風量が低下しているか否かを改めて判定することができる。また、第1送風機6の回転数Nが、凝縮器3の目詰まり等の問題ではなく、一時的な不具合があって回転数閾値N2まで低下したときに、間違って風量が低下したと判定されることを防ぐことができる。
実施の形態3.
本実施の形態3のショーケースは、図1および図2に示したショーケース1と比較して、機械室20に設けられる凝縮器3等の機器の配置が異なるものである。本実施の形態3においては、実施の形態1および2において説明した構成と同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図1に示した構成例においては、矢印CAF1およびCAF2に示す冷媒の漏れ方向と、凝縮器3および第1送風機6の配列方向との成す角は90°である。そのため、第1送風機6の送風方向が、ショーケース1の背面側から正面側の方向(X軸矢印の反対方向)になる場合がある。
本実施の形態3のショーケースの構成を説明する。図17は、実施の形態3に係るショーケースの一構成例を示す模式図である。図17に示すように、ショーケース1aの機械室20aにおいて、正面側の断熱壁8aに吸気口81が設けられ、背面側の断熱壁8cに排気口82が設けられている。また、機械室20aにおいて、正面側から、凝縮器3、第1送風機6およびドレン水蒸発装置22の順で配置されている。そのため、第1送風機6が正面側の吸気口81から空気を吸い込むと、凝縮器3から第1送風機6の方向に空気が流れる。
また、蒸発器5から冷媒が漏れた場合、漏れた冷媒は矢印CAF1およびCAF2が示す方向にショーケース1から流出する。蒸発器5から冷媒が漏れても、図17に示すように、矢印CAF1およびCAF2が示す冷媒の流出方向と同じ向きに吸気口81が設けられているため、冷媒が吸気口81から第1送風機6によって吸い込まれ、空気と撹拌される。
本実施の形態3のショーケース1aによれば、凝縮器3および蒸発器5のいずれから冷媒が漏れても、漏れた冷媒は、第1送風機6によって吸引され、撹拌されやすくなる。その結果、最低風量Q0を確保するために、第1送風機6に必要な回転数Nおよび風量を低減することができる。
なお、実施の形態1~3において、判定手段32が第1送風機6の風量の低下を、圧力センサ30によって検出される吐出圧力Pcで判定したが、風量低下の判定に用いるパラメータは圧力センサ30の検出値に限らない。例えば、凝縮器3のUベンド部(図示せず)に凝縮温度センサ(図示せず)を設け、凝縮温度センサが検出する冷媒の温度に基づいて、判定手段32は、第1送風機6の風量を判定してもよい。第1送風機6の風量が低下すると、凝縮温度センサによって検出される冷媒の温度が高くなる傾向がある。
また、実施の形態1~3においては、ショーケース1および1aが多段オープンショーケースの場合で説明したが、ショーケース1および1aは、平形片面タイプ、平形両面タイプまたはリーチインタイプであってもよい。ショーケース1および1aが多段オープンショーケース以外のタイプであっても、上述した効果が得られる。