以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態に係るコンバイン1は、汎用コンバインであって、図1に示すように、左右一対のクローラ式走行装置2に支持された走行機体3を有している。該走行機体3の前方には、圃場の穀稈を刈取る刈取部4が昇降自在に設けられており、走行機体3の前方一側方には、オペレータが着座してコンバイン1を操縦する運転操作部5が設けられている。走行機体3の他側方には、刈取部4で刈取り・搬送された穀稈を脱穀する脱穀部6が設けられていると共に、該脱穀部6の下方には、脱穀された選別物を選別する選別部7が設けられている。運転操作部5の後方には、選別部7で選別された穀粒を貯蔵するグレンタンク8が配置されており、該グレンタンク8の後方には、グレンタンク8内に貯蔵された穀粒を機外に排出するための排出オーガ9が設けられている。なお、本実施の形態では、水平に載置されたコンバイン1の運転操作部5に着座したオペレータが向いている正面方向Xを前方とし、これを基準に前後左右方向を定義する。
走行機体3の右前部にはエンジン(図示せず)が設けられ、エンジンで発生した動力は、走行系の動力と作業系の動力とに分岐される。走行系の動力は、左右のクローラ式走行装置2に伝動され、作業系の動力は、刈取クラッチ(図示せず)を介して刈取部4に伝動される他、脱穀クラッチ(図示せず)を介して脱穀部6及びグレンタンク8等に伝動される。刈取部4は、左右方向に延びるリール10、リール10を上下方向及び前後方向に移動可能に支持する可動機構(図示せず)、レシプロ式の刈刃11及びフィーダコンベア12を備えるフィーダ13を有する。回転するリール10によって掻込まれた圃場の穀稈は刈刃11によって刈取られ、フィーダコンベア12により脱穀部6へ搬送される。
脱穀部6は、刈取部4によって刈取られた穀稈が投入される扱室14と、扱室14内に回転自在に支持され、その外周面にらせん状に案内板15aが取付けられた扱胴15と、を有しており、該案内板15aには、穀稈を引っ掛けて扱胴15と共に回転させる突起状の扱歯15bが複数設けられている。扱室14に投入された穀稈は、扱歯15bによって扱胴15と一緒に回転させられ、機体後方側に搬送されながら受網(図視せず)に擦り付けられることで脱穀されて、受網を介して選別部7内に落下する。
選別部7は、扱胴15の下方側に配設された揺動選別体16と、該揺動選別体16の前部下方側から後部上方側に向かって選別風を送風する唐箕ファン17及び送風ファン18と、を有している。揺動選別体16は、上下にチャフシーブを有する二段構造となっており、これらが前後に揺動されることで選別物が濾過され、さらに唐箕ファン17及び送風ファン18の選別風によって一番物と二番物とに風選別される。一番物は一番ラセン19に落下した後、揚上搬送筒(図示せず)を介してグレンタンク8の内部に搬送され、貯留される。二番物は二番ラセン20に落下した後、還元搬送筒(図示せず)を介して揺動選別体16に還元される。
図2はグレンタンク8及びその周辺部を示す平面図、図3は図2のA-A断面図、図4は図3のB-B断面図、図5は図4のC-C断面図である。これらの図に示すように、グレンタンク8の内側の最深部には前後方向に沿うように排出螺旋21が回転自在に設けられている。該排出螺旋21の回転により、グレンタンク8の最深部に貯留された穀粒はグレンタンク8の後部へ向けて搬送され、グレンタンク8の下部後方からグレンタンク8の外部に搬出され、穀粒を揚送する縦搬送螺旋(図示せず)を備える排出オーガ9によって機外へ排出される。
脱穀部6とグレンタンク8の間に揚穀コンベア22が配置されており、該揚穀コンベア22は動力伝動ケース23及び横螺旋筒24を有する。動力伝動ケース23の内部には、軸回転するプーリ(図示せず)や、プーリの回転により作動し、脱穀部6の下部からグレンタンク8の上部へ延設されているベルト(図示せず)等が設けられている。
円筒状の横螺旋筒24は、動力伝動ケース23の上端からグレンタンク8の上部付近の側壁を貫通してグレンタンク8の内部に向けて突出して設けられている。横螺旋筒24は、その内部に設けられて横螺旋軸25の回りに螺旋状に一体で形成された横螺旋26と、横螺旋筒24の終端の筒面に後方へ向けて開口する放出口27と、横螺旋26の先端に設けられ、横螺旋筒24の内面に近接するように配置されて横螺旋26に固定された掻き出し板28と、横螺旋26の回転異常を検出するために横螺旋26の回転量を電気信号に変換する回転センサ29と、を有する。
脱穀部6で脱穀された穀粒は、動力伝動ケース23の内部をベルトにより脱穀部6の下部からグレンタンク8の上部まで揚送され、横螺旋筒24の内部を横螺旋26の回転によりグレンタンク8の内部へ右方搬送され、横螺旋26と一体で回転する掻き出し板28により放出口27からグレンタンク8の内部へ散布される。放出口27は横螺旋筒24の下部から上部に亘って所定の範囲で形成されており、掻き出し板28が右側面視で時計回りに回転することにより、放出口27の下方から後方に亘ってグレンタンク8の内部に広く穀粒が行き渡るよう構成されている。
グレンタンク8は、前板30、前板31、右板32、左板33、天板34を有して、その上下方向の所定範囲の横断面積が略一定となるようにグレンタンク8の前面、後面、左面、右面及び上面を形成すると共に、下面を第1底板35及び第2底板36で塞いで箱状に形成されている。前板30及び天板34には、グレンタンク8の内部を確認するための開閉可能なメンテナンス孔37が形成されている。第1底板35及び第2底板36は、共に前後方向に延設される略平面状の板金で形成されて、かつ互いに所定の角度を有してグレンタンク8の下面が排出螺旋21に向けて下方へ傾斜するように配置されている。すなわち、前板30、前板31、第1底板35及び第2底板36は、横断面積が下方へ向かうに従って漸減するように形成されており、排出螺旋21の回転によりグレンタンク8の最深部に貯留されている穀粒が後方へ搬送されると、第1底板35及び第2底板36の傾斜に沿って上方の穀粒が順次排出螺旋21に集まるように構成されている。グレンタンク8の内部には、貯留された穀粒の重量によってグレンタンク8が変形することを防ぐため、板金等で形成された複数の補強板38が設けられている。
グレンタンク8には、グレンタンク8の内部に貯留された穀粒の堆積高さ(貯留量)を検出し得る穀粒検出ユニット(貯留量検出手段)39が設けられている。該穀粒検出ユニット39は、グレンタンク8の天板34に開口するユニット着脱口34aを閉塞するユニット着脱板40と、ユニット着脱板40の下面とグレンタンク8の第1底板35とを連結する検出ベース41と、検出ベース41の下端付近から検出ベース41の上端付近に亘って複数並べられたマイクロスイッチ42と、ユニット着脱板40の上面に載置された中継部43と、検出ベース41の前面を下端から上端まで覆う検出カバー45と、を有する。
マイクロスイッチ42は、ゴム等の伸縮性を有する材質で形成された円盤状のダイヤフラム42aと、ダイヤフラム42aの前方に配置されて、ダイヤフラム42aの変形を検知する接点スイッチ(図示せず)とを有し、穀粒未検知状態において、ダイヤフラム42aの前面の中心は接点スイッチに近接して配置されている。マイクロスイッチ42は、上下に直線的に並べられる第1の列と、同じく上下に直線的に並べられる第2の列と、を構成するように配置され、第2の列は第1の列に対して平行にかつ隣接して設けられている。また、第2の列のマイクロスイッチ42の高さは、第1の列において上下に隣接する2つのマイクロスイッチ42の間の高さとなるように、すなわち、マイクロスイッチ42は検出ベース41に千鳥状に配置されている。また、第1の列の一つのダイヤフラム42aは、上下に隣接する第2の列の他のダイヤフラム42aと左右方向においてその一部が重なっており、グレンタンク8の横断面積が最大の部分においては、上記二つのダイヤフラム42aは上下方向においてもその一部が重なって配置されている。
マイクロスイッチ42は、グレンタンク8の下端を通過する水平面と、最も下方に配置されたマイクロスイッチ42のダイヤフラム42aの中心を通過する水平面と、の間のグレンタンク8の内部の容積が、上下に隣接する任意のダイヤフラム42aの中心を通過するそれぞれの水平面間の容積と略同一となるように配置されている。すなわち、グレンタンク8の横断面積が一定である範囲においては、上下に隣接するダイヤフラム42aの上下の間隔が略一定となるように配置されており、横断面積が下方へ向かうに従って漸減する範囲においては、上下に隣接するダイヤフラム42aの上下の間隔が下方へ向かうに従って徐々に長くなるように配置されている。
マイクロスイッチ42はワイヤーハーネス(図示せず)を介して中継部43と電気的に接続されており、中継部43は後述する制御部に接続されている。グレンタンク8内に貯留された穀粒によってダイヤフラム42aの後面が前方へ向けて押されると、当該ダイヤフラム42aの変位により接点スイッチが押されて通電状態となり、その動作信号がワイヤーハーネスを介して中継部43に出力される。ここで、マイクロスイッチ42は、グレンタンク8の内部の検出ベース41に上下に亘って複数配置されているので、所望の高さに配置された何れかのマイクロスイッチ42の接点スイッチが通電されているか否かに基づいて、穀粒の貯留量を高い精度で検出することができる。また、マイクロスイッチ42は、横断面積が下方へ向かうに従って漸減する範囲において、グレンタンク8の横断面積の漸減に伴って上下方向の間隔が長くなるように配置されているので、グレンタンク8の横断面積が上下方向に不均一である場合でも穀粒の貯留量を検出する分解能をグレンタンク8の上下に亘って略一定にすることができ、所望の分解能に合わせてマイクロスイッチ42を無駄なく配置することができる。
グレンタンク8には、グレンタンク8の内部に貯留された穀粒の堆積をなだらかにする撹拌装置46が設けられている。該撹拌装置46は、グレンタンク8内に上下に亘って配置された回転軸47と、該回転軸47に設けられた複数の撹拌棒48と、天板34に設けられたモータ49とを有しており、回転軸47は該モータ49を駆動源として回転する。撹拌棒48は、回転軸47の軸線方向に沿って所定間隔をおいて複数設けられており、各撹拌棒48は回転軸47の軸回りに90度毎に配置されている。また、グレンタンク8の内底部には、穀粒の水分を検出する水分センサ50が設けられており、該水分センサ50は、排出螺旋21の近くに位置する第2底板36上に配置されている。
本実施の形態に係るコンバイン1には、GPS衛星からの電波(データ)を受信する機体位置検出センサ(GNSS:機体位置測定手段)が搭載されており、走行機体3の位置をGPSによって計測することが可能となっている。また、走行機体3側には、上記GPS計測システムにより計測される走行機体3の位置と、マイクロスイッチ42により計測されるグレンタンク8の貯留量等に基づいて、圃場全体の全体予測収穫量等を算出する制御部51が設けられている。以下、該制御部51の構成と処理内容を図6~図14に基づいて詳細に説明する。
図6は制御部51のブロック図であり、制御部51はCPUやROMやRAM等を含むマイクロコンピュータにより構成されている。図6に示すように、制御部51の入力側には、前記機体位置検出センサ(GNSS)52と、走行機体3の車速を検出する車速センサ53と、刈取クラッチの入切を検出する刈取クラッチセンサ54と、脱穀クラッチの入切を検出する脱穀クラッチセンサ55と、前記選別部7に設けられた穀稈センサ56及び選別層厚センサ57、前記運転操作部5に配置されて排出オーガ9の作動の入切を行う穀粒排出スイッチ58と、前記運転操作部5に配置されて計測の開始と終了を指示する計測開始スイッチ59及び計測終了スイッチ60と、燃料タンクの残量を検出する燃料検出センサ61と、前記グレンタンク8に設けられた貯留高さ検出センサ(マイクロスイッチ42)及び水分センサ50と、前記運転操作部5に配置されて稲、麦、大豆等から選別対象の作物を設定する作物設定ダイヤル62と、貯留目標値の増減を設定する貯留目標調節スイッチ63と、警報作動の入切を行う貯留目標警報スイッチ64と、が接続されている。
制御部51の出力側には、前記運転操作部5に配置されて制御部51からの出力を表示する表示装置65と、警報ブザーや警報ランプ等からなる報知装置66と、が接続されている。表示装置65は、表示画面を有する液晶パネル67と、液晶パネル67の表示画面に取り付けられたタッチパネル68とで構成されており、該タッチパネル68のタッチ入力信号を制御部51に入力可能となっている。また、制御部51は、種々のデータを記憶する記憶装置69と、タイマー70と、通信装置71とを有しており、該通信装置71により基地局や他の作業者・補助者が所有するパソコン等の外部端末72と通信可能となっている。
図7は、制御部51による予測処理の制御フローを示すフローチャートである。図7に示すように、制御部51は、ステップS1においてデータを読み込んだ後、ステップS2において計測フラグが「0」であるか否かをチェックし、計測フラグが「0」の場合は、ステップS3に移行して計測開始指令があるか否かをチェックする。計測開始指令は計測開始スイッチ59のオン操作により行われるが、タッチパネル68のタッチ入力でも可能である。ステップS3において計測開始指令があった場合は、ステップS4に移行して計測フラグを「0」から「1」に切替えた後にスタートに戻る。これにより計測開始指令があると、ステップS1からステップS2を経てステップS5へ移行し、ステップS5において、計測フラグが「1」であるか否かをチェックする。
ステップS5において計測フラグが「1」の場合、ステップS6に移行して回刈り作業が終了したか否かをチェックする。この回刈り作業はコンバイン1で圃場の外周を刈取作業することであり、圃場を1周すると回刈り終了と判断される。そして、ステップS6で回刈り終了と判断された場合は、ステップS7へ移行して圃場区画推定処理が実行される。この圃場区画推定処理では、機体位置検出センサ52(GPS計測システム)によって圃場の外周を刈取作業したときの走行軌跡を計測し、その走行軌跡に基づいて圃場の形状・寸法・面積等を算出し、圃場をメッシュ化する。
ステップS7の圃場区画推定処理が終了すると、ステップS8に移行して計測フラグを「1」から「2」に切替えた後にステップS1に戻る。これにより、圃場の外周を1周する回刈り作業が終了すると、ステップS2からステップS5を経てステップS9へ移行し、ステップS9において計測終了指令があるか否かをチェックする。ステップS9において計測終了指令なしと判断された場合(NO)は、ステップS10へ移行してメッシュ処理が実行される。このメッシュ処理では、圃場の回刈り作業を行ったときの走行軌跡に基づいて、圃場全体を既刈り地(刈取り作業を終えた部分)と未刈り地(刈取り作業を終えていない部分)とに区分けして図12に示すような収量マップを作成すると共に、この収量マップを液晶パネル67の表示画面に表示した後、圃場全体の面積に対する既刈り地の面積に基づいて進捗状況を算出する。なお、図13に示すように、これら圃場全体の面積、既刈り地の面積、未刈り地の面積、進捗状況(%)は、ステップS19において液晶パネル67の表示画面上に計測画面として表示される。
ステップS10のメッシュ処理が終了すると、ステップS11に移行して収量予測処理が実行される。この収量予測処理では、グレンタンク8に設けられた穀粒検出ユニット39(貯留量検出手段)のマイクロスイッチ42から検出される既刈り地の実際の穀粒収穫量に基づいて、既刈り地の単位面積当たり(メッシュ)の収穫量を算出した後、既刈り地と未刈り地の面積比率に基づいて未刈り地の予測収穫量を算出する。そして、既刈り地の実際の収穫量と未刈り地の予測収穫量とを合算することにより、圃場全体の全体予測収穫量を算出する。図13に示すように、これら圃場全体の全体予測収穫量、既刈り地の実際の収穫量、未刈り地の予測収穫量は、ステップS19において液晶パネル67の表示画面上に計測画面として表示される。
ステップS11の収量予測処理が終了すると、ステップS12に移行して燃料予測処理が実行される。この燃料予測処理では、燃料検出センサ61の検出値から回刈り作業における既刈り地の実際の燃料消費量に基づいて、既刈り地の単位面積当たり(メッシュ)の燃料消費量を算出した後、既刈り地と未刈り地の面積比率に基づいて未刈り地の予測燃料消費量を算出する。そして、既刈り地の実際の燃料消費量と未刈り地の予測燃料消費量とを合算することにより、圃場全体の予測燃料消費量を算出する。図13に示すように、これら圃場全体の予測燃料消費量、既刈り地の実際の燃料消費量、未刈り地の予測燃料消費量は、ステップS19において液晶パネル67の表示画面上に計測画面として表示される。
ステップS12の燃料予測処理が終了すると、ステップS13に移行して排出回数予測処理が実行される。この排出回数予測処理では、グレンタンク8のタンク容量とステップS11の収量予測処理で算出された未刈り地の未刈り予測収穫量(体積)とに基づいて、圃場全体の刈取り作業が終了するまでに必要なグレンタンク8の排出回数を算出する。また、既刈り地の単位面積当たりの実際の収穫量と既刈り地の刈取り作業に要した作業時間とに基づいて、グレンタンク8が満杯になるまで後どの位の時間を収穫できるか次回排出予想時間を算出する。図13に示すように、これらグレンタンク8の排出回数と次回排出予想時間は、ステップS19において液晶パネル67の表示画面上に計測画面として表示される。
ステップS13の排出回数予測処理が終了すると、ステップS14に移行して作業時間予測処理が実行される。この作業時間予測処理では、既刈り地の実績データから単位面積当たり(メッシュ)の作業時間を算出した後、既刈り地と未刈り地の面積比率に基づいて未刈り地の予測作業時間を算出する。ここで、未刈り地の予測作業時間を算出する際に、ステップS13の排出回数予測処理で算出した排出回数(所定時間×回数)を加味しても良く、そのようにすると予測作業時間の誤差を少なくすることができる。そして、既刈り地の実際の作業時間と未刈り地の予測作業時間とを合算して圃場全体の予測作業時間を算出し、未刈り地の予測作業時間に基づいて作業終了(完了)予測時刻を算出する。図13に示すように、これら圃場全体の予測作業時間、既刈り地の実際の作業時間、未刈り地の予測作業時間、作業終了予測時刻は、ステップS19において液晶パネル67の表示画面上に計測画面として表示される。
ステップS14の作業時間予測処理が終了すると、ステップS15に移行して貯留体積演算処理が実行される。この貯留体積演算処理では、グレンタンク8の高さと容積の関係を対応させた相関テーブルを制御部51の記憶装置69に記憶しておき、この相関テーブルと穀粒の堆積高さを検出するマイクロスイッチ42の測定値とに基づいて穀粒の貯留体積を算出する。また、水分センサ50から検出される穀粒の水分量と作物設定ダイヤル62の設定値に基づいて、算出した穀粒の貯留体積を貯留重量に換算する。これら穀粒の貯留体積と貯留重量の演算は圃場の刈取作業中に常に実行され、図14に示すように、ステップS19において現在の貯留体積と貯留重量が「現在貯留量(リットル)」と「重量換算(kg)」として液晶パネル67の作業画面上に表示される。なお、本実施の形態では、貯留体積演算処理で算出した貯留体積に基づいて、ステップS11の収量予測処理で算出される圃場全体の全体予測収穫量、既刈り地の実際の収穫量、未刈り地の予測収穫量をそれぞれ体積(リットル)で表示するようにしている。
ステップS15の貯留体積演算処理が終了すると、ステップS16に移行して燃料警報処理が実行される。図8は燃料警報処理の制御フローを示すフローチャートである。図8に示すように、この燃料警報処理では、まずステップS161において、燃料検出センサ61の検出値を用いて求められる既刈り地の実績データ(既刈り地の走行時における実際の燃料消費量)に基づいて単位面積当たり(メッシュ)の燃料消費量を算出する。次にステップS162に移行し、単位面積当たりの燃料消費量に基づいて未刈り地を収穫するのに必要な予測燃料消費量を算出した後、ステップS163に移行し、既刈り地の実際の燃料消費量と未刈り地の予測燃料消費量とを合算することにより、圃場全体を収穫するのに必要な予測燃料消費量を算出する。図13に示すように、これら既刈り地の実際の燃料消費量、未刈り地の予測燃料消費量、圃場全体の予測燃料消費量は、ステップS19において液晶パネル67の表示画面上に計測画面として表示される。次に、ステップS163からステップS164に移行し、未刈り地を収穫するのに必要な予測燃料消費量が燃料タンクの残量に対して足りているか否かを判定し、予測燃料消費量が燃料タンクの残量を下回っている場合(YES)、ステップS165に移行して液晶パネル67の計測画面に「OK」の文字を表示し、予測燃料消費量が燃料タンクの残量を上回っている場合(NO)、ステップS166に移行して液晶パネル67の計測画面に「NG」の文字を表示する。これら「OK」又は「NG」の表示は、ステップS19において行われる。
ステップS16の燃料警報処理が終了すると、ステップS17に移行して給油警報処理が実行される。図9は給油警報処理の制御フローを示すフローチャートである。図9に示すように、この給油警報処理では、まずステップS171において、マイクロスイッチ42と燃料検出センサ61の検出値を用いて求められる既刈り地の実績データに基づいて、単位面積当たり(メッシュ)の収穫量および燃料消費量を算出した後、ステップS172において、これら単位面積当たりの収穫量と燃料消費量に基づいて、グレンタンク8が満杯になるまでに必要とされる必要燃料消費量を算出する。次に、ステップS173に移行し、ステップS172で算出した必要燃料消費量に対して燃料残量が不足しているか否かを判定する。
ステップS173において、必要燃料消費量が燃料残量に対して不足している場合(YES)、ステップS174に移行してグレンタンク8の排出作業が行われているか否かチェックする。そして、ステップS174において穀粒排出作業中であると判断された場合、ステップS175に移行し、図14に示す液晶パネル67の作業画面に「給油警報」を表示したり、報知装置66の警報ブザーを鳴動したりすることにより、給油を促す給油警報を報知する。なお、給油警報の実際の報知は、ステップS19において行われる。なお、ステップS173で必要燃料消費量が燃料残量に対して不足していると判断された場合(YES)に、ステップS174の穀粒排出状態の条件を省略して、そのままステップS175に移行して給油警報を報知するようにしても良い。
また、図9に示す給油警報処理の制御フローにおいて、ステップS172とステップS173の処理内容を以下に説明するように変更することも可能である。すなわち、ステップS172において、グレンタンク8が満杯になるまでに後どの位の面積を収穫できるか残り面積(グレンタンク満杯基準値)を算出すると共に、燃料タンクが空になるまでに後どの位の面積を収穫できるか残り面積(燃料タンク満杯基準値)を算出した後、ステップS173において、これらグレンタンク満杯基準値と燃料タンク満杯基準値の少なくとも一方が給油警報の判定値を越えているか否かを判定し、給油警報の判定値を越えている場合(YES)にステップS175に移行するようにしても良い。
ステップS17の給油警報処理が終了すると、ステップS18に移行して穀粒警報処理が実行される。図10は穀粒警報処理の制御フローを示すフローチャートである。図10に示すように、この穀粒警報処理では、まずステップS181において、マイクロスイッチ42の検出値に基づいてグレンタンク8が満杯であるか否かを判定し、グレンタンク8が満杯の場合(YES)、ステップS182に移行して、図14に示す液晶パネル67の作業画面に「穀粒満杯警報」の文字を表示したり、報知装置66の警報ブザーを鳴動したりすることにより、グレンタンク8が満杯である旨の警報を報知する。
一方、ステップS181において、グレンタンク8が満杯でないと判断された場合(NO)、ステップS183に移行して貯留目標警報スイッチ64がONになっているか否かをチェックし、貯留目標警報スイッチ64が投入されてONになっている場合(YES)、ステップS184に移行する。そしてステップS184において、グレンタンク8の貯留量が貯留目標調節スイッチ63で設定された貯留目標値に到達したか否かを判定し、貯留目標値に到達した場合(YES)はステップS185に移行して、図14に示す液晶パネル67の作業画面に「貯留目標到達警報」の文字を表示したり、報知装置66の警報ブザーを鳴動したりすることにより、グレンタンク8が貯留目標値に到達した旨の警報を報知する。なお、ステップS182,S185の実際の報知は、ステップS19において行われる。
ステップS18の穀粒警報処理が終了すると、ステップS19に移行してデータ出力処理を実行した後にスタートに戻る。図11はデータ出力処理の制御フローを示すフローチャートである。図11に示すように、このデータ出力処理では、まずステップS191においてデータ出力条件が成立しているか否かをチェックし、データ出力条件が成立している場合(YES)はステップS192に移行し、運転操作部5に配置された表示装置65の液晶パネル67に表示データを出力する。また、ステップS193において、通信装置71から外部端末72に対してデータ出力を行う。なお、上記データ出力条件は、繰り返しカウントされるタイマーが0になった場合や、旋回が行われたこと等の特定のイベントが行われた場合を条件とする。すなわち、一定時間毎、又は特定のイベントが実施される毎に、データ出力が行われる。
また、図7のステップS9において、計測終了指令ありと判断された場合(YES)はステップS20に移行し、制御部51の記憶装置69に圃場データとしてデータ記憶した後、ステップS21に移行して計測フラグを「2」から「0」に切替えてからスタートに戻る。なお、計測終了指令は計測終了スイッチ60のオン操作によって行われるが、それ以外にも、図12に示す収量マップのメッシュが全て塗り潰された時点(すなわち、未刈り地が全て既刈り地になった時点)で計測終了としても良い。また、ステップS9において計測終了指令ありと判断されるまでは、制御部51はステップS10~S19の処理を繰り返す。このため、コンバイン1が圃場の刈取り作業を進めるに連れて、既刈り地の実績データ(例えば刈取面積、穀粒収穫量、燃料消費量、作業時間等)が増加し、予測計算値の誤差も徐々に小さく収束していく。これにより、逐次データ更新を行って、より正確な予測計算値を得ることができる。
以上説明したように、本実施の形態に係るコンバイン1は、走行機体3に搭載した機体位置検出センサ52により圃場の外周刈取り作業を行ったときの走行軌跡を計測し、この実績データに基づいて既刈り地と未刈り地の圃場面積を算出した後、穀粒検出ユニット39(マイクロスイッチ42)で計測された既刈り地の収穫量に基づいて圃場全体の全体予測収穫量を算出すると共に、この全体予測収穫量を運転操作部5に配置した表示装置65(液晶パネル67)に表示するようにしたので、コンバイン1のオペレータは圃場全体の収穫量を表示画面から瞬時に把握することができ、グレンタンク8の穀粒を移送収容する運搬車の手配等を効率良く行うことができる。
また、グレンタンク8のタンク容量と未刈り地の未刈り予測収穫量とに基づいて、圃場全体の刈取り作業が終了するまでに必要なグレンタンク8の排出回数を算出し、この排出回数を表示装置65に表示するようにしたので、オペレータがグレンタンク8の排出作業の回数を把握でき、その後の作業の効率化を図ることができる。
また、既刈り地の刈取り作業に要した作業時間に基づいて未刈り地の刈取り作業に要する予測作業時間を算出し、この予測作業時間を表示装置65に表示するようにしたので、圃場の作業終了時間の予測が立ち、その後の作業の検討を行うことが可能となる。
また、グレンタンク8の排出回数(所要時間×回数)を加味して予測作業時間を算出するようにしたので、予測作業時間の誤差を少なくすることができる。
また、制御部51の通信装置71から外部端末72に対してデータ出力を行うようにしたので、基地局、運搬車の運転手、他の作業者や補助者と情報共有することができる。
また、本実施の形態のコンバイン1は、グレンタンク8に貯留された穀粒の堆積高さを検出する穀粒検出ユニット39(堆積高さ検出センサ)を備え、この穀粒検出ユニット39の測定値に基づいてグレンタンク8内の貯留体積を算出し、算出した貯留体積を運転操作部5に配置した表示装置65(液晶パネル67)に表示するようにしたので、コンバインのオペレータはグレンタンク内の穀粒の貯留量と運搬車の積載量とを同じ基準でやり取りすることができ、両者の誤差を減少させることができる。
また、グレンタンク8の貯留体積が予め設定された体積になると、このことを報知装置66の警報ブザーや警報ランプの作動によって報知するようにしたので、例えば、運搬車に積み込み可能に穀粒の積載量が制限されているとき、当該積載量に対応する貯留量になった時点で報知することで、感覚的に収穫する場合に比べて誤差を少なくすることができる。
また、算出した穀粒の貯留体積と水分センサ50で検出した穀粒の水分量とに基づいて貯留重量を算出し、この貯留重量を表示装置65に表示するようにしたので、グレンタンク8内の穀粒の貯留量と運搬車の積載量とを同じ基準でやり取りできるだけでなく、グレンタンク8内の穀粒を重量表示して利便性を高めることができる。
また、グレンタンク8の上下に亘って撹拌装置46を設け、この撹拌装置46によってグレンタンク8内に貯留された穀粒の堆積状態をなだらかにするようにしたので、制御部51が貯留体積を高い精度で算出することができる。
また、本実施の形態のコンバイン1は、走行機体3に搭載した機体位置検出センサ52により圃場の外周刈取り作業を行ったときの実刈り走行軌跡を計測し、この実績データに基づいて既刈り地と未刈り地の圃場面積を算出した後、燃料検出センサ61の検出値を用いて求められた既刈り地の燃料消費量に基づいて未刈り地の予測燃料消費量を算出し、この予測燃料消費量を表示装置65(液晶パネル67)に表示するようにしたので、コンバインのオペレータは残りの未刈り地に必要な燃料を的確に把握することができ、その後の作業の効率化を図ることができる。また、既刈り地の実際の燃料消費量に基づいて未刈り地の予測燃料消費量を算出するので、複雑な演算処理を要さずに圃場条件に合った予測燃料消費量を簡単に算出することができる。
また、オペレータに報知可能な報知装置66を備え、外周刈取り作業が終了した段階で燃料タンクの燃料残量と未刈り地の予測燃料消費量とを比較し、予測燃料消費量に対して燃料残量が不足しているときに、このことを報知装置66の警報ブザーや警報ランプの作動によって報知するようにしたので、オペレータは燃料不足を確実に認識することができる。
また、グレンタンク8の貯留量を検出する穀粒検出ユニット39(マイクロスイッチ42)を備え、この穀粒検出ユニット39で計測された既刈り地の収穫量に基づいてグレンタンク8が満杯になるまでに必要とされる必要燃料消費量を算出し、この必要燃料消費量に対して燃料残量が不足しているときに報知装置66によって報知するようにしたので、収穫作業の途中(グレンタンク8が満杯になる途中)で燃料がなくなることを防止できる。
また、グレンタンク8内の穀粒を排出するタイミングにおいて、予測燃料消費量と必要燃料消費量とに基づいて報知装置66によって給油警報を報知するようにしたので、排出作業中の空き時間に給油作業を行うことができ、作業効率を向上することができる。
なお、グレンタンク8の貯留量検出手段は、本実施の形態のような穀粒検出ユニット39に限らず、グレンタンク8の上下に亘って穀粒の貯留高さを検出できるものであれば何でも良く、マイクロスイッチ42に代えて超音波センサ等を用いることも可能である。