JP7149106B2 - 炭素フォーム及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は炭素フォームに関し、特に比表面積の高い炭素フォームに関するものである。
炭素フォームは、例えばメラミン樹脂フォーム(発泡体)を不活性ガス雰囲気中で熱処理して炭素化することにより得られる材料であり(例えば、特許文献1参照)、その多孔性、柔軟性及び電気的特性により様々な用途に使用されている。この炭素フォームは、繊維径が細いため比表面積が広いという点と、繊維の全てが繋がった一体の構造を有する点で一般的な炭素繊維不織布と大きな違いを有する。
例えば特許文献2には、ウレタンフォームを炭素化した、等方的な伝導性を有する多孔質体が開示されている。また、特許文献3には、高温または薬剤使用といった特殊な条件下で使用されるフィルタとして、多孔質表面を熱硬化樹脂でコーティングし、孔径を制御したメラミン樹脂の炭素フォームが開示されている。さらに、特許文献4には、粒子とバインダーでコーティングした炭素フェルトが開示されている。
特開平4-349178号公報 特開平9-167621号公報 特開2002-326871号公報 特開2001-196071号公報
多孔質炭素を電極として使用する場合は、電池の性能が左右されるため、導電性が高く抵抗が低いこと、活物質の反応場となる表面積が大きいこと、薄型化などが強く望まれる。特にフロー電池の電極に使用する際は、電解液を通液させるため、高い空隙率も要求される。
また、フロー電池は、イオン交換膜等の隔膜を2枚の多孔質電極で挟み込む構造が、複数積層されたスタックセルとして用いられることが多い。スタックセルを組み立てる際、電解液の漏れや集電板と電極間の接触不足による抵抗の増加を防ぐため、一定以上の締め付け圧力を付与するため、多孔質電極は隔膜を傷つけない柔軟性が強く望まれている。
特許文献1には、柔軟性が高く、空隙率の高い炭素フォームが開示されているが、活物質の反応場となる表面積の観点で課題が残っている。
特許文献2に開示されている炭素フォームは、構成する繊維径が太く、柔軟性の観点で課題が残っており、また表面積の観点でも課題が残っている。
特許文献3に開示されている炭素フォームは、強度向上、孔径の調整のために熱硬化樹脂でコーティングされており、柔軟性の観点で課題が残っており、上記文献と同様に表面積の観点でも課題が残っている。
特許文献4には、柔軟性を維持して、表面積を増大させているが、薄膜化が難しく、また依然として表面積に課題が残されている。
そこで本発明の目的は、柔軟性が高く、表面積が大きく、良好な特性を有する炭素フォームを提供することにある。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、樹脂フォーム表面、または炭素フォーム表面に、粒子、樹脂バインダーを使用して好適に被覆し炭化することで、繊維径を増大させず柔軟性を維持し、表面積を大幅に増大させ、さらに電解液の通液を阻害する凝集物や空隙の被覆のない炭素フォームを製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)
線状部と該線状部を結合する結合部とを有し、表面積が10m/g以上であり、
SEMで観察される任意の0.5mm×0.5mm領域内で観察される凝集物の面積の割合が1%以上50%以下である
ことを特徴とする、炭素フォーム。
(2)
線状部の平均繊維径が1.0μm以上10.0μm以下である、(1)に記載の炭素フォーム。
(3)
凝集物の平均直径が400μm以下である、(1)または(2)いずれかに記載の炭素フォーム。
(4)
前記結合部の数に対する前記線状部の数の割合が1.3以上1.6以下である、(1)~(3)いずれかに記載の炭素フォーム。
(5)
前記線状部の平均繊維長が20μm以上200μm以下である、(1)~(4)いずれかに記載の炭素フォーム。
(6)
前記結合部の密度が8,000個/mm以上である、(1)~(5)いずれかに記載の炭素フォーム。
(7)
蛍光X線分析による表面分析で測定される酸素原子の割合が0.03~10質量%である、(1)~(6)いずれかに記載の炭素フォーム。
(8)
炭素含有率が51%以上である、(1)~(7)いずれかに記載の炭素フォーム。
(9)
平面視面積が100cm以上である、(1)~(8)いずれかに記載の炭素フォーム。
(10)
厚みが1.0mm以下である、(1)~(9)いずれかに記載の炭素フォーム。
(11)
空隙率が80%以上99%以下である、(1)~(10)いずれかに記載の炭素フォーム。
(12)
面積が500mm以上の貫通孔がない、(1)~(11)いずれかに記載の炭素フォーム。
(13)
前記結合部の密度が15,000個/mm以上である、(1)~(12)いずれかに記載の炭素フォーム。
(14)
前記結合部の密度が50,000個/mm以上である、(13)に記載の炭素フォーム。
(15)
炭素フォームであって、
少なくとも一部において、前記炭素フォームの厚み方向をx方向、前記x方向に垂直な方向をy方向、前記x方向及び前記y方向に垂直な方向をz方向とし、
300μm×300μm×300μmの領域内に含まれる前記線状部の
前記x方向に対する配向角度の平均値をθavex、
前記y方向に対する配向角度の平均値をθavey、
前記z方向に対する配向角度の平均値をθavez、
と定義したときに、
前記θavex、前記θavey、前記θavezの中の最大値と最小値との差θdが3°以上となる、
(1)~(14)いずれかに記載の炭素フォーム。
(16)
SEMで観察される任意の0.5mm×0.5mm領域内で観察される空隙の面積の割合が50%以上である、(1)~(15)のいずれかに炭素フォーム。
(17)
前記表面積が200m/g以下である、(1)~(16)のいずれかに記載の炭素フォーム。
(18)
前記表面積が70m/g以下である、(1)~(17)いずれかに記載の炭素フォーム。
(19)
一次平均粒径500nm以下の粒子と有機バインダーを混合した分散液を樹脂フォームに含浸させた後、炭素化処理を行うことを含み、
前記分散液中の粒子、有機バインダーの固形分濃度は、0.1質量%以上8質量%以下である
ことを特徴とする、(1)~(18)のいずれかに記載の炭素フォームの製造方法。
本発明によれば、良好な特性を有する炭素フォーム及びその製造方法を提供することができる。
本発明による炭素フォームの製造方法のフローチャートである。 比較例1による炭素フォーム表面のSEM像である。 比較例1の炭素フォームより得られるX線CT解析画像である。 図3の画像のライン及びノード検出を行った画像処理の画像である。 実施例1による炭素フォーム表面のSEM画像である。 図5を拡大したSEM画像である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について、詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
(炭素フォーム)
本発明による炭素フォームは、線状部と該線状部を結合する結合部とを有する炭素フォームであり、炭素フォーム1gあたり10m2以上の表面積を有することを特徴とする。
本発明の炭素フォーム1gあたりの表面積は、反応面積を増大させ、活性化過電圧を低減させる観点から、10m2以上が好ましく、14m2以上がより好ましく、18m2以上がさらに好ましい。炭素フォーム1gあたりの表面積の上限は、特に制限されるものではないが、長期使用時の特性変動が少ない観点から、200m2以下が好ましく、180m2以下が好ましく、150m2以下が好ましく、120m2以下が好ましく、100m2以下が好ましく、70m2以下が好ましく、60m2以下がより好ましく、40m2以下がさらに好ましい。
炭素フォーム1gあたりの表面積は、窒素ガス吸着等温線にBET解析法を適用して求める。具体的には、あらかじめ粉砕した試料を200℃にて減圧乾燥したのち、自動窒素ガス吸着試験機(カンタクロームジャパン製、Autosorb1)を用いて測定する。測定温度は液体窒素温度である77Kとした。得られた吸着等温線の相対圧0.05-0.30範囲をBETプロットし、その傾きから表面積を求めることができる。
本発明の炭素フォーム1cm3あたりの表面積は、反応面積を増大させ、活性化過電圧を低減させる観点から0.10m2以上が好ましく、1m2以上がより好ましく、2m2以上がさらに好ましい。炭素フォーム1cm3あたりの表面積の上限は、特に制限されるものではないが、電解液の通液圧損の観点から、16m2以下が好ましく、10m2以下がより好ましく、8m2以下がさらに好ましい。
炭素フォーム1cm3あたりの表面積は、前述の炭素フォーム1gあたりの表面積に、かさ密度を乗じて求めることができる。
本発明による炭素フォームは、汎用性の観点から、平面視面積が100cm2以上の表面を有することが好ましく、この表面の面積は、225cm2以上であることが好ましく、600cm2以上であることがより好ましい。また、生産性の観点から、炭素フォームの平面視面積は、60000cm2以下であることが好ましく、50000cm2以下であることがより好ましく、30000cm2以下であることがさらに好ましく、25000cm2以下であることがよりさらに好ましい。
本発明による炭素フォームの厚みは、抵抗の観点から、1.0mm以下であることが好ましく、0.7mm以下であることがより好ましく、0.4mm以下であることがさらに好ましい。上記厚みは、0.1mm以上であることが好ましく、0.2mm以上であることがより好ましい。
また、本発明による炭素フォームの別の態様は、線状部と該線状部を結合する結合部とを有する炭素フォームであって、線状部の平均繊維径が1.0μm以上10.0μm以下であることを特徴とする。
<結合部の数Nnに対する線状部の数Nlの割合R>
本実施形態における炭素フォームにおいて、結合部の数Nnに対する線状部の数Nlの割合Rは、1.3以上1.6以下であることが好ましい。割合Rは、換言すれば、結合部にて分岐する枝分かれの平均数である。Rを1.3以上とするのは、Rが1.3未満の場合には、線状部が結合部で結合した三次元網目状構造を有さず、不織布のように結合していない線状部が接触している構造が考えられるためである。また、Rを1.6以下とするのは、Rが1.6を超えると線状部が帯状の様になった、例えば蜂の巣の様な壁面で覆われた多孔性構造が考えられるためである。
結合部の数Nnに対する線状部の数Nlの割合Rは、より好ましくは1.35以上であり、1.4以上がさらに好ましい。また、より好ましくは1.55以下であり、さらに好ましくは1.5以下である。
<線状部(炭素繊維)の平均繊維径>
さらに、本実施形態の炭素フォームにおいて、炭素フォームを構成する線状部(炭素繊維)の平均繊維径dは1.0μm以上10.0μm以下であることが好ましい。本発明において、「炭素繊維の径」は、結合部を繋ぐ線状部の直径を指す。
炭素繊維の平均繊維径は、物理的な強度と導電性を確保する観点から1.0μm以上であり、好ましくは1.2μm以上であり、より好ましくは1.5μm以上である。また、炭素繊維の平均繊維径は、圧縮挙動時の変形性や復元性の観点から10.0μm以下であり、好ましくは5.0μm以下であり、さらに好ましくは3.5μm以下である。
本実施形態の炭素フォームにおいて、炭素フォームを構成する線状部(炭素繊維)の平均繊維長は20μm以上200μm以下であることが好ましい。本発明において、「炭素繊維の長」は、線状部の長さ、具体的には任意の隣接する結合部の間の長さを指す。
炭素繊維の平均繊維長は、炭素フォームの柔軟性の観点から20μm以上であり、好ましくは30μm以上であり、より好ましくは40μm以上である。また、炭素繊維の平均繊維長は、炭素フォームの導電性の観点から200以下であり、好ましくは150μm以下であり、さらに好ましくは100μm以下である。
なお、炭素フォームを構成する線状部(炭素繊維)の平均繊維径d及び平均繊維長は、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope,SEM)像を画像解析することによって求める。具体的には、走査型電子顕微鏡を用いて10,000倍の倍率で炭素フォームを観察する。得られた観察像から、炭素繊維の太さを無作為に20か所測定する。断面形状が円形であると仮定して、この平均太さを上記平均繊維径dとする。また、得られた観察像から、無作為に20か所測定する。この平均長さを上記平均繊維長とする。
<平面視での空隙割合>
本実施形態の炭素フォームにおいて、平面視で0.5mm×0.5mmの領域内で、空隙を覆う凝集物の面積の割合が50%以下であることが好ましく、30%以下であることが好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。空隙を覆う凝集物の面積の割合は小さいほど好ましい。空隙を覆う凝集物の面積の割合の下限については特に限定はないが、1%以上であってもよく、3%以上であってもよく、5%以上であってもよい。
そして、炭素フォームにおいて、平面視で0.5mm×0.5mmの領域内で、空隙の面積の割合は50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
なお、上記面積は、炭素フォーム表面をSEMを用いて測定することができる。
<凝集物の平均直径>
本実施形態の炭素フォームにおいて、炭素フォーム内にある凝集物の平均直径は、400μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがさらに好ましい。凝集物の平均直径は、1μm以上であってもよく、5μm以上であってもよく、10μm以上であってもよく、20μm以上であってもよい。
なお、上記平均直径は、炭素フォーム断面をSEMを用いて測定することができる。
<線状部の配向角度>
炭素フォームは、熱処理炉において、例えばメラミン樹脂フォームを熱処理して炭素化すると、炭素フォームの骨格を構成する炭素繊維が全ての方向に均等に広がった等方的な構造を有するものとなる。このような炭素フォームの場合、300μm×300μm×300μmの領域内に含まれる線状部のx方向に対する配向角度の平均値をθavex、y方向に対する配向角度の平均値をθavey、z方向に対する配向角度の平均値をθavez、と定義したときに、θavex、θavey、θavezの中の最大値と最小値との差θdは通常は1°以下である。
なお、上記三方向は、炭素フォームの厚み方向をx方向、前記x方向に垂直な方向をy方向、前記x方向及び前記y方向に垂直な方向をz方向とする。
ただし、メラミン樹脂フォームを熱処理して炭素化する際に、炭素フォームの原料となる樹脂フォームに圧縮応力を印加すると、炭素繊維の拡がりに異方性を有する骨格構造の炭素フォームが得られる。このような炭素フォームの場合、圧縮荷重が印加された際にも、炭素繊維(線状部)の破断を抑制して粉落ちを低減したり、高い復元性を実現したりすることができる。この効果を得るために、上記差θdが3°以上となるようにすることが好ましい。好ましくは5°以上であり、より好ましくは8°以上である。
本実施形態の炭素フォーム中の少なくとも一部に上記θavex、θavey、θavezの規定を満たす縦300μm×横300μm×高さ300μmの領域部分が含まれていれば好ましく、50体積%で上記角度規定を満たしていればより好ましく、75体積%で上記密度範囲を満たしていればさらに好ましく、炭素フォームの任意の箇所で上記角度規定を満たしていることが特に好ましい。
<結合部の密度>
本実施形態の炭素フォームの結合部の密度は、圧縮荷重を印加された際の復元性の観点から、8,000個/mm3以上であることが好ましく、より好ましくは15,000個/mm3以上であり、さらに好ましくは30,000個/mm3以上であり、特に好ましくは50,000個/mm3以上である。また、炭素フォームの柔軟性の観点から5,000,000個/mm3以下であることが好ましく、より好ましくは3,000,000個/mm3以下であり、さらに好ましくは2,000,000個/mm3以下である。
本実施形態の炭素フォーム中の少なくとも一部にこの結合部の密度を満たす箇所があれば好ましく、50体積%で上記密度範囲を満たしていればより好ましく、75体積%で上記密度範囲を満たしていればさらに好ましく、炭素フォームの任意の箇所で上記密度範囲を満たしていることが特に好ましい。
また、本明細書において、上記結合部の数Nn、線状部の数Nl、結合部の密度及び配向角度θは、X線CT(Computerized Tomography)装置を用いて炭素フォームを撮影し、得られた断層像データから、前処理としてMedian filterを使用した後に、大津の二値化アルゴリズム(大津 展之著、「判別および最小2乗規準に基づく自動しきい値選定法」、電子情報通信学会論文誌D、Vol.J63-D、No.4、pp.346-356(1980)参照)を用いて構造と空間に領域分割し、炭素フォームの内部を含めた構造の三次元画像を作製し、得られた三次元画像から構造解析ソフトウェアを用いて求めた値である。
具体的には、結合部の数Nn及び線状部の数Nlは、上述のように得られた三次元画像に含まれる結合部及び線状部を検出し、その数をカウントすることにより求める。こうして得られたNn及びNlから、Nnに対するNlの割合Rを求めることができる。
さらに、線状部の配向角度θは、線状部の両端の結合部を結ぶ直線と各方向との間の角度であり、上記三次元画像において互いに直交する三方向の各々に対して求め、各方向について、線状部の配向角度の平均値を求める。
炭素フォームの構造解析に用いるCT装置としては、低エネルギー高輝度X線によるCT装置、例えば株式会社リガク製の高分解能3DX線顕微鏡nano3DXを用いることができる。また、画像処理並びに構造解析には、例えば株式会社JSOL社製のソフトウェアsimplewareのCenterline editorを用いることができる。
なお、結合部の数Nn、線状部の数Nl、結合部の密度及び配向角度θの測定方法は、具体的には、実施例に記載の測定方法で測定することができる。
<炭素含有率>
本実施形態の炭素フォームの炭素含有率は、導電性の観点から、好適には51質量%以上、60質量%以上、65質量%以上、70質量%以上、75質量%以上、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上である。上限は特に限定は無いが、100質量%以下であってもよく、99質量%以下であってもよく、98質量%以下であってもよい。
なお、炭素フォームの炭素含有率は、蛍光X線測定から求めることができる。
<空隙率>
本実施形態の炭素フォームの空隙率は、柔軟性の観点から70%以上とすることが好ましく、80%以上とすることがより好ましく、85%以上とすることがさらに好ましい。上限は特に限定は無いが、99.5%以下とすることが好ましく、99%以下とすることがより好ましく、95%以下とすることがさらに好ましい。
なお、本明細書において、空隙率は、かさ密度(後述)及び真密度(後述)から求めた値である。かさ密度は、炭素フォームに含まれる空隙も含めた体積に基づいた密度である。これに対して、真密度は、炭素フォームの材料が占める体積に基づいた密度である。
[かさ密度の測定]
まず、ノギス等を用いて炭素フォームの寸法を測定し、得られた寸法から、炭素フォームのかさ体積Vbulkを求める。次に、精密天秤を用いて、炭素フォームの質量Mを測定する。得られた質量M及びかさ体積Vbulkから、下記の式(1)を用いて炭素フォームのかさ密度ρbulkを求めることができる。
ρbulk=M/Vbulk ・・・(1)
かさ密度は、電極として用いた際の抵抗を下げる観点から3.0kgm-3以上であることが好ましく、より好ましくは3.5kgm-3以上であり、さらに好ましくは4.0kgm-3以上である。また、炭素フォームの柔軟性の観点から400kgm-3以下であることが好ましく、より好ましくは300kgm-3以下であり、さらに好ましくは200kgm-3以下である。
[真密度の測定]
炭素フォームの真密度ρrealは、n-ヘプタン、四塩化炭素及び二臭化エチレンからなる混合液を用いて浮沈法によって求めることができる。具体的には、まず、共栓試験管に適当なサイズの炭素フォームを入れる。次に、3種の溶媒を適宜混合して試験管に加え、30℃の恒温槽に漬ける。試料片が浮く場合は、低密度であるn-ヘプタンを加える。一方、試験片が沈む場合は、高密度である二臭化エチレンを加える。この操作を繰り返して、試験片が液中に漂うようにする。最後に、液の密度をゲーリュサック比重瓶を用いて測定する。
[空隙率の算出]
上述のように求めたかさ密度ρbulk及び真密度ρrealから、下記の式(2)を用いて空隙率Vf,poreを求めることができる。
f,pore=((1/ρbulk)-(1/ρreal))/(1/ρbulk)×100 (%)・・・(2)
<結晶子サイズ>
本実施形態の炭素フォームの結晶子サイズLcは、1.1nm以上であることが好ましく、導電性の観点からは1.5nm以上であることがより好ましい。また、物理的な脆弱性の点から4.0nm以下であることが好ましく、3.0nm以下であることがより好ましい。
<酸素原子の割合>
本実施形態の炭素フォームの、蛍光X線分析による表面分析で測定される酸素原子の割合は、電解液への濡れ性の観点から、0.03質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.07質量%以上がさらに好ましい。また、電極の抵抗の観点から10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。
本発明による炭素フォームは、欠陥のない単一の部材で構成された炭素フォームである。本発明において、「欠陥」とは、上記面積が100cm2以上である表面Sを通り、炭素フォームを貫通する貫通孔Hであって、上記表面Sにおける面積が2000mm2以上のものを意味している。つまり、本発明による炭素フォームは、上記表面Sにおける面積が2000mm2以上の貫通孔Hを含まない炭素フォームである。なお、上記表面Sは、単一の面で構成された表面を意味しており、例えば多面体表面の隣接する複数の面で構成された表面は含まない。
本発明において、上記貫通孔Hの有無は、目視検査、並びに光源及び光検出器を備える検査装置(例えば、ピンホール検査機)を用いた検査により評価する。具体的には、まず上記表面Sを目視で観察し、貫通孔Hの有無を評価する。目視により貫通孔Hの存在が確認できなかった場合には、検査装置を用いた検査を行う。具体的には、炭素フォームの表面S側に光源を、表面Sの反対側の表面に光検出器をそれぞれ配置する。そして、光源から光を炭素フォームの表面Sに向けて照射する。すると、炭素フォームに貫通孔Hが存在する場合には、照射された光が貫通孔Hを通過して光検出器に到達する。こうして、貫通孔Hを検出できる。なお、光源及び光検出器の配置は、逆にしてもよい。現在市販されているピンホール検査機等の検査装置を用いることにより、数μm径のピンホールを検出することが可能であり、面積が2000mm2以上の貫通孔であれば、万一上記目視検査で見逃していたとしても確実に検出することができる。
上記検査により貫通孔Hが検出された場合には、表面Sでの貫通孔Hの面積を測定する。この面積の測定は、マイクロスコープ又は電子顕微鏡を用いて測定することができる。本発明においては、上記光源及び光検出器を用いた検査によって貫通孔Hが検出されなかった炭素フォーム、及び貫通孔Hが検出されたものの、その面積が2000mm2未満である場合には、欠陥のない炭素フォームと見なして本発明に含める。これに対して、貫通孔の面積が2000mm2以上の場合には、欠陥のある炭素フォームとして本発明に含めない。
なお、貫通孔Hの形状は限定されず、亀裂状や線状のものも貫通孔Hに含まれる。また、炭素フォームを製造後、セルに組み込むために加工により空けた穴のように、使用の際に後から加工により空けた穴は欠陥ではないため、本願発明の貫通孔には含まれない。
また、上記表面Sに複数の貫通孔Hが存在する場合には、それら各々の面積が2000mm2未満の場合には本発明に含め、1つでも面積が2000mm2以上の場合には本発明に含めない。
本実施形態の炭素フォームは、電極の強度の観点から、面積が2000mm2以上の貫通孔がないものであり、面積が1000mm2以上の貫通孔がないことが好ましく、面積が500mm2以上の貫通孔がないことがより好ましく、面積が100mm2以上の貫通孔がないことがさらに好ましく、面積が10mm2以上の貫通孔がないことがよりさらに好ましい。
また、本実施形態の炭素フォームは、電極として使用した際の強度やハンドリングの観点から、面積が2000mm2以上の貫通孔がない領域が4000mm2以上あることが好ましく、6000mm2以上あることがより好ましく、8000mm2以上あることがさらに好ましく、10000mm2以上あることがよりさらに好ましい。
また、本実施形態の炭素フォームは、面積が1000mm2以上の貫通孔がない領域が2000mm2以上あることが好ましく、4000mm2以上あることがより好ましく、6000mm2以上あることがさらに好ましく、8000mm2以上あることがよりさらに好ましく、10000mm2以上あることが特に好ましい。
また、本実施形態の炭素フォームは、面積が500mm2以上の貫通孔がない領域が1000mm2以上あることが好ましく、より好ましくは2000mm2以上、4000mm2以上、6000mm2以上、8000mm2以上、10000mm2以上である。
また、本実施形態の炭素フォームは、面積が100mm2以上の貫通孔がない領域が200mm2以上あることが好ましく、より好ましくは500mm2以上、1000mm2以上、2000mm2以上、4000mm2以上、6000mm2以上、8000mm2以上、10000mm2以上である。
また、本実施形態の炭素フォームは、面積が10mm2以上の貫通孔がない領域が20mm2以上あることが好ましく、より好ましくは100mm2以上、500mm2以上、1000mm2以上、2000mm2以上、4000mm2以上、6000mm2以上、8000mm2以上、10000mm2以上である。
本発明による炭素フォームは、例えば電池の電極として使用する場合には、小面積の表面を有する炭素フォームを並べて構成した電極に比べて、高い導電性を有する。また、フィルタとして使用する場合には、小面積の表面を有する炭素フォームを並べて構成したフィルタに比べて、捕集すべき物質を逃すことなく捕集することができる。
本発明による炭素フォームは、燃料電池用途、レドックスフロー電池用途、水電解用途等に用いることができる。
(樹脂フォームの表面被覆方法)
本発明に用いる樹脂フォームは、一次平均粒径500nm以下の粒子と有機バインダーを混合した分散液を樹脂フォームに含浸させ、後述する炭素化処理を行うことで製造することができる。
使用する粒子の一次平均粒径は、表面積を高める観点から500nm以下が好ましく、200nm以下がより好ましく、100nm以下がさらに好ましい。また、凝集を抑制する観点から、2nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましく、10nm以上がさらに好ましい。
使用する粒子は、具体的には、カーボンブラック、黒鉛粉末、気相成長炭素繊維,カーボンナノチューブ,グラフェン,フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂粉末が挙げられ、分散性の観点からカーボンブラックを用いることが好ましい。
使用する有機バインダーは、特に制限されないが、具体的には、ポリ塩化ビニルラテックス,サランラテックス,ポリイミド,フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられ,結着性と炭素化収率の観点からサランラテックスを用いることが好ましい。
粒子と有機バインダーは、分散媒に希釈して用いることができる。分散媒は特に制限されないが、水、有機溶媒を用いることができる。分散液中の粒子、有機バインダーの固形分濃度は、得られる炭素フォームの表面積増大の観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましい。また、凝集性の観点から、10.0質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、6質量%以下がさらに好ましい。
樹脂フォームの被覆方法は、特に制限されず、公知の方法を用いることができる。具体的には、分散溶液に樹脂フォームをディップする方法、樹脂フォームに分散溶液を通液させる方法、樹脂フォームの少なくとも一方向から分散溶液をスプレーで吹き付ける方法、樹脂フォームの少なくとも一方向から分散溶液を塗布する方法が挙げられる。
さらに、空隙を塞ぐ被膜を低減させる観点から、樹脂フォーム中の余分な分散溶液を除去する工程を加えても良い。具体的には、遠心、圧縮、空気や不活性ガスのフロー、吸引などが挙げられる。
樹脂フォームの被覆は、特に制限されないが、樹脂フォームの段階、300~500℃程度に加熱した樹脂フォームの段階、炭素化した炭素フォームの段階で行っても良い。
(炭素フォームの製造方法)
本発明による炭素フォームの製造方法は、面積が100cm2以上60000cm2以下の表面を有する炭素フォームを作る製造方法であって、炭素フォームの原料となる樹脂フォームを熱処理炉内に導入する原料フォーム導入工程と、熱処理炉内の温度を第1の昇温速度で熱処理温度まで昇温する昇温工程とを備え、昇温工程の200℃を超える少なくとも一部を、熱処理炉内を減圧排気しながら行うことを特徴とする。
また、本発明による炭素フォームの製造方法は、上記熱処理温度で所定の時間保持して樹脂フォームを炭素化して炭素フォームとする炭素化工程と、熱処理炉内の温度を室温まで降温する降温工程と、熱処理炉から炭素フォームを搬出する炭素フォーム搬出工程とを備えていてよい。
図1は、本発明による炭素フォームの製造方法のフローチャートを示している。
まず、ステップS1において、炭素フォームの原料となる樹脂フォームを熱処理炉内に導入する(原料フォーム導入工程)。
炭素フォームの原料となる樹脂フォームとしては、炭素フォームの原料として公知の任意の樹脂フォームを用いることができる。例えば、原料の樹脂フォームとしてメラミン樹脂フォームを用いる場合、このメラミン樹脂フォームとしては、例えば特開平4-349178号公報に開示されている方法により製造されるメラミン/ホルムアルデヒド縮合発泡体を用いることができる。
上記方法によれば、まず、メラミン/ホルムアルデヒド前縮合物と、乳化剤、気化性発泡剤、硬化剤、及び必要に応じて周知の充填剤とを含有する水溶液または分散液を発泡処理した後、硬化処理を施すことによりメラミン/ホルムアルデヒド縮合フォームを得ることができる。
上記方法において、メラミン/ホルムアルデヒド前縮合物としては、例えばメラミン:ホルムアルデヒド=1:1.5~1:4、平均分子量が200~1000のものを使用することができる。また、乳化剤としては、例えばアルキルスルホン酸やアリールスルホン酸のナトリウム塩などを0.5~5質量%(メラミン/ホルムアルデヒド前縮合物基準、以下同じ)、気化性発泡剤としては、例えばペンタンやヘキサンなどを1~50質量%、硬化剤としては塩酸や硫酸などを0.01~20質量%が挙げられる。発泡処理及び硬化処理は、使用した気化性発泡剤などの種類に応じて設定される温度に、上記成分からなる溶液を加熱すればよい。
また、原料の樹脂フォームを炭素化するための熱処理炉としては、樹脂フォームを炭素化して炭素フォームが得られる炉であれば限定されず、例えば原料の樹脂フォームを収容する反応炉と、反応炉内を加熱するヒーターと、反応炉内に不活性ガスを導入するガス導入口と、反応炉内からガスを排出するガス排出口と、反応炉内を減圧して真空にする真空ポンプとを備える熱処理炉を用いることができる。
次に、ステップS2において、熱処理炉内の温度を第1の昇温速度で所定の熱処理温度まで昇温する(昇温工程)。その際、200℃を超える少なくとも一部を、熱処理炉内を減圧排気しながら行うことが肝要である。また、さらに、樹脂フォームからの分解性脱離ガスの発生量が多い第1の温度領域において、熱処理炉内を減圧排気しながら行うことが好ましい。
上述のように、炭素フォームの原料である樹脂フォームを加熱すると、樹脂フォームから発生した活性な分解性脱離ガスが、炭素フォームを構成する炭素繊維と反応して分解し、炭素フォームに欠陥が発生する。上記分解性脱離ガスの発生量は、炉内の温度に依存する。そこで、本発明においては、昇温工程における200℃を超える温度領域の少なくとも一部において熱処理炉内を減圧排気し、好ましくは、樹脂フォームからの分解性脱離ガスの発生量が多い温度領域(第1の温度領域)において、さらに熱処理炉内を減圧排気する。これにより、樹脂フォームの内部で発生した分解性脱離ガスが樹脂フォーム外へ拡散するのを促進して、炭素フォームに欠陥が形成されるのを防止することができる。
なお、本発明において、「樹脂フォームからの分解性脱離ガスの発生量が多い温度領域(第1の温度領域)」は、1.000gの樹脂フォームを不活性ガスに置換されたオーブン中で昇温し、各温度で1時間保持した後、室温まで冷却して樹脂フォームを取り出して重量を秤量し、加熱前に室温で測定した初期重量と比較することで評価することができる。具体的には、昇温工程における原料の樹脂フォームの重量を100℃間隔で予めモニタリングし、樹脂フォームの重量が100℃当たり初期重量の5%以上減少する温度領域とする。例えば、300℃以上400℃未満、400℃以上500℃未満及び500℃以上600℃未満の全ての温度領域において、樹脂フォームの重量が100℃当たり初期重量の5%以上減少した場合には、第1の温度領域は300℃以上600℃未満とする。
本発明者らによる検討の結果、樹脂フォームがメラミン樹脂フォームの場合、分解性脱離ガスの発生量が多い温度領域(第1の温度領域)は、200℃以上800℃未満の温度領域であることが分かった。そこで、例えば樹脂フォームがメラミン樹脂フォームの場合には、少なくとも上記第1の温度領域において、熱処理炉内を減圧排気する。
上記減圧排気は、真空ポンプ等の排気手段を用いて行うことができるが、これは、少なくとも炉内の圧力を10分以内に1Pa以下にできる排気能力を有するポンプを用いて行う。
熱処理温度までの昇温速度(第1の昇温速度)は、例えば、原料の樹脂フォームがメラミン樹脂フォームの場合、分解性脱離ガスの発生量を抑制する観点から、10℃/分以下にすることが好ましい。また、全体の生産性の観点から、上記第1の昇温速度は1℃/分以上とすることが好ましい。
また、昇温工程は、上記樹脂フォームからの分解性脱離ガスの発生量が多い温度領域(第1の温度領域)においては、熱処理温度までの昇温速度(第1の昇温速度)よりも低い昇温速度(第2の昇温速度)で行うことが好ましい。これにより、樹脂フォーム内で発生する単位時間当たりの分解性脱離ガスの発生量を低減して、フォーム構造外への分解性脱離ガスの拡散をより促進することができる。第1の温度領域において昇温速度を低減した場合(すなわち、第2の昇温速度に変更した場合)、炉内の温度が第1の温度領域の上限を超えた場合には、昇温速度を第1の昇温速度に戻して昇温すればよい。
さらに、昇温工程は、上記脱離ガスの発生量が多い第1の温度領域内の、分解性脱離ガスの発生量の増加率が高い領域(第2の温度領域)において、上記第2の昇温速度よりも低い昇温速度(第3の昇温速度)で行うことが好ましい。これにより、樹脂フォーム内で発生する単位時間当たりの分解性脱離ガスの発生量をさらに低減して、フォーム構造外への分解性脱離ガスの拡散をさらに促進することができる。
なお、本発明において、「樹脂フォームからの分解性脱離ガスの発生量の増加率が高い温度領域(第2の温度領域)」は、1.000gの樹脂フォームを不活性ガスに置換されたオーブン中で昇温し、各温度で1時間保持した後、室温まで冷却して樹脂フォームを取り出して重量を秤量し、加熱前に室温で測定した初期重量と比較することで評価することができる。具体的には、昇温工程における原料の樹脂フォームの重量を100℃間隔で予めモニタリングし、樹脂フォームの重量が100℃当たり初期重量の20%以上減少する温度領域とする。例えば、300℃以上400℃未満及び400℃以上500℃未満の温度領域において、樹脂フォームの重量が100℃当たり初期重量の20%以上減少した場合には、第2の温度領域は300℃以上500℃未満とする。
原料の樹脂フォームがメラミン樹脂フォームの場合、樹脂フォームからの脱離ガスの発生量が多い温度領域(第1の温度領域)は、上述のように200℃以上800℃未満の温度領域である。また、本発明者らによる検討の結果、樹脂フォームからの脱離ガスの発生量の増加率が高い温度領域(第2の温度領域)は、300℃以上400℃未満の温度領域であることが分かった。そこで、原料の樹脂フォームがメラミン樹脂フォームの場合、昇温速度は、第1の温度領域において5℃/分以下にすることがより好ましく、さらに第2の温度領域において3℃/分以下にすることが特に好ましい。
また、本昇温工程及び後述する炭素化工程において、酸素と炭素フォームを構成する炭素繊維との分解反応を防止するために、炉内の雰囲気を不活性ガス雰囲気又は真空とする。ここで、炉内が「真空」であるとは、炉内の真空度が1Pa未満であることを指す。また、不活性ガス雰囲気は、炭素フォームの原料となる樹脂フォームを熱処理炉内に導入した後(原料フォーム導入工程)、炉内を減圧排気して酸素が含まれる空気を抜く。そして、炉内が1Pa未満の真空度に達して十分に空気が脱気された後、不活性ガスを導入する。こうして炉内を不活性ガス雰囲気にすることができる。このように、炉内を不活性ガス雰囲気又は真空とした後、昇温を開始し、第1の温度領域においては炉内を減圧排気する。
さらに、メラミン樹脂フォームの脱離ガス量が多い200℃以上800℃未満の領域(第1の温度領域)においては、炉内に不活性ガスを導入しながら減圧排気し続けることが好ましい。これにより、炉内に窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスの流れを発生させて、樹脂フォーム内で発生した分解性脱離ガスの排出を促進することができる。
上記不活性ガスの導入の際、炭素フォームの欠陥を抑制する観点から不活性ガスの流量は1L/分以上とすることが好ましく、3L/分以上とすることがより好ましく、5L/分以上とすることが特に好ましい。また、温度制御の観点から不活性ガスの流量は40L/分以下とすることが好ましく、30L/分以下とすることがより好ましく、20L/分以下とすることが特に好ましい。
続いて、ステップS3において、昇温して到達した熱処理温度で所定の時間保持し、樹脂フォームを炭素化して炭素フォームとする(炭素化工程)。本発明においては、上記熱処理温度は原料の樹脂フォームの軟化点以上の温度とする。例えば、樹脂フォームがメラミン樹脂フォームの場合、メラミン樹脂フォームの軟化点は300℃~400℃であるため、熱処理温度は軟化点以上の温度とする。好ましくは800℃以上とし、より好ましくは1000℃以上とする。また、高い結晶性による物理的な脆弱性の観点から、好ましくは3000℃以下とし、より好ましくは2500℃以下とする。
また上記熱処理温度で保持する時間(熱処理時間)は、原料の樹脂フォームが完全に炭素化する時間とする。例えば、原料の樹脂フォームがメラミン樹脂フォームの場合、保持時間は0.5時間以上とする。好ましくは1時間以上とし、より好ましくは2時間以上とする。また、生産性の点から、好ましくは5時間以下にし、より好ましくは4時間以下にする。
次に、ステップS4において、熱処理炉内の温度を室温まで降温する(降温工程)。メラミン樹脂フォームの炭素化の際の温度の降温速度については、急冷による炉内のヒーターや断熱材へのダメージを緩和する観点から20℃/分以下にすることが好ましく、より好ましくは、15℃/分以下である。また、全体の生産性の点から5℃/分以上が好ましく、より好ましくは、10℃/分以上である。
最後に、ステップS5において、熱処理炉から炭素フォームを搬出する(炭素フォーム搬出工程)。こうして、上記した本発明による炭素フォームを製造することができる。
なお、昇温工程及び炭素化工程を、原料の樹脂フォームに圧縮荷重を印加しながら行うことにより、炭素繊維の拡がりに異方性を有する骨格構造の炭素フォームを得ることができる。上述のように、異方性を有する炭素フォームは、圧縮荷重が印加された際にも、炭素繊維の破断を抑制して粉落ちを低減したり、高い復元性を実現したりすることができる。
上記圧縮荷重の印加は、原料の樹脂フォーム上に、例えば黒鉛板等のおもりを載せることによって行うことができる。印加する圧縮荷重は、好ましくは50Pa以上であり、より好ましくは200Pa以上である。また、好ましくは2000Pa以下であり、より好ましくは1500Pa以下である。
原料の樹脂フォームに圧縮荷重を印加する場合、分解性脱離ガスの拡散が、黒鉛板等のおもりによって抑制される。そのため、昇温工程では、圧縮荷重を印加しない場合に比べて、昇温速度を低減し、かつ不活性ガスを炉内に供給しながら減圧排気し続けて、分解性ガスの排出促進を行うことが特に好ましい。
例えば、原料の樹脂フォームがメラミン樹脂フォームの場合、200℃以上800℃未満の温度領域(第1の温度領域)においては、昇温速度は5℃/分以下にすることが好ましく、脱離ガスの発生量の増加率が高い300℃以上400℃未満の温度領域(第2の温度領域)においては、2℃/分以下にすることがより好ましい。また、200℃以上800℃未満の温度領域(第1の温度領域)において、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスを熱処理炉内に供給することが好ましい。
なお、原料の樹脂フォームへの圧縮応力は、一方向のみならず、二方向から印加してもよい。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。)
<表面積(m2/g)の測定>
炭素フォーム1gあたりの表面積は、窒素ガス吸着等温線にBET解析法を適用して求めた.具体的には,あらかじめ粉砕した試料を200℃にて減圧乾燥したのち,自動窒素ガス吸着試験機(カンタクロームジャパン,Autosorb1)を用いて測定した.測定温度は液体窒素温度である77Kとした.得られた吸着等温線の相対圧0.05-0.30範囲をBETプロットし,その傾きから表面積を求めた.
[かさ密度の測定]
まず、ノギス等を用いて炭素フォームの寸法を測定し、得られた寸法から、炭素フォームのかさ体積Vbulkを求める。次に、精密天秤を用いて、炭素フォームの質量Mを測定する。得られた質量Mおよびかさ体積Vbulkから、下記の式(1)を用いて炭素フォームのかさ密度ρbulkを求めることができる。
ρbulk=M/Vbulk・・・(1)
[真密度の測定]
炭素フォームの真密度ρrealは、n-ヘプタン、四塩化炭素および二臭化エチレンからなる混合液を用いて浮沈法によって求めることができる。具体的には、まず、共栓試験管に適当なサイズの炭素フォームを入れる。次に、3種の溶媒を適宜混合して試験管に加え、30℃の恒温槽に漬ける。試料片が浮く場合は、低密度であるn-ヘプタンを加える。一方、試験片が沈む場合は、高密度である二臭化エチレンを加える。この操作を繰り返して、試験片が液中に漂うようにする。最後に、液の密度をゲーリュサック比重瓶を用いて測定する。
<空隙率>
上述のように求めたかさ密度ρbulkおよび真密度ρrealから、下記の式(2)を用いて空隙率Vf,poreを求めることができる。
f,pore=((1/ρbulk)-(1/ρreal))/(1/ρbulk)×100(%)
・・・(2)
<表面積(m2/cm3)の測定>
炭素フォーム1cm3あたりの表面積は,炭素フォーム1gあたりの表面積にかさ密度を乗じて求めた。
かさ体積Vbulkを上述のように求めた。次に、精密天秤を用いて、炭素フォームの質量Mを測定した。
得られた質量M及びかさ体積Vbulkから、下記の式(1)を用いて炭素フォームのかさ密度ρbulkを求めた。
ρbulk=M/Vbulk・・・(1)
<平均繊維径(μm)の測定>
SEMを用いて、10000倍に拡大して炭素フォームを観察した。炭素の線状部について、任意の20か所で線状部の直径を測定し、その平均値を平均繊維径とした。
<平均繊維長(μm)の測定>
SEMを用いて、10000倍に拡大して炭素フォームを観察した。炭素の線状部の繊維長について、任意の隣接する結合部の間の繊維長20か所を測定し、その平均値を繊維長とした。
<平面視での凝集物割合の評価>
SEMを用いて、200倍に拡大し、炭素フォームシート表面を観察した。0.5mm×0.5mmの領域内で、炭素フォームの空隙を塞ぐ膜状の部分の面積を、以下の観点で評価した。
◎: 10%以下
○: 30%以下
△: 50%以下
×: 50%超過
<凝集物の評価>
得られた炭素フォームシートの任意の箇所をカミソリで切断し、断面をSEMを用いて、500倍程度に拡大し、炭素フォームシート断面を観察した。炭素フォーム内にある任意の凝集物20か所の直径を測定し、その平均値を以下の観点で評価した。
◎: 50μm以下
○: 100μm以下
△: 400μm以下
×: 400μm超過
<炭素含有率の測定>
炭素フォームの炭素含有率は、蛍光X線測定から求めた。蛍光X線測定は、株式会社リガク製の蛍光X線分析装置ZSX-100E(波長分散型、Rh管球)を用いた。サンプルは20mmφ以上のサイズを用いた。
<酸素原子の割合(質量%)の測定>
炭素フォームの酸素含有率は、蛍光X線測定から求めた。蛍光X線測定は、株式会社リガク製の蛍光X線分析装置ZSX-100E(波長分散型、Rh管球)を用いた。サンプルは20mmφ以上のサイズを用いた。
<X線CTによる構造解析>
実施例で作成した炭素フォームについて、X線画像を撮像しやすくするため、無電解銅めっきを行った後、試験片を採取し、高分解能3DX線顕微鏡nano3DX(株式会社リガク製)を用いて構造解析を行った。具体的な無電解めっき条件、X線CT解析条件は以下の通りである。
図3に比較例1の炭素フォームより得られるX線CT解析画像を、図4に図3の画像のライン、ノード検出を行った画像処理後の図を結果の一例として示す。
具体的な無電解めっき条件、X線CT解析条件は以下のとおりである。
[無電解めっき条件]
サンプルをOPCコンディクリーンMA(奥野製薬工業社製、100mL/Lに蒸留水で希釈)に70℃で5分間浸漬した後、蒸留水で1分間洗浄した。続いてOPCプリディップ49L(奥野製薬工業社製、10mL/Lに蒸留水で希釈、98%硫酸を1.5mL/L添加)に70℃で2分間浸漬した後、蒸留水で1分間洗浄した。続いてOPCインデューサー50AM(奥野製薬工業社製、100mL/Lに蒸留水で希釈)及び、OPCインデューサー50CM(奥野製薬工業社製、100mL/Lに蒸留水で希釈)を1:1で混合した溶液中に45℃で5分間浸漬した後、蒸留水で1分間洗浄した。続いてOPC-150クリスタMU(奥野製薬工業社製、150mL/Lに蒸留水で希釈)に室温で5分間浸漬した後、蒸留水で1分間洗浄した。続いてOPC-BSM(奥野製薬工業社製、125mL/Lに蒸留水で希釈)に室温で5分間浸漬した。続いて化学銅500A(奥野製薬工業社製、250mL/Lに蒸留水で希釈)及び、化学銅500B(奥野製薬工業社製、250mL/Lに蒸留水で希釈)を1:1で混合した溶液中に室温で10分間浸漬した後、蒸留水で5分間洗浄した。その後90℃で12時間真空乾燥を行い、水分を乾燥させた。
[X線条件]
X線ターゲット:Cu
X線管電圧:40kV
X線管電流:30mA
[撮影条件]
投影数:1500枚
回転角度:180°
露光時間:20秒/枚
空間解像度:0.54μm/ピクセル
[X線CT解析条件]
得られた3次元画像を、Median filterで隣接する1pixelにて処理し、大津のアルゴリズムを用いて二値化した。
続いて、JSOL社製のソフトウェアsimplewareのCenterline editor(Ver.7)をデフォルトの設定値で使用して、2.16μm以下の線をノイズとして除去した後、測定視野300μm×300μm×300μm内の結合部の数Nn、線状部の数Nlを検出した。
上記構造解析により、試験片に含まれる結合部の数Nn、線状部の数Nl、結合部の密度、互いに直交する3方向(x、y、z)に対する配向角度の平均値を求めた。なお、表1における配向角度は、圧縮荷重の印加方向をx方向とし、圧縮荷重の印加方向に垂直な方向にy方向及びz方向を設定してθdの最小値を求めた値である。
<レドックスフロー電池の評価>
レドックスフロー電池の評価には,バイトンゴム製ガスケット、テフロン(登録商標)製流路枠、黒鉛製セパレータ、ステンレス製エンドプレートから構成されるセルを用いた。電解質膜にはAldrichから購入したNafion212を用いた。50x80mmに切り出した膜、33x30mmに切り出した2枚の炭素フォーム、並びにセル構成部材を所定の順番に従って組み合わせ、ステンレス製ボルトを用いて所定のトルクにて締結した。組み立てたセルを、電解液タンクと送液ポンプから構成される電解液循装置に接続した。電解液タンクにバナジウムイオン濃度1.5M、バナジウムイオン価数3.5価、硫酸イオン濃度4.5Mのバナジウム硫酸溶液を30ml加え,流速100ml/minにて循環した。充放電試験はBioLogic社製ポテンショスタットVSPを用いて、定電流法にて行った。電圧範囲は1.00-1.55V、電流密度は80mA/cm2とした。充電および放電時における平均電圧VcおよびVdから,次式によって抵抗を求めた。
(Vc-Vd)/(2x0.08)(Ωcm2)
<短絡抑制効果>
前述の方法に従って組み立てたセルについて、電解液を流通させない状態における抵抗をから、電極による膜の突刺しによる短絡の発生の有無を判断した。セルの締結トルクを1Nmから1Nmごとに増大させ,抵抗が1000Ωを下回ったときのトルクの大小によって短絡抑制効果を評価した。
◎:4Nm以上
○:3Nm以上
△:2Nm以上
×:2Nm未満
(実施例1)
カーボンブラックペースト(ライオン製,W-376R,固形分率13.1質量%)1000gに,サランラテックス(旭化成製,固形分率45質量%)19gと蒸留水13000gを加え,カーボンブラック分散液を調製した。寸法300x300x2mmに切り出したメラミンフォーム(BASF Co.Ltd, BASOTECT G)を前述のカーボンブラック分散液に浸漬した後、内部に含まれる過剰なカーボンブラック分散液を遠心脱水によって除去した。カーボンブラック分散液を塗布されたメラミンフォームを、100℃にて3時間減圧乾燥することによって、カーボンブラックを担持したメラミンフォームを得た。
得られたサンプルを熱処理炉内に投入し、真空ポンプにより炉内を減圧排気して炉内の真空度を1Pa未満とし、減圧排気しつつ炉内に窒素ガスを流量:2L/分で供給しながら、炉内の温度を昇温速度:5℃/分で800℃まで昇温した。炉内の温度が800℃に到達した時点で窒素ガスの供給を停止し、昇温速度:5℃/分で1500℃の熱処理温度まで昇温し、1時間保持してメラミン樹脂フォームを炭素化した。
得られたカーボンブラック担持炭素フォームを乾燥空気気流下400℃にて1時間熱処理することにより、表面を酸化させたカーボンブラック担持炭素フォームを得た。尚、乾燥空気流速:1L/minとした。得られた炭素フォームの詳細を表1に示す。
図5は、実施例1による炭素フォーム表面のSEM画像を示しており、図6は、図5を拡大したSEM画像を示している。
(実施例2)
メラミンフォームの厚さを10mmとし、実施例1と同様にカーボンブラック担持メラミンフォームを作成した。また、炭素化する際に、寸法300x300x40mmの黒鉛板1枚をフォームの上に乗せ、熱処理炉内にサンプルを導入した。次いで、真空ポンプにより炉内を減圧排気して炉内の真空度を1Pa未満とし、減圧排気しつつ炉内に窒素ガスを流量:2L/分で供給しながら、炉内の温度を昇温速度:5℃/分で800℃まで昇温した。炉内の温度が800℃に到達した時点で窒素ガスの供給を停止し、昇温速度:5℃/分で1500℃の熱処理温度まで昇温し、1時間保持してメラミン樹脂フォームを炭素化した。表面の酸化処理条件は、実施例1と全て同じである。得られた炭素フォームの詳細を表1に示す。
(実施例3)
メラミンフォームの厚さを20mmとし、更にカーボンブラック担持メラミンフォームを炭素化する前に北川精機社製真空プレス機(KVHC-II)で金属のスペーサーを挟んで厚み0.6mmまでプレスした。このプレスは真空減圧しながら昇温速度:5℃/分で340℃まで昇温した後、設定圧力:2.0MPaで押圧し、10分間保持してから冷却を行った。サンプルを取り出した後、カーボンブラック担持メラミンフォームを炭素化する際に,寸法300x300x4mmの黒鉛板1枚をフォームの上にのせて処理した以外は、実施例2と同じ条件で実施した。得られた炭素フォームの詳細を表1に示す。
(実施例4)
カーボンブラック担持メラミンフォームを炭素化する際に、炭素化温度を1100℃とし、表面酸化処理温度を300℃とした。それ以外は、実施例3と同じ条件で実施した。得られた炭素フォームの詳細を表1に示す。
(実施例5)
メラミンフォームの厚さを40mmとし、スペーサーを挟んで厚み1.0mmまでプレスし、カーボンブラック担持メラミンフォームを炭素化する際に、炭素化温度を2000℃とし、表面酸化処理温度を500℃とした。それ以外は、実施例3と同じ条件で実施した。得られた炭素フォームの詳細を表1に示す。
(実施例6)
カーボンブラック分散液を調製する際に加える蒸留水の質量を6000gとした以外は,実施例3と同様に実施した。得られた炭素フォームの詳細を表1に示す。
(実施例7)
カーボンブラック分散液を調製する際に加えるバインダーをポリ塩化ビニルラテックス(旭化成(株),固形分率45質量%)とした以外は、実施例1と同様に実施した。得られた
炭素フォームの詳細を表2に示す。
(実施例8)
カーボンブラック分散液を調製する際に用いるカーボンペーストを、カーボンペースト(ライオン(株),W-311N,固形分率16.4質量%)とした以外は、実施例3と同様
に実施した。得られた炭素フォームの詳細を表1に示す。
(実施例9)
カーボンブラックペースト(御国色素(株),BP-536,固形分率10.4質量%)1
106gに、N―メチルピロリドン1941gと参考例1で作成したポリイミド溶液(固形分率10w%)115gを加えてカーボンブラック分散液を調製した以外は,実施例3と同様に実施した。得られた炭素フォームの詳細を表1に示す。
(実施例10)
メラミンフォーム内の過剰なカーボンブラック分散液を、フォームを圧縮することによって除去した以外は、実施例3と同様に実施した。得られた炭素フォームの詳細を表1に示す。
(実施例11)
メラミンフォームへのカーボンブラック分散液の塗布に,小型スプレー塗布装置(エーシングテクノロジー(株),AVー8型)を用いて、脱水せずにそのまま真空乾燥した以外は、実施例3と同様に実施した。断面をSEMにて観察したところ,カーボンブラックは厚さ0.3mmの炭素フォームの表面から、およそ0.1mmの範囲のみにしか担持されていなかった。得られた炭素フォームの詳細を表1に示す。
(実施例12)
実施例3にしたがって作製したカーボンブラック担持メラミンフォームと、実施例8にしたがって作製したカーボンブラック担持メラミンフォームを作製した。これら2枚の炭素フォームを積層して炭素化した以外は、実施例3と同様に実施した。得られた炭素フォームの詳細を表1に示す。
(実施例13)
メラミンフォームの厚さを5mmとし、実施例1と同様にカーボンブラック担持メラミンフォームを作成した。また、炭素化する際に、寸法300x300x4mmの黒鉛板1枚をフォームの上に乗せ、熱処理炉内にサンプルを導入した。それ以外、は実施例2と全て同じである。得られた炭素フォームの詳細を表1に示す。
(比較例1)
寸法300x300x5mmに切り出したメラミンフォームを、実施例1に示す方法にしたがって炭素化および空気酸化することによって,カーボンブラックを含まない空気酸化炭素フォームを得た。得られた炭素フォームの詳細を表1に示す。
図2は、比較例1による炭素フォーム表面のSEM像を示している。
(比較例2)
炭素繊維ペーパ(SGL CARBON Co. Ltd,SIGRACET GDL39AA)を、実施例1に示す方法に従って空気酸化することによって、空気酸化炭素繊維ペーパを得た。
(参考例1)
ディーン・スターク管及び還流管を上部に備えた撹拌棒付き500mLセパラブルフラスコをセットし、容器内を窒素ガスで置換した。N-メチルピロリドン 230g、4,4‘-オキシジフタル酸無水物(東京化成工業社製)15.51g(50.0mmol)、ビス(4-アミノフェニル)スルホン(東京化成工業社製)7.37g(29.7mmol)、ビス(3-アミノフェニル)スルホン(東京化成工業社製)4.92g(19.8mmol)、トルエン30gを加え、反応容器に窒素ガスを導入しながら撹拌した。続いて、ディーン・スターク管をトルエンで満たしたのち、オイルバスで内温160℃まで昇温し、160℃で2時間加熱還流を行い、イミド化を行った。続いて、ディーン・スターク管からトルエンを抜き出し、180℃まで昇温してさらに反応を4時間続けることポリイミド溶液を作成した。
Figure 0007149106000001
本発明によれば、良好な特性を有する炭素フォーム及びその製造方法を提供することができる。

Claims (19)

  1. 線状部と該線状部を結合する結合部とを有し、表面積が10m/g以上であり、
    SEMで観察される任意の0.5mm×0.5mm領域内で観察される凝集物の面積の割合が1%以上50%以下である
    ことを特徴とする、炭素フォーム。
  2. 前記線状部の平均繊維径が1.0μm以上10.0μm以下である、請求項1に記載の炭素フォーム。
  3. 凝集物の平均直径が400μm以下である、請求項1または2に記載の炭素フォーム。
  4. 前記結合部の数に対する前記線状部の数の割合が1.3以上1.6以下である、請求項1~3いずれか1項に記載の炭素フォーム。
  5. 前記線状部の平均繊維長が20μm以上200μm以下である、請求項1~4いずれか1項に記載の炭素フォーム。
  6. 前記結合部の密度が8,000個/mm以上である、請求項1~5いずれか1項に記載の炭素フォーム。
  7. 蛍光X線分析による表面分析で測定される酸素原子の割合が0.03~10質量%である、請求項1~6いずれか1項に記載の炭素フォーム。
  8. 炭素含有率が51%以上である、請求項1~7いずれか1項に記載の炭素フォーム。
  9. 平面視面積が100cm以上である、請求項1~8いずれか1項に記載の炭素フォーム。
  10. 厚みが1.0mm以下である、請求項1~9いずれか1項に記載の炭素フォーム。
  11. 空隙率が80%以上99%以下である、請求項1~10いずれか1項に記載の炭素フォーム。
  12. 面積が500mm以上の貫通孔がない、請求項1~11いずれか1項に記載の炭素フォーム。
  13. 前記結合部の密度が15,000個/mm以上である、請求項1~12いずれか1項に記載の炭素フォーム。
  14. 前記結合部の密度が50,000個/mm以上である、請求項13に記載の炭素フォーム。
  15. 炭素フォームであって、
    少なくとも一部において、前記炭素フォームの厚み方向をx方向、前記x方向に垂直な方向をy方向、前記x方向及び前記y方向に垂直な方向をz方向とし、
    300μm×300μm×300μmの領域内に含まれる前記線状部の
    前記x方向に対する配向角度の平均値をθavex、
    前記y方向に対する配向角度の平均値をθavey、
    前記z方向に対する配向角度の平均値をθavez、
    と定義したときに、
    前記θavex、前記θavey、前記θavezの中の最大値と最小値との差θdが3°以上となる、
    請求項1~14のいずれか1項に記載の炭素フォーム。
  16. SEMで観察される任意の0.5mm×0.5mm領域内で観察される空隙の面積の割合が50%以上である請求項1~15のいずれか1項に記載の炭素フォーム。
  17. 前記表面積が200m/g以下である、請求項1~16のいずれか1項に記載の炭素フォーム。
  18. 前記表面積が70m/g以下である、請求項1~17のいずれか1項に記載の炭素フォーム。
  19. 一次平均粒径500nm以下の粒子と有機バインダーを混合した分散液を樹脂フォームに含浸させた後、炭素化処理を行うことを含み、
    前記分散液中の粒子、有機バインダーの固形分濃度は、0.1質量%以上8質量%以下である
    ことを特徴とする、請求項1~18のいずれか1項に記載の炭素フォームの製造方法。
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